JP2017223583A - 水質分析計 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定値異常の発生原因を正確に解析することができる水質分析計を提供する。【解決手段】試料溶液を採取する前処理部10と、試料溶液中の水質測定値を分析する分析部100とを備え、前処理部10は、試料溶液を保管するための保管容器17を備え、分析部100は、水質測定値が所定値以上であると判定したときには、試料溶液を保管容器17に保管する構成とする。【選択図】図1
Description
本発明は、河川水・湖沼水・海水・雨水・地下水等の環境水の他、上下水道水、製薬用水、純水、工業用水、排水等の測定対象溶液から採取された試料溶液中の水質を分析する水質分析計に関し、特にTOC(全有機炭素)の濃度を測定する全有機炭素計に関する。
近年、公害調査等のため、上下水道水、各種プラント用水、河川等の測定対象溶液から採取された試料水溶液中に含まれるTOC濃度の計測が重要な項目の一つとなっている。
このような試料水溶液中のTOC濃度を測定する最も一般的な測定方法は、CO2濃度を検出する非分散性赤外線ガス検出器(NDIR検出器)を用いて、試料水溶液中のTC(全炭素)濃度とIC(無機炭素)濃度とを個別に測定し、下記式(1)に基づいてTOC濃度を算出する方法である。
TC=TOC+IC ・・・(1)
このような試料水溶液中のTOC濃度を測定する最も一般的な測定方法は、CO2濃度を検出する非分散性赤外線ガス検出器(NDIR検出器)を用いて、試料水溶液中のTC(全炭素)濃度とIC(無機炭素)濃度とを個別に測定し、下記式(1)に基づいてTOC濃度を算出する方法である。
TC=TOC+IC ・・・(1)
また、試料水溶液に無機酸を加えてICを溶存CO2とし、真空室に配置されたテフロン(登録商標)チューブ(二酸化炭素透過性チューブ)内に試料水溶液を流通させて、試料水溶液中から溶存CO2がテフロンチューブを経て真空室に移動することにより、試料水溶液中からICを除去するものもある(例えば特許文献1参照)。
図2は、従来の廃水測定用オンラインTOC計(全有機炭素計)の一例を示す概略構成図である。TOC計2は、前処理器(前処理部)210と、分析装置(分析部)200とを備える。
前処理器210は、導入配管11と、排出配管12と、切替バルブ13と、処理容器14と、排出用開閉バルブ15と、攪拌機構16とを備える。
切替バルブ13の第一接続部は導入配管11と連結されており、切替バルブ13の第二接続部は排出配管12と連結されており、切替バルブ13の第三接続部は処理容器14と連結されている。そして、切替バルブ13は、導入配管11と排出配管12とを連結したり、導入配管11と処理容器14とを連結したりするようになっている。これにより、試料水溶液が導入配管11から排出配管12に流通し、所定のタイミングで切替バルブ13が作動することで、所定量の試料水溶液が導入配管11から処理容器14に供給されるようになっている。
切替バルブ13の第一接続部は導入配管11と連結されており、切替バルブ13の第二接続部は排出配管12と連結されており、切替バルブ13の第三接続部は処理容器14と連結されている。そして、切替バルブ13は、導入配管11と排出配管12とを連結したり、導入配管11と処理容器14とを連結したりするようになっている。これにより、試料水溶液が導入配管11から排出配管12に流通し、所定のタイミングで切替バルブ13が作動することで、所定量の試料水溶液が導入配管11から処理容器14に供給されるようになっている。
排出用開閉バルブ15は、処理容器14と排出配管12との間に配置されており、所定のタイミングで閉状態の排出用開閉バルブ15が開状態とされることで、処理容器14内の試料水溶液が排出配管12に廃棄されるようになっている。
分析装置200は、試料注入器30と、TC酸化部(TC変換部)40と、除湿部50と、CO2濃度情報を検出するNDIR検出器(検出部)60と、コンピュータ270とを備える。
試料注入器30は、シリンジポンプ31と、電磁弁33とを備える。電磁弁33の第一接続部は前処理器210と連結されており、電磁弁33の第二接続部はTC酸化部40と連結されており、電磁弁33の第三接続部はシリンジポンプ31と連結されている。また、電磁弁33は、前処理器210とシリンジポンプ31とを連結したり、TC酸化部40とシリンジポンプ31とを連結したりするようになっている。
