JP2017197890A - メルトブローン不織布、不織布積層体、医療用衣料およびドレープ - Google Patents

メルトブローン不織布、不織布積層体、医療用衣料およびドレープ Download PDF

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Abstract

【課題】電子線等による放射線滅菌処理が可能であり、放射線滅菌処理による強度低下が抑制され、放射線滅菌処理後の伸度が良好であり、通気度が低く抑えられたメルトブローン不織布、それを用いた、放射線滅菌処理による強度低下が抑制され、耐水圧が高く、放射線滅菌処理による耐水圧低下が抑制された不織布積層体、その応用としての医療用衣料及びドレープを提供する。【解決手段】プロピレン・α-オレフィン共重合体と、プロピレン単独重合体と、プロピレン系ワックスと、を含むプロピレン系重合体組成物(A)で構成される繊維からなるメルトブローン不織布およびその応用。【選択図】なし

Description

本発明は、メルトブローン不織布、不織布積層体、医療用衣料およびドレープに関する。
プロピレン系重合体を用いた不織布は、エチレン系重合体を用いた不織布に比べて、紡糸性が良好で細い繊維が得られやすく、強度、柔軟性、及びバリア性のバランスに優れる。プロピレン系重合体を用いた不織布は、上記性質を有することから、医療用資材、衛生材料、吸収性物品、各種物体の包装資材、担持用資材、及びバッキング資材として広く用いられている。
特に、スパンボンド法やメルトブローン法により得られるプロピレン系重合体を含む長繊維不織布は、軽量性、均一性、強度、柔軟性、及びバリア性の総合的な性能に優れているため、医療用資材(例えば、手術着用ガウン、ドレープ、マスク、シーツ、ガーゼ等)に用いられている。
ここで、医療用資材は感染防止のため、使用に供される前に滅菌処理が必要となる。滅菌処理方法として、電子線滅菌、ガンマ線滅菌、ガス滅菌、蒸気滅菌などの方法がある。ガンマ線は放射性コバルト線源、ガス滅菌は主にエチレンオキサイドガスを使用するため、取扱い上の問題等がある。また、蒸気滅菌は滅菌の確実性の問題等がある。そのため、一般的に短時間で安全かつ確実に滅菌できる方法として電子線滅菌が理想とされている。
しかしながら、ポリプロピレン不織布は電子線滅菌やガンマ線滅菌を行うと、照射強度に比例して強度が低下しやすく、同時に血液等のバリア性も低下する傾向があるため、ガス滅菌方法が採用されているのが現状である。
かかる欠点を改良する方法として、プロピレン系重合体に添加剤を加えることで耐放射線性を付与する試みがなされており、例えば、プロピレン系重合体に3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸の調査脂肪族エステルを含有した不織布が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、衛生材料に好適な、伸縮性、触感の良好な不織布として、α−オレフィン由来のユニットを含むプロピレンベースのエラストマー、特定の物性を示すプロピレンベースの熱可塑性ポリマー、熱可塑性樹脂、炭化水素樹脂、触感改良剤、および滑り助剤と、から成る組成物から製造された不織布が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、既述のバリア性の観点から、通気度が抑えられ、耐水圧が高いことが望まれているのが現状である。
特許第2633936号公報 特表第2015−516858号公報
特許文献1に記載の技術で得られる不織布は、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸の長鎖脂肪族エステル化合物を含有しない場合に比べて、放射線照射後の強度低下は抑制されている。
しかしながら、得られた不織布を、例えば、医療用等に使用した場合、実用上満足できるほど十分に放射線照射後の強度低下が抑制されていないのが現状である。
特許文献2に記載の不織布は、伸縮性が改良され、柔軟な感触を有するが、放射線照射後の強度低下抑制については、考慮されていない。
本発明の課題は、電子線等による放射線滅菌処理が可能であり、放射線滅菌処理による強度低下が抑制され、放射線滅菌処理後の伸度が良好であり、通気度が低く抑えられたメルトブローン不織布、メルトブローン不織布を用いた、放射線滅菌処理による強度低下が抑制され、耐水圧が高く、放射線滅菌処理による耐水圧低下が抑制された不織布積層体、それを用いた医療用衣料及びドレープを提供することにある。
本発明の別の課題は、不織布積層体の一部材として用いた場合に、層間の接着強度に優れ、不織布積層体の強度にも優れるメルトブローン不織布を提供することにある。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施形態が含まれる。
<1> プロピレン・α-オレフィン共重合体と、プロピレン単独重合体と、プロピレン系ワックスと、を含むプロピレン系重合体組成物(A)で構成される繊維からなるメルトブローン不織布。
<2> 前記プロピレン系重合体組成物(A)が、前記プロピレン系重合体組成物(A)100質量部に対して、前記プロピレン・α-オレフィン共重合体を20質量部〜75質量部、前記プロピレン単独重合体を5質量部〜30質量部、および前記プロピレン系ワックスを20質量部〜50質量部含む<1>に記載のメルトブローン不織布。
<3> 前記プロピレン・α-オレフィン共重合体の示差走査型熱量計(DSC)で測定した融解熱量が80J/g未満である<1>または<2>に記載のメルトブローン不織布。
<4> 前記プロピレン系ワックスの重量平均分子量が400〜30000である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のメルトブローン不織布。
<5> <1>〜<4>のいずれか1つに記載のメルトブローン不織布の少なくとも一方の面上に、前記プロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布が積層されてなる不織布積層体。
<6> <1>〜<4>のいずれか1つに記載のメルトブローン不織布の少なくとも一方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体。
<7> <1>〜<4>のいずれか1つに記載のメルトブローン不織布の一方の面上に、前記プロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布が積層され、他方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体。
<8> 前記エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が、メルトブローン不織布である<6>または<7>に記載の不織布積層体。
<9> 前記エチレン系重合体組成物(C)が、メルトフローレート(MFR)が10g/10分〜250g/10分のエチレン系重合体(c−1)と、重量平均分子量(Mw)が400〜15000のエチレン系重合体ワックス(c−2)とを含み、前記エチレン系重合体ワックス(c−2)に対する前記エチレン系重合体(c−1)の含有量が、質量比〔(c−1)/(c−2)〕で90/10〜10/90である範囲である<6>〜<8>のいずれか1つに記載の不織布積層体。
<10> 前記プロピレン系重合体組成物(B)が、プロピレン系重合体(b−1)100質量部に対し、密度が0.93g/cm〜0.98g/cmであるエチレン系重合体(b−2)を1質量部〜10質量部含む重合体組成物である<5>、<7>、<8>または<9>に記載の不織布積層体。
<11> 前記プロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布は、JIS L 1096(2010年)に準じたフラジール通気度測定機による圧力差125Paでの流量の条件で測定した通気度が500cm/cm/s以下である<10>に記載の不織布積層体。
<12> <1>〜<4>のいずれか1つに記載のメルトブローン不織布、または、<5>〜<11>のいずれか1つに記載の不織布積層体を含む医療用衣料。
<13> <1>〜<4>のいずれか1つに記載のメルトブローン不織布、または、<5>〜<11>のいずれか1つに記載の不織布積層体を含むドレープ。
本発明によれば、電子線等による放射線滅菌処理が可能であり、放射線滅菌処理による強度低下が抑制され、通気度が低く抑えられたメルトブローン不織布、メルトブローン不織布を用いた、放射線滅菌処理による強度低下が抑制され、耐水圧が高い不織布積層体、それを用いた医療用衣料及びドレープを提供することができる。
本発明によれば、不織布積層体の一部材として用いた場合に、層間の接着強度に優れ、不織布積層体の強度にも優れるメルトブローン不織布を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必須ではない。数値およびその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
<メルトブローン不織布>
本実施形態のメルトブローン不織布は、プロピレン・α-オレフィン共重合体と、プロピレン単独重合体と、プロピレン系ワックスと、を含むプロピレン系重合体組成物(A)で構成される繊維からなるメルトブローン不織布である。
〔プロピレン系重合体組成物(A)〕
本実施形態のメルトブローン不織布は、伸縮性が良好なプロピレン・α-オレフィン共重合体と、比較的融点の高いプロピレン単独重合体と、を含み、さらに、プロピレン系ワックスとを含むプロピレン系重合体組成物(A)(以下、組成物(A)と称することがある)で構成される繊維からなる。
伸縮性に優れた共重合体と、比較的融点の高いプロピレン単独重合体と、メルトブローン時の溶融繊維の物性を制御しうるプロピレン系ワックスとを含むことで、不織布を構成する繊維がより細くなり、柔軟性が良好となり、かつ、放射線照射等の滅菌処理による強度低下が抑制される。さらに、放射線滅菌処理後の不織布の伸度が良好である。
本実施形態のメルトブローン不織布を構成する組成物(A)に上記各成分が含まれることは、公知の方法により、適宜確認することができる。
なお、本実施形態のメルトブローン不織布の放射線滅菌処理後の伸度が良好であるとは、不織布の伸び、詳細には、後述する伸度indexが30%以上であることを指す。
(プロピレン・α-オレフィン共重合体)
本実施形態に使用される組成物(A)は、プロピレン・α-オレフィン共重合体(以下、重合体(a−1)と称することがある)を含む、本実施形態における重合体(a−1)は、プロピレン由来の構成単位と、α−オレフィン由来の1以上の構成単位と、を含む共重合体であり、その他の構成単位を必要に応じて含むことができる。
本実施形態で用いられるプロピレン・α−オレフィン共重合体は、プロピレンに由来する構成単位と、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンに由来する構成単位とを含むランダム共重合体であることが、放射線照射後の伸度を良好に維持する観点から好ましい。
プロピレンと共重合し得る構成単位としては、エチレンに由来する構成単位;1−ブテン、1−ヘキセン、4メチル−1−ペンテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれるα−オレフィンに由来する構成単位等が挙げられる。なかでも、エチレンに由来する構成単位および炭素数4〜8のα−オレフィンから選ばれるα−オレフィンに由来する構成単位が好ましい。
重合体(a−1)に含まれるα−オレフィンに由来する構成単位は1種のみでもよく、2種以上であってもよい。
重合体(a−1)としては、具体的には、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体などが好ましく挙げられる。
式中、ΔHはエチレンとプロピレンを含むα−オレフィン共重合体の主成分の融解に由来する融解熱カーブより求めた融解熱量(J/g)であり、ΔH0は主成分の完全結晶の融解熱量(J/g)である。
なお、重合体(a−1)のDSCで測定した融解熱量は、80J/g未満であることが、放射線照射等の滅菌処理による強度低下抑制、放射線滅菌処理後の伸度、不織布積層体にて他の不織布との積層の際の剥離強度の観点から好ましい。
本実施形態における組成物(A)100質量部に対するプロピレン・α-オレフィン共重合体〔共重合体(a−1)〕の含有量は、放射線照射等の滅菌処理による強度低下抑制、放射線滅菌処理後の伸度、他の不織布との積層した際の剥離強度が良好であるという観点より、20質量部〜75質量部であることが好ましく、20質量部〜49質量部の範囲であることがより好ましく、30質量部〜45質量部の範囲であることがさらに好ましい。
