JP2017196759A - 二軸延伸多層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性や透視性に優れ、耐熱性が高く、柔軟性を有し、酸素および炭酸ガスを好適に透過し、低伸度特性に優れ、べたつきやブリードアウト及びブロッキング等が少なくハンドリングに優れたポリプロピレン系延伸柔軟フィルムの開発。【解決手段】下記の要件を満たす二軸延伸多層フィルム。(イ)中間層は、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)、(A1)より8〜10重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体(A2)、及びプロピレン単独重合体(B)からなる、プロピレン系樹脂組成物(C)。(ロ)上層及び下層は、それぞれ独立して、融点が135℃以下であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)。(ハ)積層フィルムの酸素の透過度が3000〜8000cc/m2・24Hr・atm。(ニ)積層フィルムの炭酸ガスの透過度が8000〜40000cc/m2・24Hr・atm。【選択図】なし

Description

本発明は優れた気体透過性を有するポリプロピレン系フィルムに関する。更に詳しくは、酸素および炭酸ガスを好適に透過し、且つ優れた柔軟性、透明性、透視性、光沢性を有しながら、低伸度でありハンドリング性が良好で、且つ低分子量成分が少なくベタツキが少ない事から、ブロッキング性も良好なポリプロピレン系フィルムに関する。
従来ポリプロピレンフィルムを包装材として使用する場合には、気体透過性が十分でないために、ポリプロピレンフィルムに穴あけ加工をして気体透過性を付与していた(特許文献1)。しかしながら、そのような穴あけ加工フィルムでは、穴を通して外部から汚染物質が侵入する恐れがある。
そこで、穴をあけることなく、水蒸気、酸素およびエチレンを好適に透過するポリプロピレン系フィルムおよびそれを用いた包装材が提示されている(特許文献2、3、4)。しかしながら、これらの文献で得られたポリプロピレン系フィルムは、チーグラー触媒を用いて製造されたものであり、低分子量成分が多い為、経日で低分子量成分が表面へ移行してしまい、製品を段積みし長期保存下でのブロッキング性悪化や、透明性や透視性についても満足するものでは無かった。
また、特許文献5及び6には、透明性およびガス透過性に優れたガス透過性フィルムであって、青果物や花卉類の鮮度保持包装に適した、ポリプロピレン系共重合体を含むガス透過性フィルムが提示されているが、エチレン−オクテン系樹脂が必須であり、本願発明とは組成物が異なるものである。
特許文献7及び8には、特定の性質を有する包装材料用プロピレン系樹脂組成物であって、剛性、透明性、耐衝撃性、耐ブロッキング性に優れた包装材料用プロピレン系樹脂組成物からなるフィルムが提示されているが、当該フィルムは無延伸フィルムを用いるものであり、フィルム自体が伸びやすく、ハンドリング性が悪いという欠点を有している。
特開2012−144278号公報 国際公開第99/051665号 特開2002−302580号公報 特開2001−354784号公報 特開2008−133350号公報 特開2006−299229号公報 特開2009−185238号公報 特開2009−7457号公報
従来のポリプロピレン系延伸柔軟フィルムにおいては、透明性、透視性、光沢性、柔軟性、耐熱性、高いガス透過性、並びに低伸度特性を持ちながら、耐ブロッキング性能のいずれも満たすことは未だ達成されていない。
そこで、本発明の課題は、透明性や透視性、光沢性といったフィルムの外観に優れ、耐熱性が高いというポリプロピレン系樹脂の特徴を維持しながら柔軟性を有し、更に、気体透過性を有するポリプロピレン系フィルムであって、酸素および炭酸ガスを好適に透過し、おかつ低伸度特性に優れ、べたつきやブリードアウトが少なく、耐ブロッキング性が良好でハンドリングに優れたポリプロピレン系二軸延伸柔軟フィルムを開発することにある。
従来から、気体透過性を向上させるためには、低分子量成分を配合する事が知られていた。これは、低分子量成分を配合することによって、低結晶部を通じて気体が透過することができ、優れた気体透過性を持つフィルムとなり、且つ柔軟性も向上する傾向があることによる。しかしながら、このように低分子量成分を配合すると、経日によって低分子量成分の表面ブリードによりベタツキが発生し、透明性やブロッキング性が悪化するものである。また、フィルムが柔軟である程に伸度は大きくなり、二次加工性やハンドリング性は悪化する。
そこで本発明者らは前記課題を達成するために鋭意検討を行った結果、特定の組成を有するプロピレン系ランダム共重合体を用いて製造されるフィルムが、透明性、透視性、光沢性、気体透過性を有し、更に詳しくは、酸素および炭酸ガスを好適に透過し、且つ優れた柔軟性を有しながら、低ブロッキング性と低伸度化によるハンドリング性も向上する事を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、上層(X)/中間層(Y)/下層(Z)で構成された積層フィルムにおいて、下記(イ)〜(ニ)の要件を満たすことを特徴とする、二軸延伸多層フィルムが提供される。
(イ)中間層(Y)は、下記メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)8〜60重量%、メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A2)16〜80重量%及びプロピレン単独重合体(B)0〜60重量%の合計100重量%からなる、プロピレン系樹脂組成物(C)から構成される。
(A1):エチレン含量が1.5〜3重量%であるメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体。
(A2):(A1)より8〜10重量%多くのエチレンを含有する、メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体。
(B):メルトフローレート(MFR:2.16kg荷重、230℃)が1〜10g/10minの範囲であるプロピレン単独重合体。
(ロ)上層(X)及び下層(Z)は、それぞれ独立して、JIS K 7122(1987)に準拠して示差走査熱量計(DSC)で求めた融点(Tp)が135℃以下であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)から構成される。
(ハ)積層フィルムの酸素の透過度が3000〜8000cc/m2・24Hr・atm(JIS K 7126−Aに準拠)。
(ニ)積層フィルムの炭酸ガスの透過度が8000〜40000cc/m2・24Hr・atm(JIS K 7126−Aに準拠)。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、JIS K7105(1981)に準拠して測定した前記積層フィルムの透明性(Haze)が5%以下である事を特徴とする、二軸延伸多層フィルムが提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、JIS K7127(1999)に準拠して測定した前記積層フィルムの引張弾性率は、縦方向(MD)が200〜1200MPa、横方向(TD)が400〜2000MPaであることを特徴とする、二軸延伸多層フィルムが提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、JIS K7127(1999)に準拠して測定した前記積層フィルムの引張破断伸度は、横方向(TD)が150%以下であることを特徴とする、二軸延伸多層フィルムが提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、ASTM D−1893に準拠して測定した40℃−7日後の前記積層フィルムの耐ブロッキング性が6N以下である事を特徴とする、二軸延伸多層フィルムが提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)が、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、又はそれらを任意の比率で混合した混合物からなる、二軸延伸多層フィルムが提供される。
本発明における二軸延伸多層フィルムは、透明性や透視性、光沢性といったフィルムの外観に優れ、耐熱性が高いというポリプロピレン系樹脂の特徴を維持しながら柔軟性を有し、なおかつ低伸度特性と気体透過性を有し、更に詳しくは、酸素および炭酸ガスを好適に透過し、且つ優れた柔軟性を有しながら、べたつきやブリードアウトに由来する密着が少なく、ハンドリング性が向上するという利点を有する。
従来のフィルムでは、ブロッキング強度が大きい事や伸度が大きい場合に、製品フィルムを巻き取る際ミルロールに皺が生じたり、使用時にフィルム同士が貼り付き、良好に巻き出せなくなったりする傾向がある。しかしながら、本発明の二軸延伸多層フィルムは、表面を粗面化し、且つメタロセン系ポリプロピレンであるため低分子量成分が少ないことにより、経日で表面に移行する低分子量成分が少ない事から、フィルムを重ね合わせた時に発生するブロッキングを抑え、フィルム成形時の安定加工性、および製品のミルロール巻き姿を良好にすることができる。
さらに、本発明の二軸延伸多層フィルムは、従来のフィルムの様な穴あけ加工が必要無い二軸延伸多層フィルムであり、柔軟でありながら、伸度が小さいと言った特徴を持つことから、未延伸フィルムの様な伸びやすいフィルムと比較した場合では、ハンドリング性が良好であり、後工程での二次加工性に富んだフィルムである。
