JP2017167493A - 構造色発現材料及びセンサ - Google Patents

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【課題】より簡便な構造で、安定的に構造色を発現することのできる構造色発現材料及びセンサを提供する。【解決手段】本発明に係る構造色発現材料は、糖酸分子が結合した多数の板状構造体を含む層状構造体を備えることを特徴とする。本発明に係る構造色発現材料は、前記板状構造体の間に水素結合性化合物を有することを特徴とする。本発明に係る構造色発現材料は、前記水素結合性化合物の濃度によって発現する構造色の色が異なることを特徴とする。本発明に係るセンサは、糖酸分子が結合した多数の板状構造体を含む層状構造体を備えた構造色発現材料を有し、前記板状構造体間の水素結合性化合物の量に応じて構造色を異ならせることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、構造色発現材料及びセンサに関する。
構造色は、高度に規則的な幾何学的構造による可視光の干渉による着色現象であり、オパールなどの宝石や昆虫の羽の着色など天然物や生物の着色現象と深く関わっていることが知られている。
このような着色のメカニズムを合成された有機高分子粒子や無機粒子の集積化により形成された構造で実現し応用する研究が近年注目を集めている。特に、シリカコロイド粒子が自発的に形成するコロイド結晶の構造色が代表的なものとして知られている。
基本的に粒子径の完全に揃った単分散球状粒子が細密充填した構造が示す構造色が広く研究されている。
このような構造色を人工的に作り出すためには粒子径と形態のコントロールされた高度な微粒子合成技術と、単分散微粒子の規則的な集積化の技術が必須である。
これらの高度な合成技術を用いて調整された単分散球状粒子の三次元規則的集積構造は、近年フォトニック結晶としても大きな注目を集めており、様々な光学的機能の発言に関心が集まっている。
そして、光通信及び処理技術への応用展開が今後期待されている技術分野ともなっている。また、有機系及び無機系の色素を着色に用いる場合、耐光性や経年劣化の問題そして人体への毒性など問題となる点もあるが、構造色では色素を一切用いる必要がないためこれらの問題点の少ない環境適合性と耐久性を備えた着色手法となることが期待されている。このような観点から、色素を用いない着色という特徴により、整体関連材料への着色などの手法としての検討も進んでいる。例えば、コンタクトレンズの着色手法などの例も報告されるようになってきている。このように、単分散球状粒子を用いた構造色発現系については合成や規則的な集積構造形成の困難さがあるが、様々な応用の可能性を秘めていることから現在も多くの研究が進められている。
通常、色素分子による着色を変化させる場合、分子の構造を大きく変えることもあるが、pH変化や酸化還元反応などの簡便な操作により分子の電子状態を変化させるのみで発色を変化させることが可能である。これに対して、構造色の発色を変化させるためには、構造の構成単位である粒子の粒子径を変化させた後、規則的集積構造を再度構築する必要がある。この点についてより詳しく検討することで、色素分子を用いた着色と比べて粒子の規則的集積構造を用いて構造色を発現させる場合、次の二つの点で解決すべき問題点があることがわかる。
(問題点1)
単分散粒子の規則的集積構造を用いた構造色発現系では、可視光の波長と同じ400nm〜800nm程度の直径の粒子の揃った単分散粒子特に球状粒子が構造の構成単位となる。したがって、着色の波長を制御するためには球状粒子の粒子径を変える必要がある。そのためには、球状粒子の合成の段階からやり直す必要がある。
(問題点2)
構造色を発現させるためには、粒子を高度な規則性のある状態で配列させる必要がある。そのためには海面潮力などを利用して非常にゆっくりと粒子を集積させるなど時間をかけて集積構造を形成させる必要がある。また、集積構造の状態により発色が影響を受けるという問題がある。
