JP2017182913A - 複合体及びその製造方法、リチウムイオン二次電池用正極材、並びにリチウムイオン二次電池 - Google Patents

複合体及びその製造方法、リチウムイオン二次電池用正極材、並びにリチウムイオン二次電池 Download PDF

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浩樹 増田
直樹 笹川
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直樹 笹川
和田 拓也
Takuya Wada
拓也 和田
中壽賀 章
Akira Nakasuga
章 中壽賀
省二 野里
Seiji Nozato
省二 野里
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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池のサイクル特性を高め得る、リチウムイオン二次電池用正極材を提供する。【解決手段】リチウムイオン二次電池の正極材料に用いられる複合体であって、薄片化黒鉛と、カーボン粒子と、活物質とを含む、複合体と、バインダー樹脂とを含む、リチウムイオン二次電池用正極材。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極材に用いられる複合体及びその製造方法、リチウムイオン二次電池用正極材、並びにリチウムイオン二次電池に関する。
従来、小型化及び大容量化を図り得るため、リチウムイオン二次電池が広く用いられている。リチウムイオン二次電池では、正極及び負極を構成する電極材料として炭素質材料が広く用いられている。下記の特許文献1には、正極活物質と、グラフェン(酸化グラフェン)とが複合化してなる複合体粒子を用いたリチウムイオン電池用正極材が開示されている。下記の特許文献2には、リチウムイオン二次電池の負極の電極材として、微粒子と部分剥離型薄片化黒鉛との複合体が開示されている。また、下記の特許文献3には、リチウムイオン二次電池用電極材として、活物質、カーボンファイバー及びカーボン粒子の複合体が開示されている。
WO2014/115669 A1 特許第5636135号公報 特許第3618492号公報
しかしながら、特許文献1のような複合体粒子においては、薄層の酸化グラフェンの取り扱いが難しいなどの問題があった。また、酸化グラフェンを用いた場合、表面の官能基の影響により電極において副反応が生じることがあった。この副反応生成物により、電極が劣化したり、安全性に影響を与えたりするおそれがあった。また、リチウムイオン二次電池の正極材に用いた場合、サイクル特性が十分ではなかった。
特許文献2では、部分剥離型薄片化黒鉛をリチウムイオン二次電池の電極材に用いることが記載されているが、その用途及び効果は負極材への適用について記載されているにすぎず、正極材として用いた場合は、サイクル特性が十分ではなかった。
また、特許文献3の複合体においても、リチウムイオン二次電池の正極材に用いたときに、サイクル特性がなお十分でなかった。
本発明の目的は、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を高め得る、複合体及び該複合体の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池用正極材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記リチウムイオン二次電池用正極材を用いたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明に係る複合体は、リチウムイオン二次電池の正極材料に用いられる複合体であって、薄片化黒鉛と、カーボン粒子と、活物質とを含む。
本発明に係る複合体のある特定の局面では、前記薄片化黒鉛が、部分的にグラファイトが剥離されている構造を有する部分剥離型薄片化黒鉛である。
本発明に係る複合体の別の特定の局面では、ラマン分光法によって得られるラマンスペクトルにおいて、Dバンドと、Gバンドとのピーク強度比をD/G比としたときに、前記薄片化黒鉛のD/G比が、1.2以下である。
本発明に係る複合体の他の特定の局面では、10mg/L濃度のメチレンブルーのメタノール溶液の吸光度と、該メチレンブルーのメタノール溶液に前記薄片化黒鉛を投入し、遠心分離により得られた上澄み液の吸光度との差に基づき測定された前記薄片化黒鉛1gあたりのメチレンブルー吸着量(μモル/g)をy、前記薄片化黒鉛のBET比表面積(m/g)をxとした場合、比y/xが0.14以上である。
本発明に係る複合体のさらに他の特定の局面では、前記薄片化黒鉛のBET比表面積が、25m/g以上、500m/g以下である。
本発明に係る複合体のさらに他の特定の局面では、前記カーボン粒子の体積平均一次粒子径が、20nm以上、80nm以下である。
本発明に係る複合体のさらに他の特定の局面では、前記薄片化黒鉛の前記カーボン粒子に対する重量比(薄片化黒鉛/カーボン粒子)が、4以下である。
本発明に係る複合体のさらに他の特定の局面では、前記カーボン粒子が、前記活物質の表面上に存在している。
