以下、図面を参照して本発明の実施の形態における復水器について説明する。
(第1の実施の形態)
まず、図1乃至図3を用いて、本発明の第1の実施の形態における復水器について説明する。ここで、復水器は、蒸気タービンから排出される排出蒸気を冷却媒体によって凝縮するためのものである。復水器は、図示しないが、複数並列に連結されて複合復水器を構成する場合もある。なお、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件等の程度を特定する、例えば、「水平」、「垂直」等の用語等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1および図2に示すように、復水器10は、筐体11と、蒸気タービン1から排出される排出蒸気が流入する一対の蒸気流入口12A、12Bと、筐体11内に設けられ、各々が複数の伝熱管23を有する一対の管群構成体20A、20Bと、を備えている。このうち伝熱管23には、排出蒸気を冷却して排出蒸気(より詳細には排出蒸気に含まれる水蒸気)を凝縮させるための冷却媒体(以下、冷却媒体の一例としての冷却水と記す)が通流するようになっている。
図1に示すように、筐体11を側面から見たときに、筐体11の両側には水室13A、13Bが設けられている。一方の水室13Aには、冷却水が外部から流入する冷却水入口14が設けられており、他方の水室13Bには、冷却水を外部に排出する冷却水出口15が設けられている。
図2に示すように、筐体11は、互いに対向する一対の側壁16A、16Bを有している。図1においては、一方の側壁16Aが示されており、当該一方の側壁16Aの裏に、他方の側壁16Bが存在している。
図2に示すように、一対の蒸気流入口12A、12Bは、筐体11の上部に設けられている。一対の蒸気流入口12A、12Bのうちの一方の蒸気流入口12Aは、筐体11の一対の側壁16A、16Bのうちの一方の側壁16Aから筐体11の内側に延び、他方の蒸気流入口12Bは、他方の側壁16Bから内側に延びている。より具体的には、図2において、左側の蒸気流入口12Aは、左側の側壁16Aから右側に延び、右側の蒸気流入口12Bは、右側の側壁16Bから左側に延びている。本実施の形態では、この図2における左右方向を、言い換えると復水器10を正面から見たときの横方向を幅方向とする。なお、各蒸気流入口12A、12Bは、図2の紙面に垂直な方向にも延びている。
ここで、蒸気流入口12A、12Bは、蒸気タービン1から排出された排出蒸気が、復水器10の筐体11内に流入する際に通過する開口を意味している。例えば、図2に示すように、蒸気タービン1のタービンケーシング2内に設けられた最終段落の動翼3を通過した排出蒸気の流れを案内するディフューザ4の先端と、復水器10の筐体11の側壁16A、16Bとの間に形成される開口とすることができる。なお、タービンケーシング2の側壁16A、16Bは、復水器10の筐体11の側壁16A、16Bから連続するように形成されている。また、例えば、図示しないが、復水器10の筐体11の上部に、蒸気タービン1の下方に位置する上壁が設けられる場合には、この上壁と各側壁16A、16Bとの間に開口を設けて、この開口を蒸気流入口12A、12Bとすることもできる。
次に、管群構成体20A、20Bについて説明する。
一対の管群構成体20A、20Bは、蒸気流入口12A、12Bの下方に設けられている。一対の管群構成体20A、20Bのうちの一方の管群構成体20Aは、筐体11の一対の側壁16A、16Bのうちの一方の側壁16Aの側に配置され、他方の管群構成体20Bは、他方の側壁16Bの側に配置されている。より具体的には、図2において、左側の管群構成体20Aが左側の側壁16Aの側に配置され、右側の管群構成体20Bが右側の側壁16Bの側に配置されている。言い換えると、筐体11の幅方向において、一対の管群構成体20A、20Bは、一対の側壁16A、16Bの間に配置され、水平方向に並設されている。
各管群構成体20A、20Bは、上部管群21A、21Bと、上部管群21A、21Bの下方に配置された下部管群22A、22Bと、をそれぞれ有している。上部管群21A、21Bおよび下部管群22A、22Bは、伝熱管23の長手方向に垂直な断面で見たときに(図2のようにして見たときに)、矩形状に形成されており、上部管群21A、21Bと、これに対応する下部管群22A、22Bとは、互いに離間している。各上部管群21A、21Bおよび各下部管群22A、22Bは、上述した複数の伝熱管23をそれぞれ有している。各伝熱管23は、筐体11の側壁16A、16Bに沿う方向に水平方向に(図2の紙面に垂直な方向に)延びている。より詳細には、蒸気タービン1のタービンロータ(図示せず)は、筐体11の側壁16A、16Bに垂直な方向であって水平方向に延びており、各伝熱管23は、上方から見た場合に、タービンロータの長手方向とは直交する方向に延びている。また、各伝熱管23は、上下方向に延びる管板(図示せず)を貫通し、当該管板に支持されている。管板は、伝熱管23の長手方向(図1における左右方向)の両端部に設けられており、上述した水室13A、13Bと筐体11内の空間とを区画している。
