JP2017196247A - ヘッド表面に空気層が形成されるゴルフクラブ - Google Patents
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Abstract
【課題】スウィング時の周囲空気のクラブヘッドへのリタッチを抑制し、ヘッドの空気抵抗を減少させるクラブの提供。【解決手段】ウッドクラブヘッドとシャフトからなるゴルフクラブにおいて、少なくともクラブヘッドのソール面に複数の0.2mm以上3mm以下の高さ、幅1〜5mmのリッジ12a〜12cを時計回りに変位して傾斜させ、放射状に配設し、クラブヘッドソール面と周囲空気層との間に複数のリッジにより形成させる渦流を介在させることによりスイング時の空気抵抗を減少させる。【選択図】図2
Description
本発明は、クラブヘッドのソール面に渦流発生による滞留空気層が形成されるウッドタイプのゴルフクラブに関するものであり、詳しくは、特にダウンスウィイング時のヘッドの空気抵抗を軽減してスムーズなスウィングを実現するウッドタイプのゴルフクラブに関する。
ドライバーショットの飛距離を増大させるには、ウッドタイプのゴルフクラブのスウィング速度を増大させることが必要である。そのためには、スウィング時にヘッドを高速度で移動するときに生じる空気抵抗をできるだけ減少させなければならない。この空気抵抗を減少させる従来技術としては、ヘッド本体の形状を二等辺三角形とし、更に、ヘッド本体全体の形状を偏平な砲弾形状とし、ヘッド本体の空気抵抗を減少させ、更に、ヒール部にネック部を設けたものが提案されている(特許文献1)。然し、ヘッド形状を偏平形状としてヘッドの厚みを薄くするには限度があり、空気抵抗を減少させる効果はあまり期待できない。
そこで、ウッドタイプのゴルフクラブにおいて、スウィイングすると、ヘッドの後方に渦が生じて空気抵抗が大きくなり、スウィング速度を上昇させることができない要因になっていることに着目し、ゴルフクラブヘッドHのクラウン部の中央付近の空気剥離点の後方に、複数のディンプルを設け、ヘッドの後方に発生する空気の乱れをディンプルで減少させるようにしたウッドタイプのゴルフクラブが提案されるに至っている(特許文献2)。
そこで、従来のウッドタイプのゴルフクラブヘッドを、スウィイング方向に垂直に切断した縦断面の二次元モデルでみる。風洞内で、前方フェース方向から空気を整流状態にして送風すると(図1(c))、クラウン面の表面に沿って流れる空気流は、クラウン面の頂部を過ぎた位置でクラウン面から剥離し、その後方に空気流の乱れを生させ、空気抵抗の要因となると考えられる。しかしながら、スウィング中のヘッドの軌跡(図1(a))を見ると、ヘッドのトップ位置からダウンスウィングを経てインパクトに至るスウィング軌道ではヘッドのソール面と周囲空気流との接触が支配的であることがわかる。そして、わずかにインパクトの前後でボールに対し、はじめてフェース面がスクエアになり、ヘッドの上下、クラウン面とソール面とに対して平行に流れる空気流が形成される(図1(c))に過ぎない。そのため、ヘッドクラウン部後方に形成したディンプルには空気抵抗の低減効果が少ない。そのため、クラブスウィングを力学的を見ると、クラブスウィング時にはグリップBとシャフト先端Aとがなすシャフト線ABに対しヘッド重心GとグリップBとを結ぶ線分BGとは幾分角度の開きがあり、この角度の開きがインパクト時にヘッドのトウCがトウダウンする現象だけでなく、スウィング時にシャフトに捩れを引き起こし、トウイン現象を起こさせることがわかる。そこで、従来、ヘッドの重心をヒール側に移動させることでかかる問題を解消しようとしたが、かかる問題の主たる原因は、スウィング時の空気の粘りによるヘッド周囲面へのへばり付きによるものであり、スウィング中のヘッドの空気抵抗を減少させるにはスウィング軌道から主としてソール面の空気抵抗の低減が重要であることを見出した。
本発明者はかかる観点に基づき、鋭意研究の結果、スウィング時の周囲空気の粘りによるへばり付きをなくすには周囲空気とクラブヘッド表面との間に空気層を介在させるのがよいと考え、本発明を完成した。本発明は少なくともクラウン面とソール面を有するクラブヘッドとシャフトからなるゴルフクラブにおいて、クラブヘッドの少なくともソール面にスウィング時のヘッド周囲を流れる空気に対しこれを受けて障壁となる第1のリッジと該第1のリッジに対し間隔をおいて空気流後方に第2リッジとを設け、第1のリッジの前壁に衝突し、第1のリッジを越えて第2のリッジの前方に流れ込む空気流を第2のリッジで受け、第2のリッジの前壁に衝突して反転させるリッジ構造とすることにより第1のリッジと第2のリッジとの間に渦流を形成させ、クラブヘッド面と周囲空気との間に空気層を介在させることを特徴とするゴルフクラブにある。
