JP2017220583A - 太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽電池モジュールの一部に影が生じても局所的な熱の発生により、太陽電池セルに不可逆的な欠陥が発生することを抑制する方法を提供する。
【解決手段】太陽電池セルが複数直列に接続された太陽電池セルユニットを少なくとも有する太陽電池モジュールであって、太陽電池セルユニットは複数の太陽電池セルが直列接続された第1の発電部27と、複数の太陽電池セルが直列接続された第2の発電部26とを有し、第2の発電部は、第1の発電部における太陽電池セルの直列接続方向に対して略法線方向に太陽電池セルが直列接続されており、第1の発電部と第2の発電部との境界において、少なくとも一部に絶縁部が存在する、太陽電池モジュール。
【選択図】図4

Description

本発明は、太陽電池モジュールに関する。
近年、自然エネルギーを有効利用する観点から、建物などの構造物の屋根や壁、更にはインテリアとして設置した太陽電池により発電させ、電気を得る検討が盛んに行われている。
通常、太陽電池モジュールは大きな起電力を得るために、複数の太陽電池セルが直列接続された太陽電池セルユニットを複数有し、さらに複数の太陽電池セルユニットどうしが並列接続された構造を有する。このような太陽電池モジュールを建物などの構造物等に設置すると、太陽電池モジュールの一部に影が生じる場合がある。ここで、太陽電池モジュールの一部に影が生じると、影が生じた太陽電池セルは、直列接続された方向と逆方向に接続されたダイオードとして振る舞うことになるために、大きな抵抗となってしまう。そのため、太陽電池セルユニットの直列接続方向の電流が抑制され、結果的に太陽電池モジュールの出力が大幅に低下することになる。さらには、影が生じた太陽電池セルは、過大な逆バイアス電圧負荷がかかることにより局所的に熱が発生し(ホットスポット)、その結果、該太陽電池セルに不可逆的な欠陥が発生する場合がある。
このような問題に対し、バイパスダイオードを逆並列させることで解決する試みが従来行われていた。例えば、太陽電池セルを第1のシート及び第2のシートに分割することで、それぞれのシートでダイオード群を構成し、かつそれぞれのシートを逆並列構造で接続することで、上記問題を解決しようとする技術が提案されている(特許文献1、2参照)。
特開2001−68713号公報 国際公開第2011/030729号
本発明では、上記先行技術文献の方法とは異なる方法により、太陽電池モジュールの一部に影が生じても局所的な熱の発生により、太陽電池セルに不可逆的な欠陥を発生するのを抑制することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、まず、複数の太陽電池セルが直列に接続されてなる太陽電池セルユニットにおいて、太陽電池セルの直列接続方向の一方の端部側から他方の端部側に向かって、該端部の辺に平行に存在する影が掛かる場面を想定した。そのような場合、太陽電池セルの直列接続方向に対し略法線方向に太陽電池セルが直列に接続されている領域、即ち太陽電池セルの直列接続方向を約90度方向転換した太陽電池セル群を有することで、該太陽電池セル群に、影が生じた場合でも、複数の太陽電池セルが同時に逆ダイオード(高抵抗セル)として振る舞うことから、影が掛かった複数の太陽電池セルのうちいずれかが局所的な発熱源となり得る場合であっても、他の太陽電池セルが高抵抗であるため電流の流れが抑制され、顕著な発熱は抑制されることを見出した。そして、このような構成を有する太陽電池セルユニットとすることで、ホットスポットによる太陽電池セルに不可逆的な欠陥が発生するのを抑制することができることを想
到した。
すなわち、本発明は以下を要旨とする。
(1)複数の太陽電池セルが直列に接続された太陽電池セルユニットを少なくとも有する太陽電池モジュールであって、
該太陽電池セルユニットは複数の太陽電池セルが直列接続された第1の発電部と、複数の太陽電池セルが直列接続された第2の発電部とを有し、
該第2の発電部は、該第1の発電部における太陽電池セルの直列接続方向に対して略法線方向に太陽電池セルが直列接続されており、
前記第1の発電部と前記第2の発電部との境界において、少なくとも一部に絶縁部が存在する、太陽電池モジュール。
(2)前記第2の発電部は、前記第1の発電部で発電した電流を2以上の方向に分岐する構成である(1)に記載の太陽電池モジュール。
