JP2017168323A - 非水電解質二次電池および電池パック - Google Patents

非水電解質二次電池および電池パック Download PDF

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真輔 松野
憲和 長田
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憲和 長田
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Abstract

【課題】初回充電時に、効率調整材が遅延することなく充電反応が完了し、以後のガス発生による電池膨れを抑制する非水電解質二次電池および電池パックを提供する。【解決手段】実施形態の非水電解質二次電池は、正極と、負極と、を持つ。前記正極は、リチウム電位基準で3V以上5V以下に充放電反応可能な中心部と、該中心部の表面を被覆し、リチウム電位基準で2.5V以上5V以下に充電のみ可能な表面部と、を有する正極活物質を含有する。前記負極は、シリコン酸化物およびスズ酸化物から選択される少なくともいずれか一方を含有する。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、非水電解質二次電池および電池パックに関する。
負極活物質として炭素材料を、正極活物質としてニッケル、コバルト、マンガン等を含有する層状酸化物を用いた非水電解質二次電池(主にリチウムイオン二次電池)が、各種電子機器等の小型の物から電気自動車等の大型の物まで、幅広い分野の電源として既に実用化されている。非水電解質二次電池は、さらなる小型化、軽量化、長時間使用、長寿命化が求められている。また、非水電解質二次電池は、容量密度をさらに向上させ、繰り返し性能を高めることが求められている。しかしながら、従来の炭素材料は、充放電容量の向上に限界がある。また、高容量と見なされる低温焼成炭素は、密度が小さいため、単位体積当たりの充放電容量を大きくすることが難しい。このため、高容量の非水電解質二次電池を実現するには、新しい負極活物質の開発が必要である。
炭素材料よりも高容量が得られる負極活物質としては、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)等の単体金属を用いることが知られている。特に、Siを負極材料として用いると、単位質量(1g)当り4200mAhという高容量が得られる。しかしながら、これら単体金属からなる負極は、Liの吸蔵放出を繰り返すことにより、元素のミクロ的な微粉化が生じるため、高い充放電サイクル特性が得られない。この課題を解決するために、負極活物質としては、アモルファス状のスズ酸化物、シリコン酸化物等を用いることが知られている。これらの酸化物は、炭素材料よりも2倍〜3倍の負極容量を有し、炭素材料と同等以上のサイクル特性を実現できる。また、これらの酸化物と炭素材料を複合化することにより、さらなる長寿命化が可能となる。
一方、スズ酸化物やシリコン酸化物は、初回充電時に非可逆的に還元されるため、初回充放電効率(初回の充電容量に対する放電容量の比率)が50%〜70%程度である。コバルト酸リチウム、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム等の層状正極材料は、初回充放電効率は85%〜95%である。そのため、これらの酸化物を用いた電池系においては、初回充放電効率の差分はそのまま電池容量の損失に繋がり、負極を高容量化しても、電池を高容量化することが難しかった。
そこで、初回充電時の不可逆反応を抑制するために種々の手法が提案されている。例えば、負極上に予めリチウムをドープして、初回充放電効率を改善させる方法が提案されている。
また、正極の充電容量を増やして、正極の初回充放電効率を負極と同等にする方法が提案されている。具体的には、正極に初回充電時のみリチウムを放出できる材料(例えば、LiCuO、LiFeO、LiMnO、以後「効率調整材」と言う。)を適量添加することにより、初回充放電効率を下げて、容量損失を低減させる方法が提案されている。効率調整材は、コバルト酸リチウム、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム等の層状正極材料に比べて、単位質量当たりの充電容量が2倍〜3倍である。また、効率調整材は、正極に添加するだけで負極容量の損失を補填することができる。
しかしながら、効率調整材は、リチウムを放出するとともに、酸素を放出する反応を生じる。このような効率調整材における酸素の放出を伴う充電反応は、コバルト酸リチウム、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム等の層状正極材料における同様の反応に比べて非常に遅い。そのため、効率調整材が未反応のまま充電反応が終了して、効率調整材が効率調整の機能(負極不可逆容量損失の補填機能)を果たさない。また、電池を出荷した後、効率調整材が酸素を放出する反応がゆっくり進行し、電池膨れ(ガス発生)することがある。反応速度に起因する課題を解決するために、非常にゆっくりとしたレートで充電反応を完了させたり、環境温度を45℃〜60℃として充電反応させたりするといった方法も考えられる。しかし、これらの方法は、工場等における生産性が低い、加温により副反応が生じる等の課題がある。
特開2000−348721号公報 特開2004−284845号公報
本発明が解決しようとする課題は、初回充電時に、効率調整材が遅延することなく充電反応が完了し、以後のガス発生による電池膨れを抑制する非水電解質二次電池および電池パックを提供することである。
実施形態の非水電解質二次電池は、正極と、負極と、を持つ。
前記正極は、リチウム電位基準で3V以上5V以下に充放電反応可能な中心部と、該中心部の表面を被覆し、リチウム電位基準で2.5V以上5V以下に充電のみ可能な表面部と、を有する正極活物質を含有する。
前記負極は、シリコン酸化物およびスズ酸化物から選択される少なくともいずれか一方を含有する。
