JP2017226195A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット記録装置において、インクの浸透性が低いもしくは無い記録媒体に記録を行う場合でも、生産性の低下を抑制する記録モードを設定することを可能とする。
【解決手段】インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して走査し当該記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置は、所定領域の記録を完成させるための記録ヘッドの走査回数をモード要素として含む、複数の異なる記録モードそれぞれの前記所定領域の記録を完成するのに要する時間を取得する時間取得部と、複数の記録モードそれぞれで、記録媒体のインク吸収特性を判断するためのテストパターンを記録するテストパターン記録部と、取得した時間およびインク吸収特性の判断情報に基づいて、記録モードを設定する設定部と、を具える。
【選択図】図8

Description

本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関し、詳しくは、記録に用いる記録媒体の特性に適した記録モードを設定する技術に関する。
インクジェット記録装置の用途は多様になりつつあり、屋外/POPポスターや施設サイン、ディスプレイなど掲示用途や、商業・出版印刷などの用途がある。この用途の広がりに応じて用いる記録媒体も様々な種類がある。例えば、印刷用塗工紙である印刷本紙や、壁紙やターポリンなどに用いられる塩ビシートが記録媒体として用いられる。これらの記録媒体は、一般の記録で用いられる用紙などの記録媒体と較べてインクの浸透性が低い、あるいは浸透性が無いなどの特性を有している。
特許文献1には、テストパターンを記録し、その測定結果に基づいて、所定の領域の記録を完成させるのに必要な、記録ヘッドの走査回数(以下、単に、「パス数」ともいう)やインクの打ち込み量の記録モードを選択することが記載されている。これにより、インク浸透性などの特性が予め分からない記録媒体にも適切な記録モードで記録を行うことを可能としている。
特開2011−126126号公報
しかしながら、特許文献1に開示される記録モードの選択によれば、浸透性が比較的低いもしくは無い、印刷本紙や塩ビシートなどの記録媒体に記録する場合の記録モードは、パス数が極めて多いものとなり、記録物が完成するまでに要する時間(以下、「生産性」またはスループットともいう)が低下するという問題がある。特に、サイズの比較的大きい記録媒体に記録媒体に記録する場合に、この問題は特に顕著になる。
本発明は、上記課題を解決するものであり、インクの浸透性が低いもしくは無い記録媒体に記録を行う場合でも、生産性の低下を抑制する記録モードを設定可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して走査し当該記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置であって、所定領域の記録を完成させるための記録ヘッドの走査回数をモード要素として含む、複数の異なる記録モードそれぞれの前記所定領域の記録を完成するのに要する時間を取得する時間取得手段と、前記複数の記録モードそれぞれで、記録媒体のインク吸収特性を判断するためのテストパターンを記録するテストパターン記録手段と、取得した前記時間および前記インク吸収特性の判断情報に基づいて、記録モードを設定する設定手段と、を具えたことを特徴とする。
以上の構成によれば、インクジェット記録装置において、インクの浸透性が低いもしくは無い記録媒体に記録を行う場合でも、生産性の低下を抑制する記録モードを設定することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の主要な構成を模式的に示す平面図である。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置に搭載される制御系の構成を示すブロック図である。 図1および図2に示す記録ヘッド3の吐出口列を模式的に示す図である。 一実施形態で使用するインクの表面張力を示す図である。 (a)および(b)は、ブリード現象を説明する図である。 ブリード現象によって画像弊害が生じた画像の様子を模式的に示す図である。 (a)および(b)は、記録媒体の幅が異なる各種記録サイズにおける、記録パス数およびウェイト時間と生産性との関係を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る記録モード設定処理を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る記録モードの候補となる記録パス数とウェイト時間の組み合わせに対する生産性を示す図である。 第1実施形態で記録するテストパターンを模式的に示す図である。 第1実施形態に係る、総ての記録モードの候補ごとに記録されたテストパターンを模式的に示す図である。 第1実施形態に係る、(a)および(b)は、記録モードの候補を選択するための液晶パネルを模式的に示す図である。 第1実施形態に係る、記録モードの候補ごとのテストパターンの判定結果およびステップS802で算出した生産性を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る記録モード設定処理を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る、記録モードごとの生産性とテストパターンの記録順序を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る記録モード設定処理を示すフローチャートである。 (a)および(b)は、本発明の第4実施形態に関する、2つの記録媒体の幅についての記録パス数および主走査速度と生産性との関係を示す図である。 第4実施形態に係る記録モード設定処理を示すフローチャートである。 第4実施形態に係る、記録モードごとの生産性とテストパターンの記録順序を示す図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の主要な構成を模式的に示す平面図である。図1において、記録装置本体1は、記録媒体の搬送機構(図示せず)や以下に説明する各種の機構部を備えている。これら機構部を備えた記録装置本体1と、この本体に搭載された、図2にて後述される制御部とを有してインクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」と称す)が構成されている。本実施形態に示す記録装置は、搬送機構によって記録媒体をY方向(副走査方向)へと間欠的に搬送する一方、記録ヘッド3をY方向と直交するX方向(主走査方向)へと移動させながら記録動作を行う、いわゆるシリアル型の記録装置である。図1に示す記録装置本体1は、比較的大判の記録媒体(例えば、A0サイズ)に対して記録を行い得るよう、X方向におけるサイズを大型化した構成である。
