JP2017190799A - 作業機械の流体圧回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行の操舵性を確保しつつ、流体圧モータと各流体圧アクチュエータとの良好な連動操作性を得ることが可能な作業機械の油圧回路を提供する。
【解決手段】第1の制御弁31a,31bと第2の制御弁37とに対する第1のポンプ15の一対の吐出ポートからの作動油の配分を走行優先弁32a,32bによりそれぞれ制御する。第1の制御弁31a,31bの前後差圧が所定値以下となったときには走行優先弁32a,32bが第2の制御弁37側への作動油を遮断する走行優先位置Pbに切り換わる。走行優先弁32a,32bを通過した作動油を第1の制御弁31a,31bの下流側で合流させて第2の制御弁37に供給する供給通路60に対して、走行優先弁32a,32bがともに走行優先位置Pbに切り換わった状態で第2のポンプから吐出した作動油の少なくとも一部を切換弁により合流させる。
【選択図】図1
【解決手段】第1の制御弁31a,31bと第2の制御弁37とに対する第1のポンプ15の一対の吐出ポートからの作動油の配分を走行優先弁32a,32bによりそれぞれ制御する。第1の制御弁31a,31bの前後差圧が所定値以下となったときには走行優先弁32a,32bが第2の制御弁37側への作動油を遮断する走行優先位置Pbに切り換わる。走行優先弁32a,32bを通過した作動油を第1の制御弁31a,31bの下流側で合流させて第2の制御弁37に供給する供給通路60に対して、走行優先弁32a,32bがともに走行優先位置Pbに切り換わった状態で第2のポンプから吐出した作動油の少なくとも一部を切換弁により合流させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、一対の流体圧モータにより作動される走行体、および、一の流体圧アクチュエータにより作動される作業装置を備えた作業機械の流体圧回路に関する。
従来、油圧ショベルに用いられる油圧システムとして、例えば複数の可変容量型ポンプと、1つの定容量型ポンプと、オープンセンタ型のコントロールバルブとを用い、左右走行用のバルブセクションとフロント作業装置用のバルブセクションとを可変容量型ポンプからの油圧回路に接続し、例えば旋回モータやブレードなどの動作用のバルブセクションを定容量型ポンプからの油圧回路に接続したものがある。
この構成の場合、1つの可変容量型ポンプに対して左右いずれかの走行モータとフロント作業装置の油圧アクチュエータとが接続され、定容量型ポンプに対して旋回モータがそれぞれ接続されており、1つの走行モータに対して1つの可変容量型ポンプから圧油を供給することにより左右の走行モータの負荷圧が大きくなる操舵時であっても操舵力を確保できるとともに、旋回操作に対しては走行およびフロント作業装置用とは異なる独立した油圧回路により旋回モータへの供給流量を確保できる。
しかしながら、例えばトラックへの土砂積み込みのように、旋回しながらフロント作業装置を連動操作する場合においては、旋回モータへの流量は確保できるもののフロント作業装置の個々の油圧アクチュエータに対しては2つの可変容量型ポンプのうち油圧アクチュエータが属するいずれか決まった側の可変容量型ポンプからのみ圧油が供給可能であるため、供給流量が不足し、旋回動作に対してフロント作業装置の動作が遅れることが懸念される。また、走行時にフロント作業装置の操作を行う場合、左右の走行モータへの供給流量差(走行曲がりの発生)を防止するために、周知の走行直進弁などをコントロールバルブに設ける必要がある。
一方で、レバー操作量に応じた必要流量のみをポンプから吐出させるロードセンシングシステムを用いた油圧システムが広く知られている。この構成としては、1つの可変容量型ポンプとクローズドセンタ型の制御弁とを備え、走行用、フロント作業装置用および旋回用などの全てのバルブセクションを1つの可変容量型ポンプからの油圧回路に接続したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この構成の場合、全ての油圧アクチュエータに対して1つのポンプから圧油を供給するため、レバー操作に基づき油圧アクチュエータが要求する流量を無駄なく効率よく配分できる。
しかしながら、複数の油圧アクチュエータを連動操作した場合には、ロードセンシング制御により最も高い負荷圧となる油圧アクチュエータに応じたポンプ吐出流量が供給されることとなるから、例えば旋回とフロント作業装置との連動操作で旋回モータの負荷圧が高くなった際には、ポンプの定馬力制御により吐出流量が小さくなり、要求される流量に対して各油圧アクチュエータに配分される流量が小さくなって、各油圧アクチュエータの作動速度が遅くなることが懸念される。また、ロードセンシング制御をするためには、負荷圧を検出するためのセンサなどを設ける必要がある他、各種電磁比例弁を設けた場合にはバッテリの消費量が大きくなることが懸念される。
上述したように、従来の油圧システムでは、走行の操舵性の確保と、油圧アクチュエータの良好な操作連動性との両立が容易でないという課題がある。そして、この課題は、車両サイズおよびエンジン出力が小さい、いわゆるミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルにおいて、より顕著になり得る。小型の油圧ショベルの場合、車両上のスペースが限定されるため、ポンプのサイズ(容量)や各種バルブの大きさが制限され、また、エンジン出力が小さいことで発電機容量も小さくなるために省電力化の必要性がより高くなるからである。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、走行の操舵性を確保しつつ、流体圧モータと各流体圧アクチュエータとの良好な連動操作性を得ることが可能な作業機械の流体圧回路を提供することを目的とするものである。
