JP2017172015A - 窒化チタンスパッタリングターゲット - Google Patents
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Abstract
【課題】スパッタリング時に発生するパーティクルの少ない、磁性記録層の下地層形成用窒化チタンスパッタリングターゲットの提供。
【解決手段】原料窒化チタン粉を焼結性向上のために、粉砕媒体として、硬度が高くて比重の大きい超鋼(タングステンカーバイド)ボールを用いて行う微細化において、粉砕条件を調整して粉砕媒体からのタングステン、コバルト等の混入おさえ、タングステン含有量を5000wtppm以下、好ましくは1000wtppm以下、より好ましくは500wtppm以下とした原料粉末を焼結する窒化チタンスパッタリングターゲット。更に、アルミニウムの含有量が200〜5000wtppmであり、ジルコニウムの含有量が500wtppm以下である窒化チタンスパッタリングターゲット。
【選択図】図1
【解決手段】原料窒化チタン粉を焼結性向上のために、粉砕媒体として、硬度が高くて比重の大きい超鋼(タングステンカーバイド)ボールを用いて行う微細化において、粉砕条件を調整して粉砕媒体からのタングステン、コバルト等の混入おさえ、タングステン含有量を5000wtppm以下、好ましくは1000wtppm以下、より好ましくは500wtppm以下とした原料粉末を焼結する窒化チタンスパッタリングターゲット。更に、アルミニウムの含有量が200〜5000wtppmであり、ジルコニウムの含有量が500wtppm以下である窒化チタンスパッタリングターゲット。
【選択図】図1
Description
本発明は、スパッタリングターゲットとして実用的に十分な特性を有し、特に、磁気記録媒体における磁性薄膜の下地層としての窒化チタン皮膜形成に好適な窒化チタンスパッタリングターゲットに関する。
ハードディスクドライブに代表される磁気記録媒体の分野において、L10構造を持つFePt相が超高密度磁気記録媒体材料として注目されている。FePt相は、高い結晶磁気異方性と共に、耐食性、耐酸化性に優れているため、磁気記録媒体としての応用に適した材料と期待されているものである。FePt相を磁気記録層として使用する場合には、炭素などの非磁性材料で孤立させる必要がある。
一般に磁気記録媒体は積層構造を有し、Fe−Pt−Cなどの磁性記録層は、主にMgO下地層の上に積層されていたが、ここ最近では、CrRu合金などの金属を下地層として、さらに、Crの拡散防止やFePtの柱状成長を促進するために、記録層と下地層の間にTiN層やTi−O−N層を積層させて、磁気記録媒体の特性向上が図られている(非特許文献1、2)。
TiN層(窒化チタン膜)は、TiNからなる焼結体(スパッタリングターゲット)を用いて成膜されるが、TiNターゲットは導電性があるため、DCスパッタリングが可能である。また、Ti−O−N層は、TiNターゲットとTiO2ターゲットの多元同時スパッタリングで成膜したり、TiNターゲットのリアクティブスパッタリングで成膜したりすることができる。
TiNターゲットは、通常、窒化チタンの原料粉末をホットプレス焼結して作製されるが、窒化チタン粉末は焼結性が悪いため、焼結後の窒化チタン粒子間の結合が不十分となり、ターゲット中に空孔(ポア)が生じ、スパッタ時にパーティクルを多く発生させるという問題がある。そして、このような問題を解決するために、様々な取り組みが行われている。
例えば、特許文献2〜3には、比較的焼結しやすいTi粉を焼結して、強固な結合を造り出し、その後これを窒化することで、窒化チタン粒同士が強固に結合した焼結体を作製することが記載されている。また、特許文献3には、窒化チタン粉末の平均粒径を所定範囲に調整することで、粗大空孔の生成を抑制し、焼結体の強度を向上させることが記載されている。
これらの技術は、それなりの効果があるが、高密度の磁気記録媒体材料においては、さらに厳密なパーティクルの抑制が要求されており、焼結体(ターゲット)に存在する空孔のサイズや個数を制限するだけでは十分ではなかった。なお、本発明とは関係性が薄いが、特許文献4には、切削工具、金具、導電性部品、装飾品、人工骨材などの部材全体に用いられる、TiNのバルク材(焼結体)が開示されている。
Huihui Li. et al., Highly (001)-Textured L10 FePt-SiO2-C Films with Well Isolated Small Grains Using TiON Intermediate Layer. Applied Physics Express 6 (2013) 075502, p.1-4.
