JP2017222676A - 皮膚老化を予防及び/又は改善するためのpedf−由来ポリペプチドの使用 - Google Patents

皮膚老化を予防及び/又は改善するためのpedf−由来ポリペプチドの使用 Download PDF

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Abstract

【課題】皮膚老化を予防及び/又は改善するためのポリペプチドの提供。【解決手段】長さ20〜39個のアミノ酸残基を有し、且つ特定のアミノ酸配列と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、前記配列の残基11〜30とのアミノ酸配列同一性が少なくとも90%である、少なくとも20個の連続的残基を含む、アミノ酸配列からなる、色素上皮由来因子に由来する合成ペプチド及び前記合成ペプチドを含む医薬組成物。更に前記ペプチドの少なくとも4個の残基が、前記配列の残基11〜14と同一である合成ペプチド。【選択図】なし

Description

(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明の開示は、皮膚老化の予防及び/又は改善に関する。特に、開示された発明は、
皮膚老化を予防及び/又は改善するためのPEDF-由来のポリペプチドの使用に関する。
(2.関連技術の説明)
ヒトの皮膚は、他の生存組織のように、時と共に老化する。皮膚老化は、皺及び小皺の
形成、皮膚の菲薄化、皮膚変色又は色素沈着過剰、並びに堅さ及び弾性の喪失につながる
。原因に応じて、皮膚老化は、内因性老化及び外因性老化に分類することができる。内因
性老化、又は実年齢老化は、ほぼ全ての内臓器官に影響を及ぼし、対象の遺伝子構造によ
り主として調節される。外因性老化は、様々な環境因子、主として紫外線(UV)照射への曝
露の結果であり、従ってこれは光老化と称されることが多い。顔面、首、及び手の甲など
の、太陽へ曝された領域において、内因性老化と光老化の損傷の組合せは、より顕著な変
化を生じることがある。
コラーゲンは、結合組織の主成分を構成する、線維性の細胞外不溶性タンパク質である
。様々な型のコラーゲンの中で、I型及びIII型が、主に関連している。I型コラーゲンは
、皮膚の乾燥重量の90%より多くを成す、ヒト皮膚における主要な構造タンパク質である
のに対し、III型コラーゲンはまた、体全体に広範に分布し、胎児組織において支配的で
ある。皮膚が老化するにつれて、総コラーゲン含量及びI型コラーゲンのIII型コラーゲン
に対する比は、漸減し、且つ細胞外マトリックス(ECM)は、脱組織化され始める。例えば
、内因性老化及び紫外線B波(UVB)曝露の両方は、コラーゲン線維(特にI型コラーゲン)の
再生を衰えさせる。またUVB曝露は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)として知られ
ているいくつかのコラーゲン分解酵素の生成をアップレギュレートする。ヒトにおけるMM
P、具体的にはコラゲナーゼ及びゼラチナーゼは、UVB曝露の数時間以内に誘導される。そ
のような事象は全て、真皮の細胞外マトリックス組成の変更をおそらく生じるであろう。
老化した皮膚に関して利用可能な多くの治療が存在する。例えば、老化過程におけるコ
ラーゲンの重要性は、多くのコラーゲン-含有局所性製品の開発に繋がっている。その他
の成分、例えばレチノイン酸、ビタミンC及びヒアルロン酸などは、コラーゲン合成を刺
激することができるという主張により、これらは化粧品において使用される。一部の化粧
的手法(例えば、レーザー皮膚蘇生(laser skin resurfacing))も、顔面の皺及び皮膚の凹
凸を減少するのに有効である。
老化の徴候を減少するか、又は皮膚再生を刺激することが提唱されている解決法が多数
であるにもかかわらず、それらはいずれも、皮膚の内因性修復機構(すなわち、コラーゲ
ン合成)を喚起することは不可能である。前述の観点から、皮膚老化、特に皮膚の光老化
を効果的に治療する手段の必要性が、当該技術分野において依然存在している。
(概要)
以下は、読者に基本的理解を提供するために、本開示の簡単な概要を提供する。この概
要は、本開示の広範な全体像ではなく、本発明の鍵となる/重要な要素を確定せず、本発
明の範囲の線引きもしない。その唯一の目的は、後に提供する、より詳細な説明への前置
きとしての簡単な形で、本明細書に開示されるある種の概念を提供することである。
本開示は、色素上皮由来因子(PEDF)に由来する合成ペプチドが、コラーゲン合成を刺激
し、真皮線維芽細胞増殖を促進し、且つUVB-誘導したMMP-1発現をダウンレギュレーショ
ンし、その結果これらは対象における皮膚老化の予防及び/又は改善に有効であるという
発見に少なくとも基づいている。従って、本発明のPEDF由来の合成ペプチドは、皮膚老化
に対する薬剤又は医薬品として有用である。
従って、一態様では、本開示は、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善するため
の合成ペプチドに関する。
本開示の実施態様によれば、この合成ペプチドは、20〜39アミノ酸残基の長さであり、
且つ、配列番号:1と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有する。また、該アミノ酸
配列は、配列番号:1の残基11〜30と少なくとも90%同一である少なくとも20個の連続的な
残基を含み、その結果、該合成ペプチドが、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善
するのに有用となる。
本開示の任意の実施態様によれば、この合成ペプチドの少なくとも4個の連続的な残基
は、配列番号:1の残基11〜14と同一である。こうした合成ペプチドの非制限的な例として
は、それぞれ、配列番号:1(39-mer)、配列番号:2(34-mer)、配列番号:3(29-mer)、配列番
号:5(24-mer)、配列番号:6(20-mer)、配列番号:8(MO 29-mer)、及び配列番号:9(MO 20-me
r)のアミノ酸配列を有するものが挙げられる。本開示のいくつかの実施態様では、合成ペ
プチドのアミノ酸配列は、配列番号:3(29-mer)、配列番号:5(24-mer)、又は配列番号:6(2
0-mer)のいずれかである。
本開示の様々な実施態様により、皮膚老化は、UV照射により引き起こされる。
本開示の様々な実施態様により、対象は、ヒトを含めた哺乳類に分類されるあらゆる動
物であり得る。
別の態様では、本開示は、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善するための医薬
組成物に関する。対象は、ヒトを含めた哺乳類に分類されるあらゆる動物であり得る。
本開示の一実施態様によれば、この医薬組成物は、前述の態様/実施態様のいずれかに
よる合成ペプチドを含み、且つ、該合成ペプチドは、対象における皮膚老化を治療するの
に十分な有効量で存在する。医薬組成物はまた、合成ペプチドのための医薬として許容し
得る賦形剤も含む。
特定の任意の実施態様において、医薬組成物は、本合成ペプチド又は医薬組成物の流れ
を促進する少なくとも1種(on)の浸透促進剤を更に含む。
本開示の様々な実施態様において、医薬組成物は、液剤、噴霧剤、エアゾール剤、泡剤
、クリーム剤、ローション剤、軟膏、ゲル、又は貼付剤に製剤化されることができる。
更に別の態様において、本発明は、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善する方
法に関する。この対象は、ヒトを含めた哺乳類に分類されるあらゆる動物であり得る。
一実施態様では、該方法は、合成ペプチドを対象の真皮へ経真皮送達するために、該対
象に、前述の態様/実施態様のいずれかによる合成ペプチドの有効量を投与することを含
む。
任意の実施態様によれば、この合成ペプチドは、本開示の前述の態様/実施態様による
医薬組成物に製剤化される。一例において、本医薬組成物は、対象の皮膚へ局所的に投与
されてよい。任意の実施態様において、本方法は、合成ペプチド又は医薬組成物の経真皮
送達を促進するために、医薬組成物の局所的投与の前、それと同時に、又はその後、対象
の皮膚へ外部刺激(例えば、機械的、電気的、熱的、超音波的、又は高周波的刺激)を適用
する工程を更に含む。更に任意に、医薬組成物は、本合成ペプチド又は医薬組成物の流れ
を促進するために、少なくとも1種の(on)浸透促進剤を更に含むことができる。
本開示の特定の実施態様により、皮膚老化は、UV照射により引き起こされる。