さらに、高いガス透過性を付与するために配合する低分子量成分は、メタロセン系ポリプロピレンである事から透明性を阻害する成分がなく、表面に移行する成分が少ない為に、十分な透明性や透視性、光沢性を有しながら耐ブロッキング性を有する。
本発明の二軸延伸多層フィルムは、前述したように、上層(X)/中間層(Y)/下層(Z)で構成された積層フィルムにおいて、下記(イ)〜(ニ)の要件を満たすことを特徴とする、二軸延伸多層フィルムである。
(イ)中間層(Y)は、下記メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)8〜60重量%、メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A2)16〜80重量%及びプロピレン単独重合体(B)0〜60重量%の合計100重量%からなる、プロピレン系樹脂組成物(C)から構成される。
(A1):エチレン含量が1.5〜3重量%であるメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体。
(A2):(A1)より8〜10重量%多くのエチレンを含有する、メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体。
(B):メルトフローレート(MFR:2.16kg荷重、230℃)が1〜10g/10minの範囲であるプロピレン単独重合体。
(ロ)上層(X)及び下層(Z)は、それぞれ独立して、JIS K 7122(1987)に準拠して示差走査熱量計(DSC)で求めた融点(Tp)が135℃以下であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)から構成される。
(ハ)積層フィルムの酸素の透過度が3000〜8000cc/m2・24Hr・atm(JIS K 7126−Aに準拠)。
(ニ)積層フィルムの炭酸ガスの透過度が8000〜40000cc/m2・24Hr・atm(JIS K 7126−Aに準拠)。
以下、構成成分、積層フィルムの特徴、製法等について詳細に説明する。
1.中間層(Y)の構成成分
本発明の二軸延伸多層フィルムを構成する中間層(Y)は、プロピレン系樹脂組成物(C)から構成される。そして、当該プロピレン系樹脂組成物(C)は、下記メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)8〜60重量%、メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A2)16〜80重量%及びプロピレン単独重合体(B)0〜60重量%の合計100重量%からなる。ここで、プロピレン単独重合体(B)は、(B):メルトフローレート(MFR:2.16kg荷重、230℃)が1〜10g/10minの範囲であるプロピレン単独重合体であり、好ましくは2〜8g/10minであり、更に好ましくは、3〜6g/10minである。
中間層(Y)の構成に関する上記(イ)の要件に関する二軸延伸多層好ましい態様としては、次のものが包含される。
メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)8〜60重量%、好ましくは8〜40重量%、更に好ましくは8〜32重量%である。(A1)が8重量%以上であれば、ガス透過性は低下するものの、柔軟になり過ぎることなくハンドリング性やブロッキング性が良好となり、実用性か向上する。また、40重量%以下であれば、結晶性が低下する事で、所望のガス透過性が得られる。また、メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A2)16〜80重量%であり、好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは40〜80重量%である。
(A2)が16重量%以上であれば、低結晶成分が多くなり、結晶性が低下する事で、所望のガス透過性が得られ、加えて透明性や透視性が向上する。また、80重量%以下であれば、柔軟になり過ぎることなくハンドリング性やブロッキング性が良好となり、実用性が向上する。
プロピレン単独重合体(B)0〜60重量%であるが、好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは0〜20重量%である。プロピレン単独重合体(B)が60重量%以下であれば、低結晶成分が多くなり、透明性やガス透過性が向上する。
また、(A1)はエチレン含量が1.5〜3重量%であるメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体であり、好ましくは1.5〜2.5重量%、更に好ましくは1.5〜2重量%である。上記のプロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)のエチレン含量が1.5重量%以上であれば、フィルムの結晶性が低下し、ガス透過性が向上する。また、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)のエチレン含量が3重量%以下であれば、融点が上昇することから横延伸炉内の温度を高く設定する必要があり、両表層へ積層したプロピレン−エチレンランダム共重合体(D)との融点較差が小さくなる為、積層したプロピレン−エチレンランダム共重合体(D)は溶融して液相の状態で延伸される事から、延伸ムラが発生せずにフィルムの外観が良好となる。
(A2)は、(A1)より8〜10重量%多くのエチレンを含有する、メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体であり、好ましくは9〜10重量%多くのエチレンを含有する。また、上記プロピレン−エチレンランダム共重合体(A2)のエチレン成分が(A1)より8重量%以上多くのエチレンを含有すれば、フィルム構成成分中の結晶性が低くなることで、ガス透過性が向上する。プロピレン−エチレンランダム共重合体(A2)のエチレン成分が(A1)より10重量%以下多くのエチレンを含有すれば、ポリプロピレンのマトリックスとの相溶性が向上するため、透明性が良好となる。
中間層(Y)におけるメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体は(A1)成分と(A2)成分を、逐次重合により、連続的に重合して得ることができる。
また、(A1)成分と(A2)成分とを、多段重合により連続的に重合する方法としては、複数の重合器を使用し、例えば、1段目で(A1)成分を製造し、2段目で(A2)成分を製造する方法が例示できる。この連続重合法は、溶融混合法に比べて、(A1)成分に(A2)成分が均一に分散したメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体が得られ、品質の安定化が図れる点で好ましい。多段重合法により連続的に重合する方法については、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
以下に、好ましいメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体を製造する方法を説明する。
(1)中間層(Y)におけるメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の製造
本発明の中間層(Y)におけるメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)及び(A2)(以下、これらを併せて「プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)」と呼ぶ場合がある。)を製造する方法は、メタロセン系触媒の使用を必須とするものである。プロピレン−エチレンランダム共重合体において分子量及び結晶性分布が広いとベタツキやブリードアウトが悪化することは当業者に広く知られるところであるが、本発明に用いられるプロピレン−エチレンランダム共重合体においても、ベタツキ及びブリードアウトを抑制するため、かつ、フィルム成形においてより少ないフィッシュアイの発生を達成するために、分子量及び結晶性分布を狭くできるメタロセン系触媒を用いて重合されることが必要であり、チーグラー・ナッタ系触媒では、本発明に用いる優れたプロピレン−エチレンランダム共重合体が得られないのは、後記の実施例と比較例との対比からも明らかである。
ここで、メタロセン系触媒の種類は、上述の性能を有する共重合体を生成できる限りは、特に限定されるものではないが、本発明の要件を満たすために、例えば、下記に示すような成分(x)と(y)及び必要に応じて使用する成分(z)からなるメタロセン系触媒を用いることが好ましい。
成分(x):下記一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物
成分(y):下記(y−1)〜(y−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分
(y−1)有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体
(y−2)成分(x)と反応して成分(x)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体
(y−3)固体酸微粒子
(y−4)イオン交換性層状珪酸塩
成分(z):有機アルミニウム化合物
成分(x):
成分(x)としては、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物を使用することができる。
Q(C4−a−aR)(C4−b−bR)MeXY …(1)
