JP2017219154A - ローラクラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】構造を簡素化して作動性を向上できるローラクラッチを提供すること。
【解決手段】 第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が中立位置から変速位置に移動した場合に、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35のいずれか一方が第1の外輪22または第2の外輪31と一体で回転し、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35のいずれか一方の傾斜面26C、35Cが入力軸2の軸線方向でピン36に対向する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両のローラクラッチに設けられるローラクラッチに関する。
自動車等の車両の変速機は、変速段を切換えるためのローラクラッチを有するものが知られている。従来のこの種のローラクラッチとしては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1に記載されたローラクラッチは、出力ギヤとカウンタ軸との間に設けられている。ローラクラッチは、カウンタ軸と一体で回転する内輪と、内輪に対して相対回転可能に内輪の外側に設置されて内輪との間で楔状の空間を形成し、外輪に相当する前記出力ギヤと、リング状の保持器によって保持されて楔状の空間に収容され、内輪に対する出力ギヤの回転を許容する中立位置と内輪に対する出力ギヤの回転を規制する係合位置とに移動するようにカウンタ軸の円周方向に移動可能な複数のローラとを有する。
さらに、ローラクラッチは、シフトフォークによって中立位置に対応する位置と係合位置に対応する位置(変速位置という)とに位置するようにカウンタ軸の軸線方向に移動可能なシフトリングと、シフトリングと別体に設けられ、シフトリングが変速位置にある場合に、出力ギヤの端面に接触してローラを中立位置から係合位置に移動させる摩擦板とを備えている。
このローラクラッチは、リング状の保持器を中立位置に保持するスイッチばねを備えており、スイッチばねの弾性力によってローラを係合位置から中立位置に戻している。
特開2012−144094号公報
このような従来のローラクラッチにあっては、リング状の保持器を中立位置に保持するためにスイッチばねを用いているので、スイッチばねが必要となる上に、スイッチばねをローラクラッチに装着するための構造が必要となり、ローラクラッチの構造が複雑なものとなる。
また、保持器を係合位置から中立位置に戻す場合には、シフトフォークを変速位置から中立位置に戻しても、スイッチばねの弾性力でローラを係合位置から中立位置に確実に戻す保証が得られない。このため、ローラクラッチの作動性が低下してしまうおそれがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、構造を簡素化して作動性を向上できるローラクラッチを提供することを目的とするものである。
本発明は、動力が伝達される回転軸と一体で回転する内輪と、前記内輪に対して相対回転可能に前記内輪の外側に設置され、前記内輪との間に楔状の空間を形成する外輪と、リング状の保持器によって保持されて前記空間に収容され、前記内輪に対する前記外輪の回転を許容するロック解除位置と前記内輪に対する前記外輪の回転を規制するロック位置とに移動するように前記回転軸の円周方向に移動可能な複数のローラと、前記回転軸の軸線方向に並ぶ中立位置と変速位置との間を移動するシフトリングとを備え、前記変速位置にて前記保持器を前記外輪と一体的に回転させ、前記複数のローラを前記ロック解除位置から前記ロック位置に移動させるローラクラッチであって、前記シフトリングは前記保持器と一体的に回転するように連結されており、前記内輪と前記シフトリングの間にガイド機構が配置されており、前記ガイド機構は、前記ローラが前記ロック位置にあり、かつ前記シフトリングが前記変速位置から前記中立位置に移動される場合、相互に接触して前記保持器および前記ローラを前記ロック位置から前記ロック解除位置に回転させる。
このように上記の本発明によれば、ローラクラッチの構造を簡素化してローラクラッチの作動性を向上できる。
図1は、本発明の一実施の形態に係るローラクラッチを備えた変速機の概略構成図である。 図2は、本発明の一実施の形態に係るローラクラッチの概略構成図であり、図3、図4のII−II方向矢視断面図にも対応する。 図3は、本発明の一実施の形態に係るローラクラッチにおいて、図2のIII−III方向矢視断面図である。 図4は、本発明の一実施の形態に係るローラクラッチにおいて、図2のIV−IV方向矢視断面図である。 図5は、本発明の一実施の形態に係る第1の保持器、第2の保持器、第1のシフトリングおよび第2のシフトリングを平面状の展開した図であり、シフトリングが中立位置にある状態を示す。 図6は、第1の保持器、第2の保持器、第1のシフトリングおよび第2のシフトリングを平面状の展開した図であり、シフトリングが第1の変速位置にある状態を示す。
以下、本発明に係るローラクラッチの実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1から図6は、本発明に係る一実施の形態のローラクラッチを示す図である。
まず、構成を説明する。
