JP2017196860A - 繊維強化樹脂製中空状成型体及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂製中空状成型体及びその製造方法 Download PDF

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崇 金子
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Abstract

【課題】製造が簡便で、軽量かつ剛性の高い繊維強化樹脂製中空状成型体、及び該繊維強化樹脂製中空状成型体を提供することを目的とする。【解決手段】内面同士が平行になるように対向して配置された第1平面部14及び第2平面部16と、外側に突き出るように湾曲した第1湾曲部18及び第2湾曲部20とを備え、長さ方向に対して垂直に切断した断面において、第1湾曲部18及び第2湾曲部20の内面はそれぞれ曲率ρ(mm−1)で円弧状に湾曲し、第1湾曲部18と第2湾曲部20の内面の頂点同士の距離をd(mm)、第1平面部14の内面と第2平面部16の内面との距離をh(mm)としたとき、h/2<d/2≦1/ρを満たす、長尺で中空状の繊維強化樹脂製中空状成型体1。また、繊維強化樹脂製中空状成型体1の製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、繊維強化樹脂製中空状成型体及びその製造方法に関する。
自動車、オートバイ、自転車、航空機等の様々な分野の構造材として、軽量で優れた強度特性を有することから、繊維強化樹脂製の構造材が広く用いられている。強化繊維としては炭素繊維が好適に使用されている。また、液晶ガラス基板を収納するガラス基板収納カセットに備えられるガラス基板支持体としては、長尺で中空状の繊維強化樹脂製中空状成型体が多く用いられている。
近年では液晶ガラス基板が大型化しているため、ガラス基板支持体として使用される繊維強化樹脂製中空状成型体もより長尺化している。繊維強化樹脂製中空状成型体は長尺化するほど破損や変形が起きやすいため、より剛性が高い繊維強化樹脂製中空状成型体が必要となる。繊維強化樹脂製中空状成型体の剛性を上げるには、断面2次モーメントを大きくすることが最も良い手段である。断面2次モーメントは、円筒状の繊維強化樹脂製中空状成型体よりも、四角筒状の繊維強化樹脂製中空状成型体の方が大きい。
四角筒状の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法としては、例えば、四角柱の長さ方向に延びる角部を面取りした形状のマンドレル(芯金)の側面を覆うようにプリプレグを配置した後、ポリプロピレン製のテープを巻き付けて硬化させるシートラップ成型を行う方法が知られている(特許文献1)。該方法は工程が簡便であるが、成型時のテープの張力による圧力がマンドレルの角部に集中することで、成型体の角部が丸みを帯びたり、平面部の平滑性が損なわれたり、平面部にボイドが発生したりする問題がある。
シートラップ成型を利用する製造方法としては、一対の長尺の平面部と、外側に向かって突き出るように湾曲した形状の長尺の一対の湾曲部とで形成される断面形状が小判型の繊維強化樹脂製中空状成型体を製造する方法も知られている(特許文献2)。該方法で得られる繊維強化樹脂製中空状成型体は、平面部と湾曲部とで形成される境界部が丸くなりにくいが、特に高い剛性を得ることは難しい。
特開2013−10346号公報 特開2007−90794号公報
本発明は、製造が簡便で、軽量かつ剛性の高い繊維強化樹脂製中空状成型体、及び該繊維強化樹脂製中空状成型体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]内面同士が平行になるように対向して配置された第1平面部及び第2平面部と、前記第1平面部及び前記第2平面部の幅方向の両側に設けられ、外側に突き出るように湾曲した第1湾曲部及び第2湾曲部とを備える、長尺で中空状の繊維強化樹脂製中空状成型体であって、
長さ方向に対して垂直に切断した断面において、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部の内面はそれぞれ曲率ρ(mm−1)で円弧状に湾曲し、前記第1湾曲部と前記第2湾曲部の内面の頂点同士の距離をd(mm)、前記第1平面部の内面と前記第2平面部の内面との距離をh(mm)としたとき、下式(1)を満たす、繊維強化樹脂製中空状成型体。
h/2<d/2≦1/ρ ・・・(1)
[2]長さ方向において前記の距離hが漸次的に変化する部分を有する、[1]に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体。
[3]長さ方向において前記曲率ρが漸次的に変化する部分を有する、[1]又は[2]に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維強化樹脂製中空状成型体を製造する方法であって、下記の工程(a)〜(d)を有する、繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法。
(a)棒状で、長さ方向に垂直な断面形状が前記繊維強化樹脂製中空状成型体の中空形状と相補的な形状の芯材の外面に、強化繊維とマトリックス樹脂を含有するプリプレグを巻き付けて第1巻付体を得る工程。
(b)前記第1巻付体の前記プリプレグ上にさらに第1ラッピングテープを巻き付けて第2巻付体を得る工程。
(c)棒状の当て材を、前記第2巻付体における前記第1平面部と前記第2平面部のそれぞれに対応する部分に密着するように設置した状態で、第2ラッピングテープを巻き付けて第3巻付体を得る工程。
(d)前記第3巻付体を加熱する工程。
[5]前記強化繊維がガラス繊維であるプリプレグと、前記強化繊維が炭素繊維であるプリプレグとを前記芯材に巻き付ける、[4]に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法。
[6]前記強化繊維がガラス繊維である織物プリプレグと、前記強化繊維が炭素繊維である一方向プリプレグとを前記芯材に巻き付ける、[5]に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法。
[7]前記芯材の外面における前記第1平面部及び前記第2平面部に対応する部分の両方と、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部に対応する部分の一方とが覆われ、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部に対応する部分の他方が覆われないように、前記一方向プリプレグを巻き付ける、[6]に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法。
