JP2017185467A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分に高い粒子状物質浄化性能と十分に高いディーゼル排ガス浄化性能とを有する排ガス浄化用触媒の提供。【解決手段】排ガスが流入する側の流入面11と、浄化ガスが排出される側の排出面12を有する排ガス浄化用触媒1であって、一端が流入面11に開口しかつ他端22が排出面12側で封止されているガス流入通路13と、一端が排出面12に開口しかつ他端22が流入面11側で封止されているガス流出通路14とが、多孔性隔壁21により画成されて並設されており、ガス流入通路13に流入した排ガスが多孔性隔壁21を通過してガス流出通路14から排出されるフィルタ基体2と、ガス流入通路13の開口端側の隔壁の表面に担持されかつディーゼル酸化触媒及び粒子状物質酸化触媒のうちの一方からなる第1の触媒層3と他方からなる第2の触媒層4とを備えており、これら二種の触媒が2〜10mmの間隔を有する排ガス浄化用触媒1。【選択図】図1

Description

本発明は、排ガス浄化用触媒に関し、より詳しくは、粒子状物質を含有する排ガスの浄化用触媒に関する。
内燃機関から排出されるガスには、燃焼により生じた粒子状物質(PM:Particulate Matter)やオイル中の添加剤等からなるアッシュ(Ash)等の有害物質が含まれている。このような有害物質の中でも粒子状物質は動植物に悪影響を及ぼす大気汚染物質として知られている。
このような粒子状物質を含む排ガスを浄化するための触媒として、特開2016−2534号公報(特許文献1)には、排ガスの流入面と排出面とを有する排ガス浄化用触媒であって、一端が流入面に開口しかつ他端が前記排出面側で封止されているガス流入通路と、一端が排出面に開口しかつ他端が前記流入面側で封止されているガス流出通路とを有し、ガス流入通路に流入した排ガスが多孔性隔壁を通過してガス流出通路から排出されるフィルタ基体と、ガス流入通路の開口端側の隔壁の表面に担持されたNOx浄化触媒からなる第1の触媒層と、ガス流入通路の封止端側の隔壁の表面に担持されたPM酸化触媒からなる第2の触媒層と、ガス流出通路の封止端側及び開口端側の隔壁の表面に担持されたNOx浄化触媒からなる第3の触媒層及び第4の触媒層と、を備えている排ガス浄化用触媒が開示されている。また、特許文献1には、この排ガス浄化用触媒が、十分に高い粒子状物質浄化性能を有し、かつ十分に高いNOx浄化性能を有することも記載されている。
特開2016−2534号公報
しかしながら、複数の触媒のそれぞれにより形成された複数の触媒層において、これらの触媒層が接触していると、触媒の組み合わせによっては、一方の触媒の成分が他方の触媒の触媒毒となり、触媒活性が低下するという問題があった。例えば、銀を含有するPM酸化触媒とディーゼル酸化触媒とを組み合わせた排ガス浄化用触媒において、前記PM酸化触媒からなる触媒層と前記ディーゼル酸化触媒からなる触媒層とが接触していると、前記ディーゼル酸化触媒の種類によっては、PM酸化触媒に含まれる銀が触媒毒となり、ディーゼル酸化触媒の活性が著しく低下するという問題があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分に高い粒子状物質浄化性能を有し、かつ十分に高いディーゼル排ガス浄化性能(例えば、CO浄化性能、HC浄化性能)を有する排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、粒子状物質を含有する排ガスの流路に配置されて用いられる浄化フィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)等のフィルタ基体のガス流入通路の隔壁の表面に、ディーゼル酸化触媒からなる触媒層と粒子状物質酸化触媒からなる触媒層とを所定の間隔で分離して配置することによって、触媒被毒が抑制され、十分に高い粒子状物質浄化性能を有し、かつ十分に高いディーゼル排ガス浄化性能を有する排ガス浄化用触媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒は、粒子状物質を含有する排ガスの流路に配置され、排ガスが流入する側の流入面と、浄化ガスが排出される側の排出面とを有する排ガス浄化用触媒であって、
一端が前記流入面に開口しかつ他端が前記排出面側で封止されているガス流入通路と、一端が前記排出面に開口しかつ他端が前記流入面側で封止されているガス流出通路とが、多孔性隔壁により画成されて並設されており、前記ガス流入通路に流入した排ガスが前記隔壁を通過して前記ガス流出通路から排出されるウォールスルー型のフィルタ基体と、
前記ガス流入通路の開口端側の隔壁の表面に担持されかつディーゼル酸化触媒及び粒子状物質酸化触媒のうちの一方の酸化触媒からなる第1の触媒層と、
前記ガス流入通路の封止端側の隔壁の表面に担持されかつディーゼル酸化触媒及び粒子状物質酸化触媒のうちの他方の酸化触媒からなる第2の触媒層と、
を備えており、
前記第1の触媒層と前記第2の触媒層との間隔が2〜10mmであり、
前記隔壁の表面の前記第1の触媒層と前記第2の触媒層との間に、ディーゼル酸化触媒及び粒子状物質酸化触媒のいずれの酸化触媒も配置されていない領域が存在する、
ことを特徴とするものである。
このような排ガス浄化用触媒において、前記隔壁の表面の前記第1の触媒層と第2の触媒層との間の領域は空隙であることが好ましい。また、前記第1の触媒層はディーゼル酸化触媒からなる触媒層であり、前記第2の触媒層は粒子状物質酸化触媒からなる触媒層であることが好ましい。
また、本発明の排ガス浄化用触媒において、前記粒子状物質酸化触媒の粒子状物質酸化能が、前記ディーゼル酸化触媒の粒子状物質酸化能より高く、かつ、前記ディーゼル酸化触媒の排ガス浄化能が、前記粒子状物質酸化触媒の排ガス浄化能より高いことが好ましい。また、前記ディーゼル酸化触媒が、貴金属が担持された金属酸化物触媒及びゼオライト触媒からなる群から選択される少なくとも1種であり、前記粒子状物質酸化触媒が、銀が酸化セリウムに担持された又は複合化した触媒であることが好ましい。
なお、本発明の排ガス浄化用触媒によって、十分に高い粒子状物質浄化性能及び十分に高いディーゼル排ガス浄化性能が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒においては、ディーゼル酸化触媒からなる触媒層と粒子状物質酸化触媒からなる触媒層とが所定の間隔で配置されており、互いに接触していない。このため、例えば、粒子状物質酸化触媒に銀が含まれるような場合であっても、銀とディーゼル酸化触媒との接触を避けることができ、銀がディーゼル酸化触媒の触媒毒として作用することはなく、ディーゼル酸化触媒の活性低下を抑制することが可能になると推察する。
本発明によれば、十分に高い粒子状物質浄化性能を有し、かつ十分に高いディーゼル排ガス浄化性能(例えば、CO浄化性能、HC浄化性能)を有する排ガス浄化用触媒を得ることが可能となる。
本発明の排ガス浄化用触媒の好適な一実施形態の一部の縦断面を模式的に示す概略縦断面図である。 本発明の排ガス浄化用触媒の好適な一実施形態におけるフィルタ基体の一部の縦断面を模式的に示す概略縦断面図である。 実施例1の排ガス浄化用触媒の製造における触媒スラリーの圧入手段を模式的に示す概略縦断面図である。 実施例1及び比較例1〜3で得られた触媒のCO50%浄化温度を示すグラフである。 実施例1及び比較例1〜3で得られた触媒の完全酸化率を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の排ガス浄化用触媒は、粒子状物質を含有する排ガスの流路に配置され、排ガスが流入する側の流入面と、浄化ガスが排出される側の排出面とを有する排ガス浄化用触媒であって、