第1の実施形態に係る非水電解質二次電池を示す模式図である。 第1の実施形態に係る非水電解質二次電池を示す模式図である。 第1の実施形態に係る非水電解質二次電池を示す模式図である。 第1の実施形態に係る非水電解質二次電池を示す模式図である。 第2の実施形態に係る電池パックを示す概略斜視図である。 第2の実施形態に係る電池パックを示す模式図である。
以下、実施形態の非水電解質二次電池および電池パックを、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、正極と、負極と、を備える非水電解質二次電池が提供される。
より具体的には、本実施形態に係る非水電解質二次電池は、外装材と、外装材内に収納された正極と、外装材内において、正極と空間的に離間して、セパレータを介して収納された負極と、外装材内に充填された非水電解質と、を含む。
以下、本実施形態に係る非水電解質二次電池の構成部材である正極、負極、非水電解質、セパレータ、外装材について、詳細に説明する。
(1)正極
本実施形態における正極は、リチウム電位基準で3V以上5V以下に充放電反応可能な中心部と、その中心部の表面を被覆し、リチウム電位基準で2.5V以上5V以下に充電のみ可能な表面部と、を有する正極活物質を含有する。
より詳細には、本実施形態における正極は、正極集電体と、この正極集電体の片面もしくは両面に形成され、上記の正極活物質、導電剤および結着剤を含む正極活物質層とを備える。導電剤および結着剤は、任意成分である。
リチウム電位基準で3V以上5V以下に充放電反応可能な中心部を構成する物質としては、例えば、リチウムコバルト酸化物(コバルト酸リチウム、LiCoO)が挙げられる。また、リチウム電位基準で2.5V以上5V以下に充電のみ可能な表面部を構成する物質としては、例えば、リチウム銅酸化物(LiCuO)が挙げられる。
正極活物質の中心部を構成するリチウムコバルト酸化物は、リチウム電位基準で3V〜4.5V近傍にて、充放電反応が可逆的に起こる。一方、正極活物質の表面部を構成するリチウム銅酸化物は、リチウム電位基準で2.8V〜4.5V近傍にて、酸素を放出しながら充電反応のみが起こる。
リチウムコバルト酸化物とリチウム銅酸化物を単に混合して、正極活物質層を形成した場合、すなわち、リチウムコバルト酸化物からなる中心部の表面に、その表面を被覆する、リチウム銅酸化物からなる表面部が存在していない場合、0.1Cレートで充電反応を行うと、3V未満の領域ではリチウム銅酸化物の充電反応が起こる。3V以上の領域では、原理的にリチウムコバルト酸化物とリチウム銅酸化物のリチウム脱離(充電)反応が同時に進行する。しかしながら、酸素を放出しながら充電反応が進行するリチウム銅酸化物は、リチウムコバルト酸化物に比べて反応速度が極端に遅いため、リチウムコバルト酸化物から優先的にリチウム脱離反応が進行する。従って、充電終了電圧に達しても、反応速度が遅いリチウム銅酸化物の充電反応は完了しない。このような状態では、所定の電池容量が得られないばかりでなく、電池を出荷した後にリチウム銅酸化物が反応し、ガス発生による電池膨れの原因となる。
一方、リチウムコバルト酸化物からなる中心部の表面に、その表面を被覆する、リチウム銅酸化物からなる表面部が存在している場合、リチウム銅酸化物から優先的にリチウム脱離反応が進行する。したがって、初回充電時の反応にて、未反応のリチウム銅酸化物がほとんどなくなるため、電池を出荷した後にリチウム銅酸化物が反応し、ガス発生による電池膨れが起こり難くなる。
正極活物質を構成するリチウム電位基準で3V以上5V以下に充放電反応可能な中心部は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムコバルトニッケルマンガン酸化物(LiNiMnCo(但し、x+y+z=1))、リチウムマンガン酸化物(LiMn)およびリチウムリン酸鉄(LiFePO)からなる群から選択される少なくとも1種からなることが好ましい。これらの化合物は、1種であっても、2種対以上であってもよい。
これらの化合物は、充放電に伴う体積の膨張収縮が小さいため、正極活物質の中心部を構成する化合物として好適である。
正極活物質を構成するリチウム電位基準で2.5V以上5V以下に充電のみ可能な表面部は、リチウム銅酸化物(LiCuO)、リチウム銅複合酸化物(LiNiCuy−1(但し、0<y<1))、リチウム鉄酸化物(LiFeO)およびリチウムマンガン酸化物(LiMnO)からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
これらの化合物は、充電に伴って酸素を放出するため、充電反応の速度が非常に遅い。しかしながら、これらの化合物は、充電容量が490mAh/g〜700mAh/gであり、実質利用する電位範囲にて放電容量がほとんどないため、初回充放電効率を負極と同等にするためには好適である。
正極活物質の表面部は、上記の化合物に加えて、さらに、銅酸化物(CuO)、銅複合酸化物(NiCuy−1O(但し、0<y<1))、リチウム鉄酸化物(LiFeO)およびリチウムマンガン酸化物(LiMnO)からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
これらの化合物は、リチウム銅酸化物(LiCuO)、リチウム銅複合酸化物(LiNiCuy−1(但し、0<y<1))、リチウム鉄酸化物(LiFeO)、リチウムマンガン酸化物(LiMnO)の充電反応により得られる。これらの化合物は、1種であっても、2種対以上であってもよい。
一方、充電反応の条件や、温度を調整することにより、銅酸化物(CuO)、銅複合酸化物(NiCuy−1O(但し、0<y<1))、リチウム鉄酸化物(LiFeO)、リチウムマンガン酸化物(LiMnO)の生成量が変化する。
また、正極活物質の表面部において、リチウム銅酸化物相(LiCuO)を1とした際の銅酸化物相(CuO)のモル比率、リチウム銅複合酸化物相(LiNiCuy−1(但し、0<y<1))を1とした際の銅複合酸化物相(NiCuy−1O(但し、0<y<1))のモル比率、リチウム鉄酸化物相(LiFeO)を1とした際のリチウム鉄酸化物相(LiFeO)のモル比率、および、リチウムマンガン酸化物相(LiMnO)を1とした際のリチウムマンガン酸化物相(LiMnO)のモル比率は、1以上100以下であることが好ましく、3以上80以下であることがより好ましい。
