JP2017171896A - 半導体ウェハ加工用粘着テープ、半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法および半導体ウェハの加工方法 - Google Patents

半導体ウェハ加工用粘着テープ、半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法および半導体ウェハの加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】段差や突起を有する半導体ウェハ表面への追従性が良好で、剥離時には半導体ウェハの破損や糊残りすることなく剥離可能な半導体ウェハ加工用粘着テープ、半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法及び半導体ウェハの加工方法を提供する。【解決手段】基材フィルムの少なくとも一方の面に粘着剤層を有する半導体ウェハ加工用粘着テープであって、前記粘着剤層の粘着剤が、少なくとも、成分(a)、成分(b)および成分(c)のそれぞれからなり、前記成分(a)が、架橋剤であり、前記成分(b)が、該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体であり、前記成分(c)が、エチレン性不飽和基と該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基とを有する化合物であり、かつ、前記粘着剤のゲル分率が30〜80%である半導体ウェハ加工用粘着テープ、半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法及び半導体ウェハの加工方法。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウェハ加工用粘着テープ、半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法および半導体ウェハの加工方法に関する。
半導体パッケージは、高純度シリコン単結晶等をスライスして半導体ウェハとした後、イオン注入、エッチング等により半導体ウェハ表面に集積回路を形成して製造される。集積回路が形成された半導体ウェハの裏面を研削、研磨等することにより、半導体ウェハは所望の厚さに加工される。この際、半導体ウェハ表面に形成された集積回路を保護するために、半導体ウェハ表面保護用粘着テープ(以下、単に「表面保護テープ」ともいう。)が用いられる。
裏面研削された半導体ウェハは、裏面研削が終了した後に半導体ウェハカセットに収納され、ダイシング工程へ運搬され、半導体チップに加工される。
従来は、裏面研削等により半導体ウェハの厚さを200〜400μm程度とすることが求められていた。しかし、近年の高密度実装技術の進歩に伴い、半導体チップを小型化する必要が生じ、それに伴い、半導体ウェハの薄膜化も進んでいる。半導体チップの種類によっては、半導体ウェハを100μm以下まで薄くすることが必要となっている。一方で、一度の加工によって製造できる半導体チップの数を多くするために、もとの半導体ウェハを大径化する傾向にある。これまでは直径が5インチや6インチの半導体ウェハが主流だったのに対し、近年では直径8〜12インチの半導体ウェハを半導体チップ化する加工が主流となっており、さらには18インチの半導体ウェハも導入が検討されている。
半導体ウェハを薄膜化と同時に大径化する流れは、特に、NAND型やNOR型が存在するフラッシュメモリの分野や、揮発性メモリであるDRAMなどの分野で顕著である。例えば、直径12インチの半導体ウェハを100μm以下の厚さまで研削することも珍しくない。
これに加え、特に近年、スマートフォンの普及や携帯電話の性能向上および音楽プレーヤの小型化、かつ性能向上などに伴い、耐衝撃性などを考慮した電極付半導体ウェハを用いたフリップチップ実装に用いるウェハについても薄膜化の要求が増えてきている。またバンプ付半導体ウェハについても半導体ウェハ部分を100μm以下の薄膜研削をする必要が出てきている。フリップチップ接続されるためのバンプは、転送速度向上のため高密度化されてきており、バンプの高さ(半導体ウェハ表面からの突出高さ)が低くなってきており、それに伴ってバンプ間距離が短くなってきている。また近年ではDRAMにもフリップチップ接続が実施されてきているため半導体ウェハの薄膜化も加速している。
フリップチップ実装は、近年の電子機器の小型化、高密度化に対して半導体素子を最小の面積で実装できる方法として注目されてきた。このフリップチップ実装に使用される半導体素子の電極上にはバンプが形成されており、バンプと回路基板上の配線とを電気的に接合する。これらのバンプの組成としては、主に半田や銅および金が使用されている。この半田バンプや銅および金バンプは、蒸着やメッキで、チップの内部配線につながる露出したアルミ端子上などに形成する。
しかし、バンプ付半導体ウェハは、その表面に大きな凹凸を有しているため薄膜加工が難しく、通常の粘着テープを用いて裏面研削を行うと半導体ウェハ割れが発生してしまったり、半導体ウェハの厚み精度の悪化を起こしたりする。そのため、バンプ付半導体ウェハの研削には、特別に設計された表面保護テープを用いて加工がされている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、これらの表面保護テープではバンプを十分に吸収して研削性を確保しているため剥離性との両立が非常に難しい。これまでのフリップチップ実装されてきたチップの仕上げ厚みは200μm厚以上とある程度の厚みがあり、剛性を保てたため何とか剥離できてきた。しかし、最近、半導体ウェハ仕上げ厚みが、よりいっそう薄膜となり、バンプ密度も高くなってきているため表面保護テープは、剥離が容易にできないといった問題を引き起こしてしまっている。また逆に、剥離性を確保すると密着が不十分となり、裏面研削時に研削水の浸入や糊残りを引き起こしてしまっている。
これに加えて、ウェハレベルパッケージに使用されるバンプ付半導体ウェハのバンプ高さは依然高いままであり、高さ250μm以上のバンプも搭載されている。ウェハレベルパッケージではチップをスタックする必要がないためメモリ系半導体ウェハのように50μm以下といった極薄研削されることがないが、高いバンプが付いているため厚膜研削でも非常に割れやすく、150μm厚以下の研削厚で容易に半導体ウェハ割れの問題が発生する。
一方、近年、ポリマー中にエチレン性不飽和基を有する放射線硬化型粘着剤を使用して、各種の検討が行われている。例えば、半導体ウェハ表面の微細なパターンを破壊せずに、接着剤を残すことなく半導体ウェハ表面から剥離するため、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体と、この官能基に反応する置換基を有するエチレン性不飽和基を含有する化合物を含有させることによって得られる放射線線硬化型共重合体(例えば、特許文献1、2参照)が代表的である。
また、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体と反応させるエチレン性不飽和基を有する化合物が、脂肪族ジイソシアネートと1つの水酸基を有するアクリレートと反応させたウレタンアクリレートオリゴマー(例えば、特許文献3参照)なども知られている。
特開2001−203255号公報 特開平9−298173号公報 特開2008−021897号公報
しかしながら、特許文献1〜3に示されているような従来の表面保護テープでは、段差や突起の高さが益々高くなり、しかも研削する半導体ウェハや半導体ウェハの研削後の厚さが益々薄くなる状況において、必ずしも十分でない。
従って、本発明は、段差や突起を有する半導体ウェハに好適に用いられ、半導体ウェハ表面への追従性が良好で、剥離時には半導体ウェハの破損や糊残りすることなく剥離可能な半導体ウェハ加工用粘着テープ、半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法および半導体ウェハの加工方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、粘着剤を特定の放射線硬化型ポリマーのベースポリマーを使用し、放射線照射前の粘着剤のゲル分率が重要であることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の上記課題は、以下の手段によって達成された。
