JP2017218468A - エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、成形材、及び成形材の製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、成形材、及び成形材の製造方法 Download PDF

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Yoshitaka Takezawa
由高 竹澤
田中 賢治
Kenji Tanaka
賢治 田中
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Yuka Yoshida
優香 吉田
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Shingo Tanaka
慎吾 田中
房郎 北條
Fusao Hojo
房郎 北條
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Abstract

【課題】熱伝導率に優れる硬化物を形成可能なエポキシ樹脂組成物、並びにこのエポキシ樹脂組成物を用いた成形材前駆体及び成形材を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂組成物は、液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、フィラーとを含有し、前記液晶性エポキシモノマーが前記硬化剤と反応することにより、スメクチック構造由来の1.0nm以上の周期長の周期構造を2つ以上有する樹脂マトリックスを形成可能である。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、成形材、及び成形材の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化及び高性能化によるエネルギー密度の増加に伴い、単位体積当たりの発熱量が増加傾向にあることから、電子機器を構成する絶縁材料には高い熱伝導性が求められている。また、絶縁材料には、絶縁耐圧の高さ及び成形の容易さの観点から、広くエポキシ樹脂が用いられている。エポキシ樹脂の熱伝導性を高める方法として、例えば特許文献1には、配向性の高いメソゲン基を有するモノマーを含む樹脂組成物を重合させた液晶性エポキシ樹脂を利用することが有効であると記載されている。
さらに、エポキシ樹脂の熱伝導性を高めるために、熱伝導率が高く且つ絶縁性のフィラーを樹脂に添加する方法が一般に用いられている。熱伝導率が高く且つ絶縁性のフィラーとしては、アルミナ粒子等がある。
特開平11−323162号公報
しかしながら、メソゲン基を有するエポキシ樹脂とフィラーとのコンポジットを成形すると、メソゲン基に由来する秩序的な構造が十分に形成できないために、所望の熱伝導率が得られにくい傾向がある。特に、成形法としてトランスファー成形法を採用した場合に、秩序的な構造が十分に形成され難い傾向にある。
上記状況に鑑み、本発明の課題は、熱伝導率に優れる硬化物を形成可能なエポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、成形材、及び成形材の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための具体的な手段は以下の通りである。
<1> 液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、フィラーと、を含有し、
前記液晶性エポキシモノマーが前記硬化剤と反応することにより、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを形成可能なエポキシ樹脂組成物。
<2> 前記周期構造は、それぞれの周期長が1.0nm以上である<1>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<3> 前記樹脂マトリックスは、周期長が2.0nm以上3.0nm未満の前記周期構造と、周期長が3.0nm以上4.0nm以下の前記周期構造と、を含有する<1>又は<2>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<4> 前記フィラーは、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子及び酸化マグネシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<5> 前記フィラーの含有率が、全固形分中、50質量%以上である<1>〜<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<6> 前記液晶性エポキシモノマーが、下記一般式(I)で表されるモノマーを含む<1>〜<5>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
一般式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。
<7> 前記一般式(I)で表されるモノマーとハイドロキノンとの反応生成物を含む<6>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<8> 前記硬化剤が、フェノールノボラック樹脂を含む<1>〜<7>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<9> <1>〜<8>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の熱処理物である成形材前駆体。
