JP2017224660A - 積層体の製造方法、及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐熱性を備えた積層体であり、研削することで接着層を好適に除去することができる積層体を製造する。【解決手段】積層体の製造方法は、基板1に接着層3を形成する接着層形成工程と、基板1とサポートプレート2とを積層する積層工程と、加熱して重合性樹脂成分を重合させ、接着層3を硬化させる硬化工程とを包含し、硬化した接着層3の、25℃におけるヤング率が2GPa以上であり、250℃における動的粘度が1000Pa・s以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体の製造方法、及びその利用に関する。
半導体素子(電子部品)を含む半導体パッケージ(半導体装置)としては、WLP(Wafer Level Package)等が知られている。WLP及びPLP(Panel Level Package)等の半導体パッケージには、ベアチップの端部にある端子をチップエリア内に再配置する、ファンイン型WLP(Fan-in Wafer Level Package)等のファンイン型技術と、チップエリア外に端子を再配置する、ファンアウト型WLP(Fan-out Wafer Level Package)等のファンアウト型技術とが知られている。特に、ファンアウト型技術は、パネル上に半導体素子を配置してパッケージ化するファンアウト型PLP(Fan-out Panel Level Package)に応用されており、半導体装置の集積化、薄型化及び小型化等を実現するため、これらのようなファンアウト型技術が注目を集めている。
例えば、特許文献1には、光透過性の支持体と半導体ウエハとを、支持体側に設けられた光熱変換層と接着層とを介して貼り合わせ、半導体ウエハを処理した後、支持体側から放射エネルギーを照射することによって光熱変換層を分解して、支持体から半導体ウエハを分離する方法が記載されている。
特開2004−64040号公報(2004年2月26日公開)
特許文献1に記載の技術では、機械的に剥離(ピール)することが可能な粘着剤を用いて形成される接着層を備えた積層体を形成して基板を処理する。このため、高い温度条件において基板を処理するときに、接着層と基板との密着性を維持することができないという問題がある。また、特許文献1には、研削することによって好適に除去することができる接着層を備えた積層体の製造方法について何ら開示していない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い耐熱性を備えた積層体であり、研削することで接着層を好適に除去することができる積層体の製造方法、及びその関連技術を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る積層体の製造方法は、基板と、上記基板を支持する支持体とを、接着層を介して積層してなる積層体の製造方法であって、上記基板及び上記支持体のうちの少なくとも一方に、重合性樹脂成分及び重合開始剤を含んでなる上記接着層を形成する接着層形成工程と、上記基板と上記支持体とを上記接着層を介して積層する積層工程と、加熱又は露光することによって上記重合性樹脂成分を重合させることで、上記接着層を硬化させる硬化工程と、を包含し、硬化した上記接着層の、25℃におけるヤング率が2GPa以上であり、250℃における動的粘度が1000Pa・s以上であることを特徴としている。
また、本発明に係る積層体は、基板と、上記基板を支持する支持体とを、接着層を介して積層してなる積層体であって、上記接着層は、重合性樹脂成分を、熱又は光によって重合を開始させる重合開始剤によって重合させてなる硬化物であり、上記接着層の、25℃におけるヤング率が2GPa以上であり、250℃における動的粘度が1000Pa・s以上であることを特徴としている。
また、本発明に係る接着剤組成物は、基板と、上記基板を支持する支持体とを、接着層を介して積層してなる積層体における、当該接着層を形成するための接着剤組成物であって、重合性樹脂成分及び熱又は光によって重合を開始させる重合開始剤を含み、上記重合性樹脂成分を上記重合開始剤によって重合させてなる硬化物の、25℃におけるヤング率が2GPa以上であり、250℃における動的粘度が1000Pa・s以上であることを特徴としている。
本発明によれば、高い耐熱性を備えた積層体であり、研削することで接着層を好適に除去することができる積層体の製造方法、及びその関連技術を提供することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態(第一実施形態)に係る積層体の製造方法及び基板処理方法の概略を説明する図である。 本発明の別の実施形態(第二実施形態)に係る積層体の製造方法及び基板処理方法の概略を説明する図である。 本発明の一変形例に係る積層体の製造方法及び基板処理方法の概略を説明する図である。
本発明に係る積層体の製造方法は、硬化後における接着層の、25℃におけるヤング率が2GPa以上であり、250℃における動的粘度が1000Pa・s以上である積層体を製造する方法である。
これにより、高い耐熱性を備えた積層体であり、研削することにより接着層を好適に除去することができる積層体を形成することができ、基板に様々な処理を行なうことができる。よって、例えば、いわゆるファンイン型技術に基づいて、素子と、素子を封止する封止材と、当該素子を実装するSiインターポーザ(シリコンウエハ)とを備えた封止基板を好適に製造することができる。また。いわゆるファンアウト型技術に基づき、素子と、素子を封止する封止材と、再配線層とを備えた封止基板も好適に製造することができる。
<積層体の製造方法(第一実施形態)>
図1の(a)〜(c)を用いて、本発明の一実施形態(第一実施形態)に係る積層体の製造方法について詳細に説明する。本実施形態に係る積層体の製造方法は、分離層形成工程、接着層形成工程、硬化工程、及び、積層工程を包含している。なお、分離層形成工程(図1の(a))と、接着層形成工程(図1の(b))とは、積層工程及び硬化工程(図1の(c))の前であれば、どちらを先に行なってもよく、同時に行なってもよい。また、本実施形態では、積層工程の後に硬化工程を行なう。
〔分離層形成工程〕
図1の(a)に示すように、分離層形成工程では、光を透過するサポートプレート2の一方の平面部に、光を照射することで変質する分離層4を形成する。
[サポートプレート2]
サポートプレート2(支持体)2は、基板1を支持する支持体である。そのため、サポートプレート2としては、基板1の薄化、搬送、実装等のプロセス時に、基板1の破損又は変形を防ぐために必要な強度を有していればよい。また、サポートプレート2は、分離層4を変質させるための光を透過するものであればよい。これらの観点から、サポートプレート2には、ガラス、シリコン、又は、アクリル系樹脂からなる支持体等を用いることができる。
[分離層4]
分離層4は、光を照射することで変質する層である。サポートプレート2を介して分離層4に光を照射して分離層4を変質させることによって、サポートプレート2を基板1から分離させることができる。
なお、本明細書において、分離層が「変質する」とは、分離層がわずかな外力を受けて破壊され得る状態、又は分離層と接する層との接着力が低下した状態になる現象を意味する。光を吸収することによって生じる分離層の変質の結果として、分離層は、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。つまり、光を吸収することによって、分離層は脆くなる。分離層の変質とは、分離層が、吸収した光のエネルギーによる分解、立体配置の変化又は官能基の解離等を生じることであり得る。分離層の変質は、光を吸収することの結果として生じる。
よって、例えば、サポートプレートを持ち上げるだけで分離層が破壊されるように変質させて、サポートプレートと基板とを容易に分離することができる。より具体的には、例えば、支持体分離装置等により、積層体における基板及びサポートプレートの一方を載置台に固定し、吸着手段を備えた吸着パッド(吸着部)等によって他方を保持して持ち上げることで、サポートプレートと基板とを分離するか、又はサポートプレートの周縁部分端部の面取り部位を、クランプ(ツメ部)等を備えた分離プレートによって把持することにより力を加え、基板とサポートプレートとを分離するとよい。また、例えば、接着剤を剥離するための剥離液を供給する剥離手段を備えた支持体分離装置によって、積層体における基板からサポートプレートを剥離してもよい。当該剥離手段によって積層体における接着層の周端部の少なくとも一部に剥離液を供給し、積層体における接着層を膨潤させることにより、当該接着層が膨潤したところから分離層に力が集中するようにして、基板とサポートプレートとに力を加えることができる。このため、基板とサポートプレートとを好適に分離することができる。
積層体に加える力は、積層体の大きさ等により適宜調整すればよく、限定されるものではないが、例えば、面積が40000〜70000mm程度の積層体であれば、0.1〜5kgf程度の力を加えることによって、基板とサポートプレートとを好適に分離することができる。
なお、分離層4とサポートプレート2との間に他の層がさらに形成されていてもよい。この場合、他の層は光を透過する材料から構成されていればよい。これによって、分離層4への光の入射を妨げることなく、好ましい性質等を有する層を、適宜追加することができる。分離層4を構成している材料の種類によって、用い得る光の波長が異なる。よって、他の層を構成する材料は、すべての光を透過させる必要はなく、分離層4を構成する材料を変質させ得る波長の光を透過させることができる材料から適宜選択し得る。
また、分離層4は、光を吸収する構造を有する材料のみから形成されていることが好ましいが、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、光を吸収する構造を有していない材料を添加して、分離層4を形成してもよい。また、分離層4における接着層3に対向する側の面が平坦である(凹凸が形成されていない)ことが好ましく、これにより、分離層4の形成が容易に行なえ、かつ貼り付けにおいても均一に貼り付けることが可能となる。
分離層4をサポートプレート2上に形成するための方法は、採用される分離層の材料に応じて適宜選択すればよく、例えば、分離層形成用組成物をスピンコート法等の公知の方法によって塗布する形態であってもよく、化学気相成長(CVD)法等によって形成する形態であってもよい。
分離層4の厚さは、例えば、0.05μm以上、50μm以下の範囲内であることが好ましく、0.3μm以上、1μm以下の範囲内であることがより好ましい。分離層4の厚さが0.05μm以上、50μm以下の範囲に収まっていれば、短時間の光の照射及び低エネルギーの光の照射によって、分離層4に所望の変質を生じさせることができる。また、分離層4の厚さは、生産性の観点から1μm以下の範囲に収まっていることが特に好ましい。
以下に、分離層4を形成するための材料についてより詳細に説明する。
(フルオロカーボン)
分離層4は、フルオロカーボンからなっていてもよい。分離層4は、フルオロカーボンによって構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、サポートプレート2を持ち上げる等)ことによって、分離層4が破壊されて、サポートプレート2と基板1とを分離し易くすることができる。分離層4を構成するフルオロカーボンは、プラズマCVD(化学気相堆積)法によって好適に成膜することができる。
フルオロカーボンは、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層4に用いたフルオロカーボンが吸収する範囲の波長の光を分離層4に照射することにより、フルオロカーボンを好適に変質させ得る。なお、分離層4における光の吸収率は80%以上であることが好ましい。
分離層4に照射する光としては、フルオロカーボンが吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザ、ルビーレーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、COレーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He−Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、又は、非レーザ光を適宜用いればよい。フルオロカーボンを変質させ得る波長としては、これに限定されるものではないが、例えば、600nm以下の範囲の波長を用いることができる。
(光吸収性を有している構造をその繰り返し単位に含んでいる重合体)
分離層4は、光吸収性を有している構造をその繰り返し単位に含んでいる重合体を含有していてもよい。該重合体は、光の照射を受けて変質する。該重合体の変質は、上記構造が照射された光を吸収することによって生じる。分離層4は、重合体の変質の結果として、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失っている。よって、わずかな外力を加える(例えば、サポートプレート2を持ち上げる等)ことによって、分離層4が破壊されて、サポートプレート2と基板1とを分離し易くすることができる。
光吸収性を有している上記構造は、光を吸収して、繰り返し単位として該構造を含んでいる重合体を変質させる化学構造である。該構造は、例えば、置換若しくは非置換のベンゼン環、縮合環又は複素環からなる共役π電子系を含んでいる原子団である。より詳細には、該構造は、カルド構造、又は上記重合体の側鎖に存在するベンゾフェノン構造、ジフェニルスルフォキシド構造、ジフェニルスルホン構造(ビスフェニルスルホン構造)、ジフェニル構造若しくはジフェニルアミン構造であり得る。
上記構造が上記重合体の側鎖に存在する場合、該構造は以下の式によって表され得る。
(式中、Rはそれぞれ独立して、アルキル基、アリール基、ハロゲン、水酸基、ケトン基、スルホキシド基、スルホン基又はN(R)(R)であり(ここで、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である)、Zは、存在しないか、又は−CO−、−SO−、−SO−若しくは−NH−であり、nは0又は1〜5の整数である。)
また、上記重合体は、例えば、以下の式のうち、(a)〜(d)の何れかによって表される繰り返し単位を含んでいるか、(e)によって表されるか、又は(f)の構造をその主鎖に含んでいる。
(式中、lは1以上の整数であり、mは0又は1〜2の整数であり、Xは、(a)〜(e)において上記の“化1”に示した式の何れかであり、(f)において上記の“化1”に示した式の何れかであるか、又は存在せず、Y及びYはそれぞれ独立して、−CO−又はSO−である。lは好ましくは10以下の整数である。)
上記の“化1”に示されるベンゼン環、縮合環及び複素環の例としては、フェニル、置換フェニル、ベンジル、置換ベンジル、ナフタレン、置換ナフタレン、アントラセン、置換アントラセン、アントラキノン、置換アントラキノン、アクリジン、置換アクリジン、アゾベンゼン、置換アゾベンゼン、フルオリム、置換フルオリム、フルオリモン、置換フルオリモン、カルバゾール、置換カルバゾール、N−アルキルカルバゾール、ジベンゾフラン、置換ジベンゾフラン、フェナントレン、置換フェナントレン、ピレン及び置換ピレンが挙げられる。例示した置換基がさらに置換基を有している場合、その置換基は、例えば、アルキル、アリール、ハロゲン原子、アルコキシ、ニトロ、アルデヒド、シアノ、アミド、ジアルキルアミノ、スルホンアミド、イミド、カルボン酸、カルボン酸エステル、スルホン酸、スルホン酸エステル、アルキルアミノ及びアリールアミノから選択される。
上記の“化1”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−SO−である場合の例としては、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,6−ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)スルホン、及びビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
上記の“化1”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−SO−である場合の例としては、ビス(2,3−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(5−クロロ−2,3−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)スルホキシド、ビス(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,5−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3,4−トリヒドロキシ−6−メチルフェニル)−スルホキシド、ビス(5−クロロ−2,3,4−トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(5−クロロ−2,4,6−トリヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられる。
上記の“化1”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−C(=O)−である場合の例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,5,6’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−アミノ−2’−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ジエチルアミノ−2’−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−4’−メトキシ−2’−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、及び4−ジメチルアミノ−3’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
上記構造が上記重合体の側鎖に存在している場合、上記構造を含んでいる繰り返し単位の、上記重合体に占める割合は、分離層4の光の透過率が0.001%以上、10%以下になる範囲内にある。該割合がこのような範囲に収まるように重合体が調製されていれば、分離層4が十分に光を吸収して、確実かつ迅速に変質し得る。すなわち、基板1からのサポートプレート2の除去が容易であり、該除去に必要な光の照射時間を短縮させることができる。
上記構造は、その種類の選択によって、所望の範囲の波長を有している光を吸収することができる。例えば、上記構造が吸収可能な光の波長は、100nm以上、2000nm以下の範囲内であることがより好ましい。この範囲内のうち、上記構造が吸収可能な光の波長は、より短波長側であり、例えば、100nm以上、500nm以下の範囲内である。例えば、上記構造は、好ましくはおよそ300nm以上、370nm以下の範囲内の波長を有している紫外光を吸収することによって、該構造を含んでいる重合体を変質させ得る。
上記構造が吸収可能な光は、例えば、高圧水銀ランプ(波長:254nm以上、436nm以下)、KrFエキシマレーザ(波長:248nm)、ArFエキシマレーザ(波長:193nm)、F2エキシマレーザ(波長:157nm)、XeClレーザ(波長:308nm)、XeFレーザ(波長:351nm)若しくは固体UVレーザ(波長:355nm)から発せられる光、又はg線(波長:436nm)、h線(波長:405nm)若しくはi線(波長:365nm)等である。
上述した分離層4は、繰り返し単位として上記構造を含んでいる重合体を含有しているが、分離層4はさらに、上記重合体以外の成分を含み得る。該成分としては、フィラー、可塑剤、及びサポートプレート2の剥離性を向上し得る成分等が挙げられる。これらの成分は、上記構造による光の吸収、及び重合体の変質を妨げないか、又は促進する、従来公知の物質又は材料から適宜選択される。
(無機物)
分離層4は、無機物からなっていてもよい。分離層4は、無機物によって構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、サポートプレート2を持ち上げる等)ことによって、分離層4が破壊されて、サポートプレート2と基板1とを分離し易くすることができる。
上記無機物は、光を吸収することによって変質する構成であればよく、例えば、金属、金属化合物及びカーボンからなる群より選択される1種類以上の無機物を好適に用いることができる。金属化合物とは、金属原子を含む化合物を指し、例えば、金属酸化物、金属窒化物であり得る。このような無機物の例示としては、これに限定されるものではないが、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、SiO、SiN、Si、TiN、及びカーボンからなる群より選ばれる1種類以上の無機物が挙げられる。なお、カーボンとは炭素の同素体も含まれ得る概念であり、例えば、ダイヤモンド、フラーレン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブ等であり得る。