本開示の付随的な特徴及び利点の多くは、添付の図面と関連付けて考慮される以下の詳
細な説明を参照して、いっそう良く理解されるようになるであろう。
(図面の簡単な説明)
本特許及び出願のファイルは、カラーで製作された少なくとも1つの図面を含む。カラ
ーの図面を伴うこの特許又は特許出願公開の複写は、請求及び必要な料金の支払い後に、
事務局によって提供されることとなる。
本発明の説明は、添付の図面に照らして読む以下の詳細な説明から、いっそう良く理解
されるであろう:
図1は、本開示の1つの試験実施例による皮膚標本のH&E染色された切片(左側パネル)及び蛍光画像(中央及び右側パネル)の画像を提供する;
図2は、本開示の別の試験実施例による、コラーゲン線維を強調するために、マッソントリクロームで染色した皮膚組織切片の代表的画像を提供する;
図3は、初代真皮線維芽細胞(ビメンチン:緑色;及び、BrdU:赤色)の代表的免疫染色画像、並びに核染色されるHoechst 33258(青色)と統合した画像を提供する;
図4は、各実験条件におけるマウスの皺形成を図示している、代表的写真を提供する;並びに
図5は、本開示の更に別の試験実施例によるコラーゲン線維を強調するために、マッソントリクロームで染色した皮膚組織切片の代表的画像を提供する。
(説明)
添付の図面に関連して以下に提供する詳細な説明は、本発明の実施例の説明を目的とし
、本発明の実施例が構成又は利用され得る唯一の形態を表すことを意図しない。この説明
は、実施例の機能、及び実施例を構成及び操作するための工程の順序を述べる。しかし、
異なる例によって、同一又は同等の機能及び順序を実現することもできる。
便宜上、(明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲を含めて)出願全体において用い
られるある種の用語を、ここにまとめる。本明細書で別段に定義されない限り、本開示で
用いられる科学技術用語は、当分野の技術者によって普通に理解及び使用される意味を有
するものとする。文脈によって他に必要とされない限り、単数形の用語には、複数形の同
一のものが含まれるものとし、複数形の用語には、単数形が含まれるものとすることを理
解されたい。具体的には、本明細書及び特許請求の範囲では、文脈によってそうではない
と明らかに示されない限り、単数形「a」及び「an」には、複数の指示物が含まれる。
本発明の広い範囲を説明する数値範囲及びパラメータは、おおよその値であるものの、
具体例において説明する数値は、可能な限り正確に報告する。しかし、いかなる数値も、
それぞれの試験測定において判明する標準偏差から必然的に生じるある種の誤差を本質的
に含んでいる。また、本明細書で使用する場合、用語「約」は一般に、所与の値又は範囲
の10%、5%、1%、又は0.5%以内を意味する。或いは、用語「約」は、当分野の技術者
によって判断される場合には、平均の許容し得る標準誤差以内を意味する。具体例/試験
実施例以外では、又は他に指定がない限り、本明細書に開示される、材料の量、時間、温
度、操作条件、量の割合、及びこれらと同類のものに対するものなどの、数値範囲、量、
値、及び割合は全て、全ての場合において、用語「約」によって修飾されるものと理解さ
れるべきである。従って、そうではないと示されない限り、本開示及び添付の特許請求の
範囲に示される数値パラメータは、所望される場合に変動し得るおおよその値である。最
低限でも、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効数字の数を考慮して、且つ
、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
本明細書で使用する場合、用語「ペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーを指す。用語
「合成ペプチド」は、本明細書で使用する場合、天然に存在する全長タンパク質分子を含
まないペプチドを意味する。ペプチドは、化学合成、組換え遺伝子技術、又は全長タンパ
ク質の断片化などの技術を使用する、人の介入によって製造することができる点で、「合
成」である。本開示全体を通して、あるペプチド内の任意の特定のアミノ酸残基の位置は
、ペプチドのN末端を始点に番号付けされる。
本明細書で使用する場合、「増殖すること」及び「増殖」とは、細胞分裂による、集団
中の細胞数の増加をいう。
本明細書で特定される合成ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性の割合(%)
」は、配列を整列させ、且つ、最大の割合の配列同一性を得るために必要であればギャッ
プを導入した後の、配列同一性の一部としてのいかなる保存的置換も考慮しない、特定の
ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の割合と定義
される。配列同一性の割合を決定する目的のアラインメントは、当分野の技術の範囲内の
様々な方式で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアな
どの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、実現することができる。当
分野の技術者は、比較される配列の完全長にわたる最大アラインメントを実現するために
必要とされるあらゆるアルゴリズムを含めた、アラインメントを測定するための適切なパ
ラメータを決定することができる。本明細書の目的では、2つのアミノ酸配列間の配列比
較は、米国立生物工学情報センター(NCBI)によってオンラインで提供されているコンピュ
ータプログラムBlastp(タンパク質-タンパク質BLAST)によって実施した。所与のアミノ酸
配列Bに対する所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性の割合(或いは、これは、所与
のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性が、いくらかの%である、所与のアミノ酸
配列Aと表現することができる)は、以下の通りの式によって算出する:
Figure 2017222676
式中、Xは、配列アラインメントプログラムBLASTのAとBのアラインメントにおいて、この
プログラムによって同一のマッチとしてスコア化されるアミノ酸残基の数であり、Yは、A
又はB内のいずれか短い方のアミノ酸残基の総数である。
用語「治療すること」とは、本明細書で使用する場合、皮膚老化に関連した1種以上の
徴候又は特徴を部分的又は完全に、緩和する、改善させる、軽減する、発症を遅らせる、
進行を妨げる、重篤度を軽減する、及び/又は発生率を低下させる目的での、皮膚老化の
徴候を有するか又は皮膚老化の素因を有する対象への、本開示の合成ペプチド又は医薬組
成物の適用又は投与をいう。治療は、一般に、この用語が本明細書で定義される通り、1
以上の症状又は臨床マーカーが低下した場合に「有効」である。
用語「有効量」とは、本明細書で使用する場合、所望の反応をもたらすのに十分な成分
の量をいう。具体的な有効量は、治療される特定の状態、患者の身体的状態(例えば、患
者の体重、年齢、又は性別)、治療される哺乳類又は動物の種類、治療の期間、(もしあれ
ば)併用療法の特性、及び用いられる具体的な製剤などの要因によって変動することとな
る。有効量はまた、化合物又は組成物の治療的に有益な効果が、いかなる有毒又は有害な
作用も上回る量でもある。
用語「塗布」又は「投与」は、本明細書において互換的に使用され、皮膚老化を予防及
び/又は改善するために、本発明の合成ペプチド又は医薬組成物を対象へ提供する手段を
指す。本開示の様々な実施態様により、経真皮送達は、好ましい送達経路である。例えば
、本発明の合成ペプチド又は医薬組成物は、対象の皮膚へ、局所的に塗布され、その結果
合成ペプチド又は本医薬組成物は、皮膚老化を予防及び/又は改善するために、標的部位(
例えば真皮)へ到達する。
用語「賦形剤」は、本明細書で使用する場合、本開示の合成PEDFペプチドのためのビヒ
クル/担体を形成する任意の不活性物質(粉末又は液体など)を意味する。賦形剤は一般に
、安全で、無毒であり、且つまた広い意味で、充填剤、希釈剤、凝集剤、結合剤、滑沢剤
、流動促進剤、安定剤、着色剤、湿潤剤、崩壊剤など、医薬組成物の調製に有用な製薬産
業において任意の公知の物質を含むことができる。
本明細書で使用する場合、「医薬として許容し得る」成分は、妥当なベネフィット/リ
スク比と釣り合いのとれた過度の有害な副作用(毒性、刺激、及びアレルギー反応など)を
伴わないヒト及び/又は動物での使用に適している成分である。また、各賦形剤は、医薬
