JP2017188452A - リチウムイオン電池用被覆負極活物質 - Google Patents

リチウムイオン電池用被覆負極活物質 Download PDF

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Abstract

【課題】レート特性に優れるリチウムイオン電池用被覆負極活物質を提供する。【解決手段】リチウムイオン電池用負極活物質が有する表面の少なくとも一部を高分子化合物と導電剤とを含む被覆層で被覆してなるリチウムイオン電池用被覆負極活物質であって、下記の計算式で得られる被覆率が10〜45%であることを特徴とするリチウムイオン電池用被覆負極活物質。被覆率(%)={1−[被覆負極活物質のBET比表面積/(未被覆時の負極活物質のBET比表面積×被覆負極活物質中に含まれる負極活物質の重量割合+導電剤のBET比表面積×被覆負極活物質中に含まれる導電剤の重量割合)]}×100【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用被覆負極活物質に関する。
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が鋭意行われている。二次電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン二次電池に注目が集まっている。
リチウムイオン二次電池については、電池特性のさらなる向上が求められており、中でも、サイクル特性を改善することに対する要望は強く、サイクル特性の改善を目的とした非水電解液及び活物質の開発とあわせて活物質の表面処理が検討されている。
なかでもサイクル特性が向上する活物質の表面処理として、特定のヒドロキシ酸化合物が活物質の表面の少なくとも一部を被覆している非水系二次電池電極用被覆活物質が提案されている(特許文献1参照)。
特開2011−210668号公報
しかしながら、特許文献1に記載の非水系二次電池電極用被覆活物質を用いた非水電解質二次電池では、充放電に伴う電極の膨張・収縮により発生する被覆活物質表面からの被覆層の剥がれ等により充分なレート特性が得られない場合があるなど、リチウムイオン電池の充放電特性に課題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、レート特性に優れるリチウムイオン電池用被覆負極活物質を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、リチウムイオン電池用負極活物質が有する表面の少なくとも一部を高分子化合物と導電剤とを含む被覆層で被覆してなるリチウムイオン電池用被覆負極活物質であって、下記の計算式で得られる被覆率が10〜45%であることを特徴とする。
被覆率(%)={1−[被覆負極活物質のBET比表面積/(未被覆時の負極活物質のBET比表面積×被覆負極活物質中に含まれる負極活物質の重量割合+導電剤のBET比表面積×被覆負極活物質中に含まれる導電剤の重量割合)]}×100
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を用いると、レート特性に優れるリチウムイオン電池を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、リチウムイオン電池と記載する場合、リチウムイオン二次電池も含む概念とする。
本発明は、リチウムイオン電池用負極活物質が有する表面の少なくとも一部を高分子化合物と導電剤とを含む被覆層で被覆してなるリチウムイオン電池用被覆負極活物質であって、下記の計算式で得られる被覆率が10〜45%であることを特徴とするリチウムイオン電池用被覆負極活物質である。
被覆率(%)={1−[被覆負極活物質のBET比表面積/(未被覆時の負極活物質のBET比表面積×被覆負極活物質中に含まれる負極活物質の重量割合+導電剤のBET比表面積×被覆負極活物質中に含まれる導電剤の重量割合)]}×100
なお、上記の計算式において、被覆負極活物質は本発明のリチウムイオン電池用負極被覆活物質を構成する被覆負極活物質であり、該被覆負極活物質を構成する負極活物質はリチウムイオン電池用負極活物質である。
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質では、上記の計算式で得られる被覆率が10〜45%である。
被覆率が上記範囲にあるリチウムイオン電池用被覆負極活物質を用いて作製した負極は、電極密度が高く、レート特性が良好である。
被覆率が45%を超えると、クーロン効率及びレート特性が悪化する。一方、被覆率が10%未満であると、負極の耐久性が不足する場合があり、レート特性が悪化することがある。
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を構成するリチウムイオン電池用負極活物質としては、従来公知のものを好適に使用することができ、例えばある電位を与えることでリチウムイオンの挿入と脱離が可能な化合物であって、対極に用いるリチウムイオン電池用正極活物質よりも低い電位でリチウムイオンの挿入と脱離が可能な化合物を用いることができる。
リチウムイオン電池用負極活物質としては、炭素系材料[黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiOx)、珪素−炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素−アルミニウム合金、珪素−リチウム合金、珪素−ニッケル合金、珪素−鉄合金、珪素−チタン合金、珪素−マンガン合金、珪素−銅合金及び珪素−スズ合金等)等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金)等及びこれらと炭素系材料との混合物等が挙げられる。
上記リチウムイオン電池用負極活物質のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
これらの中でも、電池容量等の観点から、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物が好ましく、炭素系材料としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素及びアモルファス炭素がさらに好ましく、珪素系材料としては、酸化珪素及び珪素−炭素複合体がさらに好ましい。
リチウムイオン電池用負極活物質の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましく、2〜10μmであることがさらに好ましい。
本明細書において、リチウムイオン電池用負極活物質の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
続いて、本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を構成する被覆層について説明する。
被覆層は高分子化合物と導電剤とを含み、リチウムイオン電池用負極活物質の少なくとも一部を被覆している。
リチウムイオン電池用負極活物質の周囲が被覆層で被覆されていると、負極の体積変化が緩和され、負極の膨張を抑制することができる。さらに、リチウムイオン電池用被覆負極活物質の非水溶媒に対する濡れ性を向上させることができる。
被覆層を構成する高分子化合物としては、電解液に浸漬した際の吸液率が10%以上であり、飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上である高分子化合物が好ましい。
電解液に浸漬した際の吸液率は、電解液に浸漬する前、浸漬した後の高分子化合物の重量を測定して、以下の式で求められる。
吸液率(%)=[(電解液浸漬後の高分子化合物の重量−電解液浸漬前の高分子化合物の重量)/電解液浸漬前の高分子化合物の重量]×100
吸液率を求めるための電解液としては、好ましくはエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積割合でEC:DEC=3:7で混合した混合溶媒に、電解質としてLiPFを1mol/Lの濃度になるように溶解した電解液を用いる。
吸液率を求める際の電解液への浸漬は、50℃、3日間行う。50℃、3日間の浸漬を行うことにより高分子化合物が飽和吸液状態となる。なお、飽和吸液状態とは、それ以上電解液に浸漬しても高分子化合物の重量が増えない状態をいう。
なお、リチウムイオン電池を製造する際に使用する電解液は、上記電解液に限定されるものではなく、他の電解液を使用してもよい。
吸液率が10%以上であると、リチウムイオンが高分子化合物を容易に透過することができるため、負極活物質層内でのイオン抵抗を低く保つことができる。吸液率が10%未満であると、リチウムイオンの伝導性が低くなり、リチウムイオン電池としての性能が充分に発揮されないことがある。
吸液率は20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
また、吸液率の好ましい上限値としては、400%であり、より好ましい上限値としては300%である。
飽和吸液状態での引張破断伸び率は、高分子化合物をダンベル状に打ち抜き、上記吸液率の測定と同様に電解液への浸漬を50℃、3日間行って高分子化合物を飽和吸液状態として、ASTM D683(試験片形状TypeII)に準拠して測定することができる。引張破断伸び率は、引張試験において試験片が破断するまでの伸び率を下記式によって算出した値である。
引張破断伸び率(%)=[(破断時試験片長さ−試験前試験片長さ)/試験前試験片長さ]×100
高分子化合物の飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上であると、高分子化合物が適度な柔軟性を有するため、充放電時の負極活物質の体積変化によって被覆層が剥離することを抑制しやすくなる。
