JP2017188563A - コンデンサ及びコンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電圧特性のバラツキが低減されたポーラスコンデンサ及びこのポーラスコンデンサの製造方法を提供すること。【解決手段】コンデンサは、誘電体層101と、複数の第1及び第2の内部電極104a〜c、105a〜cと、第1及び第2の平面電極102、103とを具備する。誘電体層は第1の主面101bと第1の主面と反対側の第2の主面101cとを有し、第1の主面から第2の主面に達する複数の貫通孔101aを有する。複数の第1の内部電極は一部の貫通孔内に形成される。第2の内部電極は複数の第1の内部電極が形成された貫通孔とは異なる貫通孔内に形成される。第1の平面電極は第1の主面に形成され、第2の平面電極は第2の主面に形成される。複数の第2の内部電極のうちの一部と第2の平面電極との間に空隙が設けられ、空隙の第2の主面からの深さは、第2の内部電極と第1の内部電極との間の絶縁抵抗が低いほど深い。【選択図】図5
Description
本発明は、貫通孔内に導電体が充填されたポーラスコンデンサ及びこのポーラスコンデンサの製造方法に関する。
近年、新しいタイプのコンデンサとしてポーラスコンデンサが開発されている。ポーラスコンデンサは、アルミニウム等の金属表面に形成される金属酸化物がポーラス(細孔の貫通孔)構造を形成する性質を利用してポーラス内に内部電極を形成し、金属酸化物を誘電体としてコンデンサとしたものである。
誘電体の表面及び裏面にはそれぞれ外部導電体が積層され、ポーラス内に形成される内部電極は表面の外部導電体と裏面の外部導電体のいずれか一方に接続される。内部電極と接続されない側の外部導電体との間は、空隙又は絶縁性材料によって絶縁される。これにより内部電極は、誘電体を介して対向する対向電極(正極又は負極)として機能する。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、このような構成を有するポーラスコンデンサが開示されている。いずれの特許文献においても、ポーラス内に内部電極が形成され、内部電極の一端は一方の導電体に接続され、他端は他方の導電体と絶縁されている。
ここで、ポーラスコンデンサはその製造プロセスにおいて、ポーラス構造を形成する誘電体の壁厚にバラツキが生じることがある。これにより、壁の厚い箇所と薄い箇所で耐電圧特性に差が生じ、耐電圧特性が不均一となってしまう問題がある。
以上のような事情の鑑み、本発明の目的は、耐電圧特性のバラツキが低減されたポーラスコンデンサ及びこのポーラスコンデンサの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るコンデンサは、誘電体層と、複数の第1の内部電極と、複数の第2の内部電極と、第1の平面電極と、第2の平面電極とを具備する。
上記誘電体層は、第1の主面と上記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、上記第1の主面から上記第2の主面に達する複数の貫通孔を有する。
上記複数の第1の内部電極は、上記第1の主面から延伸して上記第2の主面との間に第1のギャップが形成されるように、上記複数の貫通孔のうち一部の貫通孔内に形成される。
上記第2の内部電極は、上記第2の主面から延伸して上記第1の主面との間に第2のギャップが形成されるように、上記複数の貫通孔のうち上記複数の第1の内部電極が形成された貫通孔とは異なる貫通孔内に形成される。
上記第1の平面電極は、上記第1の主面に形成され、上記複数の第1の内部電極に接続される。
上記第2の平面電極は、上記第2の主面に形成され、上記複数の第2の内部電極に接続される。
上記コンデンサは、上記複数の第2の内部電極のうちの一部と上記第2の平面電極との間に空隙が設けられ、上記空隙の上記第2の主面からの深さは、上記第2の内部電極と上記第1の内部電極との間の絶縁抵抗が低いほど深い。
上記誘電体層は、第1の主面と上記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、上記第1の主面から上記第2の主面に達する複数の貫通孔を有する。
上記複数の第1の内部電極は、上記第1の主面から延伸して上記第2の主面との間に第1のギャップが形成されるように、上記複数の貫通孔のうち一部の貫通孔内に形成される。
上記第2の内部電極は、上記第2の主面から延伸して上記第1の主面との間に第2のギャップが形成されるように、上記複数の貫通孔のうち上記複数の第1の内部電極が形成された貫通孔とは異なる貫通孔内に形成される。
