JP2017169885A - 心電波形のt波波高を用いた緊張状態推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 心電波形に基づいて人間の緊張状態を推定する装置に於いて、T波の波高を明確に決定できるようにすること【解決手段】 本発明の装置は、被検者の心電波形に於いてT波波高を検出し、T波波高に基づいて被検者の緊張状態を推定する。T波波高を検出する手段は、心電波形に於ける所定の閾値を超える極大値をR波のピークとして検出し、検出されたR波のピークの後に発生した極小値をR波のボトムとして検出し、検出されたR波のボトムの後に発生した極大値をT波のピークとして検出し、検出されたT波のピークの後に発生した極小値をT波のボトムとして検出し、検出されたT波のピークの値からT波のボトムの値を差し引いた値をT波波高として算出する。【選択図】 図1
Description
本発明は、人間が緊張状態にあるか否かを心電波形に基づいて推定する装置に係り、より詳細には、被検者の心電波形に於いて検出されるT波の波高を状態の推定に用いる装置に係る。
人間の心理的又は精神的緊張状態は、心臓の運動に反映されるので、従前より、心電位を計測し、その波形(心電波形)を参照して、被検者が心理的又は精神的に緊張状態にあるか否か(リラックス状態にあるか)を推定する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、心臓の収縮に関連した心電波形に於ける周期波(R波)の間隔と呼吸成分の大きさに基づいて精神的緊張度を推定することが提案されている。特許文献2では、精神的緊張で変動するT波の波高を使って精神的緊張を推定することが言及されている。特許文献3では、心電と脈波を同時に計測し、それらのデータから自律神経の状態を測定し、疲労の度合い、ストレス傾向を数値化して見えるようにする疲労・ストレス検診システムが提案されている。
上記の如き、被検者にて計測された心電波形に基づいて人間の緊張状態の推定を行う技術に於いて、心拍数の増減のみを参照する場合、心拍数の変動が、精神的緊張以外の要因で、例えば、運動などによる呼吸成分の変動によっても生ずるので、心理的又は精神的な緊張状態を精度良く推定することが困難な場合がある。ところで、心電波形(図1参照)に於いては、一般に、振幅の大きいR波の発生の後、振幅の小さいT波とP波が順に発生することが知られている。これらの波形のうち、R波については、緊張度合いによる変動は実質的に不変であるところ、T波は、緊張度合いによってその形状や波高が異なることが知られており、緊張状態の推定に利用可能である。実際、既に触れたように、特許文献2に於いて、(具体的な方法は開示されていないが、)T波の波高を緊張状態の推定に利用することが言及されている。しかしながら、T波の波高は、上記の如く、その形状が緊張度合いによって異なり、また、T波は、R波から連続して発生し、P波へ連続して終了し、R波との境界及びP波との境界が不明瞭であるので、テンプレートマッチングなどによる検出は困難であり、例えば、心電波形上で、どこからどこまでをT波として特定するか(T波の波高の基準点をどこにするのか)を明瞭に決定することが困難となっている。そうすると、例えば、R波との境界及びP波との境界を基準にしたT波の波高を緊張状態の推定に利用した場合、推定結果が不安定となり得る。従って、T波の波高を利用して緊張状態の推定を安定的に実行しようとするためには、T波の検出、特に、その波高の検出を安定的に或いは一貫性のある状態にて行えるようにできることが望ましい。
かくして、本発明の一つの課題は、心電波形に基づいて人間の緊張状態を推定する装置であって、心電波形に於けるT波の波高を明確に決定するよう構成された装置を提供することである。この点に関し、上記の如く、心電波形に於いては、一般に、緊張度合いによる変動が殆ど観察されていない振幅の大きいR波の後に、T波とP波とが連続して発生する。その際、波形に於いては、R波のピークの後、更に、波形のボトム(最下点或いは下向きのピーク)が発生した後に発生する波形のピークが、T波のピークであり、次いで、発生する波形のボトムがT波のボトムであると、特定することができる。即ち、R波のピークとボトムを検出し、このことを参照すれば、T波をより確実に捉えることが可能となる。本発明に於いては、この知見が利用される。なお、本明細書に於いて、「緊張状態の推定」とは、特に断らない限り、被検者が心理的或いは精神的に緊張状態に在るか若しくはリラックス状態にあるか或いは緊張の度合を判定することを意味している。
