JP2017223621A - ガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス濃度検出の応答性をより向上させる。【解決手段】ガスセンサ100は、ガス導入口111を有するセンサ素子110と、センサ素子室124を内部に有し1以上の素子室入口127と1以上の素子室出口とが配設された内側保護カバー130と、1以上の外側入口144aと1以上の外側出口とが配設された外側保護カバー140と、を備えている。外側保護カバー140及び内側保護カバー130は、両者の間の空間として、外側入口144aと素子室入口127との間の被測定ガスの流路の少なくとも一部である第1ガス室122と、外側出口と素子室出口との間の被測定ガスの流路の少なくとも一部であり第1ガス室122と直接には連通していない第2ガス室と、を形成している。外側入口144aからガス導入口111までの最短経路長Pが5.0mm以上11.0mm以下である。【選択図】図7

Description

本発明は、ガスセンサに関する。
従来、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxや酸素などの所定のガス濃度を検出するガスセンサが知られている。例えば、特許文献1には、外側保護カバーと、外側保護カバーとセンサ素子との間に配置されセンサ素子の先端を覆う有底筒状の内側保護カバーと、を備えたガスセンサが記載されている。特許文献1では、内側保護カバーの形状を所定の形状にすることで、ガス濃度検出の応答性とセンサ素子の保温性とを両立できるようにすることが記載されている。
国際公開第2014/192945号パンフレット
ところで、このようなガスセンサにおいて、ガス濃度検出の応答性をより向上させることが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ガス濃度検出の応答性をより向上させることを主目的とする。
本発明は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のガスセンサは、
被測定ガスを導入するガス導入口を有し、該ガス導入口から内部に流入した該被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子と、
前記センサ素子の先端及び前記ガス導入口が内部に配置されるセンサ素子室を内側に有し、該センサ素子室への入口である1以上の素子室入口と該センサ素子室からの出口である1以上の素子室出口とが配設された内側保護カバーと、
前記被測定ガスの外部からの入口である1以上の外側入口と、前記被測定ガスの外部への出口である1以上の外側出口と、が配設され、前記内側保護カバーの外側に配設された外側保護カバーと、
を備え、
前記外側保護カバー及び前記内側保護カバーは、両者の間の空間として、前記外側入口と前記素子室入口との間の被測定ガスの流路の少なくとも一部である第1ガス室と、前記外側出口と前記素子室出口との間の被測定ガスの流路の少なくとも一部であり該第1ガス室と直接には連通していない第2ガス室と、を形成しており、
前記外側入口から前記ガス導入口までの最短経路長Pが5.0mm以上11.0mm以下である、
ものである。
このガスセンサでは、ガスセンサの周囲を流れる被測定ガスは、外側保護カバーの外側入口から流入し、第1ガス室及び素子室入口を通ってセンサ素子のガス導入口に到達する。このとき、外側入口から前記ガス導入口までの最短経路長Pが11.0mm以下であることで、外側入口から流入した被測定ガスはガス導入口に比較的短時間で到達できる。これにより、ガス濃度検出の応答性が向上する。また、最短経路長Pが5.0mm以上であることで、最短経路長Pが小さすぎることによる不具合を低減できる。このような不具合としては、例えば、外側入口から流入した外部の被毒物質や水分がセンサ素子に到達しやすくなることや、被測定ガスによりセンサ素子が冷えやすくなることなどが挙げられる。
本発明のガスセンサにおいて、前記最短経路長Pは10.5mm以下が好ましく、10.0mm以下がより好ましく、10.0mm未満がさらに好ましく、9.5mm以下が一層好ましく、9.0mm以下がより一層好ましい。最短経路長Pが小さいほど、ガス濃度検出の応答性が向上しやすい。また、最短経路長Pは7.0mm以上としてもよいし、8.0mm以上としてもよい。
本発明のガスセンサにおいて、前記外側入口の合計断面積S1[mm2]と前記外側出口の合計断面積S2[mm2]との比である断面積比S1/S2が値2.0超過値5.0以下であってもよい。断面積比S1/S2が値2.0超過では、合計断面積S1が比較的大きいことで外側入口から流入する被測定ガスの流量が大きくなりやすく、合計断面積S2が比較的小さいことで外側出口から流入(逆流)しようとする被測定ガスの流量が小さくなりやすい。これらにより、ガス導入口周辺の空間が流入した被測定ガスで置換されやすくなる。したがって、ガス濃度検出の応答性が向上する。また、合計断面積S2が小さすぎると外側出口から流出する被測定ガスの流量が小さくなって応答性が低下する場合があるが、断面積比S1/S2が値5.0以下では、そのような応答性の低下を低減できる。
本発明のガスセンサにおいて、前記断面積比S1/S2は値2.5以上が好ましく、値3.0以上がより好ましく、値3.4以上がさらに好ましい。断面積比S1/S2が大きいほど、ガス濃度検出の応答性が向上しやすい。
本発明のガスセンサにおいて、合計断面積S1は10mm2以上としてもよい。また、合計断面積S1は30mm2以下としてもよい。また、合計断面積S2は2mm2以上としてもよい。また、合計断面積S2は10mm2以下としてもよい。
本発明のガスセンサにおいて、前記外側保護カバーは、側部と底部とを有する有底筒状の形状をしており、前記外側出口は、前記外側保護カバーの側部には配設されていなくてもよい。ここで、外側保護カバーの側部に配設された外側出口が存在する場合、側部の外側出口と周囲の被測定ガスの流れ方向との位置関係によって、応答性が変化する場合がある。例えば、側部の外側出口が被測定ガスの流れ方向と平行且つ上流に向けて開口している場合、外側保護カバー内から側部の外側出口を通って外部に流出しようとする被測定ガスの流れを、周囲を流れる被測定ガスが妨げてしまい、応答性が低下しやすい。このような側部の外側出口と周囲の被測定ガスの流れ方向との位置関係による応答性の変化が大きいと、例えばガスセンサの取り付けの向きによっては応答性が低下する場合がある。外側出口が側部に配設されていないことで、ガスセンサの取り付けの向きによる応答性への影響を低減できる。この場合において、前記外側出口は、前記底部と、前記側部と前記底部との境界の角部と、の少なくとも一方に配設されていてもよい。また、前記外側出口は、前記底部にのみ配設されていてもよいし、前記角部にのみ配設されていてもよい。
本発明のガスセンサにおいて、前記外側保護カバーは、前記外側入口が配設された円筒状の胴部と、前記外側出口が配設され該胴部よりも内径の小さい有底筒状の先端部と、を有し、前記センサ素子の後端から前記先端に向かう方向を先端方向として該先端部は該胴部よりも該先端方向側に位置しており、前記外側保護カバー及び前記内側保護カバーは、該外側保護カバーの前記胴部と該内側保護カバーとの間の空間として前記第1ガス室を形成し、該外側保護カバーの前記先端部と該内側保護カバーとの間の空間として前記第2ガス室を形成していてもよい。
本発明のガスセンサにおいて、前記内側保護カバーは、前記センサ素子の後端から前記先端に向かう方向を先端方向として、前記素子室入口のうち前記センサ素子室側の開口部である素子側開口部が該先端方向に向けて開口するように該素子室入口を形成していてもよい。こうすれば、素子側開口部から流出した被測定ガスがセンサ素子の表面(ガス導入口以外の表面)に垂直に当たることを抑制したり、センサ素子の表面上を長い距離通過してからガス導入口に到達することを抑制したりできる。これにより、センサ素子の冷えを抑制できる。しかも、素子側開口部の開口の向きを調整することでセンサ素子の冷えを抑制しており、内側保護カバー内の被測定ガスの流量や流速を減らしているわけではないため、ガス濃度検出の応答性の低下も低減できる。これらにより、センサ素子の応答性と保温性とを両立することができる。ここで、「素子側開口部が該先端方向に向けて開口する」とは、前記センサ素子の先端方向に平行に開口している場合と、前記センサ素子の後端側から先端側に向かうにつれて該センサ素子に近づくように先端方向から傾斜して開口している場合とを含む。