<1>基材フィルムの少なくとも一方の面に粘着剤層を有する半導体ウェハ加工用粘着テープであって、
前記粘着剤層の粘着剤が、少なくとも、成分(a)、成分(b)および成分(c)のそれぞれからなり、
前記成分(a)が、架橋剤であり、前記成分(b)が、該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体であり、前記成分(c)が、エチレン性不飽和基と該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基とを有する化合物であり、かつ、
前記粘着剤のゲル分率が30〜80%であることを特徴とする半導体ウェハ加工用粘着テープ。
<2>前記粘着剤を構成する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数を100としたとき、前記成分(c)のエチレン性不飽和基の合計数が、20〜90であることを特徴とする<1>に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
<3>前記成分(c)の化合物が、ウレタンアクリレートであることを特徴とする<1>または<2>に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
<4>前記成分(a)の架橋剤に加えて、成分(d)として、該成分(a)の架橋剤とは異なる反応性官能基を有する架橋剤を有することを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
<5>基材フィルムの少なくとも一方の面に粘着剤層を有する半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法であって、
前記粘着剤層が、ゲル分率30〜80%の粘着剤からなり、
前記粘着剤層を形成するための粘着剤組成物が、少なくとも、成分(a)、成分(b)および成分(c)のそれぞれを含み、
前記成分(a)が、架橋剤であり、前記成分(b)が、該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体であり、前記成分(c)が、エチレン性不飽和基と該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基とを有する化合物であり、
前記粘着剤組成物により、前記基材フィルム上に、前記粘着剤層を形成することを特徴とする半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法。
<6>前記粘着剤組成物中に含有するエチレン性不飽和基を有する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数を100としたとき、前記成分(c)のエチレン性不飽和基の合計数が、20〜90であることを特徴とする<5>に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法。
<7>前記成分(c)の化合物が、ウレタンアクリレートであることを特徴とする<5>または<6>に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法。
<8>前記成分(a)の架橋剤に加えて、成分(d)として、該成分(a)の架橋剤とは異なる反応性官能基を有する架橋剤を有することを特徴とする<5>〜<7>のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法。
<9>前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープを、表面凹凸が10μm以上ある半導体ウェハ面に貼合した後、紫外線照射して、半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離する工程を含むことを特徴とする半導体ウェハの加工方法。
本発明により、半導体ウェハ表面への追従性が良好で、剥離時には半導体ウェハの破損や糊残りすることなく剥離可能な半導体ウェハ加工用粘着テープ、半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法および半導体ウェハの加工方法を提供することが可能となった。
特に本発明では、段差や突起を有する半導体ウェハ、さらには、研削する半導体ウェハや半導体ウェハの研削後の厚さが薄いものに対して、本発明の上記効果が、効果的に発現される。
<<半導体ウェハ加工用粘着テープ>>
本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープは、基材フィルムの少なくとも一方の面に粘着剤層を有し、該粘着剤層の粘着剤が、少なくとも、成分(a)、成分(b)および成分(c)のそれぞれからなり、該成分(a)が、架橋剤であり、該成分(b)が、該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体であり、該成分(c)が、エチレン性不飽和基と該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基とを有する化合物であり、かつ、前記粘着剤のゲル分率が30〜80%である。
<基材フィルム>
基材フィルムは、樹脂フィルムからなるものが好ましく、公知のプラスチック、ゴム等を用いることができる。例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等のα−オレフィンの単独重合体もしくは共重合体、またはこれらの混合物)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エンジニアリングプラスチック(ポリメチルメタクリレート等)、合成ゴム類(スチレン−エチレン−ブテンもしくはペンテン系共重合体)、熱可塑性エラストマー(ポリアミド−ポリオール共重合体等)、およびこれらの混合物が挙げられる。また、これらを複層にしたものを使用してもよい。
本発明において、基材フィルムは、ポリオレフィン樹脂が好ましく、なかでもエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムが好ましい。
基材フィルムの厚みは、強伸度特性、表面保護テープの剥離性、貼合機におけるカット性の観点から、ポリエチレンなどの柔軟性を有する基材ならば50〜500μm、ポリエステルなどの剛性を有する基材ならば10〜100μmが適当である。
また、柔軟性を有する樹脂として表面保護テープラミネート時の加熱で軟化し得る樹脂を用い、剛性を有する樹脂を積層させた積層フィルムを基材として用いることも、追従性確保およびウェハの反り抑制の観点から好ましい。このような積層フィルムの場合、その合計厚さは100〜600μmが好ましい。
<粘着剤層(粘着剤)>
(ベースポリマー)
本発明では、粘着剤層に用いる粘着剤は、放射線硬化型粘着剤である。
放射線硬化型粘着剤のベースポリマーは、主成分として、1)架橋構造でエチレン性不飽和基を有するポリマーまたは2)側鎖にエチレン性不飽和基を有するポリマーである。
本発明では、このうち、1)の架橋構造でエチレン性不飽和基を有するポリマーを使用する。
上記1)の架橋構造でエチレン性不飽和基を有するポリマーは、具体的には、成分(a)、成分(b)および成分(c)のそれぞれからなり、該成分(a)が、架橋剤であり、該成分(b)が、該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体であり、該成分(c)が、エチレン性不飽和基と該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基とを有する化合物である。
なお、上記1)、2)のポリマーをまとめて、以後、放射線感光型ポリマーとも称す。
ここで、側鎖にエチレン性不飽和基を有するポリマーとは、ポリマー鎖に、エチレン性不飽和基(エチレン性の炭素炭素二重結合)が直接もしくは連結基を介して結合しているポリマーである。また、架橋構造でエチレン性不飽和基を有するポリマーとは、ポリマー分子が架橋剤などで架橋されたポリマーであって、ポリマー鎖または架橋部分(架橋剤に由来する部分)にエチレン性不飽和基を有するポリマーである。