製剤の他の成分と適合性があるという意味で、「許容し得る」ものでなければならない。
担体は、固体の、半固体の、又は液体の希釈剤、クリーム、又はカプセルの形態であり得
る。
用語「対象」とは、本発明の合成ペプチド、組成物、及び/又は方法で治療可能である
、ヒト種を含めた哺乳類をいう。用語「対象」は、一方の性別が具体的に示されない限り
、男性と女性の両方を指すものとする。
本明細書で使用する場合、用語「経真皮」は、表皮を通る真皮への活性物質(例えば、
本合成ペプチド又は医薬組成物)の経路を意味する。
色素上皮由来因子(PEDF)は、抗血管新生機能、抗腫瘍形成機能、及び神経栄養機能を有
する、多機能の分泌タンパク質である。ヒトPEDFタンパク質(配列番号:11)は、サイズが
およそ50kDa、長さが418アミノ酸の分泌タンパク質である。PEDFの34-mer断片(残基44〜7
7)及び44-mer断片(残基78〜121:配列番号:10)は、それぞれ、抗血管新生特性及び神経栄
養特性を有することが確定されている。
本開示は、44-mer PEDFに由来する合成ペプチドが、様々な機序を介し皮膚老化の損傷
から皮膚を保護することができるという発見に、少なくとも基づいている。本開示の実施
例は、合成ペプチドは、真皮中のコラーゲンレベルを増大し、真皮線維芽細胞の増殖を誘
導し、且つMMP-1(UVB-誘導性コラゲナーゼ)の発現を減少し得ることを明らかにしている
。本発明の別の独創的特徴は、この合成ペプチドが、完全長PEDFよりもかなり短い(最大
でも39アミノ酸残基)ので、高い製造コスト、低い生物学的利用能、及び不十分な薬物動
態を含めた従来のタンパク質薬物の臨床使用に伴う制限を克服することにある。従って、
本合成ペプチドは、皮膚老化を予防及び/又は改善するために有用である。
従って、一態様において、本開示は、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善する
合成ペプチドに関する。
本開示の実施態様によれば、この合成ペプチドは、長さが20〜39アミノ酸残基であり、
且つ
Figure 2017222676
のアミノ酸配列とのアミノ酸配列同一性が、少なくとも80%である。例えば、合成ペプチ
ドは、配列番号:1とのアミノ酸配列同一性が、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、
89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%であり得る。また、合成ペプ
チドは、配列番号:1の残基11〜30と少なくとも90%同一である少なくとも20個の連続的な
残基を含む。具体的には、この20個の連続的なアミノ酸残基は、配列番号:1の残基11〜30
とのアミノ酸配列同一性が、約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%で
あり得る。
一実施態様では、合成ペプチドは、長さが39アミノ酸である配列番号:1の配列を有する
。この合成ペプチドは、以下の説明では、39-merと呼ばれる。この39-merペプチドは、ヒ
トPEDFの残基83〜121に相当し、従って、これは、公知のPEDF 44-mer(PEDFの残基78〜121
に相当する)に由来する短いバリアントである。
同時係属出願US 13/428,996(その全体を参照により本明細書に組み込む)に開示されて
いるものなどの、本発明者らによって実施された以前の実験、及び、以下に提供される実
験は、この39-merに由来するいくつかの短い合成のPEDFペプチドが、対象における皮膚老
化を予防及び/又は改善することが可能であることを明らかにしている。
例えば、先願と本出願との両方において開示されている実験に基づくと、
Figure 2017222676
の配列を有する34-mer合成ペプチドは、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善する
のに有効である。この34-merペプチドは、ヒトPEDFの残基88〜121に相当する。上で提供
された2つの所与の配列間の配列同一性の割合を推定するためのプロセスによれば、この3
4-merは、39-merとのアミノ酸配列同一性が100%であり、34-merの第6〜第25アミノ酸残
基は、39-merのアミノ酸残基11〜30とのアミノ酸配列同一性が100%である。
さらに、以下の様々な実施例によれば、
Figure 2017222676
の配列を有する29-mer合成ペプチドは、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善する
のに有効であることが確認されている。この29-merペプチドは、39-merに対する100%ア
ミノ酸配列同一性を有するヒトPEDFの残基93〜121に相当する。また、29-merの第1〜第20
アミノ酸残基は、39-merのアミノ酸残基11〜30とのアミノ酸配列同一性が100%である。
いくつかの実施例では、24-merが、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善するの
に有効であることが確認されている。この24-merは、ヒトPEDFの残基93〜116に相当する

Figure 2017222676
の配列を有する。この24-merペプチドは、39-merとのアミノ酸配列同一性が100%であり
、その最初の20個のアミノ酸残基は、39-merのアミノ酸残基11〜30とのアミノ酸配列同一
性が100%である。
他の実施例では、20-merが、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善することがで
きることが確立されている。この20-merは、ヒトPEDFの残基93〜112に相当する、
Figure 2017222676
の配列を有する。この20-merペプチドは、39-merのアミノ酸残基11〜30と完全に同一(100
%アミノ酸配列同一性)であり、且つ39-merとのアミノ酸配列同一性が100%である。
先願と本出願との両方において開示されている実験に基づくと、マウスPEDFに由来する
2種の合成ペプチドもまた、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善することができる
。最初のマウス由来ペプチドは、本開示では、「Mo 29-mer」と呼ばれる。Mo 29-merは、
Figure 2017222676
の配列を有し、これは、39-merとのアミノ酸配列同一性が83%であり、且つその最初の20
アミノ酸残基の、39-merの11〜30アミノ酸残基とのアミノ酸配列同一性が90%である。別
のマウス由来のペプチド、Mo 20-merは、
Figure 2017222676
の配列を有する。Mo 20-merは、39-mer又は39-merの11〜30アミノ酸残基のいずれかとの
アミノ酸配列同一性が90%である。
任意に、この合成ペプチドは、配列番号:1の残基11〜14と同一である4つの連続する残
基を含む。配列番号:1の残基11〜14(すなわちSLGA)は、短いPEDFペプチドの生物学的機能
の維持において重要な役割を果たすと考えられている。例えば、以下で提供する様々な実
施例によれば、SLGA残基を有しない18-merペプチド
Figure 2017222676
は、対象における皮膚老化に対するいかなる保護も引き起こすことができない。また、先
願と本出願との両方において開示されている実験に基づくと、SLGA残基を有しない25-mer
ペプチド
Figure 2017222676
は、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善しないであろうことが示唆される。
本発明の合成ペプチドは、α-アミノ基のt-BOC又はFMOC保護などの一般に使用される方
法によって合成することができる。どちらの方法も、ペプチドのC末端から開始する、各
ステップで単独のアミノ酸が付加される段階的合成に関与している。本発明のペプチドは
、周知の固相ペプチド合成方法によって合成することもできる。
39-merに関する保存的変形を伴う他の合成ペプチドも考えられる。用語「保存的変形」
は、本明細書で使用する場合、アミノ酸残基の、別の生物学的に類似の残基による置き換
えを示す。保存的変形の例としては、イソロイシン、バリン、ロイシン、若しくはメチオ
ニンなどの、ある疎水性残基への、別の疎水性残基からの置換、又は、ある極性残基への
、別の極性残基からの置換、例えば、リジンからアルギニンへの、アスパラギン酸からグ
ルタミン酸への、アスパラギンからグルタミンへの置換などが挙げられる。用語「保存的