[ここで、Qは、2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を示し、Meは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムから選ばれる金属原子を示し、X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。R及びRは、水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基を示す。a及びbは、置換基の数である。]
詳しくは、Qは、2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を表し、例えば、2価の炭化水素基、シリレン基ないしオリゴシリレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基又はオリゴシリレン基又は炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基などが例示される。この中でも好ましいものは2価の炭化水素基と炭化水素基を置換基として有するシリレン基である。
X及びYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、このうちで好ましいものとしては、水素原子、塩素原子、メチル、イソブチル、フェニル、ジメチルアミド、ジエチルアミド基などを例示することができる。X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。
及びRは、水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基を表す。炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基などが例示される。また、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基などを典型的な例として例示できる。これらの中で、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが特に好ましい。ところで、隣接したR及びRは、結合して環を形成してもよく、この環上に炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基又はリン含有炭化水素基からなる置換基を有していてもよい。
Meは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムの中から選ばれる金属原子であり、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
以上において記載した成分(x)の中で、本発明で用いられるプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の製造に好ましいものは、炭化水素置換基を有するシリレン基、ゲルミレン基又はアルキレン基で架橋された置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換フルオレニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物であり、特に好ましくは、炭化水素置換基を有するシリレン基、又はゲルミレン基で架橋された2,4−位置換インデニル基、2,4−位置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物である。
非限定的な具体例としては、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチルベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−イソプロピル−4−(3,5−ジイソプロピルフェニル)インデニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−プロピル−4−フェナントリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロビフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらの具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も、好適な化合物として例示される。なお、触媒成分は、本発明の重要要素ではないので、煩雑な列記を避け、代表的な例示に限定しているが、これにより本発明の有効範囲が制限されることが無いのは自明のことである。
成分(y):
成分(y)としては、上述した成分(y−1)〜成分(y−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分を使用する。これらの各成分は、公知のものであり、公知技術の中から適宜選択して使用することができる。その具体的な例示や製造方法については、特開2002−284808号公報、特開2002−53609号公報、特開2002−69116号公報、特開2003−105015号公報などに詳細な例示がある。
ここで、成分(y−1)及び成分(y−2)に用いられる微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。
また、成分(y)の非限定的な具体例としては、成分(y−1)として、メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン、ブチルボロン酸アルミニウムテトライソブチルなどが担持された微粒子状担体を、成分(y−2)として、トリフェニルボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが担持された微粒子状担体を、成分(y−3)として、アルミナ、シリカアルミナ、塩化マグネシウムなどを、成分(y−4)として、モンモリロナイト、ザコウナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライトなどのスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などが挙げられる。これらは、混合層を形成しているものでもよい。
上記成分(y)の中で特に好ましいものは、成分(y−4)のイオン交換性層状珪酸塩であり、さらに好ましい物は、酸処理、アルカリ処理、塩処理、有機物処理などの化学処理が施されたイオン交換性層状珪酸塩である。
成分(z):
必要に応じて成分(z)として用いられる有機アルミニウム化合物の例は、下記一般式で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム又はジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他に、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類なども使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
AlR3−a
(式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、水素原子、ハロゲンまたはアルコキシ基であり、aは0<a≦3の数である。)
触媒の形成は、成分(x)と成分(y)及び必要に応じて成分(z)を接触させて触媒とする。その接触方法は、特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。
(i)成分(x)と成分(y)を接触させる。
(ii)成分(x)と成分(y)を接触させた後に、成分(z)を添加する。
(iii)成分(x)と成分(z)を接触させた後に、成分(y)を添加する。
(iv)成分(y)と成分(z)を接触させた後に、成分(x)を添加する。
(v)三成分を同時に接触させる。
本発明で使用する成分(x)と(y)及び(z)の使用量は任意である。例えば、成分(y)に対する成分(x)の使用量は、成分(y)1gに対して、好ましくは0.1μmol〜1,000μmol、特に好ましくは0.5〜500μmolの範囲である。成分(y)に対する成分(z)の使用量は、成分(z)1gに対し、好ましくは遷移金属の量が0.001〜100μmol、特に好ましくは0.005〜50μmolの範囲である。したがって、成分(x)に対する成分(z)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは10−5〜50、特に好ましくは10−4〜5の範囲内である。
本発明で使用する触媒は、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すことが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にプロピレンを使用することが好ましい。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的に又は定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。予備重合温度と時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(y)に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
さらに、上記各成分の接触の際、又は接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
