JP2017197890A - メルトブローン不織布、不織布積層体、医療用衣料およびドレープ - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、ポリプロピレン不織布は電子線滅菌やガンマ線滅菌を行うと、照射強度に比例して強度が低下しやすく、同時に血液等のバリア性も低下する傾向があるため、ガス滅菌方法が採用されているのが現状である。
さらに、既述のバリア性の観点から、通気度が抑えられ、耐水圧が高いことが望まれているのが現状である。
しかしながら、得られた不織布を、例えば、医療用等に使用した場合、実用上満足できるほど十分に放射線照射後の強度低下が抑制されていないのが現状である。
特許文献2に記載の不織布は、伸縮性が改良され、柔軟な感触を有するが、放射線照射後の強度低下抑制については、考慮されていない。
本発明の別の課題は、不織布積層体の一部材として用いた場合に、層間の接着強度に優れ、不織布積層体の強度にも優れるメルトブローン不織布を提供することにある。
<1> プロピレン・α-オレフィン共重合体と、プロピレン単独重合体と、プロピレン系ワックスと、を含むプロピレン系重合体組成物(A)で構成される繊維からなるメルトブローン不織布。
<2> 前記プロピレン系重合体組成物(A)が、前記プロピレン系重合体組成物(A)100質量部に対して、前記プロピレン・α-オレフィン共重合体を20質量部〜75質量部、前記プロピレン単独重合体を5質量部〜30質量部、および前記プロピレン系ワックスを20質量部〜50質量部含む<1>に記載のメルトブローン不織布。
<4> 前記プロピレン系ワックスの重量平均分子量が400〜30000である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のメルトブローン不織布。
<6> <1>〜<4>のいずれか1つに記載のメルトブローン不織布の少なくとも一方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体。
<7> <1>〜<4>のいずれか1つに記載のメルトブローン不織布の一方の面上に、前記プロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布が積層され、他方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体。
<9> 前記エチレン系重合体組成物(C)が、メルトフローレート(MFR)が10g/10分〜250g/10分のエチレン系重合体(c−1)と、重量平均分子量(Mw)が400〜15000のエチレン系重合体ワックス(c−2)とを含み、前記エチレン系重合体ワックス(c−2)に対する前記エチレン系重合体(c−1)の含有量が、質量比〔(c−1)/(c−2)〕で90/10〜10/90である範囲である<6>〜<8>のいずれか1つに記載の不織布積層体。
<10> 前記プロピレン系重合体組成物(B)が、プロピレン系重合体(b−1)100質量部に対し、密度が0.93g/cm3〜0.98g/cm3であるエチレン系重合体(b−2)を1質量部〜10質量部含む重合体組成物である<5>、<7>、<8>または<9>に記載の不織布積層体。
<13> <1>〜<4>のいずれか1つに記載のメルトブローン不織布、または、<5>〜<11>のいずれか1つに記載の不織布積層体を含むドレープ。
本発明によれば、不織布積層体の一部材として用いた場合に、層間の接着強度に優れ、不織布積層体の強度にも優れるメルトブローン不織布を提供することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本実施形態のメルトブローン不織布は、プロピレン・α-オレフィン共重合体と、プロピレン単独重合体と、プロピレン系ワックスと、を含むプロピレン系重合体組成物(A)で構成される繊維からなるメルトブローン不織布である。
本実施形態のメルトブローン不織布は、伸縮性が良好なプロピレン・α-オレフィン共重合体と、比較的融点の高いプロピレン単独重合体と、を含み、さらに、プロピレン系ワックスとを含むプロピレン系重合体組成物(A)(以下、組成物(A)と称することがある)で構成される繊維からなる。
伸縮性に優れた共重合体と、比較的融点の高いプロピレン単独重合体と、メルトブローン時の溶融繊維の物性を制御しうるプロピレン系ワックスとを含むことで、不織布を構成する繊維がより細くなり、柔軟性が良好となり、かつ、放射線照射等の滅菌処理による強度低下が抑制される。さらに、放射線滅菌処理後の不織布の伸度が良好である。
本実施形態のメルトブローン不織布を構成する組成物(A)に上記各成分が含まれることは、公知の方法により、適宜確認することができる。
なお、本実施形態のメルトブローン不織布の放射線滅菌処理後の伸度が良好であるとは、不織布の伸び、詳細には、後述する伸度indexが30%以上であることを指す。
本実施形態に使用される組成物(A)は、プロピレン・α-オレフィン共重合体(以下、重合体(a−1)と称することがある)を含む、本実施形態における重合体(a−1)は、プロピレン由来の構成単位と、α−オレフィン由来の1以上の構成単位と、を含む共重合体であり、その他の構成単位を必要に応じて含むことができる。
重合体(a−1)に含まれるα−オレフィンに由来する構成単位は1種のみでもよく、2種以上であってもよい。
重合体(a−1)としては、具体的には、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体などが好ましく挙げられる。
なお、重合体(a−1)のDSCで測定した融解熱量は、80J/g未満であることが、放射線照射等の滅菌処理による強度低下抑制、放射線滅菌処理後の伸度、不織布積層体にて他の不織布との積層の際の剥離強度の観点から好ましい。
本実施形態で用いられるプロピレン単独重合体(以下、重合体(a−2)と称することがある)は、プロピレンに由来する構成単位を含む重合体であれば特に制限はない。
上記の如き、比較的高融点のプロピレン単独重合体を、組成物(A)が含有することで、得られるメルトブローン不織布の物性がより向上し、さらに、不織布積層体を形成する際に所望により適用される熱エンボス工程における熱劣化の影響を受けにくくなるという利点をも有する。
装置:東ソー社製HLC8321 GPC/HT
溶剤:o−ジクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMH6−HT×2、TSKgel GMH6−HTLカラム×2(何れも東ソー社製)
流速:1.0ml/分
試料:0.10mg/mLo−ジクロロベンゼン溶液
温度:140℃
分子量換算:PP換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、以下に示すMark−Houwink粘度式の係数を用いた。
ポリスチレン(PS)の係数:KPS=1.38×10−4,aPS=0.70
ポリプロピレン(PP)の係数:KPP=2.42×10−4,aPP=0.707
組成物(A)はプロピレン系ワックス(以下、ワックス(a−3)と称することがある)を含有する。組成物(A)がプロピレン系ワックスを含むことで、組成物(A)を用いて繊維形成する際における溶融状態の組成物(A)の粘度を好ましい範囲に調整し易くなり、組成物(A)により製造される繊維は、より微細な繊維径を有することができる。
なお、組成物(A)により形成された繊維がプロピレン系ワックスを含むことを確認することで、繊維を形成する組成物(A)がワックスを含むことが確認できる。
