JP2017216988A - 魚の誘導方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、魚の養殖にかかる人手による作業を自動化することによって、養殖場への船舶によるアクセスの必要性を低減することができる魚の養殖システムを提供する。【解決手段】本発明にかかる魚の誘導方法は、水中に複数の電極手段を互いに離間させて配置し、前記電極手段に電気パルスを印加し、前記複数の電極手段のうち、当該電気パルスが印加された電極手段と隣り合う電極手段との間に電界を生じさせ、当該電界によって魚を誘導する。【選択図】図8

Description

本発明は、魚の誘導方法に関する。
魚の養殖、特に、現在広く行われている所謂小割り式と呼ばれる養殖は、例えば海などの水中に、網によって囲われた閉じられた区画、すなわち生簀を設けることによって養殖場を設置し、その中で魚を育て、魚が出荷するのに十分な段階まで育ったところで捕獲し、出荷する、という工程を経て行われる。
この魚の養殖全体の工程の中で、人が船を介して生簀へ行き、その場で作業を行う必要がある場合が度々生じる。例えば、魚に餌を与える給餌のときや、網のメンテナンスのとき、最初に魚を生簀内に入れるとき、最終的に魚を捕獲するときなどである。
なお、以下、養殖しようとする目的である魚を、養殖魚と称する。
このような養殖場における魚の養殖の作業効率を高めるために、例えば、上述の作業のうち、網のメンテナンス性の向上を目的として、付着物を抑制する網が知られている(特許文献1)。
また、網のメンテナンスそのものを不要にするために、海中に電気柵を設置する、というものも知られている(特許文献2)。
特開平6−153744号公報 特開平5−123079号公報
このように、養殖に使用される網に対して種々の対策を講じることは、網のメンテナンス性を改善することについて一定の効果は認められたとしても、それ以外の作業に対してはなんら効を奏するものではない。
一方、魚には、その種類ごとに、水温、水質などの種々の自然条件に応じて適した飼育環境があり、養殖場、特に、その中で養殖魚を飼育する生簀を設置する際には、養殖魚の種類に応じた自然条件の整った場所を選定することが、その養殖場における養殖魚の生産性を高めるために最も重要なファクターの1つとなる。
しかしながら、実際に養殖場を設ける場合は、前述のように人がその場に行って作業をしなければならないという条件との兼ね合いで、自然条件だけに基づいて養殖場を選定することはできず、船舶によってアクセスできるという付加的な条件を加えざるを得ない。従って、従来は実際には、ある程度のアクセスの良さという制限の中で、より好ましい自然条件の場所を選定せざるを得なかった。
また、例えば養殖魚に餌や薬を与えたり、養殖魚を出荷するために捕獲したりするといった作業のように、生簀に実際に人が赴いて作業を行うことは、船に乗って生簀に行くこと自体が相応の危険を伴い、また、重労働であった。そのため、船に乗って生簀まで行って作業を行うこと自体が、生産性の向上を困難にさせる原因となっていた。
さらに、魚の成育状態や、水温や、時期などのタイミングに合わせて行いたい作業があっても、天候の影響で船を出すことができない場合には、作業の最適なタイミングを逃してしまうことがあった。このようにタイミングを逃すと、魚の成育に好ましくない影響を与え、生産性の向上を阻害する要因となっていた。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、魚の養殖にかかる人手による作業を自動化することによって、養殖場への船舶によるアクセスの必要性を低減することができる魚の養殖システムを提供することである。
(魚の誘導方法)
本発明にかかる魚の誘導方法は、水中に複数の電極手段を互いに離間させて配置し、前記電極手段に電気パルスを印加し、前記複数の電極手段のうち、当該電気パルスが印加された電極手段と隣り合う電極手段との間に電界を生じさせ、当該電界によって魚を誘導する。
このような実施形態によれば、電気パルスを電極手段に印加することで、水中に電界を形成することができ、この電界を介して魚に電気刺激を与えて、魚がこの電気刺激から逃げるように促すことで、魚を所望の方向へ誘導することができる。
即ち、隣り合う両電極手段間に生じた電界によって、電気パルスが印加されている電極手段に接近し、電界の生じている両電極間を通り抜けようとする魚には、電気刺激が与えられ、魚は、両電極手段間を通り抜けることができなくなる。
このように、制御手段によってコントロールされた電気刺激によって魚を誘導することで、人が船に乗って魚の所まで出向いて作業を行う頻度を格段に低減させることができるので、魚の養殖にかかる人手による作業の手間とコストを大幅に削減することができ、ひいては養殖の生産性を著しく向上させることができる。
また、電気パルスによって形成された電界によって魚を誘導しているので、魚を誘導する際に、網のように魚に直接触れることがなく、養殖魚が傷つくのを防ぐことができる。そのため、出荷される養殖魚の品質を向上させることができ、品質の面から生産性の向上に寄与することができる。
さらに、電気パルスによって形成される電界は、従来の網による柵とは異なり、網目状の障害物ではないので、魚のサイズの大小にかかわらず、電界が形成されている領域を通り抜けようとする魚の移動を阻止し、魚を誘導することができる。
前記電気パルスの平均電圧又は平均電流を、魚を誘導しようとする方向に向かって低くなるようにする。
このような実施形態によれば、電極手段に印加される電気パルスの平均電圧又は平均電流が、魚を誘導しようとする方向に向かって低くなるので、魚に与えられる電気刺激も、魚を誘導しようとする方向に向かって弱くなる。従って、誘導しようとする方向から離れようとする魚や、誘導しようとする方向からより遠い所に居る魚は、より強い電気刺激を受けることになり、電気刺激の弱い方へ逃げていくと自然に誘導しようとする方向、即ち目標方向へ移動していくことになる。即ち、魚がより電気刺激の弱い場所へと自ら移動しようとすることを利用して、魚を所望の方向へ誘導することができる。
前記複数の電極手段のうちの隣り合う電極手段の間で前記電気パルスの極性が順次入れ替えわるように、前記電極手段に前記電気パルスを印加する。
このような実施形態によれば、隣接する電極手段間に、電気パルスが極性を交互に反転されて印加されるので、水中、特に海水中で、電極手段に電気を印加することによって、1つ当たりの電極手段に生じるダメージを低減することができる。水中で電極手段に電気を印加することによって生じる、電極手段からのイオンの流出や、水中に含まれる成分の析出などによるダメージを、交番的に印加される電気パルスによって、中和したり、電極手段間で特定の電極手段にダメージが集中しないように平均化したりすることができる。従って、電極手段のメンテナンス性が向上する。
前記電気パルスの平均電圧又は平均電流を、前記電気パルスの波高値、デューティ比、周波数のうち、少なくとも1つを調節して設定する。
このような実施形態によれば、電気パルスの平均電圧又は電流を、電気パルスの波高値、デューティ比、周波数などによって、容易に適切に調整することができる。
電気パルスによって魚が感じる電気刺激の度合い、又は、魚が受ける影響、即ち、電気刺激に対する感受性/感応性は、魚の種類、サイズ及び/又は魚の各種器官、例えば、エラ、ヒレ、浮き袋等、に応じて異なる。電気パルスの平均電圧又は平均電流を、電気パルスの波高値、デューティ比、周波数などによって調整することで、同じ平均電圧又は平均電流であっても、魚の種類、サイズ及び/又は各種器官の感応性などの特有の個性に応じて、魚が受ける刺激の度合いを適切にコントロールすることができる。
