JP2017180494A - 筒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】品質向上を図ることができる筒体の製造方法の提供。
【解決手段】筒状のシリンダと、シリンダに摺動可能に設けられるピストンと、一端がピストンに取り付けられ、他端がシリンダから突出するピストンロッドと、を備えるシリンダ装置のピストンの非摺動部に用いられる筒体の製造方法であって、一対の辺を有する板状体を該一対の辺が周方向となるように筒状に曲げ、一対の辺を結ぶ両端縁部を対向させる工程と、両端縁部を下側に位置させる工程と、両端縁部を溶接して接合部73とする工程と、を含む。
【選択図】図7
【解決手段】筒状のシリンダと、シリンダに摺動可能に設けられるピストンと、一端がピストンに取り付けられ、他端がシリンダから突出するピストンロッドと、を備えるシリンダ装置のピストンの非摺動部に用いられる筒体の製造方法であって、一対の辺を有する板状体を該一対の辺が周方向となるように筒状に曲げ、一対の辺を結ぶ両端縁部を対向させる工程と、両端縁部を下側に位置させる工程と、両端縁部を溶接して接合部73とする工程と、を含む。
【選択図】図7
Description
本発明は、筒体の製造方法に関する。
ワークを傾斜させて溶接することにより、アンダーカットの発生を抑える技術がある(例えば、特許文献1,2参照)。
板状体から筒体を製造する場合に、板状体を丸めた後に溶接する場合がある。このように溶接を行うと品質に影響を及ぼす可能性がある。
したがって、本発明は、品質向上を図ることができる筒体の製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、一対の辺を有する板状体を該一対の辺が周方向となるように筒状に曲げ、前記一対の辺を結ぶ両端縁部を対向させる工程と、前記両端縁部を下側に位置させる工程と、前記両端縁部を溶接して接合部とする工程と、を含む。
本発明によれば、品質向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る筒体の製造方法を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の筒体の製造方法は、いわゆる単管造管製法であり、図1に示す第1金型11、芯金12および第2金型13を含むプレス成形型を有するプレス装置を用いて行われる。
第1金型11は、第2金型13に当接可能な合わせ面11aから突出する突出部21と、突出部21の突出先端部から凹む成形溝22とを有している。突出部21および成形溝22は、第1金型11の長さ方向に沿って直線状に延在している。突出部21は、突出先端側ほど互いの間隔が狭くなる一対の傾斜面21aを有している。成形溝22は、その溝面22aが半円筒状であり、幅および深さが長さ方向位置によらず一定となっている。
芯金12は、円柱状をなしており、その径方向外側の外径部32が、一定外径であって外面32aが円筒状となっている。芯金12は、外径部32の外面32aの半径が、第1金型11の成形溝22の溝面22aの半径よりも小径となっている。
第2金型13は、第1金型11に当接可能な合わせ面13aから凹む成形溝42を有している。成形溝42は、第2金型13の長さ方向に沿って直線状に延在している。成形溝42は、合わせ面13a側の一対の傾斜面42bと、合わせ面13aとは反対側の溝面42aとを有している。一対の傾斜面42bは、合わせ面13aから離れるほど互いの間隔が狭くなるように傾斜している。溝面42aは半円筒状をなしており、幅および深さが長さ方向位置によらず一定であり、一対の傾斜面42bの間で延在している。第2金型13は、成形溝42の溝面42aの半径が、第1金型11の成形溝22の溝面22aの半径と同径となっている。