本発明に係る複合体の製造方法は、本発明に従って構成される複合体の製造方法であって、前記カーボン粒子と前記活物質とを混合し、混合物を得る工程と、前記混合物に、前記薄片化黒鉛をさらに混合する工程とを備える。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極材は、本発明に従って構成される複合体と、バインダー樹脂とを含む。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、本発明に従って構成されるリチウムイオン二次電池用正極材により構成されている正極を備える。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を高め得る、複合体及び該複合体の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池用正極材を提供することができる。
また、本発明によれば、サイクル特性に優れる、リチウムイオン二次電池を提供することができる。
実施例及び比較例において作製したリチウムイオン二次電池実験用電池の概略構成を示す分解斜視図である。 実施例及び比較例で得られた正極を用いて作製したリチウムイオン二次電池のサイクル特性を示す図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
(複合体)
本発明の複合体は、リチウムイオン二次電池の正極材料に用いられる。本発明の複合体は、薄片化黒鉛と、カーボン粒子と、活物質とを含む。
本発明の複合体は、薄片化黒鉛と、カーボン粒子と、活物質とを含んでいるので、リチウムイオン二次電池の正極材に用いたときに、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を高めることができる。
以下、本発明の複合体を構成している各材料の詳細について説明する。
薄片化黒鉛;
薄片化黒鉛とは、元の黒鉛を剥離処理して得られるものであり、元の黒鉛よりも薄いグラフェンシート積層体をいう。薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、元の黒鉛より少なければよい。また、薄片化黒鉛は、元の比表面積の大きいグラフェン積層体であり、元の黒鉛の分解終点が低温化へシフトしたグラフェン積層体である。
黒鉛とは、複数のグラフェンシートの積層体である。黒鉛のグラフェンシートの積層数は10万層〜100万層程度であり、BETによる比表面積(BET比表面積)で25m/gよりも小さい値を有するものである。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛などを用いることができる。膨張黒鉛は、通常の黒鉛よりもグラフェン層同士の層間が大きい。従って、黒鉛としては、膨張黒鉛を用いることが好ましい。また、膨張黒鉛を用いた場合、黒鉛をより一層容易に剥離できるので、薄片化黒鉛をより一層容易に得ることができる。
薄片化黒鉛において、グラフェンシートの積層数は、好ましくは、20層以上であり、より好ましくは、100層以上であり、好ましくは、10000層以下であり、より好ましくは、1000層以下である。
本発明において、薄片化黒鉛は、導電助剤として用いられる。薄片化黒鉛は平板状の形状を有しているので、活物質や活物質の表面上に存在しているカーボン粒子との接触点を多くすることができる。また、活物質や活物質の表面上に存在しているカーボン粒子との接触面積を大きくすることができる。そのため、薄片化黒鉛を導電助剤として用いることで、複合体の導電性が高められ、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率や、サイクル特性を高めることができる。
本発明において、薄片化黒鉛のD/G比は、1.2以下であることが好ましい。D/G比とは、ラマン分光分析により得られたラマンスペクトルにおける、Dバンドと、Gバンドとのピーク強度比である。
ラマンスペクトルにおけるDバンドは、欠陥構造に由来するピ−クである。薄片化黒鉛において、Dバンドは、通常、ラマンスペクトルの1349〜1353cm−1付近に観察される。
他方、ラマンスペクトルにおけるGバンドは、炭素原子の6員環構造の面内伸縮振動に由来するピ−クである。薄片化黒鉛において、Gバンドは、通常、ラマンスペクトルの1578〜1592cm−1付近に観察される。
Dバンドと、Gバンドとのピーク強度比であるD/G比は、薄片化黒鉛の酸化度の高さを示しており、D/G比が低いほど酸化度が低いことを意味している。
従って、薄片化黒鉛のD/G比を上記上限以下とすることで、薄片化黒鉛の導電性をより一層高めることができ、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率や、サイクル特性をより一層高めることができる。
リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率や、サイクル特性をより一層高める観点から、薄片化黒鉛のD/G比は、0.5以下であることがより好ましい。
上記薄片化黒鉛のBET比表面積は、好ましくは25m/g以上、より好ましくは60m/g以上、好ましくは500m/g以下、より好ましくは400m/g以下である。薄片化黒鉛のBET比表面積が上記範囲内にある場合、導電助剤として用いたときに、活物質や活物質の表面上に存在しているカーボン粒子との接触点をより一層高めることができるので、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率や、サイクル特性をより一層高めることができる。
上記薄片化黒鉛は、1gあたりのメチレンブルー吸着量(μモル/g)をy、上記薄片化黒鉛のBET比表面積(m/g)をxとした場合、比y/xが0.14以上であることが好ましい。
なお、上記薄片化黒鉛1gあたりのメチレンブルー吸着量(μモル/g)yは、例えば、以下のようにして測定することができる。