キャリッジ2は、記録ヘッド3を搭載し、ガイド軸4に沿って移動することができる。すなわち、キャリッジ2は、X方向に沿って配置されたガイド軸4に沿って移動可能に支持されるとともに、ガイド軸4と略平行に移動する無端ベルト5に固定されている。そして、無端ベルト5は、キャリッジモータ(CRモータ;不図示)の駆動力によって回転移動し、それによって、キャリッジ2をX方向およびその逆方向(主走査方向)に往復移動させる。さらに、キャリッジ2には、記録媒体に対して、キャリッジ2を昇降させるキャリッジ昇降機構8および記録媒体や濃度を検出するための濃度センサ9を備えている。キャリッジの移動範囲には、エンコーダフィルム6が配設され、キャリッジ2に設けられたエンコーダセンサがこれを検出することにより、キャリッジ2(記録ヘッド3)の位置などを検知することができる。
また、記録装置本体1は、記録ヘッド3の各吐出口からのインク吐出性能を良好な状態に保つための回復処理装置を備える。この回復処理装置は、記録装置本体1の所定の位置に設けられており、吸引回復機構71と、ワイピング回復機構72と、予備吐出インク受容箱73などを備えている。
図2は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置に搭載される制御系の構成を示すブロック図である。図2において、主制御部200は、インターフェース回路216を介してホストコンピュータ217と接続している。この主制御部200は、演算、制御、判断、及び設定などの処理動作を実行するCPU201と、このCPU201によって実行すべき制御プログラム等を格納するROM202と、データを一時的に格納するRAM203と、入出力ポート204などを備える。RAM203は、インクの吐出/非吐出を表す2値の記録データを格納するバッファおよびCPU201による処理のワークエリア等として用いられる。
入出力ポート204には、搬送ユニットにおけるキャリッジモータ(CRモータ)211の駆動回路205と、搬送モータ(LFモータ)212を駆動する駆動回路206と、記録ヘッド3を駆動する駆動回路207とが接続されている。さらに、入出力ポート204には、回復処理装置71、72、73、キャリッジ昇降機8などの各駆動回路208、209がそれぞれ接続されている。また、記録媒体上の記録濃度を検出する濃度センサ9、周辺環境の温度および湿度を検出する温湿度センサ(検出手段)214、キャリッジ2に固定されたエンコーダセンサ215などのセンサ類や、各種本体状況を表示・入力する液晶パネル10も入出力ポート204に接続されている。キャリッジ2の位置は、上述のとおり、キャリッジ2の移動に伴ってエンコーダセンサ215から出力されるパルス信号を主制御部200でカウントすることにより検出される。すなわち、エンコーダセンサ215は、主走査方向に沿って配置されたエンコーダフィルム6に一定の間隔で形成された検出部を検出することによってパルス信号を主制御部200へ出力する。主制御部200はこのパルス信号をカウントすることにより、キャリッジ2の位置を検出する。キャリッジ2のホームポジションおよびその他の位置への移動は、エンコーダセンサ215からの信号に基づいて行われる。
以上の図1、図2に示した構成を有するインクジェット記録装置では、先ず、ホストコンピュータ217からインターフェースを介して記録データを受信すると、その記録データはRAM203のプリントバッファに展開される。そして、記録動作が指示されると、キャリッジ2は、キャリッジモータ(図示せず)および無端ベルト5により、搭載している記録ヘッド3をガイド軸4に平行に往復移動させる。この往復移動の間に、記録ヘッド3はノズルからインクを吐出し、ノズル幅分の画像を記録する。次いで、記録媒体を一定量副走査方向に搬送する。この記録ヘッド3による記録動作と、副走査方向への記録媒体の搬送動作の繰り返えすことによって画像が記録される。
図3は、図1および図2に示す記録ヘッド3の吐出口列を模式的に示す図である。本実施形態の記録ヘッド3は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの6種類のインクに対応したそれぞれの吐出口列31〜36を備えている。それぞれの吐出口列は、インクの種類ごとの基板などからなるチップに形成されたものである。それぞれの吐出口列は、1200dpi(ドット/インチ)の密度で1280個の吐出口を千鳥状に配列したものである。
記録ヘッド3における吐出口列におけるそれぞれの吐出口に連通する液室には、吐出に利用されるエネルギーを発生させるエネルギー発生素子(以下、記録素子ともいう)が配置されている。このエネルギー発生素子として、本実施形態では、インクを局所的に加熱して膜沸騰を生じさせ、その気泡の圧力によってインクを吐出させる電気熱変換体が用いられている。なお、エネルギー発生素子はこの形態に限定されるものではなく、例えば、電気機械変換素子を用いることも可能である。
次に、本実施形態で用いるインクの組成について説明する。以下、「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り、質量基準である。
<ブラックインク>
(1)分散液の作製
まず、アニオン系高分子P−1[スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(重合比(重量比)=30/40/30)酸価202、重量平均分子量6500]を準備した。これを、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な10質量%ポリマー水溶液を作製した。
上記ポリマー溶液を600g、カーボンブラックを100gおよびイオン交換水を300g、を混合し、機械的に所定時間撹拌した後、遠心分離処理によって、粗大粒子を含む非分散物を除去してブラック分散液とする。得られたブラック分散液は、その顔料濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記ブラック分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルターにて加圧濾過し、顔料濃度5質量%の顔料インクを調製した。