<10> さらに熱処理することにより、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスが形成される<9>に記載の成形材前駆体。
<11> <1>〜<8>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物であり、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを含む成形材。
<12> <9>又は<10>に記載の成形材前駆体の硬化物であり、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを含む成形材。
<13> <1>〜<8>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を熱処理して成形材前駆体を得る工程と、
前記成形材前駆体をさらに熱処理して成形する工程と、を有する、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを含む成形材の製造方法。
<14> <9>又は<10>に記載の成形材前駆体を熱処理して成形する工程を有する、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを含む成形材の製造方法。
<15> 前記成形する工程は、トランスファー成形法により成形することを含む<13>又は<14>に記載の成形材の製造方法。
<16> 前記成形材前駆体に対する熱処理を2回以上実施する<13>〜<15>のいずれか1項に記載の成形材の製造方法。
本発明によれば、熱伝導率に優れる硬化物を形成可能なエポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、成形材、及び成形材の製造方法を提供することができる。
成形材のXRD測定結果であり、周期長が1.0nm以上の周期構造が2つあることを示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本発明において、成形材の平均厚み(厚みの平均値ともいう)は、対象となる成形材の無作為に選んだ5点の厚みを測定し、その算術平均値として与えられる値とする。
成形材の厚みは、マイクロメーター等を用いて測定することができる。
<エポキシ樹脂組成物>
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、フィラーと、を含有し、前記液晶性エポキシモノマーが前記硬化剤と反応することにより、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを形成可能なものである。エポキシ樹脂組成物が上記構成であることで、エポキシ樹脂組成物の硬化物は、熱伝導率が向上するものと考えられる。エポキシ樹脂組成物は、さらにその他の成分を含んでいてもよい。
以下、エポキシ樹脂組成物の成分について詳細に説明する。
(液晶性エポキシモノマー)
エポキシ樹脂組成物は、液晶性エポキシモノマーを含有する。液晶性エポキシモノマーは、いわゆるメソゲン構造(ビフェニル基、ターフェニル基、ターフェニル類縁基、アントラセン基、これらがアゾメチン基又はエステル基で接続された基等)を有するモノマーである。液晶性エポキシモノマーが硬化剤と反応して樹脂マトリックスを形成すると、樹脂マトリックス中にメソゲン構造に由来する高次構造(周期構造ともいう)が形成される。本実施形態のエポキシ樹脂組成物を用いると、スメクチック構造に由来する周期構造が形成され、そして、周期長が異なる2種以上の周期構造が形成される。
ここでいう高次構造(周期構造)とは、樹脂マトリックス中に分子が配向配列している状態を意味し、例えば、樹脂マトリックス中に結晶構造又は液晶構造が存在する状態を意味する。このような結晶構造又は液晶構造は、例えば、直交ニコル下での偏光顕微鏡による観察又はX線散乱により、その存在を直接確認することができる。また、結晶構造又は液晶構造が存在すると樹脂の貯蔵弾性率の温度に対する変化が小さくなるので、この貯蔵弾性率の温度に対する変化を測定することにより、結晶構造又は液晶構造の存在を間接的に確認できる。
メソゲン構造に由来する規則性の高い高次構造には、ネマチック構造、スメクチック構造等がある。ネマチック構造は分子の長軸が一様な方向を向いており、配向秩序のみを持つ液晶構造である。これに対し、スメクチック構造は配向秩序に加えて一次元の位置の秩序を持ち、一定周期の層構造を有する液晶構造である。また、スメクチック構造の同一の周期構造内部では、層構造の周期の方向が一様である。すなわち、分子の秩序性は、ネマチック構造よりもスメクチック構造の方が高い。秩序性の高い周期構造が樹脂マトリックス中に形成されると、熱伝導の媒体であるフォノンが散乱するのを抑制することができる。このため、ネマチック構造よりもスメクチック構造の方が、熱伝導率が高くなる。
さらに、本実施形態のエポキシ樹脂組成物を用いると、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものが2種以上形成される。これにより、秩序性がさらに高まり、さらに高い熱伝導率が発揮されると考えられる。
したがって、本実施形態のエポキシ樹脂組成物では、液晶性エポキシモノマーが硬化剤と反応することにより高い熱伝導率を発揮できると考えられる。
周期構造がスメクチック構造を含んでいるか否かは、下記方法により判断することができる。
CuKα1線を用い、管電圧40kV、管電流20mA、2θが0.5°〜30°の範囲で、X線解析装置(例えば、株式会社リガク製)を用いてX線回折測定を行う。2θが1°〜10°の範囲に回折ピークが存在する場合には、周期構造がスメクチック構造を含んでいると判断される。なお、メソゲン構造に由来する規則性の高い高次構造を有する場合には、2θが1°〜30°の範囲に回折ピークが現れる。