誘導しようとする魚の種類、大きさ、生態によって、上述のパラメータを適宜調節することで、同じ平均電圧又は平均電流であっても、目的とする魚をより好適に誘導することができる。
また、このように種々のパラメータを調節して、結果として生じる平均電圧又は平均電流を制御することで、同じ平均電圧又は平均電流であっても、より電極手段にダメージの生じにくいパラメータを適宜選択することができる。
前記電極手段を、前記電気パルスによって形成された前記電界によって、魚を飼育するための生簀領域と、当該生簀領域に魚の出入りを可能にする出入口と、当該出入口を介して前記生簀領域と連通する誘導路とを形成するように配置する。
このような実施形態によれば、前記電気パルスによって生じる電界によって生簀領域が形成されるので、この生簀領域の境界で、魚等の水中にいる生物に対して電気的なバリアを形成することができ、生簀領域の中にいる魚、例えば養殖魚を生簀領域内に閉じ込めるように誘導し、生簀領域の外からの意図しない魚や他の生物などの外敵が生簀領域内に侵入するのを防ぐことができる。その際、従来の網によって設けられた生簀とは異なり、外敵のサイズによらず、外敵の侵入を阻止することが可能になる。
また、この生簀領域に出入口が形成されることにより、魚がこの出入口を介して、生簀領域から誘導路へ、及び/又は、誘導路から生簀領域へ出入りすることができる。
さらに、生簀領域と連通する誘導路が形成されるので、生簀領域と通じる通り道が形成され、この誘導路内で魚を誘導することにより、誘導路から出入口を介して魚を生簀領域へ入らせたり、出入口を介して生簀領域から出させて誘導路を通って所望の場所まで誘導したりすることが可能となる。
(魚の養殖システム)
本発明にかかる魚の誘導方法を用いた魚の養殖システムは、水中に設置された複数の電極手段と、当該電極手段に印加される電気パルスを制御する制御手段と、を備え、前記複数の電極手段によって形成された領域内で前記電気パルスによって形成された電界によって魚を誘導する。
このような実施形態によれば、制御手段よって制御された電気パルスを電極手段に印加することで、水中に電界を形成することができ、この電界を介して魚に電気刺激を与えて、魚がこの電気刺激から逃げるように促すことで、魚を所望の方向へ誘導することができる。このように、制御手段によってコントロールされた電気刺激によって魚を誘導することで、人が船に乗って魚の所まで出向いて作業を行う頻度を格段に低減させることができるので、魚の養殖にかかる人手による作業の手間とコストを大幅に削減することができ、ひいては養殖の生産性を著しく向上させることができる。
また、電気パルスによって形成された電界によって魚を誘導しているので、魚を誘導する際に、網のように魚に直接触れることがなく、養殖魚が傷つくのを防ぐことができる。そのため、出荷される養殖魚の品質を向上させることができ、品質の面から生産性の向上に寄与することができる。
さらに、電気パルスによって形成される電界は、従来の網による柵とは異なり、網目状の障害物ではないので、魚のサイズの大小にかかわらず、電界が形成されている領域を通り抜けようとする魚の移動を阻止し、魚を誘導することができる。
前記電極手段は、前記電気パルスによって形成された電界によって、魚を飼育するための生簀領域と、当該生簀領域に魚の出入りを可能にする出入口と、当該出入口を介して前記生簀領域と連通する誘導路とを形成するように配置されている。
このような実施形態によれば、前記電気パルスによって生じる電界によって生簀領域が形成されるので、この生簀領域の境界で、魚等の水中にいる生物に対して電気的なバリアを形成することができ、生簀領域の中にいる魚、例えば養殖魚を生簀領域内に閉じ込めるように誘導し、生簀領域の外からの意図しない魚や他の生物などの外敵が生簀領域内に侵入するのを防ぐことができる。その際、従来の網によって設けられた生簀とは異なり、外敵のサイズによらず、外敵の侵入を阻止することが可能になる。
また、この生簀領域に出入口が形成されることにより、魚がこの出入口を介して、生簀領域から誘導路へ、及び/又は、誘導路から生簀領域へ出入りすることができる。
さらに、生簀領域と連通する誘導路が形成されるので、生簀領域と通じる通り道が形成され、この誘導路内で魚を誘導することにより、誘導路から出入口を介して魚を生簀領域へ入らせたり、出入口を介して生簀領域から出させて誘導路を通って所望の場所まで誘導したりすることが可能となる。
前記制御手段は、前記複数の電極手段のうちの前記出入口の位置に配置されている電極手段に印加される前記電気パルスを制御して、前記出入口の開閉を切り替える。
このような実施形態によれば、出入口が制御手段によって開閉されるので、養殖魚を誘導路と生簀領域との間で行き来させたい場合には、出入口を開放し、養殖魚を出入りさせたくない場合には、出入口を閉鎖することができる。従って、出入口の開閉を容易に行うことができ、人が生簀領域まで行って作業する必要がない。
前記電気パルスは、前記複数の電極手段のうちの1つの電極手段と、隣り合う別の電極手段との間に印加され、両電極手段間に電界を生じさせる。
このような実施形態によれば、互いに隣り合う電極手段間に電気パルスを印加して、これらの隣り合う両電極手段間に生じた電界によって、魚を誘導することができる。即ち、電気パルスが印加されている電極手段に接近し、電界の生じている両電極間を通り抜けようとする魚には、電気刺激が与えられ、魚は、両電極手段間を通り抜けることができなくなる。
前記電気パルスの平均電圧又は平均電流は、魚を誘導しようとする方向に向かって低くなるように、前記制御手段によって設定される。
このような実施形態によれば、電極手段に印加される電気パルスの平均電圧又は平均電流が、魚を誘導しようとする方向に向かって低くなるので、魚に与えられる電気刺激も、魚を誘導しようとする方向に向かって弱くなる。従って、誘導しようとする方向から離れようとする魚や、誘導しようとする方向からより遠い所に居る魚は、より強い電気刺激を受けることになり、電気刺激の弱い方へ逃げていくと自然に誘導しようとする方向、即ち目標方向へ移動していくことになる。
前記電気パルスは、周期的に印加され、前記平均電圧又は平均電流は、前記電気パルスの波高値、デューティ比、周波数のうち少なくとも1つを調節することで設定される。
このような実施形態によれば、電気パルスの平均電圧又は平均電流を、電気パルスの波高値、デューティ比、周波数などによって、容易に適切に調整することができる。
また、誘導しようとする魚の種類、大きさ、生態によって、上述のパラメータを適宜調節することで、同じ平均電圧又は平均電流であっても、目的とする魚をより好適に誘導することができる。
また、このように種々のパラメータを調節して、結果として生じる平均電圧又は平均電流を制御することで、同じ平均電圧又は平均電流であっても、より電極手段に、例えば後述するようなダメージの生じにくいパラメータを適宜選択することができる。
前記電気パルスは、両電極手段間で交互に極性を入れ替えて周期的に印加される。
このような実施形態によれば、隣接する電極手段間に、電気パルスが極性を交互に反転されて印加されるので、水中、特に海水中で、電極手段に電気を印加することによって、1つ当たりの電極手段に生じるダメージを低減することができる。水中で電極手段に電気を印加することによって生じる、電極手段からのイオンの流出や、酸化による腐食、水中に含まれる成分の析出などによるダメージを、交番的に印加される電気パルスによって、中和したり、電極手段間で特定の電極手段にダメージが集中しないように平均化したりすることができる。従って、電極手段のメンテナンス性が向上する。
