JP2017216834A - 回生制動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】巡航状態を適切に判定して、回生制動力を低減する回生制動力制御装置を提供する。【解決手段】車輪2を駆動する電動モータ4を備えた車両50における電動モータ4の回生制動力を制御する回生制動力制御装置20であって、車両50の速度に基づいて車両50が巡航状態であるか否かを判定する巡航状態判定手段21と、巡航状態判定手段21が巡航状態を判定すると、電動モータ4の回生制動力を低減させる回生制動力低減手段22とを備える。【選択図】図3

Description

この発明は、電気自動車における回生制動力を制御する装置に関する。
電気自動車において、電費の向上および航続距離の延伸のために、種々の提案がなされている。電気自動車の車輪の駆動においては、例えば、モータ巻線や伝送線の効率向上などが図られている。しかし、さらなる電費の向上および航続距離の延伸のためには、駆動力と回生制動力の生成の観点において、改善の余地があった。
これに対して、例えば、特許文献1に記載の車両用制御装置は、アクセルペダルやブレーキペダルの操作性を高めることができる。具体的には、この車両用制御装置は、アクセル開度に応じた要求パワーを出力する内燃機関を備え、内燃機関の最適な熱効率に応じたアクセル開度と要求パワーの関係が実現されるように、アクセル開度と要求パワーの関係を変更手段が変更する。このように、特許文献1に記載の車両用制御装置では、アクセルペダルの開度をエネルギ効率の観点から最適化することが試みられている。
また、特許文献2に記載の回生制御装置は、走行状態や運転者の意図を反映した回生制御を行う。具体的には、アクセルオフになった時に、アクセルオフの直前の加速度に応じて、電動モータを回生制御する。詳細には、加速度が大きいほど回生制動力を大きくする。これにより、同一の車速でもアクセルオフした直前の加速度が大きいほど大きな制動力を生成するため、低速度走行中において運転者が急加速後にアクセルオフすると大きな回生制動力が発生し、高速巡航時に運転者がアクセルオフすると回生制動力は小さい。このように、特許文献2に記載の回生制御装置では、運転者がアクセルペダルをオフする直前のその運転者の操作に応じて回生制動力の大きさを設定する。
特開2006−321429号公報 特開2003−250202号公報
しかし、特許文献2に記載の回生制御装置では、アクセルオフの直前の加速度のみに基づいて回生制動力を決定するため、高速巡航中であるにもかかわらず運転者の操作に従うことで大きい回生制動力が発生する場合がある。つまり、運転者の操作に依存して回生制動力が制御されるため、適切に回生制動力が制御されないという問題がある。
この発明の目的は、巡航状態を適切に判定して、回生制動力を低減する回生制動力制御装置を提供することである。
以下、便宜上理解を容易にするために、実施形態の符号を参照して説明する。
本発明の一構成に係る回生制動力制御装置は、車輪2を駆動する電動モータ4を備えた車両50における前記電動モータ4の回生制動力を制御する回生制動力制御装置20であって、前記車両50の速度Vに基づいて前記車両50が巡航状態であるか否かを判定する巡航状態判定手段21と、前記巡航状態判定手段21が巡航状態を判定すると、前記電動モータの回生制動力を低減させる回生制動力低減手段22とを備える。
この構成によれば、巡航状態が判定されると回生制動力低減手段が回生制動力を低減させるため、惰性走行時における回生制動力が低減される。これにより、不必要な速度変動を無くしてエネルギ損失を抑制できる。
「巡航状態」とは、車両が、加速状態でも減速状態でもなく、一定速度を維持するように走行する状態のことをいう。
好ましくは、前記巡航状態判定手段21が、現在よりも所定時間前から現在までの前記車両の平均速度Vaveを算出する平均速度算出部24、および前記平均速度算出部24によって算出された平均速度Vaveと前記車両50の現在の速度Vとに基づいて、前記車両50が巡航状態であるか否かの判定を行うための指標である余裕度mを求める余裕度算出部25を有し、前記巡航状態判定手段21が、前記余裕度mを用いて、前記車両50が巡航状態であるか否かを判定する。
この構成によれば、所定時間前から現在までの所定期間の平均速度を基準として求められた、現在の速度の余裕度を用いて巡航状態判定手段が巡航状態であるか否かを判定するため、適切に巡航状態が判定される。すなわち、比較的長い期間の過去の速度平均、例えば過去1分間の平均車両速度を求め、この平均速度と現在の車両速度とを比較することで、例えば車両が加減速中であるか、または一定速度を維持するように走行している巡航状態であるかを判定できる。
「所定期間」は、好ましくは、車両運動制御の入力値とされるデータであって、この平均値を算出するために使用されるデータ を取得する期間やフィルタリングの時定数よりも長い期間であり、例えば、40秒〜1分30秒の範囲で定められる。
好ましい実施形態によれば、前記余裕度算出部25が、前記平均速度Vaveと前記車両の前記現在の速度Vとの差の絶対値を求め、 この絶対値と、車両の速度の変動の許容範囲を示す所定の変動許容値Dとに基づいて、前記余裕度をm求める。この構成によれば、簡単な計算によって余裕度を算出できる。