上記無機物は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層4に用いた無機物が吸収する範囲の波長の光を分離層4に照射することにより、上記無機物を好適に変質させ得る。
無機物からなる分離層4に照射する光としては、上記無機物が吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザ、ルビーレーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、COレーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He−Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、又は、非レーザ光を適宜用いればよい。
無機物からなる分離層4は、例えばスパッタ、化学蒸着(CVD)、メッキ、プラズマCVD、スピンコート等の公知の技術により、サポートプレート2上に形成され得る。無機物からなる分離層4の厚さは特に限定されず、使用する光を十分に吸収し得る膜厚であればよいが、例えば、0.05μm以上、10μm以下の範囲内の膜厚とすることがより好ましい。また、分離層4を構成する無機物からなる無機膜(例えば、金属膜)の両面又は片面に予め接着剤を塗布し、サポートプレート2に貼り付けてもよい。
なお、分離層4として金属膜を使用する場合には、分離層4の膜質、レーザ光源の種類、レーザ出力等の条件によっては、レーザの反射や膜への帯電等が起こり得る。そのため、反射防止膜や帯電防止膜を分離層4の上下又はどちらか一方に設けることで、それらの対策を図ることが好ましい。
(赤外線吸収性の構造を有する化合物)
分離層4は、赤外線吸収性の構造を有する化合物によって形成されていてもよい。該化合物は、赤外線を吸収することにより変質する。分離層4は、化合物の変質の結果として、赤外線の照射を受ける前の強度又は接着性を失っている。よって、わずかな外力を加える(例えば、サポートプレート2を持ち上げる等)ことによって、分離層4が破壊されて、サポートプレート2と基板1とを分離し易くすることができる。
赤外線吸収性を有している構造、又は赤外線吸収性を有している構造を含む化合物としては、例えば、アルカン、アルケン(ビニル、トランス、シス、ビニリデン、三置換、四置換、共役、クムレン、環式)、アルキン(一置換、二置換)、単環式芳香族(ベンゼン、一置換、二置換、三置換)、アルコール及びフェノール類(自由OH、分子内水素結合、分子間水素結合、飽和第二級、飽和第三級、不飽和第二級、不飽和第三級)、アセタール、ケタール、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、ビニルエーテル、オキシラン環エーテル、過酸化物エーテル、ケトン、ジアルキルカルボニル、芳香族カルボニル、1,3−ジケトンのエノール、o−ヒドロキシアリールケトン、ジアルキルアルデヒド、芳香族アルデヒド、カルボン酸(二量体、カルボン酸アニオン)、ギ酸エステル、酢酸エステル、共役エステル、非共役エステル、芳香族エステル、ラクトン(β−、γ−、δ−)、脂肪族酸塩化物、芳香族酸塩化物、酸無水物(共役、非共役、環式、非環式)、第一級アミド、第二級アミド、ラクタム、第一級アミン(脂肪族、芳香族)、第二級アミン(脂肪族、芳香族)、第三級アミン(脂肪族、芳香族)、第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、アンモニウムイオン、脂肪族ニトリル、芳香族ニトリル、カルボジイミド、脂肪族イソニトリル、芳香族イソニトリル、イソシアン酸エステル、チオシアン酸エステル、脂肪族イソチオシアン酸エステル、芳香族イソチオシアン酸エステル、脂肪族ニトロ化合物、芳香族ニトロ化合物、ニトロアミン、ニトロソアミン、硝酸エステル、亜硝酸エステル、ニトロソ結合(脂肪族、芳香族、単量体、二量体)、メルカプタン及びチオフェノール及びチオール酸等の硫黄化合物、チオカルボニル基、スルホキシド、スルホン、塩化スルホニル、第一級スルホンアミド、第二級スルホンアミド、硫酸エステル、炭素−ハロゲン結合、Si−A結合(Aは、H、C、O又はハロゲン)、P−A結合(Aは、H、C又はO)、又はTi−O結合であり得る。
上記炭素−ハロゲン結合を含む構造としては、例えば、−CHCl、−CHBr、−CHI、−CF−、−CF、−CH=CF、−CF=CF、フッ化アリール、及び塩化アリール等が挙げられる。
上記Si−A結合を含む構造としては、SiH、SiH、SiH、Si−CH、Si−CH−、Si−C、SiO−脂肪族、Si−OCH、Si−OCHCH、Si−OC、Si−O−Si、Si−OH、SiF、SiF、及びSiF等が挙げられる。Si−A結合を含む構造としては、特に、シロキサン骨格及びシルセスキオキサン骨格を形成していることが好ましい。
上記P−A結合を含む構造としては、PH、PH、P−CH、P−CH−、P−C、A −P−O(Aは脂肪族又は芳香族)、(AO)−P−O(Aはアルキル)、P−OCH、P−OCHCH、P−OC、P−O−P、P−OH、及びO=P−OH等が挙げられる。
上記構造は、その種類の選択によって、所望の範囲の波長を有している赤外線を吸収することができる。具体的には、上記構造が吸収可能な赤外線の波長は、例えば1μm以上、20μm以下の範囲内であり、2μm以上、15μm以下の範囲内をより好適に吸収することができる。さらに、上記構造がSi−O結合、Si−C結合及びTi−O結合である場合には、9μm以上、11μm以下の範囲内であり得る。なお、各構造が吸収できる赤外線の波長は当業者であれば容易に理解することができる。例えば、各構造における吸収帯として、非特許文献:SILVERSTEIN・BASSLER・MORRILL著「有機化合物のスペクトルによる同定法(第5版)−MS、IR、NMR、UVの併用−」(1992年発行)第146頁〜第151頁の記載を参照することができる。
分離層4の形成に用いられる、赤外線吸収性の構造を有する化合物としては、上述のような構造を有している化合物のうち、塗布のために溶媒に溶解することができ、固化されて固層を形成することができるものであれば、特に限定されるものではない。しかしながら、分離層4における化合物を効果的に変質させ、サポートプレート2と基板1との分離を容易にするには、分離層4における赤外線の吸収が大きいこと、すなわち、分離層4に赤外線を照射したときの赤外線の透過率が低いことが好ましい。具体的には、分離層4における赤外線の透過率が90%より低いことが好ましく、赤外線の透過率が80%より低いことがより好ましい。
一例を挙げて説明すれば、シロキサン骨格を有する化合物としては、例えば、下記化学式(RL1)で表される繰り返し単位及び下記化学式(RL2)で表される繰り返し単位の共重合体である樹脂、あるいは下記化学式(1)で表される繰り返し単位及びアクリル系化合物由来の繰り返し単位の共重合体である樹脂を用いることができる。
(化学式(RL2)中、Rは、水素、炭素数10以下のアルキル基、又は炭素数10以下のアルコキシ基である。)
中でも、シロキサン骨格を有する化合物としては、上記化学式(RL1)で表される繰り返し単位及び下記化学式(RL3)で表される繰り返し単位の共重合体であるt−ブチルスチレン(TBST)−ジメチルシロキサン共重合体がより好ましく、上記化学式(RL2)で表される繰り返し単位及び下記化学式(RL3)で表される繰り返し単位を1:1で含む、TBST−ジメチルシロキサン共重合体がさらに好ましい。
また、シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、例えば、下記化学式(RL4)で表される繰り返し単位及び下記化学式(RL5)で表される繰り返し単位の共重合体である樹脂を用いることができる。
(化学式(RL4)中、Rは、水素又は炭素数1以上、10以下のアルキル基であり、化学式(RL5)中、Rは、炭素数1以上、10以下のアルキル基、又はフェニル基である。)
シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、このほかにも、特開2007−258663号公報(2007年10月4日公開)、特開2010−120901号公報(2010年6月3日公開)、特開2009−263316号公報(2009年11月12日公開)、及び特開2009−263596号公報(2009年11月12日公開)において開示されている各シルセスキオキサン樹脂を好適に利用することができる。
中でも、シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、下記化学式(RL6)で表される繰り返し単位及び下記化学式(RL7)で表される繰り返し単位の共重合体がより好ましく、下記化学式(RL6)で表される繰り返し単位及び下記化学式(RL7)で表される繰り返し単位を7:3で含む共重合体がさらに好ましい。
シルセスキオキサン骨格を有する重合体としては、ランダム構造、ラダー構造、及び籠型構造があり得るが、何れの構造であってもよい。
また、Ti−O結合を含む化合物としては、例えば、(i)テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、及びチタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート等のアルコキシチタン;(ii)ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、及びプロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のキレートチタン;(iii)i−CO−[−Ti(O−i−C−O−]−i−C、及びn−CO−[−Ti(O−n−C−O−]−n−C等のチタンポリマー;(iv)トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、チタニウムステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジイソステアレート、及び(2−n−ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン等のアシレートチタン;(v)ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン等の水溶性チタン化合物等が挙げられる。
中でも、Ti−O結合を含む化合物としては、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン(Ti(OC[OCN(COH))が好ましい。
上述した分離層4は、赤外線吸収性の構造を有する化合物を含有しているが、分離層4はさらに、上記化合物以外の成分を含み得る。該成分としては、フィラー、可塑剤、及び支持体の剥離性を向上し得る成分等が挙げられる。これらの成分は、上記構造による赤外線の吸収、及び化合物の変質を妨げないか、又は促進する、従来公知の物質又は材料から適宜選択される。
(赤外線吸収物質)
分離層4は、赤外線吸収物質を含有していてもよい。分離層4は、赤外線吸収物質を含有して構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度又は接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体を持ち上げる等)ことによって、分離層4が破壊されて、サポートプレート2と基板1とを分離し易くすることができる。
赤外線吸収物質は、赤外線を吸収することによって変質する構成であればよく、例えば、カーボンブラック、鉄粒子、又はアルミニウム粒子を好適に用いることができる。赤外線吸収物質は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層4に用いた赤外線吸収物質が吸収する範囲の波長の光を分離層4に照射することにより、赤外線吸収物質を好適に変質させ得る。
(反応性ポリシルセスキオキサン)
分離層4は、反応性ポリシルセスキオキサンを重合させることにより形成することができる。これにより、分離層4は、高い耐薬品性と高い耐熱性とを備えている。
本明細書中において、反応性ポリシルセスキオキサンとは、ポリシルセスキオキサン骨格の末端にシラノール基、又は、加水分解することによってシラノール基を形成することができる官能基を有するポリシルセスキオキサンであり、当該シラノール基又はシラノール基を形成することができる官能基を縮合することによって、互いに重合することができるものである。また、反応性ポリシルセスキオキサンは、シラノール基、又は、シラノール基を形成することができる官能基を備えていれば、ランダム構造、籠型構造、ラダー構造等のシルセスキオキサン骨格を備えている反応性ポリシルセスキオキサンを採用することができる。
また、反応性ポリシルセスキオキサンは、下記化学式(RL8)に示す構造を有していることがより好ましい。
化学式(RL8)中、R”は、それぞれ独立して、水素及び炭素数1以上、10以下のアルキル基からなる群より選択され、水素及び炭素数1以上、5以下のアルキル基からなる群より選択されることがより好ましい。R”が、水素又は炭素数1以上、10以下のアルキル基であれば、分離層形成工程における加熱によって、化学式(RL8)によって表される反応性ポリシルセスキオキサンを好適に縮合させることができる。
化学式(RL8)中、pは、1以上、100以下の整数であることが好ましく、1以上、50以下の整数であることがより好ましい。反応性ポリシルセスキオキサンは、化学式(RL8)で表される繰り返し単位を備えることによって、他の材料を用いて形成するよりもSi−O結合の含有量が高く、赤外線(0.78μm以上、1000μm以下)、好ましくは遠赤外線(3μm以上、1000μm以下)、さらに好ましくは波長9μm以上、11μm以下における吸光度の高い分離層4を形成することができる。
また、化学式(RL8)中、R’は、それぞれ独立して、互いに同じか、又は異なる有機基である。ここで、Rは、例えば、アリール基、アルキル基、及び、アルケニル基等であり、これらの有機基は置換基を有していてもよい。
R’がアリール基である場合、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等を挙げることができ、フェニル基であることがより好ましい。また、アリール基は、炭素数1〜5のアルキレン基を介してポリシルセスキオキサン骨格に結合していてもよい。
R’がアルキル基である場合、アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基を挙げることができる。また、Rがアルキル基である場合、炭素数は1〜15であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。また、Rが、環状のアルキル基である場合、単環状又は2〜4環状の構造をしたアルキル基であってもよい。
R’がアルケニル基である場合、アルキル基の場合と同様に、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルケニル基を挙げることができ、アルケニル基は、炭素数が2〜15であることが好ましく、2〜6であることがより好ましい。また、Rが、環状のアルケニル基である場合、単環状又は2〜4環状の構造をしたアルケニル基であってもよい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、及びアリル基等を挙げることができる。
また、R’が有し得る置換基としては、水酸基及びアルコキシ基等を挙げることができる。置換基がアルコキシ基である場合、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキルアルコキシ基を挙げることができ、アルコキシ基における炭素数は1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
また、1つの観点において、反応性ポリシルセスキオキサンのシロキサン含有量は、70モル%以上、99モル%以下であることが好ましく、80モル%以上、99モル%以下であることがより好ましい。反応性ポリシルセスキオキサンのシロキサン含有量が70モル%以上、99モル%以下であれば、赤外線(好ましくは遠赤外線、さらに好ましくは波長9μm以上、11μm以下の光)を照射することによって好適に変質させることができる分離層4を形成することができる。
また、1つの観点において、反応性ポリシルセスキオキサンの重量平均分子量(Mw)は、500以上、50000以下であることが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。反応性ポリシルセスキオキサンの重量平均分子量(Mw)が500以上、50000以下であれば、溶剤に好適に溶解させることができ、サポートプレート上に好適に塗布することができる。
反応性ポリシルセスキオキサンとして用いることができる市販品としては、例えば、小西化学工業株式会社製のSR−13、SR−21、SR−23及びSR−33等を挙げることができる。
〔接着層形成工程〕
図1の(b)に示すように、接着層形成工程では、接着剤組成物を塗布することにより、基板1の一方の平面部に接着層3を形成する。
[基板1]
基板1は、サポートプレート2に支持された状態で、薄化、実装等のプロセスに供され得る。また、基板1は、例えば、集積回路等の素子(ベアチップ)及び金属バンプ等の構造物が実装され、封止材によって封止され得る。つまり、本実施形態に係る積層体の製造方法において、基板1は、典型的には、Siインターポーザ(シリコンウエハ)であり得る。また、基板1としては、例えば、ベアチップを形成するために用いられるシリコンウエハ、セラミックス基板、薄いフィルム基板、及び、フレキシブル基板等の任意の材質からなる基板を挙げることもできる。
[接着層3]
接着層3は、基板1とサポートプレート2とを貼り付けるための層であり、重合性樹脂成分、重合開始剤、及び溶剤を含んでいる接着剤組成物を、基板1の一方の平面部の上に塗布することによって形成される。なお、接着剤組成物が含んでいる重合開始剤は、熱重合開始剤であってもよく、光重合開始剤であってもよいが、熱重合開始剤であることがより好ましい。
接着剤組成物を塗布するための方法としては、例えば、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー塗布、スリット塗布等の公知の塗布方法を採用することができる。
接着層3の厚さは、基板1及びサポートプレート2の種類、並びに、基板1に対して実施する処理等に応じて適宜設定すればよいが、10〜150μmの範囲内であることが好ましく、15〜100μmの範囲内であることがより好ましい。
また、接着層形成工程では、基板1に接着剤組成物を塗布した後、接着剤組成物から希釈溶剤を予め除去することが好ましい。これにより、後の硬化工程において、積層体を加熱するときに、接着層に含まれている希釈溶剤が揮発することに起因して、接着層3と基板1との密着性が低下することを防止することができる。接着剤組成物から希釈溶剤を除去する方法としては、段階的に温度を上昇させて接着層3を加熱することによって希釈溶剤を除去する方法を挙げることができる。
希釈溶剤を除去するために基板1を加熱するときの温度条件は、基板1とサポートプレート2とを接着層3を介して貼り付けることができる貼付可能領域において行なう。ここで、貼付可能領域とは、接着層が基板と支持体とを貼り付けることができる動的粘度を得ることができる温度領域のことを意味する。例えば、本実形態に係る積層体の製造方法では、接着層が含んでいる重合性樹脂成分を重合させることで増粘させつつも、当該接着層の動的粘度が、1Pa・s以下の値を示す温度領域を貼付可能領域として設定することができる。
なお、接着層3から希釈溶剤を除去する方法としては、基板1を減圧環境下に置くことにより、希釈溶剤を除去する方法を挙げることもできる。これにより、重合開始剤の種類等によらず、接着層3から希釈溶剤を好適に除去することができる。また、減圧環境下にて接着層3を加熱することにより、接着層3から希釈溶剤を除去してもよい。
〔積層工程〕
図1の(c)に示すように、本実施形態に係る積層体の製造方法が包含している積層工程では、基板1と、接着層3と、分離層4と、サポートプレート2とをこの順に積層する。積層工程では、貼付可能領域において、基板1上に形成された接着層3をサポートプレート2に貼り付ける。本実施形態に係る積層体の製造方法に用いられる接着剤組成物は、重合開始剤によって重合性樹脂成分を重合させることにより硬化させる。このため、貼付可能領域において、接着層3の動的粘度を1Pa・s以下にすることができ、基板1上に形成された接着層3をサポートプレート2に対して濡れ性良く貼り付けることができる点も、本発明に係る積層体の製造方法の利点の1つである。
積層工程では、減圧環境下において、基板1上の接着層3が形成された面と、サポートプレート2上の分離層4が形成された面とを貼り合わせ、圧着することで積層する。積層工程において、基板1とサポートプレート2とを貼り付けるときに加える圧力は、基板1及びサポートプレート2の大きさに応じて適宜設定すればよい。また、熱重合開始剤によって硬化する接着層3を形成している場合、例えば、ヒータ等の加熱手段を備えた、一対のプレート部材によって加熱しながら基板1とサポートプレート2とを圧着することにより、積層工程後、速やかに加熱による硬化工程を行なうことができる。
〔硬化工程〕
硬化工程は、積層工程後に得られた積層体30の接着層3を加熱又は露光することによって、接着層3に含まれている重合性樹脂成分を重合により硬化させる工程である(図1の(c))。
