JP2017171014A - マルチローター機 - Google Patents
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Abstract
【課題】風向きに応じてマルチローター機の向きを変更することで、簡易に十分な耐風性能を得ることができるマルチローター機を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のマルチローター機は、機体と、前記機体を中心に前記機体の周囲に配設された複数のローターと、前記機体に設置された風見機構と、を備え、前記風見機構は、前記風見機構に対して吹く風の風上に対して、前記機体の機首として設定した部分が対向するように前記機体を回転させる機構を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、マルチローター機に関する。
垂直離着陸可能な飛行体として、垂直軸回りに回転駆動されるローターもしくはプロペラを複数個備えたマルチローター機が知られている。マルチローター機は、近年の電動のパワーソースの進化やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の自動制御技術の進化に伴い、普及が進んでいる。マルチローター機を用いることで、人が作業できない噴火中の火山探索、コンビナート火災調査、放射線エリアでの計測作業等も行うことができる可能性があり、高い注目を集めている。
一方で、マルチローター機は、風の影響を受けやすく耐風性能が充分ではないという問題がある。
そこで、非特許文献1には、マルチローター機が風によって受ける影響を、カルマンフィルタに基づく風向き及び風速の予測から求められることが記載されている。
また、特許文献1及び非特許文献1には、加速度センサーによって風の向きと強さを把握し、機体の風上方向に位置する部分を下方に傾斜させ、風によって流される方向と逆向きの推力を得ることが記載されている。
Steven L.Waslander,Carols Wang.AIAA Infotech,6−9.April 2009、Seattle,Washington.
しかしながら、非特許文献1及び特許文献1に記載されたマルチローター機では、耐風制御するための制御系が複雑であり、充分な耐風性能を得ることができない。
例えば、特許文献1及び非特許文献1に記載のようなマルチローター機は、マルチローター機に対して任意の方向から吹く風に対応するため、任意の方向にマルチローター機を傾斜させる必要がある。任意の方向にマルチローター機を傾斜させるためには、複雑な制御系を搭載する必要がある。また、風向きが変化するごとに、方向を変えてマルチローター機を傾斜させると、突発的な風向きの変化によって姿勢安定性を失い、充分な耐風性能を得ることができない。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、風向きに応じてマルチローター機の向きを変更することで、簡易に十分な耐風性能を得ることができるマルチローター機を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来のマルチローター機においては風による意図せぬ動作を生み出す可能性があるとして忌避されていた風見機構を設け、マルチローター機に方向性を与えた。その結果、マルチローター機の機首として設定した部分を常に風上側に向くようにすることで、簡易に十分な耐風性能を得ることができるマルチローター機を見出した。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
本発明の一態様に係るマルチローター機は、機体と、前記機体を中心に前記機体の周囲に配設された複数のローターと、前記機体に設置された風見機構と、を備え、前記風見機構は、前記風見機構に対して吹く風の風上に対して、前記機体の機首として設定した部分が対向するように前記機体を回転させる機構を有する。
本発明の一態様に係るマルチローター機において、前記風見機構は、前記機体の重心を通り前記機首方向と直交する仮想面に対し、前記機首とは反対側に設けられた受風部を有し、前記受風部は、前記機体と接続され、かつ前記受風部が受けた風により、前記風上に対して前記機体の機首として設定した部分が対向するように前記機体を回転させる構成であってもよい。
本発明の一態様に係るマルチローター機において、前記風見機構が、前記機体が受ける風向きを感知するセンサー部と、感知した風向きの風上に対して前記機体の機首として設定した部分が対向するように、前記機体を回転させる駆動部と、を有してもよい。