正極活物質の表面部を構成する各相の比率が1未満では、電池を出荷した後に酸化物が反応し、ガス発生による電池膨れが起こり易くなる。一方、正極活物質の表面部を構成する各相の比率が100を超えると、正極活物質の中心部を構成する化合物へのリチウム挿入・脱離反応が阻害されやすく、大電流特性といった電池性能が低下することがある。
正極活物質の中心部を1としたとき、正極活物質の中心部に対する正極活物質の表面部のモル比は、0.05以上1以下であることが好ましく、0.1以上0.5以下であることがより好ましい。
正極活物質の表面部のモル比が0.05未満では、負極活物質へのリチウム供給能力が不十分である。一方、正極活物質の表面部のモル比が1を超えると、正極活物質の中心部を構成する化合物へのリチウム挿入・脱離反応が阻害される。
ここで、正極活物質の表面部を構成する各相の比率は、粉末X線回折測定によるRietveld解析により算出できる。正極活物質が2つ以上の相(化合物)から構成される場合、中心部を構成する化合物の総和を1とし、表面部を構成する相(化合物)の総和を算出し、中心部に対する表面部のモル比を算出することができる。例えば、正極活物質の中心部がリチウムコバルト酸化物から構成され、正極活物質の表面部がリチウム銅酸化物および銅酸化物で構成される場合、次のようにして、中心部に対する表面部のモル比を算出することができる。粉末X線回折測定から得られたRietveld解析により、各相の構成が、中心部(リチウムコバルト酸化物):表面部(リチウム銅酸化物):表面部(銅酸化物)=0.75:0.03:0.22として算出された場合、中心部に対する表面部のモル比は(0.03+0.22)/0.75=0.333と算出される。
正極活物質の中心部の表面における、正極活物質の表面部の非被覆率は、5%以上50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることがより好ましい。
正極活物質の表面部の非被覆率が5%未満では、充電反応時、正極活物質の中心部を構成する化合物へのリチウム挿入・脱離反応が阻害される。一方、正極活物質の表面部の非被覆率が50%を超えると、正極活物質の中心部を構成する化合物へのリチウム挿入・脱離反応の速度が速まり、正極活物質の表面部の充電反応が進行し難くなる。
正極活物質の表面部を構成する化合物は、正極活物質の中心部を構成する化合物を均一に被覆する必要はなく、不均一に被覆していてもよい。従って、正極活物質の表面部は、正極活物質の中心部を断片的に被覆する。このとき、正極活物質の中心部の表面における、正極活物質の表面部の非被覆率は、5%以上50%以下であることが好ましい。
非被覆率とは、3000倍の倍率で走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)観察を実施し、少なくとも5個の任意の正極活物質を観察し、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray)による元素マッピングにより表面部と中心部を見分け、中心部の面積を表面部の面積にて除した値の平均値である。
導電剤は、正極活物質の集電性能を高めて、正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑える。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、人工黒鉛、天然黒鉛、炭素繊維、導電性ポリマー等が挙げられる。
導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結着剤は、分散された正極活物質の間隙を埋め、正極活物質と導電剤を結着させ、また、正極活物質と正極集電体とを結着させる。
結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリアクリルイミド(PAI)等が挙げられる。
結着剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、結着剤を分散させるための有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)等が用いられる。
正極活物質層における、正極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、正極活物質が80質量%〜95質量%、導電剤が3質量%〜20質量%、結着剤が2質量%〜7質量%であることが好ましい。
正極集電体は、正極活物質層と結着する導電性の部材である。正極集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板が用いられる。
正極集電体の厚さは、5μm〜20μmであることが好ましい。正極集電体の厚さがこの範囲であれば、電極強度と軽量化のバランスがとれる。
次に、正極の製造方法について説明する。
まず、正極活物質および結着剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製する。ここで、必要に応じて、導電剤を添加して、スラリーを調製する。
次いで、スラリーを正極集電体上に塗布し、乾燥して正極活物質層を形成した後、プレスを施すことにより正極が得られる。
また、正極は、正極活物質、結着剤および必要に応じて配合される導電剤をペレット状に形成して正極活物質層とし、これを正極集電体上に配置することにより作製されてもよい。
(2)負極
本実施形態における負極は、シリコン酸化物およびスズ酸化物から選択される少なくともいずれか一方を含有する。
より詳細には、本実施形態における負極は、負極集電体と、この負極集電体の片面もしくは両面に形成され、上記の負極活物質、導電剤および結着剤を含む負極活物質層とを備える。導電剤および結着剤は、任意成分である。
本実施形態に係る非水電解質二次電池は、負極活物質の初回充放電における初回充放電効率が80%以下となる材料系で効果が得られやすい。従って、負極活物質層に含まれる負極活物質は、シリコン酸化物およびスズ酸化物から選択される少なくともいずれか一方を含有することが好ましい。
シリコン酸化物としては、SiO、SiO、不定比のSiO(1<x<2)が挙げられる。また、シリコン酸化物としては、SiO、SiOまたはSiOの表面にSiが析出している形態のものでもよい。