なお、上記のポリマー鎖とは、ポリマー鎖そのものであり、例えば、メタクリル酸メチルエステルから得られる繰り返し単位において、−[CH−C(CH)(COCH)]−のCHとCOCHは側鎖であり、ポリマー鎖を構成する原子部分は、−[炭素原子−炭素原子]−である。また、連結基とは、このポリマー鎖を構成する原子(上記では炭素原子)とエチレン性不飽和基の炭素原子とを結ぶ2価の有機基であり、例えば、−CO−L−(メタ)アクリロイルオキシ基、−CO−L−O−C(=O)−NH−L−(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。
上記のLおよびLは、2価の連結基であり、アルキレン基、アリーレン基、2価のヘテロ環基、−O−、−S−、SO−、−N(Ra)−、−C(=O)−またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。ここで、Raは水素原子または置換基(アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アルキルもしくはアリールのスルホニル基を表す。
また、主成分とするとは、上記1)または2)のポリマー成分が少なくとも50質量%以上であり、好ましくは80質量%以上(100質量%以下)である。
なお、上記1)または2)のポリマー成分以外のポリマーとしては、粘着剤に使用される公知の塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂〔(メタ)アクリル樹脂〕、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム類等を使用することができる。
エチレン性不飽和基は、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルロイルアミノ基などが挙げられる。
なお、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルロイルアミノ基のように、「(メタ)」は、アクリル酸誘導体に基づく基およびメタクリル酸誘導体に基づく基の両方を意味するものであり、いずれか一方でも、これらの混合物でもよい。また、他の類似用語についても同様である。例えば、(メタ)アクリルロイルオキシ基は、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基の両方を意味する。
ポリマーが有するエチレン性不飽和基は、紫外線、電子線などの放射線を照射することでポリマーを重合し、硬化させることができる。
粘着剤の上記ベースポリマーは、例えば、(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル、エチレンもしくはスチレン共重合体、ポリウレタンが挙げられる。
本発明では、成分(b)のように、(メタ)アクリル共重合体である。
1)の架橋構造でエチレン性不飽和基を有するポリマー
架橋構造でエチレン性不飽和基を有するポリマーは、エチレン性不飽和基を有し、かつポリマーが架橋構造を有するポリマーである。
このようなポリマーは、架橋剤の成分(a)、該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基(α)を有する(メタ)アクリル共重合体の成分(b)およびエチレン性不飽和基と該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基(β)とを有する化合物の成分(c)のそれぞれからなり、これらの成分によって架橋構造を有するポリマーを形成する。
従って、成分(a)の架橋剤は、その分子中に少なくとも2つの反応性官能基の反応性官能基(α)と(β)を有する。
ここで、反応性官能基(α)と(β)は同一であっても異なっていてもよい。
このような反応性官能基(α)、(β)は、成分(a)の架橋剤と、求核攻撃する基、求核攻撃を受ける基もしくは付加反応を受ける基が挙げられる。
反応性官能基(α)、(β)としては、例えば水酸基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基(−N=C=O)、環状の酸無水物を形成している基、ハロゲン原子、アルコキシもしくはアリールオキシカルボニル基等が挙げられる。
ここで、成分(a)の架橋剤が有する架橋性基、すなわち反応性官能基(γ)が、求核攻撃を受ける基もしくは付加反応を受ける基である場合、反応性官能基(α)、(β)は水酸基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基が好ましく、水酸基、カルボキシ基がより好ましく、水酸基がさらに好ましい。
逆に、成分(a)の架橋剤が有する架橋性基、すなわち反応性官能基(γ)が、求核攻撃する基である場合、反応性官能基(α)、(β)はエポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基(−N=C=O)、環状の酸無水物を形成している基、ハロゲン原子、アルコキシもしくはアリールオキシカルボニル基等が挙げられる。
なお、成分(a)の架橋剤が有する架橋性基、すなわち反応性官能基(γ)が、エポキシ基、オキセタニル基の場合、反応性官能基(α)、(β)はエポキシ基、オキセタニル基であっても構わない。
本発明では、成分(a)の架橋剤が有する架橋性基、すなわち反応性官能基(γ)が、求核攻撃を受ける基もしくは付加反応を受ける基が好ましい。
〔成分(b)〕
成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基(α)を有する(メタ)アクリル共重合体は、成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基(α)を有するモノマーから得られる。
−反応性官能基(α)がカルボキシ基であるモノマー−
(メタ)アクリル酸、桂皮酸、イタコン酸、フマル酸等
−反応性官能基(α)が水酸基であるモノマー−
アルコール部に水酸基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート〔例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、グリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート〕、アミン部に水酸基を有するアルキルアミンのN−(ヒドロキシアルキル)アルキル(メタ)アクリルアミド〔例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ビスメチロール(メタ)アクリルアミド〕、アリルアルコール等
−反応性官能基(α)がアミノ基であるモノマー−
アルコール部にアミノ基を有するアミノアルキル(メタ)アクリレート〔例えば、2−(アルキルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、3−(アルキルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート〕、(メタ)アクリルアミド等
−反応性官能基(α)が環状の酸無水物であるモノマー−
無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸、無水フタル酸等
−反応性官能基(α)がエポキシ基もしくはオキセタニル基であるモノマー−
グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等
−反応性官能基(α)がイソシアネート基であるモノマー−
(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネート〔例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート〕、多価イソシアネート化合物のイソシアネート基の一部を、水酸基もしくはカルボキシ基と、エチレン性不飽和基とを有する化合物でウレタン化したもの〔例えば、2〜10官能の(メタ)アクリルのウレタンアクリレートオリゴマー〕等