本発明の一態様に係るマルチローター機において、前記複数のローターの少なくとも一部が、前記ローターの回転軸に垂直な傾斜軸を軸に、前記機体の機首方向に上端を傾けて傾斜していてもよい。
本発明の一態様に係るマルチローター機において、前記機首方向から見て、前記機体に対し対称な位置に設けられ、前記機首方向に回転軸を有するサブローターをさらに有してもよい。
本発明の一態様に係るマルチローター機において、前記複数のローターのうち少なくとも一つのローターの下方に偏向板をさらに有し、前記偏向板は、前記機体の中心からみて前記機体の機首となる機首方向の端部から反対側の端部に向かって前記ローターから離れるように傾斜していてもよい。
本発明の一態様に係るマルチローター機において、飛行前に設定した任意の基準点を中心とする中心座標系を設定し、設定した中心座標系に従って飛行を制御する制御部を有してもよい。
本発明によれば、風向きに応じてマルチローター機の向きを変更することで、簡易に十分な耐風性能を得ることができるマルチローター機を提供することができる。
以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。また図面において、共通の要素には共通の符号を付している。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るマルチローター機の斜視模式図である。
図1に示すように、マルチローター機100は、機体10と、複数のローター20と、風見機構30とを有する。またマルチローター機100は、サブローター40を有していてもよい。
図1は、第1実施形態に係るマルチローター機の斜視模式図である。
図1に示すように、マルチローター機100は、機体10と、複数のローター20と、風見機構30とを有する。またマルチローター機100は、サブローター40を有していてもよい。
以下、マルチローター機が浮上する高さ方向をZ方向ということがある。またマルチローター機の中心から後述する機首に向かう方向を機首方向NAということがある。
第1実施形態に係るマルチローター機100は、機首10Aが設定されている。第1実施形態に係るマルチローター機100において機首10Aは、マルチローター機100の重心に対して後述する受風部31と反対側である。
機体10は、制御部11と、ボディ部12と、足部13を有する。制御部11は、飛行安定性の観点からボディ部12の中央に配設されていることが好ましい。足部13は、ボディ部12のZ方向下方に配置されている。
複数のローター20は、機体10を浮上、移動させる主回転翼である。複数のローター20は、機体10のボディ部12に設けられる。複数のローター20は、機体10の重心に対して対称な位置に設けられていることが好ましい。
各ローター20は、回転軸21と回転翼22を有する。回転翼22が、回転軸21を中心に回転することで、機体10を浮上させる浮力が得られる。回転軸21の軸方向は、Z方向と略一致している。
風見機構30は、機体10に接続されている。図1に示す風見機構30は、受風部31と、接続部32を有する。受風部31は、接続部32を介して機体10と接続されている。受風部31は、機体10の重心を通り機首方向NAと直交する仮想面Sに対し、機首10Aとは反対側に設けられている。
受風部31は、機首方向NAと交差する向きからマルチローター機に対して吹く風を受風する受風面31Aを有する。受風面31Aは、機首方向NA及びZ方向に延在する。
サブローター40は、マルチローター機100が風により流されないように、風上側に向かう推力を生み出す耐風推力発生機構である。
サブローター40は、機体10との接続部41と、接続部41に設けられた回転翼42とを有する。サブローター40が回転する軸方向は、機首方向NAと略一致する。
サブローター40は、機首方向NAから見て、機体10に対し対称な位置に設けられている。機体10に対し対称な位置にサブローター40を配設することで、サブローター40の駆動時に機体10が機体10の重心を軸に旋回することを抑制できる。
次いで、マルチローター機100が風を受けた際の動作について説明する。
図2及び図3は、本発明の第1実施形態にかかるマルチローター機100の動作を説明するための平面模式図である。
図2及び図3は、本発明の第1実施形態にかかるマルチローター機100の動作を説明するための平面模式図である。
図2に示すように、マルチローター機100の風見機構30は、受風面31Aを有する。そのため、機体10の機首方向NAと交差する向きから吹く風Fは受風面31Aに入射する。受風面31Aが風Fを受けると、マルチローター機100を回転させる回転力Rが生じる。その結果、図3に示すように、マルチローター機100は自身の重心を中心に回転し、機体10の機首10Aが風上側に向く。