(3)前記第1の発電部と前記第2の発電部との境界において、絶縁部と導電部が交互に存在する、(2)に記載の太陽電池モジュール。
(4)有機薄膜太陽電池モジュールである、(1)から(3)のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
本発明により、ホットスポットにより太陽電池セルに不可逆的な欠陥が生じるのを抑制することができる。
直列接続された太陽電池セルユニット100の一部を示す上面模式図である。 図1中の太陽電池セルユニット100のA−A´鎖線を示す断面模式図である。 直列接続された太陽電池セルユニット100の一部を示す上面模式図である。 本実施形態に係る太陽電池セルユニット200の一部を示す上面模式図である。 図4中の太陽電池セルユニット200の(a)B−B´鎖線、及び(b)C−C´鎖線における断面模式図である。 本実施形態に係る太陽電池セルユニット300の一部を示す上面模式図である。 図6中の太陽電池セルユニット300の(a)D−D’鎖線、(b)E−E’鎖線及び(c)F−F’鎖線における断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されない。
また、本発明の説明において図面を用いるが、用いる図面はいずれも本発明の具体的実施形態に係る太陽電池モジュールの構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略等を行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、図面を用いた説明に用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することができる。
本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールは、少なくとも一対の電極と、該一対の電極間に発電層を有してなる太陽電池セルが複数直列に接続されてなる太陽電池セルユニッ
トを少なくとも有する。また、太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルユニットを有していてもよく、特に、複数の太陽電池セルユニットが互いに並列に接続されている構造が好ましい。なお、本発明において、太陽電池セルを太陽電池素子と称す場合がある。以下、太陽電池モジュールの一般的な構成を説明する。
発電層に用いられる材料としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、球状シリコン、無機半導体材料、有機色素材料、または有機半導化合物が挙げられる。これらの材料を用いることで、発電効率が比較的高く、薄い(軽量な)太陽電池を実現できる。さらに効率を上げる観点から、これらを積層したHIT型、タンデム型でもよい。なお、一般的に有機化合物は耐熱性が低い傾向があるために、ホットスポットが発生すると有機薄膜太陽電池素子は破損する等の欠陥が発生しやすくなる傾向がある。一方で、本発明においては、後述するようにホットスポット等の問題を解決することができるために、本発明は、太陽電池セルが、有機化合物を含有する発電層を有する有機薄膜太陽電池セルの場合に特に有効である。なお、本発明においては、有機薄膜太陽電池セルにより構成される太陽電池モジュールを有機薄膜太陽電池モジュールと称す場合がある。
一対の電極は、上部電極及び下部電極により構成され、一方がアノードであり、他方がカソードである。なお、上部電極をカソードとし、下部電極をアノードとしてもよいし、上部電極をアノードとし、下部電極をカソードとしてもよい。それぞれ導電性を有する任意の材料を用いて単層であってもよいし、積層構造であってもよい。電極材料(電極の構成材料)としては、特段の制限はなく、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属、あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO:酸化スズインジウム);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;そのような導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを含有させたもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。なお、上記のなかでも、アノードは仕事関数の大きな材料により形成することが好ましく、カソードは仕事関数の小さな材料により形成することが好ましい。なお、有機薄膜太陽電池セルの場合、正孔取り出し層や電子取り出し層を用いることにより仕事関数を調整することで、アノードとカソードを同じ材料で形成することもできる。