本発明のガスセンサにおいて、前記内側保護カバーは、第1部材と第2部材とを有しており、前記第1部材及び前記第2部材は、両者の間の隙間として、前記素子室入口を形成していてもよい。さらに、前記第1部材は、前記センサ素子を囲む第1円筒部を有しており、前記第2部材は、前記第1円筒部よりも大径の第2円筒部を有しており、前記素子室入口は、前記第1円筒部の外周面と前記第2円筒部の内周面との間の筒状の隙間であってもよい。
配管20へのガスセンサ100の取り付け状態の概略説明図。 図1のA−A断面図。 図2のB−B断面図。 図3のC−C断面図。 図3の外側保護カバー140のC−C断面図。 図3のD視図。 図4のE−E断面の一部を拡大した断面図。 外側出口147aが複数の横孔147bを有する場合の断面図。 外側出口147aが複数の横孔147bを有する場合の斜視図。 外側出口147aが角孔147dを有する場合の断面図。 変形例の素子室入口227を示す断面図。 変形例のガスセンサ300の縦断面図。 実験例4の外側保護カバー140の断面図。 実験例5のガスセンサ100の断面の一部を拡大した断面図。 実験例1〜5のガスセンサの応答時間の角度依存性を示すグラフ。 実験例1〜5についての流速Vと応答時間との関係を示すグラフ。
次に、本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。図1は配管20へのガスセンサ100の取り付け状態の概略説明図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、図2のB−B断面図である。図4は、図3のC−C断面図である。図5は、図3の外側保護カバー140のC−C断面図である。なお、図5は、図4から第1円筒部134,第2円筒部136,先端部138及びセンサ素子110を除いた図に相当する。図6は、図3のD視図である。図7は、図4のE−E断面の一部を拡大した断面図である。
図1に示すように、ガスセンサ100は車両のエンジンからの排気経路である配管20内に取り付けられており、エンジンから排出された被測定ガスとしての排気ガスに含まれるNOxやO2等のガス成分のうち少なくともいずれか1つの濃度を検出するようになっている。このガスセンサ100は、図2に示すように、ガスセンサ100の中心軸が配管20内の被測定ガスの流れに垂直な状態で配管20内に固定されている。なお、ガスセンサ100の中心軸が配管20内の被測定ガスの流れに垂直且つ鉛直方向に対して所定の角度(例えば45°)だけ傾いた状態で配管20内に固定されていてもよい。
ガスセンサ100は、図3に示すように、被測定ガス中の所定のガス濃度を検出する機能を有するセンサ素子110と、このセンサ素子110を保護する保護カバー120とを備えている。また、ガスセンサ100は、金属製のハウジング102及び外周面におねじが設けられた金属製のナット103を備えている。ハウジング102は配管20に溶接され内周面にめねじが設けられた固定用部材22内に挿入されており、さらにナット103が固定用部材22内に挿入されることでハウジング102が固定用部材22内に固定されている。これにより、ガスセンサ100が配管20内に固定されている。なお、配管20内の被測定ガスの流れる向きは、図3における左から右に向かう方向である。
センサ素子110は、細長な長尺の板状体形状の素子であり、ジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層を複数積層した構造を有している。センサ素子110は、被測定ガスを自身の内部に導入するガス導入口111を有しており、ガス導入口111から内部に流入した被測定ガスの所定のガス濃度(NOxやO2等の濃度)を検出可能に構成されている。本実施形態では、ガス導入口111は、センサ素子110の先端面(図3におけるセンサ素子110の下面)に開口しているものとした。センサ素子110は、センサ素子110を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒーターを内部に備えている。このようなセンサ素子110の構造やガス濃度を検出する原理は公知であり、例えば特開2008−164411号公報に記載されている。センサ素子110は、先端(図3の下端)及びガス導入口111がセンサ素子室124内に配置されている。なお、センサ素子110の後端から先端に向かう方向(図3の下方向)を先端方向と称する。
また、センサ素子110は、表面の少なくとも一部を覆う多孔質保護層110aを備えている。本実施形態では、多孔質保護層110aは、センサ素子110の6つの表面のうち5面に形成されて、センサ素子室124内に露出した表面のほとんどを覆っている。具体的には、多孔質保護層110aは、センサ素子110のうちガス導入口111が形成された先端面(図3の下面)を全て覆っている。また、多孔質保護層110aは、センサ素子110の先端面に接続される4つの表面(図4のセンサ素子110における上下左右の面)のうちセンサ素子110の先端面に近い側を覆っている。多孔質保護層110aは、例えば、被測定ガス中の水分等が付着してセンサ素子110にクラックが生じるのを抑制する役割を果たす。また、多孔質保護層110aは、被測定ガスに含まれるオイル成分等がセンサ素子110の表面の図示しない電極等に付着するのを抑制する役割を果たす。多孔質保護層110aは、例えばアルミナ多孔質体、ジルコニア多孔質体、スピネル多孔質体、コージェライト多孔質体,チタニア多孔質体、マグネシア多孔質体などの多孔質体からなる。多孔質保護層110aは、例えばプラズマ溶射,スクリーン印刷,ディッピングなどにより形成することができる。なお、多孔質保護層110aは、ガス導入口111も覆っているが、多孔質保護層110aが多孔質体であるため、被測定ガスは多孔質保護層110aの内部を流通してガス導入口111に到達可能である。特にこれに限定するものではないが、多孔質保護層110aの厚さは例えば100μm〜700μmである。
保護カバー120は、センサ素子110の周囲を取り囲むように配置されている。この保護カバー120は、センサ素子110の先端を覆う有底筒状の内側保護カバー130と、内側保護カバー130を覆う有底筒状の外側保護カバー140とを有している。また、内側保護カバー130と外側保護カバー140とに囲まれた空間として第1ガス室122,第2ガス室126が形成され、内側保護カバー130に囲まれた空間としてセンサ素子室124が形成されている。なお、ガスセンサ100,センサ素子110,内側保護カバー130,外側保護カバー140の中心軸は同軸になっている。保護カバー120は、金属(例えばステンレス鋼)で形成されている。
内側保護カバー130は、第1部材131と、第2部材135と、を備えている。第1部材131は、円筒状の大径部132と、円筒状で大径部132よりも径の小さい第1円筒部134と、大径部132と第1円筒部134とを接続する段差部133と、を有している。第1円筒部134は、センサ素子110の周囲を囲んでいる。第2部材135は、第1円筒部134よりも径が大きい第2円筒部136と、第2円筒部136よりもセンサ素子110の先端方向(図3の下方向)に位置し円錐台を逆さにした形状の先端部138と、第2円筒部136と先端部138とを接続する接続部137と、を有している。また、先端部138の底面の中心には、センサ素子室124と第2ガス室126とに通じ、センサ素子室124からの被測定ガスの出口である円形の素子室出口138a(内側ガス孔とも称する)が1つ形成されている。素子室出口138aの径は、特に限定するものではないが、例えば0.5mm〜2.6mmである。素子室出口138aは、ガス導入口111よりもセンサ素子110の先端方向(図3の下方向)の位置に形成されている。換言すると、素子室出口138aは、センサ素子110の後端(図3におけるセンサ素子110の図示しない上端)から見てガス導入口111よりも遠く(図3の下方向)に位置している。
大径部132,第1円筒部134,第2円筒部136,先端部138は中心軸が同一である。大径部132は、ハウジング102に内周面が当接しており、これにより第1部材131がハウジング102に固定されている。第2部材135は、接続部137の外周面が外側保護カバー140の内周面と当接しており溶接などにより固定されている。なお、先端部138の外径を外側保護カバー140の先端部146の内径よりわずかに大きく形成し、先端部138を先端部146内に圧入することで、第2部材135を固定してもよい。
