JP2017201920A - 肺癌治療のための抗癌剤の効果の検査法 - Google Patents

肺癌治療のための抗癌剤の効果の検査法 Download PDF

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Abstract

【課題】特定の遺伝子の発現率を指標として、抗癌剤の効果を検査する方法の提供。【解決手段】チロシンキナーゼ阻害剤に対する癌の感受性を判定し、チロシンキナーゼ阻害剤が癌に対して治療効果を有するかを判定するための補助的データを取得する方法であって、ヒト被験体由来の生物学的試料における、(1)Gli1発現率を検出する工程、(2)PRMT5発現率を検出する工程、および(3)MEP50発現率を検出する工程によりGli1発現率、PRMT5発現率およびMEP50発現率を求め、Gli1発現率、PRMT5発現率およびMEP50発現率に基づいて、チロシンキナーゼ阻害剤に対する癌の感受性を判定し、チロシンキナーゼ阻害剤が癌に対して治療効果を有するかを判定するための補助的データを取得する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、抗癌剤の効果の検査法に関し、具体的には癌細胞における、Gli1、PRMT5およびMEP50の発現率を指標にした検査法に関する。
癌は、日本人の死因の中で最も多く、国立がん研究センターがん対策情報センターの統計によると、2013年に癌で死亡した人は364,872例(男性216,975例、女性147,897例)であり、なかでも肺癌による死亡数が多い。
肺癌には様々な種類があるが、最も一般的なものは、次の2つである。
非小細胞癌(Non-small cell lung cancer: NSCLC): (肺癌の約75%)
小細胞癌(Small cell lung cancer: SCLC)
肺癌に対する治療法には、腫瘍の大きさや種類、進行度、患者の健康状態によって変わるが、一般的に、外科手術(surgery)、放射線療法(radiotherapy: X線療法)、化学療法(chemotherapy: 薬物を使った治療)の3種類の治療法が使用される。
肺癌のうち、最も多い非小細胞癌では、病期に応じて手術や放射線治療と組み合わせて、あるいは単独で抗癌剤治療が行われる。
最近では、癌細胞のDNA異常を把握し、これを利用した治療法「分子標的治療」が行われ、肺癌では、EGFR遺伝子変異やALK遺伝子融合が検出された場合には、それらの阻害剤(EGFRチロシンキナーゼ阻害剤、ALKチロシンキナーゼ阻害剤)による治療が行われている(非特許文献1)。
現在、イレッサ(一般名:ゲフィチニブ)のほか、タルセバ(一般名:エルロチニブ)、ジオトリフ(一般名:アファチニブ)が承認を受けた分子標的治療薬である。
肺癌の治療は、日本肺癌学会による「肺癌診療ガイドライン」に沿って実施され、そこで分子標的治療薬の使用が示されているが、分子標的治療薬によっても治療効果がない患者もいるため、より個別的に適切な治療が行えることが期待されている。
Dobbelstein M et al., Nature review drug discovery 13. 179-196 (2014)
本発明は、特定の遺伝子の発現率を指標として、抗癌剤の効果を検査する方法の提供を目的とする。
本発明者らは、細胞の癌化と深く関わるhedgehog (Hh) シグナル経路下流で機能する、転写因子Gli1と、様々な癌で発現亢進が報告されているアルギニンメチル基転移酵素(PRMT5)とその活性制御因子(MEP50)の発現と抗癌剤の効果との関連について鋭意検討を行った。その結果、前記のGli1、PRMT5およびMEP50の発現が高まることで、特定の抗癌剤の治療薬としての効果が低減することを見出した。
その結果、本発明者らは上記の3種類の遺伝子の発現の程度により抗癌剤の効果を判定し評価する新たな診断方法に関する発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] チロシンキナーゼ阻害剤に対する癌の感受性を判定し、チロシンキナーゼ阻害剤が癌に対して治療効果を有するかを判定するための補助的データを取得する方法であって、ヒト被験体由来の生物学的試料における、
(1)Gli1発現率を検出する工程、
(2)PRMT5発現率を検出する工程、および
(3)MEP50発現率を検出する工程
によりGli1発現率、PRMT5発現率およびMEP50発現率を求め、Gli1発現率、PRMT5発現率およびMEP50発現率に基づいて、チロシンキナーゼ阻害剤に対する癌の感受性を判定し、チロシンキナーゼ阻害剤が癌に対して治療効果を有するかを判定するための補助的データを取得する方法。
[2] ヒト被験体由来の生物学的試料の(1)Gli1発現率がコントロールレベルに比較して亢進していること、