(1)まず、10mg/L濃度のメチレンブルーのメタノール溶液の吸光度を測定する。
(2)次に、メチレンブルーのメタノール溶液に上記薄片化黒鉛を投入し、遠心分離により得られた上澄み液の吸光度を測定する。
(3)上記(1)及び(2)の差に基づき、薄片化黒鉛1gあたりのメチレンブルー吸着量(μモル/g)を算定する。
比y/xが上記下限以上である場合、メタノール溶液中などの湿式状態において、グラフェン間又はグラファイト間の距離を乾燥状態に比べより一層広げることができる。
グラフェン間又はグラファイト間の距離を乾燥状態に比べより一層広げる観点から、比y/xは、好ましくは0.17以上、より好ましくは0.2以上、好ましくは0.4以下である。
また、本発明において、上記薄片化黒鉛は、黒鉛を剥離して得られるものであれば、特に限定はされないが、部分的にグラファイトが剥離されている構造を有する部分剥離型薄片化黒鉛であることが好ましい。上記部分剥離型薄片化黒鉛は、黒鉛もしくは一次薄片化黒鉛と、樹脂とを含み、樹脂が黒鉛又は一次薄片化黒鉛にグラフト又は吸着により固定されている組成物を用意し、熱分解したものである。なお、上記組成物中に含まれている樹脂は、除去されていることが望ましいが、樹脂の一部が残存していてもよい。なお、一次薄片化黒鉛とは、黒鉛を剥離することにより得られた薄片化黒鉛や、部分剥離型薄片化黒鉛など、各種方法により黒鉛を剥離することにより得られた薄片化黒鉛を広く含むものとする。一次薄片化黒鉛は、黒鉛を剥離することにより得られるものであるため、その比表面積は、黒鉛よりも大きいものであればよい。
上記熱分解により、黒鉛又は一次薄片化黒鉛におけるグラファイト層間の距離が広げられている。上記部分剥離型薄片化黒鉛は、グラフェンの積層体において、端縁からある程度内側までグラファイト層間が開いており、すなわちグラファイトの一部が剥離しており、中央側の部分ではグラファイト層が元の黒鉛又は一次薄片化黒鉛と同様に積層している構造を有している。
より具体的に、上記部分剥離型薄片化黒鉛は、黒鉛又は一次薄片化黒鉛のエッジ部分のグラファイトが剥離され部分的に薄片化したものである。なお、上記エッジ部分のグラファイトとは、黒鉛又は一次薄片化黒鉛中のエッジ部分の一部のグラフェン積層部分である。
部分剥離型薄片化黒鉛は、上記のような構造を有しているので、導電助剤に用いた場合、活物質や活物質の表面上に存在しているカーボン粒子との接触点をより一層多くすることができる。また、活物質や活物質の表面上に存在しているカーボン粒子との接触面積をより一層大きくすることができる。そのため、部分剥離型薄片化黒鉛を導電助剤として用いることで、複合体の導電性が高められ、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率や、サイクル特性をより一層高めることができる。
なお、部分剥離型薄片化黒鉛においては、部分的にグラファイトが剥離され薄片化している部分のグラフェンの積層数が少ない。上記薄片化している部分のグラフェンの積層数は、1000層以下であることが好ましく、100層以下であることがより好ましく、20層以下であることがさらに好ましい。薄片化している部分のグラフェン積層数が上記上限以下である場合、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率や、サイクル特性をより一層高めることができる。
また、部分剥離型薄片化黒鉛においては、エッジ部の薄片化している部分のグラフェン積層数が少ないため、上記黒鉛よりもBET比表面積が大きい。BET比表面積は、好ましくは25m/g以上、より好ましくは60m/g以上、また、好ましくは500m/g以下、より好ましくは400m/g以下である。薄片化黒鉛のBET比表面積が、上記範囲内にある場合、導電助剤として用いたときに、活物質との接触点をより一層高めることができるので、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率や、サイクル特性をより一層高めることができる。
部分剥離型薄片化黒鉛は、上述したように中心部分がグラファイト構造を有し、エッジ部分が薄片化している構造を有している。このため、従来の薄片化黒鉛よりも取り扱いが容易である。
また、上述したように部分剥離型薄片化黒鉛は、熱分解の後に樹脂の一部が残存している樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛であってもよい。
より具体的に、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、黒鉛もしくは一次薄片化黒鉛と、樹脂とを含み、樹脂が黒鉛又は一次薄片化黒鉛にグラフト又は吸着により固定されている組成物を用意し、該組成物中に含まれている樹脂の一部を残存させながら、熱分解したものである。
上記熱分解により、黒鉛又は一次薄片化黒鉛におけるグラファイト層間の距離が広げられている。従って、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、グラフェン積層体において、端縁からある程度内側までグラファイト層間が開いており、すなわちグラファイトの一部が剥離しており、中央側の部分ではグラファイト層が元の黒鉛又は一次薄片化黒鉛と同様に積層している構造を有する。樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、黒鉛又は一次薄片化黒鉛のエッジ部分のグラファイトが剥離され部分的に薄片化したものである。なお、上記エッジ部分のグラファイトとは、黒鉛又は一次薄片化黒鉛中のエッジ部分の一部のグラフェン積層部分である。
