以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態における遠隔制御システムの全体概要の一例を示す図である。図1を参照して、遠隔制御システム1は、MFP(Multi Function Peripheral)100と、スマートフォン200と、を含む。
スマートフォン200は、携帯情報装置の一例であり、ユーザーにより携帯されて使用される。MFP100は、画像処理装置の一例であり、原稿を読み取るための原稿読取機能、画像データに基づいて紙などの記録媒体に画像を形成するための画像形成機能およびファクシミリデータを送受信するファクシミリ送受信機能を備えている。
無線局5およびMFP100それぞれは、ネットワーク3に接続される。ネットワーク3は、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。またネットワーク3は、LANに限らず、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Networks)を用いたネットワーク等であってもよい。さらに、ネットワーク3は、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)であってもよい。
スマートフォン200は、無線LAN機能を有し、無線局5と通信可能である。無線局5は、ネットワーク3の中継装置であり、無線LANを用いた通信機能を備えたスマートフォン200と通信して、スマートフォン200をネットワーク3に接続する。このため、スマートフォン200は、無線局5を介してMFP100と通信可能である。ネットワーク3は、さらに、インターネットに接続されてもよい。この場合、スマートフォン200およびMFP100それぞれは、ネットワーク3を介してインターネットに接続されたコンピューターと互いに通信可能である。
さらに、MFP100およびスマートフォン200それぞれは、近距離無線通信機能を有し、相手の装置が所定の範囲内となる場合に互いに1対1で通信可能である。
本実施の形態における遠隔制御システム1において、スマートフォン200は、MFP100の遠隔操作が可能である。スマートフォン200には、MFP100を遠隔操作するための遠隔操作プログラムがインストールされる。一方、MFP100には、スマートフォン200により遠隔操作される遠隔制御プログラムがインストールされている。これにより、スマートフォン200は、MFP100を遠隔操作する遠隔操作装置として機能し、MFP100は、スマートフォン200によって遠隔操作される遠隔制御装置として機能する。なお、MFP100を遠隔操作する遠隔操作装置の一例として、スマートフォン200を例に説明するが、ユーザーが携帯可能な携帯情報装置であれば、PDA(Personal Digital Assistant)等であってもよい。
図2は、本実施の形態におけるMFPの外観を示す斜視図である。図3は、本実施の形態におけるMFPのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2および図3を参照して、MFP100は、メイン回路110と、原稿を読み取るための原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送するための自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する画像データに基づいて用紙等に画像を形成するための画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給するための給紙部150と、画像が形成された用紙を処理する後処理部155と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル160とを含む。
後処理部155は、画像形成部140により画像が形成された1以上の用紙を並び替えて排紙するソート処理、パンチ穴加工するパンチ処理、ステープル針を打ち込むステープル処理を実行する。
メイン回路110は、CPU111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM113と、RAM114と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)115と、ファクシミリ部116と、CD−ROM118が装着される外部記憶装置117と、近距離通信部119と、を含む。CPU111は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150、後処理部155および操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。また、RAM114は、原稿読取部130から連続的に送られてくる読取データ(画像データ)を一時的に記憶する。
操作パネル160は、MFP100の上面に設けられ、表示部161と操作部163とを含む。表示部161は、液晶表示装置(LCD)、有機ELD(Electro−Luminescence Display)等の表示装置であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。操作部163は、複数のキーからなるハードキー部167を備え、キーに対応するユーザーの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける。操作部163は、表示部161上に設けられたタッチパネル165をさらに含む。
通信I/F部112は、MFP100をネットワーク3に接続するためのインターフェースである。CPU111は、通信I/F部112を介して、スマートフォン200との間で通信し、データを送受信する。また、通信I/F部112は、ネットワーク3を介してインターネットに接続されたコンピューターと通信が可能である。
近距離通信部119は、Bluetooth(登録商標)規格のGAP(Generic Access Profile)等に基づき、スマートフォン200と無線により通信する。近距離通信部119は、例えば、スマートフォン200との間の距離が通信可能な距離以下となると、スマートフォン200と通信する。近距離通信部119が通信可能な距離は、数mである。また、近距離通信部119は、NFC(Near Field Communication)の近距離無線通信方式で通信するようにしてもよい。この場合において、近距離通信部119が通信可能な距離は、数十cmである。
ファクシミリ部116は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部116は、受信したファクシミリデータを、HDD115に記憶する、または画像形成部140に出力する。画像形成部140は、ファクシミリ部116により受信されたファクシミリデータを用紙にプリントする。また、ファクシミリ部116は、HDD115に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
