JP2017218604A - 光造形品へのめっき皮膜形成方法 - Google Patents

光造形品へのめっき皮膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】めっき皮膜形成工程中に光造形品の品質が劣化するという問題のない、光造形品へのめっき皮膜形成方法を提供。
【解決手段】光造形法によりエポキシ系樹脂を層状に硬化・積層して作製した三次元構造の光造形品を準備する第1工程と、前記光造形品の表面を♯800〜♯2000の研磨材を用いて、研磨処理、研削処理又はブラスト処理或いは組み合わせた、機械的処理により、前記表面の算術平均粗さRaが0.141μm以上で、好ましくは0.458μm以下となる範囲に表面仕上げする第2工程と、エッチング工程を実施することなく前記光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施してめっき皮膜を形成する第3工程とを含む光造形品へのめっき皮膜形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光造形品へのめっき皮膜形成方法に関する。
光造形法によりエポキシ系樹脂を層状に硬化・積層して作製した光造形品が知られている。このような光造形品は、三次元構造を有し、製品の試作品(又はマスターモデル)として使用されるのみならず、近年は最終製品そのものとしても使用されている。このため、光造形品の表面にめっき皮膜を形成することが求められている。また、光造形品を製品の試作品として使用する場合であっても、最終製品に近いリアリティを出すため、光造形品の表面にめっき皮膜を形成することが求められている。そして、このように、光造形品の表面にめっき皮膜を形成する技術として、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。
特許文献1に記載された技術は、光造形品の表面を研磨材を用いて磨くA工程と、その後光造形品を加熱するB工程と、その後光造形品の表面に着色された合成樹脂塗料(サーフェイサー)を吹き付けてA工程で生成された傷を目立たせるC工程と、A工程より細かい研磨材を用いて表面を磨くD工程と、その後光造形品を加熱するE工程と、その後光造形品の表面に着色された合成樹脂塗料(サーフェイサー)を吹き付けてD工程で生成された傷を目立たせるF工程と、D工程より細かい研磨材を用いて表面を磨くG工程と、その後光造形品の表面にめっき皮膜を形成するH工程を実施する。
このため、特許文献1に記載された技術によれば、加熱により光造形品の残留応力を発散できるので、めっき皮膜形成工程(H工程)中の加熱によって光造形品の残留応力が発散されてめっき表面に段差が現れることがなくなる。また、その際に加熱により段差等が生じても、加熱後に合成樹脂塗料(サーフェイサー)を吹き付けてから表面の研磨を行うので、加熱により生じた段差を消滅できる。
特開2004−190099号公報
しかしながら、従来の光造形品へのめっき皮膜形成方法においては、めっき皮膜形成工程中に、光造形品とめっき皮膜との剥離強度を高めるためにエッチングにより光造形品の表面を粗化しているため、エッチング液により光造形品の材料であるエポキシ樹脂や合成樹脂塗料(サーフェイサー)が劣化して、光造形品の品質が劣化するという問題がある。
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、めっき皮膜形成工程中に光造形品の品質が劣化するという問題のない、光造形品へのめっき皮膜形成方法を提供することを目的とする。
[1]本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法は、光造形法によりエポキシ系樹脂を層状に硬化・積層して作製した三次元構造の光造形品を準備する第1工程と、前記光造形品の表面を機械的処理により、前記表面の算術平均粗さRaが0.141μm以上となる範囲に表面仕上げする第2工程と、エッチング工程を実施することなく前記光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施してめっき皮膜を形成する第3工程とを含むことを特徴とする。
本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、エッチング工程を実施することなく光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施してめっき皮膜を形成することから、従来の光造形品へのめっき皮膜形成方法とは異なり、めっき皮膜形成工程中に光造形品の品質が劣化するという問題がなくなる。なお、本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法においては、第2工程で、光造形品の表面を機械的処理により所定の表面粗さに表面仕上げすることから、第3工程で必要であったエッチング工程を実施することなく、光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施してめっき皮膜を形成することが可能となる。