また、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛においては、黒鉛もしくは一次薄片化黒鉛にグラフト又は吸着により固定されている樹脂が一部残存しているので、特に液体中において、元の黒鉛の比表面積より大幅に比表面積が増加する。また、一部樹脂が残存しているため、バインダーとの分散性がより一層向上し、バインダー量をより一層低減することができる。さらには、残存樹脂を含むため、比表面積が大きいのにもかかわらず、飛散性が低く、取り扱いが容易である。
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛においても、部分的にグラファイトが剥離され薄片化している部分のグラフェンの積層数が少ない。上記薄片化している部分のグラフェンの積層数は、1000層以下であることが好ましく、100層以下であることがより好ましく、20層以下であることがさらに好ましい。薄片化している部分のグラフェン積層数が上記上限以下である場合、バインダー樹脂との相溶性をより一層高めることができる。
また、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛においても、エッジ部分の薄片化している部分のグラフェン積層数が少ないため、上記黒鉛よりもBETによる比表面積(BET比表面積)が大きい。樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のBET比表面積は、好ましくは25m/g以上であり、好ましくは500m/g以下である。BET比表面積が、上記範囲内にある場合、バインダー樹脂の添加量をより一層減らしつつ、活物質の集電体からの剥離をより一層抑制することができる。
黒鉛又は一次薄片化黒鉛にグラフト又は吸着により固定される樹脂としては、特に限定されないが、ラジカル重合性モノマーの重合体であることが好ましい。樹脂は、複数種類のラジカル重合性モノマーの共重合体であってもよいし、1種類のラジカル重合性モノマーの単重合体であってもよい。
用いられる樹脂の例としては、ポリプロピレングリコール、ポリグリシジルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリブチラール又はポリアクリル酸が挙げられる。好ましくは、ポリグリシジルメタクリレートが挙げられる。ポリグリシジルメタクリレートを用いた場合、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の湿潤下における比表面積をより一層大きくすることができる。
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛中に残存している樹脂の量は、部分剥離型薄片化黒鉛100重量部に対し、5重量部〜450重量部であることが好ましい。残存している樹脂の量は、15重量部〜350量部であることがより好ましく、25重量部〜300重量部であることがさらに好ましい。残存樹脂の量を上記範囲内とすることで、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の液体中における比表面積をより一層大きくすることができる。
上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、比較的飛散し難いという特徴を有する。これは、上記ラジカル重合性モノマーが重合してなるポリマー(樹脂)が熱分解工程において、完全に分解されず残存しているためと考えられる。言い換えれば、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛におけるグラフェン層間又は薄片化しているグラファイト層間に挟まれている部分に位置している樹脂は、両側のグラフェン層間又はグラファイト層間に挟まれているため、熱分解温度付近では完全に分解しないと考えられる。そのため、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、取り扱いが容易である。
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、上述したように中心部分がグラファイト構造を有し、エッジ部分が薄片化している構造である。このため、従来の薄片化黒鉛よりも取り扱いが容易である。
また、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、樹脂を含むため、他の樹脂への分散性が高い。特に、他の樹脂が、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛に含まれる樹脂と親和性の高い樹脂である場合、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の他の樹脂への分散性が、より一層高められる。
なお、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、国際公開第2014/034156号に記載の薄片化黒鉛・樹脂複合材料の製造方法と同様の方法で製造することができる。上記製造方法では、酸化工程を経ていないので、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、従来の酸化グラフェン及び該酸化グラフェンを還元して得られるグラフェンと比較して導電性に優れている。