変形」はまた、置換されたポリペプチドに対して産生される抗体が、置換されていないポ
リペプチドとも免疫反応するという条件で、置換されていない親アミノ酸の代わりの置換
されたアミノ酸の使用も含む。
本開示の様々な実施態様により、皮膚老化は、UV(特にUVB)照射により引き起こされ得
る。
本開示の様々な実施態様により、対象は、ヒトを含む、哺乳類に分類される任意の動物
であってよい。
前述の実施態様による合成ペプチドは、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善す
るための医薬組成物に製剤化することができ、これは、本開示の他の態様に含まれる。
本開示の一実施態様によれば、医薬組成物は、前述の態様/実施態様のいずれかによる
合成ペプチドを含み、且つ、該合成ペプチドは、対象における皮膚老化を予防及び/又は
改善するのに十分に有効な量で存在する。該医薬組成物はまた、合成ペプチドのための、
医薬として許容し得る賦形剤も含む。
医薬組成物は、「レミントン薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、第17
版、Alfonoso R. Gennaro編集、Mack Publishing社、ペンシルバニア州、Easton (1985)
に記載されたような、許容し得る製薬手法に従い、調製される。
合成ペプチドと共に使用されることとなる医薬として許容し得る賦形剤の選択は、基本
的には、医薬組成物が投与されることとなる方式によって決定される。本開示の一つの任
意の実施態様により、医薬組成物又はそれに含まれる合成ペプチドは、対象の真皮へ経真
皮的に送達され、結果的にその手段に適した賦形剤が使用される。当該技術分野において
周知の多種多様な皮膚科用の許容し得る不活性賦形剤を利用することができる。典型的不
活性賦形剤は、例えば、水、エチルアルコール、ポリビニルピロリドン、プロピレングリ
コール、鉱油、ステアリルアルコール、及びゲル-生成物質であることができる。
別のアプローチにおいて、この合成ペプチドは、最初に小胞-形成ビヒクル(リポソーム
、ミクロスフェア、又はナノソームなど)により封入され、その後所望の剤形へ製剤化す
ることができる。これらの小胞-形成ビヒクルは、本合成ペプチドの経真皮送達速度を促
進することができる。加えてこれらは、治療のより延長された治療的作用を確実にするた
めに、持続放出剤形を提供することができる。
あるいは又は加えて、医薬組成物は、合成ペプチド又は医薬組成物の経真皮送達速度を
促進することが可能である任意の浸透促進剤を更に含有することができる。例えば、浸透
促進剤は、角質層脂質の高度に秩序だった構造を破壊するか、細胞間タンパク質と相互作
用するか、又は角質層への薬物、共-促進剤(co-enhancer)又はビヒクルの分配を改善する
よう、作用することができる。浸透促進剤の例は、スルホキシド(例えば、ジメチルスル
ホキシド(DMSO)及びジメチルホルムアミド(DMF))、アゾン(例えば、1-ドデシルアザシク
ロヘプタン-2-オン)、ピロリドン(例えば、N-メチル-2-ピロリドン)、油類(例えば、テル
ペン及びL-メントール)、オキサゾリジノン(例えば、4-デシルオキサゾリジン-2-オン)、
脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸及びカプリン酸)、グリコール(例えば、ジエ
チレングリコール及びテトラエチレングリコール)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチ
レン-2-オレイルエーテル及びポリオキシエチレン-2-ステアリル(stearly)エーテル)、細
孔-形成ペプチド(例えば、マゲイニン)、及び細胞-浸透性ペプチド(例えば、トランスポ
ータン及びペネトラチン)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
更に任意に、本発明の医薬組成物はまた、当該技術分野において周知の様々な医薬用-(
特に皮膚科用-)の許容し得る添加剤も含有することができる。該添加剤としては、乾燥剤
、抗掻痒剤、消泡剤、緩衝剤、中和剤、pH調整剤、着色剤、脱色剤、緩和剤、乳化剤、エ
マルション安定剤、粘度上昇剤、保湿剤、着香剤、保存剤、抗酸化剤、化学安定剤、増粘
剤、硬化剤、又は懸濁化剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本開示の様々な実施態様において、医薬組成物は、液剤、噴霧剤、エアゾール剤、泡剤
、クリーム剤、ローション剤、軟膏、ゲル剤、又は貼付剤など、経真皮送達に適した様々
な剤形に製剤化することができる。
本開示の任意の実施態様により、この合成ペプチドは、医薬組成物中に、約0.1〜100μ
M、及び好ましくは約1〜25μMの量で存在する。例えば、合成ペプチドの濃度は、約0.1、
0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、2
5、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100μMであること
ができる。具体的には、下記試験実施例においてマウス(体重約20g)について使用される
濃度は、約25μMである。当分野の技術者は、本合成ペプチド又は医薬組成物に関するヒ
ト相当量(HEQ)を、本明細書に提供された動物投与量を基に、算出することができる。例
えば、米国食品医薬品局(FDA)は、「健常成人志願者の治療に関する初期臨床試験におけ
る安全な最大開始用量の算出(Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial
Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers)」と題する産業用指
針を公表している。
更に別の態様において、本発明は、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善する方
法に関する。対象は、ヒトを含む、哺乳類に分類される任意の動物であってよい。本開示
の原理及び精神に従い、皮膚老化は、UV照射により引き起こされる。
一実施態様において、この方法は、合成ペプチドが、対象の真皮へ経真皮的に送達され
るように、前述の態様/実施態様のいずれかに従い、有効量の合成ペプチドを対象へ投与
することを含む。
任意の実施態様により、合成ペプチドは、本開示の前述の態様/実施態様に従う医薬組
成物へ製剤化される。
一例において、本医薬組成物は、対象の皮膚へ局所的に投与されてよく、且つ合成ペプ
チド又は医薬組成物は、外部刺激の助けを借りて又は借りずに、対象の真皮へ経真皮的に
送達される。
外部刺激が適用されない事象において、医薬組成物は、対象の皮膚上に、局所的に塗り
広げられるか、塗沫されるか、マッサージされるか、噴霧されるか、又はそうでなければ
塗布されることができる。この場合、医薬組成物は、先に考察したような少なくとも1種
の任意の浸透促進剤を含有することが好ましい。或いは又は加えて、合成ペプチドは、合
成ペプチドの経真皮送達速度を改善するために、先に教示したように、封入され、製剤化
されてよい。
多くの外部刺激は、化合物(例えば、本合成ペプチド)に対する皮膚透過性を増大するこ
とがわかっている。そのような外部刺激としては、機械的、電気的、熱的、超音波的、又
は高周波的刺激が挙げられるが、これらに限定されるものではない。実践において、外部
刺激は、医薬適用の適用の前、それと同時に、又はその後に皮膚に適用されてよい。同様
に、そのような外部刺激の助けを借りて送達される医薬組成物又は合成ペプチドは、前述
の浸透促進剤及び/又は小胞-形成ビヒクルを任意に含有することができる。
一実施態様において、皮膚に機械的刺激を供するために、微小構造のアプリケーター(
極微針システム又はマイクロチャネルシステムなど)が、利用される。極微針システムは
、長さが約100〜1000μMである複数の中実又は中空の極微針を備えることができる。中実
の極微針システムに関して、本合成ペプチド又は医薬組成物は、各極微針の先端上にコー
ティングされ、且つ適用時に、極微針は角質層を貫通し、皮膚内に留まり、これにより本
合成ペプチド又は医薬組成物は真皮へ送達される。中空の極微針システムについては、液
体形状に製剤化された医薬組成物が、各極微針の内部空洞へ装填され、且つ適用時に、極
微針は皮膚を貫通し、この装置から皮膚の真皮への液体流れを可能にする。或いは、本医
薬組成物は、皮膚へ局所的に適用され、その後多数の極微針を有するマイクロチャネルシ
ステムが、皮膚に対し押しつけられ、その結果極微針は、皮膚へと100ミクロン未満貫通