シリンジポンプ31は、筒状体のシリンジ31aと、シリンジ31a内に挿入される円柱形状のピストン31bと、ピストン31bを上下方向に移動させるパルスモータ32とを備える。そして、シリンジポンプ31は、前処理器210と連結された状態でピストン31bが下方に引かれると、処理容器14内の所定量(例えば100μl)の試料水溶液がテフロンチューブ22を経由してシリンジ31a内に注入されるようになっている。また、TC酸化部40とシリンジポンプ31とを連結した状態でピストン31bが上方に押されると、シリンジ31a内の所定量(例えば100μl)の試料水溶液(処理済試料水溶液)がTC酸化部40に供給されるようになっている。
TC酸化部40は、石英ガラス製のTC燃焼管41と、TC燃焼管41の周囲に配置され680℃程度に加熱されるTC炉42と、キャリアガス導入機構(図示せず)とを備える。また、TC燃焼管41の内部には周知の酸化触媒43が充填されている。
TC燃焼管41の上端部には電磁弁33の第二接続部が連結され、TC燃焼管41の下端部は除湿部50と連結されている。また、TC燃焼管41の上端部には、キャリアガス導入機構が連結されており、TC燃焼管41の内部をキャリアガス(例えば純度99.99%の酸素ガス)が150ml/minで下方に向かって流通するようになっている。したがって、試料水溶液(処理済試料水溶液)中のTOCは、TC炉42によって蒸発及び分解され、キャリアガスとともに酸化触媒43に達して酸化されることによりCO2となる。
このCO2は、キャリアガスとともに除湿部50を経由して、NDIR検出器60に導かれる。
TC燃焼管41の上端部には電磁弁33の第二接続部が連結され、TC燃焼管41の下端部は除湿部50と連結されている。また、TC燃焼管41の上端部には、キャリアガス導入機構が連結されており、TC燃焼管41の内部をキャリアガス(例えば純度99.99%の酸素ガス)が150ml/minで下方に向かって流通するようになっている。したがって、試料水溶液(処理済試料水溶液)中のTOCは、TC炉42によって蒸発及び分解され、キャリアガスとともに酸化触媒43に達して酸化されることによりCO2となる。
このCO2は、キャリアガスとともに除湿部50を経由して、NDIR検出器60に導かれる。
コンピュータ270は、CPU(制御部)271とメモリ272とを備える。また、CPU271が処理する機能をブロック化して説明すると、NDIR検出器60から取得したCO2濃度情報に基づきTOC濃度(測定値)を算出してメモリ272に記憶させるTOC算出部271aと、前処理器210を制御する前処理器制御部271bと、試料注入器30を制御する試料注入器制御部71cとを有する。
ところで、TOC計を用いた分析では、試料水溶液中のTOC濃度が大きく変動していないにもかかわらず、測定値が大きく変動することがある。そして、測定値が大きく変動したときには再分析が必要となる。
また、廃水測定用オンラインTOC計では、COD、TN、TP等の排出が総量で制限されているため、測定値異常が発生したときにはその原因を解析しなければならない。
また、廃水測定用オンラインTOC計では、COD、TN、TP等の排出が総量で制限されているため、測定値異常が発生したときにはその原因を解析しなければならない。
上述した従来のTOC計2では、所定のタイミングで試料水溶液を連続して分析するため、分析装置200の内部配管(テフロンチューブ22、シリンジポンプ31、TC燃焼管41等)内には懸濁物やバイオ汚れ等の汚染物質(コンタミ)が蓄積する。そして、これらの汚染物質が剥がれ落ちて試料水溶液中に混入し、測定値の異常を引き起こす原因となっていた。
しかしながら、従来のTOC計2では、測定値が大きく変動したときに、改めて試料水溶液を導入配管11から採取して再分析したときには、数時間以上経過した時点での試料水溶液を分析することになるため、再分析結果が正常値を示すことがあるという問題点があった。
出願人は、測定値異常の発生原因を正確に解析することができる全有機炭素計等の水質分析計について検討した。異常発生の原因が試料水溶液の濃度変動か分析装置200の異常(故障等)かを判別するには再分析が有効であるが、従来のTOC計2において、前処理器制御部271bは、所定量(例えば100μl)の試料水溶液を処理容器14からシリンジポンプ31に移送後、処理容器14内に残った試料水溶液を廃棄するよう制御しているため、異常発生時と同一の試料水溶液を再分析することはできなかった。また、試料水溶液が分析装置200の内部配管内を通過すると、液中に汚染物質(コンタミ)混入の可能性が発生するため、試料水溶液の濃度変動と分析装置200の異常との判別が困難になる。そこで、内部配管を通さず前処理器で試料水溶液を分取することを見出した。