プレス装置においては、芯金12を、水平配置された第1金型11の成形溝22の鉛直上方に成形溝22と平行に配置する。そして、第1実施形態の筒体の製造方法は、図2に示すように、プレス成形型内における第1金型11および芯金12の間位置に平板状の板状体51を配置する板状体配置工程を含んでいる。板状体51はフープ材から所定の形状および大きさに切断されて形成されている。この板状体配置工程において、板状体51は第1金型11の突出部21に載置される。板状体51は、正方形または長方形状をなしており、平行な一対(図面では一方のみ図示)の辺52を芯金12の径方向に沿わせ、これら一対の辺52を結ぶ両端縁部54を芯金12の軸方向に沿わせて配置される。両端縁部54のそれぞれの端面54aは、板状体51が平板状の状態で、板厚方向に沿っており、板状体51の最も面積が大きい両側の主面51a,51bに対して垂直となっている。
第1実施形態の製造方法は、図3に示すように、板状体配置工程後に芯金12を成形溝22内に入り込ませて板状体51をプレスして塑性変形させる第1プレス工程を含んでいる。この第1プレス工程では、板状体51の中間部に、第1金型11の成形溝22の溝面22aと芯金12の外径部32の外面32aとによって、塑性変形部である半円筒部56を形成する。半円筒部56は、溝面22aと同様の形状に板厚方向一側の主面51bが曲がり、外面32aと同様の形状に板厚方向他側の主面51aが曲がった半円筒状をなす。第1プレス工程後の板状体51は、半円筒部56以外の部分が、曲げられずに半円筒部56の周方向の両端から第1金型11から離れる方向に延出する一対の平板部57となる。つまり、第1金型11および芯金12は、板状体51をU字状に曲げる。
プレス装置においては、図4に示すように、第2金型13を、その成形溝42が芯金12に向き芯金12の鉛直上方で芯金12と平行をなすように配置する。そして、第1実施形態の筒体の製造方法は、プレス成形型である第2金型13を、芯金12を成形溝42内に入り込ませて板状体51をプレスして塑性変形させる第2プレス工程を含んでいる。この第2プレス工程では、まず、板状体51の一対の平板部57を、第2金型13の成形溝42の一対の傾斜面42bで溝面42a側に案内する。
次に、板状体51の一対の平板部57を、図5に示すように、第2金型13の成形溝42の溝面42aと芯金12の外径部32の外面32aとによって塑性変形させて一対の湾曲板部58とする。一対の湾曲板部58は、溝面42aと同様の形状に板厚方向一側の主面51bが曲がり、外面32aと同様の形状に板厚方向他側の主面51aが曲がった円筒の一部の形状をなす。
このように、第1プレス工程と第2プレス工程とによって、板状体51が半円筒部56と一対の湾曲板部58とを有する形状に曲がってO字状つまり円筒状になる。このとき、板状体51は、上記した一対の辺52が円筒の周方向となるように曲げられる。第2プレス工程では、第2金型13の合わせ面13aが第1金型11の合わせ面11aに面接触し、第2金型13の一対の傾斜面42bが第1金型11の一対の傾斜面21aに面接触する状態となる。
いずれもプレス成形型を構成する第1金型11、芯金12および第2金型13の、成形溝22、外径部32および成形溝42が、板状体51をプレスして筒状、具体的には円筒状に曲げる成形部61を構成する。
板状体51をその上下を図5とは反転して示す図6のように、上記した第1,第2プレス工程を行うことによって、板状体51の両側の端縁部54および端縁部54は、互いに端面54aおよび端面54aが、円筒状をなす板状体51の周方向に対向する状態となる。このとき、端面54aおよび端面54aは、円筒状をなす板状体51の周方向の間隔が、板状体51の径方向の外側の方が内側よりも広くなるテーパ状に配置される。言い換えれば、端縁部54および端縁部54の間には、円筒状をなす板状体51の径方向の外側の方が内側よりも広い隙間71が形成される。さらに言い換えれば、板状体51のプレス前の形状の調整および第1,第2プレス工程の制御によって、第1,第2プレス工程後の板状体51の端面54aおよび端面54aを、円筒状をなす板状体51の径方向外方に向かって幅広のテーパ状とし、径方向内方に向かって幅狭のテーパ状とする。上記の隙間71を形成する一方の端面54aを含む一方の端縁部54と他方の端面54aを含む他方の端縁部54とが、後述する溶接工程で溶接されることになる、溶接前の未溶接開先部72を構成している。隙間71および未溶接開先部72は、円筒状に曲げられた板状体51の軸方向に沿って全長にわたり延びている。
