JP2017165024A - 多層ポリウレタン被覆鋼材 - Google Patents

多層ポリウレタン被覆鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】高防食性を有し、低温環境においても鋼面の露出を防止する多層ポリウレタン被覆鋼材を提供する。【解決手段】鋼材1に接してプライマー層2を有し、その上に、軟質ポリウレタン樹脂層3または硬質ポリウレタン樹脂層4の2つの層から成るn層(但し、nは整数である)のポリウレタン樹脂層を有する多層ポリウレタン被覆鋼材であって、nが2の場合は、鋼材に近い層が軟質ポリウレタン樹脂層であり、nが3の場合は、鋼材に最も近い層が、軟質ポリウレタン樹脂層または硬質ポリウレタン樹脂層であり、nが4以上の場合は、最上層を除く少なくとも1層が軟質ポリウレタン樹脂層であり、軟質ポリウレタン樹脂層の硬度がショアD硬度65以下であり、硬質ポリウレタン樹脂層の硬度がショアD硬度75以上であり、軟質ポリウレタン樹脂の合計膜厚に対する、硬質ポリウレタン樹脂の合計膜厚の比が、1〜10である多層ポリウレタン被覆鋼材。【選択図】図1

Description

本発明は、海洋環境下に使用されるポリウレタン被覆鋼材に関するものである。
厳しい腐食環境である海洋環境において主に使用される、鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板等の鋼材は、厚さが数mmに及ぶポリエチレンやポリウレタン等の有機樹脂で被覆された重防食被覆鋼材として用いられることが多い。この重防食被覆鋼材は優れた防食性能を有し、また比較的安価で製造することが可能であるが、海洋における漂流物や係留物等との衝突により樹脂被覆層が損傷を受け易いという問題がある。
特に寒冷地において使用される場合、耐衝撃性が不十分であり、土中や海底に打ち込む等の施工時に割れが生じ防食性が失われるという問題が発生しており、改善が必要であった。樹脂被覆層が損傷して鋼材表面に達する疵が発生すると、その衝突疵を起点に鋼材の腐食が発生し、重防食被覆層による防食性能の著しい低下を引き起こす。
耐衝撃性は樹脂の材料物性と密接な関係にある。剛直な樹脂は架橋密度が高いために酸素や水分の透過量が少なく防食性能が高いが、衝撃強度を超える荷重が加わると容易に割れが発生し、鋼面が露出する。対して柔軟な樹脂は衝撃強度を超える荷重が加わっても割れは発生しにくいが、架橋密度が低く、酸素や水分の透過量が多いため防食性能が低い。
これに対し、例えば特許文献1では重防食被覆層の耐衝撃性を向上させるため、保護層として引張強度と伸びが大きいポリウレタン樹脂を被覆した鋼材が開示されている。しかし低温環境ではポリウレタン樹脂の剛性が高くなるため、割れが発生する可能性が高い。
特許文献2ではポリオール成分に剛直な特定のビスフェノール系ジオールと柔軟な特定の飽和脂肪族ジオールを一定比率で含有させることで耐低温衝撃性を持つウレタンエラストマー被覆鋼材が開示されている。しかし耐衝撃性を確保するため、架橋密度が低下し、防食性が低下する。
特開2007−90678号公報 特開2005−264171号公報
本発明の目的は、高防食性を有し、低温環境においても鋼面の露出を防止するポリウレタン被覆鋼材を得ることである。
本発明者らは、鋼材に異種ポリウレタン樹脂を積層させることに着目した。ポリウレタン樹脂被覆が2層構造の場合は、上層に剛性の高い硬質ポリウレタン樹脂層(4)を用いることで高い防食性を保持する。さらに鋼材との間に柔軟な軟質ポリウレタン樹脂層(3)を挟むことにより衝撃を緩和し、上層の樹脂層の割れによる鋼面の露出を防ぐことが出来る。図1に上記2層ポリウレタン被覆鋼材の被覆構成断面図を示す。
