JP2017181333A - 試料積載プレート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】MALDI法の質量分析に使用され、試料積載スポットの試料積載時における試料のアンカー効果を大きくするとともに、試料積載スポット内の中心および中心近傍に試料が集中して乾燥結晶化することができる試料積載プレート及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の試料積載プレート10は、試料積載スポットの辺縁部20より内側中心近傍に、親水性表面が形成され、辺縁部に疎水性表面が形成され、内側中心近傍と辺縁部との間の中間領域は、試料積載スポットの中心から外側に向かうにしがたって、親水性が弱くなり疎水性に変化していくように表面が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、試料を積載する試料積載プレートおよびその製造方法に関する。
病原菌や細菌を迅速かつ正確に診断することが可能な質量分析のイオン化法の一つとして、マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI=Matrix Assisted Lazer Desorption/Ionization)法が知られている。
MALDI法は、レーザ光を吸収しにくい、またはレーザ光で損傷を受けやすい分析対象物(以下、試料と呼ぶ)を分析するために、レーザ光を吸収しやすくかつイオン化しやすい物質(マトリックス)に試料をあらかじめ混合しておき、これにレーザ光を照射することで試料をイオン化する方法である。
MALDI法による質量分析装置では、一般に、被分析物とマトリックスをあらかじめ混合し、溶媒により液状化したもの(以下試料と呼び、滴下時は液状であるが、それを乾燥し結晶化したものも試料と呼ぶ)試料を積載するターゲットプレートと呼ばれる金属製のプレート(以下、試料積載プレートと呼ぶ)を装置内に配置し、試料積載プレート上に積載した試料に対してレーザ光を所定時間照射して試料を脱離イオン化する。このとき、金属製の試料積載プレートには電圧が印加され、脱離イオン化した試料に電界が与えられることによって脱離イオン化した試料を加速用の電極に向けて飛行しやすくしている。
試料積載プレートは、試料を積載するための試料積載領域(以下、試料積載スポットと呼ぶ)を複数備えており、測定する複数の試料を所定の試料積載スポットに滴下させ乾燥化(結晶化)させた状態で質量分析装置内に配置し、試料積載プレートを移動させることにより複数の試料にレーザを照射するようになっている。
MALDI分析法ではこのような結晶が試料積載スポット内にできるだけ均一に堆積し、被分析物が適切に脱離イオン化し、また試料積載プレートに印加する電圧から試料に有効に電界が与えられ適切に加速することが重要であり、これらの分析技術に関する多くの提案がなされている。
試料積載スポットにおける試料の結晶化またはイオン化の改良に関して、例えば特許文献1に示す提案は、試料積載スポットは電気伝導性の表面を有する中央部分と疎水性のマスクからなるマージン(周囲)部分とを備えており、試料積載スポット上に滴下した試料はハロー効果により疎水性のマージン部分にリング状に結晶化し堆積するようにしている。マージン部分に形成された結晶リングにレーザ光を効率的に照射しイオン化を行うようにしている。
また、特許文献2に示す提案は、絶縁性を有する基板上に導電干渉層を設けて基板とは異なる色を呈するようにし、また表面に疎水膜を形成し、さらに試料積載スポットを形成する溝を設けて基板を露出し、滴下した試料を試料積載スポット内に留めて(以下、アンカー効果と呼ぶ)結晶化させイオン化を行うようにしている。
特表2006−525525号公報 WO2015/019861号公報 US2002/0045270号公報
しかしながら、特許文献1に示す従来技術は、試料積載スポットのマージン部に形成される試料の結晶リングにレーザ光を照射して効率的な測定を行うようにしているものの、電気伝導性を有する中央部分に対してマージン部は絶縁膜であるため導電性が充分とは言えず堆積した結晶リングに対して試料積載プレートに印加する電圧から試料に対して有効に電界が与えられず試料がチャージアップし、適正なイオン化が妨げられるという問題がある。
また、特許文献2に示す従来技術は、溝の効果により試料をスポット内に留めるアンカー効果があり、また基板の色が試料とは異なることによる試料の視認性が良いものの、滴下した試料が試料積載スポット内の全域に濡れ広がりにくく、スポットの溝に沿ってドーナツ状に濡れやすい。結果として分析に使用される試料積載スポット中心部の試料の密度が低くなることで分析感度の低下を招く虞がある。
また、特許文献3に示す従来技術は、試料をスポットの中心に留める親水性のアンカーとして基板または基板上に形成した金属面を表出し、そのアンカーの周囲となるリング状領域の表面にアフィニティー吸着体を載置し、さらにその外側の表面を疎水性となるようテフロン(登録商標)等の疎水性材料を載置した構成の試料支持基板が開示されている。この構成により試料を効果的にスポット中心のアンカーに集中して乾燥化することが可能となる優れた構成であるが、その製造段階で、アフィニティー吸着体や疎水性材料といった材料を別々に載置する工程が必要となり、工程が複雑となる問題がある。
本発明の目的は上記課題を解決し、試料積載スポットの試料積載時における試料のアンカー効果を大きくするとともに、試料積載スポット内の中心および中心近傍に試料が集中して乾燥結晶化することができる試料積載プレート及びその製造方法を提供することである。
