JP2017218952A - トロイダル型点火器 - Google Patents

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【課題】トロイダル型点火器における振動燃焼の発生を抑制する。【解決手段】第1のトロイダル型点火器は、固体ロケットモータに用いられるトロイダル型点火器であって、点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備え、燃焼室が、固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を有しており、噴射口が、等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個配設されている。第2のトロイダル型点火器は、固体ロケットモータに用いられるトロイダル型点火器であって、点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備え、燃焼室が、固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を有しており、噴射口が、不等間隔で2n(nは1以上の整数を示す。)個配設されている。【選択図】図1

Description

本発明は、トロイダル型点火器に関する。さらに詳細には、本発明は、振動燃焼の発生を抑制し得るトロイダル型点火器に関する。なお、トロイダル(toroidal:「円環型の、ドーナツ型の」)型点火器とは、固体ロケットモータ用の点火器の一種である。
従来、トロイダル型点火器としては、固体ロケットモータとノズルの結合部に円環型の点火薬(コンポジット火薬)と、円周上に等間隔で6箇所の噴射口を設けた構造を有し、燃焼ガスを主固体ロケットモータ内に噴射して着火させるものが提案されている(非特許文献1、第1−2頁、第3図参照。)。
矢代顕慎,中野信之,反野晴仁,羽生宏人,堀恵一,徳留真一郎,森田貴和、「イプシロンロケット 上段モータ用 トロイダル型点火器の開発状況」、講演集録 平成22年度 宇宙輸送シンポジウム(2011年1月20日〜21日)、独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所、2011年6月13日
しかしながら、非特許文献1に記載されたトロイダル型点火器においては、点火薬からの燃焼ガスの発生や噴射口からの燃焼ガスの流出に起因する微少な流れの擾乱により、燃焼ガスの振動が誘起され、噴射口の位置を振動の腹とする振動が発生する。その結果、本発明者の検討によれば、例えば、1次〜4次の低次の振動が、燃焼室内を1周したときに増幅される。
つまり、従来のトロイダル型点火器において発現する1次〜4次の低次の振動モードの概要を示す説明図(図5参照。)で示すように、従来のトロイダル型点火器においては、噴射口が、等間隔で6個配設されている構成としている。その結果、1次〜4次の低次モードの振動が燃焼室内を1周したときに位相が揃うので、1次〜4次の低次モードの振動は増幅される。そして、増幅された振動が、振動燃焼として過大な圧力を生じさせるという問題点があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明は、トロイダル型点火器における振動燃焼の発生を抑制することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた。その結果、(1)等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個の噴射口を配設する、(2)不等間隔で2n(nは1以上の整数を示す。)個の噴射口を配設する、(3)不等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個の噴射口を配設するなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1のトロイダル型点火器は、固体ロケットモータに用いられるトロイダル型点火器であって、点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備え、該燃焼室が、該固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を有し、該噴射口が、等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個配設されたことを特徴とする。
また、本発明の第2のトロイダル型点火器は、固体ロケットモータに用いられるトロイダル型点火器であって、点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備え、該燃焼室が、該固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を有し、該噴射口が、不等間隔で2n(nは1以上の整数を示す。)個配設されたことを特徴とする。
さらに、本発明の第3のトロイダル型点火器は、固体ロケットモータに用いられるトロイダル型点火器であって、点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備え、該燃焼室が、該固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を有し、該噴射口が、不等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個配設されたことを特徴とする。
本発明によれば、固体ロケットモータに用いられる第1のトロイダル型点火器であって、点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備え、燃焼室が、固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を有し、噴射口が、等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個配設された構成とした。そのため、低次モードの振動の少なくとも一部を打ち消し合わせて、トロイダル型点火器における振動燃焼の発生を抑制することができる。