また、本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、第2工程において、表面の算術平均粗さRaが0.141μm以上となる範囲に表面仕上げすることから、後述する試験例1の結果からも明らかなように、光造形品とめっき皮膜との間の剥離強度を所定の値(例えば0.5N/cm)以上にすることができる(図2参照。)。この0.5N/cmという剥離強度は、製品として用いる場合には十分な剥離強度とはいえない場合もあるが、製品の試作品として用いる場合には許容される剥離強度である。
なお、近年では、エポキシ樹脂の改良をはじめとする光造形技術の進歩により、加熱により段差が生じることがなくなったため、本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法においては、特許文献1に記載された技術の場合に必要であった、加熱のたびに合成樹脂塗料(サーフェイサー)を吹き付けるという工程も必ずしも必要がなくなっている。
この明細書において、算術平均粗さRaとは、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値をいう(日本工業規格 JIS B 0601参照。)。
[2]本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法において、前記第2工程においては、前記表面の算術平均粗さRaが0.458μm以下となる範囲に表面仕上げすることが好ましい。
このような方法とすることにより、後述する試験例2の結果からも明らかなように、鏡面性のよいめっき皮膜を形成することが可能となる(図1参照。)。
[3]本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法においては、♯2000以下の研磨材を用いて前記第2工程を行うことが好ましい。
このような方法とすることにより、後述する試験例1の結果からも明らかなように、光造形品とめっき皮膜との間の剥離強度を所定の値(例えば0.5N/cm)以上にすることができる(図2参照。)。
[4]本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法においては、♯800以上の研磨材を用いて前記第2工程を行うことが好ましい。
このような方法とすることにより、後述する試験例2の結果からも明らかなように、鏡面性のよいめっき皮膜を形成することが可能となる(図1参照。)。
[5]本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法において、前記機械的処理は、研磨処理、研削処理若しくはブラスト処理又はこれらを組み合わせた処理であることが好ましい。
このような方法とすることにより、エッチング工程を実施することなく光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施してめっき皮膜を形成することが可能となる。
なお、上記した研磨材としては、機械的処理に応じて、研磨紙、研磨布、研磨粉などの研磨材を用いることができる。
[6]本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法において、前記第3工程においては、スズのゾル溶液を用いて前記光造形品の表面にスズ化合物のコーティング膜を形成するセンシタイジング工程と、パラジウムイオンを含有する溶液を用いて前記光造形品の表面にパラジウムからなるめっき触媒を吸着させるアクティベーティング工程とを含む前処理工程を行なった後、前記光造形品の表面に前記無電解ニッケルめっきを施すことが好ましい。
このような方法とすることにより、強酸を用いることなく光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施すことが可能となる。その結果、光造形品を構成するエポキシ樹脂が劣化しなくなり、また、強酸を用いる必要がないため、環境への負担を軽減することができる。
また、後述する[7]に記載の方法と比較して、工程を1つ少なくでき、高い生産性でもって無電解ニッケルめっきを施することができる。
[7]本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法において、前記第3工程においては、スズのゾル溶液を用いて前記光造形品の表面にスズ化合物のコーティング膜を形成するセンシタイジング工程と、銀イオンを含有する溶液を用いてスズと銀の置換反応を起こさせて前記光造形品の表面に銀を析出させる中間処理工程と、パラジウムイオンを含有する溶液を用いて銀とパラジウムとの置換反応を起こさせて前記光造形品の表面にパラジウムからなるめっき触媒を吸着させるアクティベーティング工程とを含む前処理工程を行なった後、前記光造形品の表面に前記無電解ニッケルめっきを施すことが好ましい。
このような方法とすることによっても、強酸を用いることなく光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施すことが可能となる。その結果、光造形品を構成するエポキシ樹脂が劣化しなくなり、また、強酸を用いる必要がないため、環境への負担を軽減することができる。
また、上記した[6]に記載の方法と比較して、パラジウムの使用量を減ずることができる。
[8]本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法において、前記第3工程においては、前記光造形品の表面に前記無電解ニッケルめっきを施した後、電解めっきを施して複合めっき皮膜を形成することが好ましい。
