以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る毛髪化粧料は、下記特定の両イオン性ポリマー((1)成分)、所定のウレタン又はウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂((2)成分)、及び前記の(3)成分は、(t−1)油剤、(t−2)アルコール類、(t−3)界面活性剤、(t−4)タンパク質加水分解物、アミノ酸及びそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種、(t−5)水のいずれか1つ以上を含有してなる配合成分((3)成分)が配合された組成物を含有する化粧料、特に毛髪用の化粧料である。
上記の(1)成分〜(3)成分が配合された組成物は、必要に応じて水等で希釈し、アルカリ剤を添加して中和することにより増粘する。よって本発明の毛髪化粧料のpHは3〜11の範囲であることが好適である。この中和用のアルカリ剤としては、特に限定されず、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機塩基、トリエタノールアミンやイソプロパノールアミン、塩基性アミノ酸等の有機塩基を用いることができる。
本発明の毛髪化粧料において、毛髪化粧料のpHが3〜11好ましくは6〜9、さらに好ましくは7〜8となるように配合量を調整することが好ましい。pHがこの範囲内あると、製品の安全性がより良好になり、製剤がよりなめらかになる。なお、本発明における組成物のpHとは、市販のpHガラス電極付pH測定計を用いて、製剤を希釈せずに直接測定した値である。
<特定の両イオン性ポリマーからなる樹脂((1)成分)>
本発明の両イオン性ポリマーからなる樹脂(1)は、ポリマー内にカチオンとアニオンとの双方を有する両イオン性ポリマー(A)からなる。ポリマー内にアニオンを有することにより、セット力やキープ力を発現することが可能となると共に、ポリマー内にカチオンを有することにより毛髪に対する親和性を向上させることが可能となる。
すなわち、本発明の両イオン性ポリマー(A)は、ポリマー内にカチオンとアニオンとの双方を有することにより、セット力やキープ力を十分に有しながらも、毛髪に対する親和性を良好なものとすることができる。そして、この両イオン性ポリマー(A)をシェル部とすることにより、毛髪に対し直接的に当該両イオン性ポリマー(A)の特性を発揮することを可能とする。
前記両イオン性ポリマー(A)としては、例えば、カルボキシベタイン基、スルフォベタイン基又はフォスホベタイン基等のベタイン構造基を含有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位、アミンオキサイド基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位、カルボキシル基、スルホン酸基又はリン酸基等のアニオン基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位、第四級アンモニウム塩を有する基(以下、第四級アンモニウム基とも呼称する。)を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位、及び第三級アミノ基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位の少なくとも1つを含有するポリマー等が挙げられる。
前記のベタイン構造基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位を有するポリマー(カルボキシベタイン基含有樹脂)は、
(A−1)1種類の、ベタイン基含有単量体、
(A−2)2種類以上の、ベタイン基含有単量体、
(A−3)ベタイン基含有単量体と、他の親水性単量体、
(A−4)(A−1)〜(A−3)と疎水性単量体、
のいずれかを重合または共重合させることにより得られる。好ましくは、本発明の水溶性樹脂に供する全単量体に占める、ベタイン基含有単量体の割合が、30重量%以上である。
前記の(A−4)の場合、疎水性単量体は、樹脂の水溶性を損なわない範囲で共重合させる。また、ベタイン基含有単量体の代わりに、窒素含有前駆体単量体を用いて、これを重合又は共重合させた後に4級化する事によっても得られる。さらに、反応活性な官能基を持つ単量体を重合した後、該官能基と反応しうる活性基およびベタイン基を、併せ持つ化合物を反応させることによっても得られる。本明細書において、「ベタイン構造基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位」とは、ベタイン基含有エチレン性不飽和単量体を重合に用いて得られる繰返し単位と、ベタイン基不含エチレン性不飽和単量体を重合に用い、次いで得られた重合体を変性してこの単量体に由来する繰り返し単位にベタイン基を含有させたものとの両者を意味する。
前記のベタイン構造基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位を有するポリマーの具体例としては、ユカフォーマー205S、ユカフォーマーSM、AMPHOSET、ユカフォーマー301、ユカフォーマー104D、ユカフォーマー202、ユカフォーマー510、ユカフォーマーFH、ユカフォーマー204WL及びユカフォーマー204WL−2(以上、三菱化学(株)製)等のジメチルアミノエチルメタクリレート/メタクリル酸アルキルエステル共重合体のモノハロ酢酸塩変性物であるメタクリル系カルボキシベタイン重合体等が挙げられる。これらのポリマーに関しては、例えば、特開昭51−9732号公報、特開昭55−104209号公報、特開昭61−258804号公報、特開平7−285832号公報等に開示されている。
前記のアミンオキサイド基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位を有するポリマー(アミンオキサイド基含有樹脂)は、
(A−5)1種類の、アミンオキシド基含有単量体、
(A−6)2種類以上の、アミンオキシド基含有単量体、
(A−7)アミンオキシド基含有単量体と、他の親水性単量体、
(A−8)(A−5)〜(A−7)と疎水性単量体のいずれかを重合または共重合させることにより得られる。好ましくは、本発明の水溶性樹脂に供する全単量体に占める、アミンオキシド基含有単量体の割合が、30重量%以上である。
前記の(A−8)の場合、疎水性単量体は、樹脂の水溶性を損なわない範囲で共重合させる。また、アミンオキシド基含有単量体の代わりに、窒素含有前駆体単量体を用いて、これを重合又は共重合させた後にオキシド化する事によっても得られる。さらに、反応活性な官能基を持つ単量体を重合した後、該官能基と反応しうる活性基およびアミンオキシド基を、併せ持つ化合物を反応させることによっても得られる。本明細書において、「アミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来するに相当するアミンオキシド基含有繰返し単位」とは、アミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体を重合に用いて得られる繰返し単位と、アミンオキシド基不含エチレン性不飽和単量体を重合に用い、次いで得られた重合体を変性してこの単量体に由来する繰り返し単位にアミンオキシド基を含有させたものとの両者を意味する。
前記のアミンオキサイド基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位を有するポリマー(アミンオキサイド基含有樹脂)は、炭素数1〜24の脂肪酸アクリルエステルと、メタクリル酸エチルアミンオキサイドと、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方とを構成成分に有する重合体であり、構造単位としてアミンオキサイド基を含有する。その具体例としては、ダイヤフォーマーZ−711、ダイヤフォーマーZ−712、ダイヤフォーマーZ−631、ダイヤフォーマーZ−632、ダイヤフォーマーZ−732、
ダイヤフォーマーZ−651、ダイヤフォーマーZ−731及びダイヤフォーマーZ−772(以上、三菱化学(株)製)等が挙げられる。
カルボキシル基、スルホン酸基又はリン酸基等のアニオン基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位や、第四級アンモニウム基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位や、第三級アミノ基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位の少なくとも一つを含有するポリマーの具体例としては、アンフォーマー28−4910、アンフォーマーLV−71及びアンフォーマーLV−47(以上、アクゾノーベル社製)等のアクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体であるカルボキシル基を有する不飽和モノマーと、第三級アミノ基を有する不飽和モノマーとを必須成分とする重合体;マーコート 295(ルーブリゾール社製)等の塩化ジアリルジメチルアンモニウム/アクリル酸共重合体、マーコートプラス 3330(ルーブリゾール社製)等の塩化ジアリルジメチルアンモニウム/アクリル酸/アクリルアミド共重合体である、カルボキシル基を有する不飽和モノマーと、第四級アンモニウム基を有する不飽和モノマーとを必須成分とする重合体等が挙げられる。
毛髪に対する親和性を向上させ、特に高温多湿下における整髪効果を向上させることができるという観点からは、両イオン性ポリマー(A)は、ベタイン構造基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位を含有することが好ましい。
また、毛髪に対する親和性を向上させると共に、皮膚への刺激性をより低下させることができるという観点からは、両イオン性ポリマー(A)は、アミンオキサイド基を有する不飽和モノマーに由来する繰り返し単位を含有することが好ましい。
<ポリウレタン又はウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂((2)成分)>
前記(2)成分は、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選ばれる少なくとも1種を含むポリオール成分と多価イソシアネート成分とから得られるポリウレタン(P)、又は前記ポリウレタン(P)と(メタ)アクリル系樹脂(Q)を複合してなるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の少なくとも1種からなるウレタン系樹脂成分である。
本発明のポリウレタン((P)成分)は、ポリオール成分と、多価イソシアネート成分とから得られるポリウレタンであり、具体的には、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールの少なくとも1種を含むポリオール成分と、多価イソシアネート成分とから得られるポリウレタンである。
以下において、ポリエーテルポリオールを含むポリオール成分を用いたポリウレタンを第1ポリウレタン((P1)成分)、第1ポリウレタンを用いたU/A樹脂及びU/A樹脂水性分散液を第1U/A樹脂及び第1U/A樹脂水性分散液と称する。また、ポリエステルポリオールを含むポリオール成分を用いたポリウレタンを第2ポリウレタン((P2)成分)、この第2ポリウレタンを用いたU/A樹脂及びU/A樹脂水性分散液を第2U/A樹脂及び第2U/A樹脂水性分散液と称する。
なお、「U/A樹脂」は、「ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂」の意である。
<第1ポリウレタン((P1)成分)>
次に、第1ポリウレタン((P1)成分)で用いられるポリエーテルポリオールは、炭素数2〜4のポリアルキレングリコール由来の構成単位を主成分として、かつ、数平均分子量が400以上、4000以下であるポリエーテルポリオールであることが特徴である。
前記(P1)成分におけるポリオール単位と多価イソシアネート化合物との使用割合は
、当量比で、ポリオール単位:多価イソシアネート化合物=1:1.2〜2がよく、1:1.5〜1.9が好ましい。
前記(P1)成分を構成する前記ポリオール単位とは、1分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有する有機化合物からなる単位をいい、具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の比較的低分子量のポリオール類、又はこれらの少なくとも一種と、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸の少なくとも一種とを重縮合して得られるポリエステルポリオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリアルキレングリコール等のポリエーテルポリオール類、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリル酸エステルポリオール、これらのポリオール類にプロピレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール等が挙げられる。
