JP2017210545A - 熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、銅張積層板及びプリント配線板 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、銅張積層板及びプリント配線板 Download PDF

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Abstract

【課題】銅箔との高接着性を維持したまま、優れた誘電特性を達成し得る熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、銅張積層板及びプリント配線板を提供する。【解決手段】一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)及びそのプレポリマー(A’)からなる群から選ばれる1種以上と、一般式(2)で表されるマレイミド化合物(B)及びそのプレポリマー(B’)からなる群から選ばれる1種以上と、を含有する、熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、銅張積層板及びプリント配線板である。【選択図】なし

Description

熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、銅張積層板及びプリント配線板に関する。
熱硬化性樹脂は、その特有な架橋構造が高い耐熱性及び寸法安定性を発現するため、電子部品等の高い信頼性を要求される分野において広く使われている。特に銅張積層板及び層間絶縁材料においては、近年の配線の高密度化への要求から、微細配線形成のための高い銅箔接着性、及びドリル又はレーザー打ち抜きにより穴あけ等の加工をする際の加工性も必要とされる。さらに近年、鉛フリーはんだによる電子部品の搭載により、従来のものよりも高い耐熱性が必要になってきている。
携帯電話に代表される移動体通信機器、基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワーク関連電子機器、大型コンピュータなどでは、低損失かつ高速で、大容量の情報を伝送及び処理することが要求されている。大容量の情報を伝送及び処理する場合、電気信号が高周波数の方が、高速に伝送及び処理することができる。ところが、電気信号は、基本的に高周波になればなるほど減衰しやすくなり、より短い伝送距離で出力が弱くなりやすく、損失が大きくなりやすいという性質を有する。したがって、上述の低損失かつ高速通信の要求を満たすためには、機器に搭載された伝送及び処理を行うプリント配線板自体の特性において、誘電特性(比誘電率、誘電正接)、特に高周波帯域での比誘電率及び誘電正接を低減させることが求められている。
従来、低損失で情報を伝送し得るプリント配線板を得るために、比誘電率及び誘電正接が低いフッ素系樹脂を使用した基板材料が使用されてきた。しかしながら、フッ素系樹脂は一般に溶融温度及び溶融粘度が高く、その流動性が比較的低いため、プレス成形時に高温高圧条件を設定する必要があるという問題点がある。しかも、上記の通信機器、ネットワーク関連電子機器、大型コンピュータ等に使用される高多層のプリント配線板用に使用するには、加工性、寸法安定性及び金属めっきとの接着性が不充分であるという問題点がある。
そこで、高周波用プリント配線板用途に対応する、フッ素系樹脂に替わる熱硬化性樹脂材料が研究されている。例えば、エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、ポリフェニレンエーテルとビスマレイミドとを含有する樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)、ポリフェニレンエーテルとシアネート樹脂とを含有する樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)、スチレン−ブタジエン共重合体又はポリスチレンと、トリアリルシアヌレート又はトリアリルイソシアヌレートとを含有する樹脂組成物(例えば、特許文献4及び5参照)等が提案されている。
さらには、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸又は不飽和酸無水物との反応生成物と、多官能性マレイミド等とを含有する樹脂組成物(例えば、特許文献6参照)等が提案されている。
特開昭58−069046号公報 特開昭56−133355号公報 特公昭61−018937号公報 特開昭61−286130号公報 特開平03−275760号公報 特開平06−179734号公報
しかしながら、特許文献1、2又は6に記載された樹脂組成物は、極性の高いエポキシ樹脂、ビスマレイミド等の影響によって硬化後の誘電特性に劣り、高周波用途には不向きであった。
特許文献3に記載された樹脂組成物は、誘電特性に優れるものの、耐熱性が不十分となることがあった。
特許文献4又は5に記載された樹脂組成物は、比誘電率がやや高く、吸湿に伴う誘電特性のドリフトが大きいという傾向が見られた。
さらに、特許文献6に記載された樹脂組成物は、極性の高い不飽和カルボン酸又は不飽和無水物による変性の影響により、変性前のポリフェニレンエーテルを用いた場合よりも誘電特性が悪化するという問題があり、銅箔との接着性を高めるべくして極性基の多い化合物を用いると、誘電特性が低下することが分かった。
本発明の課題は、銅箔との高接着性を維持したまま、優れた誘電特性を達成し得る熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、銅張積層板及びプリント配線板を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、下記[1]〜[16]に関する。

[1]下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)及びそのプレポリマー(A’)からなる群から選ばれる1種以上と、下記一般式(2)で表されるマレイミド化合物(B)及びそのプレポリマー(B’)からなる群から選ばれる1種以上と、を含有する、熱硬化性樹脂組成物。

(式中、RA1及びRA2は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、p及びqは、各々独立に、0〜4の整数を示し、XA1は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基を示す。)

(式中、ArB1は、下記一般式(2−1)、(2−2)又は下記式(2−3)で表される2価の基を示す。但し、ArB1が下記式(2−3)で表される場合、マレイミド化合物(A)は、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド以外の化合物である。)

(式中、nは1〜10の整数を示す。)
[2]更に、下記一般式(3)で表されるジアミノ化合物(C)と、下記一般式(4)で表されるアミノヒドロキシ化合物(D)と、を含有する、上記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。

(式中、ArC1は、下記一般式(3−1)、(3−2)又は(3−3)で表される2価の基を示す。)

(式中、RC1及びRC2は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は水酸基を示し、r及びsは、各々独立に、0〜4の整数を示し、XC1は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、スルホニル基、フルオレニレン基又はフェニレンジオキシ基を示す。)

(式中、XC2は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基を示す。)

(式中、XC3は、各々独立に、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基を示す。)

(式中、ArD1は、下記一般式(4−1)又は(4−2)で表される2価の基を示す。)

(式中、RD1は、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、tは、0〜4の整数を示す。)