クラブヘッド面と周囲空気流との間に空気層を介在させるリッジ構造は、図3に示すように、ヘッドのソール面Sから突出する第1のリッジR1に衝突した空気流が第1のリッジR1を越えて空気流後方の第2のリッジR2に衝突し、反転して渦流Wを形成するのが肝要であり、スウィング時のヘッドのソール面の半時計方向へ回転変位する軌道(図1(a))を考慮すると、第1のリッジに対し第2のリッジは時計回りに角度変位を持たせるのが好ましく、まず、第1のリッジに対し第2のリッジは放射状に角度変位させる必要がある。次いで、第1のリッジと第2のリッジと空間は実質的に囲まれた空間を形成することにより、第2のリッジに衝突して形成される渦流の滞留を確保するのが好ましい。かかる原則の下で、第1の形態はソール面の周囲端に沿ってU字形のリッジ12aを形成し、そこから一定間隔で周囲端に延びる放射状のリッジ12b、12cを形成して分割することによりリッジ構造を達成できる(図2参照)。第2の形態はヘッドのソール面20に相似の大小複数の多角形21,22,23(図面では5角形)を一定間隔で多重に重ね、その底辺21aをフェース面23にほぼ平行に置き、その多角形稜点をつなぐ様に放射状に延びるリッジ24で区切ってリッジ構造を形成することができる(図4参照、図中多角形は5角形の3重)。又、ソウル面30にリッジで形成した多重円31、32,33を放射状に延びるリッジ34で区切り、分割することによりリッジ構造を形成することもできる(図5参照、円形3重)。さらに、相似形の多重空間は複数の矢羽形状41a,41b,41c,41d,41eの周囲をリッジで形成し、閉鎖した空間を有するリッジを放射状に重ねることによってもリッジ構造を形成することができる(図6参照、図中矢羽は5個)。以上は規則的に風車形状のリッジ構造を形成する方法であるが、図7に示すように、大略N形状に屈曲する稲妻状のリッジ51、52,53を時計周りにリッジ傾斜が変化するように配設することによってもリッジ構造を形成することができる。要するに本発明では、第1にリッジはその放射状に延びる、傾斜方向がスウィング時のソールの変位に従って時計方向に変位することで効率よい障壁となることが必要で、ヘッド面と周囲空気との間に滞留する空気層を形成するための条件である。そして傾斜したリッジが実質的に閉鎖空間を形成するのが空気層の滞留時間を確保するのに好ましい条件である。
次いで、本発明において形成されるリッジのサイズはボールの飛翔速度及び回転数を考慮して定められるが、一般にゴルフボールにおいては高さ0.2mm以上3mm以下、幅1〜5mmとするのが適当である。リッジ間の間隔はリッジ高さ、幅との相関関係で決定されるが、リッジの立ち上がりは空気流との障壁となるように形成されるのが好ましい。
本発明によれば、図3に示すように、空気流はソール面Sから隆起する第1次リッジR1に衝突して立ち上がり、周囲空気流Fで後方第2次リッジR2との間に押し込まれ、第2次リッジR2に衝突して反転し、逆流を発生させ、これを繰り返すことによりクラブヘッドソール面と周囲空気層との間に複数のリッジにより形成させる渦流Wからなる空気層を介在させることができる。それにより、周囲空気のクラブヘッドへのリタッチを抑制し、ヘッドの空気抵抗を減少させることができる。
かかるリッジR1,R2・・・はヘッドの周囲空気流Fの壁への衝突により立ち上がる空気流をその外の空気流によりヘッド表面に押し下げ、後方の第2次リッジR2に衝突させることにより逆流を発生させ、第1次リッジと第2次リッジ間に渦流Wを形成させる。この動作を順次後方のリッジとの間で繰りかえされることが重要であり、前述したように、リッジ高さとリッジ間隔はリッジ間に渦流Wが形成されるように調整されるのがよい。したがって、リッジのヘッド表面への配置形状は連続又は断続的リッジによって形成してもよく、線状リッジに限られるものでない。また、リッジは連続しても断続して形成してもよい。
本発明のリッジは本来空気抵抗の発生に支配的なソール面に設けられるが、クラウン面にも同等のリッジ構造を形成してもよい。また、クラウン面においてはフェース面がスクエアになるヒッテング前後(図1(c))を考慮してフェース面に平行な線状リッジ11a,11aを並列して設け、後端に直交する一対のL形リッジ11cを設けるようにしてもよい。