スズ酸化物としては、SnO、SnOが挙げられる。また、シリコン酸化物としては、SnOまたはSnOの表面にSnが析出している形態のものでもよい。
また、負極活物質自体のサイクル性能改善のため、シリコン酸化物やスズ酸化物が微少量の異種元素で置換されていてもよい。さらに、シリコン酸化物やスズ酸化物が炭素材料で被覆されていてもよい。
炭素材料としては、アルカリ金属の吸蔵性と導電性が高いものが好ましい。炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、結晶性の高いグラファイト等が挙げられる。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、エチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリアクリルイミド(PAI)等が挙げられる。結着剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、結着剤を分散させるための有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)等が用いられる。
導電剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。
負極活物質層における、負極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、負極活物質が70質量%〜95質量%、導電剤が0質量%〜25質量%、結着剤が2質量%〜10質量%であることが好ましい。
最終的に負極活物質層におけるシリコン原子およびスズ原子の含有率は、炭素原子に対する原子比で5%以上80%以下であることが好ましい。
負極集電体は、負極活物質層と結着する導電性の部材である。負極集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板が用いられる。これら導電性基板は、例えば、銅、ニッケル、それらの合金、またはステンレス等の導電性材料から形成することができる。導電性基板の中でも、導電性の点から、ステンレス箔が好ましい。
次に、負極の製造方法について説明する。
まず、負極活物質および結着剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製する。ここで、必要に応じて、導電剤を添加して、スラリーを調製する。
次いで、スラリーを負極集電体上に塗布し、乾燥して負極活物質層を形成した後、プレスを施すことにより負極が得られる。
また、負極は、負極活物質、結着剤および必要に応じて配合される導電剤をペレット状に形成して負極活物質層とし、これを負極集電体上に配置することにより作製されてもよい。
(3)非水電解質
非水電解質としては、非水電解液、電解質含浸型ポリマー電解質、高分子電解質または無機固体電解質が用いられる。
非水電解液は、非水溶媒(有機溶媒)に電解質を溶解することにより調製される液体状電解液で、電極群中の空隙に保持される。
非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート(以下、「第1溶媒」と言う。)と、環状カーボネートより低粘度の非水溶媒(以下、「第2溶媒」と言う。)との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることが好ましい。
第2溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)等の鎖状カーボネート、テトラヒドロフランまたは2−メチルテトラヒドロフランのような環状エーテル、ジメトキシエタンまたはジエトキシエタン等の鎖状エーテル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、酢酸エチル(EA)、トルエン、キシレン、酢酸メチル(MA)等が挙げられる。第2溶媒は、ドナー数が16.5以下であることが好ましい。第2溶媒の粘度は、25℃にて2.8cP以下であることが好ましい。
混合溶媒中のエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は、体積比率で1.0%〜80%であることが好ましい。より好ましいエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は、体積比率で20%〜75%である。
非水電解質に含まれる電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)等のリチウム塩が挙げられる。これらの中でも、六フッ化リン酸リチウムまたは四フッ化ホウ酸リチウムを用いることが好ましい。
非水電解質に含まれる非水溶媒に対する電解質の溶解量は、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることが好ましい。
(4)セパレータ
セパレータは、正極と負極が接触することを防止するために、正極と負極の間に配置されるものである。セパレータは、絶縁性材料で構成される。
セパレータとしては、正極と負極の間を電解質が移動可能な形状のものが用いられる。セパレータとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、セルロース、または、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、または、合成樹脂製不織布から形成される。これらの中でも、ポリエチレンおよびポリプロピレンの少なくともいずれか一方からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため好ましい。
セパレータの厚さは、5μm以上30μm以下であることが好ましい。セパレータの厚さが5μm未満では、セパレータの強度が著しく低下して、内部短絡が生じやすくなる。一方、セパレータの厚さが30μmを超えると、正負極間の距離が大きくなって内部抵抗が大きくなることがある。
セパレータは、120℃にて1時間放置したときの熱収縮率が20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。熱収縮率が20%を超えると、加熱により短絡が起こる可能性が高くなる。