請求項1記載の発明は、対をなす流体圧モータにより作動される走行体、一の流体圧アクチュエータにより作動される作業装置、および、他の流体圧アクチュエータを備えた作業機械の流体圧回路であって、作動流体を吐出する対をなす吐出ポートを有する第1の吐出源と、この第1の吐出源と異なり他の流体圧アクチュエータに作動流体を吐出する第2の吐出源と、第1の吐出源の対をなす吐出ポートから対をなす流体圧モータに別個に供給される作動流体の流量および方向を操作に連動してそれぞれ制御するクローズドセンタ型の第1の制御弁と、一の流体圧アクチュエータに供給される作動流体の流量および方向を操作に連動して制御する第2の制御弁と、各第1の制御弁と第2の制御弁とに対する第1の吐出源の対をなす吐出ポートからの作動流体の配分をそれぞれ制御するとともに、第1の制御弁の前後差圧が所定値以下となったときには第2の制御弁側への作動流体を遮断する走行優先位置に切り換わる対をなす流量制御弁と、これら流量制御弁を通過した作動流体を第1の制御弁の下流側で合流させて第2の制御弁に供給する供給通路と、対をなす流量制御弁がともに走行優先位置に切り換わった状態で第2の吐出源から吐出された作動流体の少なくとも一部を供給通路に合流させる切換弁とを具備した作業機械の流体圧回路である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の作業機械の流体圧回路における流量制御弁が、流体圧モータへの通路の高圧側の圧力および下流側からの圧力をそれぞれパイロット圧として動作する切換弁である作業機械の流体圧回路である。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の作業機械の流体圧回路において、第2の制御弁に対応して設けられ、下流側の最高負荷圧をパイロット圧として動作し、作動流体の流量を制御する圧力補償弁と、この圧力補償弁の下流側の最高負荷圧をパイロット圧として動作し、供給通路の作動流体をタンクに戻すブリードオフ弁とを具備した作業機械の流体圧回路である。
請求項1記載の発明によれば、第1の制御弁および対をなす流体圧モータに第1の吐出源の異なる対をなす吐出ポートから別個に作動流体を供給することで、走行の操舵性を確保しつつ、第2の制御弁および一の流体圧アクチュエータに対しては、これら吐出ポートからの圧油を第1の制御弁の下流側で合流させて供給通路により供給するので、一の流体圧アクチュエータの要求に応じた流量の配分が可能となる。また、第1の制御弁の前後差圧が所定値以下となったときには、流量制御弁が第2の制御弁側への作動流体を遮断する走行優先位置に切り換わり、これら対をなす流量制御弁がともに走行優先位置に切り換わったときには切換弁の切り換えにより第2の制御弁に対して、他の流体圧アクチュエータに作動流体を供給する第2の吐出源からの作動流体を供給通路に合流させてこの第2の吐出源からの供給を可能とするので、走行と作業装置との同時操作の際にも、第1の吐出源からの流体圧モータへの供給流量を減少させることなく、一の流体圧アクチュエータへの供給流量を確保できる。さらに、クローズドセンタ型の第1の制御弁と、流量制御弁とを組み合わせて用いることで、走行の操作性が第1の制御弁の下流側の作動圧の影響を受けにくくなる。この結果、流体圧モータと各流体圧アクチュエータとの良好な連動操作性を得ることができる。
請求項2記載の発明によれば、流量制御弁は、流体圧モータへの通路の高圧側の圧力と、下流側からの圧力とをそれぞれパイロット圧として動作する切換弁であるため、圧力補償弁として機能し、第1の制御弁での負荷圧に応じた供給流量の制御が可能となるとともに、負荷圧を検出するためのセンサなどを別途設ける必要がなく、コスト増を防止でき、かつ、電気制御を必要としないことにより省電力化が図れる。
請求項3記載の発明によれば、下流側の最高負荷圧をパイロット圧として動作し作動流体の流量を制御する圧力補償弁と、圧力補償弁の下流側の最高負荷圧をパイロット圧として動作し供給通路の作動流体をタンクに戻すブリードオフ弁とを組み合わせることにより、第2の制御弁での負荷圧に応じた供給流量の制御が可能となるとともに、負荷圧を検出するためのセンサなどを別途設ける必要がなく、コスト増を防止でき、かつ、電気制御を必要としないことにより省電力化が図れる。
以下、本発明を、図1乃至図11に示された一実施の形態に基いて詳細に説明する。
図11に示されるように、作業機械としての油圧ショベルHEは、例えばミニショベルなどとも呼ばれる小型の油圧ショベルである。この油圧ショベルHEは、機体1が走行体である下部走行体2とその上に旋回可能に設けられた上部旋回体3とにより形成され、下部走行体2に、排土用のブレード4が回動可能に設けられ、上部旋回体3上にエンジンおよびポンプなどが搭載された機械室5と、オペレータを保護するキャノピ6と、作業装置7とが搭載されている。
この作業装置7は、上部旋回体3から突設されたブラケット8に回動可能に軸支されたスイングブラケット9にブーム10の基端が軸支され、このブーム10の先端にスティック11が回動可能に軸支され、スティック11の先端にバケット12が回動可能に軸支されている。
そして、下部走行体2は、対をなす左右一対の(一の)流体圧モータとしての走行モータ2ma,2mbにより作動されて油圧ショベルHEを走行させる。また、作業装置7は、(第1の)一の流体圧アクチュエータ(一の流体圧シリンダ)としての一対のブームシリンダ10c(一方のみ図示)によりブーム10が上下方向に回動され、(第2の)一の流体圧アクチュエータ(一の流体圧シリンダ)としてのスティックシリンダ11cによりスティック11が前後方向に回動され、(第3の)一の流体圧アクチュエータ(一の流体圧シリンダ)としてのバケットシリンダ12cによりバケット12が回動され、(第4の)一の流体圧アクチュエータ(一の流体圧シリンダ)としての図示されないスイングシリンダによりスイングブラケット9とともに機体1に対して左右方向に回動される。また、上部旋回体3は、他の流体圧アクチュエータ(他の流体圧モータ)としての旋回モータ3mにより作動されて下部走行体2に対して旋回される。さらに、ブレード4は、図示されない他の流体圧アクチュエータとしてのブレードシリンダにより上下方向に回動される。なお、以下、作業装置7用の各ブームシリンダ10c、スティックシリンダ11c、バケットシリンダ12cおよびスイングシリンダなどの少なくともいずれかあるいは全てをシリンダCと略記する。
図10は、上記の油圧ショベルHE(図11)に搭載された油圧システムを示す。この油圧システムは、機械室5(図11)内のエンジンにより駆動されるポンプシャフト14に、第1の吐出源としての第1のポンプ15と、第2の吐出源としての第2のポンプ16とが設けられている。第1のポンプ15は、互いに異なる2系統の吐出ポートを備える可変容量型のスプリットフローポンプであり、ポンプ/モータ容量(ピストンストローク)を角度により可変調整することが可能な共通の斜板を備え、各吐出ポートからの吐出流量は同一で、かつ、吐出ポート毎に個別の吐出圧制御が可能となっている。また、第2のポンプ16は、例えば定容量型のギヤポンプである。そして、第1のポンプ15が主として走行モータ2ma,2mbおよびシリンダCに作動流体としての作動油を吐出供給し、第2のポンプ16が主として旋回モータ3mやブレードシリンダ、あるいはその他の補助用の流体圧アクチュエータに作動油を吐出供給する。