このような方法とすることにより、無電解ニッケルめっきの上層に様々な電解めっきを施すことができることから、本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法を種々の応用分野に適用できる。
[9]本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法において、前記第3工程においては、前記光造形品の表面に前記電解めっきを施す際に光沢剤又はレベリング剤を用いることが好ましい。
このような方法とすることにより、アンカー効果を大きくするためにめっき皮膜の算術平均粗さRaを比較的大きくしても、表面に傷が見えにくくなり、光造形品の外観上の品質を高くできる。
[10]本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法においては、前記光造形品の表面に直接前記めっき皮膜を形成することとしてもよい。
[11]本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法においては、前記光造形品の表面にサーフェイサーとしての合成樹脂材料を介して前記めっき皮膜を形成することとしてもよい。
試験例1及び2で用いた各試料の諸元及び試験例1及び2の結果を説明するために示す図表である 試験例1の結果を説明するために示す図である。 試験例1の結果を説明するために示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[実施形態1]
<光造形品へのめっき皮膜形成方法>
実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法は、三次元構造の光造形品を準備する第1工程と、光造形品表面の算術平均粗さRaが0.141μm以上となる範囲に表面仕上げをする第2工程と、光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施してめっき皮膜を形成する第3工程とを含む。以下、実施形態に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法を詳細に説明する。
1.第1工程
第1工程は、光造形法によりエポキシ系樹脂を層状に硬化・積層して作製した三次元構造の光造形品を準備する工程である。この工程は、樹脂用の様々な光造形システムを用いることができる。
2.第2工程
第2工程は、光造形品の表面を機械的処理により、表面の算術平均粗さRaが0.141μm以上、かつ、0.458μm以下となる範囲に表面仕上げする工程である。実施形態1においては、♯2000以下、かつ、♯800以上の研磨材を用いて第2工程を行う。機械的処理としては、研削処理及び研磨処理を用いる。
3.第3工程
第3工程は、エッチング工程を実施することなく光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施してめっき皮膜を形成する工程である。
第3工程においては、スズのゾル溶液を用いて光造形品の表面にスズ化合物のコーティング膜を形成するセンシタイジング工程と、パラジウムイオンを含有する溶液を用いて光造形品の表面にパラジウムからなるめっき触媒を吸着させるアクティベーティング工程とを含む前処理工程を行なった後、光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施す。当該第3工程は、特開2014−141712号公報に記載に方法に従って行う。
第3工程においては、光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施した後、電解めっきを施して複合めっき皮膜を形成する。電解めっきとしては、種々の電解めっきを実施することができる。複数の電解めっきを組み合わせて実施することもできる。例えば、電解銅めっき、電解ニッケルめっき及び電解クロムめっきを順次施して複合めっき皮膜を形成することもできる。なお、光造形品の表面に電解めっきを施す際には、光沢剤及びレベリング剤を用いる。
<実施形態に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法の効果>
実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、エッチング工程を実施することなく光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施してめっき皮膜を形成することから、従来の光造形品へのめっき皮膜形成方法とは異なり、めっき皮膜形成工程中に光造形品の品質が劣化するという問題がなくなる。
また、実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、第2工程において、表面の算術平均粗さRaが0.141μm以上となる範囲に表面仕上げすることから、後述する試験例1の結果からも明らかなように、光造形品とめっき皮膜との間の剥離強度を所定の値(例えば0.5N/cm)以上にすることができる(図2参照。)。
また、実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、第2工程において、表面の算術平均粗さRaが0.458μm以下となる範囲に表面仕上げすることから、後述する試験例2の結果からも明らかなように、鏡面性のよいめっき皮膜を形成することが可能となる(図1参照。)。
