JP2017219470A - 温度計測システム、基板処理装置及び温度計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】分光器の分解能を変更することなく測定可能な温度範囲を拡張する。
【解決手段】温度計測システムは、光源と、スプリッタと、測定対象物の第1主面へ出射するとともに、第1主面及び第2主面からの反射光を入射する第1入出力部と、参照光を反射する第1反射面及び第2反射面とを有する参照ミラー部と、スプリッタからの参照光を参照ミラー部へ出射して参照ミラー部からの反射光を入射する第2入出力部と、スプリッタに接続され、波長に依存した反射光の強度分布を計測する分光器と、分光器に接続され、第1主面、第1反射面、第2主面、及び、第2反射面の反射光の強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて、第1主面と第1反射面との第1光路差、及び、第2主面と第2反射面との第2光路差を算出する光路長算出部と、第1光路差、第2光路差及び予め定められた光路長に基づいて測定対象物の温度を計測する温度計測部と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】温度計測システムは、光源と、スプリッタと、測定対象物の第1主面へ出射するとともに、第1主面及び第2主面からの反射光を入射する第1入出力部と、参照光を反射する第1反射面及び第2反射面とを有する参照ミラー部と、スプリッタからの参照光を参照ミラー部へ出射して参照ミラー部からの反射光を入射する第2入出力部と、スプリッタに接続され、波長に依存した反射光の強度分布を計測する分光器と、分光器に接続され、第1主面、第1反射面、第2主面、及び、第2反射面の反射光の強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて、第1主面と第1反射面との第1光路差、及び、第2主面と第2反射面との第2光路差を算出する光路長算出部と、第1光路差、第2光路差及び予め定められた光路長に基づいて測定対象物の温度を計測する温度計測部と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明の種々の側面及び実施形態は、温度計測システム、基板処理装置及び温度計測方法に関するものである。
特許文献1には、一種の温度計測システムが記載されている。特許文献1に記載された温度計測システムは、光源、スプリッタ、コリメータ、参照ミラー及び分光器を備えている。光源から出射された光は、スプリッタにより測定光と参照光とに分離される。測定光は、測定対象物の両端面により、それぞれ反射され、スプリッタを介して分光器へ到達する。一方、参照光は、ミラーにより反射され、スプリッタを介して分光器へ到達する。分光器で取得したスペクトラムをFFT処理することで、スプリッタからミラーまでの距離と、スプリッタから測定対象表面及び裏面までの距離に干渉ピークが生じる。この干渉ピークの距離の和が測定対象物の両端面の光路長となる。得られた光路長から測定対象物の温度が測定される。
この温度計測システムによれば、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張することができる。具体的には、スプリッタから測定対象物までの第1光路長をLs、スプリッタから参照ミラーまでの第2光路長をLrとすると、Ls<Lrを満たすようにスプリッタ、第1コリメータ、測定対象物、第2コリメータ及び参照ミラーが配置され、分光器の分解能により規定される最大計測光学厚さをXmax、測定対象物の厚さをd、測定対象物の測定光に対する屈折率をnとすると、Xmax<2・n・d<2・Xmaxの場合には、第1光路長と第2光路長との光路差により生じる干渉ピークの間隔に基づいて測定対象物の温度が計測される。
特許文献1に記載された温度計測システムは、光学系の配置条件を限定することで、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張する。本技術分野において、比較的低い分解能の分光器であっても広い範囲の温度が計測できるようにする技術は、高価かつ大型の光スペクトルアナライザを安価かつ小型の分光器へ置き換える観点から非常に重要である。本技術分野では、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張するさらなる技術が望まれている。
本発明の一側面に係る温度計測システムは、第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する測定対象物の温度を計測する温度計測システムであって、前記測定対象物を透過する波長を有する光の光源と、前記光源に接続され、前記光源からの光を測定光と参照光とに分けるスプリッタと、前記スプリッタからの測定光を前記測定対象物の前記第1主面へ出射するとともに、前記第1主面及び前記第2主面からの反射光を入射する第1入出力部と、参照光を反射する第1反射面と、参照光の入射方向において前記第1の反射面から予め定められた光路長で離間し、参照光を反射する第2反射面とを有する参照ミラー部と、前記スプリッタからの参照光を前記参照ミラー部へ出射するとともに、前記参照ミラー部からの反射光を入射する第2入出力部と、前記スプリッタに接続され、波長に依存した反射光の強度分布を計測する分光器と、前記分光器に接続され、前記第1主面、前記第1反射面、前記第2主面、及び、前記第2反射面の反射光の強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて、前記第1主面と前記第1反射面との第1光路差、及び、前記第2主面と前記第2反射面との第2光路差を算出する光路長算出部と、前記第1光路差、前記第2光路差、及び、前記予め定められた光路長に基づいて、前記測定対象物の温度を計測する温度計測部と、を備える。
通常、干渉強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて測定対象物の厚さ又は温度を計測する場合には、分光器の分解能により規定される最大計測光学厚さをXmaxとすると、0<2・n・d<Xmaxの範囲において出現した測定対象物の表裏面からの干渉ピークを用いて行われる。すなわち、Xmax<2・n・dの範囲となる厚さの測定対象物については温度を測定することができない。一方、参照ミラーと測定対象物との光路差により生じる干渉ピークについては、Ls<Lrの場合、負の位置(横軸を位置、縦軸を強度とする波形の第2象限)に現れるべきピークが折り返されて正の位置(横軸を位置、縦軸を強度とする波形の第1象限)に出現する。本発明の一側面に係る温度計測システムでは、2つの反射面(第1反射面及び第2反射面)を用いて、前記第1主面と前記第1反射面との第1光路差、及び、前記第2主面と前記第2反射面との第2光路差を算出する。そして、第1反射面と第2反射面との間の光路長を予め定めておく。これにより、厚みのある測定対象物であっても、前記第1主面と前記第1反射面との第1光路差、及び、前記第2主面と前記第2反射面との第2光路差さえ測定できれば、測定対象物の厚さ、つまり、測定対象物の温度を測定することができる。よって、測定対象物の表面及び裏面の干渉強度分布を用いて測定対象物の温度を計測する場合と比べて、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張することができる。