すなわち、ポンプ15,16は、タンク21から吸い上げた作動油を通路22a,22b,23に吐出し、これら通路22a,22b,23は、複合弁であるコントロールバルブCVに接続する。コントロールバルブCVは、走行バルブセクション25a,25b、複数の(第1の)バルブセクション26、パイロット圧設定セクション27、単数または複数の(第2の)バルブセクション28、および、合流回路である切り換えセクション29を備える複合弁である。そして、通路22a,22bは、走行バルブセクション25a,25bに接続し、これら走行バルブセクション25a,25bは、走行モータ2ma,2mbに接続する。また、通路22a,22bに対して、作業装置7(図11)用の複数のバルブセクション26を走行バルブセクション25a,25bとそれぞれパラレルに接続し、これらバルブセクション26は、それぞれシリンダCに接続する。通路23は、パイロット圧設定セクション27を介して一以上のバルブセクション28に接続し、このバルブセクション28は、それぞれ旋回モータ3mやブレードシリンダ、あるいはその他の補助用の流体圧アクチュエータなどに接続する。そして、バルブセクション26,28間に、切り換えセクション29を接続する。
次に、各セクションについて、図1乃至図9を参照しながら説明する。
図1などに示される走行バルブセクション25a,25bは、例えばクローズドセンタ型のパイロット操作式制御弁である第1の制御弁(第1のスプール)31a,31bと、流量制御弁である走行優先弁32a,32bとを備えている。また、この走行バルブセクション25a,25bには、通路22a,22bの回路圧をリリーフ設定圧に制御するリリーフ弁33a,33bを備えていてもよい。また、走行バルブセクション25a,25bは、図示されない走行操作レバーの操作に応じて動作される電磁弁34a,35aおよび電磁弁34b,35bを備えている。
また、図5に示される各バルブセクション26は、例えばクローズドセンタ型のパイロット操作式制御弁である第2の制御弁(第2のスプール)37と、(一の)圧力補償弁38とを備えている。また、各バルブセクション26は、図示されない作業装置用操作レバーの操作に応じて動作される電磁弁39,40を備えている。
また、図2に示されるパイロット圧設定セクション27は、周知のパイロット圧制御回路41と、リリーフ弁42とを備えている。
また、図7などに示される各バルブセクション28は、例えばクローズドセンタ型のパイロット操作式制御弁である第3の制御弁(第3のスプール)43と、(他の)圧力補償弁44とを備えている。また、各バルブセクション28は、図示されない旋回操作レバーなどの操作に応じて動作される電磁弁45,46を備えている。
また、図8などに示される切り換えセクション29は、切換弁47と、(一および他の)ブリードオフ弁48,49とを備えている。
そして、図1などに示される走行バルブセクション25a,25bでは、第1のポンプ15から引き出された通路22a,22bを、走行優先弁32a,32bと接続するとともにリリーフ弁33a,33bを経た通路51a,51bによりタンク21(図10)と連通するタンクライン52と接続し、この走行優先弁32a,32bから引き出した一方の出力通路53a,53bを第1の制御弁31a,31bと接続し、この第1の制御弁31a,31bを、通路54a,55aおよび通路54b,55bにより走行モータ2ma,2mb(図10)と接続するとともに通路56a,56bによりタンクライン52と接続する。また、走行優先弁32a,32bから引き出した他方の出力通路58a,58bは、逆止弁59a,59bを介して供給通路60と接続する。この供給通路60は、図5に示される各バルブセクション26の第2の制御弁37とそれぞれ通路61およびこの通路61から分岐する通路62により接続する。したがって、この供給通路60は、図1に示される走行優先弁32a,32bを経由した作動油を第1の制御弁31a,31bの下流側で合流させ、各第2の制御弁37(図5)に供給する。
走行優先弁32a,32bは、走行操作レバーの操作の操作量に応じて、一方の出力通路53a,53bと他方の出力通路58a,58bとに供給する作動油の配分を設定する、油圧制御の切換弁である。すなわち、これら走行優先弁32a,32bは、第1の制御弁31a,31bと各第2の制御弁37とに対する第1のポンプ15の一対の(対をなす)吐出ポートからの作動油の配分をそれぞれ設定するものである。この走行優先弁32a,32bは、通常位置Paと走行優先位置Pbとを備えている。そして、この走行優先弁32a,32bの一端側(通常位置Pa側)には、一方の出力通路53a,53bから作動油圧が絞り64a,64bを備えたパイロットライン65a,65bを介してパイロット圧として導かれている。さらに、この走行優先弁32a,32bの他端側(走行優先位置Pb側)には、通路54a,55aおよび通路54b,55bから作動油圧がパイロットライン66a,67aおよびパイロットライン66b,67bを接続した高圧選択弁(シャトル弁)68a,68bおよび絞り69a,69bを経てパイロットライン70a,70bを介してパイロット圧として導かれている。すなわち、走行優先弁32a,32bには、一端側に第1の制御弁31a,31bの上流側の作動油圧がパイロット圧として導かれ、他端側に第1の制御弁31a,31bの下流側の作動油圧(通路54a,55aのうち高い方の作動油圧、および、通路54a,55aのうち高い方の作動油圧)がパイロット圧として導かれる。そして、この走行優先弁32a,32bには、一端側と他端側との切り換え動作の圧力閾値を設定するばねS1a,S1bが例えば他端側に設けられている。
電磁弁34a,35aおよび電磁弁34b,35bは、いわゆるリモコン弁であり、パイロット供給ライン71およびパイロットタンクライン72とそれぞれ接続する。パイロット供給ライン71は、図2に示されるパイロット圧供給回路41を介して通路23から分岐し、パイロットタンクライン72は、パイロットタンク74と接続する。このパイロットタンク74は、タンク21と共通でもよい。そして、図1に示される電磁弁34a,35aおよび電磁弁34b,35bは、走行操作レバーの操作に応じて、図示されない車載コントローラから供給される電気信号により動作され、パイロット圧供給回路41(図2)を介して供給されるパイロット1次圧を走行操作レバーによる操作量に応じたパイロット2次圧に減圧して、第1の制御弁31a,31bをパイロット操作することで、第1の制御弁31a,31bが、走行操作レバーの操作に連動して第1のポンプ15の一対の吐出ポートから一対の走行モータ2ma,2mb(図10)に別個に供給される作動油の流量および方向をそれぞれ制御し、走行モータ2ma,2mb(図10)を回転または停止させる。