また、実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、♯2000以下の研磨材を用いて第2工程を行うことから、後述する試験例1の結果からも明らかなように、光造形品とめっき皮膜との間の剥離強度を所定の値(例えば0.5N/cm)以上にすることができる(図2参照。)。
また、実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、♯800以上の研磨材を用いて第2工程を行うことから、後述する試験例2の結果からも明らかなように、鏡面性のよいめっき皮膜を形成することが可能となる(図1参照。)。
また、実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、機械的処理が、研削処理及び研磨処理であることから、エッチング工程を実施することなく光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施してめっき皮膜を形成することが可能となる。
また、実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、第3工程においては、スズのゾル溶液を用いて光造形品の表面にスズ化合物のコーティング膜を形成するセンシタイジング工程と、パラジウムイオンを含有する溶液を用いて光造形品の表面にパラジウムからなるめっき触媒を吸着させるアクティベーティング工程とを含む前処理工程を行なった後、光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施すことから、強酸を用いることなく光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施すことが可能となる。その結果、光造形品を構成するエポキシ樹脂が劣化しなくなり、また、強酸を用いる必要がないため、環境への負担を軽減することができる。
また、実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、第3工程においては、光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施した後、電解めっきを施して複合めっき皮膜を形成することから、無電解ニッケルめっきの上層に様々な電解めっきを施すことができることから、本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法を種々の応用分野に適用できる。
また、実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、第3工程においては、光造形品の表面に電解めっきを施す際に光沢剤及びレベリング剤を用いることから、アンカー効果を大きくするためにめっき皮膜の算術平均粗さRaを比較的大きくしても、表面に傷が見えにくくなり、光造形品の外観上の品質を高くできる。
[実施形態2]
実施形態2に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法は、基本的には、実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法と同様の工程を有するが、第3工程の内容が実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法の場合と異なる。
すなわち、実施形態2に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法においては、第3工程において、スズのゾル溶液を用いて光造形品の表面にスズ化合物のコーティング膜を形成するセンシタイジング工程と、銀イオンを含有する溶液を用いてスズと銀の置換反応を起こさせて光造形品の表面に銀を析出させる中間処理工程と、パラジウムイオンを含有する溶液を用いて銀とパラジウムとの置換反応を起こさせて光造形品の表面にパラジウムからなるめっき触媒を吸着させるアクティベーティング工程とを含む前処理工程を行なった後、光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施すこととしている。
このように、実施形態2に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法は、第3工程の内容が実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法の場合と異なるが、実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法の場合と同様に、エッチング工程を実施することなく光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施してめっき皮膜を形成することから、従来の光造形品へのめっき皮膜形成方法とは異なり、めっき皮膜形成工程中に光造形品の品質が劣化するという問題がなくなる。
また、実施形態2に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、第2工程において、表面の算術平均粗さRaが0.141μm以上となる範囲に表面仕上げすることから、後述する試験例1の結果からも明らかなように、光造形品とめっき皮膜との間の剥離強度を所定の値(例えば0.5N/cm)以上にすることができる(図2参照。)。