一実施形態においては、前記参照ミラー部は、前記第1反射面を有する第1ミラーと、前記第2反射面を有する第2ミラーとを含み、前記第2入出力部は、前記スプリッタからの参照光を前記第1ミラーの前記第1反射面へ出射するとともに、前記第1反射面からの反射光を入射する第1コリメータと、前記スプリッタからの参照光を前記第2ミラーの前記第2反射面へ出射するとともに、前記第2反射面からの反射光を入射する第2コリメータとを含んでもよい。このように、参照ミラー部が、物理的に分離された第1ミラー及び第2ミラーを含む場合であっても、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張することができる。
一実施形態においては、スプリッタと前記第2入出力部との間に配置された光学スイッチを備え、前記光学スイッチは、前記スプリッタからの参照光を前記第1コリメータへ出力する光経路と、前記スプリッタからの参照光を前記第2コリメータへ出力する光経路とを切り替えてもよい。このように、スプリッタにて第1コリメータ及び第2コリメータへ参照光が2つに分岐するのではなく、スプリッタから出力された参照光を光学スイッチによって切り替える場合であっても、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張することができる。
一実施形態においては、参照ミラー部は、前記光源からの光の一部を透過する材料で構成され、前記第1反射面及び前記第1反射面に対向する前記第2反射面を有してもよい。このように、参照ミラー部が1つの部材で構成されている場合であっても、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張することができる。
一実施形態においては、前記参照ミラー部は、温度測定点ごとに配置されてもよい。このように構成されることで、温度測定点ごとに、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張することができる。
一実施形態においては、温度計測システムは、前記第1入出力部の向きを変更する駆動部を備え、前記駆動部が前記第1入出力部の向きを変更することにより測定光の出射方向が変更されてもよい。この場合、例えば、測定対象物の表面への測定光の出射方向と、測定対象物の裏面への測定光の出射方向とを変更することができる。このため、例えば、表面と裏面とが平行ではない測定対象物の温度を計測することができる。
一実施形態においては、光路長算出部は、前記第1主面の反射光と前記第1反射面の反射光との干渉強度分布を第1出射方向で取得し、前記第2主面の反射光と前記第2反射面の反射光との干渉強度分布を第2出射方向で取得してもよい。このように構成することで、表面と裏面とが平行ではない測定対象物の温度を計測することができる。
本発明の他の側面に係る基板処理装置は、第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する測定対象物の温度を計測する温度計測システムを備える基板処理装置であって、真空排気可能に構成され、前記測定対象物を収容する処理室を有し、該温度計測システムは、前記測定対象物を透過する波長を有する光の光源と、前記光源に接続され、前記光源からの光を測定光と参照光とに分けるスプリッタと、前記スプリッタからの測定光を前記測定対象物の前記第1主面へ出射するとともに、前記第1主面及び前記第2主面からの反射光を入射する第1入出力部と、参照光を反射する第1反射面と、参照光の入射方向において前記第1の反射面から予め定められた光路長で離間し、参照光を反射する第2反射面とを有する参照ミラー部と、前記スプリッタからの参照光を前記参照ミラー部へ出射するとともに、前記参照ミラー部からの反射光を入射する第2入出力部と、前記スプリッタに接続され、波長に依存した反射光の強度分布を計測する分光器と、前記分光器に接続され、前記第1主面、前記第1反射面、前記第2主面、及び、前記第2反射面の反射光の強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて、前記第1主面と前記第1反射面との第1光路差、及び、前記第2主面と前記第2反射面との第2光路差を算出する光路長算出部と、前記第1光路差、前記第2光路差、及び、前記予め定められた光路長に基づいて、前記測定対象物の温度を計測する温度計測部と、を備える。
本発明の他の側面に係る基板処理装置によれば、上述した温度計測システムと同一の高価を奏する。
本発明のさらに他の側面に係る温度計測方法は、第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する測定対象物の温度を計測する温度計測システムを用いた温度計測方法であって、該温度計測システムは、前記測定対象物を透過する波長を有する光の光源と、前記光源に接続され、前記光源からの光を測定光と参照光とに分けるスプリッタと、前記スプリッタからの測定光を前記測定対象物の前記第1主面へ出射するとともに、前記第1主面及び前記第2主面からの反射光を入射する第1入出力部と、参照光を反射する第1反射面と、参照光の入射方向において前記第1の反射面から予め定められた光路長で離間し、参照光を反射する第2反射面とを有する参照ミラー部と、前記スプリッタからの参照光を前記参照ミラー部へ出射するとともに、前記参照ミラー部からの反射光を入射する第2入出力部と、前記スプリッタに接続され、波長に依存した反射光の強度分布を計測する分光器と、を備え、該方法は、前記分光器により計測された前記第1主面、前記第1反射面、前記第2主面、及び、前記第2反射面の反射光の強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて、前記第1主面と前記第1反射面との第1光路差、及び、前記第2主面と前記第2反射面との第2光路差を算出する光路差算出ステップと、前記第1光路差、前記第2光路差、及び、前記予め定められた光路長に基づいて、前記測定対象物の温度を計測する温度計測ステップと、を有する。
本発明のさらに他の側面に係る温度計測方法によれば、上述した温度計測システムと同一の高価を奏する。
本発明の種々の側面及び実施形態によれば、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張することができる温度計測システム、基板処理装置及び温度測定方法が提供される。
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
(第1実施形態)
図1は、一実施形態に係る温度計測システム1の一例を示す構成図である。図1に示すように、温度計測システム1は、光干渉を利用して測定対象物15の厚さ又は温度を計測するシステムである。なお、以下では、説明理解の容易性を考慮して温度計測システム1が測定対象物15の温度を計測する場合を例に説明する。
図1は、一実施形態に係る温度計測システム1の一例を示す構成図である。図1に示すように、温度計測システム1は、光干渉を利用して測定対象物15の厚さ又は温度を計測するシステムである。なお、以下では、説明理解の容易性を考慮して温度計測システム1が測定対象物15の温度を計測する場合を例に説明する。