(プロピレン単独重合体)
本実施形態で用いられるプロピレン単独重合体(以下、重合体(a−2)と称することがある)は、プロピレンに由来する構成単位を含む重合体であれば特に制限はない。
プロピレン系重合体(a−2)の融点(Tm)は、特に限定はされないが、125℃以上の範囲にあることがよく、140℃以上の範囲にあることが好ましく、155℃以上の範囲にあることがさらに好ましく、157℃〜165℃の範囲にあることが特に好ましい。
上記の如き、比較的高融点のプロピレン単独重合体を、組成物(A)が含有することで、得られるメルトブローン不織布の物性がより向上し、さらに、不織布積層体を形成する際に所望により適用される熱エンボス工程における熱劣化の影響を受けにくくなるという利点をも有する。
プロピレン単独重合体(a−2)のメルトフローレート(MFR230:ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)は、プロピレン系重合体(c)を溶融紡糸し得る限り、特に限定はされないが、繊維径が細くバリア性が高いメルトブローン不織布を得る観点から、好ましくは10g/10分〜4000g/10分、より好ましくは50g/10分〜3000g/10分、さらに好ましくは100g/10分〜2000g/10分の範囲である。重合体(a−2)は、組成物(A)に1種のみを用いてもよく、融点、分子量、結晶構造などが互いに異なる2種以上を用いてもよい。
また、本発明に係るプロピレン単独重合体(a−2)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、1.5〜5.0であることが好ましい。紡糸性が良好であり、かつ繊維強度が特に優れる繊維が得られる点で、1.5〜4.5の範囲がより好ましい。本発明に係るプロピレン系重合体(c)のMwおよびMnは、GPC測定から求めた値であり、以下の条件で測定した値である。なお、MwおよびMnは、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算法に基づいて求める。
装置:東ソー社製HLC8321 GPC/HT
溶剤:o−ジクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMH6−HT×2、TSKgel GMH6−HTLカラム×2(何れも東ソー社製)
流速:1.0ml/分
試料:0.10mg/mLo−ジクロロベンゼン溶液
温度:140℃
分子量換算:PP換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、以下に示すMark−Houwink粘度式の係数を用いた。
ポリスチレン(PS)の係数:KPS=1.38×10−4,aPS=0.70
ポリプロピレン(PP)の係数:KPP=2.42×10−4,aPP=0.707
組成物(A)100質量部に対するプロピレン単独重合体(a−2)の含有量は、5質量部〜30質量部の範囲であることが好ましく、10質量部〜30質量部の範囲であることがより好ましく、16質量部〜30質量部の範囲であることがさらに好ましい。
(プロピレン系ワックス)
組成物(A)はプロピレン系ワックス(以下、ワックス(a−3)と称することがある)を含有する。組成物(A)がプロピレン系ワックスを含むことで、組成物(A)を用いて繊維形成する際における溶融状態の組成物(A)の粘度を好ましい範囲に調整し易くなり、組成物(A)により製造される繊維は、より微細な繊維径を有することができる。
なお、組成物(A)により形成された繊維がプロピレン系ワックスを含むことを確認することで、繊維を形成する組成物(A)がワックスを含むことが確認できる。
なお、組成物(A)がプロピレン系ワックスを含むこと、組成物(A)で構成される繊維によりメルトブローン不織布に形成した際に、繊維径が細く、地合がよく、通気度が低い不織布が得られる。組成物(A)がプロピレン系ワックスを含むことで、組成物(A)全体の分子量、粘度を下げる上記効果に加え、理由は定かではないが、溶融繊維吐出時のショットを防ぎ、地合を改善させる効果を発現すると考えられる。
ショットとは、メルトブローン法等の溶融樹脂により繊維を形成する方法において、溶融樹脂が、繊維の状に細径化された繊維形状にならず、粒状の塊となり、粒のまま残る非繊維状樹脂粒子のことである。不織布を構成する繊維にショットが存在すると、不織布が不均一になり、感触、強度が低下し、通気度が高くなるおそれがある。さらには、本実施形態の不織布を含む不織布積層体とした際に、不織布積層体の耐水圧が低下するおそれがある。
ワックス(a−3)は、組成物(A)との親和性を有するため、好ましい。本実施形態においては、繊維を形成する組成物(A)は、プロピレン構造単位を含む共重合体(a−1),およびプロピレン単独重合体(a−2)を含有するため、プロピレン系ワックス(a−3)を含むことで、得られるメルトブローン不織布を構成する繊維の平均繊維径を小さくすることがより容易となり、均一な品質であり、柔軟な不織布を得ることがより容易となる。
プロピレン系ワックスは、比較的分子量が低いプロピレン系重合体、すなわち、ワックス状のプロピレン系重合体である。プロピレン系ワックスは、通常用いられる低分子量重合体若しくは単量体の重合により製造したものでもよく、分子量のより高いプロピレン系重合体を加熱減成し、分子量を低減させることにより得られたものでもよく、プロピレン系ワックスの製造方法は特に制限されない。
本実施形態に使用しうるプロピレン系ワックス(a−3)の重量平均分子量(Mw)は400〜30000であることが好ましい。プロピレン系重合体ワックス(a−3)のMwは、好ましくは400〜25,000であり、より好ましくは1000〜10,000である。
ワックスの分子量および分子量分布の測定は、GPC法を用いて行なった。
測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
装置:ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters社製)
溶剤:o−ジクロルベンゼン
カラム:TSKgelカラム(東ソー社製)×4
流速:1.0ml/分
試料:0.3%o−ジクロルベンゼン溶液
温度:140℃
プロピレン系ワックスのMwが上記範囲にあることで、不織布を構成する繊維をより細くし易くなり、また溶融繊維吐出時のショットの発生をより抑制することができる。
プロピレン系ワックスは、JIS K2207(1996年)に従って測定した軟化点が90℃を超えることが好ましい。上記軟化点は、より好ましくは100℃以上である。
上記軟化点が90℃以上であると、熱処理時や使用時における耐熱安定性をより向上させることができ、結果として不織布の耐熱性をより向上させることができる。
上記軟化点の上限は特に制限されないが、上限として、例えば168℃が挙げられる。
プロピレン系ワックスとしては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンと炭素数2又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体、等が挙げられる。
プロピレン系ワックスは、市販品を用いてもよい。
組成物(A)は、プロピレン系ワックス(a−3)を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
プロピレン系重合体組成物(A)100質量部に対するプロピレン系ワックス(a−3)の含有量は、20質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、30質量%〜50量%の範囲がより好ましく、35質量%〜50質量%の範囲がさらに好ましい。
組成物(A)に対するプロピレン系ワックスの含有量が上記範囲において、紡糸性がより良好となり、繊維径をより細くすることができる。
組成物(A)におけるプロピレン単独重合体(a−2)とプロピレン系ワックス(a−3)との総含有量は、紡糸性・繊維径の細さの効果の観点から、組成物(A)全量中に対し、50質量%を超えることが好ましい。
<メルトブローン不織布の物性>
メルトブローン不織布を形成する繊維の平均繊維径は0.1μm〜10μmの範囲が好ましく、0.5μm〜8μmの範囲がより好ましく、1μm〜5μmの範囲がさらに好ましく、1μm〜4μmの範囲が特に好ましい。平均繊維径が上記範囲であることで、得られるメルトブローン不織布の均一性が良好で、バリア性に優れた不織布となる。また、メルトブローン不織布を形成する繊維の平均繊維径が上記範囲にあることで、電子線照射後の強度とバリア性、均一性に優れるので好ましい。
メルトブローン不織布の目付は1g/m〜30g/mの範囲が好ましく、5g/m〜30g/mの範囲がより好ましく、10g/m〜25g/mの範囲がさらに好ましい。目付が上記範囲であると、柔軟性やバリア性に優れたものとなる。また、メルトブローン不織布の目付が上記範囲にあると、電子線照射後の強度とバリア性、均一性に優れるので好ましい。
一方、メルトブローン不織布が、用途の観点から高いバリア性をさほど必要とせず、主に高い通気性、柔軟性、軽量性が求められる用途、例えば、衛生材料などに用いる場合には、不織布の目付の範囲は、好ましくは0.5g/m〜5g/m、より好ましくは0.5g/m〜3g/mの範囲とすることができる。
紡糸性および繊維径をより細くし得るという観点から、組成物(A)の重量平均分子量(Mw)の範囲としては、30,000〜90,000が好ましく、40,000〜80,000がより好ましく、40,000〜75,000が特にさらに好ましい。
紡糸性、繊維径をより細くし得るという観点、および放射線照射等の滅菌処理による強度低下抑制、放射線滅菌処理後の伸度、不織布積層体にて他の不織布との積層した際の剥離強度の観点より、組成物(A)のプロピレン含量の範囲としては、90質量%〜98質量%が好ましく、92質量%〜96質量%がより好ましい。
組成物(A)におけるプロピレンあるいはエチレンの含有率(質量%)は、以下に記載するように、13C−NMRにて測定したモル%より換算して求めることができる。
測定条件は、以下に記載のとおりである。
〜測定条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ブルカー・バイオスピン製 AVANCE III cryo−500型)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:5.00μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:128回
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:60mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:mmmm(CH3) 21.59ppm
電子線照射後の分子量低下を抑えつつ、繊維径が細く、かつ、バリア性が高いメルトブローン不織布を得るには、組成物(A)は下記安定剤を含むことが好ましい。
即ち、本実施形態においては、メルトブローン不織布を形成する繊維が、プロピレン系重合体である共重合体(a−1)および重合体(a−2)を含むため、電子線照射後の分子量低下に伴う強度低下、およびバリア性の低下を抑制する目的で、組成物(A)は、添加剤として、下記安定剤を含むことが好ましい。
組成物(A)に使用しうる安定剤は、有機リン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、及びフェノール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の安定剤が挙げられ、なかでも有機リン系化合物を含むことが好ましい。
安定剤は、一種のみ含んでもよく、二種以上含んでもよい。なかでも、二種以上の異なる安定剤を含むことがより好ましい。二種以上の安定剤の組み合わせとしては、有機リン系化合物と、ヒンダードアミン系化合物との組み合わせ、有機リン系化合物とフェノール系化合物との組み合わせが好適に挙げられる。安定剤として、有機リン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、及びフェノール系化合物を含むことが特に好ましい。
以下、本実施形態に用いうる安定剤について詳細に説明する。
(I)有機リン系化合物
本実施形態における安定剤として、酸化防止安定剤として公知の化合物である有機リン系化合物を用いることができる。
