JP2017174390A - 予測テーブル設計装置、方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
y’=f(x) ・・・(1)
y’=θ0+θ1x1+θ2x2+・・・+θMxM ・・・(2)
このような重回帰モデルは計算が容易であることから、幅広いプロセスで利用されている。
そこで、様々な非線形予測モデルが提案されている。例えば特許文献1では、複数の領域毎に重回帰モデルを構築し、それぞれの予測値にファジー関数値を乗じた値を足し合わせ、最終的な予測値を算出する手法であり、云わば、区分線形型の予測モデルを過去操業データから自動的に構築する手法が開示されている。特許文献1以外にも、ニューラルネットワークや決定木、ランダムフォレスト等、様々な非線形予測モデルが提案されている。
y’=1.3+(x1−700)×(1.4−1.3)/(720−700) ・・・(3)
予測モデル(特に非線形予測モデル)では、入力変数を見ただけでは目的変数の予測値を人の頭の中で算出することは容易ではない。それに対して、予測テーブルでは、入力変数を見ただけで、予測値を容易に知ることができ、ユーザにとって非常に判り易いという利点がある。また、実操業で得られた目的変数の実績値とそれに対する予測値との誤差をメッシュ毎に集計することで、精度の悪いメッシュを容易に知ることができ、他のメッシュの精度に影響を与えることなく、精度の悪いメッシュのみ予測値を更新することでそのメッシュの精度を向上させることができる(折れ線形式の場合は隣のメッシュにも影響を与えるが、影響範囲は判り易く限定的である)。非線形予測モデルの場合、予測モデルの係数を変えると全ての製品の予測精度が変わってしまい、予測モデルの精度管理が難しいという問題がある。
しかしながら、実績データからメッシュの値を算出する手法は簡便ではあるが、メッシュに属する(もしくはその周辺のメッシュに属する)少ない実績データからメッシュの値を算出することになり、過学習を引き起こしやすいという問題がある。過学習とは、過去の実績データに対しては予測精度が良いが、将来の未知のデータに対しては予測精度が悪くなる現象である。
このように、メッシュの区分数や離散値に関しては、区分数を適当に決めた後、説明変数の値域を等間隔で区切ったり、予測値の変化が大きいところを細かく、変化が小さいところを粗く区切ったり、予測精度が悪ければ区分数を増やしたりする等、試行錯誤で定めることが一般的である。
しかしながら、試行錯誤でメッシュの区分数や離散値を定めるのでは、時間が掛るとともに、適切な数値を定めることは難しい。メッシュが粗いと、予測テーブルのサイズを小さくすることができるが、説明変数の値の細かな差異を反映させることができないため、予測精度が悪くなってしまう。一方、メッシュが細か過ぎると、予測テーブルのサイズが大きくなるばかりでなく、1つのメッシュに含まれる実績データの数が少なくなるため、メッシュの値を高精度に定めることが難しくなり、予測精度の管理も複雑化してしまう。
[1] 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計する予測テーブル設計装置であって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルに、各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して、予測テーブルを生成することを特徴とする予測テーブル設計装置。
[2] 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計する予測テーブル設計装置であって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルを記憶する記憶手段と、
説明変数の実績値及び目的変数の実績値を格納する格納手段と、
説明変数を離散化する離散値配列の複数の候補について、前記予測モデルに各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して生成される予測テーブルを、前記格納手段に格納する説明変数の実績値及び目的変数の実績値を用いて評価して、前記離散値配列の複数の候補から離散値配列を選択する評価手段とを備えたことを特徴とする予測テーブル設計装置。
[3] 離散値配列の初期値を定め、前記予測モデルに各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して、予測テーブルの初期値を生成する予測テーブル初期値生成手段と、
前記離散値配列の初期値から一又は複数の離散値を削除した離散値配列の複数の候補を作成する離散値配列候補作成手段とを備え、
前記評価手段は、前記離散値配列候補作成手段で作成した離散値配列の複数の候補について、評価を行い、離散値配列を選択することを特徴とする[2]に記載の予測テーブル設計装置。