温度計測システム1は、光源10、スプリッタ11、コリメータ(第1入出力部)12、コリメータ(第2入出力部、第1コリメータ)13、コリメータ(第2入出力部、第2コリメータ)14、第1参照ミラー(第1ミラー、参照ミラー部)16、第2参照ミラー(第2ミラー、参照ミラー部)17、分光器18及び制御装置(制御部)19を備えている。なお、コリメータ12に替えてフォーカサを用いてもよい。光源10、スプリッタ11、コリメータ12、コリメータ13〜14及び分光器18のそれぞれの接続は光ファイバーケーブルを用いて行われる。
光源10は、測定対象物15を透過する波長を有する測定光を発生させる。光源10として、例えばSLD(Super Luminescent Diode)が用いられる。なお、測定対象物15は、例えば板状を呈し、表面(第1主面)15a及び表面(第2主面)15aに対向する裏面15bを有している。計測対象とする測定対象物15としては、例えばSi(シリコン)の他にSiO2(石英)又はAl2O3(サファイア)等が用いられる。Siの屈折率は、波長4μmにおいて3.4である。SiO2の屈折率は、波長1μmにおいて1.5である。Al2O3の屈折率は、波長1μmにおいて1.8である。
スプリッタ11は、光源10で発生した光を測定光と参照光とに分離する。そして、コリメータ12へ測定光を出射するとともに、コリメータ13及びコリメータ14へ参照光を出射する。コリメータ12は、測定光を測定対象物15へ出射する。コリメータ12は、測定対象物15の表面15a及び裏面15bからの反射光を入射する。
コリメータ13は、平行光線として調整された参照光を第1参照ミラー16へ出射する。そして、コリメータ13は、第1参照ミラー16の第1反射面16aからの反射光を入射する。第1参照ミラー16は参照光をコリメータ13へ反射する。コリメータ13は、反射光をスプリッタ11へ出射する。コリメータ14は、平行光線として調整された参照光を第2参照ミラー17へ出射する。そして、コリメータ14は、第2参照ミラー17の第2反射面17aからの反射光を入射する。第2参照ミラー17は参照光をコリメータ14へ反射する。コリメータ14は、反射光をスプリッタ11へ出射する。同様に、コリメータ12もスプリッタ11へ測定対象物15のからの反射光を出射する。コリメータ12及びコリメータ13を介して得られた反射光は分光器18へ出射され、制御装置19で計測される。
なお、第1参照ミラー16は、スプリッタ11から第1参照ミラー16の第1反射面16aまでの光路長と、スプリッタ11から測定対象物15の表面15aまでの光路長とが一致しないように、配置される。同様に、第2参照ミラー17は、スプリッタ11から第2参照ミラー17の第2反射面17aまでの光路長と、スプリッタ11から測定対象物15の裏面15bまでの光路長とが一致しないように、配置される。このように第1参照ミラー16及び第2参照ミラー17が配置されることで、フーリエ変換後の0次干渉ピークと重ならない位置に、干渉ピークを出現させることができる。また、第1参照ミラー16の第1反射面16aと、第2参照ミラー17の第2反射面17aとは、参照光の入射方向において予め定められた光路長で離間して配置される。
分光器18は、スプリッタ11から得られた反射光のスペクトル(干渉強度分布)を測定する。反射光スペクトルは、反射光の波長又は周波数に依存した強度分布を示す。図2は、分光器18及び制御装置19の機能ブロック図である。図2に示すように、分光器18は、例えば、光分散素子181及び受光部182を備える。光分散素子181は、例えば、回折格子等であり、光を波長ごとに所定の分散角で分散させる素子である。受光部182は、光分散素子181によって分散された光を取得する。受光部182としては、複数の受光素子が格子状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)が用いられる。受光素子の数がサンプリング数となる。また、光分散素子181の分散角及び光分散素子181と受光素子との距離に基づいて、波長スパンが規定される。これにより、反射光は波長又は周波数ごとに分散され、反射光スペクトルとして波長又は周波数ごとに強度が取得される。分光器18は、この反射光スペクトルを制御装置19へ出力する。受光部182について、上記ではCCDを用いた場合で説明したが、受光部182は光スペクトラムアナライザ、又は、チューナブルフィルターとフォトダイオードとを用いたものでもよい。
制御装置19は、反射光スペクトルに基づいて測定対象物15の温度を計測する。制御装置19は、光路長算出部20、温度計測部24及び温度校正データ25を備えている。
光路長算出部20は、フーリエ変換部21、データ補間部22及び重心計算部23を備えている。フーリエ変換部21は、反射光スペクトルを高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)によりフーリエ変換する。例えば、時間領域におけるフーリエ変換であれば、周波数(単位時間あたりの振動数)に依存した強度分布を示す反射光スペクトルを、時間に依存した強度分布を示す反射光スペクトルへ変換する。また、例えば、空間領域におけるフーリエ変換であれば、空間周波数(単位長さあたりの振動数)に依存した強度分布を示す反射光スペクトルを、位置に依存した強度分布を示す反射光スペクトルへ変換する。データ補間部22は、フーリエ変換後の反射光スペクトルの所定のピーク値を含む範囲において、データ点を補間する。重心計算部23は、フーリエ変換後の反射光スペクトルの所定のピーク値の重心位置を計算する。光路長算出部20は、重心位置に基づいて光路長を算出する。
温度計測部24は、光路長に基づいて、測定対象物15の温度を算出する。温度計測部24は、温度校正データ25を参照して測定対象物15の温度を算出する。温度校正データ25は、予め測定されたデータであり、温度と光路長との関係を示すものである。
上記構成を有する温度計測システム1によって、測定対象物15の表面15aと第1反射面16aとの光干渉、及び、測定対象物15の裏面15bと第2反射面17aとの光干渉を利用して温度を測定する(FFT周波数領域法)。以下、光干渉の原理について説明する。図3は、図1に示す温度計測システムの光路長及び反射光を説明するための概要図である。図3に示すように、スプリッタ11での干渉を数式で検討する。ここで、スプリッタ11から測定対象物15までの光路長(第1光路長)をLs、スプリッタ11から第1参照ミラー16までの光路長(第2光路長)をLA、スプリッタ11から第2参照ミラー17までの光路長(第3光路長)をLBとし、表面15aと第1参照ミラー16の第1反射面16aまでの光路長をD1、裏面15bと第2参照ミラー17の第2反射面17aまでの光路長をD2、第1参照ミラー16と第2参照ミラー17との光路長をD3とし、測定対象物15の厚さをd、屈折率をn、表面の反射率をr01、裏面の反射率をr12とし、空気から測定対象物15への透過率と、測定対象物15から空気への透過率をそれぞれt01、t10とし、第1参照ミラー16及び第2参照ミラー17の表面の反射率をrとし、スプリッタ11から測定対象物15へ分岐した光成分(測定光)をES0、スプリッタ11から第1参照ミラー16へ分岐した光成分(参照光)をEA0、スプリッタ11から第2参照ミラー17へ分岐した光成分(参照光)をEB0、表面15aにおける反射成分をES1、裏面15bにおける反射成分をES2、第1反射面16aにおける反射成分をEA1、第2反射面17aにおける反射成分をEB1とする。なお、説明理解の容易性を考慮して、ここでは測定対象物15からの反射は1回とし、2回目以降の反射は省略している。この場合、スプリッタ11での光の電界の振幅E及び反射成分ES1、ES2、EA1、EB1、EA0、EB0は、以下の式で表すことができる。