硬化工程において加熱によって重合性樹脂成分を硬化させる場合、硬化条件としての温度及び時間は、貼付可能領域に基づいて特定すればよい。すなわち、貼付可能領域以上の温度領域において、5〜120分間、加熱することが好ましく、10〜60分間、加熱することがより好ましい。これによって、重合性樹脂成分と熱重合開始剤とを含んでなる接着層3の、250℃以上における動的粘度を1000Pa・以上にまで好適に高めることができる。
なお、硬化工程において露光により重合性樹脂成分を硬化させる場合、温度条件によらず、例えば、光を透過するサポートプレート2を介して、LEDランプや水銀灯等によって、接着層3を露光し、250℃以上における接着層3の動的粘度を1000Pa・以上にまで高めればよい。
<積層体30>
図1の(c)に示すように、積層体30は、基板1と、サポートプレート2とを、接着層3及び分離層4を介して積層してなる。積層体30における接着層3は、250℃以上における動的粘度が1000Pa・s以上であるという、高い耐熱性を備えている。このため、積層体30は、例えば、基板1を薄化する薄化工程を行なうことにより、例えば、基板1の平面部に露出した貫通電極等の上に素子を実装し(実装工程)、当該素子をエポキシ系の樹脂やシリコーン系の樹脂等を用いる封止材によって封止することができる(封止工程)。これにより、基板1から封止基板を好適に形成することができる。つまり、本実施形態に係る積層体の製造方法によれば、ファンイン型WLP(Fan-in Wafer Level Package)技術に基づく、半導体装置(電子部品)の製造を好適に行なうことができる。よって、本発明に係る積層体の製造方法によって製造された積層体も、本発明の範疇である。
<基板処理方法(第一実施形態)>
次に、一実施形態(第一実施形態)に係る基板処理方法について説明する。本実施形態に係る基板処理方法は、第一実施形態に係る積層体の製造方法によって積層体30を製造する積層体製造工程(図1の(a)〜(c))と、積層体製造工程の後、サポートプレート2を介して分離層4に光を照射することで、分離層4を変質させ、基板1からサポートプレート2を分離する分離工程(図1の(d)及び(e))と、分離工程後、基板1側における接着層3の残渣を、研削によって除去する接着層除去工程(図1の(f)及び(g))とを包含している。なお、図1の(a)〜(c)に示す、積層体製造工程は、第一実施形態に係る積層体30の製造方法と同じであるため、その説明を省略する。
〔分離工程〕
図1の(d)に示すように、分離工程では、積層体製造工程後、サポートプレート2を介して、分離層4に光Lを照射する。これにより、積層体30における分離層4を変質させることで、積層体30からサポートプレート2を首尾よく分離することができる。
分離工程において、分離層4に照射する光Lの種類及び波長は、サポートプレート2の透過性及び分離層4の材質に応じて適宜選択すればよく、例えば、YAGレーザ、ルビーレーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、COレーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He−Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、又は、非レーザ光を用いることができる。これにより、分離層4を変質させて、サポートプレート2と基板1とを容易に分離可能な状態とすることができる。
また、レーザ光を照射する場合のレーザ光照射条件の一例としては、以下の条件を挙げることができるが、これに限定されない:レーザ光の平均出力値は、1.0W以上、5.0W以下であることが好ましく、3.0W以上、4.0W以下であることがより好ましい;レーザ光の繰り返し周波数は、20kHz以上、60kHz以下であることが好ましく、30kHz以上、50kHz以下であることがより好ましい;レーザ光の走査速度は、100mm/s以上、10000mm/s以下であることが好ましい。
その後、図1の(e)に示すように、分離工程では、サポートプレート2と基板1とを互いに離れる方向に力を加えることによって分離する。例えば、積層体30におけるサポートプレート2及び基板1の一方をステージに固定した状態において、他方をベローズパッド等の吸着パッドを備えた分離プレートにより吸着保持して持ち上げるか、又は、サポートプレート2の周縁部分端部の面取り部位を、クランプ(把持部材)を備えた分離プレート(図示せず)によって把持して持ち上げることで、基板1とサポートプレート2とを分離する。
〔接着層除去工程〕
図1の(f)に示すように、接着層除去工程では、サポートプレート2を分離した基板1側における接着層3の残渣を研削することにより除去する。ここで、基板1側に残る接着層3は、25℃におけるヤング率が、2.0GPa以上である。このため、接着層3の削りカスが、研削装置のホールに目詰まりすることを防止することができる。よって、例えば、半導体装置を製造する分野においてシリコンウエハを薄化(バックグラインディング)するために用いられるような公知の研削装置により、接着層3の残渣を好適に研削して除去することができる。
より具体的には、接着層除去工程では、基板1側における接着層3の残渣を、BG(バックグラインディング)用ホイール等を備えるグラインダ20で研削することによって除去する。例えば、基板1をスピンチャック等に固定して回転させながら、グラインダ20を接着層3の残渣に当接して回転させることによって、接着層3の残渣を研削させてもよい。ここで、グラインダ20における、スピンドル回転数等の条件は、シリコンウエハを研削するグラインダ装置において、一般的に採用される条件に準じて設定することかでき、一例として本明細書の実施例を参照することができる。また、グラインダ20は、スピンドル部(不図示)又は外部ノズル(不図示)から、2〜4L/分の量で研削水を供給しながら、接着層3を研削するとよい。このような条件により、接着層3を研削することによって、グラインダ20における最大電流値を、5〜20Aの範囲内にすることができる。よって、半導体ウエハ基板を研削する条件と同様の条件にて、接着層3の残渣を研削することができる。
<接着剤組成物>
以上のように、本発明の一実施形態に係る積層体の製造方法では、250℃以上における動的粘度が1000Pa・s以上であり、硬化後の25℃におけるヤング率が2GPa以上である接着層3を形成することができる接着剤組成物を用いることにより、積層工程から接着層除去工程までを好適に実施することができる。また、一実施形態に係る接着剤組成物により形成される接着層は、1Pa・s以下の動的粘度を示す温度領域を貼付可能領域として設定することができる。
接着剤組成物によって形成される接着層3の貼付温度領域と、250℃における動的粘度とは、公知の動的粘度測定装置を用いて、周波数1Hzの条件にて、40℃〜300℃までの温度範囲を、速度5℃/分で昇温させながら、動的粘度(η)を測定することで特定することができる。
一実施形態に係る接着剤組成物では、重合性樹脂成分を重合させることで硬化物を生成させるため、動的粘度測定における初期の低温領域における当該接着層の動的粘度が低い傾向を示し、高温領域に至る途中で急激に増粘し、動的粘度が高くなる傾向を示す。このため、動的粘度測定において、1Pa・s以下の動的粘度を示す低温領域を接着層3の貼付可能領域として設定することができる。また、動的粘度測定において、さらなる昇温に伴い、接着層3が硬化し、250℃において1000Pa・s以上の動的粘度を示す。これに対して、熱可塑性樹脂を用いた接着層は、動的粘度測定の初期における低温領域において、1000Pa・s以上の高い動的粘度を示し、さらなる昇温に伴い、1000Pa・s以下の動的粘度を示す傾向がある。このため、熱可塑性樹脂を用いた接着層は、1000Pa・s以下の動的粘度を得ることができる高温領域を貼付可能領域として設定する必要がある。つまり、一実施形態に係る接着剤組成物は、熱可塑性樹脂を用いて形成される接着層よりも、低温条件にて濡れ性よく基板1とサポートプレート2とを貼り付けることができ、さらに加熱することにより、高温条件にて耐熱性の高い接着層を形成することができる。
接着剤組成物により形成される接着層のヤング率は、公知の弾性率測定装置(例えば、FISCHERSCOPE Hm2000測定装置(フィッシャー・インストルメンツ社製))を用いて、最大試験荷重:5mN、荷重アプリケーション時間:20秒、クリープ時間:5秒、25℃の条件で測定すればよい。
接着剤組成物は、上述の動的粘度の測定方法、及び、ヤング率の評価方法に基づき、以下に詳細に説明する各重合性樹脂成分の組成を調製することで、250℃における接着層3の動的粘度を1000Pa・s以上にし、かつ、25℃における接着層3のヤング率を2GPa以上にすることができる。接着層において、250℃における動的粘度、及び25℃におけるヤング率を所定の値以上にするためには、例えば、各重合性樹脂成分の官能基当量、単分子あたりの官能基数を参照にして各樹脂の配合を調製するとよい。例えば、官能基当量が高い重合性樹脂成分を用いる方が、接着層は、250℃における接着層の動的粘度は高くなる傾向を示し、25℃におけるヤング率も高くなる傾向を示す。より具体的には、例えば、エポキシ樹脂を重合性樹脂成分として使用する場合、エポキシ当量が100g/eq以上になるように樹脂成分の組成を調整すれば、250℃における動的粘度が1000Pa・s以上であり、かつ、25℃における動的粘度が2GPa以上である接着層を形成することができる。エポキシ樹脂を用いる場合、単分子あたりの官能基数は、1以上のものを用いることがより好ましい。また、例えば、アクリル系重合性樹脂成分を用いる場合、エチレン性不飽和結合基の当量が、100g/eq以上になるように樹脂成分の組成を調製することが好ましい。なお、アクリル系重合性樹脂成分を用いる場合、単分子あたりの官能基数は、1以上のものを用いることがより好ましい。
また、重合性樹脂成分は異なる種類の重合性樹脂成分を併用してもよく、硬化前における接着層3の動的粘度が、1000Pa・s以下であればよいが、1.0Pa・s以下になるように、重合性樹脂成分を調製することが好ましい。
以下に、一実施形態に係る接着剤組成物に用いることができる、重合性樹脂成分、重合開始剤、及びその他の成分について、より詳細に説明する。
(重合性樹脂成分)
重合性樹脂成分としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合及びエポキシ基からなる群から選択されるうちの少なくとも1種の官能基を、少なくとも1つ有する付加重合性樹脂成分を挙げることができる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、一実施形態に係る接着剤組成物おいては、250℃以上における動的粘度が、1000Pa・s以上であり、25℃におけるヤング率が、2GPa以上である接着層を形成することができれば、これらを特に限定なく用いることができる。
重合性樹脂成分としては、特に限定されないが、エポキシ基を有する重合性樹脂成分、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分、及び、架橋性基含有シロキサンからなる群より選択させる少なくとも1つを含む重合性樹脂成分であることが好ましく、エポキシ基を有する重合性樹脂成分を含むことがより好ましい。
エポキシ基を有する重合性樹脂成分は、重合開始剤を使用することでエポキシ基を開裂し、互いに重合させることができる化合物であれば限定されない。また、エポキシ基を有する重合性樹脂成分は、その分子量によらず、側鎖又は末端の少なくとも何れかにエポキシ基が導入されていればよい。よって、エポキシ基を有する重合性樹脂成分は、例えば、エポキシ基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物と、エポキシ基を有していないエチレン性不飽和二重結合を有する化合物とを共重合させ、側鎖にエポキシ基を導入してなる樹脂であってもよい。
また、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分は、エチレン性不飽和二重結合を有していれば、低分子化合物であってもよく、ホモポリマー、共重合樹脂等のポリマーであってもよい。
エチレン性不飽和二重結合を有する低分子化合物は、分子量2000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、分子量900以下であることが最も好ましい。本発明における低分子化合物とは、重合開始剤を使用しつつその不飽和結合を開裂させて、連鎖的に結合を成長させることによって得られる、いわゆるポリマーやオリゴマーではなく、分子量2000以下(より好ましくは1500以下、更に好ましくは900以下)の一定の分子量を有する化合物(実質的に分子量分布を有さない化合物)である。なお、低分子化合物の分子量は、通常、100以上である。
また、エチレン性不飽和二重結合を有する低分子化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類などが挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類を挙げることができる。
また、エチレン性不飽和二重結合を有する低分子化合物は、例えば、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類が、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類に付加した付加反応物であってもよい。また、エチレン性不飽和二重結合を有する低分子化合物には、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適に用いることができる。
また、エチレン性不飽和二重結合を有する共重合樹脂は、例えば、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の官能基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類の共重合体における当該官能基に、イソシアネート基又はエポキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合を有している化合物を反応させることによって、エチレン性不飽和二重結合を導入してなる樹脂であってもよい。また、エチレン性不飽和二重結合を有する共重合樹脂は、例えば、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の官能基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類の共重合体に、カルボン酸とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物を縮合させてなる樹脂であってもよい。
その他、重合性樹脂成分は、例えば、シロキサン骨格を備え、当該シロキサン骨格の末端及び側鎖の少なくとも何れかにおいて、エポキシ基、及び、エチレン性不飽和二重結合の少なくとも何れかを備えている架橋性基含有シロキサンであってもよい。
このような重合性樹脂成分は、2種類以上を併用することもできる。
(1.エポキシ基を有する重合性樹脂成分)
エポキシ基を有する重合性樹脂成分は、1分子中において、加熱又は露光することによって硬化するために十分なエポキシ基を有している樹脂成分であればよい。その中でも、ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(Abp)、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ基を有するアクリル樹脂(Aac)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。これらエポキシ樹脂の中でも、硬化後における接着層3の250℃以上における高い動的粘度、及び25℃における高いヤング率を好適に得ることができるという観点から、ノボラック型エポキシ樹脂を用いることがより好ましい。なお、これらのエポキシ基を有する重合性樹脂成分は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でもより好ましいエポキシ樹脂の具体例を以下に示す。
(1)ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)
ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)としては、下記一般式(anv0)で表される樹脂を使用することができる。
(式中、Ra11、Ra12はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、na11は1〜5の整数である。REPはエポキシ基含有基である。)
式(anv0)中、Ra11、Ra12の炭素数1〜5のアルキル基は、例えば炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、環状のアルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。なかでもRa11、Ra12としては、水素原子又はメチル基が好ましい。
式(anv0)中、REPはエポキシ基含有基である。REPのエポキシ基含有基としては特に限定されるものではなく、エポキシ基のみからなる基;脂環式エポキシ基のみからなる基;エポキシ基又は脂環式エポキシ基と、2価の連結基とを有する基が挙げられる。脂環式エポキシ基とは、3員環エーテルであるオキサシクロプロパン構造を有する脂環式基であって、具体的には、脂環式基とオキサシクロプロパン構造とを有する基である。脂環式エポキシ基の基本骨格となる脂環式基としては、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。また、これら脂環式基の水素原子は、アルキル基、アルコキシ基、水酸基等で置換されていてもよい。エポキシ基又は脂環式エポキシ基と、2価の連結基とを有する基の場合、式中の酸素原子(−O−)に結合した2価の連結基を介してエポキシ基又は脂環式エポキシ基が結合することが好ましい。ここで、2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
置換基を有していてもよい2価の炭化水素基について:
かかる2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
上記直鎖状の脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましく、1〜3であることが最も好ましい。直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
上記分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の炭素数は、2〜10であることが好ましく、2〜6であることがより好ましく、2〜4であることがさらに好ましく、2又は3であることが最も好ましい。分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCHCH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
上記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。上記直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、上記と同様のものが挙げられる。上記脂環式炭化水素基の炭素数は、3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。上記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
2価の炭化水素基における芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。この芳香環は、(4n+2)個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は、5〜30であることが好ましく、5〜20であることがより好ましく、6〜15であることがさらに好ましく、6〜12であることが特に好ましい。芳香環としては、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;上記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環としては、具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、具体的には、上記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基又はヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;上記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基又はヘテロアリール基)における水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。上記アリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
2価の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。2価の炭化水素基としての、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
