以下、図面を参照しつつ、本発明の1実施形態に係る遊技機を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、本体枠100と、本体枠100左側に上下を回動自在で且つ着脱自在に軸支された上部前面枠3Aと、この上部前面枠3Aの下側に位置して本体枠100の一側に上下を回動自在で且つ着脱自在に軸支された下部前面枠3Bと、下部前面枠3Bの前面に配置される表示用ユニット50を備えている。パチンコ遊技機1では、上部前面枠3Aと下部前面枠3Bと表示用ユニット50とで遊技機1の前面を構成している。
上部前面枠3Aと下部前面枠3Bとは相互に分離しており、上部前面枠3Aは、一側上下に取り付けられた軸受部31a、31bが本体枠100の図示しないヒンジ部に軸支されることによって、本体枠100に対して回動可能に取り付けられている。この上部前面枠3Aには遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2が着脱自在に取り付けられている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、外縁をほぼ円形状とする遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が発射されて打ち込まれる。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の右下の縁上)には、第1特別図柄表示装置4Aと、第2特別図柄表示装置4Bとが設けられている。第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、可変表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(可変表示)される。例えば、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を可変表示する。なお、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて表示される特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成されるものに限定されず、例えば7セグメントのLEDにおいて点灯させるものと消灯させるものとの組合せを異ならせた複数種類の点灯パターンが、複数種類の特別図柄として予め設定されていればよい。
複数種類の特別図柄には、それぞれに対応した図柄番号が付されている。一例として、「0」〜「9」を示す数字それぞれには、「0」〜「9」の図柄番号が付され、「−」を示す記号には、「10」の図柄番号が付されていればよい。以下では、第1特別図柄表示装置4Aにおいて可変表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示装置4Bにおいて可変表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはともに、例えば方形状に形成されている。なお、第1特図の種類と第2特図の種類は同じ(例えば、ともに「0」〜「9」を示す数字、及び、「−」を示す記号)であってもよいし、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、例えば「00」〜「99」を示す数字(あるいは2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
遊技盤2における遊技領域の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。
一例として、画像表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される。
このように、画像表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の飾り図柄の可変表示を行い、可変表示結果となる確定飾り図柄を導出表示(あるいは単に「導出」ともいう)する。なお、例えば特別図柄や飾り図柄といった、各種の表示図柄を導出表示するとは、飾り図柄等の識別情報を停止表示(完全停止表示や最終停止表示ともいう)して可変表示を終了させることである。これに対して、飾り図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでの可変表示中には、飾り図柄の変動速度が「0」となって、飾り図柄が停留して表示され、例えば微少な揺れや伸縮などを生じさせる表示状態となることがある。このような表示状態は、仮停止表示ともいい、可変表示における表示結果が確定的に表示されていないものの、スクロール表示や更新表示による飾り図柄の変動が進行していないことを遊技者が認識可能となる。なお、仮停止表示には、微少な揺れや伸縮なども生じさせず、所定時間(例えば1秒間)よりも短い時間だけ、飾り図柄を完全停止表示することなどが含まれてもよい。
「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて可変表示される飾り図柄には、例えば8種類の図柄(英数字「1」〜「8」あるいは漢数字や、英文字、所定のモチーフに関連する8個のキャラクタ画像、数字や文字あるいは記号とキャラクタ画像との組合せなどであればよく、キャラクタ画像は、例えば人物や動物、これら以外の物体、もしくは、文字などの記号、あるいは、その他の任意の図形を示す飾り画像であればよい)で構成される。飾り図柄のそれぞれには、対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」〜「8」を示す英数字それぞれに対して、「1」〜「8」の図柄番号が付されている。なお、飾り図柄は8種類に限定されず、大当り組合せやハズレとなる組合せなど適当な数の組合せを構成可能であれば、何種類であってもよい(例えば7種類や9種類など)。
飾り図柄の可変表示が開始された後、可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでには、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて、例えば図柄番号が小さいものから大きいものへと順次に上方から下方へと流れるようなスクロール表示が行われ、図柄番号が最大(例えば「8」)である飾り図柄が表示されると、続いて図柄番号が最小(例えば「1」)である飾り図柄が表示される。あるいは、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rのうち少なくともいずれか1つ(例えば「左」の飾り図柄表示エリア5Lなど)において、図柄番号が大きいものから小さいものへとスクロール表示を行って、図柄番号が最小である飾り図柄が表示されると、続いて図柄番号が最大である飾り図柄が表示されるようにしてもよい。
画像表示装置5の表示領域には、始動入賞記憶表示エリア5Hが配置されている。始動入賞記憶表示エリア5Hでは、特図ゲームに対応した可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、特図ゲームに対応した可変表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、可変表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する可変表示の保留が行われる。
図1に示す例では、始動入賞記憶表示エリア5Hとともに、第1特別図柄表示装置4A及び第2特別図柄表示装置4Bの下部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。第1特図保留記憶数は、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留されている記憶数である。第2特図保留記憶数は、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留されている記憶数である。第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数とを加算した可変表示の保留記憶数は、特に、合計保留記憶数ともいう。単に「特図保留記憶数」というときには、通常、第1特図保留記憶数、第2特図保留記憶数及び合計保留記憶数のいずれも含む概念を指すが、特に、これらの一部(例えば第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数を含む一方で合計保留記憶数は除く概念)を指すこともあるものとする。
遊技盤2における遊技領域の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図示しないソレノイドによって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)第2始動入賞口を形成する。
一例として、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイドがオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しがたい通常開放状態となる。その一方で、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイドがオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となる傾動制御により、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすい拡大開放状態となる。なお、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態であるときでも、第2始動入賞口には遊技球が進入可能であるものの、拡大開放状態であるときよりも遊技球が進入する可能性が低くなるように構成してもよい。あるいは、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態において、例えば第2始動入賞口を閉鎖することなどにより、第2始動入賞口には遊技球が進入しないように構成してもよい。このように、第2始動領域としての第2始動入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすい拡大開放状態と、遊技球が通過(進入)しにくいまたは通過(進入)できない通常開放状態とに変化する。
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口や普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図示しない第1始動口スイッチや第2始動口スイッチによって検出される。第1始動口スイッチによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。なお、第1始動口スイッチによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動口スイッチによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、大入賞口扉用の図示しないソレノイドによって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。
一例として、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイドがオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)できなくする。その一方で、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイドがオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)しやすくする。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。なお、遊技球が大入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が大入賞口を通過(進入)しにくい一部開放状態を設けてもよい。
大入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図示しないカウントスイッチによって検出される。カウントスイッチによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の賞球がカウントされる。こうして、特別可変入賞球装置7において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口といった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球がカウントされる。したがって、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の左側方)には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bと同様に7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成され、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄(「普図」あるいは「普通図」ともいう)を変動可能に表示(可変表示)する。このような普通図柄の可変表示は、普図ゲーム(「普通図ゲーム」ともいう)と称される。