K. F. Dog. Et al., L10 FePT-ZrO2 (001) nanostructured films with high aspect ratio columnar grains. APPLIED PHYSICS LETTRES 104, 192404 (2014) p.1-5
本発明は、スパッタ時におけるパーティクルの発生が少なく、高品質の窒化チタン膜を安定して形成することができる窒化チタンスパッタリングターゲットを提供することを課題とする。特に、磁性記録層の下地層として有用な窒化チタン膜の形成に好適な窒化チタンスパッタリングターゲットを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本願発明者は鋭意研究を行った結果、スパッタリングターゲットの原料である窒化チタン粉末中に不純物としてタングステンやコバルトが多く含まれていると、このタングステンやコバルトが窒化チタン粒子の粒界に介在して、得られた焼結体ターゲットをスパッタリングした場合、その部分で異常放電が生じたり、脱粒が生じたりして、パーティクルの発生原因となるとの知見が得られた。また、窒化チタン粉末中に適切な量のジルコニウムやアルミニウムを添加した場合、焼結助剤として作用して、窒化チタン粒子の結晶粒径の粗大化を抑制し、密度を向上できるとの知見が得られた。この知見に基づき、本願は以下の発明を提供する。
1)タングステンの含有量が5000wtppm以下であることを特徴とする窒化チタンスパッタリングターゲット。
2)タングステンの含有量が1000wtppm以下であることを特徴とする窒化チタンスパッタリングターゲット。
3)コバルトの含有量が500wtppm以下であることを特徴とする上記1)又は2)記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
4)ジルコニウムの含有量が500wtppm以上、5000wtppm以下であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
5)アルミニウムの含有量が200wtppm以上、5000wtppm以下であることを特徴とする上記1〜4)のいずれか一に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
6)相対密度が95%以上であることを特徴とする上記1)〜5)のいずれか一に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
7)平均結晶粒径が5〜20μmであることを特徴とする上記1)〜6)のいずれか一に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
1)タングステンの含有量が5000wtppm以下であることを特徴とする窒化チタンスパッタリングターゲット。
2)タングステンの含有量が1000wtppm以下であることを特徴とする窒化チタンスパッタリングターゲット。
3)コバルトの含有量が500wtppm以下であることを特徴とする上記1)又は2)記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
4)ジルコニウムの含有量が500wtppm以上、5000wtppm以下であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
5)アルミニウムの含有量が200wtppm以上、5000wtppm以下であることを特徴とする上記1〜4)のいずれか一に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
6)相対密度が95%以上であることを特徴とする上記1)〜5)のいずれか一に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
7)平均結晶粒径が5〜20μmであることを特徴とする上記1)〜6)のいずれか一に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
本発明によれば、微細で緻密な組織からなる窒化チタンスパッタリングターゲットを作製することができる。このような組織を有するターゲットを用いることで、スパッタ時のパーティクル発生を格段に抑制することができ、これにより、高品質のTiN薄膜を作製することが可能となる。このようなTiN薄膜は、高密度磁気記録媒体の品質を向上することができるという優れた効果を有する。
窒化チタン(TiN)は、ビッカース硬度が約1900Hvと硬い材料であるため、焼結原料である窒化チタン粉を焼結性向上のために、ボールミル等を使用して微細化する場合、粉砕媒体として、硬度が高くて比重の大きい超鋼(タングステンカーバイド)ボールを用いて行う。しかし、このとき、粉砕媒体からタングステン等が不純物として混入することがあり、混入した不純物が、焼結時に窒化チタン粒の粒界に偏析し、それがスパッタリングの際に、異常放電を発生させたり、脱粒等で飛散したりして、パーティクルと称するゴミが基板に付着するという問題がある。本発明は粉砕条件を調整することで、タングステン等の混入を防止するものである。具体的には、タングステン含有量を5000wtppm以下、好ましくは、1000wtppm以下まで低減することを特徴とする。
一般的に、超鋼(タングステンカーバイド)ボールには、成分であるタングステンの他に炭素やコバルトが含まれる。そのため、窒化チタン粉末を作製する場合、粉砕媒体からコバルト等も混入することがあり、コバルトもタングステンと同様、窒化チタン粒の粒界に偏析して、スパッタリングの際に、異常放電や脱粒等で飛散して、パーティクル等のゴミとして基板に付着する原因となる。したがって、このようなコバルトの混入を極力防止するために、粉砕条件を調整して、ターゲット中に含まれるコバルトの含有量を低減することが好ましい。本発明では、コバルト含有量を500wtppm以下にまで低減することができる。また、好ましくは300wtppm以下とする。
本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットは、粉末冶金法によって作製するが、焼結の際、ジルコニウム及び/又はアルミニウムを添加することが好ましい。これらは焼結助剤として作用し、窒化チタンの粒成長を抑制して、焼結体(スパッタリングターゲット)組織を緻密なものにすることができるという効果がある。本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットにおいて、ジルコニウムを500wtppm以上、5000wtppm以下、アルミニウムを200wtppm以上、5000wtppm以下、含有させることが好ましい。特に好ましくは、ジルコニウム又はアルミニウムを1000wtppm以下が含有させることである。前記含有量よりも少ないと、焼結助剤としての効果が得られず、一方、前記含有量より多いと、下地層としての性能が低下することがある。
なお、特許文献5には、窒化アルミニウムを1〜25体積%とチタン化合物を75〜1体積%とを含有するセラミックス焼結体が開示され、特許文献6には、チタンナイトライドを主成分とする粉末に重量比で0.25%〜4.5%のアルミナ粉末を添加した焼結体が開示されているが、これらは、切削工具や装身具等に使用されるアルミニウムを比較的多く含有するものである。