図1において、自動車等の車両には変速機1が搭載されている。変速機1は、変速機ケース1Aを有し、変速機ケース1Aの内部にはエンジン10から回転(動力)が入力される入力軸2と、入力軸2に入力された回転を図示しないディファレンシャル装置に出力するカウンタ軸3とが収容されている。
入力軸2には複数の入力ギヤ4Aから4Eが設けられている。入力ギヤ4A、4Bは、入力軸2に固定されており、入力ギヤ4Cから4Eは、入力軸2に相対回転自在に連結されている。
カウンタ軸3には複数のカウンタギヤ5Aから5Eが設けられている。カウンタギヤ5A、5Bは、カウンタ軸3に相対回転自在に連結されており、入力ギヤ4A、4Bに噛み合っている。カウンタギヤ5Cから5Eは、カウンタ軸3に固定されており、入力ギヤ4Cから4Eに噛み合っている。
互いに噛み合う入力ギヤ4Aから4Eおよびカウンタギヤ5Aから5Eは、図1中、エンジン10から左側に向かって1速段から5速段となるように設置されている。したがって、図1中、エンジン10から左側に向かって減速比が小さくなる。
入力軸2には複数の油孔2Aが形成されており、油孔2Aには図示しないオイル通路からオイルが導入される。油孔2Aに導入されたオイルは、入力ギヤ4Cから4Eと入力軸2との間に供給され、このオイルにより入力ギヤ4Cから4Eと入力軸2とが潤滑される。
入力軸2には一対のローラクラッチ11、12が設置されており、カウンタ軸3にはローラクラッチ13が設置されている。なお、ローラクラッチ11から13の構成は、同一であるため、ローラクラッチ11の構成を具体的に説明する。本実施の形態の入力軸2およびカウンタ軸3は、本発明の回転軸を構成する。
図2において、ローラクラッチ11は、3速段を構成する入力ギヤ4Cに設置された第1のローラクラッチ14と、4速段を構成する入力ギヤ4Dに設置された第2のローラクラッチ15とを含んで構成されている。
第1のローラクラッチ14は、内輪21を備えており、内輪21の内周面は、入力軸2の外周面にスプライン嵌合されている。これにより、内輪21は、入力軸2と相対回転不能であり、入力軸2と一体で回転する。
第1のローラクラッチ14は、入力ギヤ4Cと一体に設けられた第1の外輪22を備えている。第1の外輪22は、内輪21に対して相対回転可能に内輪21の外側に設置され、内輪21との間に楔状の第1の空間23を形成している(図3参照)。
第2のローラクラッチ15は、内輪21と、入力ギヤ4Dと別体の第2の外輪31とを備えている。第2の外輪31は、内輪21に対して相対回転可能に内輪21の外側に設置され、内輪21との間に楔状の第2の空間32を形成している(図4参照)。
第2の外輪31は、入力ギヤ4Dにスプライン嵌合されており、入力ギヤ4Dと相対回転不能で入力ギヤ4Dと一体で回転する。これら第1の外輪22および第2の外輪31は、内輪21の外側で入力軸2の軸線方向に並列に設置されている。本実施の形態の第1の外輪22および第2の外輪31は、本発明の外輪を構成する。
図3、図4に示すように、内輪21は、多角形状に形成されており、外周面に平坦なカム面21Aが形成されている。これにより、内輪21の外周面と第1の外輪22の内周面22aおよび第2の外輪31の内周面31aとの間には入力軸2の円周方向の両端が狭小の複数の楔状の第1の空間23および第2の空間32が形成される。
楔状の第1の空間23および第2の空間32は、入力軸2の円周方向に連続して複数形成されている。本実施の形態の第1の空間23および第2の空間32は、本発明の空間を構成する。
図3において、第1の空間23にはリング状の第1の保持器24が収容されている。第1の保持器24は、第1のローラ25を保持している。第1のローラ25は、1つのカム面21Aに対して1つが接触するようにして入力軸2の円周方向に沿って設置されている。
第1の保持器24は、内輪21の外側で回転可能となっている。第1の保持器24は、カム面21Aの円周方向の中央部に位置するロック解除位置に第1のローラ25を移動させたときに、内輪21に対する第1の外輪22の回転を許容する。
第1の保持器24は、第1のローラ25を入力軸2の円周方向の一方と他方とに位置するロック位置に移動させたときに、第1のローラ25をカム面21Aの円周方向一端部21aまたは円周方向他端部21bと第1の外輪22の内周面22aとの間に挟み込む。これにより、内輪21に対する第1の外輪22の回転が規制される。
このように本実施の形態の第1のローラ25は、内輪21に対する第1の外輪22の回転を許容するロック解除位置と内輪21に対する第1の外輪22の回転を規制するロック位置とに移動するように入力軸2の円周方向に移動可能となっている。
本実施の形態の第1の保持器24および第2の保持器33は、本発明の保持器を構成する。第1のローラ25および第2のローラ34は、本発明のローラを構成する。
図4において、第2の空間32にはリング状の第2の保持器33が収容されている。第2の保持器33は、第2のローラ34を保持している。第2のローラ34は、1つのカム面21Aに対して1つが接触するようにして入力軸2の円周方向に沿って設置されている。これにより、本実施の形態のローラクラッチ14は、1つのカム面21Aに2つの第1のローラ25および第2のローラ34が接触するようにして第1のローラ25および第2のローラ34が入力軸2の円周方向に沿って設置されている。
第2の保持器33は、内輪21の外側で回転可能となっている。第2の保持器33は、カム面21Aの円周方向の中央部に位置するロック解除位置に第2のローラ34を移動させたときに、内輪21に対する第2の外輪31の回転を許容する。