また、図5などに示される各バルブセクション26では、上記供給通路60を、上記通路61,62により第2の制御弁37と接続するとともに、この第2の制御弁37を通路76,77によりシリンダC(図10)と接続し、通路78によりタンクライン52と接続し、かつ、通路79により圧力補償弁38と接続する。また、この圧力補償弁38から引き出した出力通路80およびこの出力通路80から分岐する出力通路81を、それぞれ逆止弁82,83を介して第2の制御弁37と接続する。
圧力補償弁38は、第2の制御弁37に対応して設けられ、この圧力補償弁38の下流側の最高負荷圧(ロードセンシング圧)に応じて作動油の流量を制御することで第2の制御弁37の前後差圧を一定に保持するものである。また、各バルブセクション26の圧力補償弁38は、ブリードオフ弁48(図6)と併せて、各バルブセクション26単位での圧力補償弁として機能するものである。この圧力補償弁38は、絞り85を備えた連通位置38aと、絞りを備えない連通位置38bとを備えている。そして、この圧力補償弁38の一端側(連通位置38a側)には、通路79から作動油圧がパイロットライン86を介してパイロット圧として導かれている。さらに、この圧力補償弁38の他端側(連通位置38b側)には、出力通路80から作動油圧が逆止弁87を備えるパイロットライン88から分岐するパイロットライン89を介して絞り90を経てパイロット圧として導かれている。
電磁弁39,40は、いわゆるリモコン弁であり、パイロット供給ライン71およびパイロットタンクライン72とそれぞれ接続する。そして、これら電磁弁39,40は、作業装置用操作レバーの操作に応じて、図示されない車載コントローラから供給される電気信号により動作され、パイロット圧供給回路41(図2)を介して供給されるパイロット1次圧を作業装置用操作レバーによる操作量に応じたパイロット2次圧に減圧して、第2の制御弁37をパイロット操作することで、各第2の制御弁37が、作業装置用操作レバーの操作に連動してシリンダC(図10)に供給される作動油の流量および方向をそれぞれ制御し、シリンダCを伸張、収縮または停止させる。
また、図7などに示されるバルブセクション28では、バルブセクション26(図5)と同様に、通路23を、通路92およびこの通路92から分岐する通路93により第3の制御弁43と接続するとともに、この第3の制御弁43を通路94,95により旋回モータ3m(図10)などと接続し、通路96によりタンクライン52と接続し、かつ、通路97により圧力補償弁44と接続する。また、この圧力補償弁44から引き出した出力通路98およびこの出力通路98から分岐する出力通路99を、それぞれ逆止弁100,101を介して第3の制御弁43と接続する。
圧力補償弁44は、第3の制御弁43に対応して設けられ、この圧力補償弁44の下流側の最高負荷圧(ロードセンシング圧)に応じて作動油の流量を制御することで第3の制御弁43の前後差圧を一定に保持するものである。また、各バルブセクション28の圧力補償弁44は、ブリードオフ弁49(図8)と併せて、各バルブセクション28単位での圧力補償弁として機能するものである。この圧力補償弁44は、絞り102を備えた連通位置44aと、絞りを備えない連通位置44bとを備えている。そして、この圧力補償弁44の一端側(連通位置44a側)には、通路97から作動油圧がパイロットライン103を介してパイロット圧として導かれている。さらに、この圧力補償弁44の他端側(連通位置44b側)には、出力通路98から作動油圧が逆止弁104を備えるパイロットライン105から分岐するパイロットライン106を介して絞り107を経てパイロット圧として導かれている。
電磁弁45,46は、いわゆるリモコン弁であり、パイロット供給ライン71およびパイロットタンクライン72とそれぞれ接続する。そして、これら電磁弁45,46は、旋回操作レバーの操作に応じて、図示されない車載コントローラから供給される電気信号により動作され、パイロット圧供給回路41を介して供給されるパイロット1次圧を旋回操作レバーによる操作量に応じたパイロット2次圧に減圧して、第2の制御弁37(図2)をパイロット操作することで、旋回モータ3m(図10)などを回転または停止させる。
そして、図6に示される切り換えセクション29では、通路23を切換弁47と接続し、この切換弁47から引き出された(一方および他方の)出力通路109,110を、ブリードオフ弁48,49を介してタンクライン52とそれぞれ接続する。また、出力通路109を、上記供給通路60と接続する。通路23は、図2に示されるようにリリーフ弁42を介してタンクライン52と接続されている。
図6に戻って、切換弁47は、通路23に対して出力通路109,110を接続する例えば電磁比例弁である。この切換弁47は、作業装置7(図11)の操作時のバルブセクション26からの要求流量に対して第1のポンプ15(図1)からの供給流量が不足するときに切り換わって、第1のポンプ15(図1)からの圧油をバルブセクション26の供給通路60に合流させるものである。具体的に、この切換弁47は、本実施の形態では、走行操作レバーの操作量に応じて、換言すれば電磁弁34a,35aおよび電磁弁34b,35bからのパイロット2次圧、第1の制御弁31a,31bの開度、あるいは走行優先弁32a,32bの切り換え位置に応じて車載コントローラからの電気信号により切り換えられるように構成されている。この切換弁47は、通路23を出力通路110に連通する通常位置47aと、通路23を出力通路109に連通する切換位置47bとを備えている。そして、この切換弁47は、本実施の形態において、走行操作レバーを所定以上深く操作したとき(例えばフルレバー操作時)に通常位置47aから切換位置47bに切り換えられるように制御される。
ブリードオフ弁48,49は、バルブセクション26,28のそれぞれの全体の圧力補償弁として機能するものである。これらブリードオフ弁48,49は、絞り113,114を備えた連通位置48a,49aと、絞りを備えない連通位置48b,49bとをそれぞれ備えている。そして、ブリードオフ弁48の一端側(連通位置48a側)には、バルブセクション26の出力通路80から作動油圧がパイロットライン88と接続するパイロットライン115を介して絞り116を経てパイロット圧として導かれる。また、ブリードオフ弁49の一端側(連通位置49a側)には、図8に示されるように、バルブセクション28の出力通路98から作動油圧がパイロットライン105と接続するパイロットライン117を介してパイロット圧として導かれる。さらに、ブリードオフ弁48,49の他端側(各連通位置48b,49b側)には、出力通路109,110から作動油圧がパイロットライン118,119を介してパイロット圧として導かれる。また、このブリードオフ弁48,49には、一端側と他端側との切り換え動作の圧力閾値を設定するばねS2,S3が例えば一端側に設けられている。