有機リン系化合物としては、具体的には、例えば、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチル−ジフエニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ・ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、フェニル・4,4’−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス[4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)]ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトなどが挙げられる。
なかでも、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ・ジ混合ノニルフェニル)ホスファイトなどが好ましく用いられる。
本実施形態における組成物(A)が安定剤として有機リン系化合物を用いる場合、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いもよい。
上記有機リン系化合物の含有量は、組成物(A)における共重合体(a−1)および重合体(a−2)の総含有量100質量部に対して、0.001質量部〜3質量部であることが好ましく、0.001質量部〜1質量部であることがより好ましい。
(II)ヒンダードアミン系化合物
本実施形態における安定剤として、光安定剤として公知の化合物であるヒンダードアミン系化合物が用いることができる。光安定剤として公知のヒンダードアミン系化合物であれば、特に限定されることなく用いることができる。なかでも、ピペリジンの2位および6位の炭素に結合しているすべての水素がメチル基で置換された構造を有するヒンダードアミン系化合物が好ましく例示される。
ヒンダードアミン系化合物としては、具体的には、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2−4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2−4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ポリ[[6−N−モルホリル−1,3,5−トリアジン−2−4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミドなどが挙げられる。
これらのうちでも、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物などが好ましく挙げられる。
本実施形態における組成物(A)が安定剤としてヒンダードアミン系化合物を用いる場合、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いもよい。
上記ヒンダードアミン系化合物の使用量は、組成物(A)における共重合体(a−1)および重合体(a−2)の総含有量100質量部に対して、0.001質量部〜3質量部であることが好ましく、0.001質量部〜1質量部であることがより好ましい。
(III)フェノール系化合物
本実施形態における安定剤として、酸化防止安定剤として公知の化合物であるフェノール系化合物を用いることができる。
フェノール系化合物としては、具体的には、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタン、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのレスヒンダードタイプ、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのセミヒンダードタイプ、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタンなどのヒンダードタイプが挙げられる。
これらのなかでも、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタンなどのレスヒンダードタイプが電子線照射による繊維の劣化を抑制する効果がより良好である点で好ましく用いられる。
本実施形態における組成物(A)が安定剤としてフェノール系化合物を用いる場合、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いもよい。
上記フェノール系化合物の使用量は、組成物(A)における共重合体(a−1)および重合体(a−2)の総含有量100質量部に対して、0.001質量部〜3質量部であることが好ましく、0.001質量部〜0.5質量部であることがより好ましい。
本実施形態における組成物(A)が既述の安定剤を含有する場合、(I)有機リン系化合物としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを用いることが、(II)ヒンダードアミン系化合物としては、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物を用いることが、(III)フェノール系化合物としては、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタンを用いることが好ましい。なかでも、複数の異なる安定剤を組み合わせて用いることがより好ましい。例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの有機リン系化合物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、及び2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物から選ばれる少なくとも一種のヒンダードアミン系化合物、及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタンであるフェノール系化合物を含むことがさらに好ましい。
これらの安定剤の使用量は合計で、組成物(A)における共重合体(a−1)および重合体(a−2)の総含有量100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.03質量部〜2質量部であることがより好ましい。安定剤は、高温でのデグラデーションにより劣化してしまう恐れがあるので、劣化分を補う場合は、既述の好ましい使用量から、さらに使用量を増やしてもよい。
(その他の添加剤)
組成物(A)は、既述の安定剤以外にも、本実施形態の効果を損なわない範囲で、公知の添加剤をさらに含んでいてもよい。
例えば、電子線照射による繊維の着色が懸念される場合は、有機もしくは無機の着色顔料を組成物(A)に含有させることができる。着色顔料を用いる場合、安定剤が着色顔料成分に吸着されて機能が低下するなどの弊害を防ぐため、着色顔料の含有量は、既述の安定剤の好ましい含有量を超えない範囲とすることが好ましい。
その他の添加剤としては、例えば、イオウ系、亜リン酸エステル系の酸化防止剤;ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアゾール系、ニッケル系等の光安定剤;その他、金属不活性化剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、有機顔料、無機顔料、充填剤、過酸化物、発泡剤、難燃剤、増核剤、プロピレン・エチレン系共重合体ゴム、エチレン・ブテン系共重合体ゴム等のゴム成分などを、目的に応じて含有することができる。
前記メルトブローン不織布は、既述のプロピレン系重合体組成物(A)を用いて、公知のメルトブローン不織布の製造方法を用いて製造し得る。
具体的には、好ましくは安定剤を含む組成物(A)を押出機等で溶融混練し、紡糸ノズルを有する紡糸口金から既述の溶融混練物を吐出し、紡糸口金の周囲から噴射される高速・高温の空気流で吹き飛ばして、捕集ベルト上に自己接着性のマイクロファイバーとして所定の厚さに堆積させ、ウェブを製造するメルトブローン法によって行うことができる。このとき、必要に応じて、堆積させたマイクロファイバーからなるウェブを引き続いて交絡処理することができる。
堆積させたウェブを交絡処理する方法としては、例えば、エンボスロールを用いて熱エンボス加工処理する方法;超音波により融着する方法;ウォータージェットを用いて繊維を交絡させる方法;ホットエアースルーにより融着する方法;ニードルパンチを用いる方法などの各種の方法が挙げられ、これらの方法を適宜、使用することができる。
本実施形態のメルトブローン不織布は、目付20g/mにてJIS L 1096(2010)に準じたフラジール通気度測定機による圧力差125Paでの流量の条件で測定した通気度が200cm/cm/s以下である。150cm/cm/s以下が好ましく、80cm/cm/s以下が好ましい。
メルトブローン不織布の通気度が上記範囲であると、適度な通気性やバリア性が得られる。また、得られたメルトブローン不織布は強度に優れる。通気度が、このような範囲である場合には、特に医療用資材等に好適に使用できる。
<不織布積層体>
本実施形態の不織布積層体は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布を含む積層体である。
本実施形態に係る不織布積層体は、例えば、他の機能(例えば強度、均一性、バリア性、通気性のバランスを調整、軽量化等)を付与する目的で、メルトブローン不織布の少なくとも片面に、既述のメルトブローン不織布とは異なる不織布を積層することにより形成することができる。
積層可能な不織布としては、短繊維不織布や、長繊維不織布が挙げられる。これら不織布の繊維材料としては、例えば、木綿、キュプラ、レーヨン等のセルロース系繊維;ポリオレフィン系繊維;ポリアミド系繊維;ポリエステル系繊維等が挙げられる。また、既述の本実施形態のメルトブローン不織布とは異なるメルトブローン不織布;スパンボンド不織布;湿式不織布;乾式不織布;乾式パルプ不織布;フラッシュ紡糸不織布;開繊不織布等の不織布が挙げられる。
これらの不織布は1種、又は2種以上を選択して積層することができる。例えば、本実施形態のメルトブローン不織布の少なくとも片面に、他の不織布を積層してもよく、両面に不織布を積層してもよい。また、本実施形態のメルトブローン不織布に、3層以上の不織布を積層して、4層以上の不織布を含む積層体としてもよい。
なお、本明細書において「短繊維」とは、おおむね平均繊維長200mm以下の繊維を意味する。また「長繊維」とは、不織布便覧(INDA米国不織布工業会編、株式会社不織布情報、1996年)等、当技術分野で一般的に用いられている「連続長繊維(continuous filament)」を意味する。
<第1の実施形態に係る不織布積層体>
第1の実施形態に係る不織布積層体は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布の少なくとも一方の面上に、既述のプロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布が積層されてなる不織布積層体である。
既述のプロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)は、プロピレン系重合体(b−1)100質量部と、密度が0.93g/cm〜0.98g/cmであるエチレン系重合体(b−2)1質量部〜10質量部と、を含むプロピレン系重合体組成物(B)であることが好ましい。
また、第1の実施形態の不織布積層体に用いられるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布は、JIS L 1096(2010年)に準じたフラジール通気度測定機による圧力差125Paでの流量の条件で測定した通気度が500cm/cm/s以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体組成物(B)(以下、組成物(B)と称することがある)は、さらに、エチレン系重合体ワックス(b−3)を含んでいてもよい。
第1の実施形態の不織布積層体におけるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布は、上記構成を有することにより、電子線等による滅菌処理が可能であり、電子線等の放射線滅菌処理の後でも十分に強度が高く、さらに、繊維径を細くした場合でも、エチレン系重合体(b−2)を含有することによる紡糸性の悪化が抑制されたスパンボンド不織布となり、不織布積層体に好適に用い得る。
また、組成物(B)を含む繊維からなるスパンボンド不織布は繊維径が細く、当該スパンボンド不織布を含む不織布積層体は、特に、医療用衣料及びドレープに好適に適用できる。
〔スパンボンド不織布〕