第2円筒部136の内周面には、第1円筒部134の外周面に向けて突出してこの外周面に接している複数の突出部136aが形成されている。図4に示すように、突出部136aは3個設けられ、第2円筒部136の内周面の周方向に沿って均等に配置されている。突出部136aは、略半球形状に形成されている。このような突出部136aが設けられていることで、突出部136aによって第1円筒部134と第2円筒部136との位置関係が固定されやすくなっている。なお、突出部136aは、第1円筒部134の外周面を径方向内側に向けて押圧していることが好ましい。こうすれば、突出部136aによって第1円筒部134と第2円筒部136との位置関係をより確実に固定できる。なお、突出部136aは、3個に限らず2個や4個以上としてもよい。なお、第1円筒部134と第2円筒部136との固定が安定化しやすいため、突出部136aは3個以上とすることが好ましい。
この内側保護カバー130は、第1部材131と第2部材135との隙間でありセンサ素子室124への被測定ガスの入口である素子室入口127(図3,4,7参照)を形成している。素子室入口127は、より具体的には、第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面との間の筒状の隙間(ガス流路)として形成されている。素子室入口127は、外側入口144aの配置された空間である第1ガス室122側の開口部である外側開口部128と、ガス導入口111の配置された空間であるセンサ素子室124側の開口部である素子側開口部129と、を有している。外側開口部128は、素子側開口部129よりもセンサ素子110の後端側(図3の上側)に形成されている。そのため、外側入口144aからガス導入口111に達するまでの被測定ガスの経路中で、素子室入口127はセンサ素子110の後端側(図3の上側)から先端側(図3の下側)へ向かう流路となっている。また、素子室入口127は、センサ素子110の後端−先端方向に平行な流路(図3における上下方向の流路)となっている。
素子側開口部129は、ガス導入口111からの距離A1(図7参照)が−1.5mm以上の位置に形成されていることが好ましい。距離A1は0mm以上としてもよいし、1.5mm超過としてもよい。なお、距離A1は、センサ素子110の後端−先端方向(図3の上下方向)の距離であり、先端から後端へ向かう方向(図3の上方向)を正とする。また、距離A1は、センサ素子110の後端−先端方向で、ガス導入口111の開口の端部のうち最も素子側開口部129に近い部分と、素子側開口部129の端部のうち最もガス導入口111に近い部分と、の距離とする。なお、図3においてガス導入口がセンサ素子110の側面に開口する横穴であり、ガス導入口の開口の上端と下端との間に素子側開口部129が位置するときには、距離A1は値0mmとする。距離A1の上限は内側保護カバー130やセンサ素子室124の形状によって定まる。特に限定するものではないが、距離A1は7.5mm以下としてもよいし、5mm以下としてもよいし、2mm以下としてもよい。
また、素子側開口部129は、センサ素子110から距離A2(図7参照)の位置に形成されている。なお、距離A2は、センサ素子110の先端−後端方向に垂直な方向の距離である。また、距離A2は、センサ素子110の後端−先端方向に垂直な方向で、センサ素子110のうち最も素子側開口部129に近い部分と、素子側開口部129の端部のうち最もセンサ素子110に近い部分と、の距離とする。距離A2が大きいほど、センサ素子110と素子側開口部129とが離れるため、センサ素子110の冷えを抑制する効果が高まる傾向になる。特に限定するものではないが、距離A2は例えば0.6mm〜3.0mmである。また、素子側開口部129は、センサ素子110の後端から先端へ向かう方向に開口し且つセンサ素子110の後端−先端方向に平行に開口している。すなわち、素子側開口部129は、図3,7の下方向(真下)に開口している。そのため、センサ素子110は、素子側開口部129から素子室入口127を仮想的に延長した領域(図3,7における素子側開口部129の真下の領域)以外の位置に、配置されている。これにより、素子側開口部129から流出した被測定ガスがセンサ素子110の表面に直接当たることを抑制でき、センサ素子110の冷えを抑制できる。
外側開口部128は、外側入口144aから距離A3(図7参照)の位置に形成されている。なお、距離A3は、センサ素子110の先端−後端方向(図3,7の上下方向)の距離であり、距離A1と同様に先端から後端へ向かう方向を正とする。また、距離A3は、センサ素子110の後端−先端方向で、外側入口144aの開口の端部のうち最も外側開口部128に近い部分と、外側開口部128の端部のうち最も外側入口144aに近い部分と、の距離とする。なお、本実施形態では、外側入口144aとして横孔144bと縦孔144cとが形成されており、図3の上下方向で外側開口部128に最も近いのは横孔144bの上端である。そのため、図7に示すように横孔144bの上端と外側開口部128との距離が距離A3となる。例えば、図3の上下方向で縦孔144cの下端よりも下側に外側開口部128が位置するときには、縦孔144cの下端と外側開口部128との上下方向の距離が距離A3となる。なお、外側開口部128は、距離A3が0以上の値や正の値となる位置に形成されていてもよいし、0以下の値や負の値となる位置に形成されていてもよい。特に限定するものではないが、距離A3は例えば−3mm以上3mm以下である。距離A3は、−2mm以上としてもよいし、−1mm以上としてもよいし、2mm以下としてもよいし、1mm以下としてもよい。
外側開口部128は、外側入口144aから距離A6(図7参照)の位置に形成されている。なお、距離A6は、センサ素子110の先端−後端方向(図3,7の上下方向)に垂直な方向の距離である。また、距離A6は、センサ素子110の後端−先端方向で最も外側開口部128に近い外側入口144aと、外側開口部128と、の距離とする。本実施形態では、距離A6は、側部143aの内径と第2円筒部136の内径との差の半分の値と同じである。特に限定するものではないが、距離A6は例えば0mm超過2.5mm以下である。距離A6は0.5mm以上としてもよいし、1mm以上としてもよいし、2.0mm以下としてもよいし、1.5mm以下としてもよい。
第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面とは、素子側開口部129において円筒の径方向に距離A4だけ離れており、外側開口部128において円筒の径方向に距離A5だけ離れている。また、第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面とは、突出部136aと第1円筒部134とが接触する部分(図4に示した断面)において距離A7だけ離れている。距離A4,距離A5,距離A7は、特に限定するものではないが、例えばそれぞれ0.3mm〜2.4mmである。距離A4,距離A5の値を調整することで、素子側開口部129の開口面積や外側開口部128の開口面積を調整することができる。本実施形態では、距離A4,距離A5,距離A7は等しいものとし、素子側開口部129の開口面積と外側開口部128の開口面積とが等しいものとした。なお、本実施形態では、距離A4(距離A5,距離A7)は、第1円筒部134の外径と第2円筒部136の内径との差の半分の値と同じである。また、素子側開口部129と外側開口部128との上下方向の距離、すなわち素子室入口127の上下方向の距離L(素子室入口127の経路長に相当)は、特に限定するものではないが、例えば0mm超過6.6mm以下である。距離Lは3mm以上としてもよいし、5mm以下としてもよい。
外側保護カバー140は、図3に示すように、円筒状の大径部142と、大径部142に接続しており大径部142よりも径の小さい円筒状の胴部143と、有底筒状で胴部143よりも内径の小さい先端部146とを有している。また、胴部143は、外側保護カバー140の中心軸方向(図3の上下方向)に沿った側面をもつ側部143aと、胴部143の底部であり側部143aと先端部146とを接続する段差部143bと、を有している。なお、大径部142,胴部143,先端部146の中心軸はいずれも内側保護カバー130の中心軸と同一である。大径部142は、ハウジング102及び大径部132に内周面が当接しており、これにより外側保護カバー140がハウジング102に固定されている。胴部143は、第1円筒部134,第2円筒部136の外周を覆うように位置している。先端部146は、先端部138を覆うように位置していると共に、内周面が接続部137の外周面と当接している。先端部146は、外側保護カバー140の中心軸方向(図3の上下方向)に沿った側面を有し外径が側部143aの内径よりも小さい側部146aと、外側保護カバー140の底部である底部146bと、を有している。先端部146は、胴部143よりも先端方向側に位置している。この外側保護カバー140は、胴部143に形成され被測定ガスの外部からの入口である複数(本実施形態では12個)の外側入口144aと、先端部146に形成され被測定ガスの外部への出口である複数(本実施形態では6個)の外側出口147aとを有している。