(式中、RD2及びRD3は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は水酸基を示し、u及びvは、各々独立に、0〜4の整数を示し、XD1は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、スルホニル基、フルオレニレン基又はフェニレンジオキシ基を示す。)
[3]ジアミノ化合物(C)の含有量が、ジアミノ化合物(C)の1級アミノ基当量と、マレイミド化合物(A)及びマレイミド化合物(B)の合計マレイミド基当量との比[1級アミノ基当量/マレイミド基当量]が、0.05〜0.2となる量であり、
アミノヒドロキシ化合物(D)の含有量が、アミノヒドロキシ化合物(D)の1級アミノ基当量と、マレイミド化合物(A)及びマレイミド化合物(B)の合計マレイミド基当量との比[1級アミノ基当量/マレイミド基当量]が、0.025〜0.25となる量である、上記[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4]前記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)由来の構造単位(a)と、前記一般式(2)で表されるマレイミド化合物(B)由来の構造単位(b)と、を含有するプレポリマー(P)を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
[5]プレポリマー(P)が、更に、前記一般式(3)で表されるジアミノ化合物(C)由来の構造単位(c)と、前記一般式(4)で表されるアミノヒドロキシ化合物(D)由来の構造単位(d)と、を含有する、上記[4]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[6]前記構造単位(c)の含有量が、前記構造単位(c)の含有量から換算される原料の前記ジアミノ化合物(C)の1級アミノ基当量と、前記構造単位(a)及び前記構造単位(b)から換算される原料の前記マレイミド化合物(A)及び前記マレイミド化合物(B)の合計マレイミド基当量との比[1級アミノ基当量/マレイミド基当量]が、0.05〜0.095となる量であり、
前記構造単位(d)の含有量が、前記構造単位(d)の含有量から換算される原料の前記アミノヒドロキシ化合物(D)の1級アミノ基当量と、前記構造単位(a)及び前記構造単位(b)から換算される原料の前記マレイミド化合物(A)及び前記マレイミド化合物(B)のマレイミド基当量との比[1級アミノ基当量/マレイミド基当量]が、0.025〜0.25となる量である、上記[5]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[7]更に、ラジカル反応開始剤(E)を含有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[8]更に、硬化促進剤(F)を含有する、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[9]更に、下記一般式(5−1)で表される芳香族ビニル化合物(G−1)に由来する構造単位(g−1)と、下記式(5−2)で表される無水マレイン酸(G−2)に由来する構造単位(g−2)と、を含有する共重合樹脂(G)を含有する、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。

(式(5−1)中、RG1は、水素原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、RG2は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、wは、0〜3の整数を示す。)
[10]共重合樹脂(G)中の構造単位(g−1)及び構造単位(g−2)の含有量が、モル比[(g−1):(g−2)]で、2:1〜9:1である、上記[9]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[11]更に、下記一般式(6)で表されるエポキシ変性ポリブタジエン(H)を含有する、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。

(式中、a、b及びcはそれぞれ、括弧内の構造単位の比率を表しており、aは0.05〜0.40、bは0.02〜0.30、cは0.30〜0.80であり、さらに、a+b+c=1.0、且つ(a+c)>bを満たす。xは、括弧内の構造単位の数を表し、10〜250の整数である。)
[12]更に、無機充填材(J)を含有する、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[13]更に、難燃剤(K)を含有する、上記[1]〜[12]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[14]上記[1]〜[13]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を含有してなるプリプレグ。
[15]上記[14]に記載のプリプレグと銅箔とを積層してなる銅張積層版。
[16]上記[15]に記載の銅張積層板を用いてなるプリント配線板。
本発明によれば、銅箔との高接着性を維持したまま、優れた誘電特性を達成し得る熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、銅張積層板及びプリント配線板を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[熱硬化性樹脂組成物]
本発明は、下記[1]及び[2]の熱硬化性樹脂組成物を開示するものである。
[1]前記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)及びそのプレポリマー(A’)からなる群から選ばれる1種以上と、前記一般式(2)で表されるマレイミド化合物(B)及びそのプレポリマー(B’)からなる群から選ばれる1種以上と、を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
[2]前記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)由来の構造単位(a)と、前記一般式(2)で表されるマレイミド化合物(B)由来の構造単位(b)と、を含有するプレポリマー(P)を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
以下、上記[1]の熱硬化性樹脂組成物を「第一の熱硬化性樹脂組成物」と称し、上記[2]の熱硬化性樹脂組成物を「第二の熱硬化性樹脂組成物」と称する。
なお、単に「熱硬化性樹脂組成物」と称する場合は「第一の熱硬化性樹脂組成物」及び「第二の熱硬化性樹脂組成物」の両者を指すものとする。
<第一の熱硬化性樹脂組成物>
第一の熱硬化性樹脂組成物は、前記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)(以下、「マレイミド化合物(A)」とも称する)及びそのプレポリマー(A’)(以下、「プレポリマー(A’)」とも称する)からなる群から選ばれる1種以上と、前記一般式(2)で表されるマレイミド化合物(B)(以下、「マレイミド化合物(B)」とも称する)及びそのプレポリマー(B’)(以下、「プレポリマー(B’)」とも称する)からなる群から選ばれる1種以上と、を含有する、熱硬化性樹脂組成物である。
(マレイミド化合物(A)及びそのプレポリマー(A’))
マレイミド化合物(A)は、下記一般式(1)で表される化合物である。

(式中、RA1及びRA2は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、p及びqは、各々独立に、0〜4の整数を示し、XA1は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基を示す。)
一般式(1)中、RA1及びRA2が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
一般式(1)中、XA1が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
A1が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、イソプロピリデン基が好ましい。
A1としては、上記選択肢の中でも、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基が特に好ましい。
一般式(1)中、p及びqは、各々独立に、0〜4の整数であり、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、いずれも、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)は、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、下記一般式(1’)で表される化合物であることが好ましい。

(式中、RA1、RA2、p、q、XA1は、一般式(1)と同様である。)
マレイミド化合物(A)の具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン等が挙げられる。これらの中でも、反応性、耐熱性及びコストの観点から、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドが好ましい。
マレイミド化合物(A)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
マレイミド化合物(A)のプレポリマー(A’)としては、上記したマレイミド化合物(A)を、例えば、後述するジアミノ化合物(C)と反応させ、プレポリマー化させたものが挙げられる。プレポリマー化は、例えば、後述する有機溶媒中で、マレイミド化合物(A)とジアミノ化合物(C)とを、50〜150℃で20〜180分間反応させることで、行うことができる。
なお、プレポリマー(A’)は、マレイミド化合物(A)以外のマレイミド化合物と共にプレポリマー化してもよいが、マレイミド化合物(A)とマレイミド化合物(B)とを共にプレポリマー化したものは、後述するプレポリマー(P)として分類され、プレポリマー(A’)には分類しないものとする。換言すると、プレポリマー(A’)は、少なくともマレイミド化合物(A)に由来する構造単位を有するプレポリマーから、マレイミド化合物(A)由来の構造単位とマレイミド化合物(B)由来の構造単位とを有するプレポリマー(P)を除いたものに該当する。
(マレイミド化合物(B)及びそのプレポリマー(B’))
マレイミド化合物(B)は、下記一般式(2)で表される化合物である。

(式中、ArB1は、下記一般式(2−1)、(2−2)又は下記式(2−3)で表される2価の基を示す。但し、ArB1が下記式(2−3)で表される場合、マレイミド化合物(A)は、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド以外の化合物である。)

(式中、nは1〜10の整数を示す。)