第2の保持器33は、第2のローラ34を入力軸2の円周方向の一方と他方とに位置するロック位置に移動させたときに、第2のローラ34をカム面21Aの円周方向一端部21aまたは円周方向他端部21bと第2の外輪31の内周面31aとの間に挟み込む。これにより、内輪21に対する第2の外輪31の回転が規制される。
このように本実施の形態の第2のローラ34は、内輪21に対する第2の外輪31の回転を許容するロック解除位置と内輪21に対する第2の外輪31の回転を規制するロック位置とに位置するように入力軸2の円周方向に移動可能である。
図2において、第1の外輪22および第2の外輪31は、それぞれの内周面22a、31aから半径方向内方に突出する第1の壁部22Aおよび第2の壁部31Aを有する。
図5において、第1の保持器24および第2の保持器33は、互いに対向する対向面24a、33aが接触しており、対向面24a、33aと反対側の側面24b、33bがそれぞれ第1の壁部22Aおよび第2の壁部31Aに接触している(図2参照)。これにより、第1の保持器24および第2の保持器33は、入力軸2の軸線方向に位置決めされる。
図2において、第1のローラクラッチ14は、第1のシフトリング26を備えており、第1のシフトリング26は、第1の外輪22および第2の外輪31の間において入力軸2と同軸上に設けられている。
第2のローラクラッチ15は、第2のシフトリング35を備えており、第2のシフトリング35は、第1の外輪22および第2の外輪31の間において入力軸2と同軸上に設けられている。
第1のシフトリング26および第2のシフトリング35は、内輪21と一体回転可能となっている。このように本実施の形態のローラクラッチ11は、分割された第1のシフトリング26および第2のシフトリング35を備えている。本実施の形態の第1のシフトリング26および第2のシフトリング35は、本発明のシフトリングを構成する。
第1のシフトリング26および第2のシフトリング35は、それぞれ一側面26a、35a同士が入力軸2の軸線方向に対向して接触している。本実施の形態の一側面26a、35aは、本発明のシフトリングの側面を構成する。
第1のシフトリング26および第2のシフトリング35の外周部にはシフトフォーク41が取付けられている。シフトフォーク41は、運転者によって図示しない変速レバーが操作されるのに伴って入力軸2の軸線方向に移動可能となっている。
図5、図6において、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35は、シフトフォーク41の操作によってロック解除位置に対応する中立位置Nと、第1のローラクラッチ14のロック位置に対応する図2中、右方(入力軸2の軸線方向の一方)の第1の変速位置R1と、第2のローラクラッチ15のロック位置に対応する図2中、左方(入力軸2の軸線方向の他方)の第2の変速位置R2とに位置するように入力軸2の軸線方向に移動する。
このように第1のシフトリング26および第2のシフトリング35は、入力軸2の軸線方向に並ぶ中立位置と変速位置との間を移動する。
第1の変速位置R1は、第1のシフトリング26が第1の外輪22に接触する位置であり、第2の変速位置R2は、第2のシフトリング35が第2の外輪31に接触する位置である。中立位置Nは、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が第1の外輪22および第2の外輪31と非接触となる位置である。
図2、図5、図6において、第1のシフトリング26には嵌合突起26Aが形成されており、嵌合突起26Aは、第1のシフトリング26の内周面から下方に突出している。第1の保持器24には嵌合溝24Aが形成されており、嵌合溝24Aは、第2の保持器33側、すなわち、第2の外輪31側に開口し、入力軸2の軸線方向に沿って延びている。
嵌合溝24Aには嵌合突起26Aが嵌合しており、第1のシフトリング26は、嵌合突起26Aが嵌合溝24Aに沿って移動することで、入力軸2の軸線方向に移動し、第1の保持器24に対して入力軸2の回転方向に相対回転不能となる。これにより、第1のシフトリング26と第1の保持器24とは、一体で回転する。本実施の形態の嵌合突起26Aおよび嵌合溝24Aは、本発明の第1の連結部を構成する。
図5、図6において、第2のシフトリング35には嵌合突起35Aが形成されており、嵌合突起35Aは、第2のシフトリング35の内周面から下方に突出している。第2の保持器33には嵌合溝33Aが形成されており、嵌合溝33Aは、第1の保持器24側、すなわち、第1の外輪22側に開口し、入力軸2の軸線方向に沿って延びている。
嵌合溝33Aには嵌合突起35Aが嵌合しており、第2のシフトリング35は、嵌合突起35Aが嵌合溝33Aに沿って移動することで、入力軸2の軸線方向に移動し、第2の保持器33に対して入力軸2の回転方向に相対回転不能となる。これにより、第2のシフトリング35と第2の保持器33とは、一体で回転する。本実施の形態の嵌合突起35Aおよび嵌合溝33Aは、本発明の第2の連結部を構成する。
第1のシフトリング26は、第1の外輪22と異なる材料で構成されている。第1の外輪22および入力ギヤ4Cは、例えば、鉄から構成されており、第1のシフトリング26は、例えば、アルミニウムまたは真鍮等から構成されている。
第1のシフトリング26は、第1の外輪22に対向する他側面26bを有する。第1のシフトリング26は、第1の変速位置R1に移動したときに他側面26bが第1の外輪22に接触することにより、第1の外輪22と一体で回転する。本実施の形態の他側面26bは、本発明の接触面を構成する。
