JP2017191080A - 除染処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】貯留タンクの底部に沈殿するスラッジの処理が比較的容易となる貯留タンクの除染処理方法を提供する。【解決手段】貯留タンクT底部のスラッジSを放射性汚染水中に懸濁させる撹拌工程と、貯留タンクから放射性汚染水を水中ポンプ2により吸引し、吸着剤ユニット4により除染した放射性汚染水を貯留タンクに還流する除染工程と、除染工程後に貯留タンク底部から放射性汚染水を水中ポンプにより外部に排出する排出工程とを備え、撹拌工程を、除染工程で除染した放射性汚染水の貯留タンクへの還流により行う。また、除染工程で、貯留タンク底部の放射性汚染水をフィルターによりスラッジを除去しつつ吸引する。【選択図】図1

Description

本発明は、除染処理方法に関する。
放射性セシウム、放射性ストロンチウム等の放射性物質を含有する汚染水、例えば廃水、事故原発炉心冷却用循環水等は、環境破壊を防止するために放射性物質を除去しなければ排出することが許されない。
このため、事故原発において、余剰となった原子炉冷却水等を回収した汚染水が多数の貯留タンクに貯留されており、その量が日々増大している。これらの貯留タンクの多くは、複数の板状部材をボルト締めすることにより現地で接合して形成されたボルト締め型タンクである。このようなボルト締め型タンクでは、部材間の締結部のパッキン等の劣化により漏れが生じ得るため、寿命が数年と考えられる。
そこで、このようなボルト締め型タンクから、複数の板状部材の溶接により形成されたより寿命の長い溶接型タンクに置き換えることが必要となる。つまり、放射性汚染水を貯留するボルト締め型の貯留タンクを解体して処分することが求められる。
貯留タンクのような放射能汚染設備の解体法方法としては、放射能汚染設備を覆う上屋を建設し、この上屋の天井付近に遠隔操作可能なクレーンを配設して、このクレーンを使用して人が上屋内に立ち入ることなく設備の解体及び除染を行うことが提案されている(例えば特開2013−181921号公報参照)。しかしながら、上屋の建設には大きなコストが必要である上、事故原発では多数の貯留タンクが密集して配設されており、上屋の建設は技術的にも極めて困難である。
従って、事故原発に設置された貯留タンクを解体するためには、先ず、放射性汚染物質の飛散を防止するため、貯留タンクの内部の除染を行うことが必要である。貯留タンクに貯留される放射性汚染水は、通常、ポンプにより除染装置に移送されて除染処理される。具体的には、放射性汚染水中の放射性汚染物質を濾材及び吸着剤によって処理することで、懸濁物質及び放射性汚染物質を含まない除染水を排出し、放射性汚染物質を高濃度に含む濾材及び吸着剤を放射性廃棄物として処分する。このような除染処理によって、放射性汚染水を一般廃棄物とすることができるので、放射性廃棄物の量を大幅に低減することができる。
しかしながら、放射性汚染水を貯留する貯留タンクの底部にはスラッジが沈殿しており、放射性汚染水を排出した後にも貯留タンクの底部にはスラッジが残される。このようなスラッジは、上記放射性汚染水と同様に汚染物質濃度が比較的高いので、そのままでは放射性廃棄物として密閉容器に封入する等の厳密な取り扱いが要求される上、その量も比較的多い。また、貯留タンクに残留スラッジは、その放射線量が高いために貯留タンク内での作業員の活動が制限されるので、貯留タンクから搬出することも容易ではなく、その処理が問題となる。
特開2013−181921号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、貯留タンクの底部に沈殿するスラッジの処理が比較的容易となる貯留タンクの除染処理方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、放射性汚染水を貯留し、かつ底部にスラッジが沈殿する貯留タンクの除染処理方法であって、上記貯留タンク底部のスラッジを放射性汚染水中に懸濁させる撹拌工程と、上記貯留タンクから放射性汚染水を水中ポンプにより吸引し、吸着剤により除染した放射性汚染水を貯留タンクに還流する除染工程と、上記除染工程後に貯留タンク底部から放射性汚染水を水中ポンプにより外部に排出する排出工程とを備えることを特徴とする除染方法である。