(式中、XB1は、炭素数1〜5のアルキレン基又は炭素数2〜5のアルキリデン基を示す。)
一般式(2−1)中、nは、0〜10の整数であり、入手容易性の観点から、好ましくは0〜5の整数、より好ましくは0〜3の整数であり、n=0〜3の混合物であることが好ましい。
一般式(2−2)中、XB1が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
一般式(2−2)中、XB1が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、イソプロピリデン基が好ましい。
一般式(2)中のArB1として一般式(2−1)で表される2価の基を有するマレイミド化合物(B)の具体例としては、ポリフェニルメタンマレイミドが挙げられる。
一般式(2)中のArB1として一般式(2−2)で表される2価の基を有するマレイミド化合物(B)の具体例としては、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンが好ましい。
一般式(2)中のArB1として式(2−3)で表される2価の基を有するマレイミド化合物(B)としては、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドが挙げられる。
マレイミド化合物(B)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
以上で挙げられたマレイミド化合物(B)の中でも、溶解性、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、一般式(2)中のArB1として、一般式(2−1)で表される2価の基を有するマレイミド化合物(B)、一般式(2)中のArB1として、一般式(2−2)で表される2価の基を有するマレイミド化合物(B)が好ましい。
マレイミド化合物(B)のプレポリマー(B’)としては、上記したマレイミド化合物(B)を、例えば、後述するジアミノ化合物(C)と反応させ、プレポリマー化させたものが挙げられる。プレポリマー化は、例えば、後述する有機溶媒中で、マレイミド化合物(B)とジアミノ化合物(C)とを、50〜150℃で20〜180分間反応させることで、行うことができる。
なお、プレポリマー(B’)は、マレイミド化合物(B)以外のマレイミド化合物と共にプレポリマー化してもよいが、マレイミド化合物(B)とマレイミド化合物(A)とを共にプレポリマー化したものは、後述するプレポリマー(P)として分類され、プレポリマー(B’)には分類しないものとする。換言すると、プレポリマー(B’)は、少なくともマレイミド化合物(B)に由来する構造単位を有するプレポリマーから、マレイミド化合物(A)由来の構造単位とマレイミド化合物(B)由来の構造単位とを有するプレポリマー(P)を除いたものに該当する。
〔第一の熱硬化性樹脂組成物中のマレイミド化合物の含有量〕
次に、マレイミド化合物(A)及びマレイミド化合物(B)の含有量について説明する。
第一の熱硬化性樹脂組成物中における、マレイミド化合物(A)及びマレイミド化合物(B)の合計含有量は、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、樹脂成分の固形分総量100質量部に対して、20〜80質量部が好ましく、30〜70質量部がより好ましく、35〜60質量部がさらに好ましい。
本明細書において、「固形分」とは、溶媒等の揮発する物質を除いた不揮発分のことであり、該樹脂組成物を乾燥させた際に、揮発せずに残る成分を示し、室温で液状、水飴状及びワックス状のものも含む。ここで、本明細書において室温とは25℃を示す。
また、「樹脂成分」とは、後述する無機充填材(J)及び難燃剤(K)を除く、樹脂又は樹脂の製造に使用される成分であり、具体的には、マレイミド化合物(A)、マレイミド化合物(B)、並びに任意に使用されるジアミノ化合物(C)、アミノヒドロキシ化合物(D)、ラジカル重合開始剤(E)、硬化促進剤(F)、共重合樹脂(G)、エポキシ変性ポリブタジエン(H)等が樹脂成分に該当する。
マレイミド化合物(A)及びマレイミド化合物(B)の総量中における、マレイミド化合物(A)の含有量は、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、20〜80質量%が好ましく、25〜75質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。
なお、プレポリマー(A’)及びプレポリマー(B’)の含有量は、第一の熱硬化性樹脂組成物中に含まれるプレポリマー(A’)及びプレポリマー(B’)の量から換算される原料のプレポリマー(A)及びプレポリマー(B)の量が、前記マレイミド化合物(A)の含有量及びマレイミド化合物(B)の含有量の範囲となることが好ましい。
(ジアミノ化合物(C))
第一の熱硬化性樹脂組成物は、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、更に、下記一般式(3)で表されるジアミノ化合物(C)を含有することが好ましい。

(式中、ArC1は、下記一般式(3−1)、(3−2)又は(3−3)で表される2価の基を示す。)

(式中、RC1及びRC2は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は水酸基を示し、r及びsは、各々独立に、0〜4の整数を示し、XC1は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、スルホニル基、フルオレニレン基又はフェニレンジオキシ基を示す。)

(式中、XC2は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基を示す。)

(式中、XC3は、各々独立に、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基を示す。)
一般式(3−1)中、RC1及びRC2が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
一般式(3−1)中、RC1及びRC2が示す炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも、メトキシ基が好ましい。
一般式(3−1)中、XC1が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、プロピリデン基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
一般式(3−1)中、XC1が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。該アルキリデン基としては、イソプロピリデン基が好ましい。
C1としては、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、−O−が好ましく、メチレン基、−O−がより好ましい。
一般式(3−1)中、r及びsは、各々独立に、0〜4の整数を示し、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
一般式(3−1)で表される2価の基は、下記一般式(3−1’)で表される2価の基であることが好ましい。

(式中、RC1、RC2、r、s、XC1は、一般式(3−1)と同様である。)
一般式(3−2)中、XC2が示す炭素数1〜5のアルキレン基及び炭素数2〜5のアルキリデン基は、一般式(3−1)中のXC1が示すアルキレン基及びアルキリデン基と同じものが挙げられる。XC2としては、単結合、炭素数2〜5のアルキリデン基、スルホニル基が好ましい。
一般式(3−3)中、XC3が示す炭素数1〜5のアルキレン基及び炭素数2〜5のアルキリデン基は、一般式(3−1)中のXC1が示すアルキレン基及びアルキリデン基と同じものが挙げられる。XC3としては、炭素数2〜5のアルキリデン基が好ましく、イソプロピリデン基がより好ましい。
一般式(3)中のArC1として、一般式(3−1)で表される2価の基を有するジアミノ化合物(C)の具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
一般式(3)中のArC1として、一般式(3−2)で表される2価の基を有するジアミノ化合物(C)の具体例としては、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等が挙げられる。
一般式(3)中のArC1として、一般式(3−3)で表される2価の基を有するジアミノ化合物(C)の具体例としては、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等が挙げられる。
これらの中でも、ジアミノ化合物(C)としては、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、一般式(3)中のArC1として、一般式(3−1)で表される基を有するジアミノ化合物(C)が好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがより好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルメタンがさらに好ましい。
ジアミノ化合物(C)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第一の熱硬化性樹脂組成物中における、ジアミノ化合物(C)の含有量は、ジアミノ化合物(C)の1級アミノ基当量と、マレイミド化合物(A)及びマレイミド化合物(B)の合計マレイミド基当量との比[1級アミノ基当量/マレイミド基当量]が、0.05〜0.2となる量が好ましく、0.06〜0.15となる量がより好ましく、0.07〜0.1となる量がさらに好ましい。前記当量比が0.05以上であると、十分な反応性、優れた銅箔との接着性及び高誘電特性が得られ、0.2以下であると、耐熱性及び誘電特性に優れる。
(アミノヒドロキシ化合物(D))
第一の熱硬化性樹脂組成物は、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、更に、下記一般式(4)で表されるアミノヒドロキシ化合物(D)を含有することが好ましい。