各管群構成体20A、20Bの上部管群21A、21Bと、当該上部管群21A、21Bに対応する側壁16A、16Bとの間には、W1で示す隙間が形成されており、当該上部管群21A、21Bに対応する下部管群22A、22B(当該上部管群21A、21Bの下方に配置された下部管群22A、22B)と当該側壁16A、16Bとの間には、W2で示す隙間が形成されている。隙間W1は、隙間W2よりも小さくなっている。より具体的には、図2において、左側の上部管群21Aと左側の側壁16Aとの間の隙間W1が、左側の下部管群22Aと左側の側壁16Aとの間の隙間W2よりも小さくなっており、右側の上部管群21Bと右側の側壁16Bとの間の隙間W1が、右側の下部管群22Bと右側の側壁16Bとの間の隙間W2よりも小さくなっている。ここで、隙間W1は、上部管群21A、21Bと、対応する側壁16A、16Bとの間に形成される空間(排出蒸気の流路)の幅方向寸法に相当し、隙間W2は、下部管群22A、22Bと、対応する側壁16A、16Bとの間に形成される空間(排出蒸気の流路)の幅方向寸法に相当する。なお、左側の隙間W1と右側の隙間W1とは同一であることに限られず、左側の隙間W2と右側の隙間W2とは同一であることには限られない。
また、各管群構成体20A、20Bの上部管群21A、21Bと、当該上部管群21A、21Bに対応する側壁16A、16Bとの間の隙間W1は、当該側壁16A、16Bから延びる蒸気流入口12A、12Bの幅W3よりも小さくなっている。より具体的には、図2において、左側の上部管群21Aと左側の側壁16Aとの間の隙間W1が、左側の蒸気流入口12Aの幅W3よりも小さくなっており、右側の上部管群21Bと右側の側壁16Bとの間の隙間W1が、右側の蒸気流入口12Bの幅W3よりも小さくなっている。なお、左側の幅W3と右側の幅W3とは同一であることには限られない。
図2に示すように、各管群構成体20A、20Bは、複数の上下方向流路24(山型流路)を有している。上下方向流路24は、伝熱管23の長手方向に垂直な断面で見たときに、管群構成体20A、20Bの上縁(外縁のうちの上側の部分)のうち、当該管群構成体20A、20Bの中心よりも当該管群構成体20A、20Bに対応する側壁16A、16Bの側の部分から下方に延びている。本実施の形態においては、上下方向流路24は、各上部管群21A、21Bに設けられている。より具体的には、図2において、左側の上部管群21Aに設けられた上下方向流路24は、左側の上部管群21Aの上縁のうちの左側の部分から延びており、右側の上部管群21Bに設けられた上下方向流路24は、右側の上部管群21Bの上縁のうちの右側の部分から延びている。
また、各管群構成体20A、20Bは、複数の放射方向流路25(フレア型流路)を更に有している。放射方向流路25は、伝熱管23の長手方向に垂直な断面で見たときに、管群構成体20A、20Bの中心に向かって、当該管群構成体20A、20Bの外縁から延びるように形成されている。本実施の形態においては、放射方向流路25は、管群構成体20A、20Bの外縁のうち、当該管群構成体20A、20Bの中心よりも他方の管群構成体20A、20Bの側の部分と、当該中心よりも当該管群構成体20A、20Bに対応する側壁16A、16Bの側の部分であって下部管群22A、22Bの部分と、から、当該管群構成体20A、20Bの中心に向かって延びている。本実施の形態においては、放射方向流路25は、各上部管群21A、21Bおよび各下部管群22A、22Bにそれぞれ設けられている。より具体的には、図2において、左側の上部管群21Aに設けられた放射方向流路25は、左側の上部管群21Aの上縁のうちの右側の部分と、右側縁と、から延びている。右側の上部管群21Bに設けられた放射方向流路25は、右側の上部管群21Bの上縁のうちの左側の部分と、左側縁と、から延びている。また、左側の下部管群22Aに設けられた放射方向流路25は、左側の下部管群22Aの右側縁と、下縁と、左側縁と、から延びている。右側の下部管群22Bに設けられた放射方向流路25は、右側の下部管群22Bの左側縁と、下縁と、右側縁と、から延びている。
