本願明細書に示されている説明および図は、本発明、その原理、およびその実際の用途を他の当業者に知らせることを意図している。当業者は、特定用途の要件に最適であるように、本教示をその多くの形態で適合および応用し得る。したがって、記載されている本教示の特定の実施形態は、本教示を網羅または限定しようとするものではない。したがって、本教示の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲とこのような特許請求の範囲の権利が及ぶ等価物の範囲全体とを参照して決定されるべきである。あらゆる論文および引例の開示は、特許出願および公開を含め、あらゆる目的のために参照により組み込まれるものとする。添付の特許請求の範囲から見出されるような他の組み合わせも可能であり、これら組み合わせも参照によりこの説明に組み込まれるものとする。
本教示は、その教示内容全体をあらゆる目的のために参照により本願明細書に取り込むものとする、2013年5月15日出願の米国特許仮出願第61/823,642号に対する優先権を主張する。本願明細書に教示されている装置は、ヒータとして有用であり得る、および/または別の装置に組み込まれ得る。後者の場合、この別の装置はヒータとして使用され得る。本願明細書に教示されている装置は、公知の如何なる加熱用途にも使用され得る。例えば、ヒータは、ベッドの加熱用、植物の暖房用、治療用ヒータとして、車両の座席、ステアリングホイール、ミラー、ガラス、フローリング、ドアパネル、アームレスト、ヘッドライナ、等々の加熱用、またはこれらの組み合わせのために使用され得る。本願明細書に教示されている装置は、車両の座席、ステアリングホイール、またはこの両方に接続され得る、組み込まれ得る、またはこの両方であることが好ましい。本願明細書に記載のヒータは、車両の座席(すなわち、バンまたは背部)のクッションの上に重ねられてその後にトリムカバーがヒータの上に配置される、またはステアリングホイールの周囲に配置されてその後にトリム片によって覆われる、またはこの両方である、個別部片でもよい。ヒータ、クッション、トリムカバー、またはこれらの組み合わせが座席フレームに取り付けられるように、ヒータの一部をクッションのトレンチに入れてもよい。ヒータによる車両の座席のトレンチ領域の加熱をほぼ防止し得るように、ヒータは腑形可能、成形可能、切断可能、またはこれらの組み合わせを可能にし得る。例えば、実質的に電極、バス、導電体、またはこれらの組み合わせのみが車両の座席のトレンチ内まで延在するように、ヒータの一部を切り取ってもよい。ヒータがトリムカバーと車両の構成要素とに接続されるように、トリムカバーはヒータを貫通して延在する取り付け用の特徴を有し得る。
機械式固締具、接着剤、1つ以上の隣接層からの圧力、溶接、熱かしめ、超音波溶接、逢着、またはこれらの組み合わせによって、1つ以上のヒータを車両の座席および/またはステアリングホイールに固着し得る。例えば、ヒータが構成要素内に固着されるように、ヒータと同じ材料の糸によって、ヒータをトリム層、支持体、またはこの両方に逢着し得る。接着剤は、ヒータに剥離可能に結合され得る接着剤、またはヒータに恒久的に結合され得る接着剤、感圧接着剤、グルー、面ファスナ、噴霧式接着剤、剥がしてそのまま貼れる接着剤、またはこれらの組み合わせでもよい。ヒータは、トリム層に直接固着されてもよく、または座席のクッション(すなわち、バン、背部、またはこの両方)に直接固着されてもよく、またはステアリングホイールに直接固着されてもよく、またはこれらが組み合わされてもよい。ヒータが座席内に、ステアリングホイール内に、またはこの両方に、固定され得るように、機械式固締具をヒータに貫通延在させても、ヒータに接続しても、ヒータに取り付けても、またはこれらを組み合わせてもよい。機械式固締具は、ホッグリングでもよく、またはヒータの一部にわたって延在してヒータとトリム層とをクッションの至近距離に引き寄せる金属バーでもよく、ヒータの一部、トリム層の一部、またはこの両方を突き抜けるプラスチック製タグでもよく、またはこれらの組み合わせでもよい。本願明細書の教示によるヒータは、他の装置と併用され得る。
1つ以上のヒータと共に、1つ以上のセンサ(例えば、接触センサ、乗客センサ、またはこの両方)を使用し得る。ヒータをセンサにし得る。センサをヒータに縫い込んでもよい。例えば、信号、電力、またはこの両方が印加されたときに信号が作成されるように、導電性の糸、線、導体、印刷電極、またはこれらの組み合わせをヒータに接続してもよい。センサは、乗客の存在、ヒータとの接触、ヒータへの隣接接触、乗員のサイズ、またはこれらの組み合わせを感知する乗客センサであれば如何なる種類の乗客センサでもよい。ヒータ、ステアリングホイール、車両の座席、またはこれらの組み合わせは、個別センサを含まなくてもよい。例えば、本願明細書に記載のように、ヒータ自体をセンサとして使用し得る。乗客センサは、容量センサ、圧力センサ、メンブレンセンサ、赤外線、受動型および/または能動型超音波センサ、質量センサ、またはこれらの組み合わせでもよい。このセンサは、使用者がステアリングホイールに接触していないときに警報を作動させるシステム、または使用者がステアリングホイールに接触していないときに車載案内システムをオンにするシステム、または乗客が検出され、この乗客がシートベルトを装着していないときに警報を発するシステム、または所定体重未満の乗員が座席にいるときにエアバッグをオフにするシステム、またはこれらが組み合わされたシステムに接続され得る。ヒータおよび乗客センサは、能動的冷却システム、能動的加熱システム、被換気システム、またはこれらの組み合わせと併用され得る。
ヒータは、能動的加熱、能動的冷却、換気、またはこれらの組み合わせと併用され得る。空気がヒータを直接通過し得るように、ヒータを多孔性にしてもよい。空気が、ヒータを覆う1つ以上の層(例えば、フリース層、接着層、保護被覆層、またはこれらの組み合わせ)とヒータとを直接通過するように、ヒータは、ヒータを覆う1つ以上の多孔層を含み得る。ヒータは、ヒータを完全および/または部分的に覆うバリア層を1つ以上含み得る。このバリア層は、接触され得るヒータ領域に流体流を向かわせ易くする。このバリア層(存在する場合)は、所望される場所に空気を向かわせ得るように、如何なる形状にも形成され得る。例えば、移動させる流体を接触領域に向かわせるように、ヒータの中心の「U」字形部分を実質的に多孔性にし、流体の通過を防止し得る非多孔性またはバリア材を「U」字形部分を取り囲む領域に設けてもよい。空気がヒータを通り抜けるように、ヒータは1つ以上の貫通孔を含み得る。ヒータの中および/または周囲に流体を通過させるように、ヒータはファンおよび/またはブロアを含み得る、および/またはファンおよび/またはブロアに流体連通し得る、ブロアおよび/またはファンに隣接し得る。熱気および/または冷気(すなわち、調節された空気)を乗員に向けて移動させるように、ヒータ、ファン、ブロア、またはこれらの組み合わせは、ペルティエ装置、熱電装置、またはこの両方を含み得る。ヒータは、ペルティエ装置、熱電装置、またはこの両方を含むファン、ブロア、またはこの両方に間接的に接続されてもよい。
ヒータは、調節された空気を乗員に向けて分配し易くするインサート(すなわち、バッグ)に接続され得る。ヒータは、インサートの穴と鏡像関係にある穴を1つ以上有し得る。ヒータに穴を何も設けず、バッグからの空気がヒータを直接通過して乗員に向かうようにしてもよい。ヒータ層は、インサートに直接接続されてもよい。ヒータ層の全体または一部がインサートに接続されてもよい。インサート内に送り込まれた空気が所定の領域に向かうように、インサートは、空気をほぼ通さない層、および/または空気を通さない層、を形成する1つ以上のポリマー層でもよい。インサートは、1つ以上のスペーサ材を含んでもよい。本願明細書に教示されているヒータは、インサート内に開放空間を形成するスペーサ層の一部および/またはスペーサ材として機能し得る。インサートおよびそのさまざまな層および材料の更なる側面は、参照により本願明細書に組み込まれるものとする、米国特許第7,083,227号のカラム1、行45〜カラム3、行67、カラム4、行54〜カラム6、行32、および図2〜3、米国特許第7,735,932号のカラム3、行34〜カラム10、行2、カラム11、行4〜カラム13、行18、および図1、図4、図15A、および図15Bの教示を含む本願明細書の教示から見出すことができる。これら特許文献には、本願明細書に教示されているヒータと併用され得るインサート、インサート材、およびインサート構造のさまざまな代替実施形態が示されている。