ここで、
であり、反射スペクトルの強度をIとすると、
となる。なお、cは光速であり、ε0は真空の誘電率である。上記より、反射スペクトルの強度ピークを求めるためには、式1で示す振幅Eを二乗して検討すればよい。その結果、反射光スペクトルの強度I(k)は、入射光スペクトルの強度S(k)と以下の数式で示す関係となる。
上記式より、強度Iは、x=0に対して対象な信号となることがわかる。しかし対象に信号が出現するのは数式上であって実際はXmax>x≧0の実空間のみに出現することとなる。第1参照ミラー16は測定対象物15の表面15aの光路長付近(同一の光路長は含まない)に配置され、第2参照ミラー17は、測定対象物15の裏面15bの光路長付近(同一の光路長は含まない)に配置される。このため、
となる。また、
を満たすことは自明である。D3=LB−LAは、第1参照ミラー16と第2参照ミラー17との光路長であり、事前に計測されたデータである。そして、以下のとおり、Xmaxが小さい温度計測システムと仮定する。
となる。また、
を満たすことは自明である。D3=LB−LAは、第1参照ミラー16と第2参照ミラー17との光路長であり、事前に計測されたデータである。そして、以下のとおり、Xmaxが小さい温度計測システムと仮定する。
上記仮定により、これらの項は信号として出現しないことになる。Xmax>x≧0の実空間に信号が現れない項目を整理すると以下のとおりとなる。
ここで、第2項は、測定対象物15の表面15aと第1参照ミラー16の第1反射面16aによる干渉表す項、第3項は、測定対象物15の裏面15bと第2参照ミラー17の第2反射面17aによる干渉を表す項になる。つまり、測定対象物15の表面15aと第1参照ミラー16の第1反射面16aとの干渉のピーク、測定対象物15の裏面15bと第2参照ミラー17の第2反射面17aとの干渉のピークが残る形になる。
ここで、第2項は、測定対象物15の表面15aと第1参照ミラー16の第1反射面16aによる干渉表す項、第3項は、測定対象物15の裏面15bと第2参照ミラー17の第2反射面17aによる干渉を表す項になる。つまり、測定対象物15の表面15aと第1参照ミラー16の第1反射面16aとの干渉のピーク、測定対象物15の裏面15bと第2参照ミラー17の第2反射面17aとの干渉のピークが残る形になる。
そして、信号の重心を算出することにより、測定対象物15の裏面15bと第2参照ミラー17の第2反射面17aとの相互距離D1(つまり|LA−LS|)、及び、測定対象物15の裏面15bと第2参照ミラー17の第2反射面17aとの相互距離D2(つまり|LS+n・d−LB|が算出される。測定対象物15の裏面15bと第2参照ミラー17の第2反射面17aとの位置関係、及び、測定対象物15の裏面15bと第2参照ミラー17の第2反射面17aとの位置関係は、以下の4パターンとなる。
(パターン1)
図4は、構成要素の位置関係(パターン1)を示す概要図である。図4に示すように、LA>LS、LB>LS+n・dのときには、以下の数式で測定対象物15の厚さに対応する光路長n・dを算出することができる。
図4は、構成要素の位置関係(パターン1)を示す概要図である。図4に示すように、LA>LS、LB>LS+n・dのときには、以下の数式で測定対象物15の厚さに対応する光路長n・dを算出することができる。
(パターン2)
図5は、構成要素の位置関係(パターン2)を示す概要図である。図5に示すように、LA>LS、LB<LS+n・dのときには、以下の数式で測定対象物15の厚さに対応する光路長n・dを算出することができる。
図5は、構成要素の位置関係(パターン2)を示す概要図である。図5に示すように、LA>LS、LB<LS+n・dのときには、以下の数式で測定対象物15の厚さに対応する光路長n・dを算出することができる。
(パターン3)
図6は、構成要素の位置関係(パターン3)を示す概要図である。図6に示すように、LA<LS、LB>LS+n・dのときには、以下の数式で測定対象物15の厚さに対応する光路長n・dを算出することができる。
図6は、構成要素の位置関係(パターン3)を示す概要図である。図6に示すように、LA<LS、LB>LS+n・dのときには、以下の数式で測定対象物15の厚さに対応する光路長n・dを算出することができる。
(パターン4)
図7は、構成要素の位置関係(パターン4)を示す概要図である。図7に示すように、LA<LS、LB<LS+n・dのときには、以下の数式で測定対象物15の厚さに対応する光路長n・dを算出することができる。
図7は、構成要素の位置関係(パターン4)を示す概要図である。図7に示すように、LA<LS、LB<LS+n・dのときには、以下の数式で測定対象物15の厚さに対応する光路長n・dを算出することができる。
次に、温度計測システム1の温度計測動作について説明する。図8は、温度計測システム1の動作(温度計測方法)を示すフローチャートである。図8に示す制御処理は、温度計測システム1の構成要素が所定位置に配置された後に実行される。
図8に示すように、反射光スペクトルの入力処理から開始する(S10)。光源10は、測定光を発生する。例えば、図9の(a)に示すスペクトルの測定光となる。分光器18は、測定対象物15の表面15a及び裏面15bで反射した反射光のスペクトルを取得する。例えば、図9の(b)に示すスペクトルの反射光となる。光路長算出部20は、分光器18から反射光のスペクトルを入力する。S10の処理が終了すると、座標変換処理へ移行する(S12)。
S12の処理では、光路長算出部20が、S10の処理で得られたスペクトルの座標軸を、波長λから空間周波数(1/λ)へ変換する。例えば、図9の(c)に示すスペクトルとなる。S12の処理が終了すると、第1データ補間処理へ移行する(S14)。
S14の処理では、光路長算出部20が、S12の処理で得られたスペクトルのデータ補間を行う。例えば、光路長算出部20は、データ間を線形補間する。例えば、サンプリング数をNsとし、スペクトルのデータとして、空間周波数の配列を(x0,x1,x2,…,xN−1)とし、強度の配列を(y0,y1,y2,…,yN−1)とする。まず、光路長算出部20は、空間周波数の配列を等間隔に再配列する。例えば、再配列後の空間周波数の配列に含まれる空間周波数をXiとすると、以下の式を用いて再配列を行う。
次に、光路長算出部20は、再配列後の空間周波数Xiにおける強度を、線形補間で計算する。このときの強度をYiとすると、以下の式を用いて算出する。
ただし、jはXi>xjとなる最大の整数である。これにより、例えば図10の(a)に示すスペクトルとなる。S14の処理が終了すると、FFT処理へ移行する(S16)。
次に、光路長算出部20は、再配列後の空間周波数Xiにおける強度を、線形補間で計算する。このときの強度をYiとすると、以下の式を用いて算出する。
ただし、jはXi>xjとなる最大の整数である。これにより、例えば図10の(a)に示すスペクトルとなる。S14の処理が終了すると、FFT処理へ移行する(S16)。
S16の処理では、フーリエ変換部21が、S14の処理で補間されたスペクトルをフーリエ変換する。これにより、例えば、図10の(b)に示すように、縦軸が振幅、横軸が位相のスペクトルとなる。S16の処理が終了すると、フィルタリング処理へ移行する(S18)。
