JP2017199509A - リチウム硫黄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の少なくとも一つの実施形態は、電解液中に溶出したポリスルフィドイオンを、電気泳動を用いて正極に戻すことで、正極の硫黄量の低減を抑制して充放電サイクルに伴う充放電容量の劣化を防止するリチウム硫黄電池を提供することを目的とする。
【解決手段】硫黄または硫化物を含む正極活物質を有する正極3と、リチウムを含む負極活物質を有する負極5と、正極と負極との間に介在し電解質を含む電解液7と、正極と前記負極との間に介在するセパレータ9とを備えるリチウム硫黄電池1において、正極3の外側と負極5の外側とに配置され、正極3と負極5との間に電場を印加する電場形成電極11a、11bを備え、正極3の外側に配置される電場形成電極が正電荷に帯電されることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】硫黄または硫化物を含む正極活物質を有する正極3と、リチウムを含む負極活物質を有する負極5と、正極と負極との間に介在し電解質を含む電解液7と、正極と前記負極との間に介在するセパレータ9とを備えるリチウム硫黄電池1において、正極3の外側と負極5の外側とに配置され、正極3と負極5との間に電場を印加する電場形成電極11a、11bを備え、正極3の外側に配置される電場形成電極が正電荷に帯電されることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本開示は、リチウム硫黄電池に関する。
リチウム硫黄電池は、理論的に高エネルギー密度であることからリチウムイオン電池に代わる将来電池として期待されている。
このリチウム硫黄電池は、一般的に、硫黄または硫化物を含む正極活物質を有する正極と、リチウムを含む負極活物質を有する負極と、正極と負極との間にリチウム塩を溶解した有機電解質を含む電解液が介在されて構成される。
そして、放電時の反応は、負極では、Li→Li++e−という反応でリチウムイオンができる。正極では、S+2Li++2e−→Li2Sという反応で硫化リチウムが生成される。充電時は逆の反応で元の状態に戻る。
このリチウム硫黄電池は、一般的に、硫黄または硫化物を含む正極活物質を有する正極と、リチウムを含む負極活物質を有する負極と、正極と負極との間にリチウム塩を溶解した有機電解質を含む電解液が介在されて構成される。
そして、放電時の反応は、負極では、Li→Li++e−という反応でリチウムイオンができる。正極では、S+2Li++2e−→Li2Sという反応で硫化リチウムが生成される。充電時は逆の反応で元の状態に戻る。
しかし、放電過程において、正極側から中間生成物(ポリスルフィドSn2−;2<n<8)が電解液中に溶出し、リチウム負極側へ泳動して還元される所謂シャトル機構(内部短絡)が生じる。このため、正極の硫黄量が減少していき、充放電サイクルに伴い充放電量が減少していく問題がある。
特許文献1には、中間生成物(ポリスルフィド)が負極に到達するのを防ぐために、リチウムを含むアノードと硫黄を含むカソードとの間に配置されるセパレータ内に、ポリスルフィドバリア層がセパレータのカソード側に形成される構造が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、ポリスルフィド自体は、電解液中に溶出しており、ポリスルフィドバリア層まで泳動するため、正極の硫黄量は減少している。
そこで、上記技術的課題に鑑み、本発明の少なくとも一つの実施形態は、電解液中に溶出したポリスルフィドイオンを、電気泳動を用いて正極に戻すことで、正極の硫黄量の低減を抑制して充放電サイクルに伴う充放電容量の劣化を防止するリチウム硫黄電池を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るリチウム硫黄電池は、硫黄または硫化物を含む正極活物質を有する正極と、リチウムを含む負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在し電解質を含む電解液と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータとを備えるリチウム硫黄電池において、前記正極の外側と前記負極の外側とに配置され、前記正極と前記負極との間に電場を印加する電場形成電極を備え、前記正極の外側に配置される前記電場形成電極が正電荷に帯電されることを特徴とする。