一端が前記流入面に開口しかつ他端が前記排出面側で封止されているガス流入通路と、一端が前記排出面に開口しかつ他端が前記流入面側で封止されているガス流出通路とが、多孔性隔壁により画成されて並設されており、前記ガス流入通路に流入した排ガスが前記隔壁を通過して前記ガス流出通路から排出されるウォールスルー型のフィルタ基体と、
前記ガス流入通路の開口端側の隔壁の表面に担持されかつディーゼル酸化触媒及び粒子状物質酸化触媒のうちの一方の酸化触媒からなる第1の触媒層と、
前記ガス流入通路の封止端側の隔壁の表面に担持されかつディーゼル酸化触媒及び粒子状物質酸化触媒のうちの他方の酸化触媒からなる第2の触媒層と、
を備えており、
前記第1の触媒層と前記第2の触媒層との間隔が2〜10mmであり、
前記隔壁の表面の前記第1の触媒層と前記第2の触媒層との間に、ディーゼル酸化触媒及び粒子状物質酸化触媒のいずれの酸化触媒も配置されていない領域が存在する、
ものである。このような排ガス浄化用触媒は、十分に高い粒子状物質浄化性能と十分に高いディーゼル排ガス浄化性能(例えば、CO浄化性能、HC浄化性能)とを有するものである。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は前記図面に限定されるものではない。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の排ガス浄化用触媒の好適な一実施形態の一部の縦断面を模式的に示す概略縦断面図である。また、図2は、本発明の排ガス浄化用触媒の好適な一実施形態におけるフィルタ基体の一部の縦断面を模式的に示す概略縦断面図である。
図1に示すように、本発明の排ガス浄化用触媒は、粒子状物質(PM)を含有する排ガスの流路に配置され、排ガスが流入する側の流入面11と、浄化ガスが排出される側の排出面12とを有する排ガス浄化用触媒1であって、フィルタ基体2と第1の触媒層3と第2の触媒層4とからなり、少なくとも、第1の触媒層3と第2の触媒層4との間に、ディーゼル酸化触媒及び粒子状物質酸化触媒のいずれの酸化触媒も配置されていない領域7が設けられている。また、本発明の排ガス浄化用触媒においては、第3の触媒層5と第4の触媒層6とが設けられていてもよい。
(フィルタ基体)
本発明の排ガス浄化用触媒におけるフィルタ基体(基材)は、PMを含有する排ガスの流路に配置され、排ガスが流入する側の流入面と、浄化ガスが排出される側の排出面とを有する排ガス浄化用触媒を構成するフィルタ基体であって、図1に示すように、一端が前記流入面11に開口しかつ他端が前記排出面12側で封止部22により封止されているガス流入通路13と、一端が前記排出面12に開口しかつ他端が前記流入面11側で封止部22により封止されているガス流出通路14とが、多孔性隔壁21により画成されて並設されており、前記ガス流入通路13に流入した排ガスが前記隔壁21を通過して前記ガス流出通路14から排出されるウォールスルー型のフィルタ基体2である。
このようなウォールスルー型(ウォールスルー構造)のフィルタ基体としては、特に制限されないが、ガス流入通路及びガス流出通路が互いに略平行となるように形成されたハニカム形状(ガス通路の軸方向に直交する方向の断面形状が四角形や六角形等の多角形状、円形状、楕円形状等の種々の断面形状のものを含む)のものを用いることが好ましく、例えば、前記ガス流入通路と前記ガス流出通路とが多孔性隔壁により画成されて並設されるようにハニカム状に成形することで得られるハニカム状セラミックスフィルタや高密度ハニカム等のモノリス担体基材からなるモノリスセラミックスフィルタ等を好適に用いることができる。なお、「ハニカム形状」とは、前記フィルタ基体において、ガス流入通路とガス流出通路とが交互に多孔性隔壁により画成されて並設されており、このようなガス流入通路及びガス流出通路が互いに略平行となるように多孔性隔壁により形成された構造である。また、ガス流入通路及びガス流出通路のガス通路の軸方向に直交する方向の断面形状は、四角形や六角形等の多角形状、円形状、楕円形状等の種々の断面形状のものを含むが、四角形や六角形等の多角形状であることが好ましい。さらに、このようなフィルタ基体は、ガス流入通路側の開口端部及びガス流出通路側の開口端部におけるガス通路の軸方向に直交する方向の断面形状が、市松模様状に交互に封止された構造であることがより好ましい。
このようなフィルタ基体を備えている本発明の排ガス浄化用触媒においては、図1に示すように、フィルタ基体2の流入面11側(上流側)から流入したPMを含む排ガスが、ガス流入通路13内を流入面11側から排出面12側(封止端側、下流側)に向かって流れる過程でフィルタ基体2の多孔性隔壁21を通過し、この際、排ガス中に含まれるPMは多孔性隔壁21を通過できず、多孔性隔壁21表面のガス流入通路13に接する露出面及び/又は多孔性隔壁21の内部の細孔内の表面に付着し又は捕集されて除去され、PMが除去された排気ガスは、ガス流出通路14内を流入面11側(封止端側)から排出面12へと流れ、フィルタ基体2の外へ排出される。
また、図2に示すように、ガス流入通路13の多孔性隔壁21の表面(ガス流入通路又はガス流出通路に接する面)には、ガス流入通路の開口端側の隔壁の表面(第1の隔壁表面)A、ガス流入通路の封止端側の隔壁の表面(第2の隔壁表面)B、及び、前記第1の隔壁表面Aと前記第2の隔壁表面Bとの間の隙間表面Sが形成されている。また、ガス流出通路14の多孔性隔壁21の表面(ガス流入通路又はガス流出通路に接する面)には、ガス流出通路の封止端側の隔壁の表面(第3の隔壁表面)C、及び、ガス流出通路の開口端側の隔壁の表面(第4の隔壁表面)Dが形成されていてもよい。
このようなフィルタ基体2において、隙間表面Sの長さ(排ガスの流れ方向の長さ、すなわち、ガス流入通路に平行な方向の長さ)LSは2〜10mmである。前記LSが前記下限未満では、第1の触媒層と第2の触媒層とを分離して配置する効果が十分に得られず、一方の触媒層が他方の触媒層の成分により被毒するため、触媒活性の低下を抑制することは困難である。他方、前記LSが前記上限を超えると、第1の触媒層及び第2の触媒層の長さ(排ガスの流れ方向の長さ、すなわち、ガス流入通路に平行な方向の長さ)が短くなるため、十分な触媒活性が得られない。
また、第1の隔壁表面A及び第2の隔壁表面Bの長さ(排ガスの流れ方向の長さ、すなわち、ガス流入通路に平行な方向の長さ)及び深さ(排ガスの流れ方向に垂直な方向の長さ、すなわち、ガス流入通路に垂直な方向の長さ)は、特に制限されないが、ガス流入通路の隔壁の表面の長さをL1、第1の隔壁表面Aの長さをLA、第2の隔壁表面Bの長さをLBとしたときに、LA>LB、LA=LB、LA<LBのいずれであってもよい。また、第1の隔壁表面Aの長さLAは、LA:LBとなり得る領域の最小15%であることが好ましく、20〜80%の範囲内であることが好ましい。前記LAが前記下限未満では、ディーゼル排ガス浄化性能が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、PM酸化除去性能が低下する傾向にある。
