JP2017176127A - ペットの体位固定パッド - Google Patents

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昇 上山
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白一 平林
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Abstract

【課題】ペットにストレスを与えることなく、耐久性があり反復利用ができ、動物病院の獣医および医療従事者の操作が簡単なペットの体位固定パッドを提供する。【解決手段】給脱気部を具備する気体非透過性袋体2の内部にクッション体3が内蔵され、このクッション体は、閉じられた周辺部を有する、織物または編物で作られた布地からなる気体透過性袋体であり、該袋体の布地同士が連結部により連結されて2つの主平面を有するキルティング状袋体であり、該袋体の内部に発泡ビーズが充填され、ペットの体位の位置を確定後、気体非透過性袋体内の空気を脱気することにより、クッション体と気体非透過性袋体とが密着するとともに、発泡ビーズがクッション体の内部で固定することにより、ペットの体の全部または一部が固定される。【選択図】図1

Description

本発明はペットの体位固定パッドに関し、特に動物病院におけるペットの施術用体位固定パッドに関する。
犬や猫などのペットが家族の一員となるに従い、動物病院において不妊去勢手術、膀胱・胃腸管等の切開および吻合手術、各種骨折や椎間板ヘルニア手術、門脈シャント手術、各種腫瘍切除手術、CTスキャン等がなされている。ペットの手術は、麻酔を併用する場合が多く、その場合、ペットの手術時の体位を固定させる体位固定パッドが重要となる。また、麻酔を使用しない手術においても、ペットにストレスを与えることなく施術するための体位固定パッドが重要となる。
このような体位固定パッドは、(1)ペットの体位固定準備に要する時間が短く、検査中におけるペットの体位固定が容易であることなど、ペットにストレスを与えないこと、(2)耐久性があり反復利用ができること、(3)動物病院の獣医および医療従事者の操作が簡単であること等が要求されている。
人間の医療用体位固定パッドとして、RFコイルから被検体に向けて高周波パルスを印加し、収集されたNMR信号を再構成して磁気共鳴画像を得るMRI装置に用いる磁場歪除去具であって、この磁場歪除去具は、ガスバリア性を有し空気を内包する袋体の内部に、鉄あるいはコバルト系の材料を溶解した水溶性溶液と、該水溶性溶液を袋体の内部で均一に分散分布させるための粒状体であり、この粒状体が粒径0.3mm〜2mmの中実体または中空体からなる発泡樹脂であり、この粒状体を内蔵したクッション体であることを特徴とするMRI装置の磁場歪除去クッションが知られている(特許文献1)。
しかしながら、この医療用体位固定パッドは1つの袋体の内部に発泡樹脂の粒状体が封入されているので、患者の体重が袋体に印加されると、袋体内部の粒状体が袋体内部で体重が印加されない方向に移動し粒状体に偏りが生じる。そのため、一番体重がかかる部位をサポートする場所に必要量の粒状体が存在しなくなり、患者の身体に「底着き感」と「硬さ」が伝わりやすくなる。また、これら「底着き感」や「硬さ」を修正して患者の体位を固定するための準備に要する時間が長くなるという問題がある。これらの問題により患者にとって優しい体位固定パッドではなくなり、また、測定前の準備時間が長くなり、医療機器類の実働時間が短くなるという問題がある。この人間の医療用体位固定パッドをペット用に転用しても「底着き感」や「硬さ」が伝わりペットにストレスを与えることになる。
一方、島状に複数個点在する連結部と、閉じられた周辺部とにより、2枚の布地が袋状となり、該袋状の内部に平均粒径が0.1〜1.0mmの発泡ビーズを充填してなり、連結部および周辺部が2枚の布地の縫い合わせ、または2枚の布地の同時織りにより一体化されていることを特徴とする発泡ビーズ充填用品が知られている(特許文献2)。
特許第5212026号公報 特許第5184796号公報
本発明は、動物病院におけるペットの医療用体位固定パッドとして、(1)ペットの体位固定準備に要する時間が短く、検査中におけるペットの体位固定が容易であることなど、ペットにストレスを与えないこと、(2)耐久性があり反復利用ができること、(3)動物病院の獣医および医療従事者の操作が簡単であること等が可能となるペットの体位固定パッドの提供を目的とする。