この1つ以上のヒータをシートとして形成してもよい。ヒータは、1枚以上のシートでもよい。ヒータは、電気的に互いに接続された、物理的には不連続の複数のシートでもよい。本願明細書に教示されているヒータは不織シートであることが好ましい。例えば、本願明細書に教示されている発熱層は、ヒータを形成するために、場合によっては所定の長さに切断されてランダムに配列され得る、複数の個別繊維で構成され得る。ヒータは、実質的に如何なる形状にも適合し得る。例えば、円形の物体(例えば、ステアリングホイール)が加熱されるように、ヒータは円形の物体に巻き付けられ得る。ヒータは、発熱層を形成する複数の繊維を含み得る。発熱層は、約50重量パーセント以上、約60重量パーセント以上、好ましくは約70重量パーセント以上、より好ましくは約80重量パーセント以上の繊維で構成され得る。発熱層は、約82重量パーセント以上、85重量パーセント以上、約90重量パーセント以上、約92重量パーセント以上、または約95重量パーセント以上の繊維で構成され得る。発熱層は、約99重量パーセント以下、約98重量パーセント以下、または約97重量パーセント以下の繊維で構成され得る。発熱層は、約50重量パーセントから99重量パーセントまでの繊維、好ましくは約70重量パーセントから約99重量パーセントまでの繊維、より好ましくは約80重量パーセントから約99重量パーセント(すなわち、約80重量パーセントから約90重量パーセント)までの繊維を含み得る。
複数の繊維は、発熱層全体にランダムに分散されることが好ましい。複数の繊維が組み合わされたときに発熱層が不織構造を有し、これら繊維が機械式装置によって互いに織り合わされないように、これら繊維は平均繊維長が短いことがより好ましい。これら繊維の平均繊維長および配列は、電力が印加されたときにほぼ一定の熱勾配、ほぼ一定の熱密度、またはこの両方をヒータ全体に生じさせることが更に好ましい。これら繊維の配列が電力を移動させてヒータ全体に広がらせることによってほぼ均一な発熱、均一な熱密度、またはこの両方をもたらし、電力が特定の1本のラインに沿って移動しないように、繊維は十分にランダムに配列され得る。一例においては、本願明細書に教示されている発熱層は、この発熱層が縦方向、横方向、またはこの両方を有しないように、繊維整列がほぼ皆無である。発熱層は複数の個別発熱線、発熱糸、またはこの両方を含まなくてもよく、発熱はランダムに配列された複数の繊維を通って発生してもよい。本願明細書に記載されているランダムに配列されるという表現は、これら繊維のうちの約60パーセント以下、約50パーセント以下、好ましくは約40パーセント以下、より好ましくは約30パーセント以下、更に好ましくは約20パーセント以下が同じ方向に配列されることを意味する。平均繊維長は、繊維の配列に影響を及ぼし得る。
平均繊維長は、不織シートが形成され、このシートが曲げ、折り畳み、切断、電力の伝達、トレンチへの押し込み、引っ張り、またはこれらの組み合わせのために十分な強度を有する長さであれば如何なる長さでもよい。平均繊維長は、電力が印加されたときに電力が繊維から繊維に移動してヒータがほぼ均一な温度勾配(すなわち、ヒータの両端でランダムに測定されたときの温度が約±5℃以下、約±3℃以下、または約±2℃以下)を生じさせるように、繊維同士が十分に接触する長さであれば如何なる長さでもよい。平均繊維長は、約130mm以下、約110mm以下、約100mm以下、約80mm以下、約60mm以下、約50mm以下でもよい。平均繊維長は比較的短いことが好ましい。したがって、平均繊維長は、約40mm以下、約30mm以下、好ましくは約28mm以下、より好ましくは約25mm以下、更に好ましくは約22mm以下にし得る。平均繊維長は、約50mmから約1mmまで、好ましくは約40mmから約3mmまで、より好ましくは約25mmから約5mmまでの範囲内で変動してもよい。本願明細書に記載の平均繊維長は、±5mm以下、±4mm以下、好ましくは±3mm以下、より好ましくは約±2mm以下、更に好ましくは約±1mm以下、最も好ましくは約±0.5mm以下の標準偏差を有し得る。最大繊維長(すなわち、ヒータ内の最長繊維)は、約200mm以下、好ましくは約175mm以下、より好ましくは約150mm以下、更に好ましくは約100mm以下、最も好ましくは約50mm以下にし得る。
発熱層は、電気を通して発熱する不織材であれば如何なる不織材で作られてもよい。発熱層は、切断、曲げ、折り畳み、穴開け、またはこれらの組み合わせが行われ得る不織材で、電力が印加されたときに発熱し得る不織材であれば如何なる不織材で作られてもよい。発熱層は、スパンレース法(例えば、ハイドロエンタングルメント)、ニードルパンチ法、またはこの両方の組み合わせを用いて製造され得る材料で作られてもよい。発熱層は、カーボン、金属被膜カーボン、ポリマー、金属被膜ポリマー、バインダ、またはこれらの組み合わせを含み得る。発熱層は、1つ以上の金属材料層で被膜されたカーボンまたはポリマー製の繊維を複数含むことが好ましい。層の形成前に1つ以上の被膜を繊維に施してもよく、またはこれら繊維が層(例えば、繊維マットまたは繊維シート)であるときに1つ以上の被膜をこれら繊維に施してもよく、または第1の被膜をこれら繊維に施し、次にこれら繊維が層の一部であるときに第2の被膜を繊維に施してもよく、またはこれらを組み合わせてもよい。一例においては、ナイロンマットを形成し、次にこのナイロンマットを銅で被膜し、次にニッケルで被膜することによってニッケルが銅の腐食および/または酸化を防止するようにし得る。繊維を構成し得るポリマーは、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、アラミド、パラアラミド、メタアラミド、ビニルアルコール、熱可塑性ウレタン、ウレタン、ポリイミド、カーボン、カーボン繊維、またはこれらの組み合わせである。これら繊維は、電気を通し得る何れかの材料で被膜されてもよい。
カーボン繊維、ポリマー繊維、またはこの両方を被膜するために使用され得る金属は、銅、銀、金、ニッケル、アルミニウム、タングステン、亜鉛、リチウム、プラチナ、スズ、チタン、プラチナ4、またはこれらの組み合わせである。好適な1つの実施形態において、これら複数の繊維はカーボンでのみ作られる。別の好適な実施形態において、これら繊維はナイロンまたはカーボン製であり、ニッケルまたは銀で被膜される。被膜付き繊維が使用される場合、この被膜は発熱層の総重量の百分率で使用され得る。総重量に対する被膜の百分率は、電力が発熱層に供給されたときに発熱層が発熱するような重量であれば如何なる重量でもよい。発熱層の総重量における被膜の百分率は、電力の印加により発熱層が約80℃から約110℃までの温度に発熱するように、十分な量であり得ることが好ましい。発熱層の総重量における被膜の百分率は、発熱層の抵抗率が約1Ωから約5Ωまで、好ましくは約1.5Ωから約2.5Ωまで、になるような十分な量にし得る。被膜は、発熱層の総重量の約5パーセント以上、約10パーセント以上、好ましくは約15パーセント以上を占め得る。被膜は、発熱層の総重量の約50パーセント以下、約40パーセント以下、または約30パーセント以下(すなわち、総重量の約20パーセントから約25パーセントまで)を占めてもよい。金属被膜ナイロン不織フリースの一例がYSシールド社(YSShield)からHNV80という商品名で販売されている。いくつかのカーボン不織布のいくつかの例がマークテック社(Marktek Inc.)からC10001xxxTシリーズ、NC10004xxxTシリーズ、C100040xxTシリーズという商品名で販売されている。不織布の別の例がコンダクティブ・コンポジット社(Conductive Composites)からニッケル・ナノストランド(Nickel Nanostrands)、ニッケルCVD被膜付きカーボン繊維(Nickel CVD coated carbon fiber)、またはニッケルCVD被膜付き不織カーボン繊維(Nickel CVD coated nonwoven carbon fiber)という商品名で販売されている。本願明細書に記載の複数の繊維はバインダによって一緒に保持され得る。