好ましい実施形態によれば、前記車両50の前記現在の速度Vは所定の時間間隔Tで取得され、前記巡航状態判定手段21が、さらに、前記余裕度算出部25で求められる余裕度mを積算して余裕度積算値Sを算出する余裕度積算部26であって、前記所定の時間間隔Tで取得される前記現在の速度Vについての余裕度mを順次加算することで、前記余裕度mを積算する余裕度積算部26を有し、前記巡航状態判定手段21が、前記余裕度積算値Sに基づいて前記車両50が巡航状態であるか否かを判定する。この構成によれば、余裕度積算値に基づいて巡航状態判定手段が巡航状態であるか否かを判定するため、車両の巡航時にわずかな速度変動があっても、巡航状態であるか否かの判定に影響を与えることがない。
好ましい実施形態によれば、前記巡航状態判定手段21が、さらに、前記余裕度積算値Sに基づいて前記車両50が巡航過渡状態であるか否かを判定する。余裕度積算値に基づくことで、車両が、巡航状態であるかの判定のみでなく、巡航過渡状態の判定までも可能となる。したがって、加速状態または減速状態から巡航状態に移行する際に、徐々に回生制動力を変化させることができる。
「巡航過渡状態」とは、加速状態または減速状態ではあるが、巡航状態に移行している状態、または巡航状態から加速状態または減速状態に移行している状態のことをいう。
さらに好ましい実施形態によれば、前記巡航状態判定手段21が、前記車両50が巡航過渡状態であると判定すると、前記回生制動力低減手段22が、前記余裕度積算値Sの大きさに応じて前記回生制動力Nを低減させる。この構成によれば、回生制動力の低減量が余裕度積算値の大きさに依存するため、巡航過渡状態において、巡航状態における低減量に比較して少ない低減量だけ回生制動力を低減できる。
好ましい実施形態によれば、前記巡航状態判定手段21が、前記車両50の現在の速度Vと所定の最低限速度Vminとを比較し、前記車両50の前記現在の速度Vが前記所定の最低限速度Vmin以上の場合、前記車両50が巡航状態であるか否かを判定し、前記車両50の前記現在の速度Vが前記所定の最低限速度Vminよりも小さい場合、前記車両50が巡航状態であるか否かを判定しない。この構成によれば、車両の速度が所定の最低限速度以上の場合に限って巡航状態の判定を行うため、渋滞のない幹線道路または高速道路などにおける巡航状態においてのみ回生制動力が低減され、渋滞での低速巡航時などでは回生制動力は低減されない。したがって、適切な状況においてのみ回生制動力が低減される。
好ましい実施形態によれば、前記巡航状態判定手段21が、前記車両50が巡航状態であると判定すると、前記回生制動力Nを略零にまで低減させる。この構成によれば、車両が巡航状態の場合には回生制動力を略零にまで低減させるため、惰性走行時における回生制動力を発生させず、不必要な減速を十分に抑えてエネルギ損失を抑制できる。
代わりに、車両が巡航状態の場合には回生制動力をある大きさに低減してもよい。一般に運転者がアクセルペダルを離すのは、運転者が目標とする速度よりも車両速度が大きく、ブレーキを踏むほどではないが減速をしたい場合が多い。回生制動力が0であると、アクセルペダルから足を離しても車両速度の低下が遅い。この場合、運転者は操作の追随性が良好でないことに起因して不安を感じてブレーキを踏んでしまう可能性がある。これに対して、回生制動力を0まで低下させずにある大きさに留めることで、このような事態を防止できる。
好ましい実施形態によれば、前記回生制動力低減手段22によって低減されない回生制動力初期値NBOを決定する回生制動力初期値決定部34を備える。回生制動力初期値決定部34が回生制動力初期値NBOを決定するため、回生制動力が発生しても、その制動力は適切な大きさである。
さらに好ましい実施形態によれば、車両速度、車両加速度、アクセルペダル操作量およびバッテリ情報の少なくともいずれか1つに基づいて前記回生制動力初期値NBOを決定するため、十分に適切な制動力が電動モータに発生する。
車両 であって、
少なくとも2つの車輪と、
前記少なくとも2つの車輪のうちの少なくとも1つに駆動力を付与する電動モータと、
前記電動モータの駆動用電源であるバッテリと、
当該車両の速度を検出する車速検出部と、
アクセルペダルの操作量を検出するアクセルペダル操作検出部と、
ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキペダル操作検出部と、
前記電動モータを制御するモータ制御装置と、
前記アクセルペダル操作検出部によって検出された前記アクセルペダルの操作量および前記ブレーキペダル操作検出部によって検出された前記ブレーキペダルの操作量に基づいて、前記モータ制御装置への駆動指令または制動指令を生成する制御駆動指令装置と、
前記制御駆動指令装置に調整後回生制動力を供給する回生制動力制御装置であって、
前記車速検出部によって検出された当該車両の速度に基づいて前記車両が巡航状態であるか否かを判定する巡航状態判定手段、および
前記巡航状態判定手段が巡航状態を判定すると、前記電動モータの回生制動力を低減させる回生制動力低減手段であって、この低減させる回生制動力が前記調整後回生制動力として前記制御駆動指令装置に供給される回生制動力低減手段を含む回生制動力制御装置とを備え、
