JP2017177213A - 成形状態推定方法およびそのプログラムならびに鍛造製品の製造方法 - Google Patents

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【課題】 熱間型打ち鍛造中の鍛造素材と金型との接触部におけるすべり速度と、面圧と、前記鍛造素材に被覆されたガラス潤滑剤の粘度により摩擦係数を算出する成形状態推定方法を提供する。【解決手段】金型により熱間型打ち鍛造される鍛造素材の成形状態を、金型と鍛造素材とが接触する所定の部分の摩擦係数を算出し、一定の時間毎に摩擦係数の分布を繰返し計算することにより、成形状態を有限要素法によってシミュレーションする成形状態推定方法であって、前記、摩擦係数は、熱間型打ち鍛造中の鍛造素材と金型とのすべり速度と、金型と鍛造素材との接触する面の面圧と、前記鍛造素材に被覆されたガラス潤滑剤の粘度により算出する成形状態推定方法。【選択図】 図3

Description

本発明は、成形状態推定方法およびそのプログラムならびに鍛造製品の製造方法に関するものである。
熱間型打ち鍛造において、一般的に金型と鍛造素材とが接触する所定の部分(以下、「接触部」と記載)の摩擦状態は、接触部の位置によって異なるため、有限要素法を用いた鍛造シミュレーションにおいて各接触部の摩擦状態を摩擦係数で表現した場合、摩擦係数は、接触部ごとに異なる値となる。また、鍛造中の各接触部の摩擦状態の経時的な変化を考慮する場合には、摩擦係数を一定の時間ごとに繰り返し計算する必要がある。
このように、接触部の摩擦係数を各接触部の位置ごとに分布させ、かつ摩擦係数の経時的な変化を鍛造シミュレーション上に反映させることによって、熱間型打ち鍛造のシミュレーション精度を向上させる方法が用いられている。たとえば、各接触部の摺動回数と摺動距離から摩擦係数を予測し、鍛造シミュレーションに反映する方法(特許文献1)や、各接触部の面圧とすべり速度から摩擦係数を予測し、鍛造シミュレーションに反映する方法(特許文献2)がある。
特開2009−2926号公報 特開2013−210735号公報
例えば、熱間型打ち鍛造には、摩擦や摩耗状態の制御や、焼付きの防止のために、潤滑剤が鍛造素材に被覆されている。熱間型打ち鍛造では、潤滑剤が金型や鍛造素材と同様に高温状態となるため、ガラス潤滑が適用される場合が多い。前記の特許文献1、2では、ガラス潤滑剤の存在は考慮されていない。
本発明の目的は、潤滑剤の存在を考慮した高精度の成形状態推定方法およびそのプログラムならびに鍛造製品の製造方法を提供することである。
本発明者は、熱間型打ち鍛造に用いるガラス潤滑剤の粘度の温度依存性を測定した。次に、前記温度依存性の測定結果と、下記の特別な数式を用いることによって、ガラス潤滑剤の粘度の面圧依存性を推定した。前記、ガラス潤滑剤の粘度の温度依存性と面圧依存性に加えて、温度、すべり速度、面圧を組み合わせた摩擦係数の予測式を立て、有限要素法による鍛造シミュレーション中に前記予測式を組み込んだ。前記予測式を組み込んだ鍛造シミュレーションにおいて、一定の時間ごとに前記予測式によって摩擦係数を繰り返し計算するように設定することで、荷重変化をはじめとする成形状態について、鍛造シミュレーションの精度を高めることが出来ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、金型により熱間型打ち鍛造される鍛造素材の成形状態を、金型と鍛造素材とが接触する所定の部分の摩擦係数を算出し、一定の時間毎に摩擦係数の分布を繰返し計算することにより、成形状態を有限要素法によってシミュレーションする成形状態推定方法であって、前記摩擦係数は、熱間型打ち鍛造中の鍛造素材と金型とのすべり速度と、金型と鍛造素材との接触する面の面圧と、前記鍛造素材に被覆されたガラス潤滑剤の粘度とにより算出する成形状態推定方法である。