引張破断伸び率は20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
また、引張破断伸び率の好ましい上限値としては、400%であり、より好ましい上限値としては300%である。
続いて、被覆層を構成する高分子化合物について具体的に説明する。
被覆層を構成する高分子化合物としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが挙げられ、例えば、ビニル樹脂(A)、ウレタン樹脂(B)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、ポリサッカロイド(アルギン酸ナトリウム等)及びこれらの混合物等が挙げられる。
これらの中では、電解液に浸漬した際の吸液率が10%以上であり、飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上である高分子化合物がより好ましい。
ビニル樹脂(A)は、ビニルモノマー(a)を必須構成単量体とする重合体(A1)を含んでなる樹脂である。
特に、重合体(A1)は、ビニルモノマー(a)としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するビニルモノマー(a1)又は下記一般式(2)で表されるビニルモノマー(a2)を含むことが好ましい。
CH=C(R)COOR (2)
[式(2)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数4〜12の直鎖又は炭素数4〜36の分岐アルキル基である。]
ビニル樹脂(A)のうち、電解液に浸漬した際の吸液率が10%以上であり、飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上であるものがより好ましい。
カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニルモノマー(a1)としては、(メタ)アクリル酸(a11)、クロトン酸、桂皮酸等の炭素数3〜15のモノカルボン酸;(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の炭素数4〜24のジカルボン酸;アコニット酸等の炭素数6〜24の3価〜4価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸(a11)が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
上記一般式(2)で表されるビニルモノマー(a2)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rはメチル基であることが好ましい。
は、炭素数4〜12の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数13〜36の分岐アルキル基であることが好ましい。
(a21)Rが炭素数4〜12の直鎖又は分岐アルキル基であるエステル化合物
炭素数4〜12の直鎖アルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が挙げられる。
炭素数4〜12の分岐アルキル基としては、1−メチルプロピル基(sec−ブチル基)、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1,3−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2−エチルペンチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,2−ジメチルヘキシル基、1,3−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、3−メチルオクチル基、4−メチルオクチル基、5−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、7−メチルオクチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1,2−ジメチルヘプチル基、1,3−ジメチルヘプチル基、1,4−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチルヘプチル基、1,6−ジメチルヘプチル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、1−メチルノニル基、2−メチルノニル基、3−メチルノニル基、4−メチルノニル基、5−メチルノニル基、6−メチルノニル基、7−メチルノニル基、8−メチルノニル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,2−ジメチルオクチル基、1,3−ジメチルオクチル基、1,4−ジメチルオクチル基、1,5−ジメチルオクチル基、1,6−ジメチルオクチル基、1,7−ジメチルオクチル基、1−エチルオクチル基、2−エチルオクチル基、1−メチルデシル基、2−メチルデシル基、3−メチルデシル基、4−メチルデシル基、5−メチルデシル基、6−メチルデシル基、7−メチルデシル基、8−メチルデシル基、9−メチルデシル基、1,1−ジメチルノニル基、1,2−ジメチルノニル基、1,3−ジメチルノニル基、1,4−ジメチルノニル基、1,5−ジメチルノニル基、1,6−ジメチルノニル基、1,7−ジメチルノニル基、1,8−ジメチルノニル基、1−エチルノニル基、2−エチルノニル基、1−メチルウンデシル基、2−メチルウンデシル基、3−メチルウンデシル基、4−メチルウンデシル基、5−メチルウンデシル基、6−メチルウンデシル基、7−メチルウンデシル基、8−メチルウンデシル基、9−メチルウンデシル基、10−メチルウンデシル基、1,1−ジメチルデシル基、1,2−ジメチルデシル基、1,3−ジメチルデシル基、1,4−ジメチルデシル基、1,5−ジメチルデシル基、1,6−ジメチルデシル基、1,7−ジメチルデシル基、1,8−ジメチルデシル基、1,9−ジメチルデシル基、1−エチルデシル基、2−エチルデシル基等が挙げられる。
(a22)Rが炭素数13〜36の分岐アルキル基であるエステル化合物
炭素数13〜36の分岐アルキル基としては、1−アルキルアルキル基[1−メチルドデシル基、1−ブチルエイコシル基、1−ヘキシルオクタデシル基、1−オクチルヘキサデシル基、1−デシルテトラデシル基、1−ウンデシルトリデシル基等]、2−アルキルアルキル基[2−メチルドデシル基、2−ヘキシルオクタデシル基、2−オクチルヘキサデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ウンデシルトリデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−トリデシルペンタデシル基、2−デシルオクタデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−ヘキサデシルオクタデシル基、2−テトラデシルエイコシル基、2−ヘキサデシルエイコシル基等]、3〜34−アルキルアルキル基(3−アルキルアルキル基、4−アルキルアルキル基、5−アルキルアルキル基、32−アルキルアルキル基、33−アルキルアルキル基及び34−アルキルアルキル基等)、並びに、プロピレンオリゴマー(7〜11量体)、エチレン/プロピレン(モル比16/1〜1/11)オリゴマー、イソブチレンオリゴマー(7〜8量体)及びα−オレフィン(炭素数5〜20)オリゴマー(4〜8量体)等から得られるオキソアルコールから水酸基を除いた残基のような1又はそれ以上の分岐アルキル基を含有する混合アルキル基等が挙げられる。
重合体(A1)は、炭素数1〜3の1価の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物(a3)をさらに含んでいることが好ましい。
エステル化合物(a3)を構成する炭素数1〜3の1価の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノール等が挙げられる。
エステル化合物(a3)の含有量は、負極活物質の体積変化抑制等の観点から、重合体(A1)の合計重量に基づいて、10〜60重量%であることが好ましく、15〜55重量%であることがより好ましく、20〜50重量%であることがさらに好ましい。
また、重合体(A1)は、さらに重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体の塩(a4)を含有することが好ましい。
重合性不飽和二重結合を有する構造としてはビニル基、アリル基、スチレニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
アニオン性基としては、スルホン酸基及びカルボキシル基等が挙げられる。
重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体はこれらの組み合わせにより得られる化合物であり、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸及び(メタ)アクリル酸が挙げられる。
なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
アニオン性単量体の塩(a4)を構成するカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びアンモニウムイオン等が挙げられる。
アニオン性単量体の塩(a4)の含有量は、内部抵抗等の観点から、高分子化合物の合計重量に基づいて0.1〜15重量%であることが好ましく、1〜15重量%であることがより好ましく、2〜10重量%であることがさらに好ましい。