S18の処理では、光路長算出部20が、S16の処理で得られたスペクトルからX=0のピーク値をフィルタリングする。例えば、X=0からX=Z(所定値)までの範囲の強度データYに0を代入する。S18の処理が終了すると、抽出処理へ移行する(S20)。
S20の処理では、光路長算出部20が、S18の処理で得られたスペクトルからX=D1及びX=D2のピーク値を抽出する。例えば、ピークの最大値をYiとした場合、Yi−10からデータ点を20点抽出する。これは、ピークの中心から裾までのデータを抽出するためである。例えば、ピークの最大値を1としたときに、最大値から0.5までの範囲が含まれるように抽出する。例えば、図10の(c)に示すスペクトルが抽出される。なお、図中には示されていないが、測定対象物15の表面15aと第1参照ミラー16の第1反射面16aとの干渉のピーク、測定対象物15の裏面15bと第2参照ミラー17の第2反射面17aとの干渉のピークの2つのピークを抽出する。S20の処理が終了すると、第2データ補間処理へ移行する(S22)。
S22の処理では、データ補間部22が、S20の処理で得られたD1ピーク及びD2ピークのデータを補間する(データ補間工程)。データ補間部22は、例えばデータ点間を補間数NAで等間隔に線形補間する。補間数NAは、例えば必要な温度精度に基づいて予め設定される。
ここで、補間数NAについて概説する。例えば、測定対象物15が半径300mmのSi基板である場合には、FFT後のピーク間隔Δ2・n・dが0.4μm/℃となる。したがって、1℃の精度が必要な場合には、データ間隔が0.4μmとなるように補間数NAを設定する。システムが有するノイズレベルを考慮して補間数NAを決定してもよい。ここで、分光器18が、波長スパンΔw=42nm、サンプリング数Ns=640であるとする。また、光源10が、中心波長λ0=1560nmであるとする。この場合、FFT後のデータ間隔は、式8を用いてΔx=56nmとなる。よって、0.4μmのデータ間隔となるように、各点の間隔を140点補間する必要がある(補間数NA=140)。また、ノイズレベルが0.1℃程度の場合には、0.1℃以下の分解能は不要である。なお、Δx=56nmのまま計算すると、分解能が140℃となることからもデータ補間の重要性が理解できる。例えば、以下の数式を用いてデータ補間を行う。
ここで、jは強度の配列に用いた指標である。データ補間部22は、上記式32をi=0〜N−1の範囲で実行する。すなわち、S20の処理で得られた20点の間隔全てを対象にして算出する。このように、フーリエ変換後のデータ間隔を、必要な分割数(補間数N)で分割し、分割数に応じたデータ数を線形補間する。S22の処理が終了すると、抽出処理へ移行する(S24)。
ここで、jは強度の配列に用いた指標である。データ補間部22は、上記式32をi=0〜N−1の範囲で実行する。すなわち、S20の処理で得られた20点の間隔全てを対象にして算出する。このように、フーリエ変換後のデータ間隔を、必要な分割数(補間数N)で分割し、分割数に応じたデータ数を線形補間する。S22の処理が終了すると、抽出処理へ移行する(S24)。
S24の処理では、重心計算部23が、S22の処理で補間されたデータから重心の計算に利用するデータ範囲のみを抽出する。例えば、重心計算部23は、重心計算に使用する閾値をA%とし、ピークの最大強度YMAX×A以下の強度データYに0を代入する。S24の処理が終了すると、重心計算処理へ移行する(S26)。
S26の処理では、重心計算部23が、S24の処理で補間されたデータから重み付け重心を計算する。例えば、以下の式を用いる。
なお、Nは重心範囲抽出後のデータ点数である。これにより、光路長D1,D2を算出することができる。具体的には、光路長算出部20は、表面15a、第1反射面16a、裏面15b及び第2反射面17aの反射光の強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて、表面15aと第1反射面16aとの第1光路差、及び、裏面15bと第2反射面17aとの第2光路差を算出する(光路差算出ステップ)。S26の処理が終了すると、温度計算処理へ移行する(S28)。
なお、Nは重心範囲抽出後のデータ点数である。これにより、光路長D1,D2を算出することができる。具体的には、光路長算出部20は、表面15a、第1反射面16a、裏面15b及び第2反射面17aの反射光の強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて、表面15aと第1反射面16aとの第1光路差、及び、裏面15bと第2反射面17aとの第2光路差を算出する(光路差算出ステップ)。S26の処理が終了すると、温度計算処理へ移行する(S28)。
S28の処理では、温度計測部24が、S26の処理で得られた光路長を用いて温度を算出する(温度計測ステップ)。温度計測部24は、上述した4つの構成要素の位置関係パターンに基づいて、測定対象物15の厚さを算出する数式を特定し、S26の処理で得られた光路長と、予め測定された第1反射面16aと第2反射面17aとの間の光路長とに基づいて、測定対象物15の光路長n・dを算出する。そして、温度計測部24は、例えば図11に示す温度校正データ25を用いて温度を算出する。図11は、横軸が光路長n・dであり、縦軸が温度である。温度校正データ25は予め測定対象物15ごとに取得される。以下では、温度校正データ25の事前作成例について説明する。例えば、温度制御に黒体炉を使用して実測する。温度Tと、温度Tにおける光路長ndTを同時に計測する。温度Tは、熱電対等の温度計を用いて測定する。また、光路長ndTは、上述したFFTを利用した手法で測定する。そして、温度計の測定値が40℃の時の光路長nd40を1000として光路長ndTを規格化する。そして、温度と規格化された光路長ndTを100℃ごとに区分して、3次式で近似することで、近似曲線の係数を導出する。図8の左上に示す数式が3次式の数式である。なお、温度Tに依存した規格化された光路長ndTの関数を以下式で表す。
また、f(T)の逆関数を以下のように示す。
光路長nd40は、イニシャル温度T0とその時の光路長ndT0に基づいて以下の数式により算出される。
式4に基づいて得られた光路長nd40及び光路長ndTに基づいて、温度Tを上述した式3の数式を用いて導出する。S28の処理が終了すると、図8に示す制御処理を終了する。
また、f(T)の逆関数を以下のように示す。
光路長nd40は、イニシャル温度T0とその時の光路長ndT0に基づいて以下の数式により算出される。
式4に基づいて得られた光路長nd40及び光路長ndTに基づいて、温度Tを上述した式3の数式を用いて導出する。S28の処理が終了すると、図8に示す制御処理を終了する。
以上で図8に示す制御処理を終了する。図8に示す制御処理を実行することで、少ないデータ点であっても高精度に温度を測定することができる。また、温度精度に合わせてデータ点を補間することができるので、精度よく安定な温度計測をすることができる。