[4] 前記評価手段で選択した離散値配列から生成される予測テーブルが、所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段を備え、
前記判定手段で前記所定の条件を満たさないと判定した場合、
前記離散値配列候補作成手段は、前記評価手段で選択した離散値配列から一又は複数の離散値を削除した離散値配列の複数の候補を作成し、
前記評価手段は、前記離散値配列候補作成手段で作成した離散値配列の複数の候補について、評価を行い、離散値配列を選択し、
これを前記所定の条件を満たすまで繰り返すことを特徴とする[3]に記載の予測テーブル設計装置。
[5] 前記所定の条件として、予測テーブルのサイズに対する目標サイズ、又は、前記評価手段での評価結果に対する目標値が設定されることを特徴とする[4]に記載の予測テーブル設計装置。
[6] 前記評価手段で選択した離散値配列から一又は複数の離散値を削除し、かつ、前記評価手段で前記離散値配列を選択するまでに削除済みの離散値の中から、当該削除した離散値と同じ数の離散値を復活させて、改善用離散値配列候補を作成する改善用離散値配列候補作成手段と、
前記改善用離散値配列候補作成手段で作成した改善用離散値配列候補について、評価を行い、前記評価手段で選択した離散値配列よりも評価の良い改善用離散値配列候補があれば、それを前記評価手段で選択した離散値配列と置き換える改善用評価手段とを備えたことを特徴とする[4]又は[5]に記載の予測テーブル設計装置。
[7] 前記評価手段で離散値配列を選択した後、所定の実施条件を満たすときに、前記改善用離散値配列候補作成手段及び前記改善用評価手段による処理を実施することを特徴とする[6]に記載の予測テーブル設計装置。
[8] 前記所定の実施条件として、予測テーブルのサイズに対する条件、又は前記評価手段での評価結果に対する条件が設定されることを特徴とする[7]に記載の予測テーブル設計装置。
[9] 前記離散値配列候補作成手段は、削除する離散値を乱数を用いて決めることを特徴とする[3]乃至[8]のいずれか一つに記載の予測テーブル設計装置。
[10] 前記改善用離散値配列候補作成手段は、削除する離散値を乱数を用いて決めることを特徴とする[6]乃至[8]のいずれか一つに記載の予測テーブル設計装置。
[11] 説明変数の離散化形式は、離散値と離散値の間の予測値は一定値とする形式、及び、離散値と離散値の間の予測値はこれら離散値に対応する予測値を結ぶ直線で表わす形式のうち少なくともいずれか一方であることを特徴とする[2]乃至[10]のいずれか一つに記載の予測テーブル設計装置。
[12] 前記評価手段は、予測テーブルの予測値と、目的変数の実績値との誤差を評価することを特徴とする[2]乃至[11]のいずれか一つに記載の予測テーブル設計装置。
[13] 前記評価手段は、前記誤差の平方和を評価値とする、又は、前記誤差の絶対値和を評価値とすることを特徴とする[12]に記載の予測テーブル設計装置。
[14] 前記改善用評価手段は、予測テーブルの予測値と、目的変数の実績値との誤差を評価することを特徴とする[6]乃至[8]のいずれか一つに記載の予測テーブル設計装置。
[15] 前記改善用評価手段は、前記誤差の平方和を評価値とする、又は、前記誤差の絶対値和を評価値とすることを特徴とする[14]に記載の予測テーブル設計装置。
[16] 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計する予測テーブル設計方法であって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルに、各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して、予測テーブルを生成することを特徴とする予測テーブル設計方法。
[17] 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計する予測テーブル設計方法であって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルを記憶する記憶手段と、説明変数の実績値及び目的変数の実績値を格納する格納手段とを用いて、
説明変数を離散化する離散値配列の複数の候補について、前記予測モデルに各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して生成される予測テーブルを、前記格納手段に格納する説明変数の実績値及び目的変数の実績値を用いて評価して、前記離散値配列の複数の候補から離散値配列を選択することを特徴とする予測テーブル設計方法。