し、これにより医薬組成物の経真皮送達を可能にする多数のマイクロチャネルが皮膚上に
形成される。更に或いは、本医薬組成物は、マイクロチャネルが形成された後に、局所的
に適用される。
加えて、本開示の任意の実施態様による合成ペプチド又は局所性医薬組成物は、特定の
条件(例えば特定の湿度又は温度)下で、投与することができる。例えば、より湿った暖か
い環境下での投与は、合成ペプチドの経真皮送達速度を促進することができる。
本発明のある種の態様を明らかにするために、また、当分野の技術者が本発明を実施す
るのを助けるために、以下の実施例を提供する。これらの実施例は、決して、本発明の範
囲をいかなる方法によっても制限するものとみなされるべきではない。さらなる詳説がな
くとも、当分野の技術者は、本明細書の説明に基づいて、本発明を最大限に利用すること
ができると考えられる。本明細書に引用した全ての刊行物の全体を、参照により本明細書
に組み込む。
(実施例)
(材料及び方法)
(材料)
ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ウシ胎仔血清(FBS)、0.25%トリプシンは、Invit
rogen社(カリフォルニア州、Carlsbad)から購入した。軽質鉱油、グリセロール、ジメチ
ルスルホキシド(DMSO)、ウシ血清アルブミン(BSA)、5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrdU
)、Hoechst 33258色素、Hoechst 33342色素、抗-β-アクチン抗体及び他の化学物質は全
て、Sigma-Aldrich社(ミズリー州、St.Louis)から得た。ディスパーゼII及びI型コラゲナ
ーゼは、Roche社(インディアナ州、Indianapolis)から入手した。抗-BrdU抗体(GTX42641)
、抗-MMP-1抗体、及び抗-ビメンチン抗体(GTX100619)は、GeneTex社(台湾、台北)から購
入した。抗コラーゲン1A1抗体は、Santa Cruz Biotechnology社(カリフォルニア州、Sant
a Cruz)から入手した。蛍光色素結合型の全ての二次抗体は、BioLegend社(カリフォルニ
ア州、San Diego)から購入した。ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)色素は、Merck社(米
国、ニュージャージー州、Rayway)から購入した。
FITC-結合型29-mer、並びに29-mer(配列番号:3)、24-mer(配列番号:5)、20-mer(配列番
号:6)、及び18-mer(配列番号:7)を含む他の短い合成PEDFペプチドを合成し、且つNH2末端
でのアセチル化、及びCOOH末端でのアミド化により修飾した。修飾されたペプチドは引き
続き、質量分析(>95%純度)によって特徴付けを行った(GenScript社、ニュージャージー
州、Piscataway)。各PEDF-由来の短い合成ペプチド(29-mer、24-mer、又は20-mer;本明
細書において以下では、PEDFペプチド)は、DMSO中に、ストック液(5mM)として再構成し、
且つ更なる使用まで-20℃で貯蔵した。
皮膚軟膏は、蒸留水中、白色ワセリン(10%w/w)、グリセロール(10%w/w)、及び軽質鉱
油(1%w/w)を混合することにより、調製した。PEDFペプチドを含有する軟膏の調製に関し
て、PEDFペプチドストック液5μlを、軟膏1g中に溶解した。ビヒクル対照として使用する
ための軟膏については、DMSO 5μlを、軟膏1g中に溶解した。
(動物)
本開示の実施態様において使用される全ての動物は、温度コントロール(24〜25℃)及び
12:12明暗周期下で、動物飼育室で飼育した。標準の実験用飼料及び水道水は、自由に摂
取可能であった。実験手順は、Mackay Memorial Hospital Review Board(台湾(R.O.C.)、
New Taipei City)によって承認され、国内の動物福祉規定に従って実施した。
(マウス真皮由来の真皮線維芽細胞の単離及び培養)
完全な厚さの皮膚組織を、C57BL/6マウスの背中から入手した。皮下組織を、この皮膚
から慎重に切り出し、滅菌リン酸-緩衝食塩水(PBS)中で3回洗浄した。次に組織を、小片(
1〜2mm3)に切断した。0.1%ディスパーゼにより4℃で一晩消化させた後、表皮層を除去し
、残存する真皮部分を更に、0.1%I型コラゲナーゼにより37℃で更に4時間消化した。次
に消化した細胞を、遠心分離(400gで5分間)により収集し、10%FBS、2mM L-グルタミン、
及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン抗生物質混合物を補充した高-グルコースDMEM中
に再懸濁させた。細胞を、組織培養プレート(Falcon Labware社;米国、ニュージャージ
ー州)上に、1×103個細胞/cm2で播種し、5%CO2により37℃で維持した。24時間後、培地
を廃棄し、残存する非-接着細胞を除去し、且つ細胞培養物を、新たな培地で満たした。
継代のために、0.25%トリプシン/EDTAを用いてほぼコンフルエントの細胞を収集した。
(WS-1の細胞培養)
ヒト皮膚線維芽細胞WS-1細胞株を、食品産業研究開発機構(Food Industry Reserch and
Development Institute)(台湾、Hsin-Chu)から入手した。WS-1細胞を、培養フラスコ中
、単層として、37℃で5%CO2の加湿したインキュベーター内で維持した。これらは、2mM
L-グルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充した10
%FBS-DMEM中で成長させた。継代のために、0.25%トリプシン/EDTAによりほぼコンフル
エントの細胞を継代培養した。
(組織診断)
皮膚試料を、4%パラホルムアルデヒドで固定し、段階的な一連のエタノールで脱水し
、パラフィン処理した。組織を、5μm切片にスライスした。使用前に、固定された試料を
、キシレン中で脱パラフィン処理し、段階的な一連のエタノール中で再水和した。
ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)色素を使用して、一般的な組織診断を実施した。脱
パラフィン処理した皮膚組織切片を、マッソントリクローム(Sigma-Aldrich社、ミズーリ
州、St. Louis)を製造業者の指示に従い使用し、染色し;切片を、試験し、且つNikon Ec
lipse 80i光学顕微鏡により撮影した(元の倍率、×400)。コラーゲン領域の半定量的分析
のために、各スライドから10視野を、光学顕微鏡下で無作為に選択し、断面の全領域当た
りの青色に染まった領域(mm2/mm2)を、Image-Pro Plus 4.5.1システム(Media Cybernetic
s社)を用いて測定した。
(免疫蛍光測定及びBrdU染色)
4%パラホルムアルデヒドによる固定後、細胞を、冷メタノールに2分間曝し、その後1N
HClにより室温で1時間処理し、その後免疫蛍光染色を行った。
動物実験のために、BrdUを、DMSO中にストック液(80mM)として再構成した。PBS 90μl
と混合したBrdUストック液10μlを、マウスへ、腹腔内注射し、16時間後に安楽死させた
。ホルマリン固定し、パラフィン-包埋した皮膚標本を、キシレン中で脱パラフィン処理
し、段階的な一連のエタノール中で再水和した。その後標本を、1N HClに、室温で1時間
曝し、引き続き免疫蛍光測定試験を行った。
BrdU-標識されたDNAを、ポリクローナル抗-BrdU抗体及びローダミン-結合型ロバ抗-ウ
サギIgGにより検出した。核は、Hoechst 33258により対比染色した(青色)。
(免疫ブロット分析)
皮膚組織を、20mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、1%SDS、1mMエチレンジアミン四酢酸(E
DTA)、5mMフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、及び1mMジチオスレイトール(DTT
)、1%Triton X-100を含有する氷冷した溶解緩衝液中で、プロテアーゼインヒビターカク
テル(Roche社、インディアナ州、Indianapolis)を新たに添加し、ホモジナイズした。次
にホモジネートを、12,000gで、4℃、30分間遠心分離し、その後上清を収集し、-70℃で
貯蔵した。溶解液中のタンパク質含量を、Bradfordアッセイを用いて決定した。全細胞溶