なお、組成物(A)がプロピレン系ワックスを含むこと、組成物(A)で構成される繊維によりメルトブローン不織布に形成した際に、繊維径が細く、地合がよく、通気度が低い不織布が得られる。組成物(A)がプロピレン系ワックスを含むことで、組成物(A)全体の分子量、粘度を下げる上記効果に加え、理由は定かではないが、溶融繊維吐出時のショットを防ぎ、地合を改善させる効果を発現すると考えられる。
ショットとは、メルトブローン法等の溶融樹脂により繊維を形成する方法において、溶融樹脂が、繊維の状に細径化された繊維形状にならず、粒状の塊となり、粒のまま残る非繊維状樹脂粒子のことである。不織布を構成する繊維にショットが存在すると、不織布が不均一になり、感触、強度が低下し、通気度が高くなるおそれがある。さらには、本実施形態の不織布を含む不織布積層体とした際に、不織布積層体の耐水圧が低下するおそれがある。
ワックスの分子量および分子量分布の測定は、GPC法を用いて行なった。
測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
装置:ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters社製)
溶剤:o−ジクロルベンゼン
カラム:TSKgelカラム(東ソー社製)×4
流速:1.0ml/分
試料:0.3%o−ジクロルベンゼン溶液
温度:140℃
プロピレン系ワックスのMwが上記範囲にあることで、不織布を構成する繊維をより細くし易くなり、また溶融繊維吐出時のショットの発生をより抑制することができる。
上記軟化点が90℃以上であると、熱処理時や使用時における耐熱安定性をより向上させることができ、結果として不織布の耐熱性をより向上させることができる。
上記軟化点の上限は特に制限されないが、上限として、例えば168℃が挙げられる。
組成物(A)は、プロピレン系ワックス(a−3)を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
プロピレン系重合体組成物(A)100質量部に対するプロピレン系ワックス(a−3)の含有量は、20質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、30質量%〜50量%の範囲がより好ましく、35質量%〜50質量%の範囲がさらに好ましい。
組成物(A)に対するプロピレン系ワックスの含有量が上記範囲において、紡糸性がより良好となり、繊維径をより細くすることができる。
メルトブローン不織布を形成する繊維の平均繊維径は0.1μm〜10μmの範囲が好ましく、0.5μm〜8μmの範囲がより好ましく、1μm〜5μmの範囲がさらに好ましく、1μm〜4μmの範囲が特に好ましい。平均繊維径が上記範囲であることで、得られるメルトブローン不織布の均一性が良好で、バリア性に優れた不織布となる。また、メルトブローン不織布を形成する繊維の平均繊維径が上記範囲にあることで、電子線照射後の強度とバリア性、均一性に優れるので好ましい。
一方、メルトブローン不織布が、用途の観点から高いバリア性をさほど必要とせず、主に高い通気性、柔軟性、軽量性が求められる用途、例えば、衛生材料などに用いる場合には、不織布の目付の範囲は、好ましくは0.5g/m2〜5g/m2、より好ましくは0.5g/m2〜3g/m2の範囲とすることができる。
紡糸性、繊維径をより細くし得るという観点、および放射線照射等の滅菌処理による強度低下抑制、放射線滅菌処理後の伸度、不織布積層体にて他の不織布との積層した際の剥離強度の観点より、組成物(A)のプロピレン含量の範囲としては、90質量%〜98質量%が好ましく、92質量%〜96質量%がより好ましい。
測定条件は、以下に記載のとおりである。
測定装置:核磁気共鳴装置(ブルカー・バイオスピン製 AVANCE III cryo−500型)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:5.00μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:128回
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:60mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:mmmm(CH3) 21.59ppm
組成物(A)に使用しうる安定剤は、有機リン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、及びフェノール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の安定剤が挙げられ、なかでも有機リン系化合物を含むことが好ましい。
安定剤は、一種のみ含んでもよく、二種以上含んでもよい。なかでも、二種以上の異なる安定剤を含むことがより好ましい。二種以上の安定剤の組み合わせとしては、有機リン系化合物と、ヒンダードアミン系化合物との組み合わせ、有機リン系化合物とフェノール系化合物との組み合わせが好適に挙げられる。安定剤として、有機リン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、及びフェノール系化合物を含むことが特に好ましい。
以下、本実施形態に用いうる安定剤について詳細に説明する。
本実施形態における安定剤として、酸化防止安定剤として公知の化合物である有機リン系化合物を用いることができる。
有機リン系化合物としては、具体的には、例えば、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチル−ジフエニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ・ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、フェニル・4,4’−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス[4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)]ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトなどが挙げられる。
なかでも、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ・ジ混合ノニルフェニル)ホスファイトなどが好ましく用いられる。
本実施形態における組成物(A)が安定剤として有機リン系化合物を用いる場合、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いもよい。
上記有機リン系化合物の含有量は、組成物(A)における共重合体(a−1)および重合体(a−2)の総含有量100質量部に対して、0.001質量部〜3質量部であることが好ましく、0.001質量部〜1質量部であることがより好ましい。
本実施形態における安定剤として、光安定剤として公知の化合物であるヒンダードアミン系化合物が用いることができる。光安定剤として公知のヒンダードアミン系化合物であれば、特に限定されることなく用いることができる。なかでも、ピペリジンの2位および6位の炭素に結合しているすべての水素がメチル基で置換された構造を有するヒンダードアミン系化合物が好ましく例示される。
ヒンダードアミン系化合物としては、具体的には、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2−4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2−4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ポリ[[6−N−モルホリル−1,3,5−トリアジン−2−4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミドなどが挙げられる。