本発明によれば、固体ロケットモータに用いられる第2のトロイダル型点火器であって、点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備え、燃焼室が、固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を有し、噴射口が、不等間隔で2n(nは1以上の整数を示す。)個配設された構成とした。そのため、低次モードの振動の少なくとも一部の発生を抑制し、トロイダル型点火器における振動燃焼の発生を抑制することができる。
本発明によれば、固体ロケットモータに用いられる第3のトロイダル型点火器であって、点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備え、燃焼室が、固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を有し、噴射口が、不等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個配設された構成とした。そのため、低次モードの振動の少なくとも一部の発生を抑制するとともに、低次モードの振動の少なくとも一部を打ち消し合わせて、トロイダル型点火器における振動燃焼の発生を抑制することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型点火器の概要を示す部分断面図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型点火器において発現する低次の振動モードの概要を示す説明図である。 図3は、本発明の第2の実施形態に係るトロイダル型点火器の概要を示す部分断面図である。 図4は、本発明の第2の実施形態に係るトロイダル型点火器において発現する低次の振動モードの概要を示す説明図である。 図5は、従来のトロイダル型点火器において発現する低次の振動モードの概要を示す説明図である。
以下、本発明の一実施形態に係るトロイダル型点火器について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態で引用する図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型点火器の概要を示す部分断面図である。図1に示すように、本実施形態のトロイダル型点火器1は、固体ロケットモータ(図示せず。)に適用され、トロイダル形状の点火薬10を収納するトロイダル形状の燃焼室2を備えたものである。そして、燃焼室2は、固体ロケットモータの内部に通じ、固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口2aを円周上に有している。なお、図中の破線で示す2aは噴射口が配置される位置を示している。また、噴射口2aは、等間隔で7個配設されている。さらに、図中の符号Bはボルト、符号Iはイグブースタを示す。
ここで、本発明において「等間隔」とは、完全に等間隔である場合のほか、7個配設する場合のように、分け切れない0.5°未満の余分な中心角(間隔)を有する場合を含むことを意味する。
そして、点火薬の燃焼ガスが等間隔で7個配設された噴射口から噴き出し、噴射口の出口にある固体ロケットモータの推進薬に着火させる。
本実施形態においては、噴射口が、等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個、好ましくは3〜17個、より好ましくは5〜11個、特に好ましくは5〜9個配設されている構成としているため、燃焼ガスの振動が燃焼室内を1周したときに、低次モードの振動の少なくとも一部が打ち消し合うこととなり、トロイダル型点火器における振動燃焼の発生を抑制することができる。また、増幅された振動が、振動燃焼として過大な圧力を生じさせることなく、燃焼室等の損傷を防止することが可能であるという観点から好ましい。さらに、燃焼室等を厚肉にするなどの対策をする必要がなく、薄肉化や軽量化などの強度設計という観点からも好ましい。これについて、図面を参照しながら更に詳細に説明する。
図2は、図1に示す本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型点火器において発現する1次〜4次の低次の振動モードの概要を示す説明図である。5次以上の高次の振動モードは減衰しやすく、実用上は無視し得る振動モードであるため、1次〜4次の振動モードを示した。噴射口を等間隔で7個配設した場合には、1次モード及び3次モードの振動は、燃焼ガスの振動が燃焼室内を1周したとき、位相が反転し、打ち消しあう。これにより、トロイダル型点火器における振動燃焼の発生を抑制することができる。なお、2次モード及び4次モードの振動は、燃焼ガスの振動が燃焼室内を1周したとき、位相がそろい、増幅する。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係るトロイダル型点火器の概要を示す部分断面図である。図3に示すように、本実施形態のトロイダル型点火器1Aは、固体ロケットモータ(図示せず。)に適用され、トロイダル形状の点火薬10を収納するトロイダル形状の燃焼室2を備えたものである。そして、燃焼室2は、固体ロケットモータの内部に通じ、固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口2aを円周上に有している。また、噴射口2aは、不等間隔で6個配設されている。さらに、図中の符号Bはボルト、符号Iはイグブースタを示す。
そして、点火薬の燃焼ガスが不等間隔で6個配設された噴射口から噴き出し、噴射口の出口にある固体ロケットモータの推進薬に着火させる。