前記制御駆動指令装置が、前記調整後回生制動力を受けると、前記アクセルペダルの操作量および前記ブレーキペダルの操作量の両方が零の場合には、前記調整後回生制動力を前記モータ制御装置への制動指令とする車両。
この発明の回生制動力制御装置によれば、惰性走行時における回生制動力を低減し、エネルギ損失を抑制することで、車両の電費を向上させ、航続距離を延伸させることができる。
車両の巡航時の運動エネルギとエネルギ損失の時間推移の一例を示すグラフである。 この発明の第1および第2の実施形態に係る回生制動力制御装置を含む電気自動車を平面図で示す概念構成のブロック図である。 この発明の第1の実施形態に係る回生制動制御装置およびその周辺の構成要素を示すブロック図である。 図2の回生制動力制御装置が採用する巡航状態の判定手法を説明するためのグラフであって、平均車両速度および変動許容範囲を示すグラフである。 図4Aの一部を拡大したグラフであって、余裕度を示すグラフである。 図4Aの一部を拡大したグラフであって、正および負の余裕度を示すグラフである。 図2の回生制動力制御装置が採用する回生制動力の低減量を示すグラフであって、時間経過と、積算値および回生制動力との関係を示すグラムである。 図2の回生制動力制御装置の処理を示すフローチャートである。 この発明の第2の実施形態に係る回生制動制御装置およびその周辺の構成要素を示すブロック図である。
実施形態の説明に先立って、本発明者が着想した、巡航状態の判定手法について説明する。
多くの電気自動車は、減速時に回生(発電)することで、運動エネルギを電気エネルギに変換し、電動モータの駆動用電源であるバッテリに蓄える。これにより、運動エネルギを電気エネルギとして回収して再利用することができ、電費を向上させることができる。ここで、バッテリに蓄えられた電気エネルギと、車両の運動エネルギとの間の双方向の変換を、損失なく実現できていれば、ほぼ一定速度範囲内(例えば、60±5km/hの範囲内)での巡航に必要な運動エネルギは、空気抵抗や摩擦抵抗の速度に依存した変化がない場合、速度変動によらずほぼ一定になる。しかし、実際には、電気エネルギと運動エネルギとの間の変換には、不可避なエネルギ損失が生じる。例えば、モータ巻線もしくは伝送線の抵抗による損失、または、駆動素子のスイッチング損失などである。
図1に、巡航時の運動エネルギとエネルギ損失の時間推移の一例を示す。時刻tからtまでの間の平均速度と車両質量から求めた運動エネルギをKIdealとする。これは、時刻tからtまでの間、車両が平均速度を維持した場合、時刻tからtまでのいずれの時刻においても、理論的には運動エネルギがKIdealであることを意味する。しかし、例えば、時刻tで平均時速であると仮定して、運転者はこの平均時速を維持しようとするためにアクセルペダルを踏み込む。これにより、車両が加速して、車両速度は平均速度よりも大きくなる。すると、運転者は、前記平均時速を維持するためにアクセルペダルを離す(アクセルオフにする)。これにより、車両が減速して、車両速度は平均速度よりも小さくなる。次に運転者は、前記平均時速を維持するために再度アクセルペダルを踏み込む。すると、車両は再度加速して、例えば、時刻tには車両の速度は平均速度と一致する。このような操作が行われた場合における、車両速度と車両質量から求めた運動エネルギの時間推移を図1に実線E1で示す。
この運動エネルギの時間推移E1が生じた場合のエネルギ損失を考察する。先述のように、電気エネルギと運動エネルギとの間の変換にはエネルギ損失が生じる。具体的には、回生制動によって減速した際、モータ巻線もしくは伝送線の抵抗による損失、または、駆動素子のスイッチング損失によって、熱が発生してその分のエネルギが回収不能となる。したがって、運転者が一定の車両速度を維持した巡航を望んでいても、運転者のアクセルペダル操作(アクセルを離すこと)によって不要な回生制動が発生すると、上記のエネルギ損失が生じる。また、車両の速度が低下すると、一定速度を維持すべく運転者は再度アクセルペダルを踏み込むが、これによる再加速の際も、上記のエネルギ損失が生じる。さらに、加速しすぎて目標の速度を超えてしまう場合は、エネルギ損失が増大してしまう。特に、実際の走行では空気抵抗は速度の2乗に比例するため、大きい速度の走行では走行抵抗が大きく、加速に必要な駆動力も大きいことより、エネルギ損失がさらに大きくなる。
図1に示すように、このエネルギ損失は、点線により囲まれた領域A1,領域A2および領域Bの面積の和(A1+A2+B)となる。なお、ここでは、簡単化のために速度変化は電動モータの駆動か電動モータの回生制動のみによって生じるものとする。領域A1および領域A2は、加速のために、より多くの電流を電動モータに流す際に生じたエネルギ損失に相当する。領域Bは、回生制動により運動エネルギを電気エネルギに変換する際に生じたエネルギ損失に相当する。
領域A1,領域A2および領域Bの面積の和が小さい程、エネルギ損失が小さい。したがって、一定速度で走行できる状況、例えば渋滞のない幹線道路や高速道路での巡航では、速度変動が小さい方がエネルギ損失が小さく電費が良い。