[18] 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計するためのプログラムであって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルに、各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して、予測テーブルを生成するためのプログラム。
[19] 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計するためのプログラムであって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルを記憶する記憶手段と、
説明変数の実績値及び目的変数の実績値を格納する格納手段と、
説明変数を離散化する離散値配列の複数の候補について、前記予測モデルに各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して生成される予測テーブルを、前記格納手段に格納する説明変数の実績値及び目的変数の実績値を用いて評価して、前記離散値配列の複数の候補から離散値配列を選択する評価手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
[第1の実施形態]
まず、本実施形態における予測テーブルのメッシュの区分数及び離散値、メッシュの値(予測値)の基本的な考え方について説明する。
予測テーブルを設計する際には、説明変数毎にメッシュの区分数及び離散値を定める必要がある。これは、図4に示すように、各説明変数の一次元配列(本願においては、離散値配列と呼ぶ)の要素数Tmと要素の値tm (i)を定めることに相当する。なお、mは説明変数の番号(m:1〜M)、iは離散値の番号(i:1〜Tm)である。
図4の説明変数の離散値配列の各要素の値tm (i)は、階段形式であればメッシュ間の境界値を意味し、折れ線形式であれば折れ線の頂点の値を意味する。この離散値配列が決まれば、予測テーブルは一義的に定まる。
図5には、図3(a)、(b)の予測テーブルにおける説明変数の離散値配列を示す。
メッシュの区分数及び離散値を定めた後、各説明変数の代表値を予測モデルf(x)に代入して、その結果得られる予測値を各メッシュの値にする。
図6には、図4の離散値配列から得られる説明変数の代表値配列を示す。階段形式の場合は、図10(a)に示すように、各メッシュの代表値は離散値の中央値とし、式(4)により計算される。階段形式では、式(5)のように、代表値配列の数Rmは離散値配列の数Tmより1つ少なくなる。一方、折れ線形式の場合は、図10(b)に示すように、各メッシュの代表値配列は離散値配列と同じになる。
rm (i)=(tm (i)+tm (i+1))/2 ・・・(4)
Rm=Tm−1 ・・・(5)
例えば図3(a)の予測テーブルでいえば、左上のメッシュは厚みが5〜10mm、温度が700〜720℃の範囲であるので、代表値は厚み7.5mm、温度710℃となる。また、図3(b)の予測テーブルでいえば、折れ線の頂点(離散値)が代表値となり、左上のメッシュの代表値は厚み7.5mm、温度700℃となる。図7(a)は、図3(a)の予測テーブルにおける説明変数の代表値配列を示し、図7(b)は、図3(b)の予測テーブルにおける説明変数の代表値配列を示す。
図1に、第1の実施形態に係る予測テーブル設計装置1200の機能構成を示す。
101は記憶手段として機能する予測モデル記憶部であり、式(1)のように、既に構築されている予測モデルf(x)を記憶する。
102は格納手段として機能する実績データ格納部であり、過去の操業で得られた実績データ{x(n),y(n)}を格納する。x(n)=[x1 (n),x2 (n),・・・xM (n)]Tはn番目の実績データの説明変数、y(n)はn番目の実績データの目的変数であり、実績データはN個の説明変数と目的変数の組み合せから構成される。
104は離散値配列候補作成手段として機能する離散値配列候補作成部であり、対象の離散値配列から離散値を削除した離散値配列の複数の候補(以下、複数の離散値配列候補と記す)を作成する。対象の離散値配列とは、第一段階(後述の繰り返し計算の1回目)では、予測テーブル初期値生成部103で定めた離散値配列の初期値が、それ以降の段階では、評価部105で選択した離散値配列候補が該当する。
106は判定手段として機能する判定部であり、評価部105で選択した離散値配列候補から生成される予測テーブルが所定の条件である終了条件を満たすか否かを判定する。終了条件は、後述するように予測テーブルの予測精度及びサイズの観点から予め設定されている。終了条件を満たしていなければ、評価部105で選択した離散値配列候補を対象の離散値配列として、離散値配列候補作成部104及び評価部105による処理を行い、これを終了条件を満たすまで繰り返す。
ステップS1で、予測テーブル初期値生成部103は、予め設定された十分に大きな区分数で各説明変数を分割することにより離散値配列の初期値を定め、各説明変数の代表値を用いて予測モデルf(x)により各メッシュの値を計算して予測テーブルの初期値を生成する。