次に、図示された実施の形態の動作を説明する。
油圧ショベルHE(図11)の操作としては、走行のみを行う走行単独操作、走行を行わずに作業装置7(図11)の操作のみを行う作業装置操作、旋回を行う旋回操作、および、走行と作業装置7の操作とを同時に行う連動操作などがある。
(走行単独操作)
図3に示されるように、第1のポンプ15の各吐出ポートから通路22a,22bを介して各走行バルブセクション25a,25bへと圧油が供給される。走行操作レバーの操作開始までは、クローズドセンタ型の第1の制御弁31a,31bが中立位置であり、走行モータ2ma,2mb(図10)への流路が閉じていることにより、第1の制御弁31a,31bの上流側圧力が下流側圧力より充分に高い(ばねS1a,S1bにより設定されている所定値である圧力閾値より大きい)ため、走行優先弁32a,32bは通常位置Paとなる。そして、走行操作レバーの入力により、電磁弁34a,35aおよび/または電磁弁34b,35bが動作されて第1の制御弁31a,31bが中立位置から動作されることで、一方の出力通路53a,53bと通路54a,54bとが接続、および、通路55a,55bと通路56a,56bとが接続、あるいは、一方の出力通路53a,53bと通路55a,55bとが接続、および、通路54a,54bと通路56a,56bとが接続され、第1の制御弁31a,31bを介して圧油が供給された走行モータ2ma,2mb(図10)が作動されるとともに、第1の制御弁31a,31bの下流側の負荷圧が上昇し、第1の制御弁31a,31bの前後差圧が相対的に低下する。同時に、走行優先弁32a,32bにより、他方の出力通路58a,58bが供給通路60と接続され、圧油の一部が供給通路60、すなわち第2の制御弁37(図5)へと配分される。
図3に示されるように、第1のポンプ15の各吐出ポートから通路22a,22bを介して各走行バルブセクション25a,25bへと圧油が供給される。走行操作レバーの操作開始までは、クローズドセンタ型の第1の制御弁31a,31bが中立位置であり、走行モータ2ma,2mb(図10)への流路が閉じていることにより、第1の制御弁31a,31bの上流側圧力が下流側圧力より充分に高い(ばねS1a,S1bにより設定されている所定値である圧力閾値より大きい)ため、走行優先弁32a,32bは通常位置Paとなる。そして、走行操作レバーの入力により、電磁弁34a,35aおよび/または電磁弁34b,35bが動作されて第1の制御弁31a,31bが中立位置から動作されることで、一方の出力通路53a,53bと通路54a,54bとが接続、および、通路55a,55bと通路56a,56bとが接続、あるいは、一方の出力通路53a,53bと通路55a,55bとが接続、および、通路54a,54bと通路56a,56bとが接続され、第1の制御弁31a,31bを介して圧油が供給された走行モータ2ma,2mb(図10)が作動されるとともに、第1の制御弁31a,31bの下流側の負荷圧が上昇し、第1の制御弁31a,31bの前後差圧が相対的に低下する。同時に、走行優先弁32a,32bにより、他方の出力通路58a,58bが供給通路60と接続され、圧油の一部が供給通路60、すなわち第2の制御弁37(図5)へと配分される。
このとき、第1の制御弁31a,31bの開き始めから微速乃至中速操作までは、第1の制御弁31a,31bが開くにしたがって下流側の負荷圧が上昇し第1の制御弁31a,31bの前後差圧が低下するものの、高圧選択弁68a,68bを介して選択された通路54a,55aのうち高い方の圧力、および、通路54b,55bのうち高い方の圧力が走行優先弁32a,32bの他端側にパイロット圧として供給されていることにより、この前後差圧がばねS1a,S1bにより設定されている圧力閾値以下となるまで、走行優先弁32a,32bは通常位置を維持する。そして、走行操作レバーがさらに深く操作され、第1の制御弁31,31bの前後差圧が所定の圧力閾値未満となる(例えばフルレバー操作状態などの高負荷走行となる)と、走行優先弁32a,32bが走行優先位置Pbに切り換わり、一方の出力通路53a,53bすなわち第1の制御弁31a,31bへのみ圧油が供給され、他方の出力通路58a,58b(供給通路60)すなわち第2の制御弁37(図1)への圧油の供給が遮断される。このように、走行優先弁32a,32bは、第1の制御弁31a,31bの前後差圧に基づいて通常位置Paと走行優先位置Pbとが切り換えられる。例えば図4には、走行バルブセクション25aにおいて、フルレバー操作状態となったときが図示されている。
(作業装置操作)
走行操作レバーが操作されていないため、図5に示されるように、クローズドセンタ型の第1の制御弁31a,31bが中立位置であり、走行モータ2ma,2mb(図10)への流路が閉じていることにより、第1の制御弁31a,31bの上流側圧力が下流側圧力より充分に高い(ばねS1a,S1bにより設定されている所定値である圧力閾値より大きい)ので、走行優先弁32a,32bは通常位置Paを維持する。このため、第1のポンプ15の各吐出ポートから通路22a,22bを介して各走行バルブセクション25a,25bへと供給された圧油は、通常位置となっている走行優先弁32a,32bを介して、他方の出力通路58a,58bから供給通路60にて第1の制御弁31a,31bの下流側、すなわちバルブセクション26の上流側で合流され、各バルブセクション26へと供給される。作業装置用操作レバーの入力により、電磁弁39,40が動作されて第2の制御弁37が中立位置から動作されることで、供給通路60が通路61,62,79、圧力補償弁38、出力通路80および逆止弁82を介して通路76と接続、および、通路77が通路78と接続、あるいは、供給通路60が通路61,79、圧力補償弁38、出力通路80,81および逆止弁83を介して通路77と接続、および、通路76が通路78と接続され、シリンダC(図10)が伸縮される。
走行操作レバーが操作されていないため、図5に示されるように、クローズドセンタ型の第1の制御弁31a,31bが中立位置であり、走行モータ2ma,2mb(図10)への流路が閉じていることにより、第1の制御弁31a,31bの上流側圧力が下流側圧力より充分に高い(ばねS1a,S1bにより設定されている所定値である圧力閾値より大きい)ので、走行優先弁32a,32bは通常位置Paを維持する。このため、第1のポンプ15の各吐出ポートから通路22a,22bを介して各走行バルブセクション25a,25bへと供給された圧油は、通常位置となっている走行優先弁32a,32bを介して、他方の出力通路58a,58bから供給通路60にて第1の制御弁31a,31bの下流側、すなわちバルブセクション26の上流側で合流され、各バルブセクション26へと供給される。作業装置用操作レバーの入力により、電磁弁39,40が動作されて第2の制御弁37が中立位置から動作されることで、供給通路60が通路61,62,79、圧力補償弁38、出力通路80および逆止弁82を介して通路76と接続、および、通路77が通路78と接続、あるいは、供給通路60が通路61,79、圧力補償弁38、出力通路80,81および逆止弁83を介して通路77と接続、および、通路76が通路78と接続され、シリンダC(図10)が伸縮される。