2価の炭化水素基としての、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基における脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。上記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。上記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。上記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。上記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部が上記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。脂環式炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。
2価の炭化水素基としての、芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。上記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。上記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子及びハロゲン化アルキル基としては、上記脂環式炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基について:
ヘテロ原子を含む2価の連結基におけるヘテロ原子とは、炭素原子及び水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。ヘテロ原子を含む2価の連結基において、該連結基として好ましいものとしては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−;−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=O)−O−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。);−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−又は−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基[式中、Y21及びY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0〜3の整数である。]等が挙げられる。上記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=O)−O−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−又は−Y21−O−C(=O)−Y22−中の、Y21及びY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、上記2価の連結基としての説明で挙げた「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。Y21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基又はエチレン基が特に好ましい。Y22としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基又はアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基において、m”は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。なかでも、REPにおけるエポキシ基含有基としては、グリシジル基が好ましい。
また、ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)としては、下記一般式(anv1)で表される構成単位を含む樹脂を好適に使用することができる。
(式中、REPは、エポキシ基含有基であり、Ra22、Ra23は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又はハロゲン原子である。)
式(anv1)中、Ra22、Ra23の炭素数1〜5のアルキル基は、上記式(anv0)中のRa11、Ra12の炭素数1〜5のアルキル基と同様である。Ra22、Ra23のハロゲン原子は、塩素原子又は臭素原子であることが好ましい。式(anv1)中、REPは上記式(anv0)中のREPと同様であって、グリシジル基が好ましい。
以下に上記式(anv1)で表される構成単位の具体例を示す。
ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)は、上記構成単位(anv1)のみからなる樹脂であってもよく、構成単位(anv1)と、他の構成単位とを有する樹脂であることも好ましい。他の構成単位としては、例えば、下記一般式(anv2)〜(anv3)でそれぞれ表される構成単位が挙げられる。
(式中、Ra24は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Ra25〜Ra26、Ra28〜Ra30は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又はハロゲン原子であり、Ra27はエポキシ基含有基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
式(anv2)中、Ra24は、置換基を有していてもよい炭化水素基である。置換基を有していてもよい炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、環状の炭化水素基が挙げられる。該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基又はn−ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5であることがより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
a24が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
a24の環状の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。この芳香環は、(4n+2)個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20であることがより好ましく、6〜15であることがさらに好ましく、6〜12であることが特に好ましい。芳香環としては、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;上記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環としては、具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。Ra24における芳香族炭化水素基としては、具体的には、上記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基又はヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;上記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。上記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
式(anv2)、(anv3)中、Ra25〜Ra26、Ra28〜Ra30は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又はハロゲン原子であって、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子は、それぞれ上記Ra22、Ra23と同様である。
式(anv3)中、Ra27はエポキシ基含有基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。Ra27のエポキシ基含有基は、上記式(anv0)中のREPと同様であり、Ra27の置換基を有していてもよい炭化水素基はRa24と同様である。
以下に上記式(anv2)〜(anv3)で表される構成単位の具体例を示す。
また、上記一般式(anv1)で表される構成単位を置換し得る、他の構成単位としては、上記式(anv2)〜(anv3)で表される構成単位以外に、ポリシクロアルカン構成単位を挙げることができる。このような、ポリシクロアルカン構成単位としては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的には、アダマンタン構成単位、ノルボルナン構成単位、イソボルナン構成単位、トリシクロデカン構成単位、テトラシクロドデカン構成単位等を挙げることができる。
ノボラック型エポキシ樹脂(Anv)が、構成単位(anv1)に加えて他の構成単位を有する場合の、樹脂(Anv)中の各構成単位の割合は特に限定されるものではないが、樹脂(Anv)を構成する全構成単位の合計に対して、エポキシ基を有する構成単位の合計は10〜90モル%であることが好ましく、20〜80モル%であることがより好ましく、30〜70モル%であることがさらに好ましい。
市販品であるノボラック型エポキシ樹脂(Anv)としては、例えば、JER−152、JER−154、JER−157S70、JER−157S65(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON N−740、EPICLON N−740、EPICLON N−770、EPICLON N−775、EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−690、EPICLON N−695、EPICLON HP5000、EPICLON HP7200(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020(以上、日本化薬(株)製)等を挙げることができる。
(2)ビスフェノール型エポキシ樹脂(Abp)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(Abp)としては、下記一般式(abp1)で表される構造のエポキシ樹脂を使用することができる。
(式中、REPは、エポキシ基含有基であり、Ra31、Ra32はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、na31は1〜50の整数である。)
式(abp1)中、Ra31、Ra32の炭素数1〜5のアルキル基は、上記式(anv0)中のRa11、Ra12の炭素数1〜5のアルキル基と同様である。なかでもRa31、Ra32としては、水素原子又はメチル基が好ましい。REPは上記式(anv0)中のREPと同様であって、グリシジル基が好ましい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂(Abp)としては、例えば、JER−827、JER−828、JER−834、JER−1001、JER−1002、JER−1003、JER−1055、JER−1007、JER−1009、JER−1010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等を挙げることができ;ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、JER−806、JER−807、JER−4004、JER−4005、JER−4007、JER−4010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE−21、RE−602S(以上、日本化薬(株)製)等を挙げることができる。
(3)脂環式エポキシ樹脂(A1)
エポキシ基を有する重合性樹脂成分には、脂環式エポキシ樹脂(A1)(以下、「(A1)成分」ということがある。)を用いることができる。ここで、脂環式エポキシ樹脂(A1)は、下記式(A1)で表される。
(式中、R、Rはそれぞれ独立に、脂環式エポキシ基を有していてもよい有機基であって、少なくともR、Rの何れか一方は脂環式エポキシ基を有するものであり、Y、Yはそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基である。)
式(A1)中、R、Rはそれぞれ独立に、脂環式エポキシ基を有していてもよい有機基であって、少なくともR、Rの何れか一方は脂環式エポキシ基を有する。本実施形態において、「脂環式エポキシ基を有していてもよい有機基」とは、脂環式エポキシ基と有機基との組み合わせのみならず、脂環式エポキシ基のみからなる基(有機基)も含む。
有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又は、置換基を有していてもよいヘテロアラルキル基を挙げることができる。
、Rの有機基は脂環式エポキシ基を有していてもよく、少なくともR、Rの何れか一方は脂環式エポキシ基を有する。R、Rの脂環式エポキシ基を有していてもよい有機基は、それぞれ異なっていてもよく、同じであってもよい。R、Rとしては、両方が脂環式エポキシ基を有する有機基であることが好ましく、両方が脂環式エポキシ基からなる基であることがより好ましく、両方が1,2−エポキシシクロヘキシル基であることが特に好ましい。
式(A1)中、Y、Yはそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては特に限定されないが、直鎖状、分岐鎖状、若しくは構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基が挙げられる。当該脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。また、脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基は、その構造を構成する炭素原子及び水素原子の一部が、ヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−;−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=O)−O−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。);−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−又は−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基[式中、Y21及びY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であって、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。式中のOは酸素原子であり、m”は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
、Yは、それぞれ異なっていても同じであってもよい。Y、Yが2価の連結基である場合、当該2価の連結基は、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状、若しくは構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。脂肪族炭化水素基、アルキレン基の炭素数は、1〜30であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましい。Y、Yとしては、単結合、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基が好ましく、単結合又はメチレン基が更に好ましく、Yが単結合、Yがメチレン基であることが特に好ましい。
(A1)成分の好ましい例として、下記式(A1−1)〜(A1−2)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R、Rは上記同様であり、Y02は単結合又は2価の連結基であり、n、nはそれぞれ独立に0〜3の整数であり、nは0〜10の整数であり、nは0又は1である。)
式(A1−1)〜(A1−2)中、R、Rは上記同様であって、両方が脂環式エポキシ基を有する有機基であることが好ましく、両方が脂環式エポキシ基であることがより好ましい。式(A1−1)〜(A1−2)中、Y02は単結合又は2価の連結基であって、2価の連結基としては上記Y、Yと同様の基が挙げられる。なかでも、単結合、又は、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状、若しくは構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が好ましい。式(A1−1)〜(A1−2)中、n、nはそれぞれ独立に0〜3の整数であって、0又は1が好ましい。式(A1−1)〜(A1−2)中、nは0〜10の整数であって、0〜5の整数が好ましく、0がさらに好ましい。式(A1−1)〜(A1−2)中、nは0又は1であって、0が好ましい。
(A1)成分の具体例を以下に挙げる。下記式中、n21は1〜10の整数である。
脂環式エポキシ化合物の市販品としては、セロキサイド2021、2021P、2081、2083、2085(ダイセル化学工業社製)等が好適なものとして挙げられる。
(4)多官能脂環式エポキシ樹脂(A2)
エポキシ基を有する重合性樹脂成分には、多官能脂環式エポキシ樹脂(A2)(以下、「(A2)成分」ということがある。)を用いることができる。多官能脂環式エポキシ樹脂(A2)は、上記(A1)成分に該当しない化合物である。(A2)成分は、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。(A2)成分は二官能以上の多官能エポキシ化合物であって、三官能以上のエポキシ化合物であることが好ましい。(A2)成分としては、耐薬品性、耐光性に優れることから、下記式(A2−1)で表される化合物が好ましい。
(式中、R11はq個の活性水素基を有する有機化合物中の活性水素基を除いた残基である。n11、n12、・・・、nはそれぞれ独立に0〜100の整数を示し、その和は1〜100である。qは1〜100の整数を示す。Aは、置換基R12を含有するオキシシクロヘキサン骨格、又は置換基R12を含有するオキシノルボルネン骨格を有し、且つ下記式(a1)又は(a2)で表される。)
(式中、R12はそれぞれ独立に下記式(a11)〜(a13)で表される基であって、式(A2−1)で表される化合物は、(a11)で表される基を1個以上含む。式(a1)、(a2)で表される基は、波線の結合手において式(A2−1)で表される化合物中のR11に結合し、*印の結合手において式(A2−1)で表される化合物中の水素原子(H)に結合する。)
(R13はアルキル基、アルキルカルボニル基、又はアリールカルボニル基を示す。式(a11)〜(a13)で表される基は、波線の結合手において、式(a1)、(a2)で表される基に結合する。)
上記式(A2−1)中、R11は、活性水素基を有する有機化合物中の活性水素基を除いた残基であるが、その前駆体となる「活性水素基を有する有機化合物」としては、アルコール類、フェノール類、カルボン酸類、アミン類、チオール類等が挙げられる。
上記アルコール類は、1価のアルコールでも多価アルコールでもよい。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等の脂肪族アルコール;ベンジルアルコール等の芳香族アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコール等が挙げられる。上記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、カテコール、ピロガロール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールS、フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられる。上記カルボン酸類としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、動植物油の脂肪酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、ドデカン二酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ポリアクリル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。また、乳酸、クエン酸、オキシカプロン酸等の、水酸基とカルボキシル基とを共に有する化合物も挙げられる。上記アミン類としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン等が挙げられる。上記チオール類としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、フェニルメルカプタン等のメルカプト類;エチレングリコールジメルカプトプロピオン酸エステル、トリメチロールプロパントリメルカプトプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラメルカプトプロピオン酸エステル等の、メルカプトプロピオン酸又はメルカプトプロピオン酸の多価アルコールエステル;等が挙げられる。