ここで、十分に大きな区分数で各説明変数を分割するとは、予測モデルf(x)をテーブル化したときに予測精度が落ちないと考えられる細かさで各説明変数を分割するという意味である。例えば技術的・経験的見地から、説明変数は0.5%の精度で計算すれば十分な予測精度が得られるということがわかっている場合、各説明変数の最小値と最大値を等間隔に200個に分割して離散値を設定すれば良い。また、説明変数の変化に対して、予測値の変化が小さい領域がある場合、その変化の傾きに応じて離散値と離散値の間隔を調整しても良い。すなわち、傾きの大きい部分では区分を細かくし、傾きの小さい部分では区分を粗くする。
離散値配列の初期値を定めた後、前記(4)式又は(5)式を用いてメッシュ毎に各説明変数の代表値を求め、それら代表値用いて予測モデルf(x)により各メッシュの値を計算して予測テーブルの初期値を生成する。図9に、予測テーブルの例を示す。
この場合に、説明変数の個数と区分数が少ない場合、説明変数1の1番目の離散値から順番に全数探索(離散値配列候補数=R1+R2+・・・+RM)を行っても良いが、全数探索に時間が掛る場合には、削除する離散値を乱数で決めて複数の離散値配列候補を作成するようにしても良い。
また、本実施形態では、離散値配列から1つの離散値を削除するようにしたが、複数の離散値を一度に削除するようにしても良い。
予測テーブルの評価は、次のように行う。
実績データ格納部102に格納する実績データ{x(n),y(n)}のそれぞれの説明変数xm (n)に対して、式(6)を満たす離散値の番号imを求める。
tm (im)≦xm (n)<tm (im+1) ・・・(6)
簡単のため、説明変数が1つのみの場合で説明すると、階段形式であれば、図10(a)に示すように、離散値番号im(代表値がrm (im))の予測値を図9の予測テーブルから求め、目的変数の予測値y’(n)とする。また、折れ線形式であれば、代表値rm (im)とrm (im+1)の予測値を図9の予測テーブルからそれぞれ求め(それら予測値をy1’(n),y2’(n)とする)、図10(b)に示すように、それらを案分して予測値y’(n)を求める。この計算式は、式(7)となる。
y’(n)=y1’(n)+(xm (n)−rm (im))×(y2’(n)−y1’(n))/(rm (im+1)−rm (im)) ・・・(7)
J=ΣN n=1(y’(n)−y(n))2 ・・・(8)
なお、式(8)は予測値と実績値の誤差平方和を評価値とする式であるが、式(9)のように予測値と実績値の誤差絶対値和を評価値とする式としても良い。
J=ΣN n=1|y’(n)−y(n)| ・・・(9)
なお、ステップS2で複数(例えば2つ)の離散値を一度に削除する場合、全ての説明変数の全ての離散値のうち、2つの離散値を削除した離散値配列候補を、全ての離散値の組み合せに対して作成し、最も予測精度の良い離散値配列候補を求めるようにしても良い。また、離散値の組み合わせの数が多い時には、乱数で選んだ2つの離散値を削除するようにしても良い。
このように、終了条件には、目標サイズを設定する場合と、目標精度を設定する場合とがある。
例えば目標サイズとして、条件1〜条件3が設定されたとする。
(条件1)説明変数1区分数≦20、説明変数2区分数≦10、説明変数3区分数≦10
(条件2)説明変数1区分数≦20、説明変数2区分数×説明変数3区分数≦50
(条件3)説明変数1区分数×説明変数2区分数×説明変数3区分数≦200
条件1では、全ての説明変数の区分数が目標値となったら終了する。この場合に、繰り返しの途中で目標値に到達した説明変数の離散値は削除しないようにする。また、条件2では、説明変数1の区分数が20、説明変数2と説明変数3の区分数を乗じた値が50以下になったら終了する。また、条件3では、3つの説明変数の区分数を乗じた値が200以下になったら終了する。
このように目標サイズを設定することにより、目標サイズ以内で最も予測精度の良い予測テーブルを設計することができる。
このように目標精度を設定することにより、目標精度を満足する最もサイズの小さい予測テーブルを設計することができる。
γ線測定板厚=(1+Ct)×γ線標準板厚 ・・・(10)
次に、第2の実施形態を説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態との共通点についてはその詳細な説明を省略する。
第1の実施形態では、離散値配列の初期値を出発点として、離散値を削除して複数の離散値配列候補を作成し、その中から離散値配列を選択することを繰り返す。このように離散値を段階的に少なくしていき、目標サイズ又は目標精度に達した離散値配列を求めるのであるが、そのときに、離散値配列に含まれる離散値を、削除済みの離散値と置換することにより、離散値配列の要素数は変えずに、予測精度を向上させられる可能性があることを見出した。