前記電極手段は、前記誘導路が前記生簀領域の前記出入口から港へ向かって伸びるように配置され、かつ、前記制御手段は、前記誘導路内において、前記港から前記生簀領域に向かって魚を誘導し、及び/又は、前記生簀領域から前記港へ向かって魚を誘導するように、前記電気パルスを制御する。
このような実施形態によれば、誘導路が、港と生簀領域との間を結ぶように設けられているので、魚、例えば若魚の状態の養殖魚及び/又は養殖魚の餌となる魚を、港から誘導路内に放流し、誘導路内を生簀領域の方へ向かって誘導して、生簀内に導くことができる。従って、従来のように、人が生簀まで行って若魚及び/又は餌となる魚を生簀に投入する必要がなくなる。そのため、作業が効率的になり、養殖の生産性を向上させることができる。
また、生簀内の養殖魚が出荷に適した状態まで生育したときには、生簀から誘導路を通って港まで、又は、途中の養殖魚の捕獲に適した領域まで、導くことができ、人が船に乗って生簀まで行かなくても、港又は途中の都合の良い領域で養殖魚を捕獲することができるため、作業効率が向上する。
(電極装置)
本発明にかかる魚の誘導方法を実施するための電極装置は、電気パルスが印加される電極手段と、当該電極手段を水中の所望の設置位置に固定するための固定手段とを有し、前記電気パルスが印加された時に、魚を誘導するための電界を水中に形成する。
このような実施形態によれば、電気パルスが電極手段に印加されることで、水中に電界が形成され、この電界を介して魚に電気刺激を与えて、魚がこの電気刺激から逃げるように促すことで、魚を所望の方向へ誘導することができる。このように、電気刺激によって魚を誘導することで、人が船に乗って魚の所まで出向いて作業を行う頻度を格段に低減させることがでるので、魚の養殖にかかる人手による作業の手間とコストを大幅に削減することができ、ひいては養殖の生産性を著しく向上させることができる。
また、電気パルスによって形成された電界によって魚を誘導しているので、魚を誘導する際に、網のように魚に直接触れることがなく、養殖魚が傷つくのを防ぐことができる。そのため、出荷される養殖魚の品質を向上させることができ、品質の面から生産性の向上に寄与することができる。
さらに、電気パルスによって形成される電界は、従来の網による柵とは異なり、網目状の障害物ではないので、魚のサイズの大小にかかわらず、電界が形成されている領域を通り抜けようとする魚の移動を阻止し、魚を誘導することができる。
前記電極手段は、少なくとも部分的に導電性かつ耐腐食性の表面を有する線状部を含む。
このような実施形態によれば、電極手段が導電性の表面により、電極手段に印加された電気パルスによって、水中に電界を発生させることができ、かつ、耐腐食性の表面により、水中に設置されることによる電極手段の劣化を防ぐことができる。
また、電極手段が線状部を有することにより、電極手段の構造を単純化することができ、従来の網の網目状の構造に比べて形状が単純化され、メンテナンス性が向上する。
前記線状部は、可撓性のパイプ又はワイヤを含む。
このような構成を有することにより、パイプ又はワイヤは比較的細い形状を有するため、水中において、線状部が水流の力を受けにくい。また、可撓性を有することにより、水流の力を好適に受け流すことができる。従って、水中で変形して破損してしまったり、電極手段の設置位置がずれてしまったりするのを防ぐことができる。
また、可撓性を有するので、水中に電極手段を設置する前後に電極手段を運搬したりする際に、ワイヤを巻いた状態で取り扱うことができ、電極手段の取り扱いが容易になる。
このようなパイプ又はワイヤに、導電性の素線を含む複数の素線を編み込んで構成された編組線パイプ又はワイヤが好適に使用されうる。このような編組線パイプ又はワイヤによれば、編み込まれた素線の間を水が通り抜けることができるので、水流の力を適宜逃がすことができるとともに、編組線から構成されているので、素線の材質、太さ、これらの組み合わせ、及び/又は、編み方等を変更することで、パイプ又はワイヤの可撓性を幅広く調節することができる。
また、導電性かつ耐腐食性の表面を有する線状部は、例えば、直線状の、中実の導電体棒又は中空の導電体パイプ、可撓性の導電体ワイヤであって、直線状に引っ張られて支持されたものであってもよい。
また、少なくとも表面の一部が導電性かつ耐腐食性であれば足り、内部及び表面の他の部分は、例えばプラスチックやコンクリート、土砂等の不導体であってもよい。
前記線状部は、上側を支持手段によって、下側を固定手段によって支持されている。
このような構成を有することにより、線状部の下部に設けられた固定手段と、上部に設けられた浮きとの間に線状部を張設することができる。即ち、固定手段と浮きとの間で線状部が張られた状態で支持される。この固定手段と浮きとの間で線状部にかかる張力によって、可撓性の線状部が直線的に保持される。従って、電極手段となる線状部が、直線状に保持されることにより、複数の電極手段が並べて配置された時に、隣り合う電極手段の間の距離が一定の範囲内に保たれ、従って、電極手段の長手方向にわたって一定の強さを有する電界を形成することができる。
前記固定手段は浮きを含む。
このような構成を有することにより、線状部が、浮きにかかる浮力によって、当該浮きと固定手段との間でピンと張られた状態で支持される。この固定手段と浮きとの間で線状部にかかる張力によって、線状部が直線的に保持される。
また、この浮きを水面から視認可能に構成することにより、水面を航行する船に対して、そこに電極装置が設置されていることを認識できる目印とすることができ、船の安全な航行と、養殖魚の安全との両方を担保することができる。さらに、浮きが所謂灯浮標などのような、ライトなどの発光体を有していてもよい。
前記固定手段は、前記電極手段を水中に固定できる重量を有している。
このような構成を有することにより、固定手段を水中に沈めるだけで、電極手段を水中の所望の位置に容易に設置することができる。
前記固定手段は、水底に固定された固着部を有している。
このような構成を有することにより、固定手段が固着部を介して、水底に堅固に固定され、ひいては電極手段をより堅固に水中に固定することができる。従って、水流が激しい場合などのように、電極手段に大きな力が加わっても、電極手段がずれたりすることがない。
この固着部は、例えば、水底の地面に杭打ち等により固定された台座に、固定手段を連結して固定する構造であってもよい。
前記電極装置は、前記電極手段と前記固定手段とを着脱可能に連結する連結部を有する。
このような実施形態によれば、電極手段と固定手段とを着脱可能に連結することができるので、電極手段をメンテナンスする際に、固定手段から取り外すことができる。例えば、電極手段が腐食したり、電極手段に堆積した付着物が一定のレベル(量)に達したりして、所望の電界を得られないような場合に、電極手段を固定手段から取り外して、電極手段を水中から引き上げてメンテナンスすることができる。また、電極手段が取り外された固定手段に、すぐ新たな電極手段を連結し、電極装置を再び使用することができる。
また、電極手段は、水中に電界を形成できるように構成されているため、必然的に電蝕等の影響を受け得る。そのため、固定手段に比べて、より頻繁なメンテナンスを要するとともに、その寿命が比較的短くならざるを得ない。そうすると、電極手段と固定手段とを連結したまま、交換/メンテナンスを行えば、固定手段に対しては本来必要のないほど短いサイクルで、固定手段を水中から引き上げ、場合によっては電極手段とともに交換されてしまうことになり、効率が悪くなる。電極手段と固定手段とが、着脱可能に連結されれば、固定手段を水中に残したまま、電極手段を必要に応じて水中から引き上げて、メンテナンス及び/又は交換することができるため、効率がよい。