太陽光を吸収するために、一対の電極のうち、少なくとも一方の電極は透光性を有することが好ましい。具体的には、一方の電極が波長360〜830nmの光の通過する割合が40%以上であることが好ましい。透光性を有する電極とする場合、上記の金属酸化物又はその合金等を用いて電極を形成することが好ましい。なお、透過型の太陽電池モジュールとする場合、一対の電極は共に透光性を有していることが好ましい。
太陽電池セルは、通常、太陽電池素子基板上に支持される。太陽電池素子基板の材料は、特段の制限はなく、石英基板、ガラス基板、金属に絶縁性を付与した基板、樹脂基材等が挙げられる。なかでも、太陽電池素子基材は、変形に対して或る程度、耐熱性を有することが望まれるために、太陽電池素子基板は、融点が85℃以上の材料により形成されることが好ましい。また、太陽電池モジュールの設置の自由度という観点から、軽量であり、かつフレキシブルな樹脂基材が好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレーと(PEN)が好ましい。
また、太陽電池セルの下部電極又は上部電極に、通常、集電線を電気的に接続すること
で、太陽電池において発電した電気を取り出すことができる。
集電線の材料としては、金属や合金などが挙げられ、中でも抵抗率の低い銅やアルミ、銀、金、ニッケルなどを用いることが好ましく、銅やアルミが安価であることから、特に好ましい。また、錆防止のため、集電線の周囲をスズや銀などでメッキしたり、表面を樹脂などでコートしてあったり、フィルムをラミネートしてあってもよい。集電線の形状としては、例えば、平角線、箔、平板、ワイヤ状等が挙げられるが、接着面積の確保などの理由から、平角線や、箔、平板状のものを用いることが好ましい。また、集電線を電気取出端子として使用することができるため、平板状であることがより好ましい。
なお、本明細書において「箔」は厚みが100μm未満のものをいい、「板」は厚みが100μm以上のものをいう。また「平角線」とは、断面が円形のワイヤを圧延して、断面の形状を四角形にしたものをいう。
また集電線は、導電性を有する限り特段の限定はされないが、接続する上部電極や下部電極よりも抵抗値が低いものが好ましく、特に、上部電極や下部電極より厚さを厚くすることによって、抵抗値を低減させることが好ましい。集電線の厚さとしては、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上である。また、2mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは500μm以下、特に好ましくは300μm以下である。集電線の厚さが上記下限以上であることで、集電線の抵抗値の上昇を抑制し、発電した電力を効率よく外部に取り出すことができる。また、上記上限以下であることで、有機薄膜太陽電池モジュールの重量が増加するとともに可撓性が減少したり、薄膜太陽電池モジュール表面に凹凸が発生しやすくなったり、生産コストが増加するなどの問題が生じる恐れがある。
また、集電線の幅は、通用0.5mm以上、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、通常50mm以下、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。集電線の幅が上記下限以上であることで、集電線の抵抗値の上昇を抑制し、発電した電力を効率よく取り出すことができる。また、集電線の機械強度を維持し、破断等を抑制することができる。上記上限以下であることで、モジュール全体における開口率を維持し、モジュールの発電量の低下を抑制することができる。
なお、集電線を太陽電池素子の電極と接続する方法は特段の制限はなく、公知の方法により接続させればよい。例えば、導電性接着剤、導電性テープ、はんだ等により接続することができ、なかでも導電性接着剤により接続させることが好ましい。導電性接着剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、熱可塑性、熱硬化性等の導電性接着剤を使用することができる。