熱伝導率の観点から、硬化物におけるスメクチック構造の周期構造の割合は、樹脂マトリックス全体に対して60体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましい。
なお、樹脂マトリックス全体に対するスメクチック構造の周期構造の割合は、例えば、硬化物を50μmの厚さに研磨して偏光顕微鏡で観察することにより、簡易的に測定することができる。具体的には、硬化物を50μmの厚さに研磨し、偏光顕微鏡(例えば、(株)ニコン製、製品名:「OPTIPHOT2−POL」)で観察してスメクチック構造の周期構造の面積を測定し、偏光顕微鏡で観察した視野全体の面積に対する百分率を求めることにより、樹脂マトリックス全体に対するスメクチック構造の周期構造の割合を簡易的に測定することができる。
スメクチック構造の周期構造は、それぞれの周期長が、1.0nm以上であることが好ましく、2.0nm以上であることがより好ましい。1周期の長さが1.0nm以上であることにより、より高い熱伝導率を発揮することが可能である。
また、樹脂マトリックスは、周期長が2.0nm以上3.0nm未満の周期構造と、周期長が3.0nm以上4.0nm以下の周期構造と、を含むことが好ましい。このような構成とすることで、樹脂マトリックスの規則性がさらに高くなり、より高い熱伝導率を発揮することが可能となる。
周期構造における1周期の長さは、広角X線回折装置(例えば、(株)リガク製、製品名:「RINT2500HL」)を用いて、下記条件でエポキシ樹脂組成物の成形材前駆体又は成形材を測定試料としてX線回折を行い、これにより得られた回折角度を、下記ブラッグの式により換算することにより得られる。
(測定条件)
・X線源:Cu
・X線出力:50kV、250mA
・発散スリット(DS):1.0度
・散乱スリット(SS):1.0度
・受光スリット(RS):0.3mm
・走査速度:1.0度/分
ブラッグの式:2dsinθ=nλ
ここで、dは1周期の長さ、θは回折角度、nは反射次数、λはX線波長(0.15406nm)を示している。
スメクチック構造の形成の観点から、液晶性エポキシモノマーは、下記一般式(I)で表されるモノマーを含むことが好ましい。下記一般式(I)で表されるモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一般式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。また、R〜Rのうちの2個〜4個が水素原子であることが好ましく、3個又は4個が水素原子であることがより好ましく、4個すべてが水素原子であることがさらに好ましい。R〜Rのいずれかが炭素数1〜3のアルキル基である場合、R及びRの少なくとも一方が炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
なお、一般式(I)で表されるモノマーの好ましい例は、例えば、特開2011−74366号公報に記載されている。具体的に、一般式(I)で表されるモノマーとしては、4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート及び4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエートからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーが好ましい。
液晶性エポキシモノマーの一部は、後述の硬化剤等(プレポリマー化剤)と反応して得られたプレポリマーの状態であってもよい。一般式(I)で表される液晶性エポキシモノマーを含め、分子構造中にメソゲン基を有する液晶性エポキシモノマーは一般的に結晶化し易く、溶媒への溶解度はその他のエポキシ樹脂モノマーと比べると低いものが多い。液晶性エポキシモノマーの一部を重合させてプレポリマーとすることで、結晶化が抑制され、エポキシ樹脂組成物の成形性が向上する傾向がある。
プレポリマー化剤としては、後述の硬化剤と同じものであっても別のものであってもよい。具体的には、プレポリマー化剤としては、一つのベンゼン環に二個の水酸基を置換基として有する2価フェノール化合物であることが好ましく、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、これらの誘導体等が挙げられる。誘導体としては、ベンゼン環に炭素数1〜8のアルキル基等が置換した化合物が挙げられる。これらの2価フェノール化合物の中でも、レゾルシノール及びハイドロキノンを用いることが成形物の熱伝導率を向上させる観点から好ましく、ハイドロキノンを用いることがより好ましい。ハイドロキノンは2つの水酸基がパラ位の位置関係となるように置換されている構造であるため、液晶性エポキシモノマーと反応させて得られるプレポリマーは直線構造となりやすい。このため、分子のスタッキング性が高く、高次構造を形成し易いと考えられる。
これらのプレポリマー化剤は、1類単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プレポリマーは、エポキシ基及び水酸基の当量比(エポキシ基/水酸基)が100/5〜100/25となるように、液晶性エポキシモノマーと硬化剤とを配合して反応させたものであることが好ましく、この当量比は100/10〜100/15であることがより好ましい。
液晶性エポキシモノマーの含有率は、成形性及び接着性の観点から、エポキシ樹脂組成物の全固形分中、5体積%〜40体積%であることが好ましく、10体積%〜35体積%であることがより好ましく、15体積%〜35体積%であることがさらに好ましく、15体積%〜30体積%であることが特に好ましい。
尚、本明細書において、全固形分に対する液晶性エポキシモノマーの体積基準の含有率は、次式により求めた値とする。液晶性エポキシモノマーの体積基準の含有率を求める場合、液晶性エポキシモノマーの体積基準の含有率には、上述のプレポリマーを含む。