さらに、第3の隔壁表面C及び第4の隔壁表面Dの長さ(排ガスの流れ方向の長さ、すなわち、ガス流出通路に平行な方向の長さ)及び深さ(排ガスの流れ方向に垂直な方向の長さ、すなわち、ガス流出通路に垂直な方向の長さ)は、特に制限されないが、ガス流出通路の隔壁の表面の長さをL2、第3の隔壁表面Cの長さをLC、第4の隔壁表面Dの長さをLDとしたときに、LC>LD、LC=LD、LC<LDのいずれであってもよく、また、第3の隔壁表面Cと第4の隔壁表面Dが連続していても両者に間隙があっても、若干重なっていてもよい。また、第3の隔壁表面Cの長さLCは、LC:LDとなり得る領域の最小5%であることが好ましく、10〜90%の範囲内であることが好ましい。前記LCが前記下限未満では、第3の触媒の効果が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、第4の触媒の効果が低下する傾向にある。
このようなフィルタ基体の材質は、特に制限されないが、例えば、コージェライト、炭化ケイ素、ムライト、アルミナ、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の多孔質セラミックスフィルタ材料であることが好ましい。この中でも、強度やコストの観点から、コージェライト、炭化ケイ素であることがより好ましい。
さらに、このようなフィルタ基体の隔壁の厚さは、特に制限されないが、例えば、隔壁の厚さが100〜400μmであることが好ましく、200〜300μmであることがより好ましい。前記隔壁の厚さが前記下限未満では、フィルタの強度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、排ガスが通過する際の圧力損失が増大する傾向にある。また、フィルタ基体の細孔径(気孔径)や細孔率(気孔率)は、前記隔壁が排ガス中のPMを濾過する濾過材として機能する範囲内で、適宜設定される。例えば、前記隔壁の平均細孔径(気孔径)は、5〜60μmであることが好ましく、15〜40μmであることがより好ましい。前記隔壁の平均細孔径(気孔径)が前記下限未満では、排ガスが通過する際の圧力損失が増大する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、隔壁の強度が十分でなくなる傾向にあり、また、PMの捕集効率が低下する傾向にある。また、フィルタ基体の細孔率(気孔率)は、40〜80%であることが好ましく、50〜75%であることがより好ましい。前記細孔率(気孔率)が前記下限未満では、細孔(気孔)表面積が不足し、排ガス浄化性能やPM補足性能が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フィルタの強度が低下して不十分となる傾向にある。
(ディーゼル酸化触媒)
本発明の排ガス浄化用触媒におけるディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)は、ディーゼル排ガス中の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)を酸化することができる触媒であればよく、特に制限されないが、例えば、多孔質酸化物担体とこの担体に担持された貴金属とを備えていることが好ましい。
このようなディーゼル酸化触媒は、貴金属(白金、ロジウム、パラジウム等)が担持された金属酸化物(アルミナ、セリア、ジルコニア、これらの複合体等)、ゼオライト触媒等であることが好ましい。
このようなディーゼル酸化触媒の担持量は、特に限定されないが、内燃機関等の排気特性や所望の浄化性能等に応じて適宜設定され、例えば、フィルタ基体1リットル(L)当たり10〜100gの範囲であることが好ましい。
(粒子状物質酸化触媒)
本発明の排ガス浄化用触媒における粒子状物質酸化触媒(PM酸化触媒)は、PMを酸化することができる触媒であればよく、特に制限されないが、例えば、フィルタに捕集されたPMを比較的低温から酸化(燃焼)除去することができるPM酸化触媒であることが好ましい。
このようなPM酸化触媒は、酸化セリウム(CeO、セリア)、酸化ジルコニウム(ZrO、ジルコニア)、酸化アルミニウム(Al、アルミナ)、或いはこれらの2種又は3種からなる複合酸化物に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属又は銀(Ag)を担持したものであることが好ましい。また、例えば、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、ランタン(La)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)等の希土類元素、鉄(Fe)等の遷移金属等の1種以上を添加してもよい。
このようなPM酸化触媒は、酸化セリウム(セリア)を含む酸化物又は複合酸化物に活性種である銀(Ag)を担持したもの、又はAgとCeOを複合化したものであることがより好ましい。活性種としての銀(Ag)を担持することにより比較的低温よりPMを燃焼できる傾向にあり、酸化物又は複合酸化物として酸化セリウム(セリア)を含むものを用いることにより、活性な酸素を放出することによってPMの酸化除去を促進するとともに、銀(Ag)の凝集及び揮発を抑制することができ、PM酸化触媒の耐熱性が向上する傾向にある。また、酸化セリウム(セリア)を含む酸化物又は複合酸化物に銀(Ag)を担持することにより、再生初期のPMの燃焼速度を速くでき、また、フィルタの再生にかかる時間を短縮できる傾向にある。
また、このようなPM酸化触媒は、より少量のPM酸化触媒でPMを効率的に燃焼することができるため、PM酸化触媒量を低減することができる。したがって、PM酸化触媒のコート量を必要最小限に抑えられることから、ディーゼル酸化触媒のコート量が確保され、高いディーゼル排ガス浄化性能が得られることになる。また、排ガスが通過する際の圧力損失を低減することも可能となる。
さらに、PMは、このようなPM酸化触媒の近傍に堆積し、PMとPM酸化触媒との互いの距離が近いことからPM燃焼効率が向上し、完全酸化が進行することになる。例えば、PM酸化触媒をコートしないDPF等に堆積したPMの再生処理を行った場合にはCOの生成量が多いことが知られているが、本発明のようにPM酸化触媒からなる触媒層を形成することにより、PMが自燃して生成するCOをCOに酸化して無害化することが可能となり、また、PMの燃焼温度を低下させることが可能となる。
また、このようなPM酸化触媒においては、ランタン(La)、ネオジム(Nd)等のセリウム(Ce)以外の希土類元素や、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)及び珪素(Si)からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分を更に含有していることが特に好ましい。このような添加成分を含有することにより、PM酸化触媒のセリア微粒子における酸素活性種の移動度を高めるとともにセリア粒子の粗大化をより有効に防止することができ、PMの酸化除去をより促進し、PM酸化触媒の耐熱性をより向上する傾向にある。さらに、前記PM酸化触媒は、Ag及びPdがセリア及びジルコニアに担持されたPM酸化触媒であることがより好ましい。
このようなPM酸化触媒の担持量は、特に限定されないが、内燃機関等の排気特性や所望の浄化性能等に応じて適宜設定され、例えば、フィルタ基体1リットル(L)当たり10〜100gの範囲であることが好ましい。