本発明によれば、上記の課題は、緊張状態推定装置であって、被検者の心電波形を取得する手段と、心電波形に於いてT波波高を検出する手段と、T波波高に基づいて被検者の緊張状態を推定する手段とを含み、T波波高を検出する手段が、心電波形に於ける所定の閾値を超える極大値をR波のピークとして検出する手段と、心電波形に於ける検出されたR波のピークの後に発生した極小値をR波のボトムとして検出する手段と、心電波形に於ける検出されたR波のボトムの後に発生した極大値をT波のピークとして検出する手段と、心電波形に於ける検出されたT波のピークの後に発生した極小値をT波のボトムとして検出する手段と、検出されたT波のピークの値からT波のボトムの値を差し引いた値をT波波高として算出する手段とを含んでいる装置によって達成される。
上記の構成に於いて、「被検者の心電波形」は、通常の態様の心電計又は心電センサにより計測されたものであってよい。なお、実際の心電波形には、被検者の体動等に起因する低周波成分やノイズ等の高周波成分が重畳しているので、それらのT波波高の検出に不要な成分を心電波形から除去する任意のバンドパスフィルタ等がT波波高の検出に先立って適用されてよい。「T波波高に基づいて被検者の緊張状態を推定する手段」は、種々の態様の手段であってよい。実施の形態に於いては、例えば、T波波高と、心電波形から抽出される心拍数とをパラメータとして緊張状態の推定が実行されてよい。端的に述べれば、例えば、予め、被検者の状態が既知の状態にて取得されたT波波高と心電波形とのデータ群から、緊張状態にある場合とリラックス状態にある場合(緊張していない場合)についてのT波波高と心電波形とパラメータとするデータ点の分布を作成しておき(学習処理)、任意のT波波高と心電波形とが得られたときに、その得られたデータがいずれの分布に属するかによって、緊張状態の推定が可能となる。
上記の本発明の装置に於いては、被検者の心電波形に於いて、T波がR波に続いて発生すること、そして、R波の振幅が心電波形に於いて特に大きく被検者の状態に影響されないことに着目し、心電波形の解析に於いて、R波のピークとボトムと順に検出し、しかる後に、発生する極大値をT波のピークとして検出し、更に、その後に発生する極小値をT波のボトムとして検出する。そして、T波の波高(T波波高)として、T波のピークとT波のボトムとの差分が算出される。なお、R波のピークとボトム、T波のピークとボトムとは、例えば、心電波形に於いて微分値が0となる点を検出することにより達成されてもよい(更に、二次微分値が負又は正であることを条件として追加してもよい。)。かかる構成によれば、心電波形に於いて、T波のピークとボトムは、明確に特定されるので、T波の検出及びT波波高の算出が安定的に実行されることとなる。
なお、本発明の別の態様として、T波波高は、T波のピークの値とR波のボトムの値との差分であってもよい。その場合、T波のボトムの検出は実行されなくてもよい。また、更に別の態様として、T波波高は、T波のピークの値とT波のボトムの値との差分と、T波のピークの値とR波のボトムの値との差分との平均値であってもよい。
既に述べた如く、心電波形に於いて、T波の検出又はT波波高の検出に際して、T波がR波に連続して発生し、P波がT波に連続して発生することから、T波の始点と終点とを明確に特定できず、従って、T波波高を明確に或いは一貫性のある状態にて検出することが困難であった。これに対し、本発明によれば、T波波高がT波のピークとボトム(又はR波のボトム)といった明確に特定できる基準点を参照して算出され、従って、T波波高の検出が、安定的に或いは普遍的に行えることとなる。そして、T波波高の値が安定的に得られることにより、これを用いて実行される緊張状態の推定の結果に於いて、結果のばらつきが低減され、或いは、精度の向上が期待される。また、後述の実施例に説明されている如く、本発明の装置により得られたT波波高と心拍数とをパラメータとして、緊張状態の推定が良好に達成できることが示されている。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