さらに、活性水素基を有する有機化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部分加水分解物、デンプン、セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシエチルセルロース、アクリルポリオール樹脂、スチレンアリルアルコール共重合樹脂、スチレン−マレイン酸共重合樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリエステルカルボン酸樹脂、ポリカプロラクトンポリオール樹脂、ポリプロピレンポリオール、ポリテトラメチレングリコール等も挙げられる。
活性水素基を有する有機化合物は、その骨格中に不飽和二重結合を有していてもよい。具体例としては、アリルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、3−シクロヘキセンメタノール、テトラヒドロフタル酸等が挙げられる。以上の活性水素基を有する有機化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記式(A2−1)中、n11、n12、・・・、nは、それぞれ独立に0〜100の整数を示し、その和は1〜100である。また、qは1〜100の整数を示す。なかでもn11、n12、・・・、nは、それぞれ独立に2〜10の整数が好ましく、3〜6の整数がより好ましい。また、n11、n12、・・・、nの和は、4〜30であることが好ましく、4〜20であることがより好ましい。上記和を4以上とすることにより、硬化後の架橋密度を高め、硬度を高めることができる。また、上記和を30以下とすることにより、溶剤への溶解性を高め、ハンドリング性を高めることができる。
上記式(A2−1)中、Aは、置換基R12を含有するオキシシクロヘキサン骨格又は置換基R12を含有するオキシノルボルネン骨格を有し、且つ上記式(a1)又は(a2)で表される。Aは、上記式(a1)で表されることが好ましい。なお、q個あるAはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(A2−1)で表されるエポキシ化合物中には、上記式(a11)で表される基が1個以上含まれることが必須であり、多ければ多いほど好ましい。一方、上記式(a13)で表される基は少なければ少ないほど好ましい。
上記式(A2−1)で表されるエポキシ化合物は、特公平7−119270号公報に記載のように、活性水素基を有する有機化合物を開始剤にして、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキシド又は5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−オキシドとエポキシ基を1個有する化合物との混合物を開環重合させることによって得られるポリエーテル樹脂、すなわち、ビニル基側鎖及びシクロヘキサン骨格、あるいはビニル基側鎖及びノルボルネン骨格を有するポリエーテル樹脂を、過酢酸や過酸化水素等でエポキシ化することにより製造される。市販品としては、ダイセル化学工業社製のEHPE3150(n11〜nの和が平均15)が好適なものとして挙げられる。
また、脂環式エポキシ樹脂(A1)と、多官能脂環式エポキシ樹脂(A2)とを併用することにより、接着剤組成物を調製するときにおける、(A1)成分と(A2)成分との配合比は、(A1)/(A2)=70/30〜51/49(質量比)であって、70/30〜60/40(質量比)がより好ましい。上記配合比とすることにより、得られる接着剤組成物の溶融粘度を後述する好ましい範囲にすることができる。これにより、膜厚が均一になるように接着剤組成物を塗布することができる。また、高い耐薬品性を備えた接着層を形成することができる。脂環式エポキシ樹脂(A1)と、多官能脂環式エポキシ樹脂(A2)とを併用するエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ダイセル化学工業社製のEHPE3150CEが好適なものとして挙げられる。
(5)エポキシ基を有するアクリル樹脂(Aac)
エポキシ基を有する重合性樹脂成分には、例えば、不飽和カルボン酸、及び、エポキシ基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物とを少なくとも共重合させて得られるエポキシ基を有するアクリル樹脂(Aac)を用いることができる。
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味する。
また、本明細書において、「エチレン性不飽和二重結合を有する化合物」を、「不飽和化合物」と称することもある。
エポキシ基を有するアクリル樹脂に占める不飽和カルボン酸由来の構成単位(カルボキシル基を有する構成単位)の割合は、5〜29質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
エポキシ基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物は、脂環式エポキシ基を有さないものであってもよく、脂環式エポキシ基を有するものであってもよいが、脂環式エポキシ基を有するものがより好ましい。
脂環式エポキシ基ではないエポキシ基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、硬化後の樹脂の強度等の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルが好ましい。
脂環式エポキシ基であるエポキシ基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物の脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
具体的に、脂環式エポキシ基であるエポキシ基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物としては、例えば下記式(a4−1)〜(a4−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、接着剤組成物の硬化性を適度なものにするためには、下記式(a4−1)〜(a4−6)で表される化合物が好ましく、下記式(a4−1)〜(a4−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Ra3は水素原子又はメチル基を示し、Ra4は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra5は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。Ra4としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra5としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH−Ph−CH−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
これらのエポキシ基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
エポキシ基を有するアクリル樹脂に占めるエポキシ基を有する不飽和化合物由来の構成単位(エポキシ基を有する構成単位)の割合は、5〜90質量%であることが好ましく、15〜85質量%であることがより好ましく、50〜85質量%であることが特に好ましい。上記範囲とすることにより、エポキシ基を有するアクリル樹脂を好適に硬化させることができる。
エポキシ基を有するアクリル樹脂は、脂環式基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物を更に共重合させたものであることが好ましい。
脂環式基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物の脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
具体的に、脂環式基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物としては、例えば下記式(a5−1)〜(a5−8)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、接着剤組成物の硬化性を適度なものとするためには、下記式(a5−3)〜(a5−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a5−3)、(a5−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Ra6は水素原子又はメチル基を示し、Ra7は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra8は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。Ra7としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra8としては、例えばメチル基、エチル基が好ましい。
エポキシ基を有するアクリル樹脂に占める、脂環式基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物由来の構成単位の割合は、1〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
また、エポキシ基を有するアクリル樹脂は、上記以外の他の化合物を更に共重合させたものであってもよい。このような他の化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
エポキシ基を有するアクリル樹脂の質量平均分子量は、2000〜50000であることが好ましく、3000〜30000であることがより好ましい。
(2.エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分)
エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分は、1分子中において、加熱又は露光することによって硬化するために十分なエチレン性不飽和二重結合を有していれば、低分子化合物であってもよく、ホモポリマー、共重合樹脂等のポリマーであってもよい。これらの中でもより好ましいエチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分の具体例を以下に示す。
(1)エチレン性不飽和二重結合を有する低分子化合物
エチレン性不飽和二重結合を有する低分子化合物には、典型的には、(メタ)アクリル酸と、多価アルコール又は多価カルボン酸とを縮合させた縮合物、若しくは、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の官能基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、多価アルコール又は多価カルボン酸とを、イソシアネート基やエポキシ基を介して付加重合させた付加重合物等である多官能モノマーと、エチレン性不飽和二重結合を有する単官能モノマーとを挙げることができる。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(即ち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(2)エチレン性不飽和基を有する共重合樹脂
エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分には、エチレン性不飽和二重結合を有する共重合樹脂を用いることもできる。このような、エチレン性不飽和二重結合を有する共重合樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、及び、(メタ)アクリル酸エステルから構成されるアクリル樹脂骨格の側鎖にエチレン性二重結合が導入されている(メタ)アクリル樹脂等を挙げることができる。
エチレン性不飽和基を有する重合性樹脂成分としては、例えば、不飽和カルボン酸とエポキシ基含有不飽和化合物とを少なくとも共重合させて得られる樹脂のカルボキシル基と、エポキシ基含有不飽和化合物のエポキシ基とを反応させて得られる樹脂、或いは、不飽和カルボン酸とエポキシ基含有不飽和化合物とを少なくとも共重合させて得られる樹脂のエポキシ基と、不飽和カルボン酸のカルボキシル基とを反応させて得られる樹脂等を挙げることができる。つまり、不飽和カルボン酸と、エポキシ基含有不飽和化合物とを共重合させる樹脂としては、上述のエポキシ基を有するアクリル樹脂(Aac)の一形態を挙げることができる。
なお、アクリル樹脂骨格にエチレン性不飽和二重結合を導入する方法しては、上述のように、アクリル樹脂骨格が有しているカルボン酸、及びエポキシ基を介してエチレン性不飽和二重結合を導入する形態に限定されない。例えば、カルボン酸基、水酸基、アミン基、アミド基、及び、チオール基等を側鎖に有しているアクリル樹脂と、エチレン性不飽和二重結合と、カルボン酸基、水酸基、アミン基、アミド基、及び、チオール基等とを備えたモノマーとを、例えば、多官能イソシアネートや多官能エポキシ樹脂を反応させることによって、エチレン性不飽和二重結合を導入する構成であってもよい。
さらに言えば、エチレン性二重結合が導入されている(メタ)アクリル樹脂は、エチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを備えた(メタ)アクリレートのホモポリマー、又は、コポリマーであってもよい。
また、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分に占めるエポキシ基含有不飽和化合物由来の構成単位(エポキシ基を有する構成単位)の割合は、5〜90質量%であることが好ましく、15〜75質量%であることがより好ましい。上記範囲とすることにより、接着層3を好適に硬化させることができる。
エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分の質量平均分子量は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、接着剤組成物の好適な塗布作業性を得ることができる。
(3.架橋性基含有シロキサン)
また、重合性樹脂成分は、架橋性基含有シロキサン(Asi)であってもよい。
本明細書において、架橋性基含有シロキサン(Asi)とは、下記式(Asi0)に示すように、シロキサン骨格の側鎖に、エポキシ基、及びビニル基等の架橋性基を有している化合物を示す。
−(SiO3/2(R))−(SiO3/2(R))−・・(Asi0)
(ここで、Rは、架橋性基であり、Rは、アルキル基、アリール基又は芳香族基から選択される。m、nは、上記ポリシロキサン中の全構造単位に対する上記添え字が付された構造単位のモル百分率を表し、n+m=100%であり、n>0である。)。
エポキシ基シロキサンは、光カチオン重合開始剤又は熱カチオン重合開始剤により、上記エポキシ基において互いに架橋重合することによって重合体を形成することができる。
接着層3の耐熱性等の物性に優れた積層体を製造するという観点において、上記架橋性基含有シロキサンは、以下の一般式(Asi1)にて示される架橋性基含有シロキサンが好ましい。
(式中、Rc1はエポキシ基、オキセタニル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基を含有する基であり、Rc2はアルキル基又はアリール基であり、添え字m及びnは、上記ポリシロキサン中の全構造単位に対する上記添え字が付された構造単位のモル百分率を表し、mは50〜90モル%であり、nは10〜50モル%である。ただし、m及びnの合計は100モル%である。)。
上記架橋性基含有シロキサンの具体例として、以下の式にて示されるポリマーE、ポリマーF、並びに、信越シリコーン株式会社製の商品名X−22−2046及びKF−102等が挙げられる:
ポリマーE:下記式(Asi2)で表されるエポキシ変性シロキサン(質量平均分子量:1000〜20000)
(式(Asi2)中、添え字m1及びn1は、ポリマーE中の全構造単位に対する上記添え字が付された構造単位のモル百分率を表し、m1=50〜90モル%であり、n1=10〜50モル%である。ただし、m1及びn1の合計は100モル%である。)
ポリマーF:下記式(Asi3)で表されるエポキシ変性シロキサン(質量平均分子量:1000〜20000)
(式(Asi3)中、添え字m2、n2、及びn3は、ポリマーF中の全構造単位に対する上記添え字が付された構造単位のモル百分率を表し、m2=50〜90モル%、n2=1〜10モル%、n3=5〜50モル%である。ただし、m2、n2、及びn3の合計は100モル%である。)。
[重合開始剤]
重合開始剤は、上述した重合性樹脂成分を硬化させることができるものであればよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤等が挙げられ、製造する積層体の構成によらず、接着層3を好適に硬化することができるという観点から、熱重合開始剤であることが好ましい。
熱重合開始剤としては、熱カチオン重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤等を挙げることができる。また、光重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤等を挙げることができる。以下に、熱カチオン重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、及び光ラジカル重合開始剤について詳細に説明する。
(1)熱カチオン重合開始剤
接着剤組成物は、重合開始剤として、熱カチオン重合開始剤を含有している。また、このような、熱カチオン重合開始剤において、熱により酸を発生する重合開始剤を、熱酸発生剤と称することもある。接着剤組成物は、熱硬化処理時に、熱により発生するカチオンの作用により、重合性基の重合を促進させることができる。以下に、熱カチオン重合開始剤として使用することができる化合物について詳細に説明する。
(カチオン)
熱カチオン重合開始剤には、以下の一般式(h01)又は(h02)に示すカチオン部を備えている化合物を挙げることができる。
(上記(h01)中において、Rh01〜Rh04は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基及びアリール基からなる群から選択される有機基であって、上記アリール基は置換基を有していてもよく、Rh01〜Rh04の内の少なくとも1つは、アリール基である。)
(上記及び(h02)中において、Rh05〜Rh07は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基及びアリール基からなる群から選択される有機基であって、上記アリール基は置換基を有していてもよく、Rh05〜Rh07の内の少なくとも1つは、アリール基である。)
ここで、Rh01〜Rh07がアリール基である場合、当該アリール基は、以下の一般式(hr−1)に示す、フェニル基であることが好ましい。
(上記hr−1中、Rhc01は、水素、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基であってもよく、当該炭素数1〜10のアルキル基は、エーテル結合、又はエステル結合を介して(hr−1)におけるフェニル基に結合していてもよい。なお、Rh01〜Rh07におけるhr−1はそれぞれ独立して異なる置換基であってもよい。)
一般式(h01)に示すカチオン部の好ましい形態としては、以下のカチオン部を挙げることができる。
また、一般式(h02)に示すカチオン部の好ましい形態としては、以下のカチオン部を挙げることができる。このような、カチオン部を有する芳香族オニウム塩は、室温における安定性に優れており、熱により酸を発生することから、熱酸発生剤として好ましく使用することができる。
また、一般式(h02)に示すカチオン部の好ましい形態としては、以下のカチオン部を挙げることができる。
(アニオン部)
熱カチオン重合開始剤におけるアニオン部としては、例えば、6フッ化リン酸アニオン、トリルオロメタンスルホン酸アニオン、パーフルオロブタンスルホン酸アニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオン等を挙げることができる。