[8]前記芯材の外面における前記第1平面部及び前記第2平面部に対応する部分の一方が覆われ、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部に対応する部分の両方と、前記第1平面部及び前記第2平面部に対応する部分の他方が覆われないように、前記一方向プリプレグを巻き付ける、[6]に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法。
本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、製造が簡便なうえ、軽量で剛性も高い。
本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法によれば、軽量で剛性の高い繊維強化樹脂製中空状成型体を簡便に製造することができる。
本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体の一例を示した側面図である。 図1の繊維強化樹脂製中空状成型体の平面図である。 図3(A)は図1の繊維強化樹脂製中空状成型体を太径端側から見た図であり、図3(B)は細径端側から見た図である。 図4(A)は芯材の平面図であり、図4(B)は太径端側から見た図であり、図4(C)は細径端側から見た図である。 実施例で使用したプリプレグを示した平面図である。 実施例で使用したプリプレグを示した平面図である。 図7(A)は当て材の平面図であり、図7(B)は太径端側から見た図であり、図7(C)は細径端側から見た図である。 図8(A)は当て材の平面図であり、図8(B)は太径端側から見た図であり、図8(C)は細径端側から見た図である。 図9(A)は本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法における第1巻付体の断面図であり、図9(B)は第3巻付体の断面図である。
[繊維強化樹脂製中空状成型体]
本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、繊維強化樹脂製の成型体であり、長尺で中空状になっている。具体的には、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、内面同士が平行になるように対向して配置された第1平面部及び第2平面部と、前記第1平面部及び前記第2平面部の幅方向の両側に設けられ、外側に突き出るように湾曲した第1湾曲部及び第2湾曲部とを備えている。本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体では、これら第1平面部、第2平面部、第1湾曲部及び第2湾曲部が筒状に一体に形成されており、内部に中空部が形成されている。
なお、本明細書において、繊維強化樹脂製中空状成型体の外径とは、対向する一対の湾曲部における外径、すなわち第1平面部側から見た成型体の幅を意味するものとする。
このように、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体の断面形状は、一対の平面部と一対の湾曲部とで形成された小判型になっている。これにより、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、断面形状が円環状の成型体等に比べて断面2次モーメントが大きく、高い剛性を有している。また、このような断面形状であることで、製造時においてはラッピングテープを巻き付けることが容易である。
本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体の用途は、特に限定されないが、長尺でも軽量で剛性に優れる点から、液晶ガラス基板収納カセットのガラス基板支持体として特に有用である。本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、長さ方向の一端から他端まで外径が一定であるストレート形状の成型体であってもよく、長さ方向の一端から他端に向かって外径が漸次的に変化するテーパー形状の成型体であってもよく、ストレート形状のストレート部とテーパー形状のテーパー部の両方を有する成型体であってもよい。本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体がストレート部とテーパー部を有する場合でも、それらの部分は一体に形成される。これにより、ストレート部とテーパー部を接合するための複雑な構造が不要になって十分な軽量化が実現され、また十分な強度も得られる。
以下、テーパー部を含む繊維強化樹脂製中空状成型体における、外径が小さい側の端部を細径端部といい、外径が大きい側の端部を太径端部という。
本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体が繊維強化樹脂製であるとは、強化繊維とマトリックス樹脂を含有する繊維強化樹脂材料で形成された成型体であることを意味する。本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体においては、長尺の強化繊維が成型体の長さ方向の一端から他端まで継ぎ目なく連続して配置されていることが好ましい。これにより、成型体の強度と剛性を確保しながら軽量化を実現することが容易になる。
強化繊維としては、特に限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、スチール繊維等が挙げられる。ガラス繊維の材質としては、例えば、Eガラス、Sガラス等が挙げられる。炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル繊維を原料とするPAN系炭素繊維、石油又は石炭ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維が挙げられる。
強化繊維としては、高い強度及び剛性と軽量化を両立しやすい点では、炭素繊維が好ましい。本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体に含まれる強化繊維は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