本発明のペットの体位固定パッドは、給脱気部を具備する気体非透過性袋体の内部に、クッション体が内蔵されている。このクッション体は、全周囲が閉じられた周辺部を有する、織物または編物で作られた布地からなる気体透過性袋体の内部に発泡ビーズが充填され、該袋体の2つの主平面を構成する2枚の布地同士が連結部により連結されたキルティング状袋体である。また、このクッション体は、上記2つの主平面が平坦性を保ちながら変形することができる。本発明のペットの体位固定パッドは、脱気前の体位固定パッドを用いてペットの体位の位置を確定後、上記気体非透過性袋体内の空気を脱気することにより、上記クッション体と上記気体非透過性袋体とが密着するとともに、上記発泡ビーズが上記クッション体の内部で固定することにより、ペットの体の全部または一部が固定されることを特徴とする。
本発明のペットの体位固定パッドは、複数個の上記気体非透過性袋体の外周縁が結合されていることを特徴とする。
また、上記クッション体の2つの主平面を構成する2枚の布地同士を連結する連結部は、島状に複数個存在する連結部であるか、または、2つの主平面の表面において相互に交差することなく、周辺部の辺の方向に平行に線状に複数個存在する連結部であることを特徴とする。
上記クッション体の連結部および上記袋体の周辺部が上記2つの主平面を構成する布地同士の縫い合わせ、または上記2つの主平面を構成する布地同士の同時縫製により一体化されていることを特徴とする。また、充填される発泡ビーズがポリオレフィン系複合樹脂発泡体粒子であることを特徴とする。特に上記発泡ビーズの表面が滑性処理されていることを特徴とする。
本発明のペットの体位固定パッドは、ビーズが充填された連結部を有する気体透過性袋体を内蔵する気体非透過性袋体であるので、充填された発泡ビーズが外皮となる気体非透過性袋体内で自由に移動することがない。そのため、動物病院におけるペットの体位固定パッドとして使用前および使用中でもペットに対して「底着き感」や「硬さ」が伝わらない。また、体位固定パッド使用に際して、事前の平滑化、ペットの体位を固定するのに時間がかからないので、医療機器をアイドリングさせたり、体位固定パッドをセットしたりする時間が短縮できる。その結果、ペットにストレス感を与えることなく施術を行なうことができる。
ペットの体位固定パッドの斜視図である。 異なる連結部の形状を有するクッション体の斜視図である。 発泡ビーズ充填後の状態を表すクッション体の斜視図である。 発泡ビーズの充填装置を示す図である。 発泡ビーズの充填工程を示す図である。 クッション体が内蔵されたペットの体位固定パッドを示す図である。 2ケ結合した体位固定パッドの斜視図である。 犬の施術を示す図である。
本発明に係るペットの体位固定パッドの一例を図1に示す。図1は、ペットの体位固定パッドの斜視図である。
体位固定パッド1は気体非透過性袋体2の内部にクッション体3(図1において破線で表示する)を内蔵している。気体非透過性袋体2の表面には、給気または脱気することにより、袋体2内部の気体量を調節するための調節バルブ4が給脱気部として設けられている。
気体非透過性袋体2はペットの体位に応じて変形する柔軟性と袋体内部の気体を気密に保持する気体非透過性である。気体非透過性袋体2の構造は、内部にクッション体3を収容できる形状であればよい。好ましくはクッション体3の形状より大きく、かつクッション体3と相似の形状をした袋体の周辺部が密閉された形状である。
袋体2を形成する布地としては、気体非透過性の樹脂シートであることが好ましく、樹脂シートとしては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニール、ポリアミド、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンが挙げられる。また、高い空気非透過性を有する、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムの層を有する三層ラミネートフィルム、およびアルミニウム層を有するラミネートフィルムも使用することができる。
クッション体3は、全周囲が閉じられた周辺部を有する、織物または編物で作られた布地からなる2つの主平面3a、3bからなる気体透過性袋体の内部に発泡ビーズが充填され、2つの主平面を構成する布地同士が連結部3cにより連結されている。2つの主平面3a、3bは閉じられた周辺部3dにより袋状となっている。なお、袋状とすることができれば、周辺部3dは必ずしも必要ではなく、所定の厚みを持ったキルティング状の形態であれば使用できる。
連結部3cは、2つの主平面3a、3bの表面に島状に複数個存在している。この連結部3cは、内部に充填される発泡ビーズの移動を防ぐことができる間隔であればよく、また、隣り合う連結部同士は、後述する金属パイプの外径を超える間隔でそれぞれ配置される。島状に存在する連結部3cは、所定の繰り返しを有する幾何学模様を有して配置することが好ましい。この配置とすることにより、金属パイプを用いる発泡ビーズの充填がより容易になる。
個々の連結部3c自体の大きさ、配置の間隔は、クッション体3の用途および機能に応じて定めることができる。