(式中、ArD1は、下記一般式(4−1)又は(4−2)で表される2価の基を示す。)

(式中、RD1は、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、tは、0〜4の整数を示す。)

(式中、RD2及びRD3は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は水酸基を示し、u及びvは、各々独立に、0〜4の整数を示し、XD1は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、スルホニル基、フルオレニレン基又はフェニレンジオキシ基を示す。)
一般式(4−1)中、RD1が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
一般式(4−1)中、tは0〜4の整数であり、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1、特に好ましくは0である。
一般式(4−1)で表される2価の基としては、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、下記一般式(4−1’)又は(4−1’’)で表される2価の基が好ましい。

(式中、RD1は、一般式(4−1)と同様である。)
一般式(4−2)中、RD2及びRD3が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、一般式(4−1)中のRD1が示す脂肪族炭化水素基と同じものが挙げられる。
一般式(4−2)中、XD1が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。
一般式(4−2)中、XD1が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。
以上で挙げられたアミノヒドロキシ化合物(D)の中でも、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、一般式(4)中のArD1として、一般式(4−1)で表される基を有するアミノヒドロキシ化合物(D)が好ましい。
一般式(4)中のArD1として、一般式(4−1)で表される基を有するアミノヒドロキシ化合物(D)の具体例としては、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、4−アミノ−2,3−ジメチルフェノール等が挙げられる。これらの中でも、反応性が高く、安価である点から、p−アミノフェノールが好ましい。
第一の熱硬化性樹脂組成物中における、アミノヒドロキシ化合物(D)の含有量は、アミノヒドロキシ化合物(D)の1級アミノ基当量と、マレイミド化合物(A)及びマレイミド化合物(B)の合計マレイミド基当量との比[1級アミノ基当量/マレイミド基当量]が、0.025〜0.25となる量が好ましく、0.05〜0.2となる量がより好ましく、0.08〜0.15となる量がさらに好ましい。前記当量比が0.025以上であると、十分な反応性、優れた銅箔との接着性及び高誘電特性が得られ、0.25以下であると、優れた耐熱性及び誘電特性が得られる。
<第二の熱硬化性樹脂組成物>
次に、第二の熱硬化性樹脂組成物について説明する。
第二の熱硬化性樹脂組成物は、前記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)由来の構造単位(a)と、前記一般式(2)で表されるマレイミド化合物(B)由来の構造単位(b)と、を含有するプレポリマー(P)を含有する、熱硬化性樹脂組成物である。
構造単位(a)が由来するマレイミド化合物(A)、構造単位(b)が由来するマレイミド化合物(B)は、第一の熱硬化性樹脂組成物に含有されるマレイミド化合物(A)、マレイミド化合物(B)と同様であり、好ましい態様も同様である。
〔第二の熱硬化性樹脂組成中のマレイミド化合物の含有量〕
第二の熱硬化性樹脂組成物におけるプレポリマー(P)の含有量は、プレポリマー(P)の原料として使用したマレイミド化合物(A)及びマレイミド化合物(B)の使用量を考慮して調整することが好ましい。
すなわち、第二の熱硬化性樹脂組成物中に含まれるプレポリマー(P)の量から換算される原料のプレポリマー(A)及びプレポリマー(B)の量が、前記第一の熱硬化性樹脂組成物中におけるマレイミド化合物(A)及びマレイミド化合物(B)の含有量の範囲となることが好ましい。原料のプレポリマー(A)及びプレポリマー(B)の総量中におけるマレイミド化合物(A)の含有量も、前記第一の熱硬化性樹脂組成物における場合と同様である。
プレポリマー(P)は、優れた銅箔との接着性及び高誘電特性の観点から、更に、前記一般式(3)で表されるジアミノ化合物(C)由来の構造単位(c)と、前記一般式(4)で表されるアミノヒドロキシ化合物(D)由来の構造単位(d)と、を含有することが好ましい。
構造単位(c)が由来するジアミノ化合物(C)、構造単位(d)が由来するアミノヒドロキシ化合物(D)は、第一の熱硬化性樹脂組成物に含有されることが好ましいジアミノ化合物(C)、アミノヒドロキシ化合物(D)と同様であり、好ましい態様も同様である。
プレポリマー(P)が構造単位(c)及び構造単位(d)を含有する場合、第二の熱硬化性樹脂組成物における構造単位(c)の含有量、及び構造単位(d)の含有量は、プレポリマー(P)に含まれる構造単位(c)及び構造単位(d)の含有量から換算される原料のジアミノ化合物(C)及びアミノヒドロキシ化合物(D)の含有量が、前記第一の熱硬化性樹脂組成物中におけるジアミノ化合物(C)及びアミノヒドロキシ化合物(D)の含有量の範囲となることが好ましい。
次に、本発明の第一の熱硬化性樹脂組成物及び第二の熱硬化性樹脂組成物が、必要により含有することができるその他の成分について説明する。
<その他の成分>
(ラジカル反応開始剤(E))
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化反応を促進する観点から、更に、ラジカル反応開始剤(E)を含有することが好ましい。
ラジカル反応開始剤(E)としては、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド系ラジカル反応開始剤;p−メンタハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド系ラジカル反応開始剤などが挙げられる。ラジカル反応開始剤(E)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物がラジカル反応開始剤(E)を含有する場合、その含有量は、樹脂成分の固形分総量100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
(硬化促進剤(F))
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化反応を促進する観点から、更に、硬化促進剤(F)を含有することが好ましい。
硬化促進剤(F)としては、イミダゾール類及びその誘導体;ホスフィン類及びホスホニウム塩、第三級ホスフィンとキノン類との付加物等の有機リン系化合物;第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性、耐熱性及び難燃性の観点から、イミダゾール類及びその誘導体が好ましい。硬化促進剤(F)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤(F)としては市販品を用いてもよい。市販品としては、イソシアネートマスクイミダゾール(第一工業製薬株式会社製、商品名:G−8009L)、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート(北興化学工業株式会社製、商品名:TPP−MK)、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン(北興化学工業株式会社製、商品名:TPP−S)等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が硬化促進剤(F)を含有する場合、その含有量は、硬化促進効果及び保存安定性の観点から、樹脂成分の固形分総量100質量部に対して、0.01〜3質量部が好ましく、0.05〜1.5質量部がより好ましく、0.1〜0.8質量部がさらに好ましい。
(共重合樹脂(G))
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、更に、下記一般式(5−1)で表される芳香族ビニル化合物(G−1)に由来する構造単位(g−1)と、下記式(5−2)で表される無水マレイン酸(G−2)に由来する構造単位(g−2)と、を含有する共重合樹脂(G)を含有することが好ましい。