上記第1の平面電極は、上記第1の主面に形成され、上記複数の第1の内部電極に接続される。
上記第2の平面電極は、上記第2の主面に形成され、上記複数の第2の内部電極に接続される。
上記コンデンサは、上記複数の第2の内部電極のうちの一部と上記第2の平面電極との間に空隙が設けられ、上記空隙の上記第2の主面からの深さは、上記第2の内部電極と上記第1の内部電極との間の絶縁抵抗が低いほど深い。
この構成によれば、複数の第2の内部電極のうちの一部と第2の平面電極との間には空隙が設けられ、当該空隙の深さは第2の内部電極と第1の内部電極との間の絶縁抵抗が低いほど長いものとなる。これにより、ポーラス構造を形成する誘電体層の壁厚が薄い箇所を介して第1の内部電極と対向している第2の内部電極は第2の平面電極と絶縁され、当該誘電体層の壁厚が厚い箇所を介して第1の内部電極と対向している第2の内部電極は第2の平面電極に接続される。
よって、誘電体層における壁の厚い箇所と薄い箇所で耐電圧特性に差が発生せず、コンデンサの耐電圧特性が均一化される。従って、本発明によれば、耐電圧特性のバラツキが低減されたポーラスコンデンサを提供することができる。
上記第1のギャップには、絶縁体が埋められていてもよい。
これにより、第1の内部電極と第2の平面電極との間の絶縁性が確実に確保される。
上記誘電体層は、陽極酸化されると自己組織化作用によりポーラスを形成する材料からなってもよい。
この構成によれば、上記材料を陽極酸化することによって、貫通孔(ポーラス)を有する誘電体層を形成することが可能となる。
以上のように、本発明によれば耐電圧特性のバラツキが低減されたポーラスコンデンサを提供することができる。
[コンデンサの構成]
図1は、本実施形態に係るコンデンサ100の構成を示す模式図であり、図2はコンデンサ100の断面図である。これらの図に示すように、コンデンサ100は、誘電体層101、第1平面電極102、第2平面電極103、第1内部電極104及び第2内部電極105を備える。以下の図において、X、Y及びZ方向は相互に直交する3方向である。
図1は、本実施形態に係るコンデンサ100の構成を示す模式図であり、図2はコンデンサ100の断面図である。これらの図に示すように、コンデンサ100は、誘電体層101、第1平面電極102、第2平面電極103、第1内部電極104及び第2内部電極105を備える。以下の図において、X、Y及びZ方向は相互に直交する3方向である。
第1平面電極102、誘電体層101及び第2平面電極103はこの順で積層され、即ち誘電体層101は、第1平面電極102及び第2平面電極103によって挟まれている。第1内部電極104及び第2内部電極105は、図2に示すように誘電体層101に形成された貫通孔101aの内部に形成されている。なお、コンデンサ100には、ここに示す以外の構成、例えば、第1平面電極102及び第2平面電極103にそれぞれ接続された配線等が設けられていてもよい。
誘電体層101は、絶縁材料からなる層である。誘電体層101は、貫通孔(ポーラス)を形成することが可能な絶縁性材料からなるものとすることができ、特に陽極酸化されると自己組織化作用によってポーラスを生じる材料が好適である。このような材料としては、酸化アルミニウム(Al2O3)を挙げることができる。また、この他に誘電体層101は、弁金属(Al、Ta、Nb、Ti、Zr、Hf、Zn、W、Sb)の酸化物からなるものとすることが可能である。誘電体層101の厚みは特に限定されないが、例えば数μm〜数百μmとすることができる。
図3は誘電体層101の斜視図であり、図4は誘電体層101の断面図である。これらの図に示すように、誘電体層101には、複数の貫通孔101aが形成されている。誘電体層101の層面方向(Y方向)に平行な面を第1主面101bとし、その反対側の面を第2主面101cとすると、貫通孔101aは第1主面101b及び第2主面101cに垂直な方向(誘電体層101の厚み方向)に沿って形成され、第1主面101b及び第2主面101cに連通するように形成されている。なお、図3等に示す貫通孔101aの数および大きさは便宜的なものであり、実際のものはより小さく、多数である。貫通孔101aの孔径は特に限定されないが数十nm〜数百nmとすることができる。