各管群構成体20A、20B内において排出蒸気に含まれる水蒸気が凝縮することにより不凝縮ガスの濃度が高められた排出蒸気は、復水器10の外部に排出されるようになっている。すなわち、復水器10内に、不凝縮ガスの濃度が高められた排出蒸気を抽出するガス抽出ダクト30が設けられており、ガス抽出ダクト30のガス抽出口31が、各上部管群21A、21Bの内部および各下部管群22A、22Bの内部にそれぞれ設けられている。このうち上部管群21A、21Bに設けられたガス抽出口31は、図2における断面では上部管群21A、21Bの中心付近または中心よりも下側に配置されることが好適である。下部管群22A、22Bに設けられたガス抽出口31は、下部管群22A、22Bの中心付近または中心よりも上側に配置されていることが好適である。ガス抽出ダクト30には、図示しないガス抽出装置(例えば、真空ポンプ)が連結されている。このガス抽出装置によって、管群構成体20A、20B内の不凝縮ガスの濃度が高められた排出蒸気が、ガス抽出ダクト30を介して抽出され、復水器10の外部に排出されるようになっている。
図3に示すように、各管群構成体20A、20Bを構成する伝熱管23の配列ピッチは、管群構成体20A、20Bの外縁の側と中心の側とで異なっていることが好適である。本実施の形態においては、各管群構成体20A、20Bの外縁の側において互いに隣り合う伝熱管23の配列ピッチは、当該管群構成体20A、20Bの中心の側において互いに隣り合う伝熱管23の配列ピッチよりも大きくなっている。例えば、図3に示すように、伝熱管23の水平方向(x方向)の配列ピッチを、管群構成体20A、20Bの中心から外縁に向かって、x1、x2、x3(x1<x2<x3)と、段階的に大きくするようにしてもよい。この場合、管群構成体20A、20Bの中心の側で、伝熱管23の配列ピッチがx1となり、管群構成体20A、20Bの左側縁および右側縁の側で、伝熱管23の配列ピッチがx3となる。また、図3に示すように、伝熱管23の上下方向(y方向)の配列ピッチを、管群構成体20A、20Bの中心から外縁に向かって、y1、y2、y3(y1<y2<y3)と、段階的に大きくするようにしてもよい。この場合、管群構成体20A、20Bの中心の側で、伝熱管23の配列ピッチがy1となり、管群構成体20A、20Bの上縁および下縁の側で、伝熱管23の配列ピッチがy3となる。すなわち、図3に示す原点Oは、伝熱管23の長手方向に垂直な断面における管群構成体20A、20Bの中心に相当し、図3に示す伝熱管23は、管群構成体20A、20Bを上下左右に4分割した場合の右上側の領域に相当し、他の領域は、これと対称的な伝熱管23の配列となる。
図2に示すように、上部管群21A、21Bと、当該上部管群21A、21Bに対応する下部管群22A、22Bとの間には、当該上部管群21A、21Bと当該下部管群22A、22Bとの間に形成された中央流路32を流れる排出蒸気が、ガス抽出口31に向かうことを防止するイナンデーション防止板33が設けられている。このイナンデーション防止板33は、伝熱管23に沿う方向に延びており、各管群構成体20A、20Bに2つずつ設けられている。2つの対となるイナンデーション防止板33は、筐体11の幅方向においてガス抽出口31の両側に配置されている。
筐体11の底部には、ホットウェル34が設けられている。ホットウェル34は、管群構成体20A、20Bの下部管群22A、22Bの下方に設けられており、各管群構成体20A、20B内で凝縮した凝縮水(復水)を貯留する。ホットウェル34に貯留された復水は、後述する給水加熱器35に供給される。
蒸気流入口12A、12Bと管群構成体20A、20Bとの間には、給水加熱器35が設けられている。この給水加熱器35は、ホットウェル34から供給された復水を加熱する。より具体的には、給水加熱器35は、復水が通流する円筒状の給水加熱管36を有しており、この給水加熱管36が、伝熱管23に沿う方向であって水平方向に(図2における紙面に垂直な方向に)延びている。復水は、この給水加熱管36を通流する際に、蒸気流入口12A、12Bから流入した排出蒸気と熱交換を行い、加熱される。このように、復水器10の筐体11内に給水加熱器35を設けることにより、発電プラントの省スペース化と構造の簡素化を図っている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について、説明する。