(式(5−1)中、RG1は、水素原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、RG2は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、wは、0〜3の整数を示す。)
G1及びRG2が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
G2が示す炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
構造単位(g−1)おいては、RG1が水素原子であり、且つwが0である下記式(5−1’)で表される構造単位が好ましい。
共重合樹脂(G)中における、構造単位(g−1)と構造単位(g−2)の含有比率[(g−1)/(g−2)](モル比)は、2〜9が好ましく、4〜9がより好ましく、6〜9がさらに好ましい。当該含有比率が2以上であれば、誘電特性及び耐熱性の改善効果が十分となる傾向にあり、9以下であれば、相容性が良好となる傾向にある。
共重合樹脂(G)中における、構造単位(g−1)と構造単位(g−2)との合計含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、実質的に100質量%が特に好ましい。
共重合樹脂(G)の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜18,000が好ましく、6,000〜17,000がより好ましく、8,000〜16,000がさらに好ましく、10,000〜16,000が特に好ましく、12,000〜16,000が最も好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、いずれも、溶離液としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(標準ポリスチレン換算)で測定された値である。
共重合樹脂(G)は、芳香族ビニル化合物(G−1)と無水マレイン酸(G−2)とを共重合することにより製造することができる。
芳香族ビニル化合物(G−1)としては、スチレン、1−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、芳香族ビニル化合物(G−1)及び無水マレイン酸(G−2)以外にも、各種の重合可能な成分を共重合させてもよい。各種の重合可能な成分としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、アクリロニトリル等のビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリロイル基を有する化合物などが挙げられる。
また、上記共重合によって得られた共重合体に、フリーデル・クラフツ反応又はリチウム等の金属系触媒を用いた反応を通じて、アリル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、水酸基などの置換基(一般式(5−1)中のRG2に相当する。)を導入してもよい。
共重合樹脂(G)としては、市販品を用いることもでき、市販品としては、「SMA(登録商標)EF30」(スチレン/無水マレイン酸=3、Mw=9,500)、「SMA(登録商標)EF40」(スチレン/無水マレイン酸=4、Mw=11,000)、「SMA(登録商標)EF60」(スチレン/無水マレイン酸=6、Mw=11,500)、「SMA(登録商標)EF80」(スチレン/無水マレイン酸=8、Mw=14,400)[以上、サートマー社製]等が挙げられる。これらの中でも、「SMA(登録商標)EF80」が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が共重合樹脂(G)を含有する場合、その含有量は、樹脂成分の固形分総量100質量部に対して、5〜40質量部が好ましく、10〜35質量部がより好ましく、15〜30質量部がさらに好ましい。共重合樹脂(G)の含有量が5質量部以上であると、溶解性が向上し、ワニス作製時の析出を抑制することができると共に、誘電特性に優れる。また、40質量部以下であると、未反応成分の発生を抑制し、優れた銅箔との接着性が得られる。
(エポキシ変性ポリブタジエン(H))
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、銅箔との接着性及び誘電特性の観点から、更に、下記一般式(6)で表されるエポキシ変性ポリブタジエン(H)を含有することが好ましい。

(式中、a、b及びcはそれぞれ、括弧内の構造単位の比率を表しており、aは0.05〜0.40、bは0.02〜0.30、cは0.30〜0.80であり、さらに、a+b+c=1.0、且つ(a+c)>bを満たす。xは、括弧内の構造単位の数を表し、10〜250の整数である。)
一般式(6)中の各構造単位の結合順序は順不同である。つまり、左に示された構造単位と、中心に示された構造単位と、右に示された構造単位とは、入れ違っていてもよく、それぞれを、(a)、(b)、(c)で表すと、−[(a)−(b)−(c)]−[(a)−(b)−(c)−]−、−[(a)−(c)−(b)]−[(a)−(c)−(b)−]−、−[(b)−(a)−(c)]−[(b)−(a)−(c)−]−、−[(a)−(b)−(c)]−[(c)−(b)−(a)−]−、−[(a)−(b)−(a)]−[(c)−(b)−(c)−]−、−[(c)−(b)−(c)]−[(b)−(a)−(a)−]−等、種々の結合順序があり得る。
銅箔との接着性、耐熱性、熱膨張係数及び柔軟性の観点から、aは0.10〜0.30が好ましく、bは0.10〜0.30が好ましく、cは0.40〜0.80が好ましい。
エポキシ変性ポリブタジエン(H)は、例えば、分子両末端に水酸基を有するポリブタジエンを、過酸化水素又は過酸類によりエポキシ化することによって容易に製造され、前記一般式(6)で表されるエポキシ変性ポリブタジエンについても同様にして製造される。
原料である「分子両末端に水酸基を有するポリブタジエン」としては、下記一般式(6’)で表される液状ポリブタジエンが好ましい。つまり、エポキシ変性ポリブタジエン(H)としては、下記一般式(6’)で表される液状ポリブタジエンをエポキシ化して得られるものであることが好ましい。

