JP2017166682A - Ea材の取付構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】取付孔2に取付クリップ3を内嵌し、該クリップ3に固定ロッド41を挿通して先端部をかしめることにより、EA材1を相手部材4に固定する取付構造において、上記クリップ3にタッピング式のネジ山33を形成し、該クリップ3を取付孔2にねじ込んで螺着させる。【効果】容易かつ確実に取付クリップを取付孔に取り付けることができると共に、確実かつ安定的に取付クリップを取付孔に固定することができ、搬送時や相手部材への組み付け時に取付クリップが脱落することなく、安定的かつ確実にEA材の組み付け作業を行なうことができる。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば自動車のドアトリムなどに、衝突時の衝撃エネルギーを吸収するためのEA材を取り付ける際に好適に採用されるEAの取付構造に関する。
自動車のドアトリムなどには、衝突時の衝撃エネルギーを吸収するため、硬質ポリウレタンフォーム等からなるEA(Energy Absorption)材が取り付けられている。従来、EA材の取り付けは、硬質ポリウレタンフォームに設けられた取付孔に筒状の取付クリップを取り付け、相手部材のドアトリムに突設された固定ロッドをこの取付クリップに挿通させ、該取付クリップから突出した固定ロッドの先端部にカシメ加工を施し、これを複数個所で行なうことにより、行なわれている。
この場合、上記取付クリップは、(1)EA材の発泡成形時にインサート成形により一体成形する方法や、(2)EA材を発泡成形した後、手作業又は取付機により取付孔に嵌合させる方法(例えば、特開2009−236319号公報)により、EA材に取り付けられる。そして、この取付クリップが取り付けられたEA材を組み付け工場へと搬送し、上記ドアトリムなどの相手部材に上記のようにして取り付けることが行なわれている。
しかしながら、上記(1)のインサート成形による取付クリップの取り付けは、成形金型のキャビティー内へのセットを手作業で行う必要があり、成形工程に専用の人員を配置しなければならない。この場合、ドアトリムへのEA材の取り付けは、少なくとも3〜4カ所、又はそれ以上の固定点が設けられるので、取付クリップのセットも1つのキャビティーに対して3〜4個以上のクリップをセットしなければならず、その作業は煩雑であるばかりでなく、更に複数のキャビティーで一時に複数の発泡成形を行なうのが量産化では一般的であることから、専用人員の配置は発泡成形工程における労務費を著しく上昇させることになる。
一方、上記(2)の方法では、発泡成形後に取付クリップを取り付ける作業は容易であり、また取付機による自動化も可能なため、(1)の方法に比べて製造コストを大幅に削減することができるが、取付クリップが単に取付孔に挿し込まれているだけであるため、組み付け工場への搬送中に、取付クリップが外れてしまったり、組み付け時に固定ロッドを挿通させる際、固定ロッドにより取付クリップが簡単に押し出されて外れてしまうことがあり、組み付け作業をスムーズに行うことできない場合がある。この問題を効果的に解消するには接着剤を用いて取付クリップをEA材の取付孔に接着固定すればよいが、接着剤の材料費が加算され、また塗布に手間や人員が必要となり、製造コストを引き上げることになる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、EA材の取付孔に筒状本体を有する取付クリップを内嵌させて取り付け、この取付クリップにドアトリムなどの相手部材に突設された固定ロッドを挿し通し、該取付クリップから突出した該固定ロッドの先端部をかしめることにより、EA材を相手部材に固定するEA材の取付構造において、比較的容易な作業でコスト増加を招くことなく取付クリップを確実にEA材の取付孔に取り付けることができ、しかも該取付孔から容易に脱離することなく確実かつ安定的に取付クリップを固定することができ、搬送時や相手部材への組み付け時に取付クリップが脱落することなく、安定的かつ確実にEA材の組み付け作業を行なうことができるEA材の取付構造を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため、下記[1]〜[6]のEA材の取付構造を提供する。