また、本実施形態に係る誘電体層101は、図4に示すように、層面方向(Y方向)の幅がD1である第1部分101dと、層面方向の幅がD2である第2部分101eと、層面方向の幅がD3である第3部分101fとを含む。幅D1は、隣接する貫通孔101aの間で最も誘電体層101の厚さが薄い部分の幅であり、幅D2は幅D1より大きい幅である。幅D3は幅D2より大きく、第1内部電極104及び第2内部電極105との間を充分に絶縁することが可能な幅である。このような形状は、後述するように、誘電体層101の元となる基材を陽極酸化することにより形成される。
第1平面電極102は、図2に示すように、誘電体層101の第1主面101b上に形成されている。第1平面電極102は導電性材料、例えば、Cu、Ni、Cr、Ag、Pd、Fe、Sn、Pb、Pt、Ir、Rh、Ru、Al、Ti等の純金属あるいはこれらの合金からなるものとすることができる。第1平面電極102の厚さは例えば数十nm〜数μmであるものとすることができる。また、第1平面電極102は、複数の導電性材料が厚み方向(貫通孔101aの延伸方向)に積層されるように形成されたものとすることも可能である。
さらに、第1平面電極102は図2に示すように、複数の貫通孔101aのうち一部の貫通孔内に入り込んだ堆積部102aを有する。堆積部102aは、例えば、第1主面101bに第1平面電極102を形成する際に貫通孔101a内に入り込んだスパッタ粒子の堆積物である。
第2平面電極103は、図2に示すように、誘電体層101の第2主面101c上に形成されている。第2平面電極103は、第1平面電極102と同様の導電性材料からなるものとすることができ、その厚さは例えば数nm〜数μmであるものとすることができる。第2平面電極103の構成材料は第1平面電極102の構成材料と同一でもよく異なっていてもよい。また、第2平面電極103も、複数の導電性材料が厚み方向(貫通孔101aの延伸方向)に積層されるように形成されたものとすることが可能である。
さらに、第2平面電極103は、図2に示すように、複数の貫通孔101aのうち一部の貫通孔内に入り込んだ堆積部103aを有する。堆積部103aは、例えば、第1主面101bに第1平面電極102を形成する際に貫通孔101a内に入り込んだスパッタ粒子の堆積物である。
第1内部電極104は、コンデンサ100の一方の対向電極として機能する。第1内部電極104は図2に示すように、複数の貫通孔101aのうち一部の貫通孔内に形成され、第1主面101bから延伸し、第1平面電極102に接続されている。
また、第1内部電極104は第2平面電極103とは離間して形成され、図2に示すように、第2平面電極103との間で第1ギャップG1を形成する。これにより、第1内部電極104は、第2平面電極103と絶縁される。
第1内部電極104は導電性材料、例えば、In、Sn、Pb、Cd、Bi、Al、Cu、Ni、Au、Ag、Pt、Pd、Co、Cr、Fe、Zn等の純金属あるいはこれらの合金からなるものとすることができる。第1内部電極104と第2平面電極103の間には、図2に示すように絶縁体Sが設けられ、絶縁体Sによって第1内部電極104と第2平面電極103の間が絶縁されている。なお、絶縁体Sの代わりに空隙が設けられてもよい。
第2内部電極105は、コンデンサ100の一方の対向電極として機能する。図2に示すように第2内部電極105は複数の貫通孔101aのうち複数の第1内部電極104が形成された貫通孔とは異なる貫通孔内に形成され、複数あるうちの一部が第2平面電極103に接続されており第2主面101cから延伸している。
また、第2内部電極105は第1平面電極102とは離間して形成され、図2に示すように、第1平面電極102との間で第2ギャップG2を形成する。これにより、第2内部電極105は、第1平面電極102と絶縁される。
第2内部電極105は導電性材料、例えば、In、Sn、Pb、Cd、Bi、Al、Cu、Ni、Au、Ag、Pt、Pd、Co、Cr、Fe、Zn等の純金属あるいはこれらの合金からなるものとすることができる。第2内部電極105と第1平面電極102の間には、図2に示すように空隙が設けられ、当該空隙によって第2内部電極105と第1平面電極102の間が絶縁されている。なお、この空隙の代わりに絶縁体が設けられてもよい。
なお、図2等に示す第1内部電極104及び第2内部電極105は1つおきに交互に描かれているが、これらは便宜的なものであり、実際には交互に存在しない構成であってもよい。
図5は第2内部電極105a、105b、105cと第2平面電極103の間の空隙を示す断面図である。本実施形態では、図5に示すように、複数の第2内部電極105a、105b、105cのうちの一部と第2平面電極103との間には空隙V(空隙V1及び空隙V2)が設けられている。