蒸気タービン1から排出された排出蒸気は、復水器10の筐体11の上部に設けられた蒸気流入口12A、12Bを通って筐体11内に流入する。筐体11内に流入した排出蒸気は、筐体11内を流下し、管群構成体20A、20Bの周囲を流れる。管群構成体20A、20Bの周囲では、排出蒸気は、主として、2つの管群構成体20A、20Bの間に形成された中央流路32を通って流下し、下部管群22A、22Bの下方の空間において、下部管群22A、22Bの周囲を回り込むように流れる。この間、排出蒸気は、管群構成体20A、20Bの周囲を流れながら、徐々に管群構成体20A、20B内に流入する。
排出蒸気が管群構成体20A、20B内に流入する際、上部管群21A、21Bの外縁から内部に流入するとともに、下部管群22A、22Bの外縁から内部に流入する。本実施の形態では、管群構成体20A、20Bの外縁の側における伝熱管23の配列ピッチが、当該管群構成体20A、20Bの中心の側における伝熱管23の配列ピッチよりも大きくなっている。このことにより、上部管群21A、21Bの外縁および下部管群22A、22Bの外縁から、排出蒸気はスムースに流入し、ガス抽出口31に向かって流れることができる。このため、流入する排出蒸気に圧力損失が生じることを抑制できるとともに、流入する排出蒸気の流速を低減することができる。
上部管群21A、21B内および下部管群22A、22B内に流入した排出蒸気は、伝熱管23の周囲を流れる。一方、冷却水入口14から、一方の水室13A、伝熱管23および他方の水室13Bを介して冷却水出口15に向かって冷却水が流れている。このことにより、排出蒸気は冷却水と熱交換して冷却される。このため、排出蒸気に含まれる水蒸気が潜熱を奪われて凝縮し、凝縮水が生成される。生成された凝縮水は落下して、筐体11の底部に設けられたホットウェル34に復水として貯留される。上部管群21A、21B内および下部管群22A、22B内の排出蒸気は、ガス抽出口31に向かって流れる間に更に凝縮され、不凝縮ガスの濃度が高められる。不凝縮ガスの濃度が高められた排出蒸気はガス抽出口31に抽出され、ガス抽出ダクト30を通って復水器10の外部に排出される。
ところで、復水器10の筐体11内に流入する排出蒸気の流速は、図2に示すように、筐体11の側壁16A、16Bの近傍で大きくなっている。このことにより、筐体11内を流下する排出蒸気の多くは、大きな流速で、側壁16A、16Bに沿って流下する。
しかしながら、本実施の形態では、上部管群21A、21Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W1が、対応する下部管群22A、22Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W2よりも小さくなっている。このことにより、上部管群21A、21Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W1が小さくなり、筐体11内を側壁16A、16Bの近傍で流下する排出蒸気が、上部管群21A、21Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W1を通って更に流下することが抑制される。また、上部管群21A、21Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W1が、対応する蒸気流入口12A、12Bの幅W3よりも小さくなっている。このことにより、蒸気流入口12A、12Bから流入した排出蒸気が、上部管群21A、21Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W1に向かって直線的に流下することが抑制される。このようにして、側壁16A、16Bの近傍で流下した排出蒸気は、上部管群21A、21Bの上縁に向かう。
本実施の形態では、上部管群21A、21Bの上縁のうちの側壁16A、16Bの側の部分に上下方向流路24が設けられている。このことにより、側壁16A、16Bの近傍を流れる大きな流速の排出蒸気は、上下方向流路24を通って上部管群21A、21B内にスムースに流入することができる。このため、上部管群21A、21B内に流入する際に圧力損失が生じることを抑制できるとともに、上部管群21A、21B内の排出蒸気の流れが滞留することを抑制できる。この場合、上部管群21A、21B内に流入した排出蒸気を、当該上部管群21A、21B内に設けられたガス抽出口31に向かってスムースに流すことができ、不凝縮ガスの濃度が高まった排出蒸気が、上部管群21A、21Bのうちの不所望の箇所で滞留することを抑制できる。
