JP2017186420A - (メタ)アクリレート樹脂及び印刷インキ - Google Patents

(メタ)アクリレート樹脂及び印刷インキ Download PDF

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Abstract

【課題】印刷インキに用いた場合の流動性と耐ミスチング性とのバランスに優れ、高い硬化性を有する(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する硬化性組成物及び印刷インキ、前記印刷インキを印刷してなる印刷物を提供する。【解決手段】炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)、モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物(B)、及びポリイソシアネート化合物(C)を必須の反応原料とすることを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は印刷インキ用途に好適に用いることができる(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する硬化性組成物及び印刷インキ、前記印刷インキを印刷してなる印刷物に関する。
紫外線硬化型印刷インキのバインダー樹脂には従来からジアリルフタレート樹脂が広く利用されているが、近年、当該ジアリルフタレート樹脂の原料であるジアリルフタレートの毒性が指摘され、これに代わる毒性懸念のない樹脂材料の開発が求められている。
ジアリルフタレート樹脂以外の紫外線硬化型印刷インキ用バインダー樹脂として、例えば、多官能イソシアネート化合物と2−ヒドロキシエチルアクリレートとを、イソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、次いで、得られた反応生成物の残存イソシアネート基に対して酸ジオール及びポリオールを反応させて得られるウレタンアクリレート樹脂が知られている(特許文献1参照)。このようなウレタンアクリレート樹脂は、皮膚刺激性の高い2−ヒドロキシエチルアクリレートが樹脂中に残存することがなく、印刷インキを取り扱う上での安全性や衛生面に優れるものの、硬化性や流動性、耐ミスチング性等の諸性能が十分なものではなかった。
特開2001−151848号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、印刷インキに用いた場合の流動性と耐ミスチング性とのバランスに優れ、高い硬化性を有する(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する硬化性組成物及び印刷インキ、前記印刷インキを印刷してなる印刷物を提供することにある。
発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素原子数4〜50の不飽和脂肪族炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物を必須の反応原料とする(メタ)アクリレート樹脂は、硬化性が高く、印刷インキに用いた場合の流動性と耐ミスチング性とのバランスに優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)、モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物(B)、及びポリイソシアネート化合物(C)を必須の反応原料とすることを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂に関する。
本発明は、更に、前記(メタ)アクリレート樹脂を含有する硬化性組成物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性組成物を用いてなる印刷インキに関する。
本発明は、更に、前記印刷インキを印刷してなる印刷物に関する。
本発明によれば、印刷インキに用いた場合の流動性と耐ミスチング性とのバランスに優れ、高い硬化性を有する(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する硬化性組成物及び印刷インキ、前記印刷インキを印刷してなる印刷物を提供できる。
本発明の(メタ)アクリレート樹脂は、炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)、モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物(B)、及びポリイソシアネート化合物(C)を必須の反応原料とすることを特徴とする。
前記炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)は、分子構造中に炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するものであれば、その他の具体構造は限定されず、種々の化合物を用いることができる。前記モノヒドロキシ化合物(A)の具体例としては、例えば、下記構造式(1)〜(3)
Figure 2017186420
[式(1)中のRは不飽和結合を一つ乃至複数有する炭素原子数3〜49の直鎖型又は分岐型の脂肪族炭化水素基である。式(2)中のRはそれぞれ独立に炭素原子数1〜48の直鎖型又は分岐型の脂肪族炭化水素基であり、二つのRのうち少なくとも一方は不飽和結合を一つ乃至複数有し、二つのRの炭素原子数の合計は3〜49である。式(3)中のRはそれぞれ独立に炭素原子数1〜47の直鎖型又は分岐型の脂肪族炭化水素基であり、三つのRのうち少なくとも一つは不飽和結合を一つ乃至複数有し、三つのRの炭素原子数の合計は4〜49である。]
の何れかで表される分子構造を有するモノヒドロキシ化合物(A1)や、下記構造式(4)〜(6)
Figure 2017186420
