JP2017227876A - ヒータおよび画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、通紙されるシートのサイズがより大きなサイズに切り換えられると、定着ローラまたは定着ベルト上における温度分布はすぐには解消されない。シートサイズの切り換え後には、温度分布のむらが大きい状態で定着が行われる。
小サイズのシートを連続通紙する場合には、シートが接しない部位において定着ローラまたは定着ベルトが高温になる状態が続く。
このような温度分布のむらは、定着品質を悪化させる。特に、カラー印刷の場合には、定着画像の発色、光沢のむらが発生する可能性がある。
図1は、第1の実施形態の画像形成装置の構成例を示す断面の模式図である。図1では、見易さのため、各部材の寸法および形状は誇張あるいは簡略化されている(以下の図面も同様)。
画像形成装置10の本体11の上部には透明ガラスを含む原稿台12が設けられている。原稿台12上には自動原稿搬送部(ADF)13が設けられている。本体11の上部には操作パネル14が設けられている。操作パネル14は、各種のキーを持つオペレーションパネル14aと、タッチパネル式の表示部14bとを持つ。
イメージセンサ16は、ADF13によって送られる原稿の画像を読み取る場合、図1に図示された固定位置で送られる原稿を読み取る。
給紙カセット18は、各種サイズのシートPを中央基準で収容する。各種サイズのシートPは、搬送方向に直交する方向の幅の中心軸線が定位置に位置合わせされる。
以下では、画像形成装置10においてシートPの搬送面に沿って、シートPの搬送方向と直交する方向を「搬送直交方向」と言う。
プリンタ部17は、スキャナ部15で読み取った画像データ、またはパーソナルコンピュータなどで作成された画像データに基づいてシートPに画像を形成する。プリンタ部17は、例えばタンデム方式によるカラープリンタである。
プリンタ部17は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成部20Y、20M、20C、20Kを持つ。画像形成部20Y、20M、20C、20Kは、中間転写ベルト21の下側に配置されている。画像形成部20Y、20M、20C、20Kは、中間転写ベルト21の下側の移動方向(図示左側から右側に向かう方向)の上流から下流側に沿って並列に配置されている。
露光器19は、画像形成部20Y、20M、20C、20Kに対応して、露光器19Y、19M、19C、19Kを持つ。
露光器19は、レーザ走査を用いた露光器でもよいし、LEDなどの固体走査素子を用いた露光器でもよい。レーザ走査を用いた露光器の場合、露光器19Y、19M、19C、19Kごとに異なるレーザ光源を持っていれば、偏向器は複数の露光器間で共通使用されてもよい。
各画像形成部20Y、20M、20C、20Kの構成は、トナーが異なるのみである。以下では、各画像形成部20Y、20M、20C、20Kに共通の構成を、画像形成部20Kの例で説明する。
露光器19Kは、画像データに基づいて変調された光を感光体ドラム22Kの表面に照射する。露光器19Kは、感光体ドラム22K上に静電潜像を形成する。
現像器24Kは、現像バイアスが印加される現像ローラ24aによりブラックのトナーを感光体ドラム22Kに供給する。現像器24Kは、感光体ドラム22K上の静電潜像を現像する。
クリーナ26Kは、感光体ドラム22Kに当接するブレード27Kを持つ。ブレード27Kは、感光体ドラム22Kの表面の残留トナーを除去する。
トナーカートリッジ28は、現像器24Y、24M、24C、24Kにそれぞれトナーを供給する。トナーカートリッジ28は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーをそれぞれ収容するトナーカートリッジ28Y、28M、28C、28Kを含む。
例えば、図2に示すように、中間転写ベルト21において、感光体ドラム22Kに対向する位置には、中間転写ベルト21の内側に一次転写ローラ25Kが配置されている。
一次転写ローラ25Kは、一次転写電圧が印加されると、感光体ドラム22K上のトナー像を中間転写ベルト21に一次転写する。
二次転写ローラ33には、駆動ローラ31と二次転写ローラ33との間の二次転写位置をシートPが通過する際に、二次転写電圧が印加される。二次転写電圧が印加されると、二次転写ローラ33は、中間転写ベルト21上のトナー像をシートPに二次転写する。
図示左側の従動ローラ32の付近には、ベルトクリーナ34が配置される。ベルトクリーナ34は、中間転写ベルト21上の残留転写トナーを中間転写ベルト21から除去する。
シートPの搬送方向における二次転写ローラ33の下流(図示上側)には、定着装置36が配置されている。
シートPの搬送方向における定着装置36の下流(図示左上側)には、搬送ローラ37が配置されている。搬送ローラ37はシートPを排紙部38に排出する。
シートPの搬送方向における定着装置36の下流(図示右側)には、反転搬送路39が配置されている。反転搬送路39は、シートPを反転させて二次転写ローラ33の方に導く。反転搬送路39は、両面印刷を行う際に使用される。
図3に示すように、定着装置36は、定着ベルト363、プレスローラ366、ベルト搬送ローラ364、テンションローラ365、および加熱部材361(ヒータ)、を持つ。
図3には図示されていないが、後述するように、定着装置36は温度検知部材362(図6参照)をさらに持つ。
プレスローラ366は表面に弾性層を持つ。プレスローラ366は図示の回転方向tに沿って回転可能に支持される。
定着ベルト363とプレスローラ366とは、画像形成装置10の通紙可能な最大のシート幅(シートPの搬送直交方向の幅)よりも大きな幅を持つ。
定着ベルト363は、プレスローラ366の表面に押圧される。定着ベルト363とプレスローラ366との当接部は定着ニップを形成する。定着ニップは通紙可能な最大のシート幅よりもわずかに長い。シートPの搬送方向Aにおける定着ニップの幅は所定幅に設定される。所定幅は、シートPに転写されたトナー像を熱定着する熱量が供給可能な幅である。
テンションローラ365は、定着ベルト363とプレスローラ366との当接部を間に挟む位置において、定着ベルト363の内側を押圧する。テンションローラ365は、定着ベルト363に張力を与える。
ベルト搬送ローラ364は、図示略の駆動モータによって図示反時計回り(矢印s参照)に回転駆動される。ベルト搬送ローラ364が回転すると、定着ベルト363は、矢印Bで表される図示反時計回りに回転駆動される。