外部記憶装置117は、CD−ROM118が装着される。CPU111は、外部記憶装置117を介してCD−ROM118にアクセス可能である。CPU111は、外部記憶装置117に装着されたCD−ROM118に記録されたプログラムをRAM114にロードして実行する。なお、CPU111が実行するプログラムを記憶する媒体としては、CD−ROM118に限られず、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)などの半導体メモリであってもよい。
また、CPU111が実行するプログラムは、CD−ROM118に記録されたプログラムに限られず、HDD115に記憶されたプログラムをRAM114にロードして実行するようにしてもよい。この場合、ネットワーク3に接続された他のコンピューターが、MFP100のHDD115に記憶されたプログラムを書換える、または、新たなプログラムを追加して書き込むようにしてもよい。さらに、MFP100が、ネットワーク3に接続された他のコンピューターからプログラムをダウンロードして、そのプログラムをHDD115に記憶するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
図4は、本実施の形態におけるスマートフォンのハードウェア構成の概要を示すブロック図である。図4を参照して、本実施の形態におけるスマートフォン200は、スマートフォン200の全体を制御するためのCPU201と、カメラ202と、データを不揮発的に記憶するフラッシュメモリ203と、通話部205と接続された無線通信部204と、情報を表示する表示部206と、ユーザーの操作を受け付ける操作部207と、無線LANI/F208と、近距離通信部209と、GPS受信部210と、外部記憶装置211と、を含む。
表示部206は、液晶表示装置(LCD)、有機ELD等の表示装置であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。操作部207は、メインキー207Aと、タッチパネル207Bとを備える。また、ユーザーが、表示部206の表示面を指示する場合、操作部207は、タッチパネル207Bにより検出される表示面の位置をCPU201に出力する。CPU201は、タッチパネル207Bによる検出された位置に基づいて、表示部206に表示されている画面中でユーザーにより指示された位置を検出する。CPU201は、表示部206に表示されている画面と、タッチパネル207Bによる検出された位置とに基づいて、ユーザーの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける。例えば、表示部206にテンキーの画像を含む画面を表示する場合には、タッチパネル207Bによる検出された位置に表示されたキーに対応する数字を受け付ける。
カメラ202は、レンズおよび光電変換素子を備え、レンズで集光した光を光電変換素子に結像し、光電変換素子は受光した光を光電変換して画像データをCPU201に出力する。光電変換素子は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー、CCD(Charge Coupled Device)センサー等である。
無線通信部204は、電話通信網に接続された携帯電話用基地局と無線通信する。無線通信部204は、スマートフォン200を電話通信網に接続し、通話部205を用いた通話を可能とする。無線通信部204は、携帯電話用基地局から受信した無線信号を復調した音声信号を復号して通話部205に出力する。また、無線通信部204は、通話部205から入力される音声を符号化し、携帯電話用基地局に送信する。通話部205は、マイクおよびスピーカーを備え、無線通信部204から入力される音声をスピーカーから出力し、マイクから入力される音声を無線通信部204に出力する。さらに、無線通信部204は、CPU201により制御され、スマートフォン200を電子メールサーバーに接続し、電子メールを送受信する。
無線LANI/F208は、無線局5と通信し、スマートフォン200をネットワーク3に接続するためのインターフェースである。スマートフォン200に、MFP100のIP(Internet Protocol)アドレスを登録しておくことにより、スマートフォン200は、MFP100と通信することができ、データの送受信が可能となる。
近距離通信部209は、Bluetooth(登録商標)規格のGAP等に基づき、他の装置、例えば、MFP100と無線により通信を行う。近距離通信部209は、例えば、MFP100との間の距離が通信可能な距離以下となると、MFP100と通信する。近距離通信部209が通信可能な距離は、数mである。また、近距離通信部209は、NFCの近距離無線通信方式で通信するようにしてもよい。この場合において、近距離通信部209が通信可能な距離は、数十cmである。
GPS受信部210は、GPS(Global Positioning System)衛星から発信される信号を受信し、受信された信号に基づいて現在位置を検出する。現在位置は、例えば緯度および経度である。GPS受信部210は、検出された現在位置をCPU201に出力する。
フラッシュメモリ203は、CPU201が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。CPU201は、フラッシュメモリ203に記録されたプログラムを、CPU201が備えるRAMにロードして実行する。
外部記憶装置211は、スマートフォン200に着脱自在であり、遠隔操作プログラムを記憶したCD−ROM211Aが装着可能である。CPU201は、外部記憶装置211を介してCD−ROM211Aにアクセス可能である。CPU201は、外部記憶装置211に装着されたCD−ROM211Aに記録された遠隔操作プログラムを、CPU201が備えるRAMにロードして実行することが可能である。
なお、CPU201が実行するプログラムとして、フラッシュメモリ203またはCD−ROM210Aに記録されたプログラムについて説明したが、ネットワーク3に接続された他のコンピューターが、フラッシュメモリ203に記憶されたプログラムを書換えたプログラム、または、追加して書き込んだ新たなプログラムであってもよい。さらに、スマートフォン200が、ネットワーク3に接続された他のコンピューターからダウンロードしたプログラムでもよい。ここでいうプログラムは、CPU201が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
なお、CPU201が実行するプログラムを記憶する媒体としては、CD−ROM211Aに限られず、光ディスク(MO/MD/DVD)、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROMなどの半導体メモリであってもよい。