これらの中でも、前記したようなポリアルキレングリコール由来の構成単位を主成分とするポリエーテルポリオールは、柔軟な質感を付与できるので必須成分を構成する。
前記のポリオール成分としては、1種類のポリオール成分を用いてもよいが、数平均分子量が相異なるポリオール成分及び/又はその構成単位が相異なるポリオール成分である、少なくとも2種のポリオール成分を用いると、使用するポリオール単位が分子量分布で少なくとも二山の分布を有する多分散系の単位となる。このようなポリオール単位を用いることにより、柔軟な質感を維持しつつ、ポリマーの機械的強度(伸び、破断強度)を高くすることができる。
この多分散系のポリオール単位に用いられる複数種のポリオールの単位の炭素数の平均値は2〜4が好ましい。平均値をこの範囲内とすることにより、柔軟な質感を付与することができる。
前記多分散系のポリオール単位の数平均分子量の平均は、300以上がよく、400以上が好ましく、500以上がより好ましく、600以上が特に好ましい。数平均分子量が小さすぎると、柔軟性が低下する傾向となる。一方、上限は、4000がよく、3000が好ましく、2500がより好ましい。数平均分子量が大きすぎると、自己乳化力が低下したり、ポリオール単位の種類によっては、過度に柔軟になる場合がある。
前記のとおり、複数種のポリオールに由来する単位を用いる場合、用いられる複数種のポリオールのうち、数平均分子量が最も小さいポリオールの数平均分子量は、400以上がよく、500以上が好ましい。数平均分子量が小さすぎると、得られる膜が硬くなり、柔軟性を損なう場合がある。一方、上限は、1200がよく、1500が好ましい。数均分子量が大きすぎると、自己乳化力が低下したり、低分子量ジオールを用いることによる効果が不十分になる場合がある。
前記の数平均分子量が最も小さいポリオールの具体例としては、PTMG650(三菱化学(株)製)、ハイフレックスD1000(第一工業製薬(株)製)、サンニックスPP1000(三洋化成工業(株)製)、ポリエーテルP−1000((株)ADEKA製)、PEG1000(日油(株)製)等があげられる。
前記のとおり、複数種のポリオールに由来する単位を用いる場合、用いられる複数種のポリオールのうち、数平均分子量が最も小さいポリオールの数平均分子量と、数平均分子量が最も大きいポリオールの数平均分子量の差、すなわち、数平均分子量差は、100以上がよく、500以上が好ましい。数平均分子量差が小さすぎると、複数種のポリオールを用いる効果が不十分となる場合がある。一方、上限は、2000がよく、1000が好ましい。数平均分子量差が大きすぎると、(P)成分全体としてのバランスが崩れ、合成反応が不安定になる場合がある。
また、前記(P1)成分は、カルボキシル基を有する。そして、この(P)成分の酸価は15mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。15mgKOH/g未満であると、後の工程における水への分散状態が悪くなって水性分散液が得られないことがある。一方で、その上限は60mgKOH/gが好ましく、50mgKOH/g以下がより好ましい。60mgKOH/gを超えると、弾性が不十分となったり、整髪料に用いた際に髪に付着しにくくなったりする場合がある。
この(P1)成分にカルボキシル基を導入する方法としては、ポリオール単位の一部として、カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物を使用する方法が挙げられる。このカルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物の例としては、下記化学式(p1−1)に示されるようなジメチロールアルカン酸等が挙げられる。
なお、前記式(p1−1)において、Rは、例えば、炭素数1〜10のアルキル基を示し、好ましくはメチル基又はエチル基である。
このジメチロールアルカン酸の具体例としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等を挙げることができる。前記カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物の使用量は、重合により形成される前記(P1)成分の酸価が前記した範囲となるように調整すればよい。
前記の(P)成分を重合により製造するにあたって、前記カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物の好ましい使用割合としては、ポリオール単位とカルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物との合計中の30モル%以上とするのがよく、50モル%以上とするのがより好ましい。一方で、90モル%以下がよく、80モル%以下がより好ましい。この範囲内とすることで、前記の酸価の範囲を満たすことができる。
(P1)成分を製造するために用いる前記多価イソシアネート化合物とは、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機化合物をいい、脂肪族、脂環式、芳香族等の多価イソシアネート化合物を用いることができる。このような多価イソシアネート化合物の具体例としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。これらの内で、脂肪族又は脂環式のイソシアネートは経時的な黄変が少ない点で好適である。
前記(P1)成分を製造するためのウレタン生成反応は、無溶媒下でも行うことができるが、反応を均一に行うために、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類、その他のイソシアネート基に対して不活性で水との親和性の大きい有機溶媒を使用してもよい。また、前記以外の溶媒でも、イソシアネート基に対して反応性のない、即ち活性水素基を含まない有機溶媒も使用可能である。さらに、イソシアネート基に対して反応性のない、すなわち、活性水素基を含まない(Q)成分が(P)成分の製造の際に存在していてもよい。この場合、(Q)成分によって反応系が希釈されて反応をより均一に行うことができる。この(P)成分を得る反応は、通常50〜100℃程度で、0.5〜20時間程度である。これにより、カルボキシル基及び末端にイソシアネート基を有する(P1)成分を得ることができる。
前記(P1)成分の製造に使用される触媒としては、一般にウレタン化反応に使用される触媒が使用できる。具体例としては、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
前記(P1)成分のガラス転移温度(Tg)は、−60℃以上、250℃以下であることが好ましい。また、(P1)成分のソフトセグメント(ポリオール単位由来)のガラス転移温度と、ハードセグメント(イソシアネート単位由来)とのガラス転移温度とで複数のガラス転移温度が発現する場合がある。このときの低温側(ソフトセグメント側)ガラス転移温度は、−60℃以上であることが好ましく、−50℃以上がより好ましい。−60℃より低いと、得られる皮膜が過度に柔軟になる場合がある。一方で、低温側ガラス転移温度は0℃以下であるのが好ましく、−5℃以下であるのがより好ましい。0℃を超えると、皮膜の柔軟性が不足する傾向となる。また、高温側(ハードセグメント側)ガラス転移温度は、低温側ほど塗膜物性への影響は大きくないものの、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。30℃未満では、皮膜の強靱性が劣ることがある。一方で上限は、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。250℃を超えると、皮膜が硬くなって質感に劣ることがある。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7244−4の方法で測定することができる。
上記(P1)成分が有するカルボキシル基は、その少なくとも一部が、塩基性化合物により中和されることが好ましい。これにより、(P1)成分の水性媒体中での分散性を向上させることができる。この塩基性化合物としては、有機アミン化合物又はアルカリ金属水酸化物が挙げられる。この中和反応は、(P1)成分を製造した後、水性媒体中に分散する前であれば、任意の時期に行うことができる。その中でも、後述する第1中和工程、及び必要に応じて、後述する第2中和工程で行われるのが好ましい。
上記の有機アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン化合物が好ましく用いられる。また、上記のアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
これらの塩基性化合物の総使用量は、後述する第1中和工程及び第2中和工程の合計使用量として、(P1)成分が有するカルボキシル基の量に対して、1当量以上であると好ましい。すなわち、上記(P1)成分中のカルボキシル基が、塩基性化合物により100%以上中和されていることが好ましい。1当量未満では、水性媒体中で良好な分散状態が得られないことがある。一方その上限は、2.0当量が好ましく、1.5当量がより好ましい。2.0当量を超えると塩基性化合物がエマルジョン中に残るため、化粧料用として用いる際に問題を生じるおそれがある。
上記(P1)成分を分散させる水性媒体としては、水や、水とメタノール、エタノール等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶液等が挙げられる。この中でも、環境的な側面から、水がより好ましい。
上記イソシアネート基と反応可能な活性水素を複数個有する化合物としては、炭素数1〜8のポリオール、ポリアミン化合物等が挙げられる。上記ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。また、ポリアミン化合物の例としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン類を挙げることができる。
前記の鎖伸長反応は、前記の(P1)成分と後述する重合性単量体(q)とを含む混合液を前記水性媒体中に乳化分散させて第1乳化液を得る際に、水性媒体として水を用いると、この水によって、前記(q)成分の重合工程中に、前記(P1)成分の鎖伸長反応が一部生じることがある。また、積極的に鎖伸長反応を行う場合、この第1乳化液を得る乳化分散後に、前記鎖伸長剤を加えて鎖伸長反応を行うことができる。なお、該鎖伸長反応は、第1乳化液に含まれる(P1)成分の少なくとも一部について生起すればよい。また、前記第1乳化液、又はこの第1乳化液中の(P1)成分の少なくとも一部を鎖伸長反応させて得られる第2乳化液に含まれる前記(q)成分を重合させた後、乳化液中の(P1)成分の少なくとも一部を、積極的に鎖伸長させてもよい。
<第2ポリウレタン((P2)成分)>
第2ポリウレタン((P2)成分)で用いられるポリエステルポリオールは、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸由来の構成単位を有するポリエステルポリオールであることが特徴である。
また、このポリウレタンは、シリコーンオイルとこのポリウレタンとの混合溶液(重量比50/50)から、23℃でキャスト成膜が可能であることが特徴である。
本発明のポリウレタンの原料であるポリオール成分は、ポルエステルポリオールを含む。このポリエステルポリオールは、ポリオール成分由来の構成単位(以下、「ポリオール単位」と称する場合がある。)とジカルボン酸成分由来の構成単位(以下、「ジカルボン酸単位」と称する場合がある。)とからなる化合物である。
前記ポリオール単位とは、1分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有する有機化合物からなる単位であり、ポリオール単位を構成するポリオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の比較的低分子量のジオール類、又はこれらの少なくとも一種と、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸の少なくとも一種とを重縮合して得られるポリエステルポリオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリテトラメチレンエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンジオール、ポリ(メタ)アクリル酸エステルジオール、ジアルキレングリコール、これらのポリオール類にプロピレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール等が挙げられる。