上記構成(1)によれば、正極の外側に配置される電場形成電極が正電荷に帯電されるので、リチウム硫黄電池の放電時に、正極から電解液中に溶出する中間生成物であるポリスルフィドイオン(Sn2−)が、電気泳動により正極に戻される。
従って、電場によってポリスルフィドイオンの負極への到達を防ぎ、リチウムを含む負極側へ泳動して還元されるシャトル機構(自己放電)を防ぐことができる。
さらに、電場の形成によって正極の周りにポリスルフィドイオンを戻すことによって、電解液中にポリスルフィドイオンが溶出拡散しにくくなる。
このように、電場によってポリスルフィドイオンの負極への到達を防ぐだけでなく、正極からポリスルフィド自体の電解液中への溶出拡散が抑えられる。その結果、充放電サイクルに伴う容量低下を防止でき、充放電サイクル性能を高めることができる。
従って、電場によってポリスルフィドイオンの負極への到達を防ぎ、リチウムを含む負極側へ泳動して還元されるシャトル機構(自己放電)を防ぐことができる。
さらに、電場の形成によって正極の周りにポリスルフィドイオンを戻すことによって、電解液中にポリスルフィドイオンが溶出拡散しにくくなる。
このように、電場によってポリスルフィドイオンの負極への到達を防ぐだけでなく、正極からポリスルフィド自体の電解液中への溶出拡散が抑えられる。その結果、充放電サイクルに伴う容量低下を防止でき、充放電サイクル性能を高めることができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、前記正極、前記負極、前記電解液、前記セパレータ、及び前記電場形成電極を内部に収納するケーシングを備えたことを特徴とする。
上記構成(2)によれば、電場形成電極を含めて正極、負極、電解液、セパレータは、ケーシング内に収納されてリチウム硫黄電池が構成されるので、電場形成電極を含めたリチウム硫黄電池をコンパクトに構成できる。
上記構成(2)によれば、電場形成電極を含めて正極、負極、電解液、セパレータは、ケーシング内に収納されてリチウム硫黄電池が構成されるので、電場形成電極を含めたリチウム硫黄電池をコンパクトに構成できる。
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(2)において、前記電場形成電極の電極端子は、前記正極の正極端子及び前記負極の負極端子とは前記ケーシングの反対側に設けられることを特徴とする。
上記構成(3)によれば、電場形成電極の電極端子が、正極の正極端子及び負極の負極端子とはケーシングの反対側に設けられるので、リチウム硫黄電池の電極と、電場形成電極とが近接することによって、短絡等の不具合が生じる危険性が回避される。
上記構成(3)によれば、電場形成電極の電極端子が、正極の正極端子及び負極の負極端子とはケーシングの反対側に設けられるので、リチウム硫黄電池の電極と、電場形成電極とが近接することによって、短絡等の不具合が生じる危険性が回避される。
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(1)から(3)のいずれか1の構成において、前記電場形成電極は、前記正極の外側面に絶縁層を介して隣接して設けられ正電荷に帯電される正極電場形成電極と、前記負極の外側面に絶縁層を介して隣接して設けられ負電荷に帯電される負極電場形成電極とからなることを特徴とする。
上記構成(4)によれば、電場形成電極が正極電場形成電極と負極電場形成電極とからなるとともに、それぞれの電場形成電極は、正極及び負極のそれぞれの外側面に絶縁層を介して隣接して設けられるので、大型化せずにコンパクトに電場形成電極を配置できる。
上記構成(4)によれば、電場形成電極が正極電場形成電極と負極電場形成電極とからなるとともに、それぞれの電場形成電極は、正極及び負極のそれぞれの外側面に絶縁層を介して隣接して設けられるので、大型化せずにコンパクトに電場形成電極を配置できる。
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(1)から(4)のいずれか1の構成において、前記電場形成電極への電荷の供給と停止が前記リチウム硫黄電池の充電時と放電時とに応じて切換えられることを特徴とする。