スマートフォン200には、MFP100を遠隔操作するための遠隔操作プログラムがインストールされている。スマートフォン200に遠隔操作プログラムを実行させることにより、スマートフォン200を操作するユーザーは、スマートフォン200を操作することにより、MFP100を操作することができる。スマートフォン200は、遠隔操作プログラムを実行することにより、MFP100とは別の画像処理装置を遠隔操作することができる。この場合に、スマートフォン200は、遠隔操作の対象を、ユーザーにより指定された装置に決定する。ここでは、スマートフォン200に、遠隔操作の対象となる装置としてMFP100がデフォルトで設定されている場合を例に説明する。
図5は、本実施の形態におけるスマートフォンが備えるCPUが有する機能の一例を示す図である。図5に示す機能は、スマートフォン200が備えるCPU201が、フラッシュメモリ203、CD−ROM211Aに記憶された遠隔操作プログラムを実行することにより、CPU201に形成される機能である。以下、CPU201が、遠隔操作プログラムを実行するタスクを、遠隔操作タスクという。
図5を参照して、CPU201は、ユーザーにより入力された操作を示す操作状態情報を記憶する操作状態記憶部251と、CPU201が遠隔操作プログラムを実行する状態を検出する実行状態検出部253と、起動画面を決定する起動画面決定部255と、操作画面を表示部206に表示する操作画面表示部257と、遠隔操作の対象となる装置との相対的な位置を検出する位置検出部259と、消去部261と、を含む。
実行状態検出部253は、遠隔操作タスクの実行状態を検出し、実行状態を操作状態記憶部251および起動画面決定部255に出力する。実行状態は、カレント状態と非カレント状態とを含む。カレント状態は、遠隔操作タスクが表示部206に画像を表示させることが可能な状態であり、非カレント状態は、遠隔操作タスクが表示部206に画像を表示させることが不可能な状態である。
CPU201は、ユーザーが遠隔操作プログラムの実行を指示する操作を操作部207に入力すると、起動操作を受け付け、遠隔操作プログラムを実行する。例えば、スマートフォン200に電源が投入されると、遠隔操作プログラムを実行するコマンドを関連付けたアイコンなどの画像を含むメニュー画面を表示部206に表示するようにスマートフォン200を設定しておき、CPU201は、遠隔操作プログラムを実行するコマンドを関連付けたアイコンの指示をタッチパネル207Bが検出すると、遠隔操作プログラムの実行を指示する起動操作を受け付け、遠隔操作プログラムを実行する。また、CPU201は、遠隔操作プログラムを実行している段階で、ユーザーが遠隔操作プログラムの実行を終了する操作を操作部207に入力すると、終了指示操作を受け付け、遠隔操作タスクを終了させる。また、CPU201は、遠隔操作プログラムを実行している状態で、遠隔操作プログラムとは別のアプリケーションプログラムを実行可能である。CPU201は、遠隔操作プログラムと遠隔操作プログラムとは別のアプリケーションプログラムと実行する場合、CPU201は、遠隔操作タスクの実行状態をカレント状態と非カレント状態とのいずれかに切り換える。
CPU201は、遠隔操作プログラムを実行していない段階で、遠隔操作プログラムの起動操作を受け付ける場合、遠隔操作プログラムを実行し、遠隔操作プログラムを実行する遠隔操作タスクをカレント状態に設定する。また、遠隔操作の対象となる装置としてMFP100が設定されていない場合、CPU201は、遠隔操作プログラムを実行している段階で、MFP100がユーザーにより指定されることに応じて、MFP100と通信を接続し、MFP100を遠隔操作可能になると、遠隔操作タスクをカレント状態に設定する。なお、MFP100との間の接続において、MFP100が認証を要求する場合には、CPU201は、MFP100に認証情報を送信し、MFP100による認証が成功する場合に、MFP100を遠隔操作可能となる。
CPU201は、遠隔操作タスクがカレント状態の場合に、遠隔操作タスクを非カレント状態に切り換える事象が発生することに応じて、遠隔操作タスクを非カレント状態に切り換える。遠隔操作タスクを非カレント状態に切り換える事象は、ユーザーによる非カレント切換操作を受け付ける場合、CPU201が非カレント状態に設定された別のタスクをカレント状態に切り換える場合を含む。非カレント切換操作は、例えば、メニュー画面を表示させる操作、表示部206の表示を一時的に終了させる操作を含む。CPU201が非カレント状態に設定された別のタスクをカレント状態に切り換える場合について、CPU201が、電話機能を有効とするために無線通信部204を制御して通話を制御するための通話制御プログラムを実行する場合を例に説明する。CPU201が通話制御プログラムを実行する通話制御タスクが、非カレント状態に設定された状態で外部から着信を検出する場合、CPU201は、通話制御タスクをカレント状態に設定する。
CPU201は、遠隔操作タスクが非カレント状態の場合に、遠隔操作タスクをカレント状態に切り換える事象が発生することに応じて、遠隔操作タスクをカレント状態に切り換える。遠隔操作タスクをカレント状態に切り換える事象は、ユーザーによるカレント切換操作を受け付ける場合を含む。例えば、CPU201は、遠隔操作タスクが非カレント状態の場合、表示部206に表示されたメニュー画面中の遠隔操作プログラムを実行するコマンドを関連付けたアイコンの指示をタッチパネル207Bが検出することに応じて、カレント切換操作を受け付ける。CPU201は、遠隔操作プログラムを実行するコマンドを関連付けたアイコンの指示をタッチパネル207Bが検出する場合、非カレント状態に設定された遠隔操作タスクが存在すればカレント切換操作を受け付け、遠隔操作タスクが存在しなければ起動操作を受け付ける。
位置検出部259は、MFP100に対する相対的な位置を検出する。位置検出部259は、近距離通信部209がMFP100から受信する電波の強度に基づいて、MFP100との間の距離を検出する。位置検出部259は、MFP100との間の距離に従って位置を検出する。位置検出部259は、MFP100との間の距離が所定の距離以下ならばスマートフォン200のMFP100に対する相対的な位置をMFP100から所定の範囲内に決定し、MFP100との間の距離が所定の距離より大きければスマートフォン200のMFP100に対する相対的な位置をMFP100から所定の範囲外に決定する。位置検出部259は、決定された位置を示す位置情報を操作状態記憶部251および起動画面決定部255に出力する。位置情報は、MFP100から所定の範囲外と、MFP100から所定の範囲内とのいずれかを含む。
MFP100との間の距離を近距離通信部209で計測する場合、GPS受信部210は、不要である。なお、MFP100がスマートフォン200との間の距離を検出する場合には、近距離通信部209を制御してMFP100にスマートフォン200とMFP100との間の距離を要求し、MFP100から受信するようにしてもよい。
また、位置検出部259は、GPS受信部210により検出される位置と、予め記憶されたMFP100の地理上の位置とからMFP100との間の距離を検出するようにし、検出された位置からスマートフォン200のMFP100に対する相対的な位置を決定するようにしてもよい。