他のクッション体の例を図2および図3に示す。図2は異なる連結部の形状を有するクッション体の斜視図であり、発泡ビーズ充填前の状態を表す。図3は発泡ビーズ充填後の状態を表すクッション体の斜視図である。
クッション体3’は、連結部3'cが2つの主平面3'a、3'b表面において、周辺部3'dの辺の方向に平行に相互に交差することなく線状に複数個存在している。連結部をこのように配置することで、金属パイプを用いる発泡ビーズの充填がより容易になる。また、体位固定パッドが折れ曲がりやすい連結部3'cで断面山形に変形しやすくなるので、犬や猫など、特に四つ足のペットが跨りやすくなる。そのためこれらペットの体位を固定するのに好適である。
クッション体の周辺部3d、3'dは、クッション体を使用時に、充填された発泡ビーズが散逸しない程度に閉じられていればよい。周辺部3dは2つの主平面3a、3bを、周辺部3'dは2つの主平面3'a、3'bを、それぞれ連結すると共に、別布による縁取りにより補強されることが好ましい。縁取りを設けることにより、布のほつれなどを防ぐことができる。
図3は発泡ビーズを充填した後に周辺部を閉じた状態を表すクッション体3’であり、例えば、犬、猫用のペットの体位固定パッドとしては、連結部3'c方向の長さが約800mm、幅が約520mm程度の大きさであり、この大きさのクッション体3’に対して約500〜530gの発泡ビーズを充填することが好ましい。
クッション体3、3’は、気体非透過性袋体2内部において、気体非透過性袋体2に固定されることなく内蔵されていることが好ましい。また、キルティング状袋体であるので、2つの主平面が平坦性を保ちながら変形することができる。
2つの主平面は、編織布がキルティング状の袋体となり、クッション体の外皮を形成する。通常単層編織布で形成されるが、必要に応じて複層とすることができる。編物で袋体を作る場合、丸編み機により表裏2枚の編地を同時に編成して袋体とすることができる。
編織布の織り方としては、特に制限がなく、平織、綾織等公知の織り方であればよい。本発明においては、発泡ビーズが散逸しない程度の織り目が必須であるが、また、後述する発泡ビーズ充填時に圧縮気体が通過できる空気透過性を有することが好ましい。
また、ポリウレタン弾性糸を使用するなどして、編織布全体として弾性回復性のある伸縮性布地であることが好ましい。
2つの主平面を構成する2枚の布地は、周辺部および連結部で相互に連結されるが、連結方法としては、2枚の布地の縫い合わせ、または2枚の布地の同時編みにより一体化される。縫い合わせは2枚の布地を重ねて縫製することにより形成されるものであり、同時編みは布地形成時に連結部等を形成する方法である。
クッション体に充填される発泡ビーズの材質としては、発泡できる熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂には、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、またはポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられ、単一の樹脂や複数の樹脂を複合したもの、たとえばポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との複合樹脂などを使用できる。
クッション体に充填される発泡ビーズは、平均粒径が0.1〜4.0mm、好ましくは1.5〜3.5mmの球状の発泡ビーズである。また、発泡倍率は30〜90倍、好ましくは50〜90倍である。平均粒径が0.1mm未満であると布地から散逸しやすくなり、4.0mmを超えるとキルティング状製品としての風合いに劣る。
発泡ビーズの表面は滑性処理されていることが好ましい。滑性処理することにより、クッション体に充填され発泡ビーズの流動性が改善され、体位固定パッドとして使用したときにシットリ感を持たせることができる。滑性処理の方法としては、粘性の高い液体、固体潤滑剤等を発泡ビーズ表面に塗布する方法が挙げられる。粘性の高い液体を塗布する方法が作業上好ましい。粘性の高い液体としては、グリセリン、ポリブテン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、シリコンオイル等が挙げられる。固体潤滑剤としてはグラファイト粉末、フッ素樹脂粉末等が挙げられる。これらの中でグリセリンが作業上好ましい。また、発泡ビーズには、必要に応じて香料、マイナスイオン発生剤、遠赤外粉末等を配合することができる。
発泡ビーズの充填比率は、クッション体の用途および機能、連結部の大きさおよび数、布地の材質等により定められる。
本発明に使用できるクッション体は、ペットの種類、体位固定パッドの用途に応じて充填比率を定めることが好ましい。
クッション体に発泡ビーズを充填する方法について、図4および図5により説明する。図4は充填装置であり、図5は充填工程を示す図である。