1…心電位計
2…コンピュータ
2…コンピュータ
本発明によるT波波高の検出原理
図1を参照して、「発明の概要」の欄に於いて述べた如く、人間の心電図に於ける波形(心電波形)に於いては、心臓の運動に対応して、振幅の大きいR波、振幅のやや小さいT波及び更に振幅の小さいP波が、逐次的に周期的に繰り返し出現する。これらの波形のうち、R波は、人間の心理的又は精神的な緊張の程度に対して実質的に不変であることが観察されているのに対し、T波は、緊張の程度に対して、その形状が変化し、一般に、緊張度合いが高い方がT波の振幅が小さくなる傾向があることが観察されている。従って、T波波高は、緊張状態の推定のパラメータとして利用可能であると考えられる。
図1を参照して、「発明の概要」の欄に於いて述べた如く、人間の心電図に於ける波形(心電波形)に於いては、心臓の運動に対応して、振幅の大きいR波、振幅のやや小さいT波及び更に振幅の小さいP波が、逐次的に周期的に繰り返し出現する。これらの波形のうち、R波は、人間の心理的又は精神的な緊張の程度に対して実質的に不変であることが観察されているのに対し、T波は、緊張の程度に対して、その形状が変化し、一般に、緊張度合いが高い方がT波の振幅が小さくなる傾向があることが観察されている。従って、T波波高は、緊張状態の推定のパラメータとして利用可能であると考えられる。
かくして、心電波形に於いてT波の出現とその波高を検出することが必要となるところ、実際には、T波とR波との境界と、T波とP波との境界は、不明瞭であり、T波の始点と終点とを明確に特定することは困難である。この点に関し、文献によっては、R波とT波との間、T波とP波との間にそれぞれ平坦となる領域が存在するように描かれている場合があるが、図3、図5の実測例を参照しても理解されるように、R波とT波との間及びT波とP波との間の波形の変化は、実質的に連続しており、明確に境界を特定することが難しく、また、上記の如く、検出対象であるT波自体が緊張の程度に応じて波高が変化するので、例えば、テンプレートマッチングなどによる検出も困難である。
そこで、本発明に於いては、新規な手法として、端的に述べれば、R波のピークが心電波形に於いて最も大きな値を取ること、そして、T波のピークが必ずR波のボトムの出現の後に出現すること、即ち、心電波形に於ける一つのサイクルに於いて、所定値を越える極大値(R波のピーク)、極小値(R波のボトム)、極大値(T波のピーク)、極小値(T波のボトム)の順に、波形が変化することに着目し、T波のピークとボトムとを検出し、それらの値の差分をT波波高として採用する。
具体的には、図1を参照して、或るサイクル(T)の心電波形に於いて、時間軸に沿って、まず、所定の閾値Thを超える極大値(□)がR波のピークとして検出される。次いで、その後の時間に於いて、最初に検出される極小値(△)がR波のボトムとして検出される。そして、更にその後の時間に於いて、最初に検出される極大値(↓)がT波のピークとして検出され、その後に最初に検出される極小値(×)がT波のボトムとして検出される。かくして、T波のピークとT波のボトムとの差分HiがそのサイクルのT波波高として算出される。そして、上記の処理を繰り返すことにより、それ以後のサイクル(T+1)の心電波形に於いても、同様にR波のピーク、ボトム、T波のピーク、ボトムが検出され、T波波高Hi+1が算出されていくこととなる(T波のボトムの検出後、所定の閾値Thを超える極大値を検出する処理に於いては、P波は検出されず、次のサイクルのR波のピークが検出されることとなる。)
なお、心電波形に於ける極大値、極小値の検出は、任意の手法にて実行されてよい。極大値、極小値は、その前後の値よりも大きい或いは小さいことを判定して検出されてもよく、或いは、心電波形の微分値を演算して、微分値が0となる点(二次微分値が負又は正となることも参照されてよい。)を特定することによって検出されてもよい。所定の閾値Thは、実験的に設定可能である。
緊張状態推定装置
(1)装置の概要