本発明で用いられるプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の製造は、実施するに際して、多段重合法として結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)と低結晶性又は非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を逐次重合することが好ましい態様であるが、これらに限定されず個別に重合した成分(A1)と成分(A2)を溶融混合することによる溶融混合法でもよい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体が単にプロピレンにエチレンを共重合させたランダム共重合体のときには、エチレン含量が少ない場合には柔軟性と耐衝撃性が充分でなく、これらの物性を向上させるためにエチレン含量を増加させると耐熱性が極めて悪化し製造が困難になる場合があるばかりでなく、要求される品質の全てを満たすことは困難である。
そこで、本発明において、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)は、第1工程と第2工程でエチレン含量が異なる成分を逐次重合したランダム共重合体であることが柔軟性と耐熱性をバランスさせるために好ましい態様である。
また、本発明は、成分(A2)として、分子量が低く単独ではべたつきやすい共重合体を用いる場合があるので、反応器への付着などの問題を防止するために、成分(A1)を重合した後で成分(A2)を重合する方法を用いることが望ましい。
(i)逐次重合
本発明で用いられるプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)を製造実施するに際しては、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)と低結晶性又は非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を逐次重合することが前述した理由により好ましい態様である。
逐次重合を行う際には、バッチ法と連続法のいずれを用いることも可能であるが、一般的には生産性の観点から連続法を用いることが望ましい。
バッチ法の場合には、時間と共に重合条件を変化させることにより単一の反応器を用いて成分(A1)と成分(A2)を個別に重合することが可能である。本発明の効果を阻害しない限り、複数の反応器を並列に接続して用いてもよい。
連続法の場合には、成分(A1)と成分(A2)を個別に重合する必要から2個以上の反応器を直列に接続した製造設備を用いる必要があるが、本発明の効果を阻害しない限り成分(A1)、成分(A2)のそれぞれについて複数の反応器を直列及び/又は並列に接続して用いてもよい。
(ii)重合プロセス
重合プロセス(重合方法)は、スラリー法、バルク法、気相法など任意の重合方法を用いることができる。バルク法と気相法の中間的な条件として超臨界条件を用いることも可能であるが、実質的には気相法と同等であるため、特に区別することなく、気相法に含める。
低結晶性又は非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は、炭化水素などの有機溶媒や液化プロピレンに溶け易いため、成分(A2)の製造に際しては気相法を用いることが望ましい。
結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)の製造に対しては、どのプロセスを用いても特に問題はないが、比較的結晶性の低い成分(A1)を製造する場合には、付着などの問題を避けるために、気相法を用いることが望ましい。
したがって、連続法を用いて、まず結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)をバルク法又は気相法にて重合し、引き続き低結晶性又は非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体エラストマー成分(A2)を気相法にて重合することが最も望ましい。
(iii)その他の重合条件
重合温度は、通常用いられている温度範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜100℃の範囲を用いることができる。また、重合圧力は、選択するプロセスによって差異が生じるが、通常用いられている圧力範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0より大きく200MPaまで、より好ましくは0.1MPa〜50MPaの範囲を用いることができる。この際、窒素などの不活性ガスを共存させることもできる。
第一工程で成分(A1)、第二工程で成分(A2)の逐次重合を行う場合、第二工程にて系中に重合抑制剤を添加することが望ましい。プロピレン−エチレンランダム共重合体を製造する場合には、第二工程のエチレン−プロピレンランダム共重合を行う反応器に重合抑制剤を添加すると、得られるパウダーの粒子性状(流動性など)やゲルなどの製品品質を改良することができる。この手法については、各種技術検討がなされており、一例として特公昭63−54296号、特開平7−25960号、特開2003−2939号などの各公報を例示することができる。本発明にも当該手法を適用することが望ましい。
ここで、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)のインデックスの測定方法について、説明する。
(A1)成分中のエチレン含量([E]A1)と(A2)成分中のエチレン含量([E]A2)と、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)を構成する(A1)成分の割合(W(A1))および(A2)成分の割合(W(A2))の測定は、製造時の物質収支(マテリアルバランス)によって特定することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、以下の分析を用いることが望ましい。
(i)温度昇温溶離分別(TREF)によるW(A1)とW(A2)の特定
プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布をTREFにより評価する手法は、当該業者によく知られるものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)
本発明で用いられるプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)は、成分(A1)と(A2)の各々の結晶性に大きな違いがあり、また、メタロセン触媒を用いて製造されることで各々の結晶性分布が狭くなっていることから、双方の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより精度良く判別することが可能である。
具体的な方法として、TREF溶出曲線(温度に対する溶出量のプロット)において、成分(A1)と(A2)は、結晶性の違いにより各々T(A1)とT(A2)にその溶出ピークを示し、その差は十分大きいため、中間の温度T(C)(={T(A1)+T(A2)}/2)において、ほぼ分離が可能である。
また、TREF測定温度の下限は、本測定に用いた装置では−15℃であるが、成分(A2)の結晶性が非常に低い又は非晶性成分の場合には、本測定方法において、測定温度範囲内にピークを示さない場合がある。(この場合には、測定温度下限(すなわち−15℃)において溶媒に溶解した成分(A2)の濃度は検出される。)
このとき、T(A2)は、測定温度下限以下に存在するものと考えられるが、その値を測定することができないため、このような場合には、T(A2)を測定温度下限である−15℃と定義する。
ここで、T(C)までに溶出する成分の積算量をW(A2)重量%、T(C)以上で溶出する部分の積算量をW(A1)重量%と定義すると、W(A2)は、結晶性が低い又は非晶性の成分(A2)の量とほとんど対応しており、T(C)以上で溶出する成分の積算量W(A1)は、結晶性が比較的高い成分(A1)の量とほぼ対応している。TREFによって得られる溶出量曲線から、上記の各種の温度や量が算出できる。
(ii)TREF測定方法
本発明においては、TREFの測定は、具体的には以下のように測定を行う。
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mL、BHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mL、BHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
(iii)各成分中のエチレン含量[E]A1と[E]A2の特定
(イ)成分(A1)と成分(A2)の分離
上述のTREF測定により求めたT(C)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(C)にける可溶成分(A2)とT(C)における不溶成分(A1)とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecules、21 314〜319(1988)に開示されたような測定方法をいう。具体的には、本発明において以下の方法を用いる。
(ロ)分別条件
直径50mm、高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/mL)200mLを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(C)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(C)に保持したまま、T(C)のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、カラム内に存在するT(C)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次いで、10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒(o−ジクロロベンゼン)を20mL/分の流速で800mL流すことにより、T(C)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mLまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーをろ過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