[式(4)中のRは炭素原子数3〜49の直鎖型又は分岐型の脂肪族炭化水素基である。式(5)中のRはそれぞれ独立に炭素原子数1〜48の直鎖型又は分岐型の脂肪族炭化水素基であり、二つのRの炭素原子数の合計は3〜49である。式(6)中のRはそれぞれ独立に炭素原子数1〜47の直鎖型又は分岐型の脂肪族炭化水素基であり、三つのRの炭素原子数の合計は4〜49である。]
の何れかで表されるカルボキシ化合物と、ポリオール化合物とのエステル化物であって、分子構造中に一つ乃至複数の不飽和結合を有するモノヒドロキシ化合物(A2)、下記構造式(7)〜(9)
Figure 2017186420
[式(7)中のRは炭素原子数3〜49の直鎖型又は分岐型の脂肪族炭化水素基である。式(8)中のRはそれぞれ独立に炭素原子数1〜48の直鎖型又は分岐型の脂肪族炭化水素基であり、二つのRの炭素原子数の合計は3〜49である。式(9)中のRはそれぞれ独立に炭素原子数1〜47の直鎖型又は分岐型の脂肪族炭化水素基であり、三つのRの炭素原子数の合計は4〜49である。]
の何れかで表されるモノヒドロキシ化合物と、モノヒドロキシカルボン酸化合物とのエステル化物であって、分子構造中に一つ乃至複数の不飽和結合を有するモノヒドロキシ化合物(A3)等が挙げられる。
前記モノヒドロキシ化合物(A1)について、前記構造式(1)で表される化合物の中でも、流動性と耐ミスチングとのバランスに優れる(メタ)アクリレート樹脂となることから、前記構造式(1)中のRが直鎖型脂肪族不飽和炭化水素基である化合物が好ましい。また、Rの炭素原子数は8〜24の範囲であることがより好ましく、10〜20の範囲であることが特に好ましい。不飽和結合部位はエチレン性二重結合であることが好ましく、分子中の不飽和結合の数は1〜3の範囲であることが好ましい。このような化合物は、例えば、テトラデセン−1−オール、ペンタデセン−1−オール、ヘキサデセン−1−オール、オクタデセン−1−オール、イコセン−1−オール等の不飽和結合部位を1つ有する化合物;テトラデカジエン−1−オール、ペンタデカジエン−1−オール、ヘキサデカジエン−1−オール、ヘプタデカジエン−1−オール、オクタデカジエン−1−オール、ノナデカジエン−1−オール、イコサジエン−1−オール等の不飽和結合部位を2つ有する化合物;テトラデカトリエン−1−オール、ペンタデカトリエン−1−オール、ヘキサデカトリエン−1−オール、ヘプタデカトリエン−1−オール、オクタデカトリエン−1−オール、ノナデカトリエン−1−オール、イコサトリエン−1−オール等の不飽和結合部位を3つ有する化合物;等が挙げられる。
前記構造式(2)で表される化合物の中でも、流動性と耐ミスチングとのバランスに優れる(メタ)アクリレート樹脂となることから、前記構造式(2)中の二つのRのうち少なくとも一方が炭素原子数8〜24の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数10〜20の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。また、Rは直鎖の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。不飽和結合部位はエチレン性二重結合であることが好ましく、分子中の不飽和結合の数は1〜3の範囲であることが好ましい。このような化合物は、例えば、ヘキサデセン−4−オール、ヘプタデセン−3−オール、オクタデセン−3−オール、オクタデセン−4−オール、オクタデセン−5−オール、ノナデセン−2−オール、ノナデセン−3−オール、ノナデセン−4−オール、イコセン−3−オール、ヘニコセン−3−オール、ヘニコセン−4−オール、ドコセン−5−オール等が挙げられる。
前記構造式(3)で表される化合物の中でも、流動性と耐ミスチングとのバランスに優れる(メタ)アクリレート樹脂となることから、前記構造式(3)中の三つのRのうち少なくとも一つが炭素原子数8〜24の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数10〜20の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。また、Rは直鎖の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。また、Rは直鎖の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。不飽和結合部位はエチレン性二重結合であることが好ましく、分子中の不飽和結合の数は1〜3の範囲であることが好ましい。
前記モノヒドロキシ化合物(A2)は、前記構造式(4)〜(6)の何れかで表されるカルボキシ化合物と、ポリオール化合物とのエステル化物であって、分子構造中に一つ以上の不飽和結合を有するものである。前記構造式(4)〜(6)中のR、R、Rは、モノヒドロキシ化合物(A2)中に不飽和結合が一つ以上含まれるように選択されれば良い。中でも、流動性と耐ミスチングとのバランスに優れる(メタ)アクリレート樹脂となることから、モノヒドロキシ化合物(A2)に存在するR、R、Rのうち少なくとも一つが炭素原子数8〜24の不飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、少なくとも一つが炭素原子数10〜20の不飽和脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。また、R、R、Rはいずれも直鎖型脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
前記化合物(A2)の原料となるポリオール化合物は、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、2−メチルプロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
前記ポリオール化合物が3官能以上のポリオール化合物である場合、これと反応させるカルボキシ化合物は、前記構造式(4)〜(6)の何れかで表されるカルボキシ化合物のうち、1種類を単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、流動性と耐ミスチングとのバランスに優れる(メタ)アクリレート樹脂となることから、前記構造式(4)で表される化合物を用いて得られるものが好ましい。