解液を、前述の溶解緩衝液を用いて調製した。次に溶解液のアリコートを、SDS-PAGE上で
分解し、ポリ2フッ化ビニリデン(PVDF)メンブレン(Millipore社、米国、マサチューセッ
ツ州、Bedford)上に電気転写し、免疫ブロット分析に進めた。
免疫ブロット試験に使用した抗体は、抗-I型コラーゲン1A1抗体(1:1000希釈)、抗-MMP-
1抗体(1:500希釈)及び抗-β-アクチン抗体(1:10000希釈)を含んだ。関心対象のタンパク
質は、好適なIgG-HRP二次抗体及びECL試薬(Amersham社、米国、イリノイ州、Arlington H
eights)を用いて、検出した。X線フィルムを、モデルGS-700 Image Densitometer(Bio-Ra
d Laboratories社、カリフォルニア州、Hercules)上で走査し、且つLabworks 4.0ソフト
ウェアを用い解析した。定量のためには、少なくとも3回の独立した実験からのブロット
を使用した。
(RNA抽出及び逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応)
TRIzol(Invitrogen社)を使用して、細胞から全RNAを抽出し、RNase-非含有DNase I(Qia
gen社、カリフォルニア州、Santa Clarita)で処理してゲノムDNAを除去し、次いで、RNA
精製キット(Dynabeads;Invitrogen社)で精製した。初代真皮線維芽細胞から回収した1μ
gの全RNAを、0.25μgのランダムプライマー及び0.8mM dNTPを含有する20μlの反応緩衝液
中で、200単位のエキスパンド逆転写酵素(Roche社、独国、Mannheim)によって、42℃で1
時間、cDNAに逆転写させた。2μlのcDNAを、PCR反応における鋳型として使用した。PCRは
、15μlのEconoTaq(登録商標)PLUS GREEN 2×マスターミックス(Lucigen(登録商標)社)、
1μMの各プライマー、及び2μlの鋳型DNAを含有する30μlの反応体積中で実施した。18〜
22サイクルの増幅反応(変性、20秒、94℃;アニーリング、30秒、57℃;及び重合、40秒、7
2℃)で、cDNAを合成した。プライマーセットに対するサイクル数は、増幅の線形範囲内で
あるように選択した。具体的PCRプライマーの配列は、マウスMMP-13(寄託番号:NM_00860
7)のセンス、
Figure 2017222676
;アンチセンス、
Figure 2017222676
;PCR産物:201bp;及び、マウスグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH
;寄託番号;M32599)のセンス、
Figure 2017222676
;及び、アンチセンス、
Figure 2017222676
;PCR産物:223bpであった。これらのPCR産物を、臭化エチジウムを含有する2%アガロー
スゲル中で電気泳動させ、UV照明によって視覚化した。FUJI LAS-3000システム及びMulti
Gauge Ver. 1.01ソフトウェア(富士フイルム社、日本、東京)を使用して、PCR産物の強
度を濃度測定的に定量化した。
(統計)
結果は、平均±平均値の標準誤差(SEM)として表した。統計比較のために、一元配置ANO
VAを使用した。別段の指定がない限り、P<0.05を、有意であるとみなした。
(実施例1)
(PEDFペプチドの経真皮送達)
フルオレセイン(FITC)-結合型29-merペプチドを、インビボにおける本PEDFペプチドの
経真皮送達を調べるために使用した。
最初に、8週齢の雄C57BL/6マウスの背側の毛を、全身麻酔下で、溶融したワックス/ロ
ジン混合物(1:1)を使用し、除去した。翌日、FITC-結合型29-merペプチド(25μM)を含有
する軟膏を、マウスの背側皮膚に塗布し、その後極微針パッチ(3M(商標)マイクロチャネ
ルスキンシステム;3M社(シンガポール)から提供)を、背側皮膚に対し穏やかに押しつけ
、極微針を皮膚へ100ミクロン未満貫通させた(FITC-29mer/MN群)。対照群(FITC-29mer/CT
)に関しては、マウスは、軟膏を受け取り、引き続きの極微針処置は受けなかった。24時
間後、皮膚を収集し、固定し、凍結切片とし、蛍光顕微鏡により試験した。3回の独立し
た実験の代表的画像(元の倍率、×400)を、図1に提供している。
図1の左側パネルのH&E染色した切片は、標本の表皮及び真皮を強調している。図1の中
央パネル及び右側パネルの蛍光画像は、皮膚を横切るFITC-結合型29-merの分布を図示し
ている。特に、FITC-29mer/MN群における表皮及び真皮を超えるフルオレセインからの高
度に認識可能な緑色シグナルは、FITC-結合型29-merペプチドは、真皮までうまく送達さ
れたことを指摘している。対照的に、FITC-29mer/CT群において、緑色シグナルは、真皮
においてかろうじて検出可能であるが、ほとんどのフルオレセインシグナルは、表皮に残
存した。
(実施例2)
(PEDFペプチドは真皮のコラーゲン含量を増加する)
コラーゲンは、真皮の主要なマトリックス成分であり、且つ皮膚の弾性特性を提供する
強靱な線維構造を形成する。この試験実施例は、本PEDFペプチドは、真皮のコラーゲン含
量を増加するかどうかを調べた。実施例1に説明したように脱毛したマウスを、いくつか
の実験群に無作為に割り当て、且つ下記のように処置した。各マウスについて、背側正中
線の片側(約2cm2)には、軟膏50μl(29-mer、20-mer、又はDMSO-含有軟膏)を塗り、引き続
き極微針処置し;他方で、背側正中線の他の側(約2cm2)には、同じ軟膏50μlを塗り、極
微針処置は行わなかった。この処置を2週間にわたり週2回施し、皮膚を、覆わないまま放
置し、最初の処置から14日後に収集した。皮膚標本を、真皮コラーゲンについて、マッソ
ントリクローム染色(青色)により染色し;代表的画像を図2に提供した。皮膚の染色され
たコラーゲン領域は、「材料及び方法」の項において先に記したように定量し、結果を、
ビヒクル/MNの領域について規準化した。I型コラーゲン(COL1A1)のレベルを、先に説明し
た免疫ブロット分析により調べ、結果を、ビヒクル/CT群のレベルについて規準化した。
定量的結果を、表1にまとめている。
Figure 2017222676
* ビヒクル/MN群に対し、P<0.05。** ビヒクル/CT群に対し、P<0.002。
図2の画像は、ビヒクル/MN切片と比べた場合に、29-mer/MN及び20-mer/MN切片における
より顕著な青色染色により証明されるように、極微針処置と組合せた29-mer又は20-merの
処置は、真皮におけるコラーゲンレベルを増加することを指摘している。更に、ビヒクル
/CT切片とビヒクル/MN切片を比較することにより、本発明者らは、極微針処置のみでは、
コラーゲンレベルに対し効果を有さないことがわかった。また、ビヒクル/CT、20-mer/CT
、及び29-mer/CTの切片間ではコラーゲンレベルにおける有意な差異は存在せず、このこ
とは、コラーゲンレベルは、被験対象間では有意には変動しないことを指摘している。
I型コラーゲン(COL1A1)は、真皮コラーゲンの主要成分であり、その免疫ブロット分析
は、29-mer/MN及び20-mer/MN処置は、対照処置(ビヒクル/CT)のそれと比べ、COL1A1レベ
ルの有意な増加を生じることを指摘している。
(実施例3)
(PEDFペプチドは真皮線維芽細胞増殖を促進する)
線維芽細胞は、ヒト皮膚における主要なコラーゲン-産生細胞であり、従って本PEDFペ
プチドの、真皮線維芽細胞の増殖に対する効果を評価するために、インビトロ及びインビ
ボ分析を行った。
(実施例3.1)
(PEDFペプチドはインビトロにおいて真皮線維芽細胞増殖を促進する)
初代マウス真皮線維芽細胞を、「材料及び方法」の項に説明したように、単離し且つ培
養した。2回継代した真皮線維芽細胞を、6-ウェルプレート中のゼラチン-コートされたス
ライドに、1ウェル当たり2×105個細胞の密度で播種し、成長培地(DMEM+10%FBS)におい
て24時間培養し、その後1%FBSのみ(対照群)又は1%FBSと追加の50nMのPEDF-由来のペプ
チド(すなわち、29-mer、24-mer、20-mer、18-mer、Mo 29-mer、又はMo 20-mer)を含有す
る基本成長培地と置き換え、24時間培養した。BrdU標識アッセイに関して、BrdU(最終濃
度10μM)を、この培養物に2時間添加した。線維芽細胞はまた、線維芽細胞マーカーであ
るビメンチンにより染色し;代表的画像を、図3に提供した。BrdU-及びビメンチン-二重