重合体(A1)は、(メタ)アクリル酸(a11)とエステル化合物(a21)とを含むことが好ましく、さらにエステル化合物(a3)を含むことがより好ましく、さらにアニオン性単量体の塩(a4)を含むことが特に好ましい。
高分子化合物は、(メタ)アクリル酸(a11)、下記一般式(1)で示されるエステル化合物(a21)、炭素数1〜3の1価の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物(a3)及び重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体の塩(a4)を含んでなる単量体組成物を重合してなり、上記エステル化合物(a21)と上記(メタ)アクリル酸(a11)の重量比[上記エステル化合物(a21)/上記(メタ)アクリル酸(a11)]が10/90〜90/10であることが好ましい。
CH=C(R)COOR (1)
[Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数4〜12の直鎖又は分岐アルキル基である。]
エステル化合物(a21)と(メタ)アクリル酸(a11)の重量比が10/90〜90/10であると、これを重合してなる重合体は、負極活物質との接着性が良好で剥離しにくくなる。
上記重量比は、30/70〜85/15であることが好ましく、40/60〜70/30であることがさらに好ましい。
また、重合体(A1)を構成する単量体には、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニルモノマー(a1)、上記一般式(2)で表されるビニルモノマー(a2)、炭素数1〜3の1価の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物(a3)及び重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体の塩(a4)の他に、活性水素を含有しない共重合性ビニルモノマー(a5)が含まれていてもよい。
活性水素を含有しない共重合性ビニルモノマー(a5)としては、下記(a51)〜(a58)が挙げられる。
(a51)炭素数13〜20の直鎖脂肪族モノオール、炭素数5〜20の脂環式モノオール又は炭素数7〜20の芳香脂肪族モノオールと(メタ)アクリル酸から形成されるハイドロカルビル(メタ)アクリレート
上記モノオールとしては、(i)直鎖脂肪族モノオール(トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール等)、(ii)脂環式モノオール(シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等)、(iii)芳香脂肪族モノオール(ベンジルアルコール等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(a52)ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(炭素数2〜4)アルキル(炭素数1〜18)エーテル(メタ)アクリレート[メタノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)10モル付加物(メタ)アクリレート、メタノールのプロピレンオキサイド(以下POと略記)10モル付加物(メタ)アクリレート等]
(a53)窒素含有ビニル化合物
(a53−1)アミド基含有ビニル化合物
(i)炭素数3〜30の(メタ)アクリルアミド化合物、例えばN,N−ジアルキル(炭素数1〜6)又はジアラルキル(炭素数7〜15)(メタ)アクリルアミド(N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド等)、ジアセトンアクリルアミド
(ii)上記(メタ)アクリルアミド化合物を除く、炭素数4〜20のアミド基含有ビニル化合物、例えばN−メチル−N−ビニルアセトアミド、環状アミド[ピロリドン化合物(炭素数6〜13、例えば、N−ビニルピロリドン等)]
(a53−2)(メタ)アクリレート化合物
(i)ジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数1〜4)(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]
(ii)4級アンモニウム基含有(メタ)アクリレート{3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等}
(a53−3)複素環含有ビニル化合物
ピリジン化合物(炭素数7〜14、例えば2−又は4−ビニルピリジン)、イミダゾール化合物(炭素数5〜12、例えばN−ビニルイミダゾール)、ピロール化合物(炭素数6〜13、例えばN−ビニルピロール)、ピロリドン化合物(炭素数6〜13、例えばN−ビニル−2−ピロリドン)
(a53−4)ニトリル基含有ビニル化合物
炭素数3〜15のニトリル基含有ビニル化合物、例えば(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアルキル(炭素数1〜4)アクリレート
(a53−5)その他の窒素含有ビニル化合物
ニトロ基含有ビニル化合物(炭素数8〜16、例えばニトロスチレン)等
(a54)ビニル炭化水素
(a54−1)脂肪族ビニル炭化水素
炭素数2〜18又はそれ以上のオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン等)、炭素数4〜10又はそれ以上のジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等)等
(a54−2)脂環式ビニル炭化水素
炭素数4〜18又はそれ以上の環状不飽和化合物、例えばシクロアルケン(例えばシクロヘキセン)、(ジ)シクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン]、テルペン(例えばピネン及びリモネン)、インデン
(a54−3)芳香族ビニル炭化水素
炭素数8〜20又はそれ以上の芳香族不飽和化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン
(a55)ビニルエステル
脂肪族ビニルエステル[炭素数4〜15、例えば脂肪族カルボン酸(モノ−又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメトキシアセテート)]
芳香族ビニルエステル[炭素数9〜20、例えば芳香族カルボン酸(モノ−又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えばビニルベンゾエート、ジアリルフタレート、メチル−4−ビニルベンゾエート)、脂肪族カルボン酸の芳香環含有エステル(例えばアセトキシスチレン)]
(a56)ビニルエーテル
脂肪族ビニルエーテル[炭素数3〜15、例えばビニルアルキル(炭素数1〜10)エーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル等)、ビニルアルコキシ(炭素数1〜6)アルキル(炭素数1〜4)エーテル(ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル等)、ポリ(2〜4)(メタ)アリロキシアルカン(炭素数2〜6)(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等)]、芳香族ビニルエーテル(炭素数8〜20、例えばビニルフェニルエーテル、フェノキシスチレン)
(a57)ビニルケトン
脂肪族ビニルケトン(炭素数4〜25、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン)、芳香族ビニルケトン(炭素数9〜21、例えばビニルフェニルケトン)
(a58)不飽和ジカルボン酸ジエステル
炭素数4〜34の不飽和ジカルボン酸ジエステル、例えばジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数1〜22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数1〜22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)
上記(a5)として例示したもののうち耐電圧の観点から好ましいのは、(a51)、(a52)及び(a53)である。
重合体(A1)において、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニルモノマー(a1)、上記一般式(2)で表されるビニルモノマー(a2)、炭素数1〜3の1価の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物(a3)、重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体の塩(a4)及び活性水素を含有しない共重合性ビニルモノマー(a5)の含有量は、重合体(A1)の重量を基準として、(a1)が0.1〜80重量%、(a2)が0.1〜99.9重量%、(a3)が0〜60重量%、(a4)が0〜15重量%、(a5)が0〜99.8重量%であることが好ましい。
モノマーの含有量が上記範囲内であると、電解液への吸液性が良好となる。
より好ましい含有量は、(a1)が15〜60重量%、(a2)が5〜60重量%、(a3)が10〜60重量%、(a4)が0.1〜15重量%、(a5)が5〜69.9重量%であり、さらに好ましい含有量は、(a1)が25〜49重量%、(a2)が15〜39重量%、(a3)が15〜39重量%、(a4)が1〜15重量%、(a5)が20〜44重量%である。