上記の本発明によるT波波高の検出技術は、以下に説明される如き人間の緊張状態推定装置に適用されてよい。本実施形態に於ける緊張状態推定装置に於いては、端的に述べれば、被検者の心電波形に於いて、心拍数とT波波高とを特徴量として抽出し、かかる特徴量で張られる空間(特徴量空間)に於いて、抽出された特徴量のデータ点が緊張状態の範囲に属するか、リラックス状態の範囲に属するかを判定して、被検者の状態が判定される。特徴量空間に於ける緊張状態の範囲とリラックス状態の範囲とは、予め、状態が既知の状態で計測された心電波形から多数の心拍数とT波波高との組のデータ(学習データ)を取得し、特徴量空間に於ける各状態の学習データの分布から画定されてよい。
(1)装置の概要
上記の本発明によるT波波高の検出技術は、以下に説明される如き人間の緊張状態推定装置に適用されてよい。本実施形態に於ける緊張状態推定装置に於いては、端的に述べれば、被検者の心電波形に於いて、心拍数とT波波高とを特徴量として抽出し、かかる特徴量で張られる空間(特徴量空間)に於いて、抽出された特徴量のデータ点が緊張状態の範囲に属するか、リラックス状態の範囲に属するかを判定して、被検者の状態が判定される。特徴量空間に於ける緊張状態の範囲とリラックス状態の範囲とは、予め、状態が既知の状態で計測された心電波形から多数の心拍数とT波波高との組のデータ(学習データ)を取得し、特徴量空間に於ける各状態の学習データの分布から画定されてよい。
(2)装置の構成
図2(A)を参照して、本実施形態の緊張状態推定装置に於いては、心電位計1にて計測された被検者の心電位の計測値データがコンピュータ2へ無線通信又は有線通信等の任意の手段にて転送され、コンピュータ2に於いて、心拍数とT波波高の検出、緊張状態の推定のための演算が実行される。なお、以下に説明される装置内の演算部及びその他の各部の作動は、メモリに記憶されたプログラムに従ったコンピュータの作動により、実現されることは理解されるべきである。
図2(A)を参照して、本実施形態の緊張状態推定装置に於いては、心電位計1にて計測された被検者の心電位の計測値データがコンピュータ2へ無線通信又は有線通信等の任意の手段にて転送され、コンピュータ2に於いて、心拍数とT波波高の検出、緊張状態の推定のための演算が実行される。なお、以下に説明される装置内の演算部及びその他の各部の作動は、メモリに記憶されたプログラムに従ったコンピュータの作動により、実現されることは理解されるべきである。
(3)装置の作動
(i)フィルタ処理
コンピュータ2に於いては、まず、図2(B)にブロック図の形式にて描かれている如く、心電位計からの計測データがフィルタ部へ与えられ、ここに於いて、図3(A)、(B)に例示されている如く、被検者の体動等に起因する低周波成分やノイズ等の高周波成分が除去されて、心拍数とT波波高の検出に必要な成分が抽出される。かかるフィルタとしては、3次のバターワースフィルタ等のバンドパスフィルタ、平滑化フィルタ等が用いられてよい。
(i)フィルタ処理
コンピュータ2に於いては、まず、図2(B)にブロック図の形式にて描かれている如く、心電位計からの計測データがフィルタ部へ与えられ、ここに於いて、図3(A)、(B)に例示されている如く、被検者の体動等に起因する低周波成分やノイズ等の高周波成分が除去されて、心拍数とT波波高の検出に必要な成分が抽出される。かかるフィルタとしては、3次のバターワースフィルタ等のバンドパスフィルタ、平滑化フィルタ等が用いられてよい。
(ii)心拍数とT波波高の検出処理
かくして、フィルタ処理された心電波形データは、心電波形演算部へ与えられ、そこに於いて、心拍数とT波波高の検出が実行される。具体的には、一つの態様に於いて、例えば、図4に例示された処理サイクルを、心電波形データに於いて、反復して実行することにより、心拍数とT波波高とが検出されてよい。
かくして、フィルタ処理された心電波形データは、心電波形演算部へ与えられ、そこに於いて、心拍数とT波波高の検出が実行される。具体的には、一つの態様に於いて、例えば、図4に例示された処理サイクルを、心電波形データに於いて、反復して実行することにより、心拍数とT波波高とが検出されてよい。
同図を参照して、処理サイクルに於いては、まず、R波ピークの検出処理(ステップ10〜14)として、心電波形データから時系列にデータ点E(t)、E(t+1)、E(t+2)が取得される(ステップ10)。なお、tは、データ計測時点の符号である。そして、これらのデータ点の全てが所定の閾値Th以上であるか否か、即ち、