窒化チタンスパッタリングターゲットに含まれる、上述のタングステン、コバルト、ジルコニウム、アルミニウムの含有量は、焼結体(スパッタリングターゲット)の端部(但し、最外周から5mm以内の領域を除く)を切断して、採取した端材(重量:5〜10g)表面を研磨し、これを粉砕した後、酸等で溶解して、ICP(高周波誘導結合プラズマ)質量分析装置を用いて分析することができる。
本発明の窒化チタンからなるスパッタリングターゲットは、実質的にチタンと窒素を構成成分とするものである。実質的とは、チタン及び窒素の他、タングステンやコバルトなどの不可避的不純物を含み、また、焼結助剤としてジルコニウム及び/又はアルミニウムを添加した場合には、これら成分も含むものである。チタンと窒素の成分比率に特に制限はないが、磁気記録媒体の下地層としての特性維持の観点から、チタンと窒素の合計に対する窒素の重量比が19〜23%となるようにするのが望ましい。
また、本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットは、相対密度95%以上であることが好ましい。ターゲットの高密度化は、スパッタ時のパーティクル発生を低減することができる。さらに、上述のような焼結助剤を添加することで相対密度を97%以上まで高めることができる。なお、相対密度は、以下の式で表されるように、窒化チタンの理論密度(5.43g/cm3)に対する、アルキメデス法によって評価される窒化チタン焼結体の計測密度の割合で示すものである。
(式):相対密度(%)=(計測密度/理論密度)×100
(式):相対密度(%)=(計測密度/理論密度)×100
本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットの平均結晶粒径は、5〜20μmであることが好ましい。上述のような焼結助剤を添加することにより、結晶粒径の粗大化を抑制することができ、また、均一微細な組織からなるターゲットは、スパッタ膜の均一性を高めることができる。平均結晶粒径は、ターゲットの破面のSEM写真(倍率:1000倍)を使って、JIS H0501−1986の切断法と同等の方法により、既知の長さの線分によって完全に切られる結晶粒数を数え(写真端部の結晶粒も含む)、その切断長さの平均値とした。なお、測定サンプルはターゲット中から3〜5箇所程度採るのが好ましいが、代表的なところからサンプルを採取すれば大きなずれはないので、その場合は1箇所でもよい。
本発明のスパッタリングターゲットは、粉末焼結法を用いて、例えば、以下の方法によって作製することができる。
まず、酸素、炭素を除く純度が99.9%相当で、粒径が1〜10μm程度のTiN粉を準備する。また添加物として、酸素、炭素を除く純度が99.9%相当で、粒径が1〜10μmのZrN粉、AlN粉を用意する。前記のZrN粉、AlN粉に代えて、ZrO2粉やAl2O3粉を用いることもできる。
まず、酸素、炭素を除く純度が99.9%相当で、粒径が1〜10μm程度のTiN粉を準備する。また添加物として、酸素、炭素を除く純度が99.9%相当で、粒径が1〜10μmのZrN粉、AlN粉を用意する。前記のZrN粉、AlN粉に代えて、ZrO2粉やAl2O3粉を用いることもできる。
次に、TiN粉をボールミルで5〜20時間程度、混合粉砕する。粉砕媒体は5mmφ程度の安定化ジルコニア(ZrO2)又はアルミナ(Al2O3)を用いることができる。粉砕方法は、乾式で行い、雰囲気は不活性雰囲気(望ましくは窒素雰囲気)になるように調整する。添加物を添加する場合には、ZrN粉等をTiN粉に添加して、同様にボールミルにて混合粉砕を行う。粉砕媒体として、ジルコニアやアルミナなどを用いる場合、媒体からジルコニウム(或いはアルミニウム)が混入することがあるので、この混入量を考慮して、スパッタリングターゲット中にジルコニウムやアルミニウムが所定の量含有するように調整する。
TiN原料粉をより微細化して焼結体の密度を上げるために、超鋼(タングステンカーバイド:WC)ボールを使用することも考えられる。しかし、そのような場合には、タングステンやコバルトが、コンタミとして混入し、窒化チタン粒の粒界に偏析して、異常放電や脱粒等で飛散してパーティクル等のゴミとして基板に付着する原因となる。したがって、混合時間を短くしたり、適切な粉砕媒体を選択したりするなどして、コンタミ量を少なく調整する必要がある。このように、粉砕媒体からのコンタミを考慮すると共に、焼結性を向上させるような粉砕条件に調整することが重要である。
次に、得られた粉砕粉(混合粉)をグラファイト型に充填してホットプレスする。ホットプレス条件は、真空雰囲気中、温度:1700℃〜1900℃、圧力:300kgf/cm2以上、保持時間:2〜5時間とする。また、必要に応じて、ホットプレスから取り出した焼結体に熱間等方加圧加工(HIP)を施すことができる。熱間等方加圧加工は、焼結体の密度向上に有効である。熱間等方加圧加工時の温度は、1800〜2000℃の範囲とする。また、圧力は1200kgf/cm2以上に設定する。このようにして得られた焼結体を、ダイヤモンド砥石などで所望の形状に加工することにより、本発明のスパッタリングターゲットを作製することができる。
(実施例1)
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉を用意し、この粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。粉砕媒体には、5mmφのジルコニアボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を12時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1750℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoの含有量は所定の範囲内にあり、また、相対密度は98.3%であり、平均結晶粒径は12.1μmと良好なものが得られた。図1に平均結晶粒径の測定方法の詳細を示す。
次に、このターゲットをマグネトロン装置(キャノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを実施した。スパッタリングの条件は投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数を表面異物検査装置(Surfacescan6420、KLA−tencor社製)で測定した。その結果、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は300個程度であった。
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉を用意し、この粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。粉砕媒体には、5mmφのジルコニアボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を12時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1750℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoの含有量は所定の範囲内にあり、また、相対密度は98.3%であり、平均結晶粒径は12.1μmと良好なものが得られた。図1に平均結晶粒径の測定方法の詳細を示す。