上記ブラック分散液 50部
ゾニールFSO−100(デュポン株式会社製) 0.05部
グリセリン 10部
トリエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
トリエタノールアミン 0.5部
イオン交換水 残部
<シアンインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸とを原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作製した。
上記のポリマー溶液を200g、C.I.ピグメントブルー15:3を100gおよびイオン交換水を700g、を混合し、機械的に所定時間撹拌した後、遠心分離処理によって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とした。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルターにて加圧濾過し、顔料濃度2質量%の顔料インクを調製した。
上記シアン分散液 20部
ゾニールFSO−100(デュポン株式会社製) 0.05部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
トリエタノールアミン 0.5部
イオン交換水 残部
<マゼンタインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作製した。
上記ポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を800g、を混合し、機械的に所定時間撹拌した後、遠心分離処理によって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とした。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルターにて加圧濾過し、顔料濃度4質量%の顔料インクを調製した。
上記マゼンタ分散液 40部
ゾニールFSO−100(デュポン株式会社製) 0.05部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
トリエタノールアミン 0.5部
イオン交換水 残部
<イエローインク>
(1)分散液の作製
まず、前記アニオン系高分子P−1を、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な10質量%ポリマー水溶液を作製した。
上記ポリマー溶液を300g、C.I.ピグメントイエロー74を100gおよびイオン交換水を600gを混合し、機械的に所定時間攪拌した後、遠心分離処理によって粗大粒子を含む非分散物を除去してイエロー分散液とした。得られたイエロー分散液は、その顔料濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
以下の成分を混合し、十分に攪拌して溶解・分散後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルターにて加圧濾過して、顔料濃度4質量%の顔料インクを調製した。
上記イエロー分散液 40部
ゾニールFSO−100(デュポン株式会社製) 0.05部
グリセリン 9部
エチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 1部
トリエタノールアミン 0.5部
イオン交換水 残部
<ライトシアンインク>
(1)分散液の作製
前記シアンインクについて説明したのと同様の原料および作製方法により、顔料濃度が10質量%のシアン分散液を作製した。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルターにて加圧濾過し、顔料濃度0.4質量%の顔料インクを調製した。
上記シアン分散液 4部
ゾニールFSO−100(デュポン株式会社製) 0.025部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
トリエタノールアミン 1.0部
イオン交換水 残部
<ライトマゼンタインク>
(1)分散液の作製
前記マゼンタインクについて説明したのと同様の原料および作製方法により、顔料濃度が10質量%のマゼンタ分散液を作製した。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルターにて加圧濾過し、顔料濃度0.8質量%の顔料インクを調製した。
上記マゼンタ分散液 8部
ゾニールFSO−100(デュポン株式会社製) 0.025部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
トリエタノールアミン 1.0部
イオン交換水 残部
本実施形態で使用するインクの特徴として、ブリード現象の問題を解決するためにフッ素系界面活性剤の量を調整している点があげられる。一般的に界面活性剤は、インクジェット専用の記録媒体に対するインクの浸透性を向上させる目的のために、浸透剤として使用される。界面活性剤の添加量が多いほどインクの表面張力を低下させる性質が強くなり、記録媒体に対するインクの濡れ性と浸透性が向上する。その中でも、フッ素系界面活性剤は、少ない添加量で優れた界面活性効果を発揮する。そのため、より低い表面張力と優れた濡れ性を実現する。本実施形態では、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクにはFSO−100を0.05質量%、ライトシアンインク、ライトマゼンタインクにはFSO−100を0.025質量%添加している。いずれも表面張力は約27〜29dyn/cmである。これは、印刷本紙や塩ビシートのような水系インクの浸透性がかなり低い/無い記録媒体に表面張力の高いインクを用いると記録媒体の表面でインクが広がり難いため、ビーディング現象などの画像弊害がより顕著に発生するからである。したがって、浸透性がかなり低い/無い記録媒体に用いるインクの好ましい表面張力としては、30dyn/cm以下のインクである。
図4は、上述した本実施形態で使用するインクの表面張力を示す図である。ここで、ライトシアンインクとライトマゼンタインクに添加したFSO−100が他のインクと比較し0.025質量%と少ないにもかかわらず表面張力が低い理由は、ライトシアンインクとライトマゼンタインクは他のインクと比較し色材量が少ないためである。