ここで同図に示すように、誘電体層101の第1部分101dを介して第1内部電極104aと対向している第2内部電極105bは空隙V1を介して第2平面電極103と離間している。これにより、当該第2内部電極105は、同図に示すように、堆積部103aに当接せず、第2平面電極103と絶縁されている。
また、複数の第2内部電極105のうち、第2部分101eを介して第1内部電極104bと対向している第2内部電極105bは図5に示すように、空隙V2を介して第2主面101cから離間し、堆積部103aを介して第2平面電極103に接続されている。
さらに、複数の第2内部電極105のうち、第3部分101fを介して第1内部電極104cと対向している第2内部電極105cは図5に示すように、空隙を介することなく第2平面電極103に接続されている。
本実施形態に係る空隙VのZ方向の距離(空隙Vの深さ)は、空隙Vと共に貫通孔101aに設けられている第2内部電極105と第1内部電極104との間の絶縁抵抗が低いほど長い。第2内部電極105と第1内部電極104との間の絶縁抵抗は第2内部電極105と第1内部電極104の間の誘電体層101の幅によって異なり、誘電体層101の幅が小さいほど絶縁抵抗が低くなる。
従って、図5に示すように、第1部分101dを介して第1内部電極104aと対向している第2内部電極105aと第2主面101cとの間の空隙V1の深さは、第2部分101eを介して第1内部電極104bと対向している第2内部電極105bと第2主面101cとの間の空隙V2の深さより深い。
また、第2部分101eを介して第1内部電極104bと対向している第2内部電極105bと第2主面101cの間の空隙V2の深さは、第3部分101fを介して第1内部電極104cと対向している第2内部電極105cと第2主面101cとの間の距離(ゼロ)より長い。
コンデンサ100は以上のような構成を有する。誘電体層101を介して第1内部電極104と第2内部電極105が対向し、コンデンサを形成する。即ち、第1内部電極104と第2内部電極105は、コンデンサの対向電極として機能する。なお、第1内部電極104と第2内部電極105はどちらが正極又は負極であってもよい。第1内部電極104は第1平面電極102を介して、第2平面電極103と電気的に接続されている第2内部電極105は第2平面電極103を介して、それぞれ外部へ配線あるいは端子等と接続される。
[コンデンサの効果]
コンデンサ100の効果について、比較例を用いて説明する。図6は比較例に係るコンデンサ200の断面図である。同図に示すように、コンデンサ200は、誘電体層201、第1平面電極202、第2平面電極203、第1内部電極204及び第2内部電極205を有する。
コンデンサ100の効果について、比較例を用いて説明する。図6は比較例に係るコンデンサ200の断面図である。同図に示すように、コンデンサ200は、誘電体層201、第1平面電極202、第2平面電極203、第1内部電極204及び第2内部電極205を有する。
誘電体層201には、図6に示すように第1主面201b及び第2主面201cに連通する貫通孔201aが設けられ、貫通孔201aの内部には、第1内部電極204及び第2内部電極205が設けられている。第1主面201bには第1平面電極202が設けられ、第2主面201cには、第2平面電極203が設けられている。
また、誘電体層201は、図6に示すように誘電体層201の幅が狭い第1部分201dと、第1内部電極204と第2内部電極205との間を充分に絶縁することが可能な幅を有する第2部分201eとを含む。
ここで、コンデンサ200は複数の第2内部電極205のうち、図6に示すように、幅が狭い第1部分201dを介して第1内部電極204と対向している第2内部電極205と、幅が広い第2部分201eを介して第1内部電極204と対向している第2内部電極205が第2平面電極203に接続された構成をとる。
上記のように、第1内部電極204と第2内部電極205の間の絶縁抵抗は、第1内部電極204と第2内部電極205の間の誘電体層201の幅によって異なる。これにより、コンデンサ200において、図6に示す第1部分201dを介して第1内部電極204と第2内部電極205が対向している領域E1と、第2部分201eを介して第1内部電極204と第2内部電極205が対向している領域E2とで耐電圧特性に差が生じ、耐電圧特性が不均一なコンデンサとなる。よって、コンデンサ200は、領域E1の影響により、所望とする絶縁抵抗値が確保されないおそれがある。