(2)PRMT5発現率がコントロールレベルに比較して亢進していること、および
(3)MEP50発現率がコントロールレベルに比較して亢進していること、
に基づいて、前記ヒト被験体の癌は、チロシンキナーゼ阻害剤による治療に効果がないと判定する、[1]の方法。
[3] Gli1発現率、PRMT5発現率、およびMEP50発現率を免疫組織化学染色または免疫細胞化学染色を行いHスコア法で判定する、[1]または[2]の方法。
[4] 癌が非小細胞肺癌である、[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] 抗Gli1タンパク質抗体、抗PRMT5タンパク質抗体および抗MEP50抗体を含む、[1]〜[4]のいずれかの方法を行うためのキット。
本発明の方法により、肺癌患者の癌組織または癌細胞におけるGli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現率が大きく発現量が陽性であると判定、評価された場合、該癌患者に対して、EGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼ阻害剤、ALKチロシンキナーゼ阻害剤等のチロシンキナーゼ阻害剤が効果がないと判定することができる。
本発明の方法により、癌患者の適切な治療法を決定することができる。
非小細胞癌におけるGli1とPRMT5とMEP50の3つのタンパク質の相互作用を示す図である。 研究対象となった肺癌患者の原発腫瘍の標識抗Gli1抗体、標識抗PRMT5抗体、および標識抗MEP50抗体による染色像を示す図である。 研究対象となった各患者の年齢、性別、症状、EGFR遺伝子変異型、T790M耐性の有無、癌のステージ(yc(r)stage)、M1b、EGFR-TK1、PFS(無増悪生存期間)、MEP50の発現率、PRMT5の発現率、Gli1の発現率およびトータルの発現率(IHC:total)を示す図である。 Gli1、PRMT5およびMEP50の発現率が高い患者(Hi)と低い患者(Lo)の無増悪生存期間(PFS:Progression Free Survival)を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、抗癌剤に対する腫瘍の感受性を判定し、評価するための方法である。腫瘍の抗癌剤に対する感受性はその抗癌剤の腫瘍に対する効果に関与する。従って、本発明は、抗癌剤による癌治療効果を判定し、評価するための方法でもある。
さらに、本発明の方法は、抗癌剤に対する腫瘍の感受性を判定し、評価するための補助的データを取得するための方法であり、さらに抗癌剤による癌治療効果を判定し、評価するための補助的データを取得するための方法でもある。
また、ゲフィチニブ等を投与した肺癌患者の一部で、肺線維症、間質性肺炎などの薬剤耐性肺障害がみられる。本発明は、このような薬剤耐性肺障害発症の可能性を評価・判定する方法も包含する。
本発明の方法においては、転写因子であるGli1、アルギニンメチル基転移酵素(PRMT5)およびアルギニンメチル基転移酵素の活性制御因子であるMEP50の被験体の生体試料における発現率を指標に判定する。ここで、発現率とは発現量や発現の程度とも呼ぶ。生体試料としては、被験体の組織や細胞が挙げられる。生体試料は、癌組織または癌細胞であってもよい。Gli1、PRMT5およびMEP50は、細胞の癌化に関係があるhedgehog (Hh)シグナル経路下流で機能する。図1に非小細胞癌におけるGli1とPRMT5とMEP50の3つのタンパク質の相互作用を示す。図1に示すように、PRMT5とMEP50が転写因子であるGli1に結合し複合体を形成し、Gli1が活性化される。Gli1が活性化されるとGli1は、FoxM1遺伝子、Bmi1遺伝子等の標的遺伝子に作用し、癌細胞を作り出す。MEP50はWDR77とも呼ぶ。
本発明において、検査対象とする癌細胞は、好ましくは肺癌の原発腫瘍細胞である。肺癌は非小細胞癌(Non-small cell lung cancer: NSCLC)も小細胞癌(Small cell lung cancer: SCLC)も含む。好ましくは非小細胞癌である。
本発明により効果を判定、評価する抗癌剤は、分子標的治療薬であるチロシンキナーゼ阻害剤である。チロシンキナーゼ阻害剤として、EGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼ阻害剤およびALK(未分化リンパ腫キナーゼ)チロシンキナーゼ阻害剤(ALK阻害剤)が挙げられる。好ましくは、EGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼ阻害剤の効果を判定、評価することができる。