また、MFP100がビーコン端末を有する場合、位置検出部259は、ビーコン端末から送信されるビーコン信号を受信する場合に、スマートフォン200のMFP100に対する相対的な位置をMFP100から所定の範囲内に決定し、ビーコン端末から送信されるビーコン信号を受信しない場合に、スマートフォン200のMFP100に対する相対的な位置をMFP100から所定の範囲外に決定するようにしてもよい。ビーコン端末は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)規格を用いた通信方式によって近距離で無線通信する機能を有し、固有の識別情報が割り当てられており、その識別情報をビーコン信号として送信する。識別情報は、例えば、UUID(Universally Unique Identifier)、Major値、Minor値である。スマートフォン200にMFP100が有するビーコン端末に割り当てられた識別情報のビーコン信号を受信することにより、MFP100を特定することができる。
操作状態記憶部251は、ユーザーが操作部207に入力する操作のうち遠隔操作タスクに対する操作を受け付ける。具体的には、操作状態記憶部251は、実行状態検出部253から入力される実行状態がカレント状態を示す場合に、操作部207が受け付ける操作を受け付ける。操作状態記憶部251は、位置検出部259から位置情報が入力される。操作状態記憶部251は、操作部207が遠隔操作タスクに対する操作を受け付けることに応じて、受け付けられた操作を、操作が受け付けられた時点で位置検出部259から入力される位置情報およびその時点の日時と関連付ける。操作状態記憶部251は、実行状態検出部253から入力される実行状態がカレント状態から非カレント状態に切り換わることに応じて、カレント状態において最後に受け付けられた操作を、位置検出部259から入力される位置情報およびその時点の日時と関連付ける。
具体的には、操作状態記憶部251は、カレント状態において最後に記憶された操作を識別するための操作識別情報と、操作が受け付けられた時点で位置検出部259から入力される位置情報と、操作が受け付けられた時点の日時とを含む操作状態情報を、フラッシュメモリ203に記憶する。フラッシュメモリ203に操作状態情報が記憶されている場合には、その操作状態情報を、新たな操作状態情報で更新する。これにより、カレント状態において最後に受け付けられた操作を、位置検出部259から入力される位置情報およびその時点の日時と関連付けることができる。
カレント状態において受け付ける操作は、MFP100に画像処理を実行させる操作と、画像処理以外の処理を実行させる操作とを含む。MFP100が実行する画像処理は、例えば、原稿を読み取るスキャン処理、画像データの画像を用紙に形成する画像形成処理、画像データを外部に送信する送信処理、画像データを変換するデータ変換処理、を含む。画像データを変換するデータ変換処理は、画像データのフォーマットを変換するフォーマット変換処理、画像データの画像を変換する画像変換処理、画像データの画像中の文字を認識する文字認識処理を含む。画像変換処理は、画像の色を変換する処理、画像のエッジを滑らかにするスムージング処理、画像の輪郭を強調するエッジ協調処理、画素値を2値化する2値化処理、画像データを圧縮する符号化処理を含む。
操作状態記憶部251は、スキャン処理、画像形成処理、送信処理およびデータ変換処理いずれかの実行を指示する操作を受け付ける場合、それぞれの処理の実行を指示する実行指示操作を記憶する。また、操作状態記憶部251は、原稿を読み取って原稿の画像を用紙に形成するコピー処理は、スキャン処理と画像形成処理との組み合わせなので、スキャン処理および画像形成処理それぞれの実行を指示する操作を記憶する。また、原稿を読み取って得られる画像データをファクシミリ送信する処理は、スキャン処理と送信処理との組み合わせなので、スキャン処理および送信処理それぞれの実行を指示する操作を記憶する。
MFP100が実行する画像処理以外の処理は、例えば、実行中の処理の状態および終了した処理の等の処理を通知するためのステータス通知画面を表示する処理、MFP100の消耗品の状態を通知するためのメンテナンス画面を表示する処理、MFP100に設定されているデフォルトの設定値を設定する処理、HDD115に記憶されているデータを通知するためのドキュメント通知画面を憑依時する処理を含む。
消去部261は、操作状態記憶部251により記憶された操作状態情報を、それが記憶されてからの経過時間が所定時間以上の操作状態情報を消去する。具体的には、消去部261は、フラッシュメモリ203に記憶された操作状態情報に含まれる日時が現在時刻から所定時間経過している場合に、その操作状態情報をフラッシュメモリ203から消去する。
起動画面決定部255は、位置検出部259から位置情報が入力され、実行状態検出部253から実行状態が入力される。起動画面決定部255は、遠隔操作タスクの実行状態が非カレント状態からカレント状態に切り換わることに応じて、その後に位置検出部259から入力される位置情報で特定される位置を現在位置に設定する。起動画面決定部255は、操作状態記憶部251に記憶された操作状態情報と、現在位置とに基づいて起動画面を決定する。起動画面決定部255は、決定された起動画面を、操作画面表示部257に出力する。
操作画面表示部257は、実行状態検出部253から入力される実行状態が非カレント状態からカレント状態に切り換わることに応じて、表示部206を制御して、起動画面決定部255から入力される起動画面を表示部206に表示する。
起動画面決定部255は、フラッシュメモリ203に操作状態情報が記憶されていない場合、または、フラッシュメモリ203に記憶された操作状態情報に含まれる操作識別情報が実行指示操作とは異なる操作を示す場合、現在位置に対して予め定められた操作画面を起動画面に決定する。実行指示操作は、MFP100に画像処理の実行を指示する操作である。
起動画面決定部255は、MFP100との相対的な位置に対して操作画面を対応付けた画面テーブルをフラッシュメモリ203に記憶する。画面テーブルは、所定の範囲内の位置に対してMFP100を直接操作しなければ実行させることができない画像処理を実行させるための操作画面を対応付け、所定の範囲外の位置に対してMFP100を直接操作しなくても実行させることができる画像処理を実行させるための操作画面を対応付ける。ここでは、MFP100が実行可能な画像処理が、スキャン処理、画像形成処理、送信処理、データ変換処理の場合を例に説明する。MFP100を直接操作しなければ実行させることができない画像処理は、画像処理を実行する前の段階でMFP100に物理的な媒体を設定する操作が必要な処理であり、例えば、MFP100に処理を実行させる前に原稿を載置する操作が必要なスキャン処理である。