以上、第1実施形態に係る温度計測システム1及び温度計測方法では、2つの反射面(第1反射面16a及び第2反射面17a)を用いて、測定対象物15の表面15aと第1反射面16aとの第1光路差、及び、測定対象物15の裏面15bと第2反射面17aとの第2光路差を算出する。そして、第1反射面16aと第2反射面17aとの間の光路長を予め定めておく。これにより、厚みのある測定対象物15であっても、測定対象物15の表面15aと第1反射面16aとの第1光路差、及び、測定対象物15の裏面15bと第2反射面17aとの第2光路差さえ測定できれば、測定対象物15の厚さ、つまり、測定対象物15の温度を測定することができる。よって、測定対象物15の表面15a及び裏面15bの干渉強度分布を用いて測定対象物15の温度を計測する場合と比べて、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る温度計測システム1Aは、第1実施形態に係る温度計測システム1と比べて、スプリッタ11から分岐された参照光を光学スイッチで切り替える点が相違し、その他は同一である。以下では、第1実施形態と同一の内容については記載を省略し、相違点を中心に説明する。
第2実施形態に係る温度計測システム1Aは、第1実施形態に係る温度計測システム1と比べて、スプリッタ11から分岐された参照光を光学スイッチで切り替える点が相違し、その他は同一である。以下では、第1実施形態と同一の内容については記載を省略し、相違点を中心に説明する。
図12は、温度計測システム1Aの一例を示す構成図である。温度計測システム1Aは、スプリッタ11とコリメータ(第1コリメータ)13及びコリメータ(第2コリメータ)14との間に配置された光学スイッチ26を備える。光学スイッチ26は、スプリッタ111からの参照光をコリメータ13へ出力する光経路と、スプリッタ11からの参照光をコリメータ14へ出力する光経路とを切り替える。光学スイッチ26は、第1参照ミラー16の第1反射面16aからの反射光を取得するときには、コリメータ13へ参照光を出力する光経路とし、第1参照ミラー16の第1反射面16aからの反射光を取得するときには、コリメータ13へ参照光を出力する光経路とする。その他の構成は、第1実施形態に係る温度計測システム1と同一である。以上、第2実施形態に係る温度計測システム1Aは、光学スイッチ26によって光経路が切り替える場合であっても、第1実施形態に係る温度計測システムと同一の効果を奏する。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る温度計測システム1Bは、第1実施形態に係る温度計測システム1と比べて、第1参照ミラー16及び第2参照ミラー17に替えて、第3反射部材27を備える点が相違し、その他は同一である。以下では、第1実施形態と同一の内容については記載を省略し、相違点を中心に説明する。
第3実施形態に係る温度計測システム1Bは、第1実施形態に係る温度計測システム1と比べて、第1参照ミラー16及び第2参照ミラー17に替えて、第3反射部材27を備える点が相違し、その他は同一である。以下では、第1実施形態と同一の内容については記載を省略し、相違点を中心に説明する。
図13は、温度計測システム1Bの一例を示す構成図である。温度計測システム1Bは、その表面側に第1反射面27a、及び、その裏面側に第2反射面27bを有する第3反射部材27を有する。第3反射部材27は、光源10からの光の一部を透過する材料で構成される。第3反射部材27は例えば石英で形成される。その他の構成は、第1実施形態に係る温度計測システム1と同一である。以上、第3実施形態に係る温度計測システム1Bは、2つの反射面が1つの部材で構成されている場合であっても、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態に係る温度計測システム1Cは、第1実施形態に係る温度計測システム1と比べて、コリメータ12の向きを変更する駆動部12aを備える点、及び、光路長算出部20の機能が相違し、その他は同一である。以下では、第1実施形態と同一の内容については記載を省略し、相違点を中心に説明する。
第4実施形態に係る温度計測システム1Cは、第1実施形態に係る温度計測システム1と比べて、コリメータ12の向きを変更する駆動部12aを備える点、及び、光路長算出部20の機能が相違し、その他は同一である。以下では、第1実施形態と同一の内容については記載を省略し、相違点を中心に説明する。
図14は、温度計測システム1Cの一例を示す構成図である。温度計測システム1Cは、コリメータ12の向きを変更する駆動部12aを備える。駆動部12aは、コリメータ12の傾き位置を調整する。駆動部12aは、例えば、コリメータ12の向きを、表面に直交する出射方向(Z方向)から角度θずらすことができる。駆動部12aがコリメータ12の向きを変更することにより測定光の出射方向が変更される。駆動部12aは、例えば、制御装置19に接続され、駆動信号によって駆動する圧電素子を備えている。この場合、制御装置19から駆動信号に基づいて、傾き位置(θ)が調整される。このように、コリメータ12は、駆動部12aにより出射方向を制御可能に構成されている。
光路長算出部20は、測定対象物15の表面15aと第1反射面16aとの干渉強度分布を第1出射方向(Z方向)で取得し、測定対象物15の裏面15bと第2反射面17aとの干渉強度分布を第2出射方向(Z方向からθ傾けた方向)で取得する。このように表面15aと裏面15bとにおいて、出射方向を変更して干渉強度分布を取得する。
図15は、図14に示す温度計測システム1Cの動作を説明する概要図である。図15に示すように、温度計測システム1Cは、最初に、表面15aに直交する方向(図中L01方向)に測定光を出射して、測定対象物15の表面15aと第1反射面16aとの干渉強度分布を取得する。これにより、図中の光路長X1が計測される。次に、温度計測システム1Cは、表面15aに直交する方向から角度θ傾けた方向(図中L02方向)に測定光を出射して、測定対象物15の裏面15bと第2反射面17aとの干渉強度分布を取得する。なお、角度θは、反射光の強度が最も高くなる位置、つまり、測定対象物15の裏面15bと直交する方向となる。これにより、図中の光路長X2が計測される。また、光路長X3は予め測定されており、既知である。図中において、角度を傾けたことにより生じる距離差X4は、L/cosθ−Lで表現できる。これにより、計測したい距離n・d・cosθは、以下の数式で表現できる。
その他の構成は、第1実施形態に係る温度計測システム1と同一である。以上、第4実施形態に係る温度計測システム1Cは、表面15aと裏面15bとが平行ではない測定対象物15の温度を計測することができる。
その他の構成は、第1実施形態に係る温度計測システム1と同一である。以上、第4実施形態に係る温度計測システム1Cは、表面15aと裏面15bとが平行ではない測定対象物15の温度を計測することができる。
なお、上述した実施形態は温度計測システム及び温度計測方法の一例を示すものであり、実施形態に係る装置及び方法を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
(変形例)
第1実施形態から第4実施形態に係る温度計測システムを基板処理装置に搭載してもよい。図16は、一実施形態にかかる基板処理装置100の要部縦断面構成を模式的に示す図である。ここでは、プラズマエッチング装置などの基板処理装置における測定対象物15の例として、ウエハ、フォーカスリング又は対向電極(上部電極)の温度測定に適用する場合を例に挙げて説明する。
第1実施形態から第4実施形態に係る温度計測システムを基板処理装置に搭載してもよい。図16は、一実施形態にかかる基板処理装置100の要部縦断面構成を模式的に示す図である。ここでは、プラズマエッチング装置などの基板処理装置における測定対象物15の例として、ウエハ、フォーカスリング又は対向電極(上部電極)の温度測定に適用する場合を例に挙げて説明する。