ここで、圧力損失が生じると排出蒸気に含まれる水蒸気の分圧が低下するという問題がある。また、不凝縮ガスの濃度が高まると不凝縮ガスの分圧が増大し、水蒸気の分圧が低下するという問題もある。水蒸気の分圧が低下すると、水蒸気が凝縮するときの温度である水蒸気の飽和温度が低下し、水蒸気の温度と冷却水の温度との差が小さくなり、凝縮性能が低下し得る。しかしながら、本実施の形態によれば、上述したように圧力損失が生じることを抑制できるとともに、不凝縮ガスの濃度が高められた排出蒸気の滞留を抑制できるため、水蒸気の分圧の低下を抑制できる。このため、凝縮性能を向上させることができる。
また、上部管群21A、21Bおよび下部管群22A、22Bのうちの放射方向流路25が設けられている部分では、排出蒸気の流れは、上部管群21A、21Bおよび下部管群22A、22Bの周囲を回り込むような流れとなる。このことにより、排出蒸気は、放射方向流路25を通って上部管群21A、21B内および下部管群22A、22B内にスムースに流入することができる。このため、上部管群21A、21B内および下部管群22A、22B内に流入する際に圧力損失が生じることを抑制できるとともに、上部管群21A、21B内および下部管群22A、22B内の排出蒸気の流れが滞留することを抑制できる。この場合、上部管群21A、21B内および下部管群22A、22B内に流入した排出蒸気を、上部管群21A、21B内および下部管群22A、22B内に設けられたガス抽出口31に向かってスムースに流すことができ、不凝縮ガスの濃度が高まった排出蒸気が、上部管群21A、21Bおよび下部管群22A、22Bのうちの不所望の箇所で滞留することを抑制できる。
なお、上部管群21A、21Bとこれに対応する下部管群22A、22Bとの間には、上述したイナンデーション防止板33が設けられている。このことにより、ガス抽出口31に向かう排出蒸気が、上部管群21A、21Bと下部管群22A、22Bとの間の隙間を通って流れることを防止できる。このため、水蒸気の凝縮が不十分な排出蒸気がガス抽出口31に向かうことを防止でき、凝縮性能を向上させることができる。
このように本実施の形態によれば、上部管群21A、21Bと、当該上部管群21A、21Bに対応する側壁16A、16Bとの間の隙間W1は、当該上部管群21A、21Bに対応する下部管群22A、22Bと当該側壁16A、16Bとの間の隙間W2よりも小さくなっている。このことにより、筐体11内を流下する排出蒸気が、上部管群21A、21Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W1を通って流下することを抑制できる。とりわけ、筐体11の側壁16A、16Bの近傍で流速が大きくなる場合には、上部管群21A、21Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W1を通って流下する排出蒸気の流量を効果的に低減することができる。このため、筐体11内を流下する排出蒸気を、上部管群21A、21B内にスムースに流入させることができ、復水器10の凝縮性能を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、各管群構成体20A、20Bの上部管群21A、21Bと、当該上部管群21A、21Bに対応する側壁16A、16Bとの間の隙間W1は、当該側壁16A、16Bから延びる蒸気流入口12A、12Bの幅W3よりも小さくなっている。このことにより、蒸気流入口12A、12Bから流入した排出蒸気が、上部管群21A、21Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W1に向かって直線的に流下することを抑制できる。このため、排出蒸気が、上部管群21A、21Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W1を通って流下することをより一層抑制でき、復水器10の凝縮性能をより一層向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、管群構成体20A、20Bは、当該管群構成体20A、20Bの上縁のうち、対応する側壁16A、16Bの側の部分から下方に延びる上下方向流路24を有している。このことにより、側壁16A、16Bの近傍を流下する大きな流速の排出蒸気を、上下方向流路24によって上部管群21A、21B内にスムースに流入させることができる。このため、復水器10の凝縮性能をより一層向上させることができる。