(第1の触媒層)
図1に示すように、本発明の排ガス浄化用触媒においては、前記ガス流入通路13の開口端側の隔壁の表面(第1の隔壁表面)に担持されかつディーゼル酸化触媒及びPM酸化触媒のうちの一方の酸化触媒からなる第1の触媒層3を備えている。このような第1の触媒層は、上流側に配置されているディーゼル酸化触媒の反応熱を有効に伝達して下流側で堆積しているPMを燃焼できるという観点から、ディーゼル酸化触媒からなる触媒層であることが好ましい。また、この第1の触媒層は、前記第1の隔壁表面の露出面(ガス流入通路に接する面)及び前記第1の隔壁表面の多孔性隔壁の内部の細孔内の表面に形成されていることが好ましい。
このような第1の触媒層は、前記第1の隔壁表面の70〜100%の範囲に形成されていることが好ましく、80〜100%の範囲であることがより好ましい。第1の触媒層の形成範囲が前記下限未満では、第1の触媒層による効果が得られない傾向にある。なお、このような第1の触媒層は、ガス流入通路の多孔性隔壁表面の20〜80%の範囲に形成されていることが好ましい。さらに、このような第1の触媒層の深さは、特に制限されないが、隔壁の厚さの1/4〜3/4の範囲内であることが好ましく、1/3〜2/3がより好ましい。第1の触媒層の深さが前記下限未満では、第1の触媒層による効果が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、第3の触媒層と重なり、排ガスが通過する際の圧力損失が増大する傾向にある。
(第2の触媒層)
図1に示すように、本発明の排ガス浄化用触媒においては、前記ガス流入通路13の封止端側の隔壁の表面(第2の隔壁表面)に担持されかつディーゼル酸化触媒及びPM酸化触媒のうちの一方の酸化触媒からなる第2の触媒層4を備えている。このような第2の触媒層はPM酸化触媒からなる触媒層であることが好ましい。PMはガス流入通路側の隔壁の表面に堆積しやすく、特に、温度が上昇しにくい下流側の隔壁の表面(第2の隔壁表面)に堆積しやすい。このため、第2の触媒層をPM酸化触媒によって形成すると、活性種である銀(Ag)をPMとの接触界面に配置することができるため、最小限のPM酸化触媒量でPMを効率的に酸化することができ、PM酸化触媒量を低減することができる。また、PM酸化触媒の性能が向上するため、低温での酸化も可能となる。さらに、前記第2の隔壁表面の露出面(ガス流入通路に接する面)及び前記第2の隔壁表面の多孔性隔壁の内部の細孔内の表面に形成することが好ましい。
このような第2の触媒層は、前記第2の隔壁表面の70〜100%の範囲に形成されていることが好ましく、80〜100%の範囲であることがより好ましい。第2の触媒層の形成範囲が前記下限未満では、第2の触媒層による効果が得られない傾向にある。なお、このような第2の触媒層は、ガス流入通路の多孔性隔壁表面の20〜80%の範囲に形成されていることが好ましい。さらに、このような第2の触媒層の深さは、特に制限されないが、隔壁の厚さの1/4〜3/4の範囲内であることが好ましく、1/3〜2/3がより好ましい。第2の触媒層の深さが前記下限未満では、第2の触媒層による効果が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、第4の触媒層と重なり、排ガスが通過する際の圧力損失が増大する傾向にある。
(第3の触媒層)
図1に示すように、本発明の排ガス浄化用触媒においては、前記ガス流出通路14の封止端側の隔壁の表面(第3の隔壁表面)に担持されかつディーゼル酸化触媒からなる第3の触媒層を備えていてもよい。このような第3の触媒層は、ディーゼル酸化触媒からなる触媒層であること以外は特に制限されないが、前記第3の隔壁表面の露出面(ガス流出通路に接する面)及び前記第3の隔壁表面の多孔性隔壁の内部の細孔内の表面に形成することが好ましい。
このような第3の触媒層は、前記第3の隔壁表面の70〜100%の範囲に形成されていることが好ましく、80〜100%の範囲であることがより好ましい。第3の触媒層の形成範囲が前記下限未満では、第3の触媒層による効果が得られない傾向にある。なお、このような第3の触媒層は、ガス流出通路の多孔性隔壁表面の20〜80%の範囲に形成されていることが好ましい。さらに、このような第3の触媒層の深さは、特に制限されないが、隔壁の厚さの1/4〜3/4の範囲内であることが好ましく、1/3〜2/3がより好ましい。第3の触媒層の深さが前記下限未満では、第3の触媒層による効果が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、第1の触媒層と重なり、排ガスが通過する際の圧力損失が増大する傾向にある。
このような第3の触媒層におけるディーゼル酸化触媒(第3の触媒層用ディーゼル酸化触媒)は、排ガス中のCO及びHCを酸化することができる触媒であればよく、特に制限されないが、例えば、耐熱性に優れるディーゼル酸化触媒であることが好ましい。また、このような第3の触媒層におけるディーゼル酸化触媒の担持量は、特に限定されないが、エンジンの排気特性や所望の浄化スペック等に応じて適宜設定され、例えば、フィルタ基体1リットル(L)当たり10〜100gの範囲であることが好ましい。
(第4の触媒層)
図1に示すように、本発明の排ガス浄化用触媒においては、前記ガス流出通路14の開口端側の隔壁の表面(第4の隔壁表面)に担持されかつディーゼル酸化触媒からなる第4の触媒層を備えていてもよい。このような第4の触媒層は、ディーゼル酸化触媒からなる触媒層であること以外は特に制限されないが、前記第4の隔壁表面の露出面(ガス流出通路に接する面)及び前記第4の隔壁表面の多孔性隔壁の内部の細孔内の表面に形成することが好ましい。
このような第4の触媒層は、前記第4の隔壁表面の70〜100%の範囲に形成されていることが好ましく、80〜100%の範囲であることがより好ましい。第4の触媒層の形成範囲が前記下限未満では、第4の触媒層による効果が得られない傾向にある。なお、このような第4の触媒層は、ガス流出通路の多孔性隔壁表面の20〜80%の範囲に形成されていることが好ましい。また、第4の触媒層として前記第3の触媒層と同じディーゼル酸化触媒を用いる場合は、第4の触媒層及び第3の触媒層は、ガス流出通路の多孔性隔壁表面の80〜100%の範囲に形成されていることが好ましい。さらに、このような第4の触媒層の深さは、特に制限されないが、隔壁の厚さの1/4〜3/4の範囲内であることが好ましく、1/3〜2/3がより好ましい。第4の触媒層の深さが前記下限未満では、第4の触媒層による効果が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、第2の触媒層と重なり、排ガスが通過する際の圧力損失が増大する傾向にある。
また、第4の触媒層は、前記第3の触媒層と隔てて(触媒層を担持していない部分を置いて)設けてもよいが、前記第3の触媒層に続いて連続的に設けることが好ましい。このようにすることにより、より多くの触媒をコートでき、性能が向上する傾向にある。さらに、第4の触媒層は、前記第3の触媒層と同じディーゼル酸化触媒を用いてもよく、異なるものを用いることもできる。