本発明者らは鋭意検討の結果、ポリウレタン樹脂被覆が2層構造の場合、ショアD硬度65以下の軟質ポリウレタン樹脂層を鋼材に近い層(下層)に、ショアD硬度75以上の硬質ポリウレタン樹脂層を鋼材から遠い層(上層)に積層することで低温環境においても高い耐衝撃性を有し、鋼材表面まで達する疵を防止することを見出した。下層の軟質ポリウレタン樹脂のショアD硬度が65を超える時は剛性が高くなり、樹脂層の割れが発生する。上層の硬質ポリウレタン樹脂のショアD硬度が75未満の時は耐衝撃性が低く、鋼材表面に達する疵が生じる恐れがある。
ポリウレタン樹脂被覆が3層構造の場合、鋼材と軟質ポリウレタン樹脂層(3)の間にショアD硬度75以上の硬質ポリウレタン樹脂層(4)を積層することで、最上層の硬質ポリウレタン樹脂層(4)が割れたとしても、鋼材に最も近い下層の硬質ポリウレタン樹脂層(4)が酸素や水分の透過を抑制できることを見出した。図2に中間層に軟質ポリウレタン樹脂層(3)を有する3層ポリウレタン被覆鋼材の被覆構成断面図を示す。
また別の態様で、ポリウレタン樹脂被覆が3層構造の場合、中間層の硬質ポリウレタン樹脂層(4)の上にショアD硬度65以下の軟質ポリウレタン樹脂層(3)を積層させることで衝撃を緩和させ、中間層の硬質ポリウレタン樹脂層(4)の下にも軟質ポリウレタン樹脂層(3)を積層させることにより、この下層軟質ポリウレタン樹脂層(3)が鋼面への衝撃の伝播を防ぎ、耐衝撃性をさらに向上させることを見出した。図3に中間層に硬質ポリウレタンを有する3層ポリウレタン被覆鋼材の被覆構成断面図を示す。
ポリウレタン樹脂被覆が4層以上の構造である場合は、最上層を除く少なくとも1層が軟質ポリウレタン樹脂層である。最上層は軟質ポリウレタン樹脂層であっても、硬質ポリウレタン層であってもよいが、最上層の下に位置する複数のポリウレタン樹脂層中の少なくとも1層は軟質ポリウレタン樹脂層である。この軟質ポリウレタン樹脂層は、いずれの位置であってもよい。軟質ポリウレタン樹脂層より上に位置する、硬質ポリウレタン樹脂層が衝撃を受けて割れたとしても、軟質ポリマー層がそれより下に位置する層が受ける衝撃を緩和し、鋼面の露出を防ぐことができる。
また、耐低温衝撃性と高防食性を両立させるには硬質ポリウレタン樹脂層と軟質ポリウレタン層の膜厚が重要である。
鋭意検討の結果、多層ポリウレタン被覆中の、軟質ポリウレタン樹脂層の合計膜厚に対する硬質ポリウレタン樹脂層の合計膜厚の比が1〜10の範囲であれば剥離を起こさずに高い衝撃強度を発揮することを見出した。膜厚比が1未満の時は、硬質ポリウレタン樹脂層が薄いため衝撃強度が低く、硬質ポリウレタン樹脂層の割れが発生すると同時に防食性が低下する。膜厚比が10を超える場合は、硬質ポリウレタン樹脂層に対して軟質ポリウレタン樹脂層が薄いため、軟質ポリウレタン樹脂層の衝撃緩和効果が低下し、硬質ポリウレタン樹脂層に割れが発生する。
すなわち本発明は高い防食性を有する硬質ポリウレタン樹脂層と衝撃緩和効果を有する軟質ポリウレタン樹脂層を積層させることで、高防食性を有し、耐低温衝撃性に優れた多層ポリウレタン被覆鋼材である。
以上述べたように、本発明により高防食性かつ低温環境においても鋼面の露出を防止するポリウレタン被覆鋼材を得られる。これにより被覆鋼材の腐食を防ぎ、寒冷地の海洋環境下でも長期に渡って安定した耐久性を維持することが出来る。
ポリウレタン樹脂被覆が2層構造であるポリウレタン被覆鋼材の被覆構成断面図である。 中間層に軟質ポリウレタン樹脂層を有する3層構造のポリウレタン被覆鋼材の被覆構成断面図である。 中間層に硬質ポリウレタン樹脂層を有する3層構造のポリウレタン被覆鋼材の被覆構成断面図である。
以下、本発明につき詳細に説明を行なう。本発明のポリオレフィン被覆鋼材の製造方法について、代表例としてポリウレタン被覆鋼管の場合について説明する。
図1は、本発明の一つの実施態様を示す多層ポリウレタン被覆鋼材の被覆構成断面図である。本発明に使用する鋼材としては普通鋼、あるいは高合金鋼などどのような鋼種でも適用可能である。なお、従来重防食被覆が適用されていた鋼管、また、海洋構造物等で使用される鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板等にも適用可能である。