[1]EA材(エネルギー吸収材)の取付孔に筒状本体を有する取付クリップを内嵌させて取り付け、この取付クリップに相手部材に突設された固定ロッドを挿し通し、該取付クリップから突出した該固定ロッドの先端部をかしめることにより、EA材を相手部材に固定するEA材の取付構造において、
上記取付クリップが、外周面にタッピング式のネジ山が形成された円筒状の筒状本体と、該筒状本体の上端に設けられたフランジ部とからなり、該取付クリップが上記EA材の取付孔にねじ込まれて螺着していることを特徴とするEA材の取付構造。
[2]上記取付クリップの上記ネジ山が、上記筒状本体の先端側の始点から漸次高さと幅が大きくなる切込み部を有する[1]のEA材の取付構造。
[3]上記ネジ山の切込み部が、上記筒状本体の先端側の始点から周方向に90°〜270°の角度範囲に形成されている[1]又は[2]のEA材の取付構造。
[4]取付クリップの山径(mm)をmd、取付孔の孔径(mm)をhdとしたとき、md−hdが2〜3.5mmである[1]〜[3]のいずれか1項に記載のEA材の取付構造。
[5]取付クリップの山径(mm)をmd、取付クリップの谷径(mm)をvd、md−vdで算出されるネジ山高さをh、取付孔の孔径(mm)をhdとしたとき、(md−hd)/hが1〜1.4未満である[1]〜[4]のいずれか1項に記載のEA材の取付構造。
[6]EA材の硬度が、JIS K7220の50%圧縮応力試験で、2.5〜14kgf/cm2である[1]〜[5]のいずれか1項に記載のEA材の取付構造。
[7]上記固定ロッドが熱可塑性樹脂で形成されており、上記取付クリップから突出した該固定ロッドの先端部が、加熱により軟化変形させるカシメ加工によってかしめられている[1]〜[6]のいずれかのEA材の取付構造。
[8]上記取付クリップと上記固定ロッドとが、互いに熱接着可能な熱可塑性樹脂で形成されており、上記加熱により軟化変形させるカシメ加工の際に互いに熱接着したものである[7]のEA材の取付構造。
[9]上記取付クリップと上記固定ロッドとが、いずれもポリプロピレンにより形成されたものである[7]又は[8]のEA材の取付構造。
[1]EA材(エネルギー吸収材)の取付孔に筒状本体を有する取付クリップを内嵌させて取り付け、この取付クリップに相手部材に突設された固定ロッドを挿し通し、該取付クリップから突出した該固定ロッドの先端部をかしめることにより、EA材を相手部材に固定するEA材の取付構造において、
上記取付クリップが、外周面にタッピング式のネジ山が形成された円筒状の筒状本体と、該筒状本体の上端に設けられたフランジ部とからなり、該取付クリップが上記EA材の取付孔にねじ込まれて螺着していることを特徴とするEA材の取付構造。
[2]上記取付クリップの上記ネジ山が、上記筒状本体の先端側の始点から漸次高さと幅が大きくなる切込み部を有する[1]のEA材の取付構造。
[3]上記ネジ山の切込み部が、上記筒状本体の先端側の始点から周方向に90°〜270°の角度範囲に形成されている[1]又は[2]のEA材の取付構造。
[4]取付クリップの山径(mm)をmd、取付孔の孔径(mm)をhdとしたとき、md−hdが2〜3.5mmである[1]〜[3]のいずれか1項に記載のEA材の取付構造。
[5]取付クリップの山径(mm)をmd、取付クリップの谷径(mm)をvd、md−vdで算出されるネジ山高さをh、取付孔の孔径(mm)をhdとしたとき、(md−hd)/hが1〜1.4未満である[1]〜[4]のいずれか1項に記載のEA材の取付構造。
[6]EA材の硬度が、JIS K7220の50%圧縮応力試験で、2.5〜14kgf/cm2である[1]〜[5]のいずれか1項に記載のEA材の取付構造。
[7]上記固定ロッドが熱可塑性樹脂で形成されており、上記取付クリップから突出した該固定ロッドの先端部が、加熱により軟化変形させるカシメ加工によってかしめられている[1]〜[6]のいずれかのEA材の取付構造。