加熱部材361の主要部は、板状に形成される。加熱部材361は、板厚方向の一方の表面に発熱部を持つ。加熱部材361の発熱部は、定着ニップの裏側の定着ベルト363の内側に接触する。加熱部材361は、その長手方向が定着ニップの長手方向に沿うように配置されている。
加熱部材361は図示略の押圧部材によってプレスローラ366の方に押圧されている。加熱部材361が定着ベルト363をプレスローラ366に押圧することで、搬送方向における定着ニップの幅が所定幅に保たれる。
加熱部材361の発熱部で発生する熱は、定着ベルト363の厚さ方向に熱伝導する。定着ベルト363に熱伝導する熱は、定着ニップの部位でプレスローラ366にも熱伝導する。シートPが定着ニップを通過する際、定着ニップにおいてシートPが加熱される。
加熱部材361は、定着ベルト363を介する熱伝導によって定着ニップを加熱する。このため、定着装置36において、定着ニップの温度の応答性はハロゲンランプ等の輻射による加熱方式の場合よりも優れている。
図4は、第1の実施形態の加熱部材361の構成例を示す長手方向の模式的な断面図である。図5は、第1の実施形態の加熱部材361の構成例を示す平面視の模式図である。ただし、図5では、見易さのため、後述する表面保護層361dの図示は省略されている。
図4に示すように、例えば、基材361aはセラミック基板を持つ。セラミック基板の板厚方向の一方の表面(図示上側の表面)には図示略のグレーズ層が積層されている。
セラミック基板の板厚方向の他方の表面には、発熱部の余分な熱を逃がすヒートシンク(図示略)が接着されてもよい。ヒートシンクはアルミニウム合金製でもよい。セラミック基板にヒートシンクが接着される場合、ヒートシンクはセラミック基板の反りを防ぐ作用もある。
図4、図5に示す構成例では、電極361bは、電極E0(中央電極)、電極E1L、E2L、E3L、E1R、E2R、E3Rの7つの電極からなる。
図5に示すように、電極E0は、基材361aの長手方向に直交する短手方向に沿って延びる線状に形成される。電極E0の線幅はWeである。線幅Weは細い方が好ましい。例えば、線幅Weは、0.5mm以上3.0mm以下とされてもよい。
電極E0は、基材361aの長手方向の中央部に配置される。定着装置36において、基材361aの長手方向は、搬送直交方向に一致される。基材361aの長手方向における電極E0の位置は、定着装置36における搬送直交方向において、搬送路の中心に一致される。
電極E0の図示右側には、搬送直交方向において中心から図示右端部に向かって、ピッチP0で、電極E1R、E2R、E3Rがこの順に配列されている。
このように、本実施形態における7つの電極361bは、電極E0の線幅の中心線を対称軸として、線対称に配置されている。
図5に示すように、電極E1L、E2L、E3L、E1R、E2R、E3Rの平面視の形状は、電極E0と同一である。電極E1L、E2L、E3L、E1R、E2R、E3Rは、いずれも、電極E0と平行に配置される。電極E1L、E2L、E3L、E1R、E2R、E3Rの基材361aの短手方向における位置は、電極E0と異なっていてもよい。ただし、電極E0、E1L、E2L、E3L、E1R、E2R、E3Rは、基材361aの長手方向に延び、短手方向の幅Whの矩形状領域を、その短手方向に横断できる位置および長さに形成されている。
配線361gは、電極E3L、E1L、E1R、E3Rの長手方向(基材361aの短手方向)の端部を後述する定着電源150aに電気的に接続する。
定着電源150aは交流電源である。定着電源150aでは、端子T1(第1の端子)と端子T2(第2の端子)との間に振幅V、周波数fで振動する交流電圧が印加される。端子T1と端子T2とは、互いに反対の極性を持つ。
定着電源150aは、画像形成装置10においてどの位置に配置されていてもよい。本実施形態では、定着電源150aは、一例として、後述する定着制御回路150の一部として設けられている。
電極E0、E2L、E2Rは、配線361fによって定着電源150aの端子T1に配線されている。電極E1L、E1R、E3L、E3Rは、配線361gによって定着電源150aの端子T2に配線されている。
スイッチ361eは、スイッチS2L、S2R、S1、S3L、S3Rを持つ。
電極E2L、E2Rは、それぞれスイッチS2L、S2Rを介して端子T1と接続されている。スイッチS2L(S2R)は、電極E2L(E2R)と端子T1との電気接続をオン(ON)またはオフ(OFF)することができる。
電極E1L、E1Rは、スイッチS1を介して端子T2と接続されている。スイッチS1は、電極E1L、E1Rと端子T2との電気接続をオンまたはオフすることができる。
電極E3L(E3R)は、それぞれスイッチS3L(S3R)を介して端子T2と接続されている。スイッチS3L(S3R)は、電極E3L(E3R)と端子T2との電気接続をオンまたはオフすることができる。
各スイッチ361eのスイッチング動作は、後述する定着制御回路150によって個別に制御される。
各スイッチ361eの具体例としては、スイッチング素子、FET、トライアック、スイッチングICなどが挙げられる。
例えば、各スイッチ361eは、基材361aなどの定着装置36に配置される部材に一体化されていてもよい。例えば、各スイッチ361eは、定着装置36の外部に延出された配線361f、361g上に設けられてもよい。例えば、各スイッチ361eは、定着電源150aが配置された画像形成装置10の内部に配置されてもよい。
図5に示すように、発熱抵抗体361cの平面視形状は基材361aの長手方向に延ばされた帯状である。発熱抵抗体361cの平面視の短手方向の幅はWhである。
平面視では、各電極361bは、発熱抵抗体361cを短手方向に横断している。各電極361bは、長さWhの範囲で発熱抵抗体361cによって覆われている。
発熱抵抗体361cは、各電極361bのうち、基材361aの長手方向に互いに対向する電極対を互いに電気的に接続する。
図4に示すように、例えば、電極E0と電極E1Lとからなる電極対は、長さ約P0で幅Whの発熱抵抗体361cによって、互いに電気的に接続されている。基材361aの長手方向に互いに対向する他の電極対も同様である。
例えば、表面保護層361dは、一例として、Si3N4などで形成されてもよい。表面保護層361dの材質は、Si3N4には限定されない。
発熱抵抗体361cおよび表面保護層361dの積層体は、加熱部材361の発熱部を構成する。
図4に示すように、加熱部材361は、各電極対に挟まれる発熱抵抗体361cによって形成される6つの発熱領域R23L、R12L、R01L、R01R、R12R、R23Rを持つ。ここで、例えば、発熱領域R23Lは、電極E2L、E3Lによる電極対に挟まれる発熱抵抗体361cの領域である。