マトリックス樹脂としては、特に限定されず、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。マトリックス樹脂としては、成型性に優れる点から、熱硬化性樹脂が好ましい。マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、熱硬化性樹脂の硬化物を含有する。本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体に含まれるマトリックス樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、硬化前は液状であってもよく、固体状であってもよい。
本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、強化繊維が織布状に織り込まれた状態になっている形態保持層と、強化繊維の繊維軸方向が成型体の長さ方向に対して−5°〜+5°で一方向に配向しているストレート層とを含むことが好ましい。これにより、重量の増加を抑えながら、十分な剛性を保つことが容易になる。
本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体が形態保持層とストレート層を含む場合、形態保持層の外側にストレート層が形成されていることが好ましい。形態保持層は、後述する織物プリプレグにより形成される。ストレート層は、後述する一方向プリプレグにより形成される。
形態保持層においては、強化繊維が直交するように織り込まれていることが好ましい。また、この場合、形態保持層における直交する強化繊維のそれぞれの繊維軸方向は、成型体の長さ方向に対して、0°方向と90°方向に配向しているか、又は−45°方向と45°方向に配向していることが好ましい。これにより、繊維強化樹脂製中空状成型体に対して外側から潰すような力が加わった場合でも、破損や変形が抑制されやすくなる。
以下、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体の一例を示してさらに説明する。本実施形態の繊維強化樹脂製中空状成型体1(以下、単に「成型体1」という。)は、液晶ガラス基板収納カセットのガラス基板支持体として特に有用な成型体である。成型体1は、図1、図2、図3(A)及び図3(B)に示すように、長尺の第1平面部14、第2平面部16、第1湾曲部18及び第2湾曲部20を備えている。第1平面部14、第2平面部16、第1湾曲部18及び第2湾曲部20は、一体に形成されている。
第1平面部14と第2平面部16は、ともに平板状であり、第1平面部14の内面14aと第2平面部16の内面16aとが平行になるように対向して配置されている。第1湾曲部18と第2湾曲部20は、第1平面部14と第2平面部16の幅方向の両側にそれぞれ設けられている。第1湾曲部18と第2湾曲部20は、板状であり、それぞれ外側に突き出るように湾曲している。第1湾曲部18は、長さ方向に対して垂直に切断した断面において、第1湾曲部18の内面18aが曲率ρ(mm−1)の円弧状となるように湾曲している。同様に、第2湾曲部20は、長さ方向に対して垂直に切断した断面において、第2湾曲部20の内面20aが曲率ρ(mm−1)の円弧状となるように湾曲している。
成型体1は、ストレート部10と、ストレート部10の一端から長さ方向に延在し、先端に向かうにつれて窄むテーパー部12とを有する。ストレート部10とテーパー部12は一体に形成されている。第2湾曲部20側から見た側面視でのテーパー部12の形状は、図1に示すように、ストレート部10とテーパー部12の境界1cから細径端部1aに向かうにつれて第2平面部16が第1平面部14に近づく形状になっている。すなわち、第2平面部16におけるテーパー部12の部分が細径端部1aに向かうにつれて第1平面部14に近づくように傾斜している。第1平面部14の外面14bが全体として平面状になっており、第2平面部16の外面16bは境界1cにおいて屈曲した状態になっている。
第1平面部14側から見た平面視でのテーパー部12の形状は、図2、図3(A)及び図3(B)に示すように、境界1cから細径端部1aに向かうにつれて第1平面部14と第2平面部16の幅が小さくなる形状になっている。テーパー部12においては、第1湾曲部18の内面18aと第2湾曲部20の内面20aの曲率ρが、境界1cから細径端部1aに向かうにつれて小さくなっている。本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、この例のテーパー部12のように、長さ方向において距離hが漸次的に変化する部分を有してもよい。また、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、この例のテーパー部12のように、長さ方向において曲率ρが漸次的に変化する部分を有してもよい。
成型体1においては、細径端部1aから太径端部1bにわたって、第1湾曲部18の内面18aの円弧の中心と、第2湾曲部20の内面20aの円弧の中心が一致し、かつそれら中心が同一直線上(直線m上)に位置している。
本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、長さ方向に対して垂直に切断した断面において、第1湾曲部と第2湾曲部の内面の頂点同士の距離をd(mm)、第1平面部の内面と第2平面部の内面との距離をh(mm)としたとき、下式(1)を満たす。本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体が式(1)の条件を満たすことにより、高い剛性が得られる。
h/2<d/2≦1/ρ ・・・(1)
繊維強化樹脂製中空状成型体の剛性が向上する点では、d/2はh/2+3よりも大きいこと(h/2+3<d/2≦1/ρ)が好ましく、h/2+5よりも大きいこと(h/2+5<d/2≦1/ρ)がより好ましい。
本発明では、繊維強化樹脂製中空状成型体の長さ方向のどの位置で切断した断面においても、式(1)の条件が満たされる。具体的には、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体がテーパー部のみからなる成型体であっても、ストレート部とテーパー部とを有する成型体であっても、長さ方向のあらゆる位置の断面において、式(1)の条件が満たされる。
例えば、本実施形態の成型体1のテーパー部12(図3(B))においては、下式(1−1)の条件が満たされる。
h11/2<d11/2≦1/ρ11 ・・・(1−1)
