JP2017164999A - 液体吐出ヘッドのクリーニング方法、液体吐出ヘッド、及び液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コゲの除去に用いる液体の供給量を抑える液体吐出ヘッドのクリーニング方法を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッド10は、液体を吐出する吐出口21と、吐出口21に連通する流路22と、流路22内の液体30を吐出するための熱エネルギーを発生する発熱素子2と、発熱素子2を被覆する被覆層7で構成されている。この液体吐出ヘッド10のクリーニング方法は、吐出口21を介して液体30を流路22に供給する工程と、被覆層7に電圧を印加して供給された液体30と被覆層7との間で電気化学反応を生じさせ、コゲと共に被覆層7を液体に溶出させる工程と、を有する。
【選択図】図2
【解決手段】液体吐出ヘッド10は、液体を吐出する吐出口21と、吐出口21に連通する流路22と、流路22内の液体30を吐出するための熱エネルギーを発生する発熱素子2と、発熱素子2を被覆する被覆層7で構成されている。この液体吐出ヘッド10のクリーニング方法は、吐出口21を介して液体30を流路22に供給する工程と、被覆層7に電圧を印加して供給された液体30と被覆層7との間で電気化学反応を生じさせ、コゲと共に被覆層7を液体に溶出させる工程と、を有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドに対してコゲを除去する液体吐出ヘッドのクリーニング方法、液体を吐出する液体吐出ヘッド、及びこれを有する液体吐出装置に関するものである。
インクジェット記録装置に代表されるインク等の液体を吐出する液体吐出装置は、液体吐出ヘッド(以下、ヘッドとも称する)を有する。液体吐出ヘッドには多数の吐出口が形成されており、例えば発熱素子で発生された熱エネルギーを用いて液体を発泡させることで、吐出口から液体を吐出する。
液体吐出ヘッドは、基板と流路形成部材とを有する。基板には、発熱素子と発熱素子を保護するための被覆層とが設けられている。流路形成部材には吐出口が設けられており、基板と接合されることで吐出口に連通する流路を形成している。被覆層の表面は流路に露出しており、発熱素子で発生された熱エネルギーを液体に付与する熱作用部となる。
発熱素子を有する液体吐出ヘッドに関して、以下の現象が知られている。すなわち、インクなどの液体に含まれる色材および添加物などが、高温加熱されることにより分解され、難溶解性の物質に変化し、被覆層の表面に付着する現象である。この現象は「コゲーション」、付着物は「コゲ」と呼ばれている。コゲが厚くなると、インクへの熱伝導が不均一になり、発泡が不安定となることで印字品位の低下が生じる恐れがある。
そこで、特許文献1には、記録に用いる液体とは異なる電解質を含む水溶液(以下、コゲ除去液とも称する)を用い、被覆層に通電して電気化学反応を生じさせてその表面をコゲ除去液に溶解させ、堆積したコゲを除去するクリーニング方法が記載されている。また、特許文献1には、その際用いるコゲ除去液をヘッドの供給口側からヘッドの流路に供給することが記載されている。
しかし、特許文献1に記載されるように、コゲ除去液が収容されたタンクからヘッドの供給口を介して流路にコゲ除去液を供給すると、以下の課題が生じる。すなわち、タンクの排出口からヘッドの供給口までの供給路といったヘッドの外部の液体経路にもコゲ除去液が供給されるため、多量のコゲ除去液を要してしまう。
そこで、本発明は、コゲの除去に用いる液体の供給量を抑えることを目的とする。
本発明の液体吐出ヘッドのクリーニング方法は、液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に連通する流路と、前記流路内の液体を吐出するための熱エネルギーを発生する発熱素子と、前記流路に露出する表面を備え、前記発熱素子を被覆する被覆層と、を有する液体吐出ヘッドに対し、前記被覆層の前記表面に堆積するコゲを除去する液体吐出ヘッドのクリーニング方法において、前記吐出口を介して液体を前記流路に供給する工程と、前記被覆層に電圧を印加して前記供給する工程において供給された液体と前記被覆層との間で電気化学反応を生じさせ、コゲと共に前記被覆層を溶出させる工程と、を有することを特徴とする。
本発明によると、コゲの除去に用いる液体の供給量を抑えることができる。