また、太陽電池モジュールは、耐衝撃性の向上のために、封止層と表面保護層の積層体及び/又は封止層と裏面保護層により封止された構造であることが好ましい。
封止層の材料には、全光線透過率が比較的高い樹脂材料が好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、合成ゴム等を使用することができ、これらの1種以上の混合体、若しくは共重合体を使用できる。なお、これらの樹脂材料を架橋して用いてもよい。
封止層の厚さは、1層あたり、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましい。一方、1000μm以
下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。すなわち、好ましい態様である表面保護層と薄膜太陽電池素子との間、および薄膜太陽電池素子と裏面保護層との間に少なくとも一層の封止層を有する場合には、薄膜太陽電池モジュールあたりの封止層の厚さは、200μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがより好ましく、600μm以上であることが更に好ましい。一方、2000μm以下であることが好ましく、1600μm以下であることがより好ましく、1000μm以下であることが更に好ましい。封止層の厚さを上記範囲とすることで、適度な耐衝撃性を得ることができると共に、コストおよび重量の観点からも好ましく、発電特性も十分に発揮することができる。
表面保護層は、多くの太陽光を薄膜太陽電池セルに供給する観点から、全光線透過率は、通常80%以上、好ましくは85%以上である。上限は特に限定されないが、通常99%以下である。全光線透過率の測定方法は、例えば、JIS K 7361−1による。
表面保護層の材質としては、ガラス、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリブチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、等が挙げられる。好ましくは、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂が挙げられる。
表面保護層の厚さは通常0.02mm以上である。好ましくは0.03mm以上であり、より好ましくは0.05mm以上である。一方上限は特段限定されないが、通常2mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.3mm以下である。上記範囲とすることで、耐衝撃性と軽量性を両立することができる。
なお、表面保護層の受光面側に更に表面保護シートを有してもよいが、薄膜太陽電池モジュールが屋外に配置されない場合には、表面保護シートはなくてもよい。
裏面保護層としては、表面保護層と同様の層を用いることができる。但し、裏面保護層は必ずしも透光性を有さなくてもよいことから、透光性と材質についてはその限りではない。
例えば、表面保護層に例示した樹脂以外の樹脂、金属箔、樹脂中に繊維等を分散させたフィルム、または樹脂含浸された織布または不織布等、ガラスを用いることができる。
裏面保護層として表面保護層と同様の透光性の層を用いると、薄膜太陽電池が透光性を有する場合には、シースルーの太陽電池を提供することができる点で好ましい。
また、表面保護層と裏面保護層とは同一の材料、厚さであることが好ましい。製造過程における加熱や、薄膜太陽電池モジュールを使用する際の太陽光等により熱膨張するが、その際に生じる応力を相殺して、薄膜太陽電池モジュールの変形を抑制することができる。
加えて、表面保護層及び/又は裏面保護層が、剛性を有する材料からなると、薄膜太陽電池モジュールがたわみづらい点で好ましい。剛性を有する材料としては、ガラス、ポリカーボネート等の透明樹脂、アルミニウム、木材、ポリ塩化ビニル等があげられ、上記の透光性をも満たす点で、ガラス及び透明樹脂が好ましい。
なお、表面保護層及び/又は裏面保護層に耐候性の機能を備える場合、上記の表面保護層及び/又は裏面保護層はフッ素系の樹脂材料により形成されることが好ましい。
また、発電層の材料として有機半導体化合物を用いた有機太陽電池セルの場合、水分や酸素等により素子が劣化しやすい傾向がある。そのため、表面保護層及び/又は裏面保護層にバリア機能を持たせることが好ましい。具体的には、上記の樹脂材料を用いた樹脂層に酸化ケイ素膜等の無機層を積層させることによりバリア性の機能を付加することができる。