また、固定手段は、固定手段自身と電極手段とにかかる浮力に抗して、電極手段を水中に固定できるように構成されているため、これを引き上げるためには、多大な労力を必要とする。これに対し、電極手段は、比較的に容易に引き上げることができるため、電極手段を固定手段から分離して引き上げることができれば、引き上げにかかる労力そのものを低減することができる。
また、連結部が、水中において、固定手段と電極手段とを連結できるように構成されていれば、電極手段と、予め水中に設置された固定手段とを水中で連結することができる。すなわち、例えば水中で使用された電極手段を交換する際に、固定手段をその場所に残して電極手段だけを取り外し、この残された固定手段に新たな電極手段を取り付けることで、簡単に元どおりの位置に電極手段を設置することができる。
前記電極装置には、電池モジュールが設けられている。
このような構成を有することにより、電極装置に設けられた電池によって電極装置の稼動のために必要な電力を賄うことができる。従って水中に設置される複数の電極装置に、電力を供給するための電線を敷設する手間を省くことができる。
例えば、この電池モジュールは、太陽電池セルと蓄電池とを備えることができ、太陽電池セルを用いて昼間に発電した電力を蓄電池に蓄えて、恒常的に電池モジュールを介して、電極装置に必要な電力を賄うことができる。
また、電池モジュールは、潮力発電機や、風力発電機を備えていてもよい。さらに、種類の異なる複数の発電手段を備えれば、例えば蓄電池を備えなくても、安定して電力を供給することができる。
また、数個の電極装置に対して1つの電池モジュールが設けられていてもよい。このような構成によれば、1つの電池モジュールに対して、近隣に設置される少数の電極装置だけを電線で接続すればよいので、養殖システムを構成する全ての電極装置に、1つ1つ電池モジュールを接続するよりは電池モジュールの数を節約でき、かつ、全ての電極装置を網羅するように広範囲にわたって電線を敷設する必要がないので、電線の敷設が容易になる。
前記電極装置には、前記電気パルスを制御する制御部と通信をする通信モジュールが設けられている。
このような構成を有することにより、複数の電極装置のそれぞれの電極手段に印加される電気パルスを統括して制御する制御部が設けられている場合に、この通信モジュールを介して、制御部と各電極装置との間で制御信号をやり取りすることができ、養殖魚を所望の方向へ誘導するように、複数の電極装置に印加される電気パルスを適宜調整して制御することができる。
また、この通信モジュールを、無線を介して通信を行う無線通信モジュールとすることにより、制御部と電極装置との間の制御信号の通信のための電線を敷設する手間を省くことができる。
複数の前記電極装置が、互いに間隔をおいて水中に配置されており、隣り合う電極装置間に、前記電極手段に印加される電気パルスによって水中に形成される電界を介して、魚を誘導する。
このような構成を有することにより、隣り合う電極手段間に電気パルスを印加して、これらの隣り合う両電極手段間に生じた電界によって、魚を誘導することができる。即ち、電気パルスが印加されている電極手段に接近し、電界の生じている両電極間を通り抜けようとする魚には、電気刺激が与えられ、魚は、両電極手段間を通り抜けることができなくなる。
複数の前記電極装置は、前記電気パルスによって水中に形成される電界によって、魚を閉じ込める区画が形成されるように配置されている。
このような構成を有することにより、例えば、魚を飼育するための生簀領域と、当該生簀領域に魚の出入りを可能にする出入口と、当該入り口を介して前記生簀領域と連通する誘導路とを形成するように、電極装置を配置することができる。従って、この生簀領域の境界で、魚等の水中にいる生物に対して電気的なバリアを形成することができ、生簀領域の中にいる魚、例えば養殖魚を生簀領域内に閉じ込めるように誘導し、生簀領域の外からの意図しない魚や他の生物などの外敵が生簀領域内に侵入するのを防ぐことができる。その際、従来の網によって設けられた生簀とは異なり、外敵のサイズによらず、外敵の侵入を阻止することが可能になる。
また、この生簀領域に出入口が形成されることにより、魚がこの出入口を介して、生簀領域から誘導路へ、及び/又は、誘導路から生簀領域へ出入りすることができる。
さらに、生簀領域と連通する誘導路が形成されるので、生簀領域と通じる通り道が形成され、この誘導路内で魚を誘導することにより、誘導路から出入口を介して魚を生簀領域へ入らせたり、出入口を介して生簀領域から出させて誘導路を通って所望の場所まで誘導したりすることが可能となる。
本発明にかかる魚の養殖システムの一実施形態の概略示す図である。 電極手段に印加する電気パルスを例示する図である。 本発明の養殖システムで用いられる誘導方法の原理を説明するための図である。 誘導路12cを形成する電極手段10の配列の一実施形態を例示する図である。 誘導路12cにおける電極手段10の配列の別の実施形態を示す図である。 誘導路12cにおける電極手段10の配列のさらなる別の実施形態を示す図である。 図6の実施形態において1つの電極手段が故障した場合の例を示す図である。 電極装置70の一実施形態を示す図である。 電極装置70の別の実施形態を示す図である。
図1は、本発明にかかる魚の養殖システムの一実施形態の概略示す図である。図1では、魚の養殖システム1が、海2に設けられた例を示している。魚の養殖システム1は、水中に設置された複数の電極手段10と、各電極手段10に印加される電気パルスを制御する、図示されていない制御手段とを備えている。これらの複数の電極手段10によって取り囲まれた領域内12で前記電気パルスによって形成された電界によって魚を誘導する。
図1では、堤防14a,14bによって区切られた湾の外側及び内側に、複数の電極手段10が互いに間隔をおいて配列されている。これらの複数の電極手段10で取り囲まれた領域12は、生簀領域12aと、この生簀領域12aと出入口12bを介して連通して生簀領域12aから港16へ向かって伸びる誘導路12cが形成される。なお、図1では、電極手段10が上記の生簀領域12a、出入口12b、誘導路12c、の、主に輪郭に沿って配置されている例を示したが、電極手段10は、生簀領域、出入口、及び/又は、誘導路となり得る領域に、例えばマトリックス状に配置されていてもよい。このような場合には、マトリクス状に配置された電極手段の中から、生簀領域、出入口、及び/又は、誘導路を形成したい位置に相当する場所に配置されている電極手段に電気パルスを印加することで、所望の領域に、生簀領域、出入口、誘導路を形成することができる。例えば、季節ごと、水温、水流の状態、餌の分布状態など種々の条件に応じて、生簀領域、出入口、誘導路の位置を変更することができ、遊牧民が羊を放牧するように、その時に最も適した領域に魚を誘導することができる。
このように水中に互いに間隔をおいて配置された複数の電極手段10に、電気パルスを印加することで、水中に電界を生じさせ、生じた電界によって、魚を誘導する。
電極手段10に電気パルスを印加することにより、水中に電界が生じると、その電界が生じている領域にいる魚に電気刺激が与えられる。この電気パルスの強度、周期、周波数等を調節することで、特に、目的とする魚が嫌うタイプの刺激を生じさせることができる。換言すれば、魚が嫌う電気刺激を与える電界が生ずるような電気パルスを電極手段に印加して、その電極手段の周囲に魚が寄りつかない領域を生じさせ、電界によるバリアを形成する。