普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート26を通過した有効通過玉数としての普図保留記憶数を表示する。
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、第1始動入賞口、第2始動入賞口及び大入賞口とは異なる入賞口として、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一または複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに進入した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球としてカウントされればよい。遊技領域の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口8が設けられている。
上部前面枠3Aの左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域における各構造物(例えば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。
なお、パチンコ遊技機1は、内部に遊技媒体の一例の遊技球(パチンコ玉)を封入した封入式パチンコ遊技機である。封入式パチンコ遊技機は、遊技者の持ち点の減点と引き換えに内部に封入した遊技球を使用して遊技を行うパチンコ遊技機である。封入式パチンコ遊技機には、磁石を用いた不正を防止するために、非磁性体の遊技球が封入される。遊技者が打球操作ハンドル37を操作することにより、発射装置14(図2)に含まれる発射ソレノイド41(図16〜図18)を駆動させて遊技球を1発ずつ遊技盤2の遊技領域に打込んで遊技ができるように構成されている。具体的には、打球操作ハンドル37の周囲にタッチセンサが設けられており、遊技者が打球操作ハンドル37を操作している状態でその遊技者の手がタッチセンサに触れ、その遊技者の手の接触をタッチセンサで検知して発射ソレノイド41(図16〜図18)が駆動される。この状態で、遊技者による打球操作ハンドル37の回動操作量に応じて打球発射の勢いが調整されて遊技球が遊技領域内に発射される。
遊技領域内に打込まれた遊技球はいずれかの入賞口に入賞するかあるいは入賞することなくアウト口8に回収される。入賞口に入賞した遊技球およびアウト口8に回収された遊技球は、再度パチンコ遊技機1内の循環路を通って発射位置14にまで戻される。そして、遊技者が打球操作ハンドル37を操作することにより、再びその打球発射位置にある遊技球が遊技領域内に打込まれる。
パチンコ遊技機1(以下、P台と略称することもある)の側方には、カードユニット10(以下、CUと略称することもある)が1対1に対応設置されている。このカードユニット10は、会員登録をしていない一般の遊技者に対して発行される遊技用記録媒体であるプリペイド機能を備えるビジターカードや、該遊技場に会員登録した会員遊技者に対して発行される遊技用記録媒体である会員カードを受付けて、それらカードの記録情報により特定される遊技者所有の遊技価値(たとえばカード残高、持玉数、あるいは貯玉数等)を用いて対応するパチンコ遊技機1における遊技媒体の一例の封入玉を弾発発射させて遊技ができるようにするための機能を有する。なお、ビジターカードや会員カードはICカードで構成されている。
それらのカードを受付けたカードユニット10は、カードの記録情報により特定される遊技者所有の遊技価値(たとえばカード残高、持玉数、あるいは貯玉数等)を“遊技玉のデータ”に変換する機能を有する。パチンコ遊技機1では、遊技玉のデータによって特定される玉数相当の弾球遊技が可能とされる。
カードユニット10の前面側には、紙幣を挿入するための紙幣挿入口302、会員カードやビジターカードを挿入するためのカード挿入/排出口309などが設けられている。このカード挿入/排出口309に挿入された会員カードやビジターカードがカードリーダライタ(図示略)に受付けられ、そのカードに記録されている情報が読取られる。
ここで、「貯玉」とは、遊技場に預入れられた遊技媒体であり、一般的に当該遊技場に設置されたホール用管理コンピュータやその他の管理コンピュータにより管理される。
「持玉数」とは、遊技者が遊技機により遊技を行なった結果遊技者の所有となった遊技玉数をカードに記録したものであって、未だに遊技場に預入れられていない玉数のことである。一般的には、遊技場において当日遊技者が獲得した玉数を「持玉」と言い、前日以前に遊技者が獲得した玉数であって遊技場に預入れられた玉数を「貯玉」と言う。
「遊技玉」とは、遊技機で発射可能な玉数のデータである。このデータは、プリペイドカードの残高、持玉、あるいは貯玉を引落すことと引き換えにして生成される。
なお、持玉数を遊技場に設定された持玉数管理用の管理装置で管理してもよい。要するに、「貯玉」と「持玉」との違いは、遊技場に預入れるための貯玉操作が行なわれて遊技場に預入れられた玉数であるか、あるいは、未だに遊技場に預入れられていない段階の玉数であるかの点である。
本実施形態では、貯玉データは会員カードに直接記録させずホール用管理コンピュータ等の遊技場に設置されたホールサーバに会員カード番号と対応付けて記憶させ、会員カード番号に基づいて対応する貯玉を検索できるように構成されている。一方、持玉は、カードに直接記録している。しかし、それに限定されるものではなく、両者ともにホールサーバにカード番号と対応付けて記憶させてもよい。ビジターカードの場合も、持玉は、ビジターカードに直接記録している。しかし、それに限定されるものではなく、持玉をホールサーバにカード番号と対応させて記憶させてもよい。このホールサーバにカード番号と対応させて記憶させる際に、ホールサーバに記憶させた時刻を特定できるデータをカード(会員カード、ビジターカード)に書込んで排出してもよい。また、プリペイド残高についてはカード(会員カード、ビジターカード)に直接書込んで排出する。
なお、持玉を、カード(会員カード、ビジターカード)、またはホールサーバに記憶させるタイミングは、たとえば、計数ボタンが操作されて計数処理が行なわれるたびにリアルタイムに記憶させる、一定周期ごとに記憶させる、またはカードを返却するときに一括して記憶させるなどがある。
紙幣挿入口302に挿入された紙幣は、貨幣識別器(図示略)により取込まれてその真贋や紙幣種別の識別がなされる。
なお、下部前面枠3Bには、複数の操作スイッチ群38が形成されている。これらの操作スイッチ群38としては、例えば、玉貸ボタン(貸出ボタンとも言う)と返却ボタンである。玉貸ボタンは、挿入されたカードに記録されている残高を引落して、パチンコ遊技機1による遊技に用いるための操作(遊技玉への変換操作)を行なうボタンである。返却ボタンは、遊技者が遊技を終了するときに操作され、挿入されているカードに遊技終了時の確定した遊技玉数(カード挿入時の持玉数−遊技玉への変換数+計数操作によって計数された持玉数)を記憶させて排出するための操作ボタンである。なお、玉貸ボタン、返却ボタンはカードユニット10に設けられていてもよい。
図2は、本発明の実施形態に係る遊技機の分解斜視図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1を正面(後述する前方)から見た場合の上下左右方向をそのまま以下の説明で用いるとともに、パチンコ遊技機1に対して遊技者が位置する側を前方(その反対側を後方)として以下の説明をする。なお、図に示すように、パチンコ遊技機1は、各構成部材が前後方向に重なって構成されている。
パチンコ遊技機1は、上下方向に縦長の方形状の外枠60を有している。外枠60は、木製の板材からなる上板61及び下板62と、鋼製の板材からなる左右の側板63、64とから構成されている。上板61と左右の側板63,64、及び下板62と左右の側板63,64とは取付金具65により連結されている。これにより、外枠60は、方形状に形成されている。なお、左右の側板63,64は、鋼材に限定されず、アルミ材やステンレス材等の金属材料から構成することができる。また、外枠60の左上部に設けられた取付金具65には、軸孔65aが形成されている。また、外枠60の左下部に設けられた図示しない取付金具には、上方に突出した軸ピン(不図示)が形成されている。
また、パチンコ遊技機1は、この外枠60に回動可能に支持される本体枠100を有している。本体枠100は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂から形成されており、前述の外枠60と同様に方形状をなしている。本体枠100は、遊技盤2を保持する。また、本体枠100には、後述するように、発射装置14等の種々の駆動手段が取り付けられている。本体枠100の左上部には、下方に向いた軸ピン101aが形成された連結片101が前方に突出するように取り付けられている。また、本体枠100の左下部には、上方に突出した軸ピン102aが形成されるとともに下面に図示しない軸孔が形成された連結片102が、前方に突出するように取り付けられている。
そして、外枠60の取付金具65に形成された軸孔65aに、本体枠100の連結片101に形成された軸ピン101aが挿通されるとともに、外枠60の左下部に設けられた図示しない軸ピンが、連結片102に形成された図示しない軸孔に挿通されることで、本体枠100は外枠60に回動可能に支持されている。
また、パチンコ遊技機1は、本体枠100に回動可能に支持される上部前面枠3Aを備えている。上部前面枠3Aには、遊技盤2に形成された遊技領域に対応した開口である透視窓3Cが形成されている。そして、この透視窓3Cを後方から覆う透明カバー11が、周知の固定手段(例えば、ネジ止め)により上部前面枠3Aに取り付けられている。透明カバー11は、例えば、ガラス体から構成されている。これにより、遊技者は、透視窓3Cに取り付けられた透明カバー11を通して遊技盤2の遊技領域を視認することができる。なお、このように取り付けられた透明カバー11は、遊技盤2との間に遊技球の直径よりも大きな隙間を形成する。これにより、発射装置14により発射された遊技球は、遊技領域を流下する。なお、透視窓3Cに設ける透明カバー11としてはガラス体に限定されず、その他、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明な合成樹脂を用いてもよい。
なお、本体枠100の連結片103の下面には、図示しない軸孔が形成されている。また、本体枠100の連結片104の上面には、上方に突出した軸ピン104aが形成されている。上部前面枠3Aは、これらの軸孔(不図示)及び軸ピン104aにより軸支されて、本体枠100に回動可能に支持されている。
また、パチンコ遊技機1は、上部前面枠3Aの下方に、下部前面枠3Bを備えている。 下部前面枠3Bの前面上側には、持点表示部35と操作部36が設けられており、また、下部前面枠3Bの右側には、遊技球を発射するための打球操作ハンドル37が設けられている。持点表示部35は、7セグメント、ドットマトリクスのLED、LCD(液晶表示装置)などで構成され、遊技者の持ち点を表示する。また、操作部36には、例えば各種スイッチ(精算スイッチ、中断スイッチ、玉貸スイッチ、自動玉貸スイッチ、リプレースイッチ、カードデータスイッチ、呼出スイッチ)のうちの1つまたは複数が集約して設けられている。打球操作ハンドル37は、図示しない打球発射装置に接続され、遊技者が打球操作ハンドル37のハンドルリングを操作することによって、遊技領域に遊技球が発射される。
下部前面枠3Bには、持点表示部35や打球操作ハンドル37を避けたスペースである配置面39に、表示用ユニット50が配置される。下部前面枠3Bにおける表示用ユニット50を配置するための配置面39は、下部前面枠3Bの回動軸Rよりも後方に退避して(オフセットして)形成されている。また、配置面39には、表示用ユニット50を下部前面枠3Bに対して係止するための係止部(係止部材)39aが設けられている。なお、係止部39aは、左右に2組並んで設けられるものに限定されず、例えば1つだけ設けてもよい。
下部前面枠3Bは、本体枠100の連結片104の下面に形成された図示しない軸孔に、上方を向いた軸ピン105が挿入されるとともに、本体枠100の連結片102の軸ピン102aが、図示しない軸孔に挿通されることにより、本体枠100に回動可能に支持されている。
表示用ユニット50は、アーム51を介してカードユニット10に取り付けられて、下部前面枠3Bの配置面39に配置される。アーム51は複数の回動軸(関節)を有し、表示用ユニット50を自在に動かすことができる。そのため、表示用ユニット50を容易に、配置面39に配置することができる。表示用ユニット50は、例えば、液晶表示装置で構成されており、多様の表示画面を遊技者に表示する。