上記課題を達成するため、本発明の構成は以下の通りである。
MALDI法の質量分析に使用され、基板上に試料を積載する試料積載スポットを少なくとも一つ以上備える試料積載プレートであって、試料積載プレートは、試料積載スポットの辺縁部より内側中心近傍に、親水性表面が形成され、辺縁部に疎水性表面が形成され、内側中心近傍と辺縁部との間の中間領域は、試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって、親水性が弱くなり疎水性に変化していくように表面が形成されていることを特徴とする。
中間領域は、親水性表面と疎水性表面がそれぞれ部分的に形成されており、前記試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって、前記疎水性表面の面積割合が大きくなることを特徴とする。
基板は、樹脂であり、前記辺縁部および前記中間領域に形成される疎水性表面は、基板が露出していることを特徴とする。
内側中心近傍および前記中間領域に形成される親水性表面 は、基板上に形成された光学多層膜が露出していることを特徴とする。
基板はセラミックスまたは金属であり、前記内側中心近傍および前記中間領域に形成される親水性表面は、前記基板が露出していることを特徴とする。
MALDI法の質量分析に使用され、基板上に試料を積載する試料積載スポットを少なくとも一つ以上備える試料積載プレートの製造方法であって、基板表面を親水性表面とする工程と、親水性表面の上に疎水性の膜を形成し疎水性表面とする工程と、試料積載スポットの辺縁部より内側中心近傍に対する部位に開口部が形成されており、辺縁部に対する部位には開口部が形成されておらず、内側中心近傍と辺縁部との間にある中間領域に対する部位には、試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって、開口部の割合が少なくなるように開口部が形成されたマスクを試料積載プレートの表面に載置する工程と、試料積載スポットの表面にある疎水膜をマスクを使って除去する工程と、マスクを取り除く工程とを有することを特徴とする。
マスクは、試料積載スポットの中心に対し、同心円状の複数の開口部 を有し、内側中心近傍に対する部位では、開口しており、辺縁部に対する部位には開口部がなく、中間領域に対する部位において、開口面積の割合が試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって段階的に少なくなることを特徴とする。
マスクは、試料積載スポットの中心から放射線状に延びていて、一定の幅または中心から外側に向かって小さくなっていく幅を持つ線状の開口部を複数有することを特徴とする。
MALDI法の質量分析に使用され、基板上に試料を積載する試料積載スポットを少なくとも一つ以上備える試料積載プレートの製造方法の別法であって、基板表面を疎水性表面とする工程と、疎水性表面の上に親水性の膜を形成し親水性表面とする工程と、試料積載スポットの辺縁部より内側中心近傍に対する部位には開口部が形成されておらず、辺縁部に対する部位には開口部が形成されており、内側中心近傍と前記辺縁部との間にある中間領域に対する部位には、試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって、開口部の割合が多くなるように開口部が形成されたマスクを試料積載プレートの表面に載置する工程と、試料積載スポットの表面にある親水膜をマスクを使って除去する工程と、マスクを取り除く工程 とを有することを特徴とする。
上記別法において、マスクは、試料積載スポットの中心に対し、同心円状の複数の開口部を有し、内側中心近傍に対する部位には、開口部が無く、辺縁部に対する部位には開口しており、中間領域に対する部位において、開口面積の割合が試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって段階的に多くなることを特徴とする。
同じく上記別法において、マスクは、試料積載スポットの中心から放射線状に延びていて、一定の幅または中心から外側に向かって小さくなっていく幅をもつ線状の複数の領域に対する部位に非開口部を有することを特徴とする。
本発明によれば、試料積載スポットに試料を積載する際に、試料積載スポットの内側中心近傍に形成された親水性表面と中間領域の一部に形成されている親水性表面によって試料が濡れていき、その結果、試料積載スポットの内側中心近傍と中間領域の両方の面積を足した面積によって試料を確実にトラップすることができ、内側中心近傍のみでトラップする場合よりも強いアンカー効果を発揮できる。そして試料が乾燥し容積が減っていくにしたがって、親水性表面が最も表出している内側中心近傍に引き寄せられて、内側中心近傍に、多くの試料を乾燥し結晶化した状態で留めることが可能となる。そのような結果をもたらす試料積載プレートを製造するにあたり、一つのマスクを使って試料積載プレートの最表面の膜を除去することにより容易に製造することが可能となる。
