JP2017171008A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラック軸に設けられた、液体を吸収することによりラック軸の外周側に膨張する、ラック軸と同軸をなす環状体である吸液材27と、ラック軸に形成された、ラック軸の外周面に付着した液体を吸液材27へ導く液体導入路26cと、吸液材27の外周面に設けられた、吸液材が膨張したときにハウジング21の内周面側に拡径するリング28と、備え、リング28は、吸液材27の外周側への膨張量が所定量より小さいときはハウジング21の内周面から内周側に離間し、且つ、膨張量が所定量以上となったときにハウジング21の内周面に接触する。
【選択図】図6
Description
この電動パワーステアリング装置は、車体下部の前側部分に固定される筒状ハウジングを有している。このハウジングは車体の幅方向である左右方向に延びており、その両端部はともに開口している。
さらに、ドライバーがステアリングホイールを回転操作したときに、ステアリングシャフトの操舵トルクが操舵トルクセンサによって検出される。すると、制御装置(演算手段)が操舵トルクに応じた目標操舵アシストトルクを演算し、さらに目標操舵アシストトルクが得られるように電動モータを作動させる。その結果、電動モータの回転力が減速機構を介してラック軸に伝わり、ラック軸がハウジングに対して左右方向にスライドする。このときのラック軸のスライド方向は上記一方向である。即ち、電動モータの回転力は、ステアリング操作によるラック軸のスライド動作をアシストする力となる。
仮にハウジング内に水が入り且つこの水がハウジング内に滞留すると、ラック軸やピニオンシャフトに錆びが発生するおそれがある。
そのため、仮にハウジング内に水(泥水を含む)が入ったとしても、水がハウジング内に滞留するおそれは低い。
そのため、水によってラック軸及びピニオンシャフトが錆びてしまうおそれを完全に排除することはできない。
車体(11)の幅方向である左右方向に延び且つ両端が開口した筒状ハウジング(21)と、
前記ハウジング内に前記ハウジングの軸線まわりに回転不能に挿入され、前記軸線方向にスライドすることにより車輪の操舵角を変化させるラック軸(22)と、
ステアリングホイール(40)の回転力を前記ラック軸に伝えることにより、前記ラック軸をスライドさせるピニオンシャフト(37)と、
前記ハウジングに支持され且つ前記ラック軸に対して回転駆動力を付与することにより前記ラック軸をスライドさせる電動モータ(32)と、
前記ラック軸に設けられた、液体を吸収することにより前記ラック軸の外周側に膨張する、前記ラック軸と同軸をなす環状体である吸液材(27)と、
前記ラック軸に形成された、前記ラック軸の外周面に付着した液体を前記吸液材へ導く液体導入路(26c)と、
前記吸液材の外周面に設けられた、前記吸液材が膨張したときに前記ハウジングの内周面側に拡径するリング(28、52)と、
を備え、
前記リングは、
前記吸液材の外周側への膨張量が所定量より小さいときは前記ハウジングの内周面から内周側に離間し、且つ、前記膨張量が前記所定量以上となったときに前記ハウジングの内周面に接触する。
その結果、ステアリングホイールを回転操作したときのラック軸のスライド動作に対する抵抗が大きくなったり、リングとハウジングの内周面との間で異音や振動が発生したりする。
そのため車両の乗員は、ハウジング内に液体が入ったことを認識することが可能である。
車両10の車体11の前部にはサスペンション(図示略)が設けられている。
周知のようにサスペンションは主な構成要素として、サスペンションメンバ、アッパーアーム、ロアアーム、キャリア、コイルスプリング及びショックアブゾーバ等を備えている。
左右のアッパーアームとロアアームとの先端部間には、それぞれキャリア(ナックルアーム)がキングピン軸まわりに回転可能として支持されている。左右のキャリアは前輪15L、15Rをそれぞれ水平軸まわりに回転可能に支持している。
サスペンションメンバの上面には、車体11の幅方向、即ち左右方向に延びる筒状のハウジング21が固定されている。
図3及び図6に示すように、ハウジング21の内周面の一部には、その全周に渡って複数の突起21aが一体的に設けられている。
ラック軸22は、左右方向に延びる棒状部材である軸本体23と、軸本体23の外周面に軸本体23と同軸的に固定された環状形状の支持部材26と、を備えている。
軸本体23のラック歯部24が形成された部分を除く部位の断面形状は円形である。軸本体23のラック歯部24とは異なる部位の外周面には、ねじ溝25が螺旋状に形成されている。
支持部材26の外周面には、その全周に渡って環状の凹溝からなる支持溝26bが形成されている(図4乃至図6を参照)。
さらに支持部材26の外周面には、支持溝26bの両側に位置する複数の液体導入路26cが形成されている。各液体導入路26cは支持部材26の周方向に等角度間隔で形成されている。各液体導入路26cは、支持部材26の外周面から支持部材26の中心軸側に向かって直線的に延びている。さらに図6に示すように、各液体導入路26cの支持溝26b側の端部は開口している。即ち、各液体導入路26cの内部空間と支持溝26bの内部空間は互いに連通している。
吸液材27は水等の液体を吸収すると膨張する。但し、吸液材27の内周側及び左右方向への膨張は支持部材26によって規制されている。そのため、吸液材27は液体を吸収すると外周側に向かって膨張する。
Cリング28は弾性材料によって構成されている。
さらにCリング28の外周面には複数の突起28aが一体的に形成されている。
図3に示すように、吸液材27が液体を吸収する前の状態においては、Cリング28の各突起28aはハウジング21の内周面から内周側に離間している。