(ハ)13C−NMRによるエチレン含量の測定
上記分別により得られた成分(A1)と(A2)それぞれについてのエチレン含有量はプロトン完全デカップリング法により、以下の条件に従って測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
[エチレン含量測定用の13C−NMR測定条件]
機種:日本電子(株)製 GSX−400または同等の装置(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/mL
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えば、Macromolecules,17 1950(1984)等を参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は、下記表1の通りである。表1中Sαα等の記号は、Carmanら(Macromolecules,10 536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 2017196759
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中には、PPP、PPE、EPE、PEP、PEE、およびEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules,15 1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の式(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) …(1)
[PPE]=k×I(Tβδ) …(2)
[EPE]=k×I(Tδδ) …(3)
[PEP]=k×I(Sββ) …(4)
[PEE]=k×I(Sβδ) …(5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} …(6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は、全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。従って、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 …(7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)は、Tββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、メタロセン触媒を用いてプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)を製造した場合には、少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が生成し、それにより、表2の微小なピークを生じる。
Figure 2017196759
正確なエチレン含有量を求めるには、これら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また、異種結合量が少量であることから、エチレン含有量は、実質的に異種結合を含まないチーグラー触媒で製造された共重合体の解析と同じく、式(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は、以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
ここで、Xは、モル%表示でのエチレン含有量である。
また、プロピレン−エチレンランダム共重合体全体のエチレン含量[E]は、上記より測定された成分(A1)と(A2)それぞれのエチレン含量[E]A1と[E]A2及びTREFより算出される各成分の重量比率W(A1)とW(A2)重量%から、以下の式により算出される。
[E]={[E]A1×W(A1)+[E]A2×W(A2)/100 (重量%)
(2)プロピレン単独重合体(B)
本発明において、中間層(Y)に用いるプロピレン単独重合体(B)は、メルトフローレート(MFR)が1〜10g/10分の範囲であり、好ましくは2〜8g/10minであり、更に好ましくは、3〜6g/10minの範囲であるプロピレン単独重合体を例示でき、二種以上の混合物であってもよい。
ここで、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999)「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重荷重)に準拠して測定する値である。
MFRを上記の範囲に調整する具体的な方法として、重合時に添加する水素の量を変更する方法を挙げることができる。水素は、プロピレンの重合において、連鎖移動剤として作用するため、水素の添加量を増やせば、MFRが上がり、逆に、添加量を下げれば、MFRを下げることができる。重合槽内部の水素濃度に対するMFRの値は、使用する触媒や他の重合条件によって異なるが、触媒種やその他の重合条件に応じて事前に水素濃度とMFRの関係を把握し、望みのMFRの値となるよう水素濃度を調整することは、当業者にとって極めて容易なことである。
プロピレン単独重合体(B)は、高立体規則性重合触媒を用いることによって得ることができ、高立体規則性重合触媒としては、塩化チタン、アルコキシチタン等を出発材料として調製されたチタン化合物を用いた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、又は、メタロセン化合物を用いたカミンスキー型触媒を使用することができる。例えば、本発明において用いるプロピレン単独重合体(B)は、市販のものを使用することができ、具体的には、日本ポリプロ(株)製ノバテックPP FL203D(商品名)が例示される。
2.上層(X)及び下層(Z)の構成成分
(1)プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)
本発明において、上層(X)及び下層(Z)に用いるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、JIS K7122(1987)「プラスチックの転移熱測定方法」に記載の方法に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)で測定した融点が135℃以下のものである。135℃を以下であると、結晶性が低下する事で、透明性やガス透過性が向上する。
他方、融点が120℃以上のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体は、製造が容易であるため、融点が120〜135℃であることが好ましい。また、融解熱は、80kJ/kg以下であることが好ましく、より好ましくは70kJ/kg以下である。融解熱が80kJ/kg以下のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、ガス透過性が向上し、十分なガス透過性能が得られる。ここで、融点及び融解熱量は、JIS K7122(1987)に記載の方法に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)で測定する値である。
また、本発明に用いるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、プロピレン単位を85〜99.9重量%の範囲で含むことが好ましく、さらに好ましくは90〜99.9重量%の範囲で含むことが望ましい。プロピレン単位が85重量%以上であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、製造が容易であり、実用上好ましい。
α−オレフィンとしては、エチレン、又は炭素数4〜18のα−オレフィンを挙げることができ、炭素数4〜18のα−オレフィンの具体例として、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどを例示でき、これらの一種又は二種以上を用いることができる。製造コストの面からは、エチレン、1−ブテン又はその併用が最も好適である。したがって、本発明に用いるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン−エチレン−1ブテンランダム共重合体であり、それらを任意の比率で混合した混合物であっても構わない。また、本発明に用いるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)は、高立体規則性重合触媒を用いることによって得ることができ、高立体規則性重合触媒としては、塩化チタン、アルコキシチタン等を出発材料として調製されたチタン化合物を用いた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、又は、メタロセン化合物を用いたカミンスキー型触媒を使用することができる。
また、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)にはフィルム同士の密着を