市販品として入手できる熱カチオン重合開始剤としては、例えば、サンエイドSI−45、SI−47、SI−60、SI−60L、SI−80、SI−80L、SI−100、SI−100L、SI−110、SI−110L、SI−145、I−150、SI−160、SI−180L、SI−B3、SI−B2A、SI−B3A、SI−B4、SI−300(三新化学工業(株)製)等が挙げられる。その他にも、CI−2921、CI−2920、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(日本曹達(株)製)、CP−66、CP−77((株)ADEKA製)、FC−520(3M社製)K―PURE TAG−2396、TAG−2713S、TAG−2713、TAG−2172、TAG−2179、TAG−2168E、TAG−2722、TAG−2507、TAG−2678、TAG−2681、TAG−2679、TAG−2689、TAG−2690、TAG−2700、TAG−2710、TAG−2100(KING INDUSTRY社製)、CDX−3027、CXC−1615、CXC−1616、CXC−1750、CXC−1738、CXC−1614、CXC−1742、CXC−1743、CXC−1613、CXC−1739、CXC−1751、CXC−1766、CXC−1763、CXC−1736、CXC−1756、CXC−1821、CXC−1802−60(楠本化成株式会社製)等が挙げられる。上記のなかでも、トリフルオロメタンスルホン酸塩又は六フッ化リン酸塩が好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸塩がより好ましい。
熱カチオン重合開始剤において酸を発生させるための温度は、接着層3の貼付可能領域以上の温度領域であることが好ましく、具体的には、110℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。
熱カチオン重合開始剤の配合量は、接着剤組成物の全固形分に対して、0.01重量%以上、20重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上、10重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以上、5重量%以下であることが最も好ましい。熱酸発生剤の配合量が、0.1重量%以上であれば、重合性樹脂成分を好適に重合させることにより、250℃以上における動的粘度、及び、25℃におけるヤング率が高い接着層を形成することができる。
(2)熱ラジカル重合開始剤
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物及びアゾ系重合開始剤等が挙げられる。これら熱ラジカル重合開始剤は、加熱されることにより発生するラジカルによって、重合性モノマーを重合させる。
過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシカーボネート及びパーオキシケタール等が挙げられる。具体的には、過酸化アセチル、過酸化ジクミル、過酸化tert−ブチル、過酸化tert−ブチルクミル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル(BPO)、過酸化2−クロロベンゾイル、過酸化3−クロロベンゾイル、過酸化4−クロロベンゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化4−ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過ギ酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過4−メトキシ酢酸tert−ブチル及び過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル、ジクミル−パーオキサイド、tert−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキシル−モノカーボネート、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン及び1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。
市販されている過酸化物としては、例えば、日本油脂株式会社製の商品名「パークミル(登録商標)」、商品名「パーブチル(登録商標)」、商品名「パーオクタ(登録商標)」、「パーロイル(登録商標)」及び「パーヘキサ(登録商標)」等が挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)及びポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤の配合量は、100重量部の重合性モノマーに対して、0.1重量部以上、20重量部以下であることが好ましく、1重量部以上、5重量部以下であることがより好ましい。これにより、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分を好適に重合させることができ、250℃以上における動的粘度、及び、25℃におけるヤング率が高い接着層を形成することができる。なお、熱ラジカル重合開始剤は、接着剤組成物を使用する直前において、公知の方法により、接着剤組成物に配合するとよい。また、熱ラジカル重合開始剤は、後述する添加溶剤に希釈してから、接着剤組成物に配合してもよい。
熱ラジカル重合開始剤の1分間半減温度は、90℃以上、200℃以下であることが好ましく、120℃以上、180℃以下であることがより好ましい。
また、熱ラジカル重合開始剤の1時間半減温度は、50℃以上、140℃以下であることが好ましく、80℃以上、140℃以下であることがより好ましい。
熱ラジカル重合開始剤の1分間半減温度が、90℃以上、200℃以下であり、1時間半減温度が、50℃以上、140℃以下であることにより、熱ラジカル重合開始剤を配合した後から、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分が重合し、ゲル化するまでの時間を長くすることができる。これにより、サポートプレート2上に接着剤組成物を塗布するときの作業可能時間を長くすることができる。また、熱ラジカル重合開始剤の1分間半減温度が、90℃以上、200℃以下であり、1時間半減温度が、50℃以上、140℃以下であることにより、サポートプレート2上に接着剤組成物を塗布し、加熱することで希釈溶剤を除去するときの温度条件を高く設定することができる。また、作業可能時間を長くすることができるという観点からは、熱ラジカル重合開始剤の1分半減温度及び1時間半減温度はより高い方が好ましい。また、速やかにゲル化させるという観点からは、熱ラジカル重合開始剤の1分半減温度及び1時間半減温度はより低い方が好ましい。
なお、熱ラジカル重合開始剤の理論活性酸素量は、3.0%以上、13.0%以下であることが好ましく、理論活性酸素量に応じて、熱ラジカル重合開始剤の配合量を適宜調整するとよい。
(3)光カチオン重合開始剤
本発明において光カチオン重合開始剤は、下記一般式(b0−1)で表される化合物、及び下記一般式(b0−2)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上のカチオン重合開始剤(B0)(以下、「(B0)成分」という)を用いるとよい。
(式中、Rb01〜Rb04は、それぞれ独立にフッ素原子、又は置換基を有していてもよいアリール基である。Rb05は、フッ素原子、又は置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基であって、複数のRb05は同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。qは1以上の整数であって、Qq+はそれぞれ独立にq価の有機カチオンである。)
[(B0)成分]
(B0)成分は、上記一般式(b0−1)で表される化合物、及び上記一般式(b0−2)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上のカチオン重合開始剤である。これら2種の化合物は、露光により比較的強い酸を発生する。このため、(B0)成分を有する接着剤組成物は、露光することによりエポキシ基を有する重合性樹脂成分を好適に硬化させることができる。
式(b0−1)中、Rb01〜Rb04は、それぞれ独立にフッ素原子、又は置換基を有していてもよいアリール基である。Rb01〜Rb04の置換基を有していてもよいアリール基は、炭素数が5〜30であることが好ましく、5〜20であることがより好ましく、6〜15であることがさらに好ましく、6〜12であることが特に好ましい。具体的には、ナフチル基、フェニル基、アントラセニル基などが挙げられ、入手が容易であることからフェニル基が好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては特に限定されるものではないが、ハロゲン原子、水酸基、炭化水素基(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数は1〜5が好ましい)が好ましく、ハロゲン原子又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基がより好ましく、フッ素原子又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が特に好ましい。アリール基がフッ素原子を有することにより、アニオン部の極性が高まるので好ましい。なかでも式(b0−1)のRb01〜Rb04としては、フッ素化されたフェニル基が好ましく、パーフルオロフェニル基が特に好ましい。
式(b0−1)で表される化合物のアニオン部の好ましい具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C);テトラキス[(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート([B(CCF);ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(CBF);トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C)BF);テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート([B(C)等が挙げられる。なかでも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C)が特に好ましい。
式(b0−2)中、Rb05は、フッ素原子、又は置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基であって、複数のRb05は同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
b05の置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜5であることがさらに好ましい。具体的には、上記Ra22、Ra23の説明中で上述した炭素数1〜5のアルキル基において、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでもRb05としては、フッ素原子又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、フッ素原子又は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基がより好ましく、フッ素原子、トリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基がさらに好ましい。
式(b0−2)で表される化合物のアニオン部は、下記一般式(b0−2a)で表されるものが好ましい。
(式中、Rbf05は置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基であって、nbは1〜5の整数である。)
式(b0−2a)中、Rbf05の置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基としては、上記Rb05で挙げた置換基を有していてもよいフッ素化アルキル基と同様である。式(b0−2a)中、nbは1〜4であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、3であることが最も好ましい。
式(b0−1)〜(b0−2)中、qは1以上の整数であって、Qq+はq価の有機カチオンであり、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好適に挙げられ、下記の一般式(ca−1)〜(ca−5)でそれぞれ表される有機カチオンが特に好ましい。
(式中、R201〜R207、及びR211〜R212は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表し、R201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。R208〜R209はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R210は置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO−含有環式基であり、L201は−C(=O)−又はC(=O)−O−を表し、Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表し、xは1又は2であり、W201は(x+1)価の連結基を表す。)
201〜R207、及びR211〜R212におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。R201〜R207、及びR211〜R212におけるヘテロアリール基としては、上記アリール基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されたものが挙げられる。ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。このヘテロアリール基として、9H−チオキサンテンから水素原子を1つ除いた基;置換ヘテロアリール基として、9H−チオキサンテン−9−オンから水素原子を1つ除いた基などが挙げられる。R201〜R207、及びR211〜R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。R201〜R207、及びR211〜R212におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。R201〜R207、及びR210〜R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、オキソ基(=O)、アリール基、下記式(ca−r−1)〜(ca−r−10)でそれぞれ表される基が挙げられる。
(式中、R’201はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。)
R’201は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
置換基を有していてもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
R’201における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20であることがさらに好ましく、6〜15であることが特に好ましく、6〜10であることが最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。R’201における芳香族炭化水素基が有する芳香環としては、具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、もしくはこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環、又は、これらの芳香環もしくは芳香族複素環を構成する水素原子の一部がオキソ基などで置換された環が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。R’201における芳香族炭化水素基としては、具体的には、上記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:たとえば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基など)、上記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)、上記芳香環を構成する水素原子の一部がオキソ基などで置換された環(たとえばアントラキノン等)から水素原子を1つ除いた基、芳香族複素環(たとえば9H−チオキサンテン、9H−チオキサンテン−9−オンなど)から水素原子を1つ除いた基等が挙げられる。上記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
R’201における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。上記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。上記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
なかでも、R’201における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカン又はポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましく、1〜3であることが最も好ましい。直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基:
R’201の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることが最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10であることが最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基:
R’201の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5であることがより好ましく、2〜4であることがさらに好ましく、3であることが特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
R’201の環式基、鎖状のアルキル基又はアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、オキソ基、上記R’201における環式基等が挙げられる。
なかでも、R’201は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。
201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、−SO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CONH−又はN(R)−(該Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中の硫黄原子をその環骨格に含む1つの環が、硫黄原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
208〜R209は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合、相互に結合して環を形成してもよい。
210は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO−含有環式基である。R210におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。R210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。R210におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
201におけるアリーレン基は、R’201における芳香族炭化水素基として例示したアリール基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。Y201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、R’201における鎖状のアルキル基、鎖状のアルケニル基として例示した基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
上記式(ca−4)中、xは、1又は2である。W201は、(x+1)価、すなわち2価又は3価の連結基である。W201における2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、上記式(anv0)中のREPで例示した置換基を有していてもよい2価の炭化水素基と同様の基が好ましい。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基、又はアリーレン基のみからなる基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。W201における3価の連結基としては、上記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、上記2価の連結基にさらに上記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