前記ジカルボン酸単位とは、1分子中に2つ以上のカルボキシル基を有する有機化合物からなる単位であり、本発明では、ジカルボン酸単位として、上記したように、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸成分由来の構成単位(以下、まとめて「フタル酸系単位」と称する場合がある。)を用いることが重要である。このようなフタル酸系単位を有するポリエステルポリオールを用いることにより、得られる(P2)成分や第2U/A樹脂に耐油性を付与することができる。
このようなフタル酸系単位を有するポリエステルポリオールのうち、イソフタル酸由来の構成単位を有するポリエステルポリオールとしては、例えばクラレポリオールP−1012、2012、530、1030、2030等((株)クラレ製、商品名)、テスラック2474(日本化成ポリマー(株)製、商品名)、OD−X−2560(DIC(株)製、商品名)、HS2F−136P(豊国製油(株)製、商品名)等を挙げることができ、また、テレフタル酸由来の構成単位を有するポリエステルポリオールとしては、例えばクラレポリオールP−1011、2011、2013、520、1020、2020等((株)クラレ製、商品名)を挙げることができる。
このフタル酸系単位を有するポリエステルポリオールの中でも、イソフタル酸由来の構成単位(以下、「イソフタル酸単位」と称する場合がある。)を有するポリエステルポリオールが好ましい。
得られる(P2)成分中のジカルボン酸単位の含有割合は、0.05重量%以上50重量%以下が好ましい。ジカルボン酸単位が0.05重量%以上存在することにより、耐油性向上効果を得ることができる。一方、ジカルボン酸単位の含有量を50重量%以下とすることで、十分な耐油性を維持しつつ、膜の強度を高くすることが可能となる。この範囲を外れた場合は、耐油性向上効果が不十分となったり、得られる膜が脆くなったりすることがある。ジカルボン酸単位は、0.08重量%以上存在することが好ましく、0.1重量%以上存在することがより好ましい。また、40重量%以下存在することが好ましく、35重量%以下存在することがより好ましい。このジカルボン酸単位には、フタル酸系単位が含まれることが必要で、特にイソフタル酸単位が含まれるのが好ましい。イソフタル酸単位を含むことで、柔軟性を保持しつつ、耐油性が向上するという効果が得られる。
前記ポリエステルポリオール中のフタル酸系単位(PA単位)(C8H4O3=式量148)の含有量や、ポリウレタン中のフタル酸系単位の含有量は、次のようにして算出することができる。なお、ポリエステルポリオールを「PEsPO」、フタル酸系単位を「PA」、ジオールを「DOL」(ジオール単位の場合は「DOL単位」と記す)、フタル酸系単位数を「NumberPA」と称する。
ポリエステルポリオールにおいては、(両)末端は常にジオール末端となるので、以下の関係式が成立する。
1)ポリエステルポリオール(PEsPO)中のフタル酸系単位(PA単位)の数
=(PEsPOの分子量−末端DOL分子量)/(PA単位式量+DOL単位式量)
=NumberPA
(なお、上記式において「PA単位式量+DOL単位式量」はPAとDOL単位で形成されるPEsPO中のエステル単位の式量となる。)
2)PEsPO中のPA単位含有割合(wtPA(重量分率))
=(NumberPA×PA単位式量)/PEsPO分子量
3)PEsPO仕込量(F)中のPA単位含有量(重量)
=F×wtPA
4)ポリウレタン中のPA単位含有量(重量%)
=(F×wtPA)×100/総ポリウレタン量(=ウレタン原料の総仕込量)
また、酸成分としてフタル酸系単位以外のジカルボン酸が併用されている場合は、上記計算において、1)の「PA単位式量」に代えて、併用される他のジカルボン酸類の式量(−OC−X―CO−O−、但し「X」はベンゼン核以外の二価の炭化水素基である)とPA単位の式量とを、各成分のモル分率をそれぞれ乗じた上で合計した「ジカルボン酸平均式量」を用いて、上記「NumberPA」に相当する「ジカルボン酸総単位数」を求め、これらを用いて、上記と同様にして「ポリウレタン中のジカルボン酸単位含有率(重量%)を算出し、この量を両者のモル分率と式量とを用いて案分して「ポリウレタン中のPA単位含有量」を求めることができる。
ジオール成分が複数種用いられている場合も同様である。
なお、市販品等、その組成が明らかにされていない場合などは、核磁気共鳴スペクトル分析(NMR)やゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)等の高分子物質を分析できる方法を用いて、組成分析を行って求めることもできる。
本発明のポリウレタンのポリオール成分として、前記のポリオール成分に加えて、ポリオールとモノカルボン酸とを有する成分を用いることも好ましい。
このような成分としてはジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸や、スルホン酸含有ポリオールなどを用いることが好ましく、特にジメチロールアルカン酸が好ましい。この他にもポリオール成分としては、本発明の効果を損なわない限り、前記以外の各種のポリアルキレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等も使用できる。
このようなジメチロールアルカン酸は、前記化学式(p1−1)に示される構造を有している。
なお、前記式(p1−1)において、Rは、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基であり、中でも炭素原子数が1〜6であるものが好ましい。特に好ましいのは、Rがメチル基又はエチル基であるものであり、中でもRがメチル基の場合、即ちジメチロールアルカン酸がジメチロールプロピオン酸であることが好ましい。
前記のようなジメチロールアルカン酸を用いることで、良好な共重合性を得ることができ、また得られるポリウレタンにカルボキシル基を導入できて、水分散体として用いる場合に分散安定性が向上すると共に、ポリウレタンに反応性を付与したり、特に化粧料用に使用した場合、極性成分との混和性を改良したり、毛髪や皮膚への密着性を高くすることができる。
前記ジメチロールアルカン酸の使用量は、得られるポリウレタンの酸価、あるいは最終的に生成する第2U/A樹脂に求められる性能(水への分散性等)に応じて適宜調整すればよい。
このようなポリオール成分としては、1種類のポリオール成分を用いても、複数種のポリオールの由来する成分を用いてもよい。
上記ポリオール単位を構成するポリオール成分としては、1種類のポリオール単位を用いてもよいが、数平均分子量が相異なるポリオール成分及び/又はその構成単位が相異なるポリオール成分である、少なくとも2種のポリオール成分を用いると、使用するポリオール単位が分子量分布で少なくとも二山の分布を有する多分散系の単位となる。このようなポリオール単位を用いることにより、柔軟な質感を維持しつつ、ポリマーの機械的強度(伸び、破断強度)を高くすることができる。
この多分散系のポリオール単位に用いられる複数種のポリオールの単位の炭素数の平均値は2〜4が好ましい。平均値がこの範囲内とすることにより、柔軟な質感を付与することができる。
上記多分散系のポリオール単位の数平均分子量の平均は、300以上がよく、400以上が好ましく、500以上がより好ましく、600以上が特に好ましい。数平均分子量が小さすぎると、柔軟性が低下する傾向となる。一方、上限は、4000がよく、3000が好ましく、2500がより好ましい。数平均分子量が大きすぎると、自己乳化力が低下したり、ポリオール単位の種類によっては、過度に柔軟になる場合がある。
上記のとおり、複数種のポリオールに由来する単位を用いる場合、用いられる複数種のポリオールのうち、数平均分子量が最も小さいポリオールの数平均分子量は、400以上がよく、500以上が好ましい。数平均分子量が小さすぎると、得られる膜が硬くなり、柔軟性を損なう場合がある。一方、上限は、1200がよく、1500が好ましい。数均分子量が大きすぎると、自己乳化力が低下したり、低分子量ジオールを用いることによる効果が不十分になる場合がある。
上記のとおり、複数種のポリオールに由来する単位を用いる場合、用いられる複数種のポリオールのうち、数平均分子量が最も小さいポリオールの数平均分子量と、数平均分子量が最も大きいポリオールの数平均分子量の差、すなわち、数平均分子量差は、100以上がよく、500以上が好ましい。数平均分子量差が小さすぎると、複数種のポリオールを用いる効果が不十分となる場合がある。一方、上限は、2000がよく、1000が好ましい。数平均分子量差が大きすぎると、(P2)成分全体としてのバランスが崩れ、合成反応が不安定になる場合がある。
また、(P2)成分を製造するために用いる前記の多価イソシアネートとしては、前記した多価イソシアネートを用いることができる。
なお、得られる(P2)成分には、前記のジオール成分、特にポリエステルポリオールやジメチロールアルカン酸等に由来する酸成分が含まれるが、このポリウレタンの酸価は15mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。15mgKOH/g未満では水への分散性が悪くなって、極端な場合は水性分散液が得られないことがある。一方で、その上限は60mgKOH/gが好ましく、50mgKOH/g以下がより好ましい。60mgKOH/gを超えると、弾性が不十分となったり、ポリマーが硬くなり過ぎて、毛髪化粧料等に用いる場合、ゴワつきを発生させたり、使用中に白粉化して、化粧料として不十分なものとなることがある。
なお、酸価は、水酸化カリウムを用いる電位差滴定法(JIS−K−0070)に従って測定できる。この時、試料の質量としては「ポリウレタン量」を用いることとする。
また、例えば、ポリウレタンの製造に際して、その中和に水酸化カリウムを用いている場合は、塩交換が起きにくくなるため、上記JIS法による測定が困難になる場合がある。このような時は、下式に従ってポリウレタン1gあたりの「理論酸価」を算出して用いればよい。
理論酸価(mgKOH/g−ポリウレタン)=酸含有原料仕込モル数×56.1(KOH分子量)/ポリウレタン量(g)×1000
前記(P2)成分を製造するためのポリウレタンの生成反応の溶媒、(q)成分の存在、反応温度、反応時間、触媒、鎖伸長反応等に関する条件は、前記の(P1)成分を製造するためのポリウレタンの生成反応と同様の条件で行うことができる。
前記(P2)成分を製造する際の、前記のポリエステルポリオールと多価イソシアネート化合物との使用割合は、ポリエステルポリオールのヒドロキシル基と多価イソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比で、ポリエステルポリオール:多価イソシアネート化合物=1:1.2〜2がよく、1:1.5〜1.9が好ましい。
前記(P2)成分の重量平均分子量は1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。重量平均分子量が1000未満では、得られる皮膜が硬くなり、毛髪化粧料として用いる際に、ごわつき感等の問題が生じる可能性がある。一方、重量平均分子量の上限は、通常150000程度であり、100000が好ましく、70000がより好ましい。150000より大きいと、プレポリマーそのものの粘度が高くなり、ゲル化したり、安定なエマルジョンが得られなくなったりする場合がある。
前記(P2)成分のガラス転移温度(Tg)は、前記した(P1)成分のガラス転移温度(Tg)と同様の理由により、同様の値をとることができる。
前記(P2)成分が含有するカルボキシル基は、その少なくとも一部が、一種又は二種以上の塩基性化合物により中和されていることが好ましい。これにより、ポリウレタンの水性媒体中での分散性を向上させることができる。この塩基性化合物としては、有機アミン化合物やアルカリ金属水酸化物が挙げられる。この中和反応は、ポリウレタンを製造した後であれば、任意の時期に行うことができ、1工程で実施しても、2工程以上に分割して行ってもよい。また、この中和反応に用いる塩基性化合物も工程毎に異なる種類のものを用いても構わない。
中でも、中和工程を2工程に分割し、第1中和工程をポリウレタンの製造後に、そして第2中和工程を第1工程で中和されたポリウレタンを水性媒体中に分散させた後に行うことが好ましい。
前記の有機アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン化合物が好ましく用いられる。また、前記のアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
これらの塩基性化合物の総使用量は、(第1中和工程及び第2中和工程の合計使用量として、)ポリウレタンが有するカルボキシル基の量に対して、1当量以上であることが好ましい。すなわち、前記ポリウレタン中のカルボキシル基が、塩基性化合物により100%以上中和されていることが好ましい。1当量未満では、水性媒体中で良好な分散状態が得られないことがある。一方その上限は、2.0当量が好ましく、1.5当量がより好ましい。2.0当量を超えると塩基性化合物がエマルジョン中に残るため、化粧料用として用いる際に問題を生じるおそれがある。
前記(P2)成分を分散させる水性媒体としては、水や、水とメタノール、エタノール等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶液等が挙げられる。この中でも、環境的な側面から、水がより好ましい。