通常の着色に用いられる色素分子では、分子の構造や電子状態の変化のみで発色を変化させられるのに対して、構造色では、発色の基礎となる球状粒子の粒子径とその集積構造の両方を厳密に制御する必要があることから色素を用いる場合と比べて発色材料を得るために多くの厳密に制御された工程が必要となり、コストなどの点でも改善すべき問題を有していると言える。このように構造色は作製に手間がかかる問題があるが、色素による着色にない高い耐久性や整体適合性などを有しており今後の応用の進展が求められている材料系である。
以上、本発明は、上記課題に鑑み、より簡便な構造で、安定的に構造色を発現することのできる構造色発現材料及びセンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決する一観点に係る構造色発現材料は、糖酸分子が結合した多数の板状構造体を含む層状構造体を備えたものである。
また、本発明の他の一観点に係るセンサは、糖酸分子が結合した多数の板状構造体を含む層状構造体を備えた構造色発現材料を有し、板状構造体間の水素結合性化合物の量に応じて構造色を異ならせるものである。
以上、本発明によって、より簡便な構造で、安定的に構造色を発現することのできる構造色発現材料及びセンサを提供することができる。
実施形態に係る構造色発現材料の板状構造体のイメージを示す図である。 実施形態に係る構造色発現材料の板状構造体が溶媒を介して相互作用する場合のイメージを示す図である。 実施形態に係る構造色発現材料が構造色を発する場合のイメージを示す図である。 実施例において得られた粉体のXRDパターンを示す図である。 実施例において得られた粉体のラマンスペクトル 実施例において加えたD−グルコン酸水溶液の濃度が0.05M、1Mの場合において得られた粉体のFT−IRスペクトルを示す図である。 実施例において加えたD−グルコン酸水溶液の濃度が0.05M、0.1M、1Mの場合において得られた粉体のTG−DTA曲線を示す図である。 ゲルを経て再びシート状となるサイクルを示す図である。 実施例における膨潤ゲルの膨らみに関する写真図である。 実施例におけるゾル化乾燥の繰り返しにおけるUV−Vis透過率スペクトルである。 実施例におけるゲルを液体窒素で凍結乾燥したSEM像である。 グルコン酸複合化層状チタン酸のゾルの写真図である。 実施例にかかるゲルの透過率スペクトルである。 実施例にかかるゲルを乾燥させて粉砕したもののSEM像である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例の例示に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る構造色発現材料(以下「本材料」という。)の層状構造体のイメージを示す図であり、図2は、本材料において複数の板状構造体が溶媒を介して相互作用する場合のイメージを示す図である。さらに図3は、本材料が呈する色の波長の変化のイメージを示す図である。
これらの図で示すように、本材料は、糖酸分子3が結合した多数の板状構造体を備えており、多数の板状構造体を含んで層状構造体4となっている。
また本材料において、板状構造体2は、上記のとおり板状のものである。板状とすることにより、複数の板状構造体2が一方向に積層して層を形成することが可能となり、この板状構造体の間隔を揃えることで、層状構造体として、いわゆるブラッグ反射による構造色の発現を可能とする。しかも本材料では、後述するように、この板状構造体同士の距離を制御することが可能であるため、本材料が呈する色の波長を変化させることが可能となる。
本材料1における板状構造体の厚さとしては、構造色を呈することができる程度の層間隔を維持することができる限りにおいて限定されない。例えば、可視領域の構造色を呈することができるためには、厚さとして、例えば0.001μm以上1μm以下であることが好ましい。
また本材料において、板状構造体の材質としては、板状とすることができる限りにおいて限定されるわけではないが、無機ナノシートであることが好ましく、無機ナノシートのより具体的な例としては、例えば板状チタン酸化合物であることが好ましい。チタン酸化合物を用いることで、糖酸分子を付しやすくなるとともに、容易に多数の板状構造体の積層した積層状構造体とすることができる。