次に、本実施形態における遊技機において、遊技球を循環させるための各種装置について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る遊技機の本体枠を後方から見た分解斜視図である。
本体枠100は、遊技盤2を保持するとともに、左上部に発射装置14を有している。遊技球は発射装置14の発射口(不図示)から遊技盤2に向けて発射され、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球は、アウト口8から遊技盤2の後方に向けて流下する。
本体枠100の後方には、主制御基板16と払出制御基板17とが設けられている。主制御基板16は、遊技盤2の後方に設けてあり、パチンコ遊技機1の遊技の進行制御を行なう。払出制御基板17は、遊技盤2の後面を覆う裏カバー18に設けられている。また、払出制御基板17上には、メンテナンス時等に遊技球を外部に排出するための玉抜きスイッチ19が設けられている。この玉抜きスイッチ19を用いての玉抜き処理の詳細については後述する。裏カバー18は4本の脚18aを有し、4本の脚18aのそれぞれが本体枠100にボルト止めされている。これにより、払出制御基板17が設けられた裏カバー18は、本体枠100の後面の一部を覆った状態で、本体枠100に取り付けられる。
本体枠100の後面には、さらに、電源装置21、遊技球検出装置27、研磨装置23、及び揚送装置25が配置されている。電源装置21の右隣には、パチンコ遊技機1の電源スイッチ21aが設けられている。裏カバー18の4本の脚18aは、裏カバー18が本体枠100の後方に取り付けられたとしても電源スイッチ21aが操作できるように、十分な高さが確保されている。
遊技球検出装置27は、アウト口8、あるいは入賞口に進入した遊技球を研磨装置23に導く装置であり、循環路の一部を構成する。研磨装置23は、後述するように、循環路の一部を構成する搬送スクリュ72(図7、8)を有する。研磨装置23は、搬送スクリュ72(図7、8)で遊技球を玉揚送装置25に向けて搬送するとともに、遊技球を研磨する。玉揚送装置25は、遊技玉をパチンコ遊技機1の上方へ搬送(揚送)する装置であり、循環路の一部を構成する。また、本体枠100の上部に配置され、遊技球を遊技盤2の遊技領域へ向けて発射する発射装置14も、循環路の一部を構成する。このように本実施の形態における遊技球の循環路とは、基本的に、遊技球検出装置27と研磨装置23と玉揚送装置25と発射装置14とを含み、パチンコ遊技機1内を一周して、もとの位置(たとえば発射装置14の発射位置)に戻るように構成された経路である。なお、上記の各部材に加え、さらに遊技盤2の遊技領域を含めて循環路と考えてもよい。
次に、循環路を構成する各装置の詳細について説明しながら、遊技球がパチンコ遊技機1内を循環する経路について説明する。本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機1において、遊技盤2の遊技領域に向けて発射された遊技球は、入賞口あるいはアウト口8(図3)に進入し、遊技球検出装置27に流下する。図4は、遊技球検出装置の斜視図であり、(a)は前方から見た図、(b)は後方から見た図である。
遊技球検出装置27は、検出装置本体29と、検出装置本体29の後面に取り付けられる保護カバー68と、前面に取り付けられる押え板69とを有している。検出装置本体29の上部には、アウト口8(図3)に進入した遊技球を受け入れるアウト球受入部66と、入賞口に進入した遊技球を受け入れる入賞球受入部67とが形成されている。
アウト球受入部66に進入した遊技球は、遊技球検出装置27内に形成された傾斜した流下路を流下し、流下の途中でアウト球検出センサ88により検出される。アウト球検出センサ88は、フォトセンサやマイクロスイッチから構成される。アウト球検出センサ88が、遊技球を検出すると、その検出信号が払出制御部171へ入力される。遊技球は、さらに流下路を流下し、排出口119から外部へと排出される。
入賞球受入部67に進入した遊技球は、遊技球検出装置27内に形成された傾斜した流下路を流下し、入賞球検出センサ(不図示)により検出される。入賞球検出センサ(不図示)は、フォトセンサやマイクロスイッチから構成される。入賞球検出センサ(不図示)が、遊技球を検出すると、その検出信号が払出制御部171へ入力される。その後、遊技球は、アウト球受入部66に進入した遊技球に合流し、排出口119から外部へと排出される。
遊技球検出装置27から排出された遊技球は、遊技球検出装置27の下方に位置する研磨装置23に進入する。図5は、本発明の実施形態に係る遊技機の研磨装置の斜視図であり、(a)は前方から見た図、(b)は後方から見た図である。また、図6は、本発明の実施形態に係る遊技機の研磨装置を前方から見た分解斜視図である。研磨装置23は、研磨モータ71と、搬送スクリュ72と、研磨カセット73と、カセットモータ74とを主に有している。研磨モータ71は、研磨装置(搬送スクリュ72)23を駆動させて研磨装置23における遊技球を搬送するためのモータであり、搬送スクリュ72などの後方に配置される。搬送スクリュ72は前述したように、循環しながら研磨される遊技球を搬送する。
研磨カセット73は、研磨部材が収納されたカセットである。なお研磨部材は、図5(a)おいて、研磨カセット73の後ろ側に配置されるため図示されないが、遊技球の表面を研磨するものである。研磨部材はたとえばバフ本体部と、バフ本体部の表面を覆う表面メッシュ部とを有している。バフ本体部は、たとえばスポンジなどの多孔質部材から形成される帯状の部材であるが、スポンジに限られず、たとえば玉の表面を研磨することにより玉の表面から取り除いた汚れなどを内部に取り込むことが可能な任意の材質を用いることができる。表面メッシュ部は、たとえばメッシュ状のネットがバフ本体部の外表面を覆うように配置されたものである。つまり表面メッシュ部が多数の孔を有することにより、たとえば玉の表面を研磨することにより玉の表面から取り除いた汚れなどを、表面メッシュ部を透過させてバフ本体部の内部へ取り込むことができる。
なお、バフ本体部は、必ずしも表面メッシュ部に覆われていなくてもよく、たとえばバフ本体部のみを有する構成であってもよい。この場合においても、一例として、紙のような部材からなるバフ本体部が用いられてもよい。
カセットモータ74は、これに設けられた図示されないモータギアの回転により、これと連結された研磨部材を、たとえば研磨カセット73内を循環するように移動させるモータである。より具体的には、前述した払出制御基板17によりカセットモータ74が駆動すると、上記モータギアが回転し、研磨部材が移動する。
ここで、図6の搬送スクリュ72は、これにより搬送される遊技球の下流側の方が上流側よりも上側に設けられるように傾いた態様で設置されている。研磨部材がほぼ水平に設置されているのに対して、搬送スクリュ72が斜めに設置されるため、搬送スクリュ72に沿って流れながら研磨される遊技球により、研磨部材(表面メッシュ部)の汚れは図6の上下方向の幅のほぼ全体に及ぶことになる。このため、表面メッシュ部のより広範囲を利用した研磨を高効率に行うことができる。仮に搬送スクリュ72が研磨部材(表面メッシュ部)と同様に水平方向に沿って流れれば、遊技球も水平方向に流れながら研磨されるため、研磨部材(表面メッシュ部)は図6の上下方向に関する一部のみが汚れ、一部の領域は全く汚れないまま交換されることになり、表面メッシュ部の利用効率が低下する。ただし搬送スクリュ72は、パチンコ遊技機1に対して水平に設置されてもよい。
研磨部材(表面メッシュ部)の特に研磨を行なう場所の移動や、研磨を行なう表面の切り替えなどは、常時少しずつ行なわれる構成であってもよい。ただし上記移動または切り替えなどは、たとえば一定時間経過後または一定個数の研磨後に一時に行なわれる構成であってもよい。
図7、図8は、本発明の実施形態に係る遊技機の研磨装置を後方から見た分解斜視図である。図7、図8においては、遊技球の経路が認識できるように、搬送スクリュ72を、研磨装置23のケース23aから分離して示している。
遊技球検出装置27から排出された遊技球は、遊技球進入口702から研磨装置23に進入し、搬送スクリュ72の研磨開始端部78に進入する。ここで研磨カセット73が搬送スクリュ72の前面に対向するようにセットされた状態で搬送スクリュ72の研磨開始端部78に遊技球が進入すると、該遊技球は研磨開始端部78と、研磨カセット73内の研磨部材とに挟まれるように設置される。このように研磨装置23に進入した遊技球は、研磨入口センサ701により検知され、後述する第1充満検出センサ75が玉の充満状態を検出していないことを条件として研磨モータ71が駆動を始める。研磨入口センサ701は、磁性体及び非磁性体をともに検出するスイッチである。例えば、研磨入口センサ701は、フォトセンサやマイクロスイッチから構成される。研磨モータ71の駆動は、前述した払出制御基板17により制御される。研磨モータ71が駆動すると、研磨モータ71に備えられたモータギアが回転することにより、モータギアと連結するギアに固定された搬送スクリュ72が回転駆動を始める。また特に常時移動等を行なう研磨部材を用いる場合には、前述したように研磨部材も駆動を始める場合もある。
搬送スクリュ72の回転駆動により、これに接触する遊技球は、搬送スクリュ72の(研磨開始端部78に対する他方の)端部である研磨終了端部79の方へ搬送されながら、その表面が研磨部材により研磨され、表面の汚れが除去される。
研磨装置23(ここでは研磨終了端部79)の近傍には、第1充満検出センサ75が配置されている。第1充満検出センサ75は、例えば図9に示すように玉揚送装置の進入口にあるセンサである。第1充満検出センサ75は、遊技球が充満したことを検出するセンサであり、第1充満検出センサ75は、遊技の開始により玉揚送装置25に遊技球が投入され始めたことを検出するセンサとしての機能も兼用している。すなわち、第1充満検出センサ75は、第1充満検出センサ75の領域に遊技球が入り始めたことを検出して、後述する第2充満検出センサ40が遊技球の充満状態を検出していないことを条件として玉揚送装置25の駆動を始める機能と、遊技球が充満したことを検出して研磨モータ71の駆動を停止しそれ以上の遊技球が研磨装置23の下流側に送られない状態とさせる機能とを兼用している。
すなわち、研磨モータ71が駆動を始めてから、第1充満検出センサ75が遊技球が充満したことを検出するまでの間は(検出していない間は)、研磨モータ71および研磨スクリュ72の駆動により遊技球が研磨開始端部78から研磨終了端部79の方へ移動する。第1充満検出センサ75が、遊技球が充満したことを検出したときに研磨モータ71の駆動を停止するための停止手段が備えられている。また第1充満検出センサ75が遊技球の投入を検知すれば、循環路を構成する玉揚送装置25の揚送モータ93が駆動し始め、循環路が遊技球を玉揚送装置25の方へ移送可能な状態となる。
なお、第1充満検出センサ75の上記機能の兼用は、単なる一例にすぎず、それぞれの機能に応じて別々のセンサを設けてもよい。
排出路76は、たとえばメンテナンス時など循環路の内部に配置される遊技球をパチンコ遊技機1の外部へ排出させるための排出口である。パチンコ遊技機1を、玉抜き可能状態に設定した上で排出路76から遊技球を排出する動作がなされる。
玉抜き操作スイッチ90は、遊技球の流れを、玉揚送装置25に遊技球を導く循環路91とするか、あるいは遊技球を外部に排出するための排出路76とするかを切り替えるためのスイッチである。玉抜き操作スイッチ90は、玉抜きレバー90aと、玉抜きレバー90aに取り付けられた切替片90bとを有している。玉抜きレバー90aを指で引っ掛け、回動軸Rを中心に回動させることで、切替片90bも回動軸Rを中心に回動させることができる。
図7に示す玉抜き操作スイッチ90は、切替片90bがストッパ124bに当接して、循環路91を開放するとともに、排出路76を塞いだ状態にある。そのため、搬送スクリュ72により研磨終了端部79にまで搬送された遊技球は、循環路91を通り玉揚送装置25へ導かれる。
図7に示す玉抜き操作スイッチ90の状態から、玉抜きレバー90aを指で引っ掛けて時計回りにさせる。すると切替片90bは、玉抜きレバー90aとともに回動し、図8に示すように、ストッパ124aに当接した状態となる。この状態は、切替片90bが、循環路91を塞ぐとともに、排出路76を開放した状態といえる。これにより、搬送スクリュ72により研磨終了端部79にまで搬送された遊技球は、排出路76を通り、研磨装置23の外部へ排出される。
研磨装置23の排出路76近傍には、排出玉検出スイッチ97が配置されている。遊技球が排出路76を通過すると、排出玉検出スイッチ97が検出されたときには瞬間的なパルス信号が排出玉検出スイッチ97から出力される。その瞬間的なパルス信号を受信した払出制御部171が、排出玉数カウンタを「1」加算更新していく。これにより、排出路76を通り排出された遊技球の個数を管理することができる。
本実施形態に係るパチンコ遊技機1においては、流下する遊技球の流路を、遊技球の循環路に導く循環路91とするか、パチンコ遊技機1の外部へ排出するための排出路76とするかの切り替えを、玉抜き操作スイッチ90を操作することにより選択することが可能である。