電極手段10に電気パルスを印加することにより水中に形成される電界の強度は、その電極手段10からの距離が小さくなるに従って大きくなり、距離が大きくなるに従って電界強度は小さくなる。さらに、電界の強度が大きくなると、魚が感じる電気刺激の強さも大きくなる。従って、ある電極手段10に電気パルスを印加した時に、その電極手段10の近くにいる魚ほど、より大きな電気刺激を受けることになる。従って、ある電極手段10に電気パルスが印加されると、魚が電気刺激の弱い方向へ逃げようとして、自然にその電極手段10から離れる方向に移動することになり、魚を誘導することができる。
複数の電極手段のうちから、各電極手段の位置に応じて、電気パルスを印加すべき電極手段を適宜選択し、かつ、各電極手段に印加される各電気パルスのパラメータを適宜選択することで、所望の位置に所望の広さの電界によるバリア/魚が進入できない領域を形成して、魚を誘導する。
図2は、電極手段に印加する電気パルスを例示する図である。隣り合う電極手段10の一方に、例えば、図2(a)(b)又は(c)に示すような電気パルスを印加する。図2(a)は方形波の例、図2(b)(c)はサイン波の例を示している。図2(a)乃至(c)はいずれも、周期T[sec]内において期間t[sec]の間だけ、波高値A[V]又は[A]の電気パルスを印加する。すなわち、この場合のデューティ比はD=t/Tとなり、周波数は1/T[Hz]となる。これらの、波高値、デューティ比、周波数等のパラメータを調節して、電気パルスの平均電圧又は平均電流を設定する。これらのパラメータを、誘導しようとする魚に応じて適した電気刺激となるように調節し、かつ、電気パルスが印加される電極手段10の位置に応じて平均電圧又は平均電流を調節することで、目的とする魚の、目的とする器官に、適切な刺激を与える。なお、図2(c)は、期間tの中で、波高値Aが徐々に小さくなるサイン波が印加される例を示している。図2(c)では、最大波高値を波高値Aの代表値として示している。このように、波高値Aが期間t内で変化してもよい。また、波高値Aがマイナスになる場合であっても、平均電圧又は平均電流は、実効値の平均値から求められる。なお、ここでは、間欠的に印加される電気パルスの繰り返される頻度を周期Tと称し、1つの電気パルス内で印加される電圧/電流の周波数、即ち例えば図2(b)(c)のサイン波の周波数を周波数と称する。
また、周期Tのうちの電気パルスが印加されていない期間の電圧/電流値は、0であってもよいし、直流又は交流のバイアス電圧/電流がかけられていてもよい。また、微弱な、直流又は交流の電流/電圧成分が重畳しているような場合も考えられる。
なお、電極手段の間隔は、印加することができる波高値、誘導しようとする魚のサイズ、水底の地理的条件、例えば船などの往来に対する障害の度合い等のようなその他の外的条件を考慮して定めることができる。電極手段10同士の間隔としては、例えば、100m程度や、1km程度などの比較的長い距離であってもよいし、50cm以上10m以下、60cm以上5m以下、70cm以上3m以下、80cm以上1m以下、等比較的短い距離であってもよい。そして定められた電極手段間隔に対して、所望の電界強度が得られるような平均電圧又は平均電流を選択して、電極手段に電気パルスを印加する。
図3は、本発明の養殖システムで用いられる誘導方法の原理を説明するための図である。図3は、所定の間隔dをおいて一列に配置された電極手段10a乃至10fに、電気パルスが印加されたときに生じる電界のイメージを表している。なお、図3では、6個の電極手段10a乃至10fを示すが、電極手段10の数は6個に限らず、図1に示したように、全体としては生簀領域12a乃至誘導路12cを形成するように多数の電極手段10が並べて配置される。
例えば、図3の例によれば、ある周期では、電極手段10a,10c,10eに電気パルスが印加され(+極になり)、隣の電極手段10b,10d,10fが0[V](−極)になる。次の周期では、電極手段10b,10d,10fに電気パルスが印加され、電極手段10a,10c,10eが0[V]になる。このように、隣り合う電極手段10間に電気パルスが印加される。ここで、−極とは、必ずしも0[V]や+極側と異なる極性である必要はなく、+極側との間に何らかの電位差が生ずる電位であってもよい。
図3では、このような場合において、電極手段10a乃至10fの周りに、各周期において生じる電界の強度を等電位線30の形で示している。図面の見易さを考慮して、各電極手段10a乃至10fの周りの等電位線30は、電極手段同士の間隔dの半分程度までの範囲しか表していないが、実際には電界は、もちろんこれより遠い範囲にも同様に広がっていってもよいし、隣の電極手段まで、又は、それより遠い範囲まで、広がっていてもよい。
図3では、それぞれの電極手段10a乃至10fの周囲を取り囲むように同心円状に等電位線30が表されている。従って、互いに間隔を空けて一列に配置されている電極手段10a乃至10fをつなげた領域が、同心円状の等電位線30によって覆われている。この等電位線30によって覆われている領域、即ち、電極手段10a乃至10fが一列に並んでいる領域全体に、各電極手段10a乃至10fに印加された電気パルスによる電界が発生しており、この領域に魚32が近づくと、又は、入ると、電気刺激を受ける。電極手段10a乃至10fに印加される電気パルスは、魚32が嫌う電気刺激を与えるような電界が生じるように設定されている。従って、魚32は、この電気刺激が弱くなる方、及び、なくなる方へ移動しようとする。従って、電極手段10a乃至10fから遠ざかる方、即ち、図3の矢印34aの方へ魚は誘導される。逆に、電極手段10a乃至10fに近づくほど、電界は強くなり、電気刺激も強くなるので、魚は電極手段10a乃至10fに近づく方向、即ち、図3の矢印34bの方へは魚は移動しない。
このようにして、電界によるバリアが形成され、魚は電極手段10a乃至10fの間を通り抜けることができなくなる。
例えば図1に示したように、複数の電極手段10を、生簀領域12aを形成する略四角形状の輪郭線に沿って、互いに間隔をおいて配列し、これらの電極手段10の隣り合う電極手段10間に例えば図2に示したような電気パルスを印加すると、図3に示したような、電気刺激を与える電界が水中に生じる。このようにして、生簀領域12aの輪郭線に沿って魚が通り抜けられない電界によるバリアを形成し、生簀領域12a内に魚を閉じ込めるように誘導することができる。
さらに、図3に示した電極手段10a乃至10fのうちの、いずれか1つ又は複数の電極手段、例えば電極手段10c,10dを出入口12bに割り当てる。この出入口12bに割り当てられた電極手段10c,10dへの電気パルスをオンオフ切り替えることで、出入口を開閉することができる。例えば図3において、電極手段10a乃至10fの上側を生簀領域12a、下側を誘導路側12cとすると、出入口12bに割り当てられた電極手段10c,10dに電気パルスを印加すれば、電極手段10c,10dの位置にも電界が形成されて、この電界を通り抜けようとする魚には電気刺激が与えられ、生簀領域12aの中にいる魚は、生簀領域12a内に閉じ込められるように誘導され、生簀領域12aの外にいる魚は、生簀領域12aから締め出される。
出入口12bに割り当てられた電極手段10c,10dへの電気パルスの印加を切ると、電極手段10c,10dの位置には電界が形成されず、出入口12bが開放されて、魚は、この電極手段10c,10d間の領域であれば、通り抜けることができる。従って、生簀領域12aと誘導路12cとの間の魚の行き来が、出入口12bを介して行われる。なお、生簀領域12aから魚を誘導路12cへ誘導したい場合は、単に出入口12bを開放して、生簀領域12a内の魚が自然に出入口12bに気づいて誘導路12cへと移動するようにしてもよいし、出入口12bの近辺や、誘導路12c内に、魚をおびき寄せる誘魚手段が設けられていても良い。この誘魚手段は、光によるもの、例えば、魚が好むような光を放射する誘魚灯(電球、LED、又は、レーザなどの発光素子からなる)であっても良いし、魚が好む電気刺激を発生する電極手段であってもよい。例えば、電極手段10に、上述の電気パルスとは異なる電気を印加して魚を誘き寄せることができる。また、魚の種類によっては、音波や超音波を使用することもできる。この誘魚手段は、電極装置10に取り付けられ、又は、一体的に設けられていてもよいし、電極装置10とは別個に設けられていても良い。