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<液体吐出装置>
本発明の実施形態に係る液体吐出装置の模式的斜視図を図4に示す。キャリッジ500は液体吐出ヘッドを備えた液体吐出ヘッドユニット410を取り付けて印字を行うために、ガイド502によって支持されている。ガイド502はシャーシに取り付けられており、記録媒体の搬送方向に対して直角方向にキャリッジ500を往復走査させるように案内支持している。ガイド502は、シャーシに一体に形成されており、キャリッジ500の後端を保持して液体吐出ヘッドユニット410と記録媒体との隙間を維持する役割を果たしている。
本発明の実施形態に係る液体吐出装置の模式的斜視図を図4に示す。キャリッジ500は液体吐出ヘッドを備えた液体吐出ヘッドユニット410を取り付けて印字を行うために、ガイド502によって支持されている。ガイド502はシャーシに取り付けられており、記録媒体の搬送方向に対して直角方向にキャリッジ500を往復走査させるように案内支持している。ガイド502は、シャーシに一体に形成されており、キャリッジ500の後端を保持して液体吐出ヘッドユニット410と記録媒体との隙間を維持する役割を果たしている。
キャリッジ500は、シャーシに取り付けられたキャリッジモータ504によりタイミングベルト501を介して駆動される。また、タイミングベルト501は、アイドルプーリ503によって張設、支持されている。
上記構成において記録媒体に画像形成する場合、行位置に対しては、不図示の搬送ローラおよびピンチローラからなるローラ対が、記録媒体を搬送して位置決めする。また、列位置に対しては、キャリッジモータ504によりキャリッジ500を上記搬送方向と垂直な方向に移動させて、液体吐出ヘッドユニット410を目的の画像形成位置に配置させる。位置決めされた液体吐出ヘッドユニット410が記録媒体に対してインクを吐出し、記録主走査と副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に画像を形成する構成となっている。
<液体吐出ヘッド>
図1は、本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す断面図である。液体吐出ヘッド10は、発熱素子2が設けられた基板1と吐出口21や流路22が形成された流路形成部材20とを有する。液体吐出ヘッド10においては発熱素子2が複数配設されており、また複数の発熱素子2に対応してそれぞれ流路22と吐出口21とが複数配設されている。
図1は、本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す断面図である。液体吐出ヘッド10は、発熱素子2が設けられた基板1と吐出口21や流路22が形成された流路形成部材20とを有する。液体吐出ヘッド10においては発熱素子2が複数配設されており、また複数の発熱素子2に対応してそれぞれ流路22と吐出口21とが複数配設されている。
基板1はシリコン等で形成されている。基板1の表面には熱の逃げを防ぐためにSiO膜やBPSG膜からなる蓄熱層3が設けられている。また、蓄熱層3の表面には発熱素子2が設けられている。発熱素子2は、例えばTaSiN等の発熱抵抗体層4と、一部が除去されてギャップが形成された電極配線層5と、で構成されている。電極配線層5のギャップから露出する発熱抵抗体層4の部分が発熱素子2として機能する。発熱抵抗体層4および電極配線層5の表面にはこれらを被覆する絶縁層6が設けられており、この絶縁層6は、SiO膜、SiN膜、SiCN膜等で形成されている。
なお、本実施形態では、電極配線層5は発熱抵抗体層4の表面に設けられた構成であるが、電極配線層5が発熱抵抗体層4の基板1側の面である裏面に設けられた構成や、電極が蓄熱層3に埋め込まれた構成であってもよい。また、発熱素子2は、基板1に接していなくてもよく、基板1に対して宙に浮いてもよい。
絶縁層6の表面側には、発熱素子2を被覆する被覆層7が設けられている。被覆層7の表面は流路22に露出しており、液体の発泡に伴う化学的、物理的影響から発熱素子2を保護するための役割を備える。また、被覆層7は、その表面に堆積されたコゲを除去するクリーニングに際して、コゲと共に液体に溶出される。したがって、被覆層7は液体との電気化学反応により溶出する金属材料で形成されており、特に、加熱に伴って溶出を妨げる酸化膜が形成されない材料を用いることが好ましい。具体的には、Ir、Ruなどの貴金属材料が好ましい。そして、被覆層7の表面のうちの、その表面に直交する方向から見て発熱素子2と重複する部分が、発熱素子2によって発生された熱エネルギーを液体に付与するための熱作用部8となる。