これらのうちでも、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物などが好ましく挙げられる。
本実施形態における組成物(A)が安定剤としてヒンダードアミン系化合物を用いる場合、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いもよい。
上記ヒンダードアミン系化合物の使用量は、組成物(A)における共重合体(a−1)および重合体(a−2)の総含有量100質量部に対して、0.001質量部〜3質量部であることが好ましく、0.001質量部〜1質量部であることがより好ましい。
本実施形態における安定剤として、酸化防止安定剤として公知の化合物であるフェノール系化合物を用いることができる。
フェノール系化合物としては、具体的には、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタン、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのレスヒンダードタイプ、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのセミヒンダードタイプ、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタンなどのヒンダードタイプが挙げられる。
これらのなかでも、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタンなどのレスヒンダードタイプが電子線照射による繊維の劣化を抑制する効果がより良好である点で好ましく用いられる。
本実施形態における組成物(A)が安定剤としてフェノール系化合物を用いる場合、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いもよい。
上記フェノール系化合物の使用量は、組成物(A)における共重合体(a−1)および重合体(a−2)の総含有量100質量部に対して、0.001質量部〜3質量部であることが好ましく、0.001質量部〜0.5質量部であることがより好ましい。
これらの安定剤の使用量は合計で、組成物(A)における共重合体(a−1)および重合体(a−2)の総含有量100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.03質量部〜2質量部であることがより好ましい。安定剤は、高温でのデグラデーションにより劣化してしまう恐れがあるので、劣化分を補う場合は、既述の好ましい使用量から、さらに使用量を増やしてもよい。
組成物(A)は、既述の安定剤以外にも、本実施形態の効果を損なわない範囲で、公知の添加剤をさらに含んでいてもよい。
例えば、電子線照射による繊維の着色が懸念される場合は、有機もしくは無機の着色顔料を組成物(A)に含有させることができる。着色顔料を用いる場合、安定剤が着色顔料成分に吸着されて機能が低下するなどの弊害を防ぐため、着色顔料の含有量は、既述の安定剤の好ましい含有量を超えない範囲とすることが好ましい。
具体的には、好ましくは安定剤を含む組成物(A)を押出機等で溶融混練し、紡糸ノズルを有する紡糸口金から既述の溶融混練物を吐出し、紡糸口金の周囲から噴射される高速・高温の空気流で吹き飛ばして、捕集ベルト上に自己接着性のマイクロファイバーとして所定の厚さに堆積させ、ウェブを製造するメルトブローン法によって行うことができる。このとき、必要に応じて、堆積させたマイクロファイバーからなるウェブを引き続いて交絡処理することができる。
メルトブローン不織布の通気度が上記範囲であると、適度な通気性やバリア性が得られる。また、得られたメルトブローン不織布は強度に優れる。通気度が、このような範囲である場合には、特に医療用資材等に好適に使用できる。
本実施形態の不織布積層体は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布を含む積層体である。
本実施形態に係る不織布積層体は、例えば、他の機能(例えば強度、均一性、バリア性、通気性のバランスを調整、軽量化等)を付与する目的で、メルトブローン不織布の少なくとも片面に、既述のメルトブローン不織布とは異なる不織布を積層することにより形成することができる。
積層可能な不織布としては、短繊維不織布や、長繊維不織布が挙げられる。これら不織布の繊維材料としては、例えば、木綿、キュプラ、レーヨン等のセルロース系繊維;ポリオレフィン系繊維;ポリアミド系繊維;ポリエステル系繊維等が挙げられる。また、既述の本実施形態のメルトブローン不織布とは異なるメルトブローン不織布;スパンボンド不織布;湿式不織布;乾式不織布;乾式パルプ不織布;フラッシュ紡糸不織布;開繊不織布等の不織布が挙げられる。
これらの不織布は1種、又は2種以上を選択して積層することができる。例えば、本実施形態のメルトブローン不織布の少なくとも片面に、他の不織布を積層してもよく、両面に不織布を積層してもよい。また、本実施形態のメルトブローン不織布に、3層以上の不織布を積層して、4層以上の不織布を含む積層体としてもよい。
なお、本明細書において「短繊維」とは、おおむね平均繊維長200mm以下の繊維を意味する。また「長繊維」とは、不織布便覧(INDA米国不織布工業会編、株式会社不織布情報、1996年)等、当技術分野で一般的に用いられている「連続長繊維(continuous filament)」を意味する。
第1の実施形態に係る不織布積層体は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布の少なくとも一方の面上に、既述のプロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布が積層されてなる不織布積層体である。
既述のプロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)は、プロピレン系重合体(b−1)100質量部と、密度が0.93g/cm3〜0.98g/cm3であるエチレン系重合体(b−2)1質量部〜10質量部と、を含むプロピレン系重合体組成物(B)であることが好ましい。
また、第1の実施形態の不織布積層体に用いられるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布は、JIS L 1096(2010年)に準じたフラジール通気度測定機による圧力差125Paでの流量の条件で測定した通気度が500cm3/cm2/s以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体組成物(B)(以下、組成物(B)と称することがある)は、さらに、エチレン系重合体ワックス(b−3)を含んでいてもよい。
また、組成物(B)を含む繊維からなるスパンボンド不織布は繊維径が細く、当該スパンボンド不織布を含む不織布積層体は、特に、医療用衣料及びドレープに好適に適用できる。
以下、第1の実施形態の不織布積層体に用いられるスパンボンド不織布の構成要素について具体的に説明する。
第1の実施形態の不織布積層体に用いられるスパンボンド不織布(以下、スパンボンド不織布(B)と称することがある)は、プロピレン系重合体(b−1)100質量部と、密度が0.93g/cm3〜0.98g/cm3であるエチレン系重合体(b−2)1質量部〜10質量部と、を含むプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなることが好ましい。
また、JIS L 1096(2010)に準じたフラジール通気度測定機による圧力差125Paでの流量の条件で測定した通気度が500cm3/cm2/s以下であることが好ましい。