図4は、誘導路12cを形成する電極手段10の配列の一実施形態を例示する図であって、例えば電極手段10g乃至10lに、電気パルスが印加されたときに生じる電界のイメージを表す図である。図4では、互いに間隔をおいて一列に配置された電極手段10g乃至10lが、ほぼ一定の幅wを介して2列並べられている。電極手段10g乃至10lのうち、電極手段10g乃至10kには、図3に示した電極手段10a乃至10fと同様に、同一の強度の電気パルスが印加されている。従って、上述したように、電極手段10g乃至10kで形成される列を、魚が通り抜けられないような電界が形成される。このような電界が、幅wを介して並べられた電極手段10g乃至10kの周囲に形成されるので、これらの2列の電極手段10g乃至10kに挟まれた領域から魚が出ることができず、誘導路12cが形成される。魚はこの誘導路12c内を、主に図中の左右方向へ移動することになる。即ち、電極手段10g乃至10lの列をまたいで、誘導路12cから魚が出て行くことも、誘導路12c内に魚が入ることもできない。
図4では、この2列の電極手段10g乃至10lの右端の電極手段10lに、電極手段10g乃至10kよりも強い電気パルスが印加されており、電極手段10lの周囲に強い電界が形成されている。電極手段10lに印加されるこの強い電気パルスの強度は、電極手段10lの周囲に形成される電界による刺激が、少なくとも2つの電極手段10l,10lの間の幅W方向に亘るどの位置でも、魚が通過するのを阻止するのに十分な強さで生じるように設定されている。(なお以下では、このような電界及び電気パルスを、単に「強い電界」及び「強い電気パルス」と称する場合がある。)従って、電極手段10g乃至10lの列同士の間に形成されている誘導路12cにおいて電極手段10lで挟まれた位置に、電界によるバリアが生じて、誘導路12c内において、魚が上記の強い電気パルスが印加されている電極手段10l,10lに挟まれた領域を通り抜けることができなくなる。従って、誘導路12c内において、魚が矢印42bの方向へ移動することができなくなり、従って矢印42aの方へ誘導される。
この強い電気パルスを、所定の期間、電極手段10l,10lに印加した後、続いて、隣の電極手段10k,10kに印加する。その際、電極手段10l,10lに印加される電気パルスは、上記の強い電気パルスと同じ強度を維持してもよいし、他の電極手段10g乃至10jと同じ強度まで弱めることもできる。続いて、さらに所定の期間が経過した後、隣の電極手段10jに、上記の強い電気パルスと同じ強度の電気パルスが印加される。このようにして、魚が移動する早さに応じて、所望の移動方向に沿って、順次隣の電極手段に強い電気パルスを印加していき、この強い電気パルスによって形成される電界によるバリアを、誘導路12c内において魚を誘導しようとする方向に向かって徐々に移動させていく。そうすると誘導路12c内の魚は、この強い電気パルスによって形成される電界によるバリアに後ろから徐々に押されていくような形で、図中の矢印42aの方向へと移動し、誘導されていく。
誘導路12c内に強い電気パルスによるバリアを形成して、魚が所望の方向と逆方向へ移動するのを妨げて、所望の方向へ誘導するのに加えて、さらに、魚を誘導しようとする方向、即ち、図4において矢印42aで示される方向の先に、魚をおびき寄せる誘魚手段が設けられていても良い。この誘魚手段は、前述したとおり、様々な種類の手段を単独で、又は、組み合わせて適用することができる。
図5には、誘導路12cにおける電極手段10の配列の別の例を示す。図5(a)は、誘導路12cの電極手段10の配置を示す図である、図5(b)は図5(a)の誘導路12cの幅方向の中央付近に生じる電界の強さを表す図である。
図5の例では、図4に示した例と同じように、2列の電極手段10g乃至10lが互いに略平行に設けられており、その間に誘導路12cが形成される。さらに、2列の電極手段10g乃至10lの間に、1列の電極手段10’g乃至10’lが設けられている。図5では、この中央の列の電極手段10’g乃至10’lの1つの電極手段10’kに電気パルスが印加されており、周囲に電界が生じている。誘導路12cの輪郭となる電極手段10k,10k及び中央の電極手段10’kによって形成される電界によって、誘導路12c内の電極手段10’kの位置に、誘導路12cの幅全体に渡って電界が生じ、電界によるバリアが形成される。従って、誘導路12c内の魚は、この電界によるバリアを通り抜けることができず、即ち、誘導路12c内において、電極手段10’kよりも右側、つまり矢印52bの方向へは移動することができず、矢印52aの方へ誘導される。
誘導路12c内の幅方向の中央付近における、電界強度の変化を図5(b)に示す。図5(b)の横軸は、図5(a)の横方向に対応しており、縦軸は電界強度に対応する。曲線54によって、それぞれの位置における電界の強度が示されている。
中央の列の電極手段10’g乃至10’lには、電極手段10’kに上述したような電気パルスが印加されており、さらに、この電極手段10’kの隣、特に、魚を誘導しようとする方向の隣の電極手段10’jには、電極手段10’kよりも弱い電気パルスが印加されていてもよい。この電気パルスによって、電極手段10’jの周囲には弱い電界が形成される。従って、曲線54で示すように、誘導路12cの幅方向の中央付近の電界は、電極手段10’g乃至10’jまでは、低い値(例えば0であってもよい)を示しており、電極手段10’iから電極手段10’jに近づくに従って、徐々に上がり始め、電極手段10’kの位置で最も高くなり、電極手段10’kから離れるに従って下がり始める。そうすると、図5における誘導路12c内の電極手段10’kより左側、例えば、電極手段10’iの近辺にいる魚が図中右側に移動すると、徐々に電界が強くなっていくので、魚が受ける電気刺激の強さも強くなる。そのため、魚は電界による刺激が弱くなる方向、即ち矢印52aの方向へ自ら移動するようになる。従って、誘導路12c内の魚は、電極手段10’kへ接近する前に、電極手段10’jへ近づいた段階でより電界による電気刺激の弱い方向へ移動しようとし始める。
このように、魚を誘導しようとする方向に向かって徐々に弱い電気パルスを印加すると、逆に魚が進んでほしくない方向へ進むに従って電気刺激が強くなるので、魚がより電気刺激の弱い方向へ自然に移動し始めるため、魚をよりスムーズに誘導することができる。
さらに、図4で説明した例と同様に、電極手段10’kに所定の期間電気パルスを印加した後、続いて、隣の電極手段、より詳しくは、魚を誘導しようとする方向にある隣の電極手段10’jに、電極手段10’kに印加した電気パルスと同様の電気パルスを印加する。その際、さらにその隣の電極手段10’jに、電極手段10’jに印加していた弱い電気パルスを印加する。このようにして、魚が移動する早さに応じて、順次、所望の方向の隣の電極手段に電気パルス及び弱い電気パルスを印加していくことで、これらの電気パルスによって形成される電界によるバリアを、誘導路12c内において魚を誘導しようとする方向に向かって徐々に移動させていき、魚を誘導する。