また、上下方向流路24に排出蒸気を流入させることにより、排出蒸気の流速を受けて上部管群21A、21Bの伝熱管23が振動することを抑制でき、伝熱管23の破損の可能性を低減して信頼性の向上を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、管群構成体20A、20Bは、管群構成体20A、20Bの中心に向かって、管群構成体20A、20Bの外縁から延びる放射方向流路25を有している。このことにより、上部管群21A、21Bおよび下部管群22A、22Bの周囲を回り込むように流れている排出蒸気を、放射方向流路25によって上部管群21A、21B内および下部管群22A、22B内にスムースに流入させることができる。このため、復水器10の凝縮性能をより一層向上させることができる。
さらに、本実施の形態によれば、管群構成体20A、20Bの外縁の側において互いに隣り合う伝熱管23の配列ピッチは、管群構成体20A、20Bの中心の側において互いに隣り合う伝熱管23の配列ピッチよりも大きくなっている。このことにより、管群構成体20A、20Bの外縁の側において伝熱管23の周囲を流れる排出蒸気の流速を低減することができるとともに、圧力損失を低減することができる。また、排出蒸気の流速を受けて伝熱管23が振動することを抑制でき、伝熱管23の破損の可能性を低減して信頼性向上を図ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図4を用いて、本発明の第2の実施の形態における復水器について説明する。
図4に示す第2の実施の形態においては、蒸気流入口と管群構成体との間に一対の保護部材が設けられ、保護部材の幅が、蒸気流入口の幅よりも大きくなっている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図4において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図4に示すように、蒸気流入口12A、12Bと管群構成体20A、20Bの上部管群21A、21Bとの間に、一対の保護部材40A、40Bが設けられている。保護部材40A、40Bは、蒸気流入口12A、12Bから流入して流下する排出蒸気を受けて、この排出蒸気を、2つの管群構成体20A、20Bの間に設けられた中央流路32に案内する。一対の保護部材40A、40Bのうちの一方の保護部材40Aは、一方の管群構成体20Aの上部管群21Aの上方に配置されるとともに、他方の保護部材40Bは、他方の管群構成体20Bの上部管群21Bの上方に配置されている。各保護部材40A、40Bは、対応する側壁16A、16Bから筐体11の内側に向かって延びている。より具体的には、図4において、左側の保護部材40Aは、左側の上部管群21Aの上方に配置されて、左側の側壁16Aから右側に向かって水平方向に延びている。一方、右側の保護部材40Bは、右側の上部管群21Bの上方に配置されて、右側の側壁16Bから左側に向かって水平方向に延びている。なお、各保護部材40A、40Bは、対応する蒸気流入口12A、12Bよりも対応する上部管群21A、21Bに近づいて配置されていることが好適であり、とりわけ図4に示すように対応する上部管群21A、21Bの近傍に配置されていることが好適である。
保護部材40A、40Bの構成は、特に限られることはないが、例えば、伝熱管23に沿う方向であって水平方向に(図4の紙面に垂直な方向に)延びる複数の保護管41を水平方向に並設して構成してもよい。これ以外にも、例えば、丸棒や角材を並設してもよく、あるいは、板状の部材によって連続的に構成してもよい。また、保護部材40A、40Bは、排出蒸気の一部を通過させるように構成されていてもよい。例えば、保護部材40A、40Bが保護管41によって構成されている場合には、複数の保護管41を離間して並設するようにしてもよく、板状の部材によって構成されている場合には、板状の部材に排出蒸気の一部が通過する孔を設けてもよい。このように排出蒸気の一部を通過させる場合には、保護部材40A、40Bが排出蒸気から受ける力を低減することができ、保護部材40A、40Bの破損の可能性を低減して信頼性向上を図ることができる。
図4に示すように、保護部材40A、40Bの幅W4は、当該保護部材40A、40Bに対応する蒸気流入口12A、12Bの幅W3よりも大きくなっている。より具体的には、図4において、左側の保護部材40Aの幅W4は、左側の蒸気流入口12Aの幅W3よりも大きく、右側の保護部材40Bの幅W4は、右側の蒸気流入口12Bの幅W3よりも大きくなっている。なお、左側の幅W4と右側の幅W4とは同一であることに限られない。