非小細胞肺癌や大腸癌をはじめとして様々な癌細胞で上皮成長因子受容体(EGFR)が過剰発現しており、癌細胞の増殖が活発となっている。さらに、過剰発現している細胞はそうでない細胞と比べ、高い転移性を示すことが分かっている。ここで、EGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼ阻害剤上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼのリン酸化を阻害すると、癌細胞の増殖に必要なシグナル伝達を遮断することができ、癌細胞の増殖を抑制することができる。また、ALK遺伝子に変異があると、EML4等のタンパク質と融合しEML4-ALK融合タンパク質が産生され、この融合タンパク質が癌細胞の増殖や正常細胞の癌化に関与する。この薬は、ALKチロシンキナーゼのリン酸化を阻害すると、癌細胞の増殖に必要なシグナル伝達を遮断することができ、癌細胞の増殖を抑制することができる。
EGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼ阻害剤として、ゲフィチニブ(商品名:イレッサ(登録商標))、エルロチニブ(商品名:タルセバ(登録商標))、セツキシマブ(商品名:アービタックス(登録商標))、パニツムマブ(商品名:ベクティビックス(登録商標))等が挙げられる。また、ALKチロシンキナーゼ阻害剤として、グリゾチニブ(商品名:ザーコリ(登録商標))、セリチニブ(商品名:ジカディア(登録商標))、アレクチニブ(標品名:アレセンサ(登録商標))等が挙げられる。
本発明の方法においては、生体試料におけるGli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子の発現率を測定する。生体試料におけるGli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子の発現率はGli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子がコードするmRNAの発現量、すなわち転写量を指標としてもよいし、Gli1タンパク質、PRMT5タンパク質およびMEP50タンパク質の発現量を指標としてもよい。
Gli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子がコードするmRNAの発現率を測定する場合、癌組織または癌細胞を生体試料として癌患者であるヒト被験体から採取し、該試料中に含まれるGli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子がコードするmRNAを測定すればよい。mRNAの測定のためには、例えば、バイオプシーにより癌組織の一部を採取し材料として用いて測定すればよい。癌組織の採取は、例えば外来診察中に、内視鏡手術等により、癌組織を採取すればよい。mRNAの測定は採取した癌組織または癌細胞からmRNAを抽出して行うことができる。また、組織切片標本を作製するか、あるいは採取した癌細胞をスライドガラス上に固定し、in situ ハイブリダイゼーション法により染色して行うこともできる。さらに、mRNAを抽出し、ノーザンブロット法やRT-PCR等の公知のRNA測定法により測定してもよい。mRNAの抽出および測定は公知の方法で行うことができる。この際、Gli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子がコードするmRNAを特異的に測定するためには、Gli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子がコードするmRNAの部分配列に相補的な部分配列からなるプローブまたはプライマーを用いる。Gli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子の塩基配列は公知であり、公知の塩基配列情報に基づいて、プローブまたはプライマーを設計すればよい。該プライマーまたはプローブは、上記のGli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子の断片であり、塩基の数は5〜50、好ましくは10〜30、さらに好ましくは15〜25である。
Gli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子の発現率は、例えば、測定したmRNAの定量値で表すことができる。
Gli1タンパク質、PRMT5タンパク質およびMEP50タンパク質の発現率を測定する場合、癌組織または癌細胞を生体試料として採取し、該試料中に含まれるGli1タンパク質、PRMT5タンパク質およびMEP50タンパク質を測定すればよい。Gli1タンパク質、PRMT5タンパク質およびMEP50タンパク質の測定は、癌組織または癌細胞からタンパク質を抽出し、該抽出物中のGli1タンパク質、PRMT5タンパク質およびMEP50タンパク質を測定してもよいし、免疫組織化学または免疫細胞化学の手法により行ってもよい。