液晶性エポキシモノマーの全固形分に対する含有率(体積%)={(Bw/Bd)/((Aw/Ad)+(Bw/Bd)+(Cw/Cd)+(Dw/Dd))}×100
ここで、各変数は以下の通りである。
Aw:フィラーの質量組成比(質量%)
Bw:液晶性エポキシモノマーの質量組成比(質量%)
Cw:硬化剤の質量組成比(質量%)
Dw:その他の任意成分(溶媒を除く)の質量組成比(質量%)
Ad:フィラーの比重
Bd:液晶性エポキシモノマーの比重
Cd:硬化剤の比重
Dd:その他の任意成分(溶媒を除く)の比重
エポキシ樹脂組成物は、液晶性エポキシモノマー以外のその他のエポキシモノマーをさらに含有していてもよい。その他のエポキシモノマーとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、レゾルシノールノボラック等のフェノール化合物のグリシジルエーテル;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール化合物のグリシジルエーテル;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸化合物のグリシジルエステル;アニリン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したもの等のグリシジル型(メチルグリシジル型も含む)エポキシモノマー;分子内のオレフィン結合をエポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシモノマー;ビス(4−ヒドロキシ)チオエーテルのエポキシ化物;パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレンパラキシリレン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂等のグリシジルエーテル;スチルベン型エポキシモノマー;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシモノマーなど(但し、これらのうち液晶性エポキシモノマーを除く)が挙げられる。その他のエポキシモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他のエポキシ樹脂モノマーの含有量は特に制限されず、質量基準において、液晶性エポキシモノマーを1とした場合に、0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.1以下であることがさらに好ましい。
(硬化剤)
エポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤は、液晶性エポキシモノマーと硬化反応が可能な化合物であれば特に制限されるものではない。硬化剤の具体例としては、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂組成物の半硬化物又は硬化物の周期構造の形成の観点から、硬化剤としては、アミン硬化剤又はフェノール硬化剤が好ましく、フェノール硬化剤がより好ましく、フェノールノボラック樹脂を含むフェノール硬化剤がさらに好ましい。
フェノール硬化剤としては、低分子フェノール化合物及びそれらをノボラック化したフェノールノボラック樹脂を用いることができる。低分子フェノール化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等の単官能フェノール化合物、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等の2官能フェノール化合物、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等の3官能フェノール化合物などが使用可能である。また、これらの低分子フェノール化合物をメチレン鎖等で連結してノボラック化したフェノールノボラック樹脂を硬化剤として用いることもできる。
硬化剤として用いられるフェノールノボラック樹脂は、モノマーであるフェノール化合物を含んでいてもよい。フェノールノボラック樹脂中のモノマーの含有比率(以下、「モノマー含有比率」ともいう。)としては特に制限されない。熱伝導性及び成形性の観点から、モノマー含有比率は5質量%〜80質量%であることが好ましく、15質量%〜60質量%であることがより好ましく、20質量%〜50質量%であることがさらに好ましい。モノマー含有比率が80質量%以下であることで、硬化反応の際に架橋に寄与しないモノマーが少なくなり、架橋する高分子量体が多くなるため、より高密度な高次構造が形成され、熱伝導性が向上する。また、モノマー含有比率が5質量%以上であることで、成形の際に流動し易いため、無機フィラーとの密着性がより向上し、より優れた熱伝導性及び耐熱性が達成できる。
硬化剤としてフェノール硬化剤を用いる場合は、必要に応じて硬化促進剤を併用してもよい。硬化促進剤を併用することで、エポキシ樹脂組成物をさらに充分に硬化させることができる。硬化促進剤の種類は特に制限されず、通常使用される硬化促進剤から選択してよい。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、及びボレート塩化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物における硬化剤の含有量は、配合する硬化剤の種類及び液晶性エポキシモノマーの物性を考慮して適宜設定することができる。