<印刷本紙>
本発明の一実施形態に係る記録装置で用いる記録媒体の1つである印刷本紙について次に説明する。印刷本紙は、インクジェット記録専用紙に比べ、水系インクの浸透性が非常に低いものである。印刷本紙は、オフセット印刷において実際に本刷りに使用して製品(商品)にする際に用いられる(本物の)記録媒体である。紙の記録媒体である用紙は、パルプを原料としたものであり、その状態のままで使用するのが非塗工紙、用紙の表面を白色顔料などで滑らかにコーティングしたものが塗工紙である。インクジェット記録においては、塗工紙の方がインク溢れによる画像弊害と乾燥弊害が顕著に現れ易い。塗工層は、パルプ間の隙間の液体吸収性を制限し水性ペンのにじみを防ぐサイズ剤(合成樹脂など)と、不透明度・白色度・平滑度などを向上させる填料(カオリンなど)と、紙力増強剤(デンプンなど)などの混合塗料を数〜40g/m2前後塗工したものである。塗工紙の平均毛細管孔の半径は約0.06μmを中心に正規分布しており、多数の毛細管によって水分を浸透させている(毛細管現象)。しかし、その細孔容積がインクジェット記録専用紙と比べ非常に小さいために水系インクの浸透性が低く、用紙表面でインクが溢れて画像弊害と乾燥弊害が現れ易い。
本実施形態では、水系インクの浸透性が低い塗工紙の一つであるOKトップコート+EF紙(王子製紙株式会社製、坪量157.0g/m^2)を用いている。
<塩ビシート>
次に、一実施形態に係る記録装置で用いられる記録媒体の他の1つである塩ビシートについて説明する。塩ビシートは、インクジェット記録専用紙に比べ、全く浸透性が無いものである。この塩ビシートは、塩化ビニル樹脂を主原料として可塑剤を加えて製造された柔らかいシートであり、グラビア印刷、スクリーン印刷などでの印刷性とエンボス性(型押しによる凹凸模様付け)に優れている。これらの組み合わせにより多様な表現が可能となるため、ターポリン、帆布、壁紙など多くの製品に用いられている。塩化ビニル樹脂が主原料のため、水系インクの浸透性が全く無く、用紙表面でインクが溢れて画像弊害と乾燥弊害が顕著に現れる。
<浸透性の評価>
記録媒体に対するインクの浸透性を評価する方法として、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.51の『紙及び板紙の液体吸収性試験方法』に記載されたブリストー法がある。その概要は次の通りである。
一定量のインクを所定の大きさの開口スリットを有する保持容器に注入し、スリットを介して、短冊状に加工し円盤に巻きつけられた記録媒体と接触させ、保持容器の位置を固定したまま、円盤を回転させ記録媒体に転移するインク帯の面積(長さ)を測定する。インク帯の面積から単位面積辺りの転移量(ml/m2)を算出することができ、この転移量(ml/m2)は所定時間に記録媒体に吸収されたインク容量を示す。ここで所定時間は、転移時間として定義される。転移時間(ミリ秒^1/2)は、スリットと記録媒体の接触時間に相当し、円盤の速度と開口スリットの幅から換算される。
一般的な印刷塗工紙についてブリストー法により水系インクに対する転移量を測定したところ、転移時間1秒における転移量は20ml/m2より小さく、特に、OKトップコート+EF紙では10ml/m2よりも若干小さい値が得られた。
本実施形態は、この印刷塗工紙のようなインク浸透性の低い記録媒体(低吸収性記録媒体)に対してより好適であると言える。但し、インクジェット専用紙のブリストー法による転移量は30ml/m2以上を示すものが多いが、中には転移量の20ml/m2より低いものもあり、このような記録媒体はインクジェット専用紙ではあるものの低吸収性記録媒体であると言える。すなわち、印刷塗工紙に限らず低吸収性記録媒体であれば、一般的な記録媒体に対しても、本発明を用いることで効果が得られる。
<ブリード現象>
インク浸透性の比較的低いあるいは浸透性の無い記録媒体において顕著に現れ得る画像弊害の1つとしてブリード現象が知られている。ブリード現象、一般的には、記録媒体上の一滴もしくは複数のインク滴が浸透する前の液体状態として存在している間に、他のインク滴が接触して一方のインク滴に他方の色材が混ざり、色材の異なるインク滴の境界部分が混色する現象である。このようにブリード現象は、画像の色と柄(配色の位置)を変えてしまう。
図5(a)および(b)は、ブリード現象を説明する図であり、図5(a)は記録媒体上のインク滴を上から見た図、図5(b)は横から見た図をそれぞれ示している。これらの図は、インクを吸収しない記録媒体としてのガラス上に、表面張力に差のある2種類のインクをスポイトによりインク滴の縁が接触するように同時に滴下した状態を示している。記録媒体のインク吸収量やインク吸収速度には記録媒体の種類ごとに限界がある。従って、限界を超える量のインクを吸収させようとすると、複数のインクドットが記録媒体上に吸収される前に液体状態で存在し、それらが接触すると表面張力の低い液滴側から表面張力の高い液滴側にインクの流れ込みが生じる。これは、界面エネルギーの差を均一にしようと働くためで、界面エネルギーの低いインク(表面張力の低いインク;イエローインク)が界面エネルギーの高いインク(表面張力の高いインク;シアンインク)に覆いかぶさるように、短時間で流れ込みが生じる。これを、ブリード現象、あるいは、色材の異なる色間の“滲み”と呼ぶ。
図6は、ブリード現象によって画像弊害が生じた画像の様子を模式的に示す図である。同図は、シアンインクによる画像Aとイエローインクによる画像Bとが隣接する画像を、OKトップコート+EF紙にマルチパス記録によって記録しインクが定着し乾燥した後の様子を上から見た図を示している。画像データ上のイエローインクとシアンインクの境界線からイエローインクが滲むようにシアンインクの画像A側へと流れ込み、混色している様子が分かる。上述したように、シアンインクとイエローインクの表面張力は約28〜29dyn/cmである。これは、インクジェット専用紙では高浸透性を示し、ブリード現象が略発生しないように調整した値であり、詳しくは図4に示す通り、シアンインクは29.2dyn/cm、イエローインクは28.0dyn/cmである。OKトップコート+EF紙などのインク浸透性の低い記録媒体ではこの僅かな差によって、ブリード現象が発生することがある。ここで、マルチパス記録は、所定の領域に対して複数回の記録ヘッドの走査を行い、その領域の記録を完成するものである。