外側入口144aは、外側保護カバー140の外側(外部)と第1ガス室122とに通じる孔である(第1外側ガス孔とも称する)。外側入口144aは、側部143aに等間隔に形成された複数(本実施形態では6個)の横孔144bと、段差部143bに等間隔に形成された複数(本実施形態では6個)の縦孔144cとを有している(図3〜6)。この外側入口144a(横孔144b及び縦孔144c)は、円形(真円)に開けられた孔である。この12個の外側入口144aの径は、特に限定するものではないが、例えば0.5mm〜2mmである。外側入口144aの径は、1.5mm以下としてもよい。なお、本実施形態では、複数の横孔144bの径はいずれも同じ値とし、複数の縦孔144cの径はいずれも同じ値とした。また、横孔144bの径は縦孔144cの径よりも大きい値とした。なお、外側入口144aは、図4,5に示すように、外側保護カバー140の周方向に沿って横孔144bと縦孔144cとが交互に等間隔に位置するように形成されている。すなわち、図4,5における横孔144bの中心と外側保護カバー140の中心軸とを結んだ線と、その横孔144bに隣接する縦孔144cの中心と外側保護カバー140の中心軸とを結んだ線と、のなす角が30°(360°/12個)となっている。
外側出口147aは、外側保護カバー140の外側(外部)と第2ガス室126とに通じる孔である(第2外側ガス孔とも称する)。この外側出口147aは、先端部146の底部146bに外側保護カバー140の周方向に沿って等間隔に形成された複数(本実施形態では6個)の縦孔147cを有している(図3,5,6参照)。なお、外側入口144aとは異なり、外側出口147aは、外側保護カバー140の側部(ここでは先端部146の側部146a)には配設されていない。この外側出口147a(ここでは縦孔147c)は、円形(真円)に開けられた孔である。この6個の外側出口147aの径は、特に限定するものではないが、例えば0.5mm〜2.0mmである。外側出口147aの径は、1.5mm以下としてもよい。なお、本実施形態では、複数の外側出口147aの径はいずれも同じ値であるものとした。また、縦孔147cの径は、横孔144bの径よりも小さい値とした。
外側保護カバー140及び内側保護カバー130は、胴部143と内側保護カバー130との間の空間として第1ガス室122を形成している。より具体的には、第1ガス室122は、段差部133,第1円筒部134,第2円筒部136,大径部142,側部143a、段差部143bにより囲まれた空間である。センサ素子室124は、内側保護カバー130により囲まれた空間である。外側保護カバー140及び内側保護カバー130は、先端部146と内側保護カバー130との間の空間として第2ガス室126を形成している。より具体的には、第2ガス室126は、先端部138と先端部146とに囲まれた空間である。なお、先端部146の内周面が接続部137の外周面と当接しているため、第1ガス室122と第2ガス室126とは直接には連通していない。
ここで、ガスセンサ100が所定のガス濃度を検出する際の保護カバー120内の被測定ガスの流れについて説明する。配管20内を流れる被測定ガスは、まず、複数の外側入口144a(横孔144b及び縦孔144c)の少なくともいずれかを通って第1ガス室122内に流入する。次に、被測定ガスは、第1ガス室122から外側開口部128を経て素子室入口127に流入し、素子室入口127を経て素子側開口部129から流出して、センサ素子室124に流入する。素子側開口部129からセンサ素子室124内に流入した被測定ガスは、少なくとも一部がセンサ素子110のガス導入口111に到達する。被測定ガスがガス導入口111に到達してセンサ素子110の内部に流入すると、この被測定ガス中の所定のガス濃度(例えばNOxやO2等の濃度)に応じた電気信号(電圧又は電流)をセンサ素子110が発生させ、この電気信号に基づいてガス濃度が検出される。また、センサ素子室124内の被測定ガスは、素子室出口138aを通って第2ガス室126に流入し、そこから複数の外側出口147aの少なくともいずれかを通って外部に流出する。なお、センサ素子110は、所定の温度を保つように内部のヒーターの出力が例えば図示しないコントローラによって制御される。
ここで、保護カバー120は、上記のように被測定ガスが保護カバー120内を流れる際の、外側入口144aからガス導入口111までの最短経路長Pが5.0mm以上11.0mm以下となっている。本実施形態では、図7に太い一点鎖線で示した折れ線PLの長さが、最短経路長Pである。ここで、最短経路長Pは、外側入口144aのうち外側の開口面から、ガス導入口111の外側の開口面までの被測定ガスの流路の最短経路の長さとする。また、外側入口144aが複数ある場合は、各々の外側入口144aからのガス導入口111までの最短経路長のうち最も短い経路長を、最短経路長Pとする。本実施形態では、外側保護カバー140は外側入口144aとして横孔144b及び縦孔144cを備え、例えば図3に示すように縦孔144cよりも横孔144bの方が上方に位置しており、縦孔144cよりも横孔144bの方が外側開口部128との距離が近くなっている。また、本実施形態では、図4に示すように、ガス導入口111の開口面は長方形状をしており、且つ内側保護カバー130及び外側保護カバー140の中心軸よりも図4の上方にずれて位置するものとした。以上のことから、本実施形態では、図4に示す6個の横孔144bのうち、図4の左上に位置する横孔144bからガス導入口111までの最短経路長が、保護カバー120の最短経路長Pとなる。なお、図4の右上に位置する横孔144bからガス導入口111までの最短経路長も同じ値(=最短経路長P)となる。図7は、図4の左上に位置する横孔144bを通るE−E断面の一部を拡大した断面図であり、図7に示す横孔144bは図4の左上に位置する横孔144bである。図7に示すように、横孔144bの外側の開口面のうち外側開口部128に最も近い端部C1(図7では上端)から、ガス導入口111の外側の開口面の端部C2(図7では左端)までの最短経路(折れ線PL)の長さが、最短経路長Pとなる。なお、最短経路長Pは、多孔質保護層110aを無視して定めるものとする。例えば図7では、折れ線PLで表される経路のうち素子側開口部129からガス導入口111までの経路は、多孔質保護層110aを無視して、素子側開口部129とセンサ素子110の左下端部とを結んだ直線と、センサ素子110の左下端部とガス導入口111の開口面の左端とを結んだ直線と、で表される経路として定められている。なお、本実施形態では、上記のようにガス導入口111の形状や位置などの関係から、図4の左上及び右上に位置する横孔144b以外の4個の横孔144bの各々からガス導入口111までの最短経路長は、最短経路長Pよりもわずかに大きい値になる。このように複数の横孔144bの各々からの最短経路長が異なる場合、最短経路長が5.0mm以上11.0mm以下である横孔144bの数が多い方が好ましい。本実施形態では、図4の左上及び右上に位置する横孔144bからの最短経路長Pだけでなく、複数の横孔144bの各々からの最短経路長のいずれもが、5.0mm以上11.0mm以下であるものとした。また、横孔144bだけでなく、複数の縦孔144cのうち少なくとも1つについて、縦孔144cからガス導入口111までの最短経路長が5.0mm以上11.0mm以下となっていてもよい。さらに、複数の縦孔144cのいずれについても、ガス導入口111までの最短経路長が5.0mm以上11.0mm以下となっていてもよい。さらに、複数の外側入口144a(ここでは横孔144b及び縦孔144c)のいずれについても、ガス導入口111までの最短経路長が5.0mm以上11.0mm以下となっていてもよい。