しかしながら、本実施形態に係るコンデンサ100は、図5に示すように、第1部分101dを介して第1内部電極104と対向している第2内部電極105は第2平面電極103と絶縁される。そして、同図に示すように、第2部分101eを介して第1内部電極104と対向している第2内部電極105と、第3部分101fを介して第1内部電極104と対向している第2内部電極105が第2平面電極103に接続される。
つまり、本実施形態に係るコンデンサ100は、Y方向において所定の幅(厚み)を有する誘電体層101を介して第1内部電極104と対向している第2内部電極105だけが第2平面電極103と接続された構成となる。これにより、比較例のような第1内部電極204と第2内部電極205との間の誘電体層201の厚みの差に起因した耐電圧特性のバラツキが抑制される。従って、コンデンサ100は所望とする絶縁抵抗値を確保することが可能となる。
[コンデンサの製造方法]
本実施形態に係るコンデンサ100の製造方法について説明する。なお、以下に示す製造方法は一例であり、コンデンサ100は、以下に示す製造方法とは異なる製造方法によって製造することも可能である。図7乃至図12は、コンデンサ100の製造プロセスを示す模式図である。
本実施形態に係るコンデンサ100の製造方法について説明する。なお、以下に示す製造方法は一例であり、コンデンサ100は、以下に示す製造方法とは異なる製造方法によって製造することも可能である。図7乃至図12は、コンデンサ100の製造プロセスを示す模式図である。
図7(a)は、誘電体層101の元となる基材301を示す。誘電体層101を金属酸化物(例えば酸化アルミニウム)からなるものとする場合、基材301はその酸化物の金属(例えばアルミニウム)である。
例えば15℃〜20℃に調整されたシュウ酸(0.1mol/l)溶液中で基材301を陽極として電圧を印加すると、図7(b)に示すように基材301が酸化(陽極酸化)され、基材酸化物302が形成される。この際、基材酸化物302の自己組織化作用によって、基材酸化物302に孔Hが形成される。孔Hは酸化の進行方向、即ち基材301の厚み方向に向かって成長する。
なお、陽極酸化の前に基材301に規則的なピット(凹部)を形成しておき、このピットを基点として孔Hを成長させてもよい。このピットの配置により孔Hの配列を制御することが可能となる。ピットは、例えば基材301にモールド(型)を押圧することによって形成することが可能である。
陽極酸化の開始から所定時間経過後、基材301に印加されている電圧を増加させる。自己組織化によって形成される孔Hのピッチは、印加電圧の大きさによって決定されるため、孔Hのピッチが拡大するように自己組織化が進行する。
これにより、図7(c)に示すように一部の孔Hについて孔の形成が継続すると共に、孔径が拡大する。一方で、孔Hのピッチが拡大したことによって、他の孔Hについては孔の形成が停止する。以下、孔の形成が停止した孔Hを孔H1とし、孔の形成が継続した(拡大した)孔Hを孔H2とする。
ここで、上記のように自己組織化によって孔H(孔H1及び孔H2)が形成される場合、孔Hの形状は完全には均一にならず、基材酸化物302において壁の厚い部分および薄い部分が形成される。これにより、図7(c)に示すように、基材酸化物302に第1部分302a、第2部分302b及び第3部分302cが形成される。
陽極酸化の条件は適宜設定可能であり、例えば、図7(b)に示す1段階目の陽極酸化の印加電圧は数V〜数100V、処理時間は数分〜数日に設定することができる。図7(c)に示す2段階目の陽極酸化の印加電圧では、電圧値を1段階目の数倍とし、処理時間は数分〜数十分に設定することができる。
例えば、1段階目の印加電圧を40Vとすることにより孔径が100nmの孔Hが形成され、2段階目の印加電圧を80Vとすることにより孔H2の孔径が200nmに拡大される。2段階目の電圧値を上述した範囲内とすることにより、孔H1と孔H2の数を概ね同等とすることが可能である。また、2段階目の電圧印加の処理時間を上述の範囲内とすることにより、孔H2のピッチ変換が十分に完了しつつ、2段階目の電圧印加によって底部に形成される基材酸化物302の厚さを小さくすることができる。2段階目の電圧印加で形成される基材酸化物302は、後の工程で除去されるため、できるだけ薄いことが好ましい。
続いて、図8(a)に示すように、酸化されていない基材301を除去する。基材301の除去は、例えばウェットエッチングによってすることができる。以降、基材酸化物302の孔H1及び孔H2が形成された側の面を表面302dとし、その反対側の面を裏面302eとする。