E(t)≧Th;E(t+1)≧Th;E(t+2)≧Th …(1a)
と、E(t+1)が極大値となっているか否か、即ち、
E(t)≦E(t+1),E(t+1)≧E(t+2) …(1b)
が判定される(ステップ12)。この処理を心電波形データに於いて逐次的に(tをずらしながら)反復実行して、式(1a)、(1b)が成立したとき、E(t+1)が、所定の閾値Thを超える極大値となるので、R波ピークであると判定できることとなる。そうすると、t+1がR波ピーク時点tRi(iは、心電波形に於けるサイクルの符号である。以下同様)として記録される(ステップ14)。また、R波ピークが繰り返し検出されると、R波ピークの時点の間隔Itiは、心拍数Fi(単位時間当たりの心拍の数)の逆数となるので、現在のR波ピーク時点tRiと、前のサイクルのR波ピーク時点tR(i−1)との差分から
Iti=tRi−tR(i−1) …(2a)
と与えられ、心拍数Fiは、
Fi=1/Iti …(2b)
により与えられる。(初回のサイクルi=1では、心拍数Fiは、算出されない。)
E(t)≧Th;E(t+1)≧Th;E(t+2)≧Th …(1a)
と、E(t+1)が極大値となっているか否か、即ち、
E(t)≦E(t+1),E(t+1)≧E(t+2) …(1b)
が判定される(ステップ12)。この処理を心電波形データに於いて逐次的に(tをずらしながら)反復実行して、式(1a)、(1b)が成立したとき、E(t+1)が、所定の閾値Thを超える極大値となるので、R波ピークであると判定できることとなる。そうすると、t+1がR波ピーク時点tRi(iは、心電波形に於けるサイクルの符号である。以下同様)として記録される(ステップ14)。また、R波ピークが繰り返し検出されると、R波ピークの時点の間隔Itiは、心拍数Fi(単位時間当たりの心拍の数)の逆数となるので、現在のR波ピーク時点tRiと、前のサイクルのR波ピーク時点tR(i−1)との差分から
Iti=tRi−tR(i−1) …(2a)
と与えられ、心拍数Fiは、
Fi=1/Iti …(2b)
により与えられる。(初回のサイクルi=1では、心拍数Fiは、算出されない。)
R波ピークが検出されると、R波ボトムの検出処理が実行される(ステップ20〜26)。ここに於いては、tRiよりも後の時点から(ステップ20)、心電波形データに於いて、データ点E(t)、E(t+1)、E(t+2)の取得(ステップ22)と
E(t)≧E(t+1),E(t+1)≦E(t+2) …(3)
が成立するか否かの判定(ステップ24)が成立するまで、かかる処理が時系列に(tをずらしながら)反復される。そして、式(3)が成立すると、E(t+1)が、R波ピークの次に出現した極小値となるので、R波ボトムであると判定でき、t+1がR波ボトム時点tRbiとして記録される(ステップ26)。
E(t)≧E(t+1),E(t+1)≦E(t+2) …(3)
が成立するか否かの判定(ステップ24)が成立するまで、かかる処理が時系列に(tをずらしながら)反復される。そして、式(3)が成立すると、E(t+1)が、R波ピークの次に出現した極小値となるので、R波ボトムであると判定でき、t+1がR波ボトム時点tRbiとして記録される(ステップ26)。
次いで、R波ボトムが検出されると、T波ピークの検出処理が実行される(ステップ28〜34)。ここに於いては、tRbiよりも後の時点から(ステップ28)、心電波形データに於いて、データ点E(t)、E(t+1)、E(t+2)の取得(ステップ30)と
E(t)≦E(t+1),E(t+1)≧E(t+2) …(4)
が成立するか否かの判定(ステップ32)とが成立するまで、かかる処理が時系列に(tをずらしながら)反復される。そして、式(4)が成立すると、E(t+1)が、R波ボトムの次に出現した極大値となるので、T波ピークであると判定でき、そのときの心電位値E(t+1)がT波ピーク値Ciとして記録され、t+1がT波ピーク時点tTiとして記録される(ステップ34)。
E(t)≦E(t+1),E(t+1)≧E(t+2) …(4)
が成立するか否かの判定(ステップ32)とが成立するまで、かかる処理が時系列に(tをずらしながら)反復される。そして、式(4)が成立すると、E(t+1)が、R波ボトムの次に出現した極大値となるので、T波ピークであると判定でき、そのときの心電位値E(t+1)がT波ピーク値Ciとして記録され、t+1がT波ピーク時点tTiとして記録される(ステップ34)。