そこで、第2の実施形態では、離散値配列に含まれる離散値を、削除済みの離散値と置換するアルゴリズムを取り入れた形態を説明する。
予測テーブル設計装置1200において、予測モデル記憶部101、実績データ格納部102、予測テーブル初期値生成部103、離散値配列候補作成部104、評価部105、判定部106、出力部107は第1の実施形態と同様であり、精度改善部108を追加している。
精度改善部108は、改善用離散値配列候補作成手段として機能する改善用離散値配列候補作成部109と、改善用評価手段として機能する改善用評価部110とを備える。
本実施形態では、改善用評価部110が評価部105で行った評価と同様の評価を行うとしたが、改善用評価部110と評価部105とで評価の方式を異ならせても良い。例えば、評価部105で使用した式(式(8)や式(9)等)を用いて計算した評価値Jに所定の定数値を加えた値を改善用評価部110の評価値としても良い。これにより、一度削除した離散値を復活させるためには、現在の離散値配列候補の評価値よりも、前記所定の定数値の分だけ評価値が良くならなくてはならず、一度削除した離散値は復活し難くなり、ある離散値が削除と復活を繰り返すことを防止することができる。
ステップS1〜S5は第1の実施形態と同様であり、本実施形態では、ステップS3とステップS4との間にステップS6〜S8を追加している。
所定の実施条件としては、例えばステップS3で選択した離散値配列候補(現在の離散値配列候補)から生成される予測テーブルのサイズが所定のサイズ(改善実施サイズと呼ぶ)や所定の予測精度(改善実施精度と呼ぶ)を満たすときに精度改善処理を実施するようにしても良い。改善実施サイズは、既述した目標サイズと同じでも良い。この場合、現在の離散値配列候補から生成される予測テーブルのサイズが目標サイズに達したときに、精度改善処理が実施される。改善実施サイズが目標サイズよりも大きい場合には、予測テーブルのサイズが目標サイズになるまで、ステップS4を経て、ステップS2〜S8が繰り返されることになる。同様に、改善実施精度は、既述した目標精度と同じでも良いし、目標精度よりも高い予測精度でも良い。
なお、ステップS6の判定を行わずに、毎回のループにおいて常に精度改善処理を実施するようにしても良い。
ここで、削除済みの離散値とは、評価部105で現在の離散値配列候補を選択するまでに削除された離散値のことである。換言すれば、ステップS1で定めた離散値配列の初期値のうち、今回のループのステップS3で選択した離散値配列候補に含まれていない離散値である。
また、予測テーブルのサイズが変わることを防ぐため、削除する離散値の説明変数と復活させる離散値の説明変数とは同じ(説明変数の番号mが同じ)とした方が良い。例えば厚みの離散値を削除するのであれば、厚みの離散値を復活させ、温度の離散値を削除するのであれば、温度の離散値を復活させる。
また、改善用離散値配列候補を作成する際、説明変数の個数と区分数が少ない場合、説明変数1の現在の離散値配列候補の1番目の離散値から順番に削除する離散値を選択し、説明変数1の離散値配列の初期値の1番目の離散値から順番に、評価部105で現在の離散値配列候補を選択するまでに削除された離散値を探索するような全数探索を行っても良い。また、削除する離散値を乱数で決めて改善用離散値配列候補を作成するようにしても良い。
また、1つの離散値を削除して、1つの離散値を復活させたが、削除する個数と復活させる個数が同じであれば良く、複数の離散値を一度に削除して、同数の離散値を復活させた改善用離散値配列候補を作成するようにしても良い。
ステップS1で定めた離散値配列の初期値が、図14の上段に示すように、[t(1) t(2) t(3) t(4)]であるとする。
初回のループのステップS2で、図14の中段に示すように、4つの離散値配列候補が作成され、ステップS3で、星印で示すように、離散値t(3)を削除した離散値配列候補[t(1) t(2) t(4)]が選択されたとする。
次に、ステップS6及びS4を経て、ステップS2に戻ったとする。この2回目のループのステップS2で、図14の下段に示すように、3つの離散値配列候補が作成され、ステップS3で、星印で示すように、離散値t(2)を削除した離散値配列候補[t(1) t(4)]が選択されたとする。
次に、ステップS6を経て精度改善処理を実施するとしてステップS7に進んだとする。ステップS7で、現在の離散値配列候補[t(1) t(4)]から1つの離散値を削除し、かつ、削除済みの離散値の中から、1つの離散値を復活させて、改善用離散値配列候補を作成する。この場合に、削除済みの離散値とは、現在の離散値配列候補を選択するまでに削除した離散値であり、離散値配列初期値[t(1) t(2) t(3) t(4)]のうち、ステップS3で選択した離散値配列候補[t(1) t(4)]に含まれていない離散値t(2)、t(3)となる。そして、図14に示す4つの改善用離散値配列候補について評価を行い、現在の離散値配列候補[t(1) t(4)]よりも評価の良い改善用離散値配列候補があれば、それを現在の離散値配列候補[t(1) t(4)]と置き換える。