以上のように第1,第2プレス工程は、プレス成形型を構成する第1金型11、芯金12および第2金型13をプレスして、板状体51を一対の辺52が周方向となるように筒状、具体的には周方向に一カ所分断された円筒状に曲げて、両端縁部54を対向させる工程となる。
次に、上記のように互いに対向する両端縁部54からなる未溶接開先部72を板状体51において図6に示すように下側に位置させて板状体51を水平に配置し固定する配置工程を行う。配置工程では、具体的には、未溶接開先部72を板状体51において下端部に位置させる。この状態で、一方の端縁部54の一方の端面54aと他方の端縁部54の他方の端面54aとは、下側ほど互いの間隔が広くなるテーパ状となる。
次に、未溶接開先部72を溶接して恒久的に接合状態が維持される図7に示す接合部73とする溶接工程を行う。この溶接工程では、上記の配置工程で板状体51の下端部に配置された両端縁部54つまり未溶接開先部72に向けて、図8,図9に示すように下方から上方向にレーザ光Lを照射して未溶接開先部72を溶接することになり、その際に、円筒状をなす板状体51の軸方向の一端から他端まで軸方向に連続的に両端縁部54を溶接することになる。このとき、板状体51を移動させずにレーザ光Lを移動させても良く、レーザ光Lを移動させずに板状体51を移動させても良く、両方を移動させても良い。このようなレーザ溶接を用いた溶接工程を行うことによって、板状体51は、未溶接開先部72が閉じられて、図7に一部を示す円筒状の筒体51Aとなる。筒体51Aにおいて、接合部73は、筒体51Aの軸線方向に連続して延び、筒体51Aを内周面51Aaと外周面51Abとを結ぶ方向である径方向に連続して横断するように形成される。これにより、筒体51Aは全周全長にわたり密閉された管体となる。なお、溶接工程では、エネルギ密度が高い溶接方法で両端縁部54を溶接して接合部73を形成することになり、上記したレーザ溶接以外にも、プラズマ溶接(溶接棒を使わないタイプ)、電子ビーム溶接等を採用することが可能である。
ここで、図6に示すように、板状体51の両端縁部54つまり未溶接開先部72が、板状体51の下端部に配置されていることから、溶接工程でレーザ光Lが照射されることにより溶融状態となった、両端縁部54を構成していた金属材料は、互いに合流して溶着しつつ自重によって若干垂れ下がることになり、しかも、隙間71が上側よりも下側の方が広いことから、この自重による垂れ下がりが促進されることになる。このように溶融状態で重力により若干垂れ下がった金属材料が、その後、凝固し固化して、図7に示す接合部73となる。これにより、溶接工程後の固化した接合部73は、筒体51Aの内周面51Aaを主に構成している円筒状の主面51aよりも径方向外方に凹む凹状ビード74と、外周面51Abを主に構成している円筒状の主面51bよりも径方向外方に突出する凸状ビード75とを有することになる。凹状ビード74および凸状ビード75も、筒体51Aの軸方向に沿って延びている。
次に、図10に示すように接合部73に凹状ビード74と凸状ビード75とを有する溶接工程後の筒体51Aの凸状ビード75を、図11に示すように除去するビードカット工程を行う。これにより、筒体51Aの径方向における外側の接合部73の外面73bを、板状体51の主面51bと合わせ、筒体51Aの外周面51Abが全体として円筒面となるようにする。ビードカット工程は、切削加工、研削加工、潰し加工等の少なくともいずれか一つの加工を行って、凸状ビード75の体積を減らす。
ビードカット工程の後、筒体51Aを塗装する塗装工程を行う。上記のようにビードカット工程を行って筒体51Aの外周面51Abを全体として滑らかな円筒面としているため、塗装工程後の外観品質が良好となる。
特許文献1,2には、ワークを傾斜させて溶接することにより、アンダーカットの発生を抑える技術が開示されている。一方で、板状体から筒体を製造する場合に、板状体を丸めた後に溶接する場合がある。このような製造方法においては、アンダーカットの発生を効果的に抑えることが難しい。つまり、このように板状体から筒体を製造する場合に、板状体を丸めた後に溶接すると外観品質等の品質に影響を及ぼす可能性がある。