各発熱領域の大きさは、各電極対の配列間隔で決まる。本実施形態では、各電極361bは、一定のピッチP0で配列されるため、各発熱領域の大きさは互いに等しい。
ここで、ピッチP0は、画像形成装置10に通紙するシートPのシート幅に対応して決められている。
例えば、各電極361bの配列ピッチP0を54.5mmとする。このとき、電極E1L、E1Rの配置間隔L1は109mm、電極E2L、E2Rの配置間隔L2は218mm、電極E3L、E3Rの配置間隔L3は327mmである。
この場合、発熱領域R01L、R01Rを発熱させれば、ハガキサイズのシートPの定着が可能である。発熱領域R12L、R01L、R01R、R12Rを発熱させれば、CDジャケットサイズ、A5Rサイズ、B5Rサイズ、およびA4RサイズのシートPの定着が可能である。発熱領域R23L、R12L、R01L、R01R、R12R、R23Rを発熱させれば、B5サイズ、A4サイズ、およびA3RサイズのシートPの定着が可能である。
定着に必要な発熱領域の幅は、シート幅に対して、シートPの搬送精度、スキュー、および非加熱部分への熱の逃げを考慮した余裕を持つように設定する。ただし、シートP上の画像形成幅がシート幅よりも狭い場合には、定着に必要な発熱領域の幅は、画像形成幅に対して同様の余裕を持つように設定されてもよい。
図6は、第1の実施形態の画像形成装置10の制御系50の構成例を示すブロック図である。
ただし、図6では、見易さのため、添字Y、M、C、Kで区別される部材をこれらの添字を削除した符号でまとめて表している。例えば、感光体ドラム22は、感光体ドラム22Y、22M、22C、22Kを表す。帯電器23、現像器24、一次転写ローラ25、露光器19も同様である。
ROM120は、画像形成処理の基本的な動作を司る制御プログラムおよび制御データなどを記憶する。RAM121は、ワーキングメモリである。
ROM120(あるいはRAM121)は、例えば、画像形成部20、定着装置36等を制御する制御プログラムと、制御プログラムが使用する各種の制御データとを記憶する。本実施形態における制御データの具体例としては、シートPのサイズと発熱させる加熱部材361の発熱領域を選択するスイッチとの対応関係などが挙げられる。
入出力制御回路123は、オペレーションパネル14aおよび表示部14bを制御する。
給紙・搬送制御回路130は、本体11に含まれる駆動系を制御する。例えば、駆動系は、給紙ローラ35(図1参照)、搬送路のレジストローラ41(図1参照)を駆動するモータ群130aが含まれる。給紙・搬送制御回路130は、CPU100からの制御信号に基づいて給紙カセット18(図1参照)の近傍あるいは搬送路上の各種のセンサ130bの検知結果に基づいてモータ群130a等の駆動系を制御する。
画像形成制御回路140は、CPU100からの制御信号に基づいて感光体ドラム22、帯電器23、露光器19、現像器24、一次転写ローラ25、二次転写ローラ33をそれぞれ制御する。
定着制御回路150は、CPU100からの制御信号に基づいて定着装置36の駆動モータ360、加熱部材361、および温度検知部材362をそれぞれ制御する。
温度検知部材362は、定着ニップを形成する定着ベルト363(図3参照)の温度を直接的または間接的に検知する。温度検知部材362の具体例としては、サーミスタを挙げることができる。
温度検知部材362は、定着ベルト363の内側あるいは外側に配置されてもよい。温度検知部材362は、定着ベルト363に接触する加熱部材361の発熱部に配置されてもよい。
温度検知部材362の配置個数は限定されない。例えば、温度検知部材362を1つ配置する場合には、加熱部材361における幅L1(図4参照)に対応する範囲に配置する。
例えば、温度検知部材362を複数配置する場合には、温度検知部材362は加熱部材361の各発熱領域に一つずつ配置されてもよい。加熱部材361の発熱部の長手方向の温度分布は、電極E0を中心として略対称になる。そこで、温度検知部材362は発熱領域R01L、R12L、R23Lに対応する範囲にそれぞれ1つずつ、あるいは発熱領域R01R、R12R、R23Rに対応する範囲にそれぞれ1つずつ配置されてもよい。
図7は、第1の実施形態の画像形成装置10の印刷時の動作例を説明するフローチャートである。
ACT1では、画像形成装置10が画像データを読込む。画像データの読込みは、操作者がスキャナ部15を操作して、スキャナ部15に原稿を読み取らせることによって行ってもよい。あるいは、画像データは、I/F122を介して画像形成装置10に接続された通信回線を通して読込まれてもよい。
ACT2では、CPU100が印刷対象の用紙サイズを判定する。CPU100は、オペレーションパネル14aによる設定、スキャナ部15によって検出された原稿サイズ、あるいは外部装置からの制御信号に基づいて、印刷に用いるシートPの用紙サイズを判定する。
これにより、定着装置36を通過するシートPのシート幅が決まる。
以上で、ACT2が終了する。
CPU100は、シート幅と発熱領域との関係に基づいて、発熱させる発熱領域を選択する。
例えば、本実施形態におけるROM120には、用紙サイズと選択すべき発熱領域の対応が以下のように記憶されている。ハガキサイズの場合、発熱領域R01L、R01Rが選択される。CDジャケットサイズ、A5Rサイズ、B5Rサイズ、およびA4Rサイズの場合、発熱領域R12L、R01L、R01R、R12Rが選択される。B5サイズ、A4サイズ、およびA3Rサイズの場合、発熱領域R23L、R12L、R01L、R01R、R12R、R23Rが選択される。
以上で、ACT3が終了する。
定着制御回路150による定着温度制御は、CPU100が定着温度制御を終了させる制御信号を定着制御回路150に送出するまで継続して行われる。
給紙・搬送制御回路130は、CPU100からの制御信号に基づいて、印刷に用いるシートPを給紙カセット18から給紙する制御を行う。さらに、給紙・搬送制御回路130は、給紙ローラ35を駆動する。給紙ローラ35は、シートPの先端をレジストローラ41に突き当てた状態で停止する。
以上で、ACT5が終了する。
図8は、第1の実施形態の画像形成装置10の定着温度制御の動作例を説明するフローチャートである。図9は、第1の実施形態の加熱部材361の制御動作例を示す平面視の模式図である。
まず、ACT21が行われる。ACT21では、定着制御回路150は、CPU100から送出されたCPU100が選択した発熱領域の情報に基づいて、選択された発熱領域を挟む電極対に接続されたスイッチ361eをオンにする。
例えば、発熱領域R01L、R01Rを発熱させることが選択された場合、定着制御回路150は、スイッチ361eのうちスイッチS1をオンにし、その他をオフにする。