図6は、画面テーブルの一例を示す図である。画面テーブルは、MFP100との相対的な位置に対して、起動画面を対応付ける。図では、MFP100との相対的な位置を、MFP100から所定の範囲内を「近」で示し、MFP100から所定の範囲外を「遠」で示している。図6を参照して、画面テーブルは、MFP100からの相対的な位置「近」に対してスキャン処理を実行させるための「スキャン設定画面」を対応付ける。スキャン処理は、原稿を自動原稿搬送装置120に載置する操作が必要となり、MFP100を直接操作しなければ実行させることができない画像処理である。また、画面テーブルは、MFP100からの相対的な位置「遠」に対して画像形成処理、送信処理、データ変換処理の対象となる画像データを選択可能なドキュメント通知画面を対応付ける。画像形成処理、送信処理、データ変換処理は、処理対象となる画像データが定まれば、MFP100からの距離に関係なく実行可能なので、MFP100を直接操作しなくても実行させることができる画像処理である。
なお、MFP100からの相対的な位置「遠」に対してドキュメント画面に限らず、別の画面を対応付けるようにしてもよい。また、ユーザーの操作履歴を用いて、所定の範囲外の位置に対して実行指示操作を入力する頻度の高い操作画面を、対応付けるようにしてもよい。同様に、MFP100からの相対的な位置「近」に対してスキャン設定画面に限らず、別の操作画面、例えば、ファクシミリ送信設定画面を対応付けるようにしてもよい。また、ユーザーの操作履歴を用いて、MFP100からの相対的な位置「近」に対して実行指示操作を入力する頻度の高い操作画面を対応付けるようにしてもよい。
図5に戻って、起動画面決定部255は、フラッシュメモリ203に操作状態情報が記憶されていない場合、または、フラッシュメモリ203に記憶された操作状態情報に含まれる操作識別情報が実行指示操作とは異なる操作を示す場合、画面テーブルを参照して、現在位置が所定の範囲内の場合にスキャン設定画面を起動画面に決定し、現在位置が所定の範囲外の場合にドキュメント選択画面を起動画面に決定する。フラッシュメモリ203に操作状態情報が記憶されていない場合、または、フラッシュメモリ203に記憶された操作状態情報で示される操作識別情報が実行指示操作とは異なる操作を示す場合は、スマートフォン200のユーザーが、スマートフォン200を用いてMFP100を遠隔操作してから所定の時間が経過した場合、または、MFP100に画像処理以外の処理を実行させた場合である。画像処理以外の処理は、メンテナンス画面またはステータス通知画面を表示する処理等である。
起動画面決定部255は、フラッシュメモリ203に記憶された操作状態情報に含まれる操作識別情報が実行指示操作を示し、かつ、操作状態情報に含まれる位置情報がMFP100から所定の範囲外の位置を示すならば、ステータス通知画面を起動画面に決定する。操作状態情報に含まれる位置情報は、実行指示操作が入力された時点の位置を示す。ステータス通知画面は、MFP100が処理を実行する状態を通知する操作画面であり、実行中の処理の状態および終了した処理の状態を含む。
起動画面決定部255は、フラッシュメモリ203に記憶された操作状態情報に含まれる操作識別情報が実行指示操作を示し、かつ、操作状態情報に含まれる位置情報が所定の範囲内を示すならば、現在位置に対して予め定められた操作画面を起動画面に決定する。具体的には、起動画面決定部255は、画面テーブルを参照して、現在位置が所定の範囲内の場合にスキャン設定画面を起動画面に決定し、現在位置が所定の範囲外の位置の場合にドキュメント選択画面を起動画面に決定する。
図7は、操作とMFPとの間の距離と起動画面との関係の一例を示す図である。図7においては、操作が入力された時点を「操作時」で示し、カレント状態に切り換わった時点を「起動時」で示している。また、MFP100との相対的な位置を、MFP100から所定の範囲内の位置を「近」で示し、MFP100から所定のの範囲外の位置を「遠」で示している。図7は、操作が入力された時点「操作時」において入力された操作と、その操作が入力された時点のMFP100との相対的な位置と、カレント状態に切り換わった時点「起動時」のMFP100との相対的な位置とに対応して決定される起動画面を示している。
図7を参照して、操作時の操作が「操作なし」の状態は、フラッシュメモリ203に操作状態情報が記憶されていないことを示し、操作時のMFP100との相対的な位置は存在しない。操作時が「操作なし」の状態において、起動時にMFP100から所定の範囲内の位置「近」の場合に起動画面「スキャン設定画面」が決定され、起動時にMFP100から所定の範囲外の位置「遠」の場合に起動画面「ドキュメント選択画面」が決定される。
操作時の操作が「実行指示操作以外の操作」の状態は、実行指示操作以外の操作が受け付けられた場合を示す。操作時の操作が「実行指示操作以外の操作」の状態においては、操作時におけるMFP100との相対的な位置に係わらず、起動時における位置がMFP100から所定の範囲内の位置「近」の場合に起動画面「スキャン設定画面」が決定され、起動時における位置がMFP100から所定の範囲外の位置「遠」の場合に起動画面「ドキュメント選択画面」が決定される。
フラッシュメモリ203に操作状態情報が記憶されていない場合、または、操作時の操作が実行指示操作とは異なる操作の場合は、ユーザーが、先にMFP100を遠隔操作して実行させた処理とは異なる処理を実行させる確率が高い。また、MFP100から所定の範囲内にユーザーが位置する場合には、MFP100に原稿を載置する等する必要のある直接操作をする確率が高く、MFP100から所定の範囲外にユーザーが位置する場合には、MFP100に原稿を載置する等の必要のない、直接操作以外の操作をする確率が高い。このため、MFP100から所定の範囲内にユーザーが位置する場合には、直接操作のための操作画面として「スキャン設定画面」を起動画面として表示し、MFP100から所定の範囲外にユーザーが位置する場合には、直接操作以外の操作のための操作画面として「ドキュメント選択画面」を起動画面として表示する。これにより、ユーザーが操作画面を切り換えることなく画像処理を実行させるため設定をすることができ、操作が容易になる。
操作時の操作が「実行指示操作」の状態は、実行指示操作が受け付けられた場合を示す。操作時の操作が「実行指示操作」の状態においては、操作時の位置がMFP100から所定の範囲内の位置「近」で、かつ、起動時の位置がMFP100から所定の範囲内の位置「近」の場合は、起動画面「スキャン設定画面」を決定し、起動時の位置がMFP100から所定の範囲外の位置「遠」の場合は、起動画面「ドキュメント選択画面」を決定する。
操作時の操作が実行指示操作を示し、実行指示操作を入力した時点の位置がMFP100から所定の範囲内の位置「近」の場合は、スマートフォン200のユーザーが、MFP100から所定の範囲内に位置するので、MFP100を直接操作可能な状態で、スマートフォン200を用いてMFP100を遠隔操作して実行指示操作を入力する場合である。ユーザーは、実行指示操作を入力した段階で、MFP100を直接操作可能な状態なので、MFP100が実行指示操作に従った処理を実行した結果を視認することができる。したがって、ユーザーが、MFP100に実行指示操作に従った処理を実行させた後、スマートフォン200を用いてMFP100の遠隔操作を試みる場合には、その時点においてMFP100に対する相対的な位置に対して予め定められた操作画面を起動画面として最初に表示することで、ユーザーがMFP100を直ちに遠隔操作可能な状態にすることができる。