また本発明は、金型により熱間型打ち鍛造される鍛造素材の成形状態を、金型と鍛造素材とが接触する所定の部分の摩擦係数を算出し、一定の時間毎に摩擦係数の分布を繰返し計算することにより、成形状態を有限要素法によってコンピュータにシミュレーションさせるプログラムであって、前記摩擦係数は、熱間型打ち鍛造中の鍛造素材と金型とのすべり速度と、金型と鍛造素材との接触する面の面圧と、前記鍛造素材に被覆されたガラス潤滑剤の粘度とにより算出するプログラムである。
また本発明は、前記成形状態推定方法の結果を基にして熱間型打ち鍛造条件を設定し、前記設定した熱間型打ち鍛造条件で鍛造素材の熱間型打ち鍛造を行い、鍛造製品を得る鍛造製品の製造方法である。
また本発明は、前記プログラムを用いて鍛造素材の成形状態をシミュレーションした結果を基にして熱間型打ち鍛造条件を設定し、前記設定した熱間型打ち鍛造条件で鍛造素材の熱間型打ち鍛造を行い、鍛造製品を得る鍛造製品の製造方法である。
本発明によれば、鍛造素材と金型とのすべり速度と、金型と鍛造素材との接触する面の面圧と、前記鍛造素材に被覆されたガラス潤滑剤の粘度とにより算出した摩擦係数の予測式を用いることによって、高精度な熱間型打ち鍛造シミュレーションによって、実際の成形状態を高精度に推定することができ、鍛造素材の熱間型打ち鍛造において、良好な鍛造製品を得ることが可能となる。
相対的な運動をする2面間の摩擦環境を説明する、一般的なストライベック線図を示す図である。 実施例1,2で用いたガラス潤滑剤の粘度の温度依存性の測定結果を示す図である。 実施例1,2で用いた金型と鍛造素材の形状を示す図である。 実施例1の熱間型打ち圧縮試験で鍛造時間を10秒とした時の、上金型のストローク量に対する荷重値を示す図である。 実施例1の熱間型打ち圧縮試験で鍛造時間を20秒とした時の、上金型のストローク量に対する荷重値を示す図である。 実施例2の熱間型打ち圧縮試験で、鍛造素材に塗布するガラス潤滑剤の量を実施例1よりも減らし、鍛造時間を15秒とした時の、上金型のストローク量に対する荷重値を示す図である。 実施例2の熱間型打ち圧縮試験で、鍛造後の鍛造素材が下金型と接触した各表面において、膜厚計を用いて、鍛造前のガラス潤滑剤の初期厚みからの変化率を測定した結果を示す図である。
金型により熱間型打ち鍛造される鍛造素材の成形状態を、金型と鍛造素材とが接触する所定の部分の摩擦係数を算出し、一定の時間毎に摩擦係数の分布を繰返し計算することにより、有限要素法によってシミュレーションする成形状態推定方法において、流体の一種である潤滑剤の粘度は、一般に温度と圧力に依存することが知られている。粘度の温度依存性の測定には平行板粘度計などが用いられる。温度依存性は、数式1(ASTM−Waltherの式)で近似することが多い。
ASTM−Waltherの式は、粘度の温度依存性を流体の粘度η(Pa・s)と、流体の密度ρ(kg/m)と、温度T(℃)と、係数m、bによって、下記の数式1の形に表したものである。
粘度の圧力依存性の測定には、例えば落球式高圧粘度計などが用いられる。粘度の圧力依存性は、数式2(Barusの式)で近似されることが多い。数式2中には、粘度−圧力係数αが含まれており、係数αの値は測定結果から直接求めるか、或いは前記の温度依存性の結果と、数式3(Wu and Klausの式)を用いることによって、推定することも可能である。
前記Barusの式は、流体の粘度η(Pa・s)の圧力依存性を、常圧粘度η(Pa・s)、粘度‐圧力係数α(MPa−1)と圧力P(MPa)を用いて、下記の数式2の形に表したものである。