また、コゲを除去する際に被覆層7は通電されるため、被覆層7は不図示の外部電極と電気的に接続されている。本実施形態では、絶縁層6と被覆層7との間には配線層9が設けられている。この配線層9は、被覆層7と外部電極とを電気的に接続するための配線を構成しており、導電性を有する材料を用いて形成される。電極配線層5は液体吐出ヘッド10の端部まで延在し、その先端が外部との電気的接続を行うための外部電極をなす。
また、流路22にはコゲを除去する際に用いられる対向電極24が設けられている。コゲを除去する際に対向電極24も通電されるため、対向電極24も不図示の外部電極と電気的に接続されている。対向電極24は被覆層7と同じ材料を用いて形成することが好ましい。これにより、被覆層7を成膜する工程において対向電極24を設けることができる。なお、対向電極24を被覆層7と異なる材料で形成してもよいが、その際は液体30やコゲ除去液32に対する耐食性を有する導電性材料を用いればよい。また、上述した配線層9は、被覆層7と対向電極24のそれぞれに対応する領域9a、9bに分けられ、それぞれ外部電極へ接続されている。
流路形成部材20は、樹脂や金属、或いは無機材料で形成されている。樹脂としては、例えばエポキシ樹脂のような感光性樹脂が挙げられる。金属としては、例えばSUSプレートが挙げられ、無機材料としては、SiNやSiC、SiCN等が挙げられる。本実施形態は、流路形成部材20は樹脂で形成されている。流路形成部材20には、発熱素子2に対応する位置に吐出口21が設けられており、流路形成部材20が基板1の被覆層7が設けられる側に接合されて、吐出口21に連通する流路22が形成されている。なお、吐出口21を含む吐出口部23が流路形成部材20を貫通するように設けられている。
基板1には、ドライエッチング、TMAH等によるウェットエッチング、或いはレーザー加工等によって基板1を貫通する供給口部12が形成されている。タンク(不図示)から供給口部12を介して流路22に供給された液体は、発熱素子2によって生じた熱エネルギーが付与されて、吐出口21から吐出される。なお、一つの発熱素子2に対応する供給口部12は一つでもよいし、複数であってもよい。また、複数の発熱素子2に対応するように共通の供給口部12が設けられていてもよい。なお、一つの発熱素子2に対応して複数の供給口部12が設けられている構成では、発熱素子2を挟むようにその両側に供給口部12を設けると、発熱素子2に対応する熱作用部8に対して均等に液体が供給されやすくなるため好ましい。
なお、液体吐出ヘッド10は、熱作用部8(被覆層7の表面のうちの発熱素子2に対応する部分)が設けられた圧力室を有している。圧力室は流路22の一部でもある。この圧力室に供給された液体を吐出口とは別の排出口から排出し、この排出された液体を再度圧力室に供給してもよい。すなわち、液体吐出ヘッド10は、圧力室内の液体を圧力室の外部との間で循環できるような構成であってもよい。
<液体吐出ヘッドのクリーニング方法>
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドのクリーニング方法を、図2(a)から図2(d)に示した液体吐出ヘッドの断面図を参照して説明する。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドのクリーニング方法を、図2(a)から図2(d)に示した液体吐出ヘッドの断面図を参照して説明する。
まず、図2(a)に示されるように、液体吐出を行い、熱作用部8にコゲ33が付着された液体吐出ヘッド10を用意する。流路22および供給口部12にはインク等の吐出用液体30(以下、液体30とも称する)が充填されている。この際、液体吐出ヘッド10は液体吐出装置に取り付けられていてもよいし、取り外されていてもよい。
次に、図2(b)に示されるように、液体吐出ヘッド10に対してコゲ除去液32を供給するため、キャップ31を吐出口21が設けられた吐出口面に取り付ける。キャップ31の内部にはコゲ除去液32が充填されている。