セパレータは、多孔度が30体積%〜70体積%であることが好ましく、35体積%〜70体積%であることがより好ましい。セパレータの多孔度がこの範囲であることが好ましい理由は、次の通りである。
セパレータの表面に、セラミックスの粒子がコーティングされていてもよい。これにより、セパレータの安全性を高めることができる。セラミックス粒子としては、例えば、Al、TiO、ZrO等が挙げられる。
(5)外装材
正極、負極および非水電解質が収容される外装材としては、金属製容器や、ラミネートフィルム製外装容器が用いられる。
金属製容器としては、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス等からなる金属缶で角形、円筒形の形状のものが用いられる。
アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。アルミニウム合金中に、鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は100ppm以下であることが好ましい。アルミニウム合金からなる金属製容器は、アルミニウムからなる金属製容器よりも強度が飛躍的に増大するため、金属製容器の厚さを薄くすることができる。その結果、薄型で軽量かつ高出力で放熱性に優れた非水電解質二次電池を実現することができる。
ラミネートフィルムとしては、例えば、アルミニウム箔を樹脂フィルムで被覆した多層フィルム等が挙げられる。樹脂フィルムを構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子化合物が用いられる。
なお、本実施形態は、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、ボタン型等の種々の形態の非水電解質二次電池に適用することができる。
また、本実施形態に係る非水電解質二次電池は、上記の正極および負極からなる電極群に電気的に接続されるリードをさらに具備することができる。本実施形態に係る非水電解質二次電池は、例えば、2つのリードを具備することもできる。その場合、一方のリードは、正極集電タブに電気的に接続され、他方のリードは、負極集電タブに電気的に接続される。
リードの材料としては、特に限定されないが、例えば、正極集電体および負極集電体と同じ材料が用いられる。
本実施形態に係る非水電解質二次電池は、上記のリードに電気的に接続され、上記の外装材から引き出された端子をさらに具備することもできる。本実施形態に係る非水電解質二次電池は、例えば、2つの端子を具備することもできる。その場合、一方の端子は、正極集電タブに電気的に接続されたリードに接続され、他方の端子は、負極集電タブに電気的に接続されたリードに接続される。
端子の材料としては、特に限定されないが、例えば、正極集電体および負極集電体と同じ材料が用いられる。
(6)非水電解質二次電池
次に、本実施形態に係る非水電解質二次電池の一例として、図1および図2に示す扁平型非水電解質二次電池(非水電解質二次電池)30について説明する。図1は、扁平型非水電解質二次電池30の断面図模式図である。また、図2は、図1中に示すA部の拡大断面図である。なお、これら各図は本実施形態に係る非水電解質二次電池を説明するための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらについては、以下の説明と公知技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
図1に示す非水電解質二次電池30は、扁平状の捲回電極群31が、外装材32内に収納されて構成されている。外装材32は、ラミネートフィルムを袋状に形成したものでもよく、金属製の容器であってもよい。また、扁平状の捲回電極群31は、外側、すなわち外装材32側から、負極33、セパレータ34、正極35、セパレータ34の順で積層した積層物を渦巻状に捲回し、プレス成型することにより形成される。図5に示すように、最外周に位置する負極33は、負極集電体33aの内面側の片面に負極層33bが形成された構成を有する。最外周以外の部分の負極33は、負極集電体33aの両面に負極層33bが形成された構成を有する。また、正極35は、正極集電体35aの両面に正極層35bが形成された構成を有する。
図1に示す捲回電極群31は、その外周端近傍において、負極端子36が最外周の負極33の負極集電体33aに電気的に接続されている。正極端子37は内側の正極35の正極集電体35aに電気的に接続されている。これらの負極端子36および正極端子37は、外装材32の外部に延出されるか、外装材32に備えられた取り出し電極に接続される。
ラミネートフィルムからなる外装材を備えた非水電解質二次電池30を製造する際は、負極端子36および正極端子37が接続された捲回電極群31を、開口部を有する袋状の外装材32に装入する。次いで、液状非水電解質を外装材32の開口部から注入する。さらに、袋状の外装材32の開口部を、負極端子36および正極端子37を挟んだ状態でヒートシールすることにより、捲回電極群31および液状非水電解質を完全密封させる。
また、金属容器からなる外装材を備えた非水電解質二次電池30を製造する際は、負極端子36および正極端子37が接続された捲回電極群31を、開口部を有する金属容器に装入する。次いで。液状非水電解質を外装材32の開口部から注入する。さらに、金属容器に蓋体を装着して開口部を封口させる。
負極端子36としては、例えば、リチウムに対する電位が0V以上3V以下の範囲において電気的安定性と導電性とを備える材料を用いることができる。具体的には、アルミニウム、または、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。また、負極端子36は、負極集電体33aとの接触抵抗を低減するために、負極集電体33aと同様の材料であることがより好ましい。
正極端子37としては、リチウムに対する電位が2V以上5V以下の範囲において電気的安定性と導電性とを備える材料を用いることができる。具体的には、アルミニウムまたはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子37は、正極集電体35aとの接触抵抗を低減するために、正極集電体35aと同様の材料であることが好ましい。