これに対して、本実施形態の筒体の製造方法は、一対の辺52を有する板状体51を一対の辺52が周方向となるように筒状に曲げて一対の辺52を結ぶ両端縁部54を対向させた後、両端縁部54を下側に位置させて、両端縁部54を溶接する。このため、溶接時に溶融状態となった板状体51の金属材料は、互いに合流して溶着しつつ自重によって若干垂れ下がることになって、径方向外側に突出する凸状ビード75となる。よって、外表面がヒケのない滑らかな形状になって、外観品質を含む品質の向上を図ることができる。したがって、筒体51Aの歩留まり改善、長寿命化、経費の節減等が図れる。また、レーザ溶接時にフィラーワイヤー等の副資材を添加することなく凸状ビード75を形成することができるため、フィラーワイヤー等の副資材添加設備が不要となり、フィラーワイヤー等の追加副資材を減らすことができる。よって、設備および副資材のためのコストを低減できる。外表面がヒケのない滑らかな形状になることで、特に、筒体51Aの外表面に塗装を施す場合に、塗装の均一化が図れることから、外観品質向上の効果が高い。
しかも、板状体51を筒状に曲げて両端縁部54を対向させた状態で、両端縁部54間の隙間71を上側よりも下側の方を広くすることから、溶融状態となった金属材料の自重による垂れ下がりを促進することができる。よって、径方向外側に突出する凸状ビード75をより良好に形成することができる。
本実施形態で製造された筒体51Aは、例えば、図12に示すシリンダ装置111の部品となる。このシリンダ装置111は、例えば自動車や鉄道車両のサスペンション装置に用いられるものである。シリンダ装置111は、筒状のシリンダ112と、シリンダ112よりも大径でシリンダ112の外周側に設けられた外筒113とを有する二重筒構造をなしている。シリンダ112は、軸方向の両端側が開放された円筒状をなしており、外筒113は、軸方向の一端側が閉塞され他端側が開口された有底円筒状をなしている。外筒113は、シリンダ112との間に環状のリザーバ室114を形成している。
シリンダ112には、その内側にピストン117が摺動可能に設けられている。このピストン117は、シリンダ112内に上室118と下室119とを画成している。上室118および下室119内には作動流体としての作動液が封入され、リザーバ室114内には作動流体としての作動液およびガスが封入されている。つまり、シリンダ装置111は複筒式の液圧緩衝器となっている。
ピストン117にはピストンロッド122が連結されている。ピストンロッド122は、その軸方向一端がシリンダ112内に挿入されてピストン117に取り付けられており、その軸方向他端がシリンダ112から外部へと突出している。ピストン117は、ピストンロッド122と一体的に移動してシリンダ112内を摺動する。
ピストン117には、図示は略すが、ピストンロッド122がシリンダ112からの突出量を増やす伸び側に移動しピストン117が上室118側に移動して上室118の圧力が上昇すると、上室118から下室119に作動液を流しつつその流れを制限して減衰力を発生させる伸び側減衰力発生機構が設けられている。また、ピストン117には、ピストンロッド122がシリンダ112からの突出量を減らす縮み側に移動しピストン117が下室119側に移動して下室119の圧力が上昇すると、下室119から上室118に作動液を流しつつその流れを制限して減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構が設けられている。
外筒113には、ピストンロッド122が突出する側の端部に、筒状をなしてピストンロッド122を案内するロッドガイド125と、環状をなして作動流体を密封するオイルシールであるシール部材126とが設けられている。ロッドガイド125およびシール部材126は、シール部材126の方が、ロッドガイド125よりも外筒113の軸方向におけるピストンロッド122の突出側つまり外側に設けられている。ピストンロッド122は、ロッドガイド125の内周側とシール部材126の内周側とを通っている。外筒113内には、ロッドガイド125およびシール部材126とは反対側にベースバルブ128が設けられている。