また本材料において、糖酸分子は、上記板状構造体の表面に結合することができるものであって、溶媒に対して親和性を備える部位(溶媒親和性部位)と、板状構造体の表面に親和性を備える部位(構造体親和性部位)とを有する。このようにすることで、一方は板状構造体表面に結合可能であり、他方で溶媒に対して結合が可能であり、この両結合によって層間距離を制御することが可能となる。なおここで、溶媒親和性部位としては、この機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、例えばプロトン性溶媒に対して親和性を備えた糖鎖であることが好ましい。またここで、構造体親和性部位としては、構造体に化学的に結合できる極性ある酸部位、具体的にはカルボキシ基であることが好ましい。また本材料において糖酸分子3は、板状構造体2各々の表面全体を覆っている。
また本材料において、糖酸分子の具体的な例としては、限定されるわけではないが、グルコン酸、ガラクトン酸、マンノン酸等のアルドン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸等のウロン酸を例示することができるが、アルドン酸、具体的にはグルコン酸であることがより簡便な構成であり好ましい。
また、本材料は、多数の板状構造体2の間に水素結合性化合物4を含ませており、水素結合性化合物の量によって発現する構造色の色を異ならせることができる。ここで、水素結合性化合物とは、水酸基等の水素結合性の官能基を備えた化合物であって、限定されるわけではないが例えば水、アルコール等を例示することができ、アルコール等の場合、メタノール、エタノール、プロパノール、グリコール、グリセリン等を例示することができる。また水の場合、非常に簡便に乾燥、湿潤が可能であるため好ましく、更にアルコール等を含ませることで、色の発色、制御をより効率的に行わせることができる観点から好ましい。
以上、本材料は、より簡便な構造で、安定的に構造色を発現することのできる構造色発現材料となっている。
また本材料は、上記図で示すように、板状構造体間の水素結合性化合物の量によって層間距離が異なり、この水素結合性化合物の量を制御することで層間距離を制御することが可能である。そして、この層間距離に応じて反射する波長が異なるため、反射する波長すなわち本材料が呈する色を制御することができる。よってこの水素結合性化合物の量を検出するセンサとしての用途がある。
また他の別の観点から表現すると、本材料は、シート状の二次元的広がりを有する形態を取りやすい層状チタン酸粒子に着目したものであって、層状チタン酸の板状構造体が等間隔に規則的に積層させ光の干渉による構造色を発現する層状構造体を簡便な方法で自発的に形成させる技術である。特に、従来の単分散球状粒子による構造色発現系では三次元空間内での規則的配列構造の形成が重要であるが、本材料での板状構造体の配列では、基本的に一次元的な積層構造を決める積層感覚を制御するのみで良いので、構造色発現に関わる構造制御が著しく簡便に行えるという特徴を有している。板状粒子の一次元的積層構造の制御は簡単に見えるが自発的に等間隔の積層構造を形成する技術は現在までにほとんど報告されていない。
本材料では、上記好ましい一例として層状チタン酸を用い、その表面に例えばグルコン酸を結合させたグルコン酸複合化層状チタン酸粒子を調整することで、板状構造体の規則的な積層構造を自発的に形成することが可能である。ここでグルコン酸は、グルコースを酸化して生成する分子であり、金属イオンに配位するカルボキシル基と高い親和性を有するグルコース由来の水酸基からなる複合機能分子である。このグルコン酸は、カルボキシル基がチタンイオンに配位することで層状チタン酸の板状粒子表面に結合させることができる。そして、グルコン酸分子と水分子の水素結合により層状チタン酸粒子が水中に安定に分散したゾルを得ることができる。さらに、グルコン酸と複合化された層状チタン酸粒子同士も水素結合により会合構造を形成することができる。
また、本材料1は、上記の構造を得ることができる限りにおいて様々な方法を採用することができるが、たとえば、(1)板状構造体を形成し、(2)この板状構造体表面に糖酸分子を結合させることで、多数の板状構造体を含む層状構造体を備えた構造触発現材料を得ることができる。