図14に示す4つの改善用離散値配列候補について評価を行っても良いが、図14から分るように、改善用離散値配列候補の[t(1) t(2)][t(2) t(4)]は、今回のループのステップS3で既に評価した離散値配列候補と同じである。従って、前記2つの改善用離散値配列候補は、現在の離散値配列候補[t(1) t(4)]よりも評価は良くないことが明らかであるため、これらは改善用離散値配列候補から除外しても良い。すなわち、改善用離散値配列候補を作成する際、ステップS2で求めた離散値配列候補と重複するものは、改善用離散値配列候補から除外しても良い。
まず、常に精度改善処理を実施する予測テーブルを作成した。その結果、鋼板温度を4区分、変態温度を3区分、狙い厚を3区分する予測テーブルが得られ、その予測テーブルの予測精度は表5のようになった。表4と比べると、予測テーブルのサイズが64から36(4×3×3=36)に小さくなったにも関わらず、板厚測定精度のRMSE改善度は33μmであり、表4と同じ値となった。
本発明を適用した予測テーブル設計装置は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ装置により実現される。
また、本発明は、本発明の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
Claims (19)
- 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計する予測テーブル設計装置であって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルに、各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して、予測テーブルを生成することを特徴とする予測テーブル設計装置。 - 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計する予測テーブル設計装置であって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルを記憶する記憶手段と、
説明変数の実績値及び目的変数の実績値を格納する格納手段と、
説明変数を離散化する離散値配列の複数の候補について、前記予測モデルに各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して生成される予測テーブルを、前記格納手段に格納する説明変数の実績値及び目的変数の実績値を用いて評価して、前記離散値配列の複数の候補から離散値配列を選択する評価手段とを備えたことを特徴とする予測テーブル設計装置。 - 離散値配列の初期値を定め、前記予測モデルに各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して、予測テーブルの初期値を生成する予測テーブル初期値生成手段と、
前記離散値配列の初期値から一又は複数の離散値を削除した離散値配列の複数の候補を作成する離散値配列候補作成手段とを備え、
前記評価手段は、前記離散値配列候補作成手段で作成した離散値配列の複数の候補について、評価を行い、離散値配列を選択することを特徴とする請求項2に記載の予測テーブル設計装置。 - 前記評価手段で選択した離散値配列から生成される予測テーブルが、所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段を備え、
前記判定手段で前記所定の条件を満たさないと判定した場合、
前記離散値配列候補作成手段は、前記評価手段で選択した離散値配列から一又は複数の離散値を削除した離散値配列の複数の候補を作成し、
前記評価手段は、前記離散値配列候補作成手段で作成した離散値配列の複数の候補について、評価を行い、離散値配列を選択し、
これを前記所定の条件を満たすまで繰り返すことを特徴とする請求項3に記載の予測テーブル設計装置。 - 前記所定の条件として、予測テーブルのサイズに対する目標サイズ、又は、前記評価手段での評価結果に対する目標値が設定されることを特徴とする請求項4に記載の予測テーブル設計装置。
- 前記評価手段で選択した離散値配列から一又は複数の離散値を削除し、かつ、前記評価手段で前記離散値配列を選択するまでに削除済みの離散値の中から、当該削除した離散値と同じ数の離散値を復活させて、改善用離散値配列候補を作成する改善用離散値配列候補作成手段と、