重合体(A1)の数平均分子量の好ましい下限は3,000、より好ましくは50,000、さらに好ましくは100,000、特に好ましくは200,000であり、好ましい上限は2,000,000、より好ましくは1,500,000、さらに好ましくは1,000,000、特に好ましくは800,000である。
重合体(A1)の数平均分子量は、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記)測定により求めることができる。
装置:Alliance GPC V2000(Waters社製)
溶媒:オルトジクロロベンゼン
標準物質:ポリスチレン
検出器:RI
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED−B 2本直列(ポリマーラボラトリーズ社製)
カラム温度:135℃
重合体(A1)の溶解度パラメータ(以下、SP値と略記する)は9.0〜20.0(cal/cm1/2であることが好ましい。重合体(A1)のSP値は10.0〜18.0(cal/cm1/2であることがより好ましく、11.5〜14.0(cal/cm1/2であることがさらに好ましい。重合体(A1)のSP値が9.0〜20.0(cal/cm1/2であると、電解液の吸液性の点で好ましい。
SP値は、Fedors法によって計算される。SP値は、次式で表せる。
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
但し、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm)を表す。
また、ΔH及びVは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(151〜153頁)」に記載の原子団のモル蒸発熱の合計(ΔH)とモル体積の合計(V)を用いることができる。
SP値は、この数値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(相溶性が高い)、この数値が離れているものは混ざりにくいことを表す指標である。
また、重合体(A1)のガラス転移点[以下Tgと略記、測定法:DSC(走査型示差熱分析)法]は、電池の耐熱性の観点から好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃、さらに好ましくは100〜150℃である。
重合体(A1)は、公知の重合方法(塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等)により製造することができる。
重合に際しては、公知の重合開始剤{アゾ系開始剤[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル等)]、パーオキサイド系開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等)等}を使用して行なうことができる。
重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1.5重量%である。
溶液重合の場合に使用される溶媒としては、例えばエステル(炭素数2〜8、例えば酢酸エチル及び酢酸ブチル)、アルコール(炭素数1〜8、例えばメタノール、エタノール及びオクタノール)、炭化水素(炭素数4〜8、例えばn−ブタン、シクロヘキサン及びトルエン)及びケトン(炭素数3〜9、例えばメチルエチルケトン)が挙げられ、使用量はモノマーの合計重量に基づいて好ましくは5〜900重量%、より好ましくは10〜400重量%、さらに好ましくは30〜300重量%であり、モノマー濃度としては、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは30〜80重量%である。
乳化重合及び懸濁重合における分散媒としては、水、アルコール(例えばエタノール)、エステル(例えばプロピオン酸エチル)、軽ナフサ等が挙げられ、乳化剤としては、高級脂肪酸(炭素数10〜24)金属塩(例えばオレイン酸ナトリウム及びステアリン酸ナトリウム)、高級アルコール(炭素数10〜24)硫酸エステル金属塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、エトキシ化テトラメチルデシンジオール、メタクリル酸スルホエチルナトリウム、メタクリル酸ジメチルアミノメチル等が挙げられる。さらに安定剤としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を加えてもよい。
溶液又は分散液のモノマー濃度は5〜95重量%が好ましく、より好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは15〜85重量%であり、重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜2重量%である。
重合に際しては、公知の連鎖移動剤、例えばメルカプト化合物(ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン等)及び/又はハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、四臭化炭素、塩化ベンジル等)を使用することができる。使用量はモノマーの全重量に基づいて2重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下である。
また、重合反応における系内温度は−5〜150℃が好ましく、より好ましくは30〜120℃、さらに好ましくは50〜110℃、反応時間は0.1〜50時間が好ましく、より好ましくは2〜24時間であり、反応の終点は、未反応単量体の量を使用した単量体全量の5重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。未反応単量体の量は、ガスクロマトグラフィー等の公知の定量方法を用いることにより確認できる。
ビニル樹脂(A)に含まれる重合体(A1)は、重合体(A1)をポリエポキシ化合物(a’1)及び/又はポリオール化合物(a’2)で架橋してなる架橋重合体であってもよい。
架橋重合体においては、重合体(A1)中のカルボキシル基等の活性水素と反応する反応性官能基を有する架橋剤(A’)を用いて重合体(A1)を架橋することが好ましく、架橋剤(A’)としてポリエポキシ化合物(a’1)及び/又はポリオール化合物(a’2)を用いることが好ましい。
ポリエポキシ化合物(a’1)としては、エポキシ当量80〜2,500のもの、例えばグリシジルエーテル[ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール(Mw200〜2,000)ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(Mw200〜2,000)ジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド1〜20モル付加物のジグリシジルエーテル等];グリシジルエステル(フタル酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル等);グリシジルアミン[N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等];脂肪族エポキシド(エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等);脂環式エポキシド(リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等)が挙げられる。
ポリオール化合物(a’2)としては、低分子多価アルコール{炭素数2〜20の脂肪族又は脂環式のジオール[エチレングリコール(以下EGと略記)、ジエチレングリコール(以下DEGと略記)、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール(以下14BGと略記)、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等];炭素数8〜15の芳香環含有ジオール[m−又はp−キシリレングリコール、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等];炭素数3〜8のトリオール(グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価以上の多価アルコール[ペンタエリスリトール、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、グルコース、フルクトース、ショ糖、ジペンタエリスリトール、ポリグリセリン(重合度2〜20)等]等}、及びこれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(重合度2〜30)等が挙げられる。
架橋剤(A’)の使用量は、電解液の吸液性の観点から、重合体(A1)中の活性水素含有基と、架橋剤(A’)中の反応性官能基の当量比が好ましくは、1:0.01〜1:2、より好ましくは1:0.02〜1:1となる量である。
架橋剤(A’)を用いて重合体(A1)を架橋する方法としては、リチウムイオン電池用負極活物質を重合体(A1)で被覆した後に架橋する方法が挙げられる。具体的には、リチウムイオン電池用負極活物質と重合体(A1)を含む樹脂溶液を混合し脱溶剤することにより、リチウムイオン電池用負極活物質が重合体(A1)で被覆された被覆負極活物質を製造した後に、架橋剤(A’)を含む溶液を該被覆負極活物質に混合して加熱することにより、脱溶剤と架橋反応を生じさせて、重合体(A1)が架橋剤(A’)によって架橋されて高分子化合物となる反応をリチウムイオン電池用負極活物質の表面で起こす方法が挙げられる。