鋼材表面のスケール、汚染物等を除去する必要があるため、最初にアルカリ脱脂、酸洗、サンドブラスト処理、グリッドブラスト処理、あるいはショットブラスト処理等のいずれかの前処理を施して使用する。
鋼材は、プライマー層を形成する前に、下地処理として表面処理を施すとより優れた防食性が得られるため望ましい。表面処理の例としてはクロメート処理、リン酸処理等が挙げられる。
プライマー層に適用するプライマーは、鋼材表面並びにプライマー層の上層に積層被覆されるポリウレタン樹脂層と密着性が良いものが望ましい。プライマーは、ウレタン系もしくはエポキシ系の有機樹脂プライマーを用いることが好ましく、常温硬化型のものが望ましい。プライマー層の膜厚は10〜100μm程度、好ましくは20〜80μm程度が望ましい。膜厚が10μm未満の場合は密着が不充分になり、100μmを超える場合はプライマー層に溶剤が残存する恐れがある。
プライマー層の塗装方法としては、刷毛塗り、ローラー塗布等の方式に関わらず用いることが出来、様々な形状の鋼材表面に被覆するため、エアスプレーやエアレススプレー等のスプレー塗布が好ましい。
次いでプライマー層の上に軟質ポリウレタン樹脂層を被覆する。適用する軟質ポリウレタン樹脂は、主剤であるポリオールと硬化剤であるイソシアネート化合物を主成分とするものである。
ポリオールとしては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、アミン系ポリオール、ひまし油変性ポリオール、エポキシ変性ポリオール等のポリオールの単体あるいは混合物が挙げられる。
イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらの変性誘導体等のイソシアネートの単体あるいは混合物が挙げられる。トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
本発明に用いる軟質ポリウレタン樹脂層はショアD硬度65以下であることを要する。本発明に用いることができるショアD硬度65以下の軟質ポリウレタン樹脂層は、例えばポリオールとしてポリブタジエンポリオールとひまし油変性ポリオールとの混合物を用いることで得られる。
軟質ポリウレタン樹脂には各種の添加剤を添加することができる。例えば、耐候性や耐摩耗性を付与するため、カーボンブラックや炭酸カルシウム等の顔料を配合しても構わない。その他、特性を付与するために解媒、可塑剤、助剤、増粘剤、酸化防止剤、光安定剤等を含有してもよい。
被覆方法としては、様々な形状の鋼材表面に被覆するため、スプレー塗布が好ましい。スプレーはエアスプレーやエアレススプレー等の方式に関わらず用いることができる。軟質ポリウレタン樹脂層の膜厚は0.5〜3mmが好ましい。膜厚が0.5mm未満では衝撃緩和効果が悪化し、3mmを超えると経済的に不利である。
さらに、軟質ポリウレタン樹脂層の上に硬質ポリウレタン樹脂層を被覆する。適用する硬質ポリウレタン樹脂は主剤であるポリオールと硬化剤であるイソシアネート化合物を主成分とするものである。
ポリオールとしては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、アミン系ポリオール、ヒマシ油変性ポリオール、エポキシ変性ポリオール等のポリオールの単体あるいは混合物が挙げられる。
イソシアネートとしてはトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらの変性誘導体等のイソシアネートの単体あるいは混合物が挙げられる。好ましくはトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートが望ましい。