研磨装置23の循環路91を通過した遊技球は、研磨装置23の右方にある玉揚送装置25に進入する。図9は、本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の玉揚送装置を後方から見た斜視図である。玉揚送装置25は、揚送玉入口92と、揚送モータ93と、揚送スクリュ94と、揚送装置カバー95と、揚送玉出口96とを主に有している。揚送玉入口92から玉揚送装置25内に入った遊技球は、揚送スクリュ94と揚送カバー95との間に挟まれるように設置される。センサが感知することにより、前述した研磨モータ71、搬送スクリュ72およびカセットモータ74と同様の要領で、揚送モータ93、揚送スクリュ94が駆動し始める。すると揚送スクリュ94に接触する遊技球は揚送スクリュ94に沿って上方へ移送され、揚送玉出口96から玉揚送装置25の外へ出る。
図10、図11は、発射装置のみの構成をより詳細に示しており、これらの図を参照しながら、発射装置の構成を説明する。発射装置14は、ファール玉検出スイッチ33と、発射ソレノイド41と、打球ハンマ42と、発射位置43と、玉通路44と、発射玉入口46と、玉送りソレノイド47と、リンク48と、支点49とを主に有している。また発射装置14の近傍(背面側)には第2充満検出センサ40を有している。第2充満検出センサ40は、循環路の一部(第2充満検出センサ40が配置される、玉揚送装置25の下流側)に配置される遊技球が充満したことを検出するセンサであり、第2充満検出センサ40は、遊技の開始により発射装置14に遊技球が投入し始めたことを検出するセンサとしての機能も兼用している。すなわち第2充満検出センサ40は、第2充満検出センサ40の領域に遊技球が入り始めたことを検出して発射装置14(玉送りソレノイド47)の駆動を始める機能と、遊技球が充満したことを検出して揚送モータ93の駆動を停止しそれ以上の遊技球が玉揚送装置25の下流側に送られない状態とさせる機能とを兼用している。
逆にいえば、揚送モータ93が駆動を始めてから、第2充満検出センサ40が玉揚送装置25において遊技球が充満したことを検出するまでの間は(検出していない間は)、揚送モータ93の駆動により遊技球が玉揚送装置25を上方へ移動する。
なお、第2充満検出センサ40の上記機能の兼用は、単なる一例にすぎず、それぞれの機能に応じて別々のセンサを設けてもよい。
さらに、研磨モータ71と揚送モータ93の駆動制御は、それぞれにおける玉移動上流側のセンサ(研磨入口センサ701、第1充満センサ75)による玉の検出の有無にかかわらず、ぞれにおける玉移動下流側のセンサ(第1充満センサ75、第2充満センサ40)で玉の充満状態が検出されなくなったときに駆動開始させるように制御してもよい。
第2充満検出センサ40が、遊技球が充満したことを検出すれば、揚送モータ93の駆動が停止して、それ以上の遊技球が玉揚送装置25の移動下流側に送られない状態となる。すなわち、第2充満検出センサ40が、遊技球が充満したことを検出したときに揚送モータ93の駆動を停止するための停止手段が備えられている。また第2充満検出センサ40が遊技球の投入を検知すれば、循環路が遊技球を発射装置14の方へ移送可能な状態となる。
発射位置43は発射玉入口46に対し、遊技球が発射されるために発射装置14から出る出口に相当する。玉通路44は発射玉入口46から発射位置43まで発射装置14の内部を通る遊技球通路である。
玉送りソレノイド47は、玉通路44の遊技球を、発射位置43に向けて搬送させるためのソレノイドである。またリンク48および支点49は、玉通路44の遊技球の搬送を制御する、たとえば研磨装置23における搬送スクリュ72と、同様の機能を有する部材である。具体的には、玉送りソレノイド47が払出制御基板17により駆動を始めると、玉送りソレノイド(ソレノイドコイル)47の励磁によりリンク48が玉送りソレノイド47に吸引される。その結果、リンク48は支点49を中心として回転する。リンク48は、ソレノイド47に吸引されていない状態では、図10に示すように、後続の遊技球の流化をストップさせているが、玉送りソレノイド47に吸引されると、リンク48が上方へ揺動し遊技球の流下が許容され、遊技球が1個だけ玉通路44の下流側に向けて搬送される。なおリンク48は、遊技球と接する部位が吸引されると、当該部位に上流側の遊技球が1個入り込む態様となっており、ソレノイド47の励磁および励磁解除を繰り返すことにより、1個ずつ遊技球を送り出すように動作する。
リンク48の少し上流側には、発射球検出スイッチ99が設けられている。リンク48の揺動により遊技球が1個送り出されることにより、この発射球検出スイッチ99が一瞬球非検出状態となり、その検出信号が払出制御部171に入力されて玉が1個発射されたと判断する。
発射ソレノイド41は遊技球を発射位置43から、遊技盤2の遊技領域へ向けて発射するために駆動するソレノイドである。打球ハンマ42は、遊技球を発射するために遊技球を打撃するハンマである。打球ハンマ42は、回動軸51とコイル吸引部(不図示)とを有し、アーム状の部材であり、回動軸51を中心としてアームが運動することにより遊技球に打撃力を与えて、これを遊技領域に向けて発射させる。具体的には、発射ソレノイド41(ソレノイドコイル)が励磁されることにより、打球ハンマ42は、回動軸51を中心として、アームに形成されたコイル吸引部(不図示)がソレノイドコイル内の励磁領域に吸引されたり、ソレノイドコイルの励磁解除によりばね(図示省略)の復元力で元の位置に復帰されたりの往復運動が起こり、この往復運動を利用して遊技球を発射させる。なお遊技球の発射の強度は、打球操作ハンドル37の回動操作量により抵抗値が変化する可変抵抗などにより調整される。
ファール玉検出スイッチ33は、玉通路44の経路の途中に設けられており、玉通路44に遊技球が溜まって停滞している状態を検出するスイッチである。ファール玉検出スイッチ33が、玉通路44の経路の途中における遊技球が発射されずに停滞していることを検知すれば、遊技球が玉通路44の移動下流に向けて搬送される送り動作が停止され、専ら発射位置43から遊技領域へ遊技球を発射する動作が行なわれる。具体的にはたとえば、遊技球の発射動作が3回繰り返される(3個の遊技球が発射位置43から発射される)間は、玉送りソレノイド47の励磁が停止されて遊技球の玉通路44への流下がリンク48により阻止され、もっぱら玉通路44からの玉の排出(発射)のみが行なわれる。このようにして、玉通路44に存在する遊技球が超過状態となることが抑制される。
ここで、打球ハンマ42の打球発射動作と玉送りソレノイド47の発射位置43への遊技球の搬送動作とは、各々独立して時間制御で行なっている。すなわち打球ハンマ42が遊技球を発射する動作と玉送りソレノイド47が発射位置43へ向けて遊技球を搬送する動作とは、両者同じ速度(0.6秒で1個)となるように制御されている。
ファール玉検出スイッチ33が、たとえば発射位置43により発射される遊技球の遊技領域における軌道(発射軌道)上(発射位置43の近傍を含む)にあれば、該ファール玉検出スイッチ33が発射された遊技球や打球ハンマ42の衝撃を受けて破損する可能性がある。しかし本実施の形態のようにファール玉検出スイッチ33は、発射位置43により発射される遊技球の発射軌道上とは異なる箇所(玉通路44)に設けられることになる。したがって遊技球の打球に起因する破損の発生を抑制することができる。
本実施の形態における循環路内での玉の循環移動制御(具体的には後述のS17による通常玉循環処理)においては、循環路における遊技球の上流ほど、遊技球の移動速度が速い。具体的には、たとえば、上述したパチンコ遊技機1の場合は、研磨装置23において搬送スクリュ72により遊技球が搬送される速度が最も速く、玉揚送装置25において揚送スクリュ94により搬送される速度がこれに次ぎ、玉通路44において搬送される速度が最も遅い。
このようにすれば、循環路の下流側の遊技球、特にリンク48で流下を規制されている発射待機球は、後続する上流側の遊技球に追いつかれることになる。例えば、遊技中に同時に2個の遊技球がリンク48を通過して発射位置に供給されてしまう事態が生じたときには、その分発射待機玉が通常より1個少なくなるが、すぐに第2充満検出センサ40により玉の充満が検出されなくなって揚送モータ93が作動して通常の玉送り速度よりも早い速度で玉が揚送されてリンク48にまで玉が供給されるために、発射待機玉の欠乏状態が解消され、適正な数の発射待機玉を維持できる。また、通常の玉送り速度よりも早い速度で玉が揚送されることによって第1充満検出センサ40が玉の充満状態を検出しなくなれば研磨モータ71が作動して通常の玉揚送速度よりも早い速度で玉が研磨されて送り出されるために、玉揚送装置25入口部分での玉の欠乏状態が解消される。
ただし、循環路の下流側における遊技球の充満が過度になることを抑制するために、第1充満検出センサ75および第2充満検出センサ40が遊技球の充満状態を検出したときには、停止手段(S22、S25)によりその上流側において隣接する装置を停止させる。このようにすれば、遊技球の過度の充満を防止することができる。
図12は、カードユニット10とパチンコ遊技機1との構成を示すブロック図である。図12を参照して、カードユニット10とパチンコ遊技機1との制御回路の概略を説明する。
カードユニット10には、マイクロコンピュータ等から構成されたCU制御部323が設けられている。このCU制御部323は、制御中枢としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイス等が設けられている。
CU制御部323には、ホール用管理コンピュータやセキュリティ上の管理を行なうホールサーバ(図示省略)と通信を行なうための外部通信部(図示略)が設けられているとともに、パチンコ遊技機1の払出制御基板17とセキュリティを確保しながら通信を行なうためのセキュリティ基板325が設けられている。カードユニット10にはパチンコ遊技機1側への接続部(図示略)が設けられており、パチンコ遊技機1にはカードユニット10側への接続部(図示略)が設けられている。これら接続部は、たとえばコネクタ等で構成されている。
CU側のセキュリティ基板325とP台側の払出制御基板17とは、このコネクタと接続配線とを介して通信可能に接続される。セキュリティ基板325には、セキュリティ基板325と払出制御基板17との通信を制御するための通信制御IC325aと、パチンコ遊技機1のセキュリティを監視するためのセキュリティチップ(SC)325bが設けられている。さらに、SC325bは、不正検知部1325を備え、不正検知部1325がCU制御部323からP台1に通知される遊技玉の加算要求情報を監視することにより不正検知を行ない、不正検知時に鍵管理サーバ(図示省略)に通知する。また、不正検知用の設定値(定数)は鍵管理サーバから基板制御情報として通知される。
前述した貨幣識別器により紙幣の真贋および種類が識別されて、その識別結果信号がCU制御部323に入力される。遊技場の係員が所持しているリモコンから発せられた赤外線をIR感光ユニットが受光すれば、その受光信号がCU制御部323に入力される。挿入されたカードの記録情報をカードリーダライタが読取って、その読取り情報がCU制御部323に入力されるとともに、CU制御部323からカードリーダライタに対し、挿入されているカードに書込むデータが伝送されたときに、カードリーダライタはそのデータを挿入されているカードに書込む。
CU制御部323は、遊技者が遊技している際、遊技者の持玉を管理・記憶する。CU制御部323から残高あるいは遊技玉数等のデータが表示制御部350に出力され、表示制御部350で表示用データに変換される。表示器312に対し、表示制御部350で変換した表示用データが出力され、その出力された表示用データを表示器312が表示する。また、表示器312の表面に設けられているタッチパネルを遊技者が操作すれば、その操作信号が表示制御部350を介してCU制御部323に入力される。遊技者が玉貸ボタン38aを操作することにより、その操作信号がCU制御部323に入力される。なお、玉貸ボタン38aは、CU10に設ける構成に限定されるものではなく、P台1に設けて操作信号をCU制御部323に入力する構成であっても良い。遊技者が再プレイボタン38cを操作することによりその操作信号がCU制御部323に入力される。遊技者が返却ボタン38bを操作することによりその操作信号がCU制御部323に入力される。
パチンコ遊技機1には、パチンコ遊技機1の遊技の進行制御を行なう主制御基板16と、遊技玉を管理・記憶する払出制御基板17と、払出制御基板17の指令に基づいて発射ソレノイド41を駆動制御する発射制御基板31と、可変表示装置278とが備えられている。
前述したように主制御基板16は、遊技盤2に設けてある。主制御基板16には主制御部161である遊技制御用マイクロコンピュータが搭載されている。遊技機制御用マイクロコンピュータは、制御中枢としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイス等が設けられている。主制御部161は、遊技盤2に設けられている入賞センサ162、および電波センサ163と接続してある。なお、遊技盤2には、さらに可変表示装置278等を制御する表示制御基板(演出制御基板)が設けられている。
払出制御基板17は、本体枠100に設けてある。払出制御基板17には、払出制御部171である払出制御用マイクロコンピュータが搭載されている。