ここで、ガスセンサ100では、センサ素子110が被測定ガス中のガス濃度の変化を速やかに検出できること、すなわちガス濃度検出の応答性が高いことが好ましい。上記のように定まる最短経路長Pが11.0mm以下と比較的小さい値になっている場合には、外側入口144aから流入した被測定ガスはガス導入口111に比較的短時間で到達でき、応答性が向上する。また、最短経路長Pが5.0mm以上であることで、最短経路長Pが小さすぎることによる不具合を低減できる。このような不具合としては、例えば、外側入口144aから流入した外部の被毒物質や水分がセンサ素子110に到達しやすくなること、被測定ガスによりセンサ素子110が冷えやすくなること、又はセンサ素子110の冷えを防止するために必要なヒーターの出力が増加すること、などが挙げられる。また、最短経路長Pは10.5mm以下が好ましく、10.0mm以下がより好ましく、10.0mm未満がさらに好ましく、9.5mm以下が一層好ましく、9.0mm以下がより一層好ましい。最短経路長Pが小さいほど、ガス濃度検出の応答性が向上しやすい。なお、最短経路長Pの調整は、例えば図7の距離A1〜A7,距離Lの少なくとも1以上を調整したり、外側入口144aの径を調整したりすることで行ってもよい。また、最短経路長Pは7.0mm以上としてもよいし、8.0mm以上としてもよい。
また、外側保護カバー140は、外側入口144aの合計断面積S1[mm2]と外側出口147aの合計断面積S2[mm2]との比である断面積比S1/S2が値2.0超過値5.0以下であることが好ましい。断面積比S1/S2が値2.0超過では、合計断面積S1が比較的大きいことで外側入口144aから流入する被測定ガスの流量が大きくなりやすく、合計断面積S2が比較的小さいことで外側出口147aから流入(逆流)しようとする被測定ガスの流量が小さくなりやすい。これらにより、ガス導入口111周辺の空間が流入した被測定ガスで置換されやすくなる。したがって、ガス濃度検出の応答性が向上する。また、合計断面積S2が小さすぎると外側出口147aから流出する被測定ガスの流量が小さくなって応答性が低下する場合があるが、断面積比S1/S2が値5.0以下では、そのような応答性の低下を低減できる。なお、断面積比S1/S2の調整は、例えば外側入口144a及び外側出口147aの数を調整することで行ってもよいし、外側入口144aの各々の断面積及び外側出口147aの各々の断面積を調整することで行ってもよい。
なお、本実施形態では、合計断面積S1は、6個の横孔144bの合計断面積と6個の縦孔144cの合計断面積との和である。合計断面積S2は、6個の縦孔147cの断面積の和である。外側入口144aの断面積は、外側入口144aを通過する被測定ガスの向きに垂直な方向の面積とする。本実施形態では、外側入口144aはいずれも円形の孔であるため、この円の面積が断面積となる。外側出口147aについても同様である。また、例えばある1つの外側入口144aにおいて、入口側(外側保護カバー140の外表面側)と出口側(外側保護カバー140の内表面側)とで断面積が異なるなど、外側入口144aの断面積が一定でない場合には、断面積の最小値をその外側入口144aの断面積とする。外側出口147aについても同様である。
また、断面積比S1/S2は値2.5以上が好ましく、値3.0以上がより好ましく、値3.4以上がさらに好ましい。断面積比S1/S2が大きいほど、ガス濃度検出の応答性が向上しやすい。合計断面積S1は10mm2以上としてもよい。また、合計断面積S1は30mm2以下としてもよい。また、合計断面積S2は2mm2以上としてもよい。また、合計断面積S2は10mm2以下としてもよい。
また、本実施形態では、外側保護カバー140は、側部146aと底部146bとを有する有底筒状の形状をしており、外側出口147aは、外側保護カバー140の側部146aには配設されていない。ここで、外側保護カバー140の側部146aに配設された外側出口147aが存在する場合、側部146aの外側出口147aと周囲の被測定ガスの流れ方向との位置関係によって、応答性が変化する場合がある。図8,図9は、外側出口147aが側部146aに形成された複数(ここでは3個)の横孔147bを有する場合の断面図及び斜視図である。図8,9に示した外側保護カバー140では、外側出口147aは、3個の横孔147bと、3個の縦孔147cとを有している。横孔147b及び縦孔147cは、外側保護カバー140の周方向に沿って、横孔147bと縦孔147cとが交互に等間隔に位置するように形成されている。この図8,9に示したような外側保護カバー140において、例えば、被測定ガスの流れ方向が図8の矢印D1のように左から右に向かう向きであった場合、横孔147bの1つ(図8で最も左側に位置する横孔147b)が被測定ガスの流れ方向と平行且つ上流(図8の左方向)に向けて開口していることになる。このような場合、外側保護カバー140内からこの横孔147bを通って外部に流出しようとする被測定ガスの流れを、周囲を流れる被測定ガスが妨げてしまい、応答性が低下しやすい。一方、被測定ガスの流れ方向が図8の矢印D2の向きであった場合を考える。なお、矢印D2は、矢印D1を図8で時計回りに60°回転させた向きであり、外側保護カバー140の側部146aのうち図8の左の横孔147bと右上の横孔147bとの中間に向かう向きである。この場合、側部146aのうち被測定ガスが垂直に当たる領域の周辺から比較的離れた位置にのみ横孔147bが存在する。このような場合、横孔147bから外部に流出しようとする被測定ガスの流れは、比較的妨げられにくく、応答性は低下しにくい。このような側部146aの外側出口147a(ここでは横孔147b)と周囲の被測定ガスの流れ方向との位置関係による応答性の変化が大きいと、ガスセンサ100の取り付けの向き(外側保護カバー140の中心軸を中心とした回転方向の角度)によっては応答性が低下する場合がある。例えば矢印D1の向きに被測定ガスが流れるような向きで配管20内にガスセンサ100を取り付けた場合には応答性が低下しやすくなる、などである。これに対し、本実施形態のガスセンサ100では、外側出口147aが側部146aには配設されていないため、ガスセンサ100の取り付けの向きによる応答性への影響を低減できる。なお、このようなガスセンサ100の取り付けの向きによる応答性への影響を角度依存性と称する。本実施形態のガスセンサ100では、外側出口147aが側部146aには配設されていないことで、角度依存性を小さくできる。
以上詳述した本実施形態のガスセンサ100によれば、外側入口144aからガス導入口111までの最短経路長Pが11.0mm以下であることで、ガス濃度検出の応答性が向上する。また、最短経路長Pが5.0mm以上であることで、最短経路長Pが小さすぎることによる不具合を低減できる。また、断面積比S1/S2が値2.0超過値5.0以下であることで、ガス濃度検出の応答性が向上する。さらに、外側出口147aが側部146aには配設されていないため、ガスセンサ100の取り付けの向きによる応答性への影響を低減できる。そのため、取り付けの向きに関わらず、上述したガス濃度検出の応答性が向上する効果が得やすい。
さらに、ガスセンサ100において、内側保護カバー130は、素子側開口部129が先端方向に向けて開口するように素子室入口127を形成している。そのため、素子側開口部129から流出した被測定ガスがセンサ素子110の表面(ガス導入口111以外の表面)に垂直に当たることを抑制したり、センサ素子110の表面上を長い距離通過してからガス導入口111に到達することを抑制したりできる。これにより、センサ素子110の冷えを抑制できる。しかも、素子側開口部129の開口の向きを調整することでセンサ素子110の冷えを抑制しており、内側保護カバー130内の被測定ガスの流量や流速を減らしているわけではないため、ガス濃度検出の応答性の低下も低減できる。これらにより、センサ素子110の応答性と保温性とを両立することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施しうることは言うまでもない。