そのため、本発明者は、巡航時の速度変動の要因を減らす方策を考えた。巡航時とは、例えば、幹線道路での50km/h以上での車両の走行、および高速道路での100km/h程度での車両の走行である。これらの速度域においては、クルーズコントロールや横滑り防止などの付加的な制御がなければ、運転者の操作無く駆動力が発生することはない。なお、これらの速度域ではクリープトルク、またはこれを模擬した駆動トルクは生じない。一方、回生制動力は、ブレーキペダル操作により生じるものと、エンジンブレーキを模擬したもの、つまりアクセルオフの操作により惰性走行時に生じるものとがある。ブレーキペダルを操作する状況は、明らかに減速が必要な状況であるため、操作に従って制動力を発揮すべきである。しかし、エンジンブレーキを模擬したものは、運転者がアクセルペダルを雑に操作した場合にその操作に従って回生制動力が生じる。そのため、走行速度を不必要に低下させ、エネルギ損失の発生や再加速によるさらなるエネルギ損失を招くことになる。
以上の考察に基づけば、所望の巡航速度に落ち着いた後は、加速も減速もしないようにアクセルペダルが操作されるのが望ましい。しかし、アクセルペダルの操作は、運転者の技量によるところが大きい。これに対して、エネルギ損失発生の直接の原因であり、さらなるエネルギ損失までも招く速度変動を抑制するように、その原因ともなる惰性走行時の回生制動を巡航中は低減すれば、エネルギ損失発生の要因を低減し、電費を向上させ、航続距離を延伸させることができる。以下の各実施形態に係る回生制動力制御装置は、この概念を実現したものである。
第1の実施形態に係る回生制動力制御装置について、図2から図6を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る回生制動力制御装置を搭載した電気自動車50を概略的に示す図である。この電気自動車(車両)50は、2輪駆動であって、車体1の左右一対の後輪2,2が駆動輪であり、左右一対の前輪3,3が従動輪である。なお、電気自動車は4輪駆動であってもよい。電気自動車50は、また、左右の一対の駆動輪2,2をそれぞれ独立して駆動する電動モータ4,4を備える。各電動モータ4は、例えば、同期モータまたは誘導モータである。
電気自動車50は、例えば1つの従動輪3の回転速度を検出することで車両1の速度を検出する車輪速センサからなる車速検出部11と、アクセルペダル12の操作量(ストローク量)を検出する回路からなるアクセルペダル操作検出部13と、ブレーキペダル14の操作量(ストローク量)を検出する回路からなるブレーキ操作量検出部15とを備える。
電気自動車50は、ECU6を備え、このECU6は、回生制動力制御装置20および制駆動力指令装置30を含む。ECU6は、例えば、自動車全般の統括制御を行う上位制御手段であり、コンピュータおよびこれに実行されるプログラム、ならびに各種の電子回路等で構成される。電気自動車50は、さらに、インバータ装置のようなモータドライバからなるモータ制御装置32,32を電動モータ4,4にそれぞれ対応して有する。
車体1はバッテリ7を搭載する。バッテリ7からの電気エネルギは、電動モータ4,4が車輪2,2を駆動する際にはモータ制御装置32,32を介して電動モータ4,4に入力される。回生制動時には、電動モータ4,4が発電した電気エネルギがモータ制御装置32,32によって回収されてバッテリ7に蓄積される。
制駆動力指令装置30は、アクセルペダル操作検出部13によって検出されるアクセルペダル操作量と、ブレーキ操作量検出部15によって検出されるブレーキペダル操作量とに基づいて、モータ制御装置32,32への制駆動指令を生成する。具体的には、制駆動力指令装置30は、アクセルペダル操作量に応じた駆動力またはブレーキ操作量に応じた制動力をモータ制御装置32,32に指令したり、アクセルペダル12もブレーキペダル14も操作されていない時には、エンジンブレーキ相当の回生制動力をモータ制御装置32,32に指令したりするように構成されている。なお、制駆動力指令装置30に、車速検出部11によって検出される車両速度などがさらに入力されても良い。本実施形態では、回生制動力制御装置20は、制駆動力指令装置30と同様にECU6内に構成されているが、ECU6以外の装置のプロセッサに実装されてもよい。
回生制動力制御装置20は、巡航状態判定手段21および回生制動力低減手段22を備える。巡航状態判定手段21は、車両50の速度に基づいて車両50が巡航状態であるか否かを判定するように構成されている。回生制動力低減手段22は、巡航状態判定手段21が巡航状態または巡航過渡状態を判定すると、回生制動力を低減させるように構成されている。このため、回生制動制御装置20は、巡航状態判定手段21および回生制動力低減手段22によって、惰性走行時に回生制動力を低減させることができる。
図3に示すように、巡航状態判定手段21は、制御有効化切替部23、平均速度算出部24、余裕度算出部25、余裕度積算部26および回生制動力生成部27の一部を含む。回生制動力低減手段22は、回生制動力生成部27の残部を含む。これら各機能部23〜27は、回生制動力制御装置20の運用中にECU6を構成するコンピュータのプロセッサに実装される。回生制動力制御装置20は、また、例えばメモリに実現される第1の記憶部28および第2の記憶部29を備える。第1の記憶部28は余裕度積算部26が計算した積算値S(詳細は後述)を記憶する。第2の記憶部29は、回生制動力を低減しない場合の通常の回生制動力つまり回生制動力初期値を記憶する。回生制動力制御装置20のこれら各機能部23〜27および記憶部28,29の詳細については後述する。