上記構成(5)によれば、電場形成電極への電荷の供給がリチウム硫黄電池の充電時と放電時とに応じて切換えられるので、すなわち、リチウム硫黄電池が正極から負極へ電流が流れる場合と、負極から正極へ電流が流れる場合とで、電場形成電極への電荷の供給と停止が切換えられるので、電解液中に溶出するポリスルフィドイオンの負極側への移動を効率よく抑制できる。また、電場形成電極への電荷供給電力を節約できる。
上記構成(5)によれば、電場形成電極への電荷の供給がリチウム硫黄電池の充電時と放電時とに応じて切換えられるので、すなわち、リチウム硫黄電池が正極から負極へ電流が流れる場合と、負極から正極へ電流が流れる場合とで、電場形成電極への電荷の供給と停止が切換えられるので、電解液中に溶出するポリスルフィドイオンの負極側への移動を効率よく抑制できる。また、電場形成電極への電荷供給電力を節約できる。
(6)幾つかの実施形態では、上記構成(5)において、前記リチウム硫黄電池の放電時に前記電場形成電極へ電荷が供給され、前記リチウム硫黄電池の充電時に前記電場形成電極への電荷の供給が停止されることを特徴とする。
上記構成(6)によれば、放電過程において、正極側から溶出する中間生成物のポリスルフィドは、Sn2−の負イオンであるため、放電時に正極の外側に配置される電場形成電極が正電荷に帯電されることによって、電解液中に溶出したポリスルフィドイオンは、放電時に正極側に集まり捕捉された状態になる。これによってポリスルフィドイオンの負極への到達を防ぐだけでなく、正極からポリスルフィド自体の電解液中への溶出拡散が抑えられて充放電サイクル性能が高められる。
一方充電時には、正極側から新たなポリスルフィドイオンは電解液中に溶出しない。また、電場形成電極近傍に捕捉されたポリスルフィドイオンを正極へ戻す必要がある。従って、電場形成電極への電荷の供給を停止してポリスルフィドイオンを解放することで正極へ戻し、充放電容量の劣化を防止すると共に電場形成電極への電荷供給電力を節約できる。
上記構成(6)によれば、放電過程において、正極側から溶出する中間生成物のポリスルフィドは、Sn2−の負イオンであるため、放電時に正極の外側に配置される電場形成電極が正電荷に帯電されることによって、電解液中に溶出したポリスルフィドイオンは、放電時に正極側に集まり捕捉された状態になる。これによってポリスルフィドイオンの負極への到達を防ぐだけでなく、正極からポリスルフィド自体の電解液中への溶出拡散が抑えられて充放電サイクル性能が高められる。
一方充電時には、正極側から新たなポリスルフィドイオンは電解液中に溶出しない。また、電場形成電極近傍に捕捉されたポリスルフィドイオンを正極へ戻す必要がある。従って、電場形成電極への電荷の供給を停止してポリスルフィドイオンを解放することで正極へ戻し、充放電容量の劣化を防止すると共に電場形成電極への電荷供給電力を節約できる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、電解液中に溶出したポリスルフィドイオンを、電気泳動を用いて正極に戻すことで、正極の硫黄量の低減を抑制して充放電サイクルに伴う充放電容量の劣化を防止することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、これらの実施形態に記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状及びその相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄電池1について、図1を参照して説明する。
図1のように、リチウム硫黄電池1は、硫黄または硫化物を含む正極活物質を有する正極3と、リチウムを含む負極活物質を有する負極5と、正極3と負極5との間に介在し電解質を含む電解液7と、正極3と負極5との間に介在するセパレータ9と、を備えている。
さらに、正極3の外側すなわち負極5とは反対側に、及び負極5の外側すなわち正極3とは反対側にそれぞれ配置されて、正極3と負極5との間に電場を印加する電場形成電極11(11a、11b)を備えている。
また、正極3の外側に配置される正極電場形成電極11aは、正電荷に帯電されるようになっている。
図1のように、リチウム硫黄電池1は、硫黄または硫化物を含む正極活物質を有する正極3と、リチウムを含む負極活物質を有する負極5と、正極3と負極5との間に介在し電解質を含む電解液7と、正極3と負極5との間に介在するセパレータ9と、を備えている。