一方で、マルチローター機100が回転した後は、風Fの風向と受風面31Aの延在方向(機首方向NA)が一致する。そのため、マルチローター機100を回転させる回転力Rは生じない。つまり、マルチローター機100が風Fを受けると、機首10Aが風上側に向く。
なお、マルチローター機100に対して機首10Aと反対方向(機尾方向)から風が吹いた場合も受風面31Aと風向き方向は一致する。そのため、風見機構30により機体10の機首10Aの向きを風上側に向けられないようにも思える。
しかしながら、実際の使用態様において、風が完全に一方向のみから吹くことは想定されない。また一方向から吹いたとしても、風は多少の揺らぎを有する。またマルチローター機100自体も、多少の揺らぎをもって浮遊する。そのため、風がマルチローター機100に対して機尾方向から吹く場合であっても、マルチローター機100の風見機構30が風を受け、機首10Aが風上側に向く。
上述のように、第1実施形態に係るマルチローター機100によれば、風見機構30に対して吹く風Fの風上に対して、機首10Aを向けることができる。
機体10の機首10Aとして設定した部分が風向き側に向くと、マルチローター機100の耐風性能を容易に高めることができる。以下、この理由について具体的に説明する。
マルチローター機の耐風性能の一つとして座標安定性がある。座標安定性とは、空中に浮遊するマルチローター機100が風に流されずに、所定の座標に居続けられる性能をいう。
図4に示すように、空中に浮遊するマルチローター機100は、風Fを受けて座標Aから座標Bに流される。例えば、マルチローター機100が自動制御の場合、時間と共に位置座標が変化すると、マルチローター機100の制御が難しくなる。またマルチローター機100を手動制御の場合も、操作が困難になる。
第1実施形態に係るマルチローター機100は、図5に示すように機首10Aを下げるようにマルチローター機100を傾けることで、風Fに対する耐風推力を得る。
複数のローター20の回転翼22が回転すると、回転翼22の回転方向に対して垂直下方に気流fcが生じる。気流fcは、気流fcと反対方向の反力F1をマルチローター機100に与える。マルチローター機100が傾くと、反力F1も地面に対して斜め方向に生じる。反力F1の地面と平行な成分がマルチローター機100を前進させる推力F1xであり、反力F1の地面と垂直な成分がマルチローター機100を浮上させる浮上力F1zである。
ここで、マルチローター機100を風上側に傾けると、推力F1xが風に対する耐風推力となる。すなわち、マルチローター機100を風上側に傾けることで、マルチローター機の座標安定性を高めることができる。
このようなマルチローター機を傾けるという動作は、従来のマルチローター機でも可能である。しかしながら、従来のマルチローター機では機首方向が定まっていない。そのため、風が吹く方向が変化するに伴い、時々刻々とマルチローター機を傾ける方向を変える必要がある。
これに対し、第1実施形態にかかるマルチローター機100は、機首10Aが設定されている。また上述のように、風見機構30が風を受けることで、機首10Aは風上側に向く。そのため、マルチローター機100の機首10Aを下げれば、マルチローター機100全体が風上側に傾き、耐風推力が得られる。つまり、第1実施形態にかかるマルチローター機100は、マルチローター機100を傾ける傾斜軸を一軸に固定でき、耐風性能を得るための制御が容易になる。
また第1実施形態にかかるマルチローター機100は、サブローター40により座標安定性を高めることができる。図6は、本発明の第1実施形態にかかるマルチローター機の耐風性能を説明するための側面模式図である。
図6に示すように、サブローター40が回転すると、サブローター40の回転翼42の回転方向に対して垂直な方向で機首から機尾に向かう気流fcが生じる。気流fcは、気流fcと反対方向の反力F2をマルチローター機100に与える。
従来のマルチローター機では機首方向が定まっていない。すなわち、マルチローター機の進行方向に対して反力F2が作用する方向は決定されない。そのため、マルチローター機の進行方向に対して垂直で地面と平行な方向に反力F2が作用する場合もある。このような方向に反力F2が作用すると、マルチローター機が進行方向に向かって真っすぐ飛行することができず、安定飛行の妨げとなる。
これに対し、第1実施形態にかかるマルチローター機100の機首10Aは、風上側に向く。そのため、反力F2は、風に対する耐風推力となる。つまり、サブローター40が回転することで、マルチローター機100の座標安定性を高めることができる。またサブローター40は、反力F2は風に対する耐風推力として機能するため、安定飛行の妨げとなることもない。
次いで、マルチローター機100の飛行を制御する制御方法について説明する。