本発明に用いる硬質ポリウレタン樹脂層はショアD硬度75以上であることを要する。本発明に用いることができるショアD硬度75以上の硬質ポリウレタン樹脂層は、例えばポリオールとしてひまし油変性ポリオールとアミン系ポリオールを混合して用いることで得られる。
硬質ポリウレタン樹脂には各種の添加剤を添加することができる。例えば、耐候性や耐摩耗性を付与するため、カーボンブラックや炭酸カルシウム等の顔料を配合しても構わない。その他、特性を付与するために解媒、可塑剤、助剤、増粘剤、酸化防止剤、光安定剤等を含有してもよい。
被覆方法としては、様々な形状の鋼材表面に被覆するため、スプレー塗布が好ましい。スプレーはエアスプレーやエアレススプレー等の方式に関わらず用いることができる。硬質ポリウレタン樹脂層の膜厚は1〜5mmが好ましい。膜厚が1mm未満では防食性及び耐衝撃性が悪化し、5mmを超えると塗膜全体の内部応力が大きくなるため、寒暖差による剥離が発生する。
図2に示す中間層に軟質ポリウレタン層を含む3層ポリウレタン被覆の態様においては、予め塗布したプライマー層の上に硬質ポリウレタン樹脂層を被覆し、その上軟質ポリウレタン樹脂層を被覆し、さらにその上に硬質ポリウレタン樹脂層を被覆する。適用する硬質ポリウレタン樹脂、軟質ポリウレタン樹脂の成分は上記硬質、軟質ポリウレタン樹脂と同様であり、ショアD硬度がそれぞれ上記規定の所望の範囲内であれば、異種の硬質、軟質ポリウレタン樹脂を複合して用いてもよい。
図3に示す中間層に硬質ポリウレタン層を含む3層ポリウレタン被覆の態様においては、予め塗布したプライマー層の上に軟質ポリウレタン樹脂を被覆した後、その上に硬質ポリウレタン樹脂を被覆し、さらにその上に軟質ポリウレタン樹脂層を被覆する。適用する硬質ポリウレタン樹脂、軟質ポリウレタン樹脂の成分は上記硬質、軟質ポリウレタン樹脂と同様であり、ショアD硬度がそれぞれ上記規定の所望の範囲内であれば、異種の硬質、軟質ポリウレタン樹脂を複合して用いてもよい。
被覆層が合計4層以上になる場合も、上記3層ポリウレタン被覆と同様に、予め塗布したプライマー層の上に硬質または軟質ポリウレタン樹脂を鋼材に最も近い下層として被覆した後、下層と異質のポリウレタン樹脂をその上に被覆する。例えば下層が硬質ポリウレタン樹脂であれば軟質ポリウレタン樹脂を、下層が軟質ポリウレタン樹脂であれば硬質ポリウレタン樹脂をその上に被覆することを繰り返し、複数の積層被膜を形成する。適用する硬質ポリウレタン樹脂、軟質ポリウレタン樹脂の成分は上記硬質、軟質ポリウレタン樹脂と同様であり、ショアD硬度がそれぞれ上記規定の所望の範囲内であれば、異種の硬質、軟質ポリウレタン樹脂を複合して用いてもよい。
これら硬質ポリウレタン樹脂層と軟質ポリウレタン樹脂層の合計総膜厚は5mm以下が好ましい。5mmを超えると寒暖差による樹脂の収縮により、剥離が発生する。また多層ポリウレタン樹脂層の合計総膜厚は、少なくとも1mm以上が好ましい。1mm以下であると、酸素や水分の透過が過大となるため好ましくない。多層ポリウレタン樹脂層の合計総膜厚は、好ましくは、2mm〜4mmである。
以下、本発明を実施例1においては、図1に示す2層構造のポリウレタン被覆鋼材について、実施例2においては、図2に示す中間層に軟質ポリウレタン樹脂層を含む3層構造のポリウレタン被覆鋼材について、また実施例3においては、図3に示す中間層に軟質ポリウレタン樹脂層を含む3層構造のポリウレタン被覆鋼材について具体的に説明する。表1に用いたポリウレタン樹脂の物性を示す。ポリウレタン樹脂A、BはセフコールBL22(ウレタン技研工業(株)製)をベースに、ポリウレタン樹脂C、D、Eはパーマガード137(第一工業製薬(株)製)をベースに、ポリオール成分中のポリブタジエンポリオール、ひまし油変性ポリオールの量を調整し、ショアD硬度を調整したポリウレタン樹脂を用いた。
Figure 2017165024