以下、第1の実施形態の不織布積層体に用いられるスパンボンド不織布の構成要素について具体的に説明する。
第1の実施形態の不織布積層体に用いられるスパンボンド不織布(以下、スパンボンド不織布(B)と称することがある)は、プロピレン系重合体(b−1)100質量部と、密度が0.93g/cm〜0.98g/cmであるエチレン系重合体(b−2)1質量部〜10質量部と、を含むプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなることが好ましい。
また、JIS L 1096(2010)に準じたフラジール通気度測定機による圧力差125Paでの流量の条件で測定した通気度が500cm/cm/s以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体組成物(B)には、さらにエチレン系重合体ワックス(b−3)を含んでいてもよい。
〔プロピレン系重合体組成物(B)〕
前述のとおり、スパンボンド不織布(B)の原料となるプロピレン系重合体組成物(B)は、プロピレン系重合体(b−1)100質量部に対し、エチレン系重合体(b−2)1質量部〜10質量部を含むプロピレン系重合体組成物であることが好ましい。
プロピレン系重合体組成物(B)は、さらに、エチレン系重合体ワックス(b−3)を含んでいてもよい。
以下、組成物(B)が含みうる各成分について説明する。
(プロピレン系重合体(b−1))
第1の実施形態の不織布積層体に用いられるスパンボンド不織布(B)の原料となるプロピレン系重合体組成物(B)の主な成分であるプロピレン系重合体(b−1)は、プロピレンの単独重合体、又はプロピレンと少量のα−オレフィンとの共重合体などのプロピレンを主体とする重合体である。プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、炭素数2以上(但し炭素数3を除く)、好ましくは炭素数2、4〜8のα−オレフィンが挙げられる。具体的には、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンが挙げられ、これらのα−オレフィンは、1種または2種以上用いてもよい。なお、不織布の強度や紡糸安定性を維持するためには、プロピレン系重合体(b−1)は、プロピレンの単独重合体、又はプロピレン・エチレンランダム共重合体が好ましい。さらに、耐熱性が重視される場合には、プロピレン系重合体(b−1)は、プロピレンの単独重合体が好ましい。
このプロピレン・エチレンランダム共重合体におけるエチレン含有量は、0.5モル%〜10モル%であることがよく、3モル%〜8モル%が好ましく、4モル%〜7モル%がより好ましい。
プロピレン系重合体(b−1)の融点(Tm)は、特に限定はされないが、125℃以上の範囲にあることがよく、140℃以上の範囲にあることが好ましく、155℃以上の範囲にあることがさらに好ましく、157℃〜165℃の範囲にあることが特に好ましい。
プロピレン系重合体(b−1)のメルトフローレート(MFR230:ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)は、プロピレン系重合体(b−1)を溶融紡糸し得る限り、特に限定はされないが、好ましくは1g/10分〜500g/10分、より好ましくは5g/10分〜200g/10分、さらに好ましくは10g/10分〜100g/10分の範囲である。
また、スパンボンド不織布(B)に用いうるプロピレン系重合体(b−1)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、1.5〜5.0であることが好ましい。紡糸性が良好であり、かつ繊維強度が特に優れる繊維が得られる点で、Mw/Mnは、1.5〜4.5の範囲がより好ましい。MwおよびMnは、GPC法によって、公知の方法で測定することができる。
また、プロピレン系重合体(b−1)の密度は、0.895g/cm〜0.915g/cmの範囲が好ましく、0.900g/cm〜0.915g/cmがより好ましく、0.905g/cm〜0.910g/cmがさらに好ましい。
なお、本明細書における重合体の密度は、JIS K7112の密度勾配法に従って測定して得られた値である。
(エチレン系重合体(b−2))
スパンボンド不織布(B)に用いられるプロピレン系重合体組成物(B)の他の成分であるエチレン系重合体(b−2)は、エチレンの単独重合体、又はエチレンと少量の他のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。エチレン系重合体(b−2)は、具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、中密度ポリエチレン(所謂MDPE)、高密度ポリエチレン(所謂HDPE)などのエチレンを主体とする重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
エチレンと共重合される他のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられる。組成物(B)に用いられるエチレン系重合体(b−2)は単独でもよく、二種以上を併用してもよい。
組成物(B)に用いうるエチレン系重合体(b−2)は、密度が0.93g/cm〜0.98g/cmの範囲であることが好ましい。密度がこの範囲にあるエチレン系重合体を用いた場合には、紡糸性の悪化が抑制され、得られたスパンボンド不織布(B)の強度が優れたものとなる。また、経時での安定性に優れる効果も得られる。紡糸性の悪化がより抑制される点や、強度がより向上する点で、密度は0.940g/cm〜0.980g/cmの範囲が好ましく、0.940g/cm〜0.975g/cmの範囲がさらに好ましい。特に、0.950g/cm〜0.970g/cmの範囲にある高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましい。
組成物(B)に用いうるエチレン系重合体(b−2)のメルトフローレート(MFR190:ASTM D 1238、190℃、荷重2160g)は、エチレン系重合体(b−2)をプロピレン系重合体(b−1)と混合して溶融紡糸し得る限り、特に限定はされない。繊維の紡糸性、繊維径、強度の点から、エチレン系重合体(b−2)のメルトフローレートは、1g/10分〜50g/10分の範囲であることが好ましい。2g/10分〜25g/10分の範囲であることより好ましく、2g/10分〜10g/10分の範囲であることがさらに好ましい。
エチレン系重合体(b−2)のメルトフローレートが上記範囲にある場合には、プロピレン系重合体組成物(B)の紡糸性が良好であり、得られたスパンボンド不織布(B)は、強度に優れたものとなる。このような特性が得られるため、得られたスパンボンド不織布(B)を含む不織布積層体は、特に医療用資材等に好適に使用できる。
エチレン系重合体(b−2)は、種々公知の製造方法(例えば、高圧法、チーグラー触媒またはメタロセン触媒を用いて得られる中低圧法)によって得られる重合体を用い得る。これら重合体の中でも、メタロセン系触媒による重合で得られるエチレン系重合体を用いる場合には、プロピレン系重合体組成物(B)の紡糸性がより良好なものとなり、得られるスパンボンド不織布(B)の強度等が良好となる点で好ましい。
エチレン系重合体(b−2)の含有量は、既述のプロピレン系重合体(b−1)100質量部に対して、1質量部〜10質量部を含むことが好ましく、2質量部〜9質量部がより好ましく、3質量部〜8質量部がさらに好ましい。
プロピレン系重合体組成物(B)における、エチレン系重合体(b−2)の含有量が、既述のプロピレン系重合体(b−1)100質量部に対して、1質量部以上であれば、得られるスパンボンド不織布(B)の電子線等による放射線滅菌後の強度が優れたものとなる。また、耐久性、例えば、熱エンボス部(熱圧着部ともいう。)のボンディング強度などが十分なものとなるため、この不織布を医療用資材に用いた場合には、強度や、柔軟性に優れたものとなる。一方、エチレン系重合体(b−2)の含有量が10質量部以下であることで、プロピレン系重合体組成物(B)は紡糸性により優れたものとなる。
(エチレン系重合体ワックス(b−3))
スパンボンド不織布(B)の原料となるプロピレン系重合体組成物(B)は、必要に応じて、エチレン系重合体ワックス(b−3)を含有することができる。
組成物(B)がエチレン系重合体ワックス(b−3)を含むことにより、プロピレン系重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)との分散性を向上する効果が得られる。そのため、紡糸性がより向上しやすくなる点で、プロピレン系重合体組成物(B)は、エチレン系重合体ワックス(b−3)を含有することが好ましい。
第1の実施形態におけるエチレン系重合体ワックス(b−3)は、前記エチレン系重合体(b−2)に比べて分子量が低い、ワックス状の重合体である。
エチレン系重合体ワックス(b−3)の重量平均分子量(Mw)は、15000以下のであることが好ましい。15000未満であることがより好ましく、10000以下であることがさらに好ましく、6000以下であることがさらに好ましく、6000未満であることがさらに好ましく、5000以下の範囲であることが特に好ましく、1500以下の範囲であることが最も好ましい。Mwの下限値としては、400以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。
エチレン系重合体ワックス(b−3)の重量平均分子量(Mw)が既述の範囲である場合には、プロピレン系重合体組成物(B)の紡糸性がより改善されやすく、繊維径がより細くなりやすく、さらに、経時的な安定性がより得られやすくなる。
また、スパンボンド不織布(B)を、既述の本実施形態のメルトブローン不織布と積層して不織布積層体を形成した場合、層間の接着性や強度に優れたものとなりやすくなる点で好ましい。
エチレン系重合体ワックス(b−3)の重量平均分子量(Mw)は、GPC測定から求めた値であり、既述のGPC測定方法に記載の条件で測定した値を採用している。なお、重量平均分子量は、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、既述の換算法に基づいて求めることができる。
エチレン系重合体ワックス(b−3)は、JIS K2207に従って測定した軟化点が90℃〜145℃の範囲であることが好ましく、90℃〜130℃の範囲であることがより好ましく、100℃〜120℃であることがさらに好ましく、105℃〜115℃あることが最も好ましい。
エチレン系重合体ワックス(b−3)は、エチレンの単独重合体、またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体のいずれであってもよい。エチレン系重合体ワックス(b−3)として、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体を用いた場合、エチレンと共重合させるα−オレフィンの炭素数としては、炭素数3〜8がより好ましく、炭素数3〜4が更に好ましく、炭素数3が特に好ましい。エチレンと共重合させるα−オレフィンの炭素数が上述範囲にあると、紡糸性がより良好となり、不織布の強度等の特性をより高めることができる。
その理由は明らかではないが、次のように考えられる。エチレン系重合体ワックス(b−3)において、エチレンと共重合させるα−オレフィンの炭素数が上述範囲にあると、プロピレン系重合体(b−1)中に、エチレン系重合体ワックス(b−3)を介して、エチレン系重合体(b−2)が分散し易くなると考えられる。すなわち、エチレン系重合体ワックス(b−3)が、プロピレン系重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)の相溶化剤として作用するために、プロピレン系重合体組成物(B)としての均一性が高まることにより、紡糸性、不織布の強度等の特性のバランスがより向上すると考えられる。
エチレン系重合体ワックス(b−3)として、エチレン単独重合体を用いた場合、前記エチレン系重合体(b−2)との混練性に優れ、且つ、紡糸性に優れる。また、エチレン系重合体ワックスは単独でも、二種以上の混合物であってもよい。
スパンボンド不織布(B)に用いられるエチレン系重合体ワックス(b−3)は、通常用いられる低分子量重合体の重合による製造方法、又は高分子量のエチレン系重合体を加熱減成によって分子量を低減させる方法等のいずれの方法によって製造されたものでもよく、特に制限されない。
また、エチレン系重合体ワックス(b−3)は、溶媒に対する溶解度の差で分別する溶媒分別、または蒸留などの方法で精製されていてもよい。