操作時の操作が「実行指示操作」の状態においては、操作時の位置がMFP100から所定の範囲外の位置「遠」の場合は、起動時の位置に係わらず、起動画面「ステータス通知画面」が決定される。
操作時の操作が実行指示操作を示し、実行指示操作を入力した時点の位置がMFP100から所定の範囲外の位置「遠」の場合は、スマートフォン200のユーザーが、MFP100から所定の範囲外でスマートフォン200を用いてMFP100を遠隔操作して実行指示操作を入力し、MFP100に実行指示操作に従った処理を実行させる場合である。ユーザーは、実行指示操作を入力した段階で、MFP100が実行指示操作に従った処理を実行した結果を知ることができない。そこで、ユーザーが、スマートフォン200を用いてMFP100の遠隔操作を試みる場合に、ステータス通知画面を起動画面として最初に表示することで、ユーザーに、MFP100が実行指示操作に従った処理が実行中であるか、または終了しているかを通知することができる。例えば、ユーザーが、HDD115に記憶された画像データを画像形成する画像形成処理の実行を指示する実行指示操作を入力した場合、ユーザーは、MFP100から所定の範囲外の位置でステータス画面を見ることにより、画像形成処理が終了していれば、画像が形成された用紙を取るためにMFP100が設定された位置まで移動するタイミングを知ることができる。また、ユーザーは、MFP100から所定の範囲内の位置でステータス画面を見ることにより、画像形成処理が終了している場合には自身が指示した実行指示操作によりMFP100に画像が形成された用紙が蓄積されていることをしることができ、また、処理が終了していない場合には、画像形成処理が終了するまで待たなければならないことを知ることができる。さらに、この待ち時間を利用して、MFP100を操作することができ、例えば、MFP100に別の処理を実行させるための設定をすることができる。
図8は、遠隔操作処理の流れの一例を示すフローチャートである。遠隔操作処理は、スマートフォン200が備えるCPU201が、フラッシュメモリ203、CD−ROM211Aに記憶された遠隔操作プログラムを実行することにより、CPU201により実行される処理である。図8を参照して、CPU201は、遠隔操作プログラムが起動したか否かを判断する(ステップS01)。遠隔操作プログラムが起動するまで待機状態となり(ステップS01でNO)、遠隔操作プログラムが起動すると(ステップS01でNO)、処理をステップS02に進める。なお、実際には、CPU201は、遠隔操作プログラムを実行していないので、遠隔操作プログラムの起動を判断するのは、CPU201であって、CPU201が遠隔操作プログラムを実行するタスクが判断するものではない。CPU201による遠隔操作プログラムの起動の判断は、操作部207が、ユーザーによる遠隔操作プログラムの起動操作を受け付けると、遠隔操作プログラムが起動したと判断する。例えば、表示部206に表示されたメニュー画面に含まれ、遠隔操作プログラムを実行するコマンドを関連付けたアイコン内の位置がタッチパネル207Bにより検出されると、遠隔操作プログラムの起動操作を受け付ける。
ステップS02においては、実行状態をカレント状態に設定し、処理をステップS03に進める。ステップS03においては、現在位置を検出する。現在位置は、カレント状態に切り換わった時点のMFP100に対する相対的な位置である。相対的な位置は、MFP100から所定の範囲内を示す位置と、MFP100から所定の範囲外を示す位置とのいずれかである。例えば、MFP100との間の距離を測定し、測定した距離が所定の距離以下ならば現在位置をMFP100から所定の範囲内に決定し、MFP100との間の距離が所定の距離より大きければ現在位置をMFP100から所定の範囲外に決定する。また、MFP100がビーコン端末を有する場合には、ビーコン端末からビーコン信号を受信する場合に現在位置をMFP100から所定の範囲内に決定し、ビーコン端末からビーコン信号を受信しない場合に現在位置をMFP100から所定の範囲外に決定する。
ステップS04においては、起動画面決定処理を実行し、処理をステップS05に進める。起動画面決定処理の詳細は後述するが、複数の操作画面のうちから起動画面を決定する処理である。ステップS05においては、表示部206に起動画面を表示し、処理をステップS06に進める。
ステップS06においては、操作を受け付けたか否かを判断する。タッチパネル207Bにより操作画面中の位置が検出されると、操作を受け付けたと判断する。操作を受け付けたならば、操作画面中でタッチパネル207Bにより検出された位置に関連付けられた操作を特定し、処理をステップS07に進めるが、そうでなければ処理をステップS10に進める。ステップS07においては、受け付けられた操作が、遠隔操作プログラムの終了を指示する終了操作か否かを判断する。終了操作ならば処理を終了するが、そうでなければ処理をステップS08に進める。ステップS08においては、操作状態をフラッシュメモリ203に記憶し、処理をステップS09に進める。ステップS06において受け付けられた操作を識別するための操作識別情報と、ステップS03において検出された現在位置と、現在の日時とを含む操作状態情報を、フラッシュメモリ203に記憶する。ステップS09においては、受け付けられた操作に対応する処理を実行し、処理をステップS06に戻す。
ステップS10においては、非カレント状態に切り換えられたか否かを判断する。CPU201が、ユーザーによる非カレント切換操作を受け付ける場合、または、CPU201が非カレント状態に設定された別のタスクをカレント状態に切り換える場合、非カレント状態に切り換えられたと判断する。非カレント切換操作は、例えば、メニュー画面を表示させる操作、表示部206の表示を一時的に終了させる操作を含む。非カレント状態に切り換えられたならば処理をステップS11に進めるが、そうでなければ処理をステップS06に戻す。
ステップS11においては、実行状態を非カレント状態に設定し、処理をステップS12に進める。ステップS12においては、ステップS08において操作状態情報がフラッシュメモリ203に記憶されてから所定の時間が経過したか否かを判断する。操作状態情報が記憶されてから所定時間経過したならば処理をステップS13に進めるが、そうでなければ処理をステップS14に進める。所定の時間は、任意に定めることができ、ユーザーがMFP100の遠隔操作を継続しないと判断できる期間とすればよい。ステップS13においては、フラッシュメモリ203に記憶されている操作状態情報を消去し、処理をステップS14に進める。
ステップS14においては、カレント状態に切り換えられたか否かを判断する。CPU201が、ユーザーによるカレント切換操作を受け付けると、カレント状態に切り換えられたと判断する。例えば、CPU201は、遠隔操作タスクが非カレント状態の場合、表示部206に表示されたメニュー画面中の遠隔操作プログラムを実行するコマンドを関連付けたアイコンの指示をタッチパネル207Bが検出することに応じて、カレント切換操作を受け付ける。カレント状態に切り換えられたと判断するならば処理をステップS02に戻すが、そうでなければ処理をステップS12に戻す。