ただし、式(1−1)において、d11は、テーパー部12を長さ方向に対して垂直に切断した断面における、第1湾曲部18の内面18aの頂点と第2湾曲部20の内面20aの頂点の距離(mm)である。h11は、前記断面における第1平面部14の内面14aと第2平面部16の内面16aとの距離(mm)である。距離h11は、成型体1の長さ方向において、細径端部1aに向かって漸次的に小さくなっている。ρ11は、テーパー部12における第1湾曲部18の内面18aと第2湾曲部20の内面20aの曲率であり、1/r11(ただし、r11はテーパー部12における第1湾曲部18の内面18aと第2湾曲部20の内面20aの曲率半径である。)と一致する。ρ11は、成型体1の長さ方向において、細径端部1aに向かって漸次的に小さくなっている。
本実施形態の成型体1のストレート部10(図3(A))においては、下式(1−2)の条件が満たされる。
h12/2<d12/2≦1/ρ12 ・・・(1−2)
ただし、式(1−2)において、d12は、ストレート部10を長さ方向に対して垂直に切断した断面における、第1湾曲部18の内面18aの頂点と第2湾曲部20の内面20aの頂点の距離(mm)である。h12は、前記断面における第1平面部14の内面14aと第2平面部16の内面16aとの距離(mm)である。ρ12は、ストレート部10における第1湾曲部18の内面18aと第2湾曲部20の内面20aの曲率であり、1/r12(ただし、r12はストレート部10における第1湾曲部18の内面18aと第2湾曲部20の内面20aの曲率半径である。)と一致する。
以上説明したように、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、中空状であるため軽量である。また、第1平面部、第2平面部、第1湾曲部及び第2湾曲部を有し、かつ式(1)を満たす中空状になっていることから、軽量性を保ったまま高い剛性が得られるため、長尺化しても破損や変形が抑制される。また、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、後述するようにシートラップ成型を利用して簡便に製造することができる。
なお、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、前記した成型体1には限定されない。例えば、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体は、テーパー部のみからなる成型体であってもよく、ストレート部のみからなる成型体であってもよい。
[繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法]
本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法は、前述した本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体を製造する方法である。本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法は、下記の工程(a)〜(d)を有する。
(a)棒状で、長さ方向に垂直な断面形状が繊維強化樹脂製中空状成型体の中空形状と相補的な形状の芯材の外面に、強化繊維とマトリックス樹脂を含有するプリプレグを巻き付けて第1巻付体を得る工程。
(b)前記第1巻付体の前記プリプレグ上にさらに第1ラッピングテープを巻き付けて第2巻付体を得る工程。
(c)棒状の当て材を、前記第2巻付体における前記第1平面部と前記第2平面部のそれぞれに対応する部分に密着するように設置した状態で、第2ラッピングテープを巻き付けて第3巻付体を得る工程。
(d)前記第3巻付体を加熱する工程。
本発明の製造方法は、このようにシートラップ成型を利用する方法である。以下、本発明の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法の一例として、成型体1を製造する方法を例に各工程を説明する。
(工程(a))
図4(A)〜(C)に例示した、棒状で、長さ方向に垂直な断面形状が成型体1の中空形状と相補的な形状の芯材100(マンドレル)を用意する。芯材100は、長さ方向において外径が一定のストレート部110と、ストレート部110の先端から長さ方向に延在し、先端に向かうにつれて外径が小さくなるように窄むテーパー部112とを有する。芯材100の外面は、一対の第1平面114及び第2平面116と、外側に向かって突き出るように円弧状に湾曲した一対の第1曲面118及び第2曲面119とで形成されている。なお、芯材の外径とは、第1曲面及び第2曲面が位置する部分の外径、すなわち第1平面側から見たときの芯材の幅を意味するものとする。
芯材100の第1平面114は成型体1の第1平面部14の内面14aに対応し、第2平面116は成型体1の第2平面部16の内面16aに対応している。具体的には、テーパー部112における第1平面114の幅W11は、目的の成型体1のテーパー部12における第1平面部14の内面14aの幅w11と一致している。テーパー部112における第2平面116の幅W13は、成型体1のテーパー部12における第2平面部16の内面16aの幅w13と一致している。テーパー部112における第1平面114と第2平面116との距離H11は、成型体1のテーパー部12における距離h11と一致している。
ストレート部110における第1平面114の幅W12は、成型体1のストレート部10における第1平面部14の内面14aの幅w12と一致している。ストレート部110における第2平面116の幅W14は、成型体1のストレート部10における第2平面部16の内面16aの幅w14と一致している。ストレート部110における第1平面114と第2平面116との距離H12は、成型体1のストレート部10における距離h12と一致している。
芯材100の第1曲面118は成型体1の第1湾曲部18の内面18aに対応し、第2曲面119は成型体1の第2湾曲部20の内面20aに対応している。具体的には、テーパー部112における第1曲面118及び第2曲面119の曲率半径R11は、成型体1のテーパー部12における第1湾曲部18の内面18a及び第2湾曲部20の内面20aの曲率半径r11と一致している。テーパー部112における第1曲面118と第2曲面119の頂点同士の距離D11は、成型体1のテーパー部12における距離d11と一致している。
ストレート部110における第1曲面118及び第2曲面119の曲率半径R12は、成型体1のストレート部10における第1湾曲部18の内面18a及び第2湾曲部20の内面20aの曲率半径r12と一致している。ストレート部110における第1曲面118と第2曲面119の頂点同士の距離D12は、成型体1のストレート部10における距離d12と一致している。