前記モノヒドロキシ化合物(A3)は、前記構造式(7)〜(9)の何れかで表されるモノヒドロキシ化合物と、モノヒドロキシカルボン酸化合物とのエステル化物であって、分子構造中に一つ以上の不飽和結合を有するものである。前記構造式(7)〜(9)中のR、R、Rは、モノヒドロキシ化合物(A3)中に不飽和結合が一つ以上含まれるように選択されれば良い。中でも、流動性と耐ミスチングとのバランスに優れる(メタ)アクリレート樹脂となることから、モノヒドロキシ化合物(A3)に存在するR、R、Rのうち少なくとも一つが炭素原子数8〜24の不飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、少なくとも一つが炭素原子数10〜20の不飽和脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。また、R、R、Rはいずれも直鎖型脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
前記モノヒドロキシ化合物(A3)の原料となるモノヒドロキシカルボン酸化合物は、例えば、リンゴ酸、イタマル酸、3−メチル−3−ヒドロキシグルタル酸、4−ヒドロキシピメリン酸、2,4−ジメチル−3−ヒドロキシグルタル酸等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
前記モノヒドロキシカルボン酸化合物が2官能以上のカルボン酸化合物である場合、これと反応させるモノヒドロキシ化合物(A3)は、前記構造式(7)〜(9)の何れかで表される化合物のうち、1種類を単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、流動性と耐ミスチングとのバランスに優れる(メタ)アクリレート樹脂となることから、前記構造式(7)で表される化合物を用いて得られるものが好ましい。
これら炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)の中でも、流動性と耐ミスチングとのバランスに優れる(メタ)アクリレート樹脂となることから、2級又は1級の水酸基を有する化合物が好ましく、前記構造式(1)又は(2)で表される化合物がより好ましく、前記構造式(1)で表される化合物が特に好ましい。
前記モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物(B)は、分子構造中に一つの水酸基と、一つ乃至複数の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物であり、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート等の脂肪族モノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート化合物;グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の脂肪族モノヒドロキシポリ(メタ)アクリレート化合物;アクリル酸4−ヒドロキシフェニル、アクリル酸β−ヒドロキシフェネチル、アクリル酸4−ヒドロキシフェネチル、アクリル酸1−フェニル−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−4−アセチルフェニル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等の芳香族モノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート化合物;前記モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等種々の環状エーテル化合物との開環重合によって得られるポリオキシアルキレン変性モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物;前記モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物との重縮合によって得られるラクトン変性モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
中でも、流動性と耐ミスチングとのバランスに優れる(メタ)アクリレート樹脂となることから、前記脂肪族モノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート化合物、脂肪族モノヒドロキシポリ(メタ)アクリレート化合物、及びこれらのポリオキシアルキレン変性体或いはラクトン変性が好ましく、脂肪族モノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
前記ポリイソシアネート化合物(C)は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(4)
Figure 2017186420
[式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基の何れかである。Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は構造式(4)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。mは1〜3の整数であり、nは1以上の整数である。]
で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、アダクト変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