このような第4の触媒層におけるディーゼル酸化触媒(第4の触媒層用ディーゼル酸化触媒)は、排ガス中のCO及びHCを酸化することができる触媒であればよく、特に制限されないが、例えば、第3の触媒層用ディーゼル酸化触媒に比べて活性に優れるディーゼル酸化触媒(この場合、耐熱性は若干劣っていてもよい。)であることが好ましい。また、このような第4の触媒層におけるディーゼル酸化触媒の担持量は、特に限定されないが、内燃機関等の排気特性や所望の浄化性能等に応じて適宜設定され、例えば、フィルタ基体1リットル(L)当たり10〜100gの範囲であることが好ましい。
<排ガス浄化用触媒>
図1に示すように、本発明の排ガス浄化用触媒においては、前記第1の触媒層3と前記第2の触媒層4との間に、ディーゼル酸化触媒及びPM酸化触媒のいずれの酸化触媒も配置されていない領域7が設けられている。このような領域の形態は、ディーゼル酸化触媒とPM酸化触媒とが接触していなければ、特に制限はなく、第1の触媒層3と第2の触媒層4との間に障壁となる層を形成してもよいが、より簡便にディーゼル酸化触媒とPM酸化触媒との接触を防ぐことができるという観点から、空隙であることが好ましい。このように、第1の触媒層3と第2の触媒層4とを分離して配置することによって、ディーゼル酸化触媒とPM酸化触媒の接触を防止し、触媒活性の低下を抑制することができる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒において、第1の触媒層3と第2の触媒層4との間隔は2〜10mmである。第1の触媒層と第2の触媒層との間隔が前記下限未満では、第1の触媒層と第2の触媒層とを分離して配置する効果が十分に得られず、一方の触媒層が他方の触媒層の成分により被毒するため、触媒活性の低下を抑制することは困難である。他方、第1の触媒層と第2の触媒層との間隔が前記上限を超えると、第1の触媒層及び第2の触媒層の長さ(排ガスの流れ方向の長さ、すなわち、ガス流入通路に平行な方向の長さ)が短くなるため、十分な触媒活性が得られない。
本発明の排ガス浄化用触媒においては、前記PM酸化触媒の粒子状物質酸化能が、前記ディーゼル酸化触媒の粒子状物質酸化能より高く、かつ、前記ディーゼル酸化触媒の排ガス浄化能(例えば、CO酸化能、HC酸化能)が、前記PM酸化触媒の排ガス浄化能より高いことが好ましい。これより、より十分に高度な粒子状物質浄化性能を有し、かつ、より十分に高度なディーゼル排ガス浄化性能を兼ね備える排ガス浄化用触媒を得ることができる。なお、このような排ガス浄化用触媒における前記PM酸化触媒の粒子状物質酸化能が、前記ディーゼル酸化触媒の粒子状物質酸化能よりも低い場合には、PMの燃焼が促進されず、堆積したPMにより排ガスが通過する際の圧力損失が増大する傾向にある。また、前記ディーゼル酸化触媒の排ガス浄化能が、前記PM酸化触媒の排ガス浄化能よりも低い場合には、排ガスの酸化が進行せず、十分な排ガス浄化能が得られない傾向になる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒においては、前記PM酸化触媒が、銀が酸化セリウムに担持された又は複合化したPM酸化触媒であり、かつ、前記ディーゼル酸化触媒が、貴金属が金属酸化物に担持されたディーゼル酸化触媒であることが好ましい。これより、より十分に高度な粒子状物質浄化性能を有し、かつ、より十分に高度なディーゼル排ガス浄化性能を兼ね備えた排ガス浄化用触媒を得ることができる。
さらに、本発明の排ガス浄化用触媒においては、フィルタ基体の細孔率(気孔率)が、触媒が担持された状態で、40〜80%であることが好ましく、50〜75%であることがより好ましい。前記細孔率(気孔率)が前記下限未満では、細孔(気孔)表面積が不足し、排ガス浄化性能やPM補足性能が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、フィルタの強度が低下し、不十分となる傾向にある。また、フィルタ基体の多孔性隔壁の平均細孔径(気孔径)は、触媒が担持された状態で、5〜60μmであることが好ましく、15〜40μmであることがより好ましい。前記平均細孔径(気孔径)が前記下限未満では、排ガスが通過する際の圧力損失が増大する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、多孔性隔壁の強度が十分でなくなる傾向にあり、また、PMの捕集効率が低下する傾向にある。
(排ガス浄化用触媒の製造方法)
次に、本発明のガス浄化用触媒の製造方法を説明する。本発明の排ガス浄化用触媒は、PMを含有する排ガスの流路に配置され、排ガスが流入する側の流入面と、浄化ガスが排出される側の排出面とを有する排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
一端が前記流入面に開口しかつ他端が前記排出面側で封止されているガス流入通路と、一端が前記排出面に開口しかつ他端が前記流入面側で封止されているガス流出通路とが、多孔性隔壁により画成されて並設されており、前記ガス流入通路に流入した排ガスが前記隔壁を通過して前記ガス流出通路から排出されるウォールスルー型のフィルタ基体を準備する工程(フィルタ基体準備工程)と、
前記ガス流入通路の開口端側の隔壁の表面(第1の隔壁表面)に、ディーゼル酸化触媒及びPM酸化触媒のうちの一方の酸化触媒の前駆体である第1の触媒スラリーを担持せしめる工程(第1の触媒スラリー担持工程)と、
得られる排ガス浄化用触媒において、隔壁の表面の第1の触媒層と第2の触媒層との間に、ディーゼル酸化触媒及びPM酸化触媒のいずれの酸化触媒も配置されていない領域が存在し、第1の触媒層と第2の触媒層との間隔が2〜10mmとなるように、前記ガス流入通路の封止端側の隔壁の表面(第2の隔壁表面)に、ディーゼル酸化触媒及びPM酸化触媒のうちの他方の酸化触媒の前駆体である第2の触媒スラリーを担持せしめる工程(第2の触媒スラリー担持工程)と、
必要に応じて、
前記ガス流出通路の封止端側の隔壁の表面(第3の隔壁表面)に、第3の触媒層用ディーゼル酸化触媒の前駆体である第3の触媒スラリーを担持せしめる工程(第3の触媒スラリー担持工程)と、
前記ガス流出通路の開口端側の隔壁の表面(第4の隔壁表面)に、第4の触媒層用ディーゼル酸化触媒の前駆体である第4の触媒スラリーを担持せしめる工程(第4の触媒スラリー担持工程)と、
前記触媒スラリーを担持せしめたフィルタ基体に熱処理を施す工程(焼成工程)と、
を含む方法により製造することができる。
(フィルタ基体準備工程)
先ず、一端が前記流入面に開口しかつ他端が前記排出面側で封止されているガス流入通路と、一端が前記排出面に開口しかつ他端が前記流入面側で封止されているガス流出通路とが、多孔性隔壁により画成されて並設されており、前記ガス流入通路に流入した排ガスが前記隔壁を通過して前記ガス流出通路から排出されるウォールスルー型のフィルタ基体を準備する。
このようなフィルタ基体準備工程で準備するフィルタ基体としては、特に制限されないが、例えば、市販のウォールスルー型ハニカム形状セラミックフィルタが挙げられる。また、公知のセラミックフィルタの製造方法により製造したものを用いてもよい。なお、このようなフィルタ基体は、前記本発明の排ガス浄化用触媒において説明したものと同様のものを用いることができる。
(第1、第2、第3及び第4の触媒スラリー担持工程)