払出制御用マイクロコンピュータは、制御中枢としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイス等が設けられている。
その他、払出制御基板17には、玉抜きスイッチ19が設けられている。玉抜きスイッチ19とは、パチンコ遊技機1のメンテナンス等により、封入されたパチンコ遊技球を排出するためのスイッチである。その詳細については後述するが、玉抜きスイッチ19の押下が、玉抜き処理を実行するための1つの条件となっている。具体的には、玉抜きスイッチを押下した状態で、電源スイッチ21aをオンすることにより、玉抜き初期処理が実行され、その後、発射操作が検出されることにより、自動流下により排出できない遊技球を排出させるための(パチンコ遊技機1内にある)駆動源(具体的には研磨モータ71、揚送モータ93、玉送りソレノイド47、発射ソレノイド41)を自動的に作動する。
また、払出制御基板17に対し、発射玉検出スイッチ(図示略)、入賞球検出センサ110、アウト球検出センサ88、研磨入口センサ701、ファール玉検出スイッチ33、揚送モータ93、研磨モータ71、玉送りソレノイド47、第1充満検出センサ75、第2充満検出センサ40、第3充満検出センサ77、計数ボタン28、電波センサ173が電気的に接続された状態で設けられている。この電波センサ173は、電波を不正に発信する不正行為を検知するためのものである。
この電波センサ173の検出信号が払出制御基板17の入力ポート(図示略)を介して払出制御部171へ入力される。
ところが不正電波が発生すれば、いくら玉を発射しても遊技玉数が減算されない状態となる。このような電波による不正を電波センサ173により検知する。ここでは発射玉検出スイッチが電波による不正の対象となる虞がある。つまり、実際に発射された玉が回収されて発射玉検出スイッチで検出された場合には、発射玉と回収玉(アウト玉)との個数に齟齬が生じ、異常が検知されて「発射/OUT不整合玉数」の不正検知情報がP台1からCU10へ送信されることになる。しかし、この発射玉検出スイッチにも不正電波を発信して検出不能状態にすることにより、上記「発射/OUT不整合玉数」の不正検知情報がP台1からCU10へ送信されなくなる不都合が生じる。本実施の形態では、このような発射玉検出スイッチに対して発信される不正電波も、電波センサ173で検出するため、前述の不都合を防止し得る。
また、玉送りソレノイド47より少し上流側に、発射玉検出スイッチ99が設けられており(図10参照)、この発射玉検出スイッチ99によって遊技球が1個通過検出されるごとに、払出制御部171が、遊技玉数を「1」減算する。具体的には、減算玉数カウンタを「1」加算更新するとともに、遊技玉数を「1」減算更新する。
遊技玉数を「1」減算更新するその他の変形例として、ファール玉検出スイッチ33を利用する方法もある。本来、ファール玉検出スイッチ33は、後述するように、玉通路44においてファール玉が充満した場合、その充満したファール玉を検出するのである。この場合には、ファール玉検出スイッチ33は瞬間的なパルス信号ではなく継続した検出信号が出力されることになり、その継続した検出信号を受信した払出制御部171は玉通路44にファール玉が充満していると判断して、後述する図15(c)のS31によりYESの判断を行なうこととなる。一方、玉送りソレノイド47が1回励磁されることにより1個の遊技球が玉通路44を流下してその通過玉がファール玉検出スイッチ33により検出されたときには瞬間的なパルス信号がファール玉検出スイッチ33から出力される。その瞬間的なパルス信号を受信した払出制御部171は、減算玉数カウンタを「1」加算更新するとともに、遊技玉数を「1」加算更新するように制御してもよい。
このように、ファール玉検出スイッチ33を、遊技玉数を減算するために玉通路44を通過する遊技球を検出するとともに玉通路44を充満したファール玉を検出するように構成して両者を検出する兼用のスイッチとして構成してもよい。
主制御基板16から払出制御基板17に対し、主制御チップID、入賞口情報、ラウンド情報、接続確認信号、入賞検出信号、始動入賞口入賞情報、エラー情報、図柄確定回数、大当り情報、メーカ固有大当りの情報が送信される。
主制御チップID(メインチップIDとも言う)は、パチンコ遊技機1の主制御基板16に記録されているチップIDのことであり、パチンコ遊技機1の電源投入時に払出制御基板17に対して送信される情報である。入賞口情報は、入賞口の種類(始動入賞口、普通入賞口、大入賞口)と、賞球数(入賞口に遊技玉が入ったときの払出玉数)とを含む情報であり、パチンコ遊技機1の電源投入時に払出制御基板17に対して送信される。ラウンド情報は、大当りしたときのラウンド数の情報であり、パチンコ遊技機1の電源投入時に払出制御基板17に対して送信される。
接続確認信号は、主制御基板16と払出制御基板17とが接続されていることを確認するための信号であり、主制御基板16から払出制御基板17へ所定の電圧の信号が常時供給されており、払出制御基板17がその所定電圧信号を受信していることを条件として払出制御基板17が動作制御するように構成されている。入賞検出信号は、始動入賞口以外の入賞口に入賞した遊技球の検出信号である。この検出信号を受けた払出制御基板17は、その入賞玉1個に対して付与すべき玉数を、遊技玉数と加算玉数とに加算する制御を行なう。このことに関しては後に詳しく説明する。
始動入賞口入賞情報とは、始動入賞口1または始動入賞口2のいずれかに遊技球が入賞したことを示す情報である。エラー情報とは、主制御基板16が遊技制御を行なっている最中にエラーが発生した場合にその旨を払出制御基板17へ通知するための情報である。
図柄確定回数とは、各始動入賞口への入賞に対する可変表示装置の表示結果として確定した図柄の情報である。
大当り情報とは、大当りが発生したことを示す情報であり、その内訳は、各メーカ共通の大当りを示す共通大当り情報とメーカ固有の大当りを示すメーカ固有大当り情報とがある。共通大当り情報は、たとえば15ラウンド大当り等のように、各遊技機メーカが共通に採用している大当りであり、その大当りに伴って確変が発生する場合には確変情報を含み、その大当りに伴って時短状態(可変表示装置の可変表示時間を短縮する制御状態)が発生する場合にはその時短情報を含んでいる。メーカ固有大当りとは、たとえば突然確変(突確)のような、或る遊技機メーカのみが採用している大当り状態のことである。
払出制御基板17から主制御基板16へ、ヘルスチェックコマンドと賞球個数受付コマンドとが送信される。ヘルスチェックコマンドとは、主制御基板16が正常に動作しているか否かをチェックするためのコマンドである。賞球個数受付コマンドとは、加算玉数を受付けた旨を示すコマンドである。
アウト口8から回収されたアウト玉は、アウト玉検出スイッチ88(図4参照)により検出され、アウト玉検出信号が払出制御部171に入力される。また、入賞口から回収された入賞球は、入賞球検出センサ(不図示)により検出され、入賞球検出信号が払出制御部171に入力される。また、研磨入口センサ701は、通過する遊技球を検出し、遊技球検出信号が払出制御部171に入力される。
カードユニット10のセキュリティ基板325とパチンコ遊技機1の払出制御基板17とが電気的に接続されており、セキュリティ基板325から払出制御基板17へ、後述するように、リカバリ要求、リカバリ詳細要求、通信開始要求、通信終了要求、状態情報、カード挿入通知、カード返却通知、通信テスト要求の各種コマンドが送信される。
リカバリ要求は、後述するように、パチンコ遊技機1に対してリカバリ情報の通知を要求するコマンドである。払出制御基板17は、リカバリ要求を受けてパチンコ遊技機1のリカバリ情報をカードユニット10に通知する。リカバリ詳細要求は、パチンコ遊技機1に対してリカバリ詳細情報の通知を要求するコマンドである。払出制御基板17は、リカバリ詳細要求を受けてパチンコ遊技機1のリカバリ詳細情報をカードユニット10に通知する。通信開始要求は、パチンコ遊技機1に対して通信開始を要求するコマンドである。払出制御基板17は、通信開始要求を受けてカードユニット10に対して通信開始を応答する。通信終了要求は、パチンコ遊技機1に対して通信終了を要求するコマンドである。払出制御基板17は、通信終了要求を受けてカードユニット10に対して通信終了を応答する。
状態情報要求は、パチンコ遊技機1に対して状態情報の通知を要求するコマンドである。払出制御基板17は、状態情報要求を受けてパチンコ遊技機1の状態情報をカードユニット10に通知する。カード挿入通知は、パチンコ遊技機1に対してカード挿入されたことを通知するコマンドである。払出制御基板17は、カード挿入通知を受けてカードユニット10に対してカード挿入されたことの応答をする。カード返却通知は、パチンコ遊技機1に対してカード返却されたことを通知するコマンドである。払出制御基板17は、カード返却通知を受けてカードユニット10に対してカード返却されたことの応答をする。通信テスト要求は、パチンコ遊技機1に対してテストデータを通知するコマンドである。払出制御基板17は、通信テスト要求を受けてカードユニット10に対してテストデータを応答する。
払出制御基板17からセキュリティ基板325へ、リカバリ応答、リカバリ詳細応答、通信開始応答、通信終了応答、状態情報応答、カード挿入応答、カード返却応答、通信テスト応答の各種レスポンスが送信される。
本体枠100には、発射制御基板31、発射ソレノイド41が設けられている。発射制御基板31は、遊技者が打球操作ハンドル37に触れていることを検出するタッチリングの入力信号が入力されているときに発射ソレノイド励磁出力を発し、発射ソレノイド41を駆動させる。
払出制御基板17から発射制御基板31へ、発射制御信号と発射許可信号とが出力される。それを受けた発射制御基板31は、発射ソレノイド41を励磁するための信号を出力する。これにより、遊技球が遊技領域へ弾発発射される状態となる。
本体枠100には、表示用ユニット50が設けられている。表示用ユニット50は、カードユニット10の表示制御部350からの表示データを受信し、表示画面を表示させる。なお、このように、本実施の形態では、P台側の表示用ユニット50がCU側で制御されるように構成されているが、これに代えて、P台側に表示用ユニット50を表示制御するための表示制御用基板を設けてもよい。この場合、表示制御用基板は、払出制御部171の指令に基づいて表示用ユニット50を表示制御する。なお、図12では図示を省略しているが、アウト玉検出スイッチ88の検出信号と発射玉検出スイッチ99の検出信号とが払出制御部171へ入力される。
次に、パチンコ遊技機1の内部に封入された遊技球の移送について説明する。図13は、本発明の実施形態に係る遊技機の玉移動制御モード処理を示すフローチャートである。本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機1においては、電源投入時に複数の条件を全て満たすことを条件に、遊技球を外部へ排出するための「玉抜き可能モード」へと移行する。これらの複数の条件とは、パチンコ遊技機1の電源投入時に、図13のS1〜S4に示された条件であり、これらの条件の一つでも満たさなければ、「玉抜き可能モード」へ移行することはない。
まず、パチンコ遊技機1の電源スイッチ21a(図3)が操作され、電源が投入されると、遊技玉数が0であるか否か判定する(S1)。ここで「遊技玉数」とは、パチンコ遊技機1で発射可能な玉数のことであり、プリペイドカードの残高や貯玉(持玉)を引き落とすことにより発生した玉数や、遊技を行った結果遊技者所有となった玉数である。すなわち、遊技者が打球操作ハンドル37(図1)を操作することにより発射することが可能な玉数のことである。また、「遊技玉数」は、「持点」と表現することもあるとし、「持点」の減点と引き換えに、発射装置14から遊技球を遊技領域に発射する。なお、S1において、遊技玉数(持点)が0であるか否かを判定したが、その他の条件を判定するようにしてもよい。例えば、プリペイド機能を備えるビジターカードや、遊技用記録媒体である会員カードが、カードユニット10(図1)に挿入されているか否かをS1において判定するようにしてもよい。これらのカードがカードユニット10(図1)に未挿入の場合には、制御をS2に進める。また、ビジターカードや会員カードに、遊技者所有の遊技価値(例えばカード残高、持玉数、あるいは貯玉数等)が存在するか否かをS1において判定するようにしてもよい。遊技者所有の遊技価値が存在しないと判定した場合には、制御をS2に進める。また、S1において、持ち玉数が0であるか否か、ビジターカード等の挿入があるか否か、及びビジターカード等に遊技価値が存在するか否かのうち複数の判定を実行するようにしてもよい。
遊技玉数(持点)が0であると(S1:Yes)、次に、玉抜きスイッチ19(図3)の操作があるか否かを判定する(S2)。玉抜きスイッチ19は、図3に示すように、払出制御基板17上に設けられている。そのため、玉抜きスイッチ19を操作するためには、電源スイッチ21aを操作するのと同様に、本体枠100を回動させて、本体枠100の後面に触れられるようにしておく必要がある。すなわち、本体枠100を、外枠60に対して開放してはじめて、玉抜きスイッチ19を操作することが可能である。