中でも、流動性と耐ミスチングとのバランスに優れる(メタ)アクリレート樹脂となることから、分子構造中に環構造を有するポリイソシアネート化合物、即ち、イソシアヌレート環構造を有するポリイソシアネート化合物、前記脂環式ジイソシアネート化合物、前記芳香族ジイソシアネート化合物、及び前記構造式(4)で表される分子構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが好ましい。更に、分子構造中に芳香環を有するポリイソシアネート化合物、即ち、前記芳香族ジイソシアネート化合物、前記構造式(4)で表される分子構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、及びこれらのイソシアヌレート変性体、アダクト変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体が特に好ましい。
前記構造式(4)で表される分子構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートは、構造式(4)中のnが2以上である成分を30質量%以上含有するものが好ましい。またE型粘度計(25℃)にて測定される粘度が100〜700mPa・sの範囲であるものが好ましい。
本発明の(メタ)アクリレート樹脂は、前記炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)、モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物(B)、及びポリイソシアネート化合物(C)の他、その他の反応原料を併せて用いても良い。その他の反応原料としては、例えば、ポリオール化合物(D)が挙げられる。
前記ポリオール化合物(D)は、分子構造中に複数の水酸基を有する化合物であればよく、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、2−メチルプロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;前記脂肪族ポリオール化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等種々の環状エーテル化合物との開環重合によって得られるポリオキシアルキレン変性ポリオール化合物;前記脂肪族ポリオール化合物と、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物との重縮合によって得られるラクトン変性ポリオール化合物;前記脂肪族ポリオール化合物と、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、(無水)フタル酸、マレイン酸、フマル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸との共縮合によって得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
中でも、印刷インキに用いた場合の流動性と耐ミスチング性とのバランスに優れ、高い硬化性を有する(メタ)アクリレート樹脂となることから、前記脂肪族ポリオール化合物が好ましく、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3官能脂肪族ポリオール化合物がより好ましい。
本発明の(メタ)アクリレート樹脂において、反応原料中の各成分の割合は、分子量や(メタ)アクリロイル基当量等、所望の樹脂特性に応じて適宜調整されるものであり、特に限定されるものではない。例えば、本発明の(メタ)アクリレート樹脂が前記成分(A)〜(C)及び必要に応じて用いる成分(D)を反応原料とする場合、一般的には、反応原料中のイソシアネート基1モルに対し、反応原料中の水酸基が0.9〜1.1モルの範囲となる割合で反応させることが好ましい。
前記(メタ)アクリレート樹脂のより好ましい樹脂設計としては、流動性と耐ミスチングとのバランスに優れる(メタ)アクリレート樹脂となることから、反応原料の合計100質量部中、0.1〜30質量部が前記炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)であることが好ましく、0.3〜15質量部が前記不飽和結合部位を有する炭素原子数4〜50の脂肪族モノヒドロキシ化合物(A)であることが特に好ましい。
前記(メタ)アクリレート樹脂が前記ポリオール化合物(D)を反応原料とする場合、印刷インキに用いた場合の流動性と耐ミスチング性とのバランスに優れ、高い硬化性を有する(メタ)アクリレート樹脂となることから、前記炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)が有する水酸基と前記モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物(B)が有する水酸基との合計モル数と、前記ポリオール化合物(D)が有する水酸基のモル数との比[(AOH+BOH)/(DOH)]の値が、8/2〜5/5の範囲であることが好ましい。
本発明の(メタ)アクリレート樹脂を製造する方法は特に限定されず、例えば、ウレタンアクリレート樹脂の一般的な製造方法等により製造することができる。製造方法の一例としては、例えば、前記炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)、モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物(B)、及び前記ポリイソシアネート化合物(C)を反応させてイソシアネート基含有中間体を得た後、該中間体と、必要に応じて用いる前記ポリオール化合物(D)とを反応させる方法が挙げられる。