以下、非水電解質二次電池30の構成部材である外装材32、負極33、正極35、セパレータ30および非水電解質について詳細に説明する。
(1)外装材
外装材32としては、上記の外装材が用いられる。
(2)負極
負極33としては、上記の電極が用いられる。
(3)正極
正極35としては、上記の正極が用いられる。
(4)セパレータ
セパレータ34としては、上記のセパレータが用いられる。
(5)非水電解質
非水電解質としては、上記の非水電解質が用いられる。
第1の実施形態に係る非水電解質二次電池は、前述した図1および図2に示す構成のものに限らず、例えば、図3および図4に示す構成の電池であってもよい。図2は、第1の実施形態に係る別の扁平型非水電解質二次電池を模式的に示す部分切欠斜視図であり、図4は図3のB部の拡大断面図である。
図3および図4に示す非水電解質二次電池40は、積層型電極群41が外装材42内に収納されて構成されている。積層型電極群41は、図4に示すように正極43と負極44とを、その間にセパレータ45を介在させながら交互に積層した構造を有する。
正極43は複数枚存在し、それぞれが正極集電体43aと、正極集電体43aの両面に担持された正極層43bとを備える。正極層43bには正極活物質が含有される。
負極44は複数枚存在し、それぞれが負極集電体44aと、負極集電体44aの両面に担持された負極層44bとを備える。負極層44bには負極材料が含有される。各負極44の負極集電体44aは、一辺が負極44から突出している。突出した負極集電体44aは、帯状の負極端子46に電気的に接続されている。帯状の負極端子46の先端は、外装材42から外部に引き出されている。また、図示しないが、正極43の正極集電体43aは、負極集電体44aの突出辺と反対側に位置する辺が正極43から突出している。正極43から突出した正極集電体43aは、帯状の正極端子47に電気的に接続されている。帯状の正極端子47の先端は、負極端子46とは反対側に位置し、外装材42の辺から外部に引き出されている。
図3および図4に示す非水電解質二次電池40を構成する各部材の材質、配合比、寸法等は、図1および図2において説明した非水電解質二次電池30の各構成部材と同様の構成である。
以上説明した本実施形態によれば、非水電解質二次電池を提供することができる。
本実施形態に係る非水電解質二次電池は、負極と、正極と、非水電解質と、セパレータと、外装材と、を具備する。正極は、リチウム電位基準で3V以上5V以下に充放電反応可能な中心部と、その中心部の表面を被覆し、リチウム電位基準で2.5V以上5V以下に充電のみ可能な表面部と、を有する正極活物質を含有する。負極は、シリコン酸化物およびスズ酸化物から選択される少なくともいずれか一方を含有する。これにより、本実施形態に係る非水電解質二次電池は、エネルギー密度に優れ長寿命である。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る電池パックについて詳細に説明する。
本実施形態に係る電池パックは、上記の第1の実施形態に係る非水電解質二次電池(即ち、単電池)を二次電池として少なくとも1つ有する。電池パックに複数の単電池が含まれる場合、各単電池は、電気的に直列、並列、あるいは、直列と並列に接続して配置される。
図5および図6を参照して、本実施形態に係る電池パック50を具体的に説明する。図6に示す電池パック50においては、単電池51として、図1に示す扁平型非水電解液電池30を使用している。
複数の単電池51は、外部に延出した負極端子36および正極端子37が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ52で締結することによって組電池53を構成している。これらの単電池51は、図5および図6に示すように、互いに電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板54は、負極端子36および正極端子37が延出する単電池51の側面と対向して配置されている。図5に示すように、プリント配線基板54には、サーミスタ55(図6を参照)、保護回路56および外部機器への通電用端子57が搭載されている。なお、組電池53と対向するプリント配線基板54の面には、組電池53の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
正極側リード58は、組電池53の最下層に位置する正極端子37に接続され、その先端はプリント配線基板54の正極側コネクタ59に挿入されて電気的に接続されている。負極側リード60は、組電池53の最上層に位置する負極端子36に接続され、その先端は、プリント配線基板54の負極側コネクタ61に挿入されて電気的に接続されている。これらの正極側コネクタ59、負極側コネクタ61は、プリント配線基板54に形成された配線62、63(図6を参照)を通じて保護回路56に接続されている。
サーミスタ55は、単電池51の温度を検出するために用いられ、図5においては図示を省略しているが、単電池51の近傍に設けられるとともに、その検出信号は保護回路56に送信される。保護回路56は、所定の条件で保護回路56と外部機器への通電用端子57との間のプラス側配線64aおよびマイナス側配線64bを遮断できる。ここで、上記の所定の条件とは、例えば、サーミスタ55の検出温度が所定温度以上になったときである。さらに、所定の条件とは、単電池51の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。このような過充電等の検出は、個々の単電池51もしくは単電池51全体について行われる。なお、個々の単電池51における過充電等を検出する場合には、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池51中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図5および図6の場合、単電池51それぞれに電圧検出のための配線65を接続し、これら配線65を通して検出信号が保護回路56に送信される。