また、本材料1において、上記したように、層状チタン酸を用い、その表面にグルコン酸を結合させたグルコン酸複合化層状チタン酸粒子を得る例においては、チタンテトライソプロポキシド(TIP)溶液とグルコン酸水溶液を加えて乾燥させることで得ることができる。この詳細については、後述の実施例から明らかとなる。
以上、本材料は、より簡便な構造で、安定的に構造色を発現することのできる構造色発現材料となっている。
ここで、実際に構造色発現材料の作製を行い、その効果について確認を行った。以下具体的に説明する。
(合成)
まず、チタンテトライソプロポキシド(TIP)0.01molと、エチレングリコール(EG)50mLを混合し、更にD−グルコン酸水溶液50mLを加え、TIP−EG+グルコン酸複合体溶液を調整した。なおD−グルコン酸水溶液の濃度は0〜1M(0M、0.05M、0.1M、0.2M、0.5M、1M)に調整し、合計6種のTIP−EG+グルコン酸複合体溶液を調整した。
その後、それぞれ95℃24時間静置し、チタン化合物ナノ粒子分散ゾル(溶媒:EG+HO)を得た。
そして、このゾルに対し、セルロースチューブに入れ水中で透析し、EGをHOに置換し、チタン酸化合物ナノ粒子分散ゾル(溶媒:HO)を得た。そして、75℃で12時間乾燥させ、チタン酸化合物シート状乾燥体を得た。なおこの乾燥体に対しては、粉砕を行い粉体としたのち、各種の分析を行った。
まず、図4に、得られた粉体のXRDパターンを示す。
本図で示すように、D−グルコン酸水溶液を加えていない(0M)の場合は、アナターゼ型のTiOのピークが確認されているが、0.1M以上D−グルコン酸水溶液を加えた粉末においては、層状チタン酸によるピークを確認することができた。
また図5に、得られた粉体のラマンスペクトルについて示す。
本図で示すように、250〜300cm−1、400〜500cm−1、600〜700cm−1、のそれぞれ近傍において、層状チタン酸様構造に起因すると思われるピークを確認することができた。
また図6に、加えたD−グルコン酸水溶液の濃度が0.05M、1Mの場合において得られた粉体のFT−IRスペクトルについて示す。
本図で示すように、C−O、C−H、COOの吸収ピークを確認することができ、チタン酸が存在していることを確認できた。
また図7に、加えたD−グルコン酸水溶液の濃度が0.05M、0.1M、1Mの場合において得られた粉体のTG−DTA曲線について示す。
本図で示すように、いずれの場合も200〜350℃程度において未反応アルコキシドの分解及び加水分解生成物の脱水が起こり、350〜550℃程度の範囲内で配位したグルコン酸の分解と思われる変化を確認した。
以上の結果から、上記得られた化合物は、板状の構造を備えているグルコン酸と複合化した層状のチタン酸であることを確認した。
(シート乾燥体)
次に、D−グルコン酸水溶液の濃度を1Mとした粉体に水を加えてゾルとし、水を乾燥させた後、シート状になった乾燥体(グルコン酸複合化層状チタン酸シート状乾燥体)を得た(厚さ0.3mm)。
そして、これに水を添加したところ、水を含んで吸収し、膨潤ゲルとなり、色を呈し、厚み10倍程度(厚さ3.45mm)まで膨潤した。
なお、更に水を加え続けると、グルコン酸複合化層状チタン酸粒子が分散したゾルとなった。
すなわち、グルコン酸複合化層状チタン酸シート状乾燥体は、水を加え、乾燥させることにより、シート状から膨潤状態、ゲルを経て再びシート状となるサイクルを繰り返すことができる。このサイクルの写真図を図8に示す。なお、もちろん、シート状と膨潤状態の往復も可能であった。
またここで、シート状乾燥体を方眼紙上に配置し、シート状乾燥体の周囲を黒色で明示した後、水を含ませてその膨潤方向について確認した。この結果、膨潤ゲルはほぼ厚み方向に膨らむのみで、横方向には広がらず、ほぼ同じ平面形状を確保できていることが確認できた。この写真図を図9に示しておく。
(繰り返し特性)
ここで、グルコン酸複合化層状チタン酸シート状乾燥体の繰り返し特性について確認を行った。具体的には、グルコン酸複合化層状チタン酸シート状乾燥体に水100mlを添加し、完全にグルコン酸複合化層状チタン酸シート状乾燥体が分散するまで静置して分散ゾルとし、UV−Vis透過率スペクトルを測定した後、再び乾燥させてグルコン酸複合化層状チタン酸シート状乾燥体とする工程を複数回繰り返した。このゾル化、乾燥の繰り返しにおけるUV−Vis透過率スペクトルを図10に示しておく。また本図中において、10回目の分散ゾル及びその乾燥体の写真図も示しておく。