外筒113は、上記したように有底円筒状をなしており、円筒状の胴部材130と、この胴部材130におけるピストンロッド122の突出側とは反対の端部に接合されて胴部材130のこの端部を閉塞させる底蓋部材131とを有している。胴部材130にはピストンロッド122の突出側の開口部132の位置から、円筒状の胴本体部134よりも径方向内方に突出する加締め部133が設けられている。
加締め部133は、外筒113内に、ベースバルブ128、シリンダ112、ピストン117、ピストンロッド122、ロッドガイド125およびシール部材126が配置されるまで、胴本体部134に連続する円筒状となっており、この部分が加締め加工により径方向内方に折り曲げられ塑性変形させられて加締め部133となる。
シリンダ112は、円筒体からなり、軸方向の一端側が外筒113の底蓋部材131の内側に載置されたベースバルブ128に嵌合状態で支持されている。また、シリンダ112は、軸方向の他端側が外筒113の開口部132側に嵌合されたロッドガイド125に嵌合状態で支持されている。
ロッドガイド125は、略段付き円環状をなしており、底蓋部材131とは反対に大径外周部144が形成され、底蓋部材131側に、大径外周部144よりも小径の小径外周部145が形成されている。ロッドガイド125は、大径外周部144が、外筒113の胴本体部134の内周部に嵌合しており、小径外周部145が、シリンダ112の内周部に嵌合している。
シール部材126は、その外周部が外筒113の胴本体部134の内周部とロッドガイド125とに接触して外筒113の内周部をシールする。また、シール部材126は、その内周部がピストンロッド122の外周部に接触して、ピストンロッド122の外周部をシールする。これにより、シール部材126は、外筒113とピストンロッド122との間を閉塞して、シリンダ112内の作動液およびリザーバ室114内の高圧ガスおよび作動液が外部に漏出するのを規制する。シール部材126は、外筒113の加締め部133とロッドガイド125とに挟持されている。シール部材126は、ゴム製の弾性部材161に金属製の円環部材162が埋設された一体成形品である。
そして、上記した胴部材130の加締め部133を形成する前の部品を、本実施形態の筒体の製造方法で製造する。つまり、上記筒体51Aが、胴部材130の加締め部133を形成する前の部品となる。その結果、筒体51Aは、シリンダ装置111のピストン117が摺接しない非摺動部である外筒113に用いられており、その一部の胴部材130を構成している。このように、筒体51Aが、シリンダ装置111の最も外側部分となって塗装が施される外筒113の一部を構成しているため、外観品質向上の効果がより顕著となる。
また、本実施形態で製造された筒体51Aは、例えば、図13に示すシリンダ装置211の部品となる。シリンダ装置211は、流体としての液体あるいは気体が封入される筒状のシリンダ212と、このシリンダ212の中心軸上に配置されるとともにシリンダ212の軸方向の一端の図示略の開口部から外部へ突出するピストンロッド213と、このピストンロッド213の外部突出部分に固定されて、ピストンロッド213とシリンダ212の図示略の開口部側とを覆う有蓋円筒状のダストカバー214とを有している。
ピストンロッド213のシリンダ212内に配置される一端にはピストン215が取り付けられている。つまり、ピストンロッド213は、一端がピストン215に取り付けられ、他端がシリンダ212から突出する。ピストン215は、シリンダ212に摺動可能に設けられており、シリンダ212内を二室に区画する。ピストン215は、ピストンロッド213の移動にともないこれと一体にシリンダ212の内部を摺動して二室の容積を変化させ、その際に生じる流体の流通抵抗で減衰力を発生させる。具体的に、このシリンダ装置211は、車両の懸架装置を構成する緩衝器となっており、車両の車体側と車輪側とが相対的に振動すると、ピストンロッド213がシリンダ212に対する突出長さを変化させることになり、その結果、ピストンロッド213に固定されたピストン215が、シリンダ212の内部を摺動して二室の容積を変化させ、その際に生じる流体の流通抵抗で上記振動に対して減衰力を発生させる。