防止するために、必要に応じてアンチブロッキング剤が配合される。そのようなアンチブロッキング剤は、公知の無機系アンチブロッキング剤、有機系アンチブロッキング剤等が使用できる。
3.その他の成分
本発明に用いる積層フィルムを構成する上層(Y)/中間層(X)/下層(Z)には、それぞれ通常のポリオレフィン系フィルム材料に使用される酸化防止剤、中和剤等、添加剤が配合されていてもよい。
酸化防止剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、またはトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤が例示できる。
また、中和剤としては、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸の金属塩類やハイドロタルサイト類等が例示できる。
これらの添加剤の配合量は、各層中に0.01〜3重量%程度配合されているのが好ましい。また、これらの添加剤を配合する方法は、特に限定されず、たとえばヘンシェルミキサー(商品名)等の高速撹拌機つき混合機を用いるなど、公知の方法により配合することができる。さらに、各層を構成する各種配合物を混合した後、単軸押出機または二軸押出機を用いてペレット化してもなんら差し支えない。
4.二軸延伸多層フィルムの製造及び物性
本発明の二軸延伸多層フィルムは、上層(X)/中間層(Y)/下層(Z)の順で構成される少なくとも3層の積層フィルムである。なお、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲で、上層(X)と中間層(Y)、中間層(Y)と下層(Z)の間に別の層が含まれていても構わない。
積層フィルムの製造方法は、上層(X)/中間層(Y)/下層(Z)の順で構成されるように通常のTダイ法またはインフレーション法でシート成形し、これらの方法で成形したシートを二軸延伸して得られる。二軸延伸法としては、テンター方式による逐次二軸延伸法によるものが好ましい。
本発明の二軸延伸多層フィルムの延伸倍率は、縦方向(MD)、横方向(TD)で、それぞれ3〜7倍、4〜10倍が好ましく、それぞれ4〜6倍、4〜9倍がさらに好ましい。
本発明の二軸延伸多層フィルムの厚みは、ガス透過性、柔軟性、透明性、成形加工性の観点から20〜80μmのものが好ましく、25〜50μmのものがさらに好ましい。該フィルムの厚みが20μm以上であれば、弾性率が向上しハンドリングが良好となる傾向がある。一方、該フィルムの厚みが80μm以下であれば、ガス透過性が向上し、目的とする透過性を得る事が出来る。
さらに、フィルム全体の厚みに対する上層(X)/中間層(Y)/下層(Z)の比率は、粘着性、柔軟性、透明性、成形加工性、コストの観点から、それぞれ20〜5%/60〜90%/20〜5%であることが好ましく、それぞれ15〜10%/70〜80%/15〜10%であることがさらに好ましい。
本発明の二軸延伸多層フィルムは、JIS K 7126−Aに準拠して、酸素の透過度が3000〜8000cc/m2・24Hr・atmが好ましく、更に好ましくは6000〜8000cc/m2・24Hr・atm及び炭酸ガスの透過度が8000〜40000cc/m2・24Hr・atmが好ましく、更に好ましくは15000〜40000cc/m2・24Hr・atmである。該フィルムの透過度が、それぞれの下限値以上であると、一般的な二軸延伸フィルムと異なり、所望のガス透過性が得られる。他方、該フィルムの透過度が、それぞれの上限値以下であると、フィルムが大幅に柔軟化するのを抑制できるため、ハンドリング性やブロッキング性が良好なフィルムとなる。
本発明の二軸延伸多層フィルムは、透明性(Haze)が、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。 ここで、ヘイズ値は、JIS K7105(1981)に記載の方法に準拠して測定する値である。
本発明の二軸延伸多層フィルムの引張弾性率は、縦方向(MD)、横方向(TD)でそれぞれ200〜1200MPa、400〜2000MPaが好ましく、それぞれ400〜1000Mpa、600〜1500MPaがさらに好ましい。該フィルムの弾性率が、それぞれの下限値以上であると、柔軟性が減少しブロッキングしにくくなる傾向がある。他方、該フィルムの弾性率が、それぞれの上限値以下であると、結晶成分が少なくなり、ガス透過性が向上する傾向がある。 ここで、弾性率は、JIS K7127(2000)に準拠して測定する値である。
本発明の二軸延伸多層フィルムの引張破断伸度は、横方向(TD)が150%以下が好ましく、100%以下がさらに好ましい。該フィルムの伸度がそれぞれの上限値以下であると、伸びが小さくなり、製袋等の二次加工性や取扱い時のハンドリング性が向上する。
ここで、破断伸度は、JIS K7127(1999)に準拠して測定する値である。
本発明の二軸延伸多層フィルムは、上層と下層とを重ね合わせた時に発生するブロッキングを抑えることができ、好ましくは、耐ブロッキング性が、40℃−7日後で6N以下、より好ましくは5N以下である。当該耐ブロッキング性が6N以下であると、製品フィルムを巻き取るときにミルロールに皺が生じたり、使用時にフィルム同士が貼り付いて良好に巻き出せなくなったりすることがない。
更に、製袋後の製品を重ねて長期保管した場合、製品同士が貼り付いて、運搬時や取扱い時に製品袋が破損することがない。
ここで、耐ブロッキング性は、ASTM D−1893に記載の方法に準拠して測定する値である。
以下、本発明を実施例および比較例によって、さらに詳しく具体的に説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。
なお、本発明の実施例、比較例で用いるフィルムの物性値は以下に示す方法で測定し、用いた試料は以下の通りである。
1、試験方法
(1)MFR[単位:g/10分]:
MFRは、JIS K7210(1999)「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して、測定した。
(2)引張弾性率[単位:MPa]:
JIS K7127(1999)「プラスチック−引張特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件」に記載の方法に準拠して、測定した。弾性率(ヤング率)の数値が小さくなれば柔軟である。
(3)引張破断伸度
JIS K7127(1999)記載の方法に準拠して測定した。数値が低い程に伸度が優れている。
(4)透明性(Haze)[単位:%]:
JIS K7105(1981)「プラスチックの光学的特性試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。粘着強度の数値が小さくなれば、曇り度が小さくなり、透明性は高い。
(5)透視性(LSI):[単位:%]
(株)東洋精機製作所製LSI計(N207)を使用して、二軸延伸フィルムのLSIを測定した。
LSIは、小角度の光散乱量を測定するもので、視感に合ったフィルムの透視度の目安となる。数値が高い程透視性が悪く、数値が低い程透視性に優れる。
LSI値(単位:%)が小さいほど透視性がよい、つまり内容物が鮮明に見える。
(6)光沢性:光沢度[単位:%]
ASTM D 523記載の方法に準拠して測定した。数値が高いほど光沢が優れている。(7)酸素の透過度:[単位:cc/m2・24Hr・atm]
JIS K 7126Aに準拠して測定した。数値が高いほど酸素の透過性が高いことを示す。
(8)炭酸ガスの透過度:[単位:cc/m2・24Hr・atm]
JIS K 7126Aに準拠して測定した。数値が高いほど炭酸ガスの透過性が高いことを示す。
(9)厚み:[単位:μm]
JIS B7503:2011に準拠し、厚みを評価した。
(10)耐ブロッキング性:[単位:N]
測定するフィルムを2枚用意し、コロナ処理を施した面同士を2cm(幅)×2cm(長さ)に重ね合わせる。、。条件は、40℃、、1kg/4cm荷重の条件で、タバイギアオーブン内に7日間静置する。。その後、ショッパー引張試験機にてその剥離荷重を測定する。剥離荷重が軽いものほどブロッキングしにくく良好と言える。
2.使用樹脂
実施例、比較例に用いた各種材料を以下に示す。
プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)については、下記(A−1)〜(A−3)で示す。
(1)A−1(プロピレン−エチレンランダム共重合体):
・(A)エチレン含有量2重量%の(A1)成分56重量%とエチレン含有量12重量%の(A2)成分44重量%との多段重合体:MFRWhole;7.2g/10分(重合例として、製造の詳細を後述する。)。
(2)A−2(プロピレン−エチレンランダム共重合体):
・(A)エチレン含有量2重量%の(A1)成分25重量%とエチレン含有量12重量
%の(A2)成分75重量%との多段重合体:MFRWhole;7.2g/10分(重
合例として、製造の詳細を後述する。)。
(3)A−3(プロピレン系樹脂組成物):
・エチレン含有量0.8重量%の(A1)成分65重量%とエチレン含有量20重量%の(A2)成分35重量%との多段重合体:MFRWhole;5.5g/10分(重合例として、製造の詳細を後述する。)。
(7)B(プロピレン単独重合体(B)):
・融解熱101kJ/kg、融点161℃、MFR;3.0g/10分のプロピレン単独重合体である日本ポリプロ(株)製ノバテックPP FL203D(商品名)。
(8)D(プロピレン系重合体(D)):
・融解熱62kJ/kg、融点125℃のメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体である日本ポリプロ(株)製ウィンテックWFX4TA(商品名)。
[重合例1](A−1の製造):
(1)オレフィン重合触媒成分の調製