具体的には、まず、反応容器に前記ポリイソシアネート化合物(C)を仕込んで20〜120℃に加熱し、前記炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)及びモノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物(B)を連続又は断続的に反応系内に加えて両者を反応させる。該反応では所望に応じてオクチル酸亜鉛等の公知慣用のウレタン化触媒や、各種の酸化防止剤、重合禁止剤等を用いても良い。次いで、必要に応じて用いる前記ポリオール化合物(D)を反応系中に加え、20〜120℃の温度範囲で更に反応させ、イソシアネート基を示す2250cm−1の赤外吸収スペクトルにて反応の終点を確認し、目的の(メタ)アクリレート樹脂を得る。
本発明の(メタ)アクリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、印刷インキ用途に用いた際の流動性と耐ミスチング性とに優れることから、1,000〜30,000の範囲であることが好ましく、3,000〜20,000の範囲であることがより好ましい。
尚、本願発明において、重量平均分子量(Mw)は、下記条件のゲルパーミアーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN SuperHZ−L
+東ソー株式会社製 TSK−GEL SuperHZM−M×4
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
また、本発明の(メタ)アクリレート樹脂の(メタ)アクリロイル基含有量は、硬化性が高く、印刷インキ用途に用いた際の印刷面の光沢に優れることから、1.5〜4.0mmol/gの範囲であることが好ましく、2.0〜3.5mmol/gの範囲であることがより好ましく、2.5〜3.5mmol/gの範囲であることが特に好ましい。なお、本発明において(メタ)アクリレート樹脂の(メタ)アクリロイル基含有量は、用いた反応原料から算出される理論値である。
本発明の硬化性組成物は(メタ)アクリレート樹脂の他、所望に応じて、その他の(メタ)アクリレート化合物(X)や、重合開始剤(Y)、各種添加剤等を含有するものである。
前記その他の(メタ)アクリレート化合物(X)は、例えば、各種の(メタ)アクリレートモノマー(X1)や、前記本発明の(メタ)アクリレート樹脂以外のウレタン(メタ)アクリレート(X2)、エポキシ(メタ)アクリレート(X3)等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレートモノマー(X1)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等の水酸基含有モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中にポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中にポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基含有トリ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のトリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中にポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のトリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の4官能以上の水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中にポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した4官能以上のポリオキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した4官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(X2)は、例えば、各種のポリイソシアネート化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、及び必要に応じて各種のポリオール化合物を反応させて得られるものが挙げられる。前記ポリイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物或いはそのヌレート変性体、アダクト変性体、ビウレット変性体が挙げられる。前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びこれらのポリオキシアルキレン変性体、ポリラクトン変性体等が挙げられる。前記ポリオール化合物は、例えば、エチレングリコール、プロプレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
前記エポキシ(メタ)アクリレート化合物(X3)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂や、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のエポキシ基含有化合物の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
これらその他の(メタ)アクリレート化合物(X)はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、硬化性が高く、印刷インキ用途に用いた際の印刷面の塗膜強度に優れることから、前記(メタ)アクリレートモノマー(X1)が好ましく、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。更に、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中にポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中にポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した4官能以上のポリオキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物が特に好ましい。
