JP2017177670A - 発泡樹脂成形品の製造方法および発泡樹脂成形品 - Google Patents

発泡樹脂成形品の製造方法および発泡樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】吸音性に十分に優れた発泡樹脂成形品およびその製造方法を提供すること。【解決手段】物理発泡剤および熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融および混練し、固定型21と可動型22からなる金型内に射出した後、可動型をコアバックさせることにより、熱可塑性組成物を発泡および繊維化させつつ成形する発泡樹脂成形品の製造方法であって、熱可塑性樹脂組成物の冷却速度19℃/秒での結晶化温度をTccf(℃)としたとき、コアバックを、熱可塑性樹脂組成物の温度がTccf−10℃〜Tccf+20℃であるときに開始し、かつ多段階で行う、発泡樹脂成形品の製造方法。熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物からなる発泡樹脂成形品であって、内部において繊維化されており、繊維密度が相対的に高い密領域26aおよび相対的に低い疎領域26bを有する、発泡樹脂成形品。【選択図】図2

Description

本発明は、発泡樹脂成形品の製造方法および発泡樹脂成形品、詳しくは内部が繊維化された繊維質発泡樹脂成形品の製造方法および繊維質発泡樹脂成形品に関する。
自動車の内装品および家電の筐体および部品などの分野では、様々な樹脂成形品が使用されている。このような樹脂成形品は、従来では内部が中実のものが主流であったが、最近では成形品の軽量化と消費原料の節約の観点から、内部にセル構造を有する発泡樹脂成形品に置き換わっている。
発泡樹脂成形品の製造方法としては、射出成形法に基づく方法が知られている。詳しくは、発泡剤および熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融および混練し、固定型と可動型からなる型内に射出した後、可動型をコアバックさせることにより、熱可塑性組成物を発泡させつつ成形する(特許文献1,2)。
またコアバックを少なくとも2段階で行うことにより、空洞部を形成する発泡射出成形技術が開示されている(特許文献3)。
一方、成形品内部において発泡とともに繊維化することにより、成形品のさらなる軽量化および消費原料のさらなる節約を達成する技術が開示されている(特許文献4)。
特開2008−299201号公報 特開2012−20544号公報 特開2015−116775号公報 特開2015−223811号公報
しかしながら、上記のような繊維化技術では、吸音性に十分に優れた発泡樹脂成形品を得ることができなかった。
本発明は、吸音性に十分に優れた発泡樹脂成形品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
物理発泡剤および熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融および混練し、固定型と可動型からなる金型内に射出した後、可動型をコアバックさせることにより、熱可塑性組成物を発泡および繊維化させつつ成形する発泡樹脂成形品の製造方法であって、
熱可塑性樹脂組成物の冷却速度19℃/秒での結晶化温度をTccf(℃)としたとき、コアバックを、熱可塑性樹脂組成物の温度がTccf−10℃〜Tccf+20℃であるときに開始し、かつ多段階で行う、発泡樹脂成形品の製造方法に関する。
本発明はまた、
熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物からなる発泡樹脂成形品であって、
内部において繊維化されており、繊維密度が相対的に高い密領域および相対的に低い疎領域を有する、発泡樹脂成形品に関する。
本発明に係る発泡樹脂成形品の製造方法によれば、吸音性に十分に優れた発泡樹脂成形品を製造できる。
本発明で使用される発泡射出成形装置の一例を示す概略図である。 本発明の発泡樹脂成形品の製造方法における2段階コアバックを説明するための模式図であり、(A)は第1段階のコアバック直前における、固定型、可動型および溶融物(射出物)を示す模式図であり、(B)は第1段階のコアバック後、第2段階のコアバック直前における、固定型、可動型および成形物を示す模式図であり、(C)は第2段階のコアバック後の固定型、可動型および成形物を示し、当該成形物における繊維密度の勾配を示す図である。 本発明の発泡樹脂成形品の製造方法における3段階コアバックを説明するための模式図であって、第3段階のコアバック後の固定型、可動型および成形物を示し、成形物における繊維密度の勾配を示す図である。 本発明の発泡樹脂成形品の製造方法における4段階コアバックを説明するための模式図であって、第4段階のコアバック後の固定型、可動型および成形物を示し、成形物における繊維密度の勾配を示す図である。 本発明の発泡樹脂成形品のコアバック方向に対する垂直断面の一例を示す概略図である。 実施例および比較例で得られた発泡樹脂成形品の幾つかの例についての吸音性の評価結果を示すグラフである。 実施例および比較例で得られた発泡樹脂成形品の幾つかの例についての吸音性の評価結果を示すグラフである。 実施例および比較例で得られた発泡樹脂成形品の幾つかの例についての吸音性の評価結果を示すグラフである。 実施例および比較例で得られた発泡樹脂成形品の幾つかの例についての吸音性の評価結果を示すグラフである。 実施例1Aの発泡樹脂成形品について、T/4位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例1Aの発泡樹脂成形品について、T/2位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例1Aの発泡樹脂成形品について、T/4位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例1Aの発泡樹脂成形品について、T/2位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例4Aの発泡樹脂成形品について、T/4位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例4Aの発泡樹脂成形品について、T/2位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例4Aの発泡樹脂成形品について、T/4位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例4Aの発泡樹脂成形品について、T/2位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例1Bの発泡樹脂成形品について、T/4位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例1Bの発泡樹脂成形品について、T/2位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例1Bの発泡樹脂成形品について、T/4位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例1Bの発泡樹脂成形品について、T/2位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例2Bの発泡樹脂成形品について、T/4位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例2Bの発泡樹脂成形品について、T/2位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例2Bの発泡樹脂成形品について、T/4位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 実施例2Bの発泡樹脂成形品について、T/2位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 比較例1の発泡樹脂成形品について、T/4位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 比較例1の発泡樹脂成形品について、T/2位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 比較例1の発泡樹脂成形品について、T/4位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。 比較例1の発泡樹脂成形品について、T/2位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)を示す。
