JP2017184593A - ハイブリッドセル型電池 - Google Patents

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和之 豊郷
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Abstract

【課題】一組の電池によって、低温域から高温域までの広範囲にわたって使用可能とする電池システムを提供する。【解決手段】一個の電池100の中に使用可能な温度範囲が異なる複数の電池セル200、300を備え、温度センサ400により環境温度を認識し、該温度センサに接続された制御回路500によって、その温度において使用可能な電池セルの出力を選択して電池100の出力101、102とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電池に関するものである。特に、温度特性の異なる複数の電池を包含する電池システムに関するものである。
電池は化学反応により放電を行うので、その動作は環境温度に制約される。一般的には、電池は常温での使用を前提としているので、零度以下の低温域や60℃以上の高温域などでは十分な放電が行われず使用ができなくなるものが多い。
しかし、電池の使用可能な温度範囲は、各電池の種類や構造により異なる。例えば低温域においては、電解液として水溶液を含んでいる電池は放電が行われにくくなるが、水溶液を含まない固体電池には、動作に支障は生じないものもある。
同様に、高温域において動作可能な固体電池なども存在するので、低温域あるいは高温域のどちらかでのみ使用可能な電池は、市場において入手することが可能である。
しかしながら、低温域から高温域までの広範囲にわたって使用可能な電池が欲しいという市場ニーズは大きい。殊に、航空機や船舶等、極寒から極暑まで広範な温度環境で使用が想定されるものなどは、低温域および高温域の両方において使用可能であることが望まれている。
このような広い温度範囲は、単一の電池において実現することは困難である。このため、従来、種類が異なる複数の電池を組み合わせて、広範な使用可能温度範囲を実現する手法が知られている。
例えば、特許文献1においては、低温域では動作困難な電解液リチウム電池に関し、低温域でも動作する特定の硫化物固定電解質を含む固体電池を組み合せ、低温下での起動時には固体電池の電流により電解液リチウム電池を加熱して、その動作を可能にさせる方法が記載されている。
また、特許文献2においては、高温域では容量劣化が急激に進行してしまう電解液リチウム電池に関し、高温域で動作する全固体リチウム電池を並列に接続し、高温域においては電解液リチウム電池の出力を抑止して全固体リチウム電池のみの出力を利用する方法が記載されている。
特開2013−41749号公報 特許第3858986号公報
「低温型リチウムイオン電池」 三菱電線工業時報 第96号、平成12年2月
上記の特許文献1ないし2に記載の従来技術は、比較的広範な温度範囲において使用できる電池を主体として、それが動作困難になる高温域または低温域に限って、他の電池を補助的に使用するものであった。このため、補助電池のカバーする高温域または低温域での電池容量が十分ではないとか、常温での使用は主体になる電池のみに負担が集中する、などの問題があった。
本発明は、一個の電池の中に使用可能な温度範囲が異なる複数の電池セルを包含し、電池セルの周囲に設置した温度センサにより環境温度を認識し、該温度センサに接続された制御回路によって、その温度において使用可能な電池セルの出力を自動的に選択して該電池の出力とするものである。このため、常温においても複数の電池セルを切り替え使用することを可能とし、特定電池セルへの負担を避けることができる。また、採用する電池セルの種類の選択やそれらの出力を切り替える温度の選択を、柔軟に行うことができる手段を提供するものである。
例えば、本発明を適用したもっとも簡単な実施形態としては、一個の電池の中に、低温域から常温域で動作する低温型電池セルと常温域から高温域で動作する高温型電池セルとの2種の電池セルを備え、電池セルの周囲
温度を感知する温度センサを設け、その感知する温度により、どちらか一方または両方の電池セルの出力を選択して該電池の出力とする。すなわち、低温域では低温型電池セルの出力を選択して該電池の出力とし、高温域では高温型電池セルの出力を選択して該電池の出力とし、それらの中間の温域においては、どちらか一方または両方の電池セルの出力を選択して電池の出力とするのである。これにより、低温域から高温域までの使用が可能な電池が実現する。