本実施形態においては、噴射口が、不等間隔で2n(nは1以上の整数を示す。)個、好ましくは2〜18個、より好ましくは4〜12個、さらに好ましくは6〜12個、特に好ましくは6〜8個配設された構成としているため、燃焼ガスの振動が燃焼室内を1周したときに、低次モードの振動の少なくとも一部の発生が抑制されることとなり、トロイダル型点火器における振動燃焼の発生を抑制することができる。また、増幅された振動が、振動燃焼として過大な圧力を生じさせることなく、燃焼室等の損傷を防止することが可能であるという観点から好ましい。さらに、燃焼室等を厚肉にするなどの対策をする必要がなく、薄肉化や軽量化などの強度設計という観点からも好ましい。これについて、図面を参照しながら更に詳細に説明する。
図4は、図3に示す本発明の第2の実施形態に係るトロイダル型点火器において発現する低次(4次)の振動モードの概要を示す説明図である。5次以上の高次の振動モードは減衰しやすく、実用上は無視し得る振動モードであるため、4次の振動モードを示した。本実施形態においては、1次〜3次の低次の振動モードは発生しない。これにより、トロイダル型点火器における振動燃焼の発生を抑制することができる。なお、4次モードの振動は、燃焼ガスの振動が燃焼室内を1周したとき、位相が揃い、増幅する。また、4次モードの振動が問題になる場合、噴射口の間隔を1/4ピッチ(0.75ピッチと1.25ピッチ)から、例えば、1/6ピッチや1/8ピッチ、1/10ピッチのようにピッチを細かくすることにより、増幅される振動モードをそれぞれ6次や8次、10次とより高い振動数側(高次側)へ移行させることができる。そのため、減衰しやすく、実用上問題にならない振動モードとすることができる。
また、本実施形態においては、噴射口の間隔が、0.60〜1.50ピッチであることが好ましく、0.75〜1.25ピッチであることがより好ましい。噴射口の間隔が0.60より小さい場合や1.50より大きい場合には、噴射口から噴き出される燃焼ガスに偏りが生じる結果、推進薬の着火に偏りが生じる可能性がある。
ここで、本発明において「1ピッチ」とは、不等間隔で2n(又は2n+1)(nは1以上の整数を示す。)個配設した噴射口を等間隔で配設したときの間隔を意味し、例えば、噴射口の数が6個である場合には、円周上において中心角60°の間隔を意味する。
(第3の実施形態)
図示しないが、本実施形態のトロイダル型点火器は、固体ロケットモータに適用され、トロイダル型点火器であって、トロイダル形状の点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備えたものである。そして、燃焼室は、固体ロケットモータの内部に通じ、その固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を円周上に有している。また、噴射口は、不等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個配設されている。
そして、点火薬の燃焼ガスが不等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個配設された噴射口から噴き出し、噴射口の出口にある固体ロケットモータの推進薬に着火させる。
本実施形態においては、噴射口が、不等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個、好ましくは3〜17個、より好ましくは5〜11個、さらに好ましくは5〜9個配設された構成としているため、燃焼ガスの振動が燃焼室内を1周したときに、低次モードの振動の少なくとも一部の発生が抑制され、さらに、低次モードの振動の少なくとも一部が打ち消し合うこととなり、トロイダル型点火器における振動燃焼の発生を抑制することができる。また、増幅された振動が、振動燃焼として過大な圧力を生じさせることなく、燃焼室等の損傷を防止することが可能であるという観点から好ましい。さらに、燃焼室等を厚肉にするなどの対策をする必要がなく、薄肉化や軽量化などの強度設計という観点からも好ましい。
また、本実施形態においては、噴射口の間隔が、0.60〜1.50ピッチであることが好ましく、0.75〜1.25ピッチであることがより好ましい。噴射口の間隔が0.60より小さい場合や1.50より大きい場合には、噴射口から噴き出される燃焼ガスに偏りが生じる結果、推進薬の着火に偏りが生じる可能性がある。
以上、本発明を若干の実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1,1A トロイダル型点火器
2 燃焼室
2a 噴射口
10 点火薬
B ボルト
I イグブースタ

Claims (4)

  1. 固体ロケットモータに用いられるトロイダル型点火器であって、
    点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備え、
    上記燃焼室が、上記固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を有し、
    上記噴射口が、等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個配設された
    ことを特徴とするトロイダル型点火器。
  2. 固体ロケットモータに用いられるトロイダル型点火器であって、
    点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備え、
    上記燃焼室が、上記固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を有し、
    上記噴射口が、不等間隔で2n(nは1以上の整数を示す。)個配設された
    ことを特徴とするトロイダル型点火器。
  3. 固体ロケットモータに用いられるトロイダル型点火器であって、
    点火薬を収納するトロイダル形状の燃焼室を備え、
    上記燃焼室が、上記固体ロケットモータに燃焼ガスを噴射するための複数の噴射口を有し、
    上記噴射口が、不等間隔で2n+1(nは1以上の整数を示す。)個配設された
    ことを特徴とするトロイダル型点火器。
  4. 上記噴射口の間隔が、0.60〜1.50ピッチであることを特徴とする請求項2又は3に記載のトロイダル型点火器。
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