[発泡樹脂成形品の製造方法]
本発明に係る発泡樹脂成形品の製造方法を図面を用いて説明する。図面に示す各種の要素は、本発明の理解のために模式的に示したにすぎず、寸法比や外観などは実物と異なり得ることに留意されたい。尚、本明細書で直接的または間接的に用いる「上下方向」および「左右方向」は、図中における上下方向および左右方向に対応した方向に相当する。また特記しない限り、これらの図において、共通する符号は同じ部材、部位、寸法または領域を示すものとする。
本発明に係る発泡樹脂成形品の製造方法を実施するのに適した発泡射出成形装置の一例として、図1に、発泡射出成形装置1の構成の概略全体図を示す。この装置1は、シリンダ11及びスクリュー軸12が備えられたスクリューフィーダ10を有し、該フィーダ10の後端部(図1における右側)近傍に、原料を投入するためのホッパ13が設けられた構造を有している。前記スクリュー軸12の先端部には、チェックリング14及び円錐形状のヘッド15が設けられ、前記シリンダ11の先端部は該ヘッド15の形状に呼応して円錐形状に絞られており、その先端にはノズル16が設けられている。シリンダ11におけるホッパ13からノズル16までの間にはガスを供給するための高圧ガス供給装置17が設けられており、シリンダ11内の溶融混練物にガス状の物理発泡剤を供給できるようになっている。
前記シリンダ11の先端側には、金型装置20が配設されている。前記金型装置20は、固定型21と、該固定型21に対して移動可能とされた可動型22とからなる金型を有すると共に、可動型22を駆動させるための駆動機構(図示しない)を有している。金型装置20の固定型21と可動型22との間には、型締めされたときに成形品の形状となるキャビティ23が形成される。可動型22には、キャビティ23内に射出された熱可塑性樹脂組成物の温度および圧力を測定するための温度圧力センサー24および固定型21と可動型22を冷却するための冷却機構25が設けられている。前記固定型21には前記ノズル16が接続されていると共に、該ノズル16の接続部からキャビティ23に連通する通路(ホットランナー)21aが形成されている。
本発明に係る発泡樹脂成形品の製造方法は、溶融混練工程、射出工程およびコアバック工程を含む。
(溶融混練工程)
本工程は、物理発泡剤および熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融および混練する工程である。詳しくは、物理発泡剤以外の原料、例えば、後述する熱可塑性樹脂および添加剤等を図1の発泡射出成型装置1のホッパ13からシリンダ11内に投入し、溶融および混練を行いながら、高圧ガス供給装置17により物理発泡剤を注入する。
熱可塑性樹脂は、繊維化の観点から、物理発泡剤および熱可塑性樹脂などの発泡樹脂成形品を構成する全ての材料を含有する熱可塑性樹脂組成物が、該熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccsにおいて1×10〜5×10Pa、特に1×10〜1×10Paの貯蔵弾性率を有するように選択されることが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccsは以下の方法により測定することができる。
熱可塑性樹脂組成物を、融点以上の温度に加熱して10℃/分にて冷却したときの熱流−温度曲線を、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製)により求める。この熱流−温度曲線が吸熱ピークを示す温度を結晶化温度Tccs(℃)とする。
熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccsは好ましくは100〜220℃であり、より好ましくは100〜210℃である。熱可塑性樹脂が、後述するようにポリプロピレンの場合、熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccsは、さらに好ましくは100〜155℃である。
熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccsでの貯蔵弾性率は以下の方法により測定することができる。
熱可塑性樹脂組成物を融点以上の温度に加熱して2℃/分にて冷却するとき、Tccsでの貯蔵弾性率を回転式粘度計(レオメトリック社製)により測定する。
熱可塑性樹脂としては、90〜210℃、好ましくは90〜200℃の結晶化温度Tcpsを有し、かつ当該Tcpsにおいて1×10〜1×10Pa、好ましくは1×10〜5×10Paの貯蔵弾性率を有するポリマーが使用されることが好ましい。熱可塑性樹脂が、後述するようにポリプロピレンの場合、当該熱可塑性樹脂の結晶化温度Tcpsは、さらに好ましくは95〜135℃である。熱可塑性樹脂のTcpsが高すぎたり、上記温度での貯蔵弾性率が高すぎたりすると、隣接するセル間のセル壁厚みが比較的大きな発泡体が得られるだけで、十分な繊維化は起こらない。熱可塑性樹脂のTcpsが低すぎたり、上記温度での貯蔵弾性率が低すぎたりすると、セルの合一が進んでセル径が比較的大きな発泡体が得られるだけで、十分な繊維化は起こらない。
熱可塑性樹脂の結晶化温度Tcpsは、熱可塑性樹脂を加熱すること以外、熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccsと同様の方法により測定することができる。
熱可塑性樹脂のTcps(℃)での貯蔵弾性率は、熱可塑性樹脂を加熱すること、および貯蔵弾性率の測定温度をTcps(℃)とすること以外、熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccsでの貯蔵弾性率と同様の方法により測定することができる。
熱可塑性樹脂は、あらゆる種類のポリマーが使用され、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリ乳酸(PLA))などのポリエステル系樹脂、PA6、PA66、PA11、PA12、PA6T、PA9T、MXD6などのポリアミド系樹脂(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンエーテル(PPE)などのポリエーテル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が使用される。Tcps、貯蔵弾性率および組成(種類)等が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂が含有されてもよく、その場合、それらの混合樹脂における各熱可塑性樹脂がそれぞれ上記結晶化温度および貯蔵弾性率を有していることが好ましい。好ましい熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリアミド系樹脂(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)である。