加熱温度は、架橋剤としてポリエポキシ化合物(a’1)を用いる場合は70℃以上とすることが好ましく、ポリオール化合物(a’2)を用いる場合は120℃以上とすることが好ましい。
被覆層を構成する高分子化合物としては、ウレタン樹脂(B)が好ましい。
ウレタン樹脂(B)のうち、電解液に浸漬した際の吸液率が10%以上であり、飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上であるものがより好ましい。
ウレタン樹脂(B)は、活性水素成分(b1)及びイソシアネート成分(b2)を反応させて得られる樹脂である。
活性水素成分(b1)としては、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール及びポリエステルジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
ポリエーテルジオールとしては、ポリオキシエチレングリコール(以下PEGと略記)、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合ジオール、ポリオキシエチレンオキシテトラメチレンブロック共重合ジオール;EG、プロピレングリコール、14BG、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−ジフェニルプロパン等の低分子グリコールのエチレンオキサイド付加物;数平均分子量2,000以下のPEGと、ジカルボン酸[炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、炭素数8〜15の芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸等)等]の1種以上とを反応させて得られる縮合ポリエーテルエステルジオール;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルジオール中にオキシエチレン単位が含まれる場合、オキシエチレン単位の含有量は好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。
また、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール(以下PTMGと略記)、ポリオキシプロピレンオキシテトラメチレンブロック共重合ジオール等も挙げられる。
これらのうち、好ましくはPEG、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合ジオール及びポリオキシエチレンオキシテトラメチレンブロック共重合ジオールであり、より好ましくはPEGである。
また、ポリエーテルジオールを1種のみ用いてもよいし、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。
ポリカーボネートジオールとしては、例えばポリヘキサメチレンカーボネートジオールが挙げられる。
ポリエステルジオールとしては、低分子ジオール及び/又は数平均分子量1,000以下のポリエーテルジオールと前述のジカルボン酸の1種以上とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオールや、炭素数4〜12のラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオール等が挙げられる。上記低分子ジオールとして上記ポリエーテルジオールの項で例示した低分子グリコール等が挙げられる。上記数平均分子量1,000以下のポリエーテルジオールとしてはポリオキシプロピレングリコール、PTMG等が挙げられる。上記ラクトンとしては、例えばε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。該ポリエステルジオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチレンアジペートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリカプロラクトンジオール及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
また、活性水素成分(b1)は上記ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール及びポリエステルジオールのうちの2種以上の混合物であってもよい。
活性水素成分(b1)は数平均分子量2,500〜15,000の高分子ジオール(b11)を必須成分とすることが好ましい。高分子ジオール(b11)としては上述したポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール及びポリエステルジオール等が挙げられる。
高分子ジオール(b11)は、数平均分子量が2,500〜15,000であるとウレタン樹脂(B)の硬さが適度に柔らかく、また、負極活物質上に形成した被覆層の強度が強くなるため好ましい。
また、高分子ジオール(b11)の数平均分子量が3,000〜12,500であることがより好ましく、4,000〜10,000であることがさらに好ましい。
高分子ジオール(b11)の数平均分子量は、高分子ジオールの水酸基価から算出することができる。
また、水酸基価は、JIS K1557−1の記載に準じて測定できる。
また、活性水素成分(b1)が数平均分子量2,500〜15,000の高分子ジオール(b11)を必須成分とし、上記高分子ジオール(b11)の溶解度パラメータ(SP値)が8.0〜12.0(cal/cm1/2であることが好ましい。高分子ジオール(b11)のSP値は8.5〜11.5(cal/cm1/2であることがより好ましく、9.0〜11.0(cal/cm1/2であることがさらに好ましい。高分子ジオール(b11)のSP値が8.0〜12.0(cal/cm1/2であると、ウレタン樹脂(B)の電解液の吸液性の点で好ましい。
また、活性水素成分(b1)が数平均分子量2,500〜15,000の高分子ジオール(b11)を必須成分とし、上記高分子ジオール(b11)の含有量が上記ウレタン樹脂(B)の重量を基準として20〜80重量%であることが好ましい。高分子ジオール(b11)の含有量は30〜70重量%であることがより好ましく、40〜65重量%であることがさらに好ましい。
高分子ジオール(b11)の含有量が20〜80重量%であると、ウレタン樹脂(B)の電解液の吸液性の点で好ましい。
また、活性水素成分(b1)が数平均分子量2,500〜15,000の高分子ジオール(b11)及び鎖伸長剤(b13)を必須成分とすることが好ましい。
鎖伸長剤(b13)としては、例えば炭素数2〜10の低分子ジオール(例えばEG、プロピレングリコール、14BG、DEG、1,6−ヘキサメチレングリコール等);ジアミン類[炭素数2〜6の脂肪族ジアミン(例えばエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン等)、炭素数6〜15の脂環式ジアミン(例えばイソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等)、炭素数6〜15の芳香族ジアミン(例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン等)等];モノアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン等);ヒドラジン又はその誘導体(例えばアジピン酸ジヒドラジド等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは低分子ジオールであり、さらに好ましいものはEG、DEG及び14BGである。
高分子ジオール(b11)及び鎖伸長剤(b13)の組み合わせとしては、高分子ジオール(b11)としてのPEGと鎖伸長剤(b13)としてのEGの組み合わせ、又は、高分子ジオール(b11)としてのポリカーボネートジオールと鎖伸長剤(b13)としてのEGの組み合わせが好ましい。
また、活性水素成分(b1)が数平均分子量2,500〜15,000の高分子ジオール(b11)、上記高分子ジオール(b11)以外のジオール(b12)及び鎖伸長剤(b13)を含み、(b11)と(b12)との当量比[(b11)/(b12)]が10/1〜30/1であり、(b11)と(b12)及び(b13)の合計当量との当量比{(b11)/[(b12)+(b13)]}が0.9/1〜1.1/1であることが好ましい。
なお、(b11)と(b12)との当量比[(b11)/(b12)]はより好ましくは13/1〜25/1であり、さらに好ましくは15/1〜20/1である。
高分子ジオール(b11)以外のジオール(b12)としては、ジオールであって上述した高分子ジオール(b11)に含まれず、鎖伸長剤(b13)の炭素数2〜10の低分子ジオールに含まれないものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、数平均分子量が2,500未満のジオール、及び、数平均分子量が15,000を超えるジオールが挙げられる。
ジオールの種類としては、上述したポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール及びポリエステルジオール等が挙げられる。
イソシアネート成分(b2)としては、従来ウレタン樹脂製造に使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートには、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性体(カーボジイミド変性体、ウレタン変性体、ウレトジオン変性体等)及びこれらの2種以上の混合物が含まれる。