当該除染処理方法は、上記撹拌工程で沈殿しているスラッジの粒子の間に取り込まれた汚染水を流動化し、除染工程で放射性汚染水を除染して還流することでスラッジの粒子の周囲の放射性汚染水を低濃度の放射性汚染水と置換して汚染物質濃度を低減してから、排出工程で放射性汚染水を排出する。これにより、当該除染処理方法は、貯留タンクの底部に残されるスラッジの汚染物質濃度を放射性廃棄物として取り扱う必要がない程度まで低減できるため、残留するスラッジを比較的容易に処理することができ、ひいては貯留タンクを比較的容易に解体できる。
上記撹拌工程を、上記除染工程で除染した放射性汚染水の貯留タンクへの還流により行うとよい。このように、上記撹拌工程を、上記除染工程で除染した放射性汚染水の貯留タンクへの還流により行うことによって、比較的簡素な装置構成でスラッジの粒子間の放射性汚染水を置換することができると共に、撹拌工程及び除染工程を継続して行うことができる。
上記除染工程で、貯留タンク底部の放射性汚染水をフィルターによりスラッジを除去しつつ吸引するとよい。このように、上記除染工程で、貯留タンク底部の放射性汚染水をフィルターによりスラッジを除去しつつ吸引することによって、吸着剤の目詰まりを防止して、吸着剤の利用率を向上することができる。これにより、スラッジの処理をより確実に容易化することができる。
上記排出工程で、放射性汚染水のみを外部に排出するとよい。このように、上記排出工程で、放射性汚染水のみを外部に排出することによって、外部の除染処理設備のフィルターの負荷を低減することができると共に、排水工程後に残留するスラッジを分離回収して容易に処分することができる。
以上のように、本発明の除染処理方法は、貯留タンクの底部に沈殿するスラッジの処理が比較的容易となる。
本発明の一実施形態の除染処理方法により除染される貯留タンク及び除染に用いる除染処理装置の構成を示す模式図である。 図1の装置構成における本発明の一実施形態の除染処理方法での一工程を示す模式図である。 図2の次の工程を示す模式図である。 図3の次の工程を示す模式図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
当該除染処理方法は、図1に示すように、放射性汚染水を貯留し、かつ底部にスラッジ(粒状物質)Sが沈殿する貯留タンクTの除染処理方法である。当該除染処理方法は、例えば図示するような除染処理装置1を用いて行うことができる。
[除染処理装置]
図1の除染処理装置1は、貯留タンクTの中の放射性汚染水を吸引する吸上げポンプ2と、放射線汚染水中のスラッジSを除去するフィルター3と、放射性汚染水中の放射性汚染物質を吸着する吸着剤を有する吸着ユニット4とを備える。
当該除染処理方法は、図2に示すように、貯留タンクTの底部のスラッジSを放射性汚染水中に懸濁させる撹拌工程と、図3に示すように、貯留タンクTから放射性汚染水を吸上げポンプ2により吸引し、吸着ユニット4の吸着剤により除染した放射性汚染水を貯留タンクTに還流する除染工程と、図4に示すように、除染工程後に貯留タンク底部から放射性汚染水を水中ポンプにより外部に排出する排出工程とを備える。
貯留タンクTの底部のスラッジSにおいて、スラッジの粒子の中心部には放射性汚染物質は存在しておらず、主にスラッジの粒子の間に存在する放射性汚染水中に溶けた放射性汚染物質がスラッジの放射線源となるものと考えられる。
そこで、当該除染処理方法は、上記撹拌工程で沈殿しているスラッジの粒子の間に取り込まれた汚染水を流動化し、上記除染工程で放射性汚染水を除染して還流することによって、スラッジSの粒子の間に存在する放射性汚染水の汚染物質濃度を低減してから、上記排出工程で放射性汚染水を排出する。このため、当該除染処理方法では、貯留タンクTの底部に残されるスラッジSの汚染物質濃度を放射性廃棄物として取り扱う必要がない程度まで低減できるので、上記排出工程後に残留するスラッジSを比較的容易に処理することができ、ひいては貯留タンクTを比較的容易に解体できる。