具体的には、液晶性エポキシモノマーにおけるエポキシ基の1当量に対して硬化剤の官能基の当量数が0.005当量〜5当量であることが好ましく、0.01当量〜3当量であることがより好ましく、0.5当量〜1.5当量であることがさらに好ましい。硬化剤の官能基の当量数がエポキシ基の1当量に対して0.005当量以上であると、液晶性エポキシモノマーの硬化速度をより向上することができる傾向にある。また、硬化剤の官能基の当量数がエポキシ基の1当量に対して5当量以下であると、硬化反応をより適切に制御することができる傾向にある。
なお、本明細書中での化学当量は、例えば、硬化剤としてフェノール硬化剤を使用した際は、エポキシ基の1当量に対するフェノール硬化剤の水酸基の当量数を表し、硬化剤としてアミン硬化剤を使用した際は、エポキシ基の1当量に対するアミン硬化剤の活性水素の当量数を表す。
(フィラー)
エポキシ樹脂組成物は、フィラーを含有する。フィラーとしては、熱伝導性と絶縁性の観点から、セラミック粒子を用いることができる。セラミック粒子としては、アルミナ粒子、シリカ粒子、酸化マグネシウム粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子等が挙げられる。フィラーは、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子及び酸化マグネシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、アルミナ粒子を含むことがより好ましい。アルミナ粒子は、結晶性が高いアルミナ粒子を含むことが好ましく、α−アルミナ粒子を含むことがより好ましい。
フィラーの含有率は、全固形分中、50質量%以上であることが好ましく、50質量%〜98質量%であることがより好ましく、88質量%〜96質量%であることがさらに好ましい。
また、フィラーがアルミナ粒子を含む場合、熱伝導の観点から、アルミナ粒子の表面に対して垂直方向にスメクチック構造の周期構造を形成していることが好ましい。垂直方向に周期構造が形成されているか否かは、例えば、直交ニコル下での偏光顕微鏡による観察又はX線散乱により確認することができる。
フィラーの体積平均粒子径は、熱伝導性の観点から、0.01μm〜1mmであることが好ましく、充填性の観点から、0.10μm〜100μmであることがより好ましい。
ここで、フィラーの体積平均粒子径は、レーザー回折法を用いて測定される。レーザー回折法による測定は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社製、LS230)を用いて行うことができる。エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、又は成形材中のフィラーの体積平均粒子径は、エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、又は成形材中からフィラーを抽出した後、レーザー回折散乱粒度分布測定装置を用いて測定される。
具体的には、有機溶剤、硝酸、王水等を用いて、エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、又は成形材中からフィラーを抽出し、超音波分散機等で充分に分散して分散液を調製する。この分散液についてレーザー回折散乱粒度分布測定装置によって体積累積分布曲線を測定する。小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となる粒子径(D50)を体積平均粒子径として求めることで、エポキシ樹脂組成物、成形材前駆体、又は成形材に含有されるフィラーの体積平均粒子径が測定される。
(その他の成分)
エポキシ樹脂組成物は、さらに、カップリング剤、分散剤、エラストマー、離型剤等を含有してもよい。なお、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを形成する観点から、溶剤の含有量を減らすことが好ましく、具体的には、エポキシ樹脂組成物中の溶剤の含有率は、10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。
(エポキシ樹脂組成物の用途等)
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、液晶性エポキシモノマーの配向性が高く、硬化物としたときの熱伝導性及び絶縁耐圧に優れる。したがって、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、各種の電気及び電子機器に含まれる発熱性電子部品(例えば、IC(Integrated Circuit)チップ又はプリント配線板)の放熱材料に好適に用いることができる。
<成形材前駆体>
本実施形態の成形材前駆体は、本実施形態のエポキシ樹脂組成物の熱処理物である。成形材前駆体を用いることにより、取扱い性に優れ、且つ、熱伝導性に優れる成形材を得ることができる。熱処理の温度は、エポキシ樹脂組成物の成分に応じて設定することが好ましく、例えば、50℃〜100℃であることがより好ましく、60℃〜90℃であることがさらに好ましい。熱処理の時間は特に制限はなく、例えば、3分間〜60分間が好ましく、5分間〜30分間がより好ましい。
成形材前駆体は、さらに熱処理することにより、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを形成可能である。この周期構造の詳細は、エポキシ樹脂組成物で説明したものと同様である。
成形材前駆体は、例えば、エポキシ樹脂組成物を混練することで得られる。混練手法として、ロール混練機、ニーダー混練機等の混練機を使用することができる。
具体的には、例えばアルミナ粒子、液晶性エポキシモノマー、硬化剤、反応促進剤、カップリング剤、及び離型剤を含むエポキシ樹脂組成物をロール混練機で、例えば80℃で10分間混練することで、成形材前駆体を得ることができる。
<成形材>
本実施形態の成形材は、本実施形態のエポキシ樹脂組成物又は成形材前駆体の硬化物であり、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを含む。