このように、誘導路12c内にさらなる電極手段10’g乃至10’lを設けて、誘導路12c内に電気的バリアを形成し、魚を誘導するという形態によれば、図4の例に比べて、誘導路12c内に一列多く電極手段を要するが、図4の例のように、電気的なバリアを形成するために、強い電気パルスを印加する必要がない。
電極手段10に水中で電気パルスを印加すると、例えば、海水中で印加した場合は特に、電極手段10がイオン伝導等の影響により電極手段の材料の溶出を起こしたり、酸化により腐食したり、付着物が堆積するなどして損傷を避けられない場合がある。電気パルスの強さが大きくなると、即ち、印加される電気パルスの電圧値/電流値が大きくなると、このような損傷がより大きくなる虞がある。そのような場合に、図5に示した例によれば、より強い電気パルスを印加する必要がないので、各電極手段10に生じる損傷の程度を低く抑えることができる。
図6には、誘導路12cにおける電極手段10の配列のさらなる別の例を示す。図6の例では、2列の電極手段10m乃至10sが、それぞれジグザグ状に配置されている。即ち、誘導路12cにおいて、内側に配置されている電極手段10m,10o,10q,10sと、外側に配置されている電極手段10n,10p,10rとが交互に配置されて、2つの列を形成している。
図6では、図4の例と同様に、これらの電極手段10m乃至10sのうち、電極手段10m乃至10rに同じ強さの電気パルスが印加され、図6の一番右側の電極手段10sに、強い電気パルスが印加されている。その後、所定の時間毎に、順次隣の電極手段に、この強い電気パルスが印加されていく。
このように、電極手段10m乃至10sがジグザグ状に配置されていると、例えば、図7に示すように、1つの電極手段10oが故障等により、所定の電界を形成することができなくなったような場合であっても、両側の隣の電極手段10n,10pによって、保障することができる。なぜなら、電極手段がジグザグ状に配置されていると、隣り合う電極手段間の距離に対して、誘導路12cの長手方向、即ち、誘導路12cの輪郭に沿った方向における距離は短くなる。即ち、例えば、図6に示した形態において、1つの電極手段10oが欠けた場合には、残った隣り合う電極手段10n,10p間の距離が、図4及び図5に例示した形態において、1つの電極手段が欠けた場合に残った隣り合う電極手段間の距離に比べて短くなる。従って、これらの残った電極手段10n,10pによって、故障等により欠けた部分の電界をカバーして、誘導路12cの輪郭を覆うように電界を形成することができる。
図8は、本発明で使用される電極手段を含む電極装置70の一実施形態を示す図である。図8(a)は、電極装置70を水中の所定の位置に設置する過程を表す図、図8(b)は、電極装置70は、電気パルスが印加される電極手段10と、電極手段を水中の所望の設置位置に固定するための固定手段74とを有し、電気パルスが印加された時に、水中に電界を形成する。
電極手段10は、少なくとも部分的に水底から水面に向かって延びる、導電性かつ耐腐食性の表面を有する線状部72aを含み、固定手段74は、線状部72aの下端に設けられる。線状部72aの上端には、固定手段74との間で線状部72aを支持する浮き76が設けられる。
図8(a)には、この浮き76の内部が模式的に示されている。この浮き76は、内部に空気を充填された空間を有する略球形状の殻で、水面に浮かぶように構成されている。電極装置70が所定の位置に設置される前には、浮き76の内部には、線状部72aが巻き取られた状態で収納されており、浮き76が固定手段74の上に到達すると、線状部72aが巻き出される。
電極装置70の線状部72aの下端には、線状部72aと固定手段74とを着脱可能に連結する連結部78が設けられている。
線状部72aが巻き出されると、線状部72aの下端に設けられた連結部78が水底に配置された固定手段74に接近していく。連結部78が、水底に設けられた固定手段74の深さまで達すると、固定手段74に連結され、電極手段10が所定の位置に固定される。
例えば、固定手段74の上面と連結部78の下面に、互いに螺合する螺合部を設けても良いし、又は、互いに吸着する磁石と金属等を設けても良い。その際、磁石として電磁石を用いれば、コイルに流れる電流を入切することで、連結部78を固定手段74に着脱可能に取り付けることができる。
線状部72aは、浮き76と固定手段74との間で、直線状にピンと張られた状態で支持される。
線状部72aは、可撓性の編組線パイプ又はワイヤを適用することができる。この編組線パイプ又はワイヤとしては、ステンレス鋼からなる導電性の線材を編み込んだものが使用される。さらに、ステンレス鋼からなる線材に換えて、又は、加えて、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、チタン、銅、クロム、及び/又はこれらを含む合金等その他の導電性無機材料からなる線材を編みこんだものを使用しても良い。また、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどからなる導電性の高分子材料や、高分子材料に無機及び/又は有機(例えば、カーボンなど)の導電性材料を添加した複合材料を適用することもできる。さらに、合成樹脂からなる線材を組み合わせてもよい。これらの素線を適宜組み合わせ、その割合を選択することで、線状部72aの所定の導電性、耐食性、可撓性及び/又は伸縮性を担保することができる。
さらに、この編組線パイプ又はワイヤは、耐食性のコーティングやメッキが施されていてもよい。この耐食性のコーティングは、編組線ワイヤ又はパイプは全体としてコーティングされていてもよいし、素線がコーティングされていてもよい。
固定手段74は、電極手段10を水中に固定できる重量を有していても良いし、水底に固定された固着部74aを有していてもよい。固着部74aを設ければ、固定手段10をより堅固に水底に固定することができる。一方、固定手段74が電極手段10を水中に固定できる重量を有していれば、固定手段74を水底に固定するための工事を要せず、より簡易に固定手段10を水底に設置することができる。
さらに、電極装置70には、電池モジュールBMが設けられていてもよい。図8(b)には電池モジュールBMとして、浮き76の上半球に太陽電池モジュールが取り付けられた例が示されている。電池モジュールBMには、太陽電池モジュールの他に、海水電池モジュール、風力発電モジュール、潮力発電モジュール等の様々な発電方式のもモジュールを適用することができる。電池モジュールには、これらの発電モジュールの他に、蓄電池が含まれていてもよい。
これらの発電モジュールBMは、各電極装置70にそれぞれ設けられていてもよいし、例えば1対の又はいくつかの電極装置70に対して1つの電池モジュールBMが設けられていてもよい。発電モジュールBMが、電極手段10で使用される全ての電力を安定的に供給することができれば、発電モジュールBMを備えた電極装置70には給電するためのケーブルを設ける必要がなくなる。従って、複数の電極手段10同士及びこれらと電源とを接続するためのケーブルを敷設する手間を省くことができる。また、1対の又はいくつかの電極装置70に対して1つの発電モジュールBMが設けられていれば、1つの発電モジュールBMに対応するいくつかの電極手段70同士だけを有線で接続すればよい。 さらに、各電極装置70に給電するためのケーブルを整備した上で、発電モジュールBMを非常時又は給電設備の故障時のバックアップ電源として使用することもできる。