本発明の実施例1における試料積載プレート 本発明の実施例1における試料積載プレートの膜構成を説明する図 本発明の実施例1における試料積載スポットに試料を積載した状態を説明する部分断面図 本発明の実施例1の試料積載プレートに係る製造方法を説明する工程図 本発明の実施例1の製造方法に係るマスクの平面図 本発明の実施例2における試料積載プレート 本発明の実施例2における試料積載プレートの膜構成を説明する図 本発明の実施例2における試料積載スポットに試料を積載した状態を説明する部分断面図 本発明の実施例2の試料積載プレートに係る製造方法を説明する工程図 本発明の実施例2の製造方法に係るマスクの平面図 光学多層膜の干渉による着色原理を模式的に説明する断面図 質量分析装置の動作を説明するための模式図 本発明の他の実施例における試料積載スポットのH部拡大図
以下、本発明の実施の形態を図1〜図13を用いて説明する。
試料積載プレートは、MALDI法による質量分析装置(後述する図12参照)に載置されるもので、試料積載スポットに試料を積載して質量を分析するために使用される。以下に示す発明を実施するための形態は、本発明の思想を具体化するための試料積載プレート及びその製造方法を例示するものであって、本発明は以下に説明する方法及び構成に特定するものではない。特に実施の形態に記載されている製造方法及び部材の形状、材質、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは本発明の範囲をそれのみに限定するものではない。また、各図面が示す部材の大きさや形状、位置関係、形成する膜層については説明をわかりやすくするために誇張していることがある。
[実施形態の試料積載プレートの概略説明:図1]
はじめに、本発明に係る実施形態である試料積載プレートの構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態で説明する2つの実施例の一つに関する図であるが、まず、本発明の概略構成を説明するために使用する。
図1(a)は、試料積載プレートの試料を積載する面側から見た平面図である。試料積載プレート100の基板1は外形約50mm×40mm程度の略長方形の平板であり、試料積載プレート100は、例えば位置決め用などとして下辺のように切り欠き部が設けられている。また、試料積載プレート100の平坦度は30μm以下の精度を有している。尚、外形形状、厚さ等は特に限定されるものではなく、質量分析装置の仕様に合うものであればよい。試料積載プレートは、平坦度を確保するため、ラッピング工程やポリシング工程による面仕上げを行ってもよい。
試料積載プレート100には各試料積載スポット10の位置を示す列アドレスマーク30(例えば1〜9、X〜Z)、行アドレスマーク40(例えばA〜H)及び試料積載プレートを管理するシリアルナンバー50、バーコード60などを形成することができる。これらのアドレスマーク、シリアルナンバー、バーコード等はこれに限定するものではなく必要に応じて追加、削除してもよい。アドレスマーク、シリアルナンバー、バーコードの形成方法としては特に限定はしないがレーザマーキングによる加工法が好適である。
試料積載スポット10は、図1(b)に示す平面図拡大図で、破線で囲まれた内側中心近傍21およびその周囲を囲む中間領域24から構成されている。内側中心近傍21は、親水性の表面であり、中間領域24は、親水性表面と疎水性表面が中心から外側へ向かうにしたがって疎水性表面の割合が大きくなるように表面形成されている。その形成方法は後述する。以上のごとく、試料積載スポット10は、内側中心近傍21、中間領域24を含む領域として定義される。中間領域24の外側にある外側周辺部22は、表面は、疎水性表面が形成された構造となっており、隣接する試料積載スポットの外側周辺部22とは、積載された試料同士がお互いに混合、汚染しないために十分に離れている。
次に、試料積載プレート100の膜および基板断面構成および製造方法について2つの実施例を説明する。
実施例1を図1〜図5を用いて説明する。図1(b)は、図1(a)に示す試料積載スポット10の中心を通過する切断線I−I´における断面図であり、平面的な位置関係をわかりやすくするため、上部に平面図の拡大図を付加した。ここで、基板1の片側表面には最初に第1の金属膜2Mが形成されている。次に、第1の金属膜2Mに積層して光学多層膜2Aが形成されている。光学多層膜2Aは、誘電体膜または第2の金属膜からなり膜の種類、層数は特に限定されず、例えば、2d、2c、2b、2aの順に形成されている。光学多層膜2Aは親水性であり、第1の親水膜として定義される。さらに光学多層膜の上に疎水膜12が形成される。第1の金属膜2Mや光学多層膜2Aは、真空蒸着やスパッタリング等の成膜方法により形成される。疎水膜12も同様に真空蒸着やスパッタリング等の成膜方法により形成されるが、液体に浸漬させてゆっくりと引き上げて膜を形成するディップコーティング等の方法でも可能である。
図1(b)で示すように平面的には内側中心近傍21は疎水膜12を剥離して親水性の光学多層膜2Aが表出している。中間領域24は、光学多層膜2Aが部分的に表出しており、試料掲載スポット10の中心から外側に行くにつれて疎水膜12の割合が多くなるように疎水膜を部分的に剥離してパターンを形成している。中間領域24の外側にある外側周辺部22は、疎水膜12で被覆されている。したがって、試料積載スポット中心から外へ向かうにしたがい、疎水性が徐々に高くなるように構成した。