さらに、正極3の外側すなわち負極5とは反対側に、及び負極5の外側すなわち正極3とは反対側にそれぞれ配置されて、正極3と負極5との間に電場を印加する電場形成電極11(11a、11b)を備えている。
また、正極3の外側に配置される正極電場形成電極11aは、正電荷に帯電されるようになっている。
また、正極3は板形状の正極層4と該正極層4に重なって積層される板形状の正極集電体15から形成され、負極5も同様に、板形状の負極層6と該負極層6に重なって積層される板形状の負極集電体19から形成されている。
そして、これら主要構成要素である正極3と、負極5と、電解液7と、セパレータ9と、電場形成電極11(11a、11b)とは、ケーシング13内に収容されて単位セルが構成されている。例えば、ケーシング13としては、正極3と、負極5と、セパレータ9と、電場形成電極11(11a、11b)とを積み重ねて、図1に示すように直方体形状の箱型を有している。なお、箱型ではなく、これら要素を重ねて巻き上げて円筒容器に入れて電解液7に含浸した円筒型であってもよい。
次に、前述した主要構成要素について説明する。
正極3の正極層4は、単体硫黄、金属硫化物、金属多硫化物、有機硫黄化合物から選択される少なくとも一つを含む硫黄系活物質を含んで構成されている。また、硫黄系活物質に加えて、炭素質物質の導電材及び結着材を含んでいる。導電材は、電池性能に悪影響を及ぼさない電子電動材料であればよく、例えば、黒鉛、コークス、炭素繊維、銅、ニッケル等である。結着材は、硫黄系活物質を及び導電材を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、フッ素樹脂、熱可塑性樹脂等である。
正極3の正極層4は、単体硫黄、金属硫化物、金属多硫化物、有機硫黄化合物から選択される少なくとも一つを含む硫黄系活物質を含んで構成されている。また、硫黄系活物質に加えて、炭素質物質の導電材及び結着材を含んでいる。導電材は、電池性能に悪影響を及ぼさない電子電動材料であればよく、例えば、黒鉛、コークス、炭素繊維、銅、ニッケル等である。結着材は、硫黄系活物質を及び導電材を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、フッ素樹脂、熱可塑性樹脂等である。
また、正極3は正極集電体(正極用の導電性の担体)15を有しており、この正極集電体15は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス鋼等の導電性の金属材料によって形成され、例えば、箔状、シート状、メッシュ状、多孔質体、発泡体、繊維郡に形成される。また、正極集電体15の表面に、前述の正極層4を構成する単体硫黄、金属硫化物、金属多硫化物、有機硫黄化合物等から選択された硫黄系活物質からなる電極材料が所定の厚さ及び大きさに塗布または塗布乾燥、さらに必要に応じて圧縮して形成されている。
また、図1に示すように、正極集電体15には、該正極集電体15に接続されてケーシング13の上端面の外側に突設した正極端子17が設けられている。
また、図1に示すように、正極集電体15には、該正極集電体15に接続されてケーシング13の上端面の外側に突設した正極端子17が設けられている。
負極5の負極層6は、リチウム、リチウム合金、リチウムを吸蔵離脱可能な炭素若しくは金属から選択される少なくとも一つを含む負極活物質を含んで構成されている。負極に含まれる負極活性物質は、リチウムイオンを吸蔵離脱するように作用する。リチウム合金としては、例えば、アルミニウム、シリコン、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウムなどとリチウムとの合金が挙げられる。リチウムを吸蔵離脱可能な炭素としては、例えば、黒鉛、コークス、炭素繊維等が挙げられる。
負極5も、正極3と同様に負極集電体(負極用の導電性の担体)19を有しており、この負極集電体19は、ニッケル、銅、ステンレス鋼等の導電性の金属材料よって形成され、例えば、箔状、シート状、メッシュ状、多孔質体、発泡体、繊維郡に形成される。また、負極集電体19の表面に、前述した負極層6を構成するリチウム、リチウム合金、リチウムを吸蔵離脱可能な炭素若しくは金属等から選択された負極電極材料が塗布または塗布乾燥、さらに必要に応じて圧縮して形成されている。