エチレン系重合体ワックス(b−3)が、通常用いられる低分子量重合体の重合による製造方法で得られる場合、種々公知の製造方法、例えば、チーグラー/ナッタ触媒、又は特開平08−239414号公報、若しくは国際公開第2007/114102号等に記載された、メタロセン系触媒等により重合する製造方法等により製造し得る。
エチレン系重合体ワックス(b−3)の密度は特に限定されるものではないが、0.890g/cm〜0.980g/cmであることが好ましい。0.910g/cm以上であることがより好ましく、0.920g/cm以上であることがさらに好ましい。また、0.960g/cm以下であることが好ましく、0.950g/cm以下の範囲であることがより好ましい。密度の範囲が上記範囲内にあるエチレン系重合体ワックス(b−3)を用いると、プロピレン系重合体組成物(B)の紡糸性が優れたものとなりやすい。また、スパンボンド不織布(B)を、既述の本実施形態のメルトブローン不織布と積層して不織布積層体を形成した場合、層間の接着性や強度に優れたものとなりやすい点でも好ましい。
プロピレン系重合体(b−1)の密度と、エチレン系重合体ワックス(b−3)の密度との差は特に限定されるものではないが、0.35g/cm未満であることがより好ましく、0.20g/cm未満であることが特に好ましく、0.15g/cm未満であることが最も好ましい。密度差が上記範囲にあると、紡糸性がより良好となり、不織布の強度等の特性を高めることができる。その理由は明らかではないが、次のように考えられる。プロピレン系重合体(b−1)の密度とエチレン系重合体ワックス(b−3)の密度が上記範囲にあると、プロピレン系重合体(b−1)中に、エチレン系重合体ワックス(b−3)を介して、エチレン系重合体(b−2)が分散し易くなると考えられる。すなわち、エチレン系重合体ワックス(b−3)が、プロピレン系重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)の相溶化剤として作用するために、本実施形態に用いられるプロピレン系重合体組成物としての均一性が高まることにより、紡糸性、不織布の強度等の特性のバランスが向上すると考えられる。
プロピレン系重合体組成物(B)がエチレン系重合体ワックス(b−3)を含む場合、エチレン系重合体ワックス(b−3)を用いることによる分散向上効果をより発揮やすくする点、繊維をより細くする点、及び繊維の強度の点から、エチレン系重合体ワックス(b−3)の含有量は、プロピレン系重合体(b−1)100質量部に対し、0.1質量部以上4質量部未満が好ましく、0.5質量部〜3質量部がより好ましく、0.5質量部〜2.5質量部の範囲であることがさらに好ましい。
プロピレン系重合体組成物(B)の製造には、従来公知の触媒、例えば特開昭57−63310号公報、特開昭58−83006号公報、特開平3−706号公報、特許3476793号公報、特開平4−218508号公報、又は特開2003−105022号公報等に記載されているマグネシウム担持型チタン触媒;国際公開第2001/53369号、国際公開第2001/27124号、特開平3−193796号公報、又は特開平02−41303号公報に記載のメタロセン触媒;などを好適に用いることができる。
プロピレン系重合体組成物(B)は、プロピレン系重合体(b−1)及びエチレン系重合体(b−2)の他に、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて任意の他の成分を含有することができる。これらの各成分は、種々公知の方法を用いて混合することができる。
プロピレン系重合体組成物(B)が、必要に応じて用いることができる任意の他の成分としては、他の重合体;着色剤:リン系やフェノール系などの酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系などの耐候安定剤;ヒンダードアミン系等の耐光安定剤;ブロッキング防止剤;ステアリン酸カルシウム等の分散剤;滑剤;核剤;顔料;柔軟剤;親水剤;撥水剤;助剤;撥水剤;充填剤;抗菌剤;農薬;防虫剤;薬剤;天然油;合成油;等の種々公知の添加剤が挙げられる。
特に、電子線等の放射線照射において強度、変色、臭気などの安定性を付与する場合、酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、顔料、消臭剤などの添加が有効である。
組成物(B)に用いうる安定剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等の有機リン系化合物;デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物等のヒンダードアミン系化合物;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタン等のフェノール系化合物を用いることが好ましい。これらの安定剤を組み合わせて用いることがより好ましく、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの有機リン系化合物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、及び2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物の少なくとも一種のヒンダードアミン系化合物、及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタンのフェノール系化合物;を含むことがより好ましい。
また、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル;などを挙げることができる。また、これらを組み合わせて用いることもできる。
また、組成物(B)は、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ペントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン等の充填剤を含有していてもよい。
スパンボンド不織布(B)は、本発明の目的を損なわない範囲で、既述のプロピレン系重合体組成物(B)から得られる繊維に加え、他の繊維(例えば、既述のプロピレン系重合体(b−1)単体から得られる繊維、又はその他のオレフィン系重合体、ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどから得られる繊維)を混合してなる混合繊維からなる不織布であってもよい。
第1の実施形態のスパンボンド不織布(B)を形成する繊維は、前記プロピレン系重合体組成物(B)からなる単一の繊維であってもよく、本発明の目的を損なわない範囲でプロピレン系重合体組成物(B)を含むサイドバイサイド、芯鞘構造を有する複合繊維であってもよい。
スパンボンド不織布(B)を形成する繊維の断面形状は、丸型;星型、三角型、四角型、五角型などの多角型;楕円型;中空型;などの形状を採り得る。
(スパンボンド不織布(B)の物性)
第1の実施形態の不織布積層体に用いられるスパンボンド不織布(B)は、目付20g/mにてJIS L 1096(2010)に準じたフラジール通気度測定機による圧力差125Paでの流量の条件で測定した通気度が500cm/cm/s以下である。450cm/cm/s以下が好ましく、400cm/cm/s以下が好ましい。また、下限値は特に限定されないが、50cm/cm/s以上が挙げられる。100cm/cm/s以上が好ましく、200cm/cm/s以上がより好ましい。スパンボンド不織布の通気度がこの範囲であると、適度な通気性やバリア性が得られる。また、得られたスパンボンド不織布は強度に優れる。通気度が、このような範囲である場合には、上記特性を有することから、本実施形態の不織布積層体は、特に医療用資材等に好適に使用できる。
スパンボンド不織布(B)の目付は、5g/m〜50g/mの範囲であることが好ましく、10g/m〜25g/mの範囲であることがより好ましい。
スパンボンド不織布(B)を形成する繊維の平均繊維径は、5μm〜30μmの範囲であることが好ましい。平均繊維径の上限としては、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。特に、20μm以下であると、不織布を形成する繊維は十分に細いものとなり、特に医療用資材等に好適に使用できる。また、平均繊維径の下限としては、特に限定されないが、10μm以上であると、強度に優れたものが得られる。
スパンボンド不織布(B)の強度は、目付20g/mにて吸収線量45kGyの電子線が照射された後の強度として、MD(縦方向:不織布製造時の機械方向)強度が20N以上、CD(横方向)強度が10N以上であることが好ましい。より好ましくは、MD強度が25N以上、CD強度が15N以上である。強度が上記範囲であると、不織布に穴が開いたり破れたりし難くなるので好ましい。
ここで、吸収線量とは、1kgあたり1ジュールのエネルギーの吸収があるときの線量であり、Gyで表されるものである。
また、目付20g/mにて吸収線量45kGyの電子線が照射された後の強度INDEXは10N以上であることが好ましい。さらに好ましくは13N以上、最も好ましくは18N以上である。スパンボンド不織布(B)の強度INDEXが、この範囲であれば、電子線を照射した後でも十分に優れた強度を備えたものとなる。また、電子線が照射された後の強度INDEXがこの範囲であると、十分に強度が優れるものとなり、特に医療用資材等に好適に使用できる点で好ましい。
なお、本明細書において、強度INDEXとは以下の式により算出される値である。
〔式〕:強度INDEX=((((MD強度)+(CD強度)))/2)0.5
(スパンボンド不織布(B)の製造方法)
第1の実施形態に用いうるスパンボンド不織布(B)は、公知のスパンボンド不織布の製造方法により製造し得る。具体的には、例えば、予め、上記プロピレン系重合体組成物(B)を紡糸ノズルから紡糸し、紡出された長繊維フィラメントを冷却流体などにより冷却し、延伸空気によってフィラメントに張力を加えて所定の繊度とし、得られたフィラメントを移動する捕集ベルト上に集めて、所定の厚さに堆積させたスパンボンド不織布とすることにより製造し得る。
また、必要に応じて、堆積したウェブを交絡処理することができる。交絡方法としては、例えば、エンボスロールを用いて熱エンボス加工処理する方法;超音波により融着する方法;ウォータージェットを用いて繊維を交絡させる方法;ホットエアースルーにより融着する方法;ニードルパンチを用いる方法;などの各種の方法を、適宜、使用することができる。
スパンボンド不織布(B)は、強度等がより向上し、さらに、柔軟性、通気性のバランスを保つ点で、エンボス加工等により部分的に熱圧着された不織布であることが好ましい。スパンボンド不織布(B)を熱エンボス加工により熱圧着する場合、エンボス面積率(熱圧着部)は5%〜30%が好ましい。より好ましくは5%〜20%の範囲である。刻印形状は、例えば、円、楕円、長円、正方、菱、長方、四角、キルト、格子、亀甲やそれら形状を基本とする連続した形が例示される。
スパンボンド不織布(B)には、本発明の目的を損なわない範囲で、ギア加工、印刷、塗布、ラミネート、熱処理、賦型加工、親水加工、撥水加工、プレス加工などの二次加工を施してもよい。なお、既述の二次加工は、スパンボンド不織布(B)を含む不織布積層体を形成した後に、施すこともできる。
スパンボンド不織布(B)は、必要に応じて撥水等の加工処理を施すことができる。撥水等の加工処理は、フッ素系撥水剤などの加工剤を塗布すること、又は予め撥水剤を添加剤として樹脂原料に混ぜ合わせて不織布を成形することにより行うことができる。撥水剤の付着量(含有量)は不織布全質量に対し、0.5質量%〜5.0質量%が適当である。
また、撥アルコ−ル性の付与方法としては、例えば、スパンボンド不織布(B)にフッ素系加工剤を0.01質量%〜3質量%の付着量で付着させる方法などが挙げられる。この場合の加工剤の付着方法、及び乾燥方法は特に限定されない。加工剤の付着方法としては、スプレーで吹きつける方法;加工剤浴に浸漬し、マングルで絞る方法;コーティングによる方法;などがあり、乾燥方法としては、熱風乾燥器を用いる方法;テンターを用いる方法;発熱体に接触させる方法;などがある。
上記加工処理により、例えば、スパンボンド不織布(B)を含む不織布積層体を医療用のガウンなどに用いる場合に、水、アルコ−ル、油などが浸透しにくくなり、アルコ−ル消毒した場合や血液等が付着した場合でもバリア性の高いものとなる。なお、上記加工は、スパンボンド不織布(B)を含む不織布積層体とした場合にも適用できる。
また、スパンボンド不織布(B)には、制電性を付与してもよい。制電性の付与方法としては、適当な制電性付与剤(たとえば、脂肪酸エステル、第4級アンモニウム塩など)を塗布する方法、または添加剤として樹脂原料に混ぜ合わせて不織布を成形する方法などが挙げられる。制電性の程度としては、20℃、40%RHの雰囲気でJIS L1094C法に示す方法で1000V以下(摩擦布は綿布とする。)であることが好ましい。