このとき、バルブセクション26全体での圧力補償、および、個々のバルブセクション26での圧力補償が行われる。図6に示されるように、各バルブセクション26の圧力補償弁38の下流側すなわち出力通路80の位置での制御圧の中での最高負荷圧がロードセンシング圧としてパイロットライン88,115を介して切り換えセクション29のブリードオフ弁48に供給される。このロードセンシング圧をバルブセクション26全体の下流側の圧力、ブリードオフ弁48の上流側すなわち出力通路109の位置での圧力をバルブセクション26全体の上流側の圧力とし、下流側の圧力が上流側の圧力とブリードオフ弁48のばねS2によるばね力との合計を超える場合に、ブリードオフ弁48が絞り113を備える連通位置48aから絞りを備えない連通位置48bに切り換わる。この結果、供給通路60からブリードオフ弁48を介してタンク21(図10)に戻される作動油の流量が調整され、バルブセクション26全体の上流側と下流側との差圧は、ブリードオフ弁48のばねS2によるばね力に基づく一定値ΔP1aに保たれる。
一方、各バルブセクション26の圧力補償弁38の下流側すなわち出力通路80の位置での制御圧の中での最高負荷圧、すなわちロードセンシング圧は、各圧力補償弁38自身にも導かれている。このため、各バルブセクション26の下流側の圧力は、それぞれロードセンシング圧と同圧となるように制御される。すなわち、下流側の制御圧がロードセンシング圧よりも小さいバルブセクション26においては、圧力補償弁38が連通位置38bから連通位置38aに切り換わることで、下流側の制御圧がロードセンシング圧よりも小さいバルブセクション26では、第2の制御弁37(圧力補償弁38)の下流側の圧力がロードセンシング圧と同圧となる。このとき、各バルブセクション26は、供給通路60に対して互いにパラレル接続されているため、第2の制御弁37の上流側の圧力は互いに同一である。このため、各バルブセクション26での第2の制御弁37の前後差圧は、全てのバルブセクション26において一定値ΔP2aとなる。
そして、バルブセクション26全体の圧力補償におけるブリードオフ弁48の上流側圧力と各バルブセクション26の第2の制御弁37の上流側圧力とは同一圧力となり、ブリードオフ弁48の下流側圧力と各バルブセクション26の第2の制御弁37の下流側圧力とは同一圧力となることから、それぞれの差圧も同一となる(ΔP1a=ΔP2a)。したがって、各バルブセクション26での上流側と下流側との差圧は、ブリードオフ弁48のばねS2によるばね力に応じた値に保たれ、バルブセクション26に供給される作動油の流量が制御される。
(旋回操作)
第2のポンプ16(図10)から通路23を介して図7に示されるバルブセクション28へと圧油が供給される。旋回操作レバーの入力により、電磁弁45,46が動作されて第3の制御弁43が中立位置から動作されることで、通路23が通路92,93,97、圧力補償弁44、出力通路98および逆止弁100を介して通路94と接続、および、通路95が通路96と接続、あるいは、通路23が通路92,97、圧力補償弁44、出力通路98,99および逆止弁101を介して通路95と接続、および、通路94が通路96と接続され、旋回モータ3m(図10)などが作動される。
第2のポンプ16(図10)から通路23を介して図7に示されるバルブセクション28へと圧油が供給される。旋回操作レバーの入力により、電磁弁45,46が動作されて第3の制御弁43が中立位置から動作されることで、通路23が通路92,93,97、圧力補償弁44、出力通路98および逆止弁100を介して通路94と接続、および、通路95が通路96と接続、あるいは、通路23が通路92,97、圧力補償弁44、出力通路98,99および逆止弁101を介して通路95と接続、および、通路94が通路96と接続され、旋回モータ3m(図10)などが作動される。
このとき、バルブセクション28では、バルブセクション26(図2)と同様に、バルブセクション28全体での圧力補償、および、個々のバルブセクション28での圧力補償が行われる。図8に示されるように、各バルブセクション28の圧力補償弁44の下流側すなわち出力通路98の位置での制御圧の中での最高負荷圧がロードセンシング圧としてパイロットライン105,117を介してブリードオフ弁49に供給される。このロードセンシング圧をバルブセクション28全体の下流側の圧力、ブリードオフ弁49の上流側すなわち出力通路110の位置での圧力をバルブセクション28全体の上流側の圧力とし、下流側の圧力が上流側の圧力とブリードオフ弁49のばねS3によるばね力との合計を超える場合に、ブリードオフ弁49が絞り114を備える連通位置49aから絞りを備えない連通位置49bに切り換わる。この結果、通路23からブリードオフ弁49を介してタンク21(図10)に戻される作動油の流量が調整され、バルブセクション28全体の上流側と下流側との差圧は、ブリードオフ弁49のばねS3によるばね力に基づく一定値ΔP1bに保たれる。
一方、各バルブセクション28の圧力補償弁44の下流側すなわち出力通路98の位置での制御圧の中での最高負荷圧、すなわちロードセンシング圧は、各圧力補償弁44自身にも導かれている。このため、各バルブセクション28の下流側の圧力は、それぞれロードセンシング圧と同圧となるように制御される。すなわち、下流側の制御圧がロードセンシング圧よりも小さいバルブセクション28においては、圧力補償弁44が連通位置44bから連通位置44aに切り換わることで、下流側の制御圧がロードセンシング圧よりも小さいバルブセクション28では、第3の制御弁43(圧力補償弁44)の下流側の圧力がロードセンシング圧と同圧となる。このとき、各バルブセクション28は、通路23に対して互いにパラレル接続されているため、第3の制御弁43の上流側の圧力は互いに同一である。このため、各バルブセクション28での第3の制御弁43の前後差圧は、全てのバルブセクション28において一定値ΔP2bとなる。