抽出したタンパク質の測定は、ELISA、ラジオイムノアッセイ等の公知の免疫測定法(イムノアッセイ)を用いればよい。この際、Gli1タンパク質、PRMT5タンパク質およびMEP50タンパク質に対する抗体を用いて行うことができる。Gli1タンパク質、PRMT5タンパク質およびMEP50タンパク質に対する抗体は公知の手法によりモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体として作製してもよく、市販の抗体を用いてもよい。抗体は必要に応じて、酵素、蛍光物質、放射性同位元素により標識して用いればよい。抗体の標識は公知の方法により行うことができる。
免疫組織化学または免疫細胞化学の手法による測定は、採取した癌組織の切片標本を作製するか、あるいは、採取した癌細胞をスライドガラス上に固定して行えばよい。免疫組織化学の手法による測定のためには、例えば、癌組織をパラフィン中に包埋し、ミクロトーム等の薄切装置で3〜5μm程度の厚さの切片標本を作製し、測定時にキシレンやエタノール処理等によりパラフィンを除去し、生理食塩水または緩衝液に浸して親水化すればよい。染色は、酵素、蛍光物質、放射性同位元素等で標識したGli1タンパク質、PRMT5タンパク質およびMEP50タンパク質に対するそれぞれの抗体を用いて行えばよい。また、Gli1タンパク質、PRMT5タンパク質およびMEP50タンパク質に対するそれぞれの抗体を切片標本中のGli1タンパク質、PRMT5タンパク質およびMEP50タンパク質に結合させ、その後、該抗体に結合する2次抗体であって酵素、蛍光物質等で標識した2次抗体を用いてもよい。標識に用いる酵素として、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等が挙げられる。また、蛍光物質として、フルオレセイン、ローダミン等が挙げられる。さらに、公知のビオチン-アビジン系を利用して染色してもよい。免疫細胞化学は採取した細胞をホルマリン等を用いてスライドガラス上に固定し、免疫組織化学の手法と同様の方法で細胞中のGli1タンパク質、PRMT5タンパク質およびMEP50タンパク質を染色し可視化すればよい。免疫組織化学または免疫細胞化学において、染色は顕微鏡や肉眼で判断することもできるし、適当な光学的測定装置を用いてもよい。免疫組織化学による染色は、公知の方法で行うことができる。
免疫組織化学または免疫細胞化学の手法による測定する場合、染色の程度をソフトウェアで数値化し、上記のようにカットオフ値を定め、陽性か陰性かModerateかを判断することができる。また、発現が亢進しているか否かをHスコア法によって判定してもよい。Hスコア法はSARA BACUS et al., Am J Clin Pathol., 90. 233-239に記載されている方法であり、染色の強度を目視で判断し、以下のように、染色強度を0、1、2または3で判定する。
染色強度0:染色なし、1:弱い染色、2:中程度の染色、3:強い染色
なお、「Moderate」は「境界域」と呼ぶこともでき、例えば、免疫組織化学または免疫細胞化学の手法により染色したときに、弱〜中程度の完全な側方あるいは側方・基底膜側の細胞膜の陽性染色がある癌細胞が一切片に10%以上認められる場合をいう。
染色強度に基づいて、Hスコア=Σ(染色強度×陽性細胞占有率(%))の式によりHスコアを求める。染色強度は目視により判定してもよいし、染色の強さを判定ソフトウェアを用いて数値化してもよい。
Hスコア法を採用する場合、事前にパラフィン包埋切片の一部についてヘマトキシン・エオジン(HE)染色を行い、検査する組織における癌細胞の有無を判断し、癌細胞の部分をHスコアの判定に用いる。Hスコア法を採用する場合、Hスコアが3以上を「強い発現 (Positive)」、Hスコアが2以上3未満を「Moderate」、0以上2未満を「Negative」として判定すればよい。Hスコアの他、Allred法(Allred DC et al. Mod Pathol 1998;11:155-68)等によりスコアリングしてもよい。
あらかじめ、肺癌等の癌患者の肺癌組織等の癌組織または肺癌細胞と魚癌細胞におけるGli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現率と正常被験体(コントロール)の肺組織等の組織におけるM Gli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現率を、mRNAレベルまたはタンパク質レベルで測定しておき、癌患者と正常被験体の発現率を区別するためのカットオフ値を定めておき、該カットオフ値以上になった場合に、Gli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現率がコントロールレベルに比較して亢進していると判定する。