ここで、当該除染処理方法の詳細な説明に先立って、当該除染処理方法によって除染される貯留タンクT及び当該除染処理方法に用いられる除染処理装置1の構成について説明する。
<貯留タンク>
当該除染処理方法によって除染処理される貯留タンクTとしては、特に限定されないが、例えば事故後の原子力発電所における炉心冷却用循環水や廃水等の汚染水を貯留するために使用され、複数の板材の周縁に配設したフランジ間をボルトで締結して形成されたボルト締め型タンクが想定される。
また、貯留タンクTは、解体前に内部の放射性汚染水を排出するが、全量を排出することができずに放射性汚染水が不可避的に残留する。図1は、排出口から内部の放射性汚染水を排出した後の貯留タンクTの状態を示す。
貯留タンクTの平均内径の下限としては、特に限定されないが、3mが好ましく、5mがより好ましい。一方、貯留タンクTの平均内径の上限としては、25mが好ましく、20mがより好ましい。貯留タンクTの平均内径が上記下限に満たない場合、タンク容量を所定以上に大きくできず汚染水を貯留するための貯留タンクTの数が増加するおそれがある。逆に、貯留タンクTの平均内径が上記上限を超える場合、貯留タンクTの内部の放射性汚染水全体を撹拌すること困難となり、スラッジの粒子間に取り込まれている放射性汚染水を除染することが困難となるおそれがある。なお、「平均内径」とは、タンク内部の水平方向の最小寸法とこれに直交する水平方向の寸法との平均値を意味する。
また、貯留タンクTの平均高さの下限としては、3mが好ましく、5mがより好ましい。一方、貯留タンクTの平均高さの上限としては、25mが好ましく、20mがより好ましい。貯留タンクTの平均高さが上記下限に満たない場合、汚染水の貯留可能な容量に対して貯留タンクTの設置面積が大きくなるため、設置面積に対する貯留効率が低下するおそれがある。逆に、貯留タンクTの平均高さが上記上限を超える場合、貯留タンクTの内壁面の除染が容易でなくなるおそれがある。
また、このような貯留タンクTに貯留される放射性汚染水としては、どのような放射性汚染物質を含むものであってもよいが、典型的には放射性ストロンチウムを含む放射性汚染水とされる。
放射性ストロンチウムを含む放射性汚染水は、例えば事故原発において、SARRY(単純型汚染水処理システム:Simplified Active Water Retrieve and Recovery System)等により一次処理されて貯留タンクTに一時的に貯留されているもの等が挙げられる。
貯留タンクTに貯留される放射性汚染水の汚染物質濃度としては、特に限定されないが、例えば500Bq/cc以上500,000Bq/cc以下とされる。
<吸上げポンプ>
吸上げポンプ2は、貯留タンクT上部の開口からの挿入により貯留タンクT内に配設される。この開口からの挿入は、例えば吸上げポンプ2をワイヤー等で吊り下ろすことにより行われる。この吸上げポンプ2としては、水中ポンプを使用することが好ましい。中でも、貯留タンクTの底部に着床して配置され、その下部から周囲の水を吸い込んで送出する公知の低水位排水用水中ポンプが特に好適に使用される。このように低水位排水用水中ポンプを使用することにより、貯留タンクT底面に沈殿しているスラッジを吸い込んで効率よく撹拌することができると共に、貯留タンクT下部に不可避的に残留する放射性汚染水量を低減することができる。
吸上げポンプ2の幅及び奥行きの下限としては、40cmが好ましく、50cmがより好ましい。一方、吸上げポンプ2の幅及び奥行きの上限としては、80cmが好ましく、70cmがより好ましい。吸上げポンプ2の幅又は奥行きが上記下限に満たない場合、貯留タンクT上部の開口を介して貯留タンクTの下部の放射性汚染水を外部に排出できる能力が得られないおそれがある。逆に、吸上げポンプ2の幅又は奥行きが上記上限を超える場合、吸上げポンプ2を貯留タンクT上部の開口から挿入できないおそれがある。