芯材100の第2平面116は、ストレート部110とテーパー部112の境界部分から細径端部100aに向かって第1平面114に近づくように傾斜している。このように、芯材100の長さ方向に垂直な断面形状は、成型体1の中空形状と相補的な形状になっている。
芯材の材質としては、特に限定されず、剛性の高いアルミニウム、鉄、ステンレス等の金属や、強化繊維樹脂等が好ましい。
芯材100の全長L113は、目的とする成型体1の全長L13よりも長いことが好ましい。芯材100のテーパー部112の長さL111は、目的とする成型体1のテーパー部12の長さL11よりも長いことが好ましい。芯材100のストレート部110の長さL112は、目的とする成型体1のストレート部10の長さL12よりも長いことが好ましい。これらにより、プリプレグ等の巻き付け作業が容易に行うことができる。
工程(a)では、芯材100の外面に、強化繊維とマトリックス樹脂を含有するプリプレグPを巻き付け、図9(A)に示すような第1巻付体1Aを得る。プリプレグPは、芯材100の長さ方向、すなわち目的の成型体1の長さ方向において継ぎ目がないようにする。具体的には、芯材100の長さ方向において、目的の成型体1の全長と同等かそれ以上の長さのプリプレグPを巻き付ける。芯材に巻き付けるプリプレグの枚数は、特に限定されず、1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。
本発明の製造方法では、工程(a)において、強化繊維がガラス繊維であるプリプレグと、強化繊維が炭素繊維であるプリプレグとを芯材に巻き付けることが好ましい。これにより、プリプレグを巻き付ける時の作業性と成型体の剛性の向上を両立することが可能となる。
また、本発明の製造方法では、工程(a)において、強化繊維を織布状に織り込んだシート状の繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させた織物プリプレグと、強化繊維を一方向に引き揃えたシート状の繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させた一方向プリプレグとを、芯材に巻き付けることが好ましい。これにより、成型体への穴あけなどの加工性を向上させつつ、高い剛性と強度を確保することが可能となる。
織物プリプレグと一方向プリプレグを芯材に巻き付ける場合は、織物プリプレグを巻き付けた後に一方向プリプレグを巻き付けることが好ましい。すなわち、得られる繊維強化樹脂製中空状成型体において、形態保持層の外側にストレート層が形成されるようにすることが好ましい。これにより、成型後に繊維強化樹脂製中空状成型体から芯材を取り外す際の成型体の内側の破損や、その後の繊維強化樹脂製中空状成型体の変形や破損を抑制することが容易になる。
織物プリプレグは、芯材を周方向に少なくとも1周するように巻き付けることが好ましい。これにより、形態保持層の効果が十分に発現されやすくなる。
織物プリプレグを巻き付ける際の強化繊維の配向は、特に限定されない。強化繊維の繊維軸方向が直交している織物プリプレグを使用する場合、芯材の長手方向に対する強化繊維のそれぞれの繊維軸方向が、0°方向と90°方向に配向するように織物プリプレグを巻き付けるか、又は−45°方向と45°方向に配向するように織物プリプレグを巻き付けることが好ましい。これにより、得られる繊維強化樹脂製中空状成型体において破損や変形が生じにくくなる。
芯材に巻き付ける織物プリプレグの枚数は、特に限定されず、1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。
織物プリプレグとしては、巻き付ける時の作業性と成型体の強度保持の点から、強化繊維がガラス繊維である織物プリプレグ、又は強化繊維が炭素繊維である織物プリプレグが好ましく、成型体への穴あけなどの加工性の観点から、強化繊維がガラス繊維である織物プリプレグがより好ましい。織物プリプレグに炭素繊維を使用する場合、屈曲させた部分においても強度を十分に高める点から、強度の高いPAN系炭素繊維が好ましい。織物プリプレグにおいては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、スチール繊維等の2種以上を併用してもよい。
一方向プリプレグの巻き付け方としては、芯材における成型体の第1平面部及び第2平面部に対応する部分の両方と、第1湾曲部及び第2湾曲部に対応する部分の一方とが覆われ、第1湾曲部及び第2湾曲部に対応する部分の他方が覆われないように巻き付けることが好ましい。例えば本実施形態例では、芯材100における第1平面114及び第2平面116と、第1曲面118及び第2曲面119の一方とが覆われ、第1曲面118及び第2曲面119の他方が覆われないように巻き付けることが好ましい。これにより、成型体の質量を小さくしつつ剛性を高めることが容易になり、また製造時において芯材の平面と曲面の境界部分におけるテープ張力による応力集中を緩和させることが容易になる。
なお、芯材における成型体の第1平面部及び第2平面部に対応する部分の両方と、第1湾曲部及び第2湾曲部に対応する部分の一方とが覆われるように一方向プリプレグを巻き付ける場合、第1湾曲部及び第2湾曲部に対応する部分の他方に該一方向プリプレグの側端部分がわずかにかかるようにしてもよい。
一方向プリプレグの巻き付け方としては、芯材における成型体の第1平面部及び第2平面部に対応する部分の一方が覆われ、第1湾曲部及び第2湾曲部に対応する部分の両方と、第1平面部及び第2平面部に対応する部分の他方が覆われないように巻き付けることも好ましい。例えば本実施形態例では、第1平面114及び第2平面116の一方が覆われ、芯材100における第1曲面118及び第2曲面119と、第1平面114及び第2平面116の他方が覆われないように巻き付けることも好ましい。これにより、成型体の質量を小さくしつつ剛性を高めることが容易になり、また製造時において芯材の平面と曲面の境界部分におけるテープ張力による応力集中を緩和させることが容易になる。
なお、芯材における成型体の第1平面部及び第2平面部に対応する部分の一方が覆われるように一方向プリプレグを巻き付ける場合、第1湾曲部及び第2湾曲部に対応する部分に該一方向プリプレグの側端部分がわずかにかかるようにしてもよい。
一方向プリプレグを巻き付ける際は、芯材の長さ方向に対する強化繊維の繊維軸方向が−5°〜+5°の範囲で配向するように巻き付けることが好ましい。これにより、長尺であっても変形しにくい繊維強化樹脂製中空状成型体が得られやすくなる。