マルチローター機100の制御は、制御部11によって行われる。マルチローター機100の飛行を制御するための座標系として、絶対座標系(以下、中心座標系という)と相対座標系がある。
マルチローター機100の制御は、制御部11によって行われる。マルチローター機100の飛行を制御するための座標系として、絶対座標系(以下、中心座標系という)と相対座標系がある。
図7は、第1実施形態にかかるマルチローター機の中心座標系を説明するための平面模式図である。中心座標系は、飛行前に設定した任意の基準点Sを中心とした座標系である。すなわち、飛行するマルチローター機100は、基準点Sに対してどちらの方向に動くかが制御される。
例えば、マルチローター機100が自動制御の場合は、地上における基準点Sの座標を(x,y,z)=(0,0,0)とし、マルチローター機100を任意の座標(A,B,C)に移動するという制御が行われる。
またマルチローター機100が手動制御の場合は、基準点Sに操縦者が立ち、操縦者に対して近づく、離れる、操縦者とマルチローター機を繋ぐ面に対して左右のいずれに移動する等の制御が行われる。
相対座標系は、飛行するマルチローター機を基準とした座標系である。すなわち、マルチローター機は、現在の位置から上下左右のどの方向に移動するかが制御される。相対座標系の制御は、マルチローター機に乗ってマルチローター機を操縦する制御と等しい。
第1実施形態に係るマルチローター機100は、中心座標系を用いて制御することが好ましい。
上述のように、マルチローター機100は、風を受けて機首方向NAが変化する。すなわち、相対座標系でマルチローター機100を制御しようとすると、マルチローター機100の機首方向NAを確認した上で、操縦をする必要がある。すなわち、マルチローター機100の操作性が低下する。また自動制御でマルチローター機100を飛ばす場合でも、機首方向NAを判定する判定手段を制御部11に設ける必要がある。
これに対し、中心座標系を用いると、マルチローター機100の飛行において機首10Aが何れの方向を向いているかを考慮する必要が無い。そのため、マルチローター機100の操作性を高めることができる。
また操縦途中に機首方向NAが変更した場合でも、その影響を受けず、飛行安定性を高めることができる。
また操縦途中に機首方向NAが変更した場合でも、その影響を受けず、飛行安定性を高めることができる。
上述のように、第1実施形態に係るマルチローター機100によれば、マルチローター機の座標安定性および飛行安定性を高めることができる。すなわち、耐風性能に優れたマルチローター機を実現することができる。
第1実施形態にかかるマルチローター機は、趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、風見機構の形状、数、配置は種々変更することができる。
風見機構の形状は、機首方向に対して交差する方向から吹く風を受けてマルチローター機の機首が風上側に向くように設計されていればよい。
風見機構の数は、一つに限られず複数あってもよい。
風見機構の配置は、マルチローター機をZ方向から平面視した際に、機首方向に対して対称に配置されていればよい。
風見機構の形状は、機首方向に対して交差する方向から吹く風を受けてマルチローター機の機首が風上側に向くように設計されていればよい。
風見機構の数は、一つに限られず複数あってもよい。
風見機構の配置は、マルチローター機をZ方向から平面視した際に、機首方向に対して対称に配置されていればよい。
例えば、図8に、本発明の第1実施形態にかかるマルチローター機の変形例の一例の平面模式図を示す。
図8に示すマルチローター機101は、風見機構35が機体の機尾に尾翼として複数設けられている。また風見機構35の受風部36は流線形の形状でもよく、受風面36Aは湾曲していてもよい。
図8に示すマルチローター機101は、風見機構35が機体の機尾に尾翼として複数設けられている。また風見機構35の受風部36は流線形の形状でもよく、受風面36Aは湾曲していてもよい。
図8に示すマルチローター機101においても、マルチローター機101の機首10Aを風上側に向けることができる。
またローター20は、マルチローター機の重心に対して対称な位置に配置されていればよく、数は4つに限られない。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係るマルチローター機の斜視模式図である。
図9に示すマルチローター機102は、サブローター40が無く、ローター20の数が6つである点が第1実施形態に係るマルチローター機100と異なる。またローター20のうちの一部のローター20の回転軸21が、機首方向NAに傾斜している点が異なる。
図9は、第2実施形態に係るマルチローター機の斜視模式図である。