また本発明は、付加的な機能として、選択された電池セルが適切な電圧を出力していない場合は、電池に内蔵された回路によって電池の使用者に異常を知らせる手段も提供する。
本発明により、広範な環境温度で使用できる電池が実現されるので、特に、航空機や船舶等、極寒から極暑まで広範な温度環境で使用する電源として効果が高い。
本発明の一実施形態である実施例1の電池内部のブロック図である。 実施例1の電池に使用する電池セルの使用可能温度範囲、および使用する温度センサの温度による抵抗値の変化を表す曲線を示すグラフである。 実施例1の電池内部の制御部等の回路図である。 本発明の他の一実施形態である実施例2の電池内部のブロック図である。 実施例2の電池に使用する電池セルの使用可能温度範囲、および使用する温度センサの温度による抵抗値の変化を表す曲線を示すグラフである。 実施例2の電池内部の制御部等の回路図である。
以下ではまず、図1ないし図3に示した本発明の一実施形態である実施例1について説明する。
図1は本発明による電池の構成を示すブロック図である。図1において、100は本発明の対象である電池、101は電池100の正極端子、102は電池100の負極端子である。電池100の中には、2種の電池セルである電池セル200および電池セル300が内蔵されている。
図1において、電池セル200の正極端子201と負極端子202、電池セル300の正極端子301と負極端子302は、すべて出力選択部600に接続され、制御部500の制御により、電池セル200または電池セル300のどちらかの出力が電池100の出力として選択され、電池100の正極端子101および負極端子102に出力される。
制御部500には温度センサ400が接続されており、温度センサ400は電池セル200および300の周囲温度を感知する。制御部500は、温度センサ400の感知する温度によって、出力選択部600において電池セル200または電池セル300のどちらかの出力を選択するように切り替え制御を行う。
また制御部500および出力選択部600には、異常検出回路700が接続されている。異常検出回路700も本発明の範囲であるが、これは付加的な機能であり、これを備えないものであっても本発明を構成できる。
接続線103、104、105はそれぞれ、制御部500と出力選択部600、制御部500と異常検出回路700、出力選択部600と異常検出回路700を結ぶ複数本の結線であるが、煩瑣になるので図1ではそれぞれまとめて一本の線で示す。詳細は図3の回路図に示している。
ここで、本発明の特徴とするところは、電池セル200および電池セル300として、異なる使用可能温度範囲を有するものを採用することである。即ち、図2に示すように、電池セル200は低温域のT1℃から常温域のT3℃において使用可能なものとし、電池セル300は常温域のT2℃から高温域のT4℃で使用可能なものとする。
このような電池セルは、新たに開発することは要さず、既存の電池セルの中から選択することができる。例えば、電池セル200としては、非特許文献1に示されているような低温特性に優れた低温型リチウムイオン電池を使用し、電池セル300としては特許文献2に示されているような高温特性に優れたリチウム電池を使用することが考えられる。これにより、高温時の特性を損なうことなく、リチウムイオン電池の弱点である低温放電特性を改善することができる。
本発明は、図2に示すように電池セル200および電池セル300が共に使用可能である特定温度Tx℃を基準温度とすると、制御部500は、温度センサ400が基準温度Tx℃より低い温度を感知しているときは電池セル200の出力を選択し、Tx℃より高い温度を感知しているときは電池セル300の出力を選択して電池100の出力とするよう、出力選択部600を制御するものである。これにより、電池100が、電池セル200の最低動作温度であるT1℃から電池セル300の最高動作温度であるT4℃まで、低温域から高温域までの広範な温度範囲において使用が可能な電池となる。
以下では、制御部500および出力選択部600が、温度センサ400の感知温度によって電池セル200または電池セル300の出力を選択する動作をどのように行うか、図2および図3の実施例によって具体的に説明する。
図2は横軸を温度、縦軸を抵抗値とするグラフである。