上記芳香族ジイソシアネートの具体例としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ジフェニルメタンジイソシアネートをMDIと略記)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
上記脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
上記芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは芳香族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートであり、より好ましいものは芳香族ジイソシアネートであり、さらに好ましいのはMDIである。
ウレタン樹脂(B)が高分子ジオール(b11)及びイソシアネート成分(b2)を含む場合、好ましい(b2)/(b11)の当量比は10/1〜30/1であり、より好ましくは11/1〜28/1であり、さらに好ましくは15/1〜25/1である。イソシアネート成分(b2)の比率が30当量を超えると硬い被覆層となる。
また、ウレタン樹脂(B)が高分子ジオール(b11)、鎖伸長剤(b13)及びイソシアネート成分(b2)を含む場合、(b2)/[(b11)+(b13)]の当量比は好ましくは0.9/1〜1.1/1、より好ましくは0.95/1〜1.05/1である。この範囲外の場合ではウレタン樹脂が充分に高分子量にならないことがある。
ウレタン樹脂(B)の数平均分子量は、40,000〜500,000であることが好ましく、より好ましくは50,000〜400,000であり、さらに好ましくは60,000〜300,000である。ウレタン樹脂(B)の数平均分子量が40,000未満では被覆層の強度が低くなり、500,000を超えると溶液粘度が高くなって、均一な被覆層が得られないことがある。
ウレタン樹脂(B)の数平均分子量は、ジメチルホルムアミド(以下DMFと略記)を溶剤として用い、ポリオキシプロピレングリコールを標準物質としてGPCにより測定される。サンプル濃度は0.25重量%、カラム固定相はTSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000[いずれも東ソー(株)製]を各1本連結したもの、カラム温度は40℃とすればよい。
ウレタン樹脂(B)は活性水素成分(b1)とイソシアネート成分(b2)を反応させて製造することができる。
例えば、活性水素成分(b1)として高分子ジオール(b11)と鎖伸長剤(b13)を用い、イソシアネート成分(b2)と高分子ジオール(b11)と鎖伸長剤(b13)とを同時に反応させるワンショット法や、高分子ジオール(b11)とイソシアネート成分(b2)とを先に反応させた後に鎖伸長剤(b13)を続けて反応させるプレポリマー法が挙げられる。
また、ウレタン樹脂(B)の製造は、イソシアネート基に対して不活性な溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒の存在下で行う場合の適当な溶媒としては、アミド系溶媒[DMF、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略記)等]、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、芳香族系溶媒(トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものはアミド系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒及びこれらの2種以上の混合物である。
ウレタン樹脂(B)の製造に際し、反応温度は公知のウレタン化反応に採用される温度と同じでよく、溶媒を使用する場合は20〜100℃が好ましく、無溶媒の場合は20〜220℃が好ましい。
反応を促進させるために必要により、公知のウレタン化反応に使用される触媒[例えばアミン系触媒(トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等)、錫系触媒(ジブチルチンジラウレート等)]を使用することができる。
また、必要により重合停止剤[例えば1価アルコール(エタノール、イソプロパノール、ブタノール等)、1価アミン(ジメチルアミン、ジブチルアミン等)等]を用いることもできる。
続いて、被覆層に含まれる導電剤について説明する。
被覆層に含まれる導電剤は、導電性を有する材料から選択される。
具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電剤の材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電剤の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.02〜5μmであることがより好ましく、0.03〜1μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電剤の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
導電剤の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている形態であってもよい。
導電剤は、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。
導電剤が導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1〜20μmであることが好ましい。
リチウムイオン電池用負極活物質の重量に対する高分子化合物と導電剤との合計重量の割合は、特に限定されるものではないが、2.1〜25重量%であることが好ましい。
リチウムイオン電池用被覆負極活物質の重量に対する高分子化合物の重量の割合は特に限定されるものではないが、0.1〜11重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがさらに好ましい。リチウムイオン電池被覆負極活物質の重量に対する導電剤の重量の割合は特に限定されるものではないが、2〜14重量%であることが好ましく、2〜12重量%であることがさらに好ましい。
被覆層に含まれる導電剤の重量に対する被覆層に含まれる高分子化合物の重量の割合は、特に限定されるものではないが、13〜500重量%であることが好ましく、13〜35重量%であることがより好ましい。被覆層に含まれる導電剤の重量に対する被覆層に含まれる高分子化合物の重量の割合が上記範囲であると、内部抵抗が低くなり好ましい。
被覆層の導電率は、0.0001〜10mS/cmであることが好ましく、0.01〜5mS/cmであることがより好ましい。
被覆層の導電率は、四端子法によって求めることができる。
被覆層の導電率が0.0001mS/cm以上であると、リチウムイオン電池の内部抵抗が高くなりすぎず、好ましい。
以下、上述した本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を製造する方法について説明する。
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質は、高分子化合物、導電剤及びリチウムイオン電池用負極活物質を混合することによって製造してもよく、高分子化合物と導電剤とを混合して被覆材を準備したのち、該被覆材とリチウムイオン電池用負極活物質とを混合することにより製造してもよい。
なお、リチウムイオン電池用負極活物質と高分子化合物と導電剤とを混合する場合、混合順序には特に制限はないが、リチウムイオン電池用負極活物質と高分子化合物とを混合した後、更に導電剤を加えて更に混合することが好ましい。
上記方法により、高分子化合物と導電剤を含む被覆層によってリチウムイオン電池用負極活物質の表面の少なくとも一部が被覆される。
上記のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を製造する方法において用いるリチウムイオン電池用負極活物質、高分子化合物及び導電剤としては、それぞれ本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質において説明したものを好適に用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質は、例えば、リチウムイオン電池用負極活物質を万能混合機に入れて30〜50rpmで撹拌した状態で、高分子化合物を含む高分子溶液を1〜90分かけて滴下混合し、さらに導電剤を混合し、撹拌したまま50〜200℃に昇温し、0.007〜0.04MPaまで減圧した後に10〜150分保持することにより得ることができる。
リチウムイオン電池用負極活物質と高分子化合物との配合比率は特に限定されるものではないが、重量比率でリチウムイオン電池用負極活物質:高分子化合物=1:0.001〜0.1であることが好ましい。
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を負極とする際は、リチウムイオン電池用被覆負極活物質及び導電材料を、分散媒(水、電解液又は溶剤)の重量に基づいて30〜60重量%の濃度で分散してスラリー化した分散液を、集電体にバーコーター等の塗工装置で塗布後、分散媒として水又は溶剤を用いた場合には乾燥することによって、分散媒として電解液を用いた場合には過剰の電解液をスポンジ等の吸収体に吸収させたり、メッシュを介して吸引することよって分散媒を除去して、必要によりプレス機でプレスすればよい。