芯材に巻き付ける一方向プリプレグの枚数は、特に限定されず、1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。
一方向プリプレグとしては、強化繊維がガラス繊維である一方向プリプレグ、又は強化繊維が炭素繊維である一方向プリプレグが好ましく、強化繊維が炭素繊維である一方向プリプレグがより好ましい。一方向プリプレグに使用する炭素繊維としては、剛性を高めやすい点では弾性率の高いピッチ系炭素繊維が好ましく、強度を高めやすい点ではPAN系炭素繊維が好ましい。一方向プリプレグに使用する炭素繊維としては、ピッチ系炭素繊維が特に好ましい。一方向プリプレグにおいては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、スチール繊維等の2種以上を併用してもよい。
本発明では、織物プリプレグと一方向プリプレグをこの順に芯材に巻き付けた後に、必要に応じて、成型体の最外層に割れ防止層を形成するための織物プリプレグをさらに巻き付けてもよい。割れ防止層を形成する織物プリプレグとしては、ストレート層を形成する一方向プリプレグに比べて弾性率の低い強化繊維を使用した織物プリプレグが好ましい。なかでも、割れ防止層を形成する織物プリプレグとしては、衝撃や機械加工によるクラックの発生を抑制しやすい点から、ガラス繊維からなる織物プリプレグが好ましい。
割れ防止層を形成する織物プリプレグは、芯材を周方向に少なくとも1周するように巻き付けることが好ましい。これにより、割れ防止層の効果が十分に発現されやすくなる。
(工程(b))
工程(b)では、工程(a)で得た第1巻付体1AのプリプレグP上にさらに第1ラッピングテープを巻き付けて第2巻付体を得る。これにより、第2巻付体においてプリプレグPが芯材100に巻き付けられた状態で安定に保持される。第1ラッピングテープを巻き付ける方法は、第2巻付体においてプリプレグが巻き付けられた状態で安定に保持される範囲であれば特に限定されず、例えば、螺旋状に巻き付ける方法が挙げられる。
第1ラッピングテープは、芯材の長さ方向において所定の間隔が開くように巻き付けてもよく、全体が覆われるように巻き付けてもよい。第1ラッピングテープの使用量が少なく、操作も簡便な点から、第2巻付体においてプリプレグが巻き付けられた状態で安定に保持される範囲で、芯材の長さ方向において所定の間隔が開くように第1ラッピングテープを巻き付けることが好ましい。
第1ラッピングテープとしては、プリプレグに使用するマトリックス樹脂の種類や工程(d)の加熱条件に応じて適宜選択することができる。例えば、マトリックス樹脂として硬化温度が130〜140℃であるエポキシ樹脂を用いる場合、第1ラッピングテープとしてポリプロピレン製収縮フィルムを使用することができる。
第1ラッピングテープの幅は、特に限定されず、例えば、20〜30mmとすることができる。
(工程(c))
工程(c)では、棒状の当て材を、第2巻付体における第1平面部と第2平面部のそれぞれに対応する部分に密着するように設置した状態で、第2ラッピングテープを巻き付けて第3巻付体を得る。
工程(c)では、棒状で、長さ方向に垂直な断面形状が直線部と円弧部とで形成される欠円状の当て材を用いることが好ましい。この場合、第2巻付体における第1平面部と第2平面部のそれぞれに対応する部分上に、直線部が第2巻付体に接するように当て材を設置した状態で、第2ラッピングテープを巻き付けることで、長さ方向に垂直な断面形状が全体として円形状の第3巻付体が得られる。
例えば、本実施形態例では、図7(A)〜図7(C)に例示した当て材120と、図8(A)〜図8(C)に例示した当て材130を使用する。
当て材120は、断面形状が直線部と曲線部とで形成される欠円状であり、直線部の幅及び円弧部の曲率半径が一定のストレート部122と、ストレート部122の先端から長さ方向に延び、直線部の幅及び円弧部の曲率半径が先端に向かうにつれて小さくなるテーパー部124とを有する。
当て材120のテーパー部124の長さL121は、芯材100のテーパー部112の長さL111と同等であり、ストレート部122の長さL122は芯材100のストレート部110の長さL112と同等である。当て材120の全長L123は芯材100の全長L113と同等である。当て材120のテーパー部124の幅W21は、芯材100のテーパー部112における第1平面114の幅W11とほぼ同等である。当て材120のテーパー部124における曲線部の曲率半径R21は、芯材100のテーパー部112における曲率半径R11と同等である。当て材120のストレート部122の幅W22は、芯材100のストレート部110における第1平面114の幅W12とほぼ同等である。当て材120のストレート部122における曲線部の曲率半径R22は、芯材100のストレート部110における曲率半径R12と同等である。
当て材130は、断面形状が直線部と曲線部とで形成される欠円状であり、直線部の幅及び円弧部の曲率半径が一定のストレート部132と、ストレート部132の先端から長さ方向に延び、直線部の幅及び円弧部の曲率半径が先端に向かうにつれて小さくなるテーパー部134とを有する。当て材130は、ストレート部132とテーパー部134の境界部分において、成型体1の第2平面部16の外面16bの屈曲形状と、芯材100の第2平面116の屈曲形状に沿うように、屈曲している。
当て材130のテーパー部134の長さL131は、芯材100のテーパー部112の長さL111と同等であり、ストレート部132の長さL132は芯材100のストレート部110の長さL112と同等である。当て材130の全長L133は芯材100の全長L113と同等である。当て材130のテーパー部134の幅W31は、芯材100のテーパー部112における第2平面116の幅W13とほぼ同等である。当て材130のテーパー部134における曲線部の曲率半径R31は、芯材100のテーパー部112における曲率半径R11と同等である。当て材130のストレート部132の幅W32は、芯材100のストレート部110における第2平面116の幅W14とほぼ同等である。当て材130のストレート部132における曲線部の曲率半径R32は、芯材100のストレート部110における曲率半径R12と同等である。
第2巻付体における芯材100の第1平面114側に、当て材120を直線部が第2巻付体に接するように配置し、第2平面116側に、当て材130を直線部が第2巻付体に接するように配置した状態で、全体に第2ラッピングテープを巻き付ける。これにより、図9(B)に示すように、長さ方向に垂直な断面形状が全体として円形状の第3巻付体1Bが得られる。なお、図9(B)においては、第2ラッピングテープを省略して示している。