成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基(α)を有する(メタ)アクリル共重合体は、成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基(α)を有するモノマーと反応性官能基(α)を有さないモノマーとの共重合が特に好ましい。
反応性官能基(α)を有さないモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、デシルアクリレートヘキシルアクリレート、およびこれらに対応するメタクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは1種でも2種以上でも構わないが、アルコール部の炭素数が5以下のものと炭素数が6〜12のものを併用することが好ましい。
なお、アルコール部の炭素数の大きなモノマーを使用するほどガラス転移点(Tg)は低くなるので、所望のガラス転移点のものを得ることができる。また、ガラス転移点の他、相溶性と各種性能を上げる目的で酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどの炭素−炭素二重結合をもつ低分子化合物を配合することも好ましく、この場合、これらのモノマー成分の含有量は5質量%以下の範囲内が好ましい。
本発明におけるポリマーのTgは−50〜20℃が好ましく、−25〜10℃がより好ましい。高いTgにすることで、粘着剤の高い凝集力を得ることができるため、糊残りに対して有効である。一方、表面凹凸ウェハへの追従性は悪くなるが、本発明においてはオリゴマー〔例えば、成分(c)の化合物および架橋系に取り込まれないエチレン性不飽和基を有する化合物〕を加えることで調整が可能である。
成分(b)の(メタ)アクリル共重合体は、1種でも2種以上併用してもよい。
〔成分(c)〕
エチレン性不飽和基と該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基(β)とを有する化合物は、エチレン性不飽和基と、求核攻撃する基の反応性官能基(β)を有する化合物が好ましい。
反応性官能基(β)は、具体的には、水酸基、アミノ基、メルカプト基またはカルボキシ基が好ましく、水酸基、アミノ基またはカルボキシ基がより好ましく、水酸基またはカルボキシ基がさらに好ましく、なかでも水酸基が好ましい。
反応性官能基(β)は1つもしくは2つ以上有してもよいが、本発明では1つが好ましい。
1分子中のエチレン性不飽和基の数は、2〜15が好ましく、2〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。
反応性官能基(β)を有し、かつエチレン性不飽和基を有する化合物は、水酸基を少なくとも1つを残して(メタ)アクリロイル化された多価アルコールのエステル化合物や反応性官能基(β)(好ましくは水酸基)を少なくとも1つ有するウレタンアクリレートオリゴマーが好ましく、水酸基を少なくとも1つ有するウレタンアクリレートオリゴマーがより好ましい。
水酸基を少なくとも1つを残して(メタ)アクリロイル化された多価アルコールのエステル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、水酸基を1つ有するオリゴエステル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
反応性官能基(β)を少なくとも1つ有するウレタンアクリレートは、多価イソシアネート化合物〔例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアネートなど)と、ポリエステル型またはポリエーテル型などのポリオール化合物を、少なくとも1つのイソシアネート基を残して反応させた後、この残ったイソシアネート基とヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート〕を反応させて得られるものが広く適用可能である。
反応性官能基(β)を少なくとも1つ有するウレタンアクリレート等の成分(c)の化合物の質量平均分子量は、300〜100,000が好ましく、500〜50,000がより好ましく、1,000〜30,000がさらに好ましく、2,000〜20,000が特に好ましい。
成分(c)の化合物は、1種でも2種以上併用してもよい。
成分(c)は、粘着剤を構成する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数を100としたとき、成分(c)のエチレン性不飽和基の合計数が、20以上となるように配合することが好ましく、成分(c)のエチレン性不飽和基の合計数の好ましい上限は90である。
エチレン性不飽和基の合計数の下限は、30がより好ましく、エチレン性不飽和基の合計数の上限は80がより好ましい。
エチレン性不飽和基の合計数の下限は、40がさらに好ましく、エチレン性不飽和基の合計数の上限は70がさらに好ましい。
成分(c)の配合量は、成分(c)の1分子中に有するエチレン性不飽和基の数にも依存するが、成分(b)100質量部に対して、5〜150質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましく、30〜70質量部がさらに好ましい。
粘着剤を構成する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数は、成分(b)100質量部に対して、20〜200質量部が好ましく、30〜120質量部がより好ましく、50〜100質量部がさらに好ましい。
〔成分(a)〕
成分(a)の架橋剤は、少なくとも、成分(b)および成分(c)と反応する架橋性基、すなわち反応性官能基(γ)を有する。
上記の少なくとも2つ有する架橋性基、すなわち反応性官能基(γ)は互いに同一であっても異なっていてもよいが、本発明では同一であることが好ましい。
また、反応性官能基(γ)は求核攻撃を受ける基もしくは付加反応を受ける基が好ましい。
架橋剤の架橋反応を行う架橋性基、すなわち反応性官能基(γ)は、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基、ハロゲン原子、アリールオキシカルボニル基、環状の酸無水物を形成する基が好ましく、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基がより好ましく、イソシアネート基、エポキシ基がさらに好ましく、イソシアネート基が特に好ましい。
このような架橋剤としては、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物、多価アジリジン化合物、キレート化合物等を挙げることができる。
多価イソシアネート化合物としては、特に制限がなく、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられる。具体的には、コロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製、商品名〕等を用いることができる。
多価エポキシ化合物としては、エポキシ樹脂が挙げられ、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステルアクリレート、N原子に2つのグリジジル基が置換したアニリン類等を挙げることができる。
なお、アニリン類としては、N,N’−テトラグリシジル−m−フェニレンジアミンが挙げられる。
多価アジリジン化合物は、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕ホスフィンオキシド、ヘキサ〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕トリホスファトリアジン等を挙げることができる。またキレート化合物としては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等を挙げることができる。
架橋剤は1種でも2種併用してもよい。
本発明では、成分(a)の架橋剤に加えて、成分(d)として、該成分(a)の架橋剤とは異なる反応性官能基を有する架橋剤と併用するのが好ましい。例えば、成分(c)とは架橋せず、成分(b)のみと架橋する成分(d)を加えることで、成分(b)と成分(c)の架橋を、成分(a)で調整し、さらに成分(b)の架橋を成分(d)で調整することが可能となる。