図9に示すように、電極E0は端子T1に導通している。スイッチS1がオンになることにより、電極E1L、E1Rは端子T2に導通する。電極E2L、E2R、および図示しない電極E3L、E3Rは、それぞれ端子T1、T2と非導通である。
電極E0と電極E1Lの間、および電極E0と電極E1Rの間に、それぞれ端子T1と端子T2との間の電位差に一致する電圧が印加される。電極E0と電極E1Lの間、および電極E0と電極E1Rの間には、それぞれ互いに逆方向に電流が流れる。この電流は、幅Wh、長さP0の発熱抵抗体361cの幅方向に略一様な大きさで流れる。
この電流によるジュール発熱によって、発熱領域R01L、R01Rの発熱抵抗体361cが発熱し始める。
本実施形態では、発熱領域の境界である電極E0の上に発熱抵抗体361cが積層されている。電極E0の上の発熱抵抗体361cは、電極E0の側方に比べると電流密度が低いため発熱自体は少なくなる。しかし、電極E0の線幅は、0.5mm以上3.0mm以下程度にすることができる。この結果、電極E0の上の発熱抵抗体361cは、周囲からの熱伝導によってすぐに温度上昇する。
これに対して、電極E0、E1L、および電極E0、電極E1R以外の電極対の間には電圧が印加されない。発熱領域R12L、R12R、R23L、R23Rでは発熱が起こらない。
発熱抵抗体361cは、電極E0を中心とする、幅Wh、長さL1(=2・P0)の矩形状の範囲で略均一に発熱する。
発熱領域R01L、R01R、R12L、R12R、R23L、R23Rを発熱させることが選択されている場合、定着制御回路150は、各スイッチ361eのすべてをオンにする。発熱抵抗体361cは、電極E0を中心とする、幅Wh、長さL3(=6・P0)の矩形状の範囲で略均一に発熱する。
定着制御回路150が定着温度制御終了信号を受信している場合(ACT22:YES、ACT29が行われる。
定着制御回路150が定着温度制御終了信号を受信していない場合(ACT22:NO)、ACT23が行われる。
温度検知部材362が定着ベルト363の温度を間接的に検知する場合は、定着制御回路150は、検出温度を定着ベルト363の定着ニップの温度に換算する。例えば、温度検知部材362の検出温度と定着ニップの温度との関係は、換算テーブルなどとして、予めROM120に記憶される。
温度検知部材362が複数配置されている場合、ACT23では、定着制御回路150は、選択された発熱領域の温度を検知する温度検知部材362による温度情報に基づいて、以下の動作を実行する。
以上で、ACT23が終了する。
所定の温度範囲は、シートPにトナー像を定着するための温度範囲として予め決められている。定着制御回路150の内部またはROM120に記憶されている。例えば、所定の温度範囲は、定着温度が150℃の場合、150℃±10℃の温度範囲とされてもよい。
検知温度が所定の温度範囲内の場合(ACT24:YES)、ACT25が行われる。
検知温度が所定の温度範囲外の場合(ACT24:NO)、ACT26が行われる。
ACT25の終了後、ACT22が行われる。
検知温度が所定の温度範囲の上限値を超えていると判定された場合(ACT26:YES)、ACT27が行われる。
検知温度が所定の温度範囲の上限値以下であると判定された場合(ACT26:NO)、ACT28が行われる。
ACT28では、上記ACT22において電圧印加開始された発熱領域への通電をオンにする。その後、ACT22が行われる。
このようにして、ACT22において定着温度制御終了信号が検知されるまでACT22からの動作を繰り返すことによって、定着制御回路150は発熱領域における通電のオンオフ制御を行う。この結果、選択された発熱領域の温度が所定の温度範囲に制御される。
ACT6では、定着制御回路150によって搬送許可信号がオンされたかどうかをCPU100が判定する。
搬送許可信号がオンの場合(ACT6:YES)、CPU100は、画像形成部20を制御する画像形成制御プログラムを実行される。これにより、画像形成制御が開始される。具体的には、まず、ACT7とACT10とが並行して行われる。
搬送許可信号がオフの場合(ACT6:NO)、ACT6が行われる。
このように、本実施形態では、定着ニップが定着温度に達して搬送許可信号がオンになるまでは、画像形成制御は開始されない。
画像形成制御回路140は、感光体ドラム22の表面に静電潜像を書込み(ACT8)、現像器24で静電潜像を現像する(ACT9)制御を行う。現像されたトナー像は、中間転写ベルト21によって二次転写位置に搬送される。
その後、画像形成制御回路140は、後述するACT11の制御を行う。
シートPの先端は、現像されたトナー像が中間転写ベルト21によって二次転写位置に移動するタイミングに合わせて二次転写位置に到達する。
トナー像およびシートPが転写部に到達するタイミングでACT11が開始される。
以上で、ACT11が終了する。
図3に示すように、シートPは、定着装置36の定着ベルト363とプレスローラ366との間に進入する。定着ニップは、シートPの用紙サイズに対応する発熱領域が所定の温度範囲に温度制御されている。シートPは、定着ニップを通過する間、加熱および加圧を受けることで、シートPにトナー像が定着される。
定着制御回路150による定着温度制御は、シートPが定着装置36を通過する間も、継続されている。この結果、定着ベルト363は、選択された発熱領域に対応する定着ニップにおいて所定の温度範囲を保つことができる。
一方、シートPが通過しない発熱領域では、定着ベルト363が加熱されないため、トナー像の定着に必要のない領域の加熱が抑制される。
シートP全体が定着ニップを通過すると、図示略のセンサ130bによってシートPの通過が検知される。ACT12が終了する。
印刷を終了するとCPU100が判定する場合(ACT13:YES)、ACT14が行われる。
印刷を継続するとCPU100が判定する場合(ACT13:NO)、ACT1が行われる。すなわち、印刷対象の画像データが残っている場合には、ACT1へ戻り、すべての印刷が終了するまで同様の処理を繰り返す。
定着制御回路150が定着温度制御終了信号を受信すると、図8のACT22から分岐してACT29が実行される。この結果、すべての発熱領域の通電がオフされ、定着温度制御が終了する。
ACT14が終了すると、画像形成装置10による印刷が終了する。
加熱部材361では、電極361bが基材361aの長手方向に対向している。基材361aの長手方向に互いに対向する電極361bの電極対は、定着電源150aの異なる極性に接続されている。この結果、各電極361b上に、発熱抵抗体361cを連続して配置することができる。加熱部材361において、隣り合う発熱領域との間にはギャップが不要となる。複数の発熱領域によって略矩形状の連続的な発熱領域が形成されるため、定着領域の温度分布のむらが抑制される。