プロピレン系重合体組成物(B)には、さらにエチレン系重合体ワックス(b−3)を含んでいてもよい。
前述のとおり、スパンボンド不織布(B)の原料となるプロピレン系重合体組成物(B)は、プロピレン系重合体(b−1)100質量部に対し、エチレン系重合体(b−2)1質量部〜10質量部を含むプロピレン系重合体組成物であることが好ましい。
プロピレン系重合体組成物(B)は、さらに、エチレン系重合体ワックス(b−3)を含んでいてもよい。
以下、組成物(B)が含みうる各成分について説明する。
第1の実施形態の不織布積層体に用いられるスパンボンド不織布(B)の原料となるプロピレン系重合体組成物(B)の主な成分であるプロピレン系重合体(b−1)は、プロピレンの単独重合体、又はプロピレンと少量のα−オレフィンとの共重合体などのプロピレンを主体とする重合体である。プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、炭素数2以上(但し炭素数3を除く)、好ましくは炭素数2、4〜8のα−オレフィンが挙げられる。具体的には、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンが挙げられ、これらのα−オレフィンは、1種または2種以上用いてもよい。なお、不織布の強度や紡糸安定性を維持するためには、プロピレン系重合体(b−1)は、プロピレンの単独重合体、又はプロピレン・エチレンランダム共重合体が好ましい。さらに、耐熱性が重視される場合には、プロピレン系重合体(b−1)は、プロピレンの単独重合体が好ましい。
このプロピレン・エチレンランダム共重合体におけるエチレン含有量は、0.5モル%〜10モル%であることがよく、3モル%〜8モル%が好ましく、4モル%〜7モル%がより好ましい。
なお、本明細書における重合体の密度は、JIS K7112の密度勾配法に従って測定して得られた値である。
スパンボンド不織布(B)に用いられるプロピレン系重合体組成物(B)の他の成分であるエチレン系重合体(b−2)は、エチレンの単独重合体、又はエチレンと少量の他のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。エチレン系重合体(b−2)は、具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、中密度ポリエチレン(所謂MDPE)、高密度ポリエチレン(所謂HDPE)などのエチレンを主体とする重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
エチレン系重合体(b−2)のメルトフローレートが上記範囲にある場合には、プロピレン系重合体組成物(B)の紡糸性が良好であり、得られたスパンボンド不織布(B)は、強度に優れたものとなる。このような特性が得られるため、得られたスパンボンド不織布(B)を含む不織布積層体は、特に医療用資材等に好適に使用できる。
エチレン系重合体(b−2)の含有量は、既述のプロピレン系重合体(b−1)100質量部に対して、1質量部〜10質量部を含むことが好ましく、2質量部〜9質量部がより好ましく、3質量部〜8質量部がさらに好ましい。
プロピレン系重合体組成物(B)における、エチレン系重合体(b−2)の含有量が、既述のプロピレン系重合体(b−1)100質量部に対して、1質量部以上であれば、得られるスパンボンド不織布(B)の電子線等による放射線滅菌後の強度が優れたものとなる。また、耐久性、例えば、熱エンボス部(熱圧着部ともいう。)のボンディング強度などが十分なものとなるため、この不織布を医療用資材に用いた場合には、強度や、柔軟性に優れたものとなる。一方、エチレン系重合体(b−2)の含有量が10質量部以下であることで、プロピレン系重合体組成物(B)は紡糸性により優れたものとなる。
スパンボンド不織布(B)の原料となるプロピレン系重合体組成物(B)は、必要に応じて、エチレン系重合体ワックス(b−3)を含有することができる。
組成物(B)がエチレン系重合体ワックス(b−3)を含むことにより、プロピレン系重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)との分散性を向上する効果が得られる。そのため、紡糸性がより向上しやすくなる点で、プロピレン系重合体組成物(B)は、エチレン系重合体ワックス(b−3)を含有することが好ましい。
第1の実施形態におけるエチレン系重合体ワックス(b−3)は、前記エチレン系重合体(b−2)に比べて分子量が低い、ワックス状の重合体である。
エチレン系重合体ワックス(b−3)の重量平均分子量(Mw)が既述の範囲である場合には、プロピレン系重合体組成物(B)の紡糸性がより改善されやすく、繊維径がより細くなりやすく、さらに、経時的な安定性がより得られやすくなる。
また、スパンボンド不織布(B)を、既述の本実施形態のメルトブローン不織布と積層して不織布積層体を形成した場合、層間の接着性や強度に優れたものとなりやすくなる点で好ましい。
その理由は明らかではないが、次のように考えられる。エチレン系重合体ワックス(b−3)において、エチレンと共重合させるα−オレフィンの炭素数が上述範囲にあると、プロピレン系重合体(b−1)中に、エチレン系重合体ワックス(b−3)を介して、エチレン系重合体(b−2)が分散し易くなると考えられる。すなわち、エチレン系重合体ワックス(b−3)が、プロピレン系重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)の相溶化剤として作用するために、プロピレン系重合体組成物(B)としての均一性が高まることにより、紡糸性、不織布の強度等の特性のバランスがより向上すると考えられる。
エチレン系重合体ワックス(b−3)として、エチレン単独重合体を用いた場合、前記エチレン系重合体(b−2)との混練性に優れ、且つ、紡糸性に優れる。また、エチレン系重合体ワックスは単独でも、二種以上の混合物であってもよい。
また、エチレン系重合体ワックス(b−3)は、溶媒に対する溶解度の差で分別する溶媒分別、または蒸留などの方法で精製されていてもよい。
エチレン系重合体ワックス(b−3)が、通常用いられる低分子量重合体の重合による製造方法で得られる場合、種々公知の製造方法、例えば、チーグラー/ナッタ触媒、又は特開平08−239414号公報、若しくは国際公開第2007/114102号等に記載された、メタロセン系触媒等により重合する製造方法等により製造し得る。
特に、電子線等の放射線照射において強度、変色、臭気などの安定性を付与する場合、酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、顔料、消臭剤などの添加が有効である。
また、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル;などを挙げることができる。また、これらを組み合わせて用いることもできる。
第1の実施形態の不織布積層体に用いられるスパンボンド不織布(B)は、目付20g/m2にてJIS L 1096(2010)に準じたフラジール通気度測定機による圧力差125Paでの流量の条件で測定した通気度が500cm3/cm2/s以下である。450cm3/cm2/s以下が好ましく、400cm3/cm2/s以下が好ましい。また、下限値は特に限定されないが、50cm3/cm2/s以上が挙げられる。100cm3/cm2/s以上が好ましく、200cm3/cm2/s以上がより好ましい。スパンボンド不織布の通気度がこの範囲であると、適度な通気性やバリア性が得られる。また、得られたスパンボンド不織布は強度に優れる。通気度が、このような範囲である場合には、上記特性を有することから、本実施形態の不織布積層体は、特に医療用資材等に好適に使用できる。