吸上げポンプ2の吸上げ能力の下限としては、10m/時間が好ましく、12m/時間がより好ましい。一方、上記吸上げ能力の上限としては、20m/時間が好ましく、15m/時間がより好ましい。上記吸上げ能力が上記下限に満たない場合、放射性汚染水の浄化に時間がかかりすぎるおそれや、除染処理装置1が除染した放射性汚染水の水流により貯留タンクTの底部に沈殿するスラッジを放射性汚染物質中に懸濁させることができないおそれがある。逆に、上記吸上げ能力が上記上限を超える場合、吸上げポンプ2が大きくなりすぎ、吸着ユニットの能力が不十分となるおそれや、貯留タンクT上部の開口から吸上げポンプ2を挿入できないおそれがある。
<フィルター>
フィルター3は、好ましくは、貯留タンクT上部の開口から吸上げポンプ2と共に挿入されて貯留タンクTの内部に配設される。このフィルター3は、吸上げポンプ2が吐出した放射性汚染水からスラッジを除去することで、後述する吸着ユニットの目詰まりを防止する。
このようなフィルター3としては、例えば平均開口径0.2μm程度のメンブレンフィルター等が好適に用いられる。
<吸着ユニット>
吸着ユニット4は、吸上げポンプ2により吸上げられる放射性汚染水の流通経路のフィルター3よりも下流側に配設される。この吸着ユニット4は、好ましくは、吸上げポンプ2及びフィルター3と共に貯留タンクT上部の開口からワイヤー等で吊り下ろすことにより、貯留タンクTの内部に配設される。
この吸着ユニット4は、吸上げポンプ2が吸上げる放射性汚染水中の放射性汚染物質を吸着して除去することによって浄化する。これにより、放射性汚染物質濃度が低減された放射性汚染水が、貯留タンクTの下部に貯留される放射性汚染水に環流されることにより、貯留タンクTの中の放射性汚染水が希釈される。
吸着ユニット4の吸着剤としては、放射性汚染水中の放射性汚染物質を吸着できるものが用いられる。貯留タンクTに貯留される放射性汚染水が放射性汚染物質として主に放射性ストロンチウムを含む場合、吸着ユニット4の吸着剤としては、ストロンチウムを選択的に吸着する吸着剤が好ましい。
ストロンチウムを選択的に吸着する吸着剤としては、例えばカルシウム及びマグネシウムを透過せず、ストロンチウムを選択的に透過する膜を表面に有し、ストロンチウムを吸着する無機材料を内部に有するカプセル状の吸着剤が使用できる。上記ストロンチウムを選択的に透過する膜としては、例えばアルギン酸カルシウム膜等が挙げられる。また、ストロンチウムを吸着する無機材料としては、A型ゼオライト、X型ゼオライト等が挙げられる。このようなストロンチウム用吸着剤は、浮遊物質及び油分を濾し取る濾材としても機能する多孔質体に担持させることが好ましい。このような担持体としては、活性炭、ゼオライト等が挙げられる。
上記吸着ユニット4の幅及び奥行きの下限としては、15cmが好ましく、20cmがより好ましい。一方、吸着ユニット4の幅及び奥行きの上限としては、80cmが好ましく、70cmがより好ましい。吸着ユニット4の幅又は奥行きが上記下限に満たない場合、吸着ユニット4の体積を所定以上に大きくできず、放射性汚染水の除染能力が不足するおそれがある。逆に、吸着ユニット4の幅又は奥行きが上記上限を超える場合、吸着剤が局所的に破過し易くなり吸着剤の利用効率が低下するおそれや、吸着ユニット4が大きくなりすぎて貯留タンクT上部の開口から挿入できないおそれがある。
以上の除染処理装置1を用いて行うことができる本発明の実施形態にかかる除染処理方法について詳述する。当該除染処理方法は、上述のように、撹拌工程、除染工程及び排出工程を備える。
<撹拌工程>
当該除染処理方法において、撹拌工程では、貯留タンクTに貯留されている放射性汚染水を撹拌することによって、底部のスラッジSを放射性汚染水中に舞い上がらせて懸濁させる。これにより、沈殿しているスラッジSの粒子の間に取り込まれることにより移動が制限されている放射性汚染水を解放し、次の除染工程で貯留タンクTの中の全ての放射性汚染水を除染対象とすることができる。
放射性汚染水の撹拌方法としては、除染処理装置1の吸引及び吐出によって放射性汚染水を動かすこと、特に除染処理装置1から環流される放射性汚染水の水流による撹拌効果によって行うことができる。貯留タンクTの底部全面に沈殿するスラッジSを舞い上がらせるために、除染処理装置1からの放射性汚染水の環流位置、つまり配管の出口開口の位置を移動させてもよく、放射性汚染水を噴射し、その向きを変化させられるノズルを有する水噴射モジュール(不図示)を除染処理装置1の配管の出口に配設してもよい。