ボールねじナット30は、ラック軸22のねじ溝25の外周側に位置する回転ナットと、回転ナットの外周部に固定された従動プーリと、複数のボールと、を具備している。各ボールは、回転ナットの内周面に形成されたねじ溝とラック軸22のねじ溝25との間に形成された螺旋状通路、及び、回転ナットの内部に形成された内部通路、に挿入されている。回転ナットがラック軸22に対して相対回転すると、各ボールが自転しながら上記螺旋状通路及び内部通路の内部を循環し、ラック軸22がハウジング21及び回転ナットに対して左右方向にスライドする。
電動モータ32の駆動プーリ34及び従動プーリには、環状をなし且つ内周面に歯部を有するベルト35が掛け回されており、ベルト35の歯部が駆動プーリ34及び従動プーリと噛み合っている。このベルト35は、その一部が第一貫通孔を通してハウジング21内に位置しており、ハウジング21内において従動プーリと噛み合っている。
電動モータ32の駆動プーリが回転すると、この回転力がベルト35を介して従動プーリに伝わり、従動プーリ及び回転ナットが回転出力軸33よりも遅い速度で回転する。
従って、車両10に乗車しているドライバーがステアリングホイール40を回転させると、この回転力がステアリングシャフト38及びユニバーサルジョイント39を介してピニオンシャフト37に伝わり、ピニオンシャフト37が自身の軸線まわりに回転する。するとピニオンシャフト37と噛み合っている軸本体23がハウジング21に対して左右方向に相対スライドするので、タイロッド18及びキャリアを介して軸本体23と連係している前輪15L、15Rの舵角が変化する。
車両10に乗車しているドライバーが手でステアリングホイール40を一方向に回転操作すると、ピニオンシャフト37が回転し軸本体23がハウジング21に対して左右方向の一方向に相対スライドする。すると、タイロッド18及びキャリアを介して軸本体23と連係している前輪15L、15Rの舵角が変化する。
そして、ラックブーツ19が破損した状態で車両10が水たまりのある路面上を走行すると、水たまりの泥水がラックブーツ19を通り抜けてハウジング21の内部空間に侵入するおそれがある。
また、泥水中の細かい砂利が、軸本体23のラック歯部24とピニオンシャフト37との間、又は/及び、軸本体23のねじ溝25とボールねじナット30との間に入り込むおそれがある。
これらの金属製の部材に錆が発生したり、これらの部材の間に砂利が入り込んだりした場合は、これらの部材の動作が不円滑になってしまう。
吸液材27は水を吸収することにより外周側に向かって膨張する。すると、吸液材27の外周側に位置するCリング28が弾性変形しながら拡径する。そして、吸液材27が水を吸収する前の状態と比べたときの吸液材27の外周側への膨張量が所定量以上となったときに、Cリング28の各突起28aがハウジング21の内周面及び突起21aに接触する。
そのため、この状態でラック軸22がハウジング21に対して左右方向にスライドすると、Cリング28の各突起28aとハウジング21の内周面及び突起21aとの間の接触部が、ステアリングホイール40を回転操作したときのラック軸22のスライド動作に対する抵抗となる。さらにこの接触部で異音や振動が発生する。
本実施形態のハウジング21の内周面には突起21aは設けられていない。
また、支持部材26の支持溝26bには、Cリング28の代わりにOリング52が設けられている。Oリング52は弾性材料(例えばゴム)によって構成されている。図8に示すように、吸液材27が液体を吸収する前の状態においては、Oリング52の外周面はハウジング21の内周面から内周側に離間している。
すると吸液材27が外周側に向かって膨張するので、吸液材27の外周側に位置するOリング52が弾性変形しながら拡径する。そして、吸液材27が水を吸収する前の状態と比べたときの吸液材27の外周側への膨張量が所定量以上となったときに、Oリング52の外周部がハウジング21の内周面に接触する。
そのため車両10の乗員は、ハウジング21内に水が入ったことを認識することが可能である。
しかし、吸液材27として保水性が低いものを利用することにより、Cリング28及びOリング52がハウジング21に接触してからある程度の時間が経過したときに、吸液材27を内周側に収縮させて、Cリング28及びOリング52とハウジング21との接触状態を解除してもよい。
Claims (1)
- 車体の幅方向である左右方向に延び且つ両端が開口した筒状ハウジングと、
前記ハウジング内に前記ハウジングの軸線まわりに回転不能に挿入され、前記軸線方向にスライドすることにより車輪の操舵角を変化させるラック軸と、
ステアリングホイールの回転力を前記ラック軸に伝えることにより、前記ラック軸をスライドさせるピニオンシャフトと、
前記ハウジングに支持され且つ前記ラック軸に対して回転駆動力を付与することにより前記ラック軸をスライドさせる電動モータと、
前記ラック軸に設けられた、液体を吸収することにより前記ラック軸の外周側に膨張する、前記ラック軸と同軸をなす環状体である吸液材と、
前記ラック軸に形成された、前記ラック軸の外周面に付着した液体を前記吸液材へ導く液体導入路と、
前記吸液材の外周面に設けられた、前記吸液材が膨張したときに前記ハウジングの内周面側に拡径するリングと、
を備え、
前記リングは、
前記吸液材の外周側への膨張量が所定量より小さいときは前記ハウジングの内周面から内周側に離間し、且つ、前記膨張量が前記所定量以上となったときに前記ハウジングの内周面に接触する、
電動パワーステアリング装置。
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