図5に示すように、正極端子37および負極端子36が突出する側面を除く組電池53の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート66がそれぞれ配置されている。
組電池53は、各保護シート66およびプリント配線基板54とともに、収納容器67内に収納される。すなわち、収納容器67の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート66が配置され、短辺方向の保護シート66とは反対側の内側面にプリント配線基板54が配置される。組電池53は、保護シート66およびプリント配線基板54で囲まれた空間内に位置する。蓋68は、収納容器67の上面に取り付けられている。
なお、組電池53の固定には、粘着テープ52に代えて熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
ここで、図5、図6においては、単電池51を直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには、単電池51を並列に接続しても、または、直列接続と並列接続とを組み合わせた構成としてもよい。また、組み上がった電池パックを、さらに直列、並列に接続することも可能である。
以上説明した本実施形態によれば、電池パックを提供することができる。本実施形態に係る電池パックは、上記の第1の実施形態に係る非水電解質二次電池を少なくとも1つ具備する。
このような電池パックは、エネルギー密度に優れ長寿命である。
なお、電池パックの態様は用途により適宜変更される。本実施形態に係る電池パックの用途としては、大電流を取り出したときに優れたサイクル特性を示すことが要求されるものが好ましい。具体的には、デジタルカメラの電源用や、二輪もしくは四輪のハイブリッド電気自動車、二輪もしくは四輪の電気自動車、アシスト自転車等の車載用が挙げられる。特に、高温特性の優れた非水電解質二次電池を用いた電池パックは、車載用に好適に用いられる。
以下、実施例に基づいて上記の実施形態をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
「正極の作製」
正極活物質の中心部となるリチウムコバルトニッケルマンガン酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)粉末と、正極活物質の中心部となるリチウム銅酸化物(LiCuO)の前駆体となる水酸化リチウムおよび硫酸銅とを、それぞれ所定のモル比になるように混合した。
次いで、水にこの混合物を溶解し、この混合物の濃度が10質量%の水溶液を調製した。正極活物質におけるリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物とリチウム銅酸化物の含有率が80質量%:20質量%となるように、この水溶液における、リチウムコバルトニッケルマンガン酸化物、水酸化リチウムおよび硫酸銅の含有量を調整した。
次いで、転動流動装置を用いて、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物の表面にリチウム銅酸化物の前駆体(水酸化リチウムおよび硫酸銅)を被覆した粉末を得た。
次いで、得られた粉末を750℃にて1日熱処理することにより、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物からなる中心部と、その中心部の表面を被覆し、リチウム銅酸化物からなる表面部とを有する正極活物質を得た。
得られた正極活物質を粉末X線回折測定により分析した結果、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物とリチウム銅酸化物の二相が確認された。
また、正極活物質を走査型電子顕微鏡(SEM)による3000倍での観測と、エネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いた元素分析とを組み合わせた分析の結果、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物の表面におけるリチウム銅酸化物の非被覆率は12%であった。
得られた正極活物質と、アセチレンブラック5質量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に加えて混合し、スラリーを調製した。
次いで、このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔(集電体)上に塗布し、乾燥した。その後、プレスすることにより密度3.2g/cmの正極活物質層を有する正極を作製した。
「負極の作製」
シリコン酸化物粉末(SiO)80質量%と、ハードカーボン粉末10質量%と、ポリイミド(PI)10質量%とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に加えて混合し、スラリーを調製した。
次いで、このスラリーを厚さ10μmのステンレス箔(集電体)上に塗布し、乾燥した。その後、不活性雰囲気下にて400℃にて6時間熱処理することにより、負極を作製した。
「電極群の作製」
上記の正極と、厚さ20μmのポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータと、上記の負極と、セパレータとを、この順序で積層し、積層体を作製した。
次いで、この積層体を、負極が最外周に位置するように渦巻き状に捲回して電極群を作製した。
次いで、この電極群を90℃にて加熱プレスすることにより、幅58mm、高さ95mm、厚さ3.0mmの偏平状電極群を作製した。
得られた電極群を、厚さが40μmのアルミニウム箔と、そのアルミニウム箔の両面に形成されたポリプロピレン層とで構成された、厚さが0.1mmのラミネートフィルムからなる外装材に収容し、80℃にて24時間真空乾燥した。
「非水電解液の調製」
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比で1:2になるように混合して、混合溶媒を調製した。この混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.0モル/L溶解して、非水電解液を調製した。