ここで、吸収線量とは、1kgあたり1ジュールのエネルギーの吸収があるときの線量であり、Gyで表されるものである。
なお、本明細書において、強度INDEXとは以下の式により算出される値である。
〔式〕:強度INDEX=((((MD強度)2+(CD強度)2))/2)0.5
第1の実施形態に用いうるスパンボンド不織布(B)は、公知のスパンボンド不織布の製造方法により製造し得る。具体的には、例えば、予め、上記プロピレン系重合体組成物(B)を紡糸ノズルから紡糸し、紡出された長繊維フィラメントを冷却流体などにより冷却し、延伸空気によってフィラメントに張力を加えて所定の繊度とし、得られたフィラメントを移動する捕集ベルト上に集めて、所定の厚さに堆積させたスパンボンド不織布とすることにより製造し得る。
また、必要に応じて、堆積したウェブを交絡処理することができる。交絡方法としては、例えば、エンボスロールを用いて熱エンボス加工処理する方法;超音波により融着する方法;ウォータージェットを用いて繊維を交絡させる方法;ホットエアースルーにより融着する方法;ニードルパンチを用いる方法;などの各種の方法を、適宜、使用することができる。
また、撥アルコ−ル性の付与方法としては、例えば、スパンボンド不織布(B)にフッ素系加工剤を0.01質量%〜3質量%の付着量で付着させる方法などが挙げられる。この場合の加工剤の付着方法、及び乾燥方法は特に限定されない。加工剤の付着方法としては、スプレーで吹きつける方法;加工剤浴に浸漬し、マングルで絞る方法;コーティングによる方法;などがあり、乾燥方法としては、熱風乾燥器を用いる方法;テンターを用いる方法;発熱体に接触させる方法;などがある。
第2の実施形態に係る不織布積層体は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布の少なくとも一方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体である。
第2の実施形態に係る不織布積層体が有する連続長繊維不織布は、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる不織布である。
エチレン系重合体組成物(C))で構成される繊維からなる連続長繊維不織布は、メルトブローン不織布(以下、メルトブローン不織布(C)と称することがある)であることが好ましい。
以下、連続長繊維不織布、好ましくは、メルトブローン不織布(C)を構成するエチレン系重合体組成物(C)について説明する。
エチレン系重合体組成物(C)(以下、組成物(C)と称することがある)は、メルトフローレート(MFR)が10g/10分〜250g/10分のエチレン系重合体(c−1)と、重量平均分子量(Mw)が400〜15000のエチレン系重合体ワックス(c−2)とを含み、エチレン系重合体ワックス(c−2)に対するエチレン系重合体(c−1)の含有量が、質量比〔(c−1)/(c−2)〕で90/10〜10/90の範囲であることが好ましい。
第2の実施形態の不織布積層体に用いられるメルトブローン不織布(C)を形成する繊維の成分の一つであるエチレン系重合体(c−1)は、エチレン系重合体(b−2)と同様の樹脂であり、エチレンの単独重合体、又はエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体であるエチレンを主体とする重合体である。
エチレン系重合体(c−1)の密度は、0.870g/cm3〜0.990g/cm3の範囲が好ましく、0.900g/cm3〜0.980g/cm3の範囲がより好ましく、0.910g/cm3〜0.980g/cm3の範囲がさらに好ましく、0.940g/cm3〜0.980g/cm3の範囲が最も好ましい。
メルトブローン不織布(C)を形成する繊維の成分の一つであるエチレン系重合体ワックス(c−2)は、前記エチレン系重合体ワックス(b−3)と同様のワックス状樹脂であり、エチレン系重合体(c−1)に比べて、分子量が低い、すなわち、ワックス状の重合体である。
また、エチレン系重合体ワックス(b−3)と同様の製法で得られる。
第3の実施形態に係る不織布積層体は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布の一方の面上に、既述のプロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布が積層され、他方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体である。
第3の実施形態に係る不織布積層体は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布の片面に、プロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布(B)が積層され、他方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)からなる連続長繊維不織布、好ましくはメルトブローン不織布(C)が積層されてなる3層構造の不織布積層体である。
第3の実施形態に係る不織布積層体に含まれるスパンボンド不織布(B)およびメルトブローン不織布(C)は、既述の第1の実施形態および第2の実施形態に係る不織布積層体において説明した不織布と同様のものである。
スパンボンド不織布(B)/本実施形態のメルトブローン不織布/メルトブローン不織布(C)/本実施形態のメルトブローン不織布/スパンボンド不織布(B)の5層構造の積層体としてもよい。
(i)予め得られたスパンボンド不織布(B)の面上に、本実施形態のメルトブローン不織布を形成するプロピレン系重合体組成物(A)または、メルトブローン不織布(C)を形成するエチレン系重合体組成物(C)から得られる繊維を直接堆積させてメルトブローン不織布を形成した後、スパンボンド不織布(B)とメルトブローン不織布とを熱エンボスなどによって融着させて2層の積層体を製造する方法。
(ii)メルトブローン法によって得られるプロピレン系重合体組成物(A)から得られる繊維を堆積させてメルトブローン不織布を形成し、さらにスパンボンド法により形成されるプロピレン系重合体組成物(B)から得られる繊維を前記メルトブローン不織布の上に直接堆積させてスパンボンド不織布(B)を形成した後、メルトブローン不織布とスパンボンド不織布(B)とを融着させて不織布積層体を製造する方法。
(iii)予め得られた既述の本実施形態のメルトブローン不織布に、別途製造したスパンボンド不織布(B)およびメルトブローン不織布(C)のうち少なくとも1層を、重ね合わせ、加熱加圧により両不織布を融着させて2層または3層の不織布積層体を製造する方法。
(iv)予め得られたメルトブローン不織布と、別途製造したスパンボンド不織布(B)およびメルトブローン不織布(C)のうち少なくとも1層とを、ホットメルト接着剤、溶剤系接着剤等の接着剤によって接着して2層又は3層の不織布積層体を製造する方法。
(v)予め得られたメルトブローン不織布(C)の両面に、予め得られた既述の本実施形態のメルトブローン不織布を積層させ、さらにその外側両面に別途製造したスパンボンド不織布(B)を積層させて、熱エンボスにより融着を行って、スパンボンド不織布(B)/本実施形態のメルトブローン不織布/メルトブローン不織布(C)/本実施形態のメルトブローン不織布/スパンボンド不織布(B)の5層構造の不織布積層体を製造する方法。
なお、熱エンボス加工を行う場合は、エンボス温度は、エンボス加工時のライン速度や圧着圧力によるが、一般的に85℃〜150℃の範囲にある。