(1−1)珪酸塩の化学処理:
10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学工業(株)製ベンクレイSL(商品名);平均粒径=50μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の質量は707gであった。化学処理した珪酸塩をキルン乾燥機で乾燥した。
(1−2)触媒の調製:
内容積3リットルの撹拌翼のついたガラス製反応器に上記で得た乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で撹拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調整した。
次に、調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。並行して、〔(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕(合成は、特開平10−226712号公報実施例に従って実施した。)2180mg(3mmol)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ml加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間撹拌した。
(2)オレフィン重合触媒成分の予備活性化処理
窒素で十分置換を行った内容積10リットルの撹拌式オートクレーブに、n−ヘプタン2.1リットルを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄み約3リットルをデカントした。
続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液9.5ml、さらに混合ヘプタンを5.6リットル添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5.6リットル除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23ミリモル/L、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液17.0mlを添加した後に、45℃で減圧乾燥した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレン2.1gを含む予備重合触媒が得られた。
(3)第1重合工程
攪拌羽根を有する横型重合器1(L/D=6、内容積100L)に、あらかじめ35kgのシーズポリマーを導入後、窒素ガスを3時間流通させた。その後、プロピレン、エチレンおよび水素を、表3に示すモル比および圧力となるように導入しながら昇温し、重合条件が整った時点で、予備重合処理した上記触媒を0.47g/hr、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウムを15mmol/hr一定となるように供給した。表3に示すエチレン/プロピレンの混合ガスを反応温度75℃、反応圧力1.8MPaG、攪拌速度35rpmの条件を維持しながら連続供給し、更に反応器の気相中の水素濃度を表3に示す水素/プロピレンモル比及びエチレン/プロピレンモル比に維持するように水素ガス及びエチレンガスを連続的に供給して、生成ポリマーすなわちプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)の分子量(MFR)を調整した。
反応熱は、供給される原料プロピレンの気化熱によって除去した。重合器から排出される未反応ガスは、配管を通して反応器系外で冷却、凝縮させて重合器に還流した。本重合で得られたエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(A1)は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となるように配管を通して重合器から連続的に抜き出し、第2重合工程の重合器に供給した。このとき、配管からエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(A1)の一部を間欠的に抜き出して、MFR、エチレン含量、活性(触媒単位質量当りの重合体収量)を求める試料とした。
(4)第2重合工程
攪拌羽根を有する横型重合器10(L/D=6、内容積100L)に第1重合工程からのプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)及びプロピレンとエチレンの混合ガスを間欠的にそれぞれ供給し、プロピレンとエチレンの共重合を行った。反応条件は、攪拌速度18rpm、反応温度70℃、反応圧力1.7MPaGであり、反応器の気相中の水素濃度を表3に示す水素/プロピレンモル比及びエチレン/プロピレンモル比に維持するように水素ガス及びエチレンガスを連続的に供給して、生成ポリマーすなわちプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)の分子量(MFR)を調整した。プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)の重合量を調整するための重合活性抑制剤として酸素ガスを供給した。
反応熱は、供給される原料プロピレンの気化熱によって除去した。重合器から排出される未反応ガスは配管を通して反応器系外で冷却、凝縮させて第2重合工程に還流した。
第2重合工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となるように重合器から連続的に抜き出した。このとき、配管からプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)の一部を間欠的に抜き出して、MFR、エチレン含量、活性(触媒単位質量当りの重合体収量)を求める試料とした。第1重合工程及び第2重合工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の諸物性の測定結果を表3に示す。
[重合例2](A−2の製造)
重合例1において、第1重合工程における触媒供給量、プロピレンとエチレンおよび水素とプロピレンのモル比、第2重合工程におけるプロピレンとエチレンおよび水素とエチレンのモル比、各段階の重合温度を表3に示す条件に変更した以外は、同様の方法で、プロピレン系ランダム共重合体の試料を得た。第1重合工程及び第2重合工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の諸物性の測定結果を表3に示す。
[重合例3](A−3の製造)
(1)オレフィン重合触媒成分の調製
窒素置換したステンレス製反応器中において、四塩化チタン360mlおよびトルエン240mlを装入して混合溶液を形成させた。次いで平均粒径42μmのジエトキシマグネシウム120g、トルエン500mlおよびフタル酸−ジ−n−ブチル43.2mlを用いて形成させた懸濁液を、10℃の液温に保持した前記混合液中に添加した。その後、10℃〜90℃まで80分かけて昇温し、2時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、
得られた固体生成物を90℃のトルエン1000mlで4回洗浄して、新たに四塩化チタン360mlおよびトルエン800mlを加え、112℃に昇温し、2時間攪拌させながら反応させた。反応終了後、40℃のn−ヘプタン1000mlで10回洗浄して、オレフィン重合触媒成分を得た。
得られたオレフィン重合触媒成分の平均粒径は42μmであり、その分析値(原子吸光法による)は、Mg:18.9重量%、Ti:2.2重量%、Cl:61.6重量%であった。
(2)オレフィン重合触媒成分の予備活性化処理
内容積20リットルの傾斜羽根つきステンレス製反応器を窒素ガスで置換したあと、ヘキサン17.7リットル、トリエチルアルミニウム100.6mmol、ジイソプロピルジメトキシシラン15.1mmol、前記の方法で調製したオレフィン重合触媒成分120.4gを室温で加えたあと、30℃まで加温した。次いで撹拌しながらプロピレン240.8gを3時間かけて供給し、予備活性処理を行った。分析の結果、オレフィン重合触媒成分1gあたりプロピレン1.9gが反応していた。
(3)第1重合工程
撹拌羽根を有する横型重合器(L/D=6,内容積100リットル)に前記の方法で予備活性化処理したオレフィン重合触媒成分を0.4g/hr、有機アルミ化合物としてトリエチルアルミニウムおよび有機ケイ素化合物としてジイソプロピルジメトキシシランをモル比で、Al/Mgモル比6、Al/Siモル比6となるように連続的に供給した。エチレン−プロピレンの混合ガスを反応温度60℃、反応圧力2.1MPa、撹拌速度35rpmの条件を維持しながら連続供給し、さらに反応器の気相中のエチレン/プロピレンモル比を0.005、水素/プロピレンモル比0.007に維持するように水素ガスを循環配管より連続的に供給し、生成ポリマーであるエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(A1)の分子量を制御して、メルトフローレートを調整した。
反応熱は、供給される原料プロピレンの気化熱によって除去した。重合器から排出される未反応ガスは、配管を通して反応器系外で冷却、凝縮させて重合器に還流した。本重合で得られたエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(A1)は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となるように配管を通して重合器から連続的に抜き出し、第2重合工程の重合器に供給した。このとき、配管からエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(A1)の一部を間欠的に抜き出して、メルトフローレート、エチレン含有量、触媒単位重量あたりの重合体収量を求める試料とした。エチレン含有量の測定は、赤外線吸収スペクトル分析により、行った。触媒単位重量あたりの重合体収量は、重合体中のMg分の誘導結合プラズマ発光分光分析により測定した。