本発明者が着想した巡航状態の判定手法を、図4A〜図4Cを参照して以下に説明する。
本回生制動力制御装置20は、車両50が巡航中であると判定した場合、車両50の状態が巡航状態であると判定する。巡航状態にあるか否かの判定は、巡航と予測されるような、車両速度変動が小さい走行を維持する時間の長さを考慮して行う。巡航状態か否かの判定は、現在の車両速度Vが、平均車両速度Vaveを中心とする変動許容範囲2D内か否かに基づいて行う。ここで平均車両速度Vaveは、直近の走行状況を観察するために用いるものであり、例えば、過去1分間のような十分に長い所与の平均速度算出用期間Taveにおける平均速度である。図4Aにおいて、時刻tにおける平均車両速度Vaveは、過去Taveに測定された速度の平均値である。
速度変動は、運転者が上手く運転しても生じてしまう。そのため、車両速度Vの変動の許容範囲を表す変動許容範囲2Dを設定し、その範囲内の速度が維持されていれば、直近の走行状態は巡航状態であると判定される。例えば、平均車両速度Vaveを中心に5km/h(すなわち、変動許容値D=2.5km/h)の範囲を変動許容範囲とする。
具体的には、現在(時刻t)の車両速度Vを、平均速度算出用期間Taveにおける平均速度と比較する。平均速度算出用期間Taveが1分間であれば、一般に、車両運動制御の入力値とされるデータであって、この平均値を算出するために使用されるデータ を取得する期間や、フィルタリングの時定数よりも、長い期間の平均と比較しているといえる。換言すれば、車両の応答性(あるトルク指令(駆動指令または制動指令))が電動モータに入力されてから車両速度が一定となるまでの時間)に比べて、十分に長い時間の平均と現在の車両速度を比較しているといえる。十分に長い時間の平均Vaveと、現在の車両速度Vがほぼ一致している(差が一定の範囲内である)ということは、走行状態が維持されていることを示している。また、車両速度の変化の幅が小さい上に、それがある程度の間維持されている場合、直近の走行状態が巡航状態であるといえる。
ここで例えば、所定の間(例えば10秒間)、車両速度の平均車両速度Vaveが変動許容範囲2D(平均速度±2.5km/hの範囲)内であり続けた場合に、巡航状態であると判定して、直ちに回生制動力を、巡航状態に適した大きさに低減することも考えられる。しかし、急激な変化による違和感が運転者に生じる場合がある。
そこで、巡航状態か否かの判定を行う指標を設定し、その指標が大きくなれば、より巡航の度合が高いと判定し、この指標の大きさに応じた回生制動力の大きさを求める。これにより、回生制動力の大きさを徐々に変化させる。具体的には、図4Bを参照して、以下の式1に示すように、現在の車両速度Vと、平均車両速度Vaveとを比較し、当該比較結果と、車両速度の変動の許容範囲を表す変動許容値Dとに基づいて、巡航状態か否かの判定に用いる余裕度mを求める。
=D−(Vave−V) (式1)
ここでは、平均車両速度Vaveよりも現在の車両速度Vが小さいものとして式を表しているが、現在の車両速度Vが平均車両速度Vaveよりも大きければ、余裕度mは以下の式2で求める。
=D−(V−Vave) (式2)
そしてこのようにして求めた余裕度mを以下の式3に従って積算し、巡航状態か否かの判定の指標である積算値Sを求める。
ここで、車両速度Vは、例えば10秒間ごとのようなペダル指令の判定(ペダル周期)ごとに回生制動力制御装置20に入力される。つまり、ペダル周期Tごとに余裕度mが計算されて、第1の記憶部28に記憶されている積算値Sに加算される。なお、積算値Sは、例えば、車両速度Vが所定の最低限速度Vmin未満の場合にリセットされる。したがって、車両速度Vが最低限速度Vmin超えた以降は、車両速度Vが最低限速度Vminを下回らない限り、長期間にわたる余裕度mに基づいて、巡航状態が判定される。なお、平均車両速度Vaveは、このペダル周期Tごとに入力される車両速度Vを平均速度算出用期間Tave分保存して求められる。
Figure 2017216834
図4Cを参照して、巡航時には余裕度m(正の値)として走行していたが巡航を終了(例えば、高速道路から一般道に合流)するような場合、車両速度Vが下側の変動許容範囲2Dを外れて、上記式1において、(Vave−V)が変動許容値Dよりも大きくなって、次のペダル指令周期での余裕度mn+1は負の値となる。この場合でも、積算を続ける。つまり、第1の記憶部28に記憶されている積算値Sに負の値を加算、つまり積算値Sを減算する。このまま、余裕度が負の値を維持すると、積算値Sは小さくなり、巡航状態でないと判定される。この場合には、回生制動力の大きさを初期値(加減速が多い状況に適した大きさ、つまり通常の回生制動力)に戻す。
なお、積算値Sには適切な上下限値を定めておく。その理由は、上限値がないかまたは大きすぎると、巡航状態かそうでないかの判定が固定化されてしまうからである。例えば、高速道路では、1時間程度の巡航が十分に想定される。その場合、第1の記憶部28の積算値Sが加算され続けて積算値Sが極めて大きくなってしまう。すると、巡航を終了して、現在の車両速度Vの過去1分間の平均車両速度Vaveと差が大きい(余裕度mが負)運転になっても、積算値Sが十分に小さい値にならず、巡航状態と判定され続けるからである。下限値も同様の理由で設定されている。これは、積算値Sが負の無限大に近づけば、巡航状態か否かの判定が非巡航状態に固定化されてしまい、巡航状態になっても非巡航状態であると判定され続ける可能性があるからである。