(式中、a、b、c及びyは、前記一般式(6)中のものと同じである。)
原料である分子両末端に水酸基を有するポリブタジエン(前記一般式(6’)で表される分子両末端に水酸基を有する液状ポリブタジエンを含む。)としては、市販品を使用できる。市販品としては、「Poly.BD R−15HT」、「Poly.BD R−45HT」(以上、出光興産株式会社製)等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような水酸基を有するポリブタジエンは、水酸基を有し、且つ、ブタジエンの1,4−ビニル結合構造が1,2−ビニル結合構造よりも多く含まれること[(a+c)>b]により、強靱性が付与されて、耐衝撃性及び銅箔との接着性が向上する傾向がある。
一般式(6)において、a=0.20、b=0.20、c=0.60及びy=10〜250の整数となるエポキシ化ポリブタジエンの市販品としては、「エポリード(登録商標)PB3600」(株式会社ダイセル製)等が挙げられ、柔軟性、耐衝撃性、機械的強度及び接着性の観点から、当該市販品を用いることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物がエポキシ変性ポリブタジエン(H)を含有する場合、その含有量は、樹脂成分の固形分総量100質量部に対して、5〜40質量部が好ましく、10〜35質量部がより好ましく、15〜30質量部がさらに好ましい。エポキシ変性ポリブタジエン(H)の含有量が5質量部以上であると、良好な銅箔との接着性が得られ、また、40質量部以下であると、良好な耐熱性が得られる。
(無機充填材(J))
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱膨張係数を低減し、弾性率、耐熱性及び難燃性を向上させる観点から、更に、無機充填材(J)を含有することが好ましい。
無機充填材(J)としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、石英粉末、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラスなどが挙げられる。ガラスとしては、Eガラス、Tガラス、Dガラス等が好ましく挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性、耐熱性及び難燃性の観点からは、シリカ、アルミナ、マイカ、タルクが好ましく、シリカ、アルミナがより好ましく、シリカがさらに好ましい。シリカとしては、破砕シリカ、フュームドシリカ、球状シリカが挙げられ、破砕シリカ、球状シリカが好ましく用いられる。シリカは、熱膨張係数及び熱硬化性樹脂組成物へ充填した際の流動性の観点から、球状シリカが好ましい。
無機充填材(J)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの平均粒子径に特に制限はないが、0.01〜30μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましく、0.5〜6μmがさらに好ましい。シリカの平均粒子径が0.01μm以上であると、高充填した際にも流動性を良好に保てる傾向にあり、また、30μm以下であると、粗大粒子の混入確率を減らして粗大粒子に起因する不良の発生を抑えることができる傾向にある。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めたとき、体積50%に相当する点の粒子径のことであり、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
また、シリカの比表面積は、4m/g以上が好ましく、4〜9m/gがより好ましく、5〜7m/gがさらに好ましい。なお、比表面積は、BET法で求めることができる。例えば、粉体試料表面に、窒素を液体窒素温度で吸着させ、その吸着量から粉体試料の比表面積を求めるBET法で求めることができる。
無機充填材(J)は、カップリング剤で表面処理されたものであってもよい。つまり、直接、シリカ等の無機充填材(J)に乾式又は湿式で表面処理した後、配合時にそのまま又はスラリー化して用いる方法を採用することも好ましい。一方、表面未処理のシリカ等の無機充填材(J)を配合した後、表面処理剤を樹脂組成物中に添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式を採用してもよい。
該カップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、フェニルシラン系カップリング剤、アルキルシラン系カップリング剤、アルケニルシラン系カップリング剤、アルキニルシラン系カップリング剤、ハロアルキルシラン系カップリング剤、シロキサン系カップリング剤、ヒドロシラン系カップリング剤、シラザン系カップリング剤、アルコキシシラン系カップリング剤、クロロシラン系カップリング剤、(メタ)アクリルシラン系カップリング剤、イソシアヌレートシラン系カップリング剤、ウレイドシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、スルフィドシラン系カップリング剤、イソシアネートシラン系カップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、熱膨張係数の観点及び他の成分との密着性の観点からは、アミノシラン系カップリング剤が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が無機充填材(J)を含有する場合、その含有量は、熱膨張係数を低減し、弾性率、耐熱性及び難燃性を向上させる観点から、樹脂成分の固形分総量100質量部に対して、20〜80質量部が好ましく、50〜80質量部がより好ましく、50〜70質量部がさらに好ましい。
(難燃剤(K))
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、難燃性を向上させる観点から、更に、難燃剤(K)を含有することが好ましい。
難燃剤(K)としては、熱分解温度が300℃未満の水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の金属水和物;臭素、塩素等を含有する含ハロゲン系難燃剤;リン系難燃剤;スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤;シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤;三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機系難燃助剤などが挙げられる。これらの中でも、環境保護の観点から、含ハロゲン系難燃剤以外の難燃剤が好ましく、耐熱性、銅箔との接着性、弾性率、熱膨張係数等の低下が少なく、かつ高難燃性を付与する観点からは、リン系難燃剤がより好ましい。難燃剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
リン系難燃剤としては、無機系のリン系難燃剤と、有機系のリン系難燃剤がある。
無機系のリン系難燃剤としては、赤リン;リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム;リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物;リン酸;ホスフィンオキシドなどが挙げられる。
有機系のリン系難燃剤としては、芳香族リン酸エステル、1置換ホスホン酸ジエステル、2置換ホスフィン酸エステル、2置換ホスフィン酸の金属塩、有機系含窒素リン化合物、環状有機リン化合物、リン含有フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、芳香族リン酸エステル、2置換ホスフィン酸の金属塩が好ましい。ここで、金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、チタン塩、亜鉛塩のいずれかであることが好ましく、アルミニウム塩であることが好ましい。また、有機系のリン系難燃剤の中では、芳香族リン酸エステルがより好ましい。
芳香族リン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
1置換ホスホン酸ジエステルとしては、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸ビス(1−ブテニル)等が挙げられる。
2置換ホスフィン酸エステルとしては、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル等が挙げられる。
2置換ホスフィン酸の金属塩としては、ジアルキルホスフィン酸の金属塩、ジアリルホスフィン酸の金属塩、ジビニルホスフィン酸の金属塩、ジアリールホスフィン酸の金属塩等が挙げられる。これら金属塩は、前述の通り、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、チタン塩、亜鉛塩のいずれかであることが好ましい。
有機系含窒素リン化合物としては、ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物;リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム等が挙げられる。
環状有機リン化合物としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等が挙げられる。
これらの中でも、誘電特性及びガラス転移温度の観点から、芳香族リン酸エステル、2置換ホスフィン酸の金属塩及び環状有機リン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、芳香族リン酸エステル及び2置換ホスフィン酸の金属塩から選択される少なくとも1種がより好ましい。
難燃剤(K)としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、「PX−200」(1,3−フェニレンビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、リン含有量=9質量%、大八化学工業株式会社製)、「OP−935」(ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩、リン含有量=23.5質量%、クラリアント社製)等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が難燃剤(K)を含有する場合、その含有量は、難燃性の観点から、樹脂成分の固形分総量100質量部に対して、0.01〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、1〜8質量部がさらに好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記の成分の他に、熱硬化性樹脂の硬化剤、変性剤、着色剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線不透過剤等を含有していてもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、その取り扱い上、有機溶媒を含有していてもよい。本明細書では、有機溶剤を含有させた熱硬化性樹脂組成物を、樹脂ワニスと称することがある。有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を包含する窒素原子含有溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒を包含する硫黄原子含有溶媒;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒などが挙げられる。これらの中でも、溶解性の点から、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶媒として残り難い点からは、ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