発熱層は不織材である。発熱層はフェルト状(すなわち、平坦な均質不織構造)であることが好ましい。発熱層はランダムに配列された微細構造を有する不織材であり得ることがより好ましい。ヒータは穴がなくてもよい。ヒータは、複数の穴を含んでもよい。これらの穴は、熱が発生されて、隣接する表面、人間、アイテム、装置、またはこれらの組み合わせが加熱されるような形状であれば如何なる形状でもよい。これら穴は、円形、楕円形、正方形、十字状、細長い形状、対称形、非対称形、幾何学的形状、非幾何学的形状、またはこれらの組み合わせでもよい。ヒータは、側面切欠きを含んでもよい。ヒータは、側面切欠きを含まないことが好ましい。ヒータは蛇行形状でもよい。ヒータは蛇行形状でないことが好ましい。発熱層の微細構造は、複数の細孔、複数の空隙、またはこの両方を含んでもよい。本願明細書に記載の空隙および細孔は発熱層の微細構造の一部であり、貫通孔および切欠きは、例えば材料が除去された、より大きな空間である。発熱層は十分な量の空隙および/または細孔を含み得るので、エアムーバからの空気は発熱層を通過できる、または発熱層の繊維がランダムに配列される、または電力が発熱層全体にランダムに分配される、または保護層が発熱層を貫通できる、またはこれらの組み合わせが可能である。発熱層の空隙および/または細孔は、発熱層の総表面積の約10パーセント以上、約15パーセント以上、約20パーセント以上、約25パーセント以上、約30パーセント以上、または約40パーセント以上の面積に相当してもよい。発熱層の空隙および/または細孔は、発熱層の総表面積の約90パーセント以下、約80パーセント以下、約70パーセント以下、約60パーセント以下、または約50パーセント以下の面積に相当してもよい。発熱層は、他の1つ以上の層が発熱層に接続されるように、または保護層が発熱層の上に平坦な表面を形成できるように、またはこの両方が可能なように、十分な量の繊維および/または材料を発熱層に有し得る。
ヒータは、電極を複数含み得る。ヒータは、追加の導電層(例えば、バス、電極、端子、トレース、支脈、分岐、またはこれらの組み合わせ)を一切含まなくてもよい。ヒータは、ヒータの長さおよび/または幅にほぼ沿って延在してヒータへの電力の印加を助けるバス、電極、またはこの両方(例えば、電力印加部)を複数含むことが好ましい。発熱層は、電源をヒータに接続する端子を含まないことがより好ましい(すなわち、単一の電力印加点)。発熱層は、金、銀、銅、またはこれらの組み合わせを含まなくてもよい。ヒータは、正温度係数(PTC:positive temperature coefficient)材料を含んでもよい。発熱層は、別のステップで発熱層に追加される、熱の発生、信号の発生、またはこの両方を助ける追加の導電層、正温度係数層、付加物、またはこれらの組み合わせを含まなくてもよい。発熱層は、安定化材料、軟質の充填物質、含浸充填材、またはこれらの組み合わせを含まなくてもよい。例えば、発熱層は、繊維間の電力伝達を助けるためにヒータに追加される安定化材料、軟質の充填物質、含浸充填材、またはこれらの組み合わせを含まない。発熱層は、発熱に必要なヒータ部分のみでよいことがより好ましい。例えば、発熱層は基板でなくてもよく、発熱層は、発熱層を形成するためにその表面に配設または印刷される1つ以上の材料、この材料に織り込まれる材料、またはこれらの組み合わせを含まなくてもよい。発熱層の構成は、発熱層の抵抗率、表面出力密度、またはこの両方を変化させるために使用され得る。
本願明細書に記載の発熱層は、抵抗率と表面出力密度とを有する。発熱層の抵抗率および表面出力密度は、発熱層のサイズおよび形状を変えることによって、あるいは前面被覆層、裏面被覆層、またはこの両方の材料構成を変えることによって、あるいは発熱層に印加される電圧量を変えることによって、あるいは発熱層に印加されるアンペア数を変えることによって、あるいはこれらを組み合わせることによって、変化させ得る。例えば、発熱層の抵抗率および表面出力密度は、発熱層から材料を除去することによって(例えば、切欠き、貫通孔、スリット、またはこれらの組み合わせを追加することによって)、変化させ得る。別の例においては、ヒータの抵抗率が上がるように、材料を発熱層から効果的に除去し得る。発熱層の抵抗率は、約1.0Ω以上、好ましくは約1.5Ω以上、より好ましくは約1.8Ω以上でもよい。発熱層の抵抗率は、約7Ω以下、約5Ω以下、約3Ω以下、または約2.5Ω以下(すなわち、約1.5Ωから約2.3Ω)でもよい。抵抗率は、発熱層の表面出力密度に正比例し得る。抵抗率は、発熱層の表面出力密度に逆比例することが好ましい。これにより、抵抗率が上がると、表面出力密度が下がる。
発熱層の表面出力密度は、約100W/m2以上、約200W/m2以上、約300W/m2以上、または約400W/m2以上でもよい。表面出力密度は、約2000W/m2以下、約1500W/m2以下、約1000W/m2以下、または約750W/m2以下(すなわち、約600W/m2から約450W/m2まで)でもよい。本願明細書に記載の他の1つ以上の因子、すなわち、発熱層の基本重量、目付、またはこの両方など、は抵抗率、表面出力密度、またはこの両方に影響を及ぼし得る。
発熱層は、目付(すなわち、布の単位面積当たりの重量)によって特徴付けられ得る。目付は、約50g/m2以上、約60g/m2以上、約70g/m2以上、好ましくは約80g/m2以上、より好ましくは約90g/m2以上、最も好ましくは約100g/m2以上にし得る。目付は、約500g/m2以下、約400g/m2以下、好ましくは約300g/m2以下、より好ましくは約200g/m2以下にし得る。目付は、約50g/m2と約300g/m2の間、好ましくは約75g/m2と約250g/m2の間、より好ましくは約100g/m2と約200g/m2の間にし得る。
発熱層の繊維が有する1つの特性は、密度である。繊維の密度は、約0.5g/cm3以上、約0.75g/cm3以上、約1.0g/cm3以上、または約1.2g/cm3以上でもよい。繊維の密度は、約10g/cm3以下、約5.0g/cm3以下、約3.0g/cm3以下、または約2.0g/cm3以下でもよい。繊維の密度は、約0.5g/cm3から約3.0g/cm3までの間、好ましくは約1.0g/cm3と約2.0g/cm3の間、より好ましくは約1.1g/cm3と約1.5g/cm3の間にし得る。
発熱層の繊維は、直径によって特徴付けられ得る。繊維の直径は、約0.0001mm以上、好ましくは約0.001mm以上、好ましくは約0.005mm以上、最も好ましくは約0.0065以上にし得る。繊維の直径は、約1mm以下、約0.5mm以下、約0.1mm以下、好ましくは約0.05mm以下、より好ましくは約0.02mm以下、最も好ましくは約0.008以下(すなわち、約0.007と約0.006mmの間)にし得る。繊維の直径は、約0.0005mmと約0.1mmの間、好ましくは約0.001mmと約0.05mmの間、より好ましくは約0.005mmと約0.02mmの間にし得る。
発熱層の材料は、厚さを有する。発熱層の厚さは、電力の印加により発熱層が発熱する厚さであれば、如何なる厚さでもよい。発熱層の厚さを十分薄くすることによって、抵抗率を約1Ωから約3Ωまで、好ましくは約1.5Ωから約2.5Ωまでにし、本願明細書に教示されている発熱層より発熱性能が低い発熱層に比べ、発熱層の発熱性能を向上させてもよい。発熱層の厚さは、約0.001mm以上、約0.005mm以上、好ましくは約0.07mm以上にし得る。発熱層の厚さは、約30mm以下、約10mm以下、好ましくは約5mm以下、より好ましくは約2mm以下、より好ましくは約1.0mm以下にし得る。発熱層の厚さは、約0.001mmと約10mmの間、好ましくは約0.005mmと約5mmの間、より好ましくは約0.07mmと約1mmの間にし得る。
発熱層の材料は、基本重量を有する。発熱層の基本重量は、約10g/m2以上、約30g/m2以上、約50g/m2以上、または約70g/m2以上でもよい。発熱層の材料は、約200g/m2以下、約150g/m2以下、または約100g/m2以下の基本重量を有し得る。
発熱層の材料は、熱伝導率によって特徴付けられ得る。23℃における熱伝導率は、約2.0W/m*k以下、約1.0W/m*k以下、約0.5W/m*k以下、または約0.005W/m*k以下でもよい。23℃における熱伝導率は、約0.001W/m*k以上、約0.005W/m*k以上、または約0.01W/m*k以上でもよい。ASTM STP1426またはASTM STP1320を用いて23℃で測定される熱伝導率を約1.0W/m*kから約0.001W/m*kまでの間、好ましくは約0.5W/m*kから約0.005W/m*kまでの間、より好ましくは約0.01W/m*kと約0.075W/m*kの間にし得る。600℃における熱伝導率は、約3.0W/m*k以下、約2.0W/m*k以下、約1.0W/m*k以下、約0.5W/m*k以下、または約0.01W/m*k以下でもよい。600℃における熱伝導率は、約0.001W/m*k以上、約0.005W/m*k以上、約0.01W/m*k以上、または約0.05W/m*k以上でもよい。ASTM STP1426またはASTM STP1320を用いて600℃で測定される熱伝導率を約1.5W/m*kから約0.001W/m*kまでの間、好ましくは約0.7W/m*kから約0.007W/m*kまでの間、より好ましくは約0.1W/m*kから約0.01W/m*kまでの間にし得る。