次に、前記準備したフィルタ基体に、前記ガス流入通路の開口端側の隔壁の表面(第1の隔壁表面)にディーゼル酸化触媒及びPM酸化触媒のうちの一方の酸化触媒の前駆体である第1の触媒スラリーを担持せしめ(第1の触媒スラリー担持工程)、前記ガス流入通路の封止端側の隔壁の表面(第2の隔壁表面)にディーゼル酸化触媒及びPM酸化触媒のうちの他方の酸化触媒の前駆体である第2の触媒スラリーを担持せしめ(第2の触媒スラリー担持工程)、必要に応じて、前記ガス流出通路の封止端側の隔壁の表面(第3の隔壁表面)に第3の触媒層用ディーゼル酸化触媒の前駆体である第3の触媒スラリーを担持せしめ(第3の触媒スラリー担持工程)、前記ガス流出通路の開口端側の隔壁の表面(第4の隔壁表面)に第4の触媒層用ディーゼル酸化触媒の前駆体である第4の触媒スラリーを担持せしめる(第4の触媒スラリー担持工程)。このような触媒スラリーを担持せしめる順番は、特に制限されないが、形成する第1の触媒層及び第2の触媒層、第3の触媒層及び第4の触媒層の触媒の種類、担持方法(手段)や担持量等の条件等により、触媒スラリーの担持順番が適宜決定される。また、前記第1の触媒スラリー担持工程、第2の触媒スラリー担持工程、第3の触媒スラリー担持工程及び第4の触媒スラリー担持工程を施した後に、触媒スラリーをコートしたフィルタ基体を乾燥させることが好ましい。さらに、上記の触媒スラリー担持及び乾燥の操作は、コートした触媒スラリーの量が、所定量の触媒量となるまで繰り返し行うことが好ましい。また、このような触媒スラリー担持工程において用いる触媒スラリーは、特に限定されず、例えば、公知の製造方法を適宜採用して得ることができる。
前記フィルタ基体の隔壁に触媒スラリーを担持せしめる方法としては、特に限定されないが、例えば、触媒スラリーを圧入手段により圧入する方法、フィルタ基体を触媒スラリーに浸漬させ、吸入せしめてコートする方法(浸漬法)、ウォッシュコート法、等が挙げられる。このうち、触媒スラリーを圧入手段により圧入する方法が好ましい。特に、第2の触媒スラリー担持工程においては、触媒スラリーを圧入手段により圧入する方法を用いることが特に好ましい。
このような触媒スラリーを圧入手段により圧入する方法としては、特に限定されず、例えば、シリンジ(圧入手段)を使用した触媒成分含有液状体(触媒スラリー)圧入装置を用いて触媒スラリーを圧入する方法、液ポンプやチューブポンプ等の圧入手段を用いて触媒スラリーを圧入する方法、等が挙げられる。この中でも、シリンジを使用した触媒スラリー圧入装置を用いて触媒スラリーを圧入する方法が特に好ましい。このような方法により、前記フィルタ基体の隔壁の所望の箇所(部位)に、触媒層を形成する触媒スラリーを、所望の量だけ確実にコートすることができる。例えば、ガス流入通路の封止端側の隔壁の表面(第2の隔壁表面)となる隔壁の所定の箇所に、第2の触媒層を形成する触媒スラリーを、所望の量だけ確実にコートすることができる。
また、フィルタ基体を触媒スラリーに浸漬させ、吸入せしめてコートする方法としては、特に限定されず、例えば、フィルタ基体を所定位置まで触媒スラリー(触媒成分含有液状体)中に浸漬させて毛管現象により隔壁の表面及び細孔(気孔)内に触媒スラリーを吸入せしめるようにして触媒スラリーを所定の箇所に所望の量を塗布(コート)する。具体的には、先ず、前記フィルタ基体の一方の開口端部(流出面又は流入面)を樹脂フィルム等で覆い、他方の開口端部(流入面又は流出面)から空気が抜けないようにする。次に、予め準備した触媒スラリー中にフィルタ基体の所望の部分のみ(例えば、フィルタ基体のガス流入通路の開口端側の隔壁の表面(第1の隔壁表面)のみ、又は前記ガス流出通路の開口端側の隔壁の表面(第4の隔壁表面)のみ、等)を浸漬させる。このとき、前記フィルタ基体の軸方向が鉛直方向に平行となるようにして、フィルタ基体をスラリー中に浸漬させる。なお、必要により、超音波をかけながら浸漬処理を施す。所定時間が経過した後、フィルタ基体を引き上げて余分なスラリーを除去し、乾燥させる。このような操作は、所定量の触媒スラリーが担持されるまで繰り返し行う。これにより、フィルタ基体の所望の部分に所定量の触媒スラリー(乾燥物)が担持された触媒スラリー乾燥物層が形成される。
(焼成工程)
次に、前記触媒スラリーを担持せしめたフィルタ基体に熱処理を施すことにより、前記本発明の排ガス浄化用触媒を得ることができる。このような焼成工程においては、前記触媒層を形成する触媒スラリーを担持せしめたフィルタ基体を200〜700℃の範囲内の温度で焼成せしめることが好ましい。前記焼成温度が前記下限未満では、触媒成分がフィルタ基体に強く付着しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、触媒成分が粒成長するなど変質が起こる傾向にある。なお、このような焼成温度は、付着性の確保と作業効率という観点から、200〜600℃の範囲内の温度であることがより好ましい。また、焼成(加熱)時間は、前記焼成温度により異なるものであるため一概には言えないが、0.5〜10時間であることが好ましく、1〜5時間であることがより好ましい。さらに、このような焼成工程における雰囲気は、特に制限されないが、大気中又は不活性雰囲気中であることが好ましい。
以上、本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法の好適な実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではない。
<排ガス浄化方法>
次に、本発明の排ガス浄化用触媒を用いた排ガス浄化方法について説明する。この方法では、PMを含有する排ガスを、前記本発明の排ガス浄化用触媒のガス流入通路から流入させ、ガス流出通路から浄化ガスを排出することによって、排ガス中のPM、COやHCが酸化されて、排ガスが浄化させる。
このような排ガス浄化方法において、前記排ガス浄化用触媒に排ガスを流入せしめる方法としては、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、内燃機関から排出されるガスが流通する排ガス管内に前記排ガス浄化用触媒を配置することにより、前記排ガス浄化用触媒に対して内燃機関から排出されたPMを含有する排ガスをガス流入通路に流入せしめる方法を採用してもよい。
なお、本発明の排ガス浄化用触媒は、十分に高い粒子状物質浄化性能を有し、かつ十分に高いディーゼル排ガス浄化性能を有するものであるため、このような前記本発明の排ガス浄化用触媒に、例えば、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガスを接触させることにより、十分に高い粒子状物質浄化性能及び十分に高いディーゼル排ガス浄化性能を発揮させることが可能となる。このような観点から、本発明の排ガス浄化用触媒を用いた排ガス浄化方法は、例えば、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出されるようなPMを含有するディーゼル排ガス中のPM、CO及びHCを浄化するための方法等として好適に採用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(調製例1)
<ディーゼル酸化触媒の前駆体である触媒スラリーの調製>
先ず、アルミナ粉末(γ−Al、グレース社製、平均粒径:7.3μm)をジニトロジアンミン白金硝酸水溶液(Pt含有量:4.5質量%)に投入して2時間撹拌し、アルミナ粉末に所定量のジニトロジアンミン白金硝酸水溶液を含浸させた後、蒸発・乾固させた。その後、大気中、500℃の温度条件で1時間焼成することにより、Pt担持アルミナ粉末を得た。Ptの担持量は、担体粉末100gに対して1gであった。