有機溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を含有してなるプリプレグである。本発明のプリプレグは、前記熱硬化性樹脂組成物をシート状補強基材に含浸又は塗工し、加熱等により半硬化(Bステージ化)させて製造することができる。
プリプレグのシート状補強基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。シート状補強基材の材質としては、紙、コットンリンターのような天然繊維;ガラス繊維、アスベスト等の無機物繊維;アラミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル等の有機繊維;これらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、難燃性の観点から、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維基材としては、Eガラス、Cガラス、Dガラス、Sガラス等を用いた織布又は短繊維を有機バインダーで接着したガラス織布;ガラス繊維とセルロース繊維とを混沙したものなどが挙げられ、より好ましくは、Eガラスを使用したガラス織布である。
これらのシート状補強基材は、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状を有する。なお、材質及び形状は、目的とする成形物の用途及び性能により選択され、1種を単独で使用してもよいし、必要に応じて、2種以上の材質及び形状を組み合わせることもできる。
熱硬化性樹脂組成物をシート状補強基材に含浸又は塗工させる方法としては、ホットメルト法又はソルベント法が好ましい。
シート状補強基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性、耐湿性及び加工性の観点から好ましい。熱硬化性樹脂組成物を基材に含浸又は塗工した後、通常、好ましくは100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥して半硬化(Bステージ化)させることにより、本発明のプリプレグを得ることができる。
[銅張積層板]
本発明の銅張積層板は、前記プリプレグと銅箔とを積層してなるものである。例えば、前記プリプレグを1枚用いるか又は必要に応じて2〜20枚重ね、その片面又は両面に銅箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。
銅張積層板の成形条件としては、電気絶縁材料用積層板及び多層板の公知の成形手法を適用することができ、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間で成形することができる。
また、本発明のプリプレグと内層用プリント配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
銅箔の厚みに特に制限はなく、プリント配線板の用途等により適宜選択できる。銅箔の厚みは、0.5〜150μmが好ましく、1〜100μmがより好ましく、5〜50μmがさらに好ましく、5〜30μmが特に好ましい。
なお、銅箔にめっきをすることによりめっき層を形成することも好ましい。
めっき層の金属は、めっきに使用し得る金属であれば特に制限されない。めっき層の金属は、銅、金、銀、ニッケル、白金、モリブデン、ルテニウム、アルミニウム、タングステン、鉄、チタン、クロム、又はこれらの金属元素のうちの少なくとも1種を含む合金の中から選択されることが好ましい。
めっき方法としては特に制限はなく、公知の方法、例えば、電解めっき法及び無電解めっき法が利用できる。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の銅張積層板を用いてなるものである。
本発明のプリント配線板は、銅張積層板の金属箔に回路加工を施すことにより製造することができる。回路加工は、例えば、銅箔表面にレジストパターンを形成後、エッチングにより不要部分の銅箔を除去し、レジストパターンを剥離後、ドリルにより必要なスルーホールを形成し、再度レジストパターンを形成後、スルーホールに導通させるためのメッキを施し、最後にレジストパターンを剥離することにより行うことができる。このようにして得られたプリント配線板の表面にさらに上記の銅張積層板を前記したのと同様の条件で積層し、さらに、上記と同様にして回路加工して多層プリント配線板とすることができる。この場合、必ずしもスルーホールを形成する必要はなく、バイアホールを形成してもよく、両方を形成することができる。このような多層化は必要枚数行えばよい。
次に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。本発明に係る熱硬化性樹脂組成物を用いて、プリプレグ、さらに銅張積層板を作製し、作製された銅張積層板を評価した。評価方法を以下に示す。
[評価方法]
(1)樹脂ワニス中の析出物の有無
ナイロン製の#200篩いに作製した樹脂ワニスを通し、目視にて析出物の有無を確認した。
(2)銅箔との接着性(銅箔ピール強度)
各例で作製した銅張積層板を銅エッチング液「過硫酸アンモニウム(APS)」(株式会社ADEKA製)に浸漬することにより3mm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機「Ez−Test」(株式会社島津製作所製)を用いて銅箔のピール強度を測定し、銅箔との接着性の指標とした。値が大きいほど、銅箔との接着性に優れることを示す。
(3)誘電特性(比誘電率、誘電正接)
各例で作製した銅張積層板を銅エッチング液「過硫酸アンモニウム(APS)」(株式会社ADEKA製)に浸漬することにより銅箔を取り除いた後、2mm×85mmに切断し、ネットワークアナライザ「E8364B」(Aglient Technologies社製)を用い、空洞共振器摂動法により、5GHzでの銅張積層板の比誘電率及び誘電正接を測定した。比誘電率及び誘電正接は小さいほど好ましく、誘電特性に優れる。
以下、実施例及び比較例で使用した各成分について説明する。
[(A)成分:マレイミド化合物]
・BMI:4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(ケイ・アイ化成株式会社製)(前記一般式(1)で表される化合物に該当する。)
[(B)成分:マレイミド化合物]
・BMI−2300:ポリフェニルメタンマレイミド(大和化成工業株式会社製)(前記一般式(2)で表され、ArB1として、前記一般式(2−1)で表される基を有する化合物に該当する。)
・BMI−4000:2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(大和化成工業株式会社製)(前記一般式(2)で表され、ArB1として、前記一般式(2−2)で表される基を有する化合物に該当する。)
・BMI−5100:3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業株式会社製)(前記一般式(2)で表され、ArB1として、前記一般式(2−3)で表される基を有する化合物に該当する。)
[(C)成分:ジアミノ化合物]
・4,4’−ジアミノジフェニルメタン:(東京化成工業株式会社製)
[(D)成分:アミノヒドロキシ化合物]
・p−アミノフェノール(イハラケミカル工業株式会社製)
[(E)成分:ラジカル反応開始剤]
・パーブチル(登録商標)P:α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(日油株式会社製)
[(F)成分:硬化促進剤]
・G−8009L:イソシアネートマスクイミダゾール(ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂と2−エチル−4−メチルイミダゾールの付加反応物(第一工業製薬株式会社製)
[(G)成分:共重合樹脂]
・SMA−EF−80:スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂(サートマー社製)
[(H)成分:エポキシ変性ポリブタジエン]
・PB3600:末端に水酸基を有するエポキシ変性ポリブタジエン(株式会社ダイセル製)
[(J)成分:無機充填材]
・Megashil 525ARI:アミノシラン系カップリング剤により処理された破砕シリカ、平均粒子径=1.9μm、比表面積=5.8m/g(シベルコ社製)
[(K)成分:難燃剤]
・PX−200:1,3−フェニレンビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)(リン含有量:9質量%、大八化学工業株式会社製)
・OP−935:ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩(リン含有量:23.5質量%、クラリアント社製)
[(P)成分:プレポリマー(P)]
・プレポリマー(P−1)〜(P−6):温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、表1に記載の(A)〜(D)成分及びN,N−ジメチルアセトアミドを表1に記載の配合量で投入し、100℃で120分間反応させて、プレポリマー(P−1)〜(P−6)の溶液(樹脂含有量が60質量%)を各々得た。
[(P’)成分:プレポリマー(比較用成分)]
・プレポリマー(P−7’)及び(P−8’):温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、表1に記載の(A)成分、(C)成分及びN,N−ジメチルアセトアミドを表1に記載の配合量で投入し、100℃で120分間反応させて、プレポリマー(P−7’)及び(P−8’)の溶液(樹脂含有量が60質量%)を各々得た。
実施例1〜6、比較例1〜2
上記に示した各成分を表1に記載の通りに配合(単位:質量部。但し、溶液又は分散液の場合は固形分換算量を示す。)し、さらに溶液の不揮発分(無機充填材を含む。)が67質量%になるようにメチルエチルケトンを追加し、各実施例及び各比較例の熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。該熱硬化性樹脂組成物を用いて、前記方法に従って析出物の有無を確認した。
得られた各熱硬化性樹脂組成物を、厚さ0.1mmのEガラスクロス「#3313」(型番、日東紡積株式会社製)に含浸し、135℃で3.5分間、加熱乾燥してプリプレグ(熱硬化性樹脂組成物の含有量:56±2質量%)を得た。
このプリプレグを8枚重ねたものの両面に18μmの銅箔「YGP−18」(日本電解株式会社製)を重ね、温度200℃、2.5MPaにて80分間加熱加圧成形し、厚さ0.8mm(プリプレグ8枚分)の両面銅張積層板を作製した。
こうして作製した銅張積層板を用いて、前記評価を実施した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の実施例においては、樹脂ワニス中にプレポリマー等の析出物が見られず、誘電特性に優れ、銅箔密着性にも優れるプリプレグ及び積層板が得られている。一方、マレイミド化合物(B)を用いていない比較例1では、プレポリマーの析出が確認され、比較例2は、銅箔密着性及び誘電特性が実施例より劣っていた。