この(P2)成分は、シリコーンオイルと50/50の重量割合で混合した溶液から、23℃でキャスト成膜が可能である。なお、「キャスト成膜可能である」とはキャスト後、23℃×6時間静置してから、その膜の一部をピンセット等でつまみ上げた時に、膜が破損することなく一体となって引き上げられることを言う。ここで使用できるシリコーンオイルとしては、シクロペンタシロキサン(例えば、KF−995(信越化学工業(株)製:揮発性環状シリコーン))等があげられる。
このシリコーンオイルと50/50の重量割合で混合した溶液から23℃でキャスト成膜が可能であるという特徴は、例えばマスカラ、口紅、リップクリーム、ヘアワックス等の油性成分を多く含む化粧料(化粧製剤)に用いた場合、優れた膜形成性を示すこととなり、化粧料として使用した際に、被膜によるメイクの持続性(持ち)の向上やハリ感の付与等の効果を得ることができる。
<第1U/A樹脂及び第1U/A樹脂水性分散液>
この発明にかかる第1U/A樹脂は、前記(P)成分の存在下で、前記(Q)成分の構成単位である(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体((q)成分)を重合することによって、(P1)成分と(Q)成分とを複合してなる第1U/A樹脂を得ることができる。
このような第1U/A樹脂を製造するためには、例えば前記(P1)成分と(q)成分とを水性媒体中で乳化分散して形成されたプレエマルジョン中で、前記(q)成分を乳化重合する方法を用いることができ、この時、第1U/A樹脂は第1U/A樹脂水性分散液として得られる。
前記(q)成分の(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸s−ペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸t−ペンチル、(メタ)アクリル酸3−メチルブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸4−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−ヘプチル、(メタ)アクリル酸3−ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル等が例示される。これらの中でも、アルキル基の炭素数が1〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、特にアルキル基の炭素数が1〜8のものが好ましい。
これらの(q)成分は、一種類のみを用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。
この(q)成分には、必要に応じて、本発明の目的・効果を阻害しない範囲で、(メタ)アクリル系単量体以外の他の単量体、例えば、エステル基含有ビニル単量体、スチレン誘導体、ビニルエーテル系単量体等を併用してもよい。前記エステル基含有ビニル単量体の例としては、酢酸ビニル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等の疎水性ビニルモノマー、ラジカル重合性不飽和基含有シリコンマクロモノマー等の不飽和基含有マクロモノマー等が例示される。
また、前記スチレン誘導体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。さらに、前記ビニルエーテル系単量体の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が例示される。
前記(q)成分からなる単独重合体又は共重合体のガラス転移温度(Tg)、すなわち、一種類からなる場合はその単独重合体の、複数種類からなる場合は、その組成比における共重合体のガラス転移温度は、0℃以上であることが好ましく、5℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましく、60℃以上が特に好ましい。0℃未満では、得られる化粧料の熱戻り性(セット性を含む)が悪化することがある。一方、ガラス転移温度は120℃以下であるのが好ましく、110℃以下がより好ましい。120℃を超えると、最低造膜温度が高くなり、均一な皮膜が形成されないことがある。ガラス転移温度をこの範囲とすることで、油分配合量の多い化粧料配合においても、油分による重合体の可塑化を抑制することができる。
このガラス転移温度(Tg)は、前記(P1)成分の項で説明したJIS法で測定することもでき、また、下記式(1)(FOX式)により算出することもできる。
1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+(Wc/Tgc)+… (1)
但し、Tgは(共)重合体のガラス転移温度(K)、Tga、Tgb、Tgc等は各構成単量体a、b、c等の単独重合体のガラス転移温度(K)であり、Wa、Wb、Wc等は各構成単量体a、b、cの、共重合体中の重量分率を示す。
なお、Tgを「℃」で表記したい場合は上記式で得られたTgの数値から「273」を減じればよい。
前記(q)成分として複数の(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体の混合物を用いる場合、単独重合体のTgが高い第1単量体と、単独重合体のTgが低い第2単量体とを含有する混合物であることが好ましい。このように、(q)成分として、単独重合体のTgが異なる単量体を用いることにより、好適な皮膜の柔軟性に調整することができる。
前記第1単量体の単独重合体のTgは、95℃以上がよく、100℃以上が好ましい。95℃より低いと、皮膜柔軟性の調整範囲が小さくなる。Tgの上限は、通常150℃程度である。
また、前記第2単量体の単独重合体のTgは、30℃以下がよく、10℃以下が好ましい。30℃より高いと、柔軟性が不足したり、皮膜柔軟性の調整範囲が小さくなったりする。一方、Tgの下限は、−70℃がよく、−60℃が好ましい。−70℃より低いと、皮膜のベタつきが発生する場合がある。
次に、この発明にかかる化粧料用第1U/A樹脂水性分散液の製造方法について説明する。この発明にかかる化粧料用第1U/A樹脂水性分散液は、前記の通り、(P)成分及び(q)成分を混合した混合液を調製し、次いで、これを水性媒体中で乳化分散させ、その乳化液中の(q)成分を重合させることによって、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性エマルジョンが得られる。また、その過程において、必要に応じて、前記(P)成分の鎖伸長反応が行われる。
前記(P1)成分と(q)成分とを含む混合液を得る方法は、カルボキシル基の少なくとも一部を中和して水分散性にした(P1)成分と(q)成分とが、水性媒体中に均一に分散できる方法であればよく、(q)成分の添加時期は特に限定されるものではない。
例えば、(P1)成分中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する前に(q)成分を添加する方法や、中和した後に添加する方法が挙げられる。さらに、前記(P1)成分の原料であるポリオール単位や多価イソシアネート化合物等に、(q)成分の一部又は全部を混合し、この(q)成分の存在下で、ポリオール単位、多価イソシアネート化合物、カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物等を反応させて、(P1)成分を製造してもよい。このとき、(P1)成分の製造後に(q)成分の残量を添加する場合も、その添加時期は、(P1)成分中のカルボキシル基を中和する前、同時又は後の任意の時期で構わない。
中でも、前記(q)成分の存在下で、前記ポリオール単位、カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物及び多価イソシアネートを反応させて、前記(P1)成分を得る方法が、(P)成分と(q)成分とをより均一に混合することができるので好ましい(以下、この工程を「プレポリマー化工程」と称する)。
前記のポリオール単位、カルボキシル基含有多価ヒドロキシ化合物及び多価イソシアネートの反応方法としては、ジブチル錫ジラウレート等のウレタン重合触媒の存在下で重合する方法が挙げられる。
前記の混合液中の(P1)成分と(q)成分との混合割合は、純分重量比で(P1)/(q)=80/20〜30/70がよく、70/30〜35/65が好ましい。(P)成分が80重量%を超えると、整髪料として使用した際の熱戻り性(セット性を含む)が悪くなることがある。一方、20重量%未満の場合は、合成時に乳化不足となり、水分散時にゲル化を起こしたり、不均一な水分散体となったりすることがある。
前記の(P1)成分と(q)成分との混合液の濃度は、特に限定されるものではないが、最終的に得られる水性エマルジョン組成物中の不揮発成分量が20重量%以上となるようにすることが好ましく、30重量%以上となるようにするのがより好ましい。20重量%未満では、乾燥に時間を要する場合がある。一方で、その上限は70重量%以下となる量とすることが好ましく、60重量%以下がより好ましい。70重量%を超えると、水分散性の調製が難しくなったり、分散安定性が低くなったりすることがある。
(P1)成分中のカルボキシル基が全く中和されていない場合、前記(P1)成分及び(q)成分の混合液に、前記塩基性化合物を加えて、前記(P1)成分が含有するカルボキシル基の少なくとも一部を中和し、(P1)成分の中和物を得るのが好ましい(以下、この工程を「第1中和工程」と称する)。
前記第1中和工程により中和されるカルボキシル基の量は、前記(P1)成分中の全カルボキシル基に対して、0.5当量以上がよく、0.55当量以上が好ましい。
前記第1中和工程により中和されるカルボキシル基の量が1当量又はそれ以上の場合は、後述する第2中和工程は行わなくてもよい。一方、1当量未満の場合は、後述する第2中和工程が必要に応じて行われる。
次いで、前記(P1)成分の中和物と(q)成分との混合液を前記水性媒体中に乳化分散させる(以下、この工程を「乳化工程」と称する)。前記(P1)成分の中和物と(q)成分との混合液に水性媒体を加える方法としては、前記混合液に水性媒体を滴下して分散させる方法、前記混合液を前記水性媒体中に滴下して分散させる方法等、特に限定されない。
乳化分散時の温度は、0℃以上がよく、10℃以上が好ましい。一方で80℃以下がよ
く、60℃以下が好ましい。温度が高過ぎると(P1)成分が変性するおそれがある。
前記のようにして得られた乳化分散液において、(q)成分を重合させて、第1ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性エマルジョンを得る(以下、この工程を「重合工程」と称する)。この(q)成分の重合反応は、用いる(q)成分に応じた一般的な重合方法で行うことができ、例えば、前記混合液にラジカル重合開始剤を添加して行うことができる。
このラジカル重合開始剤としては、慣用のラジカル重合開始剤を用いることができ、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物系開始剤を用いることができる。また、有機過酸化物系開始剤や過硫酸塩系開始剤と、アスコルビン酸、ロンガリット又は亜硫酸金属塩等の還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤も好ましく用いられる。前記ラジカル重合開始剤の使用量は、重合性単量体(q)に対して、0.1〜5重量%程度、好ましくは0.5〜2重量%程度とすればよい。
前記(q)成分の重合は、重合温度10〜80℃で行うのがよく、30〜60℃で行うことがより好ましい。また、発熱終了後、40〜90℃程度に30分〜3時間程度維持することによって、重合がほぼ完了する。これにより、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性エマルジョンが得られる。
前記の比較的高分子量のジオール類としては、低分子量ジオール類とジカルボン酸とを縮重合して得られるポリエステルジオール類やポリアルキレングリコール類等の(重量平均)分子量が1000以上のジオール類を例示できる。
前記低分子量ジオール類の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等の分子量が500未満のジオール類が挙げられる。また、前記ポリアルキレングリコール類の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、(水添)ポリブタジエンジオール等が挙げられる。この他に、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリアクリル酸エステルジオール等も用いることができる。
前記重合工程で得られたウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性エマルジョン中には、通常未反応の(q)成分が残存するが、これに由来する臭気を抑えるためには、例えばその濃度を100ppm以下、好ましくは70ppm以下とするのがよく、濃度は0に近いほど好ましい。