上記分散液には、必要に応じてリチウムイオン電池用の負極に含まれる公知の電極用バインダ[ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等]を添加してもよいが、電極用バインダは添加しないことが好ましい。負極活物質として被覆負極活物質を用いていない従来公知のリチウムイオン電池用の負極においては、電極用バインダで負極活物質を負極内に固定することで導電経路を維持する必要がある。しかし、本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を用いた場合は、被覆層の働きによって負極活物質を負極内に固定することなく導電経路を維持することができるため、電極用バインダを添加する必要がない。電極用バインダを添加しないことによって、負極活物質が負極内に固定化されないため負極活物質の体積変化に対する緩和能力が更に良好となる。
なお、電極の製造に用いる導電材料は、被覆層が含む導電剤とは別であり、被覆活物質が有する被覆層の外部に存在し、活物質層中において被覆活物質表面からの電子伝導性を向上する機能を有する。
分散媒のうち、水としては、イオン交換水及び超純水等が挙げられる。
分散媒のうち、電解液としては、本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を含む負極を用いてリチウムイオン電池を作製する際に使用する電解液(後述する)と同じものを用いることができる。
分散媒のうち、溶剤としては、本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を含む負極を用いてリチウムイオン電池を作製する際に使用する電解液を構成する非水溶媒と同じものを用いることができ、これらの他にも、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルアミノプロピルアミン等を用いることができる。
集電体としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼及びニッケル等の金属箔、導電性高分子からなる樹脂集電体(特開2012−150905号公報等に記載されている)、導電性炭素シート及び導電性ガラスシート等が挙げられる。
電極用バインダとしてはデンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等が挙げられる。
電極の製造時にリチウムイオン電池用被覆負極活物質と共に用いられる導電材料としては、被覆層に含まれる導電剤と同じものを用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を含む負極を用いてリチウムイオン電池を作製する際には、対極となる電極を組み合わせて、セパレータと共にセル容器に収容し、電解液を注入し、セル容器を密封する方法等により製造することができる。
また、集電体の一方の面に正極を形成し、もう一方の面に負極を形成して双極型電極を作製し、双極型電極をセパレータと積層してセル容器に収容し、電解液を注入し、セル容器を密閉することでも得られる。
セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン製フィルムの微多孔膜、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等の公知のリチウムイオン電池用セパレータが挙げられる。
セル容器に注入する電解液としては、公知のリチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び非水溶媒を含有する公知の電解液を使用することができる。
電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF及びLiClO等の無機酸のリチウム塩、LiN(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO等の有機酸のリチウム塩等が挙げられる。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiPFである。
非水溶媒としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。
ラクトン化合物としては、5員環(γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等)及び6員環のラクトン化合物(δ−バレロラクトン等)等を挙げることができる。
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2−エトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン、2−トリフルオロエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン及び2−メトキシエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、DMF等が挙げられる。スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等が挙げられる。
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水溶媒の内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、更に好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、特に好ましいのは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。最も好ましいのはエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液である。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
<製造例1:被覆用高分子化合物とその溶液の作製>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコにDMF70.0部を仕込み75℃に昇温した。次いで、メタクリル酸ブチル20.0部、アクリル酸55.0部、メタクリル酸メチル22.0部、アリルスルホン酸ナトリウム3部及びDMF20部を配合したモノマー配合液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4部及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.8部をDMF10.0部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、80℃に昇温し反応を5時間継続し樹脂濃度50%の共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液はテフロン(登録商標)製のバットに移して120℃、0.01MPaで3時間の減圧乾燥を行ってDMFを留去し、被覆用高分子化合物を得た。
<製造例2:珪素系材料の作製>
珪素粒子(シグマ・アルドリッチジャパン社製、体積平均粒子径1.5μm)を横型加熱炉中に入れ、横型加熱炉内にメタンガスを通気しながら1100℃/1000Pa、平均滞留時間約2時間の化学蒸着操作を行い、炭素量2重量%で、表面が炭素で被覆された珪素系材料(体積平均粒子径1.5μm)を得た。
<実施例1>
[被覆負極活物質の作成]
炭素系材料である難黒鉛化性炭素粉末1(体積平均粒子径20μm)100部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、製造例1で得られた被覆用高分子化合物をイソプロパノールに19.8重量%の濃度で溶解して得られた被覆用高分子化合物溶液8.7部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電剤であるアセチレンブラック[電気化学工業(株)製 デンカブラック(登録商標)]5.2部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた粉体を目開き212μmの篩いで分級し、実施例1に係る被覆負極活物質(N−1)を得た。
<実施例2〜4>
被覆用高分子化合物溶液の固形分濃度及び部数、並びに、導電剤の部数のそれぞれを表1に記載したように変更したこと以外は実施例1と同様に行い、実施例2〜4に係る被覆負極活物質(N−2)〜(N−4)を得た。
なお、被覆用高分子化合物溶液の固形分濃度は、被覆用高分子化合物を溶解させるイソプロパノールの量を変更することで調整した。
<実施例5>
難黒鉛化性炭素粉末1(体積平均粒子径20μm)20部と製造例2で製造した珪素系材料80部とを、万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温720rpmで撹拌した状態で、製造例1で得られた被覆用高分子化合物をイソプロパノールに19.8重量%の濃度で溶解して得られた被覆用高分子化合物溶液8.7部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電剤であるアセチレンブラック[電気化学工業(株)製 デンカブラック(登録商標)]5.2部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた粉体を目開き212μmの篩いで分級し、実施例5に係る被覆負極活物質(N−5)を得た。
<実施例6>
炭素系材料及び珪素系材料の部数を表1に記載したように変更したこと以外は実施例5と同様に行い、実施例6に係る被覆負極活物質(N−6)を得た。
<比較例1〜3>
負極活物質の種類、被覆用高分子化合物溶液の固形分濃度及び部数、並びに、導電剤の部数のそれぞれを表1に記載したように変更したこと以外は実施例1と同様に行い、比較例1〜3に係る被覆負極活物質(N’−1)〜(N’−3)を得た。