Claims (16)

  1. 下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)及びそのプレポリマー(A’)からなる群から選ばれる1種以上と、下記一般式(2)で表されるマレイミド化合物(B)及びそのプレポリマー(B’)からなる群から選ばれる1種以上と、を含有する、熱硬化性樹脂組成物。

    (式中、RA1及びRA2は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、p及びqは、各々独立に、0〜4の整数を示し、XA1は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基を示す。)

    (式中、ArB1は、下記一般式(2−1)、(2−2)又は下記式(2−3)で表される2価の基を示す。但し、ArB1が下記式(2−3)で表される場合、マレイミド化合物(A)は、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド以外の化合物である。)

    (式中、nは1〜10の整数を示す。)

  2. 更に、下記一般式(3)で表されるジアミノ化合物(C)と、下記一般式(4)で表されるアミノヒドロキシ化合物(D)と、を含有する、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    (式中、ArC1は、下記一般式(3−1)、(3−2)又は(3−3)で表される2価の基を示す。)

    (式中、RC1及びRC2は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は水酸基を示し、r及びsは、各々独立に、0〜4の整数を示し、XC1は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、スルホニル基、フルオレニレン基又はフェニレンジオキシ基を示す。)

    (式中、XC2は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基を示す。)

    (式中、XC3は、各々独立に、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基を示す。)

    (式中、ArD1は、下記一般式(4−1)又は(4−2)で表される2価の基を示す。)

    (式中、RD1は、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、tは、0〜4の整数を示す。)

    (式中、RD2及びRD3は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は水酸基を示し、u及びvは、各々独立に、0〜4の整数を示し、XD1は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、スルホニル基、フルオレニレン基又はフェニレンジオキシ基を示す。)
  3. ジアミノ化合物(C)の含有量が、ジアミノ化合物(C)の1級アミノ基当量と、マレイミド化合物(A)及びマレイミド化合物(B)の合計マレイミド基当量との比[1級アミノ基当量/マレイミド基当量]が、0.05〜0.2となる量であり、
    アミノヒドロキシ化合物(D)の含有量が、アミノヒドロキシ化合物(D)の1級アミノ基当量と、マレイミド化合物(A)及びマレイミド化合物(B)の合計マレイミド基当量との比[1級アミノ基当量/マレイミド基当量]が、0.025〜0.25となる量である、請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)由来の構造単位(a)と、前記一般式(2)で表されるマレイミド化合物(B)由来の構造単位(b)と、を含有するプレポリマー(P)を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
  5. プレポリマー(P)が、更に、前記一般式(3)で表されるジアミノ化合物(C)由来の構造単位(c)と、前記一般式(4)で表されるアミノヒドロキシ化合物(D)由来の構造単位(d)と、を含有する、請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 前記構造単位(c)の含有量が、前記構造単位(c)の含有量から換算される原料の前記ジアミノ化合物(C)の1級アミノ基当量と、前記構造単位(a)及び前記構造単位(b)から換算される原料の前記マレイミド化合物(A)及び前記マレイミド化合物(B)の合計マレイミド基当量との比[1級アミノ基当量/マレイミド基当量]が、0.05〜0.095となる量であり、
    前記構造単位(d)の含有量が、前記構造単位(d)の含有量から換算される原料のアミノヒドロキシ化合物(D)の1級アミノ基当量と、前記構造単位(a)及び前記構造単位(b)から換算される原料の前記マレイミド化合物(A)及び前記マレイミド化合物(B)のマレイミド基当量との比[1級アミノ基当量/マレイミド基当量]が、0.025〜0.25となる量である、請求項5に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 更に、ラジカル反応開始剤(E)を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 更に、硬化促進剤(F)を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. 更に、下記一般式(5−1)で表される芳香族ビニル化合物(G−1)に由来する構造単位(g−1)と、下記式(5−2)で表される無水マレイン酸(G−2)に由来する構造単位(g−2)と、を含有する共重合樹脂(G)を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    (式(5−1)中、RG1は、水素原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示し、RG2は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、wは、0〜3の整数を示す。)
  10. 共重合樹脂(G)中の構造単位(g−1)及び構造単位(g−2)の含有量が、モル比[(g−1):(g−2)]で、2:1〜9:1である、請求項9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  11. 更に、下記一般式(6)で表されるエポキシ変性ポリブタジエン(H)を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    (式中、a、b及びcはそれぞれ、括弧内の構造単位の比率を表しており、aは0.05〜0.40、bは0.02〜0.30、cは0.30〜0.80であり、さらに、a+b+c=1.0、且つ(a+c)>bを満たす。xは、括弧内の構造単位の数を表し、10〜250の整数である。)
  12. 更に、無機充填材(J)を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  13. 更に、難燃剤(K)を含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を含有してなるプリプレグ。
  15. 請求項14に記載のプリプレグと銅箔とを積層してなる銅張積層版。
  16. 請求項15に記載の銅張積層板を用いてなるプリント配線板。
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