また、前記Wu and Klausの式は、数式2中の粘度‐圧力係数α(MPa−1)を、ある特定の温度における流体の粘度η(Pa・s)と、流体の密度ρ(kg/m)と、係数mを用いて、下記の数式3の形に表したものである。
以上のように、測定結果や数式を組み合わせることによって、潤滑剤の粘度を温度と圧力の関数として定義できる。
相対的な運動をする2面間の摩擦環境を説明するために、ストライベック線図が用いられる。具体的には図1のように、摩擦係数は2面間を介する潤滑剤の粘度と、2面間のすべり速度および面圧に依存し、それぞれを組み合わせた量である(粘度)×(すべり速度)/(面圧)によって定性的に変化することを示した図である。
この図によれば、2面間の摩擦環境は、(1)潤滑剤が2面間に介在し、完全に両者を分離している状態の流体潤滑領域、(2)潤滑剤の厚みが薄くなり、2面間に潤滑剤が介在する局所的な部分と、2面間が固体接触する局所的な部分とが混合する混合潤滑領域、(3)潤滑剤の厚さが更に薄くなり、2面間が固体接触する部分の割合が多数を占める境界潤滑領域、の3領域に区分される。
このストライベック線図の考え方に基づいて、摩擦係数を(粘度)×(すべり速度)/(面圧)の関数として定義した予測式を鍛造シミュレーションに予め組み込んでおき、鍛造シミュレーション中では一定の時間ごとに、各接触部の粘度と、すべり速度と、面圧を読み込んで、前記の摩擦係数の予測式に代入すれば、各接触部において個別に摩擦係数を算出することが可能である。個別に摩擦係数を算出することで、摩擦係数の分布を計算することができる。
摩擦係数の予測式として、前記の3領域の切り替わりを考慮した形の式を定義できれば、あらゆる潤滑状態において適正な摩擦係数を算出することが可能となるが、実際には摩擦領域の切り替わりを表現することは難しく、鍛造中は常に流体潤滑領域にいるなど、単一の領域の摩擦状態をとる鍛造状態であることが好ましい。
ただし、鍛造中に単一の摩擦状態をとらず、前記の3領域の切り替わりが発生する場合もある。たとえば鍛造中に、特定の接触部で摺動距離が増大した結果、その接触部において潤滑切れが発生し、接触部の潤滑状態が流体潤滑領域から混合潤滑領域、あるいは境界潤滑領域へと切り替わる例が挙げられる。このような現象をシミュレーション上で考慮するためには、たとえば前述の(粘度)×(すべり速度)/(面圧)を用いて摩擦係数を算出するプログラムの中に、(粘度)×(すべり速度)/(面圧)が特定のしきい値を下回った場合には、摩擦係数が(粘度)×(すべり速度)/(面圧)に対して単調減少する、境界潤滑領域に相当する摩擦係数を与える機能を、鍛造シミュレーション上に追加する方法や、あるいは各接触部での摺動距離を一定の時間ごとに算出し、摺動距離が特定のしきい値を超えた場合には、前述の(粘度)×(すべり速度)/(面圧)の値に関わらず、混合潤滑領域に相当する一定の摩擦係数を与える機能を、鍛造シミュレーション上に追加する方法などが考えられる。
前述の図1のストライベック線図の考え方に基づき、摩擦係数を(粘度)×(すべり速度)/(面圧)の関数として定義した予測式のうち、(粘度)の部分に、粘度の温度・圧力依存性を表す数式1、2、3を代入することによって、ストライベック線図に基づいて定義した摩擦係数の予測式に、熱間型打ち鍛造に使用するガラス潤滑剤の粘度の物性的な変化の影響を組み込むことが可能となる。
以上のような摩擦係数を予測するプログラムを鍛造シミュレーションに反映させることによって、実際の成形状態を高精度に推定することができ、鍛造素材の熱間型打ち鍛造において、良好な鍛造製品を得ることが可能となる。特に、ガラス潤滑剤を必要とし、シミュレーションにより予め鍛造中の素材の変形、鍛造荷重等の確認が必要な、例えば、航空機部品や発電用部品などの大型で、且つ難加工性の鍛造製品の熱間鍛造には好適である。なお、前記の難加工性材料の代表例としては、チタン合金やニッケル基超耐熱合金が挙げられる。