<比較例4>
炭素系材料及び珪素系材料の部数のそれぞれを表1に記載したように変更したこと以外は実施例5と同様に行い、比較例4に係る被覆負極活物質(N’−4)を得た。
Figure 2017188452
表1中、難黒鉛化性炭素粉末1としては体積平均粒子径20μmの難黒鉛化性炭素粉末を用い、難黒鉛化性炭素粉末2としては体積平均粒子径5μmの難黒鉛化性炭素粉末を用いた。
被覆前の負極活物質である難黒鉛化性炭素粉末1〜2、導電剤であるアセチレンブラック、製造例2で得られた珪素系材料並びに実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた被覆負極活物質について、それぞれ下記の方法でBET比表面積を測定し、その値から被覆率を計算してそれぞれ表1に記載した。
被覆率(%)={1−[被覆負極活物質のBET比表面積/(未被覆時の負極活物質のBET比表面積×被覆負極活物質中に含まれる負極活物質の重量割合+導電剤のBET比表面積×被覆負極活物質中に含まれる導電剤の重量割合)]}×100
[BET比表面積の測定方法]
JIS Z8830 ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法に準じ、以下の装置と測定条件で測定した。
測定装置:マイクロメリテックス社 ASAP−2010
吸着ガス:N
死容積測定ガス:He
吸着温度:77K
測定前処理:100℃、10分間真空乾燥
測定モード:等温での吸着過程及び脱着過程
測定相対圧P/P0:約0〜0.99
平衡設定時間:1相対圧につき180sec
[被覆率の計算]
上記で得られたBET比表面積及び上記計算式を用いて被覆率を計算した。
アセチレンブラックのBET比表面積は67.7m/g、難黒鉛化性炭素粉末1のBET比表面積は3.43m/g、難黒鉛化性炭素粉末2のBET比表面積は3.84m/g、製造例2で得られた珪素系材料のBET比表面積は22.5m/gであり、実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた被覆負極活物質のBET比表面積は表1に記載のとおりであった。
[負極評価用リチウムイオン電池の作製]
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiPFを1mol/Lの割合で溶解させて作製したリチウムイオン電池用電解液20部と炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S−243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm]2部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで7分間混合し、続いて上記電解液50部と実施例1〜6又は比較例1〜4で得られた被覆負極活物質98部を追加した後、更にあわとり練太郎により2000rpmで1.5分間混合し、上記電解液25部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1分間行い、上記電解液50部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1.5分間混合して、負極活物質スラリーを作製した。
得られた負極活物質スラリーをそれぞれアラミドセパレータ[日本バイリーン(株)製]の片面に塗布し、10MPaの圧力で約10秒プレスし、厚さが約350μmの実施例1〜6及び比較例1〜4に係るリチウムイオン電池用負極を作製した。
端子(5mm×3cm)付き銅箔(3cm×3cm)とセパレータ(セルガード2500 PP製)(5cm×5cm)2枚と端子(5mm×3cm)付き銅箔(3cm×3cm)とを、同じ方向に2つの端子が出る向きで順に積層し、それを2枚の市販の熱融着型アルミラミネートフィルム(8cm×8cm)に挟み、端子の出ている1辺を熱融着し、負極評価用ラミネートセルを作製した。
次いで一方の銅箔とセパレータの間に実施例1〜6又は比較例1〜4に係るリチウムイオン電池用負極(3cm×3cm)を負極が有するアラミドセパレータとセパレータとが接する向きに挿入し、更に電極に電解液を70μL注液して電解液を電極に吸収させた。次いでセパレータ上に電解液を70μL注液した。
その後、セパレータと他方の銅箔との間にリチウム箔を挿入し、先に熱融着した1辺に直交する2辺をヒートシールした。その後、開口部から電解液を70μL注液し、真空シーラーを用いてセル内を真空にしながら開口部をヒートシールすることでラミネートセルを密封し、負極評価用リチウムイオン電池1〜6及び負極比較用リチウムイオン電池1〜4を得た。
以下の方法でレート特性、内部抵抗及びクーロン効率を測定し、結果を表2に記載した。
<リチウムイオン電池のレート特性の測定>
45℃下、充放電測定装置「HJ−SD8」[北斗電工(株)製]を用いて以下の方法により負極評価用リチウムイオン電池1〜6及び負極比較用リチウムイオン電池1〜4の評価を行った。
定電流定電圧充電方式(CCCVモードともいう)で0.1Cの電流で10mVまで放電し、その後10分間の休止した後、0.1Cの電流で1.5Vまで充電した。
次いで、0.1Cの電流で10mVまで放電し、10分間休止した後、1.0Cの電流で1.5Vまで充電した。
その後、10分間休止した後0.5Cで1.5Vまで充電し、その後10分間休止した後に続けて0.2Cで1.5Vまで充電し、更に10分間休止した後に引き続き0.1Cの電流で1.5Vまでの充電を行った。
1.0Cの電流で1.5Vまで充電した時の充電容量と、最後に0.1Cの電流で1.5Vまで充電を行った時の充電容量から以下の式でレート特性(0.1Cでの充電容量と1.0Cでの充電容量の比率)を算出した。なお、レート特性の値が大きいほど容量の低下が少なく優れた電池特性を有することを意味する。
[レート特性(%)]=[1.0Cにおける充電容量]÷[0.1Cにおける充電容量]×100
<リチウムイオン電池の内部抵抗の測定>
上記のレート特性の測定と同様にして1.0Cにおける充電0秒後の電圧及び電流並びに1.0Cにおける充電10秒後の電圧及び電流を測定し、以下の式で内部抵抗を算出した。内部抵抗が小さいほど優れた電池特性を有することを意味する。
なお、充電0秒後の電圧とは、充電したと同時に計測される電圧(充電時電圧ともいう)である。
[内部抵抗(Ω)]=[(1.0Cにおける充電0秒後の電圧)−(1.0Cにおける充電10秒後の電圧)]÷[(1.0Cにおける充電0秒後の電流)−(1.0Cにおける充電10秒後の電流)]
<リチウムイオン電池のクーロン効率の評価>
上記のレート特性の測定で得られた0.1Cにおける初回の充電容量と0.1Cにおける初回の放電容量とを用い、以下の式でクーロン効率を算出した。クーロン効率が高いほど優れた電池特性を有することを意味する。
クーロン効率(%)=(0.1Cにおける初回の充電容量)÷(0.1Cにおける初回の放電容量)×100
Figure 2017188452
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を用いたリチウムイオン電池は特にレート特性に優れることがわかる。
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター、ハイブリッド自動車及び電気自動車用に用いられる双極型二次電池用及びリチウムイオン二次電池用等の負極活物質として有用である。

Claims (4)

  1. リチウムイオン電池用負極活物質が有する表面の少なくとも一部を高分子化合物と導電剤とを含む被覆層で被覆してなるリチウムイオン電池用被覆負極活物質であって、下記の計算式で得られる被覆率が10〜45%であることを特徴とするリチウムイオン電池用被覆負極活物質。
    被覆率(%)={1−[被覆負極活物質のBET比表面積/(未被覆時の負極活物質のBET比表面積×被覆負極活物質中に含まれる負極活物質の重量割合+導電剤のBET比表面積×被覆負極活物質中に含まれる導電剤の重量割合)]}×100
  2. 前記リチウムイオン電池用被覆負極活物質の重量に対する前記高分子化合物の重量の割合が0.1〜11重量%であり、前記リチウムイオン電池用被覆負極活物質の重量に対する前記導電剤の重量の割合が2〜14重量%である請求項1に記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質。
  3. 前記高分子化合物は、(メタ)アクリル酸(a11)、下記一般式(1)で示されるエステル化合物(a21)、炭素数1〜3の1価の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物(a3)及び重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体の塩(a4)を含んでなる単量体組成物を重合してなり、前記エステル化合物(a21)と前記(メタ)アクリル酸(a11)の重量比[前記エステル化合物(a21)/前記(メタ)アクリル酸(a11)]が10/90〜90/10である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質。
    CH=C(R)COOR (1)
    [Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数4〜12の直鎖又は分岐アルキル基である。]
  4. 前記被覆層に含まれる前記導電剤の重量に対する前記被覆層に含まれる前記高分子化合物の重量の割合が13〜500重量%である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質。
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