なお、コゲ除去液32としては、後のコゲ除去工程において被覆層7とコゲ除去液32との間で電気化学反応が生じ得る液体が用いられる。吐出用液体30によっては被覆層7との間で電気化学反応が生じにくかったり、複数種の吐出用液体30の電気伝導率が異なる場合に被覆層7の溶出量のばらつきが生じたりすることがあるので、コゲ除去液32を用いることが好ましい。具体的には、コゲ除去液32は、電解質を含む液体あるいは導電性液体といった導電性を有する液体から構成されていればよい。また、流路22に露出する液体吐出ヘッド10の各部材が腐食されにくいようにコゲ除去液32は中性に近いことが好ましい。
さらに、コゲ除去液32の電気伝導率と液体30の電気伝導率とが近いことが好ましい。これにより、後述する液体30からコゲ除去液32への置換が複数の流路22間で一定でなく、コゲ除去液32の濃度のばらつきが複数の流路22間で生じた場合においても、複数の流路22間における溶液の電気伝導率のばらつきを抑えることができる。したがって、コゲ除去工程の際に複数の流路22間における被覆層7の溶出のばらつきを抑えることが可能となる。具体的には、コゲ除去液32の電気伝導率の値が液体30の電気伝導率の値の50%以上200%以下であることが好ましい。また、複数種の液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいては、コゲ除去液32の電気伝導率が、用いられる複数種の吐出用液体の電気伝導率の値の平均値に近いことが好ましい。これにより、複数種の吐出用液体に応じて複数種のコゲ除去液32を用意しなくても、複数種の吐出用液体がそれぞれ流れる各流路22に露出する各被覆層7の溶出のばらつきを抑えることができる。
また、流路22内における液体30からコゲ除去液32への置換の状態を確認しやすくするために、コゲ除去液32は色材を含んでいてもよい。一方、低コスト化の観点からはコゲ除去液32の色材の含有量はできるだけ少ない方が好ましい。また、コゲ除去液32は固着の原因となり得る顔料粒子を含まない方が好ましい。
また、キャップ31の形態としては、キャップ31と吐出口面とでコゲ除去液32を略密閉できる形態や、キャップ31がフェンス状のような開放された形態でもよい。なお、液体吐出ヘッド10を液体吐出装置に取り付けたままの状態でコゲ除去液32を流路22へ供給する場合は、液体吐出装置本体の汚染を防ぐためにキャップ31と吐出口面とでコゲ除去液32を略密閉できる形態である方が好ましい。また、キャップ31を用いずにコゲ除去液32が入った容器に液体吐出ヘッド10を浸漬させてもよい。
次に、図2(c)に示されるように、キャップ31から吐出口21を介して流路22にコゲ除去液32を供給し、流路22内の液体30をコゲ除去液32で置換する。ここで、複数の流路22間において液体30からコゲ除去液32への置換の度合いが異なると、複数の流路22にそれぞれ対応する被覆層7の溶出量が異なってしまい、画像にムラが生じる恐れがある。そこで、少なくとも流路22のうちの熱作用部8の近傍や熱作用部8と対向電極24との間の部分がコゲ除去液32で満たされるように液体30をコゲ除去液32で置換することが好ましい。このように複数の流路22において上述の部分をコゲ除去液32で満たして電気伝導率を揃えることで、被覆層7と対向電極24との間に電圧を印加し、コゲ除去液32に被覆層7を溶出する際に、複数の流路22に対応する被覆層7の溶出量を揃えることができる。したがって、流路22の上述の部分がコゲ除去液32で満たされた状態で、後述するコゲ除去工程における電圧の印加を開始することが好ましい。
さらに、複数の流路間における液体30からコゲ除去液32への置換の度合いを一層揃えるためには、流路22全体がコゲ除去液32で満たされるようにすることが好ましい。また、流路22全体がコゲ除去液32で満たされた状態で、後述のコゲ除去工程における電圧の印加を開始することが好ましい。
なお、液体30がコゲ除去液32で置換された状態とは、液体30がコゲ除去液32で完全に置き換わった状態だけではなく、液体30とコゲ除去液32とが混ざり合った状態であってもよい。上述した流路22のうちの熱作用部8の近傍や熱作用部8と対向電極24の間の部分において、コゲ除去液32の割合が液体30の割合を上回ればよい。
また、液体30とコゲ除去液32とは拡散によって次第に混ざり合うため、流路22の上述の部分における液体30がコゲ除去液32によって置換された後も、コゲ除去液32を供給し続けてもよい。しかし、コゲ除去液32がタンクまで到達すると後の回復工程で液体30の回復が困難になる可能性があるので、少なくともコゲ除去液32が供給口部12に達したらコゲ除去液32の供給を止めるか供給量を減らすことが好ましい。