図10は、比較例のヒータの制御動作例を示す平面視の模式図である。
本比較例のヒータである加熱部材96では、発熱領域R01L、R01Rに対応する発熱領域r01を加熱するため、基材361a上において電極e01、e02が基材361aの短手方向に対向して配置される。電極e01、e02の間には、発熱抵抗体361cと同じ材料からなる発熱抵抗体H0が配置されている。基材361aの長手方向において電極e01、e02、発熱抵抗体H0の幅は、いずれもD1である。
加熱部材96では、発熱領域R12L(R12R)に対応する発熱領域r12L(r12R)を加熱するため、基材361aの短手方向に電極e11L、e12L(e11R、e12R)が対向して配置される。電極e11L、e12L(e11R、e12R)の間には、発熱抵抗体361cと同じ材料からなる発熱抵抗体H1L(H1R)が配置されている。基材361aの長手方向において電極e11L、e12L(e11R、e12R)、発熱抵抗体H1L(H1R)の幅は、いずれもD2L(D2R)である。
電極e01、e11L、e11Rは、端子T1に電気的に接続される。
電極e02、e12L、e12Rは、それぞれスイッチS1、S2L、S2Rを介して、端子T2に電気的に接続される。
発熱領域r12L(r12R)と発熱領域r01との間には、発熱抵抗体が存在しない幅dのギャップが必要になる。
比較例において、シート幅がD1よりも広いシートPを通紙する場合、少なくともスイッチS1、S2L、S2Rをオンにする必要がある。この場合、発熱領域r12L、r01、r12Rが発熱する。しかし、発熱領域r12L(r12R)と発熱領域r01との間の幅dの領域は発熱しないため、発熱領域r12L(r12R)と発熱領域r01との間の幅dの領域は低温領域になっている。
このような比較例における電極配置では、複数の発熱領域を同時に発熱させる必要があるシートPの定着時に、隣り合う発熱領域の間の低温領域に起因する定着むらが発生する。
これに対して、本実施形態における加熱部材361の電極配置では、このような温度分布のむらに起因する定着むらの発生を防止できる。
第2の実施形態のヒータおよびそれを用いた定着装置について説明する。
図11は、第2の実施形態の画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。図12は、第2の実施形態の加熱部材461の構成例を示す長手方向の模式的な断面図である。図13は、第2の実施形態の加熱部材461の構成例を示す平面視の模式図である。ただし、図13では、見易さのため、表面保護層361dの図示は省略されている。
図3に示すように、定着装置46は、上記第1の実施形態における定着装置36の加熱部材361に代えて、加熱部材461(ヒータ)を持つ。
定着装置46では、複数の温度検知部材362(図3では図示略。図11参照)が定着ベルト363の内側、外側、および定着ベルト363に接触する加熱部材461の発熱部のいずれかに配置されている。複数の温度検知部材362は、加熱部材461の後述する各発熱領域に対応する範囲の温度検知が可能位置に、それぞれ1つずつ配置されている。ただし、本実施形態では、発熱領域R0L、R0Rの印加電圧は、後述する電圧調整部V1で制御されるため、発熱領域R0L、R0Rのいずれか一方に対応する範囲のみに、温度検知部材362が設けられている。
各温度検知部材362の検出出力は、定着制御回路151に送出される。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
定着装置46は、加熱部材461の各電極361bの配置が不等間隔である場合の例になっている。
本実施形態では、一例として、P1=77.7(mm)、P2=32.6(mm)、P3=45.7(mm)としている。
このような数値例の場合、電極E1L、E1Rの配置間隔L1は155.4mm、電極E2L、E2Rの配置間隔L2は220.6mm、電極E3L、E3Rの配置間隔L3は312mmである。
この数値例では、L1、L2、L3は、それぞれシート幅148mm、210mm、297mmに対して105%の長さになっている。
この場合、発熱領域R01L、R01Rが発熱されると、ハガキサイズ、CDジャケットサイズ、A5RサイズのシートPの定着が可能である。発熱領域R12L、R01L、R01R、R12Rが発熱されると、B5RサイズおよびA4RサイズのシートPの定着が可能である。発熱領域R23L、R12L、R01L、R01R、R12R、R23Rが発熱されると、B5サイズ、A4サイズ、およびA3RサイズのシートPの定着が可能である。
この数値例では、定着に必要な発熱領域の幅は、A5Rサイズ、A4Rサイズ、およびA4サイズ(A3Rサイズ)のシート幅に対して、それぞれ5%の余裕を持つように設定されている。この数値例は、A5Rサイズ、A4Rサイズ、およびA4サイズ(A3Rサイズ)を通紙する際に、より大きなサイズの通紙時に比べて、必要な余裕を含めてもより少ない発熱量で加熱する設定になっている。
以下では、特に断らない限り、電極配置が上記数値例の場合の例で説明する。
発熱抵抗体461cの幅は、電圧印加時に各発熱領域において必要な発熱量が得られる電気抵抗を持つように設定される。
上記数値例では、P1>P3>P2である。発熱抵抗体461cの電気抵抗率ρが一定、層厚T(図12参照)が一定、かつ各発熱領域R01L(R01R)、R12L(R12R)、R23L(R23R)に印加される電圧vが一定の場合、各発熱領域における電気抵抗rは各発熱領域の長さLに比例し、各発熱領域における発熱抵抗体461cの幅Wに反比例する。
例えば、発熱領域における長手方向における単位長さあたりの発熱量q(以下、「単位長さあたりの発熱量」と称する)は、次式(1)で表される。
この場合、v、T、ρが一定であれば、各発熱領域における単位長さあたりの発熱量は、各発熱領域における発熱抵抗体461cの幅、W1、W2、W3に比例する。W1=W2=W3であれば、単位長さあたりの発熱量は一定になる。
単位長さあたりの発熱量は、定着装置46における加熱部材461から定着ベルト363への伝熱効率に応じて、定着ニップの温度が必要な定着温度になるように設定されればよい。図13には、W1>W3>W2の場合の例が示されているがこれは一例である。W1、W2、W3の大きさは、適宜に設定可能である。