(q)成分の濃度を低減させる方法としては、例えば、水性エマルジョンを加熱して残存する(q)成分を揮発させる方法や、エマルジョンの気相部に空気等の気体を流通させる方法、エマルジョンに水蒸気を吹き込む方法、(q)成分を減圧留去する方法等が挙げられ、これらを必要に応じて組み合わせて行ってもよい(以下、この工程を「脱臭工程」と称する。)。
前記の水性エマルジョンを加熱する場合、水性エマルジョンの液温は40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。一方で、その液温は、水性媒体の沸点以下とするのがよく、100℃以下が好ましい。また、気体を吹き込んだり流通させたりする場合は、その気体温度は20℃以上、100℃以下が好ましく、60℃以上、95℃以下がより好ま
しい。なお、水蒸気を吹き込む場合も、水性エマルジョンの液温は前記の条件を満たすことが好ましい。
気体を流通させる場合の流通量(気体の使用条件における体積/時間)は特に限定されないが、容器の気相部体積の2〜100容量倍/分がよく、5〜80容量倍/分が好ましい。2容量倍/分未満では、(q)成分の除去が不十分となりやすい。一方、100容量倍/分より多いと、水性エマルジョンの飛散や、液表面の膜張りにより、容器壁に付着物が生成することがあり、好ましくない。
前記の加熱により蒸発した水分は、(q)成分の除去後に、必要に応じて補充することができる。なお、(q)成分を含む排気を大気中に放出することは好ましくないため、排気を冷却して得られる凝縮液をタンク等に回収し、廃水処理を行うことが好ましい。
前記のようにして、(q)成分の残留量を100ppm以下としたウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の水性分散液は、整髪料等の化粧料用に、臭気がほとんど無い原材料として用いることができる。さらにこの発明にかかるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液を用いた場合、整髪料として、熱戻り性(セット性を含む)が良好で、髪のすべり等の感触も良好なものとなる。
ところで、前記の乳化工程と重合工程との間、及び前記重合工程と脱臭工程との間のいずれか1箇所で、必要に応じて、(P1)成分((P1)成分の中和物を含む。以下、同様)の少なくとも一部を鎖伸長させてもよい。また、前記の乳化工程と重合工程との間で、前記(P1)成分の一部を鎖伸長させ、かつ、前記の重合工程と脱臭工程との間で、前記の鎖伸長工程によって鎖伸長されずに残存した(P1)成分の少なくとも一部を鎖伸長させてもよい。
(P1)成分の鎖伸長反応は、乳化液中でも、分散媒である水によっても徐々に生起するので、重合工程中も鎖伸長反応が一部起こることがある。しかし、水による鎖伸長は、通常反応速度が遅いので、より効果的かつ確実に鎖伸長を行うためには、前記した水以外の鎖伸長剤を用いて積極的に鎖伸長反応を行うのがよい。これにより、より速やかに鎖伸長されたウレタンポリマーが得られ、柔軟でかつ弾力のある皮膜を得ることができる。
また、前記の乳化工程と重合工程との間、前記重合工程と脱臭工程との間、及び前記脱臭工程の後から選ばれる少なくとも1箇所に、(P1)成分中のカルボキシル基の少なくとも一部を、前記塩基性化合物を用いて、さらに中和してもよい(以下、この工程を「第2中和工程」と称する)。中和度を所定の範囲まで進めることで、得られるエマルジョンの保存安定性を改良したり、造膜性を改良する等の効果を得ることができる。
前記第2中和工程において用いる塩基性化合物の量は、前記(P1)成分中のカルボキシル基に対して、前記第1中和工程において使用した量と合算した量として、1当量以上が好ましい。なお、第1中和工程で既に1当量以上の塩基性化合物が使用されている場合は、この第2中和工程を省略してもよい。
前記第1中和工程及び第2中和工程で使用される塩基性化合物は、添加・混合を容易にするために、水溶液又は水分散液として用いるのがよい。中和されたウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂は、水単独、極性有機溶媒と水との混合溶媒、又は有機溶媒に溶解又は分散される。この有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、又はその他の有機溶媒が挙げられる。アルコール類としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等の1〜8個の炭素原子を含むアルコールや、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレ
ングリコール等の二価以上のアルコール等が挙げられる。また、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。その他の有機溶媒としては、ペンタン等の低沸点炭化水素、ジメチルエーテル、ジメトキシメタン等のエーテル類、モノ−、ジ−、又はトリ−エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル等のエステル等が挙げられる。
得られる第1U/A複合樹脂水性分散液中の第1U/A複合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、180000以上が好ましく、200000以上がより好ましい。重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、顔料分散性に劣る場合がある。一方、重量平均分子量(Mw)の上限は、1000000が好ましく、800000がより好ましい。重量平均分子量(Mw)が大きすぎると、毛髪に塗布した時の柔らかさに劣る場合がある。このような重量平均分子量(Mw)の範囲とすることで、特に良好な耐油性(シリコーンオイルとの混合液からのキャスト成膜性)を得ることができる。
また、この第1U/A複合樹脂水性分散液中の第1U/A複合樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、10以上が好ましく、20以上がより好ましい。Mw/Mnが小さすぎると、柔軟性と高いセット力を有する(C.R.値が高い)という2つの特徴を両立し難くなる傾向がある。一方、Mw/Mnの上限は、70が好ましく、60がより好ましい。Mw/Mnが大きすぎると、低分子量側又は高分子量側のいずれか又は両方の重合体により、膜の風合いが損なわれる場合がある。
なお、(q)成分である(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体を水性媒体中で乳化重合する場合、重合途中で水性媒体中の重合開始剤、乳化剤等や生成した他の重合体等への連鎖移動反応が生じやすく、得られる重合体の分子量が低くなることがある。
一方、本願においては、(P1)成分(イソシアネート基とカルボキシル基とを有するポリウレタン)と、(q)成分((メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体)とを水性媒体中で乳化分散してなるプレエマルジョンを用いて、(q)成分を重合させて得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液(第1U/A樹脂水性分散液)を製造するので、エマルジョン液滴において、(P1)成分の内側に(q)成分が配された状態で、ラジカル重合が起きることとなる。このとき、(q)成分は、(P1)成分によって保護されることとなり、(q)成分の重合中の連鎖移動反応が生じにくいだけでなく、重合の停止反応が起きにくい状態で重合が進むため、(q)成分の分子量が大きくなる傾向となる。そして、ウレタン樹脂がシェル部を構成し、(メタ)アクリル樹脂がコア部を構成する、コア−シェル構造の複合樹脂となる。このとき、(q)成分の分子量は、(P1)成分が存在しない状態での乳化重合に比べて大きくなりやすく、得られる複合樹脂の分子量分布は、2つのピークを示すこととなる場合が生じる。
この発明で得られる第1U/A複合樹脂水性分散液の最低造膜温度(MFT)は、後述するように、JIS K6828−2に基づいた方法で測定したとき、−10℃以上がよく、−5℃以上が好ましい。−10℃より低いと、柔らかくなりすぎて、形成される皮膜のセット性や熱戻り性が不十分となる場合がある。一方、MFTの上限は、60℃がよく、50℃が好ましく、さらには30℃が好ましく、20℃であればさらによい。60℃より高いと、硬くなりすぎ、また、生活環境下では、造膜し難く、化粧品用途等には不向きなことがある。
本発明において、ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂の最低造膜温度を、上記の好適範囲とするためには、種々の方法が用いられるが、例えば最低造膜温度を低くする方法としては、以下の<1>〜<3>の方法が挙げられる。なお、最低造膜温度を高くするためには、一般に、この方法と逆の手法を用いればよい。
<1>上記ポリオール単位として、分子量が例えば1000を超えるような、比較的高分子量のジオール類の使用量を増す。
<2>(P1)成分を製造する際のポリオール単位と多価イソシアネート化合物との当量比を1:1に近づける。
<3>(q)成分として、ガラス転移温度(Tg)の低いものを用いる。
この発明で得られる第1U/A複合樹脂水性分散液のゲル分は、50重量%以上がよく、60重量%以上が好ましい。50重量%より少ないと、硬さが不足し、配合安定性や分散安定性に劣る傾向がある。一方、ゲル分の上限は、99重量%がよく、95重量%が好ましい。99重量%より多いと、硬くなりすぎたり、化粧品用途ではゴワつきを生じたりする場合がある。このようなゲル分とすることで、前述の耐油性(キャスト成膜性)がより向上する。この特性は第1第1U/A樹脂の重量平均分子量(Mw)を前記のような範囲とすることで、特に効果的に得ることができる。
<第2U/A樹脂及び第2U/A樹脂水性分散液>
(1)第2ウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂(第2U/A樹脂)の製造方法
前記の(P2)成分の存在下で(メタ)アクリル系単量体((q)成分)を重合することによって、(P2)成分と(Q)成分を複合してなる第2U/A樹脂を得ることができる。
このような第2U/A樹脂を製造するためには、例えば前記の(P2)成分と(q)成分とを水性媒体中で乳化分散して形成されたエマルジョン中で、前記(q)成分を乳化重合する方法を用いることができ、この時、第2U/A樹脂は水性分散液として得られる。
(q)成分の重合と並行して、前記エマルジョン中の水によって、ポリウレタンの鎖伸長反応が生じることがある。
また前記エマルジョン中に前記鎖伸長剤を添加して鎖伸長反応を行うこともできる。なお、鎖伸長反応は(q)成分を重合させる前に行っても、重合後に行ってもよい。
前記の重合反応で用いられるラジカル重合開始剤は、第1U/A樹脂及び第1U/A樹脂水性分散液で用いられるラジカル重合開始剤と同様のものを用いることができる。
また重合温度は通常10〜80℃であり、30〜60℃で行うことが好ましい。発熱終了後、40〜90℃で30分〜3時間程度維持することによって、重合がほぼ完了する。これにより、第2U/A樹脂の水性エマルジョンが得られる。
<第2U/A樹脂及び第2U/A樹脂水性分散液のウレタン成分((P2)成分)>
第2U/A樹脂及び第2U/A樹脂水性分散液のウレタン成分((P2)成分)は、前記のフタル酸系単位を有するポリエステルポリオール由来の構成成分を有するポリウレタンを含むものであり、第2U/A樹脂中に含まれるウレタン成分中における該ポリウレタンの含有割合は50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは85重量%以上であり、その全量が前記ポリウレタンであることがもっとも好ましい。
なお、前記のフタル酸系単位を有するポリエステルポリオール由来の構成成分を有するポリウレタン以外のウレタン成分は、本発明の目的・効果を損なわない限り、特に限定されない。
更に、本発明においては、第2U/A樹脂の構成成分のうちのポリウレタン((P2)成分)中に含まれるジカルボン酸由来の構成単位(ジカルボン酸単位)の含有量は前述の通り、0.05重量%以上50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.08重量%以上40重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以上35重量%以下である。ジカルボン酸単位の含有量を前記範囲とすることで、本発明の第2U/A樹脂の優れた柔軟性、強度及び耐油性を特に良好なものとすることができる。
なお、前記したポリウレタンにおけるポリオール成分に含まれるジカルボン酸由来の構成単位(ジカルボン酸単位)の含有量も、同様の範囲が同様の理由で好ましい。
これは、第2U/A樹脂において、耐油性を左右する成分がポリウレタン由来の成分であるため、ポリウレタンの耐油性を高くすることが、第2U/A樹脂全体の耐油性を改良することとなるからである。
また、このジカルボン酸単位は、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、特にイソフタル酸単位であることが、耐油性の点から好ましい。