図9に示すマルチローター機102は、サブローター40が無く、ローター20の数が6つである点が第1実施形態に係るマルチローター機100と異なる。またローター20のうちの一部のローター20の回転軸21が、機首方向NAに傾斜している点が異なる。
図9に示すように、回転軸21が機首方向NAに傾斜したローター20を、以下「ティルトローター25」という。ティルトローター25は、Z方向から平面視して機体10に対して対称な位置に設けられている。
風見機構30によりマルチローター機102の機首10Aが風上側に向く原理については、第1実施形態にかかるマルチローター機100と同様である。
次いで、マルチローター機102が耐風性能を示す原理について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態にかかるマルチローター機の耐風性能を説明するための側面模式図である。
図10は、本発明の第2実施形態にかかるマルチローター機の耐風性能を説明するための側面模式図である。
図10に示すように、ティルトローター25が回転すると、回転翼26の回転方向に対して垂直下方に気流fcが生じる。気流fcは、気流fcと反対方向の反力F3をマルチローター機102に与える。上述のように、ティルトローター25は、回転軸21が機首方向NAに傾斜している。そのため、反力F3も地面に対して機首方向に傾いて生じる。
反力F3の地面と平行な成分がマルチローター機102を前進させる推力F3xであり、反力F3の地面と垂直な成分がマルチローター機102を浮上させる浮上力F3zである。
マルチローター機102は、機首10Aを風上側に向けるため、推力F3xが風に対する耐風推力となる。ティルトローター25は、Z方向から平面視して機体10に対して対称な位置に設けられているため、推力F3xがマルチローター機102自体を回転させる不要な回転力とはならない。
マルチローター機102は、機首10Aを風上側に向けるため、推力F3xが風に対する耐風推力となる。ティルトローター25は、Z方向から平面視して機体10に対して対称な位置に設けられているため、推力F3xがマルチローター機102自体を回転させる不要な回転力とはならない。
上述のように、本実施形態に係るマルチローター機102は、風上に向かう耐風推力を得ることができる。すなわち、マルチローター機の座標安定性および飛行安定性を含む耐風性能を高めることができる。
第2実施形態にかかるマルチローター機102は、趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
ティルトローター25は、機体10に対して対称な位置に設けられていればよい。そのため、図9に示す2つのティルトローター25の場合に限られない。例えば、図9におけるティルトローター25とその他のローター20の関係を反転させてもよい。すなわち、図9に示すティルトローター25を回転軸が傾斜していないローター20として、図9に示す回転軸が傾斜していないローター20をティルトローター25としてもよい。また全てのローター20をティルトローター25としてもよい。また必要とする耐風推力の大きさに応じて、傾斜させるティルトローター25の数、傾き、回転数等を変更してもよい。
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態に係るマルチローター機の斜視模式図である。
図11に示すマルチローター機103は、サブローター40が無く、偏向板50を有する点が第1実施形態に係るマルチローター機100と異なる。
図11は、第3実施形態に係るマルチローター機の斜視模式図である。
図11に示すマルチローター機103は、サブローター40が無く、偏向板50を有する点が第1実施形態に係るマルチローター機100と異なる。
偏向板50は、ローター20の下方に配置されている。偏向板50は、機体10に接続部51を介して接続されている。偏向板50は、傾斜角を接続部51を軸に自由に変更制御可能である。
偏向板50は、機首方向NAの端部から反対側の端部に向かってローター20から離れるように傾斜している。
風見機構30によりマルチローター機103の機首10Aが風上側に向く原理については、第1実施形態にかかるマルチローター機100と同様である。
次いで、マルチローター機103が耐風性能を示す原理について説明する。
図12は、本発明の第3実施形態にかかるマルチローター機の耐風性能を説明するための側面模式図である。
図12は、本発明の第3実施形態にかかるマルチローター機の耐風性能を説明するための側面模式図である。
図12に示すように、ローター20が回転すると、回転翼22の回転方向に対して垂直下方に気流fcが生じる。またローター20の垂直下方に生じた気流fcは、偏向板50により、マルチローター機の後方(機尾方向)に偏向する。