「非水電解質二次電の作製」
上記の電極群および上記の非水電解液を用いて、仮封止二次電池を作製した。
この仮封止二次電池を、0.1Cレート、30℃にて、4.3Vで充電し、その後25℃にて12時間貯蔵した。
その後、外装材を開封部において開封し、電池内のガスを排出した。
その後、第2封止部をヒートシールした後、その外側を切断した。
再度、25℃にて、4.3Vで充電し、その後2Vに達するまで0.2Cレートで放電し、放電容量を確認した。
同様の手順で作製した実施例1の非水電解質二次電池を2V放電状態に調整し、不活性雰囲気下(Ar環境下、露点−50℃)にて電池を解体し、正極を取り出した。
アルミニウム箔から正極活物質層を剥ぎ取り、不活性雰囲気を保つように粉末X線回折測定ならびにRietveld解析を行った。その結果、リチウムコバルトニッケルマンガン酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)に帰属される相1と、銅酸化物(CuO)に帰属される相2と、リチウム銅酸化物(LiCuO)に帰属される相3とが確認された。これらの相のモル比を調査した結果、相1:相2:相3=0.77:0.05:0.28であった。従って、正極活物質の中心部を1としたとき、正極活物質の中心部に対する正極活物質の表面部のモル比は0.429と算出された。また、リチウム銅酸化物(LiCuO)を1としたとき、リチウム銅酸化物(LiCuO)に対する銅酸化物(CuO)のモル比は5.6と算出された。
<実施例2〜実施例15>
正極活物質層において、表1に示す組成となるように、組成比率や充放電条件を適宜変更した以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。
<比較例>
リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)粉末と、リチウム銅酸化物(LiCuO)とを、配合比が80質量%:20質量%になるように、ヘンシェルミキサーで30分混合したものを正極活物質として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。
「電気化学特性の評価」
実施例1〜実施例15および比較例について、設計容量に対する実際に得られた容量比、並びに、作製した電池をSOC100%状態にて45℃、1か月間貯蔵した際の電池の厚さ変化について測定した。結果を表2に示す。
Figure 2017168323
Figure 2017168323
表1、2の結果から、実施例1〜実施例15の電池はほぼ所定の容量が得られたものの、比較例の電池は設計容量の85%の容量しか得られなかった。また、電池を貯蔵した後の厚さ変化については、実施例1〜実施例15については膨れがほとんどなかったのに対し、比較例については35%の膨れが観測された。
以上の結果から、実施形態の非水電解質二次電池は、リチウム電位基準で3V以上5V以下に充放電反応可能な中心部と、該中心部の表面を被覆し、リチウム電位基準で2.5V以上5V以下に充電のみ可能な表面部と、を有する正極活物質を含有する正極と、シリコン酸化物およびスズ酸化物から選択される少なくともいずれか一方を含有する負極と、を備えることにより、初回充電時の段階で、効率調整材が遅延することなく充電反応を完了させることができ、以後のガス発生による電池膨れを抑制できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
30・・・非水電解質二次電池、31・・・捲回電極群、32・・・外装材、33・・・負極、34・・・セパレータ、35・・・正極、36・・・負極端子、37・・・正極端子、40・・・非水電解質二次電池、41・・・積層型電極群、42・・・外装材、43・・・正極、43a・・・正極集電体、44・・・負極、44a・・・負極集電体、45・・・セパレータ、46・・・負極端子、47・・・正極端子、50・・・電池パック、51・・・単電池、52・・・粘着テープ、53・・・組電池、54・・・プリント配線基板、55・・・サーミスタ、56・・・保護回路、57・・・通電用端子、58・・・正極側リード、59・・・正極側コネクタ、60・・・負極側リード、61・・・負極側コネクタ、62・・・配線、63・・・配線、64a・・・プラス側配線、64b・・・マイナス側配線、65・・・配線、66・・・保護シート、67・・・収納容器、68・・・蓋。

Claims (6)

  1. 正極と、負極と、を備え、
    前記正極は、リチウム電位基準で3V以上5V以下に充放電反応可能な中心部と、該中心部の表面を被覆し、リチウム電位基準で2.5V以上5V以下に充電のみ可能な表面部と、を有する正極活物質を含有し、
    前記負極は、シリコン酸化物およびスズ酸化物から選択される少なくともいずれか一方を含有する非水電解質二次電池。
  2. 前記中心部は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムコバルトニッケルマンガン酸化物(LiNiMnCo(但し、x+y+z=1))、リチウムマンガン酸化物(LiMn)およびリチウムリン酸鉄(LiFePO)からなる群から選択される少なくとも1種からなり、
    前記表面部は、リチウム銅酸化物(LiCuO)、リチウム銅複合酸化物(LiNiCuy−1(但し、0<y<1))、リチウム鉄酸化物(LiFeO)およびリチウムマンガン酸化物(LiMnO)からなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記中心部を1としたとき、前記中心部に対する前記表面部のモル比は、0.05以上1以下である請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記中心部の表面における前記表面部の非被覆率は、5%以上50%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池を1以上備える電池パック。
  6. 保護回路と、外部機器との通電用端子と、を有する請求項5に記載の電池パック。
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