本実施形態の医療用医療は、既述の本実施形態のメルトブローン不織布、または、第1の実施形態〜第1の実施形態のいずれかの不織布積層体を含む。
既述のように、本実施形態のメルトブローン不織布は、柔軟であって耐水圧が高く、電子線等による放射線滅菌処理が可能であり、放射線滅菌処理後の強度低下が抑制されている、さらに、第1の実施形態〜第1の実施形態の不織布積層体は、いずれも、既述の本実施形態のメルトブローン不織布を含む不織布積層体であるため、本実施形態の医療用衣料は、いずれも、放射線滅菌処理後の強度低下が抑制されており、さらに、不織布積層体は層間の接着強度に優れ、不織布積層体の強度にも優れるため、耐久性、柔軟性が良好であり、撥水処理などの表面処理も容易に行なうことができる。
医療用衣料としては、例えば、医師、看護師などの医療従事者の着用する白衣、作業着、手術着用ガウンなどが挙げられる。
本実施形態のドレープは、既述の本実施形態のメルトブローン不織布、または、第1の実施形態〜第1の実施形態のいずれかの不織布積層体を含む。
既述のように、本実施形態のメルトブローン不織布は、柔軟であり、高強度であるため、ドレープとして各種用途に適用することができる。
本実施形態のドレープは、耐水圧が高く、電子線等による放射線滅菌処理が可能であり、放射線滅菌処理後の強度低下が抑制されている。また、第1の実施形態〜第3の実施形態の不織布積層体は、いずれも、既述の本実施形態のメルトブローン不織布を含む不織布積層体であるため、放射線滅菌処理後の強度低下が抑制されており、さらに、不織布積層体は層間の接着強度に優れ、不織布積層体の強度にも優れるため、耐久性、柔軟性が良好であり、撥水処理などの表面処理も容易に行なうことができる。このため、手術用ドレープ、シーツ、ベットカバー等の医療用途のみならず、各種の物品を被覆し、保護するドレープとして使用することができ、なかでも、手術用ドレープとして好適に使用にされる。
また、本実施形態のメルトブローン不織布および不織布積層体は、医療用衣料、ドレープのみならず、衛生材料としての包帯、医療用ガーゼ、タオル等の医療用衛生材用、衛生マスク等にも好適に使用される。
実施例および比較例における物性値等は、以下の方法により測定した。
不織布から、機械方向(MD)100mm×横方向(CD)100mmで10点採取した。なお、採取箇所は任意の10箇所とした。次いで、採取した各試験片の質量(g)を、上皿電子天秤(研精工業社製)を用いてそれぞれ測定した。各試験片の質量の平均値を求めた。求めた平均値から1m2当たりの質量(g)に換算し、小数点第1位を四捨五入して、不織布の目付〔g/m2〕とした。
電子線を照射する前の不織布、又は不織布積層体、及び吸収線量45kGyの電子線が照射された不織布、又は不織布積層体について、JIS L 1906に準拠して測定した。不織布から、幅50mm×長さ200mmの試験片を採取し、引張試験機(島津製作所オートグラフAGS-J)を用いてチャック間距離100mm、ヘッドスピード300mm/minでMD:5点、CD:5点を測定し、最大強度の平均値と最大強度測定時の伸度の平均値を算出し、引張強度(N/50mm)および伸び(%)を求めた。また、強度INDEXについて、下記式により算出した。
〔式〕 強度INDEX=[〔(MD強度)2+(CD強度)2)〕/2]0.5
〔式〕 伸度INDEX=[〔((MD伸び)2+(CD伸び)2)〕/2]0.5
不織布から、150mm(MD)×150mm(CD)の試験片を採取し、JIS L 1096に準じたフラジール通気度測定機によって行った。n=5の平均値を測定値とした。
電子線を照射する前の不織布積層体、及び吸収線量45kGyの電子線が照射された不織布積層体について、JIS L 1096に規定されているA法(低水圧法)に準拠して、不織布積層体の耐水圧を測定し、耐水性(バリア性)の指標とした。
実施例に示す方法でスパンボンド不織布層(SB層)とメルトブローン不織布層(MB層)とを積層した後、幅25mm×長さ250mmの試験片を採取し、SB−MB面、またはMB−MB面の層を剥がし、剥がした端面を上下それぞれチャックにつかみ(つかみ間隔50mm)、引張速度200mm/minで強さを測定した。最大荷重を5点読み、その平均値をひとつの測定値とした。n=3の平均値を測定値とし、以下の基準で評価した。
AA:剥離強度1.0N以上または剥離せずにサンプルが破壊する
A:剥離強度0.5N〜1.0N未満
B:剥離強度0.1N〜0.5N未満
C:剥離強度0.1N未満
D:自然に剥離し測定不可
ショットの評価としては、平面に静値したメルトブローン不織布の表面を手で触れて確認し、粒状の欠点の有無を触診により確認する方法、あるいは、電灯などの光源を透かして粒状の欠点の有無を目視にて確認する方法がある。記述の2つの方法の少なくとも一つの評価により粒状の欠点が確認できた場合、ショット「有」とし、2つの方法のいずれの評価においても粒状の欠点が確認できなかった場合、ショット「無」とした。
<PER系メルトブローン不織布(MB)の製造>
プロピレン・エチレン共重合体〔ExxonMobil社製:製品名「VistamaxxTM6202」、MFR(230℃、2.16kg荷重):20g/10min、エチレン含量:15wt%〕40質量部、プロピレン系重合体ワックス〔密度:0.900g/cm3、重量平均分子量:7800、軟化点148℃、エチレン含量:1.7wt%〕40質量部、プロピレン単独重合体〔MFR:1500g/10分、重量平均分子量(Mw):54000〕20質量部、(I)有機リン系化合物として、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブ2112」〕0.2質量部、(II)ヒンダードアミン系化合物として、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−94G」〕0.15質量部、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−77Y」〕0.05質量部、(III)フェノール系化合物として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタン〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブAO−30」〕0.1質量部、トリアゾール系化合物として、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−36」〕0.15質量部の混合物〔プロピレン系重合体組成物(A)〕を用いて、0.4mmφ、760孔のノズルを有する紡糸口金から、単孔当たり0.15g/分で溶融樹脂を吐出させメルトブローン法による溶融紡糸を行ってマイクロファイバーを成形し、捕集面上に堆積させ、目付20g/m2狙いでメルトブローン不織布(以下、MBまたはMB不織布と称することがある)を製造した。
得られたMB不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
MFR:60g/10分、密度:0.910g/cm3のプロピレン単独重合体(PP)100質量部、高密度ポリエチレン(PE、(株)プライムポリマー製、商品名「ハイゼックスHZ2200J」、MFR=5.2g/10分、密度0.964g/cm3)4質量部を含有する混合物〔プロピレン系重合体組成物(B)〕を用い、230℃にて溶融紡糸を行い、得られた繊維を補集面上に堆積させた後、熱エンボスにより、繊維径が18μm、目付が20g/m2のスパンボンド不織布(以下、SBまたはSB不織布と称することがある)を得た。
上記で得られたメルトブローン不織布(MB)の両面に、上記で得られた前記スパンボンド不織布(SB)を積層し、熱エンボス(刻印面積率18%)により110℃、線圧1Mpaで熱融着を行って、SB/MB/SBの三層構造からなる不織布積層体(SMS不織布積層体)を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