また、図1に示すように、負極集電体19には、該負極集電体19に接続されてケーシング13の上端面の外側に突設した負極端子21が設けられている。
また、図1に示すように、負極集電体19には、該負極集電体19に接続されてケーシング13の上端面の外側に突設した負極端子21が設けられている。
電解液7は、電解質と溶媒とを混ぜ合わせたものであり、電解液としては比誘電率(溶媒の誘電率と真空の誘電率の比)の高い電解液がよい。
電解液7の溶媒には、ポリスルフィドイオンに溶媒和しやすいものを選択するのがよく、極性は負(δ-)になるものを選択する。例えば、溶媒としてはEC(エチレンカーボネート)、PC(プロピレンカーボネート)、GBL(ガンマーブチロラクトン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)等の高誘電率のものがよい。電解質としては、例えば、LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)、LiBF4(ホウフッ化リチウム)、LiCLO4(過塩素酸リチウム)、LiTFSI(ビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム)等である。電解液7は、ケーシング13内に充満されて、ケーシング13は密閉されている。
電解液7の溶媒には、ポリスルフィドイオンに溶媒和しやすいものを選択するのがよく、極性は負(δ-)になるものを選択する。例えば、溶媒としてはEC(エチレンカーボネート)、PC(プロピレンカーボネート)、GBL(ガンマーブチロラクトン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)等の高誘電率のものがよい。電解質としては、例えば、LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)、LiBF4(ホウフッ化リチウム)、LiCLO4(過塩素酸リチウム)、LiTFSI(ビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム)等である。電解液7は、ケーシング13内に充満されて、ケーシング13は密閉されている。
セパレータ9は、絶縁性の無機多孔体を有し、電解液7を吸収保持ものであればよい。図1に示すように、正極3と負極5とは対向配置されておりその間にセパレータ9は介在され、正極3と負極5とがセパレータ9によって絶縁されるようになっている。なお、正極3と負極5とはそれぞれセパレータ9に接触状態でも非接触状態でもよい。
セパレータ9は、例えば、ガラス繊維セパレータ、ポリマーからなる多孔性シート及び不織布である。多孔性シートは、例えば、微多孔質のポリマーで構成される。多孔性シートからなるセパレータ9の厚みは限定されない。また、縦横の大きさは正極3の正極層4と負極5の負極層6と同等またはそれ以上の大きさを有しており、正極3と負極5との間にあって、正極3の正極層4と負極5の負極層6とを絶縁して接触するのを防止する大きさを有していればよい。
電場形成電極11は、正極3と負極5との間に電場を形成するための電極であり、電場形成電極11は、板形状を有し、正極電場形成電極11aと負極電場形成電極11bとから構成されている。
正極電場形成電極11aは、正極3の正極集電体15の外側面に絶縁層23を介して重ねられるように設けられ、正極層4と略同面積を有し、正電荷に帯電されるようになっている。また、負極電場形成電極11bは、負極5の負極集電体19の外側面に絶縁層23を介して重ねられるように設けられ、負極層6と略同面積を有し、負電荷に帯電される負極電場形成電極11bを有している。
正極電場形成電極11aは、正極3の正極集電体15の外側面に絶縁層23を介して重ねられるように設けられ、正極層4と略同面積を有し、正電荷に帯電されるようになっている。また、負極電場形成電極11bは、負極5の負極集電体19の外側面に絶縁層23を介して重ねられるように設けられ、負極層6と略同面積を有し、負電荷に帯電される負極電場形成電極11bを有している。
この電場形成電極11(11a、11b)は、所謂コンデンサの電極に相当するものであり、そのコンデンサによって保持される電場内に、正極3と負極5がセパレータ9を介在して配設されている状態である。