発熱層は、比熱を含む。23℃における比熱を約0.001W*sec/g*K以上、約0.01W*sec/g*K以上、好ましくは約0.1W*sec/g*K、より好ましくは約0.5W*sec/g*K以上にし得る。23℃における比熱を約5.0W*sec/g*K以下、約2.0W*sec/g*K以下、または約1.0W*sec/g*K以下にし得る。ASTM STP1426またはASTM STP1320を用いて23℃で測定される比熱を約2.0W*sec/g*Kと約0.001W*sec/g*Kの間、好ましくは約1.5W*sec/g*Kと約0.01W*sec/g*Kの間、より好ましくは約1.0W*sec/g*Kと約0.1W*sec/g*Kの間にし得る。600℃における比熱は、約10W*sec/g*K以下、約5.0W*sec/g*K以下、または約3.0W*sec/g*K以下でもよい。600℃における比熱は、約0.1W*sec/g*K以上、約0.5W*sec/g*K以上、約1.0W*sec/g*K以上、または約1.5W*sec/g*K以上でもよい。発熱層は、ASTM STP1426またはASTM STP1320を用いて600℃で測定される比熱として、約10.0W*sec/g*Kと約0.01W*sec/g*Kの間、好ましくは約5W*sec/g*Kと約0.1W*sec/g*Kの間、より好ましくは約2.5W*sec/g*Kと約0.75W*sec/g*Kの間の比熱を有し得る。
発熱層は、破断点引張強さを含む。破断点引張強さを約1N/cm以上、約1.5N/cm以上、または好ましくは約2N/cmにし得る。破断点引張強さは、約100N/cm以下、約80N/cm以下、または約60N/cm以下でもよい。発熱層の加熱破断点引張強さを約0.5N/cmから100N/cmまで、好ましくは約1.0N/cmから80N/cmまで、より好ましくは約1.5N/cmから60N/cmまでにし得る。
発熱層の材料は、耐化学薬品性を有し得る。一般に、発熱層の材料は、以下の耐化学薬品性および/または材料特性を1つ以上示し得る。発熱層の材料は、良好な耐強酸性を有し得る。発熱層の材料は、優れた耐弱酸性を有し得る。発熱層の材料は、弱い耐強塩基性を有し得る。発熱層の材料は、良好な耐弱塩基性を有し得る。発熱層の材料は、有機溶剤に対する優れた耐化学薬品性を有し得る。発熱層の材料は、低い弾性率(すなわち、材料が延伸しない)、耐摩耗性、非硬化性、自滑性、またはこれらの組み合わせを示し得る。
発熱層は、本願明細書に記載の組成物のうちの1つ以上を混合することによって形成され得る。この混合された組成物を押出成形することによって、繊維、シート、マット、糸、またはこれらの組み合わせを形成し得る。この組成物を型に注入することによって、発熱層を形成し得る。発熱層は、複数の繊維を混合してマットを形成することによって形成され得る。これら材料は、本願明細書に記載の発熱特性を示し得る第1の物質を形成し得る。これら材料を二次処理にかけてもよい。
発熱層は1つ以上の端子に取り付けられ得るので、電気(例えば、電力)の印加により、発熱層は発熱する。発熱層は、電力、信号、またはこの両方を印加する1本以上の電力印加線に接続され得る。電力印加線は、電力のみ、信号のみ、またはこの両方を印加し得る。電力印加線は、電力および信号の両方を印加し得る。電力印加線は、電源、マイクロプロセッサ、プロセッサ、コンピュータ、またはこれらの組み合わせに接続され得る。発熱層は、ヒータ/センサを用いて発熱および/または感知をもたらすための電力および/または信号を電力印加部に印加する2つ以上、3つ以上、または4つの以上の端子および/または電力印加線に接続され得る。例えば、発熱層は、計4本の線が発熱層に接続されるように、発熱層の各端に接続された正および負線を含み得る。1つ以上の正電源および1つ以上の負電源(すなわち、電力印加層または電力印加材)に接続されているとき、発熱層は発熱し得る、および/または感知に使用され得る。発熱層は、バスおよび/または電極を発熱層に接続する端子を含まないことが好ましい。例えば、バスおよび/または電極を発熱層に接続してもよく、バスおよび/または電極を電源に接続してもよい。何れかの装置を用いて端子を発熱層に直接および/または間接的に取り付けることによって、この端子から電気が発熱層に入って発熱層を発熱させるようにしてもよい。端子は、発熱層に圧着されてもよい。例えば、電力印加部は、電源を電力印加部に接続する複数の端子を含んでもよい。端子は、逢着、接合、機械式固締具、またはこれらの組み合わせによって、発熱層、各電力印加層、またはこの両方に接続されてもよい。発熱層は、発熱層に直接取り付けられた複数の端子を含まないことが好ましい(すなわち、単一の電力印加点)。ヒータは、電源をヒータに取り付ける機械式固締具を備えなくてもよい。例えば、発熱層は、発熱層を把持し、1本以上の線をヒータに固着する機械式取り付け装置を備えなくてもよい。発熱層は、発熱層への電力供給を助ける電力印加部を2つ以上含んでもよい。
2つ以上の電力印加部は、ヒータ上のどの位置にでも配置され得る。2つ以上の電力印加部は離隔されることが好ましい。電力の印加によりヒータに部分的および/または完全に通電するように、2つ以上の電力印加部を十分に離隔させてもよい。2つ以上の電力印加部は、ヒータの端縁領域に配置されることがより好ましい。例えば、1つの電力印加部をヒータの1つの端縁に沿って配置し、第2の電力印加部を反対側の端縁に沿って配置することによって、電力が第1の端縁から第2の端縁まで移動するときに電力がヒータを通過するようにしてもよい。電力印加部をヒータの側縁(例えば、幅)に沿って、またはヒータの長手方向端縁(例えば、長さ)に沿って、延在させてもよい。電力印加線の長さは、ヒータ/センサの導電率に逆比例し得る。したがって、例えば、線が長いほど、ヒータ/センサの導電率は下がる。より具体的には、長手方向の電力印加部を有するヒータ/センサは、カーボン材料によってのみ製造されてもよい。別の例においては、側部または端縁に沿って延在する電力印加部を、カーボン材料製のヒータより導電率の高い金属被膜繊維を有するヒータに接続してもよい。ヒータは、2を超える数の電力印加部を含み得る。例えば、電力および/または信号が中央の電力印加部から両端縁に、またはこの逆に、移動するように、ヒータは、ヒータのほぼ中央に設けられた電力印加部と、中央の電力印加部の各側に設けられた電力印加部とを含み得る。ヒータは、電力印加部を4つ以上含み得る。例えば、ヒータは、各端縁から反対側の端縁まで延在する対向する2つの電力印加部を含み得る。この2つの対向する電力印加部は、これら電力印加部の間に間隙が存在するように、これら電力印加部同士が接続される前に終端する。この間隙は、ヒータ/センサの両側部/端縁を電気的に絶縁し得る。この間隙および/または絶縁体がヒータ/センサの側部/端縁の間に存在しないように、またはヒータ/センサが短絡しないように、またはこの両方が実現されるように、ヒータ/センサの両側部/端縁を同じ極性にしてもよい。したがって、各ヒータは、熱および/または電力の印加用の電力印加部を2つ以上、3つ以上、または4つ以上含み得る。電力印加部の対向する側部/端縁が同様の極性を含むように、これら電力印加部をヒータ/センサに配置してもよい。例えば、ヒータ/センサがコアに巻き付けられたときに正極性同士または負極性同士が至近距離にあるように、負極性、正極性、またはこの両方を対向する端縁に配置してもよい。別の例においては、巻き付けられたときに至近距離に位置する両側部/端縁に正極性が配置され、負極性がその間の半ばに配置される。
各電力印加部は、電力、信号、またはこの両方を印加するための部分を1つ以上含み得る。1つの好適な例において、各電力印加部は、互いに接続された2つの個別バスバー、電極、線、またはこれらの組み合わせから成り、各2つのバスバー、電極、線、またはこれらの組み合わせは発熱層への電力の供給を助ける。これら電力印加部は、信号、電力、またはこの両方を印加し得る。ヒータ/センサは、互いに近接する2つの電力印加部を含んでもよく、一方の電力印加部が電力を供給し、もう一方の電力印加部が信号を供給してもよい。本願明細書に記載のように、これら電力印加部は信号、電力、またはこの両方を印加し得る。ただし、信号のみ、または電力のみ、を印加するために、複数の個別電力印加部とこれらに対応付けられた複数の線とを使用してもよい。使用者がヒータ/センサに接触しているかどうかを判定するために、感知用の個別電力印加部をマイクロプロセッサまたはプロセッサに直接接続してもよい。バスバー、電極、線、またはこれらの組み合わせは、同じ材料、それぞれ異なる材料、またはこれらの組み合わせで作られてもよい。