本実施形態においては、温度センサ400としてはNTC(Negative Temperature Coefficient)型のサーミスタを使用するものと仮定する。該温度センサは、図2の曲線に示すように、抵抗値が低温時には高く、高温になるにつれ小さくなるものである。NTC型サーミスタは、市販品で容易に入手可能である。なお、NTC型サーミスタに限らず他の種類の温度センサを使用しても、本発明が同様に実施できることは言うまでもない。
図2に示したように、温度センサ400の抵抗値は環境温度がTx℃のときにRx(Ω)となるものとする。
図3は、制御部500、出力選択部600、異常検出回路700の各々の内部回路とこれらの間の結線の一例を示したものである。図3においては、図1と同じく、400は温度センサ、500は制御部、600は出力選択部、700は異常検出回路、101と102は電池100の正極端子と負極端子、201と202は電池セル200の正極端子と負極端子、301と302は電池セル300の正極端子と負極端子である。
図3の制御部500においては、510は制御部用電源、520はバイポーラトランジスタ、530はn型MOSトランジスタ、540、550、560は抵抗器である。出力選択部600においては、611、612はn型MOSトランジスタである。異常検出回路700については、付加的機能であるので後述する。
ここで、抵抗器540の抵抗値は、温度センサ400の抵抗値がRx(Ω)であるときにトランジスタ520のベース電圧が該トランジスタをオンとする閾値電圧となるように、その値を定める。
Tx℃未満の温度においては、温度センサ400の抵抗値はRx(Ω)より大きいので、トランジスタ520のベース電圧は閾値電圧より低電位となり、トランジスタ520はオフ状態となる。このため、MOSトランジスタ611のゲート電圧は高電位となり、MOSトランジスタ611はオン状態となる。これにより、端子201から印加される電池セル200の電圧が電池100の正極端子101に出力される。
また、このときトランジスタ520はオフ状態であるからMOSトランジスタ530のゲート電圧は高電位となり、MOSトランジスタ530はオン状態となる。このため、MOSトランジスタ612のゲート電圧は低電位となり、MOSトランジスタ612はオフ状態となる。よって、端子301から印加される電池セル300の電圧は正極端子101には出力されない。
一方、Tx℃以上の温度においては、温度センサ400の抵抗値はRx(Ω)以下となるので、トランジスタ520のベース電圧は閾値電圧以上の高電位となり、トランジスタ520はオン状態となる。これにより、MOSトランジスタ611のゲート電圧は低電位となり、MOSトランジスタ611はオフ状態となるので、端子201の電池セル200の電圧は正極端子101に出力されない。
しかしこのとき、トランジスタ520がオン状態となることから、MOSトランジスタ530はオフ状態となり、MOSトランジスタ612のゲート電圧が高電位になるので、MOSトランジスタ612はオン状態になり、端子301から電池セル300の電圧が正極端子101に出力される。
以上により、温度センサ400の感知温度が基準温度Tx℃より大か小かにより、電池セル200または電池セル300の出力が切り替えられて電池100の出力とされる回路が実現できた。
以下では、図1ないし図3に示した実施例1における、異常検出回路700の動作を説明する。異常検出回路700は、上に述べた制御部500および出力選択部600の動作によって出力を選択された電池セル200ないし300が適正な電圧を出力できていない場合、それを検出してLED素子を点灯し、電池の使用者に認識せしめるものである。
図3において、異常検出回路700内部には、710および720はインバータ、730および740はアンドゲート、750はオアゲート、760はn型MOSトランジスタ、770は抵抗器、780はLED素子である。701ないし702は電源端子であり、正極電源端子701には制御部用電源の正極が、負極電源端子702には制御部用電源の負極が接続される。
ここで、710ないし750の素子は論理回路素子の記号で表現されているが、実際にはトランジスタ等の電子回路素子で構成され、その回路構成は周知技術であるので記載は省略する。これらの論理素子には、図示されていないが、端子701および端子702に入力される電源線が接続され、内部の電子回路を動作させる。なお、インバータ710および720は入出力の電位レベルを反転するもので、入力が高電位のときは出力は低電位、入力が低電位のときは出力は高電位となる。アンドゲート730および740は、2個の入力のどちらもが高電位のときのみ出力は高電位となる。オアゲート750は、2個の入力のどちらかまたは双方が高電位のとき出力は高電位となる。