図16に示すように、基板処理装置100は、基板としての半導体ウエハWを収容してプラズマにより処理するための真空チャンバ200を具備している。
真空チャンバ200は、その内部に処理室202を画成する。処理室202は、真空排気可能に構成されている。処理室202には、半導体ウエハWを載置するための載置台30が設けられている。この載置台30は、導電性材料から構成され、高周波電力が印加されるRFプレート40と、このRFプレート40上に設けられ、半導体ウエハWを吸着するための静電チャック機構50とを具備しており、RFプレート40の中央部には、高周波電源(不図示)と電気的に接続された給電棒60が接続されている。
載置台30の周囲には、載置台30の周囲を囲むように、環状に形成されたバッフル板70が設けられており、バッフル板70の下部には、載置台30の周囲から均一に排気を行うための環状の排気空間80が形成されている。また、真空チャンバ200の底部には、ベースプレート90が設けられており、RFプレート40とベースプレート90との間には、空隙101が形成されている。この空隙101は、RFプレート40とベースプレート90を絶縁するための十分な広さとなっている。また、搬送アームから半導体ウエハWを受け取り載置台30に載置又は半導体ウエハWを載置台30より持ち上げて搬送アームに受け渡すプッシャーピンの駆動機構(不図示)が、この空隙101内に設けられている。また、この空隙101は、真空雰囲気ではなく大気雰囲気となっている。
載置台30の上方には、載置台30と間隔を設けて対向するように対向電極110が設けられている。この対向電極110は、所謂シャワーヘッドによって構成されており、載置台30上に載置された半導体ウエハWに対して、シャワー状に所定の処理ガスを供給できるように構成されている。この対向電極110は、接地電位とされるか或いは高周波電力が印加されるようになっている。また、載置台30上の半導体ウエハWの周囲には、フォーカスリング290が設けられている。このフォーカスリング290は、半導体ウエハWのプラズマ処理の面内均一性を向上させるためのものである。
上記真空チャンバ200は、載置台30の上部の空間である処理室202が真空雰囲気となり、載置台30の下部の空隙101が常圧雰囲気となるように構成されている。したがって、載置台30が真空雰囲気と常圧雰囲気とを仕切る仕切り壁の一部を構成するようになっている。そして、載置台30には、複数(図1に示す例では4つ)の温度測定用窓120,130,140及び150が形成されている。これらの温度測定用窓120,130,140及び150は、載置台30の上面と下面とを測定光が透過可能なように光学的に連通し、かつ、気密封止された構造となっている。
なお、一実施形態では、温度測定用窓120,130,140及び150のうち、載置台30の最も外周側の位置に設けられた温度測定用窓150は、フォーカスリング290の温度を測定するためのものであり、他の温度測定用窓120,130及び140は、半導体ウエハWの温度、又は、対向電極110の温度を測定するためのものである。
上記温度測定用窓120,130,140及び150に対応して、ベースプレート90には、貫通孔160,170,180及び190が設けられており、これらの貫通孔には、夫々温度測定手段からの測定光を導くための光ファイバ201,210,220及び230の出口部分に設けられたコリメータ240,250,260及び270が固定されている。また、ベースプレート90と載置台30(RFプレート40)との間の空隙101には、ベースプレート90と載置台30(RFプレート40)とを連結する連結部材300が配置されている。なお、図16には、連結部材300を1つのみ図示してあるが、この連結部材300は、周方向に沿って複数(例えば4個以上)配置されている。これらの連結部材300は、載置台30の変形や振動を抑制するためのものである。
上記光ファイバ201,210,220及び230は、温度計測システム1、温度計測システム1A、温度計測システム1B又は温度計測システム1Cに接続されている。すなわち、コリメータ240,250,260及び270がそれぞれのシステムにおけるコリメータに対応する。なお、それぞれの温度測定点ごとに参照ミラーが2つ配置される。
光源としては、測定光と参照光との干渉が測定できれば、任意の光を使用することが可能である。半導体ウエハWの温度測定を行う場合には、少なくとも半導体ウエハWの表面と裏面との間の距離(通常は800〜1500μm程度)からの反射光が干渉を生じない程度の光が好ましい。具体的には例えば低コヒーレンス光を用いることが好ましい。低コヒーレンス光とは、コヒーレンス長の短い光をいう。低コヒーレンス光の中心波長は例えば0.3〜20μmが好ましく、更に0.5〜5μmがより好ましい。また、コヒーレンス長としては、例えば0.1〜100μmが好ましく、更に3μm以下がより好ましい。このような低コヒーレンス光を光源として使用することにより、余計な干渉による障害を回避でき、半導体ウエハWの表面又は内部層からの反射光に基づく参照光との干渉を容易に測定することができる。
上記低コヒーレンス光を使用した光源としては、例えばSLD(Super Luminescent Diode)、LED、高輝度ランプ(タングステンランプ、キセノンランプなど)、超広帯域波長光源等を使用することができる。これらの低コヒーレンス光源の中でも、輝度の高いSLD(波長、例えば1300nm)を光源として用いることが好ましい。
上記温度計測システム1における参照光は、コリメータ240,260,270及び280から出力され、載置台30から測定対象物である半導体ウエハW、フォーカスリング290及び対向電極110へ出力される。
以上、基板処理装置100に第1実施形態から第4実施形態に係る温度計測システムを搭載することで、分光器の分解能を変更することなくシステムの測定可能な温度範囲を拡張することができる。
また、上述した第4実施形態では、コリメータを圧電素子で駆動させる例を説明したが、駆動方式に限定されるものではなく、例えば、ステッピングモータで駆動させてもよい。
また、上述した実施形態では、温度計測システム1が測定対象物15の温度を測定する場合を例に説明したが、光路長n・dから厚さを測定してもよい。
1,1A,1B,1C…温度計測システム、10…光源、11…スプリッタ、12…コリメータ(第1入出力部)、13…コリメータ(第2入出力部、第1コリメータ),14…コリメータ(第2入出力部、第2コリメータ)、12a…駆動部、16…第1参照ミラー(参照ミラー部)、17…第2参照ミラー(参照ミラー部)、18…分光器、19…制御装置(制御部)、20…光路長算出部、21…フーリエ変換部、22…データ補間部、23…重心計算部、24…温度計測部、25…温度校正データ、100…基板処理装置、202…処理室。
Claims (9)
- 第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する測定対象物の温度を計測する温度計測システムであって、
前記測定対象物を透過する波長を有する光の光源と、
前記光源に接続され、前記光源からの光を測定光と参照光とに分けるスプリッタと、
前記スプリッタからの測定光を前記測定対象物の前記第1主面へ出射するとともに、前記第1主面及び前記第2主面からの反射光を入射する第1入出力部と、