また、実施形態2に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法によれば、第2工程において、表面の算術平均粗さRaが0.458μm以下となる範囲に表面仕上げすることから、後述する試験例2の結果からも明らかなように、鏡面性のよいめっき皮膜を形成することが可能となる(図1参照。)。
[試験例]
以下、試験例により本発明をさらに具体的に説明する。
[試験例1]
試験例1は、光造形品へのめっき皮膜形成方法において、光造形品表面の算術平均粗さRaと、光造形品とめっき皮膜との間の剥離強度との関係を明らかにするための試験例である。
1.試料の調製
基本的には、上記の実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法と同様の方法によって、試料1〜19(光造形品)を作製した。各試料は、いずれも、シーメット株式会社製の光造形システム(型番:RM−6000)を用いて作製した。原料の樹脂は、株式会社ADEKA製の紫外線硬化型エポキシ系樹脂(製品番号:HS−696)を用いた。各試料は、長さ60mm×幅15mm×厚さ3mmの直方体であり、積層ピッチは厚さ方向に沿って0.13mmである。
その後、図1に記載の条件で研磨工程を実施することにより各試料について表面仕上げを行った。図1は、試験例1及び2で用いた各試料の諸元及び試験例1及び2の結果を説明するために示す図表である。なお、図1中、研磨工程に用いた研磨紙の入手先のうち、RC社は理研コランダム株式会社を示し、KV社は株式会社コバックスを示し、ZS社はZibo Sisha Mt Coated Abrasives Co., Ltd. (中国)を示し、NK社は日本研紙株式会社を示し、FJ社は有限会社富士研磨を示し、SK社は三共理化学株式会社を示し、3M社はスリーエムジャパン株式会社を示す。
各試料についての算術平均粗さRaの測定は、英国テーラーホブソン社製の三次元表面粗さ測定器(型番:フォームタリサーフS5K型、長野県工業技術総合センター保有設備)を用いて行った。
その後、上記の実施形態1に係る光造形品へのめっき皮膜形成方法と同様の方法によって、各試料の表面にめっき皮膜を形成した。めっき皮膜の形成は、センシタイジング工程とアクティベーティング工程とを含む前処理工程を行った後、各試料の表面にめっき皮膜を形成することにより行った。但し、めっき皮膜の形成は、各試料の表面に無電解ニッケルめっきを施した後、電解銅めっきを施して複合めっき皮膜を形成した。
2.評価方法
剥離強度の測定は、株式会社イマダ製デジタルフォースゲージDS2−50Nを用いて行った。まず、各試料の電解銅めっき面にカッターナイフで下地のエポキシ系樹脂に届くまで短冊状の切込み(長方形の長辺2辺及び短辺1辺に沿った切込み)を入れる。長方形の長辺の長さは25mmとし短辺の幅は8mmとする。その後、短冊状の切り込みのうち短辺1辺に沿った切り込みの部分からめっき皮膜を数mm剥がして、上記デジタルフォースゲージのクリップに挟む。その後、各試料に対して上記デジタルフォースゲージが垂直の関係になるように保持しながら、ゆっくりとデジタルフォースゲージを引き上げていき、そのときの最大の引き上げ力を剥離強度として読み取る。
3.評価結果
図2及び図3は、試験例1の結果を説明するために示す図である。すなわち、図2は、横軸に算術平均粗さRaを取り、縦軸に剥離強度を取るとともに、各試料について光造形品表面の算術平均粗さRa及び光造形品とめっき皮膜との剥離強度をプロットしたものである。また、図3は、横軸に研磨材(この場合研磨紙)の粗さ(番手)を取り、縦軸に剥離強度を取るとともに、各試料(試料1〜19)について研磨工程に用いた研磨紙の番手及び光造形品とめっき皮膜との剥離強度をプロットしたものである。
図2からは、光造形品表面の算術平均粗さRaが大きいほど光造形品とめっき皮膜の剥離強度が大きいことが分かった。そして、試料1〜17が0.5N/cm以上の剥離強度を有することから、光造形品表面の算術平均粗さRaが0.141μm以上の場合に0.5N/cm以上の剥離強度が得られることが分かった。
また、図3からは、研磨工程に用いる研磨紙の番手が小さいほど光造形品とめっき皮膜の剥離強度が大きいことが分かった。そして、試料1〜17が0.5N/cm以上の剥離強度を有することから、研磨工程で用いる研磨紙の番手が♯2000以下の場合に0.5N/cm以上の剥離強度が得られることが分かった。
[試験例2]
試験例2は、本発明の光造形品へのめっき皮膜形成方法において、光造形品表面の算術平均粗さRaと、めっき皮膜の鏡面性との関係を明らかにするための試験である。
1.試料の調製
基本的には、試験例1の場合と同様の方法によって、試料1〜19を作製した。但し、めっき皮膜の形成は、各試料の表面に無電解ニッケルめっきを施した後、電解銅めっき、電解ニッケルめっき及び電解クロムめっきを順次施して複合めっき皮膜を形成した。
2.評価方法
めっき皮膜の鏡面性は、評価者の目視による評価により行った。評価基準は以下の通りである。すなわち、めっき皮膜の鏡面性が非常に良い場合(表面全面が均一な鏡面である場合)にA評価を与え、めっき皮膜の鏡面性が良い場合(部分的に下地のエポキシ系樹脂が露出している部分が見られる場合)にB評価を与え、めっき皮膜の鏡面性が悪い(明らかに仕上げ傷が観察できる場合)にC評価を与えた。評価者は3人とし、3人のうち一番低い評価を当該試料についての評価とした。