単一の電力印加部の各バスバーおよび/または電極は、2種以上の異なる材料で作られることが好ましい。電力印加部は1本以上の線を含み得るが、互いに織り合わされた2本以上の線を含み得ることが好ましい。電力印加部がヒータの一端または両端に形成されるように、この1本以上の線はヒータにニードルパンチされてもよい。ニードルパンチされた線をヒータに接続し、電源に直接接続してもよい。ニードルパンチされる線は、銀被膜、銅被膜、またはこの両方の被膜が施された線でもよい。ニードルパンチされる線はヒータとほぼ同じ材料で作られてもよい。ただし、ニードルパンチされる線は、ヒータ内の繊維に比べ、より長い繊維長を有し得る。これら線は、熱を発生させるように発熱層への電力の伝達を助けるものであれば如何なる導電性材料で作られてもよい。各線の抵抗率は、約5Ω*m以下、約2Ω*m以下、または約1Ω*m以下でもよい。各線の抵抗率は、約0.01Ω*m以上、約0.05Ω*m以上、または約0.01Ω*m以上(すなわち、約0.25Ω*m)でもよい。各線の重量は、約0.1g/mm以下、約0.01g/mm以下、約0.001g/mm以下、または約0.0001g/mm以下でもよい。各線は、約0.00001g/mm以上、好ましくは約0.00005g/mm以上、より好ましくは約0.0001g/mm以上、最も好ましくは約0.0005g/mm以上(すなわち、約0.0007g/mm)の重量を有し得る。好適な一実施形態において、各線は、単一の線を形成するために複数の線が一緒に編組された複合体である。例えば、各線は、それぞれの直径が約0.07mmの20本の銀線で構成されてもよい。これら20本の各銀線は、単一の線を形成するために、互いに編組されてもよい。電力が発熱層に伝達されるように、これら線は銅、銀、金、ニッケル、またはこれらの組み合わせで作られる、および/または銅、銀、金、ニッケル、またはこれらの組み合わせで被膜される、ことが好ましい。この1本以上の線を発熱層に接続するために、発熱層への電力の伝達に実質的に干渉せずにこの1本以上の線をヒータに固定的に接続する何れかの装置を使用してもよい。使用され得る取り付け装置および/または方法のいくつかの例として、逢着、接着(例えば、導電性または非導電性グルーの使用)、接合、編成、ステープル留め、またはこれらの組み合わせが挙げられる。この1本以上の線は、接着層を用いて発熱層に接続されることが好ましい。1本以上の線を発熱層に固着する接着層は、発熱層への第2のバスバーおよび/または電極の接続にも用いられ得る。
電力印加部は、発熱層が暖まるように電力の印加により発熱層への電力の伝達を助ける材料であれば如何なる材料で作られてもよい。電力印加部は、センサ信号の印可により発熱層が状態を感知するようになる材料であれば如何なる材料で作られてもよい。電力印加部は、1本以上の線の下に、好ましくは1本以上の線の上に、またはこの両方の組み合わせに、配置されるバスバーおよび/または電極を含み得る。電力印加部は線を含まなくてもよく、本願明細書に記載の不織材だけで作られてもよい。例えば、電力を発熱層に供給するための電気的接続をもたらすクリップを不織材に直接取り付けてもよい。バスバーおよび/または電極は、導電性を有する不織材でもよい。バスバーおよび/または電極は、1つ以上の不織導電条片でもよい。バスバーおよび/または電極は、発熱層と同じ材料で作られてもよい。バスバーおよび/または電極は、カーボン材料、高分子材料、金属被膜された材料、または電力をヒータに通す導電性媒体を形成する複数の材料の組み合わせ、で作られ得ることが好ましい。例えば、バスバーおよび/または電極はニッケルまたは銀で被膜された複数のナイロン繊維でもよく、被膜されたナイロン繊維は、バインダによって一緒に接合されて電力を発熱層に伝達する不織材を形成し得る。バスバーおよび/または電極は、上記の1本以上の線のために本願明細書に記載されている何れかの材料および/または方法を用いて発熱層に取り付けられ得る。バスバーおよび/または電極、1本以上の発熱線、またはこの両方の組み合わせ、は粘着布を用いて発熱層に接続されることが好ましい。各電力印加部は、接着層によって発熱層に接続される不織導電材と2本以上の線とを含むことがより好ましい。
接着層は、加熱により接続を形成する接着シートであれば如何なる接着シートでもよい。接着層は、本願明細書に記載の何れの接着層でもよい。接着層はポリアミドでもよい。接着層は不織材であることが好ましい。接着層は、相互接続された複数の繊維および/または繊維状粘着性粒子と、これら相互接続された複数の繊維および/または繊維状粘着性粒子の間の空隙および/または細孔とから成ることが好ましい。接着層は、複数の空隙、複数の細孔、またはこの両方を有し得る。接着層が2つ以上の導電層(例えば、1つ以上の電力印加層、発熱層、またはこの両方)を接続しているときに、電力が空隙および/または細孔を通過して、または電気的接続が維持されて、または接着層が2つ以上の導電層の間の電力供給に干渉せず、またはこれらが組み合わされて、2つ以上の層の間に接続が形成されるように、接着層は十分な量の空隙および/または細孔を有し得る。接着層の空隙および/または細孔は、発熱層の総表面積の約10パーセント以上、約20パーセント以上、約30パーセント以上、好ましくは約40パーセント以上、より好ましくは約45パーセント以上の面積に相当し得る。接着層の空隙および/または細孔は、発熱層の総表面積の約90パーセント以下、約80パーセント以下、約70パーセント以下、または約60パーセント以下に相当し得る。接着層は、約5g/m2以上、約10g/m2以上、または約15g/m2以上の基本重量を有してもよい。接着層は、約50g/m2以下、約30g/m2以下、または約25g/m2以下(すなわち、約19g/m2)の基本重量を有してもよい。接着層は、約85℃以上、約100℃以上、または約110℃以上の初期融解温度を有してもよい。接着層は、約200℃以下、約180℃以下、または約160℃以下(すなわち、約150℃)の初期融解温度を有してもよい。使用され得る粘着布の一例は、スパンファブ社(Spunfab Ltd.)からスパンファブ(Spunfab)(登録商標)という商品名で販売されている。
電力印加部(すなわち、バスバーおよび/または電極、1本以上の線、または両方の組み合わせ)は、約1.0×10−2Ω/sq以下、約5.0×10−2Ω/sq以下、好ましくは約1.0×10−3Ω/sq以下、より好ましくは約5.0×10−3Ω/sq以下、最も好ましくは約1.0×10−4Ω/sq以下の表面導電率を有する材料であれば如何なる材料で作られてもよい。電力印加部(すなわち、バスバーおよび/または電極、1本以上の線、またはこの両方の組み合わせ)は、約1.0×10−9Ω/sq以上、約5.0×10−8Ω/sq以上、または約1.6×10−8Ω/sq以上の表面導電率を有する材料であれば如何なる材料で作られてもよい。
ヒータは、発熱層のみで構成されてもよい(例えば、ヒータに含まれる層が1つでもよい)。ヒータは少なくとも3つの層を含むことが好ましい。ただし、ヒータは、発熱層の上に固着される層を一切含まなくてもよい。例えば、ヒータは、発熱層に相互浸透して発熱層の上に部分的および/または完全な保護層を形成する層を含み得る。発熱層が保護層によって保護されるように、発熱層は、個別材(すなわち、保護層)を発熱層に部分的および/または完全に組み込み得る。保護層は、補強層でもよい。例えば、各繊維が強化されてヒータの強度特性(例えば、引張強さ、引裂強さ、折畳強さ、等々、またはこれらの組み合わせ)が増すように、保護層は個々の繊維を補強し得る。保護層の材料は、保護層が発熱層の強度(例えば、引張強さ、引裂強さ、折畳強さ、等々、またはこれらの組み合わせ)、発熱層の断熱特性、またはこの両方を高めるように発熱層に織り込まれる材料であれば如何なる材料でもよい。保護層は、発熱層の強度を高め、部分誘電体被膜または完全誘電体被膜をヒータの上に形成することが好ましい。外側の発熱層が誘電特性、流動抵抗特性、またはこの両方を有するように、保護層は、発熱層の前面、裏面、各側縁、またはこれらの組み合わせの上に絶縁層を形成し得る。保護層が発熱層上の誘電体層になるように、保護層は、前面側、裏面側、側縁、上縁、底縁、またはこれらの組み合わせに層を形成し得る。保護層は、発熱層の個々の繊維の間の細孔および/または空隙を充填し得る。保護層は発熱層の個々の繊維の間の細孔および/または空隙を充填するが、個々の繊維を完全には取り囲まず、発熱層の個々の繊維間の接続および/または電気的接続を損なわないことが好ましい。ヒータは、1つ以上の取り付け層を含み得る。取り付け層は、片面接着層でもよい。取り付け層は、電力印加部を取り付けるための本願明細書に記載の接着層と同じ材料で作られてもよい。取り付け層は接着層(例えばグルー、ペースト、噴霧式接着剤、接着フィルム、剥がしてそのまま貼れる接着剤、面ファスナ、等々)でもよい。取り付け層は、剥がしてそのまま貼れる接着フィルムであることが好ましい。取り付け層は、本願明細書に記載の保護特性を示し得る。ヒータは、取り付け層を含まなくてもよい。