架橋剤の配合量は、原料のポリマー100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜6質量部がさらに好ましい。
(光重合開始剤)
放射線硬化型粘着剤には、必要に応じて光重合開始剤を含むことができる。光重合開始剤には基材を透過する放射線により反応するものであれば、特に制限はなく、従来知られているものを用いることができる。例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、フェニルジメトキシアセチルベンゼン等のアセトフェノン類、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン等のアントラキノン類、2−クロロチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、2,4,5−トリアリ−ルイミダゾール二量体(ロフィン二量体)、アクリジン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド類、等を挙げることができ、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤の添加量は、放射線硬化型ポリマー100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜7.5質量部がより好ましく、0.5〜5質量部がさらに好ましい。光重合開始剤の添加量が多いと放射線硬化が多地点で、かつ、急激に発生するため、放射線硬化収縮が大きくなってしまうため、従来の放射線硬化型の表面保護用粘着テープに比べ光重合開始剤の量を少なくすることも放射線硬化収縮の抑制の点から有用である。
(その他の添加物)
放射線硬化型粘着剤には必要に応じて粘着付与剤、粘着調整剤、界面活性剤等、あるいはその他の改質剤等を配合することができる。また、無機化合物フィラーを適宜加えてもよい。
その他の添加物としては例えば、濡れ防止もしくはスリップ性高上のための添加剤として、シリコーンアクリレート(例えば、シリコーンジアクリレート、シリコーンヘキサアクリレート)、放射線硬化促進剤が挙げられる。また、添加剤として耐水剤としてのアミノアクリレートや可塑剤を含んでもよい。
なお、ポリマーの重合の際に用いられる界面活性剤を含んでいてもよい。
本発明では、粘着剤を構成する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数を100としたとき、前記成分(c)のエチレン性不飽和基の合計数が、20〜90である場合が好ましい。
このことは、粘着剤(粘着剤組成物)中に含有するエチレン性不飽和基を有する全ての成分のエチレン性炭素−炭素二重結合の総数に対する、前記成分(c)のエチレン性炭素−炭素二重結合の総数が、20〜90%であることをも意味する。
成分(c)以外のエチレン性不飽和基としては、例えば、成分(a)と架橋する反応性官能基を有さないエチレン性不飽和基含有化合物がある。架橋系に取り込まれない該化合物を有することで、粘着剤の貯蔵弾性率を調整することができ、表面に凹凸を有する半導体ウェハに対し、良好な追従性を得ることができる。また、成分(c)と併用されるため、放射線硬化後は、成分(a)および成分(c)を介して、成分(b)と架橋することができる。
このような範囲とするには、粘着剤(粘着剤組成物)に配合するエチレン性不飽和基を有する全ての成分の含有量、および、前記成分(c)のエチレン性不飽和基の数およびその配合量の調節で調整できる。また、成分(a)の架橋剤の種類や量および反応性官能基(α)もしくは(β)の量や種類で調整することも可能である。
また、反応性官能基(β)と架橋剤で反応しない、エチレン性不飽和基を含有する化合物をさらに加えて調整することもできる。
粘着剤を構成する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数を100としたとき、放射線硬化型ポリマーのみが有するエチレン性不飽和基の合計数は、前記成分(c)のエチレン性不飽和基の合計数が、20〜90がより好ましく、30〜80がさらに好ましく、40〜70がさらに好ましい。
ここで、粘着剤を構成する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数に対する放射線硬化型ポリマーのみが有するエチレン性不飽和基の合計数の比率は、半導体ウェハ加工用粘着テープから粘着剤層のみを剥離し、機器分析することでも確認できる。
例えば、剥離した粘着剤層をトルエンなどの溶剤に、粘着剤のゲル分率の測定のように、溶解させ、溶剤に溶解した溶液と溶剤に溶解しない部分を分離し、これらのいずれをも、H−NMRおよび13C−NMRスペクトルを解析することなどで、評価できる。
また、必要な場合は、ガスクロマトグラフィーなどを使用してもよい。
(粘着剤層の厚み)
粘着剤層の厚みは、特に限定されるものではないが、被着体表面の凹凸に合わせて選択され、例えばバンプ付ウェハに貼合させる場合には、バンプの高さよりも10〜50μm程度厚いことが好ましい。具体的には10〜500μmが好ましく、30〜400μmがより好ましく、50〜300μmがさらに好ましい。粘着剤は複層であってもよく、その場合は、少なくとも最外層の粘着剤が、本発明の構成を満たす放射線硬化型粘着剤であることが望ましい。また、例えば加熱により軟化する基材フィルムを用いて被着体表面に追従させる場合は、追従させる層の合計厚さが上記範囲であることが望ましく、その場合は最外層の粘着剤を1〜100μm程度まで薄くすることも可能である。
(粘着剤層もしくは粘着剤の特性)
本発明では、粘着剤(粘着剤層)の放射線硬化前のゲル分率は30〜80%である。
ゲル分率は、30〜76%が好ましく、40〜70%がより好ましく、50〜68%がさらに好ましい。
ゲル分率は、特定の溶剤で粘着剤を溶かしたときに、溶かされずに残存している部分をゲル(架橋部分はゲルとして残る)とし、このゲル部分の質量と溶剤で溶かす前の粘着剤質量との比(百分率)である。
ゲル分率は、具体的には、半導体ウェハ加工用粘着テープをA5サイズに切断し、セパレータを剥離したものを試験片とする。この試験片の質量を測定する。次いで、トルエンに24時間浸漬する。ここで、トルエン表面に試験片が浮かないよう重量物もしくは容器の底に、基材フィルム側が接触する方向で固定し、粘着剤層である糊面をトルエン溶媒にさらされる状態にする。その後、試験片を取り出し、50℃で24時間乾燥する。一方、トルエン溶媒からもメッシュを通し回収する。試験片およびメッシュ上の残渣の質量を測定する。
基材フィルムおよびメッシュの質量を差し引く。ここで、メッシュはそのものの質量を測定し、基材フィルムは基材フィルムのみを同面積に切り出して質量測定するか、または厚さと密度から算出する。
これらの値をもとに、下記式に従い、粘着剤(粘着剤層)の放射線硬化前のゲル分率を求める。
ゲル分率(%)=
{(トルエン浸漬後の試験片とメッシュの合計質量)−(試験片の基材フィルムの質量+メッシュの質量)}÷(トルエン浸漬前の試験片の質量−試験片の基材フィルムの質量)×100
上記において、架橋剤による架橋反応で架橋構造となっていないベースポリマーやエチレン性不飽和基を有する化合物はトルエンに溶出する。
このため、ゲル分率は、架橋度の目安となる。
ゲル分率は、粘着剤を構成するベースポリマーの種類、架橋剤の種類と配合量、硬化剤と反応しない化合物の含有量などによって調整できる。
また、本発明では、粘着剤(粘着剤層)の25℃における貯蔵弾性率は、20,000〜300,000Paが好ましく、30,000〜100,000Paがより好ましく、40,000〜70,000Paがさらに好ましい。
なお、半導体ウェハ加工用粘着テープを加熱もしくは冷却させながら貼合させる場合には、貼合させる温度において、上記貯蔵弾性率になることが望ましい。貼合温度は、例えば、20〜100℃であることが一般的である。
粘着剤(粘着剤層)の貯蔵弾性率は、離型処理されたセパレータ上に塗布、乾燥させた粘着剤を積層し、約2mmの厚さ、約8mmφの径にペレット状に打ち抜いたものを用い、以下の手順で測定できる。