そして、このように上下限値の範囲内で積算値Sが大きければ、巡航の度合が高いと判定し、積算値Sの大きさに応じて回生制動力の大きさを求める。つまり、巡航の度合の変化に従って回生制動力を変更する。
次に、この判定手法を実現する回生制動力制御装置20の詳細を、図3を参照して説明する。
制御有効化切替部23は、現在の車両速度Vと制御開始の最低限速度であるVminとを比較する。車両速度Vが制御開始の最低限速度Vminよりも大きければ、制御有効化信号を各機能部24〜27に送信し、各機能部24〜27が後続の処理を行う。
平均速度算出部24は、制御有効化信号を受信すると、平均車両速度Vaveを求める。ここで平均速度算出部24は、ペダル周期Tごとに車両速度を保存するリングバッファ(図示せず)を用いる。平均速度算出部24は、リングバッファに保存された値をすべて加算した後にリングバッファの保存数つまり加算した車両速度の数で除算して車両速度の平均値Vaveを求める。
余裕度算出部25は余裕度mを算出する。先述のように、車両速度Vが平均車両速度Vaveよりも大きいか小さいかに応じて上記式1または式2を用いて余裕度mを計算する。具体的には、余裕度算出部25では車両速度Vと平均車両速度Vaveとを比較して、式1と式2のうち適した計算式で余裕度mを計算する。
余裕度積算部26は、余裕度算出部25で算出された余裕度mを第1の記憶部28に記憶されている積算値Sに加算することで、余裕度mを積算して積算値Sを計算する。また、積算値Sが上下限値を超えているか否かのチェックを行い、下限値以下であればS=下限値(ただし、本実施形態において下限値は0である)、上限値以上であればS=上限値(Smax)とする。余裕度mが加算された積算値Sは第1の記憶部28に保存され、この第1の記憶部28の積算値Sが更新される。
回生制動力生成部27は、巡航状態を判定し、巡航状態に応じて回生制動力の大きさを低減する。具体的には、回生制動力生成部27は、回生制動力Nを、回生制動力を低減しないときの回生制動力初期値NBOであるとし、必要な場合には積算値Sに応じてこの回生制動力Nを低減して、回生制動力制御装置20から回生制動力Nを出力する。
回生制動力Nは、制駆動力指令装置30に入力される。制駆動力指令装置30は、アクセルペダル12もブレーキペダル14も操作されていない時、つまり惰性走行時には、この回生制動力Nを、モータ制御装置32,32に指令する。
図5を参照して回生制動力の低減量について説明する。
走行開始後、積算値Sは0のままであるが、やがて平均速度Vaveと現在の車両速度Vとの差が小さくなり、余裕度mが正となったとする。その結果、時刻tにおいて積算値Sが増加し始める。判定基準である積算値Sに基づくと、積算値Sが小さいため、非巡航状態であると判定される(時刻t〜t)。やがて積算値Sは大きくなり、時刻tにおいて車両50(図2)が過渡状態(巡航過渡状態)にあると判定される。過渡状態と判定されると、過渡状態の判定の指標である積算値Sに対して負の傾きを有する一次関数から求められる大きさに、回生制動力Nを設定する。つまり、積算値Sが増加するにつれて、回生制動力Nを減少させる。積算値Sが十分に大きくなり、時刻tにおいて巡航状態であると判定されると、回生制動力Nは巡航状態時の値NBCに設定される。つまり、過渡状態から巡航状態に遷移する時刻tにおける回生制動力NBCが、時刻t以降において維持される。
積算値Sは、先述のように上限値が設定されているため、S>Smaxでは、積算値SはSmaxに設定される(S=Smax)。この上限値Smaxは、実際の車両を用いて実験を行い、あらかじめ設定しておくのが好ましい。積算値Sの下限値は、好ましくは0を設定する。その一方、非巡航状態から過渡状態への移行を判定するための第1の閾値Sth1および過渡状態から巡航状態への移行を判定するための第2の閾値Sth2、ならびに上限値Smaxは適切な値に調整できる。なお、積算値Sの下限値には0以外の値が設定されても良い。
第1の閾値Sth1および第2の閾値Sth2は、例えば、あらかじめ実際の車両を市街地で走行させるなどして、積算値Sの変化の様子を観察し、それに応じて設定されても良い。具体的には、加減速または停車および再加速の多い状況における積算値Sの範囲と、実際に巡航した際の積算値Sの範囲とを照合し、これら範囲が互いに重なり合う部分を考慮して過渡状態への移行用の第1の閾値Sth1を設定し、巡航した際の積算値Sの範囲を考慮して巡航状態への移行用の第2の閾値Sth2を設定してもよい。