図9は、起動画面決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。起動画面決定処理は、遠隔操作処理のステップS04において実行される処理である。図9を参照して、CPU201は、フラッシュメモリ203に操作状態情報が記憶されているか否かを判断する(ステップS21)。操作状態情報は、遠隔操作処理のステップS08においてフラッシュメモリ203に記憶され、ステップS13においてフラッシュメモリ203から消去される。フラッシュメモリ203に操作状態情報が記憶されていれば処理をステップS22に進めるが、そうでなければ処理をステップS24に進める。
処理がステップS22に進む場合、ステップS21において、フラッシュメモリ203に操作状態情報が記憶されていると判断する場合である。ステップS22においては、操作状態情報に含まれる操作識別情報で識別される操作が実行指示操作か否かを判断する。実行指示操作ならば処理をステップS23に進めるが、そうでなければ処理をステップS24に進める。
ステップS23においては、実行指示操作が受け付けられた操作時の位置がMFP100から所定の範囲内か否かを判断する。操作状態情報に含まれる位置がMFP100から所定の範囲内を示すならば処理をステップS24に進めるが、操作状態情報に含まれる位置がMFP100から所定の範囲外を示すならば処理をステップS25に進める。ステップS25においては、起動画面をステータス通知画面に決定し、処理を遠隔操作処理に戻す。ステップS24においては、現在位置対応画面決定処理を実行し、処理を遠隔操作処理に戻す。
図10は、現在位置対応画面決定処理の流れの一例を示す図である。現在位置対応画面決定処理は、図9のステップS24において実行される処理である。図10を参照して、CPU201は、現在位置が所定の範囲内か否かを判断する(ステップS31)。遠隔操作処理のステップS03において検出された現在位置がMFP100から所定の範囲内を示すならば処理をステップS32に進めるが、現在位置がMFP100から所定の範囲外を示すならば処理をステップS33に進める。
ステップS32においては、起動画面をスキャン設定画面に決定し、処理を起動画面決定処理に戻す。フラッシュメモリ203に記憶された画面テーブルを参照して、MFP100から所定範囲内を示す位置である「近」に対応付けられたスキャン設定画面を起動画面に決定する。ステップS33においては、起動画面をドキュメント選択画面に決定し、処理を起動画面決定処理に戻す。フラッシュメモリ203に記憶された画面テーブルを参照して、MFP100から所定範囲外を示す位置である「遠」に対応付けられたドキュメント選択画面を起動画面に決定する。
<変形例>
変形例におけるスマートフォン200は、図5に示したCPU201が有する起動画面決定部255を起動画面決定部255Aに変更したものである。変形例における起動画面決定部255Aは、フラッシュメモリ203に操作状態情報が記憶されていない場合、または、フラッシュメモリ203に記憶された操作状態情報が実行指示操作とは異なる操作を示す場合、画面テーブルを参照して、現在位置に対応して予め定められた操作画面を起動画面に決定する。具体的には、現在位置がMFP100から所定範囲内の場合にスキャン設定画面を起動画面に決定し、現在位置がMFP100から所定範囲外の場合にドキュメント選択画面を起動画面に決定する。
変形例における起動画面決定部255は、フラッシュメモリ203に記憶された操作状態情報に含まれる操作識別情報が実行指示操作であってMFP100を直接操作する必要のない遠隔時操作を示し、かつ、操作状態情報に含まれる位置情報がMFP100から所定の範囲外の位置を示すならば、ステータス通知画面を起動画面に決定し、操作状態情報に含まれる位置情報がMFP100から所定の範囲外の位置を示すならば、現在位置に対して予め定められた操作画面を起動画面に決定する。
フラッシュメモリ203に記憶された操作状態情報に含まれる操作識別情報が実行指示操作であってMFP100を直接操作しなければならない近接時操作を示す場合、操作状態情報に含まれる位置情報がMFP100から所定の範囲内の位置を示す。変形例における起動画面決定部255は、フラッシュメモリ203に記憶された操作状態情報に含まれる操作識別情報が近接時操作を示す場合、現在位置がMFP100から所定の範囲内の場合は現在位置に対して予め定められたスキャン設定画面を起動画面に決定するが、現在位置がMFP100から所定の範囲外の場合はステータス画面に決定する。
図11は、変形例における操作とMFPとの間の距離と起動画面との関係の一例を示す図である。図11においては、操作が入力された時点を「操作時」で示し、カレント状態に切り換わった時点を「起動時」で示している。また、MFP100との相対的な位置を、MFP100から所定の範囲内の位置を「近」で示し、MFP100から所定の範囲外の位置を「遠」で示している。
図11を参照して、操作時が「操作なし」の状態において、起動時にMFP100から所定の範囲内の位置「近」の場合に起動画面「スキャン設定画面」が決定され、起動時にMFP100から所定の範囲外の位置「遠」の場合に起動画面「ドキュメント選択画面」が決定される。
操作時の操作が「実行指示操作以外の操作」の状態においては、操作時におけるMFP100との相対的な位置に係わらず、起動時における位置がMFP100から所定の範囲内の位置「近」の場合に起動画面「スキャン設定画面」が決定され、起動時における位置がMFP100から所定の範囲外の位置「遠」の場合に起動画面「ドキュメント選択画面」が決定される。
操作時の操作が「実行指示操作(遠隔時操作)」の状態は、MFP100を直接操作する必要のない遠隔時操作が受け付けられた状態を示す。操作時の操作が「実行指示操作(遠隔時操作)」の状態においては、操作時の位置がMFP100から所定の範囲内の位置「近」で、かつ、起動時の位置がMFP100から所定の範囲内の位置「近」の場合は、起動画面「スキャン設定画面」を決定し、起動時の位置がMFP100から所定の範囲外の位置「遠」の場合は、起動画面「ドキュメント選択画面」が決定される。操作時の操作が「実行指示操作(遠隔時操作)」の状態においては、操作時の位置がMFP100から所定の範囲外の位置「遠」の場合は、起動時の位置に係わらず、起動画面「ステータス通知画面」が決定される。
操作時の操作が「実行指示操作(近接時操作)」の状態は、MFP100を直接操作しなければならない近接時操作が受け付けられた状態を示す。近接時操作が入力された時点のMFP100に対する相対的な位置はMFP100から所定の範囲内となる。操作時の操作が「実行指示操作(近接時操作)」の状態においては、起動時の位置がMFP100から所定の範囲内の位置「近」の場合は、起動画面「スキャン設定画面」を決定し、起動時の位置がMFP100から所定の範囲外の位置「遠」の場合は、起動画面「ステータス通知画面」が決定される。