ノズルの向きを変化させる水噴射モジュールとしては、例えば噴水方向と異なる向きの中心軸の周りに回転可能なノズルと、このノズルに供給される水の流れによって駆動されるタービンと、このタービンの駆動力によってノズルを回転させる駆動機構とを有するものを用いることができる。
また、この撹拌工程は、除染処理装置1とは別に、貯留タンクTの内部に、例えばプロペラを有する撹拌装置、ポンプを用いて放射性汚染水を吸引噴射する装置等を配設して行ってもよい。
<除染工程>
上記除染工程では、吸上げポンプ2によって貯留タンクTから放射性汚染水を吸引し、吸着ユニット4の吸着剤によって放射性汚染水中の放射性汚染物質を除去した低濃度の放射性汚染水を貯留タンクTに環流させる。これにより、スラッジの各粒子の周囲に存在する放射性汚染水を順次低濃度の放射性汚染水に置換し、放射性汚染物質濃度を低減することができる。これにより、懸濁状態のスラッジが再び貯留タンクの下部に沈殿したときに、スラッジの中に存在することになる放射性汚染物質の量を少なくすることができる。
この除染工程における放射性汚染水の除染は、除染処理装置1のように、吸上げポンプ2によって吸引した放射性汚染水からフィルター3によってスラッジSを除去したものを吸着ユニット4に供給する装置を用いて行うことが好ましい。このように、フィルター3によってスラッジSを除去することで、吸着ユニット4の吸着剤の目詰まりを防止して、吸着剤の利用率の向上及び除染処理装置1の稼働率の向上が可能となる。
除染工程後、つまり排水工程を開始する時点での貯留タンクT内部の放射性汚染水の汚染物質濃度の下限としては、スラッジを含まない上澄み液の測定値として、50Bq/ccが好ましく、100Bq/ccがより好ましい。一方、上記除染工程後の放射性汚染水の汚染物質濃度の上限としては、5,000Bq/ccが好ましく、1,000Bq/ccがより好ましい。除染工程後の放射性汚染水の汚染物質濃度が上記下限に満たない場合、除染処理装置1の負荷が大きくなり、除染処理のコストが不必要に増大するおそれがある。逆に、除染工程後の放射性汚染水の汚染物質濃度が上記上限を超える場合、当該除染処理方法によって除染処理した後に貯留タンクTの底部に残留するスラッジの放射線量が大きくなり、特にスラッジ中に残留する水分が蒸発して放射性汚染物質が濃縮された場合など、解体時のスラッジ除去時に作業員の被ばくが大きくなる懸念がある。さらに最終処分時の遮蔽容器が大きくなり、ハンドリングが困難になるおそれもある。
また、この除染工程は、上述のように、除染後の放射性汚染水の環流によって貯留タンクTの内部の放射性汚染水を撹拌することで、上述の撹拌工程を兼ねてもよい。このように、除染処理装置1を撹拌装置としても使用することで、比較的簡素な装置構成で、撹拌工程及び除染工程を継続的に行うこと、つまりスラッジの粒子間の放射性汚染水を低濃度の放射性汚染水に連続的に置換することができる。
<排水工程>
上記排水工程では、上記除染工程で放射性汚染物質濃度を十分に低減した低濃度の放射性汚染水を貯留タンクの外部に排出する。この放射性汚染水の排水は、上記除染処理装置1の吸上げポンプ2を用いて行ってもよく、異なる排水ポンプを用いて行ってもよい。
このようなこの排出工程では、貯留タンクTから放射性汚染水と共にスラッジSを排出、放射性汚染水とスラッジSとの懸濁液を排出してもよいが、スラッジSを実質的に含まない放射性汚染水のみを外部に排出するとよい。貯留タンクTの底部に残留するスラッジSは、放射性汚染水と分けて別途回収することで、放射性汚染水の最終処理が容易となる。一方、十分に除染されたスラッジSは、一般廃棄物として比較的容易に処理することができる。また、スラッジSは、乾燥させて処理してもよい。
このようなスラッジSを含まない放射性汚染水の排出は、フィルター等を用いてスラッジSを除去しつつ行ってもよいが、上記除染工程後、時間をおいて、放射性汚染水中に懸濁しているスラッジSが再び沈殿するのを待ってから、沈殿したスラッジSの上方の上澄み液をポンプで吸い出すことによって行ってもよい。具体的には、この排出工程では、水中ポンプを貯留タンクTの底に着床させないようにすることで、スラッジSを含まない放射性汚染水を排出してもよい。