物理発泡剤は、熱可塑性樹脂中において、物理的に発泡を起こすものであり、例えば、窒素ガス、二酸化炭素ガス等が挙げられる。
物理発泡剤の含有量は通常、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜3.0重量部であり、好ましくは0.1〜2.0重量部である。
熱可塑性樹脂組成物には、結晶核剤、補強用繊維等の添加剤をさらに含有させてもよい。繊維化の観点から、結晶核剤を含有させることが好ましい。
結晶核剤とは、熱溶融および冷却することにより、かつ/または溶融混錬、せん断流動を与えることにより、自己組織化による三次元網目構造を形成し得る有機化合物のことである。このような結晶核剤を熱可塑性樹脂に添加して熱溶融および冷却、かつ/または溶融混錬およびせん断流動に供することにより、熱可塑性樹脂の微細で均一な結晶の成長が促進される。これに伴い、結晶化により生成する気泡も微細化されるため、コアバック式発泡射出成形時において当該気泡が起点となり、より一層、微細な繊維化が達成される。
結晶核剤としては、自動車部品や家電部品の分野で使用されるあらゆる結晶核剤が使用可能である。結晶核剤は繊維化の観点から有機系結晶核剤が好ましく使用される。有機系結晶核剤の具体例としては、例えば、ソルビトール系化合物、特に芳香族環含有ソルビトール系化合物および脂肪族環含有ソルビトール系化合物など、が挙げられる。結晶核剤としては、ソルビトール系化合物が好ましく、芳香族環含有ソルビトール系化合物がより好ましい。
芳香族環含有ソルビトール系化合物の好ましい具体例として、一般式(1)で表されるソルビトール系化合物が挙げられる。
式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜4のアルキル基、直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基、直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子である。RおよびRの、ベンゼン環における結合位置は特に限定されず、それぞれ独立して、例えば、オルト位、メタ位およびパラ位であってよい。ベンゼン環におけるRおよびRの結合位置は、それぞれ独立して、後述するmが1のときはパラ位が好ましく、mが2のときはメタ位およびパラ位が好ましい。
好ましいRおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、または直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)であり、より好ましくは直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)である。
は、水素原子、直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜4のアルキル基、直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数2〜4のアルケニル基、または直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基である。
好ましいRはそれぞれ独立して、水素原子、または直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)であり、より好ましくは水素原子である。
mおよびnはそれぞれ独立して、1〜5の整数であり、好ましくは1または2である。mが2以上の整数のとき、2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成してもよい。nが2以上の整数のとき、2つのRは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成してもよい。
pは0または1であり、好ましくは1である。
芳香族環含有ソルビトール系化合物として、市販のゲルオールMD(新日本化学社製)(式(1)において、R=R=メチル基(m=n=1でパラ位)、R=水素原子、p=1)、ゲルオールD(新日本化学社製)(式(1)において、R=R=水素原子、R=水素原子、p=1)、ゲルオールDXR(新日本化学社製)(式(1)において、R=R=メチル基(m=n=2でメタ位およびパラ位)、R=水素原子、p=1)、ゲルオールE−200(新日本化学社製)、Millad NX8000(Milliken Chemical社製(式(1)において、R=R=プロピル基(m=n=1でパラ位)、R=プロピル基、p=1)、RiKAFAST AC(新日本化学社製)が入手可能である。
結晶核剤は、吸音性のさらなる向上の観点から、予め熱可塑性樹脂とともに溶融混練、冷却および粉砕されてなる結晶核剤マスターバッチ(ペレット)の形態で使用されることが好ましい。結晶核剤マスターバッチ中の結晶核剤の含有量は通常、当該マスターバッチ全量に対して1〜10重量%である。
熱可塑性樹脂組成物中における結晶核剤の含有量は通常、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜1.0重量部であり、好ましくは0.3〜0.8重量部である。
溶融混練温度、すなわちシリンダ温度、は熱可塑性樹脂組成物が十分に溶融する限り特に制限されず、好ましくは、後述する熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccfに対して、Tccf+70〜Tccf+130℃であり、より好ましくはTccf+80〜Tccf+120℃である。
(射出工程)
本工程は、溶融混練工程で得られた熱可塑性樹脂組成物の溶融物を金型内に射出する工程である。詳しくは、溶融物を、図1の発泡射出成型装置1のノズル16から固定型21と可動型22からなる金型内のキャビティ23に射出する。図1中、キャビティ23は直方体形状を有しているが、これに限定されるものではなく、目的とする成形品形状に基づく所望の形状を有していればよい。
金型温度は、後述する熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccfに対して、Tccf−70〜Tccf−20℃が好ましく、より好ましくはTccf−70〜Tccf−40℃である。
射出速度は特に限定されず、通常20〜200mm/秒であり、好ましくは30〜150mm/秒である。射出量は、キャビティ23が充満される量である。
キャビティ23の初期厚みm(厚み方向の最大厚み)は通常1〜10mmであり、好ましくは1〜5mmである。厚み方向とは、後述するコアバック工程における可動型22の移動方向、すなわちコアバック方向と平行な方向を意味する。
(コアバック工程)
本工程は、可動型22を多段階でコアバックさせることにより、射出工程で射出された溶融物を発泡および繊維化させる工程である。詳しくは、図2(A)に示すように、熱可塑性樹脂組成物の溶融物を射出した後、金型内で保圧し、図2(B)および(C)に示すように、コアバックを多段階かつ特定のタイミングで行い、発泡および繊維化を行う。コアバックとは、キャビティ23の体積を増大させるために、可動型22を固定型21の方向とは反対方向に移動させることをいう。これにより、キャビティ23内の圧力が低減され、溶融物の発泡が促進され、結果として繊維化が達成される。繊維化とは、セル壁がコアバック方向に延伸されつつ、コアバック方向に対する垂直方向で破断され、繊維が形成されるという意味である。繊維化は、形成される繊維がコアバック方向に対して平行に配向するように達成される。このため、繊維の配向方向から、コアバック方向を検知することができる。繊維の配向方向はまた発泡樹脂成形品の厚み方向とも平行である。本明細書中、平行とは、2つの方向のなす角度が厳密に0°でなければならないというわけではなく、±5°程度の範囲は許容されるという意味である。図2は、本発明の発泡樹脂成形品の製造方法における2段階コアバックを説明するための模式図である。詳しくは、図2(A)は第1段階のコアバック直前における、固定型、可動型および溶融物(射出物)を示し、図2(B)は第1段階のコアバック後、第2段階のコアバック直前における、固定型、可動型および成形物を示し、図2(C)は第2段階のコアバック後の固定型、可動型および成形物を示し、当該成形物における繊維密度の勾配を示す。