また、液体吐出ヘッド10の流路22に吐出口21を介してコゲ除去液32を供給する際に、液体吐出ヘッド10の内部に対してキャップ31の内部を陽圧にすることでコゲ除去液32を流路22に押し込んでもよい。また、キャップ31の内部に対して液体吐出ヘッド10の内部を負圧にすることでコゲ除去液32を引き込んでもよい。前者はキャップ31にポンプなどの圧力発生手段を繋げばよい。後者はタンクから供給口部12の間の液体経路にポンプを繋ぐか、液体経路に上下可能なサブタンクを設けるか、液体吐出ヘッド10あるいはタンクに上下機構を設けることで圧力発生手段としてもよい。ここで、キャップ31やポンプなどを、コゲ除去液32を流路22に供給する供給手段とも称する。これらの供給手段は液体吐出装置に設けてもよい。なお、圧力発生手段を用いずに液体30からコゲ除去液32を自然置換させてもよい。
次に、被覆層7と対向電極24との間に電圧を印加することで被覆層7の表面とコゲ除去液32との電気化学反応を生じさせ、被覆層7の表面とともに熱作用部8に堆積したコゲ33をコゲ除去液32に溶出させる。この際、被覆層7がアノード、対向電極24がカソードとなるように電圧を印加する。なお、コゲの除去工程における電圧の印加は、液体30からコゲ除去液32へ置換している間に開始してもよいし、また、置換を完了した後に開始してもよい。前者では、コゲ除去工程中にコゲ除去液32への置換を止めてもよいし、置換を続けてもよい。なお、被覆層7と対向電極24との間に電圧を印加するための電圧印加手段を液体吐出装置に設けてもよい。
次に、図2(d)に示すように、流路22や吐出口部23からコゲ除去液32を排出し、液体30を流路22に供給することで液体吐出ヘッド10を記録可能な状態に復帰させる。なお、コゲ除去液32の液体吐出ヘッド10の外部への排出方法としては以下の例がある。例えば、キャップ31を装着した状態で液体吐出ヘッド10の内部に対してキャップ31内を負圧にすることで吐出口21を介してキャップ31内にコゲ除去液32を吸引してもよい。その際は、上述した圧力発生手段を利用すればよい。また、発熱素子2によって熱エネルギーを発生させることで吐出口21から液体吐出ヘッド10の外部にコゲ除去液32を吐出させてもよい。
なお、このコゲ除去液32を排出する工程中に熱作用部8近傍にコゲ除去液32が十分に残っている状態であれば、排出工程中にコゲ除去工程を継続していてもよい。
また、廃棄物低減および低コスト化の観点からはコゲ除去液32の排出の際にコゲ除去液32とともに排出される液体30の量をできるだけ少なくすることが好ましい。また、使用されたコゲ除去液32には除去されたコゲ33が含まれているのでコゲ除去液32として再利用する際にはコゲ33の成分を除去して再生して用いることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態の液体吐出ヘッド10のクリーニング方法では、吐出口21を介して液体吐出ヘッド10の流路22にコゲ除去液32を供給する。ここで、通常、液体吐出ヘッド10において吐出口部23の容積は微小であり、タンクなど外部の液体経路の容積と比べて十分に小さい。より具体的には、吐出口21から対向電極24までの吐出口部23と流路22との容積の合計は、タンクの排出口から熱作用部8までの外部の液体経路とヘッド10の供給口部12及び流路22との容積の合計よりも十分に小さい。したがって、吐出口21を介してコゲ除去液32を流路22に供給すると、液体吐出ヘッド10の外部から供給口部12を介してコゲ除去液32を流路22に供給する場合と比べ、コゲ除去液32の供給量を抑えてコゲ除去液32を流路22で満たすことができる。
また、基板1の厚み方向(本実施形態では基板1の表面に直交する方向)における供給口部12の長さは、吐出口部23の長さよりも長く、また、基板1の表面における供給口部12の開口面積は、吐出口21の面積よりも大きい。したがって、供給口部12の容積は吐出口部23の容積よりも大きい。これにより、吐出口21を介して液体吐出ヘッド10にコゲ除去液32を供給することで、供給口部12側から流路22にコゲ除去液32を供給する場合と比べて、コゲ除去液32の供給量を抑えてコゲ除去液32を流路22で満たすことができる。