さらに、電極装置70には、電気パルスを制御する制御手段と通信をする通信モジュールCMが設けられている。図8(b)には、浮き76の内部に、無線による通信モジュールCMが設けられている例を示している。この無線による通信モジュールCMを介して、電極装置70は、電極手段10に印加されるべき電気パルスを定める信号を制御手段から受信する。また、電極装置70の位置情報や、電極手段10の損傷や腐食などの状態を示す情報、固定手段74との連結の状態に関する情報などを制御手段に送信する。電極装置70の位置情報は、GPSなどにより取得することもできるし、周辺の電極装置70との相互間の位置関係に基づいて相対的により精細に求めることもできる。
さらに、複数の電極手段10が設けられている領域内及びその近傍を移動する移動体の位置を、各電極手段10との相互の位置関係に基づいて、精細に求めることもできる。
図9は、電極装置70の別の実施形態を表す図である。図9には、水底に設けられた固定手段74の上面に、電極手段10として線状部72aが直接設けられている。この線状部72aも編素線パイプから形成されている。一方の電極装置70には、電池モジュールBMが設けられており、他方の電極装置70とケーブル82を介して接続されている。
本発明を実施する際には、先ず、生簀領域12aと、この生簀領域12aと出入口12bを介して連通する誘導路12cとを形成するように電極手段10を配置し、電極手段10に電気パルスを印加する。
生簀領域12a内に、養殖しようとする魚の若魚又は稚魚を投入する際には、誘導路12cの港側に設けられた一方の端部から、これらの魚を誘導路12c内に投入し、制御手段によって、電極手段10に電気パルスを次のように制御して印加する。すなわち、魚が誘導路12c内を生簀領域12aの方へ誘導されるような電界が生じるように、電気パルスを設定し、印加する。誘導路12cを通ってきた魚が生簀領域12aへ入る際には、制御手段は、出入口12bの電極手段10へは電気パルスを印加せず、出入口12bが開放される。誘導路12c内の魚の略全部が生簀領域12aに入ったら、制御手段は、出入口12bの電極手段10にも電気パルスを印加して、出入口12bを閉鎖する。
誘導路12cの魚が生簀領域12aに入ったかどうかは、誘導路12c内に残っている魚の数、出入口12bを通過した魚の数、及び/又は、生簀領域12aに入った魚の数を検出し、これに基づいて判断することができる。これらの魚の数を検出するためには、公知の魚群探知機や、光学式の検知器などを利用してもよいし、本発明の電極手段を介して電界を形成するとともに、そこに流れる電流を検出し、この電流値をその電極手段の位置情報とともに分析することで、電界内のどの位置にどの程度の量の魚がいるか判断してもよい。
生簀領領域12aに魚が入ったら、生簀領域12a内で所定の期間魚を飼育し、成長させる。その間、例えば、生簀領域12a内で飼育されている養殖魚の餌、例えば小魚等を、誘導路12cを介して、港側から生簀領域12a側に送ることができる。
また、生簀領域12aをさらに2以上の区画に分割し、水中の環境に応じて、例えば、潮の満ち引きや流れ、天候による水温の変化、餌の分布の状態等に応じて、いずれかの区画に誘導することができる。その際、上述の集魚手段と組み合わせて、所望の区画への魚の誘導を行ってもよい。
養殖魚が出荷するのに適した状態まで成長したら、養殖魚を生簀領域12aから誘導路12cを介して港付近まで誘導することができる。
さらに、養殖システム1は、水温、気温、水流のスピード、餌の密度、養殖魚の生育状況等を検出する各種のセンサを備えていてもよい。制御手段が、これらのセンサからの検出値に基づいて、どの電極手段10にどのような電気パルスを印加するか、判断することができる。また、制御手段は、予め定められた日時に、所定の電極手段10に所定の電気パルスを印加するように、予めプログラムされていてもよい。その際、例えば上記の各種のセンサによる検出値に個別の閾値を設定し、又は、複合的な条件設定を行い、どの電極手段10にどのような電気パルスを印加するか予めパターン化されたテーブルを備え、そのテーブルに従って、各電極手段に電気パルスを印加するようにしてもよい。さらに、これらの閾値、及び、テーブルは、養殖魚の種類に応じて複数記憶されており、現在の養殖魚の種類に応じて、適宜読み出して使用されることができる。
なお、本発明は上記実施態様に限定して解釈されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の態様で実施されてもよい。例えば、上記の実施形態では「魚」と称しているが、本発明の適用範囲は、必ずしも生物学上の魚類に限らず、鯨、イルカ、オットセイ、アシカなどの哺乳類、ワニなどの爬虫類、カエルなどの両生類、クラゲ、イカ、タコ、エビ、藻類等の水中に生息するあらゆる生物に適用できる。また、貝類や珊瑚など、さほど自由に移動しない生物を養殖しようとする場合に、これらを捕食しようとする水中の生物や、これらに有害な病原菌などを持っている生物を遠ざけるための防護柵として本発明を適用することも可能である。
また、電極手段又は電極装置が、その上部に、所謂灯浮標などのような、ライトなどの発光体を有していてもよい。このような発光体が、色や明るさなどを変化させることができれば、各電極手段に印加されている電気パルスの状態を、発光体の表示態様/発光態様によって外部から視認することができる。そうすると、上述の生簀領域、出入口、及び/又は、誘導路の使用状態、例えば、生簀領域がどの範囲で使用されているか、出入口が閉じられているか、誘導路内で魚がどちら向きに誘導されているかなど、をその場で一目瞭然に確認することができる。また、各電極手段又は電極装置が、自己診断機能を備え、自己の状態、例えば、電極手段の劣化の程度、故障の有無、故障の種類など、に応じて、発光体の表示態様/発光態様を異ならせてもよい。また、上述のように、電極手段/電極装置が、マトリックス状に配置されている場合には、電極手段の状態とは関係なく、発光体の発光態様を変化させて、外部、特に上部、例えば上空、の人に対する何らかのメッセージ、例えば広告などを表示してもよい。

Claims (7)

  1. 水中に複数の電極手段を互いに離間させて配置し、前記複数の電極手段のうちの少なくとも1つの電極手段に電気パルスを印加し、前記複数の電極手段のうち、当該電気パルスが印加された電極手段と隣り合う電極手段との間に電界を生じさせ、当該電界によって魚を誘導する、魚の誘導方法。
  2. 前記電気パルスの平均電圧又は平均電流を、魚を誘導しようとする方向に向かって低くなるようにする、請求項1記載の魚の誘導方法。
  3. 前記複数の電極手段のうちの隣り合う電極手段の間で前記電気パルスの極性が順次入れ替えわるように、前記電極手段に前記電気パルスを印加する、請求項1又は2記載の魚の誘導方法。
  4. 前記電気パルスの平均電圧又は平均電流を、前記電気パルスの波高値、デューティ比、周波数のうち、少なくとも1つを調節して設定する、請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の魚の誘導方法。
  5. 前記電極手段を、前記電気パルスによって形成された前記電界によって、魚を飼育するための生簀領域と、当該生簀領域に魚の出入りを可能にする出入口と、当該出入口を介して前記生簀領域と連通する誘導路とを形成するように配置する、請求項1乃至4のいずれか1項記載の魚の誘導方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項記載の魚の誘導方法を使用した、魚の養殖システム。
  7. 前記電極手段を有する、請求項1乃至5のいずれか1項記載の魚の誘導方法のために使用する電極装置。
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