すなわち、本発明の水質分析計は、試料溶液を採取する前処理部と、前記試料溶液中の水質測定値を分析する分析部とを備える水質分析計であって、前記前処理部は、前記試料溶液を保管するための保管容器を備え、前記分析部は、前記水質測定値が所定値以上であると判定したときには、前記試料溶液を前記保管容器に保管するようにしている。
ここで、「所定値」とは、設計者等によって予め決められた異常判定のための任意の数値である。
以上のように、本発明の水質分析計によれば、分取した試料溶液を異常発生時に再分析することができ、異常発生の原因が試料溶液の濃度変動か分析部の異常かを正確に判別することができる。また、分取した試料溶液を他の装置で分析することもでき、水質分析計のみでは得られない水質情報を得ることもできる。
(他の課題を解決するための手段及び効果)
また、上記の発明において、前記前処理部は、前記分析部で前記試料溶液中の水質測定値を分析している間は、前記試料溶液を貯蔵しておく処理容器を備え、前記分析部は、前記水質測定値が所定値以上であると判定した前記試料溶液を前記保管容器に移動させ、一方、前記水質測定値が所定値未満であると判定した前記試料溶液を廃棄させるようにしてもよい。
そして、上記の発明において、前記前処理部は、複数の保管容器を備え、測定対象溶液から所定のタイミングで前記処理容器に前記試料溶液を採取するようにしてもよい。
ここで、「所定のタイミング」とは、設計者等によって予め決められた水質を分析するための任意の時間である。
また、上記の発明において、前記前処理部は、前記分析部で前記試料溶液中の水質測定値を分析している間は、前記試料溶液を貯蔵しておく処理容器を備え、前記分析部は、前記水質測定値が所定値以上であると判定した前記試料溶液を前記保管容器に移動させ、一方、前記水質測定値が所定値未満であると判定した前記試料溶液を廃棄させるようにしてもよい。
そして、上記の発明において、前記前処理部は、複数の保管容器を備え、測定対象溶液から所定のタイミングで前記処理容器に前記試料溶液を採取するようにしてもよい。
ここで、「所定のタイミング」とは、設計者等によって予め決められた水質を分析するための任意の時間である。
さらに、上記の発明において、前記分析部は、前記試料溶液中の有機炭素を二酸化炭素に変換するTC変換部と、二酸化炭素を検出する検出部と、前記検出部で検出された二酸化炭素に基づいて、前記試料溶液中の全有機炭素量を算出する制御部とを備えるようにしてもよい。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
本発明に係る水質分析計の構成例として、廃水測定用オンラインTOC計(全有機炭素計)を例にして図1にその概略構成図を示す。なお、上述した廃水測定用オンラインTOC計2と同様のものについては、同じ符号を付すことにより説明を省略する。
廃水測定用オンラインTOC計1は、前処理器(前処理部)10と、分析装置(分析部)100とを備える。
廃水測定用オンラインTOC計1は、前処理器(前処理部)10と、分析装置(分析部)100とを備える。
前処理器10は、導入配管11と、排出配管12と、切替バルブ13と、処理容器14と、排出用開閉バルブ15と、攪拌機構16と、複数の保管容器17(17a、17b・・・)と、複数の分取用開閉バルブ18(18a、18b・・・)を備える。
分取用第一開閉バルブ18aは、処理容器14と第一保管容器17aとの間に配置されており、所定のタイミングで閉状態の分取用第一開閉バルブ18aが開状態とされることで、処理容器14内の所定量の試料水溶液を第一保管容器17aに供給するようになっている。また、分取用第二開閉バルブ18bは、処理容器14と第二保管容器17bとの間に配置されており、所定のタイミングで閉状態の分取用第二開閉バルブ18bが開状態とされることで、処理容器14内の所定量の試料水溶液を第二保管容器17bに供給するようになっている。
分析装置100は、試料注入器30と、TC酸化部(TC変換部)40と、除湿部50と、CO2濃度情報を検出するNDIR検出器(検出部)60と、コンピュータ70とを備える。