上記制電性の付与により、例えば、スパンボンド不織布(B)を積層した第1の実施形態に係る不織布積層体を医療用のガウンなどに用いる場合に、着心地を良くすることが可能である。なお、上記加工は、スパンボンド不織布(B)を含む不織布積層体とした場合にも適用できる。
<第2の実施形態に係る不織布積層体>
第2の実施形態に係る不織布積層体は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布の少なくとも一方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体である。
エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布は、以下に詳述するように、メルトブローン不織布であることが好ましい。
〔エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布〕
第2の実施形態に係る不織布積層体が有する連続長繊維不織布は、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる不織布である。
エチレン系重合体組成物(C))で構成される繊維からなる連続長繊維不織布は、メルトブローン不織布(以下、メルトブローン不織布(C)と称することがある)であることが好ましい。
以下、連続長繊維不織布、好ましくは、メルトブローン不織布(C)を構成するエチレン系重合体組成物(C)について説明する。
(エチレン系重合体組成物(C))
エチレン系重合体組成物(C)(以下、組成物(C)と称することがある)は、メルトフローレート(MFR)が10g/10分〜250g/10分のエチレン系重合体(c−1)と、重量平均分子量(Mw)が400〜15000のエチレン系重合体ワックス(c−2)とを含み、エチレン系重合体ワックス(c−2)に対するエチレン系重合体(c−1)の含有量が、質量比〔(c−1)/(c−2)〕で90/10〜10/90の範囲であることが好ましい。
エチレン系重合体(c−1)と、エチレン系重合体ワックス(c−2)とを、既述の好ましい質量比で含有するエチレン系重合体組成物(C)を含む繊維とすることで、電子線照射後の強度の低下やバリア性の低下を抑制することができる他、繊維径を細くすることができ、また、紡糸性がより優れたものとなる。
(エチレン系重合体(c−1))
第2の実施形態の不織布積層体に用いられるメルトブローン不織布(C)を形成する繊維の成分の一つであるエチレン系重合体(c−1)は、エチレン系重合体(b−2)と同様の樹脂であり、エチレンの単独重合体、又はエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体であるエチレンを主体とする重合体である。
エチレン系重合体(c−1)の密度は、0.870g/cm〜0.990g/cmの範囲が好ましく、0.900g/cm〜0.980g/cmの範囲がより好ましく、0.910g/cm〜0.980g/cmの範囲がさらに好ましく、0.940g/cm〜0.980g/cmの範囲が最も好ましい。
エチレン系重合体(c−1)は、通常、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどの名称で製造、販売されている結晶性の樹脂である。
エチレンと共重合される他のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数3〜20のα−オレフィン等が挙げられる。これらエチレン系重合体は単独でも、二種以上の混合物であってもよい。
エチレン系重合体(c−1)のメルトフローレート(MFR190:ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、190℃で測定)は、エチレン系重合体(c−1)を用いてメルトブローン不織布を製造し得る限り特に限定はされないが、10g/10分〜250g/10分の範囲が好ましい。20g/10分〜200g/10分の範囲がより好ましく、50g/10分〜150g/10分の範囲にあることがさらに好ましい。エチレン系重合体(c−1)のメルトフローレートがこの範囲にあると、得られる繊維径をより細くし易くなり、紡糸性がより良好となる点から望ましい。
エチレン系重合体(c−1)は、前記エチレン系重合体(b−2)と同様に、種々公知の製造方法(例えば、高圧法、チーグラー触媒またはメタロセン触媒を用いて得られる中低圧法)によって得られる重合体を用いることができる。
(エチレン系重合体ワックス(c−2))
メルトブローン不織布(C)を形成する繊維の成分の一つであるエチレン系重合体ワックス(c−2)は、前記エチレン系重合体ワックス(b−3)と同様のワックス状樹脂であり、エチレン系重合体(c−1)に比べて、分子量が低い、すなわち、ワックス状の重合体である。
また、エチレン系重合体ワックス(b−3)と同様の製法で得られる。
エチレン系重合体ワックス(c−2)の重量平均分子量(Mw)は、400〜15000の範囲が好ましく、1000〜15000の範囲がより好ましく、6000〜15000の範囲が更に好ましく、6000〜10000の範囲であることが特に好ましい。6500〜10000の範囲であることが最も好ましい。エチレン系重合体ワックス(c−2)の重量平均分子量(Mw)が、この範囲内であると、メルトブローン不織布(C)で構成される繊維が十分に細くしやすくなる点で好ましい。
エチレン系重合体ワックス(c−2)の密度は、0.890g/cm〜0.985g/cmが好ましく、0.910g/cm以上がより好ましく、0.930g/cm以上がさらに好ましく、0.950g/cm以上がさらに好ましく、0.960g/cm以上が特に好ましい。また、0.980g/cm以下が好ましい。密度が、このような範囲にあるエチレン系重合体ワックス(c−2)を用いると、前記エチレン系重合体(c−1)との混練性に優れ、且つ、紡糸性、経時での安定性により優れる点で好ましい。そのうえ、得られたメルトブローン不織布(C)を、既述の本実施形態のメルトブローン不織布と積層して、不織布積層体を形成する際のエンボス熱圧着時に繊維がより融解し難い点で好ましい。
エチレン系重合体組成物(C)においては、エチレン系重合体ワックス(c−2)に対するエチレン系重合体(c−1)の含有量が、質量比〔(c−1)/(c−2)〕で90/10〜10/90の範囲であることが好ましいことは既述の通りである。〔(c−1)/(c−2)〕の質量比がこの範囲内であることで、メルトブローン不織布(C)で構成される繊維を十分に細くし易くなり、紡糸性により優れたものとなる上に、得られたメルトブローン不織布(C)を、既述の本実施形態のメルトブローン不織布と積層して不織布積層体を形成する際のエンボス熱圧着時に繊維にダメージがより発生し難い点で好ましい。
<第3の実施形態に係る不織布積層体>
第3の実施形態に係る不織布積層体は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布の一方の面上に、既述のプロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布が積層され、他方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体である。
第3の実施形態に係る不織布積層体は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布の片面に、プロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布(B)が積層され、他方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)からなる連続長繊維不織布、好ましくはメルトブローン不織布(C)が積層されてなる3層構造の不織布積層体である。
第3の実施形態に係る不織布積層体に含まれるスパンボンド不織布(B)およびメルトブローン不織布(C)は、既述の第1の実施形態および第2の実施形態に係る不織布積層体において説明した不織布と同様のものである。
スパンボンド不織布(B)/本実施形態のメルトブローン不織布/メルトブローン不織布(C)/本実施形態のメルトブローン不織布/スパンボンド不織布(B)の5層構造の積層体としてもよい。
メルトブローン不織布に、スパンボンド不織布(B)およびメルトブローン不織布(C)から選ばれる少なくとも一方の不織布を積層した不織布積層体の製造方法は、複数の不織布を一体化して不織布積層体を形成できる方法であれば特に限定されない。
具体的には、例えば、以下の方法を採用することができるが、これら方法に限定されるものではない。
(i)予め得られたスパンボンド不織布(B)の面上に、本実施形態のメルトブローン不織布を形成するプロピレン系重合体組成物(A)または、メルトブローン不織布(C)を形成するエチレン系重合体組成物(C)から得られる繊維を直接堆積させてメルトブローン不織布を形成した後、スパンボンド不織布(B)とメルトブローン不織布とを熱エンボスなどによって融着させて2層の積層体を製造する方法。
(ii)メルトブローン法によって得られるプロピレン系重合体組成物(A)から得られる繊維を堆積させてメルトブローン不織布を形成し、さらにスパンボンド法により形成されるプロピレン系重合体組成物(B)から得られる繊維を前記メルトブローン不織布の上に直接堆積させてスパンボンド不織布(B)を形成した後、メルトブローン不織布とスパンボンド不織布(B)とを融着させて不織布積層体を製造する方法。
(iii)予め得られた既述の本実施形態のメルトブローン不織布に、別途製造したスパンボンド不織布(B)およびメルトブローン不織布(C)のうち少なくとも1層を、重ね合わせ、加熱加圧により両不織布を融着させて2層または3層の不織布積層体を製造する方法。
(iv)予め得られたメルトブローン不織布と、別途製造したスパンボンド不織布(B)およびメルトブローン不織布(C)のうち少なくとも1層とを、ホットメルト接着剤、溶剤系接着剤等の接着剤によって接着して2層又は3層の不織布積層体を製造する方法。
(v)予め得られたメルトブローン不織布(C)の両面に、予め得られた既述の本実施形態のメルトブローン不織布を積層させ、さらにその外側両面に別途製造したスパンボンド不織布(B)を積層させて、熱エンボスにより融着を行って、スパンボンド不織布(B)/本実施形態のメルトブローン不織布/メルトブローン不織布(C)/本実施形態のメルトブローン不織布/スパンボンド不織布(B)の5層構造の不織布積層体を製造する方法。
メルトブローン不織布とスパンボンド不織布とを熱融着により積層する方法は、両不織布の接触面の全面を熱融着する方法、又は接触面の一部を熱融着する方法とがあるが、熱エンボス加工法により各不織布層の接触面の一部を融着することが好ましい。この場合の融着面積(エンボス面積率:これはエンボスロールの刻印面積に相当する)は、接触面積の5%〜30%が好ましく、さらには10%〜20%が好ましい。融着面積がこの範囲にあるとバリア性や、接着強度と柔軟性とのバランスが優れた不織布積層体となる。
なお、熱エンボス加工を行う場合は、エンボス温度は、エンボス加工時のライン速度や圧着圧力によるが、一般的に85℃〜150℃の範囲にある。
スパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを熱融着により積層する以外の方法としては、接着剤によってスパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを積層する方法がある。この方法において用いられるホットメルト接着剤としては、たとえば酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系等の樹脂系接着剤;スチレン−ブタジエン系、スチレン−イソプレン系等のゴム系接着剤などが挙げられる。また、溶剤系接着剤としては、たとえばスチレン−ブタジエン系、スチレン−イソプレン系、ウレタン系等のゴム系接着剤;酢酸ビニル、塩化ビニル等の樹脂系の有機溶剤または水性エマルジョン接着剤などが挙げられる。これらの接着剤の中でも、スチレン−イソプレン系、スチレン−ブタジエン系等のゴム系のホットメルト接着剤が、スパンボンド不織布の特性である風合いを損なわない点で好ましい。
メルトブローン不織布とスパンボンド不織布との不織布積層体において、メルトブローン不織布層とスパンボンド不織布層との層間の剥離強度は、0.1N以上であることが好ましく、0.5N以上であることがより好ましく、剥離しないことが最も好ましい。