ブリード現象は、単位面積(所定領域)の画像を完成させるための記録ヘッドの走査回数(以下、記録パス数とも言う)と、走査の方向を切り替える際の時間間隔(以下、ウェイト時間とも言う)を制御することによって抑制することができる。走査回数が多いほど、1回の走査中に記録ヘッドから記録媒体の単位面積に付与(吐出)されるインク量が減るため、インク滴が浸透する前の液体状態として存在している間に隣接したインク滴と接触する確率が減少する。これによってブリード現象を抑制できる。また、ウェイト時間が長いほどそれまでの走査で付与(吐出)されたインク滴の浸透時間を持つことが出来る。これにより、次の走査中に付与されるインク滴が前回までの走査で記録されたインク滴と接触しても、ブリード現象が発生しづらくなる。ブリード現象を抑制するために必要な記録パス数とウェイト時間は、記録媒体のインク吸収量やインク吸収速度によって決まるため、記録媒体によって大きく異なる。一方、記録パス数とウェイト時間の両方を大きくするほど、生産性が低下する。このため、単純に記録パス数やウェイト時間に大きな値を設定することは好ましくない。従って、本発明の実施形態は、記録媒体の種類に応じて、ブリード抑制が可能な記録モードの組み合わせのうち、生産性が最も高い(時間が最も短い)記録モードを設定する。
<生産性(スループット)>
図7(a)および(b)は、記録媒体の幅が異なる各種記録サイズにおける、記録パス数およびウェイト時間と生産性との関係を示す図であり、ブリードを抑制することができる記録サイズおよびウェイト時間の組に対する生産性を示している。図7(a)に示すように、記録幅の比較的小さいA1サイズ(記録幅:594mm、記録長さ841mm)においては、パス数が多くウェイト時間の短い、記録パス数32パス、ウェイト時間0秒の記録モード(以後、“32パス/ウェイト0秒”と表記する)の生産性が最も高く、パス数が少なくウェイト時間の長い8パス/ウェイト2秒の生産性が最も低い。一方、図7(b)に示すように、記録幅の比較的大きい特殊サイズ(記録幅:2642mm、記録長さ3725mm)においては、パス数が少なくウェイト時間の長い8パス/ウェイト2秒の生産性が最も高く、パス数が多くウェイト時間の短い32パス/ウェイト0秒の生産性が最も低い。このように、記録媒体の幅が小さいほど、走査時間に占めるウェイト時間の割合が大きくなるため、ウェイト時間が大きな記録モードの方が生産性が低くなる。以上から、本発明の実施形態は、記録媒体の種類によって大きく異なるブリード現象を抑制するための記録モードを設定する際には、記録幅によって変動する生産性を考慮して決定する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、インク吸収特性の1つであるブリードを判定するテストパターンを、記録モードを変更して記録し、テストパターンの状態に基づいて記録モードを設定する。図8は、本発明の第1実施形態に係る記録モード設定処理を示すフローチャートである。なお、本実施形態の記録装置では、記録モードの設定は、ユーザーが初めて使用する記録媒体(種類・幅)に対して実施すれば良く、一度、記録モードを設定した記録媒体(種類・幅)については、改めて記録モードを設定する必要はない。
本処理が開始されると、先ず、ステップS801で、インクジェット記録装置で用いられる、記録モード設定の要素となる記録媒体の幅を設定する(記録幅取得)。本実施形態では、記録媒体の幅は、濃度センサ9(図1)を主走査方向に走査することによって検出する。具体的には、記録媒体の白地を読み取った場合には反射光量が高くなり、記録媒体が無い搬送ユニットの部材を読み取った場合には反射光量が低くなることから、この反射光量の分布から、記録媒体の幅を検出、設定する。一例として、記録媒体の幅が841mmと設定される。なお、記録媒体の幅は、本実施形態のように濃度センサを用いて設定する方法に限定されず、給紙時にユーザーが液晶パネルから入力する、ホストコンピューターに表示された候補から選択する、等の方法でもよい。
次に、ステップS802で、ステップS801で設定した記録幅の情報に応じて、生産性を算出する。すなわち、記録モードの候補となる記録パス数とウェイト時間の総ての組み合わせについて、ステップS801で設定された記録媒体の幅841mmに対応させて、生産性を算出する。本実施形態では、単位面積の記録を完成するのに要する時間として生産性を算出するものであり、以下の計算式に従って算出している。
(記録媒体の幅841mm÷1016mm/sec+主走査方向の反転に必要な加速または減速の時間0.2sec+ウェイト時間:sec)×記録パス数
ここで、1016mm/secは記録ヘッドの走査速度である。
図9は、上記計算式に従って算出された、記録モードの候補となる、モード要素としての記録パス数とウェイト時間の組み合わせに対する生産性を示す図である。図9に示すように、記録媒体の幅が841mmの場合の、記録パス数とウェイト時間の組み合わせからなる各記録モード候補について、生産性が算出される。なお、生産性としての時間の取得は算出によるものに限定されない。例えば記録幅を含む記録モード候補それぞれの時間を予め求め、これをテーブルとして用意してもよい。そして、テーブルを参照し生産性として時間取得をしてもよい。
次に、ステップS803で、図9に示す組み合わせによる記録モードの総てで、テストパターンを記録する。図10は、記録するテストパターン10を模式的に示す図である。このテストパターンにおいてブリードを判断する。
テストパターン10は、主走査方向に並んだ複数のパターンから構成される。1つのパターン101における領域101Kは、主走査方向1200dpiと副走査方向1200dpiの格子からなる領域に、1ドットの割合でブラックインクを記録したものである。同じパターン101の領域101Cは、同様にシアンインクを記録している。領域101Kと領域101Cは隣接して配置されており、このパターン101によってブラックインクとシアンインクのブリードを判定することができる。なお、パターンとしての条件は、領域101Kと101Cが隣接していることである。また、縦方向及び横方向でそれぞれ隣接しているほうがより好ましい。一般に、シリアルスキャンの記録装置において主走査方向(図10の横方向)におけるドットの着弾精度は、副走査方向(図10の縦方向)と比較して乱れる。従って、縦方向および横方向それぞれにテストパターンを隣接させて、ブリードの判定を行うことでブリード判定の精度が向上する。なお、領域は101Kと領域101Cが隣接していることが条件であって、図10に示したようなパターンに限定されるものではない。