(構造の確認)
ここで、上記方法と同様の方法で作製したグルコン酸複合化層状チタン酸シート状乾燥体に対し、乾燥させた状態又は膨潤させた状態における構造の確認を行った。具体的には、グルコン酸複合化層状チタン酸シート状乾燥体の質量を1とした場合における水の質量比を0〜15に調整したもの(ゲル)を液体窒素で凍結乾燥し、そのSEM像を得た。この結果を図11に示す。
本図の結果によると、質量比0の場合、層状構造体はほぼ見ることができていないものの、質量比3〜15においては、水の質量比が増加すると多数の板状構造体すなわち層状構造体となっており、しかもその層間距離が増加していることを確認した。またこれら層状構造体は高アスペクト比を有する板状構造体がラメラ状の集積構造を形成していることを確認した。グルコン酸複合化層状チタン酸は、界面活性剤などのテンプレートを一切用いることなく、このようなラメラ構造を形成することができる。これは、溶液中のグルコン酸の会合構造を反映していると考えられる。このような二次元的広がりの大きな形態は構造色発現のための規則的な積層構造形成に有利である。
(色制御)
またここで、色の制御について確認を行った。具体的には、グルコン酸複合化層状チタン酸シート状乾燥体に上記用いた水を加えたゾルに、さらにグリセリンを加える量を変化させてその色の制御変化を確認した。まず、図12に、このグルコン酸複合化層状チタン酸のゾルの写真図を示しておく。なおここでは、グルコン酸複合化層状チタン酸ゾルの質量とグリセリン質量の割合を1/10、1/13、1/17、1/20とした場合の例について示しておく。1/20の状態ではゾルは青みがかった色である一方、徐々に変化し、1/13では赤みがかった色に変化し、1/10程度では無色に近くなった。これは板状構造体間の距離が徐々に変化することにより生じた構造色の変化であると考えられる。
また図13に、このゲルの透過率スペクトルについて示す。本図で示すように、グリセリンの量に応じて透過率スペクトルが変化していることが確認でき、400nmから800nmの範囲で発色を制御することが可能であることを確認した。
またこのゲルを乾燥させたものを粉砕し、そのSEM像を得た。図14に示しておく。なお本図は、上記1/20の青色を呈したゾルと、1/13の赤色を呈したゾルをそれぞれ200℃で1時間又は1.5時間乾燥させた乾燥物を粉砕させた後のSEM像である。上は1/20(青)のゾルのSEM像であり、下は1/13(赤)のゾルのSEM像である。
本図においても、ラメラ状の集積構造を確認でき、若干ではあるが1/13の方が層間距離が大きくなっている様子が確認できた。以上、これらの結果により、グリセリン等の水素結合性化合物を含ませることで、層間距離をより効率的に所望の範囲に調整することができることを確認した。
以上、本実施例により、より簡便な構造で、安定的に構造色を発現することのできる構造色発現材料の効果について確認できた。
本発明は、構造色発現材料及びこれを用いたセンサとして産業上の利用可能性がある。

Claims (7)

  1. 糖酸分子が結合した多数の板状構造体を含む層状構造体を備えた構造色発現材料。
  2. 前記板状構造体の間に水素結合性化合物を有する請求項1記載の構造色発現材料。
  3. 前記水素結合性化合物の濃度によって発現する構造色の色が異なる請求項1記載の構造色発現材料。
  4. 前記糖酸分子は、グルコン酸である請求項1記載の構造色発現材料。
  5. 前記層状構造体は、無機ナノシートである請求項1記載の構造色発現材料。
  6. 前記層状構造体は、層状チタン酸化合物である請求項1記載の構造色発現材料。
  7. 糖酸分子が結合した多数の板状構造体を含む層状構造体を備えた構造色発現材料を有し、前記板状構造体間の水素結合性化合物の量に応じて構造色を異ならせるセンサ。

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