参照光を反射する第1反射面と、参照光の入射方向において前記第1反射面から予め定められた光路長で離間し、参照光を反射する第2反射面とを有する参照ミラー部と、
前記スプリッタからの参照光を前記参照ミラー部へ出射するとともに、前記参照ミラー部からの反射光を入射する第2入出力部と、
前記スプリッタに接続され、波長に依存した反射光の干渉強度分布を計測する分光器と、
前記分光器に接続され、前記第1主面、前記第1反射面、前記第2主面、及び、前記第2反射面の反射光の干渉強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて、前記第1主面と前記第1反射面との第1光路差、及び、前記第2主面と前記第2反射面との第2光路差を算出し、前記第1光路差、前記第2光路差及び前記予め定められた光路長に基づいて前記測定対象物の光路長を算出する光路長算出部と、
前記測定対象物の光路長に基づいて、前記測定対象物の温度を計測する温度計測部と、
を備える温度計測システム。 - 前記参照ミラー部は、前記第1反射面を有する第1ミラーと、前記第2反射面を有する第2ミラーとを含み、
前記第2入出力部は、前記スプリッタからの参照光を前記第1ミラーの前記第1反射面へ出射するとともに、前記第1反射面からの反射光を入射する第1コリメータと、前記スプリッタからの参照光を前記第2ミラーの前記第2反射面へ出射するとともに、前記第2反射面からの反射光を入射する第2コリメータとを含む、請求項1に記載の温度計測システム。 - 前記スプリッタと前記第2入出力部との間に配置された光学スイッチを備え、
前記光学スイッチは、前記スプリッタからの参照光を前記第1コリメータへ出力する光経路と、前記スプリッタからの参照光を前記第2コリメータへ出力する光経路とを切り替える請求項2に記載の温度計測システム。 - 前記参照ミラー部は、前記光源からの光の一部を透過する材料で構成され、前記第1反射面及び前記第1反射面に対向する前記第2反射面を有する請求項1に記載の温度計測システム。
- 前記参照ミラー部は、温度測定点ごとに配置される請求項1〜4の何れか一項に記載の温度計測システム。
- 前記第1入出力部の向きを変更する駆動部を備え、前記駆動部が前記第1入出力部の向きを変更することにより測定光の出射方向が変更される請求項1〜5の何れか一項に記載の温度計測システム。
- 前記光路長算出部は、前記第1主面の反射光と前記第1反射面の反射光との干渉強度分布を第1出射方向で取得し、前記第2主面の反射光と前記第2反射面の反射光との干渉強度分布を第2出射方向で取得する、請求項6に記載の温度計測システム。
- 第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する測定対象物の温度を計測する温度計測システムを備える基板処理装置であって、
真空排気可能に構成され、前記測定対象物を収容する処理室を有し、
該温度計測システムは、
前記測定対象物を透過する波長を有する光の光源と、
前記光源に接続され、前記光源からの光を測定光と参照光とに分けるスプリッタと、
前記スプリッタからの測定光を前記測定対象物の前記第1主面へ出射するとともに、前記第1主面及び前記第2主面からの反射光を入射する第1入出力部と、
参照光を反射する第1反射面と、参照光の入射方向において前記第1反射面から予め定められた光路長で離間し、参照光を反射する第2反射面とを有する参照ミラー部と、
前記スプリッタからの参照光を前記参照ミラー部へ出射するとともに、前記参照ミラー部からの反射光を入射する第2入出力部と、
前記スプリッタに接続され、波長に依存した反射光の強度分布を計測する分光器と、
前記分光器に接続され、前記第1主面、前記第1反射面、前記第2主面、及び、前記第2反射面の反射光の強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて、前記第1主面と前記第1反射面との第1光路差、及び、前記第2主面と前記第2反射面との第2光路差を算出する光路長算出部と、
前記第1光路差、前記第2光路差、及び、前記予め定められた光路長に基づいて、前記測定対象物の温度を計測する温度計測部と、
を備える、
基板処理装置。 - 第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する測定対象物の温度を計測する温度計測システムを用いた温度計測方法であって、
該温度計測システムは、
前記測定対象物を透過する波長を有する光の光源と、
前記光源に接続され、前記光源からの光を測定光と参照光とに分けるスプリッタと、
前記スプリッタからの測定光を前記測定対象物の前記第1主面へ出射するとともに、前記第1主面及び前記第2主面からの反射光を入射する第1入出力部と、
参照光を反射する第1反射面と、参照光の入射方向において前記第1反射面から予め定められた光路長で離間し、参照光を反射する第2反射面とを有する参照ミラー部と、
前記スプリッタからの参照光を前記参照ミラー部へ出射するとともに、前記参照ミラー部からの反射光を入射する第2入出力部と、
前記スプリッタに接続され、波長に依存した反射光の強度分布を計測する分光器と、
を備え、該方法は、
前記分光器により計測された前記第1主面、前記第1反射面、前記第2主面、及び、前記第2反射面の反射光の強度分布をフーリエ変換して得られる波形に基づいて、前記第1主面と前記第1反射面との第1光路差、及び、前記第2主面と前記第2反射面との第2光路差を算出する光路差算出ステップと、
前記第1光路差、前記第2光路差、及び、前記予め定められた光路長に基づいて、前記測定対象物の温度を計測する温度計測ステップと、
を有する温度計測方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016115369A JP2017219470A (ja) | 2016-06-09 | 2016-06-09 | 温度計測システム、基板処理装置及び温度計測方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016115369A JP2017219470A (ja) | 2016-06-09 | 2016-06-09 | 温度計測システム、基板処理装置及び温度計測方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2017219470A true JP2017219470A (ja) | 2017-12-14 |
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ID=60656131
Family Applications (1)
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JP2016115369A Pending JP2017219470A (ja) | 2016-06-09 | 2016-06-09 | 温度計測システム、基板処理装置及び温度計測方法 |
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JP (1) | JP2017219470A (ja) |
-
2016
- 2016-06-09 JP JP2016115369A patent/JP2017219470A/ja active Pending
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