本実施例で用いたガラス潤滑剤において、粘度の温度依存性を測定した。その結果を図2に破線で示す。概ね高温状態ほど、粘度が低下することが確認された。
この測定結果に対し、ガラス潤滑剤の密度をρ=2400(kg/m)として、数式1を用いた最小二乗法を適用することによって、数式1中の係数m=1.7、b=6.0を得た。図2中には、前記の係数を用いた近似式を実線で示す。前記のm、bの値を数式1に代入することにより、本実施例で用いたガラス潤滑剤について、粘度η(Pa・s)の温度T(℃)に対する依存性を表す式を、下記の数式4のように決定した。
本実施例で用いたガラス潤滑剤の面圧依存性を、数式2のBarusの式の形で表すために、数式2中の粘度−圧力係数αを求めた。本実施例では、αの値を数式1のASTM−Waltherの式と、数式3のWu and Klausの式を組み合わせて推定する方法を用いた。具体的には、図1から、500℃での潤滑材の粘度は1.0×1014(Pa・s)、900℃における粘度は1.0×10(Pa・s)であることが解る。また前記のように数式1の係数m=1.7であることを既に求めている。これらの温度、粘度、およびmの値を数式3に代入して、500℃でα=0.060(MPa−1)、900℃においてα=0.027(MPa−1)を得た。
本実施例では、αの値を前記の平均を取るα=0.04(MPa−1)一定として数式2に代入し、本実施例で用いたガラス潤滑剤について、粘度η(Pa・s)の面圧P(MPa)に対する依存性を表す数式を、下記の数式5のように決定した。
鍛造シミュレーションに組み入れた摩擦係数の予測式は、図1に示した3つの摩擦領域のうち、鍛造中の潤滑状態が常に流体潤滑領域にあると仮定して、摩擦係数が(粘度)×(すべり速度)/(面圧)に対して単調増加する式の形とした。この(粘度)×(すべり速度)/(面圧)を用いて定義した摩擦係数の予測式の(粘度)の部分に、前記の数式4、5を代入することによって、摩擦係数の予測式に、本実施例で用いたガラス潤滑剤の粘度の物性的な変化を反映させた。
実施例1として、図3に示す軸対称形状を持つ金型6と鍛造素材7を用いて、熱間型打ち試験を実施した。金型6はあらかじめ500℃に加熱され、鍛造素材7はあらかじめ一定の膜厚のガラス潤滑剤を全体に塗布したのち、1000℃に加熱されたものを用いた。
試験は、鍛造後に得られる鍛造素材の形状は同一であるが、鍛造時間をそれぞれ10秒、20秒とした2条件で実施した。また、鍛造時には上金型のストローク量と荷重値の時間的変化を、データロガーを用いて実測した。鍛造時間が10秒の圧縮試験について試験時に採取したデータのうち、横軸に上金型のストローク量(mm)を、縦軸に荷重値(tonf)の値をプロットしたものを図4に、鍛造時間が20秒の圧縮試験について、同様の横軸、縦軸の値をプロットしたものを図5に、それぞれ破線で示す。
鍛造後の鍛造素材を確認したところ、ガラス潤滑剤は局所的な潤滑切れなどは見られず、鍛造素材表面にわたって被覆が残存した状態を保っており、本実施例の熱間型打ち試験での鍛造中の潤滑状態は、常に流体潤滑状態であったと推定された。
前記実施例1の熱間型打ち試験を再現した鍛造シミュレーションを実施するための、シミュレーションモデルを作成した。このモデルでは、金型と鍛造素材の形状を実際の形状図3と一致させた。金型は剛体、鍛造素材は剛塑性体の設定とした。鍛造素材のひずみ―応力曲線は、別の圧縮試験によって得られた、温度とひずみ速度の依存性を持つものを設定した。