これらその他のこれらその他の(メタ)アクリレート化合物(X)を用いる場合には、硬化性が高く、印刷インキ用途に用いた際の印刷面の塗膜強度に優れることから、本発明の(メタ)アクリレート樹脂100質量部に対し、その他の(メタ)アクリレート化合物(X)を5〜300質量部の範囲で用いることが好ましく、50〜200質量部の範囲で用いることがより好ましい。
前記重合開始剤(Y)は、例えば、分子内開裂型光重合開始剤及び水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられ、何れを用いても良い。前記分子内開裂型光重合開始剤は、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジエトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシム系化合物、3,6−ビス(2−メチル−2−モルフォリノプロパノニル)−9−ブチルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ((4−メチルチオ)フェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアミノアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
前記水素引き抜き型光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;その他10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
これらの重合開始剤(Y)はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。これらのなかでも特に硬化性に優れる点からアミノアルキルフェノン系化合物が好ましく、また、特に発光ピーク波長が350〜420nmの範囲の紫外線を発生するUV−LED光源を活性エネルギー線源として用いた場合には、アミノアルキルフェノン系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、及びアミノベンゾフェノン系化合物を併用することが硬化性に優れる点から好ましい。
前記重合開始剤(Y)の添加量は、硬化性組成物の合計100質量部に対し0.1〜10質量部となる範囲であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記重合開始剤(Y)と併せて、光増感剤を含有しても良い。前記光増感剤は、例えば、脂肪族アミン等のアミン化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素類、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。これら光増感剤の添加量は、硬化性組成物の合計100質量部に対し0.1〜10質量部となる範囲であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、更に、顔料、染料、体質顔料、有機又は無機フィラー、有機溶剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、重合禁止剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、顔料分散剤、ワックス等の添加剤を含有しても良い。
前記顔料は、公知公用の着色用有機顔料を挙げることができ、例えば「有機顔料ハンドブック(著者:橋本勲、発行所:カラーオフィス、2006年初版)」に掲載される印刷インキ用有機顔料等が挙げられ、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、金属フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン顔料、金属錯体顔料、ジケトピロロピロール顔料、カーボンブラック顔料、その他多環式顔料等が使用可能である。これら顔料の添加量は顔料の種類等により最適値が異なるが、硬化性組成物の合計100質量部に対し5〜30質量部となる範囲であることが好ましい。
前記体質顔料は、例えば、酸化チタン、クラファイト、亜鉛、炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレイ、シリカ粉、珪藻土、タルク、カオリン、アルミナホワイト、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、バライト粉、ガラスビーズ等が上げられる。これら体質顔料の添加量は顔料の種類等により最適値が異なるが、硬化性組成物の合計100質量部に対し0.1〜20質量部となる範囲であることが好ましい。
本発明の印刷インキは、本発明の(メタ)アクリレート樹脂を用いたものであればその配合組成等は特に限定されず、目的の印刷用途や性能等に応じて適宜配合物や配合割合を調整することができる。その製造方法は、各成分の配合物をミキサー等で撹拌混合し、三本ロールミル、ビーズミル等の分散機を用いて練肉する方法が挙げられる。
本発明の印刷インキは、活性エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。前記活性エネルギー線は、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線が挙げられる。光源としては、例えば、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、UV−LED、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、走査型やカーテン型の電子線加速器による電子線等が挙げられる。