<医療用衣料>
本実施形態の医療用医療は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布、または、第1の実施形態〜第1の実施形態のいずれかの不織布積層体を含む。
既述のように、本実施形態のメルトブローン不織布は、柔軟であって耐水圧が高く、電子線等による放射線滅菌処理が可能であり、放射線滅菌処理後の強度低下が抑制されている、さらに、第1の実施形態〜第1の実施形態の不織布積層体は、いずれも、既述の本実施形態のメルトブローン不織布を含む不織布積層体であるため、本実施形態の医療用衣料は、いずれも、放射線滅菌処理後の強度低下が抑制されており、さらに、不織布積層体は層間の接着強度に優れ、不織布積層体の強度にも優れるため、耐久性、柔軟性が良好であり、撥水処理などの表面処理も容易に行なうことができる。
医療用衣料としては、例えば、医師、看護師などの医療従事者の着用する白衣、作業着、手術着用ガウンなどが挙げられる。
<ドレープ>
本実施形態のドレープは、既述の本実施形態のメルトブローン不織布、または、第1の実施形態〜第1の実施形態のいずれかの不織布積層体を含む。
既述のように、本実施形態のメルトブローン不織布は、柔軟であり、高強度であるため、ドレープとして各種用途に適用することができる。
本実施形態のドレープは、耐水圧が高く、電子線等による放射線滅菌処理が可能であり、放射線滅菌処理後の強度低下が抑制されている。また、第1の実施形態〜第3の実施形態の不織布積層体は、いずれも、既述の本実施形態のメルトブローン不織布を含む不織布積層体であるため、放射線滅菌処理後の強度低下が抑制されており、さらに、不織布積層体は層間の接着強度に優れ、不織布積層体の強度にも優れるため、耐久性、柔軟性が良好であり、撥水処理などの表面処理も容易に行なうことができる。このため、手術用ドレープ、シーツ、ベットカバー等の医療用途のみならず、各種の物品を被覆し、保護するドレープとして使用することができ、なかでも、手術用ドレープとして好適に使用にされる。
(その他の用途)
また、本実施形態のメルトブローン不織布および不織布積層体は、医療用衣料、ドレープのみならず、衛生材料としての包帯、医療用ガーゼ、タオル等の医療用衛生材用、衛生マスク等にも好適に使用される。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における物性値等は、以下の方法により測定した。
(1)目付〔g/m
不織布から、機械方向(MD)100mm×横方向(CD)100mmで10点採取した。なお、採取箇所は任意の10箇所とした。次いで、採取した各試験片の質量(g)を、上皿電子天秤(研精工業社製)を用いてそれぞれ測定した。各試験片の質量の平均値を求めた。求めた平均値から1m当たりの質量(g)に換算し、小数点第1位を四捨五入して、不織布の目付〔g/m〕とした。
(2)引張強度(N/50mm)強度INDEX、および伸び
電子線を照射する前の不織布、又は不織布積層体、及び吸収線量45kGyの電子線が照射された不織布、又は不織布積層体について、JIS L 1906に準拠して測定した。不織布から、幅50mm×長さ200mmの試験片を採取し、引張試験機(島津製作所オートグラフAGS-J)を用いてチャック間距離100mm、ヘッドスピード300mm/minでMD:5点、CD:5点を測定し、最大強度の平均値と最大強度測定時の伸度の平均値を算出し、引張強度(N/50mm)および伸び(%)を求めた。また、強度INDEXについて、下記式により算出した。
〔式〕 強度INDEX=[〔(MD強度)+(CD強度))〕/2]0.5
また、得られた伸びから、伸度INDEXを、下記式により算出した。
〔式〕 伸度INDEX=[〔((MD伸び)+(CD伸び))〕/2]0.5
(3)通気度(cm/cm/sec)
不織布から、150mm(MD)×150mm(CD)の試験片を採取し、JIS L 1096に準じたフラジール通気度測定機によって行った。n=5の平均値を測定値とした。
(4)耐水性(バリア性)
電子線を照射する前の不織布積層体、及び吸収線量45kGyの電子線が照射された不織布積層体について、JIS L 1096に規定されているA法(低水圧法)に準拠して、不織布積層体の耐水圧を測定し、耐水性(バリア性)の指標とした。
(5)層間の接着性の評価
実施例に示す方法でスパンボンド不織布層(SB層)とメルトブローン不織布層(MB層)とを積層した後、幅25mm×長さ250mmの試験片を採取し、SB−MB面、またはMB−MB面の層を剥がし、剥がした端面を上下それぞれチャックにつかみ(つかみ間隔50mm)、引張速度200mm/minで強さを測定した。最大荷重を5点読み、その平均値をひとつの測定値とした。n=3の平均値を測定値とし、以下の基準で評価した。
AA:剥離強度1.0N以上または剥離せずにサンプルが破壊する
A:剥離強度0.5N〜1.0N未満
B:剥離強度0.1N〜0.5N未満
C:剥離強度0.1N未満
D:自然に剥離し測定不可
(6)ショットの評価
ショットの評価としては、平面に静値したメルトブローン不織布の表面を手で触れて確認し、粒状の欠点の有無を触診により確認する方法、あるいは、電灯などの光源を透かして粒状の欠点の有無を目視にて確認する方法がある。記述の2つの方法の少なくとも一つの評価により粒状の欠点が確認できた場合、ショット「有」とし、2つの方法のいずれの評価においても粒状の欠点が確認できなかった場合、ショット「無」とした。
(実施例1)
<PER系メルトブローン不織布(MB)の製造>
プロピレン・エチレン共重合体〔ExxonMobil社製:製品名「VistamaxxTM6202」、MFR(230℃、2.16kg荷重):20g/10min、エチレン含量:15wt%〕40質量部、プロピレン系重合体ワックス〔密度:0.900g/cm、重量平均分子量:7800、軟化点148℃、エチレン含量:1.7wt%〕40質量部、プロピレン単独重合体〔MFR:1500g/10分、重量平均分子量(Mw):54000〕20質量部、(I)有機リン系化合物として、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブ2112」〕0.2質量部、(II)ヒンダードアミン系化合物として、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−94G」〕0.15質量部、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−77Y」〕0.05質量部、(III)フェノール系化合物として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタン〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブAO−30」〕0.1質量部、トリアゾール系化合物として、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−36」〕0.15質量部の混合物〔プロピレン系重合体組成物(A)〕を用いて、0.4mmφ、760孔のノズルを有する紡糸口金から、単孔当たり0.15g/分で溶融樹脂を吐出させメルトブローン法による溶融紡糸を行ってマイクロファイバーを成形し、捕集面上に堆積させ、目付20g/m狙いでメルトブローン不織布(以下、MBまたはMB不織布と称することがある)を製造した。
得られたMB不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
<スパンボンド不織布(SB)の製造>
MFR:60g/10分、密度:0.910g/cmのプロピレン単独重合体(PP)100質量部、高密度ポリエチレン(PE、(株)プライムポリマー製、商品名「ハイゼックスHZ2200J」、MFR=5.2g/10分、密度0.964g/cm)4質量部を含有する混合物〔プロピレン系重合体組成物(B)〕を用い、230℃にて溶融紡糸を行い、得られた繊維を補集面上に堆積させた後、熱エンボスにより、繊維径が18μm、目付が20g/mのスパンボンド不織布(以下、SBまたはSB不織布と称することがある)を得た。
<SMS不織布積層体の製造>
上記で得られたメルトブローン不織布(MB)の両面に、上記で得られた前記スパンボンド不織布(SB)を積層し、熱エンボス(刻印面積率18%)により110℃、線圧1Mpaで熱融着を行って、SB/MB/SBの三層構造からなる不織布積層体(SMS不織布積層体)を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(実施例2)
<PER系メルトブローン不織布(MB)の製造>
目付を6.5g/m狙いとした以外は、実施例1と同様にしてPER混合メルトブローン不織布(MB)を製造した。
<PE系メルトブローン不織布(MB)の製造>
エチレン・1−ヘキセン共重合体〔(株)プライムポリマー社製、製品名:エボリューH SP50800P、密度:0.951g/cm、MFR:135g/10分〕80質量部と、エチレン系重合体ワックス〔密度:0.980g/cm、重量平均分子量:6900、軟化点135℃〕20質量部を含有する混合物〔エチレン系重合体組成物(C)〕を用いて、0.4mmφ、760孔のノズルを有する紡糸口金から、単孔当たり0.15g/分で溶融樹脂を吐出させメルトブローン法による溶融紡糸を行ってマイクロファイバーを成形し、捕集面上に堆積させ、目付6.5g/m狙いとしてメルトブローン不織布(MB)を製造した。
<SMS不織布積層体の製造>
上記で得られた6.1g/mのPE系メルトブローン不織布(MB)の両面に、6.5g/mのPER系メルトブローン不織布(MB)を積層させ、さらにその外側両面に実施例1と同じスパンボンド不織布(SB)を積層させて、熱エンボス(刻印面積率18%)により110℃、線圧1Mpaで熱融着を行って、SB/MB〔PER系〕/MB〔PE系〕/MB〔PER系〕/SBの五層構造からなるSMS不織布積層体を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例1)
PER系メルトブローン不織布(MB)各原料の比率を、プロピレン・エチレン共重合体40質量部、プロピレン単独重合体60質量部とし、プロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例1と同様にしてPER系メルトブローン不織布(MB)を得た。得られたMB不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
また、得られた比較例1のMB不織布を用いて、実施例1と同様にして比較例1のSMS不織布積層体を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例2)
PER系メルトブローン不織布(MB)各原料の比率を、プロピレン・エチレン共重合体40質量部、プロピレン単独重合体60質量部とし、プロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例2と同様にしてPER系メルトブローン不織布(MB)を得た。得られたMB不織布を用いて、実施例2と同様にして、五層構造からなる比較例2のSMS不織布積層体を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例3)
PER系メルトブローン不織布(MB)各原料の比率を、プロピレン・エチレン共重合体60質量部、プロピレン系重合体ワックス40質量部とした以外は実施例1と同様にしてPER系メルトブローン不織布(MB)を得た。得られたMB不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
また、得られたMB不織布を用いて、実施例1と同様にしてSMS不織布積層体を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例4)
PER系メルトブローン不織布(MB)各原料の比率を、プロピレン・エチレン共重合体60質量部、プロピレン・エチレン系重合体ワックス40質量部とし、プロピレン単独重合体を用いなかった以外は実施例2と同様にしてPER系メルトブローン不織布(MB)を得た。得られたMB不織布を用いて、実施例2と同様にして、五層構造からなるSMS不織布積層体を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例5)
<PPメルトブローン不織布(MB)の製造>