正極電場形成電極11a及び負極電場形成電極11bは、正極集電体15及び負極集電体19と同様に、ニッケル、銅、ステンレス鋼等の導電性の金属材料、または活性炭などの炭素材料によって形成され、例えば、箔状、シート状、メッシュ状、多孔質体、発泡体、繊維郡に形成される。
また、絶縁層23は、セパレータ9と同様に、絶縁性の無機多孔体を有し、電解液を吸収保持ものであればよく、正極集電体15と正極電場形成電極11a、負極集電体19と負極電場形成電極11bがそれぞれ絶縁層23、23によって絶縁されるようになっている。なお、絶縁層23、23は、正極集電体15と正極電場形成電極11aとに、また、負極集電体19と負極電場形成電極11bとに接触状態でも非接触状態でもよい。
図1に示すように、正極電場形成電極11aには、該正極電場形成電極11aに接続されてケーシング13の外側に突設した正極電場端子25が設けられ、同様に、負極電場形成電極11bには、該負極電場形成電極11bに接続されてケーシング13の外側に突設した負極電場端子27が設けられている。そして、正極電場端子25及び負極電場端子27は、正極3の正極端子17及び負極5の負極端子21が設けられたケーシング13の側壁面13aとは反対側の側壁面13bにそれぞれ設けられている。
これによって、リチウム硫黄電池1の正極端子17及び負極端子21が、正極電場端子25及び負極電場端子27と近接することによって生じる短絡等の不具合の危険性が回避される。
これによって、リチウム硫黄電池1の正極端子17及び負極端子21が、正極電場端子25及び負極電場端子27と近接することによって生じる短絡等の不具合の危険性が回避される。
正極電場形成電極11a及び負極電場形成電極11bを含めて、正極層4、正極集電体15、負極層6、負極集電体19、電解液7、セパレータ9、絶縁層23は、ケーシング13内に収納されてリチウム硫黄電池1を構成するので、電場形成電極11を収納したリチウム硫黄電池1としてコンパクトに構成できる。
また、電場形成電極11が正極電場形成電極11aと負極電場形成電極11bとからなるともに、それぞれの電場形成電極11a、11bは、正極集電体15及び負極集電体19の外側面に絶縁層23、23を介して重なるように隣接して設けられるので、大型化せずにコンパクトに電場形成電極11を配置できる。
本実施形態によれば、正極電場形成電極11aが正電荷に帯電されるので、リチウム硫黄電池の放電時に、正極3から電解液7中に溶出する中間生成物であるポイスルフィドのポリスルフィドイオン(Sn2−)が、電気泳動により正極に戻される。
すなわち、放電時には、正極3においては、式(1)により、例えば単体硫黄から、S8 2−、S6 2−、S4 2−、S2 2−等と順次還元されて多硫化物が生成されて最終的にLi2Sとなる。負極5においては、式(2)により、負極中のリチウムは酸化されて電子を放出するとともにリチウムイオン(Li+)として電解液7中に放出される。
すなわち、放電時には、正極3においては、式(1)により、例えば単体硫黄から、S8 2−、S6 2−、S4 2−、S2 2−等と順次還元されて多硫化物が生成されて最終的にLi2Sとなる。負極5においては、式(2)により、負極中のリチウムは酸化されて電子を放出するとともにリチウムイオン(Li+)として電解液7中に放出される。
S+2e−→S2− …(1)
Li→Li++e− …(2)
Li→Li++e− …(2)
正極3において生成される中間生成物の多硫化物、すなちわ、ポリスルフィド(Sn2−;2<n<8)は、有機溶媒に溶解しやすく電解液7に溶出しやすい。しかし、正極電場形成電極11aが正電荷に帯電されることによって、正極3の正極層4から電解液7中に溶出する中間生成物であるポリスルフィドイオン(Sn2−)が、電気泳動により正極層4に戻される。
従って、正極電場形成電極11aの正電荷の帯電によってポリスルフィドイオンの負極5への到達を防ぎ、リチウムを含む負極5側へ泳動して還元されるシャトル機構(内部短絡、自己放電)を防ぐことができる。
さらに、正極電場形成電極11a及び負極電場形成電極11bによる電場の形成によって正極3の正極層4の周りにポリスルフィドイオンを戻して集めることによって、正極層4と電解液7との接触部にポリスルフィドイオンが集まり、正極層4の表面近傍に残存するため電解液7中にポリスルフィドイオンが溶出しにくくなる。