貯蔵弾性率は動的粘弾性測定装置(例えば、TAインスツルメンツ社製のARES)を使用し、周波数6.28rad/secにより測定する。温度については、25℃および貼合温度における貯蔵弾性率の値を測定する。
貯蔵弾性率は、粘着剤の種類、粘着剤に含有する成分の種類、含有量、架橋度で調整できる。
なお、放射線照射による硬化後(紫外線量で示すと、積算照射量500mJ/cmとなるように粘着剤層全体を照射して硬化させた後)の粘着剤の貯蔵弾性率は1.0×10Pa以上が好ましい。
本発明では、TTV値が、5以下であることが好ましく、4以下であることがさらに好ましい。
TTV値は、研削後の半導体ウェハを、(株)ISIS製非接触式レーザー等の膜厚計で厚さを計測し、計測された半導体ウェハの厚さの最大値と最小値の差である。
本発明では、X線光電子分光(XPS)を用いて測定した、炭素(C)元素およびケイ素(Si)元素の比(C/Si)が、1.0未満が好ましく、0.5未満がより好ましい。
<その他の層>
本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープは、接着剤層などの他の層を設けてもよい。
<剥離ライナー>
半導体ウェハ加工用粘着テープは、粘着剤層上に剥離ライナーを有してもよい。剥離ライナーとしては、シリコーン離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムなどが用いられる。また必要に応じて、シリコーン離型処理をしないポリプロピレンフィルムなども用いられる。
<<半導体ウェハ加工用粘着テープの用途>>
本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープは、例えば、半導体等の保護用粘着テープ、半導体ウェハ等の固定用粘着テープとして利用できる。
具体的には、シリコン半導体バックグラインド用粘着テープ、化合物半導体バックグラインド用粘着テープ、シリコン半導体ダイシング用粘着テープ、化合物半導体ダイシング用粘着テープ、半導体パッケージダイシング用粘着テープ、ガラスダイシング用粘着テープ、セラミックスダイシング用粘着テープなど、電子部品、半導体部品、または光学部品の表面保護として使用できる。特に、段差や突起を有する半導体ウェハ用のバックグラインド用粘着テープとして有用である。
<<半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法>>
本発明では、粘着剤層が、ゲル分率30〜80%の粘着剤からなる粘着剤(粘着剤組成物)を調製し、基材フィルム上に、粘着剤層を形成する。
ここで、粘着剤を形成するための粘着剤組成物が、少なくとも、成分(a)、成分(b)および成分(c)のそれぞれを含む。
基材フィルム上に、粘着剤層を形成する方法は、どのような方法でも構わないが、粘着剤組成物を塗工し、乾燥させる方法が好ましい。
粘着剤組成物は、粘着剤に塗工のために溶剤を含んだ粘着剤組成物(本発明で、特に、組成物と称する場合は、溶剤をも含む意味で使用する)でもよく、粘着剤の調製方法は、先に説明した<粘着剤層(粘着剤)>に記載されている通りである。
<<半導体ウェハの加工方法>>
本発明の半導体ウェハの加工方法は、本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープを使用する半導体ウェハの加工方法である。
本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープは、半導体ウェハの加工工程ならどの工程で使用してもよい。例えば、半導体ウェハ裏面研削工程、ダイシング工程、ダイシングダイボンディング工程などが好ましく挙げられる。
また、本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープは、表面凹凸が10μm以上ある半導体ウェハ面に貼合して使用することが好ましい。
半導体ウェハの表面凹凸〔バンプ(電極)の高さ〕が、20〜400μmのものに適用するのがより好ましく、20〜100μmのものに適用するのがさらに好ましい。
半導体ウェハ表面のバンプの配設密度(高密度)は、特に限定されるものではないが、例えば、バンプの高さの2.0倍のピッチ(バンプの高さ方向の頂点から、次に配置されたバンプの高さ方向の頂点までの距離)のものに対して適用でき、バンプ高さの1.5倍のピッチのものに対しても好適に用いられる。また、全面に均一にバンプが配置された半導体ウェハにも用いられる。
半導体ウェハの厚さは、半導体ウェハ加工用粘着テープを用いる加工方法により裏面研削された半導体ウェハの厚さにおいて、20〜500μmが好ましく、25〜200μmがより好ましく、25〜100μmがさらに好ましい。
本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープを用いることで、薄膜半導体ウェハを高い歩留まりで得ることができる。この半導体ウェハの加工方法は、電極付半導体ウェハを50μm以下の薄膜研削の製造方法として好適である。
本発明の半導体ウェハの製造方法は、本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープを半導体ウェハ面に貼合した後、放射線、特に、紫外線照射して、半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離する工程を含むことが好ましい。放射線照射は、半導体ウェハの研削の前後どちらも選択することができる。
具体的には、まず、半導体ウェハの回路パターン面(表面)に、本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープを粘着剤層が貼合面となるように貼合する。次に、半導体ウェハの回路パターンのない面側を半導体ウェハの厚さが所定の厚さ、例えば20〜500μmになるまで研削する。その後、この半導体ウェハ加工用粘着テープの貼合された面を下側にして加熱吸着台に載せ、その状態で、半導体ウェハの回路パターンのない研削した面側に、ダイシングテープもしくはダイシング・ダイボンディングフィルムを貼合してもよい。
ダイシング工程を行い、その後、半導体ウェハ加工用粘着テープの基材フィルムの背面に、ヒートシールタイプ(熱融着タイプ)もしくは粘着タイプの剥離テープを接着して半導体ウェハから半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離する。
上記、研削工程〜ダイシング工程を示したが、先ダイシング工程や先ステルス工程による加工も、加工工程簡略化や半導体チップの抗折強度向上の点で有用である。
以下に、本発明を実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(粘着剤組成物の調製)
以下のようにして、粘着剤組成物2A〜2Kを調製した。
1)粘着剤組成物2Aの調製
2−エチルヘキシルアクリレート80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5質量部から得られた質量平均分子量50万からなる共重合体100質量部に対して、アクリレート5官能で、反応性官能基(β)としてヒドロキシ基を有する質量平均分子量1,000のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部および架橋剤であるポリイソシアネートのコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕5.0質量部、光重合開始剤としてSPEEDCURE BKL〔DKSHジャパン(株)製〕5.0質量部を加えて混合して、粘着剤組成物2Aを得た。
2)粘着剤組成物2Bの調製
粘着剤組成物2Aの調製で使用したウレタンアクリレートオリゴマーの配合量を100質量部から70質量部に変更した以外は粘着剤組成物2Aの調製と同様にして、粘着剤組成物2Bを得た。
3)粘着剤組成物2Cの調製
粘着剤組成物2Aの調製で使用したウレタンアクリレートオリゴマーの配合量を100質量部から20質量部に変更し、アクリレート3官能でヒドロキシ基を有さない質量平均分子量1,000のウレタンアクリレートオリゴマー70質量部を更に加えた以外は粘着剤組成物2Aの調製と同様にして、粘着剤組成物2Cを得た。
4)粘着剤組成物2Dの調製