そして、バルブセクション28全体の圧力補償におけるブリードオフ弁49の上流側圧力と各バルブセクション28の第3の制御弁43の上流側圧力とは同一圧力となり、ブリードオフ弁49の下流側圧力と各バルブセクション28の第3の制御弁43の下流側圧力とは同一圧力となることから、それぞれの差圧も同一となる(ΔP1b=ΔP2b)。したがって、各バルブセクション28での上流側と下流側との差圧は、ブリードオフ弁49のばねS3によるばね力に応じた値に保たれ、バルブセクション28に供給される作動油の流量が制御される。
(連動操作)
図9に示される走行優先弁32a,32bは、走行単独操作と同様に、第1の制御弁31a,31bの前後差圧のみに基づいて通常位置Paと走行優先位置Pbとが切り換えられる。したがって、走行操作レバーを微速乃至中速操作しつつ作業装置用操作レバーにより作業装置7(図11)を操作する場合には、走行優先弁32a,32bが通常位置Paであり、第1のポンプ15からの圧油は、走行優先弁32a,32bにより第1の制御弁31a,31bと供給通路60、すなわち第2の制御弁37側との両方に配分され、第1の制御弁31a,31bを介して圧油が供給された走行モータ2ma,2mb(図10)および第2の制御弁37を介して圧油が供給されたシリンダC(図10)がそれぞれ作動する。また、走行操作レバーがさらに深く操作され、第1の制御弁31a,31bの前後差圧が所定の圧力閾値未満となる(例えばフルレバー操作状態などの高負荷走行となる)と、走行優先弁32a,32bが走行優先位置Pbに切り換わり、第1のポンプ15から第1の制御弁31a,31bへのみ圧油が供給され、第2の制御弁37への圧油が遮断される。このため、図1に示されるように、左右同時に走行操作レバーを深く操作したとき(例えばフルレバー操作状態としたとき)には、第1のポンプ15からの圧油を第2の制御弁37に供給できなくなる。このとき、左右同時に走行操作レバーを深く操作したことを車載コントローラが検出すると、図2に示されるように電気信号により切換弁47を通常位置47aから切換位置47bに切り換えることで、第2のポンプ16(図10)から通路23に吐出された圧油を出力通路109から供給通路60へと供給することにより、この供給通路60から第2の制御弁37へ圧油が供給され、この第2の制御弁37を介して圧油が供給されたシリンダC(図10)が作動する。
図9に示される走行優先弁32a,32bは、走行単独操作と同様に、第1の制御弁31a,31bの前後差圧のみに基づいて通常位置Paと走行優先位置Pbとが切り換えられる。したがって、走行操作レバーを微速乃至中速操作しつつ作業装置用操作レバーにより作業装置7(図11)を操作する場合には、走行優先弁32a,32bが通常位置Paであり、第1のポンプ15からの圧油は、走行優先弁32a,32bにより第1の制御弁31a,31bと供給通路60、すなわち第2の制御弁37側との両方に配分され、第1の制御弁31a,31bを介して圧油が供給された走行モータ2ma,2mb(図10)および第2の制御弁37を介して圧油が供給されたシリンダC(図10)がそれぞれ作動する。また、走行操作レバーがさらに深く操作され、第1の制御弁31a,31bの前後差圧が所定の圧力閾値未満となる(例えばフルレバー操作状態などの高負荷走行となる)と、走行優先弁32a,32bが走行優先位置Pbに切り換わり、第1のポンプ15から第1の制御弁31a,31bへのみ圧油が供給され、第2の制御弁37への圧油が遮断される。このため、図1に示されるように、左右同時に走行操作レバーを深く操作したとき(例えばフルレバー操作状態としたとき)には、第1のポンプ15からの圧油を第2の制御弁37に供給できなくなる。このとき、左右同時に走行操作レバーを深く操作したことを車載コントローラが検出すると、図2に示されるように電気信号により切換弁47を通常位置47aから切換位置47bに切り換えることで、第2のポンプ16(図10)から通路23に吐出された圧油を出力通路109から供給通路60へと供給することにより、この供給通路60から第2の制御弁37へ圧油が供給され、この第2の制御弁37を介して圧油が供給されたシリンダC(図10)が作動する。
すなわち、この連動操作の場合、左右の走行操作レバーの操作の深さに応じて、第2の制御弁37(シリンダC(図10))には第1のポンプ15(図10)から圧油が供給される経路と、第2のポンプ16(図10)から圧油が供給される経路とが切換弁47によって切り換えられる。
なお、例えば左右の走行操作レバーの一方のみを深く操作したときには、走行優先弁32a,32b(図4)の一方のみが走行優先位置Pbとなり第1のポンプ15(図10)からの圧油が第2の制御弁37に供給されないが、他方は通常位置Paを維持し、第1のポンプ15(図10)からの圧油を第2の制御弁37に供給可能であるため、この場合には切換弁47を切り換えず、第2のポンプ16(図10)から第2の制御弁37への圧油の供給を行わないものとする。
上述したように、上記一実施の形態によれば、第1の制御弁31a,31bおよび走行モータ2ma,2mbへの圧油供給を第1のポンプ15の異なる吐出ポートから別々に行う(独立した別の回路から供給する)ことで、走行の操舵性を確保しつつ、第2の制御弁37およびシリンダCに対しては、これら吐出ポートからの圧油を第1の制御弁31a,31bの下流側で合流させて供給通路60により供給するので、作業装置7の各シリンダCの要求に応じた流量の配分が可能となる。また、左右の走行操作レバーを深く操作して(フルレバー操作して)走行することで第1の制御弁31a,31bの前後差圧が所定値以下となったときには、走行優先弁32a,32bが第2の制御弁37側への作動油を遮断する走行優先位置Pbに切り換わり、これら一対の走行優先弁32a,32bがともに走行優先位置Pbに切り換わったときには切換弁47の切り換えにより、第2の制御弁37に対して、旋回モータ3mなどに作動油を供給する第2のポンプ16からの作動油を供給通路60に合流させてこの第2のポンプ16からの供給を可能とする。そのため、左右の走行操作レバーを深く操作して(フルレバー操作して)走行しながら作業装置7を操作した場合など、走行と作業装置との同時操作の際にも、第1のポンプ15からの走行モータ2ma,2mbへの供給流量を減少させることなく、シリンダCへの供給流量を確保できる。この結果、様々な複合操作に対して、走行単独操作と同様の走行操舵性を得ることができる。
しかも、クローズドセンタ型の第1の制御弁31a,31bと、走行優先弁32a,32bとを組み合わせて用いることで、走行の操作性が下流側(作業装置7側)の作動圧の影響を受けにくくなる。すなわち、従来のオープンセンタシステムでは、例えばブームをストールさせるなど高い負荷圧で操作しながら微速走行をさせようとする場合には、下流側の負荷圧によりセンタバイパスの圧が上がり、その影響で微速走行の際に意図しない飛び出し(急作動、急加速)やハンチングが発生するおそれがあったのに対して、本実施の形態では、このような影響がない。