シャフト曲げモーメント及び捩れモーメントは、スウィング中に図1に示すように発生する。
(1)ダウンスウィング開始時、スウィングのトップでは、重力によってヘッドが下がりシャフトは重力とは反対方向に曲がる。
(2)及び(3)ダウンスウィング開始されるとゴルファーの回転方向にグリップから動き、その力はシャフトからヘッドに働き、シャフトに曲げモーメントが発生する。
(4)普通のスウィングでは腰の辺りで曲げモーメントが反力によって元に戻り、逆しなりを開始する。
(5)その逆しなりは次第に大きくなり、そのときに同時にシャフトに捩れモーメントも発生する。
(6)そしてインパクト時には逆しなりが戻り始め、捩れモーメントの返りによりヘッドの先端がトウイン現象を起こす。
この捩れモーメントを減少させるためにヘッドの重心をヒール側に移行し、力学的に解消する研究がなされてきた。今回、我々は、この捩れモーメント及びシャフトのベントを空気の流れによって減少させるものである。
(1)ダウンスウィング開始時、スウィングのトップでは、重力によってヘッドが下がりシャフトは重力とは反対方向に曲がる。
(2)及び(3)ダウンスウィング開始されるとゴルファーの回転方向にグリップから動き、その力はシャフトからヘッドに働き、シャフトに曲げモーメントが発生する。
(4)普通のスウィングでは腰の辺りで曲げモーメントが反力によって元に戻り、逆しなりを開始する。
(5)その逆しなりは次第に大きくなり、そのときに同時にシャフトに捩れモーメントも発生する。
(6)そしてインパクト時には逆しなりが戻り始め、捩れモーメントの返りによりヘッドの先端がトウイン現象を起こす。
この捩れモーメントを減少させるためにヘッドの重心をヒール側に移行し、力学的に解消する研究がなされてきた。今回、我々は、この捩れモーメント及びシャフトのベントを空気の流れによって減少させるものである。
上述のダウンスウィングは右利きのゴルファーの場合、身体とともに左回転方向に回るためシャフトに捩れが生じる。これはグリップAとヘッドB間のシャフトABとグリップAとヘッドの重心Gとのなす線分(図中点線)との乖離角度により重心Gとシャフト端Bとの間に作用する重力によって生じる。この捩れモーメントを減少させるには上述した重心位置Gのヒール側への移動だけでなく、今回ヘッドのスウィング時のヘッドの空気抵抗を減少させることにより、捩れモーメントを減少させる必要がある、
図1(a)のスウィング軌道を見ると、トップ(1)からフィニッシュ(6)までの間に発生する空気抵抗は、ドライバーのフェース部分によって一番惹起され、インパクト寸前とインパクト直後であり極わずかな距離と極わずかな時間である。したがって、インパクト前後の空気抵抗は図2に示されるように、ヘッドの上下、クラウン面とソール面を流れる空気流によって惹起されるが、それはスウィング中の10%くらいの距離と時間であり、それ以外の、スウィング中の遠心力が、長く、また速い速度でヘッドに対する空気抵抗に関わる。そして、図1(a)のクラブヘッドの旋回をみると、ソール部分の空気との接触は常に100%空気と接触している。そのことに注目し、少なくともソール部分の空気抵抗を減少させるとヘッド自体の空気抵抗が減少する。また、同時にヘッドのサイド部分とクラウン部分もあわせて空気抵抗を減少させるのが好ましいことを見出した。なぜなら、ダウンスウィング中、ヘッドに対する空気抵抗が大きければヘッドから生じるシャフトに対しての捩れも大きくなり、その反力によってシャフトには、曲げモーメントと捩れモーメントも大きくなる。シャフトにかかるモーメントは、空気との接触部分の面積と時間に比例するので、ソール部分の空気の流れによる空気との摩擦を減少させることで解決できた。同じようにヘッドのサイド部分及びクラウン部分も層流から乱流にすることでより空気抵抗の減少が見られた。このことにより、スウィングをするとヘッドの重量もかなり軽く感じスウィングも簡単にボールにヒットできるようになった。また、同一人のスウィングでも飛距離が10ヤードから20ヤード伸びることが確認できるので、ヘッドスピードは5%以上向上するものとなる。