本願明細書に記載のヒータおよび/またはセンサは、発熱および/または感知用の発熱層を1つ以上、または2つ以上並設されて、含み得る。例えば、各ヒータが発熱し、かつ各ヒータが感知するように、2つのほぼ鏡像のヒータ/センサを作成して装置内に並設してもよい。複数のヒータを使用する場合、単一ヒータの総面積は、複数のヒータの総面積とほぼ同じでもよい。複数のヒータを使用する場合、これら複数のヒータは、同時に、個別に、交互に、またはこれらの組み合わせで使用されてもよい。例えば、2つのヒータ/センサがステアリングホイールに設けられる場合、一方のヒータ/センサが発熱し、もう一方のセンサ/ヒータが手などの状態を感知してもよい。その後、乗員の手の存在がほぼ常に判定され得るように、ヒータ/センサを交替させてもよい。別の例においては、2つ以上のヒータ/センサがステアリングホイールに取り付けられる場合、各センサはステアリングホイールの半分または四半分を感知し得るので、複数の手を感知し得ると共に、手の特定の位置を感知し得る。
本願明細書に記載のヒータは、一プロセスを用いて製作され得る。このプロセスは、以下のステップのうちの1つ以上を実質的に任意の順番で含み得る。本願明細書に記載の複数の繊維が得られ得る。本願明細書に記載の繊維は、金属で被膜され、所望の長さに裁断され、繊維が平らになるようにリファイン加工されるか、繊維が楕円形状を有するようにリファイン加工されるか、またはこれらの組み合わせが行われ得る。これら繊維は、本願明細書に記載の何れかのバインダと混合されるか、このバインダによって被覆されるか、このバインダに接触させられるか、またはこれらが組み合わされ得る。これら繊維がランダムに配列されるように、これら繊維を容器内に配置してもよい。これら繊維は、バインダと共に、またはバインダなしに、押し出されて、不織シートを形成し得る。これら繊維は、ハイドロエンタングルメントを用いて交絡されてもよい。これら繊維はバインダと共に噴射されても、バインダに浸漬されても、バインダによって被膜されても、またはこれらが組み合わされてもよい。1つ以上の電力印加部を発熱層に取り付けること。1本以上の線、1つ以上の不織導電条片、1つ以上の電極、および/または複数のバスバーを取り付けること、または予め組み立てられた1つ以上の電力印加部を取り付けること、またはこれらの組み合わせ。発熱層、1本以上の線、1つ以上の不織導電条片、1つ以上の電極および/またはバスバーを加熱すること、または発熱層への電気接続が形成されるように予め組み立てられた1つ以上の電力印加部を取り付けこと、またはこれらの組み合わせ。接着層がヒータ上に配置されて加熱されたときに、接着層が予め組み立てられた電力印加部を発熱層に接続して電気的接続を形成するように、1本以上の線、1つ以上の不織導電条片、1つ以上の接着層、1つ以上のバスバー、および/または電極、またはこれらの組み合わせを一緒に組み合わせることによって予め組み立てられた電力印加部を製作すること。1つ以上の電力印加部を電源、線、またはこの両方に接続すること。発熱ステップ中に収縮チューブが収縮して1つ以上の電力印加部と電源、線、またはこの両方が電気的および物理的に接続されるように、収縮チューブを1つ以上の電力印加部、電源、線、またはこれらの組み合わせに設けること。前面被覆層、裏面被覆層、接続層(例えば、接着層、機械式取り付け層、またはこの両方)、またはこれらの組み合わせを発熱層に設けること。発熱層が貫通孔、切欠き、またはこの両方を含むように、発熱層を切除すること。難燃性材料、耐炎性材料、耐水性材料、誘電体層、またはこれらの組み合わせを発熱層に設けること。温度センサを発熱層、ヒータ、またはこの両方に取り付けること。温度センサを電源に電気的に接続すること。発熱層を制御装置、制御モジュール、またはこの両方に(例えば、物理的および/または電気的に)接続すること。ヒータを車両の座席、床、ステアリングホイール、ミラー、インサート、またはこれらの組み合わせに接続すること。
本願明細書に記載のように、別の構成要素の構築中にヒータをこの別の構成要素に組み込むことによって、ヒータとこの別の構成要素とが1つの単一部品を形成するようにしてもよい。例えば、物品が成形部品の場合、発熱層を形成する発熱媒体を型内に追加することによって、最終物品が製作されたときにヒータ層がこの物品全体に延在し、電気が印加されたときに物品全体が暖まるようにしてもよい。発熱媒体は、複数の個別繊維でもよい。発熱媒体は、シートでもよい。発熱媒体を型内に散在させても、切断して型内にシートとして配置しても、成形材料に混合して両材料を一緒に型に追加しても、またはこれらを組み合わせてもよい。
本願明細書に記載のヒータは、本願明細書に記載の何れかの方法を用いて制御され得る。ヒータは、ヒータの温度を測定し、測定された温度に基づき、制御装置がヒータ、換気システム、空調システム、またはこの両方の温度を制御する負係数温度センサまたはサーミスタを含むことが好ましい。ヒータ、空調システム、換気システム、またはこの両方は、パルス幅変調によって制御され得る。
ヒータは、センサを含み得る。ヒータはセンサになり得ることが好ましい。ヒータの感知部は、発熱と同時に、または発熱サイクル間、または発熱サイクル中、またはこれらの組み合わせで、使用され得る。発熱サイクルと感知サイクルとは交互であることが好ましい。センサは、乗員の存在、乗員による構成要素への接触、乗員の質量、本願明細書に記載の他の何れかの感知機能、またはこれらの組み合わせを検出し得る。ヒータの感知部に含まれるのは、ヒータのみ(すなわち、電力印加部、1つ以上の電力接続部、連続的な発熱層)でもよい。信号が1本以上のバスバー経由でヒータに届くと、感知部は機能し得る。
信号は、乗員、乗員による接触、乗員の存在、またはこれらの組み合わせを検出する信号であれば如何なる信号でもよい。信号は、アナログ信号、デジタル信号、またはこの両方の組み合わせでもよい。信号は周波数を有し、信号の周波数は所定の周波数でもよい。信号がヒータを通過するとき、信号の周波数は一定であり得る。乗員がヒータを含む構成要素に接触したとき、または乗員が構成要素および/またはヒータの至近距離にいるとき、またはこの両方のとき、信号の周波数は偏移し得る。周波数の変化は、乗員によって引き起こされる十分な周波数偏移(例えば、ミリヘルツ、マイクロ秒、等々、またはこれらの組み合わせ)であれば如何なる周波数偏移でもよい。例えば、バッグを座席に載せたときに引き起こされ得る周波数偏移は(発生したとしても)、乗員による周波数偏移に比べ、センサを始動して信号を送出させるには十分ではない。周波数偏移は、静電容量の変化に対応付けられるものであれば如何なる周波数偏移でもよい。静電容量は、1つ以上の静電容量であればよいが、複数の静電容量であることが好ましい。静電容量は、測定された静電容量、算出された静電容量、またはこの両方でもよい。静電容量は、平均静電容量でもよい。静電容量は、測定された複数の静電容量、算出された複数の静電容量、またはこの両方、の平均値でもよい。平均静電容量は、約3つ以上、5つ以上、または約10以上の算出された静電容量、測定された静電容量、またはこの両方の平均でもよい。システムの測定された静電容量、算出された静電容量、またはこの両方は、約50pF以上、約75pF以上、または約100pF以上でもよい。システムの測定された静電容量、算出された静電容量、またはこの両方は、約500pF以下、約400pF以下、約300pF以下、または約200pF以下でもよい。周波数偏移は、約100pFと約200pFの間である静電容量の変化、測定された静電容量、算出された静電容量、またはこれらの組み合わせに対応付けられることが好ましい。例えば、或る周波数の信号がヒータに入り、この信号がヒータから出るときにこの信号を測定してもよい。乗員がヒータに接触していると、信号の周波数が偏移し得るので、信号が出るときの信号の周波数は、乗員がヒータに接触していないときの信号に比べ、遅延される。別の例においては、システムの静電容量を測定し、乗員がいない場合のシステムの測定値が0pFになり、乗員がヒータおよび/またはセンサに接触しているときに測定および/または算出されたシステムの静電容量が約100pFになるように、システムの測定された静電容量を基準としてシステムの静電容量を設定してもよい。