その結果、マルチローター機103には、機首方向斜め上方に反力F4が生じる。
反力F4の地面と平行な成分がマルチローター機103を前進させる推力F4xであり、反力F4の地面と垂直な成分がマルチローター機103を浮上させる浮上力F4zである。
マルチローター機103は、機首10Aを風上側に向けるため、推力F4xが風に対する耐風推力となる。
反力F4の地面と平行な成分がマルチローター機103を前進させる推力F4xであり、反力F4の地面と垂直な成分がマルチローター機103を浮上させる浮上力F4zである。
マルチローター機103は、機首10Aを風上側に向けるため、推力F4xが風に対する耐風推力となる。
上述のように、本実施形態に係るマルチローター機103は、風上に向かう耐風推力を得ることができる。すなわち、マルチローター機の座標安定性および飛行安定性を含む耐風性能を高めることができる。
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態に係るマルチローター機の斜視模式図である。
図13に示すマルチローター機104は、風見機構がセンサー部60と、マルチローター機を回転させる駆動部70からなる点が第1実施形態に係るマルチローター機100と異なる。
図13は、第4実施形態に係るマルチローター機の斜視模式図である。
図13に示すマルチローター機104は、風見機構がセンサー部60と、マルチローター機を回転させる駆動部70からなる点が第1実施形態に係るマルチローター機100と異なる。
センサー部60は、風向計61と、接続回転軸62とを有する。センサー部60は、機体10の重心を崩さない位置に配設されることが好ましい。風向計61は、機体10に接続回転軸62によって接続されている。接続回転軸62は、Z方向に回転軸を有する。
駆動部70は、センサー部60で感知した風向きの風上に対して機首10Aが対向するように、機体10を回転させる。駆動部は、機体を回転させる回転力Rを生み出すことができれば特に問わない。駆動部70としては、例えば、図13に示すようなサブローターに限られず、ティルトローター、機体の向きを回転させる回転機構等を用いてもよい。
駆動部70にサブローターやティルトローターを用いた場合、駆動部はマルチローター機100が風により流されないように、風上側に向かう推力を生み出す耐風推力発生機構としての機能も有する。
センサー部60は、マルチローター機104が受ける風向き及び風量を判断する。
風向きは、受風面61Aの向きによって判断する。風向計61が風を受けると、風向計61の受風面61Aの向きは、接続回転軸62の回転軸を中心に変化する。受風面61Aが受風する風向きに対して直交した点で、受風面61Aが固定される。そのため、受風面61Aに対して直交する方向が風向き方向となる。
風量は、風向計61を通過する風量によって判断する。例えば、図13に示すように、風向計61が回転翼を有する場合、回転翼の回転量で風量を判断する。
センサー部60によって得られた風向き及び風量の情報は、制御部11に送られる。制御部11は、その情報に応じて駆動部70を駆動する。駆動部70が駆動すると、マルチローター機104が回転し、機首10Aが風上方向に対向する。
図1に示す第1実施形態のマルチローター機100は、風見機構30が風を受け機体10ごと機首方向を変更するのに対し、図13に示す第4実施形態のマルチローター機104は、風向計61が風上側に向いた後に、駆動部70により機首方向を変更する点は異なる。
また機首10Aが風上側に向いた後は、風量の情報から必要な耐風推力をマルチローター機104に与える。耐風推力は、駆動部70を構成するサブローター等で与えてもよいし、複数のローター20により与えてもよい。
上述のように第4実施形態にかかるマルチローター機104によれば、風上に向かう耐風推力を得ることができる。すなわち、マルチローター機の座標安定性および飛行安定性を含む耐風性能を高めることができる。
(第5実施形態)
図14は、第5実施形態に係るマルチローター機の斜視模式図である。
図14に示すマルチローター機105は、センサー部(図示略)が加速度センサーである点が第4実施形態に係るマルチローター機100と異なる。
図14は、第5実施形態に係るマルチローター機の斜視模式図である。
図14に示すマルチローター機105は、センサー部(図示略)が加速度センサーである点が第4実施形態に係るマルチローター機100と異なる。
加速度センサーは、例えば制御部11に内包される。加速度センサーは、マルチローター機の動きに応じて、風向き及び風量を判定する。
図15は、本発明の第5実施形態にかかるマルチローター機の動作を説明するための側面模式図である。