かくして、T波ピークが検出されると、T波ボトムの検出処理が実行される(ステップ36〜42)。ここに於いては、tTiよりも後の時点から(ステップ36)、心電波形データに於いて、データ点E(t)、E(t+1)、E(t+2)の取得(ステップ38)と
E(t)≧E(t+1),E(t+1)≦E(t+2) …(5)
が成立するか否かの判定(ステップ40)とが成立するまで、かかる処理が時系列に(tをずらしながら)反復される。そして、式(5)が成立すると、E(t+1)が、T波ピークの次に出現した極小値となるので、T波ボトムであると判定でき、そのときの心電位値E(t+1)がT波ボトム値Diとして記録され、t+1がT波ボトム時点tTbiとして記録される(ステップ42)。そして、これと伴に、T波波高Hiが
Hi=Ci−Di …(6)
により算出される。
E(t)≧E(t+1),E(t+1)≦E(t+2) …(5)
が成立するか否かの判定(ステップ40)とが成立するまで、かかる処理が時系列に(tをずらしながら)反復される。そして、式(5)が成立すると、E(t+1)が、T波ピークの次に出現した極小値となるので、T波ボトムであると判定でき、そのときの心電位値E(t+1)がT波ボトム値Diとして記録され、t+1がT波ボトム時点tTbiとして記録される(ステップ42)。そして、これと伴に、T波波高Hiが
Hi=Ci−Di …(6)
により算出される。
上記の如く、T波ボトムまで検出されると、T波ボトム時点tTbi以降に於いて、上記の処理を繰り返すことにより、次の心電波形のサイクルに於ける処理が、R波ピークの検出から実行され、これを繰り返すことにより、図5に例示されている如く、時々刻々に各サイクルについて、R波ピーク、ボトム、T波ピーク、ボトムの各時点と心電位値とが検出され、T波波高Hiと心拍数Fiが検出されることとなる。
なお、別の態様として、T波波高は、T波のピークの値とR波のボトムの値との差分であってもよい。その場合、ステップ26に於いて、R波のボトムの値Biが記録され、ステップ34に於いて、T波のピークの値CiとR波のボトムの値Biとの差分(Ci−Bi)がT波波高Hiとして算出される(ステップ36−42は、実行されなくてよい。)また、T波波高は、T波のピークの値CiとT波のボトムの値Diとの差分と、T波のピークの値CiとR波のボトムの値Biとの差分との平均値であってもよい。その場合、ステップ26に於いて、R波のボトムの値が記録され、ステップ42に於いて、
Hi={(Ci−Bi)+(Ci−Di)}/2
により算出される。
Hi={(Ci−Bi)+(Ci−Di)}/2
により算出される。
(iii)緊張状態判定処理
かくして、T波波高Hiと心拍数Fiとが得られると、緊張状態判定部にて、図5(B)に例示されている如き、予め準備されたT波波高Hiと心拍数Fiとをパラメータとする特徴量空間(判定マップ)に於いて、(Hi,Fi)のプロットが、緊張状態の範囲とリラックス状態の範囲のいずれに属するかが判定され、時々刻々の(Hi,Fi)のプロットの属した状態が被検者の状態として判定される。
かくして、T波波高Hiと心拍数Fiとが得られると、緊張状態判定部にて、図5(B)に例示されている如き、予め準備されたT波波高Hiと心拍数Fiとをパラメータとする特徴量空間(判定マップ)に於いて、(Hi,Fi)のプロットが、緊張状態の範囲とリラックス状態の範囲のいずれに属するかが判定され、時々刻々の(Hi,Fi)のプロットの属した状態が被検者の状態として判定される。