また、残存樹脂を含まない部分剥離型薄片化黒鉛は、熱処理により過剰の樹脂を除去することにより得ることができる。上記製造方法においても、酸化工程を経ていないので、得られた部分剥離型薄片化黒鉛は、従来の酸化グラフェン及び該酸化グラフェンを還元して得られるグラフェンと比較して導電性に優れている。従来の酸化グラフェンや酸化還元グラフェンでは、sp構造を十分に担保できないためであると考えられる。従来の酸化グラフェンや酸化還元グラフェンと比較して導電性に優れているため、上記部分剥離型薄片化黒鉛を用いることで、リチウムイオン二次電池のサイクル特性をより一層高めることができる。
カーボン粒子;
カーボン粒子も導電助剤として用いることができる(以下、カーボン粒子及び薄片化黒鉛を総称して導電助剤と称する場合があるものとする)。カーボン粒子は、活物質の表面上に存在していることが望ましい。この場合、電気的な導電パスを形成することができ、リチウムイオン二次電池のサイクル特性をより一層高めることができる。
カーボン粒子の形状としては、特に限定されないが、電極中に細密充填させる観点から、球状の形状を有していることが望ましい。
カーボン粒子の体積平均一次粒子径は、好ましくは20nm以上、好ましくは80nm以下、より好ましくは40nm以下である。体積平均一次粒子径が上記範囲にある場合、活物質の表面上により一層均一にカーボン粒子を存在することができる。また、体積平均一次粒子径が上記上限以上である場合、活物質の表面上からカーボン粒子が脱落してしまうことがある。一方、体積平均一次粒子径が上記下限以下では、カーボン粒子同士の凝集が起こりやすく、カーボン粒子同士の凝集をほどいた後に活物質の表面上に分散させなければならない場合があるため、操作が煩雑になり、ハンドリング性が低下してしまうことがある。
上記体積平均一次粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所社製、Partica、型式「LA−950V2」)を用いて測定した。測定においては、N−メチルピロリドン(NMP)中にカーボン粒子を分散させ、測定を行った。
カーボン粒子としては、特に限定されないが、アセチレンブラックやファーネスブラックなどのカーボンブラック、種々のハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー又はグラフェンなどを用いることができる。好ましくは、アセチレンブラックやファーネスブラックのようなナノサイズの導電性カーボン粒子が望ましい。導電性カーボン粒子としては、例えば、市販されているアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、商品名「デンカブラック」)や導電性カーボンブラック(ライオン株式会社製、商品名「ケッチェンブラック」)が挙げられる。
薄片化黒鉛のカーボン粒子に対する重量比(薄片化黒鉛/カーボン粒子)は、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.6以上、好ましくは4以下、より好ましくは3.0以下である。重量比(薄片化黒鉛/カーボン粒子)が上記下限以上及び上記上限以下である場合、カーボン粒子がより一層凝集し難く、活物質の表面上により一層容易に分散させることができる。
活物質;
活物質としては、特に限定されず、リチウムイオン二次電池において正極として作用する材料を好適に用いることができる。このような材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)などの層状酸化物系活物質、リチウム過剰系活物質、マンガン酸リチウム(LiMn)などのスピネル型正極活物質、Vなどの金属酸化物活物質やTiS、MoS若しくはNbSeなどの金属化合物系活物質、又はリン酸鉄リチウム若しくはリン酸マンガンリチウムなどのオリビン系活物質を用いることができる。好ましくは、コバルト酸リチウム(LiCoO)などの層状酸化物系活物質が用いられる。これらは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
複合体100重量%中における導電助剤(薄片化黒鉛及びカーボン粒子)の含有量は、0.5重量%以上であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。導電助剤(薄片化黒鉛及びカーボン粒子)の含有量が上記下限以上である場合、リチウムイオン二次電池の初期の充放電効率や、サイクル特性をより一層効果的に高めることができる。また、導電助剤(薄片化黒鉛及びカーボン粒子)の含有量が上記上限以下である場合、活物質の含有量が増えるので電池としての充放電容量をより一層高くすることができる。
(複合体の製造方法)
複合体の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、カーボン粒子と上記活物質を混合し混合物を得る。続いて、得られた混合物に薄片化黒鉛をさらに混合する。これにより、カーボン粒子を活物質の表面上に存在させることができるため、得られる複合体の導電性をより一層高めることができる。
カーボン粒子と活物質との混合には、例えば、乾式状態ではボールミルや乳鉢を用いることができ、湿式状態ではプラネタリーミキサーや薄膜旋回型ミキサーなどを用いることができる。また、薄片化黒鉛との混合は、例えば、湿式状態での吸着により行うことができる。