(4)第2重合工程
撹拌羽根を有する横型重合器(L/D=6,内容積100リットル)に第1重合工程からのエチレン−プロピレンランダム共重合体成分(A1)およびエチレン−プロピレン−1−ブテン混合ガスを連続的に供給し、プロピレンとエチレンと1ブテンとの共重合を行った。反応条件は、撹拌速度25rpm、温度55℃、圧力1.9MPaであり、気相のガス組成を水素/エチレンモル比0.62、エチレン/プロピレンモル比0.14、および1−ブテン/プロピレンモル比0.06に調整した。エチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体成分(A2)の重合量を調整するために、重合活性抑制剤として一酸化炭素、およびエチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体成分(A2)の分子量を調節するため、水素ガスをそれぞれ供給した。
反応熱は、供給される原料プロピレンの気化熱によって除去した。重合器から排出される未反応ガスは、配管を通して反応器系外で冷却、凝縮させて第2重合工程に還流した。
第2重合工程で得られたプロピレン系樹脂組成物(A)は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となるように重合器から連続的に抜き出した。プロピレン系樹脂組成物(A)の生産速度は8〜15kg/hrであった。
抜き出されたプロピレン系樹脂組成物(A−3)は、未反応モノマーを除去し、一部はメルトフローレートの測定、赤外線吸収スペクトル分析によるエチレン重合単位及び1ブテン重合単位含有量の測定、ならびにエチレン−プロピレン−1−ブテンランダム共重合体成分(A2)の含有量の測定に使用した。
プロピレン系樹脂組成物(A−3)の重合条件と物性を表3に示す。
Figure 2017196759
[試料の調整]
表4および5に示す成分を用い、表4および5に記載した割合でブレンドしたものを、多層フィルム成形機の中間層用押出機(口径60mm)または2つの表面層用押出機(口径30mm)にそれぞれ供給して、250℃のTダイから押し出し、30℃の冷却ロールで冷却して、原反シートを得た。
なお、A−1については、100重量部に対し、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.15重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.10重量部の比率で配合し、ヘンシェルミキサー(商品名)を用いて均一に混合した後、得られた混合物を押出機で溶融混練してペレット状にして用いた。
次に、得られた原反シートを100℃の加熱ロールで縦方向(MD)に5倍延伸し、引き続きテンターオーブンで横方向(TD)に8倍延伸して、フィルムを作製した。
得られたフィルムを所定の試験片に調整し、所定の試験法に準拠して、HAZE、光沢、LSI、ヤング率、引張伸度、ガス透過性、ブロッキングを測定・評価した。
結果を下記に示す。
[実施例1〜8]
表4に示す成分割合、フィルム厚みにする以外は、上記手法と同様にして、フィルムを作製した。
得られたフィルムの測定値の結果を表4に示す。
Figure 2017196759
[比較例1〜4]
表5に示す成分割合、フィルム厚みにする以外は、上記手法と同様にして、フィルムを作製した。
得られたフィルムの測定値の結果を表5に示す。
Figure 2017196759
(1)上記表4、5に記載の実施例1〜8と比較例1〜4との結果を対比すると、以下のことが明らかとなる。
実施例1〜8は、中間層(Y)に本発明(第1の発明)のメタロセン系プロピレン一エチレンランダム共重合体を、請求項の範囲内で樹脂を調製した二軸延伸多層フィルムであるが、この場合には、透明性、透視性、光沢性、といったフィルムの外観に優れ、耐熱性が高いというポリプロピレン系樹脂の特徴を維持しながら柔軟性を有し、更に酸素および炭酸ガスを好適に透過し、なおかつ低伸度特性に優れ、ブロッキング性にも優れている事が分かる。
(2)一方、比較例1〜4は、中間層(Y)に本発明(第1の発明)の範囲を外れて樹脂を調製した場合である。比較例1の場合には、チーグラー系のプロピレン一エチレンランダム共重合体を用いた物である事から透明性、透視性、光沢性に乏しく、低結晶成分が少ない事で、酸素ガス及び炭酸ガスの透過性も悪いことが分かる。
更に、比較例2〜4は、チーグラー系のプロピレン一エチレンランダム共重合体を用い、且つ配合量を増加させたものであるが、柔軟性とガス透過性は向上するものの、透明性、透視性、光沢性及びブロッキング性が著しく悪化する傾向が分かる。
以上から、本発明の二軸延伸多層フィルムは、透明性、透視性、光沢性、といったフィルムの外観に優れ、耐熱性が高いというポリプロピレン系樹脂の特徴を維持しながら柔軟性を有し、更に酸素および炭酸ガスを好適に透過し、なおかつ低伸度特性に優れ、ブロッキング性にも優れたフィルムである。
本発明の二軸延伸多層フィルムは、上記のような優れた特徴を有することから、現在、一般に使用されているガス透過性フィルムの代替としての使用はもとより、さらに高度な物性の要求される用途にも、好適に使用することができる。
また、本発明の二軸延伸多層フィルムは、特定のプロピレン−エチレンランダム共重合体を使用したものであり、メタロセン触媒を用いていることから、低分子量成分が少なく、光学物性やブロッキング性などの性能を向上させるクリーンな材料である。
そして、特定のプロピレン−エチレンランダム共重合体は、二軸延伸工程を経ても、未延伸系フィルムと概略同等の柔軟性を維持し、透明性、透視性、光沢性を持ちながら耐ブロッキング性を持ち、且つ酸素ガス及び炭酸ガスを好適に透過し、二軸延伸フィルムの特性である厚薄精度の高いフィルムが得られる。
更には、二軸延伸による大幅な低伸度化も両立したことで、ハンドリング性に優れるため、二次加工性にも優れるといった特性を有する。
また、広幅製品の生産性に適し、安価に製造することができ、且つ延伸工程の無い未延フィルムでは、除去しきれない微小フィッシュアイも、延伸により消失するため、フィルムの外観を損なわれない二軸延伸多層フィルムとすることができる。

Claims (6)

  1. 上層(X)/中間層(Y)/下層(Z)で構成された積層フィルムにおいて、下記(イ)〜(ニ)の要件を満たすことを特徴とする、二軸延伸多層フィルム。
    (イ)中間層(Y)は、下記メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)8〜60重量%、メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体(A2)16〜80重量%及びプロピレン単独重合体(B)0〜60重量%の合計100重量%からなる、プロピレン系樹脂組成物(C)から構成される。
    (A1):エチレン含量が1.5〜3重量%であるメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体。
    (A2):(A1)より8〜10重量%多くのエチレンを含有する、メタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体。
    (B):メルトフローレート(MFR:2.16kg荷重、230℃)が1〜10g/10minの範囲であるプロピレン単独重合体。
    (ロ)上層(X)及び下層(Z)は、それぞれ独立して、JIS K 7122(1987)に準拠して示差走査熱量計(DSC)で求めた融点(Tp)が135℃以下であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)から構成される。
    (ハ)積層フィルムの酸素の透過度が3000〜8000cc/m2・24Hr・atm(JIS K 7126−Aに準拠)。
    (ニ)積層フィルムの炭酸ガスの透過度が8000〜40000cc/m2・24Hr・atm(JIS K 7126−Aに準拠)。
  2. JIS K7105(1981)に準拠して測定した前記積層フィルムの透明性(Haze)が、5%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の二軸延伸多層フィルム。
  3. JIS K7127(1999)に準拠して測定した前記積層フィルムの引張弾性率は、縦方向(MD)が200〜1200MPa、横方向(TD)が400〜2000MPaであることを特徴とする、請求項1に記載の二軸延伸多層フィルム。
  4. JIS K7127(1999)に準拠して測定した前記積層フィルムの引張破断伸度は、横方向(TD)が150%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の二軸延伸多層フィルム。
  5. ASTM D−1893に準拠して測定した40℃−7日後の前記積層フィルムの耐ブロッキング性が6N以下となる、請求項1に記載の二軸延伸多層フィルム。
  6. 前記プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(D)が、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、又はそれらを任意の比率で混合した混合物からなる、請求項1に記載の二軸延伸多層フィルム。
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