図5(B)に例示されている如き特徴量空間に於ける緊張状態の範囲とリラックス状態の範囲の画定、即ち、二つの範囲を分ける識別線の設定は、学習処理により実行されてよい。学習処理に於いては、既に触れた如く、状態が既知の状態で計測された心電波形から多数の心拍数とT波波高との組の学習データを取得し、特徴量空間に於ける各状態に属する学習データの分布に基づいて二つの範囲を分ける識別線が決定される。学習データに於ける心拍数とT波波高の取得は、図4に関連して説明された処理により逐次的に取得されてよい。図6(A)は、上記の如き処理によって得られた、被検者の状態が既知の状態で計測された学習データの心拍数とT波波高の特徴量空間に於ける分布の例を示している。図から理解される如く、心拍数とT波波高の分布は、被検者の状態が緊張状態にある場合(×)とリラックス状態に場合(○)とによって心拍数とT波波高のプロットの範囲が分かれることが理解される(即ち、本発明によるT波波高が緊張状態の推定のパラメータとして有用であることを示唆している。)。従って、緊張状態のプロットの分布とリラックス状態のプロットの分布ができるだけ適切に分割できるように識別線を引くことにより、緊張状態の範囲とリラックス状態の範囲とが画定されることとなる。かかる識別線は、具体的には、任意の線形識別器、統計的な回帰分析又はクラスター分析の手法により決定されてよい。例えば、識別線は、心拍数とT波波高のプロットを識別線に対して射影した際に全プロットの分散が最大となり、状態毎のプロットの分散が最小となるように決定されてよい。
ところで、心電波形から上記の如く検出されたT波波高Hiと心拍数Fiの絶対値には、個人差又は個人内差があり、人によって、或いは、計測状況によって、検出値の絶対値の変動が起き得る。その場合、T波波高Hiと心拍数Fiをそのまま状態の推定に使用すると、推定精度が低下し得る。そこで、好適には、心電波形から検出されたT波波高Hiと心拍数Fiは、更に、正規化処理され、正規化されたT波波高Hinと心拍数Finを用いて、上記の如き判定が実行されてよい。なお、その場合、図6(B)に例示されている如く、緊張状態の推定に用いる判定マップ及び識別線も、正規化されたT波波高と心拍数を学習データとして用いて調製される。
T波波高Hiと心拍数Fiの正規化は、下記の式により実行されてよい(Z変換)。
Hin=(Hi−Have)/SH …(7a)
Fin=(Fi−Fave)/SF …(7b)
なお、ここで、Have、Faveは、それぞれ、学習データのT波波高と心拍数の平均値であり、SH、SFは、それぞれ、学習データのT波波高と心拍数の標準偏差である。
Hin=(Hi−Have)/SH …(7a)
Fin=(Fi−Fave)/SF …(7b)
なお、ここで、Have、Faveは、それぞれ、学習データのT波波高と心拍数の平均値であり、SH、SFは、それぞれ、学習データのT波波高と心拍数の標準偏差である。
装置に於いて、上記の学習処理が完了していないときは、学習処理部にて、上記の学習処理が実行され、正規化演算のためのパラメータ及び判定マップが記憶される。実際の任意の被検者についての状態の推定に際しては、学習処理部に記憶された情報を用いて、状態の推定が実行される。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。
例えば、上記の装置に於いては、緊張状態の推定のために、T波波高の他に、心拍数が使用されているが、その他の心電波形から得られる情報或いはその他の計測値から抽出される情報がパラメータとして用いられてもよく、そのような場合も本発明の範囲に属することは理解されるべきである。
Claims (1)
- 緊張状態推定装置であって、
被検者の心電波形を取得する手段と、
前記心電波形に於いてT波波高を検出する手段と、
前記T波波高に基づいて前記被検者の緊張状態を推定する手段と
を含み、前記T波波高を検出する手段が、
前記心電波形に於ける所定の閾値を超える極大値をR波のピークとして検出する手段と、
前記心電波形に於ける検出されたR波のピークの後に発生した極小値をR波のボトムとして検出する手段と、
前記心電波形に於ける検出されたR波のボトムの後に発生した極大値をT波のピークとして検出する手段と、
前記心電波形に於ける検出されたT波のピークの後に発生した極小値をT波のボトムとして検出する手段と、
前記検出されたT波のピークの値からT波のボトムの値を差し引いた値をT波波高として算出する手段と
を含んでいる装置。
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- 2016-03-24 JP JP2016059982A patent/JP2017169885A/ja active Pending
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