次に、このターゲットをマグネトロン装置(キャノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを実施した。スパッタリングの条件は投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数を表面異物検査装置(Surfacescan6420、KLA−tencor社製)で測定した。その結果、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は300個程度であった。
(実施例2)
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉と、純度99.9%以上、平均粒子径0.5μmのAl2O3粉を用意し、これら粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。このとき、Al2O3粉の添加量は1500wtppmとした。粉砕媒体には、5mmφのジルコニアボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を5時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1750℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoの含有量は所定の範囲内にあり、相対密度は97.8%であり、平均結晶粒径は15.5μmと良好なものが得られた。次に、このターゲットを使用して、実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は300個程度であった。
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉と、純度99.9%以上、平均粒子径0.5μmのAl2O3粉を用意し、これら粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。このとき、Al2O3粉の添加量は1500wtppmとした。粉砕媒体には、5mmφのジルコニアボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を5時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1750℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoの含有量は所定の範囲内にあり、相対密度は97.8%であり、平均結晶粒径は15.5μmと良好なものが得られた。次に、このターゲットを使用して、実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は300個程度であった。
(実施例3)
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉と、純度99.9%以上、平均粒子径2μmのZrN粉を用意し、これら粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。このとき、ZrN粉の添加量は2000wtppmとした。粉砕媒体には、5mmφのジルコニアボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を12時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1800℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoの含有量は所定の範囲内にあり、相対密度は99.6%であり、平均結晶粒径は9.4μmと良好なものが得られた。次に、このターゲットを使用して実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は200個程度であった。
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉と、純度99.9%以上、平均粒子径2μmのZrN粉を用意し、これら粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。このとき、ZrN粉の添加量は2000wtppmとした。粉砕媒体には、5mmφのジルコニアボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を12時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1800℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoの含有量は所定の範囲内にあり、相対密度は99.6%であり、平均結晶粒径は9.4μmと良好なものが得られた。次に、このターゲットを使用して実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は200個程度であった。
(実施例4)
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉と、純度99.9%以上、平均粒子径1μmのAlN粉、Zr2O3粉を用意し、これら粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。このとき、AlN粉、Zr2O3粉それぞれの添加量は1500wtppmとした。粉砕媒体には、5mmφのタングステンカーバイドボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を12時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1750℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoの含有量は所定の範囲内にあり、相対密度は95.9%であり、平均結晶粒径は11.2μmと良好なものが得られた。次に、このターゲットを使用して実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は900個程度であった。
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉と、純度99.9%以上、平均粒子径1μmのAlN粉、Zr2O3粉を用意し、これら粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。このとき、AlN粉、Zr2O3粉それぞれの添加量は1500wtppmとした。粉砕媒体には、5mmφのタングステンカーバイドボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を12時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1750℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoの含有量は所定の範囲内にあり、相対密度は95.9%であり、平均結晶粒径は11.2μmと良好なものが得られた。次に、このターゲットを使用して実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は900個程度であった。