続いて、図8(b)に示すように、基材酸化物302を裏面302e側から所定の厚さで除去する。これは反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)によってすることができる。この際、孔H2が裏面302eに連通し、孔H1は裏面302eに連通しない程度の厚さで、基材酸化物302を除去する。
続いて、図8(c)に示すように、表面302dに導電性材料からなる第1導体層303を成膜する。第1導体層303は、スパッタ法、真空蒸着法等、任意の方法によって成膜することが可能である。
続いて、図9(a)に示すように、孔H2内に第1メッキ導体304を埋め込む。第1メッキ導体304は、例えば、In、Sn、Pb、Cd、Bi、Al、Cu、Ni、Au、Ag、Pt、Pd、Co、Cr、Fe、Zn等の純金属あるいはこれらの合金からなるものとすることができる。
第1メッキ導体304は、例えば第1導体層303をシード層として基材酸化物302に電解メッキを施すことによって埋め込むことが可能である。孔H1にはメッキ液が侵入しないため、孔H1内には第1メッキ導体304は形成されない。
続いて、図9(b)に示すように、基材酸化物302を裏面302eから所定の厚さで再度除去する。これは、例えば反応性イオンエッチングによってすることができる。除去の厚さは、孔H1が裏面302eに連通する程度の厚さで基材酸化物302を除去する。
続いて、図9(c)に示すように、孔H1内に第2メッキ導体305を埋め込み、孔H2内に第3メッキ導体306を埋め込む。第2メッキ導体305及び第3メッキ導体306は、例えば、In、Sn、Pb、Cd、Bi、Al、Cu、Ni、Au、Ag、Pt、Pd、Co、Cr、Fe、Zn等の純金属あるいはこれらの合金からなるものとすることができる。
第2メッキ導体305及び第3メッキ導体306は、例えば第1導体層303をシード層として基材酸化物302に電解メッキを施すことによって埋め込むことが可能である。この際、孔H2には、先の工程によって第1メッキ導体304が形成されているため、第3メッキ導体306の先端は第2メッキ導体305の先端より突出する。以下、第1メッキ導体304と第3メッキ導体306とを合わせて第4メッキ導体307とする。
続いて、図10(a)に示すように、基材酸化物302を裏面302eから所定の厚さで再度除去する。これは、例えば機械研磨等によってすることができる。この際、第4メッキ導体307が裏面302eに露出し、第2メッキ導体305が裏面302eに露出しない程度の厚さで基材酸化物302を除去する。
続いて、図10(b)に示すように、裏面302eに導電性材料からなる第2導体層308を成膜する。この際、同図に示すように、第2導体層308の一部が孔H1内に入り込むが、第2メッキ導体305は裏面302eから離間しているため、第2メッキ導体305は第2導体層308とは絶縁される。第2導体層308は、例えばスパッタ法によって成膜することが可能である。
続いて、図10(c)に示すように、第1導体層303を除去する。第1導体層303の除去は、例えばウェットエッチング法、ドライエッチング法、イオンミリング法、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等によってすることができる。
続いて、図11(a)に示すように、第2導体層308をシード層として、基材酸化物302にエッチングを施す。エッチングの方法は例えば高周波プラズマエッチング法などが挙げられる。第4メッキ導体307は第2導体層308に導通しているため、エッチングされる。これにより、孔H2において第4メッキ導体307が除去された空隙が形成される。一方、第2メッキ導体305は第2導体層308に導通していないため、エッチングされない。
続いて、図11(b)に示すように、孔H2の空隙に絶縁体309を埋め込む。絶縁体309は、当該空隙に任意の絶縁性材料を充填することによって埋め込むことが可能である。
続いて、図11(c)に示すように、第2導体層308をシード層として表面302d側から第2メッキ導体305にエッチングを施す。ここでは、高周波プラズマエッチングを用いた例を示す。電極Eと第2導体層308の間に電圧を印加することにより、エッチングが行われる。
これにより、図12(a)に示すように、孔H1において第2メッキ導体305が除去された空隙V(空隙V1及び空隙V2)が形成される。第4メッキ導体307は、絶縁体309によってエッチングが防止されている。