Gli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子の3つの遺伝子またはそれらの遺伝子産物の発現は連動して起こる。従って、3種類の遺伝子のうちの1種類の遺伝子または遺伝子産物の発現が亢進している場合、他の2種類も亢進している場合が多く、3種類の遺伝子のうちの2種類の遺伝子または遺伝子産物の発現が亢進している場合、他の1種類の遺伝子または遺伝子産物の発現も亢進している場合が多い。Gli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子の3種類の遺伝子またはそれらの遺伝子産物のうち、少なくとも1種類、2種類の発現が亢進している場合、残りの1種類または2種類の発現がコントロールレベルと比較して顕著に高くなく同程度の場合でも、トータルでGli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子またはそれらの遺伝子産物の発現が亢進しているという。本発明においては、Gli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMRP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現の程度を、Gli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMRP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現率と呼び、これらの遺伝子または遺伝子産物の発現が亢進していることをGli1、PRMT5およびMRP50の発現率が亢進しているという。
上記のように、免疫組織化学または免疫細胞化学の手法によりGli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現率を測定し、発現が亢進しているか否かをHスコア法によって判定する場合、以下のように判定してもよい。
Gli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物のそれぞれの発現率について、Hスコアが3以上を「強い発現率 (Positive)」、Hスコアが2以上3未満を「Moderate」、0以上2未満を「Negative」として判定する。
Gli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物のうちの1種類の発現率が「強い発現率 (Positive)」の場合、他の2種類の発現率も「強い発現率 (Positive)」か、あるいはModerateであると判定される。3種類の発現率のすべてが「強い発現率 (Positive)」と判定されるか、2種類の発現率が「強い発現率 (Positive)」と判定され1種類の発現率がModerateと判定されるか、あるいは1種類の発現率が「強い発現率 (Positive)」と判定され2種類の発現率がModerateと判定された場合、3種類の発現率はトータルで「強い発現率 (Positive)」と判定することができる。すなわち、3種類の発現率を測定したときに3種類のうち「Negative(陰性)」と判定されるものがなく、かつ、少なくとも1種類が「強い発現率 (Positive)」と判定される場合に、3種類の発現率はトータルで「強い発現率 (Positive)」と判定することができる。一方、Gli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物のいずれの発現率も「強い発現率 (Positive)」と判定されない場合、3種類の発現率はトータルで「Negative(陰性)」と判定することができる。Gli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現率がトータルで「強い発現率 (Positive)」と判定される場合、トータルでGli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現が亢進しているとする。