例えば、W1>W2>W3とされてもよい。この場合、単位長さあたりの発熱量は、発熱領域R01L(R01R)、R02L(R02R))、R03L(R03R)の順に小さくなる。このような設定によれば、加熱部材461の加熱能力は、発熱領域R01L(R01R)において最も高まるため、例えば、小サイズの連続通紙後の定着ベルト363の中心部における温度分布低下が抑制されやすくなる。
例えば、W1<W2<W3とされてもよい。この場合、単位長さあたりの発熱量は、発熱領域R01L(R01R)、R02L(R02R))、R03L(R03R)の順に大きくなる。このような設定によれば、加熱部材461の加熱能力は、発熱領域R03L(R03R)において最も高まるため、例えば、定着ベルト363の搬送直交方向の両端部における温度低下が抑制されやすくなる。
図13に模式的に示すように、電圧調整部461hは、電圧調整部V1、V2L、V2R、V3L、V3Rからなる。
電圧調整部V1は、端子T2から電極E1L、E1Rに印加される電圧を調整するために設けられている。電圧調整部V2L(V2R)は、端子T1から電極E2L(E2R)に印加される電圧を調整するために設けられている。電圧調整部V3L(V3R)は、端子T2から電極E3L(E3R)に印加される電圧を調整するために設けられている。
電圧調整部V1、V2L、V2R、V3L、V3Rは、電極E1L、E1R、E2L、E2R、E3L、E3Rに印加される電圧を定着制御回路151からの制御信号に基づいて変更する。
電圧調整部V1、V2L、V2R、V3L、V3Rは、電極E1L、E1R、E2L、E2R、E3L、E3Rに印加する電圧を連続的に変更してもよいし、段階的に変更してもよい。段階的な変更値は、2以上の適宜の数であってもよい。
電圧調整部V1、V2L、V2R、V3L、V3Rは単一の電子素子には限定されない。電圧調整部V1、V2L、V2R、V3L、V3Rは、複数の電気素子が含まれる電気回路によって構成されてもよい。
電圧調整部V1、V2L、V2R、V3L、V3Rは、それぞれの構成に応じて、配線361f、361g上の適宜の位置に接続される。図13には、一例として、可変抵抗型の構成を持つ場合の配置例が模式的に示されている。例えば、電圧調整部V1は、定着電源150aと電極E1L、E1Rとの間の配線361gの配線路中に直列に接続されている。電圧調整部V2L(V2R)は、定着電源150aと電極E2L(E2R)との間の配線361fの配線路中に直列に接続されている。電圧調整部V3L(V3R)は、定着電源150aと電極E3L(E3R)との間の配線361gの配線路中に直列に接続されている。例えば、電圧調整部V1、V2L、V2R、V3L、V3Rが変圧回路を含む構成であれば、図13と異なる部位に配線されてもよい。
電圧調整部V1、V2L、V2R、V3L、V3Rは、電極E1L、E1R、E2L、E2R、E3L、E3Rに印加される電圧を定着制御回路151からの制御信号に基づいて変更する。
定着制御回路151の具体的な制御機能については、後述の動作説明の中で説明される。
図14は、第2の実施形態の画像形成装置の定着温度制御の動作例を説明するフローチャートである。
ただし、図7におけるACT3では、CPU100は、本実施形態におけるシート幅と発熱領域との関係に基づいて、発熱させる発熱領域を選択する。
例えば、上述の電極の配置間隔の数値例では、ROM120には、用紙サイズと選択すべき発熱領域の対応が以下のように記憶されている。ハガキサイズ、CDジャケットサイズ、およびA5Rサイズの場合、発熱領域R01L、R01Rが選択される。B5Rサイズ、およびA4Rサイズの場合、発熱領域R12L、R01L、R01R、R12Rが選択される。B5サイズ、A4サイズ、およびA3Rサイズの場合、発熱領域R23L、R12L、R01L、R01R、R12R、R23Rが選択される。
さらに、本実施形態の画像形成装置40では、定着温度制御は、図14に示すフローにしたがって行われる。以下では、本実施形態における定着温度制御について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
まず、ACT31が行われる。ACT31は、上記第1の実施形態におけるACT21と同様な動作が行われる。本実施形態では、ACT31において電圧調整部461hの電圧設定値は、予め決められたデフォルトの値が用いられる。デフォルト値からの電圧の変化幅は、少なくも電極対への印加電圧を増大できるように設定される。
ただし、定着制御回路151が定着温度制御終了信号を受信している場合(ACT32:YES)、ACT41が行われる。
定着制御回路151が定着温度制御終了信号を受信していない場合(ACT32:NO)、ACT33が行われる。
各温度検知部材362が定着ベルト363の温度を間接的に検知する場合は、定着制御回路151は、検出温度を定着ベルト363の定着ニップの温度に換算する。例えば、各温度検知部材362の検出温度と定着ニップの温度との関係は、換算テーブルなどとして、予めROM120に記憶される。
ただし、定着制御回路151は、選択された発熱領域の温度を検知する温度検知部材362による温度情報に基づいて、以下の動作を実行する。
以上で、ACT33が終了する。
例えば、定着制御回路151は、検知温度のうちの最高温度と、各検知温度との温度差を算出する。定着制御回路151は、算出した温度差を予めROM120に記憶された温度差許容範囲と比較して、発熱領域ごとの温度差を判定する。
各温度差がすべて温度差許容範囲に入る場合(ACT34:YES)、ACT36が行われる。
各温度差のいずれかが温度差許容範囲に入らない場合(ACT34:NO)、ACT35が行われる。
例えば、発熱領域R01L、R01Rの温度が低すぎることによって、温度差が許容範囲に入らなかった場合には、定着制御回路151の制御によって、電極E0、E1L(E1R)の間の印加電圧がより増大される。
このとき、他の電極対への印加電圧を変える必要がない場合には、必要に応じて、他の電極対の印加電圧を保持するように、電圧調整部V2L、V2R、V3L、V3Rによる電圧が変更される。他の電極対への印加電圧を変える必要がある場合には、他の電極対の印加電圧をも変更される。
以上で、ACT35が終了する。ACT35の後は、ACT36が行われる。
所定の温度範囲は、上記第1の実施形態におけるACT24における温度範囲と同様とされる。
下限検知温度が所定の温度範囲内の場合(ACT36:YES)、ACT37が行われる。
下限検知温度が所定の温度範囲外の場合(ACT36:NO)、ACT38が行われる。
本実施形態では、電極の配置間隔が等間隔に限定されない。例えば、使用頻度が高い用紙サイズなどの特定の用紙サイズを通紙する際に、より大きなサイズの通紙時に比べて、必要な余裕を含めてもより少ない発熱量で加熱する設定が可能になる。この結果、画像形成装置40の平均的な電力使用量がより低減しやすくなる。