第2のシフトリング35は、第2の外輪31と異なる材料で構成されている。第2の外輪31は、鉄から構成されており、第2のシフトリング35は、アルミニウムまたは真鍮等から構成されている。
第2のシフトリング35は、第2の外輪31に対向する他側面35bを有する。第2のシフトリング35は、第2の変速位置R2に移動したときに他側面35bが第2の外輪31に接触することにより、第2の外輪31と一体で回転する。本実施の形態の他側面35bは、本発明の接触面を構成する。
第1のシフトリング26が第1の外輪22に接触する際には、第1のシフトリング26が第1の外輪22に対して摺動しながら接触し、シフトフォーク41によって第1のシフトリング26が第1の外輪22に強く押し付けられると、第1の外輪22に連結される。
第2のシフトリング35が第2の外輪31に接触する際には第2のシフトリング35が第2の外輪31に対して摺動しながら接触し、シフトフォーク41によって第2のシフトリング35が第2の外輪31に強く押し付けられると、第2の外輪31に連結される。
第1のシフトリング26および第2のシフトリング35と第1の外輪22および第2の外輪31とが同じ材料から構成された場合には、第1のシフトリング26と第2のシフトリング35がそれぞれ第1の外輪22と第2の外輪31とに接触したときに磨耗粉が発生する。
この磨耗粉は、第1のシフトリング26と第2のシフトリング35とがそれぞれ第1の外輪22と第2の外輪31とに接触する回数(3速段または4速段に変速される回数)が増大するにつれて増大し、結果的に焼き付きが発生する。
第1のシフトリング26および第2のシフトリング35と第1の外輪22および第2の外輪31とを異なる材料から構成している。このため、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35と第1の外輪22および第2の外輪31とが同じ材料から構成される場合に比べて、接触時に磨耗粉が発生することを抑制することができ、結果的に焼き付きが発生することを防止できる。
したがって、本実施の形態の第1のシフトリング26の他側面26bおよび第2のシフトリング35の他側面35bを第1の外輪22および第2の外輪31に直接接触させるこができ、従来の摩擦板を不要にできる。
本実施の形態の変速機ケース1Aの底部には図示しない潤滑用のオイルが貯留されており、変速機ケース1Aの内部は、オイルが飛散した状態になる。第1のシフトリング26の他側面26bおよび第2のシフトリング35の他側面35bは、このオイルに晒される。
これにより、第1のシフトリング26の他側面26bおよび第2のシフトリング35の他側面35bが第1の外輪22および第2の外輪31のそれぞれに接触したときの摩擦抵抗をより一層低減できる。
この結果、磨耗粉の発生をより効果的に抑制することができ、焼き付きが発生することをより効果的に防止できる。
図2、図5において、内輪21にはピン36が設けられており、ピン36は、内輪21から半径方向外方に突出している。本実施の形態のピン36は、本発明の凸部を構成している。
図3、図4のそれぞれにおいて、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35の内周部には溝部26B、35Bが形成されている。溝部26B、35Bは、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35の円周方向に延びており、ピン36を内部に収納している。本実施の形態の溝部26B、35Bは、本発明の第1の溝部を構成している。
図5において、ピン36に対向する溝部26B、35Bの円周方向の壁面には傾斜面26C、35Cが形成されており、傾斜面26C、35Cは、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35の軸線方向で第1の外輪22および第2の外輪31の側の端部である他側面26b、35bの側がこれらシフトリング26、35の円周方向で最もピン36の側に突出するように傾斜している。
これにより、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35の溝部26B、35Bの壁面は、V字形状の壁面に形成される。また、ピン36に対向する溝部26B、35Bの円周方向の壁面と傾斜面26C、35Cとは、同一面である。
図5に示すよう、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が中立位置Nに位置した状態において、傾斜面26C、35Cは、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35の一側面26a、35aに対して面対称、かつ、ピン36を挟んで入力軸2の円周方向に対して面対称に形成されている。
これにより、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35は、傾斜面26C、35Cおよびピン36によって中立位置Nに位置決めされる。このとき、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が入力軸2の円周方向にずれることがない。
図3、図4において、第1のシフトリング26の溝部26Bは、傾斜面26Cと傾斜面26Cに連続する底面26dを含んだ部位から構成されている。第2のシフトリング35の溝部35Bは、傾斜面35Cと傾斜面35Cに連続する底面35dから構成されている。