[8]上記取付クリップと上記固定ロッドとが、互いに熱接着可能な熱可塑性樹脂で形成されており、上記加熱により軟化変形させるカシメ加工の際に互いに熱接着したものである[7]のEA材の取付構造。
[9]上記取付クリップと上記固定ロッドとが、いずれもポリプロピレンにより形成されたものである[7]又は[8]のEA材の取付構造。
即ち、本発明によれば、取付クリップの筒状本体外周面にネジ山が形成され、この取付クリップをEA材の取付孔にねじ込んで螺着させるように構成されているため、取付クリップが容易にEA材の取付孔から脱落することがなく、安定的かつ確実にEA材の組み付け作業を行なうことができる。しかも、取付クリップに設けられたネジ山はタッピング式のものであるため、取付クリップの取付作業は単にEA材の取付孔に該クリップをねじ込むだけの簡単なもので必要に応じて取付機による自動化も可能であり、該取付孔にクリップの筒状本体を嵌入させる従来の取付作業からとりわけ煩雑なものとなることはなく、コスト増加を招くこともない。
本発明の取付構造によれば、比較的容易な作業でコスト増加を招くことなく取付クリップを確実にEA材の取付孔に取り付けることができると共に、該取付孔から容易に脱離することなく確実かつ安定的に取付クリップを固定することができ、搬送時や相手部材への組み付け時に取付クリップが脱落することなく、安定的かつ確実にEA材の組み付け作業を行なうことができる。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施例にかかるEA材の取付構造を示すものであり、硬質ポリウレタンフォームからなるEA材1の取付孔2に取付クリップ3を内嵌させて取り付け、この取付クリップ3にドアトリム(相手部材)4に突設された固定ロッド41を挿し通し、該取付クリップ3から突出した該固定ロッド41の先端部42をかしめることにより、EA材1をドアトリム(相手部材)4に固定したものである。なお、図では1カ所しか示していないが、通常はEA材1の形状や大きさなどに応じて同様の取付構造が複数個所に設定され、少なくとも3カ所以上で同様の取付構造が設定されるのが一般的である。
図1は、本発明の一実施例にかかるEA材の取付構造を示すものであり、硬質ポリウレタンフォームからなるEA材1の取付孔2に取付クリップ3を内嵌させて取り付け、この取付クリップ3にドアトリム(相手部材)4に突設された固定ロッド41を挿し通し、該取付クリップ3から突出した該固定ロッド41の先端部42をかしめることにより、EA材1をドアトリム(相手部材)4に固定したものである。なお、図では1カ所しか示していないが、通常はEA材1の形状や大きさなどに応じて同様の取付構造が複数個所に設定され、少なくとも3カ所以上で同様の取付構造が設定されるのが一般的である。
上記取付クリップ3は、図4に示したように、円筒状の筒状本体31の上端に鍔状のフランジ部32を一体に形成したものであり、図1のとおり、上記筒状本体31が上記EA材の取付孔2に内嵌すると共に、上記フランジ部32が該取付孔2の周縁部を覆った状態で、該取付孔2に取り付けられている。
図4のとおり、上記取付クリップ3の上記筒状本体31の外周面には、先端部から軸方向中間部やや上方に亘って筒状本体31を2.5周(角度で900°)するタッピング式のネジ山33が形成され、この筒状本体31がタッピングスクリューとなっている。一方、上記フランジ部32は上記筒状本体32の上端外周縁部から外方へと鍔状に突出した円形リング板状のものであり、その上面には取付作業時に工具を係合させるための工具係合溝321,321が形成されている。
ここで、上記ネジ山33は、上記のようにタッピング式のネジ山であり、上記筒状本体31の先端側の始点から角度180°の範囲に亘って漸次高さと幅を大きくなる切込み部331が設けられており、この切り込み部331によって上記EA材1の取付孔2内周面に容易にネジ山33が切り込んで該取付孔2の内周面に簡単に雌ネジ溝を形成することができるようになっている。