次に、90質量部のイオン交換水に、得られたPt担持アルミナ粉末9質量部とアルミナゾル1質量部とを投入して、9質量%濃度のディーゼル酸化触媒の前駆体である触媒スラリー(Pt担持Al含有液状体)を調製した。なお、この触媒スラリーの粒度分布を測定したところ、平均粒子径が0.5μmの凝集体が安定に分散していた。
(調製例2)
<PM酸化触媒の前駆体である触媒スラリーの調製>
先ず、50.46gのCe(NO・6HOと、5.59gのLa(NOと、29.62gのAgNOとを120mLの水で溶解せしめた硝酸塩溶液([仕込み量の比(モル比)]Ce:Ag:La=90:135:10)を調製した。次に、25質量%のアンモニア水38.21gを水100gに希釈したアンモニア水を調製した。次いで、上記アンモニア水に対して撹拌しながら前記硝酸塩溶液を投入し(逆沈殿)、10分間撹拌を継続した後、水の存在下、閉鎖系において2気圧の条件下にて120℃に加熱して2時間の凝集処理を行い、凝集体前駆体(La添加CeO−Ag前駆体)を調製した。
次に、上述の逆沈殿、凝集処理後の沈殿(凝集体前駆体)を遠心分離により回収した後、回収された凝集体に対して水を加えることによって15質量%濃度のPM酸化触媒の前駆体である触媒スラリー(La添加CeO−Ag含有液状体)を調製した。なお、この触媒スラリーの粒度分布を測定したところ、平均粒子径が0.1μmの凝集体が安定に分散していた。
(調製例3)
<ディーゼル酸化触媒の前駆体とPM酸化触媒の前駆体との混合物である混合触媒スラリーの調製>
調製例1で調製したディーゼル酸化触媒の前駆体である触媒スラリーと調製例2で調製したPM酸化触媒の前駆体である触媒スラリーとを質量比5:3で混合して、9質量%濃度のディーゼル酸化触媒の前駆体と15質量%濃度のPM酸化触媒の前駆体との混合物である混合触媒スラリー(Pt担持Al及びLa添加CeO−Ag含有液状体)を調製した。
(実施例1)
先ず、フィルタ基体として、テストピースサイズ(35ml)のDPF(コージェライト製、気孔率65%、平均細孔径30μm、直径30mm×長さ50mm、隔壁の厚さ0.2mm)を用意した。次に、図3に示す方法により、フィルタ基体のガス流入通路の開口端側の隔壁の表面(A)に調製例1で調製したディーゼル酸化触媒の前駆体である触媒スラリーを用いてディーゼル酸化触媒からなる第1の触媒層を形成し、フィルタ基体のガス流入通路の封止端側の隔壁の表面(第2の隔壁表面)(B)に調製例2で調製したPM酸化触媒の前駆体である触媒スラリーを用いてPM酸化触媒からなる第2の触媒層を形成して排ガス浄化用触媒試料を調製した。なお、図3は、排ガス浄化用触媒の製造における触媒スラリーの圧入手段を模式的に示す縦断面図である。
すなわち、先ず、前記フィルタ基体をイオン交換水に浸し、エアーガンで余分な水分を吹き飛ばしたときの質量と、乾燥させたときの質量を測定して前記フィルタ基体の吸水量を測定し、フィルタ基体の壁面の吸水量を計算した。
次に、図3に示すように、シリンジ71を用いたスラリー(触媒成分含有液状体)圧入装置70により、シリンジ先端72からフィルタ基体のガス流入通路13の封止端側の隔壁の表面(第2の隔壁表面)(B)に、PM酸化触媒からなる触媒層の長さ(排ガスの流れ方向の長さ、すなわち、ガス流入通路に平行な方向の長さ)が20mmとなるように、所定量のPM酸化触媒の前駆体である触媒スラリー(La添加CeO−Ag含有液状体)を圧入した。その後、4mmの隙間をあけて、ガス流入通路13の開口端側の隔壁の表面(第1の隔壁表面)(A)に、ディーゼル排ガス酸化触媒からなる触媒層の長さ(排ガスの流れ方向の長さ、すなわち、ガス流入通路に平行な方向の長さ)が20mmとなるように、所定量のディーゼル排ガス酸化触媒の前駆体である触媒スラリー(Pt担持Al含有液状体)を圧入し、2種類の触媒スラリーをフィルタ基体のガス流入通路の隔壁の表面に所定の間隔でコートした。次いで、触媒スラリーをコートしたフィルタ基体2’を、大気中、250℃で30分間乾燥した。
この一連の操作を繰り返して、フィルタ基体1L当たりのディーゼル排ガス酸化触媒の担持量が10g/L、PM酸化触媒の担持量が10g/Lとなるように、所定量の触媒スラリーをフィルタ基体のガス流入通路13の隔壁の表面にコートした。その後、触媒スラリーをコートしたフィルタ基体2’を、大気中、500℃で1時間焼成することにより、排ガス浄化用触媒を得た。
(比較例1)
PM酸化触媒からなる触媒層及びディーゼル排ガス酸化触媒からなる触媒層の長さをいずれも22mmに変更してPM酸化触媒からなる触媒層とディーゼル排ガス酸化触媒からなる触媒層とが接触するように、触媒スラリーをコートした以外は実施例1と同様にして、比較用触媒を調製した。
(比較例2)
PM酸化触媒からなる触媒層及びディーゼル排ガス酸化触媒からなる触媒層の長さをいずれも16mmに変更して、PM酸化触媒からなる触媒層とディーゼル排ガス酸化触媒からなる触媒層との隙間が12mmとなるように、触媒スラリーをコートした以外は実施例1と同様にして、比較用触媒を調製した。
(比較例3)
フィルタ基体のガス流入通路の隔壁の表面に、調製例3で調製したディーゼル酸化触媒の前駆体とPM酸化触媒の前駆体との混合物である混合触媒スラリーを用いてディーゼル酸化触媒とPM酸化触媒との混合物からなる混合触媒層を形成して比較用触媒試料を調製した。
すなわち、先ず、実施例1と同様にして、前記フィルタ基体の吸水量を測定し、フィルタ基体の壁面の吸水量を計算した。次に、シリンジを用いたスラリー(触媒成分含有液状体)圧入装置により、シリンジ先端からフィルタ基体のガス流入通路の隔壁の表面に、PM酸化触媒とディーゼル排ガス酸化触媒との混合物からなる混合触媒層の長さ(排ガスの流れ方向の長さ、すなわち、ガス流入通路に平行な方向の長さ)が44mmとなるように、所定量のディーゼル酸化触媒の前駆体とPM酸化触媒の前駆体との混合物である混合触媒スラリー(Pt担持Al及びLa添加CeO−Ag含有液状体)を圧入した。次いで、触媒スラリーをコートしたフィルタ基体2’を、大気中、250℃で30分間乾燥した。
この一連の操作を繰り返して、フィルタ基体1L当たりのディーゼル排ガス酸化触媒の担持量が10g/L、PM酸化触媒の担持量が10g/Lとなるように、所定量の混合触媒スラリーをフィルタ基体のガス流入通路の隔壁の表面にコートした。その後、触媒スラリーをコートしたフィルタ基体を、大気中、500℃で1時間焼成することにより、比較用触媒を得た。
<触媒性能評価試験>
実施例1及び比較例1〜3で得られた触媒を用いて、CO及びHCの酸化反応による活性評価試験を行った。すなわち、各触媒をそれぞれ固定床流通型反応器(ベスト測器(株)製)に設置した。次に、CO(800体積ppm)、C(400体積ppmC)、NO(100体積ppm)、O(10体積%)、CO(10体積%)、HO(5体積%)、N(残部)からなるモデルガスを10L/分の流量で供給し、触媒入りガス温度500℃に調整して20分間保持し、前処理を行った。その後、降温し、触媒入りガス温度500℃〜50℃における触媒入りガス及び触媒出ガス中のCO濃度及びHC濃度を測定し、それらの測定値からCO及びHC(C)の浄化率(%)を算出し、CO及びHCの浄化率が50%となったときの温度(50%浄化温度T50(CO)及びT50(HC))を求めた。図4に、実施例1及び比較例1〜3で得られた触媒のCOの50%浄化温度T50(CO)を示す。