例えば、保護カバー120の形状は上述した実施形態に限られない。保護カバー120の形状や素子室入口127,素子室出口138a,外側入口144a,外側出口147aの形状,個数,配置などは、適宜変更してもよい。例えば、素子室入口127は第1部材131と第2部材135との隙間としたが、これに限らず、素子室入口はセンサ素子室124への入口であればどのような形状であってもよい。例えば素子室入口は内側保護カバー130に形成された貫通孔であってもよい。なお、素子室入口が貫通孔である場合も、素子室入口がセンサ素子110の後端側から先端側へ向かう流路を形成していてもよい。例えば素子室入口が縦孔や図3の上下方向から傾斜した孔であってもよい。また、素子側開口部129が先端方向に向けて開口していてもよい。また、素子室入口127の数は1つに限らず複数でもよい。素子室出口138a,外側入口144a,外側出口147aについても、孔に限らず保護カバー120を構成する複数の部材の隙間であってもよいし、各々の数は1以上であればよい。また、外側入口144aは横孔144bと縦孔144cとを有するものとしたが、いずれか一方のみを有するものとしてもよい。また、横孔144b及び縦孔144cに加えて又は代えて、側部143aと段差部143bとの境界の角部に角孔を形成してもよい。素子室入口127,素子室出口138a,外側出口147aについても、同様に横孔,縦孔,角孔のいずれか1以上を有するものとしてもよい。ただし、上述したように外側出口147aについては横孔を有さない、すなわち外側出口147aは側部146aには配設されていないことが好ましい。
角孔の一例について説明する。図10は、外側出口147aが複数の角孔147dを有する場合の断面図である。図視するように、図10の先端部146に配設された外側出口147aは、縦孔147cに代えて、側部146aと底部146bとの境界の角部に位置する複数の角孔147dを有している。角孔147dは、外側保護カバー140の周方向に沿って等間隔に6個(図10では4個のみ図示)配設されている。角孔147dは、角孔147dの外部開口面(図10左下拡大図の直線a)と底部146bの底面(下面)(図10左下拡大図の直線b)とのなす角θが10°〜80°の範囲の値であってもよい。図10では、なす角θは45°としている。なお、上述した実施形態における側部143aと段差部143bとの境界の角部に角孔が形成されている場合も、その角孔の外部開口面と段差部143bの底面(下面)とのなす角θが10°〜80°の範囲の値であってもよい。
上述した実施形態では、突出部136aは第2円筒部136の内周面に形成されているが、これに限られない。第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面との少なくとも一方の面に、他方の面に向けて突出してその面に接する複数の突出部が形成されていればよい。また、上述した実施形態では、図3,4に示すように、第2円筒部136のうち突出部136aが形成されている部分の外周面は内側に窪んでいるが、これに限らず外周面が窪んでいなくてもよい。また、突出部136aは半球形状に限らずどのような形状であってもよい。なお、第1円筒部134の外周面及び第2円筒部136の内周面に突出部136aが形成されていなくてもよい。
上述した実施形態では、素子室入口127は第1円筒部134の外周面と第2円筒部136の内周面との間の筒状の隙間としたが、これに限られない。例えば、第1円筒部の外周面と第2円筒部の内周面との少なくとも一方に凹部(溝)が形成されており、素子室入口は、凹部により形成された第1円筒部と第2円筒部との隙間としてもよい。図11は、変形例の素子室入口227を示す断面図である。図11に示すように、第1円筒部234の外周面と第2円筒部236の内周面とは接しており、第1円筒部234の外周面には複数(図11では4個)の凹部234aが等間隔に形成されている。この凹部234aと第2円筒部236の内周面との間の隙間が、素子室入口227となっている。
上述した実施形態では、素子室入口127は、センサ素子110の後端−先端方向に平行な流路(図3における上下方向に平行な流路)としたが、これに限られない。例えば、素子室入口は、センサ素子110の後端側から先端側に向かうにつれてセンサ素子110に近づくように後端−先端方向から傾斜した流路としてもよい。図12は、この場合の変形例のガスセンサ300の縦断面図である。図12では、ガスセンサ100と同じ構成要素については同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。図12に示すように、ガスセンサ300は、内側保護カバー130に代えて内側保護カバー330を備えている。内側保護カバー330は、第1部材331と、第2部材335と、を備えている。第1部材331は、第1部材131と比べて、第1円筒部134を備えない代わりに、円筒状の胴部334aと、センサ素子110の後端側から先端側に向かうにつれて縮径する円筒状の第1円筒部334bと、を備えている。第1円筒部334bは、センサ素子110の後端側の端部で胴部334aと接続されている。第2部材335は、第2部材135と比べて、第2円筒部136及び接続部137を備えない代わりに、センサ素子110の後端側から先端側に向かうにつれて縮径する円筒状の第2円筒部336を備えている。第2円筒部336は、先端部138と接続されている。第1円筒部334bの外周面と第2円筒部336の内周面とは接しておらず、両者により形成される隙間が素子室入口327となっている。素子室入口327は、第1ガス室122側の開口部である外側開口部328と、センサ素子室124側の開口部である素子側開口部329と、を有している。この素子室入口327は、第1円筒部334b及び第2円筒部336の形状によって、センサ素子110の後端側から先端側に向かうにつれてセンサ素子110に近づくように(内側保護カバー330の中心軸に近づくように)後端−先端方向から傾斜した流路となっている。同様に、素子側開口部329は、センサ素子110の後端側から先端側に向かうにつれてセンサ素子110に近づくように後端−先端方向から傾斜して開口している(図12の拡大図参照)。このように素子室入口327が傾斜した流路である場合や素子側開口部329が傾斜して開口している場合、素子側開口部329からセンサ素子室124に流出する被測定ガスの流れる向きはセンサ素子110の後端−先端方向から傾斜した向きになる。これにより、上述した実施形態の素子室入口127や素子側開口部129と同様の効果が得られる。すなわち、被測定ガスがセンサ素子110の表面(ガス導入口111以外の表面)に垂直に当たることを抑制したり、センサ素子110の表面上を長い距離通過してからガス導入口111に到達することを抑制したりできる。これにより、センサ素子110の冷えを抑制できる。また、図12では、素子室入口327の幅は、センサ素子110の後端側から先端側に向かうにつれて狭くなっている。そのため、素子側開口部329の開口面積は外側開口部328の開口面積よりも小さい。換言すると、素子室入口327は、図7を用いて説明した距離A5よりも距離A4の方が小さくなっている。これにより、被測定ガスが外側開口部328から流入して素子側開口部329から流出することで流入時と比べて流出時の被測定ガスの流速が高まる。そのため、ガス濃度検出の応答性を向上させることができる。なお、図12では、素子室入口327がセンサ素子110の後端−先端方向から傾斜した流路となっており、素子側開口部329がセンサ素子110の後端−先端方向から傾斜して開口し、且つ素子側開口部329の開口面積が外側開口部328の開口面積よりも小さくなるようにしているが、これらの3つの特徴のうち1以上を省略してもよいし、ガスセンサがこれらの3つの特徴のうち1以上の特徴を有するようにしてもよい。なお、変形例のガスセンサ300における距離A1は、図12に示すように、ガス導入口111から素子側開口部329の下端までの上下方向の距離となる。この図12のガスセンサ300でも、最短経路長Pが5.0mm以上11.0mm以下であることで、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
上述した実施形態では、素子側開口部129は先端方向に向けて開口していたが、これに限らず、例えば先端方向と垂直な方向に向けてセンサ素子室124に開口していてもよい。また、上述した実施形態では、素子室入口127はセンサ素子110の後端−先端方向に平行な流路としたが、これに限らず、例えば先端方向と垂直な方向に沿った流路としてもよい。
上述した実施形態では、外側入口144aと素子室入口127との間の被測定ガスの流路は第1ガス室122のみとしたが、これに限られない。第1ガス室122は、外側入口144aと素子室入口127との間の被測定ガスの流路の少なくとも一部であればよい。例えば、保護カバー120が内側保護カバー130及び外側保護カバー140の他に両者の間に配置された中間保護カバーを備えており、外側入口144aと素子室入口127との間の被測定ガスの流路が複数のガス室を含んでいてもよい。同様に、上述した実施形態では、外側出口147aと素子室出口138aとの間の被測定ガスの流路は第2ガス室126のみとしたが、これに限られない。第2ガス室126は、外側出口147aと素子室出口138aとの間の被測定ガスの流路の少なくとも一部であればよい。