上記吸着用溶媒としては、ヘキサンやトルエン、酢酸エチルなどの無極性溶媒や、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒、又はメタノールやエタノールなどの極性プロトン性溶媒などから少なくとも1種を用いることができる。好ましくは、テトラヒドロフランを用いることができる。テトラヒドロフランを用いた場合、導電助剤と活物質との吸着が強くなり、複合体の粉体抵抗や、複合体を用いて電極を作製した時の電極抵抗をより一層低下させることができる。
(リチウムイオン二次電池用正極材)
本発明のリチウムイオン二次電池用正極材は、本発明に従って構成される上記複合体と、バインダー樹脂とを含む。
上記リチウムイオン二次電池用正極材100重量%中の導電助剤の含有量は、1重量%以上、10重量%以下である。導電助剤の含有量が少なすぎると、集電体との間の導電パスが少なくなり十分な導電性を得られない場合がある。他方、上記導電助剤の含有量が多すぎると、活物質が集電体から剥離することがある。
導電性をより一層高め、かつ活物質の集電体からの剥離をより一層抑制する観点から、上記リチウムイオン二次電池用正極材100重量%中の上記導電助剤の含有量は、好ましくは1重量%以上であり、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、さらに好ましくは3重量%以下である。
上記リチウムイオン二次電池用正極材100重量%中の上記バインダー樹脂の含有量は、好ましくは1重量%以上、好ましくは4重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が少なすぎると、活物質が集電体から剥離することがある。他方、バインダー樹脂の含有量が多すぎると、電極密度が十分に高められない場合がある。
活物質の集電体からの剥離をより一層抑制し、電極密度をより一層高める観点から、上記リチウムイオン二次電池用正極材100重量%中の上記バインダー樹脂の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。
上記バインダー樹脂としては、ポリブチラール、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系ポリマー、水溶性のカルボキシメチルセルロース又はこれらの変性物などを用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。好ましくは、ポリテトラフルオロエチレンを用いることができる。ポリテトラフルオロエチレンを用いた場合、分散性や耐熱性をより一層向上させることができる。
(リチウムイオン二次電池)
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用正極材により構成されている正極を備える。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いられる正極は、例えば、以下のようにして製造される。
まず、活物質とカーボン粒子とを混合し混合物を得る。活物質とカーボン粒子との混合には、例えば、乾式状態ではボールミルや乳鉢を用いることができ、湿式状態ではプラネタリーミキサーや薄膜旋回型ミキサーなどを用いることができる。
得られた混合物と、薄片化黒鉛とを上記吸着用溶媒中に分散させ、所定の時間撹拌処理を行い、溶媒中で混合物と薄片化黒鉛を吸着させる。次に、溶媒を除去し、乾燥させた後、必要に応じて焼成処理を行い、活物質、カーボン粒子及び薄片化黒鉛の複合体を得る。薄片化黒鉛が樹脂残存型薄片化黒鉛の場合、上記焼成処理により、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛に含まれる樹脂を除去し、複合体を得てもよい。続いて、得られた複合体をバインダー樹脂と混合し塗工液を作製する。次に、塗工液を適宜希釈した後、金属箔などの集電体に塗布、乾燥し正極を作製する。作製した正極はそのまま電極形状に打ち抜いて用いてもよいが、さらに電極密度を向上させるため、通常、ロールプレスなどの処理を施した後に電極形状に打ち抜いて使用される。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
薄片化黒鉛の調製;
ポリグリシジルメタクリレート(日油株式会社製、商品名「マーブルーフG−2050M」、平均分子量=約20万、熱分解開始温度=245℃)50gをテトラヒドロフラン450gに溶解し、ポリグリシジルメタクリレートの10重量%溶液を得た。このポリグリシジルメタクリレート溶液に、膨張化黒鉛(東洋炭素社製、商品名「PFパウダー8F」)2.5g及び化学発泡剤(永和化成工業社製、商品名「ビニホール AC#R−K3」)5.0gを添加し混合物とした。
次に、上記混合物に対し、超音波処理装置(本多電子社製)を用い、100W、発振周波数28kHzで300分間、超音波を照射した。それによって、上記膨張化黒鉛がポリグリシジルメタクリレート溶液中に分散している組成物を得た。この組成物を10〜20mmの厚みにキャスト法によりシート成型した。得られたシートを80℃の温度で2時間、110℃の温度で1時間、150℃の温度で1時間加熱乾燥した。
乾燥後、230℃の温度で2時間の条件で加熱することにより、化学発泡剤を分解し、その後430℃の温度で30分間維持する加熱工程を実施した。それによって、上記ポリグリシジルメタクリレート溶液を熱分解し、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を得た。この樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛では、ポリグリシジルメタクリレートの一部が残存している。