図1は、従来の太陽電池セルが直列接続された太陽電池セルユニット100の一部を示す模式図であり、図2は、図1の太陽電池セルユニット100のA−A´鎖線断面を示している。太陽電池セルは通常、太陽電池素子基板11上に、下部電極12、発電層13及び上部電極14をこの順に積層してなる。
太陽電池セルユニット100は、複数の太陽電池セルが直列接続された発電部16を有しており、各太陽電池セルが発電し、電流が流れることになる。ここで、下部電極12をカソードとし、上部電極14をアノードとすると、太陽電池セルで発生した電流は図中矢印の方向に流れ、集電線15を介して電気が取り出される。
この際、図3に示すように、太陽電池セルユニットの一部の太陽電池セルに影Sが生じると、影が生じた箇所の太陽電池セルは電流の流れる方向と逆方向に直列接続されたダイオードとして振る舞う。そのため、当該太陽電池セル16’以外の他の太陽電池セルで発電した電流が、影が生じた太陽電池セル16’に流れようとすると大きな発熱を伴い、いわゆるホットスポットの問題が生じる。その結果、当該影が生じた太陽電池セルが破損してしまう場合がある。
このような問題に対し、本発明では、発電部として機能する、複数の太陽電池セルが直列接続された第1の発電部と、該第1の発電部における太陽電池セルの直列接続方法に対して略法線方向に太陽電池セルが直列接続された第2の発電部を有すること、即ち第1の発電部の太陽電池セルの直列接続方向に対して、約90度方向転換して、第2の発電部の太陽電池セルを直列接続することで、対応するものである。このような構成を有することで、図3に示すように集電線と並行方向に延伸する影が掛かった場合に、第2の発電部を構成する複数の太陽電池セルが同時に逆方向ダイオード(高抵抗)として振る舞うこととなる。そのため、影になった第2の発電部の複数の太陽電池セルのうち、いずれかに局所的に発熱源となりえる太陽電池セルがあったとしても、他の太陽電池セルは高抵抗であることから電流の流れが抑制され、顕著な発熱を生じるのを防ぐことができる。そのため、影が生じた太陽電池セルが破壊するのを防ぐことができる。なお、ここでいう「略法線方向」は、厳密な法線方向、すなわち90°方向にのみ限定されない意図で用いており、通常±5°以内のズレを許容し、±3°以内であってよく、±2°以内であってよく、±1°以内であってよく、ジャスト法線方向であることが好ましい。
図4を用いて具体的に説明すると、本実施形態では、太陽電池セルユニット200は複数の太陽電池セルが直列に接続された第1の発電部26と、複数の太陽電池セルが直列に接続された第2の発電部27とを有する。
それぞれの発電部を構成する太陽電池セルは、発電能を有する通常の太陽電池セルであればよい。また、第1の発電部において、直列接続される太陽電池セルの数は特段に限定されず、所望の電圧とすべく太陽電池セルの数を決定することができる。直列接続される太陽電池セルの数は、通常2以上であり、5以上であってよく、10以上であってよく、一方、通常100以下であり、50以下であってよい。また、第2の発電部において、直列接続される太陽電池セルの数は特段の制限はないが、第2の発電部27に影が生じた場合に、複数の太陽電池セルに跨って影が生じることでホットスポットによる太陽電池セルの破損を防ぐことができることから、2以上であることが好ましく、一方、影が生じていない際に、効率良く電流を取り出すために、20以下であることが好ましい。
本実施形態では、第1の発電部26と第2の発電部27は電気的に接続されており、第2の発電部27における太陽電池セルの直列接続方向が、第1の発電部26における太陽電池セルの直列接続方向に対して法線方向である。そして、電流の流れについては、第1の発電部26の電流の流れの方向に対して法線方向に、第2の発電部27において電流が流れるように構成される。このような構成とするためには、第1の発電部26を構成する太陽電池セルの一部と、第2の発電部27を構成する一部の太陽電池セルとを接続させればよい。例えば、第1の発電部26と第2の発電部27との境界部において、その長手方向端部(図中左端)において導電部(直列接続部)を設け、その他の境界部は絶縁部とし、第2の発電部27の他方の境界部においては、その長手方向他方の端部(図中右端)において導電部を設け、その他の境界部を絶縁部とする構成とすればよい。具体的には、図5に示すような構造とすることにより当該構成とすることができる。なお、第1の発電部27の長手方向右端部において、第1の発電部26と第2の発電部27とを接続させてもよい。また、第1の発電部27の長手方向中央部において、第2の発電部27と接続させてもよい。