第1のシフトリング26および第2のシフトリング35のいずれか一方が第1の外輪22または第2の外輪31と一体で回転してロック位置に移動したときには、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35のいずれか一方の傾斜面26C、35Cが入力軸2の軸線方向においてピン36に対向する。
図3、図4のいずれかにおいて、第1の保持器24および第2の保持器33には切欠き部24B、33Bが形成されており、切欠き部24B、33Bにはピン36が挿通されている。
切欠き部24B、33Bは、第1の保持器24および第2の保持器33が入力軸2の円周方向に移動する際に、ピン36と干渉しないように第1の保持器24および第2の保持器33の移動範囲、すなわち、入力軸2の円周方向に亙って切り欠かれている。
図5に示すように、切欠き部24B、33Bは、第1の保持器24および第2の保持器33が円周方向に位置ずれしていない状態において、切欠き部24B、33Bによって囲まれる開口を形成しており、この開口にピン36が挿通される。
図6に示すように、第1の保持器24および第2の保持器33が円周方向にずれた場合に、切欠き部24B、33Bによって囲まれる開口の大きさが可変する。
次に、作用を説明する。
本実施の形態の第1のローラクラッチ14と第2のローラクラッチ15は、同一の動作を行うので、第1のローラクラッチ14の動作について説明する。また、入力軸2は、図3に矢印a1で示す時計回転方向に回転しているものとする。
シフトフォーク41によって第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が中立位置Nに移動された状態では、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35は、図5に示すように、傾斜面26C、35Cおよびピン36によって中立位置Nに位置決めされる。
この状態では、入力ギヤ4C、4Dは、入力軸2に対して相対回転しており、入力ギヤ4C、4Dからカウンタギヤ5C、5Dには動力が伝達されない。
この状態から変速機1を3速段に変速するにはシフトフォーク41を図2、図5中、右方に操作する。シフトフォーク41を右方に操作すると、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が中立位置Nから第1の変速位置R1に移動し、図6に示すように、第1のシフトリング26の他側面26bが第1の外輪22に接触する。
第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が中立位置Nから第1の変速位置R1に移動する際には、第1のシフトリング26の嵌合突起26Aが第1の保持器24の嵌合溝24Aに沿って移動し、第2のシフトリング35の嵌合突起35Aが第2の保持器33の嵌合溝33Aに沿って移動する。
これにより、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が回転方向にずれることがなく、一体で入力軸2の軸線方向に沿って移動する。
第1のシフトリング26の他側面26bが第1の外輪22に接触する際には、第1のシフトリング26の他側面26bが第1の外輪22に接触した瞬間から、シフトフォーク41の操作力が増大するにつれて第1の外輪22に対する第1のシフトリング26の他側面26bの接触荷重が増大していく。
接触荷重が増大する過程で第1のシフトリング26の他側面26bが第1の外輪22に摺動接触し、第1のシフトリング26が第1の変速位置R1への移動を終了したときには、第1のシフトリング26の他側面26bが第1の外輪22に連結される。
第1のシフトリング26の他側面26bが第1の外輪22に連結されると、第1のシフトリング26と一体で回転する第1の保持器24が第2の外輪22に連結され、第1のシフトリング26が第1の外輪22と一体で回転する。これにより、第1の保持器24と内輪21とが相対回転し、第1のシフトリング26は、第2のシフトリング35に対して入力軸2の円周方向にずれる。
第1の保持器24と内輪21とが相対回転すると、第1の保持器24に保持される第1のローラ25がロック位置に移動し、第1のローラ25が第1の外輪22の内周面22aと内輪21のカム面21Aの円周方向一端部21aとの間に挟み込まれる。
このため、内輪21に対する第1の外輪22の回転が規制され、入力ギヤ4Cが入力軸2と一体で回転し、入力ギヤ4Cからカウンタギヤ5Cを介してカウンタ軸3に動力が伝達される。
第1のシフトリング26が中立位置Nから第1の変速位置R1に移動して第1のシフトリング26が第2のシフトリング35に対して入力軸2の円周方向にずれると、第1の保持器24は、第1のローラ25が第1の外輪22の内周面22aと内輪21のカム面21Aの円周方向一端部21aとの間に挟み込まれるまで、内輪21に対して回転する。
これにより、ローラクラッチ11の第1のローラ25がロック解除位置からロック位置に移動される。この際、第1のシフトリング26の傾斜面26Cは、ピン36とは接触しないが入力軸2の軸線方向に対してピン36に対向する。
本実施の形態のローラクラッチ11は、第1のローラ25がロック解除位置からロック位置に移動したときに、第1のシフトリング26の溝部26Bの傾斜面26Cが入力軸2の回転方向においてピン36に対向するように第1の保持器24の回転角度が設定されている。
本実施の形態の第1のローラクラッチ14は、傾斜面26Cとピン36とによって本発明の第1のガイド機構42を構成する。第1のガイド機構42は、内輪21と第1シフトリング26との間に配置されており、第1のシフトリング26が変速位置R1から中立位置Nへ移動される場合、相互に接触して第1の保持器24および第1のローラ25をロック位置からロック解除位置に強制的に回転させる。