コアバックを多段階で行うとは、可動型22が最終的な全コアバック量K(「発泡樹脂成形品において目標とする最終厚みT」−「キャビティの初期厚みm」)に達するまで、コアバックを連続的に行うのではなく、断続的に行うという意味である。換言すると、コアバックを開始した後、可動型が最終的な全コアバック量に達する途中でコアバックを停止する保持時間を1回以上、確保し、当該保持の後はコアバックを続行する。すなわち、全段階のコアバックのうち、第2段階以降のコアバックは、直前の段階のコアバックが終了し、コアバックを停止する保持時間を確保した後に行う。例えば、図2に示すように、コアバックを2段階で行う場合、第1コアバックk1(図2(B))を行い、保持し、その後、第2コアバックk2(図2(C))を行う。また例えば、コアバックを3段階で行う場合、第1コアバックおよび保持を行い、次いで第2コアバックおよび保持を行い、その後、第3コアバックを行う。コアバック量とは、可動型22の移動距離のことである。
コアバックの段階の数は、2以上であれば特に限定されず、最終的な全コアバック量に応じて適宜決定すればよい。例えば、最終的な全コアバック量が5〜15mmの場合、コアバックは2段階〜6段階、特に2段階〜4段階で行うことが好ましい。吸音性のさらなる向上の観点からは、コアバックを3段階以上、特に3〜4段階で行うことが好ましい。
このような多段階コアバックにより、発泡樹脂成形品において形成される繊維の密度に勾配を段階的に付与することができる。すなわち繊維密度が相対的に高い密領域および相対的に低い疎領域が形成される。詳しくは図2(C)に示すように、コアバック方向Mにおける略中央部が相対的に高い繊維密度の密領域26aにより構成され、コアバック方向Mにおいて当該中央部26aから離れるに従って繊維密度が段階的かつ相対的に低くなる。繊維密度が段階的に低くなるとは、繊維密度が必ずしも厳密に段階的に低くなることを意味するものではなく、コアバック方向において、繊維密度が略一定の領域に隣接して、当該繊維密度よりも低い繊維密度が略一定の領域が存在するという意味である。これらの領域の境界においては、本発明の吸音性の向上効果が得られる限り、繊維密度が相対的に緩やかに低くなっていてもよい。図2(C)において繊維密度が相対的に高い密領域は26aであり、相対的に低い疎領域は26bである。
例えば、3段階コアバックにより得られる本発明の発泡樹脂成形品の一例を図3に示す。図3において繊維密度が相対的に高い密領域は27aであり、27bは繊維密度が領域27aよりも低い領域であり、27cは繊維密度が領域27bよりも低い領域である。
また例えば、4段階コアバックにより得られる本発明の発泡樹脂成形品の一例を図4に示す。図4において繊維密度が相対的に高い密領域は28aであり、28bは繊維密度が領域28aよりも低い領域であり、28cは繊維密度が領域28bよりも低い領域であり、28dは繊維密度が領域28cよりも低い領域である。
本発明においては、発泡樹脂成形品の内部で、繊維密度が段階的に異なる領域(層)が一体的に形成され、それらの境界で共鳴器効果が発現するため、十分な吸音性(特に高周波吸音性)が得られるものと考えられる。コアバックを1段階のみで行った場合には、繊維密度がコアバック方向において略一様な成形品が得られ、十分な吸音性は得られない。
2段階コアバックにより得られる、繊維密度が段階的に異なる合計3領域(層)からなる発泡樹脂成形品は、特に高周波音(周波数1000Hz以上5000Hz以下)の吸音性に優れている。
3段階以上のコアバックにより得られる、繊維密度が段階的に異なる合計5領域(層)以上からなる発泡樹脂成形品は、高周波音(周波数1000Hz以上5000Hz以下)の吸音性だけでなく、中周波音(周波数500Hz以上1000Hz未満)および低周波音(周波数200Hz以上500Hz未満)の吸音性にも優れている。
繊維密度は、繊維の密集の程度のことであり、コアバック方向に対して平行な断面における空隙長を指標として判断される。空隙長が大きいほど、繊維密度は小さく、当該領域は疎であることを意味する。他方、空隙長が小さいほど、繊維密度は大きく、当該領域は密であることを意味する。
空隙長は、発泡樹脂成形品をコアバック方向に対して平行に切断した断面の顕微鏡写真(SEM)から算出することができる。詳しくは、当該写真において任意の100個の空隙について各空隙のコアバック方向の最大長を測定し、それらの平均値を求める。空隙は繊維間に相対的に低い明度で存在し、当該写真において周囲の繊維(高い明度)との明度の差により容易に識別できる。
第2段階以降のコアバックの直前に行われる保持のための保持時間はそれぞれ独立して通常は0.1〜5.0秒間であり、好ましくは0.5〜5.0秒間、より好ましくは0.8〜4.5秒間である。
例えば、コアバックを2段階で行う場合の好ましい実施態様においては、保持時間は好ましくは1.5〜4.5秒間、さらに好ましくは1.5〜3.5秒間、最も好ましくは1.5〜2.5秒間である。
また例えば、コアバックを3段階で行う場合の好ましい実施態様においては、各保持時間はそれぞれ独立して、好ましくは0.8〜2.5秒間である。
また例えば、コアバックを4段階以上で行う場合の好ましい実施態様においては、各保持時間はそれぞれ独立して、好ましくは0.8〜1.5秒間である。
コアバックを3段階以上で行う場合、吸音性のさらなる向上の観点から、第2段階以降のコアバック直後の保持時間は直前の段階のコアバック直後の保持時間以下であることが好ましい。例えば、コアバックを3段階で行う場合、第2段階のコアバック直後の保持時間は第1段階のコアバック直後の保持時間以下であることが好ましい。
保持時間の合計は、吸音性のさらなる向上の観点から、0.5〜5.0秒間が好ましく、より好ましくは0.8〜4.5秒間、さらに好ましくは1.5〜3.5秒間である。保持時間の合計は、コアバックを特に3段階以上で行うときの保持時間の合計である。
多段階のコアバックにおける各段階のコアバック量は、吸音性のさらなる向上の観点から、それぞれ独立して、可動型の最終的な全コアバック量K(mm)に対して、0.1×K〜0.9×K、好ましくは0.2×K〜0.8×K、より好ましくは0.3×K〜0.7×Kである。
例えば、コアバックを2段階で行う場合、第1段階のコアバックにおける第1コアバック量は、吸音性のさらなる向上の観点から、可動型の最終的な全コアバック量K(mm)に対して、0.4×K〜0.9×Kであることが好ましく、より好ましくは0.5×K〜0.9×Kである。
また例えば、コアバックを3段階で行う場合、第1段階のコアバックにおける第1コアバック量および第2段階のコアバックにおける第2コアバック量は、吸音性のさらなる向上の観点から、それぞれ独立して、可動型の最終的な全コアバック量K(mm)に対して、0.3×K〜0.5×Kであることが好ましく、より好ましくは0.35×K〜0.4×Kである。この場合、第3段階のコアバックにおける第3コアバック量は、同様の観点から、0.2×K〜0.4×Kであることが好ましく、より好ましくは0.2×K〜0.3×Kである。
また例えば、コアバックを4〜5段階で行う場合、第1段階のコアバックにおける第1コアバック量、第2段階のコアバックにおける第2コアバック量、第3段階のコアバックにおける第3コアバック量、および第4段階のコアバックにおける第4コアバック量は、吸音性のさらなる向上の観点から、それぞれ独立して、可動型の最終的な全コアバック量K(mm)に対して、0.1×K〜0.4×Kであることが好ましく、より好ましくは0.15×K〜0.38×Kである。