図5(a)は、図4のB−B’鎖線の断面を示しており、図5(b)は、図4のC−C’鎖線の断面を示している。また、図5(a)及び図5(B)は、下部電極をカソードとし、上部電極をアノードとした構成を示している。図5(b)に示すように、第1の発電部26を構成する太陽電池セルと、第2の発電部27を構成する左端部の太陽電池セルとが、太陽電池セルを構成する電極を介して直列に接続されている。より具体的には、第1の発電部26を構成する太陽電池セルの上部電極と、第2の発電部27を構成する下部電極とを接続させた構造としている。また、第2の発電部27においても、左端部の太陽電池セルから右端部の太陽電池セルまで、図5(b)と同様の構成により直列接続される。一方、第1の発電部26と第2の発電部27との境界部において、太陽電池セルの長手方向端部(図中左端)以外の境界部は、図5(a)に示すように、太陽電池セルを構成する電極間を導通させないような構造とすることにより、第1の発電部26と第2の発電部27との間に絶縁部を設けることができる。なお、図5(a)及び図5(b)において、下部電極をカソードとし、上部電極をアノードとする場合、第1の発電部26を構成する太陽電池セルの下部電極と、第2の発電部27を構成する太陽電池セルの上部電極を接続させることが好ましい。このような構造を形成するための方法は特段の制限はなく、例えば、太陽電池セルを構成する各層を成膜する毎に、適宜パターニングを施すことにより当該構成とすることができる。パターニングの方法は、特段の制限はなく、公知の方法で行うことができ、例えば、メカニカルスクライブ、レーザースクライブ、フォトエッチング、リフトオフ等が挙げられる。
なお、第2の発電部を構成する太陽電池セルの面積は、特段の制限はないが、第1の発電部26を構成する太陽電池セルの面積に対して、効率良く電流を取り出すために、50%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、一方、200%以下であることが好ましく、150%以下であることがさらに好ましく、なかでも、第1の発電部26を構成する太陽電池セルの面積と、第2の発電部27を構成する太陽電池セルの面積が同じであることが特に好ましい。一方、太陽電池素子基板上に、効率良く太陽電池セルを配置するために、第1の発電部26を構成する太陽電池セルの長軸方向長さに対する第2の発電部27の直列方向長さの比率は、0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがさらに好ましく、一方、1.2以下であることが好ましく、1.1以下であることが特に好ましい。そのため、第2の発電部を構成する太陽電池セルの面積を調整する場合、当該太陽電池セルの直列接続方向に対して法線方向側の長さ(図4における第2の発電部27を構成する太陽電池セルの短軸方向側の長さ)を調整することが好ましい。
また、図6は、本発明の他の実施形態に係る太陽電池セルユニット300の一部を示す
上面模式図である。当該実施形態に係る太陽電池セルユニット300も、図4の実施形態に係る太陽電池セルユニットと同様に、太陽電池セルユニット300は、第1の発電部36と第2の発電部37を有する。第1の発電部36は、複数の太陽電池セル30が直列に接続されてなり、図中上下方向は、第1の発電部36における太陽電池セルの直列接続方向である。
該実施形態は、複数の太陽電池セルが直列接続された第1の発電部36と、該第1の発電部36における太陽電池セルの直列接続方法に対して法線方向に太陽電池セルが直列接続された第2の発電部36を有するが、第1の発電部36で発電した電流を、第2の発電部において2以上の方向に分岐させる分岐部を有する構成となっている。
具体的には、分岐部は、第1の発電部36を構成する太陽電池セルと直列に接続された第2の発電部37を構成する太陽電池セルと、第1の発電部36における直列方向に対して法線方向に、当該太陽電池セルと隣り合う2つの太陽電池セルとを、それぞれ異なる方向に電流が流れるように直列接続させることにより設けることができる。