玉抜きスイッチ19の操作があると(S2:Yes)、次に、透明カバー11(図2)が遊技盤2(図2)を閉鎖した状態にあるか否かを判定する(S3)。S3の判定は、図2に示す、透明カバー11が取り付けられた上部前面枠3Aと、本体枠100との開閉状態を検知するセンサで行われる。ここで、上部前面枠3Aが本体枠100に対して閉じた状態にあるとは、上部前面枠3Aと本体枠100とが密着した状態にあることをいう。このような状態の場合、透明カバー11は遊技盤2を閉鎖した状態にあり、遊技盤2上を流下する遊技球が外部へ飛び出すことがない。これに対し、上部前面枠3Aが本体枠100に対して開いた状態にあるとは、閉じた状態から上部前面枠3Aが回動し、本体枠100から離れた状態をいう。上部前面枠3Aと本体枠100との開閉状態を検知するセンサとしては、本体枠100及び上部前面枠3Aの一方に設けられた検出片を、他方に設けられた近接センサで検知するセンサであってもよい。
透明カバー11が閉鎖した状態にあると(S3:Yes)、次に、本体枠100(図2)が開放した状態にあるか否かを判定する(S4)。S4判定は、図2に示す本体枠100と、外枠60との開閉状態を検知するセンサで行われる。ここで、本体枠100が外枠60に対して閉じた状態にあるとは、本体枠100と外枠60とが密着した状態にあることをいう。これに対し、本体枠100が外枠60に対して開いた状態にあるとは、閉じた状態から本体枠100が回動し、外枠60から離れた状態をいう。本体枠100と外枠60との開閉状態を検知するセンサとしては、本体枠100及び外枠60の一方に設けられた検出片を、他方に設けられた近接センサで検知するセンサであってもよい。
本体枠100が開放した状態にあると(S4:Yes)、玉移動制御モードフラグを「2」に設定する(S5)。一方、S1〜S4のうち、1つでもNoの判定があった場合には、玉移動制御モードフラグを「1」に設定する(S6)。
このように、S1〜S4の全てにYesと判定された場合のみ、玉移動制御モードフラグを「2」に設定する。このように玉移動制御モードフラグが「2」に設定されると、後述するように、「玉抜き可能モード」に移行し、玉抜き初期処理及び玉抜き処理が実行される。
S1において、遊技玉数(持点)=0の場合を、玉抜き処理を実行するための条件としている理由として、遊技玉数を保有している状態で玉抜きが許容されると、遊技中に遊技ができない状態となる恐れがあるからである。このように、遊技玉数=0の場合を条件に玉抜きを許容することにより、遊技中における玉抜きが行われることを防止できる。
また、S2において、玉抜き操作ボタン19が操作されている場合を、玉抜き処理を実行するための条件としている理由として、玉抜き処理を実行しようとする明確な意図を確認するためである。これにより、遊技中での玉抜き処理が防止できるとともに、遊技球の排出を必要としないようなメンテナンスを実施する際に、遊技球が排出されてしまうという不具合を防止することができる。
また、S3において、透明カバー11が閉鎖されている場合を、玉抜き処理を実行するための条件としている理由として、発射装置14から発射された遊技球が、透明カバーと遊技盤2との隙間から飛び出すことを防止するためである。これにより、全ての遊技球を排出路76から排出することができる。
また、S4において、本体枠100が開放されている場合を、玉抜き処理を実行する条件としている理由として、本体枠100が開放されている場合には、遊技がされていないため、遊技者に不測の不利益を与えることがないからである。また、本体枠100は施錠されているため、遊技者が本体枠100を開放することができない。これにより、遊技者が玉抜きをしてしまうことを防止することができる。
次に、以上に述べた構成を有するパチンコ遊技機1の駆動時における一連の玉移動制御処理の流れについて、詳細に説明する。図14は、本発明の実施形態に係る遊技機の玉移動制御処理を示すフローチャートである。図14に示すように、まず、玉移動制御モードフラグが「1」であるか判定する(S7)。上述したように、玉移動制御モードフラグが「1」の場合は、玉抜き処理を実行しない場合である。
玉移動制御モードフラグが「1」である場合(S7:Yes)、遊技球がパチンコ遊技機1(循環路)の内部を移動(循環)する処理は、玉補給処理(S8)、通常時玉循環処理(S9)、玉送り処理(S10)が周期的に行なわれることによりなされる。ここで上記S7からS11まで1通り行なう所要時間はたとえば2msecである。
図15(a)は図14示す玉補給処理の詳細を示すフローチャート、図15(b)は図14に示す通常時玉循環処理の詳細を示すフローチャート、図15(c)は図14に示す玉送り処理の詳細を示すフローチャートである。
図15(a)に示すように、S15で循環路における貯留玉の有無が判別される。貯留玉が循環路に入っていない(S15のYES)ことは、たとえば第1充満検出センサ75および第2充満検出センサ40のいずれにも遊技球が入っていないことを検出することにより判断することができる。
アウト口8から循環路内に遊技球を投入してその遊技球がアウト球検出センサ88に検出されれば、S15によりNOの判断がなされて、S16に制御が進む。すなわち貯留玉が循環路に全く入っていない(S15におけるYESの)状態から、補給された遊技球が研磨入口センサ701で検出されることにより、循環路における遊技球の投入が始まったことが認識され、制御がS17に進み、通常の玉循環処理が行なわれる。このS16でYESの判定がなされるのは、遊技場の係員が玉補給をするべく遊技球をアウト口8から投入したときである。これに対してアウト球検出センサ88が遊技球を検出しない場合(S16のNO)には、通常時玉循環処理を行なうことなくすぐに該サブルーチンプログラムが終了する。
このS17の通常時玉循環処理により、たとえばアウト口8から投入された遊技球が循環路内を循環搬送されてリンク48の手前まで供給された状態となる。
以上の図15(a)の説明は、アウト球検出センサ88が遊技球を検出することにより循環路における遊技球の循環が開始する仕様のパチンコ遊技機1に適用されるプログラムであり、たとえば前述したような、第1充満検出センサ75、第2充満検出センサ40のいずれもが遊技球を検出しない状態であってもパチンコ遊技機1の電源が投入されさえすれば研磨モータ71と揚送モータ93とが駆動開始する場合には、S15とS16とのステップは不要となる。
なお、玉補給を行なう場合に、前述のアウト口8から玉を投入する代わりに、たとえば遊技領域に設けられた入賞口から玉を投入するようにしてもよい。この場合は、入賞球検出センサ110で投入された遊技球を検出すればよい。
図15(b)を参照して、S20で第1充満検出センサ75がONか否かを判別する。図15に示される第1充満検出センサ75は前述したように、研磨装置23から玉揚送装置25に向けて送られる遊技球が、研磨装置23と玉揚送装置25とを橋渡しする領域の近傍において充満したときにONになる(S20のYES)。ここでの充満とは、図15(a)(図14のS8)に示す玉補給処理により、循環装置における遊技球の補充が進んだときに発生する。具体的には、遊技球の通過の検出時に第1充満検出センサ75から出力される瞬間的なパルス信号ではなく、遊技球が第1充満検出センサ75の検出箇所に留まり所定時間(たとえば1秒間)継続して玉検出信号が出力される状態となったときにS15によりYESと判定される。後述するS23によるYESの判定とS31によるYESの判定も同様である。S20によりYESと判定された結果、S22に制御が進んで研磨モータ71が停止する。このことにより研磨装置23の下流側への遊技球の搬送が停止され、より下流側の遊技球が専ら移動するために、研磨装置23の下流側における遊技球の充満が解消する方向に制御が進む。しかし、第1充満検出センサ75が未だ遊技球の充満を検出しない場合には(S20のNO)、S21に制御が進んで研磨モータ71が駆動する(駆動を続ける)。
次に、S23で第2充満センサ40がONか否かを判別する。第2充満検出センサ40は前述したように、玉揚送装置25から発射装置14に向けて送られる遊技球が、玉揚送装置25と発射装置14とを橋渡しする領域の近傍において充満したときにONになる(S23のYES)。ここでの充満とは、図15(a)(図14(a)のS8)に示す玉補給処理により循環装置における遊技球の補充が進んだときに発生する。その結果、S25に制御が進んで揚送モータ93が停止する。このことにより玉揚送装置25の下流側への遊技球の搬送が停止され、より下流側の遊技球が専ら移動するために、玉揚送装置25の下流側における遊技球の充満が解消する方向に制御が進む。しかし第2充満検出センサ40が未だ遊技球の充満を検出しない場合には(S23のNO)、S24に制御が進んで揚送モータ93が駆動する(駆動を続ける)。
以上の図15(b)のサブルーチンプログラムにより、循環路において遊技球が充満されればその上流側からの搬送を(停止手段により)一旦停止して下流側の遊技球をより下流側に移送させることに専念し、下流側の遊技球の充満が解消されれば再度上流側から遊技球を送り出すというサイクルが繰り返される。
なお、前述の玉補給処理においてS17の通常玉循環処理が行なわれた後、玉送りソレノイド47を1回励磁して1個の玉だけ発射位置に供給しておいてもよい。そうすれば、遊技者が、打球操作ハンドル37を操作した瞬間から、遊技球が遊技領域に発射される。
また、前述したように循環路における上流側の方が下流よりも遊技球の移動速度が速いため、たとえ下流において遊技球の個数が一時的に足りなくなった場合においても、上流から常時遊技領域に向けて発射可能な状態が確保できるため、下流側において遊技球が不足する状態を解消することができる。
以上の通常時玉循環処理は、図14のS9における遊技者が打球操作している通常遊技時での玉循環処理と、図15(a)のS17における玉補給時に玉を循環路内に行き渡らせるための処理とに、兼用される。
図15(c)は、図14のS10で示される玉送り処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。図15(c)を参照して、玉送り処理においてはまずS30で発射操作の検出の有無が判別される。これは具体的には、発射位置43から遊技領域への遊技球の発射操作の有無を判別する工程である。
前述したように図1に示される打球操作ハンドル37の周囲に設けられる、タッチセンサと称する金属プレート状のセンサが遊技者の手に触れると、パチンコ遊技機1が発射操作を検出し(S30のYES)、S31に制御が進んで、ファール玉検出スイッチ33(図10参照)が玉を検出しているか否か判定される。通常では玉通路44(図10参照)にファール玉が停滞することはなく、S31でNOの判定がなされてS32により玉送りソレノイド47が駆動制御されて玉が玉通路44を経由して玉発射位置に供給される。その供給されてきた遊技球がS33による発射ソレノイド41の駆動(励磁)により遊技領域に発射される。
一方、S30においてタッチセンサが遊技者の手に触れずにパチンコ遊技機1が発射操作を検出しなければ(S30のNO)、発射ソレノイド41が駆動することなくサブルーチンプログラムを終了する。この場合は玉通路44における遊技球の移送は行なわれない。
玉発射力が極端に弱かった場合等、何らかの理由で玉が発射されずに玉発射位置に残る場合がある、この残ったファール玉が所定個数溜まった場合には、ファール玉が玉通路44内で停滞し、ファール玉検出スイッチ33により停滞しているファール玉が検出されてS31によりYESの判定がなされる。すると、玉送りソレノイド47の駆動が停止され、所定個数(たとえば3個)の遊技球が発射位置43から発射される間は、専ら発射位置43から遊技領域へ遊技球を発射する動作が行なわれる(S34)。ただし3個以外の個数の遊技球が発射位置43から発射される時間であってもよい。こうして玉通路44における遊技球の充満が解消する方向に制御が進む。上記の専ら発射位置43から遊技領域へ遊技球を発射する動作が行なわれた後、再び発射ソレノイド41が駆動可能な状態となるよう制御される(S33)。
ただしS32、S33において玉送りソレノイド47および発射ソレノイド41は図14のプログラムの周期である2msecごとに駆動可能な状態とするための制御がなされるが、実際の駆動、たとえば打球ハンマ42の駆動による発射位置43から遊技領域への遊技球の発射は、たとえば約600msecごとに行なわれるが、これより長い時間周期であってもよいし、これより短い時間周期であってもよい。すなわち通常通りに発射ソレノイド41が駆動している場合には、1分間に100回の割合で遊技球が発射装置14から遊技領域に発射される。以上のようにS32とS33との共同作業により、発射装置14は発射位置43に向けて遊技球を搬送し、かつ発射位置43から遊技球を発射する。S34により玉送りソレノイド47の励磁が停止されている間でのS33による発射ソレノイド41の駆動もたとえば約600msecごとに行なわれるが、これより長い時間周期であってもよいし、これより短い時間周期であってもよい。
S33の発射ソレノイド41の駆動(励磁)するタイミングは、実際にはS32の玉送りソレノイド47の駆動(励磁)するタイミングに対して所定の時間差が設けられてもよい。具体的には、玉送りソレノイド47が遊技球を送る駆動を行なった後該遊技球が発射位置43に到達するのに要する時間だけ遅らせて発射ソレノイド41を駆動(励磁)する。