成形材は、例えば、本実施形態のエポキシ樹脂組成物を熱処理して成形材前駆体を得る工程と、前記成形材前駆体をさらに熱処理して成形する工程と、を経て製造することができる。あるいは、本実施形態の成形材前駆材料が入手できれば、その成形材前駆体を熱処理して成形する工程を経て製造することができる。
成形する工程では、トランスファー成形法を用いることができる。本実施形態のエポキシ樹脂組成物は秩序性の高い周期構造を形成することが可能であるため、成形法としてトランスファー成形法を採用しても、熱伝導率の高い成形材を得ることができる。トランスファー成形では、当該分野で通常用いられているトランスファー成形機を適用することができる。
具体的には、例えば、本実施形態の成形材前駆体をトランスファー成形機で、140℃で3分間熱処理することで、成形材を得ることができる。トランスファー成形の温度は特に制限はなく、液晶性エポキシモノマーの配向性の観点からは、120℃〜180℃が好ましく、130℃〜150℃がより好ましい。トランスファー成形の熱処理時間は特に制限はなく、1分間〜15分間が好ましく、2分間〜5分間がより好ましい。
成形材が、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを含むよう、熱処理の条件を調節することが好ましい。例えば、トランスファー成形後に、成形材をさらに熱処理(以下、「後硬化」ともいう)することも好ましい。後硬化により、架橋密度及び液晶性エポキシモノマーの配向性がさらに向上する傾向がある。このように成形材前駆体に対する熱処理は2回以上実施してもよい。
後硬化に用いる加熱装置は特に制限はなく、一般的に用いられる加熱装置を用いることができる。また、後硬化の温度は特に制限はなく、例えば、140℃〜240℃が好ましく、160℃〜220℃がより好ましい。また、後硬化の時間は特に制限はなく、例えば、10分間〜600分間が好ましく、60分間〜300分間がより好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物及び成形材前駆体は、トランスファー成形後に、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有していなかったとしても、十分に後硬化することにより、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを形成することが可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<合成例1>
窒素置換したセパラブルフラスコに、フェノール化合物としてレゾルシノール105g(0.95mol)及びカテコール5g(0.05mol)と、触媒としてシュウ酸0.11g(フェノール化合物に対して0.1質量%)と、溶剤としてメタノール15gと、を量り取った後、内容物を撹拌し、40℃以下になるように油浴で冷却しながらホルマリン30g(約0.33mol、ホルマリン(P)とフェノール化合物(F)とのモル比:P/F=0.33)を加えた。2時間撹拌した後、油浴を100℃になるように加温しながら水及びメタノールを減圧留去した。水及びメタノールが留出しなくなったことを確認した後、フェノールノボラック樹脂が50質量%となるようにシクロヘキサノンを加え、フェノール硬化剤溶液を得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量測定で、得られたフェノールノボラック樹脂の数平均分子量は484、構造単位数nは平均で3.9であった。また、モノマー含有比率は40質量%であった。
H−NMRの測定により、構造単位に水酸基が平均で2.1個含まれることが分かった。水酸基当量は62g/eqであった。
(参考例1)
アルミナ粒子(マイクロン製、商品名:AL35−63、以下、アルミナ粒子1ともいう)と、アルミナ粒子(マイクロン製、商品名:AL35−45、以下、アルミナ粒子2ともいう)と、アルミナ粒子(マイクロン製、商品名:AX3−32、以下、アルミナ粒子3ともいう)と、アルミナ粒子(日本軽金属製、商品名:LS−235、以下、アルミナ粒子4ともいう)と、液晶性エポキシモノマー(4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート、一般式(I)で表されるモノマー)(以下、「樹脂3」ともいう)とハイドロキノンをモル比(液晶性エポキシモノマー/ハイドロキノン)で10/1.3で予め反応させたプレポリマー(以下、「樹脂1」ともいう)と、硬化剤(合成例1で調製したフェノール樹脂溶液)と、硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)と、カップリング剤(KBM−573)、を加えてエポキシ樹脂組成物を調製した。
液晶性エポキシモノマー及び硬化剤の配合量は、液晶性エポキシモノマーのエポキシ基の当量数に対する硬化剤の水酸基の当量数の比(エポキシ基:水酸基)が、1:1となるように調整した。硬化促進剤の配合量を、液晶性エポキシモノマーと硬化剤の合計質量に対して、0.8質量%となるように調整した。また、硬化後のエポキシ樹脂組成物(全固形分に相当)におけるアルミナ粒子の含有率が92.1質量%となるようにアルミナ粒子の添加量を調整した。カップリング剤の配合量は、フィラーの質量に対して、0.14質量%となるように調製した。
調製したエポキシ樹脂組成物を、ニーダー混練機を用いて、80℃、10分間混練することで、成形材前駆体を得た。そして、トランスファー成形機を用いて、140℃、3分間で成形材前駆体をトランスファー成形することにより、成形材を得た。
成形材の周期構造に由来する回折角度を、広角X線回折装置((株)リガク製、「RINT2500HL」)を使用して測定した。