本実施の形態の第2のローラクラッチ15は、傾斜面35Cとピン36とによって本発明の第2のガイド機構43を構成する。第2のガイド機構43は、内輪21と第2シフトリング35との間に配置されており、第2のシフトリング35が変速位置R2から中立位置Nへ移動される場合、相互に接触して第2の保持器33および第2のローラ34をロック位置からロック解除位置に強制的に回転させる。本実施の形態の第1のガイド機構42および第2のガイド機構43は、本発明のガイド機構を構成する。
シフトフォーク41によって第1のシフトリング26が第1の変速位置R1に移動した状態から中立位置Nに操作する場合には、クラッチを切断して、エンジン10から入力軸2に伝達される動力を遮断する。
この状態で図6に示す第1の変速位置R1から第1のシフトリング26を軸線方向の左方に移動すると、第1のシフトリング26が第1の外輪22から左方に離れる。
第1のシフトリング26が第1の外輪22から左方に離れるに従って、第1のシフトリング26の傾斜面26Cが一側面26a側から他側面26bに向かってピン36に接触していく。
これにより、図6から図5に示すように第1のシフトリング26が上方に移動する。第1のシフトリング26が上方に移動する過程で第1のシフトリング26が第1の保持器24と一体で内輪21に対して相対回転し、第1のローラ25がロック位置からロック解除位置に移動する。
このため、内輪21に対する第1の外輪22の回転が許容され、入力ギヤ4Cが入力軸2に対して相対回転する。この結果、入力ギヤ4Cからカウンタギヤ5Cを介してカウンタ軸3に伝達されていた動力が遮断される。
このように、第1のシフトリング26が第1の外輪22から左方に離れる従って、第1のシフトリング26の傾斜面26Cがピン36に接触することで、第1のシフトリング26によって第1の保持器24を内輪21に対して強制的に相対回転させることができる。この結果、第1のローラ25をロック位置からロック解除位置に確実に移動させることができ、変速を確実に行うことができる。
本実施の形態のローラクラッチ11によれば、内輪22は、内輪22から半径方向外方に突出する複数のピン36を有する。シフトリングは、一側面26a、35a同士が入力軸2の軸線方向に対向して接触し、第1の外輪22側の他側面26bおよび第2の外輪31側の他側面35bが第1の外輪22および第2の外輪31に対する接触面を構成する第1のシフトリング26および第2のシフトリング35に分割されている。
第1のシフトリング26および第2のシフトリング35の内周部にはピン36を収容する溝部26B、35Bが形成されており、ピン36に対向する溝部26B、35Bの円周方向の壁面に、傾斜面26C、35Cが形成されている。
傾斜面26Cは、第1のシフトリング26の軸線方向で第1の外輪22側の端部が、第1のシフトリング26の円周方向で最もピン36の側に突出している。傾斜面35Cは、第2のシフトリング35の軸線方向で第2の外輪31側の端部が、第2のシフトリング35の円周方向で最もピン36の側に突出している。
第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が中立位置Nに位置した状態において、傾斜面26C、35Cは、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35の一側面26a、35aに対して面対称、かつ、ピン36を挟んで回転軸の円周方向に対して面対称に形成され、傾斜面26C、35Cおよびピン36によって第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が中立位置Nに位置決めされている。
これにより、従来のようにスイッチばねを用いずに、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が中立位置Nに位置決めすることができる。
また、本実施の形態のローラクラッチ11によれば、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が中立位置Nから変速位置に移動した場合に、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35のいずれか一方が第1の外輪22または第2の外輪31と一体で回転し、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35のいずれか一方の傾斜面26C、35Cが入力軸の軸線方向でピン36に対向する。
これにより、例えば、第1のシフトリング35を変速位置から中立位置Nに移動させる場合に、第1のシフトリング26が第1の外輪22から離れる従って、第1のシフトリング26の傾斜面26Cを、一側面26a側から他側面26bに向かってピン36に接触させることができる。
このため、第1のローラ25をロック位置からロック解除位置に強制的に移動させることができ、変速を確実に行うことができる。
特に、本実施の形態のローラクラッチ11は、ローラをスイッチバネによりロック解除位置へ移動させる従来のローラクラッチと比べて以下の利点を有する。
通常、ローラクラッチが動力を伝達する際、ローラはロック位置にて内輪と外輪の隙間に挟み込まれ、ロック解除位置へは移動できなくなる。この際、スイッチバネを用いたローラクラッチでは、ローラがロック位置にあってもシフトフォークを変速位置から中立位置に戻すことができる。このため、シフトフォークの位置が動力伝達状態と対応しておらず、変速機の操作性が低下する。