このネジ山33の切込み部331の形成範囲は、上記180°に制限されるものではなく、EA材の材質や硬さ、密度、取付孔2の大きさなどに応じて適宜設定すればよいが、EA材1が自動車等のドアトリムに取り付けられる硬質ポリウレタンフォーム材などである場合には、角度で90°〜270°の範囲、特に150°〜210°の範囲とすることが好ましい。このように切込み部331を形成することにより、筒状本体31が硬質ポリウレタンフォームからなるEA材1にねじ込むためのタッピングスクリューとしてより適正化されたものとなり、EA材1を破損することなく、かつ容易かつ確実に取付クリップ3を上記取付孔2にねじ込むことができるものである。
この場合、上記切込み部331の形態が不適切であると、上記取付孔2にねじ込む際に容易にネジ山33がEA材1に切り込んで行かずに大きな回転トルクや押圧力が必要になり取付作業が煩雑化する場合があり、また通常このような固定箇所はEA材1の肉厚を部分薄くして取付構造が外部に突出しないように工夫されるが、取付クリップ3のねじ込み時に強い押圧力が必要であると、このEA材1の薄肉部に割れが生じたり場合によっては厚肉部との境界部分で折れてしまうこともある。
なお、図4(D)に示したネジ山33のピッチ(山幅)pは、取付クリップ3の軸長やEA材1の硬度などに応じて適宜設定され、特に制限されるものではないが、抜け強度と取付作業性の観点から1.5〜3.5mmとすることが好ましく、より好ましくは1.8〜3mmである。
この取付クリップ3の材質に制限は無く、例えば適宜な合成樹脂で形成することができるが、後述する固定ロッド41のカシメ加工時に、かしめた固定ロッド41先端部と熱接着させることが可能であることから、熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、例えばポリプロピレン、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが例示され、特にポリプロピレンが好適に用いられる。
この取付構造によりEA材1をドアトリム(相手部材)4に取り付ける場合の作業は、次の通りに行なわれる。
まず図2(A)に示したように、EA材1に設けられた取付孔2に上記取付クリップ3の円筒状本体31を挿入し押圧しながら回転させてねじ込み、図2(B)に示したように、該円筒上本体31を該取付孔2に内嵌した状態に螺着させ、上記フランジ部32が該取付孔2の周縁部を覆った状態で該取付クリップ3をEA材1の取付クリップ2に取り付ける。このとき、ねじ込み作業は、上記フランジ部32に形成された工具係合溝321に工具を係合させて行なうことができ、またこの工具係合溝321を利用して適宜な取付機(図示せず)により自動的に行なうようにすることも可能である。
まず図2(A)に示したように、EA材1に設けられた取付孔2に上記取付クリップ3の円筒状本体31を挿入し押圧しながら回転させてねじ込み、図2(B)に示したように、該円筒上本体31を該取付孔2に内嵌した状態に螺着させ、上記フランジ部32が該取付孔2の周縁部を覆った状態で該取付クリップ3をEA材1の取付クリップ2に取り付ける。このとき、ねじ込み作業は、上記フランジ部32に形成された工具係合溝321に工具を係合させて行なうことができ、またこの工具係合溝321を利用して適宜な取付機(図示せず)により自動的に行なうようにすることも可能である。
この取付クリップ3の取付時、本発明では、上記ネジ山33に設けられた上記切込み部331の作用によって取付孔2の内周面に容易に雌ネジ溝を形成しながら取付クリップを螺着固定することができる。ここで、より容易かつ確実な螺着を達成するためネジ山33と取付孔2とのラップ代L(図2(B)参照)を適宜調節することが好ましい。即ち、EA材1の硬度が低い場合にはラップ代Lを比較的大きく設定することが好ましく、EA材1の硬度が高い場合にはラップ代Lを比較的小さく設定することが好ましい。ねじ込み作業性と固定強度とのバランスを考慮してこのラップ代Lを適宜設定すればよい。