図2は、実施例1における試料積載プレート100の断面構成として各層の材質と厚さを示している。基板1にアルミナ(Al)を用いている。基板1に積層される第1の金属膜2Mは、材料にNiを使用し膜厚は約300nmである(1nm=0.000001mm)。次に光学多層膜2Aを構成する第1層目2dはAlを使用し膜厚は約80nmである。第2層目2cはTiを使用し膜厚は約10nmである。第3層目2bはSiOを使用し膜厚は90nmである。第4層目2aは、Tiを使用し膜厚は約10nmである。このような構成とすることによって可視光の波長領域において、試料積載プレート100の表面は濃紺色とすることができる。光学多層膜2Aの上には、C(炭素)、F(フッ素)、Si(シリコン)などで構成された疎水膜12が形成されているが、疎水膜12の膜厚は、例えば、2〜3nm程度と薄いので試料積載スポット10の内側表面の導電性や色への影響は少ない。
このように、基板1に積層形成する第1の金属膜と光学多層膜2Aとを好適に組合せることにより光学干渉を利用した任意の反射特性(着色)が得られる。
さらに、基板1にアルミナなどの白色の材料を用いることで試料積載プレートの表面色と内側中心近傍21に形成した溝によって基板1を露出する場合、露出した基板色が白色になり、光学多層膜2Aとのコントラストがよりいっそう際立って試料積載スポット10の視認性がより良くなる。さらに、試料の結晶は、白色を呈するので試料積載プレート表面が光学多層膜2Aと色の識別ができ、積載の有無を結晶化後に確認することが可能となる。さらに基板1がアルミナであれば、溝は、親水性表面となり、試料をトラップする目的に対してもより効果を発揮できる。
[試料積載プレート110の製造方法の説明:図4及び図5]
次に、実施例1の試料積載プレート100の製造方法について図4及び図5を用いて説明する。図4は、実施例1における試料積載プレート100の製造方法を示す工程図である。図5は、製造工程で使うマスク15のパターン例である。
[製造方法の説明:図4]
図4において、試料積載プレート110の製造方法について310〜370の主要な工程を図示し説明する。尚、各工程において特定の記載がない限りそれぞれの工程に必要な一般的な例えば、移送、検査、洗浄、乾燥、アニール等の作業を行うことは当然のこととし、それらの説明は省略する。
[基板受け入れ工程:310]
まず、基板受け入れ工程310では、基板1の平面度及び表面粗さの検査を行い、所定の平坦度、表面粗さであることを確認する。
[基板表面加工工程(拡大図):320]
次に、基板表面加工工程320では、基板1にラッピング加工やポリッシング加工を施し、所定の基板厚や表面粗さ、平坦度に仕上げる。尚、本工程での主要な検査項目は基板の表面粗さ及び平坦度である。
[第1の金属膜形成工程(拡大図):330]
次に、第1の金属膜形成工程330では、第1の金属膜2Mを形成する。例えば、真空蒸着やスパッタリング等の成膜方法を用い、例えば、Niを厚さ300nmに形成する。このとき、できるだけ均一な膜とするために成膜粒子の照射方向は垂直方向が望ましい(破線矢印参照)。
[光学多層膜形成工程(拡大図):340]
次に、光学多層膜形成工程340では光学多層膜2Aを積層形成する。例えば、真空蒸着やスパッタリング等の成膜方法によって、図4にある2d層、2c層、2b層、2a層を順番に形成する。
[疎水膜形成工程:350]
次に、疎水膜形成工程350では、前工程で形成された光学多層膜2Aの表面に疎水膜12を積層形成する。例えば、真空蒸着等の成膜方法によって、例えば、C(炭素)またはF(フッ素)またはSi(シリコン)を含む撥水材またはそれらの複合された撥水材を、例えば、2nmの厚さに形成する。
[疎水膜除去工程:370]
最後に、疎水膜除去工程370では、試料積載スポット10の内側領域(内側中心近傍21及び中間領域24)に形成された疎水膜12を剥離する。例えば、プラズマエッチング等の加工方法により、試料積載プレート100の上面にマスク15を載置しプラズマエッチング等の加工方法を用いて疎水膜12を剥離し、そののち、マスク15を取り外す工程とする。マスク15は、図5において白い部分として示す開口部が形成されている。図5には3つの例を示した。
図5(a)に示す例では、内側中心近傍21に開口部が形成され、中間領域24に対する部位には中心から外側に向かって、開口率が小さくなるように同心円形状のマスクパターンが形成されている。黒い部分がプラズマから保護するマスクの働きがある。外側周辺部22に対する部位は、完全にマスクされて開口率がゼロとなっている。
図5(b)に示す例では、試料積載スポット10の中心に対する部位から外側の部位に向かう放射線状の開口部(図で白い部分)が形成されている。外側周辺部22に対する部位は、完全にマスクされて開口率がゼロとなっている。このような構成にすることで、開口率が中心から外側にむかって小さくなる構成とすることが可能となる。本例では、放射線状の開口部は、一定の幅としたが、外側に向かうにつれて幅が小さくなる形状であってもよい。また本例では、内側中心近傍21には、白い開口部が交差している中心部分が対応する。
図5(c)に示す例では、内側中心近傍21に対する部位では、開口部が形成され、中間領域24に対する部位では、網目状のマスク(黒い部分)が形成されており、網目の黒い部分は外側にむかって面積割合が増えている。外側周辺部22に対する部位は、完全にマスクされて開口率がゼロとなっている。このような構成にすることで、開口率が中心から外側にむかって小さくなる構成とすることが可能となる。
以上説明した製造方法により、スポットの内側中心近傍の親水性が高く、外側に向かって徐々に疎水性になる試料積載スポットとすることができる。加えて、基板の表面に光学多層膜による所望の反射色を有する試料積載プレートの製造方法を提供することができ、試料の視認性がよくかつ滴下する試料のアンカー効果の高い試料積載プレートの製造方法を提供することができる。