<PER系メルトブローン不織布(MB)の製造>
目付を6.5g/m2狙いとした以外は、実施例1と同様にしてPER混合メルトブローン不織布(MB)を製造した。
エチレン・1−ヘキセン共重合体〔(株)プライムポリマー社製、製品名:エボリューH SP50800P、密度:0.951g/cm3、MFR:135g/10分〕80質量部と、エチレン系重合体ワックス〔密度:0.980g/cm3、重量平均分子量:6900、軟化点135℃〕20質量部を含有する混合物〔エチレン系重合体組成物(C)〕を用いて、0.4mmφ、760孔のノズルを有する紡糸口金から、単孔当たり0.15g/分で溶融樹脂を吐出させメルトブローン法による溶融紡糸を行ってマイクロファイバーを成形し、捕集面上に堆積させ、目付6.5g/m2狙いとしてメルトブローン不織布(MB)を製造した。
上記で得られた6.1g/m2のPE系メルトブローン不織布(MB)の両面に、6.5g/m2のPER系メルトブローン不織布(MB)を積層させ、さらにその外側両面に実施例1と同じスパンボンド不織布(SB)を積層させて、熱エンボス(刻印面積率18%)により110℃、線圧1Mpaで熱融着を行って、SB/MB〔PER系〕/MB〔PE系〕/MB〔PER系〕/SBの五層構造からなるSMS不織布積層体を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
PER系メルトブローン不織布(MB)各原料の比率を、プロピレン・エチレン共重合体40質量部、プロピレン単独重合体60質量部とし、プロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例1と同様にしてPER系メルトブローン不織布(MB)を得た。得られたMB不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
また、得られた比較例1のMB不織布を用いて、実施例1と同様にして比較例1のSMS不織布積層体を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
PER系メルトブローン不織布(MB)各原料の比率を、プロピレン・エチレン共重合体40質量部、プロピレン単独重合体60質量部とし、プロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例2と同様にしてPER系メルトブローン不織布(MB)を得た。得られたMB不織布を用いて、実施例2と同様にして、五層構造からなる比較例2のSMS不織布積層体を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
PER系メルトブローン不織布(MB)各原料の比率を、プロピレン・エチレン共重合体60質量部、プロピレン系重合体ワックス40質量部とした以外は実施例1と同様にしてPER系メルトブローン不織布(MB)を得た。得られたMB不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
また、得られたMB不織布を用いて、実施例1と同様にしてSMS不織布積層体を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
PER系メルトブローン不織布(MB)各原料の比率を、プロピレン・エチレン共重合体60質量部、プロピレン・エチレン系重合体ワックス40質量部とし、プロピレン単独重合体を用いなかった以外は実施例2と同様にしてPER系メルトブローン不織布(MB)を得た。得られたMB不織布を用いて、実施例2と同様にして、五層構造からなるSMS不織布積層体を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
<PPメルトブローン不織布(MB)の製造>
プロピレン単独重合体〔MFR:1500g/10分、重量平均分子量(Mw):54000〕100質量部に対して、(A)有機リン系化合物として、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブ2112」〕0.4質量部、(B)ヒンダードアミン系化合物として、2,4−ジクロロ−6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン重縮合物〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−94G」〕0.3質量部、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−77Y」〕0.1質量部、(C)フェノール系化合物として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ブタン〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブAO−30」〕0.2質量部、トリアゾール系化合物として、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール〔(株)アデカ製、製品名「アデカスタブLA−36」〕0.3質量部を添加して熱可塑性樹脂組成物を得た。その組成物を用いて、0.4mmφ、760孔のノズルを有する紡糸口金から、単孔当たり0.15g/分で溶融樹脂を吐出させメルトブローン法による溶融紡糸を行ってマイクロファイバーを成形し、捕集面上に堆積させ、目付20g/m2狙いでメルトブローン不織布(MB)を製造した。得られた比較例5のMB不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
上記で得られたメルトブローン不織布(MB)の両面に、前記スパンボンド不織布(SB)を積層し、熱エンボス(刻印面積率18%)により120℃、線圧1Mpaで熱融着を行って、三層構造からなるSMS不織布積層体を得た。得られた比較例5のSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
PER系メルトブローン不織布(MB)の原料を、比較例5のPPメルトブローン不織布(MB)と同じ原料に変えた以外は実施例2と同様にして比較例6のPER系メルトブローン不織布(MB)を得た。得られたMB不織布を用いて、実施例2と同様にして、五層構造からなる比較例6のSMS不織布積層体を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
PER系メルトブローン不織布(MB)の原料を、上記プロピレン・エチレン共重合体10質量部、プロピレン単独重合体〔MFR:1100g/10分、重量平均分子量(Mw):97000〕90質量部とし、プロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例1と同様にして比較例7のMB不織布を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
PER系メルトブローン不織布(MB)の原料を、上記プロピレン・エチレン共重合体20質量部、プロピレン単独重合体〔MFR:1100g/10分、重量平均分子量(Mw):97000〕80質量部とし、プロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例1と同様にして比較例8のMB不織布を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