これに対し、本実施の形態のローラクラッチ11は、ロック位置にてピン36が傾斜面26Cと対向し、シフトフォーク41を変速位置から中立位置Nには戻せなくなる。このため、シフトフォーク41の位置を動力伝達状態と対応させ、変速機1の操作性を向上させることができる。
また、スイッチばねを用いた場合には、変速機1の低温時に、粘性の高いオイルにより第1の保持器24に過大な引き擦りトルクが発生すると、スイッチばねによる解除トルクが不足する。
これに対して、本実施の形態のローラクラッチ11は、低温時に過大な引き摺りトルク発生した場合でも、シフトフォーク41を第1の変速位置R1から中立位置Nに移動させる荷重のみで第1のローラ25をロック位置からロック解除位置に強制的に移動させることができる。
このように、本実施の形態のローラクラッチ11は、スイッチばねを不要にしてローラクラッチ11の構成を簡素化することができ、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35を中立位置Nに容易に位置決めし、かつ、第1のローラ25をロック位置からロック解除位置に確実に移動させることができる。この結果、ローラクラッチ11の操作性を向上できる。
また、本実施の形態の第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が、それぞれ第1の外輪22および第2の外輪31と異なる材料から構成されている。
これにより、第1のシフトリング26の他側面26bと第1の外輪22とが接触したときに磨耗粉が発生することを抑制して、第1のシフトリング26の他側面26bと第1の外輪22とが焼き付くことを防止できる。
また、第2のシフトリング35の他側面35bと第2の外輪31とが接触したときに磨耗粉が発生することを抑制して、第2のシフトリング35の他側面35bと第2の外輪31とが焼き付くことを防止できる。
このため、従来のようにシフトリングに、外輪に接触する摩擦板等を設けることを不要にでき、第1のローラクラッチ14および第2のローラクラッチ15の構造を簡素化することができる。このため、簡素化された第1のローラクラッチ14および第2のローラクラッチ15を有するローラクラッチ11の構成を簡素化できる。この結果、ローラクラッチ11の製造作業の作業性を向上できる。
また、本実施の形態のローラクラッチ11によれば、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が、シフトフォーク41によって一体で入力軸2に軸線方向に移動される。
これにより、シフトフォーク41を第1の変速位置R1および変速位置R2から中立移動に移動させる際に、シフトフォーク41を傾斜面26Cおよび傾斜面35Cによって第1のシフトリング26および第2のシフトリング35の回転運動に変換できる。このため、第1のローラ25および第2のローラ34をロック位置からロック解除位置に確実に移動させることができる。
また、本実施の形態のローラクラッチ11によれば、第1のガイド機構42が、内輪21に形成されるピン36と、第1のシフトリング26に形成される傾斜面26Cとで構成されており、ピン36が、内輪21から半径方向外方に突出している。
第1のシフトリング26の内周部にはピン36を収容する溝部26Bが形成されており、傾斜面26Cは、第1のシフトリング26の円周方向でピン36と対向する溝部26Bの壁面に形成され、かつ第1のシフトリング26の軸線方向で第1の外輪22側の端部が第1のシフトリング26の円周方向で最もピン36の側に突出するように傾斜されている。
さらに、第2のガイド機構43が、内輪21に形成されるピン36と、第2のシフトリング35に形成される傾斜面35Cとで構成されている。第2のシフトリング35の内周部にはピン36を収容する溝部35Bが形成されており、傾斜面35Cは、第2のシフトリング35の円周方向でピン36と対向する溝部35Bの壁面に形成され、かつ第2のシフトリング35の軸線方向で第2の外輪31側の端部が第2のシフトリング35の円周方向で最もピン36の側に突出するように傾斜されている。
このため、簡素な構成の第1のガイド機構42および第2のガイド機構43によって第1のローラ25および第2のローラ34をロック位置からロック解除位置に移動させることができる。
これにより、第1のローラクラッチ14および第2のローラクラッチ15の構成をより効果的に簡素化して、第1のローラ25および第2のローラ34をロック位置からロック解除位置に移動させることができ、結果的にローラクラッチ11の構成を簡素化できる。
また、本実施の形態のローラクラッチ11によれば、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35にピン36が挿通される溝部26B、35Bが形成され、溝部26B、35Bは、第1のシフトリング26および第2のシフトリング35が入力軸2の円周方向に移動する際に、ピン36と干渉しないように第1の保持器24および第2の保持器33の移動範囲に亙って形成されている。
これにより、第1の外輪22と第2の外輪31との間に狭い空間に第1のシフトリング26、第2のシフトリング35を設置することができ、ローラクラッチ11の小型化を図ることができる。
また、本実施形態のローラクラッチ11によれば、第1の保持器24および第2の保持器33に、ピン36が挿通される切欠き部24B、33Bが形成されており、切欠き部24B、33Bは、第1の保持器24および第2の保持器33が入力軸2の円周方向に移動する際に、ピン36と干渉しないように第1の保持器24および第2の保持器33の移動範囲に亙って切り欠かれている。