別法として、疎水膜形成工程350において、試料積載プレート100の上から試料積載スポット10を上記図5に示したマスクの白い部分と黒い部分を逆にしたマスクすなわち、図10に示したマスクをかぶせた状態で、前記疎水膜形成工程350を実施することも可能であり、その場合、疎水膜除去工程370は不要となる。
また、図13に示すように中間領域24の外周部に溝3をレーザーマーキング等の手法により形成し、基板1を露出させることも可能であり、濃紺色の表面と基板の白色のコントラストによって、試料積載スポット10の視認性が良くなり、試料載置の作業がしやすくなる効果を付加することも可能である。
実施例2を図6〜図10を用いて説明する。図6(a)は、実施例2における試料積載プレート100の平面図である。図6(b)は、図6(a)に示す試料積載スポット10の中心を通過する切断線I−I´における断面図であり、平面的な位置関係を分かりやすくするため、上部に平面図の拡大図を付加した。実施例2では、基板1は、疎水性表面を持つ材料で構成している(後述)。基板1の片側表面には最初に第1の金属膜2Mが形成されている。次に、第1の金属膜2Mに積層して光学多層膜2Aが形成されている。光学多層膜2Aは、誘電体膜または第2の金属膜からなり膜の種類、層数は特に限定されず、例えば、2d、2c、2b、2aの順に形成されている。光学多層膜2Aは親水性であり、第1の親水膜と定義される。第1の金属膜2Mや光学多層膜2Aは、真空蒸着やスパッタリング等の成膜方法により形成される。
図6(b)で示すように平面的には内側中心近傍21は光学多層膜2Aで覆われており、親水性であり、中間領域24は、光学多層膜2Aが試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがい、光学多層膜2Aの占める面積の割合が小さくなっていくように光学多層膜2Aと第1の金属膜2Mを剥離して疎水性である基板1を表出するようにパターンを形成している。したがって、試料積載スポット中心から外へ向かうにしたがい、疎水性が徐々に高くなるように構成した。
図7は、実施例2における試料積載プレート100の断面構成として各層の材質と厚さを示している。図7に示す断面構成は、基板1にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いている。したがって基板1は疎水性表面を持つ。基板1に積層される第1の金属膜2Mは材質にNiを使用し膜厚は約300nmである。次に光学多層膜2Aを構成する第1層目2dはAlを使用し膜厚は約80nmである。第2層目2cはTiを使用し膜厚は約10nmである。第3層目2bはSiOを使用し膜厚は90nmである。第4層目2aは、Tiを使用し膜厚は約10nmである。このような膜構成とすることで可視光の波長領域において、試料積載プレート100の表面は濃紺色とすることができる。
このように、基板1に積層形成する第1の金属膜と光学多層膜2Aとを好適に組合せることにより光学干渉を利用した任意の反射特性(着色)が得られる。
さらに、基板1にPTFEなどの白色の材料を用いることで疎水性表面として露出した基板色が白色になり、光学多層膜2Aとのコントラストがよりいっそう際立って試料積載スポット10の視認性がより良くなる。さらに、試料の結晶は、白色を呈するので試料積載プレート表面が光学多層膜2Aと色の識別ができ、積載の有無を結晶化後に確認することが可能となる。
[試料積載プレート100の製造方法の説明:図9および図10]
次に、実施例2の試料積載プレート100の製造方法について図9および図10を用いて説明する。図9は、試料積載プレート100の製造方法を示す工程図である。図10は、製造工程で使うマスク15のパターン例である。
[製造方法の説明:図9]
図9において、試料積載プレート100の製造方法について410〜470の主要な工程を図示し説明する。尚、各工程において特定の記載がない限りそれぞれの工程に必要な一般的な例えば、移送、検査、洗浄、乾燥、アニール等の作業を行うことは当然のこととし、それらの説明は省略する。
[基板受け入れ工程:410]
まず、基板受け入れ工程410では、基板1の平面度及び表面粗さの検査を行い、所定の平坦度、表面粗さであることを確認する。
[基板表面加工工程(拡大図):420]
次に、基板表面加工工程420では、基板1にラッピング加工やポリッシング加工を施し、所定の基板厚や表面粗さ、平坦度に仕上げる。尚、本工程での主要な検査項目は基板の表面粗さ及び平坦度である。また、必要であれば、次工程で金属膜を形成する際の密着性を向上させるように表面の微細構造を形成する場合もある。
[第1の金属膜形成工程(拡大図):430]
次に、第1の金属膜形成工程430では、第1の金属膜2Mを形成する。例えば、真空蒸着やスパッタリング等の成膜方法を用い、例えば、Niを厚さ300nmに形成する。このとき、できるだけ均一な膜とするために成膜粒子の照射方向は垂直方向が望ましい(破線矢印参照)。
[光学多層膜形成工程(拡大図):440]
次に、光学多層膜形成工程440では光学多層膜2Aを積層形成する。例えば、真空蒸着やスパッタリング等の成膜方法によって、図4にある2d層、2c層、2b層、2a層を順番に形成する。
[光学多層膜2A及び第1の金属膜2Mの除去工程:470]
最後に、光学多層膜2A及び第1の金属膜2Mの除去工程470では、試料積載スポット10の内側領域(内側中心近傍21及び中間領域24)に形成された光学多層膜2A及び第1の金属膜2Mを剥離する。例えば、プラズマエッチング等の加工方法により、試料積載プレート100の上面にマスク15を載置しプラズマエッチング等の加工方法を用いて光学多層膜2A及び第1の金属膜2Mを剥離し、そののち、マスク15を取り外す工程とする。マスク15は、図10において白い部分として示す開口部が形成されている。図10には3つの例を示した。