ウッドクラブヘッドとシャフトからなるゴルフクラブにおいて、クラブヘッド10のクラウン面11には2本のリッジをトウ側からヒール側に向けて11a,11bを形成し、ヒール部には一対のL形リッジ11cを形成する(図2(a))。他方、ソール面12にフェース側からヒール側に向けてU字形リッジ12aを形成し、U字形リッジ12aから周囲輪郭に向けて複数本のリッジ12b,12bを間隔を置いて形成するとともに、スウィング中のヘッドの向きを考慮してヒール側に延びるリッジ12c、12cを形成する(図2(b))。複数のリッジの寸法は実施例では0.7mmの高さ、幅2.7mmとしたが、上述した一定の範囲で許容される。本実施例ではクラウン面11とソール面12と周囲空気流との間には渦流が介在し、周囲空気がヘッド面にリタッチすることなく、スムーズに流れることが解る(図2(c))。
本発明によれば、第1次リッジに衝突して立ち上がった空気流を周囲空気流で後方第2次リッジ間に押し込み、第2次リッジに衝突させて逆流を発生させ、これを繰り返すことによりクラブヘッドソール面と周囲空気層との間に複数のリッジにより形成させる渦流を介在させることができる。それにより、周囲空気のクラブヘッドへのリタッチを抑制し、ヘッドの空気抵抗を減少させることができる。
リッジ形状はクラウン面では通常、フェース面を基準にそれに平行又はほぼ平行に0.2mmから3mmの範囲の高さ、幅1mmから5mmを有する線状のリッジによって形成することができるが、これに限られるものでない。かかるリッジはヘッドの周囲空気流の壁への衝突により立ち上がる空気流をその外の空気流によりヘッド表面に押し下げ、後方の第2次リッジに衝突させることにより逆流を発生させ、第1次リッジと第2次リッジ間に渦流を形成させ、この動作を順次後方のリッジとの間で繰りかえされることが重要であり、リッジ高さとリッジ間隔はリッジ間に渦流が形成されるように調整されるのがよい。したがって、リッジのヘッド表面への配置形状は連続又は断続的リッジによって形成してもよく、線状リッジに限られるものでない。
Claims (11)
- 少なくともクラウン面とソール面を有するクラブヘッドとシャフトからなるゴルフクラブにおいて、クラブヘッドの少なくともソール面にスウィング時のヘッド周囲を流れる空気に対しこれを受けて障壁となる第1のリッジと該第1のリッジに対し間隔をおいて空気流後方に第2リッジとを設け、第1のリッジの前壁に衝突し、第1のリッジを越えて第2のリッジの前方に流れ込む空気流を第2のリッジで受け、第2のリッジの前壁に衝突して反転させるリッジ構造とし、第1のリッジと第2のリッジとの間に渦流を形成させ、クラブヘッド面と周囲空気との間に空気層を介在させることを特徴とするゴルフクラブ。
- スウィング時のヘッドのソール面の半時計方向へ回転変位する軌道に沿って、第1のリッジに対する第2のリッジは時計回りに角度変位を持たせ、ソール面中心から周囲端に放射状に延びる請求項1記載のゴルフクラブ。
- 第1のリッジと第2のリッジとの空間は実質的に囲まれた空間を形成する請求項2記載のゴルフクラブ。
- ソール面の周囲端に沿ってU字形のリッジ12aを形成し、そこから一定間隔で周囲端に延びる放射状のリッジ12b、12cを形成してソール面周囲端が分割されているリッジ構造を有する請求項1記載のゴルフクラブ。
- ヘッドのソール面20に相似の大小複数の多角形21,22,23を一定間隔で多重に重ね、その底辺21aをフェース面23にほぼ平行に置き、その多角形稜点をつなぐ様に放射状に延びる区切り線24で区切って形成したリッジ構造を有する請求項2記載のゴルフクラブ。
- ソール面にリッジで形成した多重円31、32,33を設け、これを中心から周囲端に放射状に延びてリッジ34で区切り、分割することにより形成したリッジ構造を有する請求項2記載のゴルフクラブ。
- 複数の矢羽形状41a,41b,41c,41d,41eの周囲をリッジで形成し、重ねて形成された風車形状のリッジ構造を有する請求項2記載のゴルフクラブ。
- 大略N形状に屈曲する稲妻状の複数のリッジ51、52,53を時計周りにリッジ傾斜が変化するように配設することによって形成されたリッジ構造を有する請求項1記載のゴルフクラブ。
- リッジのサイズが高さ0.2mm以上3mm以下、幅1〜5mmである請求項1記載のゴルフボール。
- リッジが垂直又はほぼ垂直に立ち上がり、空気流との障壁となるように形成される請求項1記載のゴルフボール。
- リッジが連続して又は断続して線状に配設されてなることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブ。
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