なお、実施例および比較例によって得られた多層ポリウレタン被覆鋼材サンプルを、下記に従って評価試験を行った。
〔樹脂硬度の評価〕
ポリウレタン樹脂のショアD硬度はJIS K7215 タイプDに準拠し、厚さ3mmのポリウレタン樹脂サンプルに対して、常温で測定を行った。
〔耐低温衝撃性の評価〕
ポリウレタン被覆鋼材の耐低温衝撃性は、ASTM G14に準拠し、先端径15.9mm、重量2〜10kgの落錘を用いた−20℃ での落錘衝撃試験で求めた。鋼材表面の露出の有無は目視にて確認した。衝撃強度は以下(1)式より算出した。
m={h+d(A/N ± 1/2)}×W/t…(1)
m:衝撃強度(kgf・m/mm)
:ピンホールが発生しない最大高さ(m)
d:落下高さの増減ピッチ(m)
A:h以上の各インクレメント毎のピンホール発生回数とインクレメント倍数との積の和
N:ピンホール未発生の総回数
W:重錘の質量(kg)
t:ポリウレタン樹脂層の総膜厚(mm)
〔防食性能の評価〕
防食性能の評価は陰極剥離試験にて行った。ASTM G8に準拠し、試験材の中央部に直径6mmφの円形の人工欠陥を作成し、鋼材を露出させた。人工欠陥を中心にして直径70mmφのアクリル製の円筒を被覆層上に縦に設置しシール剤で被覆層に固定し、内部を3質量%NaCl水溶液で満たし、セルを作成した。対極に白金を使用して欠陥部の鋼材の電位を−1.5V vs SCEにポテンシオスタットを用いて40℃のオーブン中で30日間電位を保持した。人工欠陥を中心とした4方向(12時、3時、6時、9時方向)で人工欠陥端部からの剥離部の距離を測定し、その平均値を陰極剥離距離とした。
実施例1
鋼材サンプルとして、6mm×100mm×150mmの熱延鋼板に、グリッドブラスト処理を施したものを用意した。エアレススプレーにて厚さ50μmになるようにウレタン系プライマーを塗布しプライマー層を形成した。次いで表1に示す軟質ポリウレタン樹脂と硬質ポリウレタン樹脂を表2に示す構成になるようにエアレススプレーにてプライマー層の上に積層させ、本発明の実施例1−1〜4の2層ポリウレタン被覆鋼材サンプルを作製した。
比較例1−1、1−2として軟質ポリウレタン樹脂、硬質ポリウレタン樹脂単層の被覆鋼材サンプルを上記実施例と同様の方法で作製した。
比較例1−3、1−4として、ショアD硬度が本発明範囲外にあるポリウレタン樹脂Cを用いて上記実施例と同様の方法で被覆鋼材サンプルを作製した。
比較例1−5、1−6として、軟質ポリウレタン樹脂の合計膜厚に対する、硬質ポリウレタン樹脂の合計膜厚比が本発明の範囲外にあるポリウレタン樹脂被覆を用いて上記実施例と同様の方法で被覆鋼材サンプルを作製した。
表2に本発明の実施例及び比較例の結果を示す。
Figure 2017165024
実施例1−1〜4は低温衝撃による鋼面の露出なく、かつ陰極剥離も小さく、良好な結果が得られた。一方比較例1−1では割れは発生しなかったが、防食性が低く陰極剥離距離が大きい。比較例1−2では陰極剥離距離は小さいが衝撃による割れが発生した。比較例1−3では軟質ポリウレタン樹脂層の硬度が高く、割れが発生し鋼面が露出した。比較例1−4では上層の硬質ポリウレタン樹脂層が衝撃に耐えきれず、割れが発生し鋼面が露出した。比較例1−5では鋼面の露出は発生しなかったが、防食性を担う硬質ポリウレタン樹脂層が薄いため陰極剥離距離が増大した。比較例1−6では衝撃緩和を担う軟質ポリウレタン樹脂層が薄いため、衝撃を緩和しきれずに割れが発生し鋼面が露出した。
実施例2
鋼材サンプルとして、6mm×100mm×150mmの熱延鋼板に、グリッドブラスト処理を施したものを用意した。エアレススプレーにて厚さ50μmになるようにウレタン系プライマーを塗布しプライマー層を形成した。次いで表1に示すポリウレタン樹脂を、鋼材に最も近い下層の硬質ポリウレタン樹脂層、中間層の軟質ポリウレタン樹脂層、最上層の硬質ポリウレタン樹脂層の順で表3に示す構成になるようにエアレススプレーにてプライマー層の上に積層させ、本発明の実施例2−1、2−2の中間層に軟質ポリウレタン樹脂層を有する3層ポリウレタン被覆鋼材サンプルを作製した。