図10(a)に示す例では、内側中心近傍21に黒いマスク部が形成され、中間領域24に対する部位には中心から外側に向かって、開口率が大きくなるように同心円形状のマスクパターンが形成されている。黒い部分がプラズマから保護するマスクの働きがある。外側周辺部22に対する部位は、隣の試料積載スポットそれぞれにあるマスクを連結して位置関係を保持するための細い桟がある部分以外は、開口部となっている。
図10(b)に示す例では、試料積載スポット10の中心に対する部位から外側の部位に向かう放射線状のマスク部(図で黒い部分)が形成されている。外側周辺部22に対する部位は、図5(a)と同様に細い桟がある部分以外は、開口部となっている。このような構成にすることで、開口率が中心から外側にむかって大きくなる構成とすることが可能となる。本例では、放射線状のマスク部は、一定の幅としたが、外側に向かうにつれて幅が小さくなる形状であってもよい。また本例では、内側中心近傍21には、白い開口部が交差している中心部分が対応する。
図10(c)に示す例では、内側中心近傍21に対する部位は、黒いマスクとなって開口率はゼロであり、中間領域24に対する部位では、網目状の開口部(白い部分)が形成されており、網目の開口部(白い部分)は外側にむかって面積割合が増えている。 外側周辺部22に対する部位は、細い桟がある部分以外は、開口部となっている。このような構成にすることで、開口率が中心から外側にむかって大きくなる構成とすることができる。
以上説明した製造方法により、スポットの内側中心近傍の親水性が高く、外側に向かって徐々に疎水性になる試料積載スポットとすることができる。加えて、基板の表面に光学多層膜による所望の反射色を有する試料積載プレートの製造方法を提供することができ、試料の視認性がよくかつ滴下する試料のアンカー効果の高い試料積載プレートの製造方法を提供することができる。
別法として、第1の金属膜形成工程430及び光学多層膜形成工程440において、試料積載プレート100の上から試料積載スポット10を上記図10に示したマスクの白い部分と黒い部分を逆にしたマスク、すなわち、図5に示したマスクをかぶせた状態で、前記第1の金属膜形成工程430及び光学多層膜形成工程440を実施することも可能であり、その場合、光学多層膜2A及び第1の金属膜2Mの除去工程470は不要となる。
以上、試料積載プレートの各種実施形態とその製造方法について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態と製造方法に限定されるものではなく、細部の構成、素材、数量において、本発明の思想を逸脱しない範囲で、任意に変更、追加、削除することができる。
[試料積載プレートの着色及び視認性に関する説明:図11]
次に、試料積載プレートの着色に関して図5を用いて説明する。図11は、基板に光学多層膜形成した場合の光の干渉を説明する模式図である。
図11において、基板1は、説明のために、例えば、光学多層膜として誘電体膜2a、2b、2c、2dが積層形成されている。各層の材質(屈折率)、厚さ、層数を調整することによって任意の反射特性(着色)が得られるが、ここでは、模式的な図を用いて原理的な説明にとどめる。(一般的には屈折率の高い誘電体膜と低い屈折率の誘電体膜をペアとして1/4波長の厚みで交互に積層することによって光の干渉作用により各層の界面からの反射波が相加的に重なって高効率の反射機能を得られるとされている。)
空気層90から光学多層膜に入射する入射光Pは、まず空気と誘電体膜2aとの界面で反射波2aRが発生する。同様に各層の界面でそれぞれの反射波2bR、2cR、2dR、1Rが発生する。各界面からの反射が足し合わされて反射波Rとなる。反射波Rは、各層の材質(屈折率)、膜厚、膜層数を変えることで任意の反射特性(着色)を得られる。尚、誘電体膜に金属膜を混合することにより多様な反射特性を得られる。
この原理に基づいて実施例1では図2に、実施例2では図7に示したように具体的な膜質および膜厚を選定した結果、試料積載プレート100の反射特性は、可視光の波長領域W(約380nm〜約780nm)では全体として反射率は低めであるが波長が小さい側すなわち濃紺系の光が多めに反射するピークを有しプレートの表面は濃紺色に着色して見える。
また、基板に積層される第1の金属膜2Mと光学多層膜2Aによって任意の色を作ることができる。この結果、積載する試料の視認性を高めることができ試料の滴下作業の効率が向上する。また、多様な色の試料積載プレートを作り色分けすることで試料の保管と管理が容易になる。
[質量分析装置による分析動作の説明:図3、図8、図12]
次に、試料の質量分析を行う動作について図3、図8、図12を用いて説明する。ここでは主に試料積載プレート及び試料のイオン化に係る部分を説明し、他は原理的な説明にとどめ詳細は省略する。図3および図8は、前述した試料積載プレート100に試料200を積載した状態を示した模式図であり、図3に実施例1における状態、図8に実施例2における状態を示している。図12は、質量分析装置300に試料200が積載された試料積載プレートを載置した状態を示す模式図である。