(比較例1)
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉を用意し、この粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。粉砕媒体には、5mmφのタングステンカーバイドボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を24時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1700℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoを非常に多く含むものであった。次に、このターゲットを使用して実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は10000個程度と、実施例に比べて増加していた。
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉を用意し、この粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。粉砕媒体には、5mmφのタングステンカーバイドボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を24時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1700℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoを非常に多く含むものであった。次に、このターゲットを使用して実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は10000個程度と、実施例に比べて増加していた。
(比較例2)
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉を用意し、この粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。粉砕媒体には、5mmφのタングステンカーバイドボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を30時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1800℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoを非常に多く含むものであった。また、図3に示すようにターゲット中にタングステンの偏析が見られた。次に、このターゲットを使用して実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は15000個程度と、実施例に比べて増加していた。
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉を用意し、この粉末をボールミル装置に導入し、粉砕、混合を行った。粉砕媒体には、5mmφのタングステンカーバイドボールを使用し、乾式(エタノールを少量添加)混合を30時間実施した。
次に、この混合粉末を真空雰囲気中、温度1800℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoを非常に多く含むものであった。また、図3に示すようにターゲット中にタングステンの偏析が見られた。次に、このターゲットを使用して実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は15000個程度と、実施例に比べて増加していた。
(比較例3)
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉を用意し、この粉末を粉砕せず、真空雰囲気中、温度1800℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoの含有量は所定の範囲内であったが、相対密度が95.4%、平均結晶粒径が20.1μmであった。次に、このターゲットを使用して実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は5000個程度と、実施例に比べて増加していた。
純度99.9%以上、平均粒子径5μmのTiN粉を用意し、この粉末を粉砕せず、真空雰囲気中、温度1800℃、面圧300kgf/cm2の条件でホットプレス焼結した。その後、この焼結体を、機械加工してスパッタリングターゲット形状に仕上げた。
上記のようにして得られた焼結体について、W及びCoなどの含有量、さらに相対密度と平均結晶粒径を測定した。その結果、表1に示す通り、W及びCoの含有量は所定の範囲内であったが、相対密度が95.4%、平均結晶粒径が20.1μmであった。次に、このターゲットを使用して実施例1と同様の条件でスパッタリングを実施したところ、基板状に付着した0.25μm以上の大きさのパーティクル数は5000個程度と、実施例に比べて増加していた。
本発明は、窒化チタンスパッタリングターゲットにおいて緻密で微細な組織を備え、スパッタリング時のパーティクル発生を低減することができるので、成膜時の歩留まりを改善することができるという優れた効果を有する。本発明の窒化チタンスパッタリングターゲットは、特に、磁気記録媒体における磁気記録層の下地層としての窒化チタン皮膜の形成に有用である。
Claims (7)
- タングステンの含有量が5000wtppm以下であることを特徴とする窒化チタンスパッタリングターゲット。
- タングステンの含有量が1000wtppm以下であることを特徴とする窒化チタンスパッタリングターゲット。
- コバルトの含有量が500wtppm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
- ジルコニウムの含有量が500wtppm以上、5000wtppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
- アルミニウムの含有量が200wtppm以上、5000wtppm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
- 相対密度が95%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
- 平均結晶粒径が5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の窒化チタンスパッタリングターゲット。
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