これにより、第1の保持器24および第2の保持器33が入力軸2の円周方向に移動する際に、ピン36と干渉することを確実に防止できるとともに、内輪21がピンを介して第1の保持器24および第2の保持器33と干渉することを防止できる。
本発明の実施の形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
2...入力軸(回転軸)、3...カウンタ軸(回転軸)、11,12,13...ローラクラッチ、21...内輪、22...第1の外輪(外輪)、23...第1の空間(空間)、24...第1の保持器(保持器)、24B...切欠き部(第1の保持器の切欠き部)、25...第1のローラ(ローラ)、26...第1のシフトリング(シフトリング)、26B,35B...溝部、26C,35C...傾斜面、26C、35C26b...他側面(第1のシフトリングの他側面、接触面)、31...第2の外輪(外輪)、32...第2の空間(空間)、33...第2の保持器(保持器)、33B...切欠き部(第2の保持器の切欠き部)、34...第2のローラ(ローラ)、35...第2のシフトリング(シフトリング)、35b...他側面(第2のシフトリングの他側面、接触面)、36...ピン(突部)、41...シフトフォーク、42...第1のガイド機構(ガイド機構)、43...第2のガイド機構(ガイド機構)

Claims (5)

  1. 動力が伝達される回転軸と一体で回転する内輪と、
    前記内輪に対して相対回転可能に前記内輪の外側に設置され、前記内輪との間に楔状の空間を形成する外輪と、
    リング状の保持器によって保持されて前記空間に収容され、前記内輪に対する前記外輪の回転を許容するロック解除位置と前記内輪に対する前記外輪の回転を規制するロック位置とに移動するように前記回転軸の円周方向に移動可能な複数のローラと、
    前記回転軸の軸線方向に並ぶ中立位置と変速位置との間を移動するシフトリングとを備え、
    前記変速位置にて前記保持器を前記外輪と一体的に回転させ、前記複数のローラを前記ロック解除位置から前記ロック位置に移動させるローラクラッチであって、
    前記シフトリングは前記保持器と一体的に回転するように連結されており、
    前記内輪と前記シフトリングの間にガイド機構が配置されており、
    前記ガイド機構は、前記ローラが前記ロック位置にあり、かつ前記シフトリングが前記変速位置から前記中立位置に移動される場合、相互に接触して前記保持器および前記ローラを前記ロック位置から前記ロック解除位置に回転させることを特徴とするローラクラッチ。
  2. 前記ガイド機構は、前記内輪に形成される凸部と前記シフトリングに形成される傾斜面とで構成されており、
    前記凸部は、前記内輪から半径方向外方に突出しており、
    前記シフトリングの内周部には前記凸部を収容する溝部が形成されており、
    前記傾斜面は、前記シフトリングの円周方向で前記凸部と対向する前記溝部の壁面に形成され、かつ前記シフトリングの軸線方向で前記外輪側の端部が前記シフトリングの円周方向で最も前記凸部の側に突出するように傾斜されていることを特徴とする請求項1に記載のローラクラッチ。
  3. 前記シフトリングは、前記外輪と異なる材料から構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のローラクラッチ。
  4. 前記保持器に、前記凸部が挿通される切欠き部が形成されており、
    前記切欠き部は、前記保持器が前記回転軸の円周方向に移動する際に、前記凸部と干渉しないように前記保持器の移動範囲に亙って切り欠かれていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のローラクラッチ。
  5. 前記外輪は、前記内輪の外側において前記回転軸の軸線方向に並列に設置される第1の外輪および第2の外輪から構成されており、
    前記ローラは、リング状の第1の保持器によって保持される複数の第1のローラおよびリング状の第2の保持器によって保持される複数の第2のローラから構成されており、
    前記シフトリングは、前記第1の外輪と前記第2の外輪の間に配置され、かつそれぞれの一側面同士が前記回転軸の軸線方向に対向して接触し、前記第1の外輪側および前記第2の外輪側の他側面が前記第1の外輪および前記第2の外輪に対する接触面を構成する第1シフトリングおよび第2シフトリングに分割されており、
    前記第1のシフトリングは前記第1の保持器と一体的に回転するように連結されており、
    前記第2のシフトリングは前記第2の保持器と一体的に回転するように連結されており、
    前記ガイド機構は、前記第1シフトリングと前記内輪との間に配置される第1のガイド機構と、前記第2シフトリングと前記内輪との間に配置される第2のガイド機構とから構成されており、
    前記変速位置は、前記中立位置に対して前記第1の外輪側に位置する第1の変速位置と前記中立位置に対して前記第2の外輪側に位置する第2の変速位置とからなり、
    前記第1のシフトリングおよび前記第2のシフトリングは、シフトフォークによって一体で前記中立位置と変速位置とに移動されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のローラクラッチ。
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