第2段階以降のコアバックにおけるコアバック量は、吸音性のさらなる向上の観点から、直前の段階のコアバックにおけるコアバック量以下であることが好ましい。例えば、2段階コアバックを行う場合、第2段階のコアバックにおけるコアバック量は、第1段階のコアバックにおけるコアバック量以下であることが好ましい。また例えば、3段階コアバックを行う場合、第2段階のコアバックにおけるコアバック量は、第1段階のコアバックにおけるコアバック量以下であることが好ましい。この場合、第3段階のコアバックにおけるコアバック量は、第2段階のコアバックにおけるコアバック量以下であることが好ましい。また例えば、4段階コアバックを行う場合、第2段階のコアバックにおけるコアバック量は、第1段階のコアバックにおけるコアバック量以下であることが好ましい。この場合、第3段階のコアバックにおけるコアバック量は、第2段階のコアバックにおけるコアバック量以下であることが好ましく、第4段階のコアバックにおけるコアバック量は、第3段階のコアバックにおけるコアバック量以下であることが好ましい。
各段階のコアバックにおいてコアバックにかける時間は通常、0.1〜2秒であり、好ましくは0.2〜1.5秒である。
本工程において、コアバック(特に第1段階のコアバック)は、熱可塑性樹脂組成物の冷却速度19℃/秒での結晶化温度をTccf(℃)としたとき、射出された熱可塑性樹脂組成物(溶融物)の温度がTccf−10〜Tccf+20℃、好ましくはTccf−5〜Tccf+20℃、好ましくはTccf〜Tccf+20℃であるときに開始する。このようなタイミングでコアバックを開始することにより、コアバック初期において、発泡によりセルを十分に形成しつつ、形成されたセルの合一を防止することができる。このため、コアバック初期に十分な数のセルの微分散が達成されるので、その後のコアバックにより、セル壁をコアバック方向に延伸させつつ、コアバック方向に対する垂直方向で破断させることができる。これらの結果として、繊維化が達成されるものと考えられる。コアバック開始温度が低すぎると、コアバック初期においてセルを十分に形成できないので、隣接するセル間のセル壁厚みが比較的大きな発泡体が得られるだけで、十分な繊維化は起こらない。コアバック開始温度が高すぎると、コアバック初期においてセルの合一が進むので、セル径が比較的大きな発泡体が得られるだけで、十分な繊維化は起こらない。
本発明において、コアバックのタイミングを、比較的遅い冷却速度で測定された結晶化温度に基づいて決定しても、十分な繊維化は達成されない。コアバック初期の十分な数のセルの微分散は、熱可塑性樹脂組成物の結晶化に基づくものと考えられる。そこで、例えば、100℃/分以下の冷却速度で測定された結晶化温度に基づいてコアバックのタイミングを表しても、冷却速度がコアバックを伴う発泡射出成形の実情に全く合っていないために、結晶化は十分に起こらず、結果として繊維化は十分に達成されないものと考えられる。
熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccfは以下の方法により測定することができる。
熱可塑性樹脂組成物を、融点以上の温度に加熱して19℃/秒にて冷却したときの熱流−温度曲線を、高速示差走査熱量計(METTLER TOLEDO社製)により求める。この熱流−温度曲線が吸熱ピークを示す温度を結晶化温度Tccf(℃)とする。
熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccfは好ましくは80〜190℃であり、より好ましくは80〜180℃である。熱可塑性樹脂がポリプロピレンの場合、熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度Tccfは、さらに好ましくは80〜135℃である。
保圧時において、熱可塑性樹脂組成物の温度を温度圧力センサー24により観測しておくことにより、コアバック開始のタイミングを計ることができる。
保圧の圧力および保圧の時間は、コアバックを上記タイミングで開始できれば特に限定されない。保圧の圧力は通常、10〜80MPaであり、好ましくは20〜60MPaである。保圧の時間は通常、1〜10秒であり、好ましくは2〜7秒である。
コアバック開始時において、熱可塑性樹脂組成物中のセル径は、微細繊維化の観点から、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。
コアバック開始時における熱可塑性樹脂組成物中のセル径は、コアバックさせないこと以外、本発明に係る発泡樹脂成形品の製造方法と同様の方法により、溶融混練工程および射出工程を実施した後、金型内において熱可塑性樹脂組成物の溶融物をそのまま冷却して得られた試料を用いて測定することができる。詳しくは、上記試料を、コアバック方向に対して垂直方向で切断し、得られた断面の顕微鏡写真を撮影する。当該写真において、スキン層から500μm以上離れた領域において、任意の100個のセルの直径(最大径)を測定し、最大値を求める。
発泡倍率は、可動型22の最終的な全コアバック量Kとキャビティの初期厚みmに基づいて算出される値「(K+m)/m」であり、通常は3〜8倍であり、より好ましくは4〜6倍である。
本工程において金型温度は、射出工程時と同様の温度範囲内において維持することが好ましい。
(冷却工程)
コアバック完了後は、発泡体をそのまま金型内で保持することにより、冷却し、その後、金型を開いて発泡樹脂成形品を得ることができる。
[発泡樹脂成形品]
本発明の上記方法により製造された発泡樹脂成形品は、内部において、上記したように繊維化が達成されている。内部とは、成形品表面のスキン層から100μm以上、好ましくは200μm以上離れた領域である。
本発明において繊維は、発泡樹脂成形品のコアバック方向に対する垂直断面を示す図5に示されるように、繊維状物30だけでなく、セル壁が破断されてなる非環状のセル壁痕31および32を包含するものとし、破断されることなく残存する環状のセル壁33を包含するものではない。本発明において繊維状物30および非環状のセル壁痕31および32は、発泡樹脂成形品のコアバック方向に対する垂直断面において中実であり、中空のものではない。
本発明の発泡樹脂成形品は、内部の全てが必ずしも繊維化されていなければならないというわけではなく、例えば、図5に示されるように、一部に環状のセル壁33を有することを妨げるものではない。発泡樹脂成形品をコアバック方向に対して垂直に切断した任意の断面の顕微鏡写真(倍率;500倍)100枚において、環状のセル壁33の内部の奥行に孔がなく、独立気泡であるセルの合計数は10個以下であればよい。
本発明の発泡樹脂成形品はコアバック方向において所定の繊維密度の勾配を有する。詳しくは、図2(C)、図3および図4に示すように、コアバック方向Mにおける略中央部が相対的に高い繊維密度の密領域(26a、27aまたは28a)により構成され、コアバック方向Mにおいて当該中央部から離れるに従って繊維密度が段階的かつ相対的に低くなっている。具体的には、当該成形品のコアバック方向の長さをT(mm)、コアバック方向の端面からT/4の位置(P)およびT/2の位置(P)における空隙長をそれぞれLT/4(μm)およびLT/2(μm)としたとき、LT/4/LT/2が1.5以上、特に1.5〜5、であり、好ましくは1.5〜3、より好ましくは1.8〜3である。LT/4/LT/2が1.5未満であると、十分な吸音性は得られない。
はコアバック方向の端面からT/4の距離にあって、成形品の中央(例えば図2(C)、図3および図4上、上下方向および表裏方向ともに中央)に相当する測定点である。