なお、このジカルボン酸単位の含有量は、上記したポリエステルポリオール中のフタル酸系構成成分の含有量の算出方法に準じ、第2U/A樹脂の組成とウレタン中の当該単位の含有量から計算することができる。
この反応で用いられる(q)成分及び(q)成分以外の他の単量体は、前記した第1U/A樹脂及び第1U/A樹脂水性分散液において使用される(q)成分及び(q)成分以外の他の単量体と同様の成分を用いることができる。
前記の(q)成分を主成分とする単独重合体又は共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−50℃以上であることが好ましく、−40℃以上がより好ましい。Tgが−50℃よりも低くなると、得られる化粧料の手触り感にべたつきが現れることがあり、触感が悪化する恐れがある。
一方、このガラス転移温度(Tg)は120℃以下であるのが好ましく、110℃以下がより好ましい。120℃を超えると、最低造膜温度が高くなり、均一な皮膜が形成されないことがある。ガラス転移温度をこの範囲とすることで、この発明にかかる毛髪化粧料としての性能を大きく悪化させることなく、油分配合量の多い配合においても、油分による重合体の可塑化を抑制することができる。なお、ガラス転移温度(Tg)は、前記した第1U/A樹脂及び第1U/A樹脂水性分散液において説明したガラス転移温度(Tg)の測定方法又は算出方法を用いて測定又は算出することができる。
なお、複数種の(メタ)アクリル系単量体を用いる場合は、単独重合体のTgが高い単量体と、単独重合体のTgが低い単量体とを併用することにより皮膜の柔軟性の調整が可能である。
この場合、一方の単量体の単独重合体のTgは、95℃以上、150℃以下がよく、100℃以上、140℃以下が好ましく、他方の単量体の単独重合体のTgは、−70℃以上、30℃以下がよく、−60℃以上、10℃以下が好ましい。
高Tg側の単量体のTgが高すぎると皮膜が硬くなり過ぎ、低Tg側の単量体のTgが低すぎるとべたつくことがある。
<第2U/A樹脂及び第2U/A樹脂水性分散液の特徴>
次に、前記の第2U/A樹脂及び第2U/A樹脂水性分散液について説明する。
前記の第2U/A樹脂は、ウレタン成分中のポリオール成分として、ポリエステルポリオールを含み、かつ、このポリエステルポリオールが、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸由来の構成単位を有する成分、すなわち、フタル酸系ポリエステル成分、特にイソフタル酸系ポリエステル成分由来の構成成分を有することで、耐油性が良好であるという性質を示す。
第2U/A樹脂中のポリウレタン成分と(メタ)アクリル成分との組成比は、重量比でポリウレタン成分/(メタ)アクリル成分として、80/20〜30/70がよく、70/30〜35/65が好ましい。なお、ポリウレタン成分及び(メタ)アクリル成分の両者の合計量を100とする。
ポリウレタン成分が80/20より多くなると、整髪料として使用した際の熱戻り性(セット性を含む)が悪くなることがある。一方、30/70より少ないと、第2U/A樹脂の製造時の乳化安定性が不足したり、生成する水性エマルジョンが不均一になったりすることがある。
前記第2U/A樹脂を水性エマルジョンとして用いる場合、その濃度は、特に限定されるものではないが、不揮発成分量が20重量%以上となるようにすることが好ましく、30重量%以上となるようにするのがより好ましい。20重量%未満では、乾燥に時間を要する場合がある。一方で、その上限は70重量%以下とすることが好ましく、60重量%以下がより好ましい。70重量%を超えると、エマルジョンが不安定になることがある。
また、前記第2U/A樹脂の最低造膜温度は10℃以下がよく、5℃以下であるのが好ましい。10℃を超えると、皮膜の柔軟性が不足することがある。一方、最低造膜温度は−20℃以上がよく、−10℃以上が好ましい。−20℃未満では得られる皮膜の熱戻り性(セット性を含む)が悪化することがある。
前記第2U/A樹脂の最低造膜温度を、前記の好適範囲とするためには、種々の方法が用いられるが、例えば最低造膜温度を低くする方法としては、以下の<a>〜<c>の方法が挙げられる。なお、最低造膜温度を高くするためには、一般に、この方法と逆の手法を用いればよい。
<a>ポリオール単位として、分子量が例えば1000を超えるような、比較的高分子量のポリオール類を使用する、あるいはその使用量を多くする。
<b>ポリウレタン中のポリオール単位と多価イソシアネート化合物との当量比を1:1に近づける。
<c>(メタ)アクリル系単量体成分として、ガラス転移温度(Tg)の低いものを用いる。
また、前記第2U/A樹脂及び第2U/A樹脂水性分散液の脱臭工程については、前記した第1U/A樹脂及び第1U/A樹脂水性分散液の脱臭工程と同様の方法を用いることが好ましい。
このようにして、(メタ)アクリル単量体成分の残留量を100重量ppm以下とした第2U/A樹脂の水性分散液は、整髪料等の化粧料用に用いた場合、臭気がほとんど無いので、原材料として好ましく使用できる。
この第2U/A樹脂は、前述の通り、シクロペンタシロキサン等のシリコーンオイルと50/50の重量割合で混合した溶液から、23℃でキャスト成膜が可能である。
前記第2U/A樹脂の重量平均分子量(Mw)は、100000以上がよく、150000以上が好ましい。また、重量平均分子量の上限は、2000000がよく、1000000が好ましく、800000がより好ましい。この範囲を満たすことにより、機械安
定性や、顔料を添加する場合の顔料安定性に優れたものとなる。
一方、重量平均分子量が100000より小さいと、顔料分散性に劣る場合がある。また、重量平均分子量が2000000より大きいと、皮膜が硬く脆くなりやすく、風合いが悪くなるおそれがある。このような重量平均分子量(Mw)の範囲とすることで、特に良好な耐油性(キャスト成膜性)を得ることができる。
また第2U/A樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5以上、2.5以下であり、1.7以上、2以下であることが好ましい。
分子量分布をこの範囲とすることで、得られる製品の、低分子量成分によるベタつきや高分子量成分によるゴワつきを低減することができ、特に皮膚用化粧品に用いた時の使用感を改良することができる。
なお、(q)成分である(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体を水性媒体中で乳化重合する場合、重合途中で水性媒体中の重合開始剤、乳化剤等や生成した他の重合体等への連鎖移動反応が生じやすく、得られる重合体の分子量が低くなることがある。
一方、本願においては、(P2)成分(イソシアネート基とカルボキシル基とを有するポリウレタン)と、(q)成分((メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体)とを水性媒体中で乳化分散してなるプレエマルジョンを用いて、(q)成分を重合させて得られるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂水性分散液(第2U/A樹脂水性分散液)を製造するので、エマルジョン液滴において、(P2)成分の内側に(q)成分が配された状態で、ラジカル重合が起きることとなる。このとき、(q)成分は、(P2)成分によって保護されることとなり、(q)成分の重合中の連鎖移動反応が生じにくいだけでなく、重合の停止反応が起きにくい状態で重合が進むため、(q)成分の分子量が大きくなる傾向となる。そして、ウレタン樹脂がシェル部を構成し、(メタ)アクリル樹脂がコア部を構成する、コア−シェル構造の複合樹脂となる。このとき、(q)成分の分子量は、(P2)成分が存在しない状態での乳化重合に比べて大きくなりやすく、得られる複合樹脂の分子量分布は、2つのピークを示すこととなる。
前記第2U/A樹脂は、THF(テトラヒドロフラン)に溶解しない成分(ゲル分)を含有することが好ましい。好ましいゲル分は10重量%以上が好ましく、30重量%以上が好ましい。り、ゲル分率が小さすぎると、配合安定性や耐油性に劣るおそれがある。
ゲル分の上限は特に限定されず、100重量%でもよいが、99重量%以下が好ましい。このようなゲル分とすることで、前述の耐油性(キャスト成膜性)がより向上する。この特性は第2U/A樹脂の重量平均分子量(Mw)を前記のような範囲とすることで、特に効果的に得ることができる。
<(3)成分>
前記の(3)成分は、(t−1)油剤、(t−2)アルコール類、(t−3)界面活性剤、(t−4)タンパク質加水分解物、アミノ酸及びそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種、(t−5)水、のいずれか1つ以上を含有してなる配合成分である。
前記の(t−1)成分における油剤とは、20℃において液状、ペースト状あるいは固体であり、これら(t−1)の例としては、流動パラフィン、ワセリン等の炭化水素、ヒマシ油、ひまわり油、オリーブ油、アルカンツリーカーネルオイル等の植物油、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、セタノール、コレステロール等の高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、精製ラノリン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、鯨ロウ、ミツロウ等の天然ワックスや、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の合成炭化水素系ワックス、セレシン、オゾケライト等の鉱物系ワックス等のロウ類、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の飽和高級脂肪酸、オレイン酸、ウンデシレン酸等の不飽和高級脂肪酸、シリコーン類が挙げられる。シリコーンの具体例としては、例えば、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、フェニルトリメチコン、ジメチコノール、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリオキシエチレン・パーフルオロポリシロキサン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー以外のアミノ変性シリコーン(アミノプロピルフェニルトリメチコンなど)、(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマー(PGはプロピレングリコールの略である)、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ケラチンなどが挙げられる。
本発明の毛髪化粧料中の(t−1)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは毛髪化粧料の総量を基準として、下限は0.01%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.3%以上がさらに好ましい。またその上限は、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.01〜90%が好ましく、より好ましくは0.1〜80%であり、さらに好ましくは0.3〜50%である。これらの範囲内であれば、化粧料としての機能を損なわずに配合することができる。
前記(t−2)成分におけるアルコール類とは、エタノール等の炭素数2〜7の低級アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、3−メチル−1,3−ブタンジオール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等の多価アルコール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール等の糖アルコールが挙げられ、本発明では、感触上の面から特に1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200〜600が好ましく、1,3−ブチレングリコールがより好ましく用いられる。また、糖アルコールを用いると毛髪に対するしなやかさの付与の面では特に優れる。
本発明の毛髪化粧料中の(t−2)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは毛髪化粧料の総量を基準として、下限は0.01%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.3%以上がさらに好ましい。またその上限は、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.01〜90%が好ましく、より好ましくは0.1〜80%であり、さらに好ましくは0.3〜50%である。これらの範囲内であれば、べたつかず、髪に滑らかさやしっとり感を付与することができる。