また、LED素子780は、電池100の外部から透明窓あるいは覗き穴などを介して観測できるように取り付けられる。
異常検出回路700においては、入力端子703には電池200の正極の電圧が付加され、インバータ710で電圧レベルが変換され反転される。すなわち、電池200から適正な電圧が付加されていないときには、インバータ710の出力は論理値が「1」である高電位が出力される。入力端子704には制御部500から電池セル200の出力を選択すべきときに論理値が「1」である高電位となる制御信号が付加される。よって、704に電池セル200の出力を選択すべき電圧が付加されたとき端子703に電池セル200から適正な電圧が付加されていなければ、アンドゲート730において論理和が成立し、オアゲート750を介してLED素子780を発光させる。
同様に、制御部500から電池セル300を選択すべき制御信号が入力端子706に付加されたときに端子705に電池セル300から適正な電圧が付加されていなければ、アンドゲート740において論理和が成立し、オアゲート750を介してLED素子780を発光させる。なお、抵抗器770はLED素子780を保護するためのものである。
以上により、出力を選択された電池セル200ないし300が適正な電圧を出力できていない場合にLED素子が点灯して電池の使用者に異常を知らせる回路が実現された。
次に、図4ないし図7に示した本発明の他の一実施形態である実施例2について説明する。
実施例1においては、電池の出力が、一個の電池セルの出力から他の一個の電池セルの出力に、一点の基準温度Tx℃において切り替えられるものであった。それに対し実施例2においては、二つの基準温度Tx℃およびTy℃を設け、電池の周囲温度がTx℃からTy℃の間は、二個の電池セルの出力が重複して選択されるようにするものである。
図4は本発明による電池の構成を示すブロック図である。図4において、1100は本発明の対象である電池、1101は電池1100の正極端子、1102は電池1100の負極端子である。電池1100の中には、2種の電池セルである電池セル1200および電池セル1300が内蔵されている。
図4において、電池セル1200の正極端子1201と負極端子1202、電池セル1300の正極端子1301と負極端子1302は、すべて出力選択部1600に接続され、制御部1500の制御により、電池セル1200または電池セル1300の出力が電池1100の出力として選択され、電池1100の正極端子1101および負極端子1102に出力される。これらの構成は図1の実施例1と同様である。
制御部1500には温度センサ1410および温度センサ1420という2個の温度センサが接続されている。温度センサ1410は電池セル1200の周囲温度を感知し、温度センサ1420は電池セル1300の周囲温度を感知する。これらの2個の温度センサの感知する温度によって、制御部1500は出力選択部1600において出力を制御する。
また制御部500および出力選択部600には、異常検出回路700が接続されている。異常検出回路700は実施例1と同じものであるので、以下ではこれについての説明は省略する。
接続線1103、1104、1105はそれぞれ、制御部1500と出力選択部1600、制御部1500と異常検出回路700、出力選択部1600と異常検出回路700を結ぶ複数本の結線であるが、煩瑣になるので図4ではそれぞれまとめて一本の線で示す。詳細は図6の回路図に示している。
電池セル1200および電池セル1300は、図1における実施例1の電池セル200および電池セル300と同様に、異なる使用可能温度範囲を有するものを採用する。即ち、図5に示すように、電池セル1200は低温域のT1℃から常温域のT3℃において使用可能なものとし、電池セル1300は常温域のT2℃から高温域のT4℃で使用可能なものとする。
本発明では、図5に示すように電池セル1200および電池セル1300が共に使用可能である特定温度Tx℃とTy℃(ただしTx<Ty)を基準温度とするとき、制御部1500は、温度センサ1410が基準温度Ty℃より低い温度を感知しているときは電池セル1200の出力を選択するが、Ty℃以上のときは電池セル200の出力は選択しない。また、温度センサ1420がTx℃より低い温度を感知しているときは電池セル1300の出力は選択しないが、Tx℃以上のときは電池セル1300の出力を選択する。