コンピュータ70は、CPU(制御部)71とメモリ72とを備える。また、CPU71が処理する機能をブロック化して説明すると、NDIR検出器60から取得したCO2濃度情報に基づきTOC濃度(測定値)を算出してメモリ72に記憶させるTOC算出部71aと、前処理器10を制御する前処理器制御部71bと、試料注入器30を制御する試料注入器制御部71cとを有する。さらに、メモリ72には、TOC濃度(測定値)の異常を判定するための基準となる所定値Aが予め記憶されている。
前処理器制御部71bは、所定のタイミングで切替バルブ13を作動させることで、所定量の試料水溶液を導入配管11から処理容器14に供給するとともに、TOC算出部71aで算出されたTOC濃度(測定値)に基づいて、開閉バルブ15、18を制御する。具体的には、TOC濃度(測定値)が所定値A未満であるときには、排出用開閉バルブ15を閉状態から開状態とすることで、処理容器14内の試料水溶液を排出配管12に廃棄する制御を行う。
一方、TOC濃度(測定値)が所定値A以上であり第一保管容器17aが空であるときには、分取用第一開閉バルブ18aを閉状態から開状態とすることで、処理容器14内の所定量の試料水溶液を第一保管容器17aに供給する。また、TOC濃度(測定値)が所定値A以上であり第一保管容器17aが空でないときには、分取用第二開閉バルブ18bを閉状態から開状態とすることで、処理容器14内の所定量の試料水溶液を第二保管容器17bに供給する。このようにしてTOC濃度(測定値)が所定値A以上の試料水溶液を保管容器17a、17b・・・に順次保管していく。
以上のように、本発明のオンラインTOC計1によれば、測定値が異常(所定値A以上)を示したときに、分取して保管しておいた試料水溶液を再分析することができ、異常の発生原因が試料水溶液の濃度変動か分析装置100の異常(故障等)かを正確に判別することができる。また、分取した試料水溶液を他の装置で分析することもでき、オンラインTOC計1のみでは得られない水質情報を得ることもできる。
<他の実施形態>
上述した実施形態では、本発明をオンラインTOC計1に適用した構成を示したが、これに代えて、その他の水質分析計に用いるようにしてもよい。
上述した実施形態では、本発明をオンラインTOC計1に適用した構成を示したが、これに代えて、その他の水質分析計に用いるようにしてもよい。
本発明は、河川水・湖沼水・海水・雨水・地下水等の環境水の他、上下水道水、製薬用水、純水、工業用水、排水等の測定対象溶液から採取された試料溶液中の水質を分析する水質分析計、例えばTOC(全有機炭素)の濃度を測定する全有機炭素計等に利用することができる。
1 オンラインTOC計(水質分析計)
10 前処理器(前処理部)
17 保管容器
40 TC酸化部(TC変換部)
60 NDIR検出器(検出部)
71 CPU(制御部)
100 分析装置(分析部)
10 前処理器(前処理部)
17 保管容器
40 TC酸化部(TC変換部)
60 NDIR検出器(検出部)
71 CPU(制御部)
100 分析装置(分析部)
Claims (4)
- 試料溶液を採取する前処理部と、
前記試料溶液中の水質測定値を分析する分析部とを備える水質分析計であって、
前記前処理部は、前記試料溶液を保管するための保管容器を備え、
前記分析部は、前記水質測定値が所定値以上であると判定したときには、前記試料溶液を前記保管容器に保管することを特徴とする水質分析計。 - 前記前処理部は、前記分析部で前記試料溶液中の水質測定値を分析している間は、前記試料溶液を貯蔵しておく処理容器を備え、
前記分析部は、前記水質測定値が所定値以上であると判定した前記試料溶液を前記保管容器に移動させ、一方、前記水質測定値が所定値未満であると判定した前記試料溶液を廃棄させることを特徴とする請求項1に記載の水質分析計。 - 前記前処理部は、複数の保管容器を備え、
測定対象溶液から所定のタイミングで前記処理容器に前記試料溶液を採取することを特徴とする請求項2に記載の水質分析計。 - 前記分析部は、前記試料溶液中の有機炭素を二酸化炭素に変換するTC変換部と、
二酸化炭素を検出する検出部と、
前記検出部で検出された二酸化炭素に基づいて、前記試料溶液中の全有機炭素量を算出する制御部とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水質分析計。
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