はコアバック方向の端面からT/2の距離にあって、成形品の中央(例えば図2(C)、図3および図4上、上下方向および表裏方向ともに中央)に相当する測定点である。
コアバック方向の端面からT/4の位置(P)およびT/2の位置(P)における空隙長LT/4(μm)およびLT/2(μm)は、各位置におけるコアバック方向に対する平行断面から、上記した方法により算出することができる。
T/4は通常、40〜150μmであり、好ましくは50〜120μm、より好ましくは70〜120μmである。
T/2は通常、25〜80μmであり、好ましくは30〜60μmである。
本発明の発泡樹脂成形品においては、コアバック方向の長さをT(mm)、コアバック方向の端面からT/4の位置(P)およびT/2の位置(P)における繊維の平均径をそれぞれDT/4およびDT/2としたとき、以下の通りである:
T/4は通常、9μm以下、特に0.5〜9μmであり、好ましくは1〜6μmである;
T/2は通常、10μm以下、特に1〜10μmであり、好ましくは2〜7μmである。
コアバック方向の端面からT/4の位置(P)およびT/2の位置(P)における繊維の平均径DT/4およびDT/2は、各位置におけるコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真から算出された値を用いている。詳しくは、当該写真において任意の100個の繊維における繊維径を測定し、それらの平均値を求める。繊維径は、繊維が、図5に示すように、繊維状物30の場合は、最長径d1であり、繊維が非環状セル壁痕31および32の場合は、当該セル壁痕の最大厚みd2、d3である。
本発明の発泡樹脂成形品においては、コアバック方向の長さをT(mm)、コアバック方向の端面からT/4の位置(P)およびT/2の位置(P)における繊維の数をそれぞれNT/4およびNT/2としたとき、以下の通りである:
T/4は通常、40個/100μm以上、特に40〜500個/100μmであり、好ましくは45〜400個/100μmである;
T/2は45個/100μm以上、特に45〜600個/100μmであり、好ましくは50〜500個/100μmである。
コアバック方向の端面からT/4の位置(P)およびT/2の位置(P)における繊維の数NT/4およびNT/2は、各位置におけるコアバック方向に対して垂直断面の顕微鏡写真に基づく値を用いている。詳しくは、図5に示すように、任意の領域において繊維30,31および32の総数を求め、当該総数を当該領域の面積で除することにより求める。本発明においては、10個の任意の領域における「単位面積あたりの繊維の数」の平均値を用いている。
本発明の発泡樹脂成形品は、2段階コアバックにより、繊維密度が段階的に異なる合計3領域(層)から構成される場合、特に高周波音(周波数1000Hz以上5000Hz以下)の吸音性に優れている。このような発泡樹脂成形品の、例えば4000Hzでの吸音率は通常は0.63以上であり、好ましくは0.67以上、より好ましくは0.73以上である。
本発明の発泡樹脂成形品はまた、3段階以上のコアバックにより、繊維密度が段階的に異なる合計5領域(層)以上から構成される場合、高周波音(周波数1000Hz以上5000Hz以下)の吸音性だけでなく、中周波音(周波数500Hz以上1000Hz未満)および低周波音(周波数200Hz以上500Hz未満)の吸音性にも優れている。このような発泡樹脂成形品の、例えば4000Hzでの吸音率は通常は0.63以上であり、好ましくは0.67以上、より好ましくは0.73以上である。また例えば800Hzでの吸音率は通常は0.18以上であり、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.22以上である。また例えば200Hzでの吸音率は通常は0.07以上であり、好ましくは0.09以上、より好ましくは0.12以上である。
本発明の発泡樹脂成形品が吸音する高周波音、中周波音および低周波音は自動車用途において以下の音に相当する:
高周波音−エンジン放射音;
中周波音−ロードノイズ;
低周波音−エンジン振動、吸排気音。
本発明の発泡樹脂成形品において、繊維はコアバック方向の全長にわたって略一様にコアバック方向に対して平行に配向している。詳しくは、前記した密領域においても、疎領域においても、繊維は、略一様にコアバック方向に対して平行に配向している。略一様とは、厳密に全ての繊維が一方向に配向していなければならないというわけではなく、全体として一方向に配向していればよいという意味である。繊維がコアバック方向の全長にわたって略一様にコアバック方向に対して平行に配向しているとは、当該成形品におけるコアバック方向に対して平行断面の顕微鏡写真(倍率500倍)をコアバック方向の全長にわたって観察したとき、周囲の繊維とは繊維の配向方向が異なる領域が存在しないという意味である。周囲の配向繊維とは繊維の配向方向が異なる領域とは、繊維が、湾曲して配向する形態、ランダムに配向する形態、またはそれらの複合形態を有する領域という意味である。このような周囲の繊維とは繊維の配向方向が異なる領域において、空隙長は通常、20μm以下である。従って、本発明の発泡樹脂成形品は、コアバック方向の全長にわたる上記と同様の顕微鏡写真を観察し、各写真ごとに上記空隙長(任意の100個の平均値)を求めたとき、いずれの写真においても空隙長は20μm超であり、好ましくは25μm以上である。
[実施例1A]
(結晶核剤マスターバッチ)
熱可塑性樹脂としてのポリプロピレンペレット(NBX04G;日本ポリプロ社製;MFR36g/10分(230℃)、Tcps124℃)100重量部および結晶核剤としてのゲルオールMD(新日本化学社製)5.0重量部を溶融混練、冷却および粉砕して結晶核剤マスターバッチを得た。ポリプロピレンペレットの結晶化温度Tcpsでの貯蔵弾性率は1×10Paであった。
(溶融混練工程)
結晶核剤マスターバッチおよびポリプロピレンペレット(NBX04G;日本ポリプロ社製;MFR36g/10分(230℃)、Tcps124℃)を、ポリプロピレン:結晶核剤の重量比率が100:0.5となる割合でドライブレンドし、図1の発泡射出成型装置1のホッパ13からシリンダ11内に投入した。これらの混合物をシリンダ11内で185℃(=Tccf+92℃)にて溶融および混練しながら、高圧ガス供給装置17により物理発泡剤としての窒素ガスを熱可塑性樹脂100重量部に対して0.132重量部注入した。得られた熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度TccfおよびTccsを測定したところ、それぞれ93℃および124℃であり、Tccsでの貯蔵弾性率は1×10Paであった。
(射出工程)
シリンダ11内の溶融物を、固定型21および可動型22からなる金型間のキャビティ23内に射出した。金型温度は40℃(=Tccf−53℃)であり、射出速度は40mm/秒であり、キャビティの厚みは2mmであった。
(コアバック工程)
射出後、金型キャビティ内で溶融物を40MPaで5.8秒保圧した後、可動型22を4mmだけ0.2秒かけて固定型21とは反対方向にコアバックさせることにより、発泡させた(第1コアバック)。次いで、発泡体を0.5秒間保持した後、さらに可動型22を4mmだけ0.2秒かけて固定型21とは反対方向にコアバックさせることにより、発泡させた(第2コアバック)。コアバック開始時において、溶融物の温度は94℃(=Tccf+1℃)であり、溶融物中のセル径は20μm以下であった。発泡倍率は5倍であった。本工程において金型は40℃に維持した。
(冷却工程)
コアバック終了後、発泡体をそのまま40℃の金型内で保持することにより、冷却した。その後、金型を開いて発泡樹脂成形品を得た。
[実施例2A〜7A、実施例1B〜2Bおよび比較例1]
表1または表2に示すコアバック条件を採用したこと以外、実施例1Aと同様の方法により、発泡樹脂成形品を製造した。
実施例1Bでは、表2に示す条件で、第1コアバックおよび保持、第2コアバックおよび保持ならびに第3コアバックを順次行った。