これにより電池1100の出力は、温度センサ1410がTy℃以下の温度を感知しているときは電池セル1200の出力のみが選択され、温度センサ1410がTy℃以上、温度センサ1420がTx℃未満の温度を感知しているときは電池セル1200および電池セル1300の出力が選択され、温度センサ1430がTx℃以上の温度を感知しているときは電池セル1300のみが選択される。
以上により、電池1100が、電池セル1200の最低動作温度であるT1℃から電池セル1300の最高動作温度であるT4℃まで、低温域から高温域までの広範な温度範囲において使用が可能な電池となることが明らかになった。
以下では、制御部1500および出力選択部1600が、温度センサ1410および1420の感知温度によって電池セル1200または電池セル1300の出力を選択する動作をどのように行うか、図5および図6の回路図によって具体的に説明する。以下では説明の簡単化のために、温度センサ1420と1430は同一の環境温度を感知していると仮定するが、これは本発明の必要条件ではないことは明らかである。
図5は横軸を温度、縦軸を抵抗値とするグラフである。
本実施形態において温度センサ1410および1420としては、実施例1に述べたと同じNTC(Negative Temperature Coefficient)型のサーミスタを使用するものと仮定する。
図5に示したように、温度センサ1410および1420の抵抗値は、環境温度がTx℃のときにRx(Ω)となり、環境温度がTy℃のときにRy(Ω)となるものとする。
図6は、制御部1500、出力選択部1600、異常検出回路700の各々の内部回路とこれらの間の結線の一例を示したものである。図6においては、図4と同じく、1410と1420は温度センサ、1500は制御部、1600は出力選択部、700は異常検出回路、1101と1102は電池1100の正極端子と負極端子、1201と1202は電池セル1200の正極端子と負極端子、1301と1302は電池セル1300の正極端子と負極端子である。異常検出回路700は図3の実施例1に示したものと同一のものであるので、以下これについての説明は省略する。
図6の制御部1500の内部においては、1510は制御部用電源、1521と1522はバイポーラトランジスタ、1530はn型MOSトランジスタ、1541、1542、1551、1552,1560は抵抗器である。出力選択部1600の内部においては、1611、1612はn型MOSトランジスタ、1621,1622はダイオードである。
ここで、抵抗器1541の抵抗値は、温度センサ1420の抵抗値がRy(Ω)以下であるときにトランジスタ1521のベース電圧が該トランジスタをオンとする閾値電圧となるように、その値を定める。また、抵抗器1542の抵抗値は、温度センサ1430の抵抗値がRx(Ω)以下であるときにトランジスタ1522のベース電圧が該トランジスタをオンとする閾値電圧となるように、その値を定める。
Tx℃未満の温度においては、温度センサ1420の抵抗値はRy(Ω)より大きいので、トランジスタ1521のベース電圧は閾値電圧より低電位となり、該トランジスタはオフとなる。このため、MOSトランジスタ1611はオンとなり、端子1201から印加される電池セル1200の電圧がダイオード1621を介して電池1100の正極端子1101に出力される。
またこのとき、温度センサ1430の抵抗値はRx(Ω)より大きいので、トランジスタ1522もオフとなる。これによりMOSトランジスタ1530はオンとなるので、MOSトランジスタ1612はゲート電圧が低電位となりオフとなる。よって端子1301から印加される電池セル1300の電圧は正極端子101には出力されない。
Tx℃以上Ty℃未満の温度環境においては、温度センサ1420の抵抗値はRy(Ω)より大きいことは変わらないので、電池セル1200の電圧は引き続き正極端子1101に出力される。しかしこのとき、温度センサ1430の抵抗値はRx(Ω)以下となるので、トランジスタ1522はオン、MOSトランジスタ1530はオフ、MOSトランジスタ1612はオンとなり、電池セル1300の電圧も正極端子1101には出力されることになる。
Ty℃以上の温度環境においては、温度センサ1420の抵抗値はRy(Ω)以下となるので、トランジスタ1521はオン、MOSトランジスタ1611はオフとなり、端子1201から印加される電池セル200の電圧は正極端子1101には出力されなくなる。一方、電池セル1300の電圧は引き続き正極端子1101に出力される。