本実施形態では、集電線と並列方向に延伸する影が第2の発電部37に生じた場合に、第2の発電部37を構成する複数の太陽電池セルが同時に逆方向ダイオード(高抵抗)として振る舞うとともに、分岐部を設けることにより影が生じた太陽電池セルに流入する電流の量を減少させることで、ホットスポットの問題を効果的に解決することができる。即ち、影が生じた第2の発電部37を構成する複数の太陽電池セルのうち、いずれかに局所的に発熱源となりえる太陽電池セルがあったとしても、他の太陽電池セルは高抵抗であることから電流の流れが抑制され、かつ、第2の発電部37における分岐部の存在によっても電流の流れを抑制することができるために、太陽電池セルに顕著な発熱が発生するのを防ぐことができる。
なお、本実施形態において、第1の発電部36と第2の発電部37との間の境界38aにおいて、少なくとも一部に絶縁部が存在する。このように絶縁部が存在することで、第2の発電部37に光が当たった場合に、直列接続された太陽電池セルとして機能することになる。具体的には、第2の発電部37における、第1の発電部36との境界38aと対向する辺である境界38bにおいて、境界38bにおける絶縁部39aに対向する境界38bの箇所を導電部39bとし、境界38aにおける導電部39bにセル直列方向に対応する境界38bの絶縁部39aとすることで、第1の発電部36から流入した電流は絶縁部の存在により直進できず、図中左右方向に分岐され、流れる電流の量が半減することとなるため、影が生じて逆ダイオードとなった第2の発電部37で発生する熱の量が減少し、ホットスポットの問題をより抑制することができる。
分岐部を有する第2の発電部37の形成方法は特段の制限はないが、例えば、分岐部の長手方向に延伸する両辺において、第1の発電部36との導電部と絶縁部とを設けるとともに、第2の発電部37の接続構造を調整することにより、分岐部を有する第2の発電部27を形成することができる。具体的には、図7を用いて説明する。
図7(a)は図6中のD−D’鎖線における断面構造、図7(b)は図6中のE−E’鎖線における断面構造、図7(c)は、図6中のF−F’鎖線における断面構造を示している。また、図7(a)〜(c)においては、下部電極をカソードとし、上部電極をアノードとした構成としている。
図7(b)に示すように、図6のD−D’鎖線部においては、第1の発電部36を構成する太陽電池セルと、第2の発電部37を構成する太陽電池セルは絶縁部を設けている。一方、図7(c)に示すように、図6中のE−E’鎖線部においては、第1の発電部36を構成する太陽電池セルと、第2の発電部37を構成する太陽電池セルとが、太陽電池セ
ルを構成する電極を介して接続されている。より具体的には、第1の発電部36を構成する太陽電池セルの上部電極と、第2の発電部37を構成する太陽電池セルの下部電極とを接続させた構成としている。さらに、図7(a)に示すように、第2の発電部37において、第1の発電部36と接続している第2の発電部37を構成する太陽電池セルの上部電極と、当該太陽電池セルに隣り合う2つの太陽電池セルの下部電極と接続した構造としている。このような構造にすることにより、第2の発電部37において、2方向に直列接続された構造を形成することができ、電流を2方向に分岐することができる。なお、下部電極をアノードとし、上部電極をカソードとする場合、第2の発電部37において、第1の発電部36と接続している第2の発電部37を構成する太陽電池セルの下部電極と、当該太陽電池セルに隣り合う2つの太陽電池セルの上部電極とを接続した構造とすることが好ましい。なお、下部電極をアノードとし、上部電極をカソードとする場合、図7(b)において、第1の発電部36を構成する太陽電池セルの下部電極と、第2の発電部37を構成する太陽電池セルの上部電極とを接続させる構成とすることが好ましい。また、図7(c)においても、第1の発電部36と接続している第2の発電部37を構成する太陽電池セルの下部電極と、当該太陽電池セルに隣り合う2つの太陽電池セルの上部電極とを接続させた構造とすることが好ましい。