プロピレン単独重合体〔MFR:1500g/10分、重量平均分子量(Mw):54000〕100質量部に対して、(A)有機リン系化合物として、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブ2112」〕0.4質量部、(B)ヒンダードアミン系化合物として、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−94G」〕0.3質量部、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−77Y」〕0.1質量部、(C)フェノール系化合物として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタン〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブAO−30」〕0.2質量部、トリアゾール系化合物として、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−36」〕0.3質量部を添加して熱可塑性樹脂組成物を得た。その組成物を用いて、0.4mmφ、760孔のノズルを有する紡糸口金から、単孔当たり0.15g/分で溶融樹脂を吐出させメルトブローン法による溶融紡糸を行ってマイクロファイバーを成形し、捕集面上に堆積させ、目付20g/m狙いでメルトブローン不織布(MB)を製造した。得られた比較例5のMB不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
<SMS不織布積層体の製造>
上記で得られたメルトブローン不織布(MB)の両面に、前記スパンボンド不織布(SB)を積層し、熱エンボス(刻印面積率18%)により120℃、線圧1Mpaで熱融着を行って、三層構造からなるSMS不織布積層体を得た。得られた比較例5のSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例6)
PER系メルトブローン不織布(MB)の原料を、比較例5のPPメルトブローン不織布(MB)と同じ原料に変えた以外は実施例2と同様にして比較例6のPER系メルトブローン不織布(MB)を得た。得られたMB不織布を用いて、実施例2と同様にして、五層構造からなる比較例6のSMS不織布積層体を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例7)
PER系メルトブローン不織布(MB)の原料を、上記プロピレン・エチレン共重合体10質量部、プロピレン単独重合体〔MFR:1100g/10分、重量平均分子量(Mw):97000〕90質量部とし、プロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例1と同様にして比較例7のMB不織布を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
(比較例8)
PER系メルトブローン不織布(MB)の原料を、上記プロピレン・エチレン共重合体20質量部、プロピレン単独重合体〔MFR:1100g/10分、重量平均分子量(Mw):97000〕80質量部とし、プロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例1と同様にして比較例8のMB不織布を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
(比較例9)
PER系メルトブローン不織布(MB)の原料を、プロピレン・エチレン共重合体〔MFR:60g/10分、融点:143℃、エチレン含有量:3.0重量%〕100質量部とし、プロピレン単独重合体およびプロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例1と同様にして比較例9のMB不織布を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
(比較例10)
PER系メルトブローン不織布(MB)各原料の比率を、プロピレン・エチレン共重合体〔MFR:60g/10分、融点:143℃、エチレン含有量:3.0重量%〕100質量部とし、プロピレン単独重合体およびプロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例2と同様にして五層構造からなる比較例10のSMS不織布積層体を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
(比較例11)
<PE系メルトブローン不織布(MB)の製造>
エチレン・1−ヘキセン共重合体〔(株)プライムポリマー社製、製品名:エボリューH SP50800P、密度:0.951g/cm、MFR:135g/10分〕80質量部と、エチレン系重合体ワックス〔密度:0.980g/cm、重量平均分子量:6900、軟化点135℃〕20質量部の混合物を用いて、0.4mmφ、760孔のノズルを有する紡糸口金から、単孔当たり0.15g/分で溶融樹脂を吐出させメルトブローン法による溶融紡糸を行ってマイクロファイバーを成形し、捕集面上に堆積させ、目付20g/m狙いで比較例11のメルトブローン不織布(MB)を製造した。
<SMS不織布積層体の製造>
上記で得られたメルトブローン不織布(MB)の両面に、前記スパンボンド不織布(SB)を積層し、熱エンボス(刻印面積率18%)により110℃、線圧1Mpaで熱融着を行って、三層構造からなるSMS不織布積層体を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表1、表2に示す。
(比較例12)
<スパンボンド不織布(SB)の製造>
MFR:60g/10分、密度:0.910g/cm3のプロピレン単独重合体(PP)100質量部のみを用いた以外は、実施例1と同様にしてスパンボンド不織布(SB)を得た。
<SMS不織布積層体の製造>
上記スパンボンド不織布(SB)を使用した以外は、比較例11と同様にして三層構造からなるSMS不織布積層体を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表1、表2に示す。
なお、表1、表2中の記載において、「SB」はスパンボンド不織布を、「MB」はメルトブローン不織布を、「SMS」はスパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布の不織布積層体を、「PP」はプロピレン系重合体を、「PE」はエチレン系重合体を、「wax」はワックスを、それぞれ表す。なお、表中の空白欄は、該当する成分が含有されていないことを示す。
表1中、実施例1〜2の結果から明らかなように、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン系重合体ワックス、プロピレン単独重合体の3つの原料を使用することで、メルトブローン不織布に形成した際に、繊維径が細く、地合がよく、通気度が低い不織布が得られる。
電子線照射後のMBの伸びの低下も抑制されており、スパンボンド不織布と積層させた際にも、表2に記載の如く、熱エンボスによるダメージが少なく、良好な耐水圧のSMS不織布が得られる。
また、電子線により劣化しにくいPE系メルトブローとの五層積層SMS不織布とした実施例2においても層間の剥離強度が高い不織布となる。
一方、比較例1の如く、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン単独重合体の2つのみを使用してメルトブローン不織布に形成した際には、通気性が高くなる。これは、樹脂の溶融吐出時に、細い繊維が形成され難く、地合良好な不織布が得られないためと考えられる。さらに、得られたメルトブローン不織布を用いてSMS不織布積層体を形成した場合、不織布積層体の耐水圧が低くなることがわかる。
プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン系重合体ワックスの2つのみを使用してメルトブローン不織布に形成した比較例3では、細い繊維・地合良好な不織布が得られず、通気性が高くなる。さらに、安定した紡糸・ウェブフォーミングがし難い傾向が見られた。
プロピレン単独重合体と添加剤からなる組成物を使用してメルトブローン不織布を形成した比較例5では、電子線照射後の強度および伸びの低下が著しいことがわかる。
比較例4においては、PE系メルトブローとの五層積層SMS不織布にした際の耐水圧も低くなることがわかる。
比較例9、10の比較的プロピレン含量が多いプロピレン・エチレン共重合体のみを使用してメルトブローン不織布に形成した際には、細い繊維・地合良好な不織布が得られず、PE系メルトブローとの五層積層SMS不織布にした際の層間の剥離強度が低下する。
比較例11のPE系メルトブローン不織布とスパンボンド不織布との三層積層SMS不織布に置いて、層間の剥離強度が低くなるだけでなく、引張強度も低下することが分る。
比較例12の如く、プロピレン単独重合体のみを使用してメルトブローン不織布を形成した際には、通気度は良好となるが、電子線照射後に引張時の伸びが著しく低下する。またPE系メルトブローとの五層積層SMS不織布において、層間の剥離強度が低くなる。

Claims (13)

  1. プロピレン・α-オレフィン共重合体と、
    プロピレン単独重合体と、
    プロピレン系ワックスと、を含むプロピレン系重合体組成物(A)で構成される繊維からなるメルトブローン不織布。
  2. 前記プロピレン系重合体組成物(A)が、前記プロピレン系重合体組成物(A)100質量部に対して、前記プロピレン・α-オレフィン共重合体を20質量部〜75質量部、前記プロピレン単独重合体を5質量部〜30質量部、および前記プロピレン系ワックスを20質量部〜50質量部含む請求項1に記載のメルトブローン不織布。
  3. 前記プロピレン・α-オレフィン共重合体の示差走査型熱量計で測定した融解熱量が80J/g未満である請求項1または請求項2に記載のメルトブローン不織布。
  4. 前記プロピレン系ワックスの重量平均分子量が400〜30000である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布の少なくとも一方の面上に、前記プロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布が積層されてなる不織布積層体。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布の少なくとも一方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布の一方の面上に、前記プロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布が積層され、他方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体。
  8. 前記エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が、メルトブローン不織布である請求項6または請求項7に記載の不織布積層体。
  9. 前記エチレン系重合体組成物(C)が、メルトフローレート(MFR)が10g/10分〜250g/10分のエチレン系重合体(c−1)と、重量平均分子量(Mw)が400〜15000のエチレン系重合体ワックス(c−2)とを含み、前記エチレン系重合体ワックス(c−2)に対する前記エチレン系重合体(c−1)の含有量が、質量比〔(c−1)/(c−2)〕で90/10〜10/90である範囲である請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の不織布積層体。
  10. 前記プロピレン系重合体組成物(B)が、プロピレン系重合体(b−1)100質量部に対し、密度が0.93g/cm〜0.98g/cmであるエチレン系重合体(b−2)を1質量部〜10質量部含む重合体組成物である請求項5または請求項7に記載の不織布積層体。
  11. 前記プロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布は、JIS L 1096(2010年)に準じたフラジール通気度測定機による圧力差125Paでの流量の条件で測定した通気度が500cm/cm/s以下である請求項10に記載の不織布積層体。
  12. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布、または、請求項5〜請求項11のいずれか1項に記載の不織布積層体を含む医療用衣料。
  13. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布、または、請求項5〜請求項11のいずれか1項に記載の不織布積層体を含むドレープ。
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