例えば、図15に示すように、ある位置で停止して飛行しているマルチローター機105は風Fを受けると、風下側に流される。すなわち、マルチローター機105が流れた方向と反対側の方向が風上である。制御部11は、マルチローター機105が動く方向によりマルチローター機105が受ける風向きを判定することができる。
またマルチローター機105が風により流される際の加速度aと、マルチローター機105の重量mとを用いると、運動方程式からマルチローター機105が風により受ける力が算出できる。またマルチローター機105が風により受ける力と、マルチローター機105が受ける風量の関係を事前に測定しておくことで、マルチローター機105が受ける風量も算出できる。
加速度センサーによって得られた風向き及び風量の情報は、制御部11に送られる。制御部11は、その情報に応じて駆動部70を駆動する。駆動部70が駆動すると、マルチローター機104が回転し、機首10Aが風上方向に対向する。
また機首10Aが風上側に向いた後は、風量の情報から必要な耐風推力をマルチローター機105に与える。耐風推力は、駆動部70を構成するサブローター等で与えてもよいし、複数のローター20により与えてもよい。
上述のように第5実施形態にかかるマルチローター機105によれば、風上に向かう耐風推力を得ることができる。すなわち、マルチローター機の座標安定性および飛行安定性を含む耐風性能を高めることができる。
本発明のマルチローター機は、風が強く吹く場所でも飛行することができる。そのため、人が作業できず、風も強い、噴火中の火山探索、コンビナート火災調査、放射線エリアでの計測作業等も行うことができる可能性がある。
10…機体、10A…機首、11…制御部、12…ボディ部、13…足部、20…ローター、21…回転軸、22…回転翼、25…ティルトローター、30…風見機構、31…受風部、31A…受風面、32…接続部、35…風見機構、36…受風部、36A…受風面、40…サブローター、41…接続部、42…回転翼、50…偏向板、51…接続部、60…センサー部60、61…風向計、61A…受風面、62…接続回転軸、70…駆動部、100,101,102,103,104,105…マルチローター機
Claims (7)
- 機体と、
前記機体を中心に前記機体の周囲に配設された複数のローターと、
前記機体に設置された風見機構と、を備え、
前記風見機構は、前記風見機構に対して吹く風の風上に対して、前記機体の機首として設定した部分が対向するように前記機体を回転させる機構を有することを特徴とするマルチローター機。 - 前記風見機構は、前記機体の重心を通り機首方向と直交する仮想面に対し、前記機首とは反対側に設けられた受風部を有し、
前記受風部は、前記機体と接続され、かつ前記受風部が受けた風により、前記風上に対して前記機体の機首として設定した部分が対向するように前記機体を回転させる請求項1に記載のマルチローター機。 - 前記風見機構が、
前記機体が受ける風向きを感知するセンサー部と、
感知した風向きの風上に対して前記機体の機首として設定した部分が対向するように、前記機体を回転させる駆動部と、を有する請求項1又は2のいずれかに記載のマルチローター機。 - 前記複数のローターの少なくとも一部が、前記ローターの回転軸に垂直な傾斜軸を軸に、前記機体の機首方向に上端を傾けて傾斜している請求項1〜3のいずれか一項に記載のマルチローター機。
- 機首方向から見て、前記機体に対し対称な位置に設けられ、
前記機首方向に回転軸を有するサブローターをさらに有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のマルチローター機。 - 前記複数のローターのうち少なくとも一つのローターの下方に偏向板をさらに有し、
前記偏向板は、前記機体の中心からみて前記機体の機首となる機首方向の端部から反対側の端部に向かって前記ローターから離れるように傾斜している請求項1〜5のいずれか一項に記載のマルチローター機。 - 飛行前に設定した任意の基準点を中心とする中心座標系を設定し、設定した中心座標系に従って飛行を制御する制御部を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のマルチローター機。
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-
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- 2016-03-22 JP JP2016057074A patent/JP2017171014A/ja active Pending
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