同様に、パターン102は、ブラックインクで記録した領域102Kと、マゼンタインクで記録した領域102Mからなり、パターン103は、ブラックインクで記録した領域103Kとイエローインクで記録した領域103Yとからなる。同様に、パターン104は、シアンインクで記録した領域104Cとマゼンタインクで記録した領域104M戸からなり、パターン105は、シアンインクで記録した領域105Cとイエローインクで記録した領域105Yからなる。また、パターン106は、マゼンタインクで記録した領域106Mとイエローインクで記録した領域106Yとからなる。それぞれのパターンで、隣接したインク間のブリードを判定することができる。なお、本実施形態では、ブリードを判定する組み合わせを、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクといった、ブリードが目立つインクに限定した。しかし、これに限られず、フォトシアンインク、フォトマゼンタインクとの組み合わせについても判定するようにしてもよい。また、ブリードの判定だけでなく、ビーディングや濃度ムラといった他の画像弊害に着目したテストパターンをさらに用いてもよい。この場合、判定の精度が高まる一方、テストパターンの記録量を増やすと判定時間や消費インク量が増加することから、それらのバランスを考慮して判断すればよい。以上のテストパターンを、記録モードの候補となる記録パス数とウェイト時間の総ての全組み合わせについて設定し、それぞれのテストパターンを記録モードごとに記録する。
図11は、総ての記録モードの候補ごとに記録されたテストパターンを模式的に示す図である。図11に示すように、記録モードの候補1つにつきテストパターン10を記録すると、図9に示すように、本実施形態では記録モードの候補((1)〜(25))が25通りあるため、25個のテストパターン10が記録される。
再び、図8を参照すると、ステップS803でテストパターンを記録した後、ステップS804で、候補の記録モードごとにテストパターンの判定結果を記憶する。すなわち、本実施形態では、ユーザーがブリードの状態を観察し、この観察結果に基づいて記録モードの候補を選択する。具体的には、ブリードの判定結果に基づいて、ユーザーが記録装置とのインターフェースを介して選択入力をする。この選択入力がブリードの判断情報となる。
図12(a)および(b)は、記録モードの候補を選択するための液晶パネルを模式的に示す図である。液晶パネルに順次記録モードの候補を表示し、図12(a)に示すように、対応するテストパターンのブリード状態に問題ある場合には、図12(a)に示すように、“No”を選択入力し、問題ない場合には、図12(b)に示すように、“Yes”を選択入力する。この選択を総ての記録モードの候補ごと(全25候補)に入力する。なお、記録モードの候補選択方法は、本実施形態のような液晶パネルから順次入力する方法に限定されず、ホストコンピュータ上でラジオボタンの選択により“No”“Yes”を選択する形態であってもよい。
図13は、記録モードの候補ごとのテストパターンの判定結果およびステップS802で算出した生産性を示す図である。この図が示す例の記録媒体の場合、例えば、「6パス」の5種類の記録モードはテストパターンにおいてブリードによる画像品位の低下があって選択結果は「No」となっている。また、例えば、「8パス」の5種類の記録モードでは、選択結果は、「ウェイト時間」が0秒、0.5秒、1秒のモードは選択結果が「No」であり、「ウェイト時間」が2秒、3秒のモードは選択結果が「Yes」となる。
再び、図8を参照すると、次のステップS805で、記録モードを決定する。ステップS804で選択されたブリード状態が問題ない、選択結果が「Yes」記録モードのうち、生産性が最も高い記録モードを決定する。図13に示す例では、「12パス/ウェイト1秒」の記録モードを決定する。そして、この決定した記録モードを実行する記録モードとして設定し、本処理を修了する。
以上のように、第1本実施形態によれば、ブリードを判定するテストパターンを異なる記録モードごとに記録し、ユーザーがブリードを抑制可能と判断した複数の記録モードの中から、最も高い生産性となる記録モードを設定することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2本実施形態は、上述した第1実施形態の構成に加え、各記録モードにおけるブリードを判定するテストパターンを記録する順序を、生産性の高い記録モードから順に記録するものである。図14は、本発明の第2実施形態に係る記録モード設定処理を示すフローチャートである。ステップS1401、S1402の処理は、第1実施形態に係る図8に示したステップS801、S802と同様な処理であるため、その詳細な説明は省略する。
図14に示す処理が開始されると、ステップS1401で本実施形態のインクジェット記録装置で用いる記録媒体の幅を設定し、次に、ステップS1402で、設定した幅に応じて生産性を算出する。そして、ステップS1403で、テストパターンを記録する。この記録は、ステップS1402で算出された生産性に基づいて、生産性の高い記録モードから順に、ブリード判定用のテストパターン10を記録する。
図15は、記録モードごとの生産性とテストパターンの記録順序を示す図であり、第1実施形態に関して図9に示した例の記録モードの記録順序を示している。図15に示すように、1番目に、最も生産性の高い6パス/ウェイト0秒の記録モードでテストパターン10を記録し、2番目に、8パス/ウェイト0秒の記録モードでテストパターンを記録する。このように生産性の高い順番で順次テストパターンの記録を行い、最後に最も生産性の低い32パス/ウェイト3秒の記録モードでテストパターンを記録する。
なお、図15に示す例は、記録媒体の幅が841mm幅である場合の例であるが、記録媒体の幅によって生産性が異なるため、パターンの記録順序は、記録媒体の幅が異なれば変化することはもちろんである。
次に、ステップS1404で、記録モードごとにテストパターンの判定結果を記憶する。第2実施形態では、テストパターンが生産性の高い順序で記録されることから、ユーザーは、生産性の高い記録モードで記録されたテストパターンから順にブリード状態を判断することができる。すなわち、最も生産性の高い記録モードに対応するテストパターンのブリード状態が問題ある場合には“No”を選択し、次に、生産性の高い記録モードに対応するテストパターンの判断に移動し、“No”が続く限りは、順次生産性が低い記録モードに対応するテストパターンを判定して行く。その間に、ブリード状態に問題ない場合の“Yes”を選択するときは、その記録モードが、ブリード状態に問題が無い記録モードのうち、生産性が最も高い記録モードを選択することになる。その結果、まだ判定していない記録モードに対応するテストパターンが残っていても、その時点で記録モードの選択を終了することができる。なお、選択された記録モードは、第1実施形態と同じ例であることから、同じ12パス/ウェイト1秒の記録モードが選択される。