上記式(ca−1)で表される好適なカチオンとしては、具体的には、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−24)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
(式中、R”201は水素原子又は置換基であって、該置換基としては上記R201〜R207、及びR210〜R212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。)
また、上記式(ca−1)で表されるカチオンとしては、下記一般式(ca−1−25)〜(ca−1−36)でそれぞれ表されるカチオンも好ましい。
(式中、R’211はアルキル基であり、Rhalは水素原子又はハロゲン原子である。)
上記式(ca−2)で表される好適なカチオンとしては、具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
上記式(ca−4)で表される好適なカチオンとしては、具体的には、下記式(ca−4−1)〜(ca−4−2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
また、上記式(ca−5)で表されるカチオンとしては、下記一般式(ca−5−1)〜(ca−5−2)でそれぞれ表されるカチオンも好ましい。
(式中、R’211はアルキル基である。)
上記の中でも、カチオン部[(Qq+1/q]は、一般式(ca−1)で表されるカチオンが好ましく、式(ca−1−1)〜(ca−1−36)でそれぞれ表されるカチオンがより好ましい。
なお、このような、光カチオン重合開始剤において、光により酸を発生する重合開始剤を、光酸発生剤と称することもある。
(B0)成分は、上述した光酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。接着剤組成物における(B0)成分の含有割合は、エポキシ基を有する重合性樹脂成分100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、0.2〜5質量部がさらに好ましく、0.5〜2質量部が特に好ましい。また、接着剤組成物において、光カチオン重合開始剤中の(B0)成分の含有割合は特に限定されるものではなく、(B0)成分の構造や、アニオン部に由来する酸の等に応じて適宜決定することができる。具体的には、光カチオン重合開始剤中の(B0)成分の含有割合は、20〜99.999質量%であることが好ましく、30〜99.99質量%であることがより好ましく、40〜99.9質量%であることがさらに好ましく、60〜99.9質量%であることが特に好ましく、90〜99.6質量%であることが最も好ましい。(B0)成分の含有割合を上記範囲とすることにより、露光により重合開始剤から発生する複数種の酸の強度を全体で適度なものとすることができ、好適に重合性樹脂成分を硬化させることができる。
接着剤組成物における光カチオン重合開始剤の含有量は、エポキシ基を有する重合性樹脂成分100質量部に対して、0.01〜60質量部であることが好ましく、0.05〜30質量部であることがより好ましく、0.05〜20質量部であることがさらに好ましく、0.1〜10質量部であることが特に好ましい。光カチオン重合開始剤の含有量が0.01〜60質量部であれば、接着層を好適に硬化させることができ、250℃以上における動的粘度、及び、25℃におけるヤング率が高い接着層を形成することができる。
(4)光ラジカル重合開始剤
接着剤組成物は、光ラジカル重合開始剤によって、重合性樹脂成分を重合させる構成であってもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(即ち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(即ち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−t−ブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−t−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン及び2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。また、光ラジカル重合開始剤として、市販品である「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE01」,「IRGACURE 369」、「IRGACURE 651」及び「IRGACURE 907」(商品名:何れもBASF社製)並びに「NCI−831」(商品名:ADEKA社製)等も用いることができる。
光ラジカル重合開始剤の配合量は、100重量部の重合性モノマーに対して、0.1重量部以上、20重量部以下であることが好ましく、1重量部以上、5重量部以下であることがより好ましい。
(3.その他の成分)
接着剤組成物は、上述の重合性成分及び重合開始剤以外に、界面活性剤、及び希釈溶剤を含んでいてもよい。
(1)界面活性剤
接着剤組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられる。シリコーン系界面活性剤としては、具体的には、BYK−077、BYK−085、BYK−300、BYK−301、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−335、BYK−341、BYK−344、BYK−345、BYK−346、BYK−348、BYK−354、BYK−355、BYK−356、BYK−358、BYK−361、BYK−370、BYK−371、BYK−375、BYK−380、BYK−390(BYK Chemie社製)等を使用することができる。フッ素系界面活性剤としては、具体的には、F−114、F−177、F−410、F−411、F−450、F−493、F−494、F−443、F−444、F−445、F−446、F−470、F−471、F−472SF、F−474、F−475、F−477、F−478、F−479、F−480SF、F−482、F−483、F−484、F−486、F−487、F−172D、MCF−350SF、TF−1025SF、TF−1117SF、TF−1026SF、TF−1128、TF−1127、TF−1129、TF−1126、TF−1130、TF−1116SF、TF−1131、TF−1132、TF−1027SF、TF−1441、TF−1442(DIC社製);ポリフォックスシリーズのPF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520(オムノバ社製)等を使用することができる。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。界面活性剤の含有量は、重合性樹脂成分の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.02〜2質量部であることがより好ましく、0.03〜1質量部であることがさらに好ましい。上記範囲とすることにより、接着剤組成物をサポートプレート2上に塗布したときに、平坦性の高い接着層3を形成することができる。
(2)希釈溶剤
接着剤組成物は、希釈溶剤を含んでいることが好ましい。希釈剤は、重合性樹脂成分及び重合開始剤を溶解することができる溶剤であれば限定されず、以下に示す溶剤を好適に用いることができる。
希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、イソノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素、炭素数4から15の分岐鎖状の炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ナフタレン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン等の環状炭化水素、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、ツジャン、カラン、ロンギホレン、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、イソメントール、ネオメントール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−1−オール、テルピネン−4−オール、ジヒドロターピニルアセテート、1,4−シネオール、1,8−シネオール、ボルネオール、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファー、d−リモネン、l−リモネン、ジペンテン等のテルペン系溶剤;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CH)、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、又はジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、上記多価アルコール類又は上記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル又はモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体(これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい);ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル等の芳香族系有機溶剤等を挙げることができる。
その他、接着剤組成物は、重合性樹脂成分及び重合開始剤の組成に応じて、適宜、増感剤を含んでいてもよい。
<別の実施形態に係る積層体の製造方法(第二実施形態)>
本発明に係る積層体の製造方法は、上述の実施形態(第一実施形態)に係る積層体の製造方法に限定されない。図2の(a)〜(J)に示すように、例えば、一実施形態(第2実施形態)に係る積層体の製造方法は、光を透過するサポートプレート2(支持体)上に光を照射することにより変質する分離層4を形成する分離層形成工程と、当該分離層4上に一実施形態に係る接着剤組成物を塗布することにより、接着層3を形成する接着層形成工程と、上記接着層3を加熱又は露光することにより硬化させる硬化工程と、上記接着層3を介して、基板を積層する積層する積層工程を包含しており、積層工程は、上記接着層3上に再配線層を形成する再配線層形成工程と、再配線層に素子を実装する実装工程と、再配線層に実装した素子を封止材によって封止する封止工程とを包含している。ここで、硬化工程後における接着層3の250℃における動的粘度は、1000Pa・以上であり、25℃におけるヤング率は、2GPa以上である。よって、第一実施形態に係る積層体の製造方法と同じく、一実施形態に係る接着層組成物を用いて、好適に積層体31を形成することができる。
すなわち、本実施形態に係る積層体の製造方法は、基板1の代わりに、素子11、素子11を封止する封止材6、及び素子11を実装する再配線層5を備えてなる封止基板7を積層する積層体の製造方法である。より具体的には、封止材によって封止された素子のチップエリア外に端子を再配置することで、半導体の集積化、薄型化及び小型化を実現する、ファンアウト型技術に基づく積層体の製造方法である。なお、ファンアウト型技術には、ウエハ上に半導体素子を配置してパッケージ化するファンアウト型WLP(Fan-out Wafer Level Package)、及び、パネル上に半導体素子を配置してパッケージ化するファンアウト型WLP(Fan-out Wafer Level Package)を挙げることができる。
なお、説明の便宜上、第一実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、説明を省略する。
〔分離層形成工程〜硬化工程〕
分離層形成工程(図2の(a))は、第一実施形態における分離層形成工程と同じであるため、その説明を省略する。また、接着層形成工程(図2の(b))は、サポートプレート2に形成された分離層4の上に接着層3を形成すること以外は、第一実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
〔硬化工程〕
本実施形態に係る積層体の製造方法では、硬化工程は、積層工程の前に行なわれる。硬化工程では、接着層形成工程によって形成された接着層3を予備的に加熱するか、又は接着層3を減圧環境下に置くか、或いはその両方を行なうことにより、接着層3が含んでいる希釈溶剤を除去することが好ましい。
硬化工程において、加熱により接着層3が含んでいる希釈溶剤を除去する場合、貼付可能領域において接着層3を加熱して希釈溶剤を除去することが好ましい。その後、接着層3上に再配線層5を形成する前に、貼付可能領域よりも高い温度にて、10〜60分間、窒素ガス等の不活性ガス環境下窒素ガス等の不活性ガス環境下、又は、窒素ガス等の不活性ガス環境下において接着層3を加熱して硬化させるとよい。
なお、硬化工程において、露光により、接着層3を硬化させる場合も、例えば、窒素ガス等の不活性ガス環境下、又は、減圧環境下において、接着層3を露光し硬化させるとよい。
〔積層工程〕
図2の(c)〜(f)に示すように、積層工程では、硬化した接着層3上に封止基板7を形成する。本実施形態における積層工程は、再配線層形成工程、実装工程、封止工程、及び薄化工程を含み、この順に行なうことにより、接着層3上に封止基板7を形成する。
[再配線層形成工程]
図2の(c)に示すように、再配線層形成工程では、接着層3上に再配線層5を形成する。
一実施形態において、再配線層5の形成手順としては、まず、接着層3上に、酸化シリコン(SiOx)、感光性樹脂等の誘電体層を形成する。酸化シリコンからなる誘電体層は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法等により形成することができる。感光性樹脂からなる誘電体層は、例えば、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー塗布及びスリット塗布等の方法により感光性樹脂を塗布することによって形成することができる。
続いて、誘電体層に、金属等の導電体によって配線を形成する。配線の形成手法としては、例えば、フォトリソグラフィー(レジストリソグラフィー)等のリソグラフィー処理、エッチング処理等の公知の半導体プロセス手法を用いることができる。
このように、フォトリソグラフィー処理、及びエッチング処理等を行なうときにおいて、接着層3は、フッ化水素酸等の酸、TMAH等のアルカリ、及び、レジスト溶剤に曝される。特に、ファンアウト型技術においては、レジスト溶剤として、PGMEA以外に、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等が用いられる。しかしながら、一実施形態に係る接着剤組成物を用いて接着層3を形成することにより、接着層3は高い耐薬品性を備えている。このため、分離層が、酸、アルカリのみならず、レジスト溶剤に曝されることによって溶解、又は剥離することを防止することができる。よって、サポートプレート2上において、再配線層5を好適に形成することができる。
(再配線層5)
再配線層5は、RDL(Redistribution Layer)とも呼ばれ、素子11に接続する配線を構成する薄膜の配線体であり、単層又は複数層の構造を有し得る。一実施形態において、再配線層5は、誘電体(例えば、酸化シリコン(SiOx)、感光性エポキシ等の感光性樹脂等)に、導電体(例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、金及び銀等の金属並びに銀−錫合金等の合金)によって配線が形成されたものであり得るが、これに限定されない。
[実装工程]
図2の(d)に示すように、実装工程では、再配線層5上に素子11を実装する。例えば、素子11の実装は、例えば、チップマウンターを用いて行なうことができる。より具体的には、例えば、ソルダーバンプを介して、再配線層5上に素子11を実装する形態を挙げることができる。
(素子11)
素子11は、半導体素子又はその他の素子であり、単層又は複数層の構造を有し得る。なお、素子11が半導体素子である場合、封止基板7をダイシングすることにより得られる電子部分は、半導体装置となる。また、素子11において、再配線層5上に対向する側の面には、配線層(不図示)が形成され得る。
[封止工程]
図2の(e)に示すように、封止工程では、素子11を封止材6によって封止する。特に限定されるものではなく、参考として、封止材6は、例えば、100℃以上に加熱された状態で、高粘度の状態を維持しつつ、成形型を用いて射出成形される。ここで、接着層3は、高い耐熱性を備えているため、封止材6を射出成形するときに加えられる圧力よって、接着層3が歪むことを好適に防止することができる。このため、接着層3上に形成された再配線層が歪むことを防止することができ、素子を精度よく封止することができる。なお、実装工程において、再配線層5上にソルダーバンプを介して素子11を実装しているのであれば、素子11を封止する前に、当該ソルダーバンプをアンダーフィルによって封止してもよい。
(封止材6)
封止材6としては、例えば、エポキシ系の樹脂やシリコーン系の樹脂を用いることができる。封止材6は、素子11毎に設けられているものではなく、再配線層5に実装された複数の素子11の全てを一体的に封止しているものであることが好ましい。
(封止基板7)
封止基板7は、素子11、素子11を封止する封止材6、及び素子11を実装する再配線層5を備えている。封止基板7は、複数の素子11を備えていることが好ましく、このような封止基板7をダイシングすることにより、複数の電子部品を得ることができる。
[薄化工程]
図2の(f)に示すように、薄化工程では、封止材6を薄化する。これにより、接着層3の上において、再配線層5を備えた封止基板7を好適に形成することができる。
<別の実施形態に係る基板処理方法(第二実施形態)>
次に、別の実施形態(第二実施形態)に係る基板処理方法について説明する。本実施形態に係る基板処理方法は、第二実施形態に係る積層体の製造方法によって積層体30を製造する積層体製造工程(図2の(a)〜(f))と、積層体製造工程の後、サポートプレート2を介して分離層4に光を照射することで、分離層4を変質させ、基板1からサポートプレート2を分離する分離工程(図2の(g)及び(h))と、分離工程後、再配線層5側における接着層3の残渣を、研削によって除去する接着層除去工程(図2の(i)及び(j))とを包含している。なお、図2の(a)〜(f)に示す、積層体製造工程は、第二実施形態に係る積層体の製造方法と同じであるため、その説明を省略する。
また、分離工程、及び、接着層除去工程は、基板1の代わりに、封止基板7を用いていること以外は、第一実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
〔その他の工程〕
なお、本実施形態に係る基板処理方法では、さらに、図2の(j)で得られる封止基板7における再配線層5に対してBGA(Ball Grid Array)を形成し、ダイシング処理等の処理を行なってもよい。これにより、シリコンインターポーザを用いることなく、半導体装置を製造することができるため、半導体装置のさらなる薄型化を達成することができる。
<一変形例に係る積層体の製造方法>
本発明に係る積層体の製造方法は、上記の実施形態に限定されない。例えば、一変形例に係る積層体の製造方法では、接着層3上に、まず、素子11を実装し、当該素子11を封止材6によって止した後に、再配線層5を形成する構成である。
〔分離層形成工程〜接着層形成工程〕
分離層形成工程(図3の(a))及び接着層形成工程(図3の(b))は、第二実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
〔積層工程〕
図3の(c)〜(f)に示すように、積層工程では、接着層3上に、封止基板7を形成する。本実施形態における積層工程では、実装工程、封止工程、薄化工程、及び再配線層形成工程をこの順に行ない、硬化工程は、実装工程後、封止工程前に行なわれる。
[実装工程]
図3の(c)に示すように、実装工程では、接着層3上に素子11を実装する。接着層3上への素子11の配置は、接着層3を加熱した状態で、例えば、チップマウンター等を用いて行なうことができる。
[硬化工程]
本変形例に係る積層体の製造方法では、実装工程後、接着層3を硬化させる。これにより、後の封止工程において、接着層3上に実装された素子11が位置ずれすることを好適に防止することができる。なお、硬化工程における接着層3の硬化条件は、第一実施形態及び第二実施形態に係る積層体の製造方法における硬化工程と同じであるため、その説明を省略する。
[封止工程]
図3の(d)に示すように、封止工程では、素子11を封止材6によって封止する。封止材6は、例えば、成形型を用いて射出成形する。なお、第二実施形態の場合と同様に、封止工程において素子11を封止するときに、接着層3に歪みが生じることを防止することができることは言うまでもない。
[薄化工程]
図3の(e)に示すように、薄化工程では、封止材6を薄化する。封止材6は、例えば、素子11の端子部が封止材6から露出するまで薄化すればよい。