詳細には、X線源として、Cuを用い、X線出力を50kV、250mAとし、発散スリット(DS)を1.0度とし、散乱スリット(SS)を1.0度とし、受光スリット(RS)を0.3mmとし、走査速度を1.0度/分として測定した。測定した回折角度に基づき、下記ブラッグの式から1周期の長さを求めた。
ブラッグの式: 2dsinθ=nλ
ここで、dは1周期の長さ、θは回折角度、nは反射次数、λはX線波長(0.15406nm)を示している。
成形材を1cm角に切出し、熱拡散率を測定するための試験片とした。フラッシュ法装置(ブルカー・エイエックスエス(株)製、「NETZSCH,nanoflash LFA447」)を用いて、切出した試験片の熱拡散率を測定した。測定結果にアルキメデス法により測定した密度と、示差走査熱量測定(DSC)法により測定した比熱とを乗じることにより、成形材の厚さ方向の熱伝導率を求めた。
(参考例2)
参考例1において、アルミナ粒子の含有率を90.3質量%となるように調整したこと以外は参考例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、成形材を作製した。そして、参考例1と同様にして、周期構造の1周期の長さ、及び熱伝導率を求めた。
(参考例3)
参考例1において、樹脂1の代わりに、樹脂3とエポキシモノマー(三菱化学(株)製、YL6121H(一般式(I)に該当しない液晶性エポキシモノマー。以下、「樹脂5」ともいう。)をモル比(樹脂3:一般式(I)に非該当のモノマー)で8:2で混合した樹脂(以下、「樹脂2」ともいう)を用いたこと以外は参考例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製し、成形材を作製した。そして、参考例1と同様にして、周期構造の1周期の長さ、及び熱伝導率を求めた。
(参考例4)
参考例2において、樹脂1の代わりに、樹脂2を用いたこと以外は参考例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製し、成形材を作製した。そして、参考例1と同様にして、周期構造の1周期の長さ、及び熱伝導率を求めた。
(実施例1)
参考例1で作製した成形材を、180℃、120分間後硬化した。そして、参考例1と同様にして、周期構造の1周期の長さ、及び熱伝導率を求めた。
(実施例2)
参考例2で作製した成形材を、180℃、120分間後硬化した。そして、参考例1と同様にして、周期構造の1周期の長さ、及び熱伝導率を求めた。
(実施例3)
参考例3で作製した成形材を、180℃、120分間後硬化した。そして、参考例1と同様にして、周期構造の1周期の長さ、及び熱伝導率を求めた。
(実施例4)
参考例4で作成した成形材を、180℃、120分間後硬化した。そして、参考例1と同様にして、周期構造の1周期の長さ、及び熱伝導率を求めた。
(比較例1)
参考例1において、樹脂1の代わりに、三菱化学(株)製のjER828(一般式(I)に該当せず液晶性でない。以下、「樹脂4」ともいう)を用い、アルミナ粒子の配合量を表1のように変更したこと以外は、参考例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、成形材を作製した。そして、参考例1と同様にして、周期構造の1周期の長さ、及び熱伝導率を求めた。
(比較例2)
参考例1において、樹脂1の代わりに樹脂5を用い、アルミナ粒子の配合量を表1のように変更したこと以外は、参考例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、成形材を作製した。そして、参考例1と同様にして、周期構造の1周期の長さ、及び熱伝導率を求めた。
(比較例3)
参考例1において、樹脂1の代わりに樹脂4を用い、アルミナ粒子の配合量を表1のように変更したこと以外は、参考例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、成形材を作製し、後硬化を実施した。そして、参考例1と同様にして、周期構造の1周期の長さ、及び熱伝導率を求めた。
(比較例4)
参考例1において、樹脂1の代わりに樹脂5を用い、アルミナ粒子の配合量を表1のように変更したこと以外は、参考例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、成形材を作製し、後硬化を実施した。そして、参考例1と同様にして、周期構造の1周期の長さ、及び熱伝導率を求めた。
(比較例5)
アルミナ粒子1と、アルミナ粒子2と、アルミナ粒子3と、アルミナ粒子4と、樹脂3と、硬化剤(合成例1で調製したフェノール硬化剤溶液)と、硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)と、カップリング剤と、溶媒(シクロヘキサノン/メチルエチルケトン=1/3(質量比))と、を混合した。
液晶性エポキシモノマー及び硬化剤の配合量は、液晶性エポキシモノマーのエポキシ基の当量数と硬化剤の水酸基の当量数との比(エポキシ基:水酸基)が1:1となるように調整した。
さらに、硬化促進剤の配合量は、液晶性エポキシモノマーと硬化剤の合計質量に対して、0.8質量%となるように調整し、溶媒の配合量は、エポキシ樹脂組成物の粘度が、室温(25℃)で300mPa・sとなるように調整した。カップリング剤の配合量は、フィラーの質量に対して、0.14質量%となるように調整した。
調製したエポキシ樹脂組成物を、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、300μmの厚さで塗工した後、塗工したエポキシ樹脂組成物を別のPETフィルムで挟み、140℃、1MPa、2分間の条件で真空プレスすることによりBステージシートを得た。