このラップ代Lの設定は、例えば図4(D)に示した取付クリップ3の山径md(mm)及び谷径vd(mm)と図2(B)に示した取付孔2の孔径hd(mm)の関係として設定することができる。まず、特に制限されるものではないが、(山径md−孔径hd)の値を2〜3.5mmとすることが好ましく、より好ましくは2.5〜3mmである。この場合、山径md−孔径hdの値が2mmよりも小さいと十分な抜け強度が得られずに取付クリップ3が取付孔2から抜け落ち易くなる場合があり、一方3.5mmを超えて大きくなると、取付クリップ3を取付孔2に螺入する際に大きなねじ込み力が必要となって取付作業性が低下すると共に、EA材1の取付孔2周囲に割れや亀裂などの破損が生じ易くなる。
また、特に制限されるものではないが、この(山径md−孔径hd)の値と(山径md−谷径vd)で算出されるネジ山33の山高さh(mm)との比率{(山径md−孔径hd)/山高さh}が、1.1〜1.4未満であることが好ましく、より好ましくは1.2〜1.3である。この場合、当該{(山径md−孔径hd)/山高さh}値が1.1よりも小さいと抜け強度が小さくなって取付クリップ3の抜け落ちが生じ易くなり、一方1.4以上であると取付孔2周囲に割れや亀裂などの破損が生じ易くなる。
更に、上記EA材1の硬度は衝撃吸収性能との関係で設定され、本来取付クリップ3との関係で設定されるものではないが、EA材1の硬度が高くなると取付クリップ3の抜け強度は高くなるが取付作業性が低下し、逆に硬度が低くなると取付作業性は向上するが抜け強度は低くなる。そのため、取付クリップ3の抜け強度や取付作業の容易性の観点からは、特に制限されるものではないが、JIS K7220の50%圧縮応力試験で、2.5〜14kgf/cm2とすることが好ましく、より好ましくは3.5〜7kgf/cm2、更に好ましくは4〜6kgf/cm2である。
次に、図3に示したように、この取付クリップ3を取付孔2に取り付けたEA材1を組み付け工程へと搬送し、ドアトリム(相手部材)4に突設された固定ロッド41を上記取付孔2に挿入し、取付クリップ3の筒状本体31内を挿通させてEA材1をドアトリム4にセットする。その際、本発明では、取付クリップ3はEA材1の取付孔2に確りと螺着されているため、搬送中に該取付クリップ3が脱落してしまうようなことは無く、またドアトリム4へのセット時に固定ロッド41により容易に取付クリップ3が押し出されてしまうようなことがなく、作業性よく確実にEA材1をドアトリム4にセットすることができる。
そして、図1に示されているように、取付クリップ3から突出した上記固定ロッド41の先端部をかしめることにより、この固定ロッド41及び取付クリップ3を介してEA材1がドアトリム(相手部材)4に固定される。この場合、上記固定ロッド41先端部のカシメ加工は、固定ロッド41の材質などに応じて適宜な方法が採用されるが、特に固定ロッド41を熱可塑性樹脂で形成して加熱により先端部を軟化変形させるカシメ加工を採用することが好ましい。これにより、熱可塑性樹脂で形成した取付クリップ3であれば、カシメ加工と同時にかしめた固定ロッド41の先端部と取付クリップ3とを熱接着させることもでき、より強固にEA材1をドアトリム(相手部材)4に固定することができる。この場合、取付ロッド41を形成する熱可塑性樹脂としては、上記取付クリップ3の場合と同様に、例えばポリプロピレン、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネートなどが例示され、特にポリプロピレンが好適に用いられる。
なお、上記加熱により先端部を軟化変形させるカシメ加工は、ヒーターにより加熱した押え型でかしめる熱カシメや、超音波発振器により加熱してかしめる超音波カシメを採用すればよい。
以上のように、本例(本発明)の取付構造によれば、取付クリップ3の筒状本体31外周面にネジ山33が形成され、この取付クリップ3をEA材1の取付孔2にねじ込んで螺着させるように構成されているため、取付クリップ3が容易にEA材1の取付孔2から脱落することがなく、安定的かつ確実にEA材1の組み付け作業を行なうことができる。しかも、取付クリップ3に設けられたネジ山33はタッピング式のものであるため、取付クリップ3の取付作業は単にEA材1の取付孔2に該クリップ3をねじ込むだけの簡単なもので必要に応じて取付機による自動化も可能であり、該取付孔にクリップの筒状本体を嵌入させる従来の取付作業からとりわけ煩雑なものとなることはなく、コスト増加を招くこともない。