前記(t−3)成分における界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、非イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤のものを用いることができる。
前記の非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ポリオキシエチレンセチルエーテル等のエーテル型非イオン界面活性剤、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、セスキオレイン酸ソルビタン等のエステル型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
前記のカチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、塩化アルキルトリメチルアンモニウム(塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムなど)、臭化アルキルトリメチルアンモニウム(臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウムなど)などのハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム;塩化ジアルキルジメチルアンモニウム[塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジヤシ油アルキルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C12−18)ジメチルアンモニウム(アルキルの後の括弧内の数値は、アルキル基の炭素数を意味している。以降の各材料についても、同様である。)]などのハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウム;セチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェートなどのアルキルトリメチルアンモニウムメトサルフェート;イソアルキル(C10−40)アミドプロピルエチルジメチルアンモニウムエトサルフェート;などが挙げられる。毛髪化粧料におけるカチオン性界面活性剤の配合量は、例えば、1〜5質量%であることが好ましい。
カチオン性残基の対イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、メトサルフェートイオン、サッカリネートイオンを挙げることができる。
また、これらのカチオン性界面活性剤には、微量の溶媒(エタノール、イソプロパノールなど)が含まれている場合がある。よって、本発明の毛髪化粧料には、カチオン性界面活性剤に含まれている上記の溶媒が配合されていてもよい。
前記のアニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエス
テル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。上記界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。
前記の両性界面活性剤としてはイミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系等が挙げられる。
本発明においては、これら界面活性剤の中から、一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。これら界面活性剤の配合量は、毛髪化粧料の総量を基準として、通常0.1〜20.0%であり、好ましくは0.3〜10.0%である。0.1%未満では安定性を損なう場合があり、20.0%を超えるとべたつきを生じる場合がある。
前記(t−4)成分におけるタンパク質加水分解物やその誘導体の具体例としては、コラーゲン、ケラチン、ダイズタンパク、シルク、エンドウタンパク、コメタンパク等のタンパク質の加水分解物;上記加水分解物の誘導体(トリメチル4級アンモニウム化物、高級アルキル4級アンモニウム化物、アシル化物など);が挙げられる。
前記(t−4)成分におけるアミノ酸やその誘導体の具体例としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リシン、ピロリドンカルボン酸またはその塩、アシル化アミノ酸またはその塩、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ2−オクチルドデシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ2−ヘキシルデシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・2−オクチルドデシル)などが挙げられる。毛髪化粧料におけるアミノ酸およびその誘導体の配合量は、例えば、0.001〜3質量%であることが好ましい。
本発明の毛髪化粧料中の(3)成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは毛髪化粧料の総量を基準として、下限は0.01質量%(以下%と略記)以上が好ましく、0.02%以上がより好ましく、0.05%以上がさらに好ましい。またその上限は、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、85%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.01〜95%が好ましく、より好ましくは0.02〜90%であり、さらに好ましくは0.05〜85%である。これらの範囲内であれば、コンディショニング性、セット性、キープ力、再整髪性の点で、より優れた効果が得られる。
本発明の毛髪化粧料には、上記の各成分以外にも、従来から知られている毛髪化粧料に配合されている各種成分を、必要に応じて添加することができる。このような添加成分としては、例えば、芳香族アルコール、防腐剤、pH調整剤、粘度調整剤、香料などが挙げられる。
前記の芳香族アルコールの具体例としては、例えば、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。毛髪化粧料における芳香族アルコールの配合量は、例えば、0.1〜2質量%であることが好ましい。
前記の防腐剤の具体例としては、例えば、安息香酸およびその塩(ナトリウム塩など);パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどのパラオキシ安息香酸エステルおよびその塩(ナトリウム塩など);サリチル酸およびその塩;ソルビン酸およびその塩;フェノキシエタノール;メチルイソチアゾリノン;メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン;などが挙げられる。
前記のpH調整剤の具体例としては、例えば、グリコール酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの酸;アンモニア、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどのアルカリ;が挙げられる。
粘度調整剤の具体例としては、カーボマー等のアルカリ増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム等;が挙げられる。
<(1)成分〜(3)成分の配合量>
前記の(3)成分100重量部に対する(1)の配合量は、特に限定されないが、好ましくは毛髪化粧料の総量を基準として、下限は0.01質量%(以下%と略記)以上が好ましく、0.02%以上がより好ましく、0.05%以上がさらに好ましい。またその上限は、10%以下が好ましく、9%以下がより好ましく、7%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.01〜10%が好ましく、より好ましくは0.02〜9%であり、さらに好ましくは0.05〜7%である。これらの範囲内であれば、コンディショニング性、セット性、キープ力、再整髪性の点で、より優れた効果が得られる。10%より多いと、大量に配合した樹脂の影響によって髪のごわつき感や樹脂感が強くなるため、コンディショニング効果において十分な効果が得られたないという問題点を生じる場合がある。一方、0.01%より少ないと、コンディショニング効果を得るために配合した成分の影響によって樹脂が可塑効果を受け、十分なキープ力が発揮されない場合がある。
また、前記の(3)成分100重量部に対する(2)成分の配合量は、特に限定されないが、好ましくは毛髪化粧料の総量を基準として、下限は0.01質量%(以下%と略記)以上が好ましく、0.02%以上がより好ましく、0.05%以上がさらに好ましい。またその上限は、30%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。30%より多いと、髪のごわつき感や樹脂感が強くなりすぎるという問題点を生じる場合がある。一方、0.01%より少ないと、膜の連続性が不十分になりキープ力や毛髪への密着性が不十分になり、添加の効果が表れない場合がある。
さらに、前記の(1)成分と(2)成分の配合比は、(1)/(2)で、1/1以上がよく、2/1以上が好ましい。1/1より小さいと、(1)または(2)をどちらか一方のみ(3)に加えた場合との差が見られず、十分な相乗効果が得られない場合がある。一方、配合比の上限は、10/1がよい。10/1より大きいと、(2)の成分の効果が得られない場合がある。
<毛髪化粧料>
さらに、これらの化粧料が、エアゾール形態の製品の場合には、液化石油ガス、ジメチルエーテル等の噴射剤が併用され、その他用途・目的に応じて、金属イオン捕捉剤、防黴剤、殺菌剤、乳濁剤、コンディショニング剤、増粘剤、酸化防止剤、可溶化剤、ロジン、ハイドロトロープ、養毛剤、生薬、色素、香料等を用いてもよい。
前記炭化水素類としては、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマー等が挙げられる。前記直鎖アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。
前記分枝アルコール類としては、モノステアリルグリセリンエーテル、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール及び2−オクチルドデカノール等があげられる。
前記の高級脂肪酸類及びその誘導体としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニル)酸、オレイン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、γ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸等が挙げられる。
前記植物系高分子としては、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等が挙げられる。
前記微生物系高分子としては、キサンタンガム、デキストラン、プルラン等が挙げられる。前記天然水溶性高分子としては、コラーゲン、ゼラチン等の動物系高分子等が挙げられる。前記セルロース系高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース粉末等が挙げられる。
前記半合成水溶性高分子としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。前記ビニル系高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カーボポール)等が挙げられる。
前記ポリオキシエチレン系高分子としては、ポリエチレングリコール20,000、4,0,000、60,000等が挙げられる。前記合成水溶性高分子としては、ポリエチレンイミン等が挙げられる。前記無機の水溶性高分子としては、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラボナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
前記シリコーン類としては、揮発性シリコーン油、シリコーン樹脂、シリコーンガム、アルキル変性シリコーン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン及びアミノ変性シリコーン等が挙げられ、また、前記N−脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩としては、N−ラウリル−L−グルタミン酸モノナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸モノトリエタノールアミン、N−ミリスチル酸アシル−L−グルタミン酸モノナトリウム、N−混合脂肪酸アシル−L−グルタミン酸モノナトリウム等が挙げられる。