例えば、ハガキなどの厚紙が通紙されることによって、温度低下が起こりやすい発熱領域では、予め単位長さあたりの発熱量を高めておくことで、多数連続通紙しても定着ベルト363の温度低下が起こりにくくなる。この結果、温度低下による光沢ムラなどの画質への影響を低減できる。
例えば、画像形成装置40の内部の温度分布などの影響によって、定着ベルト363の温度低下が起こりやすい発熱領域では、予め単位長さあたりの発熱量を高めておくことで、多数連続通紙しても定着ベルト363の温度低下が起こりにくくなる。この結果、温度低下による光沢ムラなどの画質への影響を低減できる。
各電極へ印加電圧は、予めデフォルト値の設定することで、発熱領域ごとに変化させることができる。このため、各発熱領域における単位長さあたりの発熱量は、印加電圧の大きさによっても変更可能である。
例えば、各発熱領域における電気抵抗に応じて単位長さあたりの発熱量が異なる場合に、デフォルト値では、各発熱領域における単位長さあたりの発熱量を均一化することができる。
例えば、各発熱領域における電気抵抗に応じて単位長さあたりの発熱量の相違をさらに増大させるように、デフォルト値が設定されることも可能である。
このように、本実施形態の画像形成装置40では、各発熱領域における電気抵抗と印加電圧との組み合わせによって、各発熱領域における単位長さあたりの発熱量の設定自由度が増大される。
このため、種々のサイズ、厚さのシートPが混在して印刷が行われても、定着に使用される発熱領域における搬送直交方向における温度分布が安定化する。この結果、発熱領域ごとの温度バラツキによる定着ムラ、光沢ムラなどの発生が抑制される。
第3の実施形態のヒータおよびそれを用いた定着装置について説明する。
図15は、第3の実施形態のヒータの主要部の構成例を示す断面の模式図である。
定着装置56は、さらにヒータホルダ562を持つ。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
加熱フィルム563の外周面には弾性層がプレスローラ366との間に適宜幅の定着ニップを形成する弾性層が形成されてもよい。
さらに、加熱フィルム563の内周面と凸面561aとの間の摩擦係数は、トナー像が形成されて加熱フィルム563とプレスローラ366との間に進入するシートPの表面に対する摩擦係数よりも小さい。
さらに、ヒータホルダ562は、加熱部材561と接触する加熱フィルム563の内周面を、加熱部材561の近傍で略円弧状にガイドする。
例えば、ヒータホルダ562は、加熱部材561の発熱に対する耐熱性を持ち、かつ加熱フィルム563の内周面と摺動可能な樹脂材料で構成される。加熱フィルム563の内周面とヒータホルダ562との間の摩擦係数は、加熱フィルム563の外周面とプレスローラ366の表面との摩擦係数よりも小さい。
定着装置56は、定着ベルト363に代えた加熱フィルム563の駆動方式と、加熱部材561の表面に凸面561aが形成されることとが、定着装置36と異なる。しかし、シートPの用紙サイズに応じて、発熱領域を切り換えて定着を行えることは、上記第1の実施形態における定着装置36と同様である。
定着装置56は、上記第1の実施形態の画像形成装置10の定着装置36に代えて用いることができる。
第4の実施形態のヒータおよびそれを用いた定着装置について説明する。
図16は、第4の実施形態のヒータの構成例を示す平面視の模式図である。ただし、図16では、見易さのため、表面保護層361dの図示は省略されている。
図3に示すように、定着装置66は、上記第1の実施形態における定着装置36の加熱部材361に代えて、加熱部材661(ヒータ)を持つ。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
定着制御回路152は、各発熱領域の配置に基づいて、上記第2の実施形態の定着制御回路151と同様に発熱領域の発熱の選択が行われる点を除いて、上記第1の実施形態の定着制御回路150と同様に構成されている。
本実施形態では、発熱抵抗体361cの幅が各発熱領域において一定値Whであるため、単位長さあたりの発熱量は、各発熱領域において一定である。
本実施形態では、電極の配置間隔が等間隔に限定されない。例えば、使用頻度が高い用紙サイズなどの特定の用紙サイズを通紙する際に、より大きなサイズの通紙時に比べて、必要な余裕を含めてもより少ない発熱量で加熱する設定が可能になる。この結果、画像形成装置60の平均的な電力使用量がより低減しやすくなる。
第5の実施形態のヒータおよびそれを用いた定着装置について説明する。
図17は、第5の実施形態のヒータの構成例を示す平面視の模式図である。ただし、図17は、見易さのため、表面保護層361dの図示は省略されている。
図3に示すように、定着装置76は、上記第1の実施形態における定着装置36の加熱部材361に代えて、加熱部材761(ヒータ)を持つ。
給紙カセット78は、各種サイズのシートPを片側基準で収容する。例えば、各種サイズのシートPは、搬送方向に対して左側のシート端が定位置に位置合わせされる。
上記第1の実施形態の画像形成装置10は、シートPを中央基準で搬送するのに対して、画像形成装置70は、シートPを片側基準で搬送する点が異なる。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
電極E1、E4は、それぞれ、上記第1の実施形態の加熱部材461における電極E3L、E3Rと同様に構成、配置される。例えば、加熱部材661の長手方向における電極E1、E4の配置間隔は、上記第2の実施形態における電極E3L、E3Rの配置間隔と同様のL3(=2・(P1+P2+P3))である。
電極E2は、電極E1、E4の間において、電極E1に対する配置間隔がL2の位置に配置されている。ここで、L2は、上記第2の実施形態における電極E2L、E2Rの配置間隔と同様のL1(=2・P1)である。
電極E3は、電極E1、E4の間において、電極E1に対する配置間隔がL1の位置に配置されている。ここで、L1は、上記第2の実施形態における電極E1L、E1Rの配置間隔と同様のL2(=2・(P1+P2))である。
このような構成により、電極E1、E2の間には、長さL1の発熱領域R12が形成されている。電極E2、E3の間には、長さL2−L1の発熱領域R23が形成されている。電極E3、E4の間には、長さL3−L1の発熱領域R34が形成されている。各発熱領域における本実施形態の発熱抵抗体361cの幅は、上記第1の実施形態と同様、一定値Whである。
電極E2は、スイッチS2を介して端子T2と接続されている。スイッチS2は、電極E2と端子T2との電気接続をオンまたはオフすることができる。