以上の図15(c)のサブルーチンプログラムにより、玉通路44において遊技球が充満されればその上流側からの搬送を一旦停止して下流側の遊技球を発射することに専念し、下流側の遊技球の充満が解消されれば再度上流側から遊技球を送り出すというサイクルが繰り返される。
なお、前述したように、S31による判定は、所定時間(たとえば1秒間)継続してファール玉検出スイッチ33から玉検出信号が出力される状態となったときにYESと判定されるが、その代わりに、玉送りソレノイド47の励磁によって送られてくる遊技球がファール玉検スイッチ33の玉検出位置を通過する瞬間のタイミングを避けたタイミングで玉を検出するように制御してもよい。
具体的な制御方法としては、たとえば、玉送りソレノイド47の励磁に伴って送りだされた遊技球が玉通路44を流下してファール玉検出スイッチ33の玉検出位置にまで到達する時間(到達時間)をP台1の製造段階で払出制御部171に記憶させておき、玉送りソレノイド47の励磁を契機にタイマの計時を開始し、タイマの計時値が上記到達時間の近辺の値(例えば到達時間±0.1秒)になっていない時にファール玉検スイッチ33による玉の検出動作を行なうように制御する。そして、タイマの計時値が上記到達時間の近辺の値(例えば到達時間±0.1秒)になっていない時にファール玉検スイッチ33による玉の検出動作を行なって玉ありの検出信号が払出制御部171に入力されると、ファール玉が存在すると払出制御部171が判定する。
図13に示すS1〜S4の全てでYesと判定した場合、玉移動制御モードフラグは「2」に設定される。これにより、「玉抜き可能モード」に移行し、図14に示すように、玉抜き初期処理S12及び玉抜き処理S13が実行される。このように、玉移動制御モードフラグが「2」に設定されることにより、本体枠100に設けられた払出制御部171とカードユニット10との通信、及び払出制御部171と主制御部161との通信を無効にするとともに、払出制御部171においては研磨装置23、玉揚送装置25、及び発射装置14に関するエラーや、その他の全てのエラー検知を無視する。
より具体的には、払出制御部171とカードユニット10との通信を行わないため、カードの挿入、紙幣の挿入、玉貸しボタン38a(図12)の操作、返却ボタン38b(図12)の操作、再プレイボタン38c(図12)の操作は無効として取り扱うことになる。
また、払出制御部171と主制御部161との通信を行わない。そのため、主制御部161に接続された入賞センサ162の入賞口に進入した遊技球の検知、電波センサ163の検知、及びその他のエラー報知は全て無効として取り扱うことになる。
玉抜き初期処理S12とは、玉抜き処理S13を実行する際の前処理である。上述したように、作業者が玉抜き操作スイッチ90を操作することにより、遊技球の流れを、玉揚送装置25に遊技球を導く循環路91とするか、あるいは遊技球を外部に排出するための排出路76とするかを切り替えることができる。図7に示すように、玉抜き操作スイッチ90が遊技球を循環路91に導く状態にある場合、排出路76と循環路91との接続箇所89(分岐箇所)に遊技球が滞留する場合がある。このように接続箇所89に滞留した遊技球は、回動する玉抜き操作スイッチ90の動線上に位置している。そのため、遊技球の流路を循環路91から排出路76へ変更する際、玉抜き操作スイッチ90が滞留している遊技球と干渉し、流路の切り替えが困難となる場合があった。そこで、本実施形態に係る遊技機においては、玉抜き処理S13(図14)の前処理として、玉抜き初期処理S12(図14)を実行し、排出路76と循環路91との接続箇所89にある遊技球を流下させて、遊技球を接続箇所89から排除する処理を実行する。
図16は、図14に示す本発明の実施形態に係る遊技機の玉抜き初期処理を示すフローチャートである。玉抜き初期処理においては、まず、初期処理完了フラグがオンであるか否かを判定する(S40)。初期処理完了フラグは、玉抜き処理S13の前処理が完了している場合に「オン」に設定される。初期処理完了フラグが「オン」の場合(S40:Yes)、玉抜き初期処理のプログラムを終了する。一方、初期処理完了フラグが「オフ」の場合(S40:No(玉抜き処理S13の前処理が完了していない場合))、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)が既に駆動中であるか否か判定する(S41)。これらの駆動手段が駆動中でない場合(S41:No)、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)を駆動し(S46)、玉抜き初期処理に関するプログラムを終了する。なお、発射制御基板31(図12)は、S46において、遊技者が打球操作ハンドル37(図1)に触れなくても、発射ソレノイド励磁出力を発し、発射ソレノイド41を駆動させる。
上述したように、通常時における循環路内での玉の循環移動制御(S17による通常玉循環処理)においては、循環路における遊技球の上流ほど、遊技球の移送速度が速い。しかしながら、S46においては、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)の駆動による遊技球の移送速度を同速度としている。これにより、遊技球の移送を速やかに実行することができる。
S46において、玉抜き操作スイッチ90が取り付けられた接続箇所89を境にして、その下流の循環路に位置する揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)を駆動する一方で、接続箇所89よりも上流の循環路に位置する研磨モータ71は駆動しない。これにより、接続箇所89に滞留した遊技球は下流へと流下する。その一方で、研磨モータ71は駆動しないので、遊技球が上流から接続箇所89に流入することがない。これにより、遊技球の接続箇所89における滞留が解消され、空きスペースを確保することができる。
揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)が既に駆動中である場合(S41:Yes)、これらの各駆動手段が遊技球を2個分移送したか否かを判定する(S42)。
遊技球が、揚送モータ93(図9)の駆動により2個分移送されたとは、揚送スクリュ94(図9)の回転により遊技球の直径の2倍の距離を上方に移送されたことを意味している。遊技球が移送された距離は、ステッピングモータである揚送モータ93の駆動したステップ数に基づいて制御することができる。すなわち、揚送モータ93のステップ数と、揚送スクリュ94により遊技球が上方へ移送される距離との関係を予め把握しておき、遊技球が2個分移送されたか否かは、揚送モータ93が所定のステップ数を駆動したか否かで判断する。
遊技球が、玉送りソレノイド47(図10)の駆動により2個分移送されたとは、玉送りソレノイド47(図10)の励磁、非励磁の繰り返しによってリンク48(図10)が2度吸引され、2個の遊技球が玉通路44に向けて流下したことを意味する。玉送りソレノイド47の駆動により、遊技球が2個分移送されたか否かは、玉送りソレノイド47(図10)が励磁、非励磁を繰り返した回数により判断する。
遊技球が、発射ソレノイド41(図10)の駆動により2個分移送されたとは、発射ソレノイド41(図10)の励磁、非励磁の繰り返しによって往復運動を行う打球ハンマ42(図10)が、2個の遊技球を発射したことを意味する。発射ソレノイド41(図10)の駆動により、遊技球が2個分移送されたか否かは、発射ソレノイド41(図10)が励磁、非励磁を繰り返した回数により判断する。
上述したように、発射ソレノイド41の駆動(励磁)するタイミングは、玉送りソレノイド47の駆動(励磁)するタイミングに対して所定の時間差が設けられている。そのため、遊技球を2個分移送し終えるタイミングは、発射ソレノイド41のタイミングと、玉送りソレノイド47のタイミングとでは異なる。そのため、S42においては、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)の全てが、遊技球を2個分移送したか否かを判断する。
S42において、少なくとも1つの移送手段が遊技球を2個分移送していないと判定した場合(S42:No)、玉抜き初期処理に関するプログラムを終了する。
S42において、遊技球が2個分移送されたと判定すると(S42:Yes)、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)の駆動を停止する。
これにより、玉抜き処理の前処理である遊技球の移送が完了し、玉抜き初期処理完了を報知する(S44)。玉抜き初期処理完了の報知(S44)は、例えば、画像表示装置5(図1)に玉抜き初期処理が完了した旨の表示により行う。
続いて、玉抜き処理の前処理が完了したことを示すために、初期処理完了フラグをオンに設定(S45)し、玉抜き初期処理のプログラムを終了する。
このように、玉抜き初期処理が完了することにより、図7に示すように、研磨装置23の接続箇所89の近傍に滞留していた遊技球(P1〜P3)が、遊技球の直径の2個分の距離だけ下流へと流下する。この間、接続箇所89の上流に位置する搬送スクリュ72は動作しないため、搬送スクリュ72のプロペラ間にある遊技球は移動することがない。そのため、接続箇所89には上流から遊技球が流入することがない。これにより、図7に示した遊技球P1〜P3は、図8に示した遊技球P1´〜P3´まで移動し、研磨装置23の接続箇所89の近傍に滞留していた遊技球が排除される。そのため、玉抜き操作スイッチ90が回動することが可能な空き空間が形成され、作業員は、玉抜き操作スイッチ90をスムーズに回動させることができ、遊技球の流れを、循環路91から排出路76へと切り替えることができる。
次に、玉抜き初期処理S12(図14)後に実行される玉抜き処理S13(図14)について説明する。図17は、図14に示す本発明の実施形態に係る遊技機の玉抜き処理を示すフローチャートである。玉抜き処理においては、まず、初期処理完了フラグが「オン」であるか否かを判定する(S47)。初期処理完了フラグが「オフ」の場合(S47:No)、玉抜き処理を実行するための前処理が完了していないとして、玉抜き処理に関するプログラムを終了する。
初期処理完了フラグが「オン」の場合(S47:Yes)、発射操作の検出の有無を判定する(S48)。玉抜き初期処理の完了後、作業者が、玉抜き操作スイッチ90(図7)を操作して、遊技球の流路を循環路91(図7)から排出路76(図7)に変更しなければ、玉抜きを行うことができない。そのため、作業者により発射操作が行われることにより、玉抜き操作スイッチ90(図7)の操作が完了しているとみなすことができる。打球操作ハンドル37(図1)の周囲には、タッチセンサが形成されており、遊技者がタッチセンサに触れることにより、発射操作が検出される。
発射操作が検出されないと(S48:No)、玉抜き処理が行える状況にないとして玉抜き処理のプログラムを終了する。
作業者がタッチセンサに触れ、発射操作が検出されると(S48:YES)、研磨モータ71(図5)、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)が既に駆動中であるか否か判定する(S49)。これらの駆動手段が駆動中でない場合(S49:No)、研磨モータ71(図5)、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)を駆動し(S55)、玉抜き処理のプログラムを終了する。
このように、玉抜き処理においては、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)の駆動に加えて、研磨モータ71(図5)も駆動する。これにより、玉揚送装置25(図9)により上方に移送された遊技球は、発射装置14(図10)から遊技領域に向けて出射される。そして、遊技領域を流下する遊技球は、アウト口や入賞口等の流入部から流入して、遊技球検出装置27(図4)を通り、研磨装置23(図5)へと進入する。研磨装置23(図5)に進入した遊技球は、研磨モータ71(図7)の駆動を受けて回転する搬送スクリュ72(図7)により移送される。そして、遊技球は、接続箇所89(図7)に流入し、排出路76(図7)から外部へ排出される。
なお、研磨モータ71(図5)、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)を駆動による遊技球の移送速度を同速度としている。これにより、遊技球の排出をスムーズに実行することができる。
研磨モータ71(図5)、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)が駆動中である場合(S49:Yes)、遊技機内の遊技球が全て排出されたか否かを判定する(S50)。
遊技機内の遊技球が全て排出されたか否かは、排出路76(図8)の近傍に設けられた排出玉検出スイッチ97(図8)が検出した遊技球の個数に基づいて判断される。遊技球が排出路76を通過すると、排出玉検出スイッチ97から瞬間的なパルス信号が出力される。瞬間的なパルス信号を受信した払出制御部171は、排出玉数カウンタを「1」加算更新していく。パチンコ遊技機1には、所定個数の遊技機(例えば、50個)が封入されている。そのため、排出玉検出スイッチ97が所定個数の遊技球を検出した場合に、封入された全ての遊技球が排出されたと判定される。封入された遊技球の全てが未だ排出されていないと判定した場合(S50:No)、玉抜き処理のプログラムは終了する。