ここで、図12(a)に示すように、第1部分302aが形成された基材酸化物302fのY方向の幅D1は、第2部分302bが形成された基材酸化物302gのY方向の幅D2と、第3部分302cのY方向の幅D3より薄くなっている。
これにより、第1部分302aを介して対向する第2メッキ導体305aと第4メッキ導体307aの間の絶縁抵抗は小さくなり、電流が第1部分302aを介して流れる。これにより第1部分302aを介して第4メッキ導体307aと対向する第2メッキ導体305aは大きくエッチングされ、空隙V1が形成される。
また、第2部分302bを介して対向する第2メッキ導体305bと第4メッキ導体307bの間の絶縁抵抗は、第1部分302aより大きくなり、少量の電流が第2部分302bを介して流れる。これにより第2部分302bを介して第4メッキ導体307bと対向する第2メッキ導体305bはわずかにエッチングされ、空隙V2が形成される。
さらに、第3部分302cを介して対向する第2メッキ導体305cと第4メッキ導体307cの間の絶縁抵抗は充分に大きいため、電流が第1部分302aを介して流れない。これにより第3部分302cを介して第4メッキ導体307cと対向する第2メッキ導体305cはエッチングされない。
このように、複数の第2メッキ導体305のうちの一部は、他の第2メッキ導体305より深くエッチングされ、エッチングの深さは、第2メッキ導体305と第4メッキ導体307の間の基材酸化物302の幅、即ち両導体の間の絶縁抵抗によって異なる。
続いて、図12(b)に示すように、表面302dに導電性材料からなる第3導体層310を成膜する。第3導体層310は、例えばスパッタ法によって成膜することが可能である。
以上のようにして、コンデンサ100を製造することが可能である。なお、基材酸化物302は誘電体層101に、第2導体層308は第1平面電極102に、第3導体層310は第2平面電極103にそれぞれ対応する。また第2メッキ導体305は第2内部電極105に、第4メッキ導体307は第1内部電極104に、第1部分302aは第1部分101dに、第2部分302bは第2部分101eに、第3部分302cは第3部分101fにそれぞれ対応する。
なお、上記エッチング工程により第2メッキ導体305をエッチングした後、第3導体層310の形成前に、絶縁体309を除去してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加えることは勿論である。
100・・・コンデンサ
101・・・誘電体層
101a・・貫通孔
101b・・第1主面
101c・・第2主面
101d・・第1部分
101e・・第2部分
101f・・第3部分
102・・・第1平面電極
103・・・第2平面電極
104・・・第1内部電極
105・・・第2内部電極
101・・・誘電体層
101a・・貫通孔
101b・・第1主面
101c・・第2主面
101d・・第1部分
101e・・第2部分
101f・・第3部分
102・・・第1平面電極
103・・・第2平面電極
104・・・第1内部電極
105・・・第2内部電極
Claims (3)
- 第1の主面と前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有し、前記第1の主面から前記第2の主面に達する複数の貫通孔を有する誘電体層と、
前記第1の主面から延伸して前記第2の主面との間に第1のギャップが形成されるように、前記複数の貫通孔のうち一部の貫通孔内に形成された複数の第1の内部電極と、
前記第2の主面から延伸して前記第1の主面との間に第2のギャップが形成されるように、前記複数の貫通孔のうち前記複数の第1の内部電極が形成された貫通孔とは異なる貫通孔内に形成された複数の第2の内部電極と、
前記第1の主面に形成され、前記複数の第1の内部電極に接続された第1の平面電極と、
前記第2の主面に形成され、前記複数の第2の内部電極に接続された第2の平面電極と
を具備し、
前記複数の第2の内部電極のうちの一部と前記第2の平面電極との間には空隙が設けられ、前記空隙の前記第2の主面からの深さは、前記第2の内部電極と前記第1の内部電極との間の絶縁抵抗が低いほど深い
コンデンサ。 - 請求項1に記載のコンデンサであって、
前記第1のギャップには、絶縁体が埋められている
コンデンサ。 - 請求項1又は2に記載のコンデンサであって、
前記誘電体層は、陽極酸化されると自己組織化作用によりポーラスを形成する材料からなる
コンデンサ。
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