粘着剤組成物2Aの調製で使用したウレタンアクリレートオリゴマーの配合量を100質量部から50質量部に変更し、アクリレート3官能でヒドロキシ基を有さない質量平均分子量1,000のウレタンアクリレートオリゴマー50質量部を更に加えた以外は粘着剤組成物2Aの調製と同様にして、粘着剤組成物2Dを得た。
5)粘着剤組成物2Eの調製
粘着剤組成物2Aの調製で使用したウレタンアクリレートオリゴマーの配合量を100質量部から70質量部に変更し、アクリレート2官能でヒドロキシ基を有さない質量平均分子量1,000のウレタンアクリレートオリゴマー20質量部を更に加えた以外は粘着剤組成物2Aの調製と同様にして、粘着剤組成物2Eを得た。
6)粘着剤組成物2Fの調製
2−エチルヘキシルアクリレート80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5質量部から得られた質量平均分子量50万からなる共重合体100質量部に対して、アクリレート3官能で、反応性官能基(β)としてヒドロキシ基を有する質量平均分子量2,000のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部および架橋剤であるポリイソシアネートのコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕3.0質量部、エポキシ樹脂のTETRAD−X〔三菱ガス化学(株)製〕0.5質量部、光重合開始剤としてSPEEDCURE BKL〔DKSHジャパン(株)製〕5.0質量部を加えて混合して、粘着剤組成物2Fを得た。
7)粘着剤組成物2Gの調製
粘着剤組成物2Aの調製で使用したウレタンアクリレートオリゴマーの配合量を100質量部から10質量部に変更し、アクリレート3官能でヒドロキシ基を有さない質量平均分子量1,000のウレタンアクリレートオリゴマー90質量部を更に加えた以外は粘着剤組成物2Aの調製と同様にして、粘着剤組成物2Gを得た。
8)粘着剤組成物2Hの調製
2−エチルヘキシルアクリレート80質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部、メタクリル酸5質量部から得られた質量平均分子量50万からなる共重合体100質量部に対して、アクリレート5官能で、ヒドロキシ基を有さない質量平均分子量1,000のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部および架橋剤であるポリイソシアネートのコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕4.0質量部、光重合開始剤としてSPEEDCURE BKL〔DKSHジャパン(株)製〕5.0質量部を加えて混合して、粘着剤組成物2Hを得た。
9)粘着剤組成物2Iの調製
2−エチルヘキシルアクリレート62質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート18質量部、メタクリル酸メチル9質量部、メタクリル酸1質量部を共重合して得られた共重合体(質量平均分子量70万)90質量部と、放射線反応基として2−(メタクリロイルオキシ)エチルイソシアネート10質量部から得られた共重合体100質量部に対して、架橋剤であるポリイソシアネートのコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕2.0質量部、光重合開始剤としてSPEEDCURE BKL〔DKSHジャパン(株)製〕3.0質量部を加えて混合して、粘着剤組成物2Iを得た。
10)粘着剤組成物2Jの調製
粘着剤組成物2Iの調製で使用した架橋剤のコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕の配合量を2.0質量部から1.0質量部に変更した以外は粘着剤組成物2Iの調製と同様にして、粘着剤組成物2Jを得た。
11)粘着剤組成物2Kの調製
粘着剤組成物2Iの調製で使用した架橋剤のコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕の配合量を2.0質量部から0.5質量部に変更した以外は粘着剤組成物2Iの調製と同様にして、粘着剤組成物2Kを得た。
実施例1
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)のセパレータ上に、乾燥後の膜厚が90μmとなるように粘着剤組成物2Aを塗布し、乾燥させた後、厚さ140μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルムからなる基材フィルムと貼りあわせ、厚さ230μmの半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
実施例2
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Bに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
実施例3
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Cに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
実施例4
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Dに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
実施例5
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Eに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
実施例6
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Fに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
比較例1
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Gに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
比較例2
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Hに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
比較例3
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Iに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
比較例4
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Jに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
比較例5
実施例1において、粘着剤組成物2Aを粘着剤組成物2Kに替えた以外は、実施例1と同様にして、半導体ウェハ加工用粘着テープを製造した。
(評価試験)
実施例1〜6および比較例1〜5の半導体ウェハ加工用粘着テープにおいて、下記に示すように、粘着剤を構成する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数を100としたとき、成分(c)である架橋剤と反応する反応性官能基とを有する化合物のエチレン性不飽和基の合計数を求めた。
また、以下のようにして粘着剤のゲル分率を測定し、ダスト浸入および糊残り、研削後の半導体ウェハのTTV、ならびに、半導体ウェハの汚染性の評価を行った。
[粘着剤のゲル分率]
各半導体ウェハ加工用粘着テープをA5サイズに切断し、セパレータを剥離したものを試験片とした。この試験片の質量を測定した。次いで、トルエンに24時間浸漬した。ここで、トルエン表面に試験片が浮かないよう重量物もしくは容器の底に、基材フィルム側が接触する方向で固定し、粘着剤層である糊面をトルエン溶媒にさらされる状態にした。その後、試験片を取り出し、50℃で24時間乾燥した。一方、トルエン溶媒からもメッシュを通し回収した。試験片およびメッシュ上の残渣の質量を測定した。