システムの静電容量は、RC直列回路の式を用いて算出され得る。システムの静電容量は、式τ=RCを用いて算出され得る。式中、Rは基準抵抗体の抵抗であり、Cは、監視対象のコンデンサの静電容量であり、τは時定数である。放電中の時定数(τ)は、回路の両端に印加された電圧から約36.8パーセント降下するのに要する時間量でもよい。基準抵抗体は既知の値を有するので、時定数を求めることにより、静電容量を算出してシステムの静電容量を求め得る。静電容量はτ後に約36.8パーセントまで放電され、約5τ後に基本的に完全に放電され得る(0.7パーセント)。あるいは、充電中の時定数(τ)は、電圧が回路の両端に印加された電圧の約63.2パーセントに達するまでの所要時間でもよい。静電容量は約5τ後に基本的に完全に充電され得る(99.3パーセント)。信号は連続的に監視されても、断続的に監視されても、またはこの両方でもよい。システムの静電容量は、本願明細書に記載のRC直列回路の式を用いて、または容量性分圧器手法を用いて、またはこの両方で、測定および/または算出され得る。
容量性分圧器手法は、電圧を測定電圧と基準電圧とに分割するために機能し得る。基準電圧を測定電圧と比較することによって、システムの静電容量を求め得る。本願明細書の教示と共に使用され得る分圧器手法の一例は、DS01478Bとリストに記載された、マイクロチップ社(Microchip)のBurke Davison著「mTouch(登録商標)感知解決策取得方法 容量性分圧器(mTouch TM Sensing Solution Acquisition Methods Capacitive Voltage Divider)」と題する論文のページ1〜25に記載されている。この教示をあらゆる目的のために参照により本願明細書に明確に組み込むものとする。容量性分圧器手法は、RC直列回路の式の代わりに、またはRC直列回路の式に加えて、ヒータ/センサの静電容量を測定するために使用され得る。
監視ステップでは、乗員の存在、乗員の接触、またはこの両方を判定するために、信号、信号の周波数、信号の静電容量、電圧、時定数、またはこれらの組み合わせ(以下においては測定信号)をルックアップテーブルと比較してもよい。測定信号が信号制御装置に達する前に、測定信号を抵抗体に通してフィルタリングしてもよい。抵抗体は、乗員の存在、乗員の接触、またはこの両方を判定する際のシステムを助けるために機能し得る。抵抗体は、システムの測定ノードを保護するために、またはマイクロプロセッサを保護するために、またはこの両方のために機能し得る。乗員の状態を判定するために、測定信号をルックアップテーブルと比較してもよい。測定信号は、乗員が存在するかどうか、または乗員が構成要素に接触しているかどうか、またはこの両方を判定し得る。測定信号は、乗員がヒータを含む構成要素に接触しているときは一定であり、測定信号の変化が所定の測定信号以外である(例えば、乗員がヒータに所定の時間長接触していない)場合は所定の応答を引き起こし得る。所定の応答が発生し得るのは、所定の測定信号以外の測定信号が約1秒以上、約2秒以上、約3秒以上、または約5秒以上、存在した後である。この所定の応答が発生し得るのは、所定の信号以外の測定信号が約30秒以下、好ましくは約20秒以下、より好ましくは約10秒以下、存在した後である。例えば、運転手がステアリングホイールから手を離しても、より長い時間手を離すまでは、車は運転を引き継がない。発熱機能は、ヒータが発熱するように電力をヒータに供給するために1つの制御装置を含んでもよく、感知機能は、感知を行うために別の制御装置を含んでもよく、発熱機能と感知機能とは同じ制御装置によって操作されてもよい。
ヒータが発熱するように、電力、電流、電圧、またはこれらの組み合わせを絶えず印加しても、断続的に印加しても、変化させても、またはこれらを組み合わせてもよい。制御装置は、パルス幅変調(PWM:pulse width modulation)を用いてヒータの制御、ヒータの温度、またはこの両方を調整し得ることが好ましい。ヒータの所望の温度に応じて、電力を供給するPWM信号を長く、または短く、し得る。したがって、電力は印加されるか、または印加されず(すなわち、オンまたはオフになり)、電力印加時間が調節される。例えば、ヒータが媒体上にあるとき、PWMは約60パーセントと約80パーセントの間の信号を供給し得る。したがって、ヒータはその時間の約40パーセントと20パーセントの間オフになる。発熱が一時的に停止されている間に1つ以上の、好ましくは複数の、測定信号が取られるように、感知用信号は発熱用信号および/または発熱用電圧を中断し得る。例えば、1つまたは複数の信号が取られるように、発熱は約500ms中断され得る。乗員が検出されるように、このプロセスは断続的に繰り返され得る。ヒータがオフのとき、および/またはヒータを発熱させるために電力が印加されていないとき、センサは感知機能を提供し得る。
ヒータが感知用に使用されるように、ヒータへの信号の供給は随時行われ得る。電力が印加されていないときに(すなわち、ヒータが「オフ」のときに)信号がヒータに印加されることが好ましい。感知用信号の印加中、1つ以上のトランジスタがヒータを電源から切り離し得る、またはヒータを大地から切り離し得る、またはこの両方を行い得る。感知用信号の印加中、電力制御装置、または発熱機能、またはこの両方が切り離され得る。この信号は、周波数を有する信号であれば如何なる信号でもよい。この信号は、静電容量の変化により偏移する信号であれば如何なる信号でもよい。
本願明細書の教示は、発熱および感知方法を提供する。本方法は、本願明細書に記載のステップのうちの1つ以上を実質的に任意の順番で含む。ヒータが発熱するように電力がヒータに印加され得る。ヒータがセンサになるように信号がヒータに印加され得る。電力、信号、またはこの両方は、交互に、または同時に、印加され得る。感知用信号が印加されるように、電力を断続的にオフにし得る。制御装置がシステムの静電容量の偏移、測定信号の周波数偏移、またはこの両方を測定してもよい。1つ以上のトランジスタが回路(例えば、大地、電源、またはこの両方)の発熱部をオンおよび/またはオフにし得る。
図1は、ヒータ10およびセンサ20がオンになっているときのステアリングホイール2の赤外線画像を示す。ヒータ10/センサ20は電力印加部12を各端に含み、これら電力印加部は、ヒータ10/センサ20が発熱および感知機能をもたらすように、電力線に接続される。図示のように、ヒータ10の熱は、ステアリングホイール2の周囲において均一である。
図2は、ヒータ10/センサ20を示す。電力の印加時にヒータ10が発熱し、センサ20が感知するように、電力印加部12は両端に配置される。
図3Aは、図2の電力印加部12のクローズアップ図を示す。電力印加部12は電力印加線14を含み、電力印加線14は、接着剤(図示せず)を介して接続された電力印加材16によって覆われる。
図3Bは、電力および/または信号を供給するための電極を形成する、ヒータ10/センサ20にニードルパンチされた電力印加線14を含む電力印加部12のクローズアップ図を示す。
図4は、ステアリングホイール2の断面を示す。ステアリングホイール2は、コア4を含む。ヒータ10/センサ20は、コア4に巻き付く。ヒータ10/センサ20は、トリム層6によって覆われる。
図5Aは、3つの電力印加部12を有するヒータ/センサ10、20を示す。図示のように、中央の電力印加部12は正の電力印加部であり、負の電力印加部12が両端にある。中央の電力印加部12は2つの末端電力印加部12の間の実質的に何れの位置にも配置され得るが、ほぼ中央に配置されることが好ましい。正電力印加線14は中央の電力印加部12まで延在して接触し、各末端電力印加部12は別の負電力印加線14に接続される。
図5Bは、組み合わされて1つのヒータ/センサを形成する2つの個別ヒータ/センサ10、20を示す。個別ヒータ/センサ10、20の各々は、個別電力印加線14にそれぞれ接続された正の電力印加部12と負の電力印加部12とを含む。図示のように、正の電力印加部12は互いに近接し、負の電力印加部12はヒータ/センサ10、20の外側に配置される。図示のように、各センサ20は乗員の手(図示せず)を個々に感知できるので、センサ20は、感知モード時、乗員の1つ以上の手が、例えばステアリングホイールに、接触しているかどうかを感知できる。
図5Cは、共通の正電力印加線14および負電力印加線14を介して互いに電気的に接続された2つの個別ヒータ/センサ10、20を示す。図示のように、負電力印加線14はヒータ/センサ10、20の外側端部に接続され、正電力印加部は負電力印加部12とは反対側のヒータ/センサ10、20の端部において互いに近接する。図示のように、各センサ20は乗員との接触を個々に判定できるので、センサは、感知フェーズ中、乗員の1つ以上の身体部分がセンサ20に接触しているかどうかを判定できる。