上記のように、癌患者から採取した癌組織または癌細胞におけるGli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現率を、Gli1発現率、PRMT5発現率およびMEP50発現率を検出する工程で測定し求め、Gli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現が亢進していると判定される場合、すなわちGli1発現率、PRMT5発現率およびMEP50発現率がコントロールレベルに比較して亢進している場合、その癌患者に対して、チロシンキナーゼ阻害剤である抗癌剤が効果がないと判定、評価することができる。一方、癌患者から採取した癌組織または癌細胞におけるGli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現率を測定し、Gli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現が亢進していない場合にチロシンキナーゼ阻害剤である抗癌剤が効果があると判定、評価することができる。
該被験体の癌の治療に抗癌剤としてチロシンキナーゼ阻害剤が効果があると評価、判定することができた場合、該被験体に、チロシンキナーゼ阻害剤を投与すればよい。
投与量は、年齢、体重、症状等により異なるが、数日、数週間あるいは数ヶ月おきに1回あたり、0.001mg〜100mgを静脈注射、腹腔内注射、皮下注射、筋肉注射等によって投与すればよい。投与する阻害剤は、薬理学的に許容され得る担体、希釈剤若しくは賦形剤を含んでいてもよい。また、阻害剤の形態は限定されず、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与、あるいは注射剤、点滴剤、座薬、スプレー剤などによる非経口投与等が挙げられる。
一方、被験体から採取した癌組織または癌細胞においてGli1遺伝子もしくは遺伝子産物、PRMT5遺伝子もしくは遺伝子産物、ならびにMEP50遺伝子もしくは遺伝子産物の発現率が上昇しておらず、該被験体の癌の治療に抗癌剤としてチロシンキナーゼ阻害剤が有効でない可能性が高いと評価、判定された場合、手術療法による癌の切除、上記の抗癌剤以外のプラチナ製剤等の抗癌剤による化学療法、あるいは放射線療法等により治療することになる。プラチナ製剤として、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラテン等が挙げられる。
本発明は、Gli1、MEP50およびPRMT5の発現率に基づいて、抗癌剤であるチロシンキナーゼ阻害剤が被験体の癌の治療に効果があるか否かを判定するためのキットも包含する。該キットは、例えば、抗Gli1タンパク質抗体、抗PRMT5タンパク質抗体および抗MEP50抗体を含むHスコア法で発現率を判定するためのキットである。該キットは、Gli1遺伝子、MEP50遺伝子およびPRMT5遺伝子にハイブリダイズするGli1遺伝子、PRMT5遺伝子およびMEP50遺伝子をコードするmRNAの部分配列に相補的な部分配列からなるプローブまたはプライマーを含んでいてもよい。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
日本医科大学付属病院倫理委員会の承認を受けた「包括的肺癌研究」に該当する患者のうち、日本医科大学付属病院(東京都文京区)で治療を受けた術後再発(ステージIV期相当)肺癌患者を対象とし、腫瘍組織切片と、当該患者の臨床データを用いて研究を行った。
EGFRチロシンキナーゼ阻害薬で治療中の肺がん患者について、1.EGFR遺伝子変異の検出、およびT790M耐性の有無の検出、2.腫瘍細胞中のGli1、PRMT5、MEP50の発現率並びに3.無増悪生存期間(PFS:がんが進行することなく生存している期間)を以下の方法で確認した。
1.EGFR遺伝子変異検出
株式会社 LSIメディエンス(旧: 三菱化学メディエンス)が提供する、EGFR遺伝子変異解析受託サービスを利用した。本解析は新鮮組織、凍結病理標本、パラフィン包埋切片病理標本、胸水のいずれかのサンプルを用い、ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標))に対する感受性ならびに耐性変異に関与するexon18、19、20、21の遺伝子変異を解析する。本検査には正常型遺伝子の増幅を抑制するプライマー(PNAプライマー)と変異型遺伝子特異的プローブ(LNAプローブ)を使用したPNA‐LNA PCR Clamp法により遺伝子変異を高感度(約1%)に検出可能である(受託解析説明書類より引用)。
T790M耐性は、EGFR遺伝子のエキソン20の790番目にあるトレオニンがメチオニンになる変異であり、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に対する獲得耐性症例の約50%にT790Mが検出されることが知られている。
2.腫瘍細胞中のGli1、PRMT5、MEP50の発現率の検出
(1)パラフィン包埋組織切片作製方法