上述した実施形態では、ガス導入口111は、センサ素子110の先端面(図3におけるセンサ素子110の下面)に開口しているものとしたが、これに限られない。例えば、センサ素子110の側面(図4におけるセンサ素子110の上下左右の面)に開口していてもよい。
上述した実施形態では、センサ素子110は多孔質保護層110aを備えているが、多孔質保護層110aを備えていなくてもよい。
以下には、ガスセンサを具体的に作製した例を実施例として説明する。実験例3〜5が本発明の実施例に相当し、実験例1,2が比較例に相当する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
図8,9に示したように外側出口147aが側部146aに形成された3個の横孔147b及び3個の縦孔147cを有する点以外は、図3〜7に示したガスセンサ100を実験例1とした。具体的には、内側保護カバー130の第1部材131は、板厚が0.3mm、軸方向長さが10.2mm、大径部132の軸方向長さが1.8mm、大径部132の外径が14.4mm、第1円筒部134の軸方向長さが8.4mm、第1円筒部134の外径が7.7mmとした。第2部材135は、板厚が0.3mm、軸方向長さが11.5mm、第2円筒部136の軸方向長さが4.5mm、第2円筒部136の内径が9.7mm、先端部138の軸方向長さが4.9mm、先端部138の底面の径が3.0mmとした。素子室入口127に関して、距離A1は0.59mm、距離A2は1.7mm、距離A3は3.1mm、距離A4,A5,A7はいずれも1.0mm、距離A6は2.05mm、距離Lは4mmとした。素子室出口138aの径は1.5mmとした。外側保護カバー140は、板厚が0.4mm、軸方向長さが24.35mm、大径部142の軸方向長さが5.85mm、大径部142の外径が15.2mm、胴部143の軸方向長さが8.9mm(胴部143の上端から段差部143bの上面までの軸方向長さが8.5mm)、胴部143の外径が14.6mm、先端部146の軸方向長さが9.6mm、先端部146の外径が8.7mmとした。外側入口144aは、径1mmの横孔144bを6個、径1mmの縦孔144cを6個、それぞれ交互に等間隔(隣接する孔のなす角が30°)に形成した。外側出口147aは、径1mmの横孔147bを3個、径1mmの縦孔147cを3個、それぞれ交互に等間隔(隣接する孔のなす角が60°)に形成した。保護カバー120の材質は、SUS301Sとした。また、ガスセンサ100のセンサ素子110は、幅(図4における左右長さ)が4mm、厚さ(図4における上下長さ)が1.5mmとした。多孔質保護層110aはアルミナ多孔質体とし、厚さは400μmとした。最短経路長Pは11.4mmとした。合計断面積S1は9.42mm2とした。合計断面積S2は4.71mm2とした。断面積比S1/S2は値2.00とした。
[実験例2]
第1部材131の第1円筒部134の内径を実験例1よりも大きい7.88mmとした点以外は、実験例1と同様のガスセンサ100を実験例2とした。実験例2では、距離A4,A5,A7を0.61mmとした。距離A2を2.1mmとした。最短経路長Pは11.7mmとした。合計断面積S1は9.42mm2とした。合計断面積S2は4.71mm2とした。断面積比S1/S2は値2.00とした。
[実験例3]
図3〜7に示したガスセンサ100を実験例3とした。実験例3では、外側出口147aは横孔147bを備えず、縦孔147cの径は実験例1と同じ1mmとした。横孔144bの径は1.5mmとし、孔の位置をより後端側に変更して距離A3を0.84mmとした。それ以外は実験例2と同じ寸法とした。最短経路長Pは10.0mmとした。合計断面積S1は15.32mm2とした。合計断面積S2は4.71mm2とした。断面積比S1/S2は値3.25とした。
[実験例4]
縦孔144cの断面積を大きくし、縦孔147cの数を3個にしつつ断面積を大きくした点以外は、実験例3と同じガスセンサ100を実験例4とした。具体的には、図13に示すように、縦孔144c及び縦孔147cを外側保護カバー140の周方向に沿った円弧状の孔とすることで、断面積を大きくした。縦孔144c及び縦孔147cは、いずれも幅1mmの円弧状の孔とした。縦孔144cは6個で断面積はいずれも2.4mm2とした。縦孔147cは3個で断面積はいずれも2.4mm2とした。最短経路長Pは10.0mmとした。合計断面積S1は25.03mm2とした。合計断面積S2は7.21mm2とした。断面積比S1/S2は値3.47とした。
[実験例5]
図14に示すように、横孔144bの位置を外側開口部128より後端側に変更して距離A3を−0.16mmとした点以外は実験例3と同じガスセンサ100を実験例5とした。最短経路長Pは、9.9mmとした。なお、実験例5のガスセンサ100では、図14に示すように、横孔144bの外側の開口面のうち外側開口部128に最も近い端部C1(図14では下端)から、ガス導入口111の外側の開口面の端部C2(図14では左端)までの最短経路(折れ線PL)の長さが、最短経路長Pとなる。合計断面積S1は15.32mm2とした。合計断面積S2は4.71mm2とした。断面積比S1/S2は値3.25とした。
[角度依存性の評価]
実験例1〜5のガスセンサの取り付けの向きによる応答性への影響(角度依存性)を評価した。まず、実験例1のガスセンサを図1,2と同様に配管に取り付けた。なお、実験例1のガスセンサの取り付けの向きは、配管内の被測定ガスの流れの向きが図8における矢印D1となる向きとした。大気に酸素を混合して任意の酸素濃度に調節したガスを被測定ガスとし、この被測定ガスを配管内に流速V=8m/sで流した。そして、配管内に流す被測定ガスの酸素濃度を22.9%から20.2%に変化させた場合における、センサ素子の出力の時間変化を調べた。酸素濃度を変化させる直前のセンサ素子の出力値を0%、酸素濃度の変化後にセンサ素子の出力が変化して安定したときの出力値を100%として、出力値が10%を越えたときから90%を越えるまでの経過時間をガス濃度検出の応答時間(sec)とした。この応答時間が短いほどガス濃度検出の応答性が高いことを意味する。この応答時間の測定を、実験例1のガスセンサの取り付けの向きを変えて複数回測定した。具体的には、被測定ガスの流れの向きが図8における矢印D1となる取り付けの向きを0°として、ガスセンサを外側保護カバー140の中心軸を中心に回転させて取り付けの向きを0°〜360°まで30°ずつ変化させて、それぞれの取り付けの向きに対する応答時間を測定した。なお、0°と360°は、ガスセンサの取り付けの向きは同じ状態である。実験例2〜5についても、同様に配管への取り付けの向きを変化させて応答時間を測定した。なお、実験例2のガスセンサでは、実験例1と同様に被測定ガスの流れの向きが図8における矢印D1となる取り付けの向きを0°とした。実験例3〜5では、被測定ガスの流れの向きが図4における左上の横孔144bの開口の向きに平行、且つ図4の左上から右下に向くようにガスセンサを配管に取り付けた状態を0°とした。
図15は、実験例1〜5のガスセンサの応答時間の角度依存性を示すグラフである。図15に示すように、実験例1,2では、ガスセンサの取り付けの向きによって応答時間が大きく変動しており、角度依存性が大きかった。具体的には、実験例1,2では、取り付けの向きがほぼ120°周期で、応答時間が長くなる傾向が見られた。ここで、実験例1,2では、外側出口147aが側部146aに配設された3個の横孔147bを有し、この横孔147bは外側保護カバー140の中心軸を中心として等間隔(120°)で配置されている。そのため、取り付けの向きが0°,120°,240°,360°の時には、横孔147bの1つが被測定ガスの流れ方向と平行且つ上流に向けて開口している状態になる。これにより、実験例1,2では、取り付けの向きが0°,120°,240°,360°付近の時に、上述したように外側保護カバー140内から横孔147bを通って外部に流出しようとする被測定ガスの流れを、周囲を流れる被測定ガスが妨げてしまい、応答性が低下していると考えられる。これに対し、実験例3〜5では、図15に示すように実験例1,2と比べて取り付けの向きによる応答時間の変動はほとんど見られず、角度依存性が小さかった。これは、実験例3〜5では、外側出口147aが側部146aに配設されていないためと考えられる。