ピストンロッド213の突出先端側の端部には筒状の取付アイ221が溶接により固定されており、シリンダ212のピストンロッド213の突出側とは反対側の端部にも筒状の取付アイ223が溶接により固定されている。取付アイ221の内側にはラバーブシュ222が、取付アイ223の内側にはラバーブシュ224が設けられている。
シリンダ装置211は、例えば、ピストンロッド213が、これに固定された取付アイ221内のラバーブシュ222に挿通される図示略の取付部材を介して車体側へ取り付けられることになり、シリンダ212が、これに固定された取付アイ223内のラバーブシュ224に挿通される図示略の取付部材を介して車輪側へ取り付けられる。これにより、シリンダ装置211は、車輪の車体に対するストロークを減衰させる。なお、上記とは逆に、シリンダ212を車体側に取り付け、ピストンロッド213を車輪側に取り付けても良い。取付アイ221,223は、ピストンロッド213およびシリンダ212の両方に設けられているが、いずれか一方のみに設けられていても良い。
ダストカバー214は、ピストンロッド213に固定される有効円板状の蓋部材231と、蓋部材231の外周部に嵌合して溶接等により固定される円筒状のカバー本体232とを有している。
そして、ダストカバー214のカバー本体232を、本実施形態の筒体の製造方法で製造する。つまり、上記筒体51Aが、カバー本体232となる。その結果、筒体51Aは、シリンダ装置211のピストン215が摺接しない非摺動部であるダストカバー214に用いられており、その一部のカバー本体232を構成している。このように、筒体51Aが、シリンダ装置211の最も外側部分となって塗装が施されるダストカバー214の一部を構成しているため、外観品質向上の効果がより顕著となる。
上記の実施形態は、筒状のシリンダと、該シリンダに摺動可能に設けられるピストンと、一端が前記ピストンに取り付けられ、他端が前記シリンダから突出するピストンロッドと、を備えるシリンダ装置の前記ピストンの非摺動部に用いられる筒体の製造方法であって、一対の辺を有する板状体を該一対の辺が周方向となるように筒状に曲げ、前記一対の辺を結ぶ両端縁部を対向させる工程と、前記両端縁部を下側に位置させる工程と、前記両端縁部を溶接して接合部とする工程と、を含む。溶接時に溶融状態となった材料が自重によって垂れ下がることになって、径方向外側に突出する。よって、この部分を除去することで、外表面がヒケのない滑らかな形状になって、外観品質を含む品質の向上を図ることができる。
前記筒体が、前記シリンダの外周側に設けられ、該シリンダとの間にリザーバ室を形成する外筒を構成することにより、外観品質向上の効果がより顕著となる。
前記筒体が、前記ピストンロッドにこれを覆うように固定されるダストカバーを構成することにより、外観品質向上の効果がより顕著となる。
51 板状体
51A 筒体
52 辺
54 端縁部
73 接合部
111,211 シリンダ装置
112,212 シリンダ
113 外筒
114 リザーバ室
117,215 ピストン
122,213 ピストンロッド
214 ダストカバー
51A 筒体
52 辺
54 端縁部
73 接合部
111,211 シリンダ装置
112,212 シリンダ
113 外筒
114 リザーバ室
117,215 ピストン
122,213 ピストンロッド
214 ダストカバー
Claims (3)
- 筒状のシリンダと、
該シリンダに摺動可能に設けられるピストンと、
一端が前記ピストンに取り付けられ、他端が前記シリンダから突出するピストンロッドと、
を備えるシリンダ装置の前記ピストンの非摺動部に用いられる筒体の製造方法であって、
一対の辺を有する板状体を該一対の辺が周方向となるように筒状に曲げ、前記一対の辺を結ぶ両端縁部を対向させる工程と、
前記両端縁部を下側に位置させる工程と、
前記両端縁部を溶接して接合部とする工程と、
を含むことを特徴とする筒体の製造方法。 - 前記筒体は、前記シリンダの外周側に設けられ、該シリンダとの間にリザーバ室を形成する外筒を構成することを特徴とする請求項1に記載の筒体の製造方法。
- 前記筒体は、前記ピストンロッドにこれを覆うように固定されるダストカバーを構成することを特徴とする請求項1または2に記載の筒体の製造方法。
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