当て材の材質としては、特に制限されず、剛性の高いアルミニウム、鉄、ステンレス等の金属や、強化繊維樹脂等が好ましい。
第2ラッピングテープの巻き付けは、粘着性のあるテープや糊剤等で第2巻付体に当て材を仮止めした状態で行うことが好ましい。第2ラッピングテープを巻き付ける方法は、当て材が安定に保持される範囲であれば特に限定されず、例えば、螺旋状に巻き付ける方法が挙げられる。第2ラッピングテープは、芯材の長さ方向において所定の間隔が開くように巻き付けてもよく、全体が覆われるように巻き付けてもよい。第2ラッピングテープの使用量が少なく、操作も簡便な点から、当て材が安定に保持される範囲で、芯材の長さ方向において所定の間隔が開くように第2ラッピングテープ巻き付けることが好ましい。
第2ラッピングテープとしては、特に限定されず、例えば、第1ラッピングテープで挙げたものと同じものが挙げられる。
第2ラッピングテープの幅は、特に限定されず、例えば、20〜30mmとすることができる。
第2巻付体においては、プリプレグにおける芯材の第1平面及び第2平面に相当する部分に、第1ラッピングテープの張力による圧力がかかりにくい。しかし、プリプレグにおける芯材の第1平面及び第2平面に相当する部分上に当て材を配置し、その上から第2ラッピングテープを巻き付けることで、巻き付けたプリプレグにおけるそれら平面に相当する部分に十分に圧力をかけることができる。この状態で工程(d)の加熱を行うことで、得られる成型体における第1平面部及び第2平面部の平滑性を十分に高めることが可能となる。特に、本実施形態のように第3巻付体の断面形状が全体として円形状となるようにすれば、プリプレグ全体に均一に圧力がかかりやすい点で有利である。なお、当て材は、第2巻付体における成型体の第1平面部及び第2平面部のそれぞれに対応する部分に密着させることができる平面を有していれば、断面形状が欠円状であるものには特に制限されない。
(工程(d))
工程(d)では、第3巻付体を加熱する。マトリックス樹脂が硬化性樹脂である場合は、工程(d)において該硬化性樹脂を硬化させる。加熱温度及び加熱時間は、プリプレグに使用するマトリックス樹脂の種類に応じて適宜設定すればよい。
以上説明した工程(a)〜(d)により、繊維強化樹脂製中空状成型体が得られる。
以上説明した本発明の製造方法で得られる繊維強化樹脂製中空状成型体は、中空状であるため軽量である。また、本発明の製造方法で得られる繊維強化樹脂製中空状成型体は、また、第1平面部、第2平面部、第1湾曲部及び第2湾曲部を有し、かつ式(1)を満たす中空状になっていることから、軽量性と剛性が両立されており、長尺化しても破損や変形が抑制される。
本発明の製造方法は、液晶ガラス基板収納カセットのガラス基板支持体に用いる繊維強化樹脂製中空状成型体の製造に特に好適なものである。
なお、本発明の製造方法は、成型体1を製造する方法には限定されない。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[芯材]
図4(A)〜(C)に例示した芯材100(鉄製マンドレル)を用意した。芯材100の各寸法を表1に示す。L111はテーパー部112の長さであり、L112はストレート部110の長さであり、L113は芯材100の全長である。W11は細径端部100aにおける第1平面114の幅であり、W13は細径端部100aにおける第2平面116の幅である。D11は細径端部100aにおける第1曲面118の頂点と第2曲面119の頂点との距離であり、H11は細径端部100aにおける第1平面114と第2平面116との距離である。R11は細径端部100aにおける第1曲面118及び第2曲面119の曲率半径である。W12は太径端部100bにおける第1平面114の幅であり、W14は太径端部100bにおける第2平面116の幅である。D12は太径端部100bにおける第1曲面118の頂点と第2曲面119の頂点との距離であり、H12は太径端部100bにおける第1平面114と第2平面116との距離である。R12は太径端部100bにおける第1曲面118及び第2曲面119の曲率半径である。
Figure 2017196860
[プリプレグ]
平面視形状が、長方形の部分と、該部分の短辺から延びる台形状の部分とで形成される形状である図5及び図6に示すプリプレグ(P−1)〜(P−6)を用意した。プリプレグ(P−1)〜(P−6)における各寸法を表2に示す。α11〜α16は各プリプレグにおける台形部分の先端の幅であり、β11〜β16は各プリプレグにおける長方形部分の幅であり、γ11は各プリプレグの全長であり、γ12は各プリプレグにおける長方形部分の長さである。
プリプレグ(P−1)〜(P−3)、(P−6)は、表3に示すプリプレグ(I)から切り出して作成した織物プリプレグであり、ガラス繊維の繊維方向が長手方向に対して0°と90°になるように直交している。プリプレグ(P−4)、(P−5)は、表3に示すプリプレグ(II)から切り出して作成した一方向プリプレグであり、繊維方向が長手方向に対して0°となるように炭素繊維が引き揃えられている。なお、表3におけるGF引張弾性率及びGF引張強度とは、ガラス繊維の引張弾性率及び引張強度を意味する。また、CF引張弾性率及びCF引張強度とは、炭素繊維の引張弾性率及び引張強度を意味する。
Figure 2017196860
Figure 2017196860
[当て材]
図7に例示した当て材120と、図8に例示した当て材130とを用意した。当て材120及び当て材130における各寸法を表4に示す。
当て材120においては、L121はテーパー部124の長さであり、L122はストレート部122の長さであり、L123は当て材120の全長である。W21は細径端部120aの幅であり、H21は細径端部120aの高さであり、R21は細径端部120aの曲線部の曲率半径である。W22は太径端部120bの幅であり、H22は太径端部120bの高さであり、R22は太径端部120bの曲線部の曲率半径である。
当て材130においては、L131はテーパー部134の長さであり、L132はストレート部132の長さであり、L133は当て材130の全長である。W31は細径端部130aの幅であり、H31は細径端部130aの高さであり、R31は細径端部130aの曲線部の曲率半径である。W32は太径端部130bの幅であり、H32は太径端部130bの高さであり、R32は太径端部130bの曲線部の曲率半径である。
Figure 2017196860
[実施例1]