また、この排出工程で貯留タンクTから排出される放射性汚染水は、さらに放射性汚染物質を除去する除染処理設備によって、最終処理するとよい。貯留タンクTから排出される放射性汚染水を最終処理する除染処理設備としては、受水槽、供給ポンプ、複数のフィルターユニット、複数の1次吸着塔、複数の2次吸着塔、クッション槽及び送出ポンプを備えるものが好適に使用される。
上記受水槽は、貯留タンクTから排出される放射性汚染水を一時的に受け入れる。上記供給ポンプは、受水槽からフィルターユニットへ水を圧送する。上記フィルターユニットは、供給ポンプから供給される放射性汚染水を濾過する。1次吸着塔は、フィルターユニットで濾過された放射性汚染水が通水され、通水中にこの水に含まれるストロンチウムを吸着する。上記2次吸着塔は、1次吸着塔を通過した水に含まれる他の放射性汚染物質を吸着する。クッション槽は、2次吸着塔を通過した水、すなわち浄化水を一時的に受け入れる。送出ポンプは、クッション槽から浄化水を排出する。
これらの受水槽、供給ポンプ、フィルターユニット、1次吸着塔、2次吸着塔、クッション槽及び送出ポンプは、1又は複数の移動可能な架台の上に配設されることが好ましい。これらの構成要素が配設される架台としては、例えばフォークリフトやユニック車で移動できるよう構成されるものや、車輪を有し、自走又は牽引することによって移動可能なものとすることが好ましい。これにより、貯留タンクTの近傍に除染処理設備を配置できるので、放射性汚染水の浄化が容易となる。
また、除染処理設備がフィルターユニット、1次吸着塔及び2次吸着塔をそれぞれ複数備えることによって、いずれかのユニットに選択的に通水し、処理能力の限界に達した場合に、他のユニットに通水しながら処理能力の限界に達したユニットを新しいものに交換することができる。従って、除染処理設備がフィルターユニット、1次吸着塔及び2次吸着塔をそれぞれ複数備えることによって、除染処理を連続して確実に行うことができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
当該除染処理方法に使用する除染処理装置において、フィルターは省略してもよく、フィルターに換えて、又はフィルターに加えて、例えばサイクロンセパレーター等のスラッジ除去手段を設けてもよい。
また、当該除染処理方法の除染工程では、貯留タンクの外側に吸着ユニットを配置してもよい。貯留タンクの外側に吸着ユニットを配置することで、放射性汚染水が漏出するリスクは上昇するが、吸着ユニットの交換作業が容易となるメリットがある。
当該除染処理方法は、特に事故原発に配設された貯留タンクを処理するために好適に利用することができる。
1 除染処理装置
2 吸上げポンプ
3 フィルター
4 吸着ユニット
S スラッジ
T 貯留タンク

Claims (4)

  1. 放射性汚染水を貯留し、かつ底部にスラッジが沈殿する貯留タンクの除染処理方法であって、
    上記貯留タンク底部のスラッジを放射性汚染水中に懸濁させる撹拌工程と、
    上記貯留タンクから放射性汚染水を水中ポンプにより吸引し、吸着剤により除染した放射性汚染水を貯留タンクに還流する除染工程と、
    上記除染工程後に貯留タンク底部から放射性汚染水を水中ポンプにより外部に排出する排出工程と
    を備えることを特徴とする除染処理方法。
  2. 上記撹拌工程を、上記除染工程で除染した放射性汚染水の貯留タンクへの還流により行う請求項1に記載の除染処理方法。
  3. 上記除染工程で、貯留タンク底部の放射性汚染水をフィルターによりスラッジを除去しつつ吸引する請求項1又は請求項2に記載の除染処理方法。
  4. 上記排出工程で、放射性汚染水のみを外部に排出する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の除染処理方法。
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