一方、封入された遊技球の全てが排出されたと判定した場合(S50:Yes)、研磨モータ71(図5)、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)を停止する(S51)。
続いて、遊技球の玉抜きが完了したことを報知する(S52)。玉抜き完了の報知(S52)は、例えば、画像表示装置5(図1)に玉抜きが完了した旨の表示により行うことができる。これにより、作業者は、パチンコ遊技機1に封入された遊技球の全てが排出されたことを理解することができる。
続いて、玉移動制御モードフラグを「1」に設定する。これにより、「玉抜き可能モード」が終了する。続いて、初期処理完了フラグを「オフ」に設定して、玉抜き処理のプログラムを終了する。
以上説明したように、本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機1では、玉抜き処理の前処理として、玉抜き操作スイッチ90が取り付けられた接続箇所89を境にして、その下流の循環路に位置する揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)を駆動する一方で、接続箇所89よりも上流の循環路に位置する研磨モータ71は駆動しない。そのため、接続箇所89近傍に玉抜き操作スイッチ90を回動させることが可能な空き空間が形成され、作業員は、玉抜き操作スイッチ90をスムーズに回動させることができる。これにより、遊技球の流れを、循環路91から排出路76へとスムーズに切り替えることができる。
また、玉抜き処理の前処理は、遊技球を2個分移送することにより完了する。そのために、前処理に多くの時間を割かれずに、玉抜き処理をスムーズに実行することができる。
また、遊技玉数(持点)=0の場合を、玉抜き処理を実行するための条件としているため、遊技玉数(持点)を保有している状態で玉抜きが許容されず、遊技中における玉抜きが行われることを防止できる。
また、玉抜き操作ボタン19が操作されている場合を、玉抜き処理を実行するための条件としているため、遊技中での玉抜き処理が防止できるとともに、遊技球の排出を必要としないようなメンテナンスを実施する際に、遊技球が排出されてしまうという不具合を防止することができる。
また、透明カバー11が閉鎖されている場合を、玉抜き処理を実行するための条件としているため、発射装置14から発射された遊技球が、透明カバーと遊技盤2との隙間から飛び出すことを防止することができる。
また、本体枠100が開放されている場合を、玉抜き処理を実行する条件としているため、遊技がされている状態で、玉抜き処理は実行されない。そのため、遊技者に不測の不利益を与えることがない。また、本体枠100は施錠されているため、遊技者が本体枠100を開放することができない。これにより、遊技者が玉抜きをしてしまうことを防止することができる。
また、図13のS1〜S4に示すように、玉抜き処理を実行するために複数の条件が設定されている。これにより、意図せずに玉抜き処理が実行されることを抑制でき、誤操作を抑制することができる。
また、「玉抜き可能モード」となったパチンコ遊技機1は、本体枠100に設けられた払出制御部171とカードユニット10との通信、及び払出制御部171と主制御部161との通信を無効にするとともに、払出制御部171においては研磨装置23、玉揚送装置25、及び発射装置14に関するエラーや、その他の全てのエラー検知を無視する。これにより、玉抜き時に誤ったエラー検知が発生するといった事態を抑制することができ、玉抜き処理をスムーズに実行することができる。
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記実施の形態では、電源投入時に玉抜きスイッチ19(図2)が操作されていることが、「玉抜き可能モード」に移行するための1つの条件であると説明したが、他の操作が「玉抜き可能モード」の移行条件であってもよい。例えば、電源投入時に下面前面枠3B(図1)に形成された操作部36(図1)の操作を1つの条件としてもよいし、電源投入時に払い出し制御部171に信号を送信することが可能なその他の操作手段の操作を1つの条件としてもよい。あるいは、パチンコ遊技機1に直接触れて行われるこのような操作でなくてもよく、他の機器からの指示により「玉抜き可能モード」に移行するような構成であってもよい。例えば、作業者が所持するリモコンの所定操作が行われることにより発せられた赤外線が、IR感光ユニットによって受光されることを、「玉抜き可能モード」の移行条件の1つとしてもよい。あるいは、メンテナンスの際にカードユニット10に対して行われる所定操作によって、カードユニット10からの玉抜きに関する信号を受信することが、「玉抜き可能モード」に移行する1つの条件としてもよい。
また、電源投入後であったとしても、所定の操作を行うことで、「玉抜き可能モード」へ移行するような構成であってもよい。例えば、玉抜きスイッチ19(図2)を押下操作しながら、画像表示装置5の表示に従って操作部36等を操作するとともに、図13に示すS1、S3、及びS4の全てにYesと判定された場合に、「玉抜き可能モード」へ移行するようにしてもよい。このようにして「玉抜き可能モード」へと移行した場合においても、本体枠100に設けられた払出制御部171とカードユニット10との通信、及び払出制御部171と主制御部161との通信は無効とされるとともに、研磨装置23、玉揚送装置25、及び発射装置14に関わる全てのエラー検知を無視することで、玉抜き処理時に誤ったエラー検知が発生するといった事態を回避することができる。
また、玉抜き処理の前処理が実行されて遊技球が移送されることで、研磨装置23の接続箇所89に滞留する遊技球が排除されると説明したが、パチンコ遊技機1が玉抜き処理の前処理後の接続箇所89の状態を視認可能とする構成を有していてもよい。例えば、研磨装置23の一部を透明な材料から構成することで窓部を形成し、この窓部を通して接続箇所89の状態を視認できるようにしてもよい。また、図7、8に示すように、接続箇所89に滞留する遊技球を検出する第3充満検出センサ77を設け、接続箇所89に遊技球が存在する状態にあるか、存在しない状態にあるかを、画像表示装置5が表示する画像で知らせるようにしてもよい。これにより、接続箇所89における遊技球の有無を作業者が容易に把握することができる。仮に、遊技球が存在する場合には、即座に前処理を実行するといった対策をとれるなど、玉抜き処理をスムーズに実行することができる。また、第3充満検出センサ77で、遊技球が検出されなくなるまで、玉抜き初期処理を実行するようにしてもよい。これにより、玉抜き初期処理をより確実に完了させることができる。
また、玉抜き処理の前処理を実行する前に、第3充満検出センサ77によって、接続箇所89に滞留する遊技球がないことが判明した場合には、玉抜き初期処理(S12)を省略することができる。これにより、封入された遊技球をよりスムーズに排出することができる。
また、上述の実施の形態に係るパチンコ遊技機1においては、研磨装置23に設けられた玉抜き操作スイッチ90を手動により切り替えを行っていた。しかしながら、玉抜き操作スイッチ90を回動させる駆動手段を別途設けてもよい。そして、図16に示す玉抜き初期処理のS42において、玉2個分移送が完了したことにより、自動で玉抜き操作スイッチ90を回動して、遊技球の経路を変更するようにしてもよい。
また、玉抜き操作スイッチ90が、図8に示すように遊技球を排出路76に導く状態にあることを検知するセンサを別途設けるようにしてもよい。これにより、玉抜き初期処理が完了した後、玉抜き操作スイッチ90が回動して遊技球が排出路76に導かれる状態にあることが検知されたことにより、自動的に、研磨モータ71(図5)、揚送モータ93(図9)、玉送りソレノイド47(図10)、及び発射ソレノイド41(図10)を駆動させることができる。この場合、発射操作を検出したか否かを判定していたS48は不要となる。すなわち、作業者が発射操作をすることがなくても、パチンコ遊技機1に封入された遊技球を外部へと排出することができる。このような構成を採用する場合には、作用者がタッチセンサに触れたとしても、発射が行われないように、発射操作の検知を無効とするのがよい。
また、図17に示すS48の発射操作を検出するステップに変えて、例えば、所定の操作を検出したことを条件に、研磨モータ71(図7)等の遊技球の移送手段を駆動するようにしてもよい。所定の操作としては、例えば、下面前面枠3B(図1)に形成された操作部36(図1)を操作することにより、研磨モータ71等の遊技球の移送手段を駆動するようにしてもよい。この場合にも、作業者が発射操作をすることなく、パチンコ遊技機1に封入された遊技球を外部へ排出することができる。
また、図17に示すS50において、排出玉検出スイッチ97(図8)が、排出路76(図8)を通過した遊技球を所定個数(封入個数)検出することで、玉抜きが完了したと判断したが、例えば、排出玉検出スイッチ97が所定時間(例えば、5秒間)、遊技球を検出しなかったことにより、玉抜きが完了したと判定するようにしてもよい。これにより、封入個数が明らかでない場合にも、封入された全ての遊技球を排出することができる。
また、玉抜き初期処理のステップ(S46)において、遊技球を移送する際に、揚送モータ93、玉送りソレノイド47、及び発射ソレノイド41を駆動すると説明したが、その一部のみを駆動するようにしてもよい。例えば、揚送モータ93のみを駆動して、揚送スクリュ94で遊技球を2個分移送することで、接続箇所89に滞留する遊技球を排除するようにしてもよい。なお、玉揚送装置25に接続された発射装置14に、2個の遊技球の収容空間を別途形成しておくことで、揚送スクリュ94で移送した遊技球の下流が遊技球で満たされている場合に、該収容空間に遊技球を収容することができる。これにより、移送した遊技球が下流の遊技球にぶつかって詰まるといった現象を抑制することができる。また、遊技球を移送する際に、揚送モータ93、及び玉送りソレノイド47を駆動させるようにし、発射ソレノイド41は駆動させないようにしてもよい。
また、玉抜き初期処理における遊技球の移送は、遊技球2個分であると説明したが、移送する遊技球の個数分は、接続箇所89の構成により適宜設定することが可能である。例えば、1個分の遊技球の移送で、接続箇所89に滞留する遊技球を排除できるのであれば、1個分の移送を行えばよいし、3個分以上の移送が必要であれば、3個分以上の移送を行うようにすればよい。
また、玉抜き初期処理において行われる遊技球の移送は、揚送モータ93のステップ数、あるいは、玉送りソレノイド47及び発射ソレノイド41が励磁、非励磁を繰り返した回数に基づいて判断できると説明したが、他の形態であってもよい。例えば、研磨装置23と玉揚送装置25との接続箇所に設けられた第1充満検出センサ75が検出したパルス信号に基づいて、遊技球の移送個数分を判断するようにしてもよい。あるいは、玉揚送装置25と発射装置14との接続箇所に設けられた第2充満検出センサ40が検出したパルス信号に基づいてもよい。
また、玉抜き操作スイッチ90は、回動軸Rを中心に回動することで遊技球の流れを、玉揚送装置25に遊技球を導く循環路91とするか、あるいは遊技球を外部に排出するための排出路76とするかを切り替えていたが、他の構造を有するものであってもよい。例えば、排出路76と循環路91とが並列している場合、その配列方向にスライドする板材で排出路76及び循環路91のうち一方を塞ぐことで、遊技球の流れを切り替えるようにしてもよい。この場合にも、接続箇所に遊技球が滞留することにより、板材のスライドが困難となる場合がある。そのため、玉抜き初期処理を実行することにより、板材を容易にスライドさせることができ、遊技球の流路の切り替えを容易に行うことができる。なお、板材のスライドは、手動で行ってもよいし、公知の駆動手段を用いて実行するようにしてもよい。
また、遊技球の流路の切り替えを、排出路76及び循環路91のそれぞれに設けられた、遊技球の流路を開閉可能なバルブで行うようにしてもよい。この場合も、玉抜き初期処理を実行することにより、バルブを用いた開閉動作をスムーズに実現することができる。なお、バルブの開閉動作も、手動で行うようにしてもよいし、公知の駆動手段を用いて実行するようにしてもよい。
また、遊技中において玉抜きが行われることを防止するため、遊技玉数(持ち点)=0であるか(S1)、本体枠100が開放されている状態であるか(S4)、を「玉抜き可能モード」の移行条件としていた。しかしながら、遊技中における玉抜きを防止するために、他の条件を課すようにしてもよい。例えば、発射装置14から発射した遊技球の個数と、アウト球検出センサ88の遊技球検出個数及び入賞球検出センサ110の遊技球検出個数の合計個数と、を比較して、同数であることを条件としてもよい。このような条件が成立する場合には、遊技領域2(図1)を流下している遊技球は存在せず、遊技がされていない状況であると判断することができる。
また、遊技者が打球操作ハンドル37に触れておらず、かつ、特図ゲーム及び普図ゲームが行われていないことを1つの条件としてもよい。