この結果、走行モータ2ma,2mbとシリンダCおよび旋回モータ3mなどとの良好な連動操作性を得ることができる。
また、走行優先弁32a,32bは、走行モータ2ma,2mbへの通路54a,55aの高圧側の圧力および通路54b,55bの高圧側の圧力と、下流側からの圧力とをそれぞれパイロット圧として動作する切換弁であるため、圧力補償弁として機能し、この走行優先弁32a,32bを、第1の制御弁31a,31bを備える走行バルブセクション25a,25bに組み込むことで、負荷圧に応じた供給流量の制御(ロードセンシング制御)が可能となる。
同様に、第2の制御弁37を備えるバルブセクション26に、下流側の最高負荷圧をパイロット圧として動作し作動油の流量を制御する圧力補償弁38と、圧力補償弁38の下流側の最高負荷圧をパイロット圧として動作し供給通路60の作動油をタンク21に戻す切り換えセクション29のブリードオフ弁48とを組み合わせた圧力補償回路を組み込むことにより、第1のポンプ15の斜板角度を制御することなく、負荷圧に応じた供給流量の制御(ロードセンシング制御)が可能となる。
また、第3の制御弁43を備えるバルブセクション28に、下流側の最高負荷圧をパイロット圧として動作し作動油の流量を制御する圧力補償弁44と、圧力補償弁44の下流側の最高負荷圧をパイロット圧として動作し通路23の作動油をタンク21に戻す切り換えセクション29のブリードオフ弁49とを組み合わせた圧力補償回路を組み込むことにより、負荷圧に応じた供給流量の制御(ロードセンシング制御)が可能となる。
しかも、上記の各圧力補償を簡単な構成で実現できるので、負荷圧を検出するためのセンサなどを別途設ける必要がなく、コスト増を防止できる他、電気制御を必要としないことにより省電力化が図れる。
特に、小型の油圧ショベルHEでは、車両サイズおよびエンジン出力が小さいため、車両上のスペース、ポンプのサイズ(容量)や各種バルブの大きさが制限され、また、エンジン出力が小さいことで発電機容量も小さくなるために省電力化が要求されるため、上記の油圧回路を搭載する際に、より顕著な効果を奏することができる。
なお、上記一実施の形態において、第1のポンプ15は、スプリットフローバルブとしたが、2つの可変容量型ポンプを用いることもできる。すなわち、第1の吐出源としては、2つの吐出ポートを有するものであれば、その形態は上記実施の形態に限定されない。
また、切換弁47は、左右走行操作レバーのフルレバー操作の場合にのみ切換弁47を切り換えるように制御したが、作業装置7の作業装置用操作レバーの操作量(バルブセクション26での要求流量)に応じて切り換えて第2のポンプ16側の流量をバルブセクション26の供給通路60に合流させるようにしてもよい。
本発明は、流体圧回路または作業機械を製造、販売などする事業者にとって産業上の利用可能性がある。
HE 作業機械としての油圧ショベル
2 走行体である下部走行体
2ma,2mb 流体圧モータとしての走行モータ
3m 他の流体圧アクチュエータとしての旋回モータ
7 作業装置
10c 一の流体圧アクチュエータとしてのブームシリンダ
11c 一の流体圧アクチュエータとしてのスティックシリンダ
12c 一の流体圧アクチュエータとしてのバケットシリンダ
15 第1の吐出源としての第1のポンプ
16 第2の吐出源としての第2のポンプ
21 タンク
31a,31b 第1の制御弁
32a,32b 流量制御弁である走行優先弁
37 第2の制御弁
38 圧力補償弁
47 切換弁
48,49 ブリードオフ弁
60 供給通路
2 走行体である下部走行体
2ma,2mb 流体圧モータとしての走行モータ
3m 他の流体圧アクチュエータとしての旋回モータ
7 作業装置
10c 一の流体圧アクチュエータとしてのブームシリンダ
11c 一の流体圧アクチュエータとしてのスティックシリンダ
12c 一の流体圧アクチュエータとしてのバケットシリンダ
15 第1の吐出源としての第1のポンプ
16 第2の吐出源としての第2のポンプ
21 タンク
31a,31b 第1の制御弁
32a,32b 流量制御弁である走行優先弁
37 第2の制御弁
38 圧力補償弁
47 切換弁
48,49 ブリードオフ弁
60 供給通路
Claims (3)
- 対をなす流体圧モータにより作動される走行体、一の流体圧アクチュエータにより作動される作業装置、および、他の流体圧アクチュエータを備えた作業機械の流体圧回路であって、
作動流体を吐出する対をなす吐出ポートを有する第1の吐出源と、
この第1の吐出源と異なり他の流体圧アクチュエータに作動流体を吐出する第2の吐出源と、
第1の吐出源の対をなす吐出ポートから対をなす流体圧モータに別個に供給される作動流体の流量および方向を操作に連動してそれぞれ制御するクローズドセンタ型の第1の制御弁と、
一の流体圧アクチュエータに供給される作動流体の流量および方向を操作に連動して制御する第2の制御弁と、
各第1の制御弁と第2の制御弁とに対する第1の吐出源の対をなす吐出ポートからの作動流体の配分をそれぞれ制御するとともに、第1の制御弁の前後差圧が所定値以下となったときには第2の制御弁側への作動流体を遮断する走行優先位置に切り換わる対をなす流量制御弁と、
これら流量制御弁を通過した作動流体を第1の制御弁の下流側で合流させて第2の制御弁に供給する供給通路と、
対をなす流量制御弁がともに走行優先位置に切り換わった状態で第2の吐出源から吐出された作動流体の少なくとも一部を供給通路に合流させる切換弁と
を具備したことを特徴とする作業機械の流体圧回路。 - 流量制御弁は、流体圧モータへの通路の高圧側の圧力および下流側からの圧力をそれぞれパイロット圧として動作する切換弁である
ことを特徴とする請求項1記載の作業機械の流体圧回路。 - 第2の制御弁に対応して設けられ、下流側の最高負荷圧をパイロット圧として動作し、作動流体の流量を制御する圧力補償弁と、
この圧力補償弁の下流側の最高負荷圧をパイロット圧として動作し、供給通路の作動流体をタンクに戻すブリードオフ弁と
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の作業機械の流体圧回路。
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JP2016079071A JP2017190799A (ja) | 2016-04-11 | 2016-04-11 | 作業機械の流体圧回路 |
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