金型と鍛造素材の温度、上金型のストローク量の時間的変化は、前述の熱間型打ち試験から得た実測のストローク量を反映させた。金型と鍛造素材間の境界条件として、前記のように摩擦係数が(粘度)×(すべり速度)/(面圧)に対して単調増加し、かつ(粘度)の部分には、前記の数式4、5を代入することによって、本実施例1で用いたガラス潤滑剤の粘度の物性的な変化を反映させた摩擦係数の予測式を組み入れた。このようにして作成したモデルで鍛造シミュレーションを実施し、得られた荷重変化のプロットを、図4、図5に実線で示す。また、従来例として、摩擦係数を一定値とした場合の鍛造シミュレーションの結果も、図4、図5に一点鎖線で示す。
図4では、従来例と本発明の摩擦係数の予測式を適用した鍛造シミュレーション結果を比較しても、荷重の再現精度に大きな違いは見られなかった。摩擦係数を一定値とした従来例のシミュレーション結果でも、荷重の再現精度が良好であることから、図4の熱間型打ち鍛造試験では、摩擦状態が各接触部で均一であったと推定される。また、本発明の摩擦係数の予測式を用いた鍛造シミュレーション結果でも、荷重の再現精度が良好であったことから、本発明の摩擦係数の予測式によって、鍛造中の摩擦状態が各接触部で均一な状態であっても、シミュレーション精度が良好となることを確認した。
一方、図5では、摩擦係数を一定とした場合のシミュレーション結果は、上金型のストローク量が38(mm)以上の領域において、荷重の再現精度が悪化することを確認した。このことから、図5の熱間型打ち鍛造試験では、摩擦状態が各接触部で不均一であったと推定される。一方、本発明の摩擦係数の予測式を用いた鍛造シミュレーション結果は、上金型のストローク量が38(mm)以上の領域においても、荷重の再現精度を保つことを確認した。よって、本発明の摩擦係数の予測式によって、鍛造中の摩擦状態が各接触部で不均一な状態であっても、各接触部の摩擦状態を良く再現でき、その結果、シミュレーション精度が良好となることを確認した。
実施例2として、前記実施例1からガラス潤滑剤の塗布量を減らし、潤滑剤の厚みを減らした試験を実施した。金型6は500℃に加熱され、鍛造素材7はあらかじめ一定の膜厚のガラス潤滑剤を全体に塗布したのち、1000℃に加熱されたものを用いた。
試験は、鍛造時間を15秒で実施した。また、鍛造時には上金型のストローク量と荷重値の時間的変化を、データロガーを用いて実測した。本試験について試験時に採取したデータのうち、横軸に上金型のストローク量(mm)を、縦軸に荷重値(tonf)の値をプロットしたものを図6に、破線で示す。
鍛造後の鍛造素材を確認したところ、鍛造素材の表面の一部で、潤滑切れが発生していた。鍛造後の鍛造素材が下金型と接触した各表面において、膜厚計を用いて、鍛造前のガラス潤滑剤の初期厚みからの変化率を調査した結果を図7に示す。この膜厚の結果から、潤滑切れが生じた接触部は、鍛造素材の対称軸からの距離がおよそ150(mm)以上である領域であることが確認された。このことから、鍛造後の鍛造素材の対称軸からの距離がおよそ150(mm)以上となっている領域では、鍛造途中で摺動距離が一定値以上に達したために潤滑切れが発生し、潤滑状態が流体潤滑領域から混合潤滑領域、あるいは境界潤滑領域へと切り替わったものと推定された。
前記実施例2の熱間型打ち試験を再現した鍛造シミュレーションを実施した。このモデルでは、金型と鍛造素材の形状を実際の形状(図3)と一致させた。金型は剛体、鍛造素材は剛塑性体の設定とした。鍛造素材のひずみ―応力曲線は、別の圧縮試験によって得られた、温度とひずみ速度の依存性を持つものを設定した。