以上のように、第2実施形態によれば、テストパターンを生産性の高い記録モードの順で記録することにより、記録モードの選択に要する煩雑さを解消しつつ、ブリードを抑制可能とユーザーが判断した複数の記録モードの中から、記録媒体の幅に応じて最も高い生産性となるような記録モードを設定することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、上述した第2実施形態の構成に加えて、ブリードの判定を濃度センサで行う形態に関するものである。図16は、本発明の第3実施形態に係る記録モード設定処理を示すフローチャートである。ステップS1601、S1602の処理は、第1実施形態および第2実施形態で説明した処理と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
記録モード設定処理が開始されると、ステップS1601で記録に用いる記録媒体の幅を設定し、次に、ステップS1602で、設定した幅に応じて生産性を算出する。ステップS1603では、記録するテストパターンが残っているか否かを判断する。記録すべきテストパターンが残っている場合には、ステップS1604に進む。
ステップS1604では、テストパターンを記録する。すなわち、未だ記録していないテストパターンのうち、最も生産性が高い記録モードに対応するテストパターンをその記録モードで記録する。そして、ステップS1605で、濃度センサを用いてテストパターンを読み取る。濃度センサ9(図1)を主走査方向に走査し、テストパターンの濃度分布を光学的に読み取る。そして、読み取り結果において、テストパターン10における各パターンの境界領域に着目し、予め規定された濃度規定値に応じて、ブリードOK(ブリードが問題ない)またはNG(ブリードの問題あり)の判定を行う(判断情報設定)。例えば、図6において、境界線を挟んで近傍の所定領域の濃度を測定する。そして、その測定した所定領域において境界線を境に濃度の差(色の違い)がある場合は、ブリードに問題が無いと判断する。一方、境界線を境に濃度の差(色の違い)が無い場合、すなわち、上記所定領域の濃度(色)が同じ濃度の場合、ブリードが生じていて問題があると判断する。なお、本実施形態では、濃度センサ9は測定値として濃度値を取得するが、色彩値を取得可能なセンサを用いて、CMYK値やL*a*b*値、XYZ値、RGB値を取得し判定する形態であってもよい。
ブリードOKである場合は、ステップS1607で、記録モードを決定する。すなわち、複数の記録モードのうち、ステップ1606でブリードOKとなった記録モードを最終的な記録モードに決定する。そして、この決定した記録モードを実行するモードとして設定し、本処理を終了する。
ステップS1606で、ブリードの判定結果がNGの場合は、ステップS1603に戻り、記録すべきテストパターンが残っているか否かを判断する。残っている場合は、さらにステップS1604以降の処理を繰り返す。ステップS160で、記録するテストパターンが残っていない場合には、ステップS1608で、記録モードを決定する。この場合は、候補となる記録モードの総てでブリードがNGとなる場合であり、記録媒体のインク吸収量またはインク吸収速度のどちらか、もしくはその両方が非常に小さいことが想定される。従って、候補となる記録モードのうち、最もブリードのレベルが良いと想定される、最も生産性の低い記録モードを最終的な記録モードに決定する。
以上のように、第3実施形態によれば、ブリードの判定を濃度センサで行うことにより、ユーザーの手を煩わせることなく且つ短時間で、記録媒体の幅に応じて最も高い生産性となるような記録モードを設定することができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態は、第2実施形態の構成において、候補となる記録モードを、記録パス数と主走査速度によるものとした形態に関する。すなわち、本実施形態では、ブリードを抑制するために、記録パス数と主走査速度を制御する。主走査速度が遅いほどその前の走査までで記録されたインク滴の浸透時間を稼ぐことができ、走査中に付与されるインク滴が前回までの走査で付与されたインク滴と接触しても、ブリード現象が発生し難くなる。
図17(a)および(b)は、本発明の第4実施形態に係る、2つの記録媒体の幅について記録パス数および主走査速度と生産性との関係を示す図である。図17(a)に示すように、記録幅の比較的小さいA1サイズ(記録幅:594mm、記録長さ841mm)の場合、パス数が小さく主走査速度の遅い、記録パス数が6パス、主走査速度が25inch/秒の記録モードの生産性が最も高く、パス数が大きく主走査速度の速い、12パス、主走査速度60inch/秒の生産性が最も低い。一方、図17(b)に示すように、記録幅の比較的大きい特殊サイズ(記録幅:2642mm、記録長さ3725mm)では、パス数が大きく主走査速度の速い、12パス、主走査速度60inch/secの生産性が最も高く、パス数が小さく主走査速度の遅い6パス、主走査速度25inch/secの生産性が最も低い。このように、記録媒体の幅が大きいほど主走査をしている時間が長いため、生産性に対する主走査速度の影響の度合いが大きくなり、主走査速度が速い記録モードの方が生産性が高くなる。
図18は、本実施形態に係る記録モード設定処理を示すフローチャートである。ステップS1801の処理は、第2実施形態と同様な処理であるため、その詳細な説明は省略する。本処理が開始されると、ステップS1801で、記録に用いる記録媒体の幅を設定する。
次に、ステップS1802で、記録幅に応じて生産性を算出する。記録モードごとの記録パス数と主走査速度に基づいて生産性を算出する。以下の例では、ステップS1801で、841mmの幅が設定され例として説明する。単位面積当たりの生産性は、以下の計算式に従って算出される。
(記録媒体の幅841(mm)÷主走査速度(mm/sec)+主走査方向の反転に必要な最低限の加減速時間0.2(sec))×記録パス数
次に、ステップS1803では、テストパターンを記録する。すなわち、ステップS1802で算出された生産性に基づいて、生産性の高い記録モードから順次、テストパターン10を記録する。