図6Aは、ヒータ/センサ10、20の長さに沿って延在する長手方向の電力印加部12を複数有するヒータ/センサ10、20を示す。これら長手方向の電力印加部12は、ヒータ/センサ10、20の両側縁に沿ってほぼ平行に延在する。その間にヒータ/センサの材料が延在し、2つの対向する電力印加部12同士を電気的に接続する。
図6Bは、ステアリングホイール2に接続された図6Aのヒータ/センサ10、20を示す。ヒータ/センサ10、20は、電力印加部12同士が互いにほぼ近接するようにコア4(図示せず)に巻き付けられた複数の電力印加部12と、各電力印加部12から延在する電力印加線14とを含む。図示のように、ヒータ/センサ10、20の材料中では絶縁しないが2つの電力印加部12を互いに電気的に絶縁する絶縁層50が電力印加部12の間に配置されるので、電力は一方の電力印加部12から第2の電力印加部12まで、ヒータ/センサ10、20の材料経由で移動せざるを得ないので発熱する。
図7は、長手方向の電力印加部12がヒータ/センサ10、20の長さに沿って延在するように、ヒータ/センサ10、20の各端に接続された電力印加線14を有するヒータ/センサ10、20を示す。各電力印加部12は各端から長手方向に延在し、電力印加部12の各端の間に小さな間隙52が存在するように、電力印加部12同士が接触する前に終端するので、各正電力印加部12は電気的に絶縁され、各負電力印加部12も電気的に絶縁される。負電力印加部12と正電力印加部12とは、ヒータ/センサ10、20を介して電気的に接続される。
図8Aは、電力印加線14にそれぞれ接続された正および負電力印加部12をそれぞれ含む2つの個別ヒータ/センサ10、20を示す。各ヒータ/センサ10、20は、電力および/または信号を一方の電力印加部12から反対側の電力印加部12にヒータの材料経由で通すことによって、個々に発熱し、個々に感知する。各センサ20は、状態を個々に感知できるので、2つの手など複数の状態の同時感知が可能である。
図8Bは、ステアリングホイール2に巻き付けられた図8Aの2つの個別ヒータ/センサ10、20を示す。電力および/または信号がヒータ/センサ10、20の間に分配されるように電力印加線14同士が接続されている。
図9Aは、長手方向の電力印加部12を3つ含むヒータ/センサ10、20を示す。図示のように、外側の2つの電力印加部12は負であり、中間の電力印加部12は正である。各電力印加部は、電力および感知用信号がヒータ/センサ10、20経由で印加されるように、電力印加線14に接続される。
図9Bは、ステアリングホイール2に巻き付けられたヒータ/センサ10、20の断面図を示す。図示のように、ヒータ/センサ10、20の2つの負端部は至近距離に配置され、互いに接触さえするが、ヒータ/センサ10、20は短絡しない。
図9Cは、ステアリングホイール2に巻き付けられた別のヒータ/センサ10、20の断面図を示す。図示のように、ヒータ/センサ10、20の2つの正端部は至近距離に配置され、互いに接触さえするが、ヒータ/センサ10、20は短絡しない。
図9Dは、ステアリングホイール2に巻き付けられたヒータ/センサ10、20を示す。ヒータ/センサ10、20の両端間に間隙が存在しないように、両端同士は接触させられる。
図10は、電力印加用の電力印加部12Aを各端に含み、信号印加用の電力印加部12Bを各端に含むヒータ/センサ10、20を示す。電力がヒータ/センサ10、20に印加されて熱を発生させるように、電力印加用の各電力印加部12Aは電力印加線14Aに接続される。熱がオフのときに信号がヒータ/センサ10、20に印加されて乗員の接触を感知するように、信号印加用の各電力印加部14Bは電力印加線14Bに接続される。各電力印加線14Bは、乗員の接触を感知するマイクロプロセッサ60に接続される。
図11は、感知中の回路図を示す。信号が入力部22から供給され、ステアリングホイール2のヒータ(図示せず)に入力される。次に、この信号は抵抗体26経由で出力部24に戻され、そこでルックアップテーブルと比較される。図示のように、乗員100がステアリングホイール2に接触しているときに周波数偏移が出力部24経由で感知されるように、ステアリングホイール2はコンデンサ40の一方の側を形成し、乗員100はコンデンサ40のもう一方の側を形成する。
図12は、発熱部および感知部の両方を含む回路図を示す。ヒータ10の作動中、電力が電源30から第2のトランジスタ34を介してヒータ10に印加される。感知中、信号が入力部22からヒータ20に送られ、第1のトランジスタ32と第2のトランジスタ34とがオフになるので、信号は抵抗体26を介して出力部24に送られる。
図13は、ヒータ10およびセンサ20の1つの動作例を示す。ヒータ10には、パルス幅変調によって電力が供給されるので、電力は所定の時間だけ印加され、その後に電力が所定の時間だけオフになる。ヒータがオフの時間中、ヒータが感知用に使用されるように、信号がヒータに印加される。
本願明細書に記載されている数値は、何れの数値であっても、小さい方の値と大きい方の値との間が少なくとも2単位離れているとき、小さい方の値から大きい方の値まで1単位ずつ増加するあらゆる値を含む。一例として、構成要素の量またはプロセス変数の値、例えば、温度、圧力、時間などが、例えば、1〜90、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜70、であると述べられている場合、本願明細書においては15〜85、22〜68、43〜51、30〜32などの値が明白に列挙されているものとする。1未満の値の場合、1単位は0.0001、0.001、0.01、または0.1であると適宜考えられる。これらは、具体的に意図された値の単なる例であり、列挙される最小値と最大値との間の数値のあらゆる可能な組み合わせが同様に本願明細書で明示的に述べられていると見なされるものとする。
別様に記述されていない限り、あらゆる範囲は、両端点とこれら端点間のあらゆる数値とを含む。範囲に関して用いられている「約(about)」または「ほぼ(approximately)」は、その範囲の両端にかかる。したがって、「約20から30(about 20 to 30)」は、少なくとも明記されている両端点を含め、「約20から約30(about 20 to about 30)」にわたるものとする。
あらゆる条項および引例の開示は、特許出願および公開を含め、あらゆる目的のために参照により組み込まれるものとする。組み合わせを記述するための表現「基本的に〜から成る(consisting essentially of)」は、特定された要素、成分、構成要素、またはステップと、この組み合わせの基本的および新規の特性を実質的に損なわないような他の要素、成分、構成要素、またはステップとを含むものとする。本願明細書において要素、成分、構成要素、またはステップの組み合わせを記述するために用語「備える/含む(comprising)」または「含む(including)」が用いられている場合、基本的にこれらの要素、成分、構成要素、またはステップから成る実施形態も考えられる。本願明細書においては、用語「〜得る/〜もよい(may)」を用いることによって、含まれ「得る」と記載されている属性は何れも任意使用であるものとする。
一体化された単一の要素、成分、構成要素、またはステップによって、複数の要素、成分、構成要素、またはステップを提供できる。あるいは、一体化された単一の要素、成分、構成要素、またはステップを複数の個別要素、成分、構成要素、またはステップに分割し得る。要素、成分、構成要素、またはステップを説明するための「一(a)」または「1つ(one)」の開示は、追加の要素、成分、構成要素、またはステップを排除するものではない。
上記の説明は例示のためであり、これだけに制限されるものではことを理解されたい。上記説明の読了後、当業者には、提供されている複数の例に加え、多くの実施形態ならびに多くの応用例が明らかになるであろう。したがって、本教示の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲とこのような特許請求の範囲の権利が及ぶ等価物の範囲全体とを参照して決定されるべきである。あらゆる条項および引例の開示は、特許出願および公開を含め、あらゆる目的のために参照により組み込まれるものとする。本願明細書に開示されている主題の何れかの側面についての添付の請求項における脱落は、このような主題の放棄ではなく、発明者らがこのような主題を開示されている本発明の主題の一部であると考えていなかったと見なされるべきでもない。