よって、この取付構造によれば、比較的容易な作業でコスト増加を招くことなく取付クリップ3を確実にEA材1の取付孔2に取り付けることができると共に、該取付孔2から容易に脱離することなく確実かつ安定的に取付クリップ3を固定することができ、搬送時やドアトリム(相手部材)4への組み付け時に取付クリップ3が脱落することなく、安定的かつ確実にEA材1の組み付け作業を行なうことができるものである。
[実験例]
次に、取付クリップとEA材との好適な関係について検討すべく、ポリプロピレンからなる表1に示した寸法の取付クリップと、硬質ポリウレタンフォームからなる表1に示したEA材とを用い、下記方法によりクリップ螺入時の破損の有無、及びクリップの抜け強度を評価した。結果を表1に示す。なお、EA材の硬度は、JIS K7220の50%圧縮応力試験による値であり、測定にはスキン層を取り除いた50mm×50mm×50mmのサイコロ状試験片を用い、圧縮速度50mm/minで圧縮して50%応力(kgf/cm2)を求め、これをEA材の硬度とした。
次に、取付クリップとEA材との好適な関係について検討すべく、ポリプロピレンからなる表1に示した寸法の取付クリップと、硬質ポリウレタンフォームからなる表1に示したEA材とを用い、下記方法によりクリップ螺入時の破損の有無、及びクリップの抜け強度を評価した。結果を表1に示す。なお、EA材の硬度は、JIS K7220の50%圧縮応力試験による値であり、測定にはスキン層を取り除いた50mm×50mm×50mmのサイコロ状試験片を用い、圧縮速度50mm/minで圧縮して50%応力(kgf/cm2)を求め、これをEA材の硬度とした。
<試験方法>
まず、取付クリップを厚さ10mmのEA材取付孔にねじ込んで、EA材の取付孔に取付クリップを固定する。その際、取付孔の周囲にひび割れ等の破損が発生していないかを確認した。次いで、図5に示したように、取付クリップ3にリング状の引き手を取り付け、EA材1を固定した状態でこの取付クリップ3をEA材1の取付孔から引き抜き、その際の引き抜きに要した力(N)をインストロン試験機を用いて測定し、これを抜き強度とした。
まず、取付クリップを厚さ10mmのEA材取付孔にねじ込んで、EA材の取付孔に取付クリップを固定する。その際、取付孔の周囲にひび割れ等の破損が発生していないかを確認した。次いで、図5に示したように、取付クリップ3にリング状の引き手を取り付け、EA材1を固定した状態でこの取付クリップ3をEA材1の取付孔から引き抜き、その際の引き抜きに要した力(N)をインストロン試験機を用いて測定し、これを抜き強度とした。
*:取付クリップの山径md、谷径vd、ピッチpは図4(D)を、EA材の孔径hdは図2(B)をそれぞれ参照のこと。また、抜け強度における「材料破壊」とは、クリップが取付孔から抜け出ることなく、EA材の取付孔周囲が破壊されたことを示す。
上記表1のとおり、山径md−孔径hdが2.2〜4.5mmの各取付構造は、抜け強度27N〜材料破壊の良好な強度を確保することができ、一方、山径md−孔径hdが4.5mmに達するとクリップ螺入時にEA材に破損が生じやすく、螺入時のねじ込み時に大きな力が必要となる。従って、良好な抜け強度と破損防止(取付作業性)とのバランスから、山径md−孔径hdは2〜3.5mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは2.5〜3mmである。なお、螺入時にEA材の取付孔周囲にひび割れ等の破損が生じた実験例4,8の取付構造も、良好な抜け強度を有しており、使用自体に問題は無い。