金型と鍛造素材の温度、上金型のストローク量の時間的変化は、前述の熱間型打ち試験から得た実測のストローク量を反映させた。金型と鍛造素材間の境界条件として、前記のように摩擦係数が(粘度)×(すべり速度)/(面圧)に対して単調増加し、かつ(粘度)の部分には、前記の数式4、5を代入することによって、本実施例2で用いたガラス潤滑剤の粘度の物性的な変化を反映させた摩擦係数の予測式を組み入れた。このようにして作成したモデルで鍛造シミュレーションを実施し、得られた荷重変化のプロットを、図6に黒丸のプロットおよび実線で示す。さらに、前述の(粘度)×(すべり速度)/(面圧)による摩擦係数の予測式に加えて、鍛造素材の金型に対する摺動距離が150(mm)以上となった接触部については、(粘度)×(すべり速度)/(面圧)の値に関わらず、摩擦係数が一定値をとるように設定した鍛造シミュレーションも実施した。そこで得られた荷重変化のプロットを、図6に白丸のプロットおよび一点鎖線で示す。
図6の各プロットの比較結果から、接触部において潤滑切れが発生する場合には、前述の(粘度)×(すべり速度)/(面圧)による摩擦係数の予測式のみを反映させた鍛造シミュレーションでは、上金型のストローク量が37(mm)以上の領域で実測の最大荷重を十分に再現できていないが、前述の(粘度)×(すべり速度)/(面圧)による摩擦係数の予測式に加えて、鍛造素材の金型に対する摺動距離が一定値以上となった接触部では、(粘度)×(すべり速度)/(面圧)の値に関わらず、摩擦係数が一定値をとるように設定した鍛造シミュレーションでは、上金型のストローク量が37(mm)以上の領域でも各接触部の摩擦状態を良く再現でき、その結果、シミュレーション精度が良好となることを確認した。
本発明の成形状態推定方法は、潤滑剤を用いた熱間型打ち鍛造での接触部の摩擦状態の予測や、鍛造シミュレーションに利用できる。また、本発明の摩擦係数を予測するプログラムを鍛造シミュレーションに反映させることによって、実際の成形状態を高精度に推定することができ、鍛造素材の熱間型打ち鍛造において、良好な鍛造製品を得ることが可能となる。
1 流体潤滑領域
2 混合潤滑領域
3 境界潤滑領域
4 対称軸
5 鍛造素材
6 上金型
7 下金型

Claims (4)

  1. 金型により熱間型打ち鍛造される鍛造素材の成形状態を、金型と鍛造素材とが接触する所定の部分の摩擦係数を算出し、一定の時間毎に摩擦係数の分布を繰返し計算することにより、有限要素法によってシミュレーションする成形状態推定方法であって、前記摩擦係数は、熱間型打ち鍛造中の鍛造素材と金型とのすべり速度と、金型と鍛造素材との接触する面の面圧と、前記鍛造素材に被覆されたガラス潤滑剤の粘度とにより算出することを特徴とする成形状態推定方法。
  2. 金型により熱間型打ち鍛造される鍛造素材の成形状態を、金型と鍛造素材とが接触する所定の部分の摩擦係数を算出し、一定の時間毎に摩擦係数の分布を繰返し計算することにより、有限要素法によってコンピュータにシミュレーションさせるプログラムであって、前記摩擦係数は、熱間型打ち鍛造中の鍛造素材と金型とのすべり速度と、金型と鍛造素材との接触する面の面圧と、前記鍛造素材に被覆されたガラス潤滑剤の粘度とにより算出することを特徴とするプログラム。
  3. 請求項1に記載の成形状態推定方法の結果を基にして熱間型打ち鍛造条件を設定し、前記設定した熱間型打ち鍛造条件で鍛造素材の熱間型打ち鍛造を行い、鍛造製品を得ることを特徴とする鍛造製品の製造方法。
  4. 請求項2に記載のプログラムを用いて鍛造素材の成形状態をシミュレーションした結果を基にして熱間型打ち鍛造条件を設定し、前記設定した熱間型打ち鍛造条件で鍛造素材の熱間型打ち鍛造を行い、鍛造製品を得ることを特徴とする鍛造製品の製造方法。

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CN114653875A (zh) * 2020-12-23 2022-06-24 丰田自动车株式会社 粘附预测方法、粘附预测程序、以及粘附预测装置

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