手術によって切除された肺癌患者の原発腫瘍を包埋カセットに入れ、包埋装置を使ってパラフィン包埋病理組織サンプルを作製した。包枚装置は腫瘍組織中の水分を溶解パラフィンと置換するための装置であった。手順としては腫瘍組織をエタノールに浸して、組織中の水分をエタノールと置換した。その後、組織をキシレンに漬け、エタノールをキシレンに置換した。最後に溶解パラフィンに漬け、キシレンを溶解パラフィンと置換した。この工程を全自動で行ってパラフィン包埋病理組織サンプルを作製した。
パラフィン包埋組織をミクロトームにて3〜5μmに薄切してカバーガラスにのせ、熱を加えて切片とカバーガラスを接着させた。
(2)免疫組織染色法
(2-1) 脱パラフィン処理
すべての操作は室温で行った。
(a) サンプルをキシレンで3分ごとに交換しながら5回インキュベーションした。
(b) 100%エタノールで2分間ごとに交換しながら3回インキュベーションした。
(c) 約80%エタノールで2分間インキュベーションした。
(d) 70%エタノールで2分間インキュベーションした。
(e) 水道水で5分間洗浄した。
(f) 超純水でスライドをリンスした。
(2-2) 抗原賦活化処理から目的タンパク質の検出
(a) 0.3%過酸化水素水入りのメタノールでサンプルを室温で30分間インキュベーションした。
(b) イムノセイバー (日新EM株式会社製)入り10 mMクエン酸ナトリウムバッファー (pH6.0)にサンプルを浸し、95℃で45分間インキュベーションした。
サンプルを室温で30分ほど冷却した。
(c) リン酸緩衝生理食塩水(PBS)でサンプルを室温で5分間、3回洗浄した。
(d) スライドおよびスライド周辺の水気をキムワイプでできるだけ拭き取り湿潤チャンバーに静置して、免疫組織用ブロッキング剤(Blocking One Histo: ナカライテスク製)を組織切片上に注ぎ、室温で10分間インキュベーションした。
(e) サンプルをPBSで5分ごとに交換しながら、3回洗浄した。
(f) スライドおよびスライド周辺の水気をキムワイプでできるだけ拭き取り、0.1% ウシ胎児血清アルブミン(BSA)入りのPBSで希釈した一次抗体を組織切片上に注ぎ、湿潤チャンバーに静置して、4℃で一晩インキュベーションした。
(g) 使用した抗体は次の通り。西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗PRMT5抗体: ATLAS ANTIBODIES社製の抗体(カタログ番号: HPA005525)を150倍希釈して使用。西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗MEP50抗体: Brthyl Laboratories社製の抗体(カタログ番号: A301-561A)を1000倍希釈して使用。西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗Gli1抗体: AbCam社製の抗体(カタログ番号: ab134906)を100倍希釈して使用した。
(h) サンプルをPBSで5分ごとに交換しながら、3回洗浄した。
(i) スライドガラスおよびその周辺の水気をキムワイプでできるだけ拭き取り、ヒストファイン(二次抗体: ニチレイバイオサイエンス製)をスライド上の切片に滴下し、湿潤チャンバーに静置して室温で30分間インキュベーションする。サンプルをPBSで5分ごとに交換しながら、3回洗浄した。
(j) DAB溶液(DAB Peroxidase Substrate Kit, ImmPACT: Vector Laboratories社製)を調製(A液1 mlに対し、B液1滴)し、スライドおよびスライド周辺の水気をキムワイプでできるだけ拭き取り、DAB溶液をスライド上の切片に注ぎ、すぐに光学顕微鏡にセットして染色具合を確認する。PRMT5はDAB溶液を注ぎ、2分30秒で染色を終了させた。MEP50は30秒で染色を終了させた。Gli1は7分で染色を終了させた。
(k) 染色が終わったら水道水の入ったバットにスライドガラスを即座に浸した。
(l) 細胞の核を染色するため、ヘマトキシリン溶液に5回程度サンプルを浸けた。1回ごとの時間は3秒であった。
(m) 水道水の入ったバットにスライドガラスを浸して洗浄した。
(2-3) 脱水処理から封入
(a) 80%エタノールで切片を2分間インキュベーションした。
(b) 90%エタノールで切片を2分間インキュベーションした。
(c) 100%エタノールで2分間ごとに交換しながら3回インキュベーションした。
(d) キシレンで2分ごとに交換しながら3回インキュベーションした。
(e) カバーガラスに封入剤を少量つけ、切片を覆った。
(f) 封入剤が乾燥したら、サンプルはケースに入れて室温で保存した。
図2に、研究対象となった肺がん患者の原発腫瘍の標識抗PRMT5抗体、標識抗MEP50抗体、および標識抗Gli1抗体による染色像を示す。上段は強く染色された高発現率の染色像を示し、下段は弱く染色された弱発現率の染色像を示す。