このように本実施の形態によれば、上部管群21A、21Bの上方に設けられた保護部材40A、40Bの幅W4が、当該保護部材40A、40Bに対応する蒸気流入口12A、12Bの幅W3よりも大きくなっている。このことにより、蒸気流入口12A、12Bから流下する排出蒸気を保護部材40A、40Bで受けて、2つの管群構成体20A、20Bの間に設けられた中央流路32に案内することができる。このため、蒸気流入口12A、12Bから流入した排出蒸気が、上部管群21A、21Bに直線的に流下することを抑制できる。また、保護部材40A、40Bが排出蒸気の流速を受けて、上部管群21A、21Bの伝熱管23が振動することを抑制できる。この結果、保護部材40A、40Bが上部管群21A、21Bを保護することができ、伝熱管23の破損の可能性を低減して信頼性の向上を図ることができる。また、蒸気流入口12A、12Bから流下した排出蒸気を中央流路32に案内することができるため、管群構成体20A、20Bに流入する排出蒸気を、管群構成体20A、20Bの周囲で均等化させることができる。このため、管群構成体20A、20B内を流れる排出蒸気の流量を均等化させることができ、凝縮性能をより一層向上させることができる。
(第3の実施の形態)
次に、図5を用いて、本発明の第3の実施の形態における復水器について説明する。
図5に示す第3の実施の形態においては、蒸気流入口と管群構成体との間に一対の給水加熱管が設けられ、給水加熱管と側壁との間の隙間が、蒸気流入口の幅よりも小さくなっている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図5において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図5に示すように、給水加熱器35は、一対の給水加熱管36A、36Bを有している。一対の給水加熱管36A、36Bのうちの一方の給水加熱管36Aは、一方の側壁16Aの側に配置され、他方の給水加熱管36Bは、他方の側壁16Bの側に配置されている。より具体的には、図5において、左側の給水加熱管36Aが左側の側壁16Aの側に配置され、右側の給水加熱管36Bが右側の側壁16Bの側に配置されている。言い換えると、筐体11の幅方向において、一対の給水加熱管36A、36Bは、一対の側壁16A、16Bの間に配置され、水平方向に並設されている。
給水加熱管36A、36Bと、当該給水加熱管36A、36Bに対応する側壁16A、16Bとの間には、W5で示す隙間が形成されている。この隙間W5は、蒸気流入口12A、12Bの幅W3よりも小さくなっている。より具体的には、図5において、左側の給水加熱管36Aと左側の側壁16Aとの間の隙間W5は、左側の蒸気流入口12Aの幅W3よりも小さく、右側の給水加熱管36Bと右側の側壁16Bとの間の隙間W5は、右側の蒸気流入口12Bの幅W3よりも小さくなっている。ここで、隙間W5は、給水加熱管36A、36Bと、対応する側壁16A、16Bとの間に形成される空間(排出蒸気の流路)の幅方向寸法に相当する。なお、左側の隙間W5と右側の隙間W5とは同一であることに限られない。
このように本実施の形態によれば、蒸気流入口12A、12Bと管群構成体20A、20Bの上部管群21A、21Bとの間に円筒状の一対の給水加熱管36A、36Bが設けられ、給水加熱管36A、36Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W5が、当該給水加熱管36A、36Bに対応する蒸気流入口12A、12Bの幅W3よりも小さくなっている。このことにより、蒸気流入口12A、12Bから流入した排出蒸気のうちの流速が大きい排出蒸気を、給水加熱管36A、36Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W5を通すことができ、当該排出蒸気を、コアンダ効果によって、給水加熱管36A、36Bの円筒状の表面に沿って流すことができる。このため、蒸気流入口12A、12Bから流入した排出蒸気が、上部管群21A、21Bに直線的に流下することを抑制でき、排出蒸気の流速を受けて上部管群21A、21Bの伝熱管23が振動することを抑制できる。この結果、伝熱管23の破損の可能性を低減して信頼性の向上を図ることができる。また、蒸気流入口12A、12Bから流下した排出蒸気の流れを中央流路32に向けることができるため、管群構成体20A、20Bに流入する排出蒸気を、管群構成体20A、20Bの周囲で均等化させることができる。このため、管群構成体20A、20B内を流れる排出蒸気の流量を均等化させることができ、凝縮性能をより一層向上させることができる。さらに、図5に示す復水器10に、図4に示すような保護部材40A、40Bを設けてもよいが、保護部材40A、40Bを設けることを不要にすることもでき、この場合であっても排出蒸気の圧力損失の増大を抑制することができる。