実施例1(図3)、実施例2(図8)ともに、被分析物とマトリックスを混合し溶媒で液状化した試料200を試料積載スポットに滴下し溶媒を蒸発させ、乾燥化した状態を断面図にて示している。試料200は図示しない器具によって試料積載スポット10の内側中心近傍21(図1、図6参照)に所定量が滴下される。滴下された試料200は重力及び表面張力によって放射状に広がろうとするが、親水性の表面に引きつけられて内側中心近傍21および中間領域24を足した面積で試料をトラップする。内側中心近傍21のみが親水性表面である場合よりも中間領域24が周囲にあって親水性表面を備えているので、より広い面積で確実に試料の液滴をトラップすることができる。
さらに、親水性表面を光学多層膜により形成した場合は、光の反射率を調整することができる。本実施例では濃紺色を呈しており、基板の色がアルミナやPTFEは白色であるので、試料積載スポット10の基板が露出する部分が試料を積載する際の目印となる。試料の結晶が白色を呈するので試料積載プレート表面と色の識別ができ、積載の有無を結晶化後に確認することが可能となる。
分析される試料200の積載が終了した後、各試料200はその状態で乾燥させる。しだいに試料の容積が減っていくにしたがって、親水性表面が最も表出している内側中心近傍に引き寄せられて、内側中心近傍により多くの乾燥し、結晶化した試料を留めることが可能となる。そのような結果をもたらす試料積載スポットの中心から外側に向かうにつれて親水性表面から疎水性表面へ段階的に変化する構造である。この構造の試料積載プレートを製造するにあたり、一つのマスクを使って試料積載プレートの最表面の膜を除去することにより容易に製造することが可能となる。
次に、図12は、質量分析装置300の模式図を示し、試料200を積載した試料積載プレート100が質量分析装置300に載置され図示しない固定部によって固定されている。実際には、複数のスポットに積載された試料200は、X、Y方向に移動して各試料が所定の位置に停止できる機構になっているが、ここでは簡単のため、1つの試料積載スポットについて説明する。
図12に示す質量分析装置300は、左側に試料積載プレート100が載置され、図示しないクランプ部によって着脱可能に固定されている。また、図示しない電圧印加部から試料積載プレート100に導電できるようになっている。また、試料200にレーザ光220aを照射するレーザ光源220と、レーザ光の照射に伴って試料200から離脱しイオン化した被分析物(200a、200b、200c、)を加速するイオン加速部230と、イオンをトラップするイオントラップ部231と、イオンの飛行空間を形成し各イオンの質量分離を行う質量分離部232と、質量分離され到達した各イオンを時系列に検出するイオン検出部240とを備えている。
ここで、被分析物のイオンの極性は正(プラス電荷)であるものとする。質量分析が開始すると、レーザ光源220から測定対象の試料200にレーザ光220aが所定時間照射される。それと同時に図示しない電圧印加部からプラスの電圧V1が試料積載プレート100の第1の金属膜2Mおよび光学多層膜中の金属膜(2a、2c)に印加され、試料200に対しプラスの電圧が試料に有効に与えられる。同時に、イオントラップ部231の最初のグリッドにマイナスの電圧V2が印加される。
このとき、試料200に含まれるマトリクスが被分析物を伴って気化し被分析物が脱離しイオン化される。そして、プラスの電圧V1が被分析物に与えられ、マイナスの電圧V2が与えられたイオントラップ部231に向けて下り勾配の電界が発生するため、脱離しイオン化した被分析物は、イオン加速部230ではイオントラップ部231に向けて加速される。このようにして、脱離しイオン化した被分析物は、イオントラップ部231から質量分離部(飛行空間)232へ送りこまれ、飛行する間に質量の違いにより分離され時間差がついて200c、200b、200aの順にイオン検出部へ到達する。そして、イオン検出部240にて検出されたデータは図示しない解析装置により解析され被分析物に関する質量分析が行われる。この結果、試料の同定が高速かつ高精度に行われる。
以上、実施例1、実施例2に基づいて本発明の実施形態、効果を説明した。尚、実施例1では基板1にセラミックスのAlを用いた例を説明したがこれに限定されず他のセラミックス材料、磁器とセラミックスの複合材料、ガラス、Si、プラスチックなどを用いてもよい。また、第1の金属膜2Mや光学多層膜2Aの金属膜としてNi、Ti、Alを用いた例を説明したがこれに限定されずクロム、金など他の金属を用いてもよい。また、誘電体膜の材料としてAl、SiO、TiOを用いた例を説明したがこれに限定されずMgO、MgF、ZrOなど他の誘電体材料を用いてもよい。
実施例2では、基板1に樹脂のPTFEを用いて疎水性表面としたが、これに限定されず、例えば、セラミックス、金属等の材料で基板を構成し、その表面に疎水表面を形成した基板を用いてもよい。
また、本実施例では、基板の片側表面にのみ、金属膜および光学多層膜を形成したが、膜形成の方法によっては、基板の両側表面に金属膜や光学多層膜を形成するほうが都合がよい場合もあり、基板の両側表面に金属膜および光学多層膜を形成してもよいし、試料を積載しない側の表面には、金属膜や光学多層膜のどちらか一方、さらには、平面的に部分的に形成しても構わない。
1 基板
2A 光学多層膜(第1の親水膜)
2M 第1の金属膜
2a、2b、2c、2d 誘電体膜または第2の金属膜
10 試料積載スポット
12 疎水膜
15 マスク
20 試料積載プレートの辺縁部
21 (試料積載スポットの)内側中心近傍
22 (試料積載スポットの)外側周辺部
24 (試料積載スポットの)中間領域
30 列アドレスマーク
40 行アドレスマーク
50 シリアルナンバー