[応答性の評価]
実験例1〜5のガスセンサについて、配管内を流す被測定ガスの流速Vを1,2,4,6,8,10m/sにそれぞれ変化させて、それぞれの流速Vにおける応答時間[sec]を測定した。応答時間は、上述した角度依存性の評価における応答時間と同様に測定した。なお、流速V=8m/sの場合については、上述した角度依存性の評価と同様に取り付けの向きを0°〜360°まで変化させ且つ同じ取り付けの向きについても応答時間の測定を複数回行った。さらに、配管内に流す被測定ガスの酸素濃度を20.2%から22.9%に変化(上述した角度依存性の評価時と逆の変化)させた場合についても、同様に取り付けの向きを0°〜360°まで変化させ且つ同じ取り付けの向きについても応答時間の測定を複数回行った。そして、全ての応答時間の平均値を流速V=8m/sにおける応答時間とした。それ以外の場合(流速V=1,2,4,6,10m/s)については、取り付けの向きを変えずに、配管内に流す被測定ガスの酸素濃度を下降(22.9%から20.2%に変化)させた場合と上昇(20.2%から22.9%に変化)させた場合との応答時間を測定し、その平均値を各流速Vに対応する応答時間とした。取り付けの向きは、具体的には、実験例1,2では0°とし、実験例3〜5では180°とした。
実験例1〜5について、外側保護カバーの外側入口及び外側出口の径及び個数,最短経路長P,合計断面積S1,S2,断面積比S1/S2,及び各流速Vにおける応答時間を、表1にまとめて示す。また、実験例1〜5についての流速Vと応答時間との関係を示すグラフを図16に示す。
Figure 2017223621
表1及び図16に示すように、実験例1〜5のいずれにおいても流速Vが低いほど応答時間が増加する傾向が見られるが、いずれの流速Vにおいても、実験例3〜5は実験例1,2と比べて応答時間が短かった。すなわち、最短経路長Pが11.0mm以下且つ断面積比S1/S2が値2.0超過である実験例3〜5は、最短経路長Pが11.0mm超過且つ断面積比S1/S2が値2.0以下である実験例1,2と比べて応答時間が短くなっていた。実験例1〜5において最短経路長Pが小さいほど応答時間が短くなる傾向が見られた。断面積比S1/S2の値が同じで最短経路長Pの値が異なる実験例3,5の比較から、最短経路長Pは10.0mm未満が好ましいと考えられる。実験例1〜5において断面積比S1/S2が大きいほど応答時間が短くなる傾向が見られた。最短経路長Pの値が同じで断面積比S1/S2の値が異なる実験例3,4の比較から、断面積比S1/S2は値3.4以上が好ましいと考えられる。なお、第1部材131の第1円筒部134の内径が同じであり保護カバー120の形状が比較的近い実験例2〜5を比較すると、実験例2の応答時間と実験例3〜5の応答時間との差は、流速Vが低いほど大きくなる傾向が見られた。このことから、特に流速Vが低い場合(4m/s以下)において、最短経路長Pを11.0mm以下とすることによる応答時間の短縮効果や断面積比S1/S2を値2.0超過とすることによる応答時間の短縮効果が高くなると考えられる。
20 配管、22 固定用部材、100,300 ガスセンサ、102 ハウジング、103 ナット、110 センサ素子、110a 多孔質保護層、111 ガス導入口、120 保護カバー、122 第1ガス室、124 センサ素子室、126 第2ガス室、127,227,327 素子室入口、128,328 外側開口部、129,329 素子側開口部、130,330 内側保護カバー、131,331 第1部材、132 大径部、133 段差部、134,234 第1円筒部、135,335 第2部材、136,236,336 第2円筒部、136a 突出部、137 接続部、138 先端部、138a 素子室出口、140 外側保護カバー、142 大径部、143 胴部、143a 側部、143b 段差部、144a 外側入口、144b 横孔、144c 縦孔、146 先端部、146a 側部、146b 底部、147a 外側出口、147b 横孔、147c 縦孔、147d 角孔、234a 凹部、334a 胴部、334b 第1円筒部。

Claims (11)

  1. 被測定ガスを導入するガス導入口を有し、該ガス導入口から内部に流入した該被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子と、
    前記センサ素子の先端及び前記ガス導入口が内部に配置されるセンサ素子室を内側に有し、該センサ素子室への入口である1以上の素子室入口と該センサ素子室からの出口である1以上の素子室出口とが配設された内側保護カバーと、
    前記被測定ガスの外部からの入口である1以上の外側入口と、前記被測定ガスの外部への出口である1以上の外側出口と、が配設され、前記内側保護カバーの外側に配設された外側保護カバーと、
    を備え、
    前記外側保護カバー及び前記内側保護カバーは、両者の間の空間として、前記外側入口と前記素子室入口との間の被測定ガスの流路の少なくとも一部である第1ガス室と、前記外側出口と前記素子室出口との間の被測定ガスの流路の少なくとも一部であり該第1ガス室と直接には連通していない第2ガス室と、を形成しており、
    前記外側入口から前記ガス導入口までの最短経路長Pが5.0mm以上11.0mm以下である、
    ガスセンサ。
  2. 前記最短経路長Pが10.0mm以下である、
    請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 前記外側入口の合計断面積S1[mm2]と前記外側出口の合計断面積S2[mm2]との比である断面積比S1/S2が値2.0超過値5.0以下である、
    請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  4. 前記断面積比S1/S2が値3以上である、
    請求項3に記載のガスセンサ。
  5. 前記合計断面積S1が10mm2以上30mm2以下である、
    請求項3又は4に記載のガスセンサ。
  6. 前記合計断面積S2が2mm2以上10mm2以下である、
    請求項3〜5のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  7. 前記外側保護カバーは、側部と底部とを有する有底筒状の形状をしており、
    前記外側出口は、前記外側保護カバーの側部には配設されていない、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  8. 前記外側保護カバーは、前記外側入口が配設された円筒状の胴部と、前記外側出口が配設され該胴部よりも内径の小さい有底筒状の先端部と、を有し、前記センサ素子の後端から前記先端に向かう方向を先端方向として該先端部は該胴部よりも該先端方向側に位置しており、
    前記外側保護カバー及び前記内側保護カバーは、該外側保護カバーの前記胴部と該内側保護カバーとの間の空間として前記第1ガス室を形成し、該外側保護カバーの前記先端部と該内側保護カバーとの間の空間として前記第2ガス室を形成している、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  9. 前記内側保護カバーは、前記センサ素子の後端から前記先端に向かう方向を先端方向として、前記素子室入口のうち前記センサ素子室側の開口部である素子側開口部が該先端方向に向けて開口するように該素子室入口を形成している、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  10. 前記内側保護カバーは、第1部材と第2部材とを有しており、
    前記第1部材及び前記第2部材は、両者の間の隙間として、前記素子室入口を形成している、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  11. 前記第1部材は、前記センサ素子を囲む第1円筒部を有しており、
    前記第2部材は、前記第1円筒部よりも大径の第2円筒部を有しており、
    前記素子室入口は、前記第1円筒部の外周面と前記第2円筒部の内周面との間の筒状の隙間である、
    請求項10に記載のガスセンサ。
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