また、(山径md−孔径hd)/(ネジ山高さh)はいずれも1.1〜1.4で良好な抜け強度が得られており、一方当該値が「1.4」の実験例4,8では、螺入時にEA材に破損が生じている。ここで、EA材の硬度が同じ実験例1,2,3,4の対比、及び同様に実験例5,6,7,8の対比から(山径md−孔径hd)/(ネジ山高さh)の値によってクリップ螺入時のEA材破損を防止することが可能であると認められ、良好な抜け強度の確保と破損防止とのバランスから(山径md−孔径hd)/(ネジ山高さh)は1〜1.4未満とすることが好ましく、より好ましくは1.2〜1.3である。
更に、抜け強度は25N以上であれば良好な強度が確保されているとすることができ、好適には40N以上、最適は材料破壊が生じる強度であるが、上記表1の結果からEA材の硬度が2kgf/cm2以上であれば良好な抜け強度が確保し得ると認められる。その一方EA材の硬度が高くなればクリップの螺入作業の作業性が低下することは明らかであり、十分な抜け強度の確保と螺入作業の作業性のバランスから、EA材の硬度は2.5〜14kgf/cm2の範囲が好ましく、より好ましくは3.5〜7kgf/cm2、更に好ましくは4〜6kgf/cm2である。
1 EA材
2 取付孔
3 取付クリップ
31 筒状本体
32 フランジ部
321 工具係合溝
33 ネジ山
331 切込み部
4 ドアトリム(相手部材)
41 固定ロッド
42 かしめられた固定ロッドの先端部
L ラップ代
hd 取付孔の孔径
md 取付クリップの山径
vd 取付クリップの谷径
p 取付クリップのネジ山のピッチ
2 取付孔
3 取付クリップ
31 筒状本体
32 フランジ部
321 工具係合溝
33 ネジ山
331 切込み部
4 ドアトリム(相手部材)
41 固定ロッド
42 かしめられた固定ロッドの先端部
L ラップ代
hd 取付孔の孔径
md 取付クリップの山径
vd 取付クリップの谷径
p 取付クリップのネジ山のピッチ
Claims (9)
- EA材の取付孔に筒状本体を有する取付クリップを内嵌させて取り付け、この取付クリップに相手部材に突設された固定ロッドを挿し通し、該取付クリップから突出した該固定ロッドの先端部をかしめることにより、EA材を相手部材に固定するEA材の取付構造において、
上記取付クリップが、外周面にタッピング式のネジ山が形成された円筒状の筒状本体と、該筒状本体の上端に設けられたフランジ部とからなり、該取付クリップが上記EA材の取付孔にねじ込まれて螺着していることを特徴とするEA材の取付構造。 - 上記取付クリップの上記ネジ山が、上記筒状本体の先端側の始点から漸次高さと幅が大きくなる切込み部を有する請求項1記載のEA材の取付構造。
- 上記ネジ山の切込み部が、上記筒状本体の先端側の始点から周方向に90°〜270°の角度範囲に形成されている請求項1又は2記載のEA材の取付構造。
- 取付クリップの山径(mm)をmd、取付孔の孔径(mm)をhdとしたとき、md−hdが2〜3.5mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載のEA材の取付構造。
- 取付クリップの山径(mm)をmd、取付クリップの谷径(mm)をvd、md−vdで算出されるネジ山高さをh、取付孔の孔径(mm)をhdとしたとき、(md−hd)/hが1〜1.4未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載のEA材の取付構造。
- EA材の硬度が、JIS K7220の50%圧縮応力試験で、2.5〜14kgf/cm2である請求項1〜5のいずれか1項に記載のEA材の取付構造。
- 上記固定ロッドが熱可塑性樹脂で形成されており、上記取付クリップから突出した該固定ロッドの先端部が、加熱により軟化変形させるカシメ加工によってかしめられている請求項1〜6のいずれか1項に記載のEA材の取付構造。
- 上記取付クリップと上記固定ロッドとが、互いに熱接着可能な熱可塑性樹脂で形成されており、上記加熱により軟化変形させるカシメ加工の際に互いに熱接着したものである請求項7記載のEA材の取付構造。
- 上記取付クリップと上記固定ロッドとが、いずれもポリプロピレンにより形成されたものである請求項7又は8記載のEA材の取付構造。
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