比較例2−1して、ショアD硬度が本発明の範囲外にある硬質ポリウレタン樹脂を下層に用いて上記実施例と同様の方法で被覆鋼材サンプルを作製した。
比較例2−2〜5として、軟質ポリウレタン樹脂の合計膜厚に対する、硬質ポリウレタン樹脂の合計膜厚比が本発明の範囲外にあるポリウレタン樹脂被覆を用いて上記実施例と同様の方法で被覆鋼材サンプルを作製した。
表3に本発明の実施例及び比較例の結果を示す。
Figure 2017165024
実施例2−1、2−2は低温衝撃による鋼面の露出なく、かつ陰極剥離も小さく、良好な結果が得られた。一方比較例2−1は硬質ポリウレタン樹脂層が衝撃に耐えきれず、割れが発生し鋼面が露出した。比較例2−2では下層の硬質ポリウレタン樹脂層が薄く、衝撃に耐えきれず割れが発生し鋼面が露出した。比較例2−3、2−4では鋼面の露出は発生しなかったが、防食性を担う硬質ポリウレタン樹脂層が薄いため陰極剥離距離が増大した。比較例2−5では上層の硬質ポリウレタン樹脂層に比して軟質ポリウレタン樹脂層が薄いため、割れが発生し鋼面が露出した。
実施例3
鋼材サンプルとして、6mm×100mm×150mmの熱延鋼板に、グリッドブラスト処理を施したものを用意した。エアレススプレーにて厚さ50μmになるようにウレタン系プライマーを塗布しプライマー層を形成した。次いで表1に示すポリウレタン樹脂を、鋼材に最も近い下層の軟質ポリウレタン樹脂、中間層の硬質ポリウレタン樹脂、最上層の軟質ポリウレタン樹脂の順で表4に示す構成になるようにエアレススプレーにてプライマー層の上に積層させ、本発明の実施例3−1、3−2の中間層に硬質ポリウレタン樹脂層を有する3層ポリウレタン被覆鋼材サンプルを作製した。
比較例3−1として、ショアD硬度が本発明の範囲外にある軟質ポリウレタン樹脂を上層に用いて上記実施例と同様の方法で被覆鋼材サンプルを作製した。
比較例3−2〜5として、軟質ポリウレタン樹脂の合計膜厚に対する、硬質ポリウレタン樹脂の合計膜厚比が、発明の範囲外にあるポリウレタン樹脂被覆を用いて上記実施例と同様の方法で被覆鋼材サンプルを作製した。
表4に本発明の実施例及び比較例の結果を示す。
Figure 2017165024
実施例3−1、3−2は低温衝撃による鋼面の露出なく、かつ陰極剥離も小さく、良好な結果が得られた。一方比較例3−1は上層の軟質ポリウレタン樹脂層が硬いため、衝撃に耐えきれず割れが発生し鋼面が露出した。比較例3−2〜4では鋼面の露出は発生しなかったが、防食性を担う硬質ポリウレタン樹脂層が薄いため陰極剥離距離が増大した。比較例3−5では硬質ポリウレタン樹脂層に比して上下層の軟質ポリウレタン樹脂層が薄いため、割れが発生し鋼面が露出した。
1 鋼材
2 プライマー層
3 軟質ポリウレタン樹脂層
4 硬質ポリウレタン樹脂層

Claims (1)

  1. 鋼材に接してプライマー層を有し、その上に、軟質ポリウレタン樹脂層または硬質ポリウレタン樹脂層の2つの層から成るn層(但し、nは整数である)のポリウレタン樹脂層を有する多層ポリウレタン被覆鋼材であって、
    nが2の場合は、鋼材に近い層が軟質ポリウレタン樹脂層であり、
    nが3の場合は、鋼材に最も近い層が、軟質ポリウレタン樹脂層または硬質ポリウレタン樹脂層であり、
    nが4以上の場合は、最上層を除く少なくとも1層が軟質ポリウレタン樹脂層であり、
    前記軟質ポリウレタン樹脂層の硬度がショアD硬度65以下であり、前記硬質ポリウレタン樹脂層の硬度がショアD硬度75以上であり、
    前記軟質ポリウレタン樹脂の合計膜厚に対する、前記硬質ポリウレタン樹脂の合計膜厚の比が、1〜10である多層ポリウレタン被覆鋼材。
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