前記のN−脂肪酸−N−メチルタウリン塩としては、ラウリン酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。前記N−脂肪酸サルコシン縮合物の塩としては、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム等が挙げられる。
前記の他の界面活性剤としては、アシルサルコシンナトリウム、アシルグルタミン酸塩、アシル−β−アラニンナトリウム、アシルタウレート、ラウリル硫酸塩、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。また、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド及びラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェート及びポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸塩等のアニオン界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウリルジメチルカルボキシベタイン等の両性界面活性剤等があげられる。
前記乳化剤としては、グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
前記保湿剤としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、マルチトール、ソルビトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−1,2−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン等が挙げられる。
前記抗菌剤としては、ヒノキチオール、ヘキサクロロフェン、ベンザルコニウムクロリド、トリクロロカルバニリド及びピチオノール等が挙げられる。血管拡張剤としては塩化カルプロニウム等が挙げられる。清涼感付与剤としては、メントール類等が挙げられる。刺激感付与剤としては、ニコチン酸ベンジル等が挙げられる。また、ビタミン類としては、ビタミンA、B、C、D、E等が挙げられる。
前記殺菌・防腐剤としては、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル、パラベン等が挙げられる。キレート化剤としては、タンパク加水分解物、アミノ酸、植物抽出エキス、EDTA−Na等が挙げられる。pH
調整剤としては、コハク酸、コハク酸ナトリウム、トリエタノールアミン等が挙げられる。
前記グリセライドとしては、椿油、ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、オリーブ油等があげられる。前記ロウ類としては、ミツロウ及びラノリン等があげられる。前記多価アルコール類としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン及びソルビトール等があげられる。
前記の高級アルコールの酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン付加物類としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル等があげられる。
前記アミド類としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル及び乳酸セチル等のエステル類;オレイン酸ジエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミド等があげられる。
前記の蛋白誘導体又はアミノ酸誘導体類としては、コラーゲン加水分解物、ケラチン加水分解物及びポリアミノ酸等があげられる。前記紫外線吸収剤としては、オキシベンゼン等があげられる。
さらに、前記以外に、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、リゾフォスファチジルコリンやリゾフォスファチジン酸、大豆調製物等のラミニン5産生促進剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、硫黄、チアントール等の抗脂漏剤、多様な目的から、ヒノキチオール、酸化亜鉛、シリカ被覆酸化亜鉛、アラントイン、ウコン抽出物、ブナの芽抽出物、加水分解カゼイン、米抽出物加水分解液、米ぬか抽出物、トウニン抽出物、クララ抽出物、チオタウリン、ヒポタウリン、マジョラム抽出物、イチヤクソウ抽出物、キシリトール、アルギニン及びその塩酸塩、セリン、オウバク抽出成分、オウレン抽出成分、カッコン抽出成分、シコン抽出成分、シャクヤク抽出成分、センブリ抽出成分、バーチ抽出成分、セージ抽出成分、ビワ抽出成分、ニンジン抽出成分、アロエ抽出成分、ゼニアオイ抽出成分、アイリス抽出成分、ブドウ抽出成分、ヨクイニン抽出成分、ヘチマ抽出成分、ユリ抽出成分、サフラン抽出成分、センキュウ抽出成分、ショウキョウ抽出成分、オトギリソウ抽出成分、ローズマリー抽出成分、ニンニク抽出成分、トウガラシ抽出成分、ワレモコウ抽出成分等の植物抽出物、チンピ、トウキ等、レチノール、酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、コハク酸DL−α−トコフェロール等のビタ
ミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類なども適宜配合することができる。
さらにまた、上記以外の抗老化薬剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、アルコール類、pH調整剤、洗浄剤、乾燥剤、乳化剤、粉末成分、色材、水性成分、水、各種毛髪栄養剤、香料、植物エキス等を必要に応じて適宜配合することができる。
<毛髪化粧料の具体的用途>
本発明の毛髪化粧料の用途は、整髪用乳液等の整髪剤、セット剤等に使用される。
本発明の毛髪化粧料の使用形態は特に限定されず、例えば、エアゾールヘアスプレー、ポンプ式ヘアスプレー、フォーム状ヘアスプレー、ヘアミスト、セットローション、ヘアジェル、ヘアクリーム及びヘアーオイル等として使用することができる。
本発明の毛髪化粧料には、噴射剤として、トリクロルモノフルオロメタン若しくはジクロルジフルオロメタン等のクロルフルオロアルカン;ハロゲン化炭化水素;アルカン類よりなる液化石油ガス;ジメチルエーテル;二酸化炭素ガス若しくは窒素ガス等の圧縮ガス等、又はこれらの混合ガスを使用し、常法に従いエアゾール剤型とすることもできる。
次に、整髪剤、セット剤としての用途について、用法等の例を示す。
前記整髪剤やセット剤として、泡状態で噴出可能な毛髪化粧料(ムース)とする場合、例えば、本願発明の毛髪用化粧料(固形分)として、0.01〜25重量%、ノニオン性界面活性剤0.1〜5重量%、液化ガス3〜25重量%及び水を主体とする水溶性溶媒60重量%〜残余分等の組成が用いられる。(但し、水は毛髪化粧料中60重量%以上含有される)。
ここで、用いるノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
また、ゲル(ジェル)状の整髪料とする場合は、本願発明の毛髪用化粧料(固形分)として、0.01〜25重量%、ジェルベース0.1〜3重量%、水72重量%〜残余分等の組成が用いられる。
ヘアスプレーとする場合は、本願発明の毛髪用化粧料(固形分)として、0.01〜25重量%、有機溶媒30〜80重量%、噴射剤10〜70重量%等の組成が用いられる。
以下、実施例を用いて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
<原材料>
[(1)成分]
・Z631…三菱化学(株)製:Z−631。この成分は、具体的には、Acrylates/LaurylAcrylate/StearylAcrylate/Ethylamine Oxide Methacrylate copolymerであり、これらのアミンオキシド基含有樹脂は、The Cosmetic Toiletry and
Fragrance Association発行の「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」に記載されている。
[(2)成分]
・FS1000…ジャパンコーティングレジン(株):リカボンドFS−1000。これは、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸由来の構成単位を有するポリエステルポリオールであることを特徴とするポリウレタンと(メタ)アクリル系樹脂を複合してなるウレタン−(メタ)アクリル複合樹脂である。
[(3)成分]
・S24…Elastine It Style 24 Curling Styling Elastinesence LG Household & Health Care社製:水、変性アルコール、シクロペンタシロキサン、グリセリン、ジプロピレングリコール、ミネラルオイル、セテアレス−30、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、アルカンツリーカーネルオイル、加水分解ケラチン、ジメチコンオイル、セテアレス−3、ポリアクリルアミド、13−14イソパラフィン、ラウレス−7、マルチトール、ジメチコン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、カーボマー、トロメタミン、3−オクチルオキシ−1,2−プロパンジオール、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、アクリレーツコポリマー、ミリスチン酸イソプロピル、エチレンジアミン四酢酸、ブチレングリコール、フェノキシエタノール、香料を含む組成物である。
<評価>
[硬さ]
実施例等で得られた組成物を用いて皮膜を形成した毛髪について、JIS K 7171(2008年)に準拠する3点曲げ試験を行うことにより評価した。
具体的には、まず、長さ15cm、重さ1.3gの毛髪の毛束に、実施例1及び比較例1〜3で作製したサンプルをそれぞれ0.4g塗布した。次いで、毛束を櫛で梳かすことにより幅2cmの平板状にした状態で、50℃で2時間乾燥させることにより、皮膜を形成させた。このようにして、表面に皮膜が形成された平板状の毛髪を得た。次いで、23℃、相対湿度60%の条件下にて、毛髪を24時間静置した。
その後、平板状の毛髪を支点間距離65mmの支持台上に乗せ、2cm/分の速度で毛髪の中心部を圧子で押圧した(3点曲げ試験)。そして、毛髪の中心部が2cmの深さまで曲げられた時点での最大荷重(曲げ強度)を計測し、下記の基準で評価した。
〇:曲げ強度が100g以上であった。
△:曲げ強度が20g以上100g未満であった。
×:曲げ強度が20g未満であった。
[カール保持力]
カール保持力は、皮膜を形成した毛髪のカールリテンションを測定することにより評価した。黒色バージンヘア(長さ:23cm、重さ:2g)に、実施例1及び比較例1〜3で作製したサンプルを0.7g塗布し、直ちに、カール径が1.2cmのカーラーを用いてカールを作製し、これを50℃で2時間乾燥させた。
このカールした毛髪ストランドの長さを測定し、この長さを初期値(L0)とする。次に、乾燥させた毛髪ストランドをメモリの付いたボードに吊り下げ、温度30℃、相対湿度90%の高温高湿器に3時間いれた後、毛髪ストランドの長さを測定し、この長さを加湿後の長さ(L1)とする。なお、毛髪ストランドの長さは、カールされた状態であればカールの最大径になり、カールが部分的又は全体的にほどけていれば根元側の端部から最大の長さ(例えば、根元側の端部から毛先側の端部までの長さ)になる。次いで、次式(2)に従って、カールリテンション値を算出した。なお、カールリテンション値が100%に近いほど、カール保持率が強く、耐湿性が優れ、スタイル保持力が優れていることを
意味する。
カールリテンション値(%)=100×(23−L1)/(23−L0)・・・(2)
〇:カールリテンション値が50%以上であった。
△:カールリテンション値が20%以上50%未満であった。
×:カールリテンション値が20%未満であった。
[粘度]
(1ヶ月保存後の粘度変化)
実施例、比較例で得た試料(水中油型乳化組成物のクリーム)を用いて、5℃、23℃、50℃、にて、製造後1日、製造後1ヶ月保存後の粘度変化(B型粘度計、25℃)を測定した。
○:保存後の試料の粘度を、調製直後の試料の粘度で除した値が、0.9以上1.1未満。
△:保存後の試料の粘度を、調製直後の試料の粘度で除した値が、0.7以上0.9未満、または1.1以上1.3未満。
×:保存後の試料の粘度を、調製直後の試料の粘度で除した値が、0.7未満、または1.3超え。
[外観の安定性]
実施例、比較例で得た試料(水中油型乳化組成物のクリーム)を用いて、5℃、23℃、50℃、にて、製造後1日、製造後1ヶ月保存後の外観を目視にて確認した。
○:外観に全く変化がない。
△:外観に若干の変化が見られる。
×:外観が変化し、明らかに粘度の低下又は増加が見られる。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
表1に記載の各成分を表1に記載の量ずつ配合し、組成物を調製し、pHを調整した。
次いで、上記の評価を行った。その結果を表1に示す。