得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のBET比表面積xは、292m/gであり、メチレンブルー吸着量yは、45.1μモル/gであった。また、比y/xは、0.154であった。なお、BET比表面積及びメチレンブルー吸着量は、後述する方法により測定した。
次に、得られる正極材(正極)中において、カーボン粒子としてのアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、商品名「Li400」)が1重量%、及び活物質としてのLiCoO(ALDRICH社製、商品名「Lithium cobalt(III)oxide」)が92重量%の含有量になるように、アセチレンブラック及びLiCoOを乳鉢を用いて混合し、その後、上記のようにして得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を、得られる正極材中において、4重量%の含有量となるように、乳鉢を用いて混合させた。次に、380℃で2時間の焼成処理を行い、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛に含まれる樹脂残存部分を除去し、薄片化黒鉛、カーボン粒子及び活物質の重量比(薄片化黒鉛:カーボン粒子:活物質)が、4:1:92の複合体を得た。次に、複合体にバインダー樹脂としてのポリフッ化ビニリデン(キシダ化学株式会社製、商品名「PVDF #1100」)を正極材(正極)中において、3重量%の含有量となるように加え、乳鉢で混練した。混練後、NMPを適宜添加して塗工が可能な粘度に希釈調製を行い、塗工液を作製した。作製した塗工液をアプリケータで集電体としてのCu箔に塗工して電極シートを作製した。
このようにして得た電極シートを80℃で12時間減圧乾燥し、続いて110℃に昇温して2時間減圧乾燥を行った。乾燥後、この電極シートの一部を直径が14mmとなるように円形に打ち抜いてリチウムイオン二次電池の正極を得た。
(実施例2)
薄片化黒鉛、カーボン粒子及び活物質の重量比(薄片化黒鉛:カーボン粒子:活物質)が、1:4:92になるように混合させたこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池の正極を得た。
(比較例1)
カーボン粒子を用いなかったこと、並びに薄片化黒鉛及び活物質の重量比(薄片化黒鉛:活物質)が、5:92になるように混合させたこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池の正極を得た。
(比較例2)
カーボン粒子を用いなかったこと、及び薄片化黒鉛の代わりに気相成長カーボンファイバー(昭和電工株式会社製、商品名「VGCF−H」)を用いたこと、並びに気相成長カーボンファイバー及び活物質の重量比(気相成長カーボンファイバー:活物質)を、5:92になるように混合させたこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池の正極を得た。なお、気相成長カーボンファイバーは残存樹脂を含んでいないため焼成処理は行わなかった。
(比較例3)
薄片化黒鉛の代わりに気相成長カーボンファイバー(昭和電工株式会社製、商品名「VGCF−H」)を用いたこと、並びに気相成長カーボンファイバー、カーボン粒子(電気化学工業株式会社製、商品名「Li400」)及び活物質の重量比(気相成長カーボンファイバー:カーボン粒子:活物質)が、1:4:92となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池の正極を得た。
なお、下記表1に、実施例1,2及び比較例1〜3における各材料の重量比を示す。
Figure 2017182913
(評価方法)
実施例及び比較例において、BET比表面積、メチレンブルー吸着量及びリチウムイオン二次電池のサイクル特性は、以下のようにして測定した。
BET比表面積;
BET比表面積は、比表面積測定装置(島津製作所社製、品番「ASAP−2000」)により窒素ガスを用いて測定した。
メチレンブルー吸着量;
メスフラスコに、10mg/L、5.0mg/L、2.5mg/L、1.25mg/Lの濃度のメチレンブルーのメタノール溶液(メチレンブルー溶液)を調製した。メチレンブルーとしては、関東化学社製特級試薬のメチレンブルーを用いた。島津製作所社製、紫外可視分光光度計(品番UV−1600)を用い、用意した上記4種類のメチレンブルー溶液の吸光度を測定し、検量線を作成した。
次に、50mLのメスフラスコ中に、メチレンブルー0.005gを入れ、測定溶媒としてメタノールを加え、100mg/Lのメチレンブルー溶液を調製した。このメチレンブルー溶液を、10倍に測定溶媒を用いて希釈し、10mg/Lのメチレンブルー溶液を得た。
100mLのナスフラスコ中に、スターラーバーと、測定対象の樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛(0.005〜0.05g、試料のBET値によって変更)と、上記10mg/Lのメチレンブルー溶液50mLとを加えた後、超音波洗浄器を用いて15分間超音波処理した。このようにして、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を分散させた後、25℃の温度の冷却バス中で60分撹拌した。