充填装置5は、発泡ビーズを貯蔵するホッパー6と、このホッパー6から供給される発泡ビーズの供給量を調整する供給弁6aと、発泡ビーズを移送するための圧縮気体供給管7とその供給量を調整する供給弁7aと、移送される発泡ビーズを袋状体に充填するための導電性金属製パイプ9に連結する弾性ホース8と、供給弁6aおよび7aを制御する制御装置10とから構成されている。導電性金属製パイプ9を含めて充填装置全体がアース11により電気的に接地されている。そのため、導電性金属製パイプ9内での内面接触による発泡ビーズの帯電を防ぐことができる。
図5(a)に示すように、クッション体の内部に発泡ビーズを充填する前の布製袋体30には、発泡ビーズ充填口31が布製袋体の一部に設けられている。この発泡ビーズ充填口31より金属製パイプ9を布製袋体30内部に挿入する。
発泡ビーズ充填に用いられる金属製パイプ9は円筒形であることが好ましい。またその外径は、布製袋体30に形成されている連結部の最短の隣同士を通過挿入できる径以下に設定される。また、上記径以下であれば、布製袋体30の容量の大きさ、形状に応じて金属製パイプ9の外径を変化させることができる。金属製パイプ9の形状は直線状であることが好ましいが、布製袋体30の形状に応じて曲線とすることができる。
金属製パイプ9の材質は導電性であればよく、特に発泡ビーズの帯電を防ぐことができる銅または銅合金製パイプであることが好ましい。
布製袋体30内部に挿入された金属製パイプ9は、図5(b)に示すように、その先端部を布製袋体30の最深部32に到達させる。発泡ビーズを充填する前の布製袋体30は任意の形態に変化できるので、金属製パイプ9が直線状であっても容易に最深部32に到達させることができる。
その後に、制御装置10により制御される供給弁6aおよび7aを調整することで、発泡ビーズを布製袋体30の最深部32より、順次発泡ビーズ充填口31側に引き抜きながら、図5(b)から図5(d)に示すように、発泡ビーズ33を充填する。発泡ビーズ33の充填により、布製袋体30は所定の厚みを有するキルティング状となる。
供給弁6aを開放した状態で、圧縮空気供給弁7aを開放して圧縮空気を金属製パイプ9側に供給すると、ホッパー6側が減圧状態となり、発泡ビーズ33は、圧縮空気と共に布製袋体30に供給・充填される。圧縮空気は布製袋体30の編織布より容易に放散される。
発泡ビーズ33の充填が終了した後に、図5(e)に示すように、発泡ビーズ充填口31を縫い合わせる。
その後、縫い合わされた発泡ビーズ充填口31を袋状体内部に折り返し、図5(f)に示すように、周辺部3dに沿って縫い合わせ、その後縁取りすることにより、体位固定パッド内に内蔵されるクッション体が完成する。クッション体は、発泡ビーズ充填口を充填した後に縫製により封止するので、発泡ビーズを散逸することなく封止できる。
図1に示すように、発泡ビーズが充填されたクッション体3を気体非透過性袋体2内に挿入して、その後、気体非透過性袋体2を密閉することにより体位固定パッド1が得られる。気体非透過性袋体2の密閉方法としては、溶着、接着等の方法を用いることができる。気体非透過性袋体2の適宜な場所に袋体の内部と外部を貫通する調節バルブ4が設けられている。この調節バルブ4は逆止空気弁を用いることが好ましい。なお、逆止空気弁を設けない構造とすることも可能である。
クッション体が内蔵された体位固定パッドを図6に示す。図6(a)は脱気前の状態を、図6(b)は脱気後の状態をそれぞれ示す図である。また、図6(c)はA−A断面図を、図6(d)はB−B断面図を、図6(e)は緩衝材を設けた例の断面図をそれぞれ示す図である。
発泡ビーズ33を気体透過性袋体に収納しているキルティング状のクッション体3が気体非透過性袋体2に内蔵されている体位固定パッド1は、脱気前においても全体として平坦でありペットの体位を固定するのに時間がかからない。また、脱気前は発泡ビーズ33がクッション体3の内部を自由に移動できるとともに、気体非透過性袋体2とクッション体3とも柔軟性を有するので、ペットの体位に応じて平坦性を保ちながら変形することが可能である(図6(a)および(c))。
ペットの体位の位置確定完了後、調節バルブ4を開いて真空ポンプなどにより気体非透過性袋体2内の空気を脱気すると、気体非透過性袋体2とクッション体3とが密着するとともに、発泡ビーズ33がクッション体3の内部で固定されるので、ペットの体位が固定される(図6(b)および(d))。特に本発明においては、内蔵しているキルティング状のクッション体3により規則的な起伏を有する平坦性を保持できるので、ペットまたはペットの一部位を固定する場合でも、ペットに対して「底着き感」や「硬さ」が伝わらないので、ペットにストレスを与えない。さらに「底着き感」や「硬さ」を改善するために、クッション体3と気体非透過性袋体2との間に発泡ウレタンシートなどの緩衝材40を配置することができる(図6(e))。