電極E3は、スイッチS3を介して端子T1と接続されている。スイッチS3は、電極E3と端子T1との電気接続をオンまたはオフすることができる。
電極E4は、スイッチS4を介して端子T2と接続されている。スイッチS4は、電極E4と端子T2との電気接続をオンまたはオフすることができる。
各スイッチ361eのスイッチング動作は、後述する定着制御回路153によって個別に制御される。
具体的には、本実施形態におけるROM120には、用紙サイズと選択すべき発熱領域の対応が以下のように記憶されている。ハガキサイズの場合、発熱領域R12が選択される。CDジャケットサイズ、A5Rサイズ、B5Rサイズ、およびA4Rサイズの場合、発熱領域R12、R23が選択される。B5サイズ、A4サイズ、およびA3Rサイズの場合、発熱領域R12、R23、R34が選択される。
本実施形態におけるACT3では、CPU100は、用紙サイズに対応する発熱領域をROM120に記憶された上記情報に基づいて選択する。
本実施形態では、片側基準でシートPが搬送される場合に、例えば、使用頻度が高い用紙サイズなどの特定の用紙サイズを通紙する際に、必要な余裕を含めて最小限の発熱量で加熱する設定が可能になる。この結果、画像形成装置70の平均的な電力使用量がより低減しやすくなる。
第6の実施形態のヒータおよびそれを用いた定着装置について説明する。
図18は、第6の実施形態のヒータの構成例を示す断面の模式図である。
図3に示すように、定着装置86は、上記第1の実施形態における定着装置36の加熱部材361に代えて、加熱部材861(ヒータ)を持つ。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
絶縁層861jの層厚は限定されない。絶縁層861jは、後述する発熱抵抗体861cの厚さを長手方向にわたって変えるために用いることができる。この場合、絶縁層861jの層厚は、発熱抵抗体861cに必要な厚さが形成できるように適宜設定される。
図18に示す構成例では、絶縁層861jは、各電極の間を埋めるように配置されている。図18に示す構成例における絶縁層861jの層厚は、電極361bの厚さと同一である。このため、基材361aの表面には、電極361bと絶縁層861jからなる層厚一定の層状部が形成されている。
絶縁層861jの製造方法は特に限定されない。例えば、絶縁層861jの製造方法としては、材質に応じて適宜の成膜方法が用いられてもよい。
このような発熱抵抗体861cは、基材361a上に電極361bおよび絶縁層861jを形成した後、例えば、適宜の成膜方法によって、容易に製造される。
この場合、発熱抵抗体861cの厚さの変化による発熱量のムラが解消されるため、発熱領域の温度分布のムラが抑制される。
さらに、この場合、発熱抵抗体861cの表面の凹凸が抑制されるため、さらに表面保護層361dが積層された後の表面も平滑に形成される。表面保護層361dの表面の平面度が向上するため、定着ベルト363に対する加熱部材861の押圧力が均一になる。この結果、押圧状態の不均一性に起因する熱伝導のムラが抑制されるため、発熱領域内の温度分布の均一性が向上する。
この場合、絶縁層861jがないと電極361bの近傍における発熱抵抗体861cの厚さの変化が大きくなるおそれがある。このような厚さの変化が大きすぎると、不均一な温度分布が形成されるおそれがある。
あるいは、絶縁層861jがないと電極361bの近傍における発熱抵抗体861cの表面が盛り上がるおそれがある。この結果、発熱抵抗体861cの表目の平坦性が低下するおそれがある。
しかし、本実施形態では、電極361bを厚く形成した場合でも、その厚さに応じて絶縁層861jの厚さを変えるとで、発熱抵抗体861cの厚さの変化が抑制され、発熱抵抗体861cの表面の平坦性も確保される。
この場合、発熱抵抗体861cの幅が一定でも、発熱抵抗体861cの厚さが変化することによって、発熱領域における電気抵抗が変化する。
上述の第1、第3〜6の実施形態では、定着装置が電圧調整部461hを持たない場合の例で説明した。しかし、第1、第3〜6の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、電圧調整部461h、定着制御回路151を持つことで、印加電圧を変更できる構成が用いられてもよい。
Claims (5)
- 基材と、
前記基材の上において前記基材の長手方向に離間して3つ以上配置された電極と、
前記電極のうち前記長手方向に互いに対向する電極対を互いに電気的に接続する発熱抵抗体と、
前記電極対を互いに異なる極性となるように接続する配線と、
前記配線に接続されて電圧を印加する電極を選択するスイッチと、
を備える、ヒータ。 - 前記配線に接続され、前記電極対のうちの少なくとも1つの電極対に印加される電圧を、制御信号に基づいて変更する電圧調整部をさらに備える、
請求項1に記載のヒータ。 - 前記電極対の前記長手方向における距離は、前記電極対のうち2対以上の電極対の間で互いに異なる、
請求項1または2に記載のヒータ。 - 基材と、
前記基材の上において前記基材の長手方向に離間して3つ以上配置された電極と、
前記電極のうち前記長手方向に互いに対向する電極対を互いに電気的に接続する発熱抵抗体と、
前記電極対を互いに異なる極性となるように接続する配線と、
前記配線に接続されて電圧を印加する電極を選択するスイッチと、
前記スイッチの動作を制御する定着制御部と、
を備える、画像形成装置。 - 基材と、
前記基材の上において前記基材の長手方向に離間して3つ以上配置された電極と、
前記電極のうち前記長手方向に互いに対向する電極対を互いに電気的に接続する発熱抵抗体と、
前記電極対を互いに異なる極性となるように接続する配線と、
前記配線に接続されて電圧を印加する電極を選択するスイッチと、
前記配線に接続され、前記電極対のうちの少なくとも1つの電極対に印加される電圧を、制御信号に基づいて変更する電圧調整部と、
前記発熱抵抗体の発熱によって加熱される定着ベルトと、
搬送直交方向における複数の位置で前記定着ベルトの温度を検知する温度検知部材と、
シートサイズに応じて前記長手方向の発熱領域を選択し、前記発熱抵抗体のうちb前記発熱領域に対応する発熱抵抗体に通電されるように前記スイッチの動作を制御し、前記発熱領域における温度を検出する前記温度検知部材の検知出力が閾値以下になった場合に、通電された前記発熱抵抗体が接続された前記電極対への印加電圧を前記電圧調整部によって増加させる定着制御部と、
を備える、画像形成装置。
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