[再配線層形成工程]
図3の(f)に示すように、再配線層形成工程では、封止材6によって封止された素子11上に再配線層5を形成する。
一実施形態において、再配線層5の形成手順としては、第二実施形態と同様に行なうことができるため、その説明を省略する。
以上の工程により、積層体32を得ることができる。
<一変形例に係る基板処理方法>
一変形例に係る基板処理方法は、積層体製造工程(図3の(a)〜(f))と、分離工程(図3の(g)及び(h))と、接着層除去工程(図3の(i)及び(j))とを包含しており、第二実施形態に係る基板処理方法と同じであるため、その説明を省略する。
<別の実施形態に係る積層体の製造方法及び基板処理方法>
本発明に係る積層体の製造方法及び基板処理方法は、上記の実施形態(第一実施形態、並びに、第二実施形態、及び一変形例)に限定されない。例えば、別の実施形態に係る積層体の製造方法では、上述の第一実施形態、第二実施形態、及び、第二実施形態に係る積層体の製造方法によって形成された封止基板を、別の接着層を介して別のサポートプレート(支持体)に積層する積層体の製造方法であって、当該別の接着層は、本発明の一実施形態に係る接着剤組成物によって形成されている。
上記構成によれば、例えば、250℃以上における動的粘度が、1000Pa・s以上であるという高い耐熱性を備えた接着層によって、封止基板をサポートプレートに接着し、シリコンインターポーザを備えた封止基板や、シリコンインターポーザに変えて再配線層を備えた封止基板に、絶縁層やソルダーボール等を形成することができる。また、封止基板上にさらに別の素子を実装した封止体を積層することができる。このとき、例えば、エポキシ系の樹脂やシリコーン系の樹脂等を含んでなる封止材から発生するアウトガスに起因して、封止基板と接着層との間にボイドが発生することを好適に防止することができる。
また、さらに別の実施形態に係る積層体の製造方法、及び基板の処理方法は、分離層形成工程を包含していない構成であり、分離層を形成することに替えて、例えば、ブレード等の機械的な手段によって基板と支持体とを分離する構成であってもよい。このような実施形態においても、支持体を分離した基板に残留する接着層を研削することにより、好適に除去することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
<接着層、及び、積層体の評価>
以下の重合性樹脂成分及び重合開始剤等を用いて形成される接着層の動的粘度を測定し、各接着層における貼付可能領域を特定した。また、各接着剤組成物を用いた基板及び支持体の貼付性を評価し、作製された積層体の耐熱性、及び、支持体を分離した後における接着層の研削による除去性を評価した。
〔動的粘度の評価〕
実施例1〜4、並びに、比較例1及び2の接着層について、動的粘度の評価を行なった。なお、動的粘度の評価は、動的粘度測定装置Reogel−E4000(株式会社ユービーエム製)を用いた、動的粘度測定により行なった。なお、動的粘度(η)は、周波数1Hzの条件で、100℃〜260℃までの温度範囲を、速度5℃/分で昇温させながら評価した。
(実施例1〜4の接着層)
重合性樹脂成分に、重合開始剤を所定量配合し、接着剤組成物のベース樹脂組成物を調製し、液体せん断セルを用いて動的粘度測定を行なった。実施例1〜4のベース樹脂組成物において使用した重合性樹脂及び重合開始剤は、以下に示す通りである。また、以下の表1に、実施例1〜4の接着層の組成及び動的粘度の評価結果を示す。
≪重合樹脂成分≫
・JER157S70(ノボラック型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)
≪重合開始剤≫
・CXC−1821(熱カチオン重合開始剤、楠本化成(株)製)
・TAG−2678(熱カチオン重合開始剤、KING INDUSTRY社製)
・TAG−2689(熱カチオン重合開始剤、KING INDUSTRY社製)
(比較例1及び2)
デカヒドロナフタレン100重量部に対して酢酸ブチル15重量部を配合した溶剤に、樹脂成分を25重量%濃度で溶解させた。ついで、100重量部の樹脂成分に対して、1重量部になるようにして、IRGANOX1010(BASF社製)を添加し、添加溶剤として酢酸ブチル15重量部を添加して比較例1及び2の接着剤組成物を調製した。比較例1及び2に使用した樹脂成分の組成は、以下に示す通りである。
≪樹脂成分≫
・Septon(商品名) V9827(反応架橋型のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー;SBPS、株式会社クラレ製)
・Septon2002(商品名)(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー;SEPS、株式会社クラレ製)
・アクリル系共重合体A1(スチレン/ジシクロペンタニルメタクリレート/ステアリルメタクリレート=20/60/20(重量比)の共重合体、分子量10000)
・APL8008T(シクロオレフィンコポリマー、エチレン:テトラシクロドデセン=80:20のコポリマー、三井化学社製)
次いで、調製した比較例1及び2の接着剤組成物を、離型剤付のPETフィルムに塗布し、大気圧下のオーブンで100℃、160℃で各60分間焼成することにより、接着層に含まれている溶剤を除去した。次に、PETフィルムから剥がした接着層をサンプル形状が厚さ0.5mm、及び20mm角になるように切りだし、スリットせん断により、動的粘度を測定した。以下の表1に、比較例1及び2の接着層の組成及び動的粘度の評価結果を示す。
表1に示すように、実施例1及び2の接着層は、120℃以下において動的粘度が1Pa・s以下であった。また、実施例3及び4の接着層は、160℃以下において動的粘度が1Pa・s以下であった。よって、実施例1〜4の接着層は、比較例1及び2の接着層よりも、より低い温度を貼付温度領域として好適に利用することができることができることを確認することができた。
また、表1に示すように、実施例1〜4の接着層は、250℃において、接着層の動的粘度が1000Pa・s以上であった。よって、実施例1〜4の接着層は、比較例1及び2の接着層よりも、250℃以上の温度に対する耐熱性が高いことを確認することができた。
〔積層体の評価〕
積層体の評価として、実施例1〜4、並びに、比較例1及び2の接着剤組成物について、貼付性の評価、耐熱性の評価、及び、研削による剥離性の評価を行なった。併せて、各接着剤組成物により形成した接着層について、ヤング率の測定を行なった。
(接着剤組成物の調製)
動的粘度の測定に用いたものと、同じ実施例1〜4の接着層のベース樹脂組成について、夫々、濃度55重量%になるように、重合性樹脂成分をPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に希釈し、実施例1〜4の接着剤組成物を調製した。
(実施例1〜4の積層体の作製)
基板として半導体ウエハ基板(直径12インチSi、厚さ0.7μm)上に、モールド材(エポキシ系封止材、日立化成社製)により、モールド材層を形成したモールド基板を準備し、減圧条件下、140℃、10分間の条件にて、当該モールド基板の脱水処理を行なった。
実施例1の接着剤組成物を、モールド基板上にスピン塗布し、90℃、300秒間の条件にて加熱することにより、接着層に含まれているPGMEAの除去を行ない、接着層を形成した(厚さ20μm,接着層形成工程)。次いで、分離層を形成したガラス支持体(直径12インチ、厚さ0.7mm)の分離層側に、接着層を介してモールド基板を貼り付け、加重1t、85℃、300秒間の条件で、モールド基板とガラス支持体とを貼り付けた(積層工程)。続いて、200℃、1時間の条件で、接着層を加熱し(硬化工程)、実施例1の積層体を作製した。
なお、分離層は、フルオロカーボンを用いたプラズマCVD法によって、ガラス支持体上に分離層を形成した。反応ガスとしてCを使用し、流量400sccm、圧力700mTorr、高周波電力2500W、及び成膜温度240℃の条件下において、プラズマCVD法を行なうことによって、フルオロカーボン膜(厚さ1μm)の分離層をガラス支持体上に形成した(分離層形成工程)。
(比較例1の積層体の作製)
比較例1の接着剤組成物を、実施例1に用いたモールド基板と同じ手順で作製したモールド基板上にスピン塗布し、90℃、160℃、220℃の温度で各180秒間ベークすることにより、膜厚50μmの接着層を形成した。続いて、半導体ウエハ基板、接着層、分離層及びガラス支持体がこの順になるように重ね合わせ、真空下、215℃、300秒間、加重1tの条件で、ガラス支持体と半導体ウエハ基板とを貼り付け、比較例1の積層体を作製した。
〔耐熱性の評価〕
実施例1及び比較例1における、モールド基板を用いた積層体及び半導体ウエハ基板を用いた積層体を、夫々、窒素雰囲気下で250℃、2時間の条件で加熱し、耐熱性を評価した。耐熱性の評価は、目視にて行ない、基板と接着層との間のボイドが発生していない場合には「○」、基板と接着層との間にボイドが発生している場合には「×」と判定した。
耐熱性評価の結果として、実施例1の接着層を備えた積層体では、250℃において、モールド基板を用いた積層体であっても、高い耐熱性を有している結果であった(○)。これに対して、比較例1のモールド基板を用いた積層体では、モールド基板と接着層との間にボイドの発生が確認された(×)。実施例1の接着層が、モールド基板を用いた積層体において耐熱性が高いことは、表1に示すように、実施例1の接着層は動的粘度が1000Pa・sよりも高く、モールド基板から発生するガスに起因するボイドの発生をより好適に防止できるためであると考察することができる。
耐熱性の評価後、実施例1の積層体、及び比較例1の積層体について、ガラス支持体を介して分離層にレーザ光を照射した。レーザ光の照射条件は、波長を532nm、レーザ光の直径を180μmとして、レーザパルスにおける被照射領域同士の中心間距離を180μm、走査速度を6500mm/sとして、繰り返し周波数40kHzで照射を行なった。これにより、各積層体について、基板とガラス支持体とを分離し、以下に示す研削による剥離性の評価を行なった。
〔研削による剥離性の評価〕
ガラス支持体を分離した半導体ウエハ基板及びモールド基板について、実施例1の接着層の残渣の研削による剥離性の評価を、ホイール付グラインダを用いて研削することにより行なった。剥離性の評価には、ホイールとして、GF13−SD180−R15009−100、GF13−SDC320−BE065−50、GF13−SDC340−BE065−50(いずれも、Disco社製)を備えたグラインダDAG810(Disco社製)を用いた。研削による剥離性は、上述の膜厚20μmの接着層、及び、別に作製し、評価した膜厚55μmの接着層の両方において評価した。また、参考例として、各ホイールを備えたグラインダを用いて、接着層を設けていない半導体ウエハ基板についても、剥離性の評価行なった。
剥離性の評価における、グラインダの操作条件は、以下に示す通りである。
エアカット : 50μm
スピンドル回転数 : 3000r/分
グラインダ送り速度 : 1.0μm/s
スパークアウト : 3 Rev
ゲージ設定 : 1プローブ
エスケープ量 : 3.0μm
エスケープ速度 : 0.3μm/s
グラインダ研削水(スピンドル) : 4.0L/分
グラインダ研削水(外部ノズル) : 0L/分
チャック回転数 : 275r/分。
剥離性の評価は、各ホイールにおけるダメージの有無、及び、接着層の残渣による目詰まりの有無を評価した。ホイールにおけるダメージの有無は、目視にて評価し、ホイールのダメージが、半導体ウエハ基板(表2に示すSi)が受けているダメージと同程度のものを「○」として評価し、半導体ウエハ基板が受けているダメージよりも大きなダメージを受けていたものを「×」として評価した。また、ホイールの目詰まりの有無は、目視にて評価し、ホイールが接着層の残渣によって目詰まりしていないものを「○」として評価し、目詰まりしているものを「×」として評価した。併せて、研削時に加わる負荷を評価すべく、グラインダの最大電流値を測定した。研削による剥離性の評価結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1の接着層を研削するときに受ける各ホイールのダメージは、接着層の膜厚によらず、半導体ウエハ基板と同程度であった(○)。また、表2に示すように、実施例1の接着層は、グラインダにおける最大電流値が、半導体ウエハ基板を研削するときに加わる最大電流値と同程度であった。このため、実施例1の接着層は、半導体ウエハ基板を薄化するためのグラインダ装置を用いて研削することにより、好適に剥離することができることを確認することができた。
〔ヤング率の評価〕
実施例1〜4の接着剤組成物を、夫々、別個の半導体ウエハ基板(12インチ,厚さ0.7mm)上にスピン塗布し、90℃、5分間加熱し、その後200℃で1時間、N雰囲気下で硬化させ、実施例1〜4の接着層を形成した(厚さ20μm)。次いで、比較例1及び2の接着剤組成物を、夫々、個別の半導体ウエハ基板上にスピン塗布し、大気圧下のホットプレートにおいて、90℃、160℃、220℃で各3分間焼成して接着層を形成した(厚さ20μm)。
その後、実施例1〜4、並びに比較例1及び2の接着層のヤング率を、FISCHERSCOPE Hm2000測定装置(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて、最大試験荷重:5mN、荷重アプリケーション時間:20秒、クリープ時間:5秒、25℃の条件で測定した。
各接着層のヤング率の測定結果を以下の表3に示す。併せて、以下の表3に、上記の評価方法に準じて行なった、実施例2〜4、及び比較例1及び2の接着剤組成物の耐熱性、及び剥離性(p−メンタン)の評価結果を示す。
*剥離液として、p-メンタンを用いて接着層の剥離を行なった。
実施例1〜4の接着剤組成物は、比較例1及び2の接着剤組成物よりも、低い温度にて、1Pa・s以下の動的粘度を得ることができ、基板への濡れ性を高めて貼り付けることができることを確認することができた。また貼付硬化後、耐熱性の評価において、実施例1〜4の積層体は、250℃以上における動的粘度が、1000Pa・s以上であり、モールド基板を用いた積層体においてボイドの発生が認められず(○)、比較例1及び2の積層体よりも高い耐熱性を得ることができることを確認することができた。また、実施例1〜4の接着層では、ヤング率が3.5GPa以上であり、接着層の残渣が目詰まりすることなく、半導体ウエハ基板と同様に、研削することができた(○)。比較例1〜2は熱可塑性樹脂であり、貼付可能領域の動的粘度に達するには、180℃以上の温度である必要がある。また、熱可塑精樹脂であるがゆえに、250℃という高温域での動的粘弾性はさらに低い。一方で、実施例1〜4の接着剤組成物は熱硬化性樹脂を用いており、比較例1〜2の接着剤組成物よりも低温での貼り付け性、硬化後の耐熱性、剥離時の研削除去性に優れていることが確認された。
本発明は、半導体装置の製造において好適に利用することができる。
1 基板
2 サポートプレート(支持体)
3 接着層
4 分離層
5 再配線層
6 封止材
7 封止基板
30、31、32 積層体

Claims (20)

  1. 基板と、上記基板を支持する支持体とを、接着層を介して積層してなる積層体の製造方法であって、
    上記基板及び上記支持体のうちの少なくとも一方に、重合性樹脂成分及び重合開始剤を含んでなる上記接着層を形成する接着層形成工程と、
    上記基板と上記支持体とを上記接着層を介して積層する積層工程と、
    加熱又は露光することによって上記重合性樹脂成分を重合させることで、上記接着層を硬化させる硬化工程と、を包含し、
    硬化した上記接着層の、25℃におけるヤング率が2GPa以上であり、250℃における動的粘度が1000Pa・s以上であることを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 上記基板は、素子と、当該素子を封止する封止材と、当該素子を実装する再配線層又はシリコンウエハとを備えている封止基板であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 上記重合性樹脂成分は、エポキシ基を有する重合性樹脂成分、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分、及び架橋性基含有シロキサンからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
  4. 上記重合性樹脂成分は、エポキシ基を有する重合性樹脂成分であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の積層体の製造方法。
  5. 上記エポキシ基を有する重合性樹脂成分は、エポキシ樹脂、及びエポキシ基を有するアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載の積層体の製造方法。
  6. 上記重合開始剤は、熱重合開始剤であり、上記硬化工程では、加熱することによって上記接着層を硬化させることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の積層体の製造方法。
  7. 上記硬化工程前における上記接着層の動的粘度が1Pa・s以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の積層体の製造方法。
  8. 上記支持体は、光を透過する材料からなる支持体であって、
    上記接着層形成工程前に、光を照射することにより変質する分離層を当該支持体上に形成する分離層形成工程をさらに包含していることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の積層体の製造方法。
  9. 基板を処理する基板処理方法であって、
    請求項1〜8の何れか1項に記載の積層体の製造方法によって積層体を製造する積層体製造工程と、
    上記積層体製造工程後、上記積層体から上記支持体を分離する分離工程と、
    上記分離工程後、上記基板側における上記接着層の残渣を、研削によって除去する接着層除去工程と、を包含していることを特徴とする基板処理方法。
  10. 基板を処理する基板処理方法であって、
    請求項8に記載の積層体の製造方法によって積層体を製造する積層体製造工程と、
    上記積層体製造工程後、上記積層体から上記支持体を分離する分離工程と、を包含し、
    上記分離工程では、光を透過する上記支持体を介して上記分離層に光を照射することよって、上記積層体から上記支持体を分離することを特徴とする基板処理方法。
  11. 基板と、上記基板を支持する支持体とを、接着層を介して積層してなる積層体であって、
    上記接着層は、重合性樹脂成分を、熱重合開始剤又は光重合開始剤によって重合させてなる硬化物であり、
    上記接着層の、25℃におけるヤング率が2GPa以上であり、250℃における動的粘度が1000Pa・s以上であることを特徴とする積層体。
  12. 上記基板は、素子と、当該素子を封止する封止材と、当該素子を実装する再配線層又はシリコンウエハとを備えている封止基板であることを特徴とする請求項11に記載の積層体。
  13. 上記重合性樹脂成分は、エポキシ基を有する重合性樹脂成分、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分、及び架橋性基含有シロキサンからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項11又は12に記載の積層体。
  14. 上記重合性樹脂成分は、エポキシ基を有する重合性樹脂成分であることを特徴とする請求項11〜13の何れか1項に記載の積層体。
  15. 上記エポキシ基を有する重合性樹脂成分は、エポキシ樹脂、及びエポキシ基を有するアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項14に記載の積層体。
  16. 上記熱重合開始剤によって、上記重合性樹脂成分を重合させることを特徴とする請求項11〜15の何れか1項に記載の積層体。
  17. 上記支持体は、光を透過する材料からなる支持体であり、
    上記支持体と上記接着層との間に、光を照射することにより変質する分離層が形成されていることを特徴とする請求項11〜16の何れか1項に記載の積層体。
  18. 基板と、上記基板を支持する支持体とを、接着層を介して積層してなる積層体における、当該接着層を形成するための接着剤組成物であって、
    重合性樹脂成分及び熱重合開始剤又は光重合開始剤を含み、
    上記重合性樹脂成分を上記熱重合開始剤又は光重合開始剤によって重合させてなる硬化物の、25℃におけるヤング率が2GPa以上であり、250℃における動的粘度が1000Pa・s以上であることを特徴とする接着剤組成物。
  19. 上記重合性樹脂成分は、エポキシ基を有する重合性樹脂成分、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性樹脂成分、及び架橋性基含有シロキサンからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項18に記載の接着剤組成物。
  20. 上記硬化物を形成する前の、上記接着剤組成物の動的粘度が1Pa・s以下であることを特徴とする請求項18又は19に記載の接着剤組成物。
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