基材フィルムおよびメッシュの質量を差し引いた。ここで、メッシュはそのものの質量を測定し、基材フィルムは基材フィルムのみを同面積に切り出して質量測定した。
これらの値をもとに、下記式に従い、粘着剤(粘着剤層)の放射線硬化前のゲル分率を求めた。
ゲル分率(%)=
{(トルエン浸漬後の試験片とメッシュの合計質量)−(試験片の基材フィルムの質量+メッシュの質量)}÷(トルエン浸漬前の試験片の質量−試験片の基材フィルムの質量)×100
[ダスト浸入および糊残りの評価]
表面に高さ40μm、ピッチ80μmの銅ピラーバンプを有する8インチ径の半導体ウェハに、貼合温度25℃で半導体ウェハ加工用粘着テープを貼合した。
研削後のテープ付き半導体ウェハに500mJ/cmの紫外線を照射し、インストロン社製の引張試験機(ツインコラム卓上モデル5567)を用いて半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離した。
剥離後の半導体ウェハを観察し、ダスト浸入および糊残りの顕微鏡観察を行い、ダスト浸入なきもの、糊残りなきものを良品として、それぞれ「〇」とした。一方、ダスト浸入が観測されたもの、糊残りが観測されたものを「×」とした。
[半導体ウェハのTTVの評価]
上記研削後の半導体ウェハを、(株)ISIS製非接触式レーザー膜厚計で厚さを計測し、計測された半導体ウェハの厚さの最大値と最小値の差をTTV値とした。
評価ランクは、TTV値が、4以下を「◎」、4を超え5以下を「○」、5を超え6以下を「△」、6を超えるものを「×」とした。
[半導体ウェハの汚染性の評価]
8インチ径のミラーウェハに、評価する半導体ウェハ加工用粘着テープを貼合し、1時間放置後に500mJ/cmの紫外線を照射した。その後、半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離し、上記のウェハ中心部分の汚染性を、X線光電子分光(XPS)を用いて測定した。炭素(C)元素およびケイ素(Si)元素の比(C/Si)を求めた。
評価ランクは、比(C/Si)の値が、0.3未満を「◎」、0.3以上0.5未満を「○」、0.5以上1.0未満を「△」、1以上を「×」とした。
得られた結果を、下記表1および2にまとめて示す。
ここで、成分(c)のエチレン性不飽和基の合計数は、粘着剤を構成する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数を100としたときの値である。
Figure 2017171896
Figure 2017171896
上記表1および2より、粘着剤が、少なくとも、成分(a)の架橋剤、成分(b)の、上記架橋剤と反応する反応性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体、および、成分(c)の、エチレン性不飽和基と上記架橋剤と反応する反応性官能基とを有する化合物をそれぞれからなり、しかも粘着剤のゲル分率が30〜80%である本発明の実施例1〜6の半導体ウェハ加工用粘着テープは、ダスト浸入および糊残りのいずれも少なく、優れていることがわかる。
特に、前記成分(c)の、共重合体と架橋する反応性官能基およびエチレン性不飽和基を有する化合物が有するエチレン性不飽和基の合計数が、粘着剤を構成する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数を100としたとき、20〜90である実施例3〜5の半導体ウェハ加工用粘着テープはバンプウェハへの追従性が良好なため、TTVがより優れることがわかる。
これに対して、ゲル分率が30%より低い比較例1、5および架橋構造でエチレン性不飽和基を有さないポリマーを使用した比較例2は糊残りが生じた。
一方、側鎖にエチレン性不飽和基を有するポリマーを持つ比較例3および4では追従性が不足し、ウェハの破損が観測された。そのため、TTV、ダスト侵入および糊残りは参考値として記載している。
本発明の半導体ウェハ加工用粘着テープは、上記のように、ダスト侵入と糊残り、研削後の半導体ウェハのTTV、ならびに、半導体ウェハの汚染性のいずれの評価にも優れており、特に、表面凹凸が40μmと、バンプの高さが10μm以上である半導体ウェハ面に貼合して使用する半導体ウェハ加工用粘着テープとして優れていることがわかる。

Claims (9)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の面に粘着剤層を有する半導体ウェハ加工用粘着テープであって、
    前記粘着剤層の粘着剤が、少なくとも、成分(a)、成分(b)および成分(c)のそれぞれからなり、
    前記成分(a)が、架橋剤であり、前記成分(b)が、該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体であり、前記成分(c)が、エチレン性不飽和基と該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基とを有する化合物であり、かつ、
    前記粘着剤のゲル分率が30〜80%であることを特徴とする半導体ウェハ加工用粘着テープ。
  2. 前記粘着剤を構成する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数を100としたとき、前記成分(c)のエチレン性不飽和基の合計数が、20〜90であることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
  3. 前記成分(c)の化合物が、ウレタンアクリレートであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
  4. 前記成分(a)の架橋剤に加えて、成分(d)として、該成分(a)の架橋剤とは異なる反応性官能基を有する架橋剤を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープ。
  5. 基材フィルムの少なくとも一方の面に粘着剤層を有する半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法であって、
    前記粘着剤層が、ゲル分率30〜80%の粘着剤からなり、
    前記粘着剤層を形成するための粘着剤組成物が、少なくとも、成分(a)、成分(b)および成分(c)のそれぞれを含み、
    前記成分(a)が、架橋剤であり、前記成分(b)が、該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体であり、前記成分(c)が、エチレン性不飽和基と該成分(a)の架橋剤と反応する反応性官能基とを有する化合物であり、
    前記粘着剤組成物により、前記基材フィルム上に、前記粘着剤層を形成することを特徴とする半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法。
  6. 前記粘着剤組成物中に含有するエチレン性不飽和基を有する全ての成分のエチレン性不飽和基の総数を100としたとき、前記成分(c)のエチレン性不飽和基の合計数が、20〜90であることを特徴とする請求項5に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法。
  7. 前記成分(c)の化合物が、ウレタンアクリレートであることを特徴とする請求項5または6に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法。
  8. 前記成分(a)の架橋剤に加えて、成分(d)として、該成分(a)の架橋剤とは異なる反応性官能基を有する架橋剤を有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープの製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体ウェハ加工用粘着テープを、表面凹凸が10μm以上ある半導体ウェハ面に貼合した後、紫外線照射して、半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離する工程を含むことを特徴とする半導体ウェハの加工方法。
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