以上説明を行った処理、つまり車両50(図2)の状態の判定は、あらかじめ設定した速度を超えた時にのみ行うのが良い。その理由は、過去1分間の平均速度を用いるため、例えば信号待ちで停車することにより平均速度は0km/hとなり、再加速しても平均速度の増加が遅く、平均速度と実際の車両速度との差が大きい時間が長くなって、巡航状態であるとの判定が遅れて回生制動力の低減が実施されない状況が発生するためである。このような事態を回避するために、車両50(図2)の状態の判定は、例えば車両速度が30km/h以上の場合のみ行うものとし、処理開始時の平均速度の初期値に30km/hを設定して積算値Sの算出などの演算を行えばよい。これにより、30km/h以下での長時間のほぼ一定速度の走行(例えば交通渋滞中の走行)時に、意図しない回生制動力低減が発生するのを防止できる。なお、車両50(図2)の状態の判定を行うか否かの車両速度閾値として、30km/hは一例であり、その他の車両速度であってもよい。
次に図6のフローチャートを参照して本回生制動力制御装置20の処理を説明する。
制御有効化切替部23が、現在の車両速度Vと制御開始の最低限速度であるVminとを比較する(ステップS1)。現在の車両速度Vが最低限速度Vminよりも小さければ(ステップS1のno)、各パラメータをリセットする。具体的には、平均車両速度Vaveに最低限速度Vminを設定し、積算値Sに0を設定し、回生制動力Nに回生制動力初期値NBOを設定する(ステップS2)。現在の車両速度Vが最低限速度Vmin以上であれば(ステップS1のyes)、平均速度算出部24が車両速度の平均値Vaveを求める(ステップS3)。
余裕度算出部25が余裕度mを算出する。具体的には、現在の車両速度Vが平均速度Vave以上であるか否かを比較し(ステップS4)、現在の車両速度Vが平均速度Vaveよりも小さい場合(ステップS4のno)、上記式1に基づいて余裕度mを算出し(ステップS5)、現在の車両速度Vが平均速度Vave以上の場合(ステップS4のno)、上記式2に基づいて余裕度mを算出する(ステップS6)。
余裕度積算部26は、余裕度算出部で算出された余裕度mを、第1の記憶部28に記憶されている積算値Sに加算する(ステップS7)ことで、余裕度mの積算値Sを更新する。余裕度積算部26は、この更新された積算値Sを下限値である0と比較する(ステップS8)。積算値Sが下限値以下であれば、積算値Sに下限値である0を設定する(ステップS9)。余裕度積算部26は、また、更新された積算値Sを上限値Smaxと比較する(ステップS10)。積算値Sが上限値以上であれば、積算値Sに上限値Smaxを設定する(ステップS11)。
回生制動力生成部27が、下限値0から上限値Smaxの範囲内にある積算値Sに応じて、回生制動力Nを設定する(ステップS5)。回生制動力Nと積算値Sとの関係は、例えば図5に示したとおりである。
第2の実施形態について説明する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図7に示すように、回生制動力制御装置20は、図3を参照して説明した第1の実施形態における各要素に加えて、さらに、回生制動力初期値決定部34を備える。回生制動力制御装置20には、車両速度に加えて、車両加速度、アクセルペダル操作量、バッテリ残量および/またはバッテリ容量などを含むバッテリ情報などが入力されて、回生制動力初期値決定部34が、回生制動力初期値NBOの設定にこれら入力された値を考慮する。回生制動力初期値決定部は、ECU6内の回生制動力制御装置の外部に構成されても良い。
なお、上記の各実施形態において、回生制動力Nと積算値Sとの関係は、1次関数の関係に限定されず、2次関数または3次関数などの多次元関数の関係であってもよい。また、積算値Sの範囲に応じて、1次関数の傾きを変化させてもよい。
ここで、減速度に対して、運転者の分解能が高い範囲と低い範囲がある。すなわち、運転者は、一般に、低い減速度では減速度の変動に対して敏感であり、高い減速度では減速度の変動に対して鈍感である。このような知見に基づくと、積算値Sが増加するに従い回生制動力Nの減少を小さくするように、回生制動力Nと積算値Sとの関係が定められるのが好ましい。
また、本実施形態では、巡航状態になった後の回生制動力Nを、非巡航状態の時に比べて小さな値としているが、回生制動力Nを0(または略零)に設定しても良い。これにより、可能な限り速度変動となる要因を抑制することができる。
さらに、平均速度について変動許容範囲2Dを設定し、現在の車両速度Vと変動許容限度2Dとの差として余裕度mを定義したが、例えば、平均速度Vaveと現在の車両速度Vの差を用いてもよい。つまり、これらの差を積算値Sの代わりの変数であって、車両状態判定のための変数から減算して、閾値を下回ると回生制動力を低減させるようにしても良い。これは、第1の実施形態において説明した回生制動力制御装置の計算を、正負逆転させたものであり、基本とする概念は同一である。
図6のフローチャートでは、車両速度Vが所定の最低限速度Vmin(例えば30km/h)未満の場合(ステップS1のno)、ステップS2において、平均車両速度Vaveに最低限速度Vminを設定し、積算値Sに0を設定することとした。すなわち、車両速度Vが所定の最低限速度Vmin(例えば30km/h)を下回ると直ちに積算値Sに0を設定することになる。例えば、平均速度が35km/h程度で巡航状態となり、一瞬でも車両速度Vが30km/hを下回ると、直ちに回生制動力が回生制動力初期値NBOに設定され、回生制動力が急激に変化することになる。これに対して、積算値Sを非巡航状態から過渡状態への移行を判定するための第1の閾値Sth1と比較して、積算値Sが第1の閾値Sth1以下になって初めて過渡状態から非巡航状態と判定して、回生制動力を回生制動力初期値NBOに設定してもよい。