実施例2Bでは、表2に示す条件で、第1コアバックおよび保持、第2コアバックおよび保持、第3コアバックおよび保持ならびに第4コアバックを順次行った。
比較例1では、表2に示す条件で、第1コアバックのみを行った。
[比較例2および3]
コアバック開始時の溶融物の温度をTccf−11℃またはTccf+22℃としたこと以外、実施例1Aと同様の方法により、発泡樹脂成形品を製造した。
比較例2(Tccf−11℃)では発泡できなかった。
比較例3(Tccf+22℃)ではコア層が中空化(空洞化)し、発泡樹脂成形品は得られなかった。
[吸音性]
発泡樹脂成形品の垂直入射吸音率を測定した。詳しくは、成形品を、そのコアバック方向が吸音率測定のための垂直方向に平行になるように用いた。測定条件を以下に示し、結果を図6〜図9および表1〜表2に示す。
測定装置:φ(直径)40mmの音響インピーダンス管装置(日東紡音響エンジニアリング(株))
測定条件:試料サイズ;φ(直径)40mm、音波入射側のスキン層を除去
(4000Hzでの吸音率)
◎;0.73以上;
○;0.67以上;
△;0.63以上(実用上問題なし);
×;0.63未満(実用上問題あり)。
(800Hzでの吸音率)
◎;0.22以上;
○;0.20以上;
△;0.18以上(実用上問題なし);
×;0.18未満(実用上問題あり)。
(200Hzでの吸音率)
◎;0.12以上;
○;0.09以上;
△;0.07以上(実用上問題なし);
×;0.07未満(実用上問題あり);
(断面撮影)
実施例1A、4A、1Bおよび2Bならびに比較例1で得られた発泡樹脂成形品をコアバック方向に対して平行および垂直に切断し、それらの断面の顕微鏡写真を撮影した。それらの撮影は、成形品のコアバック方向長さT(mm)について、可動型からT/4の位置と、T/2の位置とにおいて行った。
実施例1Aの発泡樹脂成形品について、T/4位置およびT/2位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)をそれぞれ図10Aおよび図10Bに示し、コアバック方向での空隙長を上記した方法により測定した。T/4位置およびT/2位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)をそれぞれ図10Cおよび図10Dに示し、繊維の平均径および繊維の数を上記した方法により測定した。
実施例4Aの発泡樹脂成形品について、T/4位置およびT/2位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)をそれぞれ図11Aおよび図11Bに示し、コアバック方向での空隙長を上記した方法により測定した。T/4位置およびT/2位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)をそれぞれ図11Cおよび図11Dに示し、繊維の平均径および繊維の数を上記した方法により測定した。
実施例1Bの発泡樹脂成形品について、T/4位置およびT/2位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)をそれぞれ図12Aおよび図12Bに示し、コアバック方向での空隙長を上記した方法により測定した。T/4位置およびT/2位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)をそれぞれ図12Cおよび図12Dに示し、繊維の平均径および繊維の数を上記した方法により測定した。
実施例2Bの発泡樹脂成形品について、T/4位置およびT/2位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)をそれぞれ図13Aおよび図13Bに示し、コアバック方向での空隙長を上記した方法により測定した。T/4位置およびT/2位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)をそれぞれ図13Cおよび図13Dに示し、繊維の平均径および繊維の数を上記した方法により測定した。
比較例1の発泡樹脂成形品について、T/4位置およびT/2位置でのコアバック方向に対する平行断面の顕微鏡写真(SEM)をそれぞれ図14Aおよび図14Bに示し、コアバック方向での空隙長を上記した方法により測定した。T/4位置およびT/2位置でのコアバック方向に対する垂直断面の顕微鏡写真(SEM)をそれぞれ図14Cおよび図14Dに示し、繊維の平均径および繊維の数を上記した方法により測定した。
[測定]
溶融物の結晶化温度TccsおよびTccf、溶融物のTccs(℃)での貯蔵弾性率、熱可塑性樹脂の結晶化温度Tcps、熱可塑性樹脂のTcpsでの貯蔵弾性率、コアバック開始時における溶融物の温度、コアバック開始時における溶融物の貯蔵弾性率、コアバック開始時における溶融物中のセル径は、繊維の平均径、繊維の数を前記した方法により測定した。
全ての実施例で得られた発泡樹脂成形品について、コアバック方向に対して垂直に切断した任意の断面の顕微鏡写真(倍率500倍)100枚において、環状のセル壁33の内部の奥行に孔がなく、独立気泡であるセルの合計数は0個以下であった。
全ての実施例で得られた発泡樹脂成形品について、コアバック方向の全長にわたって、コアバック方向に対して平行断面の顕微鏡写真(倍率500倍)を撮影した。各写真ごとに空隙長(任意の100個の平均値)を求めたとき、いずれの写真においても空隙長は25μm以上であり、かつ繊維は略一様にコアバック方向に対して平行に配向していた。
本発明に係る射出成形法に基づく繊維質発泡樹脂成形品の製造方法により製造される発泡樹脂成形品は、衝撃吸収材、断熱材、吸音材として有用である。
1:発泡射出成形装置
10:スクリューフィーダ
11:シリンダ
12:スクリュー軸
13:ホッパ
14:チェックリング
15:円錐形状のヘッド
16:ノズル
17:高圧ガス供給装置
20:金型装置
21:固定型
22:可動型
23:キャビティ
24:温度圧力センサー
25:冷却機構
30:繊維状物
31:32:非環状セル壁痕
33:環状セル壁

Claims (30)

  1. 物理発泡剤および熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融および混練し、固定型と可動型からなる金型内に射出した後、可動型をコアバックさせることにより、熱可塑性組成物を発泡および繊維化させつつ成形する発泡樹脂成形品の製造方法であって、
    熱可塑性樹脂組成物の冷却速度19℃/秒での結晶化温度をTccf(℃)としたとき、コアバックを、熱可塑性樹脂組成物の温度がTccf−10℃〜Tccf+20℃であるときに開始し、かつ多段階で行う、発泡樹脂成形品の製造方法。
  2. 全段階のコアバックのうち、第2段階以降のコアバックは、直前の段階のコアバックが終了し、コアバックを停止する保持時間を確保した後に行う、請求項1に記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記各保持時間が0.1〜5.0秒間である、請求項2に記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記保持時間の合計が0.5〜5.0秒間である、請求項2または3に記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  5. 前記多段階のコアバックにおける各段階のコアバック量がそれぞれ独立して、可動型の最終的な全コアバック量K(mm)に対して、0.1×K〜0.9×Kである、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  6. 第2段階以降のコアバックにおけるコアバック量が直前の段階のコアバックにおけるコアバック量以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  7. 前記コアバックを2段階で行い、