さらに、コゲの除去工程を行った後に液体吐出ヘッド10を記録可能な状態に復帰させる際に、流路22内のコゲ除去液32を吐出用液体30で置換する際に要する吐出用液体30の使用量も抑えることができる。
次に、図2に示した形態と異なる液体経路形態である液体吐出装置における液体吐出ヘッドのクリーニング方法について説明する。上述と同様の形態については記載を省略する。
図3(a)に示すように、液体吐出ヘッド10の供給口部12と吐出用液体30を収容するタンク40とは、液体経路41を介して液体30が供給可能な構成となっている。ここで、液体経路41は液体吐出ヘッド10の供給口部12とタンク40との間で分岐している。液体経路41には不図示の流れ発生手段が接続されており、液体30がタンク40から出てタンク40に戻る流れと液体30がタンク40から供給口部12へ向かう流れを発生させることができるように構成されている。
このような構成の液体吐出ヘッド10に対して、図3(b)に示されるように、コゲ除去液32を供給するためのキャップ31を吐出口21が設けられた吐出口面に取り付ける。キャップ31の内部にはコゲ除去液32が充填されている。
次に、図3(c)に示されるように、吐出口21を介して流路22にコゲ除去液32を供給し、流路22内の液体30をコゲ除去液32で置換する。この際に液体経路41にタンク40から出てタンク40に戻る流れを発生させると、外部に対して液体経路41内に負圧が発生し、キャップ31内のコゲ除去液32は吐出口21を介して流路22内に引き込まれる。このようにしてコゲ除去液32を流路22に供給し、上述した実施形態のようにコゲの除去工程を行う。
その後、図3(d)に示されるように、コゲ除去液32を排出する工程においては、液体経路41の両側にタンク40から供給口部12へ向かう流れを発生させる。これにより、液体30を流路22に供給し、吐出口21を介して液体吐出ヘッド10の外部にコゲ除去液32を排出する。
<実施例>
まず、図2(a)に示されるように、液体吐出を行い、熱作用部8にコゲ33が付着された液体吐出ヘッド10を用意した。液体吐出ヘッド10は液体吐出装置に取り付けられたままとした。
まず、図2(a)に示されるように、液体吐出を行い、熱作用部8にコゲ33が付着された液体吐出ヘッド10を用意した。液体吐出ヘッド10は液体吐出装置に取り付けられたままとした。
次に、図2(b)に示されるように、コゲ除去液32が充填されているキャップ31を液体吐出ヘッド10の吐出口面に取り付けた。
次に、図2(c)に示されるように、キャップ31から吐出口21を介してコゲ除去液32を供給し、コゲ除去液32で吐出用液体30を置換した。その際、キャップ31に取り付けたポンプを用いて吐出口21に対してキャップ31の内部を陽圧にしてコゲ除去液32を供給し、流路22の内部が吐出用液体30からコゲ除去液32で置換されたところで注入を停止し、キャップ31を取り外した。
次に、注入停止後すぐに被覆層7と対向電極24との間に電圧の印加を開始した。この際、被覆層7に1.5Vの電圧を60秒印加した。これにより、被覆層7の表面とコゲ除去液32との電気化学反応を生じさせて、被覆層7の表面をコゲ除去液32に溶出させてコゲ33を除去した。
次に、図2(d)に示すように、発熱素子2によって熱エネルギーを発生させて吐出口21からコゲ除去液32を吐出させ、液体吐出ヘッド10の外部へコゲ除去液32を排出し、吐出用液体30を回復させて液体吐出ヘッド10を記録可能な状態に復帰させた。
2 発熱素子
7 被覆層
10 液体吐出ヘッド
21 吐出口
22 流路
7 被覆層
10 液体吐出ヘッド
21 吐出口
22 流路
Claims (12)
- 液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に連通する流路と、前記流路内の液体を吐出するための熱エネルギーを発生する発熱素子と、前記流路に露出する表面を備え、前記発熱素子を被覆する被覆層と、を有する液体吐出ヘッドに対し、前記被覆層の前記表面に堆積するコゲを除去する液体吐出ヘッドのクリーニング方法において、
前記吐出口を介して液体を前記流路に供給する工程と、
前記被覆層に電圧を印加して前記供給する工程において供給された液体と前記被覆層との間で電気化学反応を生じさせ、コゲと共に前記被覆層を溶出させる工程と、