以上により、温度センサ1420および温度センサ1430の感知温度により、電池セル1200または電池セル1300または両セルの出力が電池1100の出力として選択される回路が実現できた。
なお、図6の出力選択部1600内のダイオード1621、1622は、電池セル1200または1300に他方からの電流が逆流してしまうことを防ぐためのものである。使用する電池セルの性質によっては、逆流防止が不要であるなど、これらのダイオードを必要としない場合もある。
以上の実施例1、実施例2においては、簡単化のため、温度センサは電池セルの周囲温度を感知するものとした。しかし本発明の趣旨からは、電池セルの温度をより正確に感知するのが望ましいので、温度センサを電池セルに直接接触させて電池セルそのものの温度を測る方法、温度センサを電池セルの内部に入れて電池セルの内部温度を測る方法、なども考えられる。これらについては、電池セルの特性や構造、製造コストなどを考慮して適切な方法が選択されるべきであるが、いずれの方法によるものも本発明の対象であることは明らかである。
以上の実施例に示した構成や回路は本発明にかかる動作を説明するためのものであり、実際の使用にあたっては、出力切替時の電圧変動を防ぐ回路やスイッチ等の操作機能などの付加が必要になる場合がある。しかしそれらは本発明の対象でない既知の技術であるので、記載は省略する。また、上記の実施例では電池セルは2種2個としたが、電池セルが2種以上の多数種であって、かつ同時に多数のセルの出力が選択されるものであっても本発明が同様に適用できることは明らかである。
本発明は、既存の電池セルを組み合わせた一個の電池において低温から高温までの広範な使用可能温度を実現するものであり、新たな技術開発を必要とするものではなく実現は容易である。屋外で使用するものなど、広範な温度範囲で使用できる電池への産業上のニーズは多く、産業上の利用可能性は高い。
100 電池
101 電池100の正極端子
102 電池100の負極端子
103 接続線
104 接続線
105 接続線
200 電池セル
201 電池セル200の正極端子
202 電池セル200の負極端子
300 電池セル
301 電池セル300の正極端子
302 電池セル300の負極端子
400 温度センサ
500 制御部
510 制御部用電源
520 バイポーラトランジスタ
530 n型MOSトランジスタ
540 抵抗器
550 抵抗器
560 抵抗器
600 出力選択部
611 n型MOSトランジスタ
612 n型MOSトランジスタ
700 異常検出回路
701 正極電源端子
702 負極電源端子
703 入力端子
704 入力端子
705 入力端子
706 入力端子
710 インバータ
720 インバータ
730 アンドゲート
740 アンドゲート
750 オアゲート
760 n型MOSトランジスタ
770 抵抗器
780 LED素子
1100 電池
1101 電池1100の正極端子
1102 電池1100の負極端子
1103 接続線
1104 接続線
1105 接続線
1200 電池セル
1201 電池セル1200の正極端子
1202 電池セル1200の負極端子
1300 電池セル
1301 電池セル1300の正極端子
1302 電池セル1300の負極端子
1420 温度センサ
1430 温度センサ
1500 制御部
1510 制御部用電源
1521 バイポーラトランジスタ
1522 バイポーラトランジスタ
1530 n型MOSトランジスタ
1541 抵抗器
1542 抵抗器
1551 抵抗器
1552 抵抗器
1560 抵抗器
1600 出力選択部
1611 n型MOSトランジスタ
1612 n型MOSトランジスタ
1621 ダイオード
1622 ダイオード

Claims (2)

  1. 使用可能な温度範囲が異なる複数の電池セルを包含する電池であって、該複数の電池セルの出力の一つまたは複数を選択して該電池の出力とする出力選択部と、それを制御する制御部と、該制御部に接続された温度センサとを備え、該温度センサが感知する温度に従って該複数の電池セルの出力のうちから一つまたは複数を選択して該電池の出力とすることを特徴とする電池
  2. 請求項1に記載する電池であって、該温度センサが感知する温度に従って選択された電池セルの出力が適切な電圧を出力していないという異常を検出する回路と、該異常を該電池の外部から認識できる手段を含むことを特徴とする電池
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