    第1段階のコアバックにおける第1コアバック量が、可動型の最終的な全コアバック量K(mm)に対して、0.4×K〜0.9×Kである、請求項1〜6のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  8. 前記コアバックを3段階で行い、
    第1段階のコアバックにおける第1コアバック量および第2段階のコアバックにおける第2コアバック量がそれぞれ独立して、可動型の最終的な全コアバック量K(mm)に対して、0.3×K〜0.5×Kであり、
    第3段階のコアバックにおける第3コアバック量が、0.2×K〜0.4×Kである、請求項1〜6のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  9. 前記コアバックを4〜5段階で行い、
    第1段階のコアバックにおける第1コアバック量、第2段階のコアバックにおける第2コアバック量、第3段階のコアバックにおける第3コアバック量、および第4段階のコアバックにおける第4コアバック量がそれぞれ独立して、可動型の最終的な全コアバック量K(mm)に対して、0.2×K〜0.35×Kである、請求項1〜6のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  10. 前記コアバックを多段階で行うことにより、繊維密度が相対的に高い密領域および相対的に低い疎領域を形成する、請求項1〜9のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  11. 前記発泡樹脂成形品において、コアバック方向における中央部が相対的に高い繊維密度の密領域により構成され、前記コアバック方向において前記中央部から離れるに従って繊維密度が段階的かつ相対的に低くなる、請求項1〜10のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  12. 前記発泡樹脂成形品のコアバック方向の長さをT(mm)、コアバック方向の端面からT/4の位置およびT/2の位置においてコアバック方向に対する平行断面における空隙長をそれぞれLT/4(μm)およびLT/2(μm)としたとき、
    T/4/LT/2が1.5以上である、請求項1〜11のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  13. 前記LT/4が40〜150μmであり、
    前記LT/2が25〜80μmである、請求項12に記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  14. 前記発泡樹脂成形品のコアバック方向の長さをT(mm)、コアバック方向の端面からT/4の位置およびT/2の位置においてコアバック方向に対する垂直断面における繊維の平均径をそれぞれDT/4およびDT/2としたとき、
    T/4は9μm以下であり、
    T/2は10μm以下である、請求項1〜13のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  15. 前記発泡樹脂成形品のコアバック方向の長さをT(mm)、コアバック方向の端面からT/4の位置およびT/2の位置においてコアバック方向に対する垂直断面における繊維の数をそれぞれNT/4およびNT/2としたとき、
    T/4は40個/100μm以上であり、
    T/2は45個/100μm以上である、請求項1〜14のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  16. 熱可塑性樹脂組成物が、該熱可塑性樹脂組成物の冷却速度10℃/分での結晶化温度Tccsにおいて1×10〜5×10Paの貯蔵弾性率を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  17. 熱可塑性樹脂組成物が結晶核剤をさらに含有する、請求項1〜16のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  18. 熱可塑性樹脂が、冷却速度10℃/分での結晶化温度Tcpsを90〜210℃に有し、かつTcpsにおいて1×10〜1)×10Paの貯蔵弾性率を有するポリマーである、請求項1〜17のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  19. 熱可塑性樹脂組成物を金型内に射出した後、金型内で熱可塑性樹脂組成物を保圧し、可動型のコアバックを開始する、請求項1〜18のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  20. コアバック開始時において金型内の熱可塑性樹脂組成物中のセル径が30μm以下である、請求項1〜19のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  21. 発泡を3〜8倍の発泡倍率で行う、請求項1〜20のいずれかに記載の発泡樹脂成形品の製造方法。
  22. 熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物からなる発泡樹脂成形品であって、
    内部において繊維化されており、繊維密度が相対的に高い密領域および相対的に低い疎領域を有する、発泡樹脂成形品。
  23. 前記発泡樹脂成形品において、前記繊維が配向しており、前記繊維の配向方向における中央部が相対的に高い繊維密度の密領域により構成され、前記繊維の配向方向において前記中央部から離れるに従って繊維密度が段階的かつ相対的に低くなっている、請求項22に記載の発泡樹脂成形品。
  24. 前記発泡樹脂成形品の繊維配向方向の長さをT(mm)、繊維配向方向に対する平行断面において、繊維配向方向の端面からT/4の位置およびT/2の位置の空隙長をそれぞれLT/4(μm)およびLT/2(μm)としたとき、
    T/4/LT/2が1.5以上である、請求項22または23に記載の発泡樹脂成形品。
  25. 前記LT/4が40〜150μmであり、
    前記LT/2が25〜80μmである、請求項24に記載の発泡樹脂成形品。
  26. 前記発泡樹脂成形品の繊維配向方向の長さをT(mm)、繊維配向方向の端面からT/4の位置およびT/2の位置において繊維配向方向に対する垂直断面における繊維の平均径をそれぞれDT/4およびDT/2としたとき、
    T/4は9μm以下であり、
    T/2は10μm以下である、請求項22〜25のいずれかに記載の発泡樹脂成形品。
  27. 前記発泡樹脂成形品の繊維配向方向の長さをT(mm)、繊維配向方向の端面からT/4の位置およびT/2の位置において繊維配向方向に対する垂直断面における繊維の数をそれぞれNT/4およびNT/2としたとき、
    T/4は40個/100μm以上であり、
    T/2は45個/100μm以上である、請求項22〜26のいずれかに記載の発泡樹脂成形品。
  28. 前記熱可塑性樹脂組成物が、該熱可塑性樹脂組成物の冷却速度10℃/分での結晶化温度Tccsにおいて1×10〜5×10Paの貯蔵弾性率を有する、請求項22〜27のいずれかに記載の発泡樹脂成形品。
  29. 熱可塑性樹脂組成物が結晶核剤をさらに含有する、請求項22〜28のいずれかに記載の発泡樹脂成形品。
  30. 熱可塑性樹脂が、冷却速度10℃/分での結晶化温度Tcpsを90〜210℃に有し、かつTcpsにおいて1×10〜1×10Paの貯蔵弾性率を有するポリマーである、請求項22〜29のいずれかに記載の発泡樹脂成形品。
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