本発明の印刷インキは、紙や各種のプラスチックフィルム等、様々な基材に対し印刷することができる。具体的には、カタログ、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレット、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージ等に用いる紙基材;ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等、食品や飲料、化粧品等の包装資材用のプラスチックフィルム基材;アルミニウムホイル、合成紙、その他従来から印刷基材として使用されている各種基材を印刷対象物とすることができる。
本発明の印刷インキの印刷方式は特に限定されず、例えば、平版オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等により印刷することができる。これらの中でも特に、版面に水を連続的に供給する平版オフセット印刷において好適に利用することができる。水を連続供給するオフセット印刷機は多数の印刷機メーカーによって製造販売されており、一例としてハイデルベルグ社、小森コーポレーション社、リョービMHIグラフィックテクノロジー社、マンローランド社、KBA社等を挙げることができ、またシート形態の印刷用紙を用いる枚葉オフセット印刷機、リール形態の印刷用紙を用いるオフセット輪転印刷機、いずれの用紙供給方式においても本発明を好適に利用することが可能である。更に具体的には、ハイデルベルグ社製スピードマスターシリーズ、小森コーポレーション社製リスロンシリーズ、リョービMHIグラフィックテクノロジー社製ダイヤモンドシリーズ等のオフセット印刷機を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
赤外吸収スペクトルの測定条件
[機種] 日本分光株式会社製 FT/IR−4100
[測定条件]イソシアネート基を示す2250cm-1の赤外吸収スペクトルを確認することで反応完結を確認した。
重量平均分子量(Mw)の測定条件
重量平均分子量(Mw)は、下記条件のゲルパーミアーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN SuperHZ−L
+東ソー株式会社製 TSK−GEL SuperHZM−M×4
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
実施例1 (メタ)アクリレート樹脂(1)の製造
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた四つ口フラスコに、下記構造式(4−1)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(BASF INOAC ポリウレタン株式会社製「ルプラネートM20S」:イソシアネート基含有量31質量%)58.9質量部、ターシャリブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、メトキシハイドロキノン0.05質量部、オクチル酸亜鉛0.02質量部を加え、50℃に昇温した。反応系中を撹拌しながら、2−ヒドロキシエチルアクリレート35.2質量部及びオレイルアルコール〔(9Z)−9−オクタデセン−1−オール〕2質量部を1時間かけて滴下した。90℃で3時間反応させた後、グリセリン4質量部を添加した。90℃で反応を続け、イソシアネート基を示す2250cm−1の赤外吸収スペクトルが消失したことを確認し、(メタ)アクリレート樹脂(1)を得た。(メタ)アクリレート樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は5,492、反応原料から算出される(メタ)アクリロイル基含有量の理論値は3.03mmol/gであった。
Figure 2017186420
[式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又は構造式(4−1)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。mは1〜3の整数であり、nは1以上の整数である。]
実施例2〜9 (メタ)アクリレート樹脂(2)〜(9)の製造
各原料成分の種類及び使用量を下記表1に示す通りに変更した以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリレート樹脂(2)〜(9)を得た。
Figure 2017186420
(※)ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体:住化バイエルウレタン社製「スミジュールN3300」イソシアネート基含有量22質量%
比較製造例1 (メタ)アクリレート樹脂(1’)の製造
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた四つ口フラスコに、トリレンジイソシアネート16.3質量部、ターシャリブチルヒドロキシトルエン0.1質量部、メトキシハイドロキノン0.02質量部、オクチル酸亜鉛0.02質量部を加え、75℃に昇温し、2−ヒドロキシエチルアクリレート3.7質量部を1時間にわたって攪拌下で滴下した。滴下後、75℃で3時間反応させた後、第二工程として、ポリプロピレングリコール(三井化学製「アクトコールD−3000」数平均分子量3000)80.0質量部を添加し、さらに75℃で反応させ、イソシアネート基を示す2250cm−1の赤外吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、(メタ)アクリレート樹脂(1’)を得た。(メタ)アクリレート樹脂(1’)の重量平均分子量(Mw)は5,680、反応原料から算出される(メタ)アクリロイル基含有量の理論値は0.32mmol/gであった。
実施例10〜18、及び比較例1
下記表2、3に示す割合で各成分を配合し、ミキサー(単軸ディゾルバー)を用いて撹拌した後、配合物を3本ロールミルを用いて練肉し、印刷インキを調製した。得られた印刷インキについて、下記条件で種々の評価を行った。結果を表2、3に示す。
印刷インキの調製に用いた各成分の詳細は以下の通り