3.評価結果
評価の結果、光造形品表面の算術平均粗さRaが小さいほどめっき皮膜の鏡面性が高いことが分かった。そして、試料6〜19がA評価を有することから、光造形品表面の算術平均粗さRaが0.458μm以下の場合に鏡面性の良いめっき皮膜を形成可能であることが分かった。
また、研磨工程に用いる研磨紙の番手が大きいほどさいほどめっき皮膜の鏡面性が高いことが分かった。そして、試料6〜19がA評価を有することから、研磨工程に用いる研磨紙の番手が♯800以上の場合に鏡面性の良いめっき皮膜を形成可能であることが分かった。
なお、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
(1)上記実施形態1及び2においては、機械的処理として、研削処理及び研磨処理を用いたが、本発明はこれに限定されるものでない。研削処理及び研磨処理に代えて、研削処理単独の処理、研磨処理単独の処理、又は、ブラスト処理を用いてもよい。
(2)上記実施形態1及び2においては、電解めっきを施す際に光沢剤及びレベリング剤の両方を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。電解めっきを施す際に光沢剤及びレベリング剤の一方だけを用いてもよい。また、電解めっきを施す際に光沢剤及びレベリング剤の両方を用いなくてもよい。
(3)上記実施形態1及び2においては、光造形品の表面に直接めっき皮膜を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。光造形品の表面にサーフェイサーとしての合成樹脂材料を介してめっき皮膜を形成してもよい。

Claims (11)

  1. 光造形法によりエポキシ系樹脂を層状に硬化・積層して作製した三次元構造の光造形品を準備する第1工程と、
    前記光造形品の表面を機械的処理により、前記表面の算術平均粗さRaが0.141μm以上となる範囲に表面仕上げする第2工程と、
    エッチング工程を実施することなく前記光造形品の表面に無電解ニッケルめっきを施してめっき皮膜を形成する第3工程とを含むことを特徴とする光造形品へのめっき皮膜形成方法。
  2. 前記第2工程においては、前記表面の算術平均粗さRaが0.458μm以下となる範囲に表面仕上げすることを特徴とする請求項1に記載の光造形品へのめっき皮膜形成方法。
  3. ♯2000以下の研磨材を用いて前記第2工程を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の光造形品へのめっき皮膜形成方法。
  4. ♯800以上の研磨材を用いて前記第2工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光造形品へのめっき皮膜形成方法。
  5. 前記機械的処理は、研磨処理、研削処理若しくはブラスト処理又はこれらを組み合わせた処理であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光造形品へのめっき皮膜形成方法。
  6. 前記第3工程においては、スズのゾル溶液を用いて前記光造形品の表面にスズ化合物のコーティング膜を形成するセンシタイジング工程と、パラジウムイオンを含有する溶液を用いて前記光造形品の表面にパラジウムからなるめっき触媒を吸着させるアクティベーティング工程とを含む前処理工程を行なった後、前記光造形品の表面に前記無電解ニッケルめっきを施すことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光造形品へのめっき皮膜形成方法。
  7. 前記第3工程においては、スズのゾル溶液を用いて前記光造形品の表面にスズ化合物のコーティング膜を形成するセンシタイジング工程と、銀イオンを含有する溶液を用いてスズと銀の置換反応を起こさせて前記光造形品の表面に銀を析出させる中間処理工程と、パラジウムイオンを含有する溶液を用いて銀とパラジウムとの置換反応を起こさせて前記光造形品の表面にパラジウムからなるめっき触媒を吸着させるアクティベーティング工程とを含む前処理工程を行なった後、前記光造形品の表面に前記無電解ニッケルめっきを施すことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光造形品へのめっき皮膜形成方法。
  8. 前記第3工程においては、前記光造形品の表面に前記無電解ニッケルめっきを施した後、電解めっきを施して複合めっき皮膜を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光造形品へのめっき皮膜形成方法。
  9. 前記第3工程においては、前記光造形品の表面に前記電解めっきを施す際に光沢剤又はレベリング剤を用いることを特徴とする請求項8に記載の光造形品へのめっき皮膜形成方法。
  10. 前記光造形品の表面に直接前記めっき皮膜を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光造形品へのめっき皮膜形成方法。
  11. 前記光造形品の表面にサーフェイサーとしての合成樹脂材料を介して前記めっき皮膜を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光造形品へのめっき皮膜形成方法。
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