第1の発電部36と第2の分岐部37との境界38a、並びに境界38bにおいて、絶縁部の数や長さは特段限定されず、第2の発電部37を構成する太陽電池セルの数に合わせて適宜設計すればよい。なお、ホットスポット抑制の観点からは、境界38aにおいて絶縁部39aの存在比が25%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、また75%以下であることが好ましく、60%以下であることが好ましい。また、第1の発電部と第2の発電部との境界において導電部と絶縁部との存在比は、略1:1となることが好ましく、太陽電池モジュールの出力の観点から1:1であることが特に好ましい。また、第2の発電部37を構成する太陽電池セル1個のセルの面積は、第1の発電部36を構成する太陽電池セル1個のセル面積と同じか、それ以上であることが好ましい。境界において存在する絶縁部と導電部の数も特段限定されず、各々1つ以上存在すればよく、2つ以上存在してもよく、3つ以上存在してもよい。また絶縁部と導電部の数は同じであっても異なってもよい。
また、図6においては、第2の発電部37が2つの分岐部を有する構造を示しているが、分岐部の数はこれに限定されない。第2の発電部37は、1つの分岐部を有していてもよいし、複数の分岐部を有していてもよい。第2の発電部37が複数の分岐部を有する場合、第1の発電部36と第2の発電部37の境界に、絶縁部及び導電部が交互に存在することになる。
また、図4の実施態様に係る太陽電池モジュールの第2の発電部27の構成のうち、任意の数だけ分岐部を設けた構造にしてもよい。
第2の発電部37を構成する太陽電池セルの数は、特段の制限はなく、設ける分岐部の数によって、適宜選択することができる。
第1の発電部36を構成する太陽電池セルの面積に対する第2の発電部を構成する太陽電池セルの面積、及び第1の発電部36を構成する太陽電池セルの超軸方向長さに対する第2の発電部の長軸方向長さの比率は、特段の制限はないが、好ましくは、図4の実施形態に係る太陽電池モジュールと同じである。
なお、本発明において、第2の発電部の大きさや配置位置は特段の制限はなく、太陽電池モジュールの設置場所によって適宜選択することができる。つまりは、太陽電池モジュールの設置場所によって影が生じやすい箇所は異なるために、太陽電池モジュールにおい
て影が生じやすい箇所に第2の発電部を設けることが好ましい。実際に太陽電池モジュールを設置する際、特に、構造物の壁や窓に薄膜太陽電池モジュールを設置する際には、屋根や窓枠の存在により太陽電池セルユニットの端部において特に影が生じやすく、ホットスポットの問題が生じやすい。そのため、第2の発電部は太陽電池セルユニットの端部に存在することが好ましく、第1の発電部36の直列方向端部に存在することがより好ましい。また、太陽電池セルユニット中に複数の第2の発電部を設けてもよい。
また、本発明において、第1の発電部において、直列接続される太陽電池セルの個数は、所望の起電力に応じて適宜設定できる。通常電圧が50V以下となるようにすることが、安全面上好ましい。また、第1の発電部を構成する太陽電池セルの形状は特段限定されないが、通常矩形であることが好ましい。
100、200、300 太陽電池セルユニット
10、20、30 太陽電池セル
11、31 太陽電池素子基板
12、32 下部電極
13、33 発電層
14、34 上部電極
15、25、35 集電線
16 発電部
26、36 第1の発電部
16´ 逆方向ダイオード様太陽電池セル
27、37 第2の発電部
28a、28b、38a、38b 境界
29a、29b、39a 空隙
39b 導電部
S 影

Claims (4)

  1. 太陽電池セルが複数直列に接続された太陽電池セルユニットを少なくとも有する太陽電池モジュールであって、
    該太陽電池セルユニットは複数の太陽電池セルが直列接続された第1の発電部と、複数の太陽電池セルが直列接続された第2の発電部とを有し、
    該第2の発電部は、該第1の発電部における太陽電池セルの直列接続方向に対して略法線方向に太陽電池セルが直列接続されており、
    前記第1の発電部と前記第2の発電部との境界において、少なくとも一部に絶縁部が存在する、太陽電池モジュール。
  2. 前記第2の発電部は、前記第1の発電部で発電した電流を2以上の方向に分岐させる構造である、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記第1の発電部と前記第2の発電部との境界において、絶縁部と導電部が交互に存在する、請求項2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 有機薄膜太陽電池モジュールである、請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
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