60 バーコード
100 試料積載プレート
200 試料
200a、200b、200c イオン化した試料
220 レーザ光源
220a レーザ光
230 イオン加速部
231 イオントラップ部
232 質量分離部(飛行空間)
240 イオン検出部
300 MALDI質量分析装置

Claims (11)

  1. MALDI法の質量分析に使用され、基板上に試料を積載する試料積載スポットを少なくとも一つ以上備える試料積載プレートであって、
    前記試料積載プレートは、前記試料積載スポットの辺縁部より内側中心近傍に、親水性表面が形成され、前記辺縁部に疎水性表面が形成され、前記内側中心近傍と前記辺縁部との間の中間領域は、前記試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって、親水性が弱くなり疎水性に変化していくように表面が形成されていることを特徴とする試料積載プレート。
  2. 前記中間領域は、親水性表面と疎水性表面がそれぞれ部分的に形成されており、前記試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって、前記疎水性表面の面積割合が大きくなることを特徴とする請求項1に記載の試料積載プレート。
  3. 前記基板は、樹脂であり、前記辺縁部および前記中間領域に形成される疎水性表面は、前記基板が露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の試料積載プレート。
  4. 前記内側中心近傍および前記中間領域に形成される親水性表面は、前記基板上に形成された光学多層膜が露出していること特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の試料積載プレート。
  5. 前記基板はセラミックスまたは金属であり、前記内側中心近傍および前記中間領域に形成される親水性表面は、前記基板が露出していることを特徴とする請求項1または2に記載の試料積載プレート。
  6. MALDI法の質量分析に使用され、基板上に試料を積載する試料積載スポットを少なくとも一つ以上備える試料積載プレートの製造方法であって、
    基板表面を親水性表面とする工程と、
    前記親水性表面の上に疎水性の膜を形成し疎水性表面とする工程と、
    前記試料積載スポットの辺縁部より内側中心近傍に対する部位に開口部が形成されており、前記辺縁部に対する部位には開口部が形成されておらず、前記内側中心近傍と前記辺縁部との間にある中間領域に対する部位には、前記試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって、開口部の割合が少なくなるように開口部が形成されたマスクを前記試料積載プレートの表面に載置する工程と、
    前記試料積載スポットの表面にある疎水膜を前記マスクを使って除去する工程と、
    前記マスクを取り除く工程とを有することを特徴とする試料積載プレートの製造方法。
  7. 前記マスクは、前記試料積載スポットの中心に対し、同心円状の複数の開口部を有し、前記内側中心近傍に対する部位では、開口しており、前記辺縁部に対する部位には開口部がなく、前記中間領域に対する部位において、開口面積の割合が前記試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって段階的に少なくなること特徴とする請求項6に記載の試料積載プレートの製造方法。
  8. 前記マスクは、前記試料積載スポットの中心から放射線状に延びていて、一定の幅または中心から外側に向かって小さくなっていく幅を持つ線状の開口部を複数有すること特徴とする請求項6に記載の試料積載プレートの製造方法。
  9. MALDI法の質量分析に使用され、基板上に試料を積載する試料積載スポットを少なくとも一つ以上備える試料積載プレートの製造方法であって、
    基板表面を疎水性表面とする工程と、
    前記疎水性表面の上に親水性の膜を形成し親水性表面とする工程と、
    前記試料積載スポットの辺縁部より内側中心近傍に対する部位には開口部が形成されておらず、前記辺縁部に対する部位には開口部が形成されており、前記内側中心近傍と前記辺縁部との間にある中間領域に対する部位には、前記試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって、開口部の割合が多くなるように開口部が形成されたマスクを前記試料積載プレートの表面に載置する工程と、
    前記試料積載スポットの表面にある親水膜を前記マスクを使って除去する工程と、
    前記マスクを取り除く工程 とを有することを特徴とする試料積載プレートの製造方法。
  10. 前記マスクは、前記試料積載スポットの中心に対し、同心円状の複数の開口部を有し、前記内側中心近傍に対する部位には、開口部が無く、前記辺縁部に対する部位には開口しており、前記中間領域に対する部位において、開口面積の割合が前記試料積載スポットの中心から外側に向かうにしたがって段階的に多くなること特徴とする請求項9に記載の試料積載プレートの製造方法。
  11. 前記マスクは、前記試料積載スポットの中心から放射線状に延びていて、幅が一定または中心から外側に向かって小さくなっていく幅をもつ線状の複数の領域に対する部位に非開口部を有すること特徴とする請求項9に記載の試料積載プレートの製造方法。
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