図19は、記録モードごとの生産性とテストパターンの記録順序を示す図である。1番目は、最も生産性の高い6パス、主走査速度60inch/secの記録モードであり、2番目は、6パス、主走査速度50inch/secの記録モードである。このように生産性の高い順に順次テストパターンの記録を行い、最後に最も生産性の低い32パス、主走査速度25inch/secの記録モードでテストパターンを記録する。
上記の例では、記録媒体の幅が841mm幅であるのに応じて上述した記録モードの順序でテストパターンの記録を行ったが、記録媒体の幅によって生産性が変わるため、記録モードごとのテストパターン記録の順序は記録媒体の幅に応じて異なる。
ステップS1804では、テストパターンの記録結果から記録モードを選択する。これは、第2実施形態について上述したように、順次の選択において、ブリード状態に問題が無い記録モードのうち、生産性が最も高い記録モードを選択することになり、未だ判定していない記録モードに対応するテストパターンが残っていても記録モードの選択を終了することができる。このように選択した記録モードを、液晶パネルに入力することで記録モードの選択が終了する。なお、選択された記録モードは32パス、主走査速度35inch/secの記録モードであった。
以上のように、第4実施形態によれば、候補となる記録モードの組み合わせを記録パス数と主走査速度に設定することで、ウェイト時間の設定を行うことなく、簡易な記録条件の組み合わせから、記録媒体の幅に応じて最も有利な生産性となるような記録モードを設定することができる。
なお、上述の第1から第4実施形態において、生産性の判定に記録媒体の幅を用いていたが、記録媒体の幅の代わりに、記録する記録画像の幅に応じて生産性を判定するような構成としても同様な効果を得ることができる。さらには、記録する記録画像の幅に応じて複数の記録モードを予め準備しておき、プリントジョブごとに記録する画像に応じて、記録モードを切り替えるような構成とすることもできる。
本発明は、紙や布、革、不織布、OHP用紙等、さらには、金属などの記録媒体を用いる機器すべてに適用可能である。具体的な適用機器としては、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の事務機器や、工業用生産機器などを挙げることができる。また、本発明は、サイズの大きな低吸収性記録媒体に対して高速に記録を行う機器などに特に有効である。
3 記録ヘッド
9 濃度センサ
200 主制御部
201 CPU
202 ROM
203 RAM

Claims (10)

  1. インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して走査し当該記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置であって、
    所定領域の記録を完成させるための記録ヘッドの走査回数をモード要素として含む、複数の異なる記録モードそれぞれの前記所定領域の記録を完成するのに要する時間を取得する時間取得手段と、
    前記複数の記録モードそれぞれで、記録媒体のインク吸収特性を判断するためのテストパターンを記録するテストパターン記録手段と、
    取得した前記時間および前記インク吸収特性の判断情報に基づいて、記録モードを設定する設定手段と、
    を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記設定手段は、前記取得した時間が最も短い時間の記録モードを設定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記記録ヘッドの走査方向における記録媒体の幅の情報を取得する記録幅取得手段をさらに具え、前記時間取得手段は、取得した前記幅の情報に応じて、前記時間を取得することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記複数の記録モードそれぞれは、前記モード要素として、前記記録ヘッドの走査方向を切り替えるときの時間であるウェイト時間をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記複数の記録モードそれぞれは、前記モード要素として、前記記録ヘッドの走査速度をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記時間取得手段は、前記複数の記録モードそれぞれのモード要素に基づいて、前記時間を算出することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記テストパターン記録手段は、前記複数の記録モードで前記テストパターンを記録するとき、前記時間取得手段によって取得された時間に基づく順序で前記テストパターンを記録することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記複数のテストパターンについて記録する順序は、前記時間取得手段によって取得された時間の早い順序であることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記テストパターンを光学的に読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段による読み取り結果に基づいて、前記インク吸収特性の判断情報を設定する判断情報設定手段と、をさらに具え、
    前記設定手段は、判断情報設定手段が設定した判断情報に基づいて記録モードを設定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  10. インクを吐出するための記録ヘッドを記録媒体に対して走査し当該記録媒体に記録を行うためのインクジェット記録方法であって、
    所定領域の記録を完成させるための記録ヘッドの走査回数をモード要素として含む、複数の異なる記録モードそれぞれの前記所定領域の記録を完成するのに要する時間を取得する時間取得工程と、
    前記複数の記録モードそれぞれで、記録媒体のインク吸収特性を判断するためのテストパターンを記録するテストパターン記録工程と、
    取得した前記時間および前記インク吸収特性の判断情報に基づいて、記録モードを設定する設定工程と、
    を有したことを特徴とするインクジェット記録方法。
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