陽性細胞のレベルを、総ビメンチン-陽性細胞当たりのBrdU-及びビメンチン-二重陽性細
胞の割合として表し(BrdU/ビメンチン標識指標)、結果を表2にまとめた。
Figure 2017222676
* 未処置細胞に対し、P<0.002。
まとめると、本開示の実施態様によるPEDF-由来のペプチド(例えば、29-mer、24-mer、
20-mer及び2種のマウスホモログペプチド)を含有する培地において培養した真皮線維芽細
胞は、対照培地において培養したものよりも、より多く増殖した(約5倍)(表2)。対照的に
、「SLGA」残基を持たない18-merの処置は、そのような効果を誘発することに失敗した。
(実施例3.2)
(PEDFペプチドはインビボにおいて真皮線維芽細胞の増殖を促進する)
先の実施例2からの標本を同じく、線維芽細胞マーカーのビメンチンについて染色し、
ビメンチン-陽性細胞を、顕微鏡下でカウントした。
Figure 2017222676
* ビヒクル/MN群に対し、P<0.002。
表3のデータは、29-mer/MN及び20-mer/MNで処置した試料は、ビヒクル/MN及びビヒクル
単独(すなわち、ビヒクル/CT)で処置したものと比べ、真皮領域中に有意に多い数の線維
芽細胞を有することを指摘している。この観察は、本PEDFペプチドの経真皮送達は、真皮
中の線維芽細胞密度と正の関係にあることを示唆している。
本PEDFペプチドの経真皮送達が、インビボにおいて、真皮線維芽細胞の増殖を促進する
かどうかを調べるために、マウスに、BrdUを腹腔内注射し、PEDFペプチド/MN処置又はビ
ヒクル/MN処置の16時間後に安楽死させた。皮膚切片を、ビメンチン(緑色)及びBrdU(赤色
)について染色した。BrdU-及びビメンチン-二重陽性細胞のレベルを、総ビメンチン-陽性
細胞当たりのBrdU-及びビメンチン-二重陽性細胞の割合として表し(BrdU/ビメンチン標識
指標)、結果を表4にまとめた。
Figure 2017222676
* ビヒクル/MN群に対し、P<0.05。
表4に認めることができるように、29-mer/MN群及び20-mer/MN群からの皮膚切片におい
て、DMSO-含有軟膏で処置した切片(ビヒクル/MN)と比べ、線維芽細胞がより増殖している
。この観察は、本合成ペプチドの経真皮送達は、真皮線維芽細胞の増殖活性を促進する上
で有効であることを指摘している。この真皮線維芽細胞の増殖の増加は、コラーゲン含量
は、本PEDFペプチドの経真皮送達により改善される(表1、上記)という知見と合致する。
(実施例3.3)
(PEDFペプチドはインビボにおいて光損傷された皮膚の真皮線維芽細胞増殖を促進する)
UVB照射は、真皮のコラーゲンマトリックスの断片化を引き起こし、これは線維芽細胞
の細胞周期の停止を誘導することが知られている。この試験実施例において、本発明者ら
は、本PEDFペプチドの経真皮送達が、UVB照射により損傷を受けた線維芽細胞の増殖活性
を回復するのに有効であるかどうかを調べた。
6週齢の雌のヌードマウス(BALB/cAnN.Cg-Foxn1nu/CrlNarl)の背中に、紫外線B波(UVB)
を、1週間に5回、8週間にわたり、動物の背中の上方約20cmに配置した5個のUVBランプ(モ
デルXL-1000B、Spectrolinker(商標)装置;発光ピーク:312nm)の列(bank)を用い、照射
した。UVB曝露の間、マウスは、ケージ内を自由に移動させた。最小紅斑形成照射量(MED)
として表した照射強度は、最初の2週間は1MEDに設定し(60mJ/cm2)、実験の第3週から第4
週にかけて2MED(120mJ/cm2)まで、第5週から第6週にかけて3MED(180mJ/cm2)まで、第7週
から第8週にかけて4MED(240mJ/cm2)まで、次第に増大させた。8週目のUVB曝露後に、動物
は、注目される皺を呈し、且つ引き続き、各群マウス3匹で、下記の4群に無作為に分けた
。UVB/ビヒクル、UVB/29-mer、UVB/20-mer、及びUVB/18-mer群において、軟膏(DMSO、29-
mer、20-mer又は18-mer PEDFを含有)350μlを、背側皮膚へ塗布し、その後経真皮送達を
、軟膏処置した皮膚を、極微針パッチで押し抜くことにより達成した。同じく、UVB照射
に供しなかったマウスを、対照(正常)として使用した。軟膏/極微針処置は、2週間にわた
り週2回与えた。マウスには、BrdUを腹腔内投与し、最後の処置の16時間後に安楽死させ
た。皮膚切片を、ビメンチン及びBrdUについて染色した。BrdU-及びビメンチン-二重陽性
細胞のレベルを、総ビメンチン-陽性細胞当たりのBrdU-及びビメンチン-二重陽性細胞の
割合として表した(BrdU/ビメンチン標識指標)。定量結果を、表5にまとめた。
Figure 2017222676
* 正常群に対し、P<0.01;** UVB/ビヒクル群に対し、P<0.05。
表5に認めることができるように、UVB曝露は、UVB照射に曝露されていない皮膚と比べ
、真皮線維芽細胞の増殖活性を、約50%低下した(UVB/ビヒクル:2.1±1.1%、対、正常
:4.1±0.8%)。他方で、UVB曝露後の29-mer及び20-merの経真皮送達は、真皮線維芽細胞
の増殖活性を、UVB/ビヒクル群のそれと比べ、約2.5倍増強した。29-mer又は20-mer処置
した動物における増殖活性は、UVBにより照射されない動物のものよりも更により高いが
、その差は有意性が小さいことは注記される。対照的に、重要な「SLGA残基」を欠いてい
る18-merは、真皮線維芽細胞増殖を促進することに失敗した。
結論として、実施例3(実施例3.1から3.3を含む)に示されたデータは、本PEDFペプチド
は、正常皮膚組織(すなわち、UVB照射による処置を受けていない組織)に加え、光損傷を
受けた皮膚組織(すなわち、UVB照射による処置を受け、曝露の結果として注目される皺を
伴う組織)における、真皮線維芽細胞の増殖を促進する点で有効であることを明らかにし
ている。線維芽細胞は、コラーゲン合成に係わっているので、改善された線維芽細胞の増
殖活性及び結果としてのより高い線維芽細胞密度は、次にコラーゲン合成を促進すること
ができる。従って、本PEDFペプチドは、コラーゲン合成のための皮膚の内因性修復機構を
惹起することが可能である。
(実施例4)
(PEDFペプチドはUVB-誘導したMMP-1発現を減少する)
MMP-1(間質コラゲナーゼ)は、I型及びIII型コラーゲンのコラーゲントリプルヘリック
スの切断を触媒することが可能な唯一の酵素である。更に、MMP-1は、ヒト皮膚に存在す
る主要なコラーゲン分解酵素であり、且つUV照射に反応してアップレギュレートされる。
齧歯類は、MMP-1遺伝子を欠いており、これらの動物においてはMMP-1は、MMP-13により機
能的に代替される。従って、本試験実施例は、本合成ペプチドは、UVB曝露により誘導さ
れるMMP-1及びMMP-13の発現を減少するかどうかを解明することを目的としている。
本発明者らの先の研究により、細胞生存度は、UVB照射15mJ/cm2への曝露後は、対照の
生存度に対し、95%より大きかった(データは示さず)。100nM 29-merで24時間前処理され
たヒト真皮線維芽細胞(WS-1細胞)及び初代マウス真皮線維芽細胞は、細胞生存度において
有意な変化を引き起こさず(データは示さず)、且つトランスウェルアッセイによりアッセ
イされた細胞遊走において有意な変化を引き起こさなかった(データは示さず)。本発明者
らは、この照射量でのUV照射は、MMP発現レベルの増加に繋がることを認めた。従って、
曝露量は、以下の実験において15mJ/cm2に設定した。
WS-1を、6-ウェルプレートに、1ウェル当たり1×105個細胞の密度で播種し、10%FBS-D
MEM成長培地において24時間成長させ、その後100nM PEDFペプチドを補充した又は補充し
ていない1%FBS-DMEMと共に、更に24時間インキュベーションした。細胞を、リン酸緩衝
食塩水(PBS)により2回洗浄し、PBSで被覆しUVB照射に曝露した。UVB処置は、細胞培養フ
ード内で、UVBランプ(モデルXL-1000B、Spectrolinker(商標)社)を用い、最終照射量15mJ
/cm2で約100秒間実施した。細胞生存度は、トリパンブルー排除アッセイを用いて、アッ
セイした(>95%)。UVB照射後、PBSを、PEDFペプチドを含む又は含まない1%FBS-DMEMと
交換し、更に48時間培養し、次にタンパク質抽出物を、MMP-1タンパク質の発現に関して
ウェスタンブロットによりアッセイした。UVB照射に供さなかった細胞を、対照(正常)と
して使用した。MMP-1の発現レベルは、ビヒクル/UVB群における発現レベル(100%に設定)