を有することを特徴とする液体吐出ヘッドのクリーニング方法。 - 前記液体吐出ヘッドは前記流路に露出する表面を備える対向電極を有しており、前記被覆層と前記対向電極との間に電圧を印加して前記被覆層を溶出させる、請求項1に記載の液体吐出ヘッドのクリーニング方法。
- 前記流路のうちの、前記被覆層の前記表面と前記対向電極の前記表面との間が、前記供給する工程において供給された液体で満たされた状態で、前記被覆層と前記対向電極との間に電圧を印加し始める、請求項2に記載の液体吐出ヘッドのクリーニング方法。
- 前記流路が前記供給する工程において供給された液体で満たされた状態で、前記被覆層と前記対向電極との間に電圧を印加し始める、請求項2または請求項3に記載の液体吐出ヘッドのクリーニング方法。
- 前記供給する工程において、キャップで前記吐出口を覆い、前記キャップから前記吐出口を介して液体を前記流路に供給する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドのクリーニング方法。
- 前記吐出口から液体を排出する工程を更に有し、
前記溶出させる工程中または前記溶出させる工程の後に前記排出する工程を開始する、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドのクリーニング方法。 - 前記排出する工程において前記発熱素子によって熱エネルギーを発生させて液体を吐出する、請求項6に記載の液体吐出ヘッドのクリーニング方法。
- 前記供給する工程において、前記流路内の液体と異なる液体を前記流路に供給する、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドのクリーニング方法。
- 前記液体吐出ヘッドは、前記吐出口と前記流路と連通し、前記吐出口を備える部材を貫通する吐出口部と、前記流路と外部とを連通する供給口部と、を有しており、
前記吐出口部の容積は前記供給口部の容積よりも小さい、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドのクリーニング方法。 - 液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に連通する流路と、前記流路内の液体を吐出するための熱エネルギーを発生する発熱素子と、前記流路に露出する表面を備え、前記発熱素子を被覆する被覆層と、を有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記吐出口を介して前記流路に液体が供給され、当該供給された液体と前記被覆層との間に電気化学反応を生じさせるために前記被覆層に電圧が印加されることを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記流路の一部であり、前記発熱素子に対応する前記被覆層の前記表面の部分が設けられた圧力室を有し、前記圧力室内の液体は当該圧力室の外部との間で循環される、請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
- 液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に連通する流路と、前記流路内の液体を吐出するための熱エネルギーを発生する発熱素子と、前記流路に露出する表面を備え、前記発熱素子を被覆する被覆層と、を有する液体吐出ヘッドと、
前記吐出口を介して液体を前記流路に供給する供給手段と、
前記供給手段によって供給された液体と前記被覆層との間に電気化学反応を生じさせるために、前記被覆層に電圧を印加する電圧印加手段と、
を有することを特徴とする液体吐出装置。
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JP2020062827A (ja) * | 2018-10-18 | 2020-04-23 | キヤノン株式会社 | 液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法および液体吐出装置 |
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2016
- 2016-03-16 JP JP2016053093A patent/JP2017164999A/ja active Pending
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