回生制動力初期値NBOは、特定の値であっても車両速度に依存した値であってもよい。車両速度に依存していれば、運転者は違和感や不快感を覚えにくい。また、車両駆動用電源であるバッテリの電圧は高いため、このバッテリの保護のために車両速度が小さい場合には回生制動力初期値NBOを小さくしても良い。
なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む。例えば、インホイールモータ駆動装置と内燃機関とを併用したハイブリッドカーなども電気自動車に含まれる。また、電気自動車に限定されるものではなく、少なくとも2つの車輪を有し、この少なくとも2つの車輪のうちの少なくとも1つに駆動力を付与する電動モータを有するいかなる車両に対しても、各実施形態に係る回生制動力制御装置は適用可能である。さらに、各実施形態ではインホイールモータ駆動装置を例示したが、車両には1つの電動モータが設けられ、この電動モータが複数の車輪に駆動力を付与してもよい。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2…車輪
4…モータ
20…回生制動力制御装置
21…巡航状態判定手段
22…回生制動力低減手段
50…車両

Claims (10)

  1. 車輪を駆動する電動モータを備えた車両における前記電動モータの回生制動力を制御する回生制動力制御装置であって、
    前記車両の速度に基づいて前記車両が巡航状態であるか否かを判定する巡航状態判定手段と、
    前記巡航状態判定手段が巡航状態を判定すると、前記電動モータの回生制動力を低減させる回生制動力低減手段とを備えた回生制動力制御装置。
  2. 請求項1に記載の回生制動力制御装置において、
    前記巡航状態判定手段が、
    現在よりも所定時間前から現在までの前記車両の平均速度を算出する平均速度算出部、および
    前記平均速度算出部によって算出された平均速度と前記車両の現在の速度とに基づいて、前記車両が巡航状態であるか否かの判定を行うための指標である余裕度 を求める余裕度算出部を有し、
    前記巡航状態判定手段が、前記余裕度を用いて、前記車両が巡航状態であるか否かを判定する回生制動力制御装置。
  3. 請求項2に記載の回生制動力制御装置おいて、
    前記余裕度算出部が、前記平均速度と前記車両の前記現在の速度との差の絶対値を求め、 この絶対値と、車両の速度の変動の許容範囲を示す所定の変動許容値とに基づいて、前記余裕度を求める回生制動力制御装置。
  4. 請求項2または3に記載の回生制動力制御装置おいて、
    前記車両の前記現在の速度は所定の時間間隔で取得され、
    前記巡航状態判定手段が、さらに、
    前記余裕度算出部で求められる余裕度を積算して余裕度積算値を算出する余裕度積算部であって、前記所定の時間間隔で取得される前記現在の速度についての余裕度を順次加算することで、前記余裕度を積算する余裕度積算部を有し、
    前記巡航状態判定手段が、前記余裕度積算値に基づいて前記車両が巡航状態であるか否かを判定する回生制動力制御装置。
  5. 請求項4に記載の回生制動力制御装置おいて、
    前記巡航状態判定手段が、さらに、前記余裕度積算値に基づいて前記車両が巡航過渡状態であるか否かを判定する回生制動力制御装置。
  6. 請求項5に記載の回生制動力制御装置おいて、
    前記巡航状態判定手段が、前記車両が巡航過渡状態であると判定すると、前記回生制動力低減手段が、前記余裕度積算値の大きさに応じて前記回生制動力を低減させる回生制動力制御装置。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の回生制動力制御装置において、
    前記巡航状態判定手段が、前記車両の現在の速度と所定の最低限速度とを比較し、前記車両の前記現在の速度が前記所定の最低限速度以上の場合、前記車両が巡航状態であるか否かを判定し、前記車両の前記現在の速度が前記所定の最低限速度よりも小さい場合、前記車両が巡航状態であるか否かを判定しない回生制動力制御装置。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の回生制動力制御装置において、
    前記巡航状態判定手段が、前記車両が巡航状態であると判定すると、前記回生制動力を略零にまで低減させる回生制動力制御装置。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の回生制動力制御装置において、さらに、
    前記回生制動力低減手段によって低減されない回生制動力初期値を決定する回生制動力初期値決定部を備えた回生制動力制御装置。
  10. 請求項9に記載の回生制動力制御装置において、
    前記回生制動力初期値決定部が、車両速度、車両加速度、アクセルペダル操作量およびバッテリ情報の少なくともいずれか1つに基づいて前記回生制動力初期値を決定する回生制動力制御装置。
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