(工程(a))
芯材100の外面に、プリプレグ(P−1)を2枚巻き付け、さらにプリプレグ(P−2)とプリプレグ(P−3)をこの順に巻き付けた。芯材100におけるこれら4枚の織物プリプレグを巻き付ける領域は、芯材100の細径端部100aから50mmの位置から2600mmの位置までの2550mmの領域とした。次いで、2枚のプリプレグ(P−4)を、芯材100の第1平面114側に、それらプリプレグの幅方向の両側の側端部が第1曲面118と第2曲面119に数mm程度かかるように順次巻き付けた。次いで、2枚のプリプレグ(P−5)を、芯材100の第2平面116側に、それらプリプレグの幅方向の両側の側端部が第1曲面118と第2曲面119に数mm程度かかるように順次巻き付けた。次いで、プリプレグ(P−6)をこれらの上から巻き付けて第1巻付体を得た。
(工程(b)、(c))
第1巻付体の外面全体に、20mm幅の第1ラッピングテープ(ポリプロピレン製収縮テープ)をピッチが3mmとなるように螺旋状に巻き付けて第2巻付体を得た。次いで、第2巻付体における芯材100の第1平面114上に当て材120を直線部が第2巻付体に接するように配置し、第2平面116上に当て材130を直線部が第2巻付体に接するように配置して、テープで仮固定をした。その状態で、その上に20mm幅の第2ラッピングテープ(ポリプロピレン製収縮テープ)をピッチ3mmで螺旋状に巻き付けて第3巻付体を得た。
(工程(d))
第3巻付体を加熱炉に入れ、135℃で2時間保持してプリプレグを硬化させ、常温まで自然冷却させた。次いで、得られた成型体から芯材100を抜き取り、第1ラッピングテープ、第2ラッピングテープ及び当て材120,130を剥ぎ取った後、該成型体の全長が2480mmとなるように細径端部側と太径端部側をそれぞれ35mmずつ切除して繊維強化樹脂製中空状成型体を得た。得られた繊維強化樹脂製中空状成型体の質量、全長、細径端部と太径端部のそれぞれの厚さと、幅を表5に示す。また、得られた繊維強化樹脂製中空状成型体の細径端部における距離d11、距離h11及び曲率ρ11と、太径端部における距離d12、距離h12及び曲率ρ12を表5に示す。
[剛性試験]
繊維強化樹脂製中空状成型体の太径端部を固定した状態で、細径端部に1kgの荷重をかけた時の撓み量(mm)を測定した。なお、撓み量は、高さ方向における太径端部と細径端部の距離である。結果を表5に示す。
Figure 2017196860
表5に示すように、実施例1の繊維強化樹脂製中空状成型体は、長尺でありながら軽量であり、剛性試験における撓み量は16.3mmであり、剛性も十分なものであった。
1 繊維強化樹脂製中空状成型体
10 ストレート部
12 テーパー部
14 第1平面部
16 第2平面部
18 第1湾曲部
20 第2湾曲部
100 芯材
120,130 当て材

Claims (8)

  1. 内面同士が平行になるように対向して配置された第1平面部及び第2平面部と、前記第1平面部及び前記第2平面部の幅方向の両側に設けられ、外側に突き出るように湾曲した第1湾曲部及び第2湾曲部とを備える、長尺で中空状の繊維強化樹脂製中空状成型体であって、
    長さ方向に対して垂直に切断した断面において、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部の内面はそれぞれ曲率ρ(mm−1)で円弧状に湾曲し、前記第1湾曲部と前記第2湾曲部の内面の頂点同士の距離をd(mm)、前記第1平面部の内面と前記第2平面部の内面との距離をh(mm)としたとき、下式(1)を満たす、繊維強化樹脂製中空状成型体。
    h/2<d/2≦1/ρ ・・・(1)
  2. 長さ方向において前記の距離hが漸次的に変化する部分を有する、請求項1に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体。
  3. 長さ方向において前記曲率ρが漸次的に変化する部分を有する、請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体を製造する方法であって、下記の工程(a)〜(d)を有する、繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法。
    (a)棒状で、長さ方向に垂直な断面形状が前記繊維強化樹脂製中空状成型体の中空形状と相補的な形状の芯材の外面に、強化繊維とマトリックス樹脂を含有するプリプレグを巻き付けて第1巻付体を得る工程。
    (b)前記第1巻付体の前記プリプレグ上にさらに第1ラッピングテープを巻き付けて第2巻付体を得る工程。
    (c)棒状の当て材を、前記第2巻付体における前記第1平面部と前記第2平面部のそれぞれに対応する部分に密着するように設置した状態で、第2ラッピングテープを巻き付けて第3巻付体を得る工程。
    (d)前記第3巻付体を加熱する工程。
  5. 前記強化繊維がガラス繊維であるプリプレグと、前記強化繊維が炭素繊維であるプリプレグとを前記芯材に巻き付ける、請求項4に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法。
  6. 前記強化繊維がガラス繊維である織物プリプレグと、前記強化繊維が炭素繊維である一方向プリプレグとを前記芯材に巻き付ける、請求項5に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法。
  7. 前記芯材の外面における前記第1平面部及び前記第2平面部に対応する部分の両方と、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部に対応する部分の一方とが覆われ、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部に対応する部分の他方が覆われないように、前記一方向プリプレグを巻き付ける、請求項6に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法。
  8. 前記芯材の外面における前記第1平面部及び前記第2平面部に対応する部分の一方が覆われ、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部に対応する部分の両方と、前記第1平面部及び前記第2平面部に対応する部分の他方が覆われないように、前記一方向プリプレグを巻き付ける、請求項6に記載の繊維強化樹脂製中空状成型体の製造方法。
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