に対し規準化し、定量結果を表6にまとめている。
Figure 2017222676
* ビヒクル/UVB群に対し、P<0.02。
ビヒクル/UVB群と正常群を比較することにより、本発明者らは、UVB照射は、MMP-1タン
パク質発現の有意な増加を生じたことに注目した(100%、対、正常群における約5%)。し
かし、線維芽細胞の29-mer、24-mer又は20-merとの予備インキュベーションは、MMP-1タ
ンパク質レベルを、ビヒクル/UVB群の約半分まで、有意に低下した。
単層培養において2回継代した初代マウス真皮線維芽細胞を、100nM PEDFペプチドを補
充した又は補充していない1%FBS-DMEMと共に、24時間インキュベーションし、その後先
に説明したようにUVB照射に供した。UVB照射後、PBSを、PEDFペプチドを含む又は含まな
い1%FBS-DMEMと交換し、更に24時間培養し、その後後続のRT-PCR分析のために、細胞の
全RNAを抽出した。MMP-13 mRNAの発現レベルを、ビヒクル/UVB群における発現レベル(100
%に設定)に対し規準化し、定量結果を表7にまとめている。
Figure 2017222676
* ビヒクル/UVB群に対し、P<0.0001。
表6における先の知見同様、MMP-13の発現レベルも、UVB曝露によりアップレギュレート
された(ビヒクル/UVB群、対、正常群)。同じくそのようなアップレギュレーションは、本
PEDFペプチドにより予備処理された細胞において、実質的に低下された(29-mer/UVB、24-
mer/UVB、及び20-mer/UVB、対、ビヒクル/UVB)。対照的に、「SLGA残基」を伴わない18-m
erは、UVB-誘導したアップレギュレーションを低下することはできなかった。
これらの結果は、本PEDFペプチドは、UVB-誘導したMMP-1誘導に対し、ヒト真皮線維芽
細胞を保護することができることを示唆している。MMP-1によるI型コラーゲンの破壊は、
光老化の重要な寄与因子である。従って本PEDFペプチドは、光老化防止剤として使用する
ことができる。
(実施例5)
(PEDFペプチドはUV-誘導した皺を減少する)
皺の形成は、UVB照射への反復曝露に密接に関連している。詳細には、UVB照射は、コラ
ーゲン破壊を誘導し、且つ真皮におけるプロコラーゲン生合成を阻害し;このことは、コ
ラーゲン喪失を生じ、結果的に皺形成を生じる。この試験実施例において、本発明者らは
、本PEDFペプチドの抗-皺効果を、ヌード(すなわち無毛)マウスにおいて調べた。皺は、
先の実施例3.3に示した手順に従う8週間のUVB照射により誘導した。マウスの外観を、UVB
照射前(正常)、UVB照射後(UVB/UT)、並びに各軟膏により2週間処置後(UVB/ビヒクル、UVB
/29-mer、UVB/20-mer及びUVB/18-mer)に撮影し;代表的写真を、図4に提供した。
図4に図示したように、マウスは、UVB照射後に、注目し得る量の深くて長い皺を呈した
(正常群、対、UVB/UT群)。ビヒクル-又は18-mer-含有軟膏で処置したマウスも、深くて長
い皺を有し、このことは、18-merは、UVB照射の結果として形成された皺を減らすことは
不可能であることを示唆している。対照的に、本PEDFペプチド(例えば、29-mer及び20-me
r)で処置したマウスは、UVB/UT群、UVB/ビヒクル群、及びUVB/18-mer群において認められ
たものよりも、皺の線が少なくより細い。
皮膚標本を、マッソントリクローム染色に供し、それらのコラーゲン含量を概算し、且
つ代表的写真を図5に提供した(元の倍率、×200)。I型コラーゲン(COL1A1)のレベルも、
免疫ブロット分析により調べ、結果を、未処置の正常群のレベル(100%に設定)に対して
規準化した。定量結果を表8にまとめている。
Figure 2017222676
* 未処置の正常群に対し、P<0.0001。
** UVB/ビヒクル群に対し、P<0.001。
図5及び表8の両方を参照し、反復UVB照射(UVB/UT)は、未処置の正常群の正常マウスの
それと比べ、真皮におけるコラーゲンシグナル及びCOL1A1レベルを有意に減少したことが
わかる。対照的に、本PEDFペプチドの経真皮送達(例えば、UVB/29-mer群及びUVB/20-mer
群において)は、UVB/ビヒクル群のそれと比べ、真皮におけるコラーゲン及びCOL1ALの両
方のレベルを有意に増強した。これらの知見は、本PEDFペプチドの経真皮送達は、UVB-損
傷された真皮において、コラーゲン合成を誘導することができ、これは、本PEDFペプチド
により処置されたマウスにおける減少した皺形成により正当化され得ることを示唆してい
る。
本開示は、最初に、短い合成PEDFペプチドの経真皮送達は、皮膚老化に対する保護作用
を有することを明らかにしている。完全長PEDFペプチドを発現するベクターの静脈内又は
筋肉内送達と比べ、短い合成PEDFペプチドの経真皮送達は、安全で経費のかからない方策
である。
実施態様の上記の説明は、例示目的でのみ与えられ、当分野の技術者によって様々な改
変を行うことができることが理解されよう。上記の明細書、実施例、及びデータは、本発
明の例示的な実施態様の構造及び使用の完全な説明を提供する。本発明の種々の実施態様
を、ある程度の具体性を伴って、又は、1以上の個々の実施態様に関して先に記載してき
たが、当分野の技術者は、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに、開示した実施態様に対し
て多くの変更を行うことができるであろう。

Claims (20)

  1. 長さ20〜39アミノ酸残基であり、且つ、配列番号:1と少なくとも80%のアミノ酸配列同
    一性を有するアミノ酸配列であって、配列番号:1の残基11〜30とのアミノ酸配列同一性が
    少なくとも90%である少なくとも20個の連続的な残基を含む前記アミノ酸配列からなる、
    対象における皮膚老化を予防及び/又は改善するための合成ペプチドの使用。
  2. 前記合成ペプチドの少なくとも4個の連続的な残基が、配列番号:1の残基11〜14と同一
    である、請求項1記載の使用。
  3. 前記皮膚老化が、光老化である、請求項1記載の使用。
  4. 前記対象が、ヒトである、請求項1記載の使用。
  5. 請求項1の合成ペプチドの有効量;及び
    医薬として許容し得る賦形剤
    を含む、対象における皮膚老化を予防及び/又は改善するための医薬組成物。
  6. 前記合成ペプチドの少なくとも4個の連続的な残基が、配列番号:1の残基11〜14と同一
    である、請求項5記載の医薬組成物。
  7. 前記医薬組成物が、液剤、噴霧剤、エアゾール剤、泡剤、クリーム剤、ローション剤、
    軟膏、ゲル剤、又は貼付剤の形態である、請求項5記載の医薬組成物。
  8. 浸透促進剤を更に含む、請求項5記載の医薬組成物。
  9. 前記皮膚老化が、光老化である、請求項5記載の医薬組成物。
  10. 前記対象が、ヒトである、請求項5記載の医薬組成物。
  11. 対象における皮膚老化を予防及び/又は改善する方法であって、
    請求項1記載の合成ペプチドを対象の真皮へ経真皮送達することにより、該合成ペプチド
    の有効量を、該対象に投与することを含む、前記方法。
  12. 前記合成ペプチドの少なくとも4個の連続的な残基が、配列番号:1の残基11〜14と同一
    である、請求項11記載の方法。
  13. 前記合成ペプチドが、前記合成ペプチドと医薬として許容し得る賦形剤とを含む医薬組
    成物に製剤化される、請求項11記載の方法。
  14. 前記医薬組成物が、液剤、噴霧剤、エアゾール剤、泡剤、クリーム剤、ローション剤、
    軟膏、ゲル剤、又は貼付剤の形態である、請求項13記載の方法。
  15. 前記医薬組成物が、対象の皮膚に局所的に投与される、請求項13記載の方法。
  16. 前記医薬組成物の局所的投与の前、それと同時に、又はその後、対象の皮膚へ外部刺激
    を適用することをさらに含み、それにより前記合成ペプチドの経真皮送達が促進される、
    請求項15記載の方法。
  17. 前記外部刺激が、機械的、電気的、熱的、超音波的、又は高周波的刺激である、請求項
    16記載の方法。
  18. 前記医薬組成物が、浸透促進剤を更に含む、請求項16記載の方法。
  19. 前記皮膚老化が、光老化である、請求項11記載の方法。
  20. 前記対象が、ヒトである、請求項11記載の方法。
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