吸着平衡に達した後、遠心分離により樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛と上澄み液とを分離した。上記紫外可視分光光度計を用い、ブランクである10mg/Lのメチレンブルー溶液の吸光度と、上記上澄み液の吸光度とを測定した。
上記ブランクのメチレンブルー溶液の吸光度と上記上澄み液の吸光度との差、すなわち吸光度の減少量を算出した。この吸光度の減少量と、前述した検量線の傾きにより、メチレンブルー溶液の濃度の減少量を求めた。このメチレンブルー溶液の濃度の減少量から、以下の式により、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛表面へのメチレンブルーの吸着量を求めた。
吸着量(μモル/g)={メチレンブルー溶液の濃度の減少量(g/L)×測定溶媒の体積(L)}/{メチレンブルーの分子量(g/mol)×仕込んだ樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛試料の質量(g)}
サイクル特性;
次に、実施例及び比較例で得たシート状のリチウムイオン二次電池の正極を用い、以下のようにして、リチウムイオン二次電池実験用電池を作製し、サイクル特性を評価した。
リチウムイオン二次電池の正極を真空下において、110℃、4時間の条件で乾燥させた。乾燥後、この正極を用いて、アルゴンガス噴霧のグローブボックス内で、リチウムイオン二次電池実験用電池を作製した。
上記リチウムイオン二次電池実験用電池の構造を図1に分解斜視図で模式的に示す。
図1に示すように、負極ボディ6と正極ボディ7との間に、負極ボディ6側から順に、負極8、セパレータ9、電極ガイド10、上記のようにして得た正極11、電極押さえ12及びスプリング13を積層した。負極8は直径16mmのリチウム金属片を用いた。また、セパレータ9については、積水化学工業社製樹脂フィルム(商品名:エスフィノ)を用いた。また、電解液として、1モル/LのLiBF4(EC:DEC=1:1v/v%)のキシダ化学社製電解液を用いた。
上記のようにして組み立てたリチウムイオン二次電池実験用電池において、電圧が3.1Vから4.25Vまで充電レート0.05Cで充電した。4.25V到達後2時間電圧を維持した後、1分間休止した。次に、4.25Vから3.1Vまで放電レート0.05Cで放電した。放電後1分間休止した。
上記充電及び放電からなるサイクルを5回繰り返した。次に、充放電レートを0.1Cに変更して充電及び放電を1サイクル行った。次に、充放電レートを0.2Cに変更して充電及び放電を1サイクル行った。さらに続けて、充放電レートを0.5Cに変更して、充電及び放電からなるサイクルを8回繰り返した。放電容量維持率の測定結果を図2に示す。図2の横軸は充放電のサイクル数を示し、縦軸は放電容量維持率を示す。
図2より、実施例1,2では、特に3〜6サイクルの放電容量維持率が高められていることが確認できる。
6…負極ボディ
7…正極ボディ
8…負極
9…セパレータ
10…電極ガイド
11…正極
12…電極押さえ
13…スプリング

Claims (11)

  1. リチウムイオン二次電池の正極材料に用いられる複合体であって、
    薄片化黒鉛と、カーボン粒子と、活物質とを含む、複合体。
  2. 前記薄片化黒鉛が、部分的にグラファイトが剥離されている構造を有する部分剥離型薄片化黒鉛である、請求項1に記載の複合体。
  3. ラマン分光法によって得られるラマンスペクトルにおいて、Dバンドと、Gバンドとのピーク強度比をD/G比としたときに、前記薄片化黒鉛のD/G比が、1.2以下である、請求項1又は2に記載の複合体。
  4. 10mg/L濃度のメチレンブルーのメタノール溶液の吸光度と、該メチレンブルーのメタノール溶液に前記薄片化黒鉛を投入し、遠心分離により得られた上澄み液の吸光度との差に基づき測定された前記薄片化黒鉛1gあたりのメチレンブルー吸着量(μモル/g)をy、前記薄片化黒鉛のBET比表面積(m/g)をxとした場合、比y/xが0.14以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合体。
  5. 前記薄片化黒鉛のBET比表面積が、25m/g以上、500m/g以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合体。
  6. 前記カーボン粒子の体積平均一次粒子径が、20nm以上、80nm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合体。
  7. 前記薄片化黒鉛の前記カーボン粒子に対する重量比(薄片化黒鉛/カーボン粒子)が、
    4以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合体。
  8. 前記カーボン粒子が、前記活物質の表面上に存在している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合体の製造方法であって、
    前記カーボン粒子と前記活物質とを混合し、混合物を得る工程と、
    前記混合物に、前記薄片化黒鉛をさらに混合する工程とを備える、複合体の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合体と、バインダー樹脂とを含む、リチウムイオン二次電池用正極材。
  11. 請求項10に記載のリチウムイオン二次電池用正極材により構成されている、正極を備える、リチウムイオン二次電池。
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