このように、電場によってポリスルフィドイオンの負極への到達を防ぐだけでなく、正極層4からポリスルフィド自体の電解液中への溶出が抑えられる。その結果、充放電サイクルに伴う充放電容量低下を防止でき、充放電サイクル性能を高めることができる。
このように、電場によってポリスルフィドイオンの負極への到達を防ぐだけでなく、正極層4からポリスルフィド自体の電解液中への溶出が抑えられる。その結果、充放電サイクルに伴う充放電容量低下を防止でき、充放電サイクル性能を高めることができる。
本発明の一実施形態を、図2、3を参照して説明する。
図2は、正極電場形成電極11a、負極電場形成電極11bへの電荷供給装置29の全体構成図である。
電荷供給装置29は、電場を形成するための電荷を正極電場形成電極11a及び負極電場形成電極11bに供給する電源31と、電場印加のONとOFFとを切り替える印加スイッチ33と、該印加スイッチ33の切り替えを制御する制御部35と、リチウム硫黄電池1の充電状態及び放電状態の判定を電流の方向を基に判定する充放電検出部37と、を備えている。
図2は、正極電場形成電極11a、負極電場形成電極11bへの電荷供給装置29の全体構成図である。
電荷供給装置29は、電場を形成するための電荷を正極電場形成電極11a及び負極電場形成電極11bに供給する電源31と、電場印加のONとOFFとを切り替える印加スイッチ33と、該印加スイッチ33の切り替えを制御する制御部35と、リチウム硫黄電池1の充電状態及び放電状態の判定を電流の方向を基に判定する充放電検出部37と、を備えている。
そして、電荷供給装置29の制御部35は、図3の制御フローチャートのように、作動して、電場の形成が制御される。
電場形成電極11a、11bへの電荷の供給と停止とが、リチウム硫黄電池1の充電時と放電時とに応じて切換えられるようになっている。
電場形成電極11a、11bへの電荷の供給と停止とが、リチウム硫黄電池1の充電時と放電時とに応じて切換えられるようになっている。
図3のように、ステップS1では、充放電検出部37かせの信号を読み込み、ステップS2で、リチウム硫黄電池1が充電状態か放電状態かを判定し、ステップS2で放電時と判定した場合にはステップS3で印加スイッチ33をONに切換えて、ステップS4によって、正極電場形成電極11aへ通電して電場を印加する。一方、ステップS2で、充電中と判定した場合には、ステップS5で印加スイッチ33をOFFに切換えて、ステップS6によって、正極電場形成電極11aへの給電を停止して電場形成を停止する。
正極電場形成電極11aと負極電場形成電極11bへの供給電源の電圧としての電位差は、例えば、2〜4V程度が好ましく、ポリスルフィドイオンの負極への到達を防ぎ、正極3に戻して正極3周りに集めることができればよい。
下限電圧の2Vの理由は、放電時に正極3と負極5の間に発生する電池電圧約2.0Vよりも高めに設定して、電場形成電極を有効機能させるためである。このため2.0を超えることが好ましい。また、上限電圧4Vの理由は、電解液7が分解しないようにするためである。
なお、電源31としては、車載の12V系バッテリの電力をDC/DC変換器で降圧して供給するようにしてもよく、また、専用の電源を設けるようにしてもよい。
下限電圧の2Vの理由は、放電時に正極3と負極5の間に発生する電池電圧約2.0Vよりも高めに設定して、電場形成電極を有効機能させるためである。このため2.0を超えることが好ましい。また、上限電圧4Vの理由は、電解液7が分解しないようにするためである。
なお、電源31としては、車載の12V系バッテリの電力をDC/DC変換器で降圧して供給するようにしてもよく、また、専用の電源を設けるようにしてもよい。
放電時に一部のポリスルフィドイオンは正極電場形成電極11aに補足された状態になっているため、充電時には正極電場形成電極11aへの給電を停止して電場形成を停止して、解放する。解放することで、これらのポリスルフィドイオンを正極へ戻し、充放電容量の劣化を防止することができ。さらに給電の停止によって正極電場形成電極11a及び負極電場形成電極11bへの電荷供給電力を節約できる。
また、充電時と放電時とで切換えるようにしたが、充電時及び放電時の何れの場合でもない場合には、印加スイッチ33をOFFとすることで、正極電場形成電極11a及び負極電場形成電極11bへの電荷供給電力を節約できるようにしてもよい。