(第4の実施の形態)
次に、図6を用いて、本発明の第4の実施の形態における復水器について説明する。
図6に示す第4の実施の形態においては、蒸気流入口と管群構成体との間に一対の湾曲部材が設けられ、湾曲部材と側壁との間の隙間が、蒸気流入口の幅よりも小さくなっている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図6において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図6に示すように、蒸気流入口12A、12Bと管群構成体20A、20Bとの間に、一対の湾曲部材50A、50Bが設けられている。各湾曲部材50A、50Bは、伝熱管23に沿う方向に延びている。
一対の湾曲部材50A、50Bのうちの一方の湾曲部材50Aは、一方の側壁16Aの側に配置されるとともに、当該側壁16Aに向かって凸となるように湾曲している。他方の湾曲部材50Bは、他方の側壁16Bの側に配置されるとともに、当該側壁16Bに向かって凸となるように湾曲している。より具体的には、図6において、左側の湾曲部材50Aが左側の側壁16Aの側に配置されるとともに、左側の側壁16Aに向かって凸となるように湾曲している。右側の湾曲部材50Bは右側の側壁16Bの側に配置されるとともに、右側の側壁16Bに向かって凸となるように湾曲している。言い換えると、筐体11の幅方向において、一対の湾曲部材50A、50Bは、一対の側壁16A、16Bの間に配置され、水平方向に並設されている。このような湾曲部材50A、50Bの構成は、特に限られることはないが、例えば、板状の部材を曲げて湾曲状にさせてもよい。
湾曲部材50A、50Bと、当該湾曲部材50A、50Bに対応する側壁16A、16Bとの間には、W6で示す隙間W6が形成されている。この隙間W6は、蒸気流入口12A、12Bの幅W3よりも小さくなっている。より具体的には、図6において、左側の湾曲部材50Aと左側の側壁16Aとの間の隙間W6は、左側の蒸気流入口12Aの幅W3よりも小さく、右側の湾曲部材50Bと右側の側壁16Bとの間の隙間W6は、右側の蒸気流入口12Bの幅W3よりも小さくなっている。ここで、隙間W6は、湾曲部材50A、50Bと、対応する側壁16A、16Bとの間に形成される空間(排出蒸気の流路)の幅方向寸法に相当する。なお、左側の隙間W6と右側の隙間W6とは同一であることに限られない。
このように本実施の形態によれば、蒸気流入口12A、12Bと管群構成体20A、20Bの上部管群21A、21Bとの間に一対の湾曲部材50A、50Bが設けられ、湾曲部材50A、50Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W6が、当該湾曲部材50A、50Bに対応する蒸気流入口12A、12Bの幅W3よりも小さくなっている。このことにより、蒸気流入口12A、12Bから流入した排出蒸気のうちの流速が大きい排出蒸気を、湾曲部材50A、50Bと側壁16A、16Bとの間の隙間W6を通すことができ、当該排出蒸気を、コアンダ効果によって、湾曲部材50A、50Bの表面に沿って流すことができる。このため、蒸気流入口12A、12Bから流入した排出蒸気が、上部管群21A、21Bに直線的に流下することを抑制でき、排出蒸気の流速を受けて上部管群21A、21Bの伝熱管23が振動することを抑制できる。この結果、伝熱管23の破損の可能性を低減して信頼性の向上を図ることができる。また、蒸気流入口12A、12Bから流下した排出蒸気の流れを中央流路32に向けることができるため、管群構成体20A、20Bに流入する排出蒸気を、管群構成体20A、20Bの周囲で均等化させることができる。このため、管群構成体20A、20B内を流れる排出蒸気の流量を均等化させることができ、凝縮性能をより一層向上させることができる。さらに、図6に示す復水器10に、図4に示すような保護部材40A、40Bを設けてもよいが、保護部材40A、40Bを設けることを不要にすることもでき、この場合であっても排出蒸気の圧力損失の増大を抑制することができる。
以上述べた実施の形態によれば、凝縮性能を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。