PER系メルトブローン不織布(MB)の原料を、プロピレン・エチレン共重合体〔MFR:60g/10分、融点:143℃、エチレン含有量:3.0重量%〕100質量部とし、プロピレン単独重合体およびプロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例1と同様にして比較例9のMB不織布を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表1に示す。
PER系メルトブローン不織布(MB)各原料の比率を、プロピレン・エチレン共重合体〔MFR:60g/10分、融点:143℃、エチレン含有量:3.0重量%〕100質量部とし、プロピレン単独重合体およびプロピレン系重合体ワックスを用いなかった以外は実施例2と同様にして五層構造からなる比較例10のSMS不織布積層体を得た。得られた不織布の物性を既述の方法で測定した。結果を表2に示す。
<PE系メルトブローン不織布(MB)の製造>
エチレン・1−ヘキセン共重合体〔(株)プライムポリマー社製、製品名:エボリューH SP50800P、密度:0.951g/cm3、MFR:135g/10分〕80質量部と、エチレン系重合体ワックス〔密度:0.980g/cm3、重量平均分子量:6900、軟化点135℃〕20質量部の混合物を用いて、0.4mmφ、760孔のノズルを有する紡糸口金から、単孔当たり0.15g/分で溶融樹脂を吐出させメルトブローン法による溶融紡糸を行ってマイクロファイバーを成形し、捕集面上に堆積させ、目付20g/m2狙いで比較例11のメルトブローン不織布(MB)を製造した。
上記で得られたメルトブローン不織布(MB)の両面に、前記スパンボンド不織布(SB)を積層し、熱エンボス(刻印面積率18%)により110℃、線圧1Mpaで熱融着を行って、三層構造からなるSMS不織布積層体を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表1、表2に示す。
<スパンボンド不織布(SB)の製造>
MFR:60g/10分、密度:0.910g/cm3のプロピレン単独重合体(PP)100質量部のみを用いた以外は、実施例1と同様にしてスパンボンド不織布(SB)を得た。
<SMS不織布積層体の製造>
上記スパンボンド不織布(SB)を使用した以外は、比較例11と同様にして三層構造からなるSMS不織布積層体を得た。得られたSMS不織布積層体の物性を既述の方法で測定した。結果を表1、表2に示す。
電子線照射後のMBの伸びの低下も抑制されており、スパンボンド不織布と積層させた際にも、表2に記載の如く、熱エンボスによるダメージが少なく、良好な耐水圧のSMS不織布が得られる。
また、電子線により劣化しにくいPE系メルトブローとの五層積層SMS不織布とした実施例2においても層間の剥離強度が高い不織布となる。
プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン系重合体ワックスの2つのみを使用してメルトブローン不織布に形成した比較例3では、細い繊維・地合良好な不織布が得られず、通気性が高くなる。さらに、安定した紡糸・ウェブフォーミングがし難い傾向が見られた。
プロピレン単独重合体と添加剤からなる組成物を使用してメルトブローン不織布を形成した比較例5では、電子線照射後の強度および伸びの低下が著しいことがわかる。
比較例9、10の比較的プロピレン含量が多いプロピレン・エチレン共重合体のみを使用してメルトブローン不織布に形成した際には、細い繊維・地合良好な不織布が得られず、PE系メルトブローとの五層積層SMS不織布にした際の層間の剥離強度が低下する。
比較例11のPE系メルトブローン不織布とスパンボンド不織布との三層積層SMS不織布に置いて、層間の剥離強度が低くなるだけでなく、引張強度も低下することが分る。
比較例12の如く、プロピレン単独重合体のみを使用してメルトブローン不織布を形成した際には、通気度は良好となるが、電子線照射後に引張時の伸びが著しく低下する。またPE系メルトブローとの五層積層SMS不織布において、層間の剥離強度が低くなる。
Claims (13)
- プロピレン・α-オレフィン共重合体と、
プロピレン単独重合体と、
プロピレン系ワックスと、を含むプロピレン系重合体組成物(A)で構成される繊維からなるメルトブローン不織布。 - 前記プロピレン系重合体組成物(A)が、前記プロピレン系重合体組成物(A)100質量部に対して、前記プロピレン・α-オレフィン共重合体を20質量部〜75質量部、前記プロピレン単独重合体を5質量部〜30質量部、および前記プロピレン系ワックスを20質量部〜50質量部含む請求項1に記載のメルトブローン不織布。
- 前記プロピレン・α-オレフィン共重合体の示差走査型熱量計で測定した融解熱量が80J/g未満である請求項1または請求項2に記載のメルトブローン不織布。
- 前記プロピレン系ワックスの重量平均分子量が400〜30000である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布の少なくとも一方の面上に、前記プロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布が積層されてなる不織布積層体。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布の少なくとも一方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布の一方の面上に、前記プロピレン系重合体組成物(A)とは異なるプロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布が積層され、他方の面上に、エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が積層されてなる不織布積層体。
- 前記エチレン系重合体組成物(C)で構成される繊維からなる連続長繊維不織布が、メルトブローン不織布である請求項6または請求項7に記載の不織布積層体。
- 前記エチレン系重合体組成物(C)が、メルトフローレート(MFR)が10g/10分〜250g/10分のエチレン系重合体(c−1)と、重量平均分子量(Mw)が400〜15000のエチレン系重合体ワックス(c−2)とを含み、前記エチレン系重合体ワックス(c−2)に対する前記エチレン系重合体(c−1)の含有量が、質量比〔(c−1)/(c−2)〕で90/10〜10/90である範囲である請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の不織布積層体。
- 前記プロピレン系重合体組成物(B)が、プロピレン系重合体(b−1)100質量部に対し、密度が0.93g/cm3〜0.98g/cm3であるエチレン系重合体(b−2)を1質量部〜10質量部含む重合体組成物である請求項5または請求項7に記載の不織布積層体。
- 前記プロピレン系重合体組成物(B)で構成される繊維からなるスパンボンド不織布は、JIS L 1096(2010年)に準じたフラジール通気度測定機による圧力差125Paでの流量の条件で測定した通気度が500cm3/cm2/s以下である請求項10に記載の不織布積層体。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布、または、請求項5〜請求項11のいずれか1項に記載の不織布積層体を含む医療用衣料。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメルトブローン不織布、または、請求項5〜請求項11のいずれか1項に記載の不織布積層体を含むドレープ。
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