Gli1、MEP50、PRMT5の発現率亢進の判断は、Hスコア法によって行った。Hスコア=Σ(染色強度×陽性細胞占有率(%))で表される(Am J Clin Pathol., 90. 233-239)。ここで染色強度は以下の基準で判定する。
染色強度0:染色なし、1:弱い染色、2:中程度の染色、3:強い染色
図3に、研究対象となった各患者の年齢、性別、症状、EGFR遺伝子変異型、T790M耐性の有無、がんのステージ(yc(r)stage)、M1b、EGFR-TK1、PFS(無増悪生存期間)、MEP50の発現率、PRMT5の発現率、Gli1の発現率およびトータルの発現率(IHC: total)を示す。トータルの発現率(IHC: total)は、MEP50の発現率、PRMT5の発現率、Gli1の発現率の少なくとも1つの発現率が「強い発現率 (Positive)」と判定され、他が「Moderate」と判定された場合に、「強い発現率 (Positive)」と判断される。
図3中、Hスコアが3以上を「強い発現率 (Positive)」、Hスコアが2以上3未満を「Moderate」、0以上2未満を「Negative」としている。
図3より、Gli1、PRMT5、MEP50の発現率はほぼ連動しているという結果が得られた。
図4に、Gli1、MEP50およびPRMT5の発現率が高い患者(Hi)と低い患者(Lo)の無増悪生存期間(PFS:Progression Free Survival)を示す。
図4に示すように、EGFR遺伝子変異の種類、T790M耐性の有無に係らず、Gli1、PRMT5、MEP50の発現率の高い患者では無増悪生存期間が短くなっているという結果になった。
図3および図4の結果は、Gli1、PRMT5、およびMEP50の発現率がModerate以上であることが無増悪生存期間の短縮と相関関係があることを示している。それ未満の発現率ではPFSの短縮との相関関係はないか、または低いと考えられる。
以上より、肺がん患者から採取した腫瘍細胞におけるGli1、PRMT5、MEP50の発現率を確認することで、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に対する腫瘍の感受性を判定することができる。
さらにPRMT5、MEP50を介したGli1の活性化経路は、がん細胞を作り出す大元のともいうべき、肺がん幹細胞の維持に関わることが示唆されるため、ALK融合遺伝子産物を標的とした薬剤ザーコリ(一般名:クリゾチニブ)の治療効果の判断にも使える可能性がある。
なお、本発明によって治療効果を判定した後は、現在定められている治療プロトコルに従って他の薬剤(プラチナ製剤など)投与や放射線治療を行うことになる。
本発明により、癌患者に抗癌剤が有効か否かを判断することができ、抗癌剤の有効な使用が可能になる。

Claims (5)

  1. チロシンキナーゼ阻害剤に対する癌の感受性を判定し、チロシンキナーゼ阻害剤が癌に対して治療効果を有するかを判定するための補助的データを取得する方法であって、ヒト被験体由来の生物学的試料における、
    (1)Gli1発現率を検出する工程、
    (2)PRMT5発現率を検出する工程、および
    (3)MEP50発現率を検出する工程
    によりGli1発現率、PRMT5発現率およびMEP50発現率を求め、Gli1発現率、PRMT5発現率およびMEP50発現率に基づいて、チロシンキナーゼ阻害剤に対する癌の感受性を判定し、チロシンキナーゼ阻害剤が癌に対して治療効果を有するかを判定するための補助的データを取得する方法。
  2. ヒト被験体由来の生物学的試料の(1)Gli1発現率がコントロールレベルに比較して亢進していること、
    (2)PRMT5発現率がコントロールレベルに比較して亢進していること、および
    (3)MEP50発現率がコントロールレベルに比較して亢進していること、
    に基づいて、前記ヒト被験体の癌は、チロシンキナーゼ阻害剤による治療に効果がないと判定する、請求項1に記載の方法。
  3. Gli1発現率、PRMT5発現率、およびMEP50発現率を免疫組織化学染色または免疫細胞化学染色を行いHスコア法で判定する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 癌が非小細胞肺癌である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 抗Gli1タンパク質抗体、抗PRMT5タンパク質抗体および抗MEP50抗体を含む、請求項1〜4のいずれか1項の方法を行うためのキット。
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