体位固定パッドは、複数個の気体非透過性袋体の外周縁が結合されていてもよい。そのような体位固定パッドの一例を図7に示す。図7は2ケ結合した体位固定パッドの斜視図である。体位固定パッド1は、体位固定パッド1aおよび体位固定パッド1bの結合体である。この結合体は両者の気体非透過性袋体2aおよび2bの外周縁の1つの辺2c同士を結合している。このように、複数個の気体非透過性袋体の外周縁が結合することにより、体位固定パッド1aおよび1bの給脱気状態をそれぞれ独立させることができる。その結果、一方を柔らかく、他方を硬くすることができ、ペットの状態に応じて体位を任意に固定できる。図7は2ケ結合した例を示したが、例えば、図2に示すクッション体3’を内蔵する体位固定パッドを連結部3'cが平行となるように3個結合することにより、中央部分を柔らかく、両サイドを硬くできるペットの体位固定パッドとすることができる。
図8は、本発明の体位固定パッドを用いた犬の施術を示す図である。図8(a)はペットの体位を施術の状態に合わせて体位固定パッドを固定した斜視図であり、図8(b)は犬の施術を示す図である。
施術時のペットの体位に応じて本発明の体位固定パッド1を未脱気の状態にて形状を定めた後、脱気することにより、その形状を固定する(図8(a))。従来、この形を維持できる固定具はなく、タオルなどを使用して数十分かけてペットを安定させていたが、本発明の体位固定パッド1は数秒で形状保持ができるようになった。その後、形状が固定された体位固定パッド上にペットを乗せて容易に各種の施術を行なうことができる(図8(b))。なお、ペットの種類、大きさに応じて円筒型の陰圧台を設けることができる。ここで、陰圧とは、医学用語で、減圧することであり、陰圧台とは発泡ビーズが充填されているクッション体内部を減圧することで、パッドの形状を固定するための台をいう。
本発明のペットの体位固定パッドは、主として動物病院等においてペットの施術等に用いられるクッションであるが、これに限定されるものではなく、様々な用途に使用することができる、例えば、ペットの室内敷物、搬送用マット等に用いることができる。
本発明のペットの体位固定パッドは、ペットにストレス感を与えることなく施術を行なうことができるので、広く動物病院で利用できる。
1 体位固定パッド
2 気体非透過性袋体
3 クッション体
4 調節バルブ
5 充填装置
6 ホッパー
7 圧縮気体供給管
8 弾性ホース
9 金属製パイプ
10 制御装置
11 アース
30 布製袋体
31 発泡ビーズ充填口
32 布製袋体の最深部
33 発泡ビーズ
40 緩衝材

Claims (7)

  1. 給脱気部を具備する気体非透過性袋体の内部に、クッション体が内蔵されたペットの体位固定パッドであって、
    前記クッション体は、全周囲が閉じられた周辺部を有する、織物または編物で作られた布地からなる気体透過性袋体の内部に発泡ビーズが充填され、該袋体の2つの主平面を構成する2枚の布地同士が連結部により連結されたキルティング状袋体であり、
    前記クッション体は、前記気体非透過性袋体内部において、前記主平面が平坦性を保ちながら変形することができ、
    脱気前の体位固定パッドを用いてペットの体位の位置を確定後、前記気体非透過性袋体内の空気を脱気することにより、前記クッション体と前記気体非透過性袋体とが密着するとともに、前記発泡ビーズが前記クッション体の内部で固定することにより、ペットの体の全部または一部が固定されることを特徴とするペットの体位固定パッド。
  2. 複数個の前記気体非透過性袋体の外周縁が相互に結合されていることを特徴とする請求項1記載のペットの体位固定パッド。
  3. 前記連結部が前記2つの主平面に、所定の繰り返しを有する島状に複数個存在する連結部であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のペットの体位固定パッド。
  4. 前記連結部が前記2つの主平面の表面において相互に交差することなく、周辺部の辺の方向に平行に線状に複数個存在する連結部であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のペットの体位固定パッド。
  5. 前記連結部および前記袋体の周辺部が前記2つの主平面を構成する布地同士の縫い合わせ、または前記2つの主平面を構成する布地同士の同時縫製により一体化されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載のペットの体位固定パッド。
  6. 前記発泡ビーズがポリオレフィン系複合樹脂発泡体粒子であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項記載のペットの体位固定パッド。
  7. 前記発泡ビーズの表面が滑性処理されていることを特徴とする請求項6記載のペットの体位固定パッド。
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