得られたBステージシートの両面のPETフィルムを剥がし、代わりに表面を粗化した銅箔(古河電気工業(株)製、商品名:「GTS」)で挟み、180℃で真空プレスを行うことにより銅箔に圧着させた。これをさらに、140℃で2時間熱処理した後、さらに190℃で2時間熱処理(以下、後硬化ともいう)することにより硬化させ、シート状の銅圧着硬化物を得た。
得られた銅圧着硬化物の両面の銅箔を、200g/Lの過硫酸アンモニウム及び5mol/Lの硫酸の混合溶液を用いた酸エッチングにより除去し、シート状のエポキシ樹脂硬化物を得た。
得られたシート状のエポキシ樹脂硬化物を1cm角に切出し、熱拡散率を測定するための試験片とした。フラッシュ法装置(ブルカー・エイエックスエス(株)製、製品名:「NETZSCH,nanoflash LFA447」)を用いて、切出した試験片の熱拡散率を測定した。測定結果にアルキメデス法により測定した密度と、DSC法により測定した比熱とを乗じることにより、シート状のエポキシ樹脂硬化物の厚さ方向の熱伝導率を求めた。
得られたシート状のエポキシ樹脂硬化物の周期構造由来の回折角度を、参考例1と同様にして測定し、ブラッグの式により1周期の長さ(周期長)を求めた。


表1中の後硬化の欄の「−」は、後硬化を実施していないことを表す。
表1中の周期長の欄の「−」は、その欄に該当する周期構造を形成していないことを表す。
表1に示されるように、比較例1〜4は、周期構造を形成していないために、熱伝導率が低い。
それに対し、実施例1〜4は、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種形成しているため、比較例1〜4に比べて熱伝導率が高いことが分かる。また、参考例1〜4の成形材は後硬化して実施例1〜4の成形材とすることにより、図1に示すように周期長の異なる2種の周期構造を形成可能であることがわかる。
一方で、比較例5のシートは後硬化してもスメクチック構造の周期構造を1種しか形成することができず、熱伝導率が実施例1〜4に比べて低くなっている。

Claims (16)

  1. 液晶性エポキシモノマーと、硬化剤と、フィラーと、を含有し、
    前記液晶性エポキシモノマーが前記硬化剤と反応することにより、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを形成可能なエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記周期構造は、それぞれの周期長が1.0nm以上である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記樹脂マトリックスは、周期長が2.0nm以上3.0nm未満の前記周期構造と、周期長が3.0nm以上4.0nm以下の前記周期構造と、を含有する請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記フィラーは、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子及び酸化マグネシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記フィラーの含有率が、全固形分中、50質量%以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記液晶性エポキシモノマーが、下記一般式(I)で表されるモノマーを含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

    〔一般式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。〕
  7. 前記一般式(I)で表されるモノマーとハイドロキノンとの反応生成物を含む請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 前記硬化剤が、フェノールノボラック樹脂を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の熱処理物である成形材前駆体。
  10. さらに熱処理することにより、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスが形成される請求項9に記載の成形材前駆体。
  11. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物であり、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを含む成形材。
  12. 請求項9又は請求項10に記載の成形材前駆体の硬化物であり、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを含む成形材。
  13. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を熱処理して成形材前駆体を得る工程と、
    前記成形材前駆体をさらに熱処理して成形する工程と、を有する、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを含む成形材の製造方法。
  14. 請求項9又は請求項10に記載の成形材前駆体を熱処理して成形する工程を有する、スメクチック構造の周期構造で周期長が異なるものを2種以上含有する樹脂マトリックスを含む成形材の製造方法。
  15. 前記成形する工程は、トランスファー成形法により成形することを含む請求項13又は請求項14に記載の成形材の製造方法。
  16. 前記成形材前駆体に対する熱処理を2回以上実施する請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載の成形材の製造方法。
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