また、充電時と放電時とで切換えるようにしたが、充電時及び放電時の何れの場合でもない場合には、印加スイッチ33をOFFとすることで、正極電場形成電極11a及び負極電場形成電極11bへの電荷供給電力を節約できるようにしてもよい。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、電解液7中に溶出したポリスルフィドイオンを、電気泳動を用いて正極3に戻すことで、正極3の硫黄量の低減を抑制して充放電サイクルに伴う充放電容量の劣化を防止することができるので、リチウム硫黄電池への利用に適している。
1 リチウム硫黄電池
3 正極
4 正極層
5 負極
6 負極層
7 電解液
9 セパレータ
11 電場形成電極
11a 正極電場形成電極
11b 負極電場形成電極
13 ケーシング
15 正極集電体
17 正極端子(電極端子)
19 負極集電体
21 負極端子(電極端子)
29 電荷供給装置
31 電源
33 印加スイッチ
35 制御部
37 充放電検出部
3 正極
4 正極層
5 負極
6 負極層
7 電解液
9 セパレータ
11 電場形成電極
11a 正極電場形成電極
11b 負極電場形成電極
13 ケーシング
15 正極集電体
17 正極端子(電極端子)
19 負極集電体
21 負極端子(電極端子)
29 電荷供給装置
31 電源
33 印加スイッチ
35 制御部
37 充放電検出部
Claims (6)
- 硫黄または硫化物を含む正極活物質を有する正極と、リチウムを含む負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在し電解質を含む電解液と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータとを備えるリチウム硫黄電池において、
前記正極の外側と前記負極の外側とに配置され、前記正極と前記負極との間に電場を印加する電場形成電極を備え、前記正極の外側に配置される前記電場形成電極が正電荷に帯電されることを特徴とするリチウム硫黄電池。 - 前記正極、前記負極、前記電解液、前記セパレータ、及び前記電場形成電極を内部に収納するケーシングを備えたことを特徴とする請求項1に記載のリチウム硫黄電池。
- 前記電場形成電極の電極端子は、前記正極の正極端子及び前記負極の負極端子とは前記ケーシングの異なる反対側に設けられることを特徴とする請求項2に記載のリチウム硫黄電池。
- 前記電場形成電極は、前記正極の外側面に絶縁層を介して隣接して設けられ正電荷に帯電される正極電場形成電極と、前記負極の外側面に絶縁層を介して隣接して設けられ負電荷に帯電される負極電場形成電極とからなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のリチウム硫黄電池。
- 前記電場形成電極への電荷の供給と停止が前記リチウム硫黄電池の充電時と放電時とに応じて切換えられることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のリチウム硫黄電池。
- 前記リチウム硫黄電池の放電時に前記電場形成電極へ電荷が供給され、前記リチウム硫黄電池の充電時に前記電場形成電極への電荷の供給が停止されることを特徴とする請求項5に記載のリチウム硫黄電池。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016088262A JP2017199509A (ja) | 2016-04-26 | 2016-04-26 | リチウム硫黄電池 |
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---|---|---|---|---|
KR20190041423A (ko) * | 2017-10-12 | 2019-04-22 | 폭스바겐 악티엔 게젤샤프트 | 전기 에너지 저장 장치용 리튬 이온 셀, 및 전기 에너지 저장 장치 |
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2016
- 2016-04-26 JP JP2016088262A patent/JP2017199509A/ja active Pending
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