図4に示したように、実施例1で得られた排ガス浄化用触媒は、比較例1〜3で得られた比較用触媒に比べて、COの50%浄化温度T50(CO)が低く、低温でのCO浄化性能に優れていることがわかった。また、HCの50%浄化温度T50(HC)についても同様の傾向が見られ、実施例1で得られた排ガス浄化用触媒は、比較例1〜3で得られた比較用触媒に比べて、HCの50%浄化温度T50(CO)が低く、低温でのHC浄化性能に優れていることがわかった。
<模擬PM付着処理>
実施例1及び比較例1〜3で得られた触媒を用いて、模擬PMの付着処理を行った。すなわち、先ず、モデル粒子状物質(PM)であるカーボン粉末(デグサ社製「Printex−U」)0.03gを特級エタノール50mlに混合し、超音波洗浄機を用いて十分に分散させてPM分散液を得た。次いで、触媒をコートした各触媒の上流側を上方にして、各触媒に前記PM分散液を流し込んだ後、通過したPM分散液を回収し、通過したPM分散液を再び上方から流し込む操作を、PM分散液がほぼ透明になるまで繰り返し、その後、乾燥させて前記カーボン粉末を触媒に付着させた(PM付着処理)。なお、このようなPM付着処理によって、前記PM分散液中のほぼ全量のカーボン粉末が触媒(DPF)により濾過され、各触媒におけるカーボン付着量は0.8g/Lとなった。
<PM再生試験>
前記PM付着処理後の各触媒に対し、PMを燃焼除去するPM再生試験を行った。すなわち、先ず、PM付着処理後の各触媒を常圧固定床流通型反応装置(ベスト測器(株)製)に設置した。PM付着処理後の各触媒に対してN(触媒入りガス)をガス流量15L/分で供給しながら、500℃(触媒入りガス温度)で15分間加熱して前処理を行った。その後、Nガスを供給しながら200℃になるまで各触媒を自然冷却した。次に、各触媒に対して、O(10容量%)、HO(10容量%)及びN(残部)からなる酸化雰囲気のガスを、ガス温度を20℃/分の昇温速度で200℃から720℃まで昇温しながら、ガス流量15L/分で供給した後、720℃におけるCO脱離量及びCO脱離量を測定した。このようにして測定されたCO脱離量及びCO脱離量から、CO脱離量とCO脱離量の和に占めるCO脱離量の割合[(CO脱離量/(CO脱離量+CO脱離量))×100](%)を求め、この割合を本発明における完全酸化率と定義した。その結果を図5に示す。
図5に示したように、実施例1で得られた排ガス浄化用触媒は、比較例1〜3で得られた比較用触媒に比べて、完全酸化率が高く、酸化性能に優れていることがわかった。
以上の結果から、実施例1で得られた排ガス浄化用触媒においては、ディーゼル酸化触媒からなる触媒層とPM酸化触媒からなる触媒層とが所定の間隔で分離して配置されているため、PM酸化触媒に含まれている銀(Ag)によるディーゼル酸化触媒の被毒が防止され、触媒活性の低下が抑制されていることがわかった。
一方、ディーゼル酸化触媒からなる触媒層とPM酸化触媒からなる触媒層とが接触している触媒(比較例1)、ディーゼル酸化触媒とPM酸化触媒との混合物からなる混合触媒(比較例3)においては、PM酸化触媒に含まれている銀(Ag)がディーゼル酸化触媒を被毒し、CO浄化活性が低下した。
他方、ディーゼル酸化触媒からなる触媒層とPM酸化触媒からなる触媒層とが離れすぎている場合(比較例2)には、銀(Ag)によるディーゼル酸化触媒の被毒は起こらないが、ディーゼル酸化触媒からなる触媒層の長さが短いため、ガス流速に対してCO浄化反応が十分に追随できず、CO酸化率が低下した。また、PM酸化触媒からなる触媒層の長さも短いため、堆積したPMを十分に燃焼できなかった。
以上説明したように、本発明によれば、十分に高い粒子状物質浄化性能を有し、かつ十分に高いディーゼル排ガス浄化性能(例えば、CO浄化性能、HC浄化性能)を有する排ガス浄化用触媒を得ることが可能となる。
したがって、本発明の排ガス浄化用触媒は、ディーゼルエンジン等の内燃機関からの排ガス中に含まれる粒子状物質、CO及びHCを除去するための排ガス浄化用触媒として特に有用である。
1:排ガス浄化用触媒、2:フィルタ基体、2’:触媒スラリーをコートしたフィルタ基体、3:第1の触媒層、3’:第1の触媒スラリーコート層、4:第2の触媒層、4’:第2の触媒スラリーコート層、5:第3の触媒層、6:第4の触媒層、7:第1の触媒層3と第2の触媒層4との間の領域、11:流入面、12:排出面、13:ガス流入通路、14:ガス流出通路、21:多孔性隔壁、22:封止部、70:スラリー圧入装置、71:シリンジ、72:シリンジ先端、A:ガス流入通路の開口端側の隔壁の表面(第1の隔壁表面)、B:ガス流入通路の封止端側の隔壁の表面(第2の隔壁表面)、C:ガス流出通路の封止端側の隔壁の表面(第3の隔壁表面)、D:ガス流出通路の開口端側の隔壁の表面(第4の隔壁表面)、S:第1の隔壁表面と第2の隔壁表面との間の隙間表面。

Claims (5)

  1. 粒子状物質を含有する排ガスの流路に配置され、排ガスが流入する側の流入面と、浄化ガスが排出される側の排出面とを有する排ガス浄化用触媒であって、
    一端が前記流入面に開口しかつ他端が前記排出面側で封止されているガス流入通路と、一端が前記排出面に開口しかつ他端が前記流入面側で封止されているガス流出通路とが、多孔性隔壁により画成されて並設されており、前記ガス流入通路に流入した排ガスが前記隔壁を通過して前記ガス流出通路から排出されるウォールスルー型のフィルタ基体と、
    前記ガス流入通路の開口端側の隔壁の表面に担持されかつディーゼル酸化触媒及び粒子状物質酸化触媒のうちの一方の酸化触媒からなる第1の触媒層と、
    前記ガス流入通路の封止端側の隔壁の表面に担持されかつディーゼル酸化触媒及び粒子状物質酸化触媒のうちの他方の酸化触媒からなる第2の触媒層と、
    を備えており、
    前記第1の触媒層と前記第2の触媒層との間隔が2〜10mmであり、
    前記隔壁の表面の前記第1の触媒層と前記第2の触媒層との間に、ディーゼル酸化触媒及び粒子状物質酸化触媒のいずれの酸化触媒も配置されていない領域が存在する、
    ことを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  2. 前記隔壁の表面の前記第1の触媒層と第2の触媒層との間の領域が空隙であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記第1の触媒層がディーゼル酸化触媒からなる触媒層であり、前記第2の触媒層が粒子状物質酸化触媒からなる触媒層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 前記粒子状物質酸化触媒の粒子状物質酸化能が、前記ディーゼル酸化触媒の粒子状物質酸化能より高く、かつ、
    前記ディーゼル酸化触媒の排ガス浄化能が、前記粒子状物質酸化触媒の排ガス浄化能より高い、
    ことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記ディーゼル酸化触媒が、貴金属が担持された金属酸化物触媒及びゼオライト触媒からなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記粒子状物質酸化触媒が、銀が酸化セリウムに担持された又は複合化した触媒である、
    ことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒。
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