その他の(メタ)アクリレート化合物(X−1):エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製「MIRAMER M3130」粘度:50−70mPa・s(25℃)、1分子あたりのエチレンオキサイド平均付加数:3)
顔料:DIC株式会社製「SYMULER FAST YELLOW 4342」
体質顔料:含水ケイ酸マグネシウム(松村産業社製体質顔料「ハイフィラー#5000PJ」)
ワックス:ポリオレフィンワックス(シャムロック社製ワックス「S−381−N1」)
重合禁止剤:N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミシアルミニウム塩(和光純薬工業(株)製「Q−1301」)
重合開始剤(Y−1):α-アミノアルキルフェノン(BASF社製「Irgacure907」)
重合開始剤(Y−2):4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(大同化成社製「EAB−SS」)
流動性の評価1 ダイアメーター値の測定
スプレッドメーター法(平行板粘度計)によりJIS K5101,5701に則った方法で測定を実施した。水平に置いた2枚の平行板の間に挟まれた印刷インキが、荷重板の自重(115グラム)によって、同心円状に広がる特性を経時的に観察し、60秒後のインキの広がり直径(mm)をダイアメーター値として評価とした。評価基準は以下の通り。
A:ダイアメーター値が37mm以上
B:ダイアメーター値が34mm以上 37mm未満
C:ダイアメーター値が34mm未満
流動性の評価2 ガラス板流動性の測定
25℃に空調した室内において、地平面と70゜の角度をなすガラス板の上端に印刷インキ1.0mlを置き、1日後に流動した距離を測定した。数値が大きいほど流動性が良好であることを示す。
ミスチングの評価
インコメーター式ミスチング試験機に印刷インキ1.31ml載せて、機械温度32℃、1200rpmで三分間回転させた。回転に伴い印刷インキが飛び回転体に沿って並べた紙の質量増加変化でミスチングの優劣を比較した。耐ミスチング性が悪い場合は印刷インキの飛ぶ量が増加し紙の質量が増える。
(評価基準)
A:0.050g未満
B:0.050g以上 0.075g未満
C:0.075g以上
硬化性の評価
簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社製)を用い、前記印刷インキ0.10mlを使用して、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、透明PETタック紙(DIC製「ダイタック UVPET透明25EMH−S」)の表面に約220cmの面積範囲に均一に塗布されるように展色し、展色物を作製した。
印刷インキ塗布後の展色物に紫外線(UV)照射を行い、印刷インキを硬化させて、印刷物を得た。具体的には、水冷メタルハライドランプ(出力100W/cm 1灯)およびベルトコンベアを搭載したUV照射装置(アイグラフィックス社製、コールドミラー付属)を使用し、展色物をコンベア上に載せ、ランプ直下(照射距離11cm)を以下に述べる所定条件で通過させた。各条件における紫外線照射量は紫外線積算光量系(ウシオ電機社製UNIMETER UIT−150−A/受光機UVD−C365)を用いて測定した。
硬化性は、照射直後に爪スクラッチ法にて印刷物表面の傷付きの有無を確認した。前記UV照射装置のコンベア速度(m/分)を変化させながら展色物に紫外線を照射し、硬化後に爪で強く擦っても傷付きが無い最速のコンベア速度(m/分)を記載した。コンベア速度の数値が大きいほど印刷インキの硬化性が良好であることを示す。
光沢の評価
簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社製)を用い、硬化性評価で用いた展色物上にwet‐onでUV硬化型オーバープリントニス(DIC製「UVカルトン ACT OPニス」)0.15mlを重ね刷りした。硬化性評価と同条件のUV照射装置で、コンベア速度を30m/分に設定し、印刷インキ及びオーバープリントニスを硬化させた。得られた印刷物について、印刷表面の光沢を測定し、評価した。光沢の数値が高いほどインキのオーバープリントニス受理性が良好であることを示す。
(評価基準)
A:光沢55以上
B:光沢45以上 55未満
C:光沢45未満
Figure 2017186420
Figure 2017186420

Claims (9)

  1. 炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)、モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物(B)、及びポリイソシアネート化合物(C)を必須の反応原料とすることを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂。
  2. 反応原料の合計100質量部中、0.1〜30質量部が前記炭素原子数4〜50の脂肪族不飽和炭化水素基を有するモノヒドロキシ化合物(A)である請求項1記載の(メタ)アクリレート樹脂。
  3. 前記ポリイソシアネート化合物(C)が、分子構造中に芳香環を有するポリイソシアネート化合物である請求項1記載の(メタ)アクリレート樹脂。
  4. 更に、脂肪族ポリオール化合物を必須の反応原料とする請求項1記載の(メタ)アクリレート樹脂。
  5. 重量平均分子量(Mw)が1,000〜30,000の範囲である請求項1記載の(メタ)アクリレート樹脂。
  6. 請求項1〜5の何れか一つに記載の(メタ)アクリレート樹脂を含有する硬化性組成物。
  7. 前記(メタ)アクリレート樹脂と、その他の(メタ)アクリレート化合物(X)とを含有する請求項6記載の硬化性組成物。
  8. 請求項6又は7に記載の硬化性組成物を用いてなる印刷インキ。
  9. 請求項8記載の印刷インキを印刷してなる印刷物。
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