前記改善用離散値配列候補作成手段で作成した改善用離散値配列候補について、評価を行い、前記評価手段で選択した離散値配列よりも評価の良い改善用離散値配列候補があれば、それを前記評価手段で選択した離散値配列と置き換える改善用評価手段とを備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の予測テーブル設計装置。 - 前記評価手段で離散値配列を選択した後、所定の実施条件を満たすときに、前記改善用離散値配列候補作成手段及び前記改善用評価手段による処理を実施することを特徴とする請求項6に記載の予測テーブル設計装置。
- 前記所定の実施条件として、予測テーブルのサイズに対する条件、又は前記評価手段での評価結果に対する条件が設定されることを特徴とする請求項7に記載の予測テーブル設計装置。
- 前記離散値配列候補作成手段は、削除する離散値を乱数を用いて決めることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載の予測テーブル設計装置。
- 前記改善用離散値配列候補作成手段は、削除する離散値を乱数を用いて決めることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の予測テーブル設計装置。
- 説明変数の離散化形式は、離散値と離散値の間の予測値は一定値とする形式、及び、離散値と離散値の間の予測値はこれら離散値に対応する予測値を結ぶ直線で表わす形式のうち少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項2乃至10のいずれか1項に記載の予測テーブル設計装置。
- 前記評価手段は、予測テーブルの予測値と、目的変数の実績値との誤差を評価することを特徴とする請求項2乃至11のいずれか1項に記載の予測テーブル設計装置。
- 前記評価手段は、前記誤差の平方和を評価値とする、又は、前記誤差の絶対値和を評価値とすることを特徴とする請求項12に記載の予測テーブル設計装置。
- 前記改善用評価手段は、予測テーブルの予測値と、目的変数の実績値との誤差を評価することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の予測テーブル設計装置。
- 前記改善用評価手段は、前記誤差の平方和を評価値とする、又は、前記誤差の絶対値和を評価値とすることを特徴とする請求項14に記載の予測テーブル設計装置。
- 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計する予測テーブル設計方法であって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルに、各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して、予測テーブルを生成することを特徴とする予測テーブル設計方法。 - 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計する予測テーブル設計方法であって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルを記憶する記憶手段と、説明変数の実績値及び目的変数の実績値を格納する格納手段とを用いて、
説明変数を離散化する離散値配列の複数の候補について、前記予測モデルに各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して生成される予測テーブルを、前記格納手段に格納する説明変数の実績値及び目的変数の実績値を用いて評価して、前記離散値配列の複数の候補から離散値配列を選択することを特徴とする予測テーブル設計方法。 - 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計するためのプログラムであって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルに、各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して、予測テーブルを生成するためのプログラム。 - 説明変数を離散化して形成される各区分に予測対象の予測値が記述される予測テーブルを設計するためのプログラムであって、
説明変数から目的変数である前記予測対象の予測値を算出する予測モデルを記憶する記憶手段と、
説明変数の実績値及び目的変数の実績値を格納する格納手段と、
説明変数を離散化する離散値配列の複数の候補について、前記予測モデルに各区分の説明変数の代表値を入力して予測値を算出して生成される予測テーブルを、前記格納手段に格納する説明変数の実績値及び目的変数の実績値を用いて評価して、前記離散値配列の複数の候補から離散値配列を選択する評価手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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