具体的には、近接時操作が受け付けられる場合は、スマートフォン200のユーザーが、MFP100から所定の範囲内に位置し、MFP100を直接操作可能な状態でスマートフォン200を用いてMFP100を遠隔操作してMFP100に原稿を載置する必要のあるスキャン処理の実行を指示する実行指示操作を入力する場合である。ユーザーは、MFP100にスキャン処理の実行を指示した後に、MFP100から離れてMFP100から所定の範囲外に移動する場合がある。このため、ユーザーは、MFP100から所定の範囲外となる位置でステータス画面を見ることにより、スキャン処理が終了していれば、原稿を取りにMFP100が設定された位置まで移動するタイミングを知ることができ、また、スキャン処理を実行して得られる画像データに対して別の処理を実行させることができる。
また、ユーザーは、MFP100にスキャン処理の実行を指示した後に、MFP100から離れることなく、MFP100に対する相対的な位置が所定の範囲内に位置する場合がある。この場合には、スキャン設定画面を表示するので、続けてスキャン処理を実行させるための設定をすることができる。
変形例におけるスマートフォン200が備えるCPU201は、図8に示した遠隔操作処理、図9に示した起動画面決定処理を実行する。ただし、起動画面決定処理のステップS24において、変形例における現在位置決定処理を実行する。
図12は、変形例における現在位置決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図12を参照して、CPU201は、現在位置が所定の範囲内か否かを判断する(ステップS31)。遠隔操作処理のステップS03において検出された現在位置がMFP100から所定の範囲内ならば処理をステップS32に進めるが、現在位置がMFP100から所定の範囲外ならば処理をステップS31Aに進める。ステップS32においては、起動画面をスキャン設定画面に決定し、処理を起動画面決定処理に戻す。
ステップS31Aにおいては、実行指示操作の種類によって処理を分岐する。実行指示操作が遠隔時操作ならば処理をステップS33に進め、実行指示操作が近接時操作ならば処理をステップS34に進める。ステップS33においては、起動画面をドキュメント選択画面に決定し、処理を起動画面決定処理に戻す。フラッシュメモリ203に記憶された画面テーブルを参照して、MFP100から所定範囲外を示す位置である「遠い」に対応付けられたドキュメント選択画面を起動画面に決定する。ステップS34においては、起動画面をステータス画面に決定し、処理を起動画面決定処理に戻す。
以上説明したように、本実施の形態におけるスマートフォン200は、MFP100を遠隔操作する遠隔操作装置として機能し、カレント状態において受け付けられた操作を示す操作状態情報を記憶し、カレント状態に切り換えられる起動時以降に検出されたMFP100に対する相対的な位置と最後に記憶された操作状態情報とに基づいて、起動画面を決定し、カレント状態に切り換えられる起動時に起動画面を表示する。このため、起動時以降のMFP100に対する相対的な位置と最後に受け付けられた操作とに基づいて起動画面を決定するので、MFP100を遠隔操作するために適した操作画面を起動時に表示することができる。
具体的には、スマートフォン200は、最後に受け付けられた操作が実行指示操作とは異なる場合、起動時におけるMFP100との相対的な位置に対して定められた操作画面を起動画面に決定するので、ユーザーが実行指示操作を入力するのに適した起動画面を表示することができる。
より具体的には、スマートフォン200は、最後に受け付けられた実行指示操作が受け付けられた時点の位置がMFP100から所定の範囲外ならば、ステータス通知画面を起動画面に決定し、最後に受け付けられた実行指示操作が受け付けられた時点の位置がMFP100から所定の範囲内ならば、起動時におけるMFP100との相対的な位置に対して定められた操作画面を起動画面に決定する。このため、MFP100から所定の範囲外で受け付けられた実行指示操作により実行された処理の状態を、ユーザーに通知することができる。また、MFP100から所定の範囲内で実行指示操作が受け付けられる場合は、ユーザーは、実行指示操作に従った処理がMFP100により実行される状態を目視できるので、ステータス通知画面ではなく、MFP100との相対的な位置に対して定められた操作画面を起動画面に決定する。これにより、ユーザーが実行指示操作を入力するのに適した起動画面を表示することができる。
さらに、変形例におけるスマートフォン200は、最後に受け付けられた実行指示操作が画像処理装置を直接操作しなければならない近接時操作を示す場合、最後に受け付けられた近接時操作はMFP100から所定の範囲内で受け付けられるが、起動時以降の位置がMFP100から所定の範囲外ならば、ステータス通知画面を起動画面に決定する。MFP100から所定の範囲内で近接時操作を受け付ける場合、例えば、スキャン処理の実行を指示する実行指示操作を受け付けてからMFP100がスキャン処理を実行する状態を確認することなく、MFP100から所定の範囲外に移動する場合がある。このため、起動時の位置がMFP100から所定の範囲外の場合は、ステータス通知画面を表示するので、スキャン処理の実行を指示する実行指示操作により実行された処理の状態をユーザーに通知することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<付記>
(1) 前記起動画面決定ステップは、前記操作状態記憶ステップにおいて最後に記憶された操作状態が前記画像処理装置に画像を処理させる実行指示操作とは異なる操作を示す場合、前記起動時以降に前記検出ステップにおいて検出された位置に対して予め定められた操作画面を起動画面に決定する、請求項5に記載の遠隔操作方法。
(2) 前記操作状態記憶ステップは、前記操作状態に関連付けて前記操作状態で示される操作が受け付けられたカレント状態における前記画像処理装置に対する相対的な位置を記憶し、
前記起動画面決定ステップは、前記操作状態記憶ステップにおいて最後に記憶された操作状態が関連付けられた位置が前記画像処理装置から所定の範囲の外ならば前記画像処理装置が処理を実行する状態を通知する操作画面を起動画面に決定し、前記操作状態記憶ステップにおいて最後に記憶された操作状態が関連付けられた位置が前記画像処理装置から前記所定の範囲内ならば前記起動時以降に前記検出ステップにおいて検出された位置に対して予め定められた操作画面を起動画面に決定する、請求項6または(1)に記載の遠隔操作方法。
(3) 前記起動画面決定ステップは、前記操作状態記憶ステップにおいて最後に記憶された操作状態が前記画像処理装置を直接操作しなければならない操作を示す場合、前記操作状態記憶ステップにおいて最後に記憶された操作状態が関連付けられた位置が前記画像処理装置から前記所定の範囲内であっても、前記起動時以降に前記検出ステップにおいて検出された位置が前記画像処理装置から前記所定の範囲外ならば、